JP4673943B2 - 水分散型感圧性接着剤組成物およびその製造方法ならびに感圧性接着シ―ト類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンポリマ―とアクリルポリマ―とからなるポリマ―成分が水に安定に分散されてなる耐水性にすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物、その製造方法、ならびに上記の水分散型感圧性接着剤組成物を使用した感圧性接着シ―ト類(テ―プ、シ―トなど)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境衛生や安全性などの点より、感圧性接着剤の製造方法として、有機溶剤を使用しない方向への転換が進みつつある。このような製造方法には、ホツトメルト型やエマルジヨン型が知られているが、ホツトメルト型には耐熱性の欠如という問題がある。エマルジヨン型には上記問題がなく、より好ましいものといえるが、その反面、耐水性の欠如という別の問題がある。
【0003】
エマルジヨン型の耐水性の欠如は、主に感圧性接着剤のポリマ―成分を水に安定に分散させる機能を有する乳化剤が接着剤中に残存してくることに起因している。耐水性の欠如を回避するため、反応性乳化剤を使用して、ポリマ―成分中に乳化剤を取り込む試みが多く行われており、具体的には、反応性乳化剤の種類や重合方法を改良する工夫が種々行われている。しかし、反応性乳化剤が水相で重合したり、未反応で残存するため、ポリマ―成分に乳化剤を完全に取り込むことができず、耐水性を大きく改良できていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の事情に照らし、ポリマ―成分などを乳化剤を用いることなく水に安定に分散させてなる、耐水性にすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物を提供すること、またこの水分散型感圧性接着剤組成物を使用した感圧性接着シ―ト類(テ―プ、シ―トなど)を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を用いて水に安定に分散されたウレタンポリマ―を生成する際に、その反応系にアクリルモノマ―を加えて重合処理すると、上記のウレタンポリマ―が重合処理により生成するアクリルポリマ―の水分散化のための安定化剤として作用し、その結果、アクリルポリマ―が乳化剤を用いることなくウレタンポリマ―とともに水に安定に分散された水分散体が得られ、その際、両ポリマ―成分の材料組成や使用量などにより、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率と応力緩和時間が特定範囲に入るようにしたときに、接着力と保持力とのバランス特性にすぐれて、良好な接着特性を発揮する、耐水性の改良された水分散型感圧性接着剤組成物が得られることを見い出した。
【0006】
また、このような水分散型感圧性接着剤組成物を支持体上に塗布乾燥することにより、上記特性を満足する感圧性接着シ―ト類が得られ、その際、支持体として室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散体のフイルム化物からなる特定の引張り強度などの特性を有するものを用いると、上記水分散体が乳化剤を含まないため、シ―ト類全体としての耐水性にすぐれ、また上記水分散体と前記の水分散型感圧性接着剤組成物がともに組成的に近似するウレタン−アクリル系で構成されているため、シ―ト類全体としての透明性にすぐれており、さらに支持体と感圧性接着剤層とをともに塗布乾燥する方式で形成できるため、シ―ト類の製造作業性にも好結果が得られることを見い出した。
【0007】
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものであり、ウレタンポリマー40〜5重量%とアクリルポリマー60〜95重量%とからなるポリマー成分が水に分散されてなり、そのフィルム化物の引張り試験での引張り弾性率が2〜30g/mm2 、応力緩和時間が5〜100秒であることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物、また上記のポリマー成分に対し、粘着付与樹脂が40重量%以下の割合で含まれている上記構成の水分散型感圧性接着剤組成物を提供しようとするものである。
【0008】
すなわち、本発明は、上記構成の水分散型感圧性接着剤組成物を製造するにあたり、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーをそのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による上記プレポリマーの主鎖延長を行ったのち、アクリルモノマーを加えて重合することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法(請求項1,2)に係るものである。
【0009】
