JP2002159180A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路

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JP2002159180A
JP2002159180A JP2000355640A JP2000355640A JP2002159180A JP 2002159180 A JP2002159180 A JP 2002159180A JP 2000355640 A JP2000355640 A JP 2000355640A JP 2000355640 A JP2000355640 A JP 2000355640A JP 2002159180 A JP2002159180 A JP 2002159180A
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winding
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switching
resonance
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複合共振形スイッチングコンバータにおける
電力損失の低減と、重負荷条件での安定したZVSの確
保、及び製造能率の向上。 【解決手段】 複合共振形としてのスイッチング電源回
路の絶縁コンバータトランスについて、一次巻線と二次
巻線とについていわゆる逆転巻きとしたうえで加極性接
続するようにする。この構造では、一次磁束と二次磁束
は打ち消し合うように作用することになるため、絶縁コ
ンバータトランスのコアに対してギャップを施さなくと
も飽和が生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電子機器に電
源として備えられるスイッチング電源回路に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源回路として、例えばフ
ライバックコンバータやフォワードコンバータなどの形
式のスイッチングコンバータを採用したものが広く知ら
れている。これらのスイッチングコンバータはスイッチ
ング動作波形が矩形波状であることから、スイッチング
ノイズの抑制には限界がある。また、その動作特性上、
電力変換効率の向上にも限界があることがわかってい
る。そこで、先に本出願人により、共振形コンバータに
よるスイッチング電源回路が各種提案されている。共振
形コンバータは容易に高電力変換効率が得られると共
に、スイッチング動作波形が正弦波状となることで低ノ
イズが実現される。また、比較的少数の部品点数により
構成することができるというメリットも有している。
【0003】図7の回路図は、先に本出願人が提案した
発明に基づいて構成することのできる、先行技術として
のテレビジョン受像器用のスイッチング電源回路の一例
を示している。この図に示す電源回路の基本構成として
は、一次側の一石結合の電圧共振形コンバータと、二次
側の、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2と
高圧発生トランスHVTの一次巻線N4の並列接続と電
圧共振コンデンサとによる電圧共振回路とを組み合わせ
たものである。
【0004】この図に示す電源回路においては、先ず、
商用交流電源(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力
電圧を得るための整流平滑回路として、ブリッジ整流回
路Di及び平滑コンデンサCiからなる全波整流回路が
備えられ、交流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する
整流平滑電圧Eiを生成するようにされる。
【0005】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。そしてこの図7の場合は、1石
のスイッチング素子Q1によりシングルエンド動作を行
う電圧共振形コンバータ回路として、自励式の構成が採
られる。この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧
のバイポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジス
タ)が採用されている。
【0006】スイッチング素子Q1のベースと一次側ア
ース間には、駆動巻線NB、共振コンデンサCB、ベース
電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆動
用の直列共振回路が接続される。また、スイッチング素
子Q1のベースと平滑コンデンサCiの負極(1次側ア
ース)間に挿入されるクランプダイオードDDにより、
スイッチング素子Q1のオフ時に流れるクランプ電流の
経路を形成するようにされている。なお、起動抵抗RS
は、起動時のベース電流を整流平滑ラインから得るため
に挿入されるものである。
【0007】また、上記スイッチング素子Q1のコレク
タ−エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが
並列に接続されている。そして並列共振コンデンサCr
自身のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPI
Tの一次巻線N1側のリーケージインダクタンスL1とに
より電圧共振形コンバータの一次側並列共振回路を形成
する。
【0008】この図に示す直交形制御トランスPRT
は、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線
NCが巻装された可飽和リアクトルである。この直交形
制御トランスPRTは、スイッチング素子Q1を駆動す
ると共に、定電圧制御のために設けられる。この直交形
制御トランスPRTには、図示するようにして、共振電
流検出巻線ND、駆動巻線NBが巻装され、また、これら
2つの巻線とは直交する方向に対して制御巻線NCが巻
装される。
【0009】直交形制御トランスPRTにおいては、共
振電流検出巻線NDに得られたスイッチング出力がトラ
ンス結合を介して駆動巻線NBに誘起される。これによ
り、自励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB,
CB)からベース電流制限抵抗RBを介してスイッチング
素子Q1のベースにドライブ電流が出力される。これに
