JPWO2014208716A1 - ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

より高い顔料着色性、低温耐衝撃性、難燃性を兼ね備えた樹脂組成物を提供する。ポリオルガノシロキサン及びビニル重合体を含有するゴム(A)の存在下で、1種以上のグラフト用ビニル単量体(b)を重合したポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体であって、前記ゴム(A)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内であるグラフト共重合体。該グラフト共重合体と樹脂とを含む樹脂組成物。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂に添加して得られる熱可塑性樹脂組成物の低温耐衝撃性を向上するとともに、この熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体において高い顔料着色性、難燃性を発現させることが可能なポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体に関する。また、高い低温耐衝撃性、顔料着色性、難燃性を有する熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、汎用エンジニアリングプラスチックとして透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性などに優れ、その優れた特性から、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野等の材料として、工業的に広く利用されている。
また芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる成形品は、近年、電気・電子機器筐体、家電製品等の用途を中心に、製品の低コスト化を目的として、塗装を施さずに使用される場合もあり、従来よりも高い顔料着色性が求められている。
例えば、特許文献1には、ポリオルガノシロキサンゴム及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴムからなる複合ゴムにビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体であって、その数平均粒子径が300〜2000nmであり、かつ全粒子中に占める300nm未満の粒子の割合が20体積%以下であるグラフト共重合体が提案されている。しかし、特許文献1に記載のグラフト共重合体は、電気・電子機器筐体、家電製品等の用途に用いるには顔料着色性や難燃性が十分でない。
また、特許文献2には、アリール基を含有するポリオルガノシロキサンと、シアン化ビニル単量体単位、芳香族アルケニル単量体単位、アルキル(メタ)アクリレート単位から選ばれた少なくとも1種の単量体単位を構成成分とする重合体とが複合化された複合ゴム状重合体に対し、シアン化ビニル単量体単位、芳香族アルケニル単位、アルキル(メタ)アクリレート単位から選ばれた少なくとも1種の単量体単位がグラフト重合されてなるグラフト共重合体が提案されている。しかし、特許文献2に記載のグラフト共重合体の質量平均粒子径は300nmより小さいため、電子・電気機器筐体、家電製品等の用途に用いるには低温衝撃強度や顔料着色性が十分でない。
特開2004−331726号公報 特開2002−020443号公報
本発明の目的は、より高い顔料着色性、低温耐衝撃性と難燃性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供することにある。また本発明の目的は、このような性能を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供可能なポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を提供することにある。
前記課題は以下の発明[1]〜[17]のいずれかによって解決される。
〔1〕 下記の「作製条件」で作製された「試験片1」、「試験片2」または「試験片3」について、下記の「測定条件」で測定されるシャルピー衝撃強度[kJ/m]、L*及び難燃性が、以下の(1)〜(3)で示される性能を有する、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
(1)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、
(2)L*が8以下、
(3)難燃性がV1又はV0。
〔試験片1及び2の作製条件〕:
(a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体3質量部、
(b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)97質量部、
(c)Irganox1076(BASF製)0.1質量部、
(d)アデカスタブ2112(ADEKA製)0.1質量部、
(e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部。
上記の5種類の材料(a)〜(e)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片1」(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm、Vノッチ付き)および「試験片2」(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)を得る。
〔試験片3の作製条件〕:
(a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体5質量部、
(b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)89.5質量部、
(e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部、
(f)芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製PX−200)5質量部、
(g)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800)0.5質量部。
上記の5種類の材料(a)、(b)、(e)、(f)、(g)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片3」(長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mm)を得る。
〔シャルピー衝撃強度の測定条件〕:
ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置した「試験片1」について、シャルピー衝撃強度を測定する。
〔L*の測定条件〕:
JISZ8722に準じた下記の測定条件にて、「試験片2」について三刺激値(XYZ)を測定する。次いでCIE色差式を用いてL*値を算出する。
装置:分光式色差計SE−2000(日本電色工業株式会社製、0−45°後分光方式)、
測定範囲:380〜780nm、
測定光源:C光(2°視野)。
〔難燃性の測定条件〕:
UL−94V(垂直燃焼試験)に準じて「試験片3」について難燃性を測定する。
〔2〕 ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有するゴム(A)の存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体であって、該ゴム(A)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、該ゴム(A)の体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内であるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔3〕 前記ゴム(A)がポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有する複合ゴムである前記〔2〕に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔4〕 前記ポリオルガノシロキサン(A1)がオルガノシロキサンを含むオルガノシロキサン混合物を重合したものであり、該オルガノシロキサンが環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物である前記〔2〕又は〔3〕に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔5〕 前記ゴム(A)の体積平均粒子径が400〜1000nmの範囲内である前記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔6〕 前記ゴム(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)の含有量が40〜80質量%であり、ビニル重合体(A2)の含有量が60〜20質量%である前記〔2〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔7〕 