JP2002363636A - Rh真空脱ガス装置における溶鋼の精錬方法 - Google Patents
Rh真空脱ガス装置における溶鋼の精錬方法Info
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Abstract
に、上昇側浸漬管の内径及び環流用不活性ガス流量のみ
ならず、ガス吹き込みノズルの内径及び設置個数をも配
慮した適正な条件で溶鋼を環流させ、効率の良い精錬を
行う。 【解決手段】 上昇側浸漬管の内径と、この浸漬管に配
置されたガス吹き込みノズルの個数と、ガス吹き込みノ
ズルの内径と、ガス吹き込みノズルから吹き込まれる環
流用不活性ガス流量とが下記の(1)式の範囲を満足す
るように調整して環流用不活性ガスを吹き込み、溶鋼を
環流させる。但し(1)式において、n:ガス吹き込み
ノズルの個数、ρg :環流用不活性ガスの密度(kg/m
3 )、ρl :溶鋼の密度(kg/m3 )、G:環流用不活性
ガスの流量(m3/sec)、d:ガス吹き込みノズルの内径
(m)、D:上昇側浸漬管の内径(m)である。 20<n/[[ρg/(ρl−ρg)]1/2×(G/d)×D-3/2]<100 …
(1)
Description
置における溶鋼の精錬方法に関するものである。
部に設けられた2本の浸漬管(上昇側浸漬管及び下降側
浸漬管)とを備えている。このRH真空脱ガス装置を用
いて溶鋼を精錬する際には、取鍋内に収容された溶鋼中
に2本の浸漬管を浸漬し、真空槽の内部を減圧して溶鋼
を浸漬管内に引き上げ、そして上昇側浸漬管に設けられ
たガス吹き込みノズルからAr等の不活性ガスを吹込
み、ガスリフトポンプの原理により溶鋼を上昇させて真
空槽内に送り込み、真空槽内で真空処理を行い、下降側
浸漬管から取鍋内に戻している。このようにして溶鋼を
取鍋と真空槽との間を環流させることにより連続的に真
空精錬を行っている。
及び処理効率を増大させるには、溶鋼の単位時間当たり
の環流量を増大させることが必要である。
活性ガスの流量、真空槽内と大気との圧力差等に依存す
ることが経験的に分かっており、従来、浸漬管内径の拡
大や環流用不活性ガス流量の増加により環流量の増加が
図られてきた。しかし、浸漬管内径の拡大は大幅な設備
改造を伴い、設備費の増大を招き、又、拡大するにして
も真空槽の大きさにより自ずと限界がある。環流用不活
性ガス流量の増加は効果があるものの、Ar等の不活性
ガスは高価であり、又、或る限界以上に増大させると逆
に溶鋼環流量を減少させると云う問題もある。
を制御することにより環流量を増大させる方法も提案さ
れている。例えば、特開平3−36209号公報には、
上昇側浸漬管に設置するガス吹き込みノズルの吐出方向
を浸漬管の中心に向かう方向から測方へ傾斜させ、浸漬
管内の溶鋼上昇流に旋回流を発生させる方法が開示さ
れ、又、特開平5−1319号公報には、上昇側浸漬管
に設置するガス吹き込みノズルの吐出方向を水平方向か
ら20〜50°上向きに配置して、溶鋼を環流させる方
法が開示されている。これらの方法によれば、浸漬管内
径の拡大や環流用不活性ガス流量の増加をすることなく
環流量を増加させることができるが、どちらの方法もガ
ス吹き込みノズルの向きが特殊であるため、耐火物の施
行、製作にかなりの技術が必要である。
には、通常複数個のガス吹きノズルが設置されており、
ガス吹きノズルの個数も溶鋼環流量に影響を及ぼすこと
は明らかである。即ち、環流用不活性ガス流量が同一で
あっても、ガス吹きノズル個数が少な過ぎる場合にはガ
ス気泡が大きくなり、ガスの吹き抜けが生じて溶鋼の環
流を阻害し、一方、ガス吹きノズルの個数が多過ぎる場
合にはガス吹きノズルからのガスの吐出流速が遅くな
り、吹き込まれたガスは浸漬管内壁を伝わって上昇し、
