JP2002305129A - 電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用いた電解コンデンサ並びに電解コンデンサ用陽極素子の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用いた電解コンデンサ並びに電解コンデンサ用陽極素子の製造方法

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JP2002305129A
JP2002305129A JP2001220559A JP2001220559A JP2002305129A JP 2002305129 A JP2002305129 A JP 2002305129A JP 2001220559 A JP2001220559 A JP 2001220559A JP 2001220559 A JP2001220559 A JP 2001220559A JP 2002305129 A JP2002305129 A JP 2002305129A
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Wataru Suenaga
渉 末永
Minoru Moriyama
稔 森山
Akiko Miyamoto
昭子 宮本
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Kojundo Kagaku Kenkyusho KK
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術では製造が困難であった薄形で高性
能な電解コンデンサ用陽極素子とそれを用いた電解コン
デンサ、およびその製造方法の提供。 【解決手段】 弁作用金属粉末とバインダーと溶剤とを
混合して得られる金属粉末分散液を基体上に塗布しある
いは印刷してシートとし、次いで少なくとも一部を扁平
にした弁作用金属からなる扁平リード線3の該扁平部分
3aを挟んでシート2,4を重ね合わせて接合体5を形
成し、次いで該接合体5を焼結して得ることを特徴とす
る電解コンデンサ用陽極素子、それを用いた電解コンデ
ンサ、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンタル等の弁作
用金属を用いた電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用
いた電解コンデンサ、並びに電解コンデンサ用陽極素子
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、表面実装デバイスの小型化技術が
飛躍的に進歩し、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ
など、電子機器における部品基板への実装技術が高密度
化している。こうした中、電子部品であるコンデンサ素
子においても、その小型化、高容量化の要求に対して、
種々研究がなされている。現在一般に使用されているコ
ンデンサ素子としては、積層セラミックコンデンサ、ア
ルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ等がその
主流となっているが、特に小型大容量化が可能であるタ
ンタル電解コンデンサについては、その優れた特性のた
め盛んに研究がなされている。タンタル金属と同じよう
な特長を有する材料としては、いわゆる弁作用金属とし
て、アルミニウム、ニオブ、チタン等の金属類の材料が
あげられるが、耐熱性、誘電体皮膜形成性の点におい
て、タンタル金属は高い需要を得ている。
【0003】前記の弁作用金属粉末、例えばタンタルを
用いた電解コンデンサの製造方法としては、通常、陽極
金属としてタンタルを使用し、バインダーとしての役割
を担う樹脂とタンタル金属粉末とを金型に投入し、これ
らをプレス加工してチップ化した素子を作製する。この
ときタンタル金属粉末の充填密度にばらつきが生じる
と、得られるコンデンサの電気特性に影響を及ぼすこと
になるため、上記材料の充填、加圧条件等は厳重に管理
しなければならない。このように作製されたチップ化素
子には、陽極端子となる部品(通常はタンタルリード
線)を設ける。このリード線は通常、金型内に植立され
てタンタル金属粉末を加圧成形することにより固定され
る。上記工程により得られた素子は、真空中において高
温加熱処理することにより、素子中の不要な樹脂を蒸発
除去する工程を経る。この工程により、タンタル金属粉
末間に存在していた樹脂が蒸発除去され、かつ、タンタ
ル金属粉末同士の接触点における溶着により、多孔質体
の形態をなすタンタル電解コンデンサ用陽極素子が得ら
れる。このようにして得られたタンタル電解コンデンサ
用陽極素子を電解液槽中に入れ、所定の直流電圧を加え
て化成処理を行ってタンタル金属粉末表面に酸化タンタ
ル被膜を形成させた後、該被膜の上に二酸化マンガン又
は、機能性高分子の固体電解質被膜を形成させる。この
後、さらにカーボン、銀ペースト陰極層処理を施して樹
脂外装して、最終的なタンタル電解コンデンサを得る。
【0004】近年、電解コンデンサにおける小型化、薄
型化の要求に対し、コンデンサの寸法をより一層小型化
するための研究が進められている。このように薄型化を
することによって、低い等価直列抵抗(ESR)も実現
でき、高周波特性も大幅に向上することができる。この
ために、コンデンサに埋設する部分を扁平化した扁平リ
ード線を使用して、コンデンサを薄型化する技術が提案
されている。特公平7−58672号公報、実開昭59
−187129号公報、実開昭57−138330号公
報および特開平4−164309号公報には、扁平な埋
込み部分を有するリード線を用いることによって薄形化
