JP2003173938A - 電解コンデンサ陽極素子用成形体、その製造方法及びこれを用いた電解コンデンサ陽極素子 - Google Patents

電解コンデンサ陽極素子用成形体、その製造方法及びこれを用いた電解コンデンサ陽極素子

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JP2003173938A
JP2003173938A JP2002288033A JP2002288033A JP2003173938A JP 2003173938 A JP2003173938 A JP 2003173938A JP 2002288033 A JP2002288033 A JP 2002288033A JP 2002288033 A JP2002288033 A JP 2002288033A JP 2003173938 A JP2003173938 A JP 2003173938A
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Wataru Suenaga
渉 末永
Minoru Moriyama
稔 森山
Akiko Miyamoto
昭子 宮本
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Kojundo Kagaku Kenkyusho KK
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Kojundo Kagaku Kenkyusho KK
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、機械的強度や生産歩留まり等
に優れた電解コンデンサ陽極素子、これを製造するため
の電解コンデンサ陽極素子用成形体及び該電解コンデン
サ陽極素子用成形体の製造方法の提供。 【解決手段】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
する電解コンデンサ陽極素子用成形体であって、剥離性
基体上に形成され、リール状に巻回されていることを特
徴とする電解コンデンサ陽極素子用成形体;剥離性基体
上に、弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有する金属
粉末分散液を塗布し、乾燥してスリットした後、リール
状に巻回する電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造方
法;並びにかかる電解コンデンサ陽極素子用成形体を基
体から剥離し、少なくとも一部を扁平にした弁作用金属
からなるリード線の扁平部分を、該剥離した成形体で挟
んで重ね合わせ、次いで加圧し、焼結してなる電解コン
デンサ陽極素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンタル等の弁作
用金属を用いた電解コンデンサ陽極素子用成形体、その
製造方法、及び該成形体を用いた電解コンデンサ陽極素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、表面実装デバイスの小型化技術が
飛躍的に進歩し、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ
など、電子機器における部品基板への実装技術が高密度
化している。こうした中、電子部品であるコンデンサ素
子においても、その小型化、大容量化の要求に対して、
種々研究がなされている。現在一般に使用されているコ
ンデンサ素子としては、積層セラミックコンデンサ、ア
ルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ等がその
主流となっているが、特に小型大容量化が可能である特
長を有するタンタル電解コンデンサについて、盛んに研
究がなされている。タンタル金属と同じような特長を有
する材料としては、いわゆる弁作用金属として、アルミ
ニウム、ニオブ、チタン等の金属類の材料があげられる
が、耐熱性、誘電体皮膜形成性の点において、タンタル
金属は高い需要を得ている。
【0003】前記の弁作用金属粉末、例えばタンタルを
用いた電解コンデンサの製造方法としては、通常、陽極
金属としてタンタルを使用し、粉末の流れ性を良くし、
またバインダーとしての役割を担う樹脂とタンタル金属
粉末とを金型に投入し、これらを加圧加工してチップ化
した素子を作製する。このときタンタル金属粉末の粒子
径、充填密度にばらつきが生じると、得られるコンデン
サの電気特性に影響を及ぼすことになるため、上記材料
の充填、加圧条件等は厳重に管理しなければならない。
このように作製されたチップ化素子には、陽極端子とな
る部品(通常はタンタルリード線)を設ける。このリー
ド線は通常、金型内に植立されてタンタル金属粉末を加
圧成形することにより固定される。上記工程により得ら
れた素子は、真空中において高温加熱処理することによ
り、素子中の不要な樹脂を蒸発除去する工程を経る。こ
の工程により、タンタル金属粉末間に存在していた樹脂
が蒸発除去され、かつ、タンタル金属粉末同士の接触点
における溶着により、多孔質体の形態をなすタンタル電
解コンデンサ用陽極素子が得られる。このようにして得
られたタンタル電解コンデンサ用陽極素子を電解液槽中
に入れ、所定の直流電圧を加えて化成処理を行ってタン
タル金属粉末表面に酸化タンタルからなる誘電体皮膜を
形成させた後、該皮膜の上に二酸化マンガン又は、機能
性高分子の固体電解質皮膜を形成させる。この後、さら
にカーボン、銀ペースト陰極層処理を施して樹脂外装し
て、最終的なタンタル電解コンデンサを得る。
【0004】近年、電解コンデンサにおける小型化、薄
型化の要求に対し、コンデンサの寸法をより一層小型化
するための研究が進められている。このように薄型化を
することによって、低い等価直列抵抗(ESR)も実現
でき、高周波特性も大幅に向上させることができる。さ
らにコンデンサを小型大容量化するために、粒径の小さ
い高CV粉末を用いたときでも、素子が薄いため固体電
解質溶液の浸透が容易で高い容量引き出し率を維持する
ことができる。このために、コンデンサに埋設する部分
を扁平化した扁平リード線を使用して、コンデンサを薄
型化する技術が提案されている。特公平7−58672
号公報、実開昭59−187129号公報、実開昭57
−138330号公報および特開平4−164309号