より、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周
波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチン
グ動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得ら
れるとされるスイッチング出力を絶縁コンバータトラン
スPITの一次巻線N1に伝達するようにされている。
【0010】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られたスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられる。この絶縁コンバ
ータトランスPITの構造としては、例えば図8に示さ
れるよにうに、フェライトのE型コアCR1,CR2か
ら成るEE型コアを備える。そして、図示するようにし
て、分割ボビンBを利用して、ともにリッツ線である一
次巻線N1と二次巻線N2とをそれぞれ分割された領域に
対して巻装する。ここで、一次巻線N1と二次巻線N2と
については、ともに同じ巻方向により巻回される。そし
て、EE型コアの中央磁脚に対しては図のようにギャッ
プGを形成するようにしている。このギャップGのギャ
ップ長によって絶縁コンバータトランスPITにおける
漏洩インダクタンスが決定され、また、所要の結合係数
による疎結合が得られるようになっている。ここでの結
合係数kとしては、例えばk≒0.85という疎結合の
状態を得るようにしており、その分、飽和状態が得られ
にくいようにしている。このギャップGは、E型コアC
R1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くす
ることで形成することができ、この場合のギャップ長と
しては、1mm程度とされる。
【0011】ところで、絶縁コンバータトランスPIT
における動作として、一次巻線N1、二次巻線N2の極
性(巻方向)と整流ダイオードDOの接続関係によっ
て、一次巻線N1のインダクタンスL1と二次巻線N2の
インダクタンスL2との相互インダクタンスMについ
て、+Mの動作モード(加極性モード:フォワード動
作)となる場合と−Mの動作モード(減極性モード:フ
ライバック動作)となる場合とがある。例えば、一次巻
線N1と二次巻線N2の極性(巻方向)が同じであるとし
て、図9(a)に示す回路と等価となる場合に相互イン
ダクタンスは+Mとなり、図9(b)に示す回路と等価
となる場合に相互インダクタンスは−Mとなる。
【0012】上記絶縁コンバータトランスPITの一次
巻線N1の巻始め端部は、スイッチング素子Q1のコレク
タと接続され、巻終わり端部は検出巻線NDを介して平
滑コンデンサCiの正極(整流平滑電圧Ei)と接続さ
れている。従って、一次巻線N1に対しては、スイッチ
ング素子Q1のスイッチング出力が供給されることで、
スイッチング周波数に対応する周期の交番電圧が発生す
る。
【0013】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。
【0014】即ち、この電源回路では、一次側にはスイ
ッチング動作を電圧共振形とするための並列共振回路が
備えられ、二次側には電圧共振動作を得るための並列共
振回路が備えられる。このように一次側及び二次側に対
して共振回路が備えられて動作する構成のスイッチング
コンバータを、本明細書では「複合共振形スイッチング
コンバータ」と呼ぶこととする。
【0015】上記のようにして形成される電源回路の二
次側においては、二次巻線N2に対して並列に、高圧発
生トランスHVTの一次巻線N4が接続される。この場
合、絶縁コンバータトランスPITが複合共振形スイッ
チングコンバータとして動作することによって、二次側
並列共振コンデンサC2の両端には共振パルス電圧V2
が発生する。そして高圧発生トランスHVTは、一次巻
線N4に印加される共振電圧V2を二次側に伝達する。
この高圧発生トランスHVTは、一次巻線N4に発生す
る共振電圧を昇圧して、例えばCRT(陰極線管)のア
ノード電圧レベルに対応した高電圧を生成する。このた
め、高圧発生トランスHVTの二次側には、5組の昇圧
巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5が層間フィル
ム同軸捲きによって分割されて巻装されている。そして
各々の昇圧巻線NHV1〜NHV5の巻終わり端部に対して
は、高圧整流ダイオードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,
DHV5のアノード側が接続されている。さらに、高圧整
流ダイオードDHV1のカソードが平滑コンデンサCOHVの
正極端子に接続され、残る高圧整流ダイオードDHV2〜
DHV5の各カソードが、それぞれ昇圧巻線NHV1〜NHV4
の巻始め端部に対して接続される。
【0016】即ち、高圧発生トランスHVTの二次側に
は、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV1]、
[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、[昇圧
巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧巻線N
HV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線NHV5、
高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流回路
が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方式の
半波整流回路が形成されていることになる。
【0017】従って、高圧発生トランスHVTの二次側
においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1〜NH
V5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCOHVに
対して充電するという動作が行われ、平滑コンデンサC
OHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起される
誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧EHVが
