JP2002020443A - グラフト共重合体およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物ならびにその成形品 - Google Patents

グラフト共重合体およびこれを含む熱可塑性樹脂組成物ならびにその成形品

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JP2002020443A
JP2002020443A JP2000205699A JP2000205699A JP2002020443A JP 2002020443 A JP2002020443 A JP 2002020443A JP 2000205699 A JP2000205699 A JP 2000205699A JP 2000205699 A JP2000205699 A JP 2000205699A JP 2002020443 A JP2002020443 A JP 2002020443A
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polyorganosiloxane
graft copolymer
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JP2000205699A
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English (en)
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Nobumitsu Fukuyama
信光 福山
Yoshihiro Nakai
義博 中井
Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
Hideyuki Shigemitsu
英之 重光
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温下だけでなく、低温環境下においても耐
衝撃性および耐候性に優れ、かつ透明性も良好な熱可塑
性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 アリール基を含有するポリオルガノシロ
キサン(A)と、シアン化ビニル系単量体単位、芳香族
アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位か
ら選ばれた少なくとも1種の単量体単位を構成成分とす
る重合体(B)とが複合化した複合ゴム状重合体(C)
に対し、単量体単位(D’)がグラフト重合しているグ
ラフト共重合体(E)を使用する。このグラフト共重合
体(E)を配合した熱可塑性樹脂組成物は、常温下だけ
でなく、低温環境下においても耐衝撃性および耐候性に
優れ、かつ透明性も良好となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は常温、低温環境下に
おける耐衝撃性および耐候性に優れ、かつ透明性にも優
れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル樹脂は透明性および耐候性に優
れ、美麗な外観を有する成形材料である一方、耐衝撃性
が低いという欠点がある。アクリル樹脂のような硬質樹
脂を弾性体で補強して耐衝撃性を付与することは従来か
ら一般的に行われており、弾性体としては、ABS樹脂
が代表的なものである。しかし、ABS樹脂は弾性体成
分としてジエン系ゴムを含んでいるため耐候性が悪く、
ABS樹脂で補強された樹脂は屋外での使用が制限され
る場合が多い。このため、ジエン系以外の弾性体成分を
有する弾性体を用いて、耐候性を兼ね備えた耐衝撃性樹
脂を製造することが種々提案されており、例えば、アル
キル(メタ)アクリレート系ゴムやポリジメチルシロキ
サンに代表される弾性体成分が挙げられる。
【0003】ところが、ポリアルキル(メタ)アクリレ
ートゴムをゴム基質にしたグラフト共重合体を樹脂に配
合した場合の耐衝撃性は、常温条件下では満足できる程
度であるが、氷点下のような低温環境下では著しく低下
し、例えば、自動車外装用部品や電気機器部品のように
寒冷雰囲気での強度が必要となる用途での使用には制限
があった。一方、ポリジメチルシロキサンをゴム基質と
した共重合体を樹脂に配合した場合は、低温環境下での
耐衝撃性は改良される。しかし、この共重合体をアクリ
ル樹脂に配合して得られたアクリル樹脂組成物は、この
共重合体とアクリル樹脂との屈折率差が大きいため、透
明性が著しく低く、ポリジメチルシロキサンのみをゴム
基質として使用することは困難であることが米国特許
3,898,300号公報に示されている。そこで、ポ
リアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとポリオルガノ
シロキサンを複合化させたものをアクリル樹脂に配合し
て耐衝撃性と透明性を向上させる方法が、特開平8−2
83359号公報に提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなポリアルキル(メタ)アクリレート/ポリオルガノ
シロキサン系複合ゴムをアクリル樹脂に配合して得られ
るアクリル系樹脂組成物においては、この樹脂組成物の
透明性を確保するために、複合ゴム中のポリオルガノシ
ロキサンの使用量を制限する必要があった。一方、樹脂
組成物の低温環境下での耐衝撃性を改善するためには、
ポリオルガノシロキサン量を多くする必要があった。こ
のように、従来のポリジメチルシロキサンや、ポリアル
キル(メタ)アクリレート/ポリオルガノシロキサン系
複合ゴムを使用した場合、透明性と低温環境下の耐衝撃
性を両立させることは困難であった。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、常温下だけでなく、低温環境下においても耐衝撃性
および耐候性に優れ、かつ透明性も良好な熱可塑性樹脂
組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる現状に鑑み鋭意検
討した結果、本発明者らはアリール基を含有するポリオ
ルガノシロキサンを含むグラフト共重合体を樹脂に配合
することによって、樹脂組成物の優れた透明性および耐
候性を確保したまま、低温環境下での耐衝撃性を改良す
る手法を見出すに至った。本発明のグラフト共重合体
(E)は、アリール基を含有するポリオルガノシロキサ
ン(A)と、シアン化ビニル系単量体単位、芳香族アル
ケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位から選
ばれた少なくとも1種の単量体単位を構成成分とする重
合体(B)とが複合化した複合ゴム状重合体(C)に対
し、シアン化ビニル系単量体単位、芳香族アルケニル単
位、アルキル(メタ)アクリレート単位から選ばれた少
なくとも1種の単量体単位(D’)がグラフト重合して
いることを特徴とする。本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、上記のグラフト共重合体(E)と、シアン化ビニル
系単量体単位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メ
タ)アクリレート単位から選ばれた少なくとも1種の単
量体単位を構成成分とする(共)重合体(F)とを有す
ることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるアリール基を含有するポリオルガノ
シロキサン(A)とは、珪素原子に少なくとも一つのア
リール基を有するシロキサン単位を含有するものであ
る。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル
基、アルキル核置換フェニル基、アルキル核置換ナフチ
ル基、ハロゲン核置換フェニル基およびハロゲン核置換
ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基または
核置換フェニル基である。
【0008】このようなアリール基を含有するポリオル
ガノシロキサン(A)は、例えば、アリール基含有直鎖
状オルガノシロキサンを含む単量体混合物を酸触媒の存
在下で重合して製造できる。使用されるアリール基含有
直鎖状オルガノシロキサンとしては、例えば、シロキサ
ン結合をしている珪素原子の少なくとも一つにアリール