前記ビニル重合体(A2)が、20℃における水への溶解度が5質量%以下のラジカル重合開始剤を用いてゴム用ビニル単量体(a2)を重合したものである前記〔2〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔8〕 前記ラジカル重合開始剤が、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)からなる群より選ばれる少なくとも1種である前記〔7〕に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔9〕 前記ビニル重合体(A2)が芳香族ビニル単量体単位及び/又はエステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレート単位を含有する前記〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔10〕 前記ゴム(A)が、該ゴム(A)の合計100質量%を基準として、アルキル(メタ)アクリレート単位を0〜35質量%含有する前記〔2〕〜〔9〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔11〕 前記ゴム用ビニル単量体(a2)が、該ゴム用ビニル単量体(a2)の合計100質量%を基準として、架橋性単量体を0.1〜10質量%含有する前記〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔12〕 前記グラフト用ビニル単量体(b)が、芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル単量体、エステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する前記〔2〕〜〔11〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔13〕 前記グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られる重合体の屈折率が1.50〜1.60の範囲内である前記〔2〕〜〔12〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
〔14〕 前記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物。
〔15〕 前記熱可塑性樹脂組成物100質量%中の前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体の含有量が0.5〜90質量%である、前記〔14〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔16〕 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である前記〔14〕又は〔15〕に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔17〕 前記〔14〕〜〔16〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、より高い顔料着色性、低温耐衝撃性と難燃性を兼ね備えた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供することができる。また本発明によれば、このような性能を有する熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供可能なポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の少なくとも一方を意味する。本発明において、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を、単に「グラフト共重合体」という場合がある。
<ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体>
本発明のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有するゴム(A)の存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られる重合体であって、前記ゴム(A)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、前記ゴム(A)の体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内である重合体(以下、「本発明のグラフト共重合体1」という場合がある。)であることが好ましい。
〔ポリオルガノシロキサン(A1)〕
ポリオルガノシロキサン(A1)は、オルガノシロキサン単位を構成単位として含有する重合体である。ポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサンまたは、オルガノシロキサンと必要に応じて使用される成分を1種以上含む「オルガノシロキサン混合物」を重合することにより得ることができる。必要に応じて使用される成分としては、シロキサン系架橋剤、シロキサン系グラフト交叉剤、及び末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等が挙げられる。
オルガノシロキサンとしては、鎖状オルガノシロキサン、アルコキシシラン化合物、環状オルガノシロキサンのいずれも用いることができる。その中でも、アルコキシシラン化合物、環状オルガノシロキサンが好ましく、環状オルガノシロキサンが、重合安定性が高く、重合速度が大きいのでより好ましい。
アルコキシシラン化合物としては、2官能性アルコキシシラン化合物が好ましく、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
環状オルガノシロキサンとしては、3〜7員環のものが好ましく、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサンを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、粒子径分布を制御しやすいことから、主成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
オルガノシロキサンとしては、低温耐衝撃性のより高いグラフト共重合体を得ることができることから、環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物であるオルガノシロキサンを用いることが好ましい。
環状ジメチルシロキサンとは、ケイ素原子にメチル基を2つ有する環状シロキサンであり、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
2官能性ジアルキルシラン化合物とはケイ素原子にアルコキシ基とアルキル基をそれぞれ2つ有するシラン化合物であり、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシランを挙げることができる。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
シロキサン系架橋剤としては、シロキシ基を有するものが好ましい。シロキサン系架橋剤を用いることによって、架橋構造を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。シロキサン系架橋剤としては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤を挙げることができる。中でも、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。シロキサン系架橋剤の含有率は、オルガノシロキサン混合物100質量%中、0〜30質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましい。シロキサン系架橋剤の含有率を0.1〜30質量%とすることによって、低温耐衝撃性が良好なグラフト共重合体を得ることができる。
シロキサン系グラフト交叉剤は、シロキシ基を有すると共にビニル単量体と重合可能な官能基を有するものである。シロキサン系グラフト交叉剤を用いることによって、ビニル単量体と重合可能な官能基を有するポリオルガノシロキサンを得ることができる。ポリオルガノシロキサンがビニル単量体と重合可能な官能基を有することにより、ポリオルガノシロキサンと、後述するゴム用ビニル単量体(a2)及びグラフト用ビニル単量体(b)をラジカル重合によってグラフトさせることができる。
シロキサン系グラフト交叉剤としては、式(I)で表されるシロキサンを挙げることができる。
Figure 2014208716
式(I)中、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。Rは、アルコキシル基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を挙げることができる。nは、0、1又は2を示す。Rは、式(I−1)〜(I−4)で表されるいずれかの基を示す。
Figure 2014208716
これらの式中、R及びRは、それぞれ、水素又はメチル基を示し、pは1〜6の整数を示す。
式(I−1)で表される官能基としては、メタクリロイルオキシアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば以下のものが挙げられる。β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等。