得られることになる。そして、この平滑コンデンサCOH
Vの両端に得られた直流高電圧EHVを、例えばCRTの
アノード電圧として利用するようにしている。
【0018】直流高電圧EHVは、高圧抵抗R1,分割抵
抗R2によって分圧されて制御回路1に対して供給され
る。制御回路1においては、分圧された直流高電圧EHV
を用いて定電圧化のための制御信号を生成する。即ち制
御回路1では、直流高電圧EHVの電圧レベルの変化に応
じて、制御巻線NCに流す制御電流(直流電流)レベル
を可変するようにされている。これによって、駆動巻線
NBのインダクタンスLBが可変されて、自励発振駆動回
路内の直列共振回路の共振周波数、つまり、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数が可変制御される。こ
れにより直流高電圧EHVを定電圧化する。交流入力電圧
VAC=90V〜120V、高圧負荷電力PHV=126W
〜0Wの変動に対して、スイッチング周波数fsは、8
0KHz〜95KHzの範囲で制御される。ここで、ス
イッチング周波数を可変するのにあたってはスイッチン
グ素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定とされたうえ
で、オンとなる期間TONを可変制御するように動作して
いる。本明細書では、このような複合的な制御を「複合
制御方式」ということとしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記図7に
示した電源回路においては、図8の絶縁コンバータトラ
ンスPITの構造によっても示したように、一次巻線N
1と二次巻線N2との巻線方向が同一である。従って、一
次巻線N1に流れる一次巻線電流I1によって、一次巻線
N1には起磁力が生じ、同様にして、二次巻線N2に流れ
る二次巻線電流I2によっては二次巻線N2に対して起磁
力が生じる。これによって、図8に示すようにして一次
側には一次磁束φ1が発生し、二次側には二次磁束φ2
が発生する。ここで、前述もしたように、図7の回路に
おける一次巻線N1と二次巻線N2とは、加極性で接続さ
れていることから、上記した一次磁束φ1と二次磁束φ
2とは互いに加え合う動作となり、従って、絶縁コンバ
ータトランスPITの中央磁脚には、φ1+φ2で表さ
れる磁束が発生することになる。
【0020】即ち、一次巻線N1と二次巻線N2とが同じ
巻方向で、かつ、加極性接続であることによって、中央
磁脚には、一次磁束φ1と二次磁束φ2が加わり合った
比較的大きな磁束が発生することになる。ここで、仮に
絶縁コンバータトランスPITのコアの中央磁脚にギャ
ップが形成されていない(ギャップ長=0)とすると、
例えば負荷電力Po=100W程度以上の条件では、フ
ェライトコアの磁化曲線の飽和領域に入ることになる。
なお、本明細書において、「飽和」といった場合は、こ
のような磁化曲線の飽和領域に入る状態のことを指す。
これによって、コアのインダクタンスが急激に低下し
て、BJTのメインスイッチング素子Q1が破壊する可
能性が高くなる。そこで、絶縁コンバータトランスPI
Tとしては、図8にも示したようにしてギャップGを形
成することで、所要の結合係数による疎結合の状態が得
られるようにしており、これによって飽和が生じないよ
うにしている。
【0021】そして、図7に示す構成の電源回路の場合
において上記した現象を回避してレギュレーション範囲
を満足するためには、絶縁コンバータトランスPITに
形成するギャップGのギャップ長としては、1mm±
0.1mmの精度で管理を行うことが必要とされてい
る。上記したギャップ長の精度を満足するには、E型コ
アCR1,CR2としては、各々の中央磁脚の端部を研
磨して0.5mm±0.05mmという精度で製造管理
を行う必要が生じてくる。従って、E型コアの中央磁脚
を高精度で研磨する工程を要するために製造時間が長く
なり、また、同一のE型コアのギャップ長が異なる絶縁
コンバータトランスの製造を実施する場合に対応して製
品管理を行うのも困難となる。つまり、ギャップを形成
する必要のあることで、製造上の能率の低下を招いてい
る。
【0022】また、絶縁コンバータトランスPITにギ
ャップGを形成した場合、このギャップGの近傍にはフ
リンジ磁束といわれる漏洩磁束が発生するために、リッ
ツ線である一次巻線N1と二次巻線N2において渦電流損
失が発生して局部的な発熱が生じる。この発熱は、温度
が低い巻線に伝導して、巻線自体の温度を高くすること
になる。これによって、いわゆる銅損といわれる電力損
失が増加して、電力変換効率が低下してしまうことが分
かっている。特に、図7に示す回路では、一次巻線N1
に流れる一次巻線電流I1と、二次巻線N2に流れる二次
巻線電流I2に流れる高周波電流量が多いことから、一
次巻線電流I1と二次巻線N2における、リッツ線として
の直流抵抗と上記した渦電流損失による発熱は顕著とな
るものである。
【0023】更に、図7に示す回路では、124W程度
の重負荷の条件において交流入力電圧VACのレベルがA
C100系で75V〜85V程度にまで低くなったよう
な場合に、一次側メインスイッチング素子Q1の動作と
してZVS(Zero Voltage Switching)動作とならない異
常動作の期間が生じることも問題となる。このような現
象が持続すると、メインスイッチング素子Q1が発熱し
て短時間で破壊するおそれがある。
【0024】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は上記した
課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のよう
に構成する。即ちスイッチング電源回路として、直流入
力電圧を断続して出力するためのスイッチング素子を備
えて形成されるスイッチング手段と、上記スイッチング
手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路が形
成されるようにして備えられる一次側並列共振コンデン
サと、一次側と二次側とで疎結合とされる所要の結合係
数が得られる構造を有し、一次側に得られる上記スイッ
チング手段の出力を二次側に伝送する絶縁コンバータト
ランスと、上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に
対して二次側共振コンデンサを接続することで形成され
る二次側共振回路と、上記絶縁コンバータトランスに巻
装した二次側巻線と並列接続された一次側巻線を備え、
