JP2002309381A - 方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法Info
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Abstract
きい絶縁皮膜を形成し、鉄損の低い方向性電磁鋼板を製
造する絶縁皮膜形成方法を提供する。 【解決手段】 アルミナゾルとほう酸を、Al:Bのモ
ル比で1:1〜5:1の範囲で混合し、これを仕上げ焼
鈍済みの方向性電磁鋼板に塗布し、500℃以上で焼き
付けて、ほう酸アルミニウムからなる絶縁皮膜を形成さ
せるに際し、アルミナゾルとして、100℃乾燥後のX
線回折測定におけるベーマイト(020)回折線の半価
幅が3度以上のものを用いる。前記アルミナゾル中の塩
基性塩化アルミニウムおよび塩基性酢酸アルミニウムの
合計の含有量が、Al換算で、アルミナゾル中全Al量
の30%以下であることが好ましい。
Description
張力が大きく方向性電磁鋼板の鉄損低減に有効に作用す
るほう酸アルミニウム皮膜を絶縁皮膜として形成する方
法に関する。
方位を主方位とする結晶組織を有し、通常2%以上のS
iを含有する鋼板であり、磁気鉄心材料として多用され
ており、特にエネルギーロスが少ない鉄損の低い材料が
求められている。Si含有量が5%以下である場合、そ
の磁気異方性の故に、鋼板に張力を付与することにより
鉄損が低減するという性質がある。鋼板に半永久的に張
力を付与するためには、鋼板表面に地鉄より熱膨張係数
の小さい皮膜を高温で形成することが有効である。
て、通常、自然に形成されるMg2SiO4もしくはMg
2SiO4とMgAl2O4を主体とする仕焼鈍皮膜は、焼
鈍後の冷却によって、鋼板に対して0.5kgf/mm
2程度の張力を付与しており、ある程度の鉄損低減効果
を有するが、その効果は十分ではない。このため、仕上
げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の絶縁性を高めるために形成
する絶縁皮膜によって、さらに張力を付与する努力がな
されている。例えば、特開昭48−39338号公報に
開示された、コロイド状シリカと燐酸塩を主体とする塗
布液を焼き付けて得られる絶縁被膜は、さらに、0.5
kgf/mm2程度の張力を付与することができ、現行
の市販の方向性電磁鋼板に広く用いられている。
する付与張力の影響を調査したところ、仕上げ焼鈍皮膜
+上記絶縁皮膜で得られる付与張力は、未だ不十分であ
り、より付与張力の大なる絶縁皮膜が形成できるなら
ば、方向性電磁鋼板の鉄損値は、さらに低減し得ること
が判明した。そこで、発明者らは、新規なる絶縁被膜の
開発に着手し、極めて付与張力の大きい絶縁被膜とし
て、特開平6−65754号公報、特開平6−6575
5号公報等において、アルミナゾルとほう酸を混合した
塗布液を塗布、焼き付けることによって得られるほう酸
アルミニウム被膜(AlxByO1.5(x-y))を提案してき
た。この絶縁皮膜は従来の絶縁皮膜の1.5〜2倍程度
の皮膜張力を与える。
く過程で、用いるべきアルミナゾルの性状によって、得
られる皮膜張力や造膜性、塗布液の安定性が異なること
がわかった。例えば、結晶性の低いアルミナゾルは、ほ
う酸との反応性が良好であるため高い皮膜張力を得るこ
とができる一方、造膜性が劣るために、必要な皮膜厚み
を確保することが困難であり、さらには、ほう酸と混合
した後の粘度安定性が悪く、ゲル化しやすいと言う性質
を有する。
ミナゾルは、造膜性が良好であり、かつ、ほう酸との混
合の後の粘度安定性に優れる一方で、ホウ酸との反応性
が劣り、得られる皮膜張力が不足する。そこで、発明者
らは、特開平10−287984号公報において、結晶
性の良好なアルミナゾルと、結晶性の低いアルミナゾル
を混合して用いるという方法を開示した。しかしなが
ら、この方法では、得られる皮膜張力、造膜性、粘度安
定性のいずれも十分に満足のゆくものではなかった。