式(I−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
式(I−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
式(I−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、例えば以下のものが挙げられる。γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等。
これらシロキサン系グラフト交叉剤は、1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。シロキサン系グラフト交叉剤の含有率は、オルガノシロキサン混合物100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましく、0.05〜20質量%であることがより好ましい。シロキサン系グラフト交叉剤の含有率を0.05〜20質量%とすることによって、低温耐衝撃性が良好なグラフト共重合体を得ることができる。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとは、オルガノシロキサンオリゴマーの末端にアルキル基等を有し、ポリオルガノシロキサンの重合を停止させるシロキサンオリゴマーをいう。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。
[ポリオルガノシロキサン(A1)の製造方法]
ポリオルガノシロキサン(A1)の製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。まず、オルガノシロキサン、必要に応じてシロキサン系架橋剤、必要に応じてシロキサン系グラフト交叉剤、及び必要に応じて末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーを含むオルガノシロキサン混合物を、乳化剤と水によって乳化させてエマルションを調製する。その後、該混合物を酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンのラテックスを得る。尚、以下の製造方法の説明においては、重合用の原料として「オルガノシロキサン混合物」を用いた場合について説明するが、「オルガノシロキサン」を用いた場合についても同様の製造プロセスを適用できる。
この製造方法において、エマルションの調製方法としては、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーを用いる方法、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して高速攪拌により混合する方法などが挙げられる。これらの中でも、ホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンのラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい方法である。
重合の際の酸触媒の混合方法としては、(1)オルガノシロキサン混合物、乳化剤及び水とともに酸触媒を一括して添加し、混合する方法、(2)オルガノシロキサン混合物のエマルション中に酸触媒水溶液を一括して添加する方法、(3)オルガノシロキサン混合物のエマルションを高温の酸触媒水溶液中に一定速度で滴下して混合する方法等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすいことから、オルガノシロキサン混合物のエマルションを高温で保持し、次いでその中に酸触媒水溶液を一括して添加する方法が好ましい。
重合温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、重合時間は、オルガノシロキサン混合物のエマルション中に酸触媒水溶液を一括して添加して重合する場合には、通常2時間以上、好ましくは5時間以上である。
更に、30℃以下の温度においては、シラノール間の架橋反応が進行することから、ポリオルガノシロキサンの架橋密度を上げるために、50℃以上の高温で重合させた後に、生成したラテックスを、30℃以下の温度で5時間から100時間程度保持することもできる。
オルガノシロキサン混合物の重合反応は、ラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6〜8に中和して、終了させることができる。
上記製造方法で使用される乳化剤としてはオルガノシロキサン混合物を乳化できれば特に制限されないが、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムを挙げることができる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等。これらの乳化剤は、1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
乳化剤の使用量は、オルガノシロキサン混合物100質量部に対して、0.05〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。乳化剤の使用量によって、ポリオルガノシロキサンのラテックスの粒子径を所望の値に調整することが可能である。乳化剤の使用量が0.05質量部以上であれば、オルガノシロキサン混合物のエマルションの乳化安定性が十分である。乳化剤量が10質量部以下であれば、グラフト共重合体の粉体中に残存する乳化剤の量を十分に低減できるので、該グラフト共重合体と樹脂を含む樹脂組成物の耐熱分解性及び表面外観の低下を抑制できる。
オルガノシロキサン混合物の重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類及び硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、さらに、ポリオルガノシロキサンラテックス中の乳化剤成分に起因する成形品の耐熱分解性の低下ならびに外観不良の低減を達成することができる。
酸触媒の使用量は、オルガノシロキサン100質量部に対して0.005〜5質量部であることが好ましい。酸触媒の使用量が0.005質量部以上であれば、ポリオルガノシロキサンを短時間で重合することができる。また酸触媒の使用量が5質量部以下であれば、耐熱分解性ならびに外観が良好な成形品を得ることができる。
また、酸触媒の使用量がポリオルガノシロキサンの粒子径を決定する因子となるため、後述する粒子径のポリオルガノシロキサンを得るためには、酸触媒の使用量を0.005〜1.5質量部とすることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサンのラテックスの質量平均粒子径は、250〜1000nmの範囲内であることが好ましい。ポリオルガノシロキサンのラテックスの質量平均粒子径を250〜1000nmの範囲内とすることによって、ゴム(A)の体積平均粒子径を300〜2000nmの範囲内に調整することが可能である。
ポリオルガノシロキサンのラテックスの「質量平均粒子径/数平均粒子径(Dw/Dn)」は、1.0〜1.7の範囲内であることが好ましい。Dw/Dnを1.0〜1.7の範囲内とすることによって、顔料着色性の高いグラフト共重合体を得ることができる。
これらのDw及びDnの値としては、以下の方法で測定される値を採用することができる。ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて粒子径を測定する。粒子径はメジアン径を平均粒子径として用いる。
測定はMATEC社が推奨する下記の標準条件で行なうことができる。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名;C−202)、
キャリア液:専用キャリア液(商品名;2XGR500)、
キャリア液の液性:ほぼ中性、
キャリア液の流速:1.4ml/分、
キャリア液の圧力:約4,000psi(2,600kPa)、
測定温度:35℃、
試料使用量:0.1ml。
また、標準粒子径物質としては、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンで、40〜800nmの粒子径の範囲内の12種類の粒子が用いられる。
上記方法により得られるポリオルガノシロキサンのラテックスには、機械的安定性を向上させる目的で、必要に応じて、乳化剤を添加してもよい。乳化剤としては、上記例示したものと同様のアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好ましい。
〔ビニル重合体(A2)〕
本発明のビニル重合体(A2)としては、ゴム用ビニル単量体(a2)を重合して得られる重合体が挙げられる。
[ゴム用ビニル単量体(a2)]