上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に得られる共
振電圧を、一次側から二次側に伝送することで、二次側
から上記共振電圧を昇圧した高圧電圧を得るようにされ
た高圧発生トランスと、上記高圧発生トランスの二次側
に得られる高圧電圧について整流動作を行うことで、直
流高電圧を得るように構成された直流高電圧生成手段
と、上記直流高電圧に基づく制御信号に基づいて、上記
スイッチング素子のスイッチング周波数及び導通角の制
御を行なうことで、上記直流高電圧を定電圧化する定電
圧化手段とを備えるようにする。そして上記絶縁コンバ
ータトランスは、飽和を抑制するためのギャップが施さ
れていないコアを備えると共に、上記一次巻線と上記二
次巻線は互いに逆となる巻方向によって上記コアに対し
て巻回され、上記一次巻線と上記二次巻線とについては
加極性接続されるように構成する。
【0025】上記構成によれば、一次側においては電圧
共振形コンバータを形成するための一次側並列共振回路
備え、二次側には、二次巻線及び二次側並列共振コンデ
ンサとにより形成される二次側並列共振回路とが備えら
れた、いわゆる複合共振形スイッチングコンバータの構
成が得られる。また、直流高電圧出力の定電圧制御とし
ては、スイッチング素子のスイッチング周波数と導通角
の複合制御方式で行う。この構成を基として、絶縁コン
バータトランスについては一次巻線と二次巻線を互いに
逆となる巻方向によって巻装されたうえで、一次巻線と
二次巻線とについては加極性接続を行う。これにより、
一次巻線と二次巻線とに得られる磁束は打ち消し合うよ
うに作用するので、コアに生じる磁束は小さなものとす
ることができ、それだけ飽和状態となるのを抑制するこ
とができる。このために、本発明のスイッチング電源回
路における絶縁コンバータトランスのコアに対しては、
飽和を抑制する目的のギャップは施されないものであ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態としてのスイッチング電源回路の構成例を示してい
る。この図1に示す電源回路は、上記図7と同様に、一
次側の一石結合の電圧共振形コンバータと、二次側の、
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2と高圧発
生トランスHVTの一次巻線N4の並列接続と電圧共振
コンデンサとによる電圧共振回路とを組み合わせたもの
である。この電源回路においては、先ず、商用交流電源
(交流入力電圧VAC)を入力して直流入力電圧を得るた
めの整流平滑回路として、ブリッジ整流回路Di及び平
滑コンデンサCiからなる全波整流回路が備えられ、交
流入力電圧VACの1倍のレベルに対応する整流平滑電圧
Eiを生成するようにされる。
【0027】上記整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を
入力して断続するスイッチングコンバータとしては、1
石のスイッチング素子Q1を備えて、いわゆるシングル
エンド方式によるスイッチング動作を行う電圧共振形コ
ンバータが備えられる。そしてこの場合は、1石のスイ
ッチング素子Q1によりシングルエンド動作を行う電圧
共振形コンバータ回路として、自励式の構成が採られ
る。この場合、スイッチング素子Q1には、高耐圧のバ
イポーラトランジスタ(BJT;接合型トランジスタ)
が採用されている。
【0028】スイッチング素子Q1のベースと一次側ア
ース間には、駆動巻線NB、共振コンデンサCB、ベース
電流制限抵抗RBの直列接続回路よりなる自励発振駆動
用の直列共振回路が接続される。また、スイッチング素
子Q1のベースと平滑コンデンサCiの負極(1次側ア
ース)間に挿入されるクランプダイオードDDにより、
スイッチング素子Q1のオフ時に流れるクランプ電流の
経路を形成するようにされている。なお起動抵抗RS
は、起動時のベース電流を整流平滑ラインから得るため
に挿入されるものである。
【0029】また、スイッチング素子Q1のコレクタ−
エミッタ間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列
に接続されている。そして並列共振コンデンサCr自身
のキャパシタンスと、絶縁コンバータトランスPITの
一次巻線N1側のリーケージインダクタンスL1とにより
電圧共振形コンバータの一次側並列共振回路を形成す
る。
【0030】この図に示す直交形制御トランスPRT
は、共振電流検出巻線ND、駆動巻線NB、及び制御巻線
NCが巻装された可飽和リアクトルである。この直交形
制御トランスPRTは、スイッチング素子Q1を駆動す
ると共に、定電圧制御のために設けられる。この直交形
制御トランスPRTには、図示するようにして、共振電
流検出巻線ND、駆動巻線NBが巻装され、また、これら
2つの巻線とは直交する方向に対して制御巻線NCが巻
装される。
【0031】直交形制御トランスPRTにおいては、共
振電流検出巻線NDに得られたスイッチング出力がトラ
ンス結合を介して駆動巻線NBに誘起される。これによ
り、自励発振駆動回路を形成する直列共振回路(NB,
CB)からベース電流制限抵抗RBを介してスイッチング
素子Q1のベースにドライブ電流が出力される。これに
より、スイッチング素子Q1は、直列共振回路の共振周
波数により決定されるスイッチング周波数でスイッチン
グ動作を行うことになる。そして、そのコレクタに得ら
れるとされるスイッチング出力を絶縁コンバータトラン
スPITの一次巻線N1に伝達するようにされている。
【0032】絶縁コンバータトランスPITは、一次側
に得られたスイッチングコンバータのスイッチング出力
を二次側に伝送するために設けられる。なお、本実施の
形態としては、絶縁コンバータトランスPITの構造に
特徴を有するが、これについては後述する。絶縁コンバ
ータトランスPITの一次巻線N1の巻終わり端部は、
スイッチング素子Q1のコレクタと接続され、巻始め端
部は検出巻線NDを介して平滑コンデンサCiの正極
(整流平滑電圧Ei)と接続されている。従って、一次
巻線N1に対しては、スイッチング素子Q1のスイッチン
グ出力が供給されることで、スイッチング周波数に対応
する周期の交番電圧が発生する。
【0033】絶縁コンバータトランスPITの二次側で
は、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線
N2に発生する。この場合、二次巻線N2に対しては、二
次側並列共振コンデンサC2が並列に接続されること