また、本発明は、支持体上に上記の方法で得られた水分散型感圧性接着剤組成物からなる層を有することを特徴とするシート状やテープ状などの感圧性接着シート類(請求項3)に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるウレタンポリマ―は、ポリオ―ルとポリイソシアネ―トを反応させてウレタンプレポリマ―を生成し、これをそれに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させたのち、残存するイソシアネ―ト基の反応による主鎖延長を行つて高分子量化することにより、得られるものである。
【0011】
ポリオ―ルは、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するものであり、ポリエ―テルポリオ―ル、ポリエステルポリオ―ル、アクリルポリオ―ルまたはこれらの混合物を主体としたものが好ましい。ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルは、数平均分子量は500〜4,000であるのが望ましい。分子量が小さすぎるとウレタンのハ―ドセグメントが多くなり、弾性率が高くなり、また応力緩和時間が長くなり、接着性を損ないやすく、また分子量が大きすぎると水への分散性に劣りやすく、いずれも好ましくない。
【0012】
ポリエ―テルポリオ―ルとしては、エチレングリコ―ル、ジエチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブチレングリコ―ル、ヘキサメチレングリコ―ルなどの2価アルコ―ル、トリメチロ―ルプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト―ルなどの3価アルコ―ルなどの低分子ポリオ―ルに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなるものが用いられる。また、ポリエステルポリオ―ルとしては、上記の2価アルコ―ルや、ジプロピレングリコ―ル、1,4−ブタンジオ―ル、1,6−ヘキサンジオ―ル、ネオペンチルグリコ―ルなどのアルコ―ルと、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸とを重縮合させてなるものが用いられる。
【0013】
ポリオ―ルの主体として、上記のポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルを用いるときは、ポリイソシアネ―トとの反応で生成するウレタンプレポリマ―を中和して水に分散させるため、他のポリオ―ルとして、たとえば、2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸、2,2−ジメチロ―ルブタン酸などのカルボキシル基含有ポリオ―ルが併用される。このようなカルボキシル基含有ポリオ―ルは、他成分との溶解性や反応性の点より、通常は、N−メチロ―ルピロリドンなどの極性溶媒に溶解して加えるようにするのが望ましい。
【0014】
アクリルポリオ―ルは、分子内に通常0.00005〜0.0007当量/gの水酸基を有するとともに、通常0.0007〜0.003当量/gのカルボキシル基をも有する、数平均分子量が通常3,000〜20,000のアクリルオリゴマ―ないしポリマ―であり、分子内に上記水酸基を有していることにより、ポリイソシアネ―トと反応させて、ウレタンポリマ―を構成させるものである。また、このアクリルポリオ―ルは、分子内にカルボキシル基を有するため、これを中和することで、水分散化が可能となるものである。
【0015】
アクリルポリオ―ルは、これ単独でも使用できるが、ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルとの混合物として使用するのが望ましい。この場合、ポリイシアネ―トとの反応で生成するウレタンプレポリマ―の水分散性や安定性の点より、ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルが20〜80重量%、アクリルポリオ―ルが80〜20重量%となるようにするのがよい。アクリルポリオ―ルは、分子内にカルボキシル基を含むため、中和・水分散化のためにカルボキシル基含有ポリオ―ルを併用する必要はとくにない。
【0016】
アクリルポリオ―ルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにカルボキシル基を有する単量体や水酸基を有する単量体を加えた単量体混合物を、重合開始剤と水酸基を有する連鎖移動剤を用いて常法により重合反応させることにより、得られる。アクリルポリオ―ルと前記ポリエ―テルポリオ―ルなどとの混合物とする場合、上記単量体混合物の重合反応をポリエ―テルポリオ―ルなどの存在下で行えばよい。この場合、生成するアクリルポリオ―ルの一部がポリエ―テルポリオ―ルなどにグラフトすることにより、これらポリエ―テルポリオ―ルとの相溶性が良くなり、また重合反応が穏やかになるため、好ましい。
【0017】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどがある。また、カルボキシル基を有する単量体には(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などが、水酸基を有する単量体には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ―トなどがある。
【0018】
