JP2002246275A - 電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用いた電解コンデンサ並びに電解コンデンサ用陽極素子の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用いた電解コンデンサ並びに電解コンデンサ用陽極素子の製造方法

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JP2002246275A JP2001038536A JP2001038536A JP2002246275A JP 2002246275 A JP2002246275 A JP 2002246275A JP 2001038536 A JP2001038536 A JP 2001038536A JP 2001038536 A JP2001038536 A JP 2001038536A JP 2002246275 A JP2002246275 A JP 2002246275A
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lead wire
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Wataru Suenaga
渉 末永
Minoru Moriyama
稔 森山
Akiko Miyamoto
昭子 宮本
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Kojundo Kagaku Kenkyusho KK
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    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術では製造が困難であった薄形で高性
能な電解コンデンサ用陽極素子とそれを用いた電解コン
デンサ、およびその製造方法の提供。 【解決手段】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
する帯状成形体1,8からなる上下層間に、弁作用金属
からなるリード線5を一定間隔毎に挟み込んで積層体9
Aとし、次いで該積層体を切断して成形体素子10Aと
し、次いで該成形体素子を焼結して電解コンデンサ用陽
極素子11Aを作製する電解コンデンサ用陽極素子、そ
れを用いた電解コンデンサ、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンタル等の弁作
用金属を用いた電解コンデンサ用陽極素子及びこれを用
いた電解コンデンサ、並びに電解コンデンサ用陽極素子
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、表面実装デバイスの小型化技術が
飛躍的に進歩し、携帯電話、パソコン、デジタルカメラ
など、電子機器における部品基体への実装技術が高密度
化している。こうした中、電子部品であるコンデンサ素
子においても、その小型化、高容量化の要求に対して、
種々研究がなされている。現在一般に使用されているコ
ンデンサ素子としては、積層セラミックコンデンサ、ア
ルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ等がその
主流となっているが、特に小型大容量化が可能である特
長を有するタンタル電解コンデンサについて、盛んに研
究がなされている。タンタル金属と同じような特長を有
する材料としては、いわゆる弁作用金属として、アルミ
ニウム、ニオブ、チタン等の金属類の材料があげられる
が、耐熱性、誘電体皮膜形成性の点において、タンタル
金属は高い需要を得ている。
【0003】前記の弁作用金属粉末、例えばタンタルを
用いた電解コンデンサの製造方法としては、通常、陽極
金属としてタンタルを使用し、バインダーとしての役割
を担う樹脂とタンタル金属粉末とを金型に投入し、これ
らをプレス加工してチップ化した素子を作製する。この
ときタンタル金属粉末の粒子径、充填密度にばらつきが
生じると、得られるコンデンサの電気特性に影響を及ぼ
すことになるため、上記材料の充填、加圧条件等は厳重
に管理しなければならない。このように作製されたチッ
プ化素子には、陽極端子となる部品(通常はタンタルリ
ード線)を設ける。このリード線は通常、金型内に植立
されてタンタル金属粉末を加圧成型することにより固定
される。上記工程により得られた素子は、真空中におい
て高温加熱処理することにより、素子中の不要な樹脂を
蒸発除去する工程を経る。この工程により、タンタル金
属粉末間に存在していた樹脂が蒸発除去され、かつ、タ
ンタル金属粉末同士の接触点における融着により、多孔
質体の形態をなすタンタル電解コンデンサ用陽極素子が
得られる。このようにして得られたタンタル電解コンデ
ンサ用陽極素子を電解液槽中に入れ、所定の直流電圧を
加えて化成処理を行ってタンタル金属粉末表面に酸化タ
ンタル皮膜を形成させた後、該皮膜の上に二酸化マンガ
ン又は、機能性高分子の固体電解質皮膜を形成させる。
この後、さらにカーボン、銀ペースト陰極層処理を施し
て樹脂外装して、最終的なタンタル電解コンデンサを得
る。
【0004】これとは別の固体電解コンデンサ用電極部
材の製造方法が、特開2000−306782号公報に
開示されている。この従来技術は、弁作用金属粉末をバ
インダ及び溶剤に分散してスラリー化し、これをタンタ
ル箔の少なくとも片面に塗布した後、焼結して電極層を
形成したシート状の電極部材と、このシート状の電極部
材を2枚以上積層した積層電極体を用い、固体電解コン
デンサとするものである。そして、この方法によれば:
シート状の電極部材1枚で複数の電極が面方向に得ら