した固体電解コンデンサが開示されている。薄形コンデ
ンサを提供するための別な方法として、特開昭53−9
9456号公報には、弁作用金属粉末を板状に成形、焼
結した多孔質焼結体に、リード線を接合するために切欠
部を設け、該焼結体の切欠部にリード線を接続固定する
電解コンデンサの製造方法が開示されている。さらに別
な方法として、特開昭56−83022号公報には、電
極用金属の粉末と可塑性樹脂からなるバインダとを混合
してシートを形成し、このシートにリ―ド線を接合し、
脱バインダ処理をした後、焼結する電解コンデンサ用電
極の製造方法が開示されている。該公報には、重畳した
シート間にリード線を挿入すること、シートにリード線
挿入用の孔または条溝を設けることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術のうち、扁平リード線を用いる方法は、金属
粉末とバインダーとの混合物を型に充填し、リード線を
挿入した後、加圧成形し、焼結して焼結素子(電解コン
デンサ用陽極素子)を製造していたため、薄形の陽極素
子を製造する場合、金属粉末とバインダーとの混合物
(通常は粉末)を金型の狭い隙間内に均一な充填密度で
該混合物を充填すること、及び金型内に該混合物ととも
にリード線を挿入することが難しく、薄形化には限界が
あった。従って、極めて薄い、例えば厚さ0.4mm以
下の高性能な電解コンデンサを、高い生産性で製造する
ことは困難であった。さらに、扁平リード線は、扁平化
した部分の機械強度が弱く、折れ曲がり易いので、金型
に充填された混合物に植立するためにこの扁平リード線
を挿入することは極めて困難である。さらに、扁平リー
ド線を金型内に挿入した状態で、混合物を金型に充填し
ようとすると、扁平リード線が邪魔になって混合物をう
まく充填することができず、薄形の電解コンデンサを生
産する場合、生産性及び歩留まりが極端に悪くなるとい
う問題があった。
【0006】また前述した従来技術のうち、多孔質焼結
体に、リード線を接合するための切欠部を設ける方法
(特開昭53−99456号公報参照)は、製造工程が
繁雑となり、生産性が悪いという問題があった。さら
に、多孔質焼結体の一部に設けた切欠部にリード線を挿
入して接続固定する方法では、多孔質焼結体とリード線
の接続部分が小さいために接合強度が弱く、多孔質焼結
体とリード線の接続が十分でないため、コンデンサーの
電気特性が悪化する問題があった。また切欠部を大きく
すると、多孔質焼結体の機械強度が弱くなり、割れの発
生を招く問題がある。
【0007】また、前述した従来技術のうち、特開昭5
6−83022号公報に開示された方法は、電極用金属
の粉末と可塑性樹脂からなるバインダとを混合してシー
トを形成し、重畳したシート間に円形断面のリード線を
挿入し、焼結して電解コンデンサ用陽極素子を製造す
る。また前記公報においては、シートに孔または条溝を
設け、この孔または条溝にリード線を挿入することが開
示されている。この方法では、円形断面のリード線を用
いていることによって、焼結前のシートとリード線との
密着性が弱く、製造しにくい問題があった。また焼結後
もリード線と焼結体との接合強度が弱く、焼結体からリ
ード線が抜出し易い問題があった。さらに、リード線と
焼結体との接合状態が悪く、特に製造過程或いは製造後
に振動や衝撃が加わると、リード線と焼結体との電気的
接続が不十分な部分を生じ易く、製品の特性にばらつき
を生じやすい問題があった。また、陽極素子内に円形断
面のリード線を埋設した構造であるため、この素子に外
圧が加わると、応力が素子のリード線埋設部分に集中
し、割れやクラックを生じやすい問題がある。また前記
公報では良好な形状の陽極素子を得るため、シートに孔
または条溝を設け、この孔または条溝に円形断面のリー
ド線を挿入することが記載されている。しかしながら、
薄いシートに孔または条溝を形成するのは困難である
し、シートに条溝を形成すると、その部分のシート厚は
極めて薄くなり、その条溝形成部分からシートが容易に
切れやすくなる問題がある。従って、この従来技術にあ
っては、高品質な薄形の電解コンデンサを歩留まり良く
製造することが困難であり、また得られた電解コンデン
サは機械強度が弱いという問題があった。
【0008】本発明は、従来技術では製造が困難であっ
た薄形で高性能な電解コンデンサ用陽極素子とそれを用
いた電解コンデンサ、およびその製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、少なくとも一部を扁平にした弁作用金属
からなるリード線と、該リード線の扁平部分を層間に挟
んだ積層構造をなして該リード線を固定している弁作用
金属の多孔質焼結体片とを有する電解コンデンサ用陽極
素子を提供する。また、本発明は、弁作用金属粉末とバ
インダー樹脂を含有するシート状あるいは薄片状成形体
を、少なくとも一部を扁平にした弁作用金属からなるリ
ード線の該扁平部分を間に挟んで重ね合わせ、加圧して
接合体を形成し、次いで該接合体を焼結して得ることを
特徴とする電解コンデンサ用陽極素子を提供する。この
前記電解コンデンサ用陽極素子において、前記成形体
は、弁作用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合し
て得られる金属粉末分散液を、基体上に塗布し、あるい
は印刷して塗布物あるいは印刷物とし、該基体より塗布
層あるいは印刷層を剥離して形成することが好ましい。
また、本発明は、前記電解コンデンサ用陽極素子を含む
ことを特徴とする電解コンデンサを提供する。また、本
発明は、弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有するシ
ート状あるいは薄片状成形体を、少なくとも一部を扁平