また、重合開始剤としては、2,2−アゾビスイソプロニトリルなどのアゾ系の重合開始剤や、ベンゾイルパ―オキサイドなどの過酸化物系の重合開始剤が用いられる。また、水酸基を有する連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノ―ル、1−メルカプト−2−プロパノ―ル、3−メルカプト−1−プロパノ―ル、p−メルカプトフエノ―ルなどが用いられる。
【0019】
カルボキシル基を有する単量体は、アクリルポリオ―ルのカルボキシル基の量が前記範囲内となるように、その使用量が決められる。アクリルポリオ―ルのカルボキシル基の量が少なすぎると水への分散性に劣り、多すぎても水を吸収するだけで分散しなくなり、好ましくない。また、水酸基を有する単量体や水酸基を有する連鎖移動剤は、アクリルポリオ―ルの水酸基の量が前記範囲内となるように、その使用量が決められる。アクリルポリオ―ルの水酸基の量が少なすぎるとポリイソシアネ―トとの反応性に劣り、生成ポリマ―の物性が安定しにくくなり、多すぎると生成ポリマ―が硬くなり、好ましくない。
【0020】
なお、水酸基を有する連鎖移動剤を使用すると、アクリルポリオ―ルの分子末端に水酸基を導入でき、その結果、ポリイソシアネ―トと反応させてより高分子量で物性にすぐれたウレタンポリマ―を生成できるので、望ましい。また、重合開始剤の使用量とともに、水酸基を有する連鎖移動剤の使用量を適宜選択することで、アクリルポリオ―ルの数平均分子量が前記範囲内となるように容易に設定できる。アクリルポリオ―ルの分子量が小さすぎると、安定剤として作用させるウレタンポリマ―が硬くなつて粘着付与樹脂本来の効果を低下させやすく、また大きすぎると、水への分散性が劣り、好ましくない。
【0021】
ポリイソシアネ―トとしては、芳香族、脂肪族または脂環式のポリイソシアネ―トをいずれも使用できる。ポリオ―ルとの速やかな反応および水との反応の抑制の点から、イソホロンジイソシアネ―ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネ―トなどの脂環式ポリイソシアネ―トを用いるのがとくに好ましい。また、ポリイソシアネ―トは、上記のようなジイソシアネ―トが好ましいが、必要により、トリ以上のポリイソシアネ―トを使用することもできる。
【0022】
本発明におけるアクリルポリマ―は、ウレタン化反応には関与しない、アクリルモノマ―の単独重合体または共重合体を意味するものである。ここで、上記のアクリルモノマ―としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、このアルキルエステルとともに、必要に応じて、全単量体中50重量%を超えない範囲で、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレンやその誘導体、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、オリゴエステル(メタ)アクリレ―ト、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレ―トなどの他の単量体を併用することもできる。
【0023】
本発明においては、上記のウレタンポリマ―とアクリルポリマ―を、乳化剤を使用することなく、水に均一に分散させて、水分散型感圧性接着剤組成物としたものである。ここで、上記両成分の使用量としては、両者の合計量中、ウレタンポリマ―が40〜5重量%、好ましくは30〜10重量%、アクリルポリマ―が60〜95重量%、好ましは70〜90重量%である。ウレタンポリマ―が40重量%を超えると、そのフイルム化物の引張り弾性率が大きくなり、また応力緩和時間が長くなり、接着特性が低下しやすい。また、ウレタンポリマ―が5重量%未満となると、水分散性に劣り、安定性を損ないやすい。
【0024】
本発明の水分散型感圧性接着剤組成物は、ウレタンポリマ―とアクリルポリマ―を上記範囲内において両成分の組成に応じた最適の使用量とすることにより、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率が2〜30g/mm2 、好ましくは5〜20g/mm2 、応力緩和時間が5〜100秒、好ましくは10〜60秒となるようにしたことを特徴とする。引張り弾性率と応力緩和時間が上記範囲外となると、接着力と保持力とのバランス特性を損ないやすい。
【0025】
本発明において、上記構成からなる水分散型感圧性接着剤組成物は、最初に、カルボキシル基を含ませたポリオ―ルとポリイソシアネ―トを反応させてカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を得、ついで、▲1▼上記のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―にアクリルモノマ―を加え、上記プレポリマ―のカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネ―ト基の反応による上記プレポリマ―の主鎖延長とアクリルモノマ―の重合を行うか、▲2▼上記のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―をそのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネ―ト基の反応による上記プレポリマ―の主鎖延長を行つたのち、アクリルモノマ―を加えて重合することにより、製造することができる。