れ、多くの電極部材を容易に製造することが可能にな
る;シート状の電極部材は従来の成形体の電極部材と比
較して厚みが薄いため、焼結後に残る空孔に形成される
固体電解質の導電パスが短くでき、容量引き出し率を低
下させずに高CV粉末が使用可能なため、大容量化が実
現できる;このシート状の電極部材を積層することによ
り固体電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)を大幅
に低減することができ、大容量化との両立が実現でき
る;という効果が得られることが記載されている。
【0005】前記特開2000−306782号公報に
記載された方法では、弁作用金属粉末とバインダーとを
含むシート状の電極材料を用いているが、シート状成形
体を作製する別な技術は種々知られている。特開平5−
43304号公報には、セラミック粉末又は金属粉末に
ポリアルキレンカーボネート(バインダー)が配合され
てなる成形体製造用組成物を、射出成形機又は押出成形
機で所望形状に成形し、次いで得られた成形体を加熱し
て脱バインダー、焼結を行う成形体の製造方法が開示さ
れている。特開平6−15801号公報には、導電ペー
ストを注入して回路パターンをグリーンシート上に押し
出し、バイアを生成後、複数のパターン化グリーンシー
トを積層して加圧、焼結する多層セラミックの相互接続
構造体の製造方法が開示されている。特開平6−190
845号公報には、粉体を分散媒に分散泥漿化したスラ
リーを、スリット上の吐出口を有するチャンバー内に、
0.1MPa以下の圧力で圧送して吐出口からキャリア
フィルム上に塗布し、分散媒を除去することを特徴とす
るシートの製造方法が開示されている。特開平8−30
2402号公報には、樹脂材と高透磁率特性を有した金
属粉末とを混練し、得られた成形材料を混練押出成形機
により板状などの所望形状に成形する高透磁率成形体の
製造方法が開示されている。特開平11−71188号
公報には、セラミック粉末、無機バインダー及びアクリ
ル酸系の高吸水性樹脂を混合し、得られた混合物を押出
成形して成形体となし、その後、該成形体を加熱焼成す
ることを特徴とする多孔質体の製造方法が記載されてい
る。特開平11−277522号公報には、溶媒、バイ
ンダおよびセラミックス粉末を含有するスラリーを得る
工程、前記スラリーから溶媒の一部が除去された押し出
し成形用高粘度組成物を得る工程、前記押し出し成形用
高粘度組成物を押し出し成形する成形工程とを有するセ
ラミックス押し出し成形体の製造方法が開示されてい
る。特開2000−119703号公報には、金属粉末
とバインダーとを含む組成物を押出成形機の押出ダイよ
り押し出して押出成形する工程と、得られた成形体に脱
脂処理を施す工程と、得られた脱脂体を焼結して焼結体
を製造する工程とを有する焼結体の製造方法であって、
前記押出成形において、前記押出ダイに押し出し方向に
沿って温度勾配を設けたことを特徴とする焼結体の製造
方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来技術のうち、バインダーとタンタル金属粉末とを
金型に投入し、これらをプレス加工してチップ化した素
子を作製する方法では、プレス加工用の金型にタンタル
金属粉末とバインダーとの混合粉末を充填し、そこにタ
ンタル製リード線を植設した後、プレス成形して成形体
を作製するため、生産性が悪かった。特に小型及び/又
は薄型のコンデンサ用陽極素子を製造する場合、金型内
に前記混合粉末が充填しにくくなり、混合粉末の充填量
にばらつきを生じ易く、小型化、薄型化するにしたがっ
て、生産性が一層悪くなるとともに製品歩留まりが悪化
し素子の薄膜化は困難であった。さらに、このような電
解コンデンサを小型大容量化するために、弁作用金属の
高CV粉末(一次粒径が小さく、実効表面積を拡大した
もの)の導入を図っており、このCV粉末を用いると成
形焼結後に残る空孔が小さくなるため、素子が厚いと固
体電解質溶液中に化成処理した素子を浸漬し、該液を素
子に含浸させる際、該液の含浸性が悪くなるため、電解
液中での静電容量に対する固体電解質での静電容量の比
で表される容量引き出し率も低くなる。
【0007】また特開2000−119703号公報に
記載の従来技術は、リード線に変えてタンタル箔を用い
たものであり、この従来技術をリード線が多孔質焼結体
片中に埋設固定された構造の電解コンデンサ用陽極素子
の製造に適用することは不可能である。さらに、この従
来技術では、タンタル箔等の弁作用金属箔上に形成され
た弁作用金属粉末製の電極層の周縁の三辺を弁作用金属
箔と共に打ち抜き、残り一辺を耐熱性のテープでマスキ
ングした後、陽極酸化を行って誘電体酸化皮膜層を形成
し、続いてこの誘電体酸化皮膜上に固体電解質層、陰極
層を順次積層形成した後、上記耐熱性のテープを剥離し
て電解コンデンサを作製するので、製造工程が多く且つ
繁雑であり、特に電極層の一辺を耐熱性のテープでマス
キングし、最終的にそれを剥離するなど余分な工程が必
要となるため、依然として生産性が悪かった。また、微
小なコンデンサを作製する場合、電極層の周縁の三辺を
弁作用金属箔と共に打ち抜き、残り一辺を耐熱性のテー
プでマスキングするなど、極めて精密な操作が要求さ
れ、焼結前の電極層が打ち抜き装置、或いは他の電極層
や箔に付着し易いため、電極層の損失や変形が発生し易
く、歩留まりが低かった。材料のタンタルは高価な金属
であるため、歩留まりが悪いと製造コストが著しく上昇
することになる。
【0008】また、シート状成形体を作製するための他
の従来技術を応用して、弁作用金属とバインダーを含む
シート状材料を製造することは可能であるが、リード線
が多孔質焼結体片中に埋設固定された構造の電解コンデ
ンサ用陽極素子を製造するためには、たとえシート状の