で、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次
側並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって
並列共振回路が形成される。この並列共振回路により、
二次巻線N2に誘起される交番電圧は共振電圧となる。
つまり二次側において電圧共振動作が得られる。即ち、
この電源回路では、一次側にはスイッチング動作を電圧
共振形とするための並列共振回路が備えられ、二次側に
は電圧共振動作を得るための並列共振回路が備えられ
る、複合共振形スイッチングコンバータの構成を採る。
【0034】上記のようにして形成される電源回路の二
次側においては、二次巻線N2に対して並列に、高圧発
生トランスHVTの一次巻線N4が接続される。この場
合、絶縁コンバータトランスPITが複合共振形スイッ
チングコンバータとして動作することによって、二次側
並列共振コンデンサC2の両端には共振パルス電圧V2
が発生する。そして高圧発生トランスHVTは、一次巻
線N4に印加される共振電圧V2を二次側に伝達する。
この高圧発生トランスHVTは、一次巻線N4に発生す
る共振電圧を昇圧して、例えばCRT(陰極線管)のア
ノード電圧レベルに対応した高電圧を生成する。このた
め、高圧発生トランスHVTの二次側には、5組の昇圧
巻線NHV1,NHV2,NHV3,NHV4,NHV5が層間フィル
ム同軸捲きによって分割されて巻装されている。そして
各々の昇圧巻線NHV1〜NHV5の巻終わり端部に対して
は、高圧整流ダイオードDHV1,DHV2,DHV3,DHV4,
DHV5のアノード側が接続されている。さらに、高圧整
流ダイオードDHV1のカソードが平滑コンデンサCOHVの
正極端子に接続され、残る高圧整流ダイオードDHV2〜
DHV5の各カソードが、それぞれ昇圧巻線NHV1〜NHV4
の巻始め端部に対して接続される。
【0035】即ち、高圧発生トランスHVTの二次側に
は、[昇圧巻線NHV1、高圧整流ダイオードDHV1]、
[昇圧巻線NHV2、高圧整流ダイオードDHV2]、[昇圧
巻線NHV3、高圧整流ダイオードDHV3]、[昇圧巻線N
HV4、高圧整流ダイオードDHV4]、[昇圧巻線NHV5、
高圧整流ダイオードDHV5]という5組の半波整流回路
が直列に接続された、いわゆるマルチシングラー方式の
半波整流回路が形成されていることになる。
【0036】従って、高圧発生トランスHVTの二次側
においては、5組の半波整流回路が昇圧巻線NHV1〜NH
V5に誘起された電流を整流して平滑コンデンサCOHVに
対して充電するという動作が行われ、平滑コンデンサC
OHVの両端には、各昇圧巻線NHV1〜NHV5に誘起される
誘起電圧の約5倍に対応するレベルの直流高電圧EHVが
得られることになる。そして、この平滑コンデンサCOH
Vの両端に得られた直流高電圧EHVを、例えばCRTの
アノード電圧として利用するようにしている。
【0037】直流高電圧EHVは、高圧抵抗R1,分割抵
抗R2によって分圧されて制御回路1に対して供給され
る。制御回路1においては、分圧された直流高電圧EHV
を用いて定電圧化のための制御信号を生成する。即ち制
御回路1では、直流高電圧EHVの電圧レベルの変化に応
じて、制御巻線NCに流す制御電流(直流電流)レベル
を可変するようにされている。これによって、駆動巻線
NBのインダクタンスLBが可変されて、自励発振駆動回
路内の直列共振回路の共振周波数、つまり、スイッチン
グ素子Q1のスイッチング周波数が可変制御される。こ
れにより直流高電圧EHVを定電圧化する。例えば交流入
力電圧VAC=90V〜120V、高圧負荷電力PHV=1
26W〜0Wの変動に対して、スイッチング周波数fs
は、80KHz〜95KHzの範囲で制御される。ここ
で、スイッチング周波数を可変するのにあたってはスイ
ッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFは一定とされた
うえで、オンとなる期間TONを可変制御するように動作
している。即ち複合制御方式となる。
【0038】図2は、上記図1に示す電源回路に備えら
れる絶縁コンバータトランスPITの構造を示してい
る。絶縁コンバータトランスPITは、図示するよう
に、2つのE型コアCR1,CR2によりEE型コアを
構成する。そして、このEE型コアに対して分割ボビン
Bを備え、図示するようにして、例えば分割ボビンBの
E型コアCR1側の巻装領域に対して一次巻線N1を巻
装し、E型コアCR2側の巻装領域に対して二次巻線N
2を巻装する。そして、本実施の形態の場合、一次巻線
N1と二次巻線N2の巻回方向としては、図中におけるコ
アの左右外側の矢印により示すようにして、互いの巻線
方向が逆となる、いわゆる逆転巻き構造となっている。
また、本実施の形態の場合には、E型コアCR1,CR
2の各中央磁脚の対向部位においてはギャップは形成さ
れていない。
【0039】ここで再度、図1を参照して、絶縁コンバ
ータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2の接続
について説明する。図1に示されるように、例えば一次
巻線N1の巻始め端部と巻終わり端部の接続は、先行技
術として図7に示した回路の場合と逆となる。つまり、
図1に示す回路では、一次巻線N1の巻始め端部は平滑
コンデンサCiの正極端子に対して接続され、巻終わり
端部がスイッチング素子Q1のコレクタに対して接続さ
れるものである。また、二次巻線N2としては、その巻
終わり端部が高圧発生トランスHVTの一次巻線N4の
巻始め端部に接続され、巻始め端部が二次側アースと接
続されるようになっている。つまり、図1に示す電源回
路としては、上記図2に示したようにして一次巻線N1
と二次巻線N2とが逆転巻き構造とされる絶縁コンバー
タトランスPITを備える場合であっても、図9(a)
の等価回路に示される加極性となるように一次巻線N1
と二次巻線N2とを接続しているものである。
【0040】このような構成によると、一次巻線N1に
流れる一次巻線電流I1によって発生する一次磁束φ1
の極性と、二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2によっ
て発生する二次磁束φ2の極性は、図2におけるコア内
に示される矢印のようになる。これは、例えば先行技術
として示した図8の絶縁コンバータトランスPITの場
合に対して、一次磁束φ1の極性が逆とされているもの