溶鋼の環流に効果がないばかりか、浸漬管内壁の溶損を
促進させてしまう。又、同様に、ガス吹きノズルの内径
も、ガス吹きノズルからのガスの吐出流速を左右すると
云う観点から考えると、溶鋼環流量に影響を及ぼすこと
は明らかである。
の内径は溶鋼の環流に対して重要な要素であり、溶鋼環
流量を増大させる場合には、環流用不活性ガスの流量や
浸漬管内径と同様に考慮すべきであるが、上記公報を始
めとして従来、溶鋼環流量を増大させる観点からガス吹
きノズルの個数及びその内径について配慮された報告は
ない。
その目的とするところは、RH真空脱ガス装置を用いて
溶鋼を精錬する際に、上昇側浸漬管の内径及び環流用不
活性ガス流量のみならず、ガス吹き込みノズルの内径及
び設置個数をも配慮した適正な条件で溶鋼を環流させ、
効率の良い精錬を行うことができる精錬方法を提供する
ことである。
解決するために鋭意検討を実施した。以下に検討結果を
説明する。
が少な過ぎると、ノズル1本当たりのガス流量が増大し
過ぎてガスの吹き抜けが起こり、溶鋼の環流を阻害す
る。一方、ガス吹き込みノズル個数が多過ぎると、ノズ
ル1本当たりのガス流量が減少し過ぎてガスが浸漬管側
壁を伝わってしまい、溶鋼の環流に有効に作用しない。
ンプの原理により溶鋼を環流させる際には、ガス吹き込
みノズルから吹き込まれる環流用不活性ガスの水平方向
到達距離が溶鋼の環流に影響を及ぼすことが類推でき
る。
献1において、下記の(2)式により表されると提唱さ
れている(文献1:鉄と鋼,1979,A133)。但し、
(2)式において、L:水平方向到達距離(m)、d:
ガス吹き込みノズルの内径(m)、ρg :環流用不活性
ガスの密度(kg/m3 )、ρl :溶鋼の密度(kg/m3 )、
V:ガス吹き込みノズル出口におけるガス流速(m/sec
)、g:重力加速度(m/sec2)である。
るガス流速(V)は下記の(3)式で表すことができ
る。但し、(3)式において、G:環流用不活性ガスの
流量(m3/sec)、n:ガス吹き込みノズルの個数であ
る。
と、下記の(4)式が得られる。
平方向到達距離(L)が上昇側浸漬管の内径(D)に対
して大き過ぎても、又、小さ過ぎても溶鋼環流を阻害す
ると考えられる。そこで、上昇側浸漬管の内径(D)と
水平方向到達距離(L)との比(D/L)を種々変更し
た試験を実施し、この比(D/L)が溶鋼環流に及ぼす
影響を調査した。
方向到達距離(L)との比(D/L)は下記の(5)式
で表すことができる。
表されるが、(5)式の右辺を3/2乗し更に係数を除
去して簡素化した下記の(6)式により表されるZと比
例関係が成立する。
の精錬の際に、上昇側浸漬管の内径(D)、ガス吹き込
みノズルの個数(n)及び内径(d)、環流用不活性ガ
ス流量(G)を種々変化させて溶鋼の均一混合時間を測
定し、(6)式で算出される計算値Zの均一混合時間に
及ぼす影響を調査した。均一混合時間は、溶鋼にトレー
サーとなる元素を微量添加してその濃度変化を測定し、
元素を添加した時点から濃度が一定になった時点までと
した。この場合、均一混合時間が短いほど溶鋼の環流が
効率良く行われていることを示す。表1に溶鋼環流試験
条件を示す。表1では、浸漬管内径(D)、ノズル内径
(d)及びガス流量(G)が同一な条件を1つの水準と
して表示して、計算値Zとノズル個数との関係を明示し
ている。
均一混合時間との関係を調査した結果を示す。この場
合、計算値Zは環流用不活性ガスの密度ρg としてAr
の密度である1.786kg/m3 を用い、溶鋼の密度ρl
を7000kg/m3 として計算した。図1に示すように、
均一混合時間の絶対値には各水準で差が見られるが、ど
の水準においても、ノズル個数が多く計算値Zが100
以上の場合と、ノズル個数が少なく計算値Zが20以下