鋼板に、ほう酸アルミニウム質の絶縁皮膜を形成するに
際し、得られる皮膜張力を低下させることなしに、塗布
液の粘度安定性等を確保する方法を開示するものであ
る。
酸とアルミナゾルを、Al:Bのモル比で1:1〜5:
1の範囲で混合した分散液を、仕上げ焼鈍済みの方向性
電磁鋼板に塗布し、500℃以上で焼き付けて、ほう酸
アルミニウム皮膜を形成するに当たり、用いるべきアル
ミナゾルとして、100℃乾燥後のX線回折測定におけ
るベーマイト(020)回折線の半価幅が3度以上のア
ルミナゾルを用いることを特徴とする方向性電磁鋼板の
絶縁皮膜形成方法、および、用いるべきアルミナゾルと
して上記条件に加えて、アルミナゾル中の塩基性塩化ア
ルミニウムおよび塩基性酢酸アルミニウム含有量が、A
l量換算でアルミナゾル中全Al量の30%以下である
ことを特徴とする方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法を
要旨とする。
子から成るコロイドであり、コロイドの組成は、形式的
に、Al2O3・xH2Oで表される。アルミナゾルの製
法は、各種存在し、各製造法や製造条件によってコロイ
ド粒子の結晶性は様々に変化する。アルミナゾルコロイ
ド粒子の結晶性の比較的良好なものは、第1図に示すよ
うに、乾燥ゲルのX線回折パターンの幅が狭く、かつ、
各回折ピークはγ−AlOOH(ベーマイト、Al2O3
・H2O)的の回折パターンに一致する。結晶性の低下
とともに各回折ピークの幅は広がり、ほとんどピークの
認められない場合もある。
ミナゾル中のコロイド粒子の結晶性の評価に適してい
る。また、結晶性の良好なものは、Al2O3・xH2O
で表現した場合のxの値が1〜2程度にあり、結晶性の
低下とともにxの値が増大する。これは、結晶性の低下
とともにコロイド粒子に結合する水が増えるからである
と思われる。一般に100℃程度の乾燥では、結晶水は
解放されない。
い皮膜張力が得られる一方で、造膜性が劣り、かつ、ほ
う酸との混合の後の粘度安定性に劣る、結晶性の低いア
ルミナゾルの成分を調査した。その結果、当初、発明者
らが用いていた低結晶性アルミナゾル中には、アルミナ
水和物コロイド粒子に加えて、塩基性塩化アルミニウム
や塩基性酢酸アルミニウムが多量に含有されていること
が判明した。
した。アルミナゾルコロイド粒子は数百nmの大きさで
あるのに対し、塩基性塩は水溶液中で重合度の低いポリ
アルミニウムカチオン(数nm)と酸からなる塩として
存在する故、両者は遠心分離と濾過により分離できる。
そこで、当初、発明者らが用いていた低結晶性アルミナ
ゾルにつき、1800rpmで1時間の遠心分離を施
し、沈殿物および濾液それぞれにつきAl量を調べたと
ころ、全Al量の内、コロイドとして沈降した量が60
%、上澄み中に残存した量が40%であった。さらに、
上澄み中の陰イオンを分析したところ、上澄み中Al量
に対し1/2〜1/3等量の塩素イオンや酢酸イオンを
認めた。
アルミニウムや塩基性酢酸アルミニウムとして存在して
いることが判明した。よって、このアルミナゾルの組成
は、Al換算で60%がコロイド、40%が塩基性アル
ミニウム塩であったといえる。当初、発明者らが用いて
いたアルミナゾル中に多量のこれら塩基性アルミニウム
塩が含有していた理由は定かではないが、アルミナゾル
の製造法に起因するものと思われる。
準備し、その水溶液を作成して、ほう酸を添加した。そ
の結果、塩基性塩化アルミニウムと塩基性酢酸アルミニ
ウムの場合は、添加攪拌中に水溶液がゲル化したが、塩
基性硝酸アルミニウム等、他の塩基性アルミニウム塩の
場合では、長時間放置してもゲル化が起こらなかった。
ていた低結晶性アルミナゾルが、ほう酸との混合後に、
液の粘度安定性の点で劣る理由は、コロイド粒子の結晶
性が低いことにあるのではなく、たまたま多量に含有さ
れていた塩基性塩化アルミニウムや塩基性酢酸アルミニ
ウムの存在によるものと考えられた。上記予想を確認す