である。なお、二次磁束φ2の極性は、図8の絶縁コン
バータトランスPITと同じとなっている。本実施の形
態においては、上記図2に示すような一次磁束φ1と二
次磁束φ2との極性の関係が得られることになるのであ
るが、これにより、一次磁束φ1と二次磁束φ2として
は、両者が打ち消し合うように作用する。即ち、絶縁コ
ンバータトランスPITの中央磁脚において得られる磁
束(Δφ)としては、 |φ1−φ2|=Δφ で表されることになる。これは、上記もしたように、一
次磁束φ1と二次磁束φ2とが打ち消しあっており、例
えば図7の回路の場合のようにして、加わり合うことは
ないことを示している。従って、本実施の形態では、絶
縁コンバータトランスPITの中央磁脚に得られる磁束
としては、これまでよりも弱いものとすることができ
る。そして、この結果、一次側と二次側の結合係数kと
しては、例えばk=0.8〜0.9程度の疎結合の状態
を得ることができる。これにより、本実施の形態の絶縁
コンバータトランスPITとしては、敢えて中央磁脚に
対してギャップを形成しなくとも、コアが飽和しないよ
うにできるものであり、結果的には図2に示したように
して、ギャップを設けないようにされているものであ
る。なお、実際には、例えばギャップ長を0とした中央
磁脚の接合面において、可聴音のいわゆるコア鳴きが生
じる可能性があることから、例えばマイラーフィルムを
中央磁脚の接合面に施すようにして、0.1mm以下の
ギャップ長のギャップを形成しても構わない。
【0041】そして、このようにして、絶縁コンバータ
トランスPITを構成することで、中央磁脚に得られる
磁束はこれまでよりも遙かに弱いものとなるために、例
えば図8の場合のような、ギャップ周辺に発生するフリ
ンジ磁束に依る巻線の温度上昇と、これに伴う電力変換
効率の低下も解消されることになる。
【0042】また、本実施の形態の絶縁コンバータトラ
ンスPITとしては、中央磁脚に得られる磁束(Δφ)
が弱いものとなることから、一次巻線N1と二次巻線N2
の漏洩インダクタンスも減少することになる。そして、
これによって、例えば負荷電力Po=200W程度の重
負荷の条件であっても、スイッチング素子Q1としては
安定したZVS動作を実現することが可能になる。
【0043】図3、図4は、上記した構成による図1の
電源回路における要部の動作を示す波形図である。この
場合、直流高電圧EHV=31KV、高圧出力電流IHV=
4mA、交流入力電圧VAC=100Vとし、図3は高圧
負荷Po=124W時、図4は高圧負荷Po=0W時に
ついて示した。なお、比較のために破線により図7の電
源回路の場合の波形も示した。
【0044】スイッチング素子Q1のスイッチング動作
によって、一次側並列共振コンデンサCrの両端には図
示するように共振パルス電圧V1がスイッチング周波数
に応じた周期で発生する。この時、スイッチング素子Q
1を流れるコレクタ電流I1は、各図からわかるように
図7の回路例と比べて減少するものとなる。
【0045】また、図5(a)には、一次側並列共振電
圧V1とスイッチング素子Q1に流れるスイッチング出力
電流I1が示されている。このときの条件としては、負
荷電力Po=200Wで、AC100V系の交流入力電
圧VAC=75V〜85V程度の減圧時とされる。なお図
5(b)は比較のために図7の電源回路の場合としての
波形を示している。
【0046】図5(b)の波形から分かるように、図7
の回路の場合は期間TONにおいてスイッチング出力電流
I1が負極性レベルから正極性レベルに反転するタイミ
ングで、一次側並列共振電圧V1とスイッチング出力電
流I1について正レベルでパルス的に出現する現象が生
じている。つまり、ZVS動作とならない異常動作とな
っているものである。これに対して、図1に示す回路に
おいては、図5(a)に示すようにして、期間TONにお
ける一次側並列共振電圧V1のパルスは消滅しており、
これと共にスイッチング出力電流I1の波形も、パルス
が現れない正常なものとなっている。つまり、本実施の
形態では重負荷で低交流入力電圧の条件下であっても、
ZVS動作が正常に行われていることが示されているも
のである。
【0047】ここで、図1に示す電源回路における要部
のスペックについて示しておく。先ず、絶縁コンバータ
トランスPITについては、EE−40のコアを採用し
たうえで、ギャップ長Gap=0とされ、一次巻線N1
と二次巻線N2のターン数としてはN1=50T、N2=
75Tとしている。また、一次側並列共振コンデンサC
r=5600pF、二次側並列共振コンデンサC2=
0.018μFとなる。また、先に図7に示した電源回
路においては、絶縁コンバータトランスPITとしてE
E−40のコアを同様に採用し、Gap=1mmとされ
る。また、一次巻線N1=45T、二次巻線N2=75
T、一次側並列共振コンデンサCr=6800pF、二
次側並列共振コンデンサC2=0.018μFとなる。
【0048】なお、いずれの場合も、高圧発生トランス
HVTの一次巻線N4は30〜50T(ターン)、昇圧
巻線NHV1〜NHV5はそれぞれ460T程度とされて、5
層の層間フィルム捲きで2300T程度とされる。
【0049】そして、図1に示す電源回路のAC/DC
電力変換効率は、負荷電力Po=124Wの負荷条件
で、VAC=100V時には88.5%という結果が得ら
れた。これに対して図7に示す回路では86%であっ
た。つまり、先行技術と比較して2.5%の電力変換効
率の向上が図られているものである。これにより入力電
力が4.1W低減できた。また負荷電力Po=0Wの場
合でいえば、入力電力は13.4Wから11.6Wにな
り、1.8Wの低減が可能となった。
【0050】また、図1に示す回路の絶縁コンバータト
ランスPITにおける温度上昇値としては、図7に示す
回路に対して、一次巻線N1と二次巻線N2ともに、4°
C程度の大幅な低下が見られている。
【0051】図6は、本発明の第2の実施の形態とされ
る電源回路の構成を示した図である。なお、図1に示す
電源回路と同一部分には同一符号を付して説明は省略す
る。この図6に示す電源回路は、一次側に備えられる電
圧共振形コンバータが他励式の構成を採っており、例え
ば1石のMOS−FETによるスイッチング素子Q1が
備えられる。なお、このように他励式の構成を採る場
合、スイッチング素子Q1としてはIGBT(絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ)や、SIT(静電誘導サイ
リスタ)等が採用されて構わない。
【0052】スイッチング素子Q1のドレインは、絶縁