にした弁作用金属からなるリード線の該扁平部分を間に
挟んで重ね合わせ、加圧して接合体を形成し、次いで該
接合体を焼結する工程を含むことを特徴とする電解コン
デンサ用陽極素子の製造方法を提供する。この電解コン
デンサ用陽極素子の製造方法において、前記成形体は、
弁作用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合して得
られる金属粉末分散液を、基体上に塗布し、あるいは印
刷して塗布物あるいは印刷物とし、該基体より塗布層あ
るいは印刷層を剥離して形成することが好ましい。
【0010】本発明の電解コンデンサ用陽極素子は、少
なくとも一部を扁平にした弁作用金属からなるリード線
と、該リード線の扁平部分を層間に挟んだ積層構造をな
して該リード線を固定している弁作用金属の多孔質焼結
体片とを有する構成としたので、従来の電解コンデンサ
製造プロセスでは高い生産性での製造が困難だった極め
て薄い、例えば厚さ0.6mm以下の、特に厚さ0.4
mm以下の高性能な電解コンデンサを提供することがで
きる。これによって等価直列抵抗を下げることができ、
良好な高周波特性を得ることができる。また本発明の電
解コンデンサ用陽極素子は、弁作用金属粉末とバインダ
ー樹脂を含有するシート状あるいは薄片状成形体を、少
なくとも一部を扁平にした弁作用金属からなるリード線
の該扁平部分を間に挟んで重ね合わせ、加圧して接合体
を形成し、次いで該接合体を焼結して得るものなので、
扁平リード線を挟んで前記シートを重ね合わせて作製さ
れる接合体は、扁平リード線とシートとの密着性が良好
となり、製造が容易となる。さらに、この接合体を焼結
して得られる電解コンデンサ用陽極素子は、弁作用金属
粉末焼結体中に扁平リード線の扁平部分が埋入された構
造であるため、焼結体と扁平リード線との接合強度が高
く、リード線の抜出が生じないとともに、リード線と焼
結体との電気的接続状態が良好となり、電気特性の良い
電解コンデンサを得ることができる。また、本発明の電
解コンデンサ用陽極素子は、弁作用金属粉末焼結体中に
扁平リード線の扁平部分が埋入された構造であるため、
円形断面のリード線を用いたものよりも外圧に対する安
定性に優れ、特にリード線埋入部分に生じ易かった割れ
やクラックの発生を防ぐことができる。また、本発明に
よれば、扁平リード線を用い、これをシート間に挟んで
焼結し、陽極素子を形成するので、焼結体やシートにリ
ード線埋設用の切欠や溝を形成しなくても、扁平リード
線が焼結体の所定位置に正確に埋設された陽極素子を形
成できるので、焼結体やシートにリード線埋設用の切欠
や溝を形成する余分な工程を省くことができる。また、
焼結前のシートにリード線埋設用の切欠や溝を形成する
必要が無いので、切欠や溝に沿ったシートの切れを生じ
ることがなく、極めて薄い均一なシートの形成が可能と
なり、より一層薄形の陽極素子の製造が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ用陽極素
子の一つの形態は、少なくとも一部を扁平にした弁作用
金属からなるリード線(扁平リード線)と、該リード線
の扁平部分を層間に挟んだ積層構造をなして該リード線
を固定している弁作用金属の多孔質焼結体片とを有す
る。本発明の電解コンデンサ用陽極素子の更なる形態
は、弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有するシート
状あるいは薄片状成形体を、少なくとも一部を扁平にし
た弁作用金属からなるリード線の該扁平部分を間に挟ん
で重ね合わせ、加圧して接合体を形成し、次いで該接合
体を焼結して得られる構造を有する。
【0012】前記多孔質焼結体および扁平リード線を構
成する金属には、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チ
タンなどの弁作用金属が用いられる。これらの弁作用金
属の中でも、タンタル、ニオブが好適であり、特に好ま
しくはタンタルが用いられる。
【0013】前記扁平リード線は、弁作用金属、好まし
くはタンタルからなり、少なくとも陽極素子への埋入す
る部分もしくは全体が扁平に形成されている。この扁平
リード線は、タンタル線の少なくとも一部を加圧成形し
て扁平化することで作製される。扁平リード線の扁平部
分の厚さと幅は、製造する陽極素子の厚み、リード線強
度などを勘案して適宜設定し得るが、好ましくは成形体
の厚さの5〜50%の厚さに扁平化することが好まし
く、10〜35%の厚さに扁平化することがより好まし
い。リード線が円形であると、リード線が埋入する部分
にクラックが生じ易い。リード線の扁平化加工には、ロ
ール加工法や加圧加工法等を用いることが出来る。ま
た、リード線の、多孔質焼結体片又は前記成形体に挟ま
れた部分の長さ方向の長さと、多孔質焼結体片又は前記
成形体の、リード線の長さ方向の長さとの比(成形体内
に埋入するリード線の長さと、成形体の長さとの比。以
下、「埋設深さ比」という)は、0.35〜0.95が
好ましく、0.45〜0.9であることが特に好まし
い。埋設深さ比が0.35〜0.95、特に0.45〜
0.9であれば、リード線と多孔質焼結体片又は成形体
との接触面積が十分大きくなるため、等価直列抵抗が減
少し、高周波特性が向上する。また、埋設深さ比が上記
範囲であれば、リード線と陽極素子との間に応力集中が
生じ難くなるため、化成処理を行って形成した被膜が、
破れ難くなり、その結果漏れ電流を低下させることがで
きる。またリード線の成形体の扁平部分は成形体を超え
て、その外側にまで続いていることが好ましい。このよ
うに扁平部分を設定することにより、陽極素子を作製し
た時に、扁平部分が焼結体の内側のみならず外側にまで
連続した構造となる。このためリード線の柔軟性が増
し、リード線にかかる力を吸収するため、リード線と焼