成形体が得られたとしても、リード線をどのようにシー
トに埋設固定するかという技術的な問題が残されてい
た。また、シート状成形体を作製し、所望形状に切断或
いは打ち抜き加工して使用する場合、ロスを生じ易いと
いう問題も残されていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高性能な電解
コンデンサ用陽極素子を高い生産性で製造可能な方法、
その方法で得られる電解コンデンサ用陽極素子およびそ
れを用いた電解コンデンサを提供することを目的として
いる。
【0010】前記目的を達成するために、本発明は、弁
作用金属粉末とバインダー樹脂を含有する帯状成形体か
らなる上下層間に、弁作用金属からなるリード線を一定
間隔毎に挟み込んで積層体とし、次いで該積層体を切断
して成形体素子とし、次いで該成形体素子を焼結するこ
とを特徴とする電解コンデンサ用陽極素子の製造方法を
提供する。この方法において、前記帯状成形体は、弁作
用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合して得られ
る金属粉末分散液を所定幅に押出して帯状に成形するこ
とができる。この方法において、前記積層体は、弁作用
金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合して得られる
金属粉末分散液を基体上に所定幅に押出して第1の帯状
成形体とし、次いで該第1の帯状成形体の上面に弁作用
金属からなるリード線を一定間隔毎に置き、次いで該第
1の帯状成形体の上面に前記金属粉末分散液を所定幅に
押出して帯状に形成して良い。また、前記積層体は、弁
作用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合して得ら
れる金属粉末分散液を基体上に所定幅の帯状に押出して
第1の帯状成形体とし、次いで該第1の帯状成形体から
基体を剥離し、該剥離面に弁作用金属からなるリード線
を一定間隔毎に置き、次いで該剥離面に前記金属粉末分
散液を所定幅の帯状に押出して形成して良い。さらに、
前記リード線は、長尺支持体にリード線の一部を一定間
隔毎に固定してなる櫛状体を、前記帯状成形体上に載せ
て前記積層体を形成し、その後各リード線毎に分離して
形成して良い。また、所定長さのリード線を、所定速度
で移動する前記帯状成形体上に所定間隔で供給しても良
い。また本発明は、弁作用金属からなるリード線と、該
リード線を層間に挟んだ積層構造をなして該リード線を
固定している弁作用金属の多孔質焼結体片とを有すると
共に、該多孔質焼結体片が、切断によって形成された端
面と、中央部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面を有
していることを特徴とする電解コンデンサ用陽極素子を
提供する。さらに本発明は、前述した製造方法により得
られた電解コンデンサ用陽極素子を提供する。また本発
明は、前述したいずれかの電解コンデンサ用陽極素子を
含む電解コンデンサを提供する。
【0011】本発明は、弁作用金属粉末とバインダー樹
脂を含有する帯状成形体からなる上下層間に、弁作用金
属からなるリード線を一定間隔毎に挟み込んで積層体と
し、次いで該積層体を切断して成形体素子とし、次いで
該成形体素子を焼結して電解コンデンサ用陽極素子を作
製することで、極めて高い生産性で陽極素子を製造する
ことができる。また、工程が簡素化でき、高い歩留まり
で陽極素子を生産することが可能である。さらに帯状成
形体及び積層体作製時に余分な切断部分をなくすことが
でき、原料の弁作用金属粉末のロスが生じることがな
い。従って、本発明によれば、電解コンデンサの製造コ
ストを大幅に低減することができる。また押出成形によ
り薄い帯状成形体が作製でき、従来の粉末を加圧成形す
る電解コンデンサ製造プロセスでは製造が困難だった極
めて薄い、例えば厚さ0.6mm以下の、特に厚さ0.
4mm以下の高性能な電解コンデンサを提供することが
できる。これによって等価直列抵抗(ESR)を下げる
ことができ、良好な高周波特性を得ることができる。従
って、高CV粉末を使っての大容量化、低ESR化を実
現することができる。また得られる陽極素子を固体電解
質溶液に浸漬する際、多孔質焼結体の外表面に加え、層
間の界面からの固体電解質溶液の浸透が生じ、該溶液を
十分に含浸させることができ、高い容量引き出し率を得
ることができる。また、本発明の電解コンデンサ用陽極
素子は、弁作用金属からなるリード線と、該リード線を
層間に挟んだ積層構造をなして該リード線を固定してい
る弁作用金属の多孔質焼結体片とを有すると共に、該多
孔質焼結体片が、切断によって形成された端面と、中央
部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面を有している構
造なので、小さい縁厚さを持った端面においては、固体
電解質層を形成する際に、角部が盛り上がってしまい、
コンデンサの寸法増加を招くなどの不具合を未然に防ぐ
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。本発明方法は、弁作用金属粉末とバ
インダー樹脂を含有する帯状成形体からなる上下層間
に、弁作用金属からなるリード線を一定間隔毎に挟み込
んで積層体とし、次いで該積層体を切断して成形体素子
とし、次いで該成形体素子を焼結して電解コンデンサ用
陽極素子を作製することを特徴とし、好ましくは次の工
程を備えている: (1)弁作用金属粉末とバインダー樹脂と溶剤とを混合
して金属粉末分散液を得る工程; (2)該金属粉末分散液を基体上に所定幅の帯状に押出
して第1の帯状成形体を形成する工程; (3)該第1の帯状成形体の上面或いは剥離面(基体を
剥離した面)に弁作用金属からなるリード線を一定間隔