コンバータトランスPITの一次側巻線N1を介して平
滑コンデンサCiの正極と接続され、ソースは一次側ア
ースに接続される。また、ここでは、一次側並列共振コ
ンデンサCrはドレイン−ソース間に対して並列に接続
される。更に、ドレイン−ソース間に対しては、クラン
プダイオードDD1が並列に接続されている。なお、起動
抵抗RSは、商用交流電源投入時において、整流平滑ラ
インに得られる起動電流をスイッチング駆動部10に供
給するために設けられる。
【0053】一次側のスイッチング駆動部10は、図示
するように、ドライブ回路3、発振回路2を備えてな
る。発振回路2は、フォトカプラPCを介して制御回路
1から供給される制御信号に基づいた所要の周波数の発
振信号をドライブ回路3に対して出力する。ドライブ回
路3では、発振回路2から入力された信号を電圧信号に
変換してMOS−FETであるスイッチング素子Q1を
駆動するためのスイッチング駆動信号を生成し、スイッ
チング素子Q1のゲート端子に印加する。このスイッチ
ング駆動信号に応じて、スイッチング素子Q1はスイッ
チング動作を行うことになる。なお、このような一次側
スイッチング駆動部10としては、1つのICとして構
成されるものとされる。
【0054】絶縁コンバータトランスPITは、図1の
例と同様に図2で説明した構造をとり、また一次巻線N
1と二次巻線N2が加極性となるようにされている。この
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、二次巻線
N2の出力が直列共振コンデンサC3を介して高圧発生回
路5の昇圧トランスHVTの一次側巻線N4に入力され
る。この直列共振回路の直列共振動作によって、昇圧ト
ランスHVTの一次巻線N4を流れる電流及び一次巻線
N4の両端電圧が共に略正弦波状の共振波形とされる。
即ちこの場合は、絶縁コンバータトランスPITの二次
側には電流共振回路が形成され、従って図6の回路は一
次側の電圧共振回路と二次側の電流共振回路による複合
共振形コンバータとなる。
【0055】一点鎖線で囲った部分により高圧発生回路
が形成される。即ち高圧発生回路は高圧発生トランスH
VTと、マルチプライヤー整流方式による高圧整流回路
によって構成され、高圧発生トランスHVTの二次側に
は、例えば1組の昇圧巻線NHV1がスリット巻き、或い
は層間巻きによって分割されて巻装されている。そして
高圧発生トランスHVTの二次側には、昇圧巻線NHV1
と一次側巻線N4との巻線比(NHV1/N4)によって昇
圧した昇圧電圧が得られることになる。
【0056】昇圧巻線NHV1の巻終端部は、例えばフイ
ルムコンデンサ或いはセラミックコンデンサからなる高
圧コンデンサCHV1を介して、高圧整流ダイオードDHV1
のアノードと整流ダイオードDHV2のカソードの接続点
に対して接続されると共に、高圧コンデンサCHV2の直
列接続を介して高圧整流ダイオードDHV3のアノードと
高圧整流ダイオードDHV4のカソードの接続点に対して
接続される。一方、昇圧巻線NHV1の巻始端部は、平滑
コンデンサCOHV1の負極と平滑コンデンサCOHV2の正極
の接続点に対して接続される。また、この平滑コンデン
サCOHV1の負極と平滑コンデンサCOHV2の正極の接続点
に対しては、高圧整流ダイオードDHV2のアノードと高
圧整流ダイオードDHV3のカソードが接続される。平滑
コンデンサCOHV1と平滑コンデンサCOHV2は、平滑コン
デンサCOHV1の負極と平滑コンデンサCOHV2の正極と接
続して直列接続したうえで、平滑コンデンサCOHV1の正
極を高圧整流ダイオードDHV1のカソードに接続し、平
滑コンデンサCOHV2の負極を二次側アースに対して接続
するように設けられる。
【0057】このような接続形態では、結果的には、
[高圧コンデンサCHV1 、高圧整流ダイオードDHV1,
DHV2、平滑コンデンサCOHV1]の組から成る第1の倍
電圧整流回路と、[高圧コンデンサCHV2 、整流ダイオ
ードDHV3,DHV4、平滑コンデンサCOHV2]の組から成
る第2の倍電圧整流回路とが形成され、これら第1及び
第2の倍電圧整流回路の出力(平滑コンデンサCOHV1,
COHV2)が直列に接続されて設けられることになる。そ
して、この第1及び第2の倍電圧整流回路を組み合わせ
た整流回路全体としては、直列接続された平滑コンデン
サCOHV1−平滑コンデンサCOHV2の両端には、昇圧巻線
NHV1に得られた交番電圧の4倍に対応する出力電圧が
得られる。つまり、この第1及び第2の倍電圧整流回路
を組み合わせた整流回路全体としては4倍電圧全波整流
回路を形成する。
【0058】このような4倍電圧全波整流回路の動作と
しては、高圧発生トランスHVTの一次側のスイッチン
グ動作により一次巻線N4にスイッチング出力が得られ
ると、このスイッチング出力は昇圧巻線NHV1に励起さ
れる。4倍電圧整流回路は、この昇圧巻線NHV1に得ら
れた交番電圧を入力して整流動作を行うが、このときの
[高圧コンデンサCHV1、高圧整流ダイオードDHV1,D
HV2、平滑コンデンサCOHV1]から成る第1の倍電圧整
流回路の動作を以下に記す。先ず、整流ダイオードDHV
1がオフとなり、整流ダイオードDHV2がオンとなる期間
においては、高圧整流ダイオードDHV2により整流した
整流電流を直列共振コンデンサCHV1に対して充電する
動作が得られる。そして、整流ダイオードDHV2がオフ
となり、整流ダイオードDHV1がオンとなって整流動作
を行う期間においては、昇圧巻線NHV1に誘起された電
圧に高圧コンデンサCHV1の電位が加わるという動作が
得られ、平滑コンデンサCOHV1の両端には、昇圧巻線N
HV1の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電圧(整流平
滑電圧)が得られる。また、[高圧コンデンサCHV2、
高圧整流ダイオードDHV3,DHV4、平滑コンデンサCOH
V2]の組とから成る第2の倍電圧整流回路においても同
様の動作によって、平滑コンデンサCOHV2の両端には、
昇圧巻線NHV1の誘起電圧のほぼ2倍に対応する直流電
圧が得られることになる。
【0059】そして、上記のようにして第1,第2の倍
電圧整流回路の各々によって倍電圧整流動作が行われる
結果、直列接続された平滑コンデンサCOHV1−平滑コン
デンサCOHV2の両端には、昇圧巻線NHV1に誘起される
誘起電圧のほぼ4倍に対応する二次側直流出力電圧EHV
が得られ、この平滑コンデンサCOHV1−COHV2の両端に