結体との接合部分にかかる応力が小さくなり、タンタル
金属粉の表面に形成された被膜が破壊されることがな
い。なお、扁平部分を断続的に形成したり、扁平部分の
扁平化率を長手方向で変化させること、或いは扁平面の
角度を変えた部分を形成しても良い。
【0014】前記多孔質焼結体は、前記弁作用金属粉末
とバインダー樹脂からなる薄片状の成形体を焼結するこ
とにより、樹脂の燃焼による空孔の形成と、金属粉末同
士の融着によって得られるものである。扁平リード線
は、該多孔質焼結体の形成時、該リード線の扁平部分と
接する金属粉末との融着によって多孔質焼結体に強固に
接合されている。
【0015】焼結に用いる前記成形体は、樹脂とタンタ
ル金属粉末を金型に投入して加圧加工して作製すること
もできるが、タンタル金属粉末、バインダー樹脂、溶
剤、及び必要に応じて添加剤を混合して金属粉末分散液
を作製し、該分散液を用いた塗布、印刷、押し出し成形
などの各種成形方法を用いる方が、薄膜化するときの成
型自由度が高く、量産化が容易で好ましい。特に塗布、
印刷による方法は、薄片状、シート状の成形体を作製し
易く、本発明の電解コンデンサ用陽極素子を作製するた
めに好適に使用できる。本発明の電解コンデンサ用陽極
素子の製造方法においては、薄片状の成形体に扁平リー
ドを挟み込んでも良いし、シート状の成形体に複数の扁
平リードを挟み込んでから、これを分割しても良い。
【0016】本発明による電解コンデンサ用陽極素子の
製造方法は、 ・弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有する、薄片状
あるいはシート状の成形体と扁平リード線とを用いるこ
と、および ・扁平リード線を挟んで前記シートあるいは薄片を重畳
して接合体とし、これを焼結して電解コンデンサ用陽極
素子を得ること、を主な特徴部分としている。さらによ
り好ましい製造方法としては、上記特徴に加え、 ・弁作用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合して
得られる金属粉末分散液を用いて、塗布もしくは印刷に
よってシート状あるいは薄片状成形体を得ることを特徴
としている。
【0017】本発明の製造方法で使用するバインダー樹
脂としては、溶剤可溶性バインダー樹脂を用いることが
できる。好適なバインダー樹脂としては、例えば、ポリ
ビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブ
チラール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹
脂、酢酸ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂、ポリ
酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキ
ド樹脂、ニトロセルロ―ス樹脂、天然樹脂などが挙げら
れる。これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混
合して利用することができる。このうち、アクリル樹脂
は、真空中でのバインダー処理の際に、完全に分解し、
カーボンとして残留することないので、アクリル樹脂を
用いれば、漏れ電流の増加を防止することができ、特に
好ましい。上記樹脂のガラス転移点は、50℃以下が好
ましく、室温以下が特に好ましい。50℃以下であれ
ば、これらの樹脂によって印刷によってシート状あるい
は薄片成形体を得るときに塗膜に可とう性をもたせるこ
とができ、リード線の接合時に塗膜にクラックが生じに
くい、また後工程での作業性に好適である。前記バイン
ダー樹脂の使用量は、タンタル金属粉末100質量部あ
たり0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.01
〜15質量部の範囲が特に好ましい。
【0018】本発明の製造方法の実施形態の中でも、特
に塗布、印刷によって成形体を作製する方法は、薄片
状、シート状の成形体を作製し易く、本発明の電解コン
デンサ用陽極素子を作製するために好適に使用できる。
【0019】以下の実施の形態及び実施例においては、
本発明の一例として、本発明をタンタル電解コンデンサ
用陽極素子及びその製造方法に適用し、とくに該製造方
法が塗布、印刷によってシート状あるいは薄片状成形体
を形成する工程を含む場合を例示する。以下図面を参照
して、塗布、印刷による方法で成形体を作製する場合の
製造方法を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明に
よる電解コンデンサ用陽極素子の製造方法の一形態を説
明するための図である。
【0020】タンタル電解コンデンサの焼結体製造用に
用いるタンタル金属粉末の純度は、99.5%以上のも
のが好ましく、またその一次粒子径は0.01〜5.0
μmであることが好ましく、特に0.01〜1.0μm
であることが好ましい。
【0021】まず、前述したタンタル金属粉末、バイン
ダー、さらに溶剤、及び必要に応じて添加剤を混合、分
散し、好ましくは塗料様の金属粉末分散液を作製する。
タンタル金属粉末、バインダー樹脂としては前記のもの
が使用できる。
【0022】使用する溶剤としては、水、あるいはメタ
ノール、IPA、ジエチレングリコ―ル等のアルコール
類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メ
チルエチルケトン、イソホロン等のケトン類、N,N−
ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル等のエ
ステル類、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチル等の