毎に配置する工程; (4)リード線を配した第1の帯状成形体の上面或いは
剥離面に前記金属粉末分散液を所定幅の帯状に押出して
第2の帯状成形体を積層し、帯状の積層体を形成する工
程; (5)該積層体を切断して成形体素子とする工程; (6)成形体素子を焼結して電解コンデンサ用陽極素子
を得る工程。 なお、前記工程(1)〜(6)は本発明方法の好適な一
形態を示すに過ぎず、本発明方法はこれらの工程に限定
されるものではなく、適宜に変更が可能である。例え
ば、工程(4)と(5)もしくは(5)と(6)の間
に、成形体素子を加圧成形する工程を設けても良い。ま
た前記工程のうち、少なくとも工程(1)〜(5)は、
一定速度で移動するコンベア上で連続して実施すること
ができるが、バッチ式生産、或いは半連続式生産とする
こともできる。
【0013】前記弁作用金属粉末としては、タンタル、
アルミニウム、ニオブ、チタンなどの弁作用金属の粉末
を用いることができる。これらの弁作用金属の中でも、
タンタル、ニオブが好適であり、特に好ましくはタンタ
ルが用いられる。本形態による陽極素子の製造方法(以
下、本製造方法という)では、弁作用金属としてタンタ
ルを用いたタンタル電解コンデンサ用陽極素子の製造に
本発明を適用した場合を例として、以下の説明を行う。
【0014】工程(1):金属粉末分散液の調製 本製造方法では、まず、タンタル金属粉末、バインダ
ー、さらに溶剤、及び必要に応じて添加剤を混合、分散
し、好ましくは塗料様の金属粉末分散液を作製する。タ
ンタル電解コンデンサの焼結体に用いるタンタル金属粉
末の純度は、99.5%以上のものが好ましく、またそ
の平均粒径は0.01〜5.0μmであることが好まし
く、特に0.01〜1.0μmであることが好ましい。
【0015】本製造方法で使用するバインダー樹脂とし
ては、溶剤可溶性バインダー樹脂を用いることができ
る。好適なバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニ
ルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチラ
ール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、
酢酸ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸
ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、ニトロセルロース樹脂、天然樹脂などが挙げられ
る。これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合
して利用することができる。前記バインダー樹脂の使用
量は、タンタル金属粉末100質量部あたり0.01〜
30質量部の範囲が好ましく、0.01〜15質量部の
範囲が特に好ましい。
【0016】使用する溶剤としては、水、あるいはメタ
ノール、IPA、ジエチレングリコール等のアルコール
類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メ
チルエチルケトン、イソホロン等のケトン類、N,N−
ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル等のエ
ステル類、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチル等の
塩素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの溶剤は、単独で又は2種類以上混合して用いて
も良い。溶剤の使用量は、金属粉末分散液を適当な基体
表面に薄い帯状に押出成形し、帯状成形体を形成する工
程がスムーズに実行できる程度に設定される。
【0017】また、使用する金属粉末分散液には、前記
金属粉末、バインダー及び溶剤の他に、該金属粉末分散
液を適当な基体表面に押出成形するために好適な物性と
し、金属粉末の分散を安定に保つために適当な各種添加
剤を配合することができる。好適な添加剤としては、例
えばフタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エステル
等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸点アルコー
ル、シリコーン系或いは非シリコーン系等の消泡剤、シ
ランカップリング剤、チタンカップリング剤、ソルスパ
ーズ、4級アンモニウム塩等の分散剤など必要に応じて
適宜使用しても良い。これらの添加剤の使用量は、タン
タル金属粉末100質量部当たり0.001〜5.0質
量部の範囲が好ましい。
【0018】タンタル金属粉末、溶剤、溶剤可溶性バイ
ンダー樹脂、および適宜使用しても良い分散剤は、混練
・分散機能を内蔵した押出成形機に直接投入しても良い
し、押出成形機に投入する前に予め混練・分散機を用い
て予備分散させたものを押出成形機に投入しても良い。
混練・分散にあたっては、撹拌機、二本ロール、三本ロ
ール等のロール型混練機、縦型ニーダー、加圧ニーダ
ー、プラネタリーミキサー等の羽根型混練機、ボール型
回転ミル、サンドミル、アトライター等の分散機、超音
波分散機、ナノマイザー等が使用できる。
【0019】この金属粉末分散液の配合比率を例示すれ
ば、例えば、タンタル金属粉末100質量部に対して、
バインダーが0.01〜30質量部、好ましくは0.0
1〜15質量部、溶剤が5〜160質量部、添加剤が0
〜5質量部とされる。また押出成形機から押出される時
点での粘度は0.1〜1000Pa・sec、好ましく
は0.5〜100Pa・sec程度とされる。この金属
粉末分散液を押出成形するために好適な押出成形機は、