ゴム用ビニル単量体(a2)としては、例えば以下の単量体が挙げられる。スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等のエステル基がフェニル基または置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体等。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ゴム(A)の屈折率を1.47〜1.56の範囲内に調整する観点から、ゴム用ビニル単量体(a2)としては、芳香族ビニル単量体及び/又はエステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。即ち、ビニル重合体(A2)が芳香族ビニル単量体単位及び/又はエステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレート単位を含有する重合体であることが好ましい。ゴム(A)100質量%中における、このようなビニル重合体(A2)の含有量は、15〜90質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましく、45〜60質量%であることが更に好ましい。
ゴム用ビニル単量体(a2)は、架橋性単量体を含有することが好ましい。架橋性単量体としては、例えば以下の多官能性単量体が挙げられる。メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸プロピレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコールジエステル、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコールジエステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリル酸エステル、トリメリト酸トリアリル等。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム用ビニル単量体(a2)100質量%中における架橋性単量体の含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜5質量%であることがさらに好ましく、0.3〜3質量%であることが特に好ましい。架橋性単量体の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であれば、グラフト共重合体の低温耐衝撃性が向上するためより好ましい。
ビニル重合体(A2)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造することができるが、乳化重合法を用いることが好ましい。
ゴム用ビニル単量体(a2)の重合に用いるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物、及び過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤が好ましい。
アゾ系開始剤としては、例えば以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)等の油溶性アゾ系開始剤、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシメチル)−2−メチルプロピオナミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤等。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物としては、例えば以下のものが挙げられる。過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物を還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤とする場合、上記の過酸化物と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトール等の還元剤と、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を組み合わせて用いることが好ましい。これらの還元剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム用ビニル単量体(a2)の重合に用いるラジカル重合開始剤は、20℃における水への溶解度が5質量%以下のものであることが好ましく、2質量%以下のものであることがより好ましい。このラジカル重合開始剤を用いて重合することで、低温耐衝撃性に優れたグラフト共重合体を得ることができる。
20℃における水への溶解度が5質量%以下のラジカル重合開始剤としては、例えば以下のものが挙げられる。クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)等。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤の20℃における水への溶解度は、各種ラジカル重合開始剤のカタログ等から知ることができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、アゾ系開始剤を用いる場合は単量体の合計100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。レドックス系開始剤の場合、過酸化物の使用量は、単量体の合計100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。還元剤の使用量は、単量体の合計100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。
〔ゴム(A)〕
本発明のゴム(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有する。ゴム(A)としては、以下の(1)〜(3)の構造を有するゴムを例示することができる。
(1)多層構造を有し、ポリオルガノシロキサン(A1)のコアがビニル重合体(A2)のシェルで被覆された構造を有するゴム、
(2)多層構造を有し、ビニル重合体(A2)のコアがポリオルガノシロキサン(A1)のシェルで被覆された構造を有するゴム、
(3)ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有する複合ゴム。
ゴム(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有する「複合ゴム」であることが好ましい。このような複合ゴムから得られるグラフト共重合体は、低温耐衝撃性が良好である。ゴム(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)からなる「複合ゴム」であることがより好ましい。
本発明において、ゴム(A)の屈折率は、1.47〜1.56の範囲内であり、1.47〜1.54の範囲内であることが好ましく、1.47〜1.53の範囲内であることがより好ましく、1.49〜1.52の範囲内であることがさらに好ましい。ゴム(A)の屈折率を1.47〜1.56の範囲内とすることで、顔料着色性と低温耐衝撃性の優れた樹脂組成物を得ることができる。ゴム(A)の屈折率が1.47以上であれば、樹脂組成物の顔料着色性が良好となり好ましい。またゴム(A)の屈折率が1.56以下であれば、樹脂組成物の低温耐衝撃性が良好となり好ましい。ゴム(A)の屈折率の調整は、ゴム(A)中のポリオルガノシロキサンの含有量、ゴム用ビニル単量体(a2)の種類及び使用量を調整することにより行うことができる。
ゴム(A)の屈折率は、POLYMER HANDBOOK 4th Edition (Wiley Interscience)に記載の以下の式(数式1)を用いて算出される。
<数式1>
n=v1n1+v2n2+v3n3+・・・
なお、式中の「n1、n2、n3、・・・」は各単量体の単独重合体の20℃における屈折率を表し、POLYMER HANDBOOK 4th Editionに記載の値が使用できる。式中、「v1、v2、v3、・・・」は各単量体の体積分率を表す。
本発明のゴム(A)は、ポリオルガノシロキサン(A1)の含有量が40〜80質量%、ビニル重合体(A2)の含有量が60〜20質量%であることが好ましく、ポリオルガノシロキサン(A1)の含有量が40〜55質量%、ビニル重合体(A2)の含有量が60〜45質量%であることがさらに好ましい。ポリオルガノシロキサン(A1)の含有量を40〜80質量%、ビニル重合体(A2)の含有量を60〜20質量%とすることで、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の低温耐衝撃性、顔料着色性、及び難燃性のバランスが良好となる。
ゴム(A)中のアルキル(メタ)アクリレート単位の含有量は、該ゴム(A)の合計100質量%を基準として、0〜35質量%であることが好ましく、0〜30質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることがさらに好ましく、0〜15質量%であることが特に好ましい。アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量を0〜35質量%とすることで、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の低温耐衝撃性、顔料着色性、及び難燃性のバランスが良好となる。
ゴム(A)の製造方法としては、特に制限はない。前述の(1)〜(3)の構造を有するゴムの製造方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。
(1)の構造を有するゴム:ポリオルガノシロキサンラテックスの存在下に、ゴム用ビニル単量体(a2)を重合して、ゴム(A)のラテックスを得る方法、
(2)の構造を有するゴム:ビニル重合体(A2)ラテックスの存在下に、オルガノシロキサン混合物を重合して、ゴム(A)のラテックスを得る方法、