公報には、扁平な埋込み部分を有するリード線を用いる
ことによって薄型化した固体電解コンデンサが開示され
ている。薄型コンデンサを提供するための別な方法とし
て、特開昭53−99456号公報には、弁作用金属粉
末を板状に成形、焼結した多孔質焼結体に、リード線を
接合するために切欠部を設け、該焼結体の切欠部にリー
ド線を接続固定する電解コンデンサの製造方法が開示さ
れている。さらに別な薄型化の方法として、特開昭56
−83022号公報には、電極用金属の粉末と可塑性樹
脂からなるバインダとを混合してシートを形成し、この
シートにリード線を接合し、脱バインダ処理をした後、
焼結する電解コンデンサ用電極の製造方法が開示されて
いる。該公報には、重畳したシート間にリード線を挿入
すること、シートにリード線挿入用の孔または条溝を設
けることが開示されている。また、薄型コンデンサを製
造するための薄片状成形体を作製する方法については、
本出願人らも特開2001−203130号公報にて提
案している。
【0005】
【特許文献1】特公平7−58672号公報
【特許文献2】実開昭59−187129号公報
【特許文献3】実開昭57−138330号公報
【特許文献4】特開平4−164309号公報
【特許文献5】特開昭56−83022号公報
【特許文献6】特開2001−203130号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術のうち、扁平リード線を用いる方法は、金属
粉末とバインダーとの混合物を型に充填し、リード線を
挿入した後、加圧成形し、焼結して焼結素子(電解コン
デンサ用陽極素子)を製造していたため、薄型の陽極素
子を製造する場合、金属粉末とバインダーとの混合物
(通常は粉末)を金型の狭い隙間内に均一な充填密度で
充填すること、及び金型内に該混合物とともにリード線
を挿入することが難しく、薄型化には限界があった。従
って、極めて薄い、例えば厚さ0.4mm以下の高性能
な電解コンデンサを、高い生産性で製造することは困難
であった。さらに、扁平リード線は、扁平化した部分の
機械強度が弱く、折れ曲がり易いので、金型に充填され
た粉末の混合物にこの扁平リード線を挿入することは極
めて困難である。さらに、扁平リード線を金型内に挿入
した状態で、混合物を金型に充填しようとすると、扁平
リード線が邪魔になって混合物をうまく充填することが
できず、薄型の電解コンデンサを生産する場合、生産性
及び歩留まりが極端に悪くなるという問題があった。
【0007】また前述した従来技術のうち、多孔質焼結
体に、リード線を接合するための切欠部を設ける方法
(特開昭53−99456号公報参照)は、製造工程が
繁雑となり、生産性が悪いという問題があった。さら
に、多孔質焼結体の一部に設けた切欠部にリード線を挿
入して接続固定する方法では、多孔質焼結体とリード線
の接続部分が小さいために接合強度が弱く、多孔質焼結
体とリード線の接続が十分でないため、コンデンサの電
気特性が悪化する問題があった。また切欠部を大きくす
ると、多孔質焼結体の機械強度が弱くなり、割れの発生
を招く問題がある。また、前述した従来技術のうち、特
開昭56−83022号公報に開示された方法は、電極
用金属の粉末と可塑性樹脂からなるバインダとを混合し
てシートを形成し、重畳したシート間に円形断面のリー
ド線を挿入し、焼結して電解コンデンサ用陽極素子を製
造する。また前記公報においては、シートに孔または条
溝を設け、この孔または条溝にリード線を挿入すること
が開示されている。この方法では、円形断面のリード線
を用いていることによって、焼結前のシートとリード線
との密着性が弱く、製造しにくい問題があった。また焼
結後もリード線と焼結体との接合強度が弱く、焼結体か
らリード線が抜出し易い問題があった。さらに、リード
線と焼結体との接合状態が悪く、特に製造過程或いは製
造後に振動や衝撃が加わると、リード線と焼結体との電
気的接続が不十分な部分を生じ易く、製品の特性にばら
つきを生じやすい問題があった。また、陽極素子内に円
形断面のリード線を埋設した構造であるため、この素子
に外圧が加わると、応力が素子のリード線埋設部分に集
中し、割れやクラックを生じやすい問題がある。また前
記公報では良好な形状の陽極素子を得るため、シートに
孔または条溝を設け、この孔または条溝に円形断面のリ
ード線を挿入することが記載されている。しかしなが
ら、薄いシートに孔または条溝を形成するのは困難であ
るし、シートに条溝を形成すると、その部分のシート厚
は極めて薄くなり、その条溝形成部分からシートが容易
に切れやすくなる問題がある。従って、この従来技術に
あっては、高品質な薄型の電解コンデンサを歩留まり良
く製造することが困難であり、また得られた電解コンデ
ンサは機械強度が弱いという問題があった。また、特開
昭56−83022号公報に開示された方法と、特開2
001−203130号公報に開示された方法において
は、剥離性基体上に、弁作用金属粉末とバインダー樹脂
を含有する塗料を塗布し、該塗布物を乾燥して、シート
状又は薄片状にした電解コンデンサ陽極素子用成形体を
用い、例えば複数の該成形体でリード線を挟んで圧着固
定すると、少なくとも上述の従来の方法よりは、製造が
容易で、機械的強度や電気特性に優れた電解コンデンサ
陽極素子が得られる。しかしながら、いずれもシート状
又は薄片状にした電解コンデンサ陽極素子用成形体から
電解コンデンサ陽極素子を製造する場合、シート状又は
薄片状の電解コンデンサ陽極素子用成形体を規定の大き
さに打ち抜く必要がある。このとき耳(廃棄しなければ
ならない余分な部分)が生じるため、生産効率、生産歩
留まり、経済性が必ずしも十分でなかった。
【0008】このように、薄型の電解コンデンサ用陽極
素子については、焼結用の成形体素子の形成に関し、金
型を用いる従来の方法では、材料充填の点で難点があ
る。また、弁作用金属粉とバインダー樹脂とからなるシ
ート状の成形体から、該成形体素子を形成する従来の方
法では、薄片状の成形体とリード線との結合が困難で、
結合の密着性、結合部の機械的強度に問題点を有してい
る。さらに、これらの方法は、薄片状成形体の成形およ
び該成形体とリード線との結合の点でいずれも生産効
率、生産歩留まり、経済性が悪く、量産化が困難である
という問題を有していた。したがって、本発明は、製造
が容易で、機械的強度や電気特性に優れるとともに、生
産効率や生産歩留まり、経済性に優れた電解コンデンサ
陽極素子、これを製造するための電解コンデンサ陽極素