一般的なスクリュー押出成形機、シリンダ式押出成形
機、ダイ塗工機、コンマ塗工機、およびグラビア塗工機
などの周知の押出成形機を用いることができる。
【0020】工程(2):帯状成形体の作製 次に、図1及び2に示すように、一定速度で移動する基
体フィルム2の上方側に配した押出成形機3の吐出口4
から、金属粉末分散液を基体フィルム2上に連続的に押
し出し、長尺の薄い帯状成形体1を形成する。場合によ
っては乾燥して溶媒を揮発させる。基体としては、金属
分散液、特に溶剤に対して安定なガラス、金属薄板、あ
るいは合成樹脂シートを用いることができ、好ましくは
剥離層を設けたポリエチレンテレフタレートフィルム
(PETフィルム)あるいは平滑な金属薄板が用いられ
る。
【0021】この帯状成形体1の幅は、作製する陽極素
子の幅と一致させて良いし、必要があれば作製する陽極
素子の幅の2倍以上とし、後で長手方向に沿って折り曲
げるまたは切断することもできる。なお、帯状成形体1
は、溶媒の除去および焼結により縮小するので、帯状成
形体1の幅は、その縮小度合を勘案して設定すべきであ
る。また帯状成形体1の厚みは、タンタル電解コンデン
サとして要求される所望の静電容量により適宜設定する
ことが可能であり、乾燥前の厚み(湿時厚み)は数μm
〜300μmの範囲とし得る。帯状成形体1の幅および
厚みは、吐出口4の開口寸法を調整すること、或いは吐
出口4に取り付けるノズルの交換等によって容易に調節
することができる。金属粉末とバインダーからなる(溶
剤を含有していても良い)薄い帯状成形体1は、乾燥
後、図2に示すように半楕円形の断面形状として得られ
る。
【0022】工程(3)−A:リード線配置(上面側) 次に、帯状成形体1の上面に、弁作用金属からなるリー
ド線5を一定間隔毎に配置する。帯状成形体1の剥離面
側にリード線を配置する場合は、別な形態として後述す
ることとし、ここでは図3に示すように帯状成形体1の
上面側にリード線5を一定間隔毎に配置する場合を例示
する。
【0023】前記リード線5は、弁作用金属、好ましく
はタンタルからなり、円形断面の他、多角形状などの非
円形断面としても良い。また少なくとも陽極素子への埋
入する部分もしくは全体が扁平に形成された扁平リード
線を用いることもできる。この扁平リード線は、タンタ
ル線の少なくとも一部を加圧成形して扁平化することで
作製される。扁平リード線の扁平部分の厚さと幅は、製
造する陽極素子の厚み、リード線強度などを勘案して適
宜設定し得るが、好ましくは成形体の厚さの5〜50%
の厚さに扁平化することが好ましく、10〜20%の厚
さに扁平化することがより好ましい。リード線の扁平化
加工には、ロール加工法や加圧加工法等を用いることが
出来る。また成形体内に埋入するリード線の長さは、成
形体の長さの5〜95%が好ましい。またリード線の成
形体の扁平部分は成形体を超えて、その外側にまで続い
ていることが好ましい。このように扁平部分を設定する
ことにより、陽極素子を作製した時に、扁平部分が焼結
体の内側のみならず外側にまで連続した構造となる。こ
のためリード線の柔軟性が増し、リード線にかかる力を
吸収するため、リード線と焼結体との接合部分にかかる
応力が小さくなり、タンタル金属粉の表面に形成された
皮膜が破壊されることがない。なお、扁平部分を断続的
に形成したり、扁平部分の扁平化率を長手方向で変化さ
せること、或いは扁平面の角度を変えた部分を形成して
も良い。
【0024】リード線5を帯状成形体1の上面に一定間
隔毎に配置するための一つの方法は、図4(A)〜
(C)に示すように長尺の支持体6A〜Cの長手方向に
一定間隔毎に多数のリード線5を固定した櫛状体7A〜
Cを作製し、これら櫛状体7A〜Cのリード線5の一部
が、一定速度で移動する帯状成形体1の上面に一定間隔
で配置されるように供給する方法である(図6参照)。
図4(A)に示す櫛状体7Aは、長尺のテープ(支持体
6A)に一定間隔毎にリード線5の一端部を貼り付けた
ものである。図4(B)に示す櫛状体7Bは、長尺の金
属ワイヤ(支持体6B)に一定間隔毎にリード線5の一
端を溶接したものである。図4(C)に示す櫛状体7C
は、長尺の支持体6Cに一定間隔毎にリード線5を設け
たものであり、例えばタンタル板を櫛状に型抜き成形す
ることで作製することができる。
【0025】リード線5を帯状成形体1の上面に一定間
隔毎に配置するための別な方法は、図5に示すように、
2つの櫛状体7Dを用い、帯状成形体1の両側にこれら
の櫛状体7Dを置き、リード線5部分を帯状成形体1の
上面に配置する方法である。これらの櫛状体7Dは、前
記櫛状体7A〜Cの何れかと同様に作製することができ
る。
【0026】リード線5を帯状成形体1の上面に一定間
隔毎に配置するためのさらに別な方法は、図7に示すよ
うに、所定長さに切り揃えたリード線5を、一定速度で
移動する帯状成形体1の上面に一定のタイミングで供給
する方法である。
【0027】工程(4)−A:第2の帯状成形体の積
層、積層体の形成 図6および図7に示したように、第1の帯状成形体1の
上面に、一定間隔毎にリード線5を配置した後、この第
1の帯状成形体1の上面に、工程(1)で記したと同様
に、押出成形機3の吐出口4から金属粉末分散液を薄い
帯状に押出し、第2の帯状成形体8を積層形成して好ま
しくは40〜70℃の熱風で乾燥して溶媒を揮散させ、
積層体9Aを形成する。この積層体9Aは、図8に示す
ように横断面が蒲鉾形状となっている。
【0028】工程(5)−A:切断、成形体素子の形成 次に、工程(4)−Aで得られた積層体9Aを、隣り合
うリード線5同士の中央で切断することによって個々に
切り分け、図9に示すようにタンタル金属粉末とバイン
ダーとを含む2層の成形体1,8間にリード線5が植設
された状態の成形体素子10Aを作製する。積層体9A