(3)の構造を有するゴム:
[3−1]ポリオルガノシロキサンラテックスにゴム用ビニル単量体(a2)を添加し、ポリオルガノシロキサン粒子にゴム用ビニル単量体(a2)を含浸させた後にゴム用ビニル単量体(a2)を重合してゴム(A)のラテックスを得る方法、及び、
[3−2]ビニル重合体(A2)ラテックスにオルガノシロキサン混合物を添加し、ビニル重合体(A2)粒子にオルガノシロキサン混合物を含浸させた後にオルガノシロキサンを重合してゴム(A)のラテックスを得る方法。
(3)の構造を有するゴムを得る方法としては、粒子径の調整のしやすさの観点から前記[3−1]の方法が好ましい。
前記[3−1]の方法としては、まず、ポリオルガノシロキサンラテックス中に、上記ゴム用ビニル単量体(a2)を添加し、ポリオルガノシロキサン中に含浸させた後、公知のラジカル重合開始剤を用いて重合する。この方法において、ゴム用ビニル単量体(a2)の添加方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックス中にその全量を一括して添加する方法、あるいは、一定速度で滴下して添加する方法が挙げられる。
ゴム(A)のラテックスを製造する際には、ラテックスを安定化させ、ゴム(A)の粒子径を制御するために、乳化剤を添加することができる。乳化剤は、ポリオルガノシロキサンのラテックスを製造する際に用いた前述の乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
ゴム(A)の体積平均粒子径(Dv)は300〜2000nmの範囲内である。ゴム(A)の体積平均粒子径が300nm以上であれば、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の低温耐衝撃性及び顔料着色性が良好となるため好ましい。また、体積平均粒子径が2000nm以下であれば、成形品の表面外観及び低温耐衝撃性が良好となるため好ましい。ゴム(A)の体積平均粒子径は、樹脂組成物の低温耐衝撃性と顔料着色性のバランスが良好となる観点から、300〜1000nmの範囲内であることが好ましく、400〜1000nmの範囲内であることがより好ましい。
ゴム(A)の体積平均粒子径/数平均粒子径(Dv/Dn)は1.0〜2.0の範囲内であることが好ましく、1.0〜1.5の範囲内であることがより好ましい。Dv/Dnは粒度分布を表し、1.0に近いほど単分散性が高いことを意味する。Dv/Dnが2.0以下であれば樹脂組成物の顔料着色性が良好であり好ましい。尚、Dv/Dnの測定方法は、後に実施例の欄にて説明する。
[グラフト用ビニル単量体(b)]
上記ゴム(A)の存在下でグラフト用ビニル単量体(b)を重合し、ゴム(A)にビニル重合体からなるグラフト部を形成することで、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を得ることができる。
グラフト用ビニル単量体(b)としては、例えば以下のものが挙げられる。スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート等のアルキルアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等のエステル基がフェニル基または置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレート等。これらは1種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
グラフト用ビニル単量体(b)には架橋性単量体を含んでも良いが、その場合は、グラフト用ビニル単量体(b)100質量%中における架橋性単量体の使用量は、0.005質量%以下であることが好ましい。
樹脂組成物の顔料着色性をより向上させる観点から、グラフト用ビニル単量体(b)を単独で重合した場合に得られる「重合体」の屈折率が1.50〜1.60の範囲内であることが好ましい。該重合体の屈折率を1.50〜1.60の範囲内とすることで、樹脂組成物の低温耐衝撃性と顔料着色性をさらに向上させることができる。該重合体の屈折率は、1.52〜1.59の範囲内であることがより好ましい。
該重合体の屈折率は、上記ゴム(A)の屈折率と同様の式を用いて算出される。該重合体の屈折率が1.50〜1.60の範囲内となるように、グラフト用ビニル単量体(b)の種類及び使用量が調整される。
該重合体の屈折率を1.50〜1.60の範囲内に調整する観点から、グラフト用ビニル単量体(b)は、芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル単量体、エステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。また、グラフト共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、エステル基がフェニル基または置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートを含有することがより好ましい。
グラフト用ビニル単量体(b)中における、芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル単量体、エステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体の含有率は、グラフト用ビニル単量体100質量%に対して5〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましい。
グラフト共重合体中のゴム(A)の含有量は、グラフト共重合体100質量%に対して10〜99質量%であることが好ましい。ゴム(A)の含有量が10質量%以上であれば樹脂組成物の低温衝撃強度が十分となり、また99質量%以下であれば成形品の表面外観が良好となるため好ましい。樹脂組成物の低温衝撃強度をより良好とする観点から、ゴム(A)の含有量は、グラフト共重合体100質量%に対して50〜95質量%であることがより好ましく、65〜90質量%であることがさらに好ましい。
グラフト共重合の方法としては、例えば、ゴム(A)のラテックス中にグラフト用ビニル単量体(b)を添加し、1段又は多段で重合する方法が挙げられる。多段で重合する場合は、ゴム(A)のラテックスの存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)の全使用量を分割して、逐次添加し又は連続添加して、重合することが好ましい。このような重合方法は重合安定性が良好であり、且つ所望の粒子径及び粒子径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
前述の[3−1]の方法で得られたゴム(A)のラテックスに対して、グラフト用ビニル単量体(b)の全使用量を分割して、逐次添加し又は連続添加して、重合することが好ましい。
グラフト部の重合の際には、必要に応じて乳化剤を追加することができる。グラフト部の重合に用いられる乳化剤は、ゴム(A)を製造する際に用いた前述の乳化剤と同様のものが挙げられ、アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤が好ましい。
グラフト部の重合に用いられる重合開始剤としては、ゴム(A)を製造する際に用いた重合開始剤と同様のものが挙げられ、アゾ系開始剤及びレドックス系開始剤が好ましい。
グラフト共重合体のラテックスから、グラフト共重合体の粉体を回収する場合には、噴霧乾燥法、凝固法のいずれかの方法を用いることができる。
噴霧乾燥法は、グラフト共重合体のラテックスを乾燥機中に微小液滴状に噴霧し、これに乾燥用の加熱ガスを当てて乾燥する方法である。微小液滴を発生する方法としては、例えば、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式が挙げられる。乾燥機の容量は、実験室で使用するような小規模な容量から、工業的に使用するような大規模な容量のいずれであってもよい。乾燥用の加熱ガスの温度は200℃以下が好ましく、120〜180℃がより好ましい。別々に製造された2種以上のグラフト共重合体のラテックスを、一緒に噴霧乾燥することもできる。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉末特性を向上させるために、グラフト共重合体のラテックスに、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥することもできる。
凝固法は、グラフト共重合体のラテックスを凝析して、グラフト共重合体を分離し、回収し、乾燥する方法である。先ず、凝固剤を溶解した熱水中にグラフト共重合体のラテックスを投入し、塩析し、凝固することによりグラフト共重合体を分離する。次いで、分離した湿潤状のグラフト共重合体を脱水等によって水分量が低下したグラフト共重合体を回収する。回収されたグラフト共重合体は圧搾脱水機や熱風乾燥機を用いて乾燥される。
凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられ、酢酸カルシウムが特に好ましい。これらの凝固剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、2種以上を用いる場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸、若しくはそのナトリウム塩とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。