子用成形体、及び該電解コンデンサ陽極素子用成形体の
製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発者らは、前記事情に
鑑み、剥離性基体上に、弁作用金属粉末とバインダー樹
脂を含有する金属粉末分散液を塗布し、乾燥してスリッ
トするか、又は基体上にストライプ状に塗布し、乾燥し
て塗布した形状に裁断すれば、容易にリール状に巻回す
ることができることを見出した。このように、リール状
に巻回できることから、これを電解コンデンサ陽極素子
製造装置にセットして連続的に電解コンデンサ陽極素子
を製造することができるため、生産効率が向上する。ま
た、スリット幅又はストライプ状に塗布する幅を電解コ
ンデンサ陽極素子に必要な幅に設定すれば、打ち抜いた
ときに耳が生じることがないため生産歩留まりもよく、
好ましくは連続塗布法で形成された弁作用金属とバイン
ダー樹脂を含む分散液の塗布物を、さらに連続して一定
幅にスリットして次工程に供することができるため、経
済性に優れていることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、弁作用金属粉末とバ
インダー樹脂を含有する電解コンデンサ陽極素子用成形
体であって、剥離性基体上に形成され、かつリール状に
巻回されていることを特徴とする電解コンデンサ陽極素
子用成形体を提供するものである。このように電解コン
デンサ陽極素子用成形体をリール状に巻き回すことによ
って、幅広で長尺の電解コンデンサ陽極素子用の連続塗
布物を、無駄なくしかも効率的に使用して電解コンデン
サ用陽極素子を作製することができ、また長期の安定的
な保管を行うこともできる。さらにリール状に巻回され
ているので、必要な長さに裁断を行うことによって、リ
ールの外側の開始点から終了点まで、連続して多くのチ
ップ状の電解コンデンサ陽極素子用成形体を製造工程に
供することができる。本発明においては、剥離性基体が
基体の表面に剥離層を有するものであると、リール状の
成形体を剥離性基体から剥離するときの剥離力が小さく
てすむため、該成形体がくずれることがなく好ましい。
本発明はまた、剥離性基体上に、弁作用金属粉末とバイ
ンダー樹脂を含有する金属粉末分散液を塗布し、乾燥し
てスリットした後、リール状に巻回することを特徴とす
る電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造方法を提供す
るものである。本発明はまた、剥離性基体上に、弁作用
金属粉末とバインダー樹脂を含有する金属粉末分散液を
ストライプ状に塗布し、乾燥し、塗布した形状に裁断し
た後、リール状に巻回することを特徴とする電解コンデ
ンサ陽極素子用成形体の製造方法を提供するものであ
る。本発明はまた、かかる電解コンデンサ陽極素子用成
形体の少なくとも一部を基体から剥離し、少なくとも一
部を扁平にした弁作用金属からなるリード線の扁平部分
を、該剥離した電解コンデンサ陽極素子用成形体で挟ん
で重ね合わせ、次いで加圧し、焼結してなる電解コンデ
ンサ陽極素子を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において電解コンデンサ陽
極素子用成形体とは、弁作用金属粉末とバインダー樹脂
を含有し、剥離性基体上、あるいは表面に剥離層を有す
る剥離性基体上に形成され、かつリ−ル状に巻回された
ものである。しかし、電解コンデンサ陽極素子用成形体
との語句は、電解コンデンサ陽極素子の製造過程で得ら
れるリール状に巻回された電解コンデンサ陽極素子用成
形体から、剥離性基体が除去された成形体、さらにま
た、陽極素子の製造過程でリール状の電解コンデンサ陽
極素子用成形体から一定の大きさに切断されたチップ状
の成形体に共通して用いられる。それらはともに、電解
コンデンサ用陽極素子の製造工程における中間製造品で
あって、どちらを示すかが明細書中で特に誤解を生じな
いときはそのままの語句で用いるが、誤解を生じるおそ
れのあるときは、リール状、チップ状等の語句を冠して
どちらを指すのかを明確にする。チップ状の電解コンデ
ンサ陽極素子用成形体は、これらを弁作用金属からなる
リード線を挟んで接合し電解コンデンサ陽極用の成形体
素子を作製し、該成形体素子を焼結工程にかけて電解コ
ンデンサ用陽極素子を作製する。本発明の電解コンデン
サ陽極素子用成形体およびその製造方法においては、該
電解コンデンサ陽極素子用成形体が、電解コンデンサ用
陽極素子に適した幅にスリットされた後リール状に巻き
回されて得られるものであることが好ましい。このよう
に電解コンデンサ陽極素子用成形体が、製造を想定して
いる電解コンデンサの陽極素子の幅にスリットされてい
ると、陽極素子の長さに合わせて電解コンデンサ陽極素
子用成形体を順次切断していくだけで、製造すべき電解
コンデンサの大きさに適合したチップ状電解コンデンサ
陽極素子用成形体を連続的に形成でき、しかも切断後に
不要部分が全く生じることがない。本発明の電解コンデ
ンサ陽極素子用成形体は、基体の表面に剥離層を有する
剥離性基体からの剥離時に、剥離層と積層されたまま、
剥離層と基体との界面から剥離して得られるものである
ことが好ましい。このように剥離すると剥離層が剥離後
の電解コンデンサ陽極素子用成形体に積層された状態と
なり保護層としての機能を果たす。電解コンデンサ陽極
素子用成形体は、バインダー樹脂の含有量が増加すると
燒結後に電解コンデンサ用陽極素子中に残留する炭素が
増加し易く、該電解コンデンサ陽極素子を用いて製造し
た電解コンデンサの特性が低下し易い。このため成形体
に含有させるバインダー樹脂としては通常必要最低量し
か配合されず、強度が低いため電解コンデンサ陽極素子
用成形体は通常外力によって壊れやすい。しかしながら
このように剥離層に保護層の機能を発揮させることによ
り、弁作用金属層が補強されるため、スリット時も電解
コンデンサ陽極素子が壊れることがない。さらにまた、
電解コンデンサ陽極素子用成形体を剥離性基体の基体
と、剥離層との界面より剥離した後であっても、当該成
形体は、剥離後の成形体の表層が樹脂を主成分とする剥
離層によって補強されているため崩れにくく、また剥離
時においても該電解コンデンサ用陽極素子用成形体が崩
れることなく安定して剥離し易い。さらに、剥離性基体
が剥離された以降の工程においても、該電解コンデンサ
陽極素子用成形体が崩壊することが少ない。また、剥離
層は電解コンデンサ陽極素子用成形体の表層に積層され
るため、剥離層のバインダー樹脂は燒結によって焼失し