基を有し、かつ、両末端に水酸基またはアルコキシ基を
置換基として有するオルガノシロキサンが挙げられる。
このようなアリール基含有直鎖状オルガノシロキサンの
具体例としては、下記の化学式(I)または(II)で
表される構造のものが挙げられる。
【化1】 (化学式(I)中、R1、R2、R5およびR6は、水素あ
るいはアルキル基で、それぞれ同一または異なる置換基
である。R3およびR4はアリール基で、それぞれ同一ま
たは異なる置換基である。Xは水酸基またはアルコキシ
基、mは1以上の整数、nは整数である。)
【化2】 (化学式(II)中、R1、R2、R3、R5およびR
6は、水素あるいはアルキル基でそれぞれ同一または異
なる置換基である。R4はアリール基、Xは水酸基また
はアルコキシ基、mは1以上の整数、nは整数であ
る。)
【0009】アリール基含有直鎖状オルガノシロキサン
中のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エト
キシ基、ノルマルプロポキシ基等が挙げられ、好ましく
はメトキシ基である。また、アリール基含有直鎖状オル
ガノシロキサン中のアリール基の具体例としては、フェ
ニル基、ナフチル基、アルキル核置換フェニル基、アル
キル核置換ナフチル基、ハロゲン核置換フェニル基およ
びハロゲン核置換ナフチル基等が挙げられる。アリール
基含有直鎖状オルガノシロキサン中に任意に含まれるア
ルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ノル
マルブチル基、イソブチル基、ノルマルプロピル基およ
びイソプロピル基等が挙げられる。このようなアリール
基含有直鎖状オルガノシロキサンのさらに具体的な例と
しては、下記化学式(III)または(IV)で表され
る構造を有するオルガノシロキサンが挙げられる。
【化3】 (化学式(III)中、Xは水酸基またはメトキシ基、
mは1以上の整数、nは整数である。)
【化4】 (化学式(IV)中、Xは水酸基またはメトキシ基、m
は1以上の整数、nは整数である。)
【0010】アリール基含有直鎖状オルガノシロキサン
としては、アリール基含有直鎖状オルガノシロキサン中
のアリール基の含有量が、全珪素原子に結合したシロキ
サン結合以外の結合基の数を100としたときに、アリ
ール基の数が5〜95であるものが好ましく、さらに好
ましくは5〜50であり、より好ましくは10〜40で
ある。このようなアリール基含有直鎖状オルガノシロキ
サンを使用すると、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成
物の透明性がより優れ好ましい。アリール基の数が5未
満または95を超えると、最終的に得られる熱可塑性樹
脂組成物の透明性や耐衝撃性が不十分となる場合があ
る。さらに、アリール基含有直鎖状オルガノシロキサン
としては、25℃で測定した粘度が0.01〜10Pa
・sであることが好ましく、さらに好ましくは0.01
〜1Pa・s、さらに好ましくは0.01〜0.2Pa
・sである。このような粘度のアリール基含有直鎖状オ
ルガノシロキサンを使用すると、最終的に得られる熱可
塑性樹脂組成物の透明性や耐衝撃性がより優れ好まし
い。粘度が0.01未満では、これらを含む樹脂組成物
を押出、成形加工する際に揮発する場合があり、10P
a・sを超えると、ポリオルガノシロキサンラテックス
を製造する時に分散不良となり、ラテックスの安定性が
低下する場合がある。このようなアリール基含有直鎖状
オルガノシロキサンは、例えば、ポリメチルフェニルメ
トキシシロキサン(東芝シリコーン(株)製「XF40
−B6197」)、ポリメチルフェニルシロキサン
(「YF3804」)およびポリメチルフェニルメトキ
シシロキサン(「XF40−B6626」)として工業
的に入手可能である。
【0011】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)を構成する単量体混合物には、上述したアリ
ール基含有直鎖状オルガノシロキサン以外のシロキサン
成分が必要に応じて含まれていても良い。シロキサン成
分としては、例えば、ジメチルシロキサン等のアリール
基を含有しない直鎖状ジオルガノシロキサンや環状ジオ
ルガノシロキサンが挙げられる。このようなシロキサン
成分が使用される場合には、アリール基含有直鎖状ジオ
ルガノシロキサン20〜99質量%に対して、1〜80
質量%の範囲で使用されることが好ましい。環状ジオル
ガノシロキサンとしては、アリール基を含有するポリオ
ルガノシロキサン(A)製造時の生産性が優れることか
ら、3員環以上の環状ジアルキルシロキサンが好まし
い。その具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロ
キサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメ
チルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキ
サシロキサン等が挙げられる。これらは単独で、または
二種以上併用して使用できる。
【0012】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)は、上記の単量体混合物を酸触媒の存在下で
乳化重合することによって製造できる。まず、アリール
基含有直鎖状オルガノシロキサンを含む単量体混合物に
乳化剤、酸触媒、水を加え、さらに必要に応じて、ビニ
ル重合性官能基含有シロキサンやシロキサン系架橋剤を
添加し、得られた混合物を乳化する。乳化方法として
は、高速撹拌による混合、ホモジナイザー等の高圧乳化
装置による混合、多孔質膜を用いた膜乳化法、スタティ
ックミキサーを用いた流動混合等の方法が挙げられる
が、アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)ラテックスの粒子径分布を制御しやすいことから
ホモジナイザーの使用が好ましい。また、混合物を製造
する場合には、始めにアリール基含有直鎖状オルガノシ
ロキサンを含む単量体混合物と、ビニル重合性官能基含
有シロキサンと、シロキサン系架橋剤とを混合して均質
化させてシロキサン系化合物の混合物をあらかじめ調製
し、次に、これに乳化剤および酸触媒を添加した後、水
を混合する方法が好ましい。このような方法で混合する
と、より均質に乳化することができる。
【0013】ついで、上記の方法で調製した乳化液を加
熱処理して反応させることによって、ポリオルガノシロ
キサン(A)ラテックスを製造できる。加熱温度は50
℃以上が好ましく、さらに好ましくは80℃以上であ
る。また、加熱時間は2時間以上、さらに好ましくは5
時間以上である。重合時には、ラテックスの粘度上昇を
抑制するために、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、
硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム等
の無機電解質を添加してもよい。また、重合時に使用す
る水の量には特に制限はないが、ポリオルガノシロキサ
ン(A)ラテックスの安定性とポリオルガノシロキサン
(A)の生産性がともに優れることから、シロキサン系
化合物混合物100質量部に対し100〜1000質量
部が好ましく、より好ましくは150〜500質量部、
さらに好ましくは150〜300質量部の範囲である。
100質量部未満の場合にはラテックスの安定性が損な
われやすくなる。500質量部を超える場合には、得ら
れるポリオルガノシロキサン(A)ラテックスが希薄に
なり、その結果、後の工程、すなわち、重合体(B)と
の複合化工程や単量体単位(D’)のグラフト重合工程
における生産性が著しく低下する場合がある。重合反応
は、反応液を冷却し、さらに苛性ソ−ダ、苛性カリ、炭
酸ナトリウムおよびアンモニアなどのアルカリ性物質を
添加して中和することによって停止することができる。
また、加熱処理して反応させた乳化液を冷却後、中和す
るまでの時間は、アリール基を含有するポリオルガノシ
ロキサン(A)の分子量に影響し、中和までの保持時間
を長くするほど分子量が増大する。そのため、中和まで
の保持時間を1時間以上、より好ましくは10時間以上
として、ポリオルガノシロキサン(A)の分子量を制御
することが好ましい。好ましくはポリオルガノシロキサ
ン(A)の重量平均分子量は10000以上である。