の場合には、均一混合時間が長くなることが分かった。
即ち、上昇側浸漬管の内径(D)と、ガス吹き込みノズ
ルの個数(n)と、ガス吹き込みノズルの内径(d)
と、環流用不活性ガスのガス流量(G)とを下記の
(1)式を満足する範囲に調整して溶鋼を環流させるこ
とにより、均一混合時間を短くすることができ、効率良
く溶鋼を環流させることが可能となることが分かった。
ので、本発明によるRH真空脱ガス装置における溶鋼の
精錬方法は、上昇側浸漬管の内径(D)と、上昇側浸漬
管に配置されたガス吹き込みノズルの個数(n)と、こ
のガス吹き込みノズルの内径(d)と、ガス吹き込みノ
ズルから吹き込まれる環流用不活性ガスのガス流量
(G)とが上記の(1)式の範囲を満足するように調整
して上昇側浸漬管に環流用不活性ガスを吹き込み、溶鋼
を環流させることを特徴とするものである。
の実施の形態を説明する。図2は、本発明を実施する際
に用いたRH真空脱ガス装置の概略縦断面である。
は、上部槽6及び下部槽7からなる真空槽5と、下部槽
7の下部に設けた上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9と
を備え、上部槽6には、排気装置(図示せず)と接続す
るダクト11及び原料投入口12が設けられ、又、上昇
側浸漬管8にはガス吹き込みノズル10が設けられてい
る。ガス吹き込みノズル10からは環流用不活性ガスと
してArが上昇側浸漬管8内に吹き込まれる構造となっ
ている。図2ではガス吹き込みノズル10を1本のみ記
載しているが、上昇側浸漬管8にはその周囲方向に、複
数個(n個)のガス吹き込みノズル10がその吐出方向
を上昇側浸漬管8の中心部に向けた水平方向として設置
されている。ここで、上昇側浸漬管8の内径はD(m)
であり、ガス吹き込みノズル10の内径はd(m)であ
る。ガス吹き込みノズル10は、上昇側浸漬管8内の溶
鋼3を周方向で均等に上昇させる観点から、可能である
ならば上昇側浸漬管8の周方向で等間隔に設置すること
が望ましい。図ではガス吹き込みノズル10の吐出方向
を上昇側浸漬管8の中心部に向けた水平方向としている
が、上平方向上向きにする若しくは中心に向かう方向か
ら水平方向へ傾斜させても良い。
おいて、本発明による精錬方法を実施するに際しては、
先ず、転炉や電気炉等で精錬した溶鋼3を取鍋2に出鋼
し、溶鋼3を収納する取鍋2を真空槽5の直下に搬送す
る。取鍋2内には転炉や電気炉等における精錬で発生し
たスラグ4が一部混入し、溶鋼3の湯面を覆っている。
を上昇させ、上昇側浸漬管8及び下降側浸漬管9を取鍋
2内の溶鋼3に浸漬させる。そして、ガス吹き込みノズ
ル10から上昇側浸漬管8内にその吹き込み流量をG
(m3/sec)としてArを吹き込むと前後して、真空槽5
内を排気装置にて排気して真空槽5内を減圧する。真空
槽5内が減圧されると、取鍋2内の溶鋼3は、ガス吹き
込みノズル10から吹き込まれるArと共に上昇側浸漬
管8を上昇して真空槽5内に流入し、その後、下降側浸
漬管9を介して取鍋2に戻る流れ、所謂、環流を形成し
てRH真空脱ガス精錬が施される。尚、ガス吹き込みノ
ズル10から吹き込むAr流量を最初からG(m3/sec)
とする必要はなく、溶鋼3の環流が定常状態になってか
らとしても良い。
と、ガス吹き込みノズル10の個数(n)と、ガス吹き
込みノズル10の内径(d)と、ガス吹き込みノズル1
0から吹き込まれる環流用不活性ガスのガス流量(G)
とを、前述した(1)式の範囲を満足するように調整す
る。(1)式の計算に当たっては、環流用Arの密度ρ
g は1.786kg/m3 、溶鋼3の密度ρl は7000kg
/m3 とすれば良い。
(D)、ガス吹き込みノズル10の個数(n)及びガス
吹き込みノズル10の内径(d)が設備的に既に決まっ