【0026】
なお、場合により、上記▲1▼の方法でウレタンプレポリマ―の主鎖延長とアクリルモノマ―の重合を行つたのち、さらに上記▲2▼の方法と同様にアクリルモノマ―を加えて重合するなどの変更態様をとることもできる。また、たとえば、上記▲1▼の方法において、アクリルモノマ―の混合とカルボキシル基の中和とを逆にするなど、上記処理操作の順番を適宜変更することも可能である。
【0027】
カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―の生成において、カルボキシル基を含ませたポリオ―ルには、前記のとおり、ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルに適量のカルボキシル基含有ポリオ―ル(たとえば、2,2−ジメチロ―ルプロピオン酸など)を加えたものか、より好ましくはポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルとアクリルポリオ―ル(カルボキシル基含有)との混合物が用いられる。ポリオ―ルとポリイソシアネ―トとの反応に際し、触媒として、ジブチルすずジラウレ―ト、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどが用いられる。ポリイソシアネ―トの使用量は、ポリオ―ルの全水酸基量に対する当量比(NCO/OH比)が1.5〜3となるようにするのがよい。少なすぎるとこの段階で主鎖延長が起こり高粘度となつて安定に水分散させ難く、多すぎるとフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率が大きくなり、また応力緩和時間が長くなり、接着特性が低下する。
【0028】
上記▲1▼の方法では、上記のカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―、つまり遊離のイソシアネ―ト基が残存するプレポリマ―に、アクリルモノマ―を加え、上記プレポリマ―のカルボキシル基を中和して水に分散させる。中和のための塩基にはトリエチルアミンやアンモニアなどが用いられる。水への分散は、中和物に水を加えるか、これとは逆に水に中和物を加える方式で行えばよく、その際、均一になるように十分に撹拌するのが望ましい。
【0029】
この水分散後に、上記プレポリマ―に残存するイソシアネ―ト基の反応による主鎖延長を行い、かつアクリルモノマ―の重合を行つて、高分子量のウレタンポリマ―とアクリルポリマ―を生成すると、これらのポリマ―成分が水に均一に分散された水分散型感圧性接着剤組成物が得られる。主鎖延長は、加熱によりイソシアネ―ト基の水による自己縮合反応を利用して行つてもよいが、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどのポリアミンをイソシアネ―ト基に対して当量となる割合で加えて反応させるのが望ましい。重合は、反応系内に重合開始剤を加えて反応処理する方式で行える。重合開始剤には、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物や水溶性のアゾ化合物などが用いられる。とくに好ましくは、水中にイオン生成物を発生しないアゾ化合物を用いるのがよい。油溶性の重合開始剤を用いる場合、あらかじめアクリルモノマ―中に混合しておいてもよい。
【0030】
上記▲2▼の方法では、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―をそのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネ―ト基の反応による上記プレポリマ―の主鎖延長を行つて高分子量のウレタンポリマ―を生成し、ついで、この水分散液にさらにアクリルモノマ―を加えて重合し、高分子量のアクリルポリマ―を生成する。これにより、上記の両ポリマ―成分が水に均一に分散された水分散型感圧性接着剤組成物が得られる。上記の中和、水への分散、主鎖延長および重合は、前記▲1▼の方法と同様にして行うことができる。なお、上記アクリルモノマ―を加える際には、水分散したウレタンポリマ―粒子によく吸収させるように混合し、必要により上記モノマ―とともに水を加えて混合してもよい。
【0031】
このようにして得られる水分散型感圧性接着剤組成物は、生成するウレタンポリマ―とアクリルポリマ―の使用割合を前記の範囲内とし、かつフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率および応力緩和時間が前記の範囲内となるように設定することにより、乳化剤を使用していないにもかかわらず、均一で安定な水分散体として取り扱うことができ、しかもこれ単独で接着力と保持力とのバランス特性にすぐれた、良好な接着特性を発揮させることができる。
【0032】
この水分散型感圧性接着剤組成物には、接着力をより向上させるため、ロジン系、変性ロジン系、ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフエノ―ル系、石油樹脂系、クマロン・インデン系、スチレン系、キシレン系などの公知の各種の粘着付与樹脂を配合してもよい。配合量は、ウレタンポリマ―とアクリルポリマ―とからなるポリマ―成分に対し、40重量%以下、好ましくは30重量%以下とするのがよく、多すぎると接着特性がかえつて損なわれやすい。なお、粘着付与樹脂を配合する場合は、配合後のフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率および応力緩和時間が前記の範囲内となるようにする。