【0014】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)のその他の重合方法としては、アリール基含
有直鎖状オルガノシロキサンを含む単量体混合物、乳化
剤、水と、必要に応じてビニル重合性官能基含有シロキ
サンおよびシロキサン系架橋剤等を添加した混合物を上
記のようにして乳化させた後、これを、加熱した酸触媒
を含む水溶液中に連続的に滴下させて重合することもで
きる。
【0015】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)の製造時に、必要に応じて使用されるビニル
重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官
能基を有し、かつ、他のオルガノシロキサンとシロキサ
ン結合を介して結合できるものであれば特に制限はない
が、他のオルガノシロキサンとの反応性が優れることか
らビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン
化合物が好ましい。ビニル重合性官能基含有シロキサン
を使用すると、これがグラフト交叉剤として作用し、得
られたポリオルガノシロキサン(A)と重合体(B)と
を容易に複合化でき好ましい。
【0016】ビニル重合性官能基含有シロキサンの具体
例としては、β−メタクリロキシエチルジメトキシメチ
ルシラン、γ−メタクリロキシプロピルジメトキシメチ
ルシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシジメチ
ルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルエトキシジエチルシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルジエトキシメチルシ
ランおよびδ−メタクリロキシブチルジエトキシメチル
シラン等のメタクリロキシシロキサン、テトラメチルテ
トラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサ
ン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシランさらに
γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト
シロキサンが挙げられ、一種単独で、または二種以上を
併用することができる。ビニル重合性官能基含有シロキ
サン使用量の好ましい範囲は、アリール基を含有するポ
リオルガノシロキサン(A)を100モル%とした場
合、ビニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.3〜
3モル%となる範囲であり、より好ましくは0.5〜2
モル%、さらに好ましくは0.5〜1モル%である。
0.3モル%未満では、重合体(B)との複合化や、単
量体単位(D’)のグラフト重合が不十分となり、最終
的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や透明性が
悪化する場合がある。3モル%を超えると、ゴムの架橋
構造が過度に発達し、その結果、熱可塑性樹脂組成物の
耐衝撃性が低下する場合がある。
【0017】また、アリール基を含有するポリオルガノ
シロキサン(A)の製造時に、必要に応じて使用される
シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性
のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、
トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランおよびテ
トラn−プロピルオキシシラン等が用いられる。
【0018】乳化剤としては、通常のアニオン系乳化剤
もしくはノニオン系乳化剤が使用できる。アニオン系乳
化剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナ
トリウム、スルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウ
ム、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、アルケニ
ルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸およびオレイン酸
ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、特にアルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸
ナトリウム等のスルホン酸塩系乳化剤の使用が好まし
い。ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンエチルエー
テルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル等が使
用できる。これら乳化剤は一種または二種以上を併用す
ることができる。上記乳化剤の使用量には特に制限はな
いが、アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)製造時の乳化ラテックスの安定性が優れるととも
に、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の熱着色を考
慮すると、乳化剤の量はアリール基を含有するポリオル
ガノシロキサン(A)100質量部に対し、0.05〜
20質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.05
〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜2質量部の範囲
である。0.05質量部未満では、アリール基含有直鎖
状オルガノシロキサンの分散が不十分となり、アリール
基を含有するポリオルガノシロキサン(A)の製造が困
難になる場合がある。一方、20質量部を超えると、熱
可塑性樹脂組成物中に残存する乳化剤量が多くなり、そ
の結果、熱着色しやすくなる場合がある。
【0019】酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪
族置換ベンゼンスルホン酸および脂肪族置換ナフタレン
スルホン酸等のスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸、
リン酸などの鉱酸類が挙げられる。この中でも、重合時
の乳化ラテックスの安定化作用を有する点で脂肪族置換
ベンゼンスルホン酸が好ましく、より好ましくはn−ド
デシルベンゼンスルホン酸である。
【0020】このようにして得られたアリール基を含有
するポリオルガノシロキサン(A)と重合体(B)とを
複合化して複合ゴム状重合体(C)を得て、この複合ゴ
ム状重合体(C)に単量体単位(D’)をグラフト重合
することによって、グラフト共重合体(E)が得られ
る。ここでいう「複合化」とは、アリール基を含有する
ポリオルガノシロキサン(A)に対し、複合化される重
合体(B)がミクロレベルで絡み合った、もしくは互い
に化学的に結合を持った状態を指すものである。よっ
て、化学的に結合を有していてもいなくとも良い。
【0021】重合体(B)は、シアン化ビニル系単量体
単位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリ
レート単位から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を
構成成分として含む。ここで使用されるシアン化ビニル
系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、フマロニトリル等が使用でき、これらのなかでは
アクリロニトリルが好ましい。芳香族アルケニル単量体
としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−クロロスチレン等が使用でき、これらの
なかではスチレンが好ましい。アルキル(メタ)アクリ
レートとしては、アルキル基の炭素数が2〜8のものが
好ましく、例えば、アクリル酸と、炭素数が2〜8の直
鎖状または側鎖を有するアルコールとのエステルが使用