るために、第1表に示すように、塩基性塩化アルミニウ
ムもしくは塩基性酢酸アルミニウムの含有量がAl換算
で全Al量の40%であるアルミナゾル、限外濾過によ
り塩基性塩化アルミニウムや塩基性酢酸アルミニウム含
有量をAl換算で全Al量の30%もしくは20%に減
少させたもの、さらに、塩基性硝酸アルミニウムをAl
換算で全Al量の40%含有するアルミナゾルを用意し
た。いずれも、ベーマイト(020)回折線の半価幅が
3度以上の低結晶性アルミナゾルである。これらアルミ
ナゾルにAl:Bのモル比が2:1となるようほう酸を
添加し、24時間放置後の液のゲル化の有無を観察し
た。
ニウムや塩基性酢酸アルミニウムをAl換算で全Al量
の40%含有するアルミナゾルを用いた場合には、24
時間後に液がゲル化してしまうが、これらの塩基性アル
ミニウム塩をAl換算で全Al量の30%以下に減らし
たものはゲル化が起こっていない。また、塩基性硝酸ア
ルミニウムを含有するゾルは、その含有量がAl換算で
全Al量の40%であっても、ゲル化が起こっていな
い。
び塩基性酢酸アルミニウム含有量がAl換算で全Al量
の30%以下の低結晶性アルミナゾルを用いた塗布液
は、粘度安定性の点で問題なく使用できるといえる。次
ぎに、前記塗布液を鋼板に塗布乾燥し、塗布液の造膜性
を調査した。造膜性が悪い場合には、塗布量の増大とと
もに乾燥膜が剥がれやすくなるので、5g/m2塗布し
た場合に剥離が起こるか否かをもって造膜性の判定基準
とした。
ムや塩基性酢酸アルミニウムを、Al換算で全Al量の
40%含有するアルミナゾルを用いた場合には、5g/
m2塗布時に剥離が起こるが,これらの塩基性アルミニ
ウム塩を、Al換算で全Al量の30%以下に減らした
ものは、剥離が起こっていない。また、塩基性硝酸アル
ミニウムを含有するゾルは、その含有量がAl換算で全
Al量の40%であっても、剥離が起こっていない。
低結晶性アルミナゾルとほう酸を混合した塗布液の造膜
性が劣る理由は、コロイド粒子の結晶性が低いことにあ
るのではなく、たまたま多量に含有されていた塩基性塩
化アルミニウムや塩基性酢酸アルミニウムの存在による
ものと言える。以上のように、ほう酸との反応性が良好
で高い皮膜張力が得やすい低結晶性アルミナゾルの欠点
であった、ほう酸との混合後のゲル化のしやすさ、およ
び、低い造膜性の原因は、アルミナゾルの結晶性自体に
あるのではなく、当初、発明者らの用いていたアルミナ
ゾルに、たまたま多量に含有されていた塩基性塩化アル
ミニウムや塩基性酢酸アルミニウムにあると言える。
ウム塩含有量を制御した低結晶性アルミナゾルを用いる
ならば、結晶性の良好なアルミナゾルと混合しなくと
も、すなわち、得られる皮膜張力を犠牲にしなくとも、
良好な液安定性や造膜性を得ることができる。つづい
て、アルミナゾルの結晶性と得られる皮膜張力の関係に
ついて述べる。特開平10−287984号公報に開示
したように、結晶水含有量の比較的良好な、すなわち、
結晶性の低いアルミナゾルは、ほう酸との反応性に富
み、高い皮膜張力を得ることができる。同公報において
は、結晶性の指標として、100℃で乾燥した場合の結
晶水含有量(Al2O3・xH2Oで表記した場合のxの
値)を用いた。この指標は測定誤差を含むことが判明し
たため、本発明では、結晶水含有量として、100℃乾
燥後のX線回折におけるベーマイト(020)回折線の
半価幅を採用することとした。
定義を示した。第1図に示したように、ベーマイト(0
20)回折線は、最も強い反射強度を与える回折線であ
り、格子間隔で約0.6nm付近にあり、CuKα線を
用いた場合には、回折角2θ=14度付近となる。各種
アルミナゾルを用意し、塩基性塩化アルミニウムと塩基
性酢酸アルミニウムの合計の含有量を、Al換算で全A
l量の40%以下に制御した上で、ほう酸と混合し、鋼
板に塗布し850℃で焼き付けて得られる皮膜張力を測
定した結果は実施例で詳細に述べるが、ベーマイト(0
20)回折線の回折幅が3度以上のアルミナゾルを用い