やすく残留炭素を生じにくい。このような保護層機能を
有する剥離層を設けると電解コンデンサ陽極素子用成形
体の崩壊を防ぎ、しかも燒結後にコンデンサ特性を悪化
させる残留炭素を増加させることがない。
【0012】前記弁作用金属粉末としては、タンタル、
アルミニウム、ニオブ、チタンなどが用いられる。これ
らの弁作用金属の中でも、タンタル、ニオブが好適であ
り、特に好ましくはタンタルが用いられる。本形態によ
る電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造方法(以下、
本製造方法という)では、弁作用金属としてタンタルを
用いた場合を例として、以下の説明を行う。
【0013】工程(1):金属粉末分散液の調製 本製造方法では、まず、タンタル金属粉末、バインダ
ー、さらに溶剤、及び必要に応じて添加剤を混合、分散
し、陽極素子成形用の金属粉末分散液を作製する。タン
タル電解コンデンサの焼結体製造用に用いるタンタル金
属粉末の純度は、99.5%以上のものが好ましく、ま
たその平均粒径は0.01〜5.0μmであることが好
ましく、特に0.01〜1.0μmであることが好まし
い。
【0014】本製造方法で使用するバインダー樹脂とし
ては、溶剤可溶性バインダー樹脂を用いることができ
る。好適なバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニ
ルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチラ
ール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、
酢酸ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸
ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、ニトロセルロース樹脂、天然樹脂などが挙げられ
る。これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合
して利用することができる。このうち、アクリル樹脂
は、真空中でのバインダー処理の際に、完全に分解し、
カーボンとして残留することがないので、アクリル樹脂
を用いた電解コンデンサは、漏れ電流の増加を防止する
ことができ、より好ましい。さらに、アクリル系モノマ
ーとアミノ基含有モノマーとの共重合体樹脂を用いれ
ば、漏れ電流が極めて少ないタンタル電解コンデンサを
得ることができる。また、アクリル系モノマーとヒドロ
キシ基含有モノマーとの共重合体樹脂を用いれば、金属
粉末分散液を基体上に塗布したときの塗膜が可撓性、柔
軟性に富むため、電解コンデンサ陽極素子用成形体を基
体から剥離したときに、電解コンデンサ陽極素子用成形
体の形状が崩れてポロポロこぼれ落ちることがなく、形
状がしっかり保持される。さらにリール状に巻回した時
にも脆性が問題になることが無く、また、リード線を挟
んで陽極用成形体素子を加圧処理するときにも、リード
線の挟み込み部分からクラックが生じることがないとい
う利点を有する。上記樹脂のガラス転移点(Tg)は、
50℃以下が好ましく、室温以下が特に好ましい。50
℃以下であれば、これらの樹脂を用いて電解コンデンサ
陽極素子用成形体を得るときに、前記アクリル系モノマ
ーとヒドロキシ基含有モノマーとの共重合体樹脂を用い
るときと同様に、塗膜に可撓性をもたせることができ、
リード線の接合時に塗膜にクラックが生じにくく、また
後工程での作業性に好適である。前記バインダー樹脂の
使用量は、タンタル金属粉末100質量部あたり0.0
1〜30質量部の範囲が好ましく、0.01〜15質量
部の範囲が特に好ましい。
【0015】使用する溶剤としては、水、あるいはメタ
ノール、IPA、ジエチレングリコール等のアルコール
類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メ
チルエチルケトン、イソホロン等のケトン類、N,N−
ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル等のエ
ステル類、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチル等の
塩素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独で又は2種類以上混合して用いて
も良い。溶剤の使用量は、金属粉末分散液を剥離性基体
表面に塗布する工程がスムーズに実行できる程度に設定
される。
【0016】また、使用する金属粉末分散液には、前記
金属粉末、バインダー及び溶剤の他に、該金属粉末分散
液を剥離性基体表面に塗布するために好適な物性とし、
金属粉末の分散あるいは流動性を安定に保つために適当
な各種添加剤を配合することができる。好適な添加剤と
しては、例えばフタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪
酸エステル等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸
点アルコール、シリコーン系或いは非シリコーン系等の
消泡剤、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、ソルスパーズ、4級アンモニウム塩等の分散剤など
必要に応じて適宜使用しても良い。これらの添加剤の使
用量は、タンタル金属粉末100質量部当たり0.01
〜5.0質量部の範囲が好ましい。
【0017】タンタル金属粉末、溶剤、溶剤可溶性バイ
ンダー樹脂、および適宜使用しても良い分散剤は、すべ
て同時に、またはそれぞれ順次投入して、各種の混練・
分散機を用いて分散することで、剥離性基体表面に塗布
することが容易なタンタル金属粉末分散液を作製するこ
とができる。混練・分散にあたっては、撹拌機、二本ロ
ール、三本ロール等のロール型混練機、縦型ニーダー、
加圧ニーダー、プラネタリーミキサー等の羽根型混練
機、ボール型回転ミル、サンドミル、アトライター等の
分散機、超音波分散機、ナノマイザー等が使用できる。
【0018】この金属粉末分散液の配合比率を例示すれ
ば、例えば、タンタル金属粉末100質量部に対して、
バインダーが0.01〜30質量部、好ましくは0.0
1〜15質量部、溶剤が5〜160質量部、添加剤が0
〜5質量部とされる。また金属粉末分散液の粘度は0.