塩素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独で又は2種類以上混合して用いて
も良い。溶剤の使用量は、金属粉末分散液を適当な基体
表面に塗布或いは印刷する工程がスムーズに実行できる
程度に設定される。
【0023】また、使用する金属粉末分散液には、前記
金属粉末、バインダー及び溶剤の他に、該金属粉末分散
液を適当な基体表面に塗布或いは印刷するために好適な
物性とし、金属粉末の分散を安定に保つために適当な各
種添加剤を配合することができる。好適な添加剤として
は、例えばフタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エ
ステル等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸点ア
ルコール、シリコーン系或いは非シリコーン系等の消泡
剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ソ
ルスパーズ、4級アンモニウム塩等の分散剤など必要に
応じて適宜使用しても良い。これらの分散剤の使用量
は、タンタル金属粉末100重量部当たり0.01〜
5.0重量部の範囲が好ましい。
【0024】タンタル金属粉末、溶剤、溶剤可溶性バイ
ンダー樹脂、および適宜使用しても良い分散剤は、すべ
て同時に、またはそれぞれ順次投入して、各種の混練・
分散機を用いて分散することで、適当な基体表面に塗布
或いは印刷することが容易なタンタル金属粉末分散液を
作製することができる。混練・分散にあたっては、撹拌
機、二本ロール、三本ロール等のロール型混練機、縦型
ニーダー、加圧ニーダー、プラネタリーミキサー等の羽
根型混練機、ボ―ル型回転ミル、サンドミル、アトライ
ター等の分散機、超音波分散機、ナノマイザー等が使用
できる。
【0025】次いで、この金属分散液を適当な基体上に
塗布しあるいは印刷してシート(塗布物あるいは印刷
物)を形成する。金属分散液を適当な基体上に塗布しあ
るいは印刷した後、乾燥することによって、基体上に塗
布あるいは印刷された金属分散液中の溶剤が揮散し、基
体上には金属粉末とバインダー(溶剤が残っていても良
い)からなる薄いシートが残る。前記基体としては、金
属分散液、特に溶剤に対して安定なガラスや合成樹脂シ
ートを用いることができ、好ましくは剥離層を設けたポ
リエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)
が用いられる。
【0026】塗料用に調製した前記金属粉末分散液は、
種々の塗布方法によりシートとして形成することができ
る。例えば、公知のロール塗布方法等、具体的には、エ
アードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、
押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
―ロールコート、グラビアコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート等により基体上にシートを形
成することができる。
【0027】また、各種印刷方法を適用することも可能
である。具体的には、孔版印刷法、凹版印刷法、平版印
刷法などを用いて基体上に所定の大きさに塗布物を印刷
することができる。特に、孔版印刷方法は、タンタル電
解コンデンサ用陽極素子の形状を所望の形状、例えば直
方体状の形状、円柱状の形状、或いは櫛の歯形状のよう
に、種々の形状に形成することができるので好ましい。
また、シートの厚さは、タンタル電解コンデンサとして
要求される所望の静電容量により適宜設定することが可
能であり、乾燥前の塗布物(印刷物)の厚さ(湿時厚
さ)は数μm〜300μmの範囲とし得る。
【0028】次いで、前記基体上からシートを剥離し、
図1に示すように、このシート2上に扁平リード線3の
扁平部分3aを置き、更に別なシート4を重ね合わせ、
必要に応じて適当な加圧処理を施して2枚のシート2,
4と扁平リード線3とを密着させることによって、接合
体5を形成する。なお、一枚の幅広シートを半分に折り
曲げ、その間に扁平リード線3を挟み込んで接合体を形
成しても良い。なお、重ね合わせるシートの面は、基体
より剥離した塗布面又は印刷面とは反対側の面であり、
該面を内側にして貼り合わせることが好ましい。これに
より、リード線との面接触状態がさらによくなり、漏れ
電流を低下させることができる。なお、基体より剥離し
た塗布面又は印刷面とは反対側の面(外側)を合わせた
貼り合わせがよい理由は、必ずしも明確ではないが、樹
脂含量が多い剥離面を内側にすると、樹脂に起因する焼
結時の焼結残留物が端子との接点付近に存在することに
なり、電荷のリークを起こしやすいからではないか、と
考えられる。剥離面の樹脂含有量が多くなる理由は、塗
料塗布後に樹脂分が基体フィルムの側へと沈降しやすい
ためと考えられる。
【0029】次いで、このようにして得られた接合体5
を、例えば、約60℃で約60〜120分乾燥し、次い
で真空中で約300〜600℃の熱処理工程によって有
機物質(バインダー)の除去を行い、さらに約10〜3
0分間、約1200〜1600℃の高温加熱処理(焼
結)を行って有機物質の除去を行うと共に、タンタル金
属粉末同士およびタンタル金属粉末と扁平リード線3と
を融着させることにより、図2に示す通り、薄形直方体
形状のタンタル多孔質焼結体6内に、扁平リード線3の
扁平部分3aが埋入された構造のタンタル電解コンデン
サ用陽極素子7が得られる。このようにして得られたタ
ンタル電解コンデンサ用陽極素子7は、均一なタンタル
多孔質焼結体6と扁平リード線3とが強固に接合された
状態となる。