た場合には高い皮膜張力が得られる。
膜形成方法は、結晶性の低いアルミナゾルとほう酸との
混合液を、仕上げ焼鈍(二次再結晶焼鈍)が完了した方
向性電磁鋼板に塗布し、焼き付けて、ほう酸アルミニウ
ムからなる絶縁皮膜を形成するものである。結晶性の低
いアルミナゾルとは、100℃で乾燥した場合のX線回
折におけるベーマイト(020)回折線の半価幅が3度
以上のアルミナゾルである。
は、ほとんど(020)回折線が認められない、いわゆ
る無定形ないし非晶質アルミナゾルを含め、ほう酸と混
合して焼き付けることにより、高い皮膜張力を鋼板に付
与することができる。ただし、上記アルミナゾル中の塩
基性塩化アルミニウムや塩基性酢酸アルミニウムの含有
量は、Al換算で、アルミナゾル中全Al量の30%以
下でなければならない。これら塩基性アルミニウム塩含
有量が30%を越えると、ほう酸との混合時の液の粘度
安定性が低下しゲル化しやすくなり、また、造膜性が劣
化して必要な皮膜厚みを達成できなくなる。
性アルミニウム塩を30%を越えて含有するものがある
が、その場合には、限外濾過等により、塩基性アルミニ
ウム塩の含有量を、Al換算で全Al量の30%以下に
減少させて使用することができる。塗布液中のアルミナ
ゾルとほう酸の混合比は、Al:Bのモル比で1:1〜
5:1の範囲とする。この範囲外では、得られる皮膜張
力が著しく低下し、特に、ほう酸が過剰の場合には、未
反応のB2O3が生成し、耐水性等が劣化する。
ほう酸に、必要に応じ添加物を加えてもよい。例えば、
酸化珪素前駆体化合物、遷移金属化合物、アルカリ、あ
るいは、アルカリ金属化合物、希土類元素化合物、無機
酸、有機酸,アンモニア等を必要量添加することができ
る。上記塗布液を、5%以下のSiを含有する仕上げ焼
鈍済みの方向性電磁鋼板に、ロールコート法、デップ
法、スプレー法、あるいは、電気泳動法など、公知の手
段により塗布する。塗布法は、特に限定されず、液性状
等に応じて最適な方法を選択すればよい。
向性電磁鋼板には、(1)一般的に公知の製造法、すな
わち、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して仕上げ
焼鈍を行うことによって生ずるMg2SiO4もしくはM
g2SiO4とMgAl2O4を主体とする仕焼鈍皮膜を有
するものと、(2)これら仕上げ焼鈍皮膜のない方向性
電磁鋼板、の2種類があり、本発明は、いずれの方向性
電磁鋼板にも適用できる。
しては、(a)MgO焼鈍分離剤中に仕上げ焼鈍皮膜形
成を阻害する添加物を含有させたり(特開平05−29
9228号公報)、(b)MgOに代えてAl2O3等、
不活性な酸化物等を主体とする焼鈍分離剤として用いる
ことにより意図的に仕上げ焼鈍皮膜を形成させない方
法、(c)通常の仕上げ焼鈍を行った後に仕上げ焼鈍皮
膜を酸洗等で除去する方法、がある。
8号公報に開示したように、焼鈍分離剤中のアルカリ金
属元素濃度を制御することにより、仕上げ焼鈍皮膜がな
いばかりでなく表面が平滑である方向性電磁鋼板が得ら
れる。また、(c)の製造法を採用した後、化学研磨、
電解研磨によって、(b)と同様の表面が平滑な方向性
電磁鋼板が得られる。本発明の絶縁皮膜は、特に表面が
平滑な方向性電磁鋼板の鉄損値を著しく低減させること
に効果的である。
ち、仕上げ焼鈍皮膜を有する方向性電磁鋼板の場合、M
g2SiO4もしくはMg2SiO4とMgAl2O4を主体
とする仕焼鈍皮膜の上に、直接、本発明の塗布液を塗布
焼き付けても特段問題はないが、本発明の塗布液を焼き
付ける前に、燐酸塩とコロイダルシリカを主体とする従
来の絶縁皮膜をあらかじめ形成すると、極めて耐食性の
高い絶縁皮膜となる。
本発明の塗布液を適用する場合には、特開平06−18
4762号公報に開示したように、0.001μm以上
の膜厚を有するSiO2の膜をあらかじめ形成させるこ
とによって、鋼板と絶縁皮膜との間の良好な密着性を得
ることができる。SiO2膜の形成方法には、方向性電