される。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−2−ブチル、
アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アク
リル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸−2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル
酸−t−ブチル、メタクリル酸ベンジル等が使用でき、
特にアクリル酸−n−ブチルが好ましい。また、重合体
(B)には、これら以外の単量体として、メタクリル酸
アリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、シ
アヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリ
メリット酸トリアリル等の二つ以上の重合性官能基を有
する化合物等も使用できる。
【0022】ここで重合体(B)は、その屈折率が、ア
リール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)の屈
折率と近い値であるものが好ましい。好ましくは、アリ
ール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)の屈折
率と重合体(B)の屈折率との差は0.02以下であ
る。このように、アリール基を含有するポリオルガノシ
ロキサン(A)および重合体(B)として、互いに屈折
率の差が小さいものを使用し、さらには、後述するよう
に、重合体(D)や(共)重合体(F)についても、ポ
リオルガノシロキサン(A)や重合体(B)の屈折率と
同程度の屈折率であるものを使用することによって、最
終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性がより優れ
たものとなる。アリール基を含有するポリオルガノシロ
キサン(A)の屈折率は、ポリオルガノシロキサン
(A)中のアリール基の含有量を変化させることによっ
て調整できるため、複合化させる重合体(B)の屈折率
等に応じてアリール基の含有量を調節することが好まし
い。また、重合体(B)の屈折率もその組成を変化させ
ることによって調整できる。
【0023】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)と、重合体(B)とを複合化し複合ゴム状重
合体(C)とする場合のポリオルガノシロキサン(A)
と重合体(B)との割合は、複合ゴム状重合体(C)を
100質量%とした場合、アリール基を含有するポリオ
ルガノシロキサン(A)が2〜98質量%で重合体
(B)が2〜98質量%であることが好ましい。このよ
うな割合では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の
耐衝撃性がより優れるため好ましい。より好ましくは、
アリール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)が
5〜80質量%で重合体(B)が20〜95質量%であ
る。アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)の比率が2質量%未満では、最終的に得られる熱
可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が不十分となる場合があ
る。
【0024】アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A)と重合体(B)とを複合化させる方法には特
に制限はなく、例えば、あらかじめ調製したアリール基
を含有するポリオルガノシロキサン(A)の存在下で、
重合体(B)を構成する単量体単位を重合させる方法
や、逆に、あらかじめ調製した重合体(B)の存在下
で、アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)を構成する単量体成分を重合させる方法等が挙げ
られる。重合方法は、アリールを含有するポリオルガノ
シロキサン(A)が乳化重合で容易に得られることか
ら、重合体(B)の複合化も乳化重合で行うことが好ま
しい。この場合、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤
・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等のラジカ
ル重合開始剤が用いられる。この中では、レドックス系
開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ヒドロパーオキ
サイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ま
しい。
【0025】複合ゴム状重合体(C)に対してグラフト
重合する単量体単位(D’)は、シアン化ビニル系単量
体単位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メタ)アク
リレート単位から選ばれた少なくとも1種を含む。ここ
で使用されるシアン化ビニル系単量体単位、芳香族アル
ケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位として
は、上述の重合体(B)を構成する単量体単位として例
示したものと同様のものを使用できるが、好ましくは、
少なくともメチルメタクリレート単位を使用することが
好ましい。さらに好ましくは、単量体単位(D’)10
0質量%中には50質量%以上のメチルメタクリレート
が含まれることが好ましい。50質量%未満では、最終
的に得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性が低下する場
合がある。この場合、50質量%以下の範囲で使用され
るその他の成分としては、シアン化ビニル系単量体単
位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレ
ート単位の単量体を単独で、または二種以上を併用して
使用できる。
【0026】また、ここで単量体単位(D’)として
は、この単量体単位(D’)を重合させて得られる重合
体(D)の屈折率が、アリール基を含有するポリオルガ
ノシロキサン(A)の屈折率や重合体(B)の屈折率と
同程度となるように選択され、これらの屈折率の差が小
さくなるように調整されることが好ましい。さらには、
これらの屈折率のなかで、最大の屈折率と最小の屈折率
との差が0.02以下となるように調整されることが好
ましい。また、後述するように、(共)重合体(F)と
の屈折率差も小さくすることが好ましい。単量体単位
(D’)は、複合ゴム状重合体(C)100質量部に対
して、10〜500質量部の範囲でグラフト重合される
ことが好ましく、より好ましくは30〜150質量部、
さらに好ましくは45〜100質量部である。10質量
部未満では最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の衝撃
強度が低下する場合があり、一方、500質量部を超え
ると、得られるグラフト共重合体(E)中の複合ゴム状
重合体(C)量が相対的に低下するため、最終的に得ら
れる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が不十分となる場合
がある。
【0027】ここで単量体単位(D’)を、複合ゴム状
重合体(C)に対してグラフト重合方法する方法には特
に制限はないが、アリール基を含有するポリオルガノシ
ロキサン(A)および複合ゴム状重合体(C)が乳化重
合によって容易に調製され、乳化ラテックスの状態で供
給されることが容易であることから、グラフト重合も乳
化重合で行うことが好ましい。乳化グラフト重合の例と
して、複合ゴム状重合体(C)ラテックスの存在下に、
単量体単位(D’)を一括で、または連続的、または断
続的に添加してラジカル重合する方法が挙げられる。ま
た、グラフト重合の際には、重合体(D)の分子量調節
やグラフト率制御のために、公知の連鎖移動剤や、ラテ
ックスの粘度やpHを調節するための公知の無機電解質
等を使用することができる。また、これらの種類および
添加量についても特に制限はない。また乳化グラフト重
合においては、各種の乳化剤を必要に応じて使用するこ