上記の凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤水溶液の濃度は、グラフト共重合体を安定的に凝固し、回収する観点から、0.1質量%以上、特に1質量%以上であることが好ましい。また、回収されたグラフト共重合体中に残存する凝固剤の量を少なくして成形品の成形外観の低下を防止する観点から、凝固剤水溶液の濃度は、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、下記の方法が挙げられる。(1)凝固剤水溶液を攪拌しながら、その中にラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法、(2)凝固剤水溶液とラテックスとを、一定の比率で攪拌機付きの容器内に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法。ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されない。
凝析したグラフト共重合体は、1〜100質量倍程度の水で洗浄され、ろ別した湿潤状のグラフト共重合体は流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥される。乾燥温度、乾燥時間は得られるグラフト共重合体によって適宜決めればよい。なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送り、熱可塑性樹脂と混合して成形体を得ることも可能である。
本発明において、グラフト共重合体は、熱可塑性樹脂と混合して得られる樹脂組成物の耐熱分解性の観点から、凝固法を用いて回収することが好ましい。
〔衝撃強度、顔料着色性、難燃性〕
本発明のグラフト共重合体は、下記の「作製条件」で作製された「試験片1」、「試験片2」または「試験片3」について、下記の「測定条件」で測定されるシャルピー衝撃強度[kJ/m]、L*、及び難燃性が、以下の(1)〜(3)で示される性能を有する重合体(以下、「本発明のグラフト共重合体2」という場合がある。)であることが好ましい。
(1)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、
(2)L*が8以下、
(3)難燃性がV1又はV0。
〔試験片1及び2の作製条件〕:
(a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体3質量部、
(b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)97質量部、
(c)Irganox1076(BASF製)0.1質量部、
(d)アデカスタブ2112(ADEKA製)0.1質量部、
(e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部。
上記の5種類の材料(a)〜(e)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片1」(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm、Vノッチ付き)および「試験片2」(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)を得る。
〔試験片3の作製条件〕:
(a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体5質量部、
(b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)89.5質量部、
(e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部、
(f)芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製PX−200)5質量部、
(g)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800)0.5質量部。
上記の5種類の材料(a)、(b)、(e)、(f)、(g)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片3」(長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mm)を得る。
〔シャルピー衝撃強度の測定条件〕:
ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置した「試験片1」について、シャルピー衝撃強度を測定する。
〔L*の測定条件〕:
JISZ8722に準じた下記の測定条件にて、「試験片2」について三刺激値(XYZ)を測定する。次いでCIE色差式を用いてL*値を算出する。
装置:分光式色差計SE−2000(日本電色工業株式会社製、0−45°後分光方式)、
測定範囲:380〜780nm、
測定光源:C光(2°視野)。
〔難燃性の測定条件〕:
UL−94V(垂直試験法)に準じて「試験片3」について難燃性を測定する。
上記(1)〜(3)で示される性能を満たす「本発明のグラフト共重合体2」を用いた熱可塑性樹脂組成物は、低温耐衝撃性、顔料着色性、及び難燃性が良好である。
上記(1)〜(3)で示される性能において、−30℃におけるシャルピー衝撃強度は、23kJ/m以上であることが好ましく、L*は、6以下であることが好ましい。
「本発明のグラフト共重合体2」は、ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有するゴム(A)の存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるグラフト共重合体であって、該ゴム(A)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、該ゴム(A)の体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内であるグラフト共重合体であることが好ましい。
−30℃におけるシャルピー衝撃強度の増加は、ゴム(A)の体積平均粒子径を300〜2000nmの範囲内とすること、及びゴム(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)の含有量を多くすること等によって達成することができる。
L*の低下は、ゴム(A)の体積平均粒子径を300〜2000nmの範囲内とすること、及びゴム(A)の屈折率を1.47〜1.56とすること等によって達成することができる。
難燃性「V1」以上の性能は、ゴム(A)の体積平均粒子径を300〜2000nmの範囲内とすること、及びゴム(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)の含有量を多くすること等によって達成することができる。
<熱可塑性樹脂組成物>
「本発明のグラフト共重合体1」または「本発明のグラフト共重合体2」は、熱可塑性樹脂と混合して熱可塑性樹脂組成物として使用することができる。
本発明で使用できる熱可塑性樹脂としては、特に制限はないが、例えば熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーから選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。
〔熱可塑性樹脂〕
熱可塑性樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリレート・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリル酸エステル・スチレン・アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル・エチレン・プロピレンゴム・スチレン共重合体(AES)等のスチレン(St)系樹脂;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル(Ac)系樹脂;ポリカーボネート(PC)樹脂;ポリアミド(PA)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル(PEs)樹脂;(変性)ポリフェニレンエーテル((m−)PPE)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリスルフォン(PSO)樹脂、ポリアリレート(PAr)樹脂、ポリフェニレン(PPS)樹脂等のエンジニアリングプラスチックス;熱可塑性ポリウレタン(PU)樹脂;硬質塩化ビニル樹脂、半硬質塩化ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル(PVC)系樹脂;PC/ABS等のPC樹脂とSt系樹脂とのアロイ;PVC/ABS等のPVC系樹脂とSt系樹脂とのアロイ;PA/ABS等のPA樹脂とSt系樹脂とのアロイ;PA樹脂と熱可塑性エラストマー(TPE)とのアロイ;PA/PP等のPA樹脂とポリオレフィン系樹脂とのアロイ;PC/PBT等のPC樹脂とPEs樹脂とのアロイ;PP/TPE、PP/PE等のオレフィン系樹脂同士のアロイ;PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂とその他の樹脂のアロイ;PVC/PMMA等のPVC系樹脂とアクリル系樹脂とのアロイ等。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン等。これらの中でも、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが好ましい。