得られる直流高電圧EHVが、CRTのアノード電圧とし
て利用されるものとされる。
【0060】また、平滑コンデンサCOHV2には、抵抗R
1−抵抗R2からなる直列回路が並列に接続されており、
これら抵抗R1,R2により分圧した電圧が制御回路1に
入力される。制御回路1は例えば誤差増幅器等によって
構成され、抵抗R1と抵抗R2によって分圧された電圧、
即ち直流高電圧EHVのレベル変化に応じた制御信号をフ
ォトカプラPCを介することで一次側と二次側を直流的
に絶縁した状態で、一次側のスイッチング駆動部10内
の発振回路2に対して供給するようになっている。これ
により直流高電圧EHVの電圧レベルに応じて、スイッチ
ング素子Q1のスイッチング周波数と、スイッチング素
子Q1の導通角を同時に制御する複合制御方式によって
直流高電圧EHVの定電圧化を図るように構成される。
【0061】この場合も、先に説明した図1の電源回路
と同様の効果が得られる。また、昇圧トランスHVTの
二次側に1組の昇圧巻線NHV1を巻装するだけで良いた
め、図1に示した電源回路に比べて昇圧トランスHVT
の小型化を図ることができるという利点もある。
【0062】以上実施の形態について説明してきたが、
本発明の電源回路としては各図に示したもの以外に各種
考えられるものである。例えば交流入力電圧に対する1
倍全波整流回路を示したが、これを倍電圧整流回路とし
てもよい。また高圧発生回路の構成も各種多様に考えら
れる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、複合共振
形とされたスイッチング電源回路の絶縁コンバータトラ
ンスについて、一次巻線と二次巻線とについていわゆる
逆転巻きとしたうえで、一次巻線と二次巻線を加極性接
続するようにしている。この構造では、一次磁束と二次
磁束は打ち消し合うように作用することになるため、本
発明としては、絶縁コンバータトランスのコアに対して
飽和を抑制するためのギャップは施さなくてもよいこと
になる。上記のようにして絶縁コンバータトランスのコ
アに対してギャップを施さなくて済むことで、本発明に
あっては、絶縁コンバータトランスの製造にあたり、ギ
ャップを形成するための工程が省略され、また、製造管
理も行いやすくなる。即ち、絶縁コンバータトランスを
備える電源回路の製造能率が向上されるものである。
【0064】また、ギャップが施されないことで、この
ギャップ近傍におけるフリンジ磁束の発生も解消され
て、一次巻線及び二次巻線における大幅な発熱の抑制と
電力損失の低減が図られる。また、特に本発明における
絶縁コンバータトランスの構造によっては、一次巻線及
び二次巻線に流れる電流量をこれまでよりも少なくする
ことができるために、これによっても上記した発熱の抑
制と電力損失の低減をより促進することが可能になる。
【0065】更に、本発明における絶縁コンバータトラ
ンスPITの構造では、漏洩インダクタンスも減少され
ることから、例えば負荷で低交流入力電圧の条件におい
てもZVS動作が保証され、電源回路としての信頼性が
向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図2】実施の形態のスイッチング電源回路に備えられ
る絶縁コンバータトランスの構造を示す断面図である。
【図3】実施の形態のスイッチング電源回路における要
部の動作を示す波形図である。
【図4】実施の形態のスイッチング電源回路における要
部の動作を示す波形図である。
【図5】実施の形態と先行技術のスイッチング電源回路
とについてのZVS動作を比較するための波形図であ
る。
【図6】本発明の第2の実施の形態のスイッチング電源
回路の構成例を示す回路図である。
【図7】先行技術としてのスイッチング電源回路の構成
例を示す回路図である。
【図8】先行技術のスイッチング電源回路に備えられる
絶縁コンバータトランスの構造を示す断面図である。
【図9】絶縁コンバータトランスにおける、相互インダ
クタンスが加極性モードと減極性モードの場合の各動作
を示す等価回路図である。
【符号の説明】
1 制御回路、2 発振回路、3 ドライブ回路、Q1
スイッチング素子、Cr 一次側並列共振コンデン
サ、DD1 クランプダイオード、C2,C3 二次側共
振コンデンサ、PIT 絶縁コンバータトランス、HV
T 高圧発生トランス、N1 一次巻線、N2 二次巻
線、N4 一次巻線、NHV 昇圧巻線、DHV 高圧整流
ダイオード、COHV 平滑コンデンサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流入力電圧を断続して出力するための
    スイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段
    と、 上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側
    並列共振回路が形成されるようにして備えられる一次側
    並列共振コンデンサと、 一次側と二次側とで疎結合とされる所要の結合係数が得
    られる構造を有し、一次側に得られる上記スイッチング
    手段の出力を二次側に伝送する絶縁コンバータトランス
    と、 上記絶縁コンバータトランスの二次側巻線に対して二次
    側共振コンデンサを接続することで形成される二次側共
    振回路と、 上記絶縁コンバータトランスに巻装した二次側巻線と並
    列接続された一次側巻線を備え、上記絶縁コンバータト
    ランスの二次側巻線に得られる共振電圧を、一次側から
    二次側に伝送することで、二次側から上記共振電圧を昇
    圧した高圧電圧を得るようにされた高圧発生トランス
    と、 上記高圧発生トランスの二次側に得られる高圧電圧につ
    いて整流動作を行うことで、直流高電圧を得るように構
    成された直流高電圧生成手段と、 上記直流高電圧に基づく制御信号に基づいて、上記スイ
    ッチング素子のスイッチング周波数及び導通角の制御を
    行なうことで、上記直流高電圧を定電圧化する定電圧化
    手段と、 を備え、 上記絶縁コンバータトランスは、飽和を抑制するための
    ギャップが施されていないコアを備えると共に、上記一
    次巻線と上記二次巻線は互いに逆となる巻方向によって
    上記コアに対して巻回され、上記一次巻線と上記二次巻
    線とについては加極性接続される、 ことを特徴とするスイッチング電源回路。
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