とができる。乳化剤の具体例としては、上述したアリー
ル基を含有するポリオルガノシロキサン(A)の製造時
に用いられるものと同じものを例示できる。好ましくは
N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、オレイン酸ナ
トリウム等のアニオン系乳化剤である。使用されるラジ
カル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤また
は酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が
用いられる。この中でレドックス系開始剤が好ましく、
特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
塩・ロンガリット・ヒドロパーオキサイドを組み合わせ
たスルホキシレート系開始剤が好ましい。
【0028】上記のように製造したグラフト共重合体
(E)ラテックスから粒状のグラフト共重合体(E)を
得るためには、このラテックスを凝固剤を溶解させた熱
水中に投入して、凝析、固化する。そして、この凝析、
固化されたグラフト共重合体(E)を、水または温水中
に再分散させてスラリー状とし、これを気流乾燥機等で
乾燥することによって、粒状のグラフト共重合体(E)
が得られる。ここで用いられる凝固剤としては、硫酸、
塩酸、リン酸および硝酸等の無機酸、塩化カルシウム、
酢酸カルシウムおよび硫酸アルミニウム等の金属塩等を
用いることができるが、グラフト共重合体(E)の生産
性が優れ、また、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物
の成型時における熱着色を考慮すると、金属塩を使用す
ることが好ましい。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト
共重合体(E)と(共)重合体(F)を含有するもので
ある。(共)重合体(F)は、アルキル(メタ)アクリ
レート単位、芳香族アルケニル単位、シアン化ビニル系
単量体単位から選ばれた少なくとも1種の単量体単位
と、必要に応じてこれらと共重合可能な単量体単位とを
重合させて得られる。ここで使用されるシアン化ビニル
系単量体単位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メ
タ)アクリレート単位としては、上述の重合体(B)を
構成する単量体単位として例示したものと同様のものを
使用できるが、好ましくは、少なくともメチルメタクリ
レート単位を使用することが好ましい。さらに好ましく
は、単量体単位100質量%中には50質量%以上のメ
チルメタクリレートが含まれることが好ましい。(共)
重合体(F)の製造方法については特に限定されないが
懸濁重合、溶液重合、塊状重合といった公知の方法によ
り製造できる。
【0030】熱可塑性樹脂組成物100質量%中におけ
るグラフト共重合体(E)の含有量は、好ましくは10
〜100質量%、さらに好ましくは20〜80質量%で
ある。10質量%未満では、熱可塑性樹脂組成物中のア
リール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)量、
または、複合ゴム状重合体(C)量が相対的に低下し、
熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合がある。
グラフト共重合体(E)と(共)重合体(F)とを配合
する方法としては、溶融混合する方法が好ましい。この
場合、溶融混合の前に、公知の安定剤、滑剤、可塑剤、
染料、顔料、充填剤、帯電防止剤等を必要に応じて適宜
添加し、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー等で混合
した後、ミキシングロール、スクリュー式押出機、バン
バリーミキサー等を用いて150〜300℃で溶融混練
する。このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物を、
押出機、射出成形機、押出成形機等で熱成形することに
よって、透明性、耐衝撃性、耐候性に優れたフィルム状
またはシート状の成形品を製造できる。また、射出成形
機等で成形加工することによって、透明性、耐衝撃性、
耐候性に優れた立体的な形状の成形品を製造できる。成
形品としては、バンパー、ルーフガーニッシュ、ドアミ
ラー、テールランプ等の自動車外装品やこれらの被覆材
料、そしてOA機器操作部分、表示板、エアコン室外機
等といった電気機器外装品やこれらの被覆材料に塗装の
代替として利用される。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、こ
の実施例によって本発明はなんら制限されるものではな
い。なお、実施例および比較例において『部』および
『%』は特に断らない限り『質量部』および『質量%』
を意味する。 [参考例1]アリール基を含有するポリオルガノシロキ
サン(A−1)ラテックスの製造 末端メトキシジフェニルジメチルシロキサン(東芝シリ
コーン社製XF40−B6197:ジフェニルシロキサ
ン含量=34mol%、25℃における粘度:0.04
Pa・s)76.3部、オクタメチルシクロテトラシロ
キサン(東芝シリコーン社製TSF−404)18.7
部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシ
メチルシラン5部を混合し、シロキサン混合物100部
を得た。次にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムお
よびドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1部シロキ
サン混合物に加え、撹拌した後、蒸留水200部を加
え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌し
た後、ホモジナイザーにより40MPa の圧力で4回
処理して乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテック
スを得た。この混合液をコンデンサーおよび撹拌翼を備
えたセパラブルフラスコに移し、混合、撹拌しながら8
0℃で5時間加熱した後20℃で放置した。そして、1
6時間後に5%水酸化ナトリウム水溶液でこのラテック
スのpHを7.4に中和して、重合を完結し、アリール
基を含有するポリオルガノシロキサン(A−1)ラテッ
クスを得た。このようにして得られたアリール基を含有
するポリオルガノシロキサン(A−1)ラテックスの固
形分は28.6%、吸光度は0.31であった。また、
(A−1)中のアリール基を含有するポリオルガノシロ
キサンの重量平均分子量は、67000であり、23℃
で測定した屈折率は1.493であった。
【0032】[参考例2]アリール基を含有するポリオ
ルガノシロキサン(A−2)ラテックスの製造 末端メトキシジフェニルジメチルシロキサン(東芝シリ
コーン社製XF40−B6197)を78.7部とし、
オクタメチルシクロテトラシロキサンを19.3部と
し、さらにγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキ
シメチルシランを2部に変更した以外は参考例1と同様
にしてアリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A−2)ラテックスを得た。このようにして得られた
アリール基を含有するポリオルガノシロキサン(A−
2)ラテックスの固形分は28.7%、吸光度は0.2
75であった。また、(A−2)中のアリール基を含有
するポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、75
000であり、23℃で測定した屈折率は1.495で
あった。
【0033】[参考例3]アリール基を含有するポリオ
ルガノシロキサン(A−3)ラテックスの製造 末端メトキシジフェニルジメチルシロキサン(東芝シリ
コーン社製XF40−B6197)を85.5部とし、
オクタメチルシクロテトラシロキサンを9.5部に変更
した以外は参考例1と同様にしてアリール基を含有する
ポリオルガノシロキサン(A−3)ラテックスを得た。
このようにして得られたアリール基を含有するポリオル
ガノシロキサン(A−3)ラテックスの固形分は29.