【0033】
また、粘着付与樹脂を配合する場合、水分散型として配合するのが望ましく、とくに望ましくはウレタン−アクリルポリマ―の水分散液またはウレタンポリマ―の水分散液中に添加混合した、乳化剤無添加タイプの水分散液として配合するのがよい。上記のウレタン−アクリルポリマ―の水分散液はカルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を用いた前記▲1▼または▲2▼の方法に準じた方法で製造することができ、また上記のウレタンポリマ―の水分散液はアクリルモノマ―を使用しない以外は上記と同様の方法で製造することができ、これらの製造における任意の段階で粘着付与樹脂を添加混合するようにすればよい。
【0034】
本発明の水分散型感圧性接着剤組成物には、凝集力をより大きくするために、架橋剤を配合してもよい。また、充填剤、顔料などの各種添加剤を、通常の感圧性接着剤組成物の場合と同様に配合することができる。
【0035】
本発明においては、この水分散型感圧性接着剤組成物を、支持体の片面または両面に塗布乾燥して、厚さが通常10〜150μmの感圧性接着剤層を形成することにより、シ―ト状やテ―プ状などの感圧性接着シ―ト類とする。支持体としては、プラスチツクフイルム、紙、ラミネ―ト紙、不織布、金属箔、発泡シ―トなど、従来公知のものをいずれも使用できる。このような支持体を用いないで、上記の水分散型感圧性接着剤組成物を離型フイルム上に塗布乾燥して、支持体のない感圧性接着シ―ト類を作製することもできる。
【0036】
支持体付きの感圧性接着シ―ト類において、支持体としては、室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散体のフイルム化物からなり、引張り試験での引張り弾性率が0.5〜10Kg/mm2 、破断伸びが300〜2,000%、厚さが5〜100μmであるものを使用するのがとくに望ましい。この理由は、上記の水分散体が乳化剤を含まないため、シ―ト類全体としての耐水性にすぐれ、また上記の水分散体と前記の水分散型感圧性接着剤組成物がともに組成的に近似するウレタン−アクリル系で構成されているため、シ―ト類全体としての透明性にすぐれる感圧性接着シ―ト類を製造できるからである。
【0037】
また、上記特定のフイルム化物を用いると、支持体と感圧性接着剤層をともに塗布乾燥する方式で形成でき、シ―ト類の製造作業性にも好ましい結果が得られる。たとえば、両面接着シ―ト類では、(a)離型フイルム上に水分散型感圧性接着剤組成物を塗布乾燥して感圧性接着剤層を形成し、また別の離型フイルム上に上記のウレタン−アクリルポリマ―の水分散体を塗布乾燥して支持体フイルムを形成し、この支持体フイルムの両面に上記の感圧性接着剤層を貼り合わせる方法、(b)離型フイルム上に上記同様にして感圧性接着剤層を形成し、この上に上記同様の水分散体を塗布乾燥して支持体フイルムを形成し、さらにこの上に上記同様にして感圧性接着剤層を形成する方法、(c)離型フイルム上に水分散型感圧性接着剤組成物と上記同様の水分散体と水分散型感圧性接着剤組成物との3者を同時に積層状に塗布乾燥する方法などにより、製造できる。
【0038】
このような方法で製造できる両面接着シ―ト類は、支持体フイルムの厚さが5〜100μm、両面側の感圧性接着剤層の厚さがそれぞれ10〜100μmで、シ―ト類全体の厚さが50〜300μmであるのがよい。このような両面接着シ―ト類では、感圧性接着剤層の組成や厚さで接着特性を変化できるとともに、支持体フイルムの前記物性や厚さを自由に変えることで、物性変更の幅が広がり、各種用途に対応できる両面接着シ―ト類を提供することができる。
【0039】
上記支持体付きの感圧性接着シ―ト類において、支持体フイルムを形成するために使用する室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散体は、たとえば、ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルとアクリルポリオ―ルとの混合物などからなるポリオ―ルにポリイソシアネ―トを反応させてウレタンプレポリマ―を生成し、このウレタンプレポリマ―をそれに含ませたカルボキシル基を中和して水に分散させ、残存するイソシアネ―ト基の反応による主鎖延長を行つて、高分子量ウレタンポリマ―の水分散液を調製し、この水分散液にその固形分20〜90重量%に対し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするポリマ―のガラス転移温度が273K以上、好ましくは300K以上となる非粘着化用単量体80〜10重量%を加えて、重合処理することにより、製造できる。このように製造される室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散体は、ウレタンポリマ―を構成するポリオ―ルがポリマ―全体の10〜50重量%を占める割合とされているのが望ましい。
【0040】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