【0030】得られたタンタル電解コンデンサ用陽極素
子7を用いて、タンタル電解コンデンサを製造するに
は、該陽極素子7を電解液槽に入れ、該陽極素子7に所
定の直流電圧を加えて化成処理を施すことにより、該陽
極素子7の表面に酸化タンタル皮膜を形成させる。そし
て、酸化皮膜の形成後、さらにその上に二酸化マンガン
被膜又は、機能性高分子被膜の固体電解質を形成する。
【0031】前述のようにして得られた酸化タンタル皮
膜・二酸化マンガン被膜又は機能性高分子被膜を形成し
たコンデンサ用陽極素子11は、必要であればカーボン
(グラファイト)層、銀ペースト層を形成し、例えば図
3に示すように、コンデンサ素子11の表面に陰極端子
12の一端側を半田14で接合するとともに、扁平リ―
ド線3の先端部分を陽極端子13にスポット溶接(溶接
部を符号15で示す)によって接合した後、例えば樹脂
成形加工により、あるいは、樹脂溶液中に浸漬させて形
成させるなどして樹脂外装16を施し、タンタル電解コ
ンデンサ10とする。
【0032】
【実施例】以下、実施例を記すが、この実施例は、本発
明の一例を具体的に示す単なる例示に過ぎず、本発明は
この実施例に限定されるものではない。
【0033】実施例1 平均1次粒子径0.5μm、静電容量が80000CV
/gのタンタル金属粉100g、バインダー樹脂として
アクリル樹脂「BR−88」(三菱レーヨン(株)製、
ガラス転移点=105℃)5g、トルエンとシクロヘキ
サノンの混合溶液35g、および3mm径のスチールボ
ール100gを100ccのポリ瓶に入れて混合し、振
とう機(ペイントコンディショナー)を用いて1時間分
散して、タンタル金属粉末分散液を得た。
【0034】次に、厚さ150μmのプラスチックシー
トに3.6mm×4.4mmの長方形状の開口部を多数
設けて作製した印刷マスクをPETフィルムの上に重
ね、印刷マスク上にタンタル金属粉末分散液をのせて均
一にのばした。これにより印刷マスクの前記所定寸法の
孔版部分に該分散液が充填される。その後印刷マスクを
取り除き、60℃の熱風下で乾燥処理を行って、薄片状
成型体をPETフィルムより剥離した。
【0035】リード線としては、全長13mmの扁平リ
ード線で厚さ30μm、幅0.3mmのものを使用し
た。次に、図1に示すように、前述した通り作製したシ
ート2上に、埋設深さを3.0mm(埋設深さ比66
%)に設定して前記扁平リード線3の扁平部分3aを載
せ、更に別なシート4を重ね合わせ、加圧成形して2枚
のシート2,4を密着させ、図1に示す接合体5を作製
した。2枚のシート2,4と扁平リード線3との密着状
態は良好であった。なお、シート2とシート4は、基体
より剥離した印刷面とは反対側の面(外側)を貼り合わ
せた。これによって加圧後、厚さ0.2〜0.3mmの
成形体が形成される。
【0036】次に、接合体5を6.6×10-3Pa(5
×10-5torr)の真空中で350℃に昇温して90
分間加熱処理し、有機物質(バインダー)の分解・除去
を行い、さらに1300℃、20分間の焼結処理を行っ
て、図2に示すように、薄形直方体形状のタンタル多孔
質焼結体6内に、扁平リード線3の扁平部分3aが埋入
された構造のタンタル電解コンデンサ用陽極素子7を得
た。
【0037】この陽極素子を、燐酸溶液中で直流電圧2
0Vを印加して陽極化成を行い、その電気特性をEIA
J RC−2361Aに従って測定し、性能を調べた。
【0038】実施例2 バインダー樹脂のガラス転移点が−10℃であるアクリ
ル樹脂「NCB−166」(大日本インキ化学工業
(株)製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
接合体5を作成し、タンタル電解コンデンサ陽極素子を
作製し、電気特性を測定した。この陽極素子の外観写真
を図4の(a)、(b)に示した。
【0039】実施例3 リード線の埋設深さを3.9mmとした以外は実施例2
と同様にして、接合体5を作成し、タンタル電解コンデ
ンサ陽極素子を作製し、電気特性を測定した。
【0040】実施例4 リード線の埋設深さを2.2mmとした以外は実施例2
と同様にして、接合体5を作成し、タンタル電解コンデ
ンサ陽極素子を作製し、電気特性を測定した。
【0041】実施例5 リード線の埋設深さを1.5mmとした以外は実施例2
と同様にして、接合体5を作成し、タンタル電解コンデ
ンサ陽極素子を作製し、電気特性を測定した。
【0042】実施例6 直径0.19mm、円形断面のタンタル線の一方をプレ
ス成形して、その扁平部分の厚さを60μmとし、かつ
リード線の埋入されていない部分は円形とした以外は実
施例2と同様にして、接合体5を作成し、タンタル電解
コンデンサ陽極素子を作製した。この陽極素子の外観写
真を図5の(a)、(b)に示した。
【0043】実施例7及び8 シートの貼り合わせ方向の比較 実施例7は、実施例2と同一条件(シートの外側を貼り
合わせる)でタンタル電解コンデンサ陽極素子を作製
し、電気特性を測定した。実施例8は、シートの内側
(剥離面側)を貼り合わせる以外は、実施例7と同様に
してタンタル電解コンデンサ陽極素子を作製し、電気特
性を測定した。なお、実施例7及び8のタンタル電解コ
ンデンサ用陽極素子の埋設深さ比は、いずれも66%で
あった。
【0044】比較例1 実施例1で用いたと同じタンタル粉末100gに、バイ
ンダとしてアクリル樹脂(BR−88)(三菱レーヨン
(株)製;ガラス転移点105℃)5gをトルエンに溶
解した溶媒を作成してタンタル粉末に噴霧して、撹拌混
合しながら乾燥して成形用試料とした。得られた成形用
試料を金型に充填し、扁平部分を形成しない円形断面の
タンタルリード線(直径0.15mm)を植立させなが
ら加圧成形した後、実施例1と同様の焼結条件により焼
結処理を行い、2.21mm×1.81mm、厚さ0.