1%、吸光度は0.28であった。また、(A−3)中
のアリール基を含有するポリオルガノシロキサンの重量
平均分子量は、53000であり、23℃で測定した屈
折率は1.501であった。
【0034】[参考例4]ポリオルガノシロキサン(A
−4)ラテックスの製造 オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部
を混合し、シロキサン混合物100部を得た。次にドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベン
ゼンスルホン酸をそれぞれ1部シロキサン混合物に加
え、撹拌した後、蒸留水200部を加え、ホモミキサー
にて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイ
ザーにより40MPa の圧力で4回処理して乳化、分
散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混
合液をコンデンサーおよび撹拌翼を備えたセパラブルフ
ラスコに移し、混合撹拌しながら80℃で5時間加熱し
た後20℃で放置した。そして、16時間後に5%水酸
化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に
中和して、重合を完結し、ポリオルガノシロキサン(A
−4)ラテックスを得た。このようにして得られたポリ
オルガノシロキサン(A−4)ラテックスの固形分は2
9.1%、吸光度は0.130であった。また、ポリオ
ルガノシロキサン(A−4)の重量平均分子量は220
00であり、23℃で測定した屈折率は1.407であ
った。
【0035】[参考例5]共重合体(F−2)の製造 冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた耐圧
反応器内に、水150部、アクリロニトリル2.5部、
スチレン7.5部、メタクリル酸メチル90部、アゾビ
スイソブチロニトリル0.20部、ターシャリードデシ
ルメルカプタン0.4部およびポリビニルアルコール
0.7部を仕込み、碇型攪拌棒を用いて400回転毎分
の条件で攪拌した。次いで、ジャケット加熱機により内
温を75℃まで昇温し、2時間重合反応を行った。次
に、再びジャケット加熱機により内温を110℃まで昇
温し、20分間保持することで反応を完結させた。内容
物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗浄、脱水を繰り返
し、さらに得られた固形物を乾燥し、白色粒状の共重合
体(F−2)を得た。この重合体(F−2)のジメチル
ホルムアミド中25℃で測定した還元粘度(ηsp/
C)は0.50dl/g、23℃で測定した屈折率は
1.501であった。
【0036】[実施例1]グラフト共重合体(E−1)
の製造 窒素ガス導入管、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加
熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、アリール基含
有ポリオルガノシロキサン(A−1)ラテックスを3
5.0部(固形分として10部)、エマールNC−35
(ポリオキシエチレンアルキルフェニルサルフェート;
花王(株)社製)0.2部、蒸留水150部を添加混合
した後、重合体(B−1)を構成するブチルアクリレー
ト49.2部、スチレン10.8部、アリルメタクリレ
ート0.9部と、t−ブチルハイドロパーオキサイド
0.3部、硫酸第1鉄0.00001部、エチレンジア
ミン四酢酸二ナトリウム塩0.00003部およびロン
ガリット0.3部を蒸留水10部に溶解させた水溶液と
蒸留水320部を添加した。なお、別途乳化重合により
調製した上記の重合体(B−1)(ブチルアクリレート
81部、スチレン17.5部、アリルメタクリレート
1.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.5
部)の23℃での屈折率は1.489であった。ポリオ
ルガノシロキサン(A−1)、重合体(B−1)の複合
化による重合により1時間後の液温は75℃まで上昇し
た。1時間この状態を維持し、複合ゴム状重合体(C)
のラテックスを得た。この反応器に窒素気流を通じるこ
とによって、雰囲気の窒素置換を行い、60℃まで昇温
した。内部の液温が60℃になった時点で、ロンガリッ
ト0.25部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加
し、メタクリル酸メチル28.5部、メタクリル酸1.
5部と、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.12部
の混合物を2時間にわたって滴下し、単量体単位(D’
−1)をグラフト重合させるラジカル重合を開始させ
た。なお、別途、懸濁重合により調製した重合体(D−
1)(メタクリル酸メチル95部、メタクリル酸5部)
の23℃での屈折率は1.490であった。滴下終了
後、2時間保持し冷却した。動的光散乱法により求めた
ラテックス中のグラフト共重合体(E−1)の固形分、
重量平均粒子径は、それぞれ22.5%、0.270μ
mであった。ついでグラフト共重合体(E−1)ラテッ
クスを65℃に加熱した5%酢酸カルシウム水溶液15
0部に滴下し凝固させた。得られた粉体状のグラフト共
重合体を85℃で24時間乾燥してグラフト共重合体
(E−1)を得た。このグラフト共重合体(E−1)中
のアセトン不溶分は78%であった。使用したアリール
基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)および重合体
(B−1)、重合体(D−1)を、その屈折率とともに
表1に示す。
【0037】[実施例2]グラフト共重合体(E−2)
の製造 アリール基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)ラテ
ックスを104.9部(固形分として30部)、ブチル
アクリレートを32.8部、スチレンを7.2部に変更
した以外は実施例1と同様にしてグラフト共重合体(E
−2)を得た。動的光散乱法により求めたラテックス中
のグラフト共重合体(E−2)の固形分、重量平均粒子
径は、それぞれ23.1%、0.217μmであった。
ついでグラフト共重合体(E−2)の重合ラテックスを
65℃に加熱した5%酢酸カルシウム水溶液150部に
滴下し凝固させた。得られた粉体状のグラフト共重合体
を85℃で24時間乾燥してグラフト共重合体(E−
2)を得た。このグラフト共重合体(E−2)中のアセ
トン不溶分は79%であった使用したアリール基含有ポ
リオルガノシロキサン(A−1)および重合体(B−
1)、重合体(D−1)を、その屈折率とともに表1に
示す。
【0038】[実施例3]グラフト共重合体(E−3)
の製造 アリール基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)ラテ
ックスを175.0部(固形分として50部)、ブチル
アクリレートを16.4部、スチレンを3.6部に変更
した以外は実施例1と同様にしてグラフト共重合体(E
−3)を得た。動的光散乱法により求めたラテックス中
のグラフト共重合体(E−4)の固形分、重量平均粒子
径は、それぞれ23.5%、0.231μmであった。
ついでグラフト共重合体(E−3)の重合ラテックスを
65℃に加熱した5%酢酸カルシウム水溶液150部に
滴下し凝固させた。得られた粉体状のグラフト共重合体
を85℃で24時間乾燥してグラフト共重合体(E−
3)を得た。このグラフト共重合体(E−3)中のアセ
トン不溶分は79%であった。使用したアリール基含有
ポリオルガノシロキサン(A−1)および重合体(B−
1)、重合体(D−1)を、その屈折率とともに表1に
示す。
【0039】[実施例4]グラフト共重合体(E−4)
の製造 使用するアリール基含有ポリオルガノシロキサンラテッ
クスを(A−1)から(A−2)に変更した以外は実施
例2と同様にしてグラフト共重合体(E−4)を得た。
動的光散乱法により求めたラテックス中のグラフト共重
合体(E−4)の固形分、重量平均粒子径は、それぞれ
23.7%、0.231μmであった。ついでグラフト
共重合体(E−4)の重合ラテックスを65℃に加熱し
た5%酢酸カルシウム水溶液150部に滴下し凝固させ
た。得られた粉体状のグラフト共重合体を85℃で24
時間乾燥してグラフト共重合体(E−4)を得た。この
グラフト共重合体(E−4)中のアセトン不溶分は78
%であった。使用したアリール基含有ポリオルガノシロ
キサン(A−2)および重合体(B−1)、重合体(D
−1)を、その屈折率とともに表1に示す。
【0040】[実施例5]グラフト共重合体(E−5)
の製造 使用するアリール含有ポリオルガノシロキサンラテック
スを(A−1)から(A−3)に変更し、グラフト重合
させたメタクリル酸メチル28.5部、メタクリル酸
1.5部の代わりに、単量体単位として、メチルメタク
リレート27.0部、アクリロニトリル2.25部、ス
チレン6.75部を使用した以外は実施例2と同様にし
てグラフト共重合体(E−5)を 得た。ここで使用し
た単量体単位を(D’−2)とする。なお、別途、懸濁
重合により調製した重合体(D−2)(メチルメタクリ
レート90部、アクリロニトリル2.5部、スチレン
7.5部)の23℃での屈折率は1.501であった。
動的光散乱法により求めたラテックス中のグラフト共重
合体(E−5)の固形分、重量平均粒子径は、それぞれ
23.7%、0.241μmであった。ついでグラフト
共重合体(E−5)の重合ラテックスを65℃に加熱し
た5%酢酸カルシウム水溶液150部に滴下し凝固させ
た。得られた粉体状のグラフト共重合体を85℃で24
時間乾燥してグラフト共重合体(E−5)を得た。この
グラフト共重合体(E−5)中のアセトン不溶分は78
%であった。使用したアリール基含有ポリオルガノシロ
キサン(A−3)および重合体(B−1)、重合体(D
−2)を、その屈折率とともに表1に示す。
【0041】[比較例1]グラフト共重合体(E−6)
の製造 アリール基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)の代
わりにポリジメチルオルガノシロキサン(A−4)を使
用し、水量を調整した以外は実施例2と同様にして重合
を行いグラフト共重合体(E−6)を得た。このグラフ
ト共重合体(E−6)の23℃で測定した屈折率は1.