なおまた、以下に記載の「実施例1〜3」のうち、「実施例1,2」が本発明の特許請求の範囲に含まれる水分散型感圧性接着剤組成物の製造例として示したものであり、「実施例3」は特許請求の範囲には含まれない水分散型感圧性接着剤組成物の製造例を参考例として示したものである。
さらに、以下に記載の「実施例4〜6」のうち、「実施例4,5」が本発明の特許請求の範囲に含まれる感圧性接着シート類の例として示したものであり、「実施例6」は特許請求の範囲には含まれない感圧性接着シート類を参考例として示したものである。
【0041】
実施例1
ポリプロピレングリコ―ル(数平均分子量3,000、水酸基0.00067当量/g)50部の存在下、アクリル酸ブチル45部およびアクリル酸5部を、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を用いて、窒素気流下、50℃で6時間の重合反応を行い、粘稠液体を得た。この粘稠液体は、GPC(ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグラフイ―)の測定により、数平均分子量が3,000のポリプロピレングリコ―ルと、カルボキシル基が0.0014当量/g、水酸基が0.00025当量/g、数平均分子量が7,500のアクリルポリオ―ルとの混合物であることが確認された。
【0042】
この粘稠液体を、100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去したのち、イソホロンジイソシアネ―ト10.3部(全水酸基に対して2倍当量)を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.01部を加えて、65℃で3時間反応させ、カルボキシル基含有ウレタンプレボリマ―を生成した。これにトリエチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を加えて中和し、攪拌しながら水150部を加えて水に分散させた。その後、エチレンジアミン1.5部(残存するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水13.5部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させ、ウレタンポリマ―の水分散液を得た。
【0043】
この水分散液(固形分42.2重量%)50部に、水120部を加えて均一に攪拌したのち、アクリル酸ブチル63.3部を加えて、窒素気流下、1時間攪拌して、上記アクリルモノマ―を水分散しているウレタンポリマ―粒子に吸収させた。ついで、50℃に昇温し、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イル)〕プロパン0.02部を加えて重合反応を開始し、50℃に4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持し、冷却して、重合を完了した。
【0044】
このようにして、ウレタンポリマ―25重量%とアクリルポリマ―75重量%とからなるポリマ―成分が水に均一に分散されてなる、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率が10.5g/mm2 であり、また応力緩和時間が25秒である水分散型感圧性接着剤組成物を得た。
【0045】
上記の引張り弾性率および応力緩和時間は、下記の方法により、測定したものである。本明細書において、フイルム化物の引張り試験での引張り弾性率および応力緩和時間は、いずれも、下記の方法で測定される値を意味する。
【0046】
<引張り弾性率>
離型フイルム上に水分散型感圧性接着剤組成物を塗布乾燥して、厚さ50μmのフイルム化物を作製した。このフイルム化物を断面積約2mm2 となるようにサンプリングし、引張り試験機として、オ―トグラフAGS−50D型(島津製作所製)を用い、試験サンプルの長さを10mmとし、300mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、そのときの応力−ひずみ曲線の最初の直線部分から、下記の式にしたがつて、引張り弾性率を計算した。
【0047】
<応力緩和時間>
上記の引張り弾性率の測定の場合と同じサンプルで、かつ同じ引張り試験機を用い、300mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、50%伸張時点(5mm)で引張り試験をストツプし、その後の応力の変化を測定して、最大応力の1/eになる時間(秒)を測定した。
【0048】
実施例2
ポリプロピレングリコ―ル(数平均分子量4,000)100部に、粘着付与樹脂として軟化点112℃のテルペンフエノ―ル樹脂120部を加え、120℃に加熱して均一な状態にした。これに、N−メチルピロリドン20部に溶解したジメチロ―ルプロピオン酸8部を加え、100℃に加熱脱気して水分を取り除いた。4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト26部を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.03部を加えて、65℃で3時間反応させ、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を生成した。このウレタンプレポリマ―にトリエチルアミン3部を加え、攪拌して中和処理したのち、蒸留水480部を加え、分散処理した。その後、エチレンジアミン1部を蒸留水で3倍に希釈して加え、残存するイソシアネ―ト基の反応による主鎖延長を行つた。