1〜1000Pa・sec、好ましくは0.1〜100
Pa・sec程度とされる。
【0019】工程(2):電解コンデンサ陽極素子用成
形体の形成 次に、前記金属分散液を、剥離性基体上に塗布し、乾燥
してスリットする。金属分散液の塗布、乾燥によって、
該基体上に塗布された金属分散液中の溶剤が揮散し、剥
離性基体上には金属粉末とバインダー(溶剤が残ってい
ても良い)からなる塗膜が残る。これをスリットするこ
とによって本発明の電解コンデンサ陽極素子用成形体が
得られる。
【0020】剥離性基体は、リール状もしくはチップ状
の電解コンデンサ陽極素子用成形体から、塗膜部分の形
状を崩すことなく剥離できることが必要である。剥離性
基体用の基体として使用できる材料としては、例えばポ
リエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩
化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ
エチレンナフタレートフィルム、ポリビニルアルコール
フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、
ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フ
ィルム、エチレンビニル共重合体フィルム等からなるプ
ラスチックフィルムまたはシート;若しくはアルミニウ
ムなどの金属シート;紙、含浸紙;これらの各材料から
なる複合体が挙げられる。これらの中から、塗料中の樹
脂との組み合わせによる接着性、剥離性を考慮して、よ
り適合したものが用いられる。これら以外の材料であっ
ても、必要な強度、可撓性、剥離性等を備えていれば、
特に制限なく使用できる。上記基体はそのままで、もし
くは後述するように剥離層を表面に形成して剥離性基体
として用いられる。塗膜と基体との円滑な剥離のために
は、前記剥離性基体は基体の表面に剥離層を有すること
が好ましい。
【0021】剥離層に用いる樹脂は、塗布用に用いられ
る各種の樹脂を使用することが可能であるがポリビニル
アルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチラー
ル樹脂、アクリル樹脂が好適に使用できる。またこれら
の樹脂は、金属粉末の分散液に適用する樹脂と相溶する
ことが、剥離層と金属粉末分散液の塗膜からなる金属粉
末層とが接着し易く、剥離後の電解コンデンサ陽極素子
用成形体と積層されて保護層機能を発揮し易くなるので
好ましい。これらの樹脂は、金属粉と併存して焼結され
たときに、完全に分解除去する傾向があり、残留炭素の
少ない多孔質金属焼結体を形成する。さらにこの中でも
アクリル樹脂は電解コンデンサ陽極素子用成形体を燒結
するときに完全に分解除去する傾向があり、残留炭素を
ほとんど残さないのでより好ましい。またこれらの樹脂
からなる保護層機能を発揮する剥離層は、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンフィルム等の多くのプラ
スティックフィルムに対して良好な剥離性を有し、剥離
時に電解コンデンサ陽極素子用成形体の破壊を防ぐ効果
を有する。剥離層の厚さは1μm〜20μmの範囲が好
ましく、特に、1μm〜10μmの範囲が焼結後の残留
炭素量が少なく、塗膜の強度を適度に持たせるので好ま
しい。剥離層を設けると、多くの樹脂で安定した剥離が
可能となる。剥離層は前記の剥離層用樹脂を例えば前記
した溶剤に適宜溶解して基体上に塗布、乾燥を行って形
成することができる。電解コンデンサ陽極素子用成形体
において、このような保護層機能を発揮する剥離層の存
在は、好ましくは電解コンデンサ陽極素子用成形体を剥
離性基体から剥離した後に、電解コンデンサ陽極素子用
成形体の断面をSEM写真(走査電子顕微鏡写真)で撮
影することによって確認することができるが、さらに該
断面の電子線マイクロアナライザによる測定によって、
弁作用金属原子と炭素原子存在量比の測定を行えば一層
明確である。さらにまた剥離性基体を剥離した後の電解
コンデンサ陽極素子用成形体をその両面からESCA
(X線光電子分光法)で測定して、両面に存在する弁作
用金属または炭素原子の存在量を測定することによって
も確認することができる。
【0022】剥離層を設けた剥離性基体を作製するに
は、種々の塗布方法により形成することができる。塗布
する方法は、例えば、公知のロール塗布方法等、具体的
にはエアードクターコート、ブレードコート、ロッドコ
ート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズ
コート、含浸コート、リバースロールコート、トランス
ファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キ
ャストコート、スプレイコート等により基体上に剥離層
を形成することができる。
【0023】工程(1)で作製した金属粉末分散液を剥
離層を形成しない場合は剥離性基体の上に、剥離層を形
成した場合には、剥離層塗膜の乾燥後、該塗膜の上に塗
布を行う。前記金属粉末分散液は、剥離層を設けるとき
と同様、種々の塗布方法によって前記剥離性基体に塗布
することができる。
【0024】次いで、40〜120℃の熱風で乾燥す
る。金属粉末の酸化を防ぐためには40〜70℃の範囲
で時間をかけて乾燥することが好ましいが、乾燥時間の
短縮のため、金属が酸化しない範囲であれば80〜12
0℃程度の熱風で乾燥してもよい。分散液中の溶剤を揮
散した後、所定の幅にスリットする。スリットの方式
は、レザーカッタ方式と、ナイフとロールの間に働くせ
ん断作用を利用したシェアカッタ方式とがあり、そのい
ずれでもよい。カッタの精度としては、シェアカッタの