ている場合は、環流用不活性ガスのガス流量(G)を調
整して(1)式を満足させる。
せようとして、上昇側浸漬管8の内径(D)を拡大させ
る設備改造を行う場合には、目的とするガス吹き込み流
量(G)及び拡大しようとする上昇側浸漬管8の内径
(D)に対処して、(1)式を満足する範囲内でガス吹
き込みノズル10の個数(n)及びガス吹き込みノズル
10の内径(d)を設定する。但し、ガス吹き込みノズ
ル10の内径(d)は溶鋼3の差し込み等を考えると、
余り大きくすることはできないので、その場合には、ノ
ズル個数(n)で対処する方が望ましい。ガス吹き込み
ノズル10の内径(d)の最大値は5mm程度と考えて
置けば良い。
下で溶鋼3を環流させ、脱水素、脱炭、脱窒素等のRH
真空脱ガス精錬を施し、更に、溶鋼3が未脱酸状態であ
れば、必要に応じて溶鋼3を脱酸するために必要な量の
金属Alを原料投入口12から溶鋼3に添加して溶鋼3
を脱酸すると共に、必要に応じてC、Si、Mn等の成
分調整剤を原料投入口12から溶鋼3に添加して成分を
調整した後、真空槽5を大気圧に戻してRH真空脱ガス
精錬を終了する。
鋼3を精錬することにより、溶鋼3を効率良く環流させ
ることができ、その結果、精錬時間の短縮、除去対象成
分の低減化、環流用Ar使用量の削減、浸漬管の長寿命
化等を達成することが可能となる。
昇側浸漬管の内径、ガス吹き込みノズルの個数及び内
径、環流用Ar流量を前述した表1と同一の溶鋼環流試
験条件で変化させ、転炉から出鋼された、炭素濃度が
0.03〜0.04mass%の約250トンの未脱酸溶鋼
を脱炭精錬する試験を合計4水準、28ヒート実施し
た。脱炭時間は全ての試験で20分間とし、その間の真
空槽内到達真空度を60〜270Paとして、脱炭精錬
中の溶鋼の到達炭素濃度に及ぼす溶鋼環流条件の影響を
調査した。
述した(6)式による計算値Zである。図3に示すよう
に、環流用Ar流量を増加した水準2及び上昇側浸漬管
の内径を拡大した水準4では、水準1及び水準3に比較
して到達炭素濃度の絶対値が特に低く、7〜8ppm程
度まで低減したが、どの水準の試験においても横軸の計
算値Zが20を越えて100未満の範囲では、到達炭素
濃度が安定して低く、脱炭反応が促進されていることが
分かった。
用いて溶鋼を精錬する際に、上昇側浸漬管の内径と、ガ
ス吹き込みノズルの個数と、ガス吹き込みノズルの内径
と、環流用不活性ガスのガス流量とを所定の範囲に調整
して溶鋼を環流させるので、溶鋼を効率良く環流させる
ことができ、その結果、精錬時間の短縮、除去対象成分
の低減化、環流用不活性ガス使用量の削減、浸漬管の長
寿命化等を達成することができ、工業上有益な効果がも
たらされる。
る。
置の概略縦断面である。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 上昇側浸漬管の内径(D)と、上昇側浸
漬管に配置されたガス吹き込みノズルの個数(n)と、
このガス吹き込みノズルの内径(d)と、ガス吹き込み
ノズルから吹き込まれる環流用不活性ガスのガス流量
(G)とが下記の(1)式の範囲を満足するように調整
して上昇側浸漬管に環流用不活性ガスを吹き込み、溶鋼
を環流させることを特徴とする、RH真空脱ガス装置に
おける溶鋼の精錬方法。 20<n/[[ρg/(ρl−ρg)]1/2×(G/d)×D-3/2]<100 …(1) 但し、(1)式において、n:ガス吹き込みノズルの個
数、ρg :環流用不活性ガスの密度(kg/m3 )、ρl :
溶鋼の密度(kg/m3 )、G:環流用不活性ガスの流量
(m3/sec)、d:ガス吹き込みノズルの内径(m)、
D:上昇側浸漬管の内径(m)である。
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