【0049】
このようにして、粘着付与樹脂(軟化点112℃のテルペンフエノ―ル樹脂)を乳化剤を使用することなく水に安定に分散させてなるウレタンポリマ―の水分散液を得た。このウレタンポリマ―の水分散液は、全固形分中、粘着付与樹脂が46.5重量%、ウレタンポリマ―を構成するポリオ―ルが41.9重量%、同ポリイソシアネ―トが10重量%であつた。
【0050】
このように粘着付与樹脂を分散させたウレタンポリマ―の水分散液を、実施例1で得た水分散型感圧性接着剤組成物に、この組成物のウレタンポリマ―とアクリルポリマ―とからなるポリマ―成分100部あたり、上記水分散液中の粘着付与樹脂が30部となる割合で配合し、均一に混合して、水分散型感圧性接着剤組成物を得た。この水分散型感圧性接着剤組成物について、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率および応力緩和時間を前記同様に測定したところ、引張り弾性率は18.4g/mm2 、応力緩和時間は32秒であつた。
【0051】
実施例3
ポリプロピレングリコ―ル(数平均分子量4,000)50部に、N−メチルピロリドン10部に溶解したジメチロ―ルプロピオン酸4部を加え、100℃に加熱脱気して水分を取り除いた。4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト12部(水酸基全体に対して1.7倍当量)を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.01部を加えて、65℃で3時間反応させることにより、カルボキシル基含有ウレタンプレボリマ―を生成した。
【0052】
このプレポリマ―にアクリル酸ブチル211部およびアクリル酸イソボロニル53部を加え、全体を均一に攪拌したのち、トリエチルアミン1.5部を加え、中和した。別途、フラスコに1.5時間窒素置換した蒸留水750部を用意し、これに上記の中和物を滴下ロ―トにより滴下した。滴下完了後、エチレンジアミン0.5部を蒸留水で3倍に希釈して加え、さらにアゾビスイソブチルバレロニトリル0.02部を加え、60℃に加熱して、5時間の反応を行うことにより、イソシアネ―ト基の反応による主鎖延長および重合を行つた。
【0053】
このようにして、ウレタンポリマ―20.5重量%とアクリルポリマ―79.5重量%とからなるポリマ―成分が水に均一に分散されてなる、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率が14.3g/mm2 であり、また応力緩和時間が51秒である水分散型感圧性接着剤組成物を得た。
【0054】
実施例4
ポリテトラメチレングリコ―ル(数平均分子量3,000、水酸基0.00067当量/g)50部に、アクリル酸ブチル25部、アクリル酸エチル20部、アクリル酸4.5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5部からなる単量体混合物、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を加えて、窒素気流下、50℃で6時間の重合反応を行うことにより、粘稠液体を得た。この粘稠液体は、GPCの測定により、数平均分子量が3,000のポリテトラメチレングリコ―ルと、カルボキシル基が0.0012当量/g、水酸基が0.00033当量/g、数平均分子量が7,400のアクリルポリオ―ルとの混合物であることが確認された。
【0055】
つぎに、この粘稠液体を100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去したのち、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―ト19.8部(全水酸基に対して3倍当量)を加え、さらにジブチルすずジラウレ―ト0.01部を加えて、65℃で3時間反応させ、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を生成した。このウレタンプレポリマ―にトリエチルアミン6.3部(カルボキシル基に対して等当量)を加えて、中和したのち、攪拌しながら水150部を加えて、水に分散させた。その後、エチレンジアミン1.9部(残存するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水17.1部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させ、ウレタンポリマ―の水分散液を得た。
【0056】
この水分散液300部に水280部を加え、均一に攪拌したのち、アクリル酸ブチル16部とメタクリル酸メチル64部とからなる非粘着化用単量体(コポリマ―のガラス転移温度:330K)を加え、窒素気流下、1時間攪拌して、上記単量体を水分散しているウレタンポリマ―粒子に吸収させた。ついで、50℃に昇温し、2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イル)〕プロパン0.02部を加えて重合反応を開始し、50℃に4時間保持したのち、70℃に昇温して1時間保持し、冷却して、重合を完了した。