方がよく、厚いものをカットする場合もシェアカッタの
方がよい。また、複数の刃を有するロータリカッタを用
いてスリットしてもよい。
【0025】このようにして得られた電解コンデンサ陽
極素子用成形体は、剥離性基体上に均一に形成されたも
のであり、膜厚分布がほとんどなく、また可撓性、柔軟
性にも優れたものであるから、位置ずれ等を起こすこと
なく容易にリール状に巻回することができる。リール状
に巻回した電解コンデンサ陽極素子用成形体は、保存
性、運搬性に優れるとともに、電解コンデンサ陽極素子
製造装置へのセットが容易で、連続製造にも適したもの
である。
【0026】本発明においては、前記金属分散液を、剥
離性基体上にストライプ状に塗布し、乾燥し、塗布した
形状に裁断した後、リール状に巻回することもできる。
ストライプ状に塗布した場合は、乾燥後、塗布した形状
に裁断することが必要である。裁断は、常法に従って行
うことができる。
【0027】得られた電解コンデンサ陽極素子用成形体
の厚さは、タンタル電解コンデンサとして要求される所
望の静電容量により適宜設定することが可能であり、乾
燥前の塗布物の厚さ(湿時厚さ)は数μm〜500μ
m、より好ましくは数μm〜300μmの範囲とし得
る。
【0028】本発明の電解コンデンサ陽極素子は、上記
電解コンデンサ陽極素子用成形体を用いて、例えば以下
のようにして作製することができる。まず、電解コンデ
ンサ陽極素子用成形体を剥離性基体から剥離する。この
とき、剥離層を有しない剥離性基体を用いた場合は、当
該成形体は、剥離性基体と成形体との界面から剥離す
る。一方、剥離層を有する剥離性基体を用いた場合は、
剥離層と基体との界面から剥離し、成形体は剥離層と積
層されたまま剥離されるものもある。ついで、所望の長
さに切断した後、図1に示すように、その上に扁平リー
ド線3の扁平部分3aを置き、更に別な電解コンデンサ
陽極素子用成形体4を重ね合わせ、必要に応じて適当な
加圧処理を施して2枚の電解コンデンサ陽極素子用成形
体2,4と扁平リード線3とを密着させることによっ
て、電解コンデンサ陽極素子用の成形体素子5(以下成
形体素子5との省略形を併用する。)を形成する。
【0029】前記扁平リード線は、弁作用金属、例えば
タンタルからなり、少なくとも陽極素子へ埋入する部分
もしくは全体が扁平に形成されている。この扁平リード
線は、タンタル線の少なくとも一部を加圧成形して扁平
化することで作製される。扁平リード線の扁平部分の厚
さと幅は、製造する陽極素子の厚み、リード線強度など
を勘案して適宜設定し得るが、好ましくは成形体の厚さ
の5〜70%の厚さ扁平化することが好ましい。リード
線の扁平化加工には、ロール加工法や加圧加工法等を用
いることができる。また成形体内に埋入するリード線の
長さは、成形体の長さの5〜95%が好ましい。35〜
95%がより好ましく、45〜90%がさらに好まし
い。またリード線の成形体の扁平部分は成形体を超え
て、その外側にまで続いていることが好ましい。このよ
うに扁平部分を設定することにより、陽極素子を作製し
た時に、扁平部分が焼結体の内側のみならず外側にまで
連続した構造となる。このためリード線の柔軟性が増
し、リード線にかかる力が直接接合部分に加わらないた
め、リード線と焼結体との接合部分にかかる応力が小さ
くなり、タンタル金属粉の表面に形成された皮膜が破壊
されることがない。なお、扁平部分を断続的に形成する
こと、扁平部分の扁平化率を長手方向で変化させるこ
と、或いは扁平面の角度を変えた部分を形成しても良
い。
【0030】この電解コンデンサ陽極素子5を作製する
ための装置と製造方法の例を、次に説明する。 ・工程(3):電解コンデンサ陽極素子の製造方法 図2は、電解コンデンサ陽極素子の製造方法の例を工程
順に説明するための概略図である。この例においては、
雄型20A,20Bが摺動可能に挿入される貫通孔21
と、該貫通孔21に連通するリード線挿入用の切欠22
とを有する雌型23と、前記貫通孔21の両側から該孔
内に挿入された一対の雄型20A,20Bとを有する製
造装置を用いる。 そして次の各工程: a)剥離性基体上に形成された電解コンデンサ陽極素子
用成形体1を剥離性基体から剥離し、貫通孔21を覆う
ように配置して、一方の雄型20Aによって成形体2を
打ち抜き、雌型23内に位置した他方の雄型20Bの先
端に移動させる工程(図2(a),(b)参照)、 b)切欠22から、扁平リード線3を挿入し、他方の雄
型20Bの先端にある打ち抜かれた成形体(成形体2)
に、リード線3の扁平部分3aを配置する工程(図2
(c)参照)、 c)剥離性基体上に形成された電解コンデンサ陽極素子
用成形体6を剥離性基体から剥離し、貫通孔21を覆う
ように配置して、一方の雄型20Aによって成形体4を
打ち抜き、他方の雄型20Bの先端にある打ち抜かれた
成形体2と加圧して、電解コンデンサ陽極用の成形体素
子5を形成する工程(図2(d),(e)参照)、及び
d)雌型23内から成形体素子5を取り出す工程(図2
(f)参照)、を順次行うことによって電解コンデンサ
陽極用の成形体素子5を作製する。
【0031】前記製造装置に供給される電解コンデンサ
陽極素子用成形体1,6は、リール状に巻回されている
から、これを直線状に伸ばして剥離性基体から剥がし、
電解コンデンサ陽極用の成形体素子5の長さになるよう
に、雄型20Aによって打ち抜くことで、所望寸法の成
形体素子5の大きさに合った成形体2,4とすることが
できる。また、切欠22から挿入される扁平リード線3
は、図示略の加圧機によって先端部を扁平化した後で雌
型23内に挿入される。図2(e)に示すように、扁平
リード線3の扁平部分3aを挟んで2枚の成形体2,4
を重ね合わせ、両方の雄型20A,20B間で加圧す
る。
【0032】前記成形体素子の製造方法によって、図1
に示すようにタンタル金属粉末とバインダーとを含む2