前記の熱可塑性樹脂の中でも、以下のものが好ましい。St系樹脂、PC樹脂、PA樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、(m−)PPE樹脂、POM樹脂、PU樹脂、PC/ABS等のPC樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA/ABS等のPA樹脂とSt系樹脂とのアロイ、PA樹脂とTPEとのアロイ、PA/PP等のPA樹脂とポリオレフィン系樹脂とのアロイ、PC/PBT等のPC樹脂とPEs樹脂とのアロイ、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂とその他の樹脂のアロイ等。
更に、上述の樹脂の中では、顔料着色性の向上効果を最大限に発揮できる観点から、ポリカーボネート樹脂がより好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させることによって得られる分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法、すなわち、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等が採用される。本発明では、溶融法で製造され、かつ、末端のOH基量が調整された芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することもできる。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、例えば以下のものが挙げられる。ユーピロンS−1000、ユーピロンS−2000、ユーピロンS−3000、ユーピロンH−3000若しくはユーピロンH−4000(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)、またはパンライトL1250、パンライトL1225若しくはパンライトK1300(帝人化成(株)製)等。
熱可塑性樹脂とグラフト共重合体の合計100質量%中におけるグラフト共重合体の含有量は、0.5〜90質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。グラフト共重合体の含有量が0.5質量%以上であれば耐衝撃性に優れた樹脂組成物を得ることができ、また20質量%以下であれば表面外観に優れた樹脂組成物を得ることができ、0.5〜20質量%であれば、耐衝撃性と表面外観に優れた樹脂組成物を得ることができる。
[添加剤]
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、各種添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、フェノール系安定剤、燐系安定剤、紫外線吸収剤、アミン系光安定剤等の安定剤;燐系、ブロム系、シリコーン系、有機金属塩系等の難燃剤;耐加水分解性等の各種物性を付与するための改質剤;酸化チタン、タルク等の充填剤;染顔料;可塑剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネート樹脂である場合、添加剤としては例えば以下のものを使用できる。防炎加工剤、ドリップ防止剤(例えば、フッ素化ポリオレフィン、シリコーン及びアラミド繊維)、滑剤、離型剤(例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレート)、成核剤、帯電防止剤、安定剤、充填材、強化剤(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カオリン、タルク、CaCO及びガラスフレーク)、色素及び顔料。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔樹脂組成物の調製方法〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法は特に限定されないが、グラフト共重合体と、熱可塑性樹脂と、必要に応じて使用される各種添加剤とを、V型ブレンダーやヘンシェルミキサー等により混合分散させ、この混合物を押出機またはバンバリーミキサー、加圧ニーダー、ロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより調製できる。これらの各成分の混合はバッチ的又は連続的に実施することができ、各成分の混合順序は特に限定されない。溶融混練物はペレットにして、各種の成形に用いることができる。
<成形体>
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物、又はグラフト共重合体粉体と熱可塑性樹脂の混合物を、射出成形機で成形する方法が挙げられる。
成形体の用途としては特に制限はなく、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野等の材料として、工業的に広く利用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。実施例に先立って、各種評価方法、並びに、ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造例1〜3を説明する。実施例1〜8及び比較例1〜4は、グラフト共重合体の製造及び評価に関する例であり、実施例9〜24及び比較例5〜14は、熱可塑性樹脂組成物の製造及び評価に関する例である。製造例および実施例等において「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
<評価方法>
(1)固形分
質量wのポリオルガノシロキサンのラテックスを180℃の熱風乾燥機で30分間乾燥し、乾燥後の残渣の質量wを測定し、下記式により固形分[%]を算出した。
固形分[%]=w/w×100
(2)体積平均粒子径、数平均粒子径、Dv/Dn
「ゴムラテックス」又は「グラフト共重合体ラテックス」を脱イオン水で希釈し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製SALD−7100)を用いてゴム粒子及びグラフト共重合体粒子の体積平均粒子径Dv、数平均粒子径Dnを測定し、Dv/Dnを算出した。
上記の測定に際し、屈折率はゴム(A)又はグラフト共重合体の単量体組成から算出される屈折率を用いた。上記の粒子径としてはメジアン径を用いた。また、ゴムラテックスの試料濃度については、装置に付属の散乱強度モニターにおいて適正範囲になるよう適宜調整した。
(3)シャルピー衝撃強度
JIS K 7111に準じて、温度23℃及び−30℃にて、試験片(長さ80.0mm×幅10.0mm×厚み4mm、Vノッチ付き)のシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)顔料着色性
JISZ8722に準じた下記の測定条件にてカーボンブラックで着色した厚さ2mmの試験片の三刺激値(XYZ)を測定した。次いでCIE色差式を用いてL*値を算出した。
装置:分光式色差計SE−2000(日本電色工業株式会社製、0−45°後分光方式)、
測定範囲:380〜780nm、
測定光源:C光(2°視野)。
(5)難燃性
1/16インチの試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mm)について、UL−94V試験(垂直試験法)を行った。
[製造例1]
テトラエトキシシラン(TEOS)2部、γ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)2部及び、オクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製、製品名:TSF404)96部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。脱イオン水150部中にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)1部を溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内に、上記エマルションを入れた後、該エマルションを温度80℃に加熱し、次いで硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり連続的に投入した。80℃に加熱した状態を7時間維持して重合反応させた後、室温(25℃)に冷却し、得られた反応物を室温で6時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(A−1)を得た。
ポリオルガノシロキサンラテックス(A−1)の固形分は29.8%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計による数平均粒子径(Dn)は384nm、質量平均粒子径(Dw)は403nmであり、Dw/Dnは1.05であった。
[製造例2]