6mmのタンタル電解コンデンサ用陽極素子を得た。こ
の素子に前記実施例に記したと同じ化成処理を施した
後、その電気特性を測定した。
【0045】比較例2 タンタル電解コンデンサ用陽極素子の薄型化をはかり、
その特性を上げるため、比較例1で用いたものよりさら
に薄い金型を用いる以外は比較例1と同様の方法で、
0.3mm厚の陽極素子の作製を試みたが、この場合に
は、金型内に調合粉末を充填することが困難となり、リ
ード線を金型の中央に植立させることもできず、作製す
ることができなかった。陽極素子の厚さが0.6mm以
下となると通常の製造ラインでは生産することが困難で
あることが判った。
【0046】比較例3 実施例1において使用した扁平リード線に代えて、扁平
部分を形成しない円形断面のタンタルリード線(直径
0.15mm)を用いた以外は実施例1と同様にして、
タンタル電解コンデンサ用陽極素子を作製した。円形断
面のリード線を用いると、2枚のシートの間にこのリー
ド線を挟んで、加圧成形すると、リード線が当たる部分
のシートが割れて、側面にリード線が露出してしまい、
良好な電解コンデンサ用陽極素子を作ることが困難であ
った。
【0047】比較例4 実施例1で用いたと同じタンタル粉末と、扁平リード線
とを用い、扁平リード線を用いた従来の陽極素子の製造
([0003]に記載の方法)を試みた。この場合には、
扁平リードを粉末中に挿入することが出来ず、成形が困
難であった。また、図6の(a)、(b)に示すよう
に、焼結時に、そり・変形が生じ、実用に耐えうるもの
ではなかった。
【0048】比較例5 バインダー樹脂のガラス転移点が−10℃であるアクリ
ル樹脂「NCB−166」(大日本インキ化学工業
(株)製)を用い、タンタルリード線の直径を0.19
mmとした以外は比較例3と同様にして、接合体5を作
成し、タンタル電解コンデンサ陽極素子を作製した。こ
の陽極素子の外観写真を図7の(a)、(b)に示し
た。比較例3より柔軟性のあるシートを用いたため、素
子は得られたが、成形体のリードの埋め込み付近をみる
と細かい亀裂がみられ、割れやすい傾向が観察された。
【0049】実施例1〜5、7、8及び比較例1でそれ
ぞれ作製したタンタル電解コンデンサについて測定した
電気特性について、実施例1、比較例1を表1に、実施
例2〜5を表2に、実施例7、実施例8を表3に、それ
ぞれまとめた。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表1〜3からわかるように、本発明による
実施例のタンタル電解コンデンサは、等価直列抵抗が低
く、良好な高周波特性が期待できる。一方円形リード線
を用いて金型を使用する従来の製造方法で製造した比較
例1においては、実施例1のように薄い固体電解コンデ
ンサ用陽極素子を製造することが困難であり、素子の厚
さが0.6mmのものしか作製できなかったため、実施
例1のような低い等価直列抵抗を示すものが製造できな
かった。また、円形リード線を用いてシートを重ね合わ
せて製造した比較例5は、成形体のリード埋め込み付近
には細かい亀裂がみられ、漏れ電流や等価直列抵抗への
悪影響が懸念される。実施例2〜6は、実施例1と同様
の優れた特性を有していた。特に、埋設深さ比が大きく
なるほど、等価直列抵抗が低下し、優れた高周波特性が
得られた。なお、リード線の埋入されていない部分が円
形であるものは(実施例1、6)、扁平であるもの(実
施例2〜5)に比べて、埋入されていない部分を手で持
ったときの耐久性は強かった。実施例7と8を比較する
と、実施例8の方が漏れ電流が小さく、外側を貼り合わ
せる方が内側を貼り合わせるよりも電気特性が優れてい
ることが確認された。
【0054】図4〜7及び表1〜3から以下のことが明
らかとなった。 リード線の埋設深さ比が大きくなれば、等価直列抵抗
が低下し、高周波特性が向上する。最適条件は35〜9
0%である。 柔軟性のあるシートを利用すれば、円形リード線を用
いても、貼り合わせができるが、円形リード線ではクラ
ックが入り、直列抵抗の増加が懸念される。
【0055】
【発明の効果】本発明の電解コンデンサ用陽極素子は、
少なくとも一部を扁平にした弁作用金属からなるリード
線と、該リード線の扁平部分を層間に挟んだ積層構造を
なして該リード線を固定している弁作用金属の多孔質焼
結体片とを有する構成としたので、従来の電解コンデン
サ製造プロセスでは高い生産性での製造が困難だった極
めて薄い、例えば厚さ0.6mm以下の、特に厚さ0.