枚の成形体2,4間に、タンタルからなる扁平リード線
3の扁平部分3aが挟まれた薄い直方体をなす焼結前の
電解コンデンサ陽極用の成形体素子5が得られる。な
お、成形体素子5の形状は、直方体に限定されることな
く、雄型20A,20Bと貫通孔21の形状を変えるこ
とによって、平面視塩形、楕円形、多角形状等の成形体
素子を作製することもできる。
【0033】工程(4):焼結 次いで、このようにして得られた電解コンデンサ陽極用
の成形体素子5を、必要であれば適宜乾燥し、次いで真
空中で約300〜600℃の熱処理工程によって有機物
質(バインダー)の除去を行い、さらに約10〜30分
間、約1200〜1600℃の高温加熱処理(焼結)を
行い、タンタル金属粉末同士およびタンタル金属粉末と
扁平リード線3とを融着させることにより、図4に示す
通り、薄型直方体形状のタンタル多孔質焼結体7内に、
扁平リード線3の扁平部分3aが埋入された構造のタン
タル電解コンデンサ用陽極素子8が得られる。このよう
にして得られたタンタル電解コンデンサ用陽極素子8
は、タンタル多孔質焼結体7と扁平リード線3とが強固
に接合された状態となる。
【0034】前記タンタル電解コンデンサ用陽極素子8
を用いて、タンタル電解コンデンサを製造するには、該
陽極素子8を電解液槽に入れ、該陽極素子8に所定の直
流電圧を加えて化成処理を施すことにより、該陽極素子
8の表面に酸化タンタル皮膜を形成させる。そして、酸
化皮膜の形成後、さらにその上に二酸化マンガン皮膜又
は、機能性高分子皮膜の固体電解質を形成する。
【0035】前述のようにして得られた酸化タンタル皮
膜・二酸化マンガン皮膜又は機能性高分子皮膜を形成し
たコンデンサ素子11は、カーボン(グラファイト)
層、銀ペースト層を形成し、例えば図5に示すように、
コンデンサ素子11の表面に陰極端子12の一端側を半
田14で接合するとともに、扁平リード線3の先端部分
を陽極端子13にスポット溶接(溶接部を符号15で示
す)によって接合した後、例えば樹脂成形加工により、
あるいは、樹脂溶液中に浸漬させて形成させるなどして
樹脂外装16を施し、タンタル電解コンデンサ10とす
る。
【0036】本発明の製造方法は、積層型の電解コンデ
ンサの製造に適用することもできる。本発明の製造方法
を用いて製造される、極めて薄型の電解コンデンサ陽極
素子に酸化被膜、固体電解質被膜を形成して薄型のコン
デンサ素子を作製し、これを積層することにより形成し
てもよい。
【0037】
【実施例】次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0038】実施例1 平均1次粒子径0.5μm、静電容量が80000CV
/gのタンタル金属粉50g、バインダー樹脂としてア
クリル樹脂「BR−88」(三菱レイヨン(株)製)5
g、メチルエチルケトン50g、および3mm径のスチ
ールボール100gを50ccのポリ瓶に入れて混合
し、振とう機(ペイントコンディショナー)を用いて1
時間分散して、タンタル金属粉末分散液を得た。厚さが
50μmのPETフィルム上にアクリル樹脂「BR−8
8」(三菱レイヨン(株)製)の溶液を#16のワイヤ
バーにて展色し、厚さ3μmの剥離層を設けた。次に、
剥離層を設けたPETフィルム上にタンタル金属粉末分
散液を250μmの深さのアプリケータにて展色し、厚
さ150μmのタンタル金属粉末分散液の乾燥塗膜を得
た。この乾燥塗膜のPETを、スリッターを用いて幅
3.6mmにスリットした。かかる電解コンデンサ陽極
素子用成形体は、膜厚が均一であり、容易にリール状に
巻回することができた。また、陽極素子の幅に合わせて
スリットしたため、耳が生じることがなく、生産歩留ま
りが極めて良かった。
【0039】次いで、リール状に巻回された電解コンデ
ンサ陽極素子用成形体をPETから剥離して直線状に伸
ばした後、3.6×4.4mmの大きさに打ち抜いた。
次いで、直径0.2mmのリード線の先端部分を加圧
し、扁平化した扁平リード線の扁平部分を挟んで重ね合
わせ、図1に示す形状の電解コンデンサ陽極素子用の成
形体5を作製した。このとき、PET上に保護機能を有
する剥離層を介して電解コンデンサ陽極素子用成形体を
形成しているので、剥離時に該電解コンデンサ陽極素子
用成形体が崩れることがなかった。また、剥離性基体か
ら、電解コンデンサ陽極素子用成形体を剥離した後、該
電解コンデンサ陽極素子用成形体の断面に対して、電子
線マイクロアナライザによる測定を行い、原子マッピン
グを行ったところ、PETに対向する表面の近傍で、保
護層機能を有する剥離層に対応する炭素原子の偏在した
層状の領域が観測された。前記領域とその他の領域でタ
ンタルと炭素の原子数比C/Taを測定したところ、炭
素原子の偏在した領域では1.5〜3.5であり、その
他の領域では0.65〜0.73であった。
【0040】次に、電解コンデンサ陽極素子5を6.6
×10-3Pa(5×10-5torr)の真空中で350
℃に昇温して90分間加熱処理し、有機物質(バインダ
ー)の分解・除去を行い、さらに1300℃、20分間
の焼結処理を行って、図4に示すように、薄型直方体形
状のタンタル多孔質焼結体7内に、扁平リード線3の扁
平部分3aが埋入された構造のタンタル電解コンデンサ
用陽極素子8を得た。このように、連続的に裁断工程へ
電解コンデンサ陽極素子用成形体を供給し、PETから
剥離したチップ状電解コンデンサ陽極用成形体素子を用
いて、連続的にリード線を挟んでの加圧成形を行うこと
が出来るのでPETから剥離した電解コンデンサ陽極用
成形体素子を連続的に作製でき、電解コンデンサ陽極用
成形体及び電解コンデンサ陽極素子の生産効率が極めて
良かった。実施例2 タンタル金属粉末分散液を作製するときのバインダー樹
脂としてアクリル樹脂「NCBー166」(大日本イン