を切断するためには、周知の切断用機器を用いて行うこ
とができる。またリード線5の端部を長尺の支持体に固
定した櫛状体7A〜Cを用いている場合には、この積層
体9Aの切断の前に、或いは同時に、テープからリード
線5を剥がすか、或いはリード線5を支持体近傍で切断
することができる。また、基体フィルム2は、次の焼結
前に剥離しておく。なお、この成形体素子11Aは、密
度を増した陽極素子を得る目的で、焼結前に加圧成形し
ても良い。
【0029】工程(6)−A:焼結、陽極素子の形成 次いで、このようにして得られた成形体素子10Aを、
真空中で約300〜600℃の熱処理工程によって有機
物質(バインダー)の除去を行い、さらに約10〜30
分間、約1200〜1600℃の高温加熱処理(焼結)
を行い、タンタル金属粉末同士およびタンタル金属粉末
とリード線5とを融着させることにより、図10に示す
ように、蒲鉾形状の多孔質焼結体12Aにリード線5が
埋入された構造のタンタル電解コンデンサ用陽極素子
(以下陽極素子という)11Aが得られる。
【0030】次に、本製造方法の別の形態を説明する。
本形態では、第1の帯状成形体1の剥離面に、一定間隔
毎にリード線5を配置し、さらに該剥離面に第2の帯状
成形体8を積層することを特徴としている。なお、工程
(1)と(2)は、前述した通りである。
【0031】工程(3)−B:リード線配置(剥離面
側) この形態にあっては、前述した工程(2)で基体フィル
ム2上に第1の帯状成形体1を作製した後、基体フィル
ム2を上向きに返し、コンベア2B上に帯状成形体1の
上面側を置く。次いで図11に示すように、第1の帯状
成形体1から基体フィルム2を剥離する。そして、この
帯状成形体の上向きになった剥離面に、前述した工程
(3)−Aに記載した何れかのリード線配置方法を採用
し、一定間隔毎にリード線5を配置する。
【0032】工程(4)−B:第2の帯状成形体の積
層、積層体の形成 図11に示したように、第1の帯状成形体1の剥離面
に、一定間隔毎にリード線5を配置した後、この剥離面
に、工程(1)で記したと同様に、押出成形機3の吐出
口4から金属粉末分散液を薄い帯状に押出し、第2の帯
状成形体8を積層形成し、好ましくは40〜70℃の熱
風で乾燥して溶媒を揮散させ、積層体9Bを形成する。
この積層体9Bは、図12に示すように横断面が楕円形
状となっている。
【0033】工程(5)−B:切断、成形体素子の形成 次に、工程(4)−Bで得られた積層体9Bを、工程
(5)−Aと同様の工程により切断、成形体素子を形成
する。なお、この成形体素子11Bは、密度を増した陽
極素子を得る目的で、焼結前に加圧成形しても良い。
【0034】工程(6)−B:焼結、陽極素子の形成 次いで、このようにして得られた成形体素子10Bは、
前述した工程(6)と同様の焼結処理を施して完全に有
機物質の除去を行うと共に、タンタル金属粉末同士およ
びタンタル金属粉末とリード線5とを融着させることに
より、図13に示すように、楕円柱形状の多孔質焼結体
12Bにリード線5が埋入された構造の陽極素子11B
が得られる。
【0035】これらの陽極素子11Aと11Bは、図1
3に示すように、切断によって形成された2つの端面1
3と、中央部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面14
とを有している。なお、焼結前に加圧成形することによ
り、成形体素子10Aと10B及び陽極素子11Aと1
1Bを直方体形状に近づけることもできる。しかしなが
ら、中央部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面14を
有する形状とすることにより、小さい縁厚さを持った端
面14においては、固体電解質層を形成する際に、角部
が盛り上がり、コンデンサの寸法増加を招くなどの不具
合を未然に防ぐことができる効果が得られる。この点で
は11Bの方が形容的に11Aより好ましい。
【0036】前述の工程(6)−A若しくは工程(6)
−Bによって得られた陽極素子11A,11Bを用い
て、タンタル電解コンデンサを製造するには、該陽極素
子11A,11Bを電解液槽に入れ、該陽極素子11
A,11Bに所定の直流電圧を加えて化成処理を施すこ
とにより、該陽極素子11A,11Bの表面に酸化タン
タル皮膜を形成させる。そして、酸化皮膜の形成後、さ
らにその上に二酸化マンガン皮膜又は、機能性高分子皮
膜の固体電解質を形成する。
【0037】前述のようにして得られた酸化タンタル皮
膜・二酸化マンガン皮膜又は機能性高分子皮膜を形成し
た陽極素子11A,11Bは、必要であればカーボン
(グラファイト)層、銀ペースト層を形成し、例えば図
14に示すように、この素子11A,11Bの表面に陰
極端子22の一端側を半田24で接合するとともに、リ
ード線5の先端部分を陽極端子23にスポット溶接(溶
接部を符号25で示す)によって接合した後、例えば樹
脂成形加工により、あるいは、樹脂溶液中に浸漬させて
形成させるなどして樹脂外装26を施し、タンタル電解
コンデンサ20とする。
【0038】
【実施例】以下、実施例を記すが、この実施例は、本発
明の一例を具体的に示す単なる例示に過ぎず、本発明は
この実施例に限定されるものではない。
【0039】(実施例)平均1次粒子径0.5μm、静
電容量が80000CV/gのタンタル金属粉100
g、バインダー樹脂としてアクリル樹脂「BR−88」
(三菱レーヨン(株)製)5g、溶媒であるメチルエチ
ルケトン50g、および3mm径のスチールボール50
gを100ccのポリ瓶に入れて混合し、振とう機(ペ
イントコンディショナー)を用いて0.5時間分散し
て、タンタル金属粉末分散液を得た。
【0040】次に、この分散液を押出成形機に投入し、
2m/分で移動するコンベア上に置いた長尺のPETフ