【0057】
このようにして得られた室温で非粘着性であるウレタン−アクリルポリマ―の水分散体を、離型フイルム上に塗布乾燥して、厚さが10μmのフイルム化物を作製した。このフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率は7.1Kg/mm2 、破断伸びは1,000%であつた。なお、上記の引張り弾性率は、実施例1に記載した水分散型感圧性接着剤組成物の引張り弾性率の測定方法に準じて、測定したものである。また、上記の破断伸びは、上記引張り弾性率の測定方法における破断時の伸び(%)を測定したものである。
【0058】
このようにして作製したフイルム化物を支持体フイルムとした。また、これとは別に、離型フイルム上に実施例1で得た水分散型感圧性接着剤組成物を塗布乾燥して、厚さが70μmの感圧性接着剤層を形成した。この感圧性接着剤層を上記の支持体フイルムの両面側に貼り合わせることにより、両面接着シ―トからなる感圧性接着シ―トを作製した。
【0059】
実施例5
実施例1で得た水分散型感圧性接着剤組成物に代えて、実施例2で得た水分散型感圧性接着剤組成物を使用した以外は、実施例4と同様にして、両面接着シ―トからなる感圧性接着シ―トを作製した。
【0060】
実施例6
実施例1で得た水分散型感圧性接着剤組成物に代えて、実施例3で得た水分散型感圧性接着剤組成物を使用した以外は、実施例4と同様にして、両面接着シ―トからなる感圧性接着シ―トを作製した。
【0061】
上記の実施例4〜6の各感圧性接着シ―トについて、下記の方法により、接着力試験および保持力試験を行つた。これらの試験結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0062】
<接着力試験>
幅20mm×長さ100mmとした感圧性接着シ―トを、厚さが25μmのポリエステルフイルムで裏打ちし、被着体として#280のサンドぺ―パでサンデイングしたステンレス板に、2kgのロ―ラを1往復させる方式で圧着し、23℃(室温)で20分間経過後、23℃,65%RHの雰囲気下、引張り速度300mm/分の条件で、180度剥離に要する力を測定した。
【0063】
<保持力試験>
フエノ―ル樹脂板に、10mm×20mmの接着面積で、厚さが25μmのポリエステルフイルムで裏打ちした感圧性接着シ―トを接着し、20分経過後、40℃下に20分間放置したのち、フエノ―ル樹脂板を垂下し、感圧性接着シ―トの自由末端に500gの均一荷重を負荷し、40℃において感圧性接着シ―トが落下するまでの時間(分)を測定した。
【0064】
【0065】
上記表1の結果から明らかなように、実施例4〜6の各感圧性接着シ―トは、接着力と保持力とのバランス特性にすぐれ、良好な接着特性を発揮するものであることがわかる。また、各感圧性接着シ―トは、使用した実施例1〜3の各水分散型感圧性接着剤組成物が乳化剤を含まず、しかも支持体フイルムを作製するために使用したウレタン−アクリルポリマ―の水分散体も乳化剤を含まないものであるため、シ―ト全体としての耐水性にすぐれ、そのうえ、支持体フイルムと感圧性接着剤層が組成的に近似するウレタン−アクリル系で構成されているため、シ―ト全体としての透明性にもすぐれていることがわかつた。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマ―を使用して水に安定に分散されたウレタンポリマ―を生成する際に、その反応系にアクリルモノマ―を加えて重合処理することにより、特定割合のウレタンポリマ―とアクリルポリマ―とからなるポリマ―成分が水に安定に分散された、そのフイルム化物の引張り試験での引張り弾性率と応力緩和時間が特定範囲に入る水分散体を得るようにしたことにより、接着力と保持力とのバランス特性にすぐれて良好な接着特性を発揮し、かつ耐水性にすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法ならびに感圧性接着シ―ト類を提供できる。
Claims (3)
- カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーをそのカルボキシル基を中和して水に分散させ、イソシアネート基の反応による上記プレポリマーの主鎖延長を行ったのち、アクリルモノマーを加えて重合することにより、ウレタンポリマー40〜5重量%とアクリルポリマー60〜95重量%とからなるポリマー成分が水に分散されてなり、そのフィルム化物の引張り試験での引張り弾性率が2〜30g/mm2 、応力緩和時間が5〜100秒である水分散型感圧性接着剤組成物を得ることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
- ポリマー成分に対し、粘着付与樹脂が40重量%以下の割合で含まれている請求項1に記載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
- 支持体上に請求項1または2に記載の方法で得られた水分散型感圧性接着剤組成物からなる層を有することを特徴とする感圧性接着シート類。
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