キ化学工業(株)製 重量平均分子量25万〜45万
Tg −10℃)を用いた他は実施例1と同様にしてリ
ール状に巻き回した電解コンデンサ陽極素子用成形体を
作製した。スリット工程時、巻回し工程時に成形体に生
じる細かなクラックは実施例1よりもさらに小さく、か
つ少なくなり、ほとんど発生しなかった。バインダー樹
脂のTgを低くしたため電解コンデンサ陽極素子用成形
体の可撓性が一層向上したと思われる。
【0041】
【発明の効果】本発明の電解コンデンサ陽極素子用成形
体は、製造が容易で、生産効率や生産歩留まりに優れた
ものである。そして、かかる電解コンデンサ陽極素子用
成形体を用いることにより、機械的強度や電気的特性に
優れた電解コンデンサ陽極素子を容易かつ経済的に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電解コンデンサ陽極素子の製造
方法の一例を説明するための図であり、扁平リード線を
2枚のシート間に挟んで得られる成形体素子の斜視図で
ある。
【図2】 本発明に係る電解コンデンサ陽極素子の製造
方法の一例を工程順に示す概略図である。
【図3】 成形体素子を焼結して得られる電解コンデン
サ陽極素子の斜視図である。
【図4】 本発明に係る電解コンデンサ陽極素子を用い
て得られた電解コンデンサを例示する概略図である。
【符号の説明】
1,6 電解コンデンサ陽極素子用成形体(チップ状ま
たはリール状) 2,4 成形体(打ち抜かれたチップ状成形体) 3 扁平リード線 3a 扁平部分 5 電解コンデンサ陽極用の成形体素子 7 タンタル多孔質焼結体 8 タンタル電解コンデンサ陽極素子 10 タンタル電解コンデンサ 11 コンデンサ素子 12 陰極端子 13 陽極端子 14 半田 15 溶接部 16 樹脂外装 20A,20B 雄型 21 貫通孔 22 切欠 23 雌型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 稔 東京都東村山市久米川町5−30−1 株式 会社高純度物質研究所内 (72)発明者 宮本 昭子 東京都東村山市久米川町5−30−1 株式 会社高純度物質研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
    する電解コンデンサ陽極素子用成形体であって、剥離性
    基体上に形成され、かつリール状に巻回されていること
    を特徴とする電解コンデンサ陽極素子用成形体。
  2. 【請求項2】 剥離性基体が基体の表面に剥離層を有す
    るものである請求項1記載の電解コンデンサ陽極素子用
    成形体。
  3. 【請求項3】 剥離層が、ポリビニル樹脂、ポリビニル
    アセタール樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂からな
    る群から選択される少なくとも1種を含有する請求項2
    に記載の電解コンデンサ陽極素子用成形体。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂のガラス転移点が50℃
    以下である請求項2または請求項3に記載の電解コンデ
    ンサ陽極素子用成形体。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれか一項に記載の電
    解コンデンサ陽極素子用成形体において、 当該電解コンデンサ陽極素子用成形体が、剥離性基体か
    ら剥離されるときに、剥離層と積層されたまま、剥離層
    と基体との界面から剥離して得られるものである、電解
    コンデンサ陽極素子用成形体。
  6. 【請求項6】 剥離性基体上に形成され、電解コンデン
    サ陽極素子の幅にスリットされた後にリール状に巻回さ
    れて得られるものである請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の電解コンデンサ陽極素子用成形体。
  7. 【請求項7】 剥離性基体上に、弁作用金属粉末とバイ
    ンダー樹脂を含有する金属粉末分散液を塗布し、乾燥し
    てスリットした後、リール状に巻回することを特徴とす
    る電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造方法。
  8. 【請求項8】 剥離性基体上に、弁作用金属粉末とバイ
    ンダー樹脂を含有する金属粉末分散液をストライプ状に
    塗布し、乾燥し、塗布した形状に裁断した後、リール状
    に巻回することを特徴とする電解コンデンサ陽極素子用
    成形体の製造方法。
  9. 【請求項9】 剥離性基体が、基体の表面に剥離層を有
    するものであり、該剥離層が、ポリビニル樹脂、ポリビ
    ニルアセタール樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂か
    らなる群から選択される少なくとも1種を含有すること
    を特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載の電解コ
    ンデンサ陽極素子用成形体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    電解コンデンサ陽極素子用成形体の少なくとも一部を剥
    離性基体から剥離し、少なくとも一部を扁平にした弁作
    用金属からなるリード線の扁平部分を、該剥離した電解
    コンデンサ陽極素子用成形体で挟んで重ね合わせ、次い
    で加圧し、焼結してなる電解コンデンサ陽極素子。
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