ィルム(基体フィルム)上に、幅10mm、厚さ(湿時
厚み)150μmで連続的に押出した。この押出成形の
直後に60℃の熱風下で乾燥処理を行って、PETフィ
ルム上に長尺で薄い第1の帯状成形体1を形成した。
【0041】図4(B)に示すように、直径0.15m
m、長さ15mmの円形断面の多数のタンタルリード線
5の各端部を4.5mmおきに長尺ワイヤに固定した櫛
状体7Bを、図6に示すように、第1の帯状成形体1の
上面に供給し、続いてその面上に前記と同じ押出成形機
によって、同一条件下で分散液を押し出し、乾燥した
後、長尺の積層体9Aを形成した。
【0042】次に、この積層体9Aを切断後、加圧し、
タンタル金属粉末とバインダーとを含む2層1,8間に
タンタルリード線5が植設された構造の成形体素子を得
た。
【0043】次に、成形体素子10Aを6.6×10-3
Pa(5×10-5torr)の真空中で350℃に昇温
して90分間加熱処理し、有機物質(バインダー)の分
解・除去を行い、さらに1300℃、20分間の焼結処
理を行って、図10に示すように、半楕円柱形状のタン
タル多孔質焼結体12A内に、リード線5の一部が埋入
された構造のタンタル電解コンデンサ用陽極素子11A
を得た。この陽極素子は、3.3mm×4.5mm、厚
さ0.25mmであった。
【0044】この陽極素子を、燐酸溶液中で直流電圧2
0Vを印加して陽極化成を行い、その電気特性をEIA
J RC−2361Aに従って測定し、性能を調べた。
結果は表1に示す。
【0045】(比較例1)実施例で用いたと同じタンタ
ル粉末100gに、バインダーとしてアクリル樹脂(B
R−88)(三菱レーヨン(株)製)5gをトルエンに
溶解した溶媒を作製してタンタル粉末に噴霧して、撹拌
混合しながら乾燥して成形用試料とした。得られた成形
用試料を金型に充填し、円形断面のタンタルリード線
(直径0.15mm)を植立させながら加圧成形した
後、実施例1と同様の焼結条件により焼結処理を行い、
2.21mm×1.81mm、厚さ0.6mmのタンタ
ル電解コンデンサ用陽極素子を得た。この素子に前記実
施例に記したと同じ化成処理を施した後、その電気性能
を測定した。その結果は実施例の結果とともに表1に示
す。
【0046】(比較例2)タンタル電解コンデンサ用陽
極素子の薄型化をはかり、その特性を上げるため、比較
例1で用いたものよりさらに薄い金型を用いる以外は比
較例1と同様の方法で、0.3mm厚の陽極素子の作製
を試みたが、この場合には、金型内に調合粉末を充填す
ることが困難となり、リード線を金型の中央に植立させ
ることもできず、作製することができなかった。陽極素
子の厚さが0.6mm以下となると通常の製造ラインで
は生産することが困難であることが判った。
【0047】実施例と比較例1でそれぞれ作製したタン
タル電解コンデンサ陽極素子について測定した電気特性
を次の表1にまとめた。
【表1】
【0048】表1からわかるように、本発明による実施
例のタンタル電解コンデンサは、等価直列抵抗が低く、
良好な高周波特性が期待できる。一方金型を使用する従
来の製造方法で製造した比較例1においては、実施例の
ように薄い固体電解コンデンサ用陽極素子を製造するこ
とが困難であり、素子の厚さが0.6mmのものしか作
製できなかったため、実施例のような低い等価直列抵抗
を示すものが製造できなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明は、弁作用金属粉末とバインダー
樹脂を含有する帯状成形体からなる上下層間に、弁作用
金属からなるリード線を一定間隔毎に挟み込んで積層体
とし、次いで該積層体を切断して成形体素子とし、次い
で該成形体素子を焼結して電解コンデンサ用陽極素子を
作製することによって、極めて高い生産性で陽極素子を
製造することができる。また、工程が簡素化でき、高い
歩留まりで陽極素子を生産することが可能である。さら
に帯状成形体及び積層体作製時に余分な切断部分をなく
すことができ、原料の弁作用金属粉末のロスが生じるこ
とがない。従って本発明によれば、電解コンデンサの製
造コストを低減することができる。また押出成形により
薄い帯状成形体が作製でき、従来の粉末を加圧成形する
電解コンデンサ製造プロセスでは製造が困難だった極め
て薄い、例えば厚さ0.6mm以下の、特に厚さ0.4
mm以下の高性能な電解コンデンサを提供することがで
きる。これによって等価直列抵抗(ESR)を下げるこ
とができ、良好な高周波特性を得ることができる。従っ
て、高CV粉末を使って大容量化、低ESR化を実現す
ることができる。また得られる陽極素子を固体電解質溶
液に浸漬する際、多孔質焼結体の外表面に加え、層間の
界面からの固体電解質溶液の浸透が生じ、該溶液を十分
に含浸させることができ、高い容量引き出し率を得るこ
とができる。また、本発明の電解コンデンサ用陽極素子
は、弁作用金属からなるリード線と、該リード線を層間
に挟んだ積層構造をなして該リード線を固定している弁
作用金属の多孔質焼結体片とを有すると共に、該多孔質
焼結体片が、切断によって形成された端面と、中央部厚
さよりも小さい縁厚さを持った端面を有している構造な
ので、小さい縁厚さを持った端面においては、固体電解
質層を形成する際に、角部が盛り上がり、コンデンサの
寸法増加を招くなどの不具合を未然に防ぐことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る電解コンデンサ用陽極素子の製
造方法の一例を説明するための図であり、第1の帯状成
形体を形成する工程を示す側面図である。
【図2】 図1のA部の横断面図である。
【図3】 第1の帯状成形体にリード線を一定間隔毎に
配置する工程の一例を示す側面図である。
【図4】 リード線を一定間隔毎に支持体に固定した櫛
状体を例示する平面図である。