411であった。動的光散乱法により求めたラテックス
中のグラフト共重合体(E−6)の固形分、重量平均粒
子径は、それぞれ23.2%、0.159μmであっ
た。また、このグラフト共重合体(E−6)中のアセト
ン不溶分は76%であった。使用したポリオルガノシロ
キサンおよび重合体(B−1)、重合体(D−1)を、
その屈折率とともに表1に示す。
【0042】[比較例2]グラフト共重合体(E−7)
の製造 アリール基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)を使
用せず、また、ブチルアクリレート/スチレンの比率を
質量部で70/30に変更し、水量を調整した以外は実
施例2と同様にしてグラフト共重合体(E−7)を得
た。ここでブチルアクリレート/スチレン共重合体を重
合体(B−2)とする。重合体(B−2)の屈折率は
1.490であった。動的光散乱法により求めたラテッ
クス中のグラフト共重合体の固形分、重量平均粒子径は
それぞれ23.9%、0.243μmであった。また、
このグラフト共重合体(E−7)中のアセトン不溶分は
73%であった。使用したポリオルガノシロキサンおよ
び重合体(B−2)、重合体(D−1)を、その屈折率
とともに表1に示す。
【0043】(実施例6〜10、比較例3〜5)熱可塑
性樹脂組成物の製造 実施例1〜5および比較例1〜2で製造したグラフト共
重合体(E−1〜7)と、(共)重合体(三菱レイヨン
(株)製アクリペットVHS、屈折率は1.489)
(F−1)と、参考例5で製造した共重合体(F−2)
とを、表2に示す割合で配合し、さらに酸化防止剤とし
てアデカスタブAO−50(旭電化工業(株)製)を
0.2部、熱安定剤としてアデカスタブ329K(旭電
化工業(株)製)を0.5部、改質剤および離型剤とし
てシリコーンL−45−100(信越化学工業(株)
製)を0.01部、光安定剤としてアデカスタブLA−
77Y(旭電化工業(株)製)とアデカスタブ32P
(旭電化工業(株)製)をそれぞれ0.25部、0.1
5部添加して、ヘンシェルミキサーで3分間混合した。
このようにして得られた各熱可塑性樹脂組成物(1)〜
(8)中の、各成分の屈折率を表3に示す。また、最大
屈折率と最小屈折率との差を表3に示す。
【0044】(実施例11〜15、比較例6〜8)実施
例6〜10および比較例3〜5で得られた熱可塑性樹脂
組成物を、バレル温度230℃に設定したPCM−30
(2軸押出機;池貝鉄工(株)製)で賦型し、樹脂ペレ
ットを作製した。そして、得らたペレットをシリンダー
温度230℃、金型温度60℃でSAV−60射出成形
機(縦型射出成形機;山城精機(株)製)によって、1
00mm×100mm×3mmtの平板に成形した。こ
の成形板を用いて常温および低温下での耐衝撃性を測定
した。また、得られたペレットを幅70mm、高さ1.