磁鋼板の弱酸化性雰囲気中焼鈍により、SiO2外部酸
化膜を形成する方法や、CVDやPVD等のドライコー
ティングにより、SiO2膜を形成する方法がある。
ザー照射による点列状の局所歪み導入や溝形成等の、い
わゆる、磁区制御と併用すれば、本発明の絶縁皮膜によ
る高い付与張力により、極めて低い鉄損値を有する方向
性電磁鋼板が得られる。本発明の塗布液を塗布した方向
性電磁鋼板は、500℃〜1200℃で焼付を行う。5
00℃未満の場合、アルミナ水和物の脱水が不十分であ
り、ほう酸アルミニウムが形成し難い。また、1200
℃以上の焼付温度は、特に大きな不都合はないものの、
経済的ではない。
り、この温度範囲では、ほう酸アルミニウムの形成が容
易に進行し、高い皮膜張力が得られる。焼付の雰囲気
は、一般的には限定されないが、仕上げ焼鈍皮膜がない
方向性電磁鋼板に適用する場合には、絶縁皮膜と鋼板と
の間の界面の酸化を防止するために、非酸化性雰囲気な
いし水素を含有する雰囲気を採用することが望ましい。
塩基性アルミニウム塩の種類および含有量の異なる各種
アルミナゾルとほう酸を混合し、必要に応じて純水を添
加して塗布液を準備した。通常の製造法により製造した
仕上げ焼鈍皮膜を有する板厚0.23mmの方向性電磁
鋼板を用意し、第2表の塗布液を、片面あたり5g/m
2塗布し、850℃で30秒間焼き付けた。塗布液中の
Al:Bのモル比は2:1である。その際の塗布液の安
定性、造膜性、絶縁皮膜形成後の磁気特性と絶縁皮膜張
力を第2表に示した。
の有無、造膜性は、乾燥後の皮膜の剥離の有無、皮膜張
力は、片面を保護しつつアルカリにより絶縁皮膜を除去
した場合の鋼板のそりから算出した。第2表に示したよ
うに、塩基性塩化アルミニウムおよび塩基性酢酸アルミ
ニウムの含有量が、Al換算でアルミナゾル中全Al量
の30%を越える塗布液(No.5および8)では、塗
布液の粘度が不安定であり、かつ、造膜性が悪く、乾燥
後に皮膜の剥離が起こっているが、上記両塩基性アルミ
ニウム塩が30%以下の塗布液では、そのような現象が
認められない。
が3度以上のアルミナゾルを用いた場合には、そうでな
い場合に比較して、得られる皮膜張力が大きく、鉄損値
のより低い方向性電磁鋼板となっている。 (実施例2)通常の製造法により製造した仕上げ焼鈍皮
膜を有する板厚0.23mmの方向性電磁鋼板を用意
し、これに、従来のコリダルシリカと燐酸塩を主体とす
るコーティング液を、5g/m2塗布し850℃で60
秒焼き付けたもの、および、コロイダルシリカと燐酸塩
を1g/m2塗布して600℃で30秒焼き付けた後、
さらに、ほう酸とアルミナゾルからなる塗布液を、さら
に、4g/m2塗布して850℃で60秒焼き付けたも
のを用意した。
種類用意した。すなわち、結晶性の良好なアルミナゾル
と低結晶性アルミナゾルを混合したもの、および、低結
晶性アルミナゾルのみを用いたものである。いずれのア
ルミナゾルも、塩基性塩化アルミニウムや塩基性酢酸ア
ルミニウムの含有量は、Al換算で全Al量の30%以
下である。
皮膜張力、耐錆性を調査した。耐錆性は、50℃、5%
食塩水を5時間噴霧した後の発錆の有無により判定し
た。結果を第3表に示す。コロイダルシリカと燐酸塩を
主体とする従来のコーティング液を焼き付けた上に、本
発明のコーティング液を焼き付けた方向性電磁鋼板は、
従来のコーティング液のみを用いた従来の方向性電磁鋼
板に劣らない耐錆性を有し、かつ、鉄損値が著しく改善
されている。
なる塗布液は、従来のコロイダルシリカと燐酸塩を主体
とする塗布液や、結晶性良好なアルミナゾルと低結晶性
アルミナゾルを混合したうえでほう酸を混入させた場合
に比較して、得られる皮膜張力が大きく、その結果、低
い鉄損値を与えている。
従って仕上げ焼鈍を行った板厚0.22mmの仕上げ焼
鈍皮膜が無く、かつ、表面が平滑である方向性電磁鋼板
を用意した。溝付歯車ロールにより、これに、深さ20
μm、幅100μmの溝を、5mm間隔で圧延方向にほ