4mm以下の高性能な電解コンデンサを提供することが
できる。このように、厚さを薄くし、またリード線を扁
平にして陽極素子との接触状態をよくし、接触面積を大
きくすることにより、等価直列抵抗を下げることがで
き、良好な高周波特性を得ることができる。また本発明
の電解コンデンサ用陽極素子は、弁作用金属粉末とバイ
ンダー樹脂を含有するシート状あるいは薄片状成形体
を、少なくとも一部を扁平にした弁作用金属からなるリ
ード線の該扁平部分を間に挟んで重ね合わせ、加圧して
接合体を形成し、次いで該接合体を焼結して得るものな
ので、扁平リード線を挟んで前記シートを重ね合わせて
作製される接合体は、扁平リード線とシートとの密着性
が良好となり、製造が容易となる。また、基体から剥離
した塗布面又は印刷面とは反対側の面を重ね合わせれ
ば、リード線との接触状態がさらによくなり、等価直列
抵抗を低下させることができる。さらに、この接合体を
焼結して得られる電解コンデンサ用陽極素子は、弁作用
金属粉末焼結体中に扁平リード線の扁平部分が埋入され
た構造であるため、焼結体と扁平リード線との接合強度
が高く、リード線の抜出が生じないとともに、リ―ド線
と焼結体との電気的接続状態が良好となり、LC特性の
良い電解コンデンサを得ることができる。また、本発明
の電解コンデンサ用陽極素子は、弁作用金属粉末焼結体
中に扁平リード線の扁平部分が埋入された構造であるた
め、円形断面のリード線を用いたものよりも外圧に対す
る安定性に優れ、特にリード線埋入部分に生じ易かった
割れやクラックの発生を防ぐことができる。また、本発
明によれば、扁平リード線を用い、これをシート間に挟
んで焼結し、陽極素子を形成するので、焼結体やシート
にリード線埋設用の切欠や溝を形成しなくても、扁平リ
ード線が焼結体の所定位置に正確に埋設された陽極素子
を形成できるので、焼結体やシートにリード線埋設用の
切欠や溝を形成する余分な工程を省くことができる。ま
た、焼結前のシートにリード線埋設用の切欠や溝を形成
する必要が無いので、切欠や溝に沿ったシートの切れを
生じることがなく、極めて薄い均一なシートの形成が可
能となり、より一層薄形の陽極素子の製造が可能とな
る。また、埋設深さ比を0.05〜0.95とすること
により、等価直列抵抗及び漏れ電流を減少させることが
できる。また、バインダー樹脂のガラス転移温度を50
℃以下とすることにより、後工程での作業性を良好にす
ることができる。また、バインダー樹脂としてアクリル
樹脂を用いれば、真空中での脱バインダー処理のとき完
全に分解するため、漏れ電流の増加を防止することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電解コンデンサ用陽極素子の製
造方法の一例を説明するための図であり、扁平リード線
を2枚のシート間に挟んで得られる接合体の斜視図であ
る。
【図2】 接合体を焼結して得られる電解コンデンサ用
陽極素子の斜視図である。
【図3】 本発明に係る電解コンデンサを例示する概略
図である。
【図4】 実施例2の電解コンデンサ用陽極素子の外観
を示す写真である。
【図5】 実施例6の電解コンデンサ用陽極素子の外観
を示す写真である。
【図6】 比較例4の電解コンデンサ用陽極素子の外観
を示す写真である。
【図7】 比較例5の電解コンデンサ用陽極素子の外観
を示す写真である。
【符号の説明】
2,4 シート(塗布物あるいは印刷物) 3 扁平リード線 3a 扁平部分 5 接合体 6 タンタル多孔質焼結体 7 タンタル電解コンデンサ用陽極素子 10 タンタル電解コンデンサ 11 コンデンサ素子 12 陰極端子 13 陽極端子 14 半田 15 溶接部 16 樹脂外装
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森山 稔 東京都東村山市久米川町5−30−1 株式 会社高純度物質研究所内 (72)発明者 宮本 昭子 東京都東村山市久米川町5−30−1 株式 会社高純度物質研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部を扁平にした弁作用金属
    からなるリード線と、該リード線の扁平部分を層間に挟
    んだ積層構造をなして該リード線を固定している弁作用
    金属の多孔質焼結体片とを有する電解コンデンサ用陽極
    素子。
  2. 【請求項2】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
    するシート状あるいは薄片状成形体を、少なくとも一部
    を扁平にした弁作用金属からなるリード線の該扁平部分
    を間に挟んで重ね合わせ、加圧して接合体を形成し、次
    いで該接合体を焼結して得ることを特徴とする電解コン
    デンサ用陽極素子。
  3. 【請求項3】 前記成形体が、弁作用金属粉末とバイン
    ダー樹脂と溶剤とを混合して得られる金属粉末分散液
    を、基体上に塗布し、あるいは印刷して塗布物あるいは
    印刷物とし、該基体より塗布層あるいは印刷層を剥離し
    て形成されることを特徴とする請求項2記載の電解コン
    デンサ用陽極素子。
  4. 【請求項4】 前記リード線の、前記多孔質焼結体片又
    は前記成形体に挟まれた部分の長さ方向の長さと、前記
    多孔質焼結体片又は前記成形体の、前記リード線の長さ
    方向の長さとの比が、0.35〜0.95あることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コン
    デンサ用陽極素子。
  5. 【請求項5】 前記バインダー樹脂のガラス転移温度
    が、50℃以下であることを特徴とする請求項2〜4の
    いずれか1項に記載の電解コンデンサ用陽極素子。
  6. 【請求項6】 前記バインダー樹脂が、アクリル樹脂で
    あることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記
    載の電解コンデンサ用陽極素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の電
    解コンデンサ用陽極素子を含むことを特徴とする電解コ
    ンデンサ。
  8. 【請求項8】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
    するシート状あるいは薄片状成形体を、少なくとも一部
    を扁平にした弁作用金属からなるリード線の該扁平部分
    を間に挟んで重ね合わせ、加圧して接合体を形成し、次
    いで該接合体を焼結する工程を含むことを特徴とする電
    解コンデンサ用陽極素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成形体が、弁作用金属粉末とバイン
    ダー樹脂と溶剤とを混合して得られる金属粉末分散液
    を、基体上に塗布し、あるいは印刷して塗布物あるいは
    印刷物とし、該基体より塗布層あるいは印刷層を剥離し
    て形成されることを特徴とする請求項8記載の電解コン
    デンサ用陽極素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記基体より剥離した前記塗布面又は
    前記印刷面とは反対側の面を内側にして、前記リード線
    の扁平部分を間に挟んで重ね合わせることを特徴とする
    請求項9に記載の電解コンデンサ用陽極素子の製造方
    法。
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