【図5】 第1の帯状成形体にリード線を一定間隔毎に
配置する工程の別な例を示す側面図である。
【図6】 積層体を形成する工程を示す斜視図である。
【図7】 第1の帯状成形体にリード線を一定間隔毎に
配置する更に別な工程と、積層体を形成する工程を示す
側面図である。
【図8】 積層体の横断面図である。
【図9】 積層体を切断して得られた成形体素子を示す
斜視図である。
【図10】 成形体素子を焼結して得られた陽極素子を
示す斜視図である。
【図11】 本発明に係る電解コンデンサ用陽極素子の
製造方法の他の例を説明するための図であり、第1の帯
状成形体の剥離面側にリード線を一転間隔毎に配置し、
その上に第2の帯状成形体を積層して積層体を形成する
工程を示す側面図である。
【図12】 積層体を切断して得られた成形体素子を示
す斜視図である。
【図13】 成形体素子を焼結して得られた陽極素子を
示す斜視図である。
【図14】 本発明に係る電解コンデンサを例示する概
略図である。
【符号の説明】
1 第1の帯状成形体 2 基体フィルム 3 押出成形機 4 吐出口 5 リード線 7A〜C 櫛状体 8 第2の帯状成形体 9A,9B 積層体 10A,10B 成形体素子 11A,11B 陽極素子(電解コンデンサ用陽極素
子) 12A,12B 多孔質焼結体 13 切断により形成された端面 14 中央部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面 20 タンタル電解コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 昭子 東京都東村山市久米川町5−30−1 株式 会社高純度物質研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属粉末とバインダー樹脂を含有
    する帯状成形体からなる上下層間に、弁作用金属からな
    るリード線を一定間隔毎に挟み込んで積層体とし、次い
    で該積層体を切断して成形体素子とし、次いで該成形体
    素子を焼結することを特徴とする電解コンデンサ用陽極
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記帯状成形体が、弁作用金属粉末とバ
    インダー樹脂と溶剤とを混合して得られる金属粉末分散
    液を所定幅に押出して帯状に成形されることを特徴とす
    る請求項1に記載の電解コンデンサ用陽極素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記積層体が、弁作用金属粉末とバイン
    ダー樹脂と溶剤とを混合して得られる金属粉末分散液を
    基体上に所定幅の帯状に押出して第1の帯状成形体と
    し、次いで該第1の帯状成形体の上面に弁作用金属から
    なるリード線を一定間隔毎に置き、次いで該第1の帯状
    成形体の上面に前記金属粉末分散液を所定幅の帯状に押
    出して形成されることを特徴とする請求項1または2に
    記載の電解コンデンサ用陽極素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記積層体が、弁作用金属粉末とバイン
    ダー樹脂と溶剤とを混合して得られる金属粉末分散液を
    基体上に所定幅に押出して第1の帯状成形体とし、次い
    で該第1の帯状成形体から基体を剥離し、該剥離面に弁
    作用金属からなるリード線を一定間隔毎に置き、次いで
    該剥離面に前記金属粉末分散液を所定幅に押出して帯状
    に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載
    の電解コンデンサ用陽極素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記リード線が、長尺支持体にリード線
    の一部を一定間隔毎に固定してなる櫛状体を、前記帯状
    成形体上に載せて前記積層体を形成し、その後各リード
    線毎に分離して形成することを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用陽極素子の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 所定長さのリード線を、所定速度で移動
    する前記帯状成形体上に所定間隔で供給することを特徴
    とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電解コン
    デンサ用陽極素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 弁作用金属からなるリード線と、該リー
    ド線を層間に挟んだ積層構造をなして該リード線を固定
    している弁作用金属の多孔質焼結体片とを有すると共
    に、該多孔質焼結体片が、切断によって形成された端面
    と、中央部厚さよりも小さい縁厚さを持った端面を有し
    ていることを特徴とする電解コンデンサ用陽極素子。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    製造方法により得られた電解コンデンサ用陽極素子。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の電解コンデンサ用陽極
    素子を含む電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の電解コンデンサ用陽
    極素子を含む電解コンデンサ。
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