ぼ垂直の方向に形成した。一部の方向性電磁鋼板には、
還元性雰囲気中の焼鈍により、10nmの厚さでSiO
2膜を形成した。
を主体とするコーティング液を5g/m2塗布し850
℃で60秒焼き付けたもの、および、ほう酸とアルミナ
ゾルからなる塗布液を5g/m2塗布して850℃で6
0秒焼き付けたものを用意した。ほう酸とアルミナゾル
からなる塗布液は2種類用意した。すなわち、結晶性の
良好なアルミナゾルと低結晶性アルミナゾルを混合した
もの、および、低結晶性アルミナゾルのみを用いたもの
である。
ミニウムや塩基性酢酸アルミニウムの含有量は、Al換
算で全Al量の30%以下である。得られた方向性電磁
鋼板の磁気特性、絶縁皮膜張力、密着性を調査した。皮
膜密着性は、曲率半径10mmの丸棒に鋼板を巻き付け
た場合の皮膜の剥離の有無によって判定した。第4表に
示すように、SiO2膜を形成することにより、絶縁皮
膜の密着性が良好となり、また、低結晶性アルミナゾル
とほう酸からなる塗布液は、従来のコロイダルシリカと
燐酸塩を主体とする塗布液や、結晶性良好なアルミナゾ
ルと低結晶性アルミナゾルを混合したうえでほう酸を混
入させた場合に比較して、得られる皮膜張力が大きく、
その結果、極めて低い鉄損値を与えている。
して格段に大きい張力を方向性電磁鋼板に付与すること
ができるほう酸アルミニウム質の絶縁皮膜を、粘度変化
の少ない塗布液を用いて密着性良好に形成することがで
き、方向性電磁鋼板の鉄損を著しく改善できる。
ターン(CuKα線使用)を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 アルミナゾルとほう酸を、Al:Bのモ
ル比で1:1〜5:1の範囲で混合し、これを仕上げ焼
鈍済みの方向性電磁鋼板に塗布し、500℃以上で焼き
付けて、ほう酸アルミニウムからなる絶縁皮膜を形成さ
せるに際し、アルミナゾルとして、100℃乾燥後のX
線回折測定におけるベーマイト(020)回折線の半価
幅が3度以上のものを用いることを特徴とする方向性電
磁鋼板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項2】 前記アルミナゾル中の塩基性塩化アルミ
ニウムおよび塩基性酢酸アルミニウムの合計の含有量
が、Al換算で、アルミナゾル中全Al量の30%以下
であることを特徴とする、請求項1記載の方向性電磁鋼
板の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項3】 Mg2SiO4もしくはMg2SiO4とM
gAl2O4を主体とする仕上げ焼鈍皮膜を有する方向性
電磁鋼板に、燐酸塩とコロイダルシリカを主体とする塗
布液を塗布した後、乾燥もしくは焼き付けた上で、ほう
酸とアルミナゾルからなる混合液を塗布焼き付けること
を特徴とする、請求項1または2記載の方向性電磁鋼板
の絶縁皮膜形成方法。 - 【請求項4】 仕上げ焼鈍皮膜を除去したあるいは意図
的に形成させなかった方向性電磁鋼板に、0.001μ
m以上のSiO2膜を形成した後、ほう酸とアルミナゾ
ルからなる混合液を塗布焼き付けることを特徴とする、
請求項1または2記載の方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成
方法。 - 【請求項5】 前記SiO2皮膜の形成方法が、方向性
電磁鋼板の弱酸化性雰囲気中での焼鈍、もしくは、方向
性電磁鋼板へのドライコーティングのいずれかであるこ
とを特徴とする、請求項4記載の方向性電磁鋼板の絶縁
皮膜形成方法。
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JP2001115929A JP3895943B2 (ja) | 2001-04-13 | 2001-04-13 | 方向性電磁鋼板の絶縁皮膜形成方法 |
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