0、3.0mmのTダイを装着したスクリュー径25m
mの単軸押出機(サーモプラスチック社製)および転写
ロール、巻き取り装置からなる押出機を用い、バレル温
度230℃、ロール温度80℃およびスクリュー回転数
40回転/分の条件で押し出し成形し、幅70mm、厚
み0.5mmのフィルムと厚み2.0mmのシート成形
品とを得た。そして、シート成形品の成形外観特性と耐
候性を評価し、また、フィルムの常温、低温条件下での
引張強度、成形外観特性、耐候性を評価した。以上の評
価結果を表4に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】[評価方法]上記の参考例、実施例、比較
例中の各種物性等は以下の方法で測定、評価した。 (1)ポリオルガノシロキサンラテックス吸光度 実施例および比較例におけるアリール基含有ポリオルガ
ノシロキサン(A)およびポリオルガノシロキサンラテ
ックスの吸光度は、固形分濃度0.5g/Lに調製した
ラテックスを、紫外線可視分光光度計(島津製作所
(株)「UV−160」)を用いて波長700nmの条
件で測定した。 (2)ポリオルガノシロキサン分子量 アリール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)お
よびポリオルガノシロキサンラテックスの重量平均分子
量は、ラテックスをイソプロピルアルコールにて沈殿回
収し、これを室温下で真空乾燥した後、テトラヒドロフ
ランに溶解させた溶液をGPC(WATERS社製)を
用いて測定し、リテンションタイムより標準ポリスチレ
ン換算にて求めた。 (3)ポリオルガノシロキサン屈折率 アリール基を含有するポリオルガノシロキサン(A)お
よびポリオルガノシロキサンの屈折率は、ラテックスを
イソプロピルアルコールにて沈殿回収し、これを室温下
で真空乾燥した後、アッベ屈折率計(島津製作所(株)
製)を用いて23℃で測定し求めた。 (4)重合体(B)、重合体(D)、(共)重合体
(F)の屈折率 実施例および比較例における重合体(B)、重合体
(D)、(共)重合体(F)の屈折率の測定は、別途、
乳化重合および懸濁重合によって得られた樹脂組成物を
押出成形し、得られたシート状試片を切り出し、アッベ
屈折率計(島津製作所(株)製)を用いて23℃で測定
し求めた。 (5)グラフト共重合体(E)の重量平均粒子径 ラテックスを直接透過型電子顕微鏡にて観察し、粒子2
00〜300個の粒子径を測定し、それらの平均粒子径
を求めた。 (6)Izod衝撃強度 ASTM D256に準拠して射出成形品を用い、23
℃および−30℃の条件下で測定した。 (7)引張強度 押出成形で調製した厚み0.5mmのフィルム成形品よ
りJIS2号ダンベルを打ち抜き加工により作製し、こ
れを試験片として引張試験機(ストログラフT・東洋精
機(製))により、クロスヘッドスピード500mm/
秒で、23℃および−30℃の条件下で測定した。そし
て、試験片が破断した強度を求めた。 (8)成形外観特性評価 成形外観特性(全光線透過率、ヘイズ(曇価))評価
は、押出成形により得られたシート成形品を切り出し、
ヘイズメーター(村上色彩研究所(株)製)で測定し
た。 (9)耐候性評価 樹脂組成物(白着色品)の耐候性は、押出成形で得られ
たシート成形品、フィルムを50mm×50mmのサイ
ズに切り出し、サンシャインウェザーメーター(スガ試
験機(株)製)で1000時間処理した後の、変色の度
合い(ΔE)および下記式(1)で算出した光沢度保持
率により評価した。変色の度合いは色差計で測定した。 光沢度保持率(%)=(1000時間曝露後光沢度/曝露前光沢度)×100 …(1)
【0050】実施例および比較例より、次のことが明ら
かとなった。 (1)アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)と重合体(B)が複合化した複合ゴム状重合体
(C)を含むグラフト共重合体は、アリール基を含有し
ないポリオルガノシロキサンを使用したグラフト共重合
体に比較して、屈折率が高くなる。このようなグラフト
共重合体を樹脂に配合し成形することによって、透明性
が良好なシートおよびフィルムを得ることができた。 (2)アリール基を含有するポリオルガノシロキサン
(A)と重合体(B)が複合化した複合ゴム状重合体
(C)を含むグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合し
成形すると、常温下および低温下での機械的特性が優
れ、かつ、耐候性も優れ、さらに透明性が高く成形外観
特性も良好な成形品が得られた。なお低温での特性は低
Tgに由来する。 (3)一方、アリール基を含有しないポリオルガノシロ
キサンを含むグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合し
成形すると、透明性に欠け、成形外観が不良な成形品が
得られた。 (4)また、ポリオルガノシロキサンを含まず、アルキ
ル(メタ)アクリレート/スチレンを含むグラフト共重
合体を熱可塑性樹脂に配合し成形すると、透明性や、常
温での耐衝撃性には優れるが低温条件下での耐衝撃性や
低耐候性がやや劣った成形品が得られた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明のグラフト共
重合体(E)は、アリール基を含有するポリオルガノシ
ロキサン(A)と、シアン化ビニル系単量体単位、芳香
族アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位
から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を構成成分と
する重合体(B)とが複合化した複合ゴム状重合体
(C)をゴム源として含むので、このグラフト共重合体
(E)を樹脂に配合することによって、常温や低温環境
下においても耐衝撃性および耐候性に優れ、かつ透明性
も良好な熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。本発
明の熱可塑性樹脂組成物は、シートやフィルムに適する
他、自動車外装用途材料、建材用途材料としての使用に
も適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/18 C08L 33/18 51/06 51/06 51/08 51/08 // B29K 21:00 B29K 21:00 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 藤井 秀幸 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 (72)発明者 重光 英之 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA33 AA34 AA67 AA77 AF31Y AH07 AH12 BB05 BB06 BC01 BC07 4F206 AA45G JA07 JF01 JL02 4F208 AA45G AG01 MG01 MG11 4J002 BC06Y BC07Y BG06Y BG10Y BN12X BN17W BN21W GN00 GQ01 4J026 AA17 AA45 AA56 AB44 AC15 BA05 BA08 BA27 BA28 BA31 BA40 BB04 BB10 DB04 DB08 DB12 DB13 DB16 FA04 GA01 GA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アリール基を含有するポリオルガノシロ
    キサン(A)と、シアン化ビニル系単量体単位、芳香族
    アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位か
    ら選ばれた少なくとも1種の単量体単位を構成成分とす
    る重合体(B)とが複合化した複合ゴム状重合体(C)
    に対し、 シアン化ビニル系単量体単位、芳香族アルケニル単位、
    アルキル(メタ)アクリレート単位から選ばれた少なく
    とも1種の単量体単位(D’)がグラフト重合している
    ことを特徴とするグラフト共重合体(E)。
  2. 【請求項2】 単量体単位(D’)中には、メチルメタ
    クリレート単位が含まれていることを特徴とする請求項
    1に記載のグラフト共重合体(E)。
  3. 【請求項3】 アリール基を含有するポリオルガノシロ
    キサン(A)の屈折率と、重合体(B)の屈折率と、単
    量体単位(D’)からなる重合体(D)の屈折率のなか
    で、最大の屈折率と最小の屈折率との差が、0.02以
    下であることを特徴とする請求項1または2に記載のグ
    ラフト共重合体(E)。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のグ
    ラフト共重合体(E)と、シアン化ビニル系単量体単
    位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレ
    ート単位から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を構
    成成分として含む(共)重合体(F)とを有することを
    特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (共)重合体(F)の構成成分中には、
    メチルメタクリレート単位が含まれていることを特徴と
    する請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 アリール基を含有するポリオルガノシロ
    キサン(A)の屈折率と、重合体(B)の屈折率と、単
    量体単位(D’)からなる重合体(D)の屈折率と、
    (共)重合体(F)の屈折率のなかで、最大の屈折率と
    最小の屈折率との差が、0.02以下であることを特徴
    とする請求項4または5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物を熱成形して得られるフィルム状また
    はシート状成形品。
  8. 【請求項8】 請求項4ないし6のいずれかに記載の熱
    可塑性樹脂組成物を射出成形して得られる成形品。
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