DSMA2部、オクタメチルシクロテトラシロキサン(製品名:TSF404)73部、ジフェニルジエトキシシラン(信越シリコーン(株)製、製品名:LS−5300)25部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。次に、脱イオン水200部中に、DBSNa及びドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)をそれぞれ1部溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内に、上記エマルションを入れた後、該エマルションを温度80℃に加熱し、この温度を7時間維持して重合反応させた後、室温(25℃)に冷却し、得られた反応物を室温で6時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(A−2)を得た。
ポリオルガノシロキサンラテックス(A−2)の固形分は28.5%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計による数平均粒子径(Dn)は190nm、質量平均粒子径(Dw)は90nmであり、Dw/Dnは2.11であった。
[製造例3]
TEOS2部、DSMA2部、及びオクタメチルシクロテトラシロキサン(製品名:TSF404)96部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。脱イオン水300部中にDBSNa0.68部を溶解した水溶液を前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで2分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
一方、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内にDBSH0.3部、硫酸1.57部と脱イオン水90部とを注入し、酸触媒溶液を調製した。
この酸触媒溶液を90℃に加熱した状態で、この溶液中に前記予備混合エマルションを8時間かけて連続的に滴下して重合反応させた。滴下終了後2時間、反応液の温度を維持した後、室温(25℃)に冷却した。次いでこの反応物を室温で6時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(A−3)を得た。ポリオルガノシロキサンラテックス(A−3)の固形分は18.0%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計によるDnは210nm、Dwは150nmであり、Dw/Dnは1.40であった。
[実施例1]
製造例1において得たポリオルガノシロキサンラテックス(A−1)100.67部(ポリマー換算で30.0部)を容量5リットルのセパラブルフラスコ内に採取し、脱イオン水160部を添加し混合した。次いでこのセパラブルフラスコ内に、スチレン(St)39部、アリルメタクリレート(AMA)1.0部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.16部の混合物を添加し、室温で1時間撹拌を続けポリオルガノシロキサンに含浸させた。尚、この混合物はビニル重合体(A2)の原料となるゴム用ビニル単量体(a2)の混合物である。
このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄(Fe)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.24部を脱イオン水10部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。ビニル単量体成分の重合を完結させるため、液温が65℃に低下した時点から1時間65℃の状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとスチレンを含むゴム(A−1)のラテックスを得た。このラテックスを評価したところ、ゴム(A−1)の屈折率は1.515、体積平均粒子径(Dv)は433nm、Dv/Dnは1.16であった。
このラテックスの液温が65℃の状態で、メチルメタクリレート(MMA)28.5部、メチルアクリレート(MA)1.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.16部の混合液を1時間にわたって、このラテックス中に滴下し、グラフト重合反応を開始させ、継続させた。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保ったのち室温に冷却し、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−1)のラテックスを得た。グラフト部の屈折率は1.489であった。グラフト共重合体粒子の体積平均粒子径(Dv)は525nmであった。
次いで、酢酸カルシウムの濃度が1質量%の水溶液500部を60℃に加熱して、攪拌しながら、この水溶液中にグラフト共重合体(G−1)のラテックス340部を徐々に滴下し凝固させた。得られたグラフト共重合体(G−1)をろ過、洗浄、脱水した後、乾燥させてグラフト共重合体(G−1)の粉体を得た。
[実施例2〜7、比較例1〜3]
実施例1において用いた各原料の種類及び量を表1に示す条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ、ゴム(A−2)〜(A−7)、(A−9)〜(A−11)のラテックス、並びに、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−2)〜(G−7)、(G−9)〜(G−11)を製造し、更にグラフト共重合体の粉体を得た。実施例1と同様にして行った各ゴム及び各グラフト共重合体の評価結果を表1に示す。
[実施例8]
製造例1において得たポリオルガノシロキサンラテックス(A−1)100.67部(ポリマー換算で30.0部)をセパラブルフラスコ内に採取し、脱イオン水160部を添加混合したのち、St39部、AMA1.0部の混合物を添加し、室温で1時間撹拌してポリオルガノシロキサンに含浸させた。
このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で、脱イオン水10部に過硫酸カリウム(KPS)0.2部を溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。ゴム用ビニル単量体(a2)成分の重合を完結させるため、液温が65℃に低下した時点から1時間65℃の状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとスチレンを含むゴム(A−8)のラテックスを得た。
このラテックスの液温が65℃の状態で、メチルメタクリレート(MMA)28.5部、メチルアクリレート(MA)1.5部の混合液を1時間にわたって滴下して、グラフト重合反応を開始させ継続させた。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保ったのち室温に冷却し、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−8)のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムの濃度が1質量%の水溶液500部を60℃に加熱して、攪拌しながら、この水溶液中にグラフト共重合体(G−8)のラテックス340部を徐々に滴下し凝固させた。得られたグラフト共重合体(G−8)をろ過、洗浄、脱水した後、乾燥させてグラフト共重合体(G−8)の粉体を得た。実施例1と同様にして行ったゴム及びグラフト共重合体の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例8において、用いた各原料の種類、及び量を表1に示す条件に変更したこと以外は実施例8と同様にして、ゴム(A−12)のラテックス及びポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−12)を製造し、更にグラフト共重合体の粉体を得た。実施例1と同様にして行ったゴム及びグラフト共重合体の評価結果を表1に示す。表1中の、ポリオルガノシロキサン及びビニル単量体(a2)の欄の括弧内の数値はゴム(A)100質量%に占める組成比(質量%)を示す。
Figure 2014208716
表1中の略号は以下のとおりである。
St:スチレン
nBA:n−ブチルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
PhMA:フェニルメタクリレート
MA:メチルアクリレート
tBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
KPS:過硫酸カリウム。
[実施例9〜16、比較例5〜9]
各ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−1)〜(G−12)の粉体、及び、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名;ユーピロンS−2000F、粘度平均分子量24,000)を、表2に記載の比率で配合し、さらに添加剤としてIrganox1076(BASF製)0.1部、アデカスタブ2112(ADEKA製)0.1部、及び着色剤としてカーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1部を加え、混合した。該配合物を、30mmΦ二軸押出機(L/D=30)に供給してシリンダー温度280℃及びスクリュー回転数150rpmで溶融混合して押出して、熱可塑性樹脂組成物(H−1)〜(H−13)のペレットを得た。
得られたペレットを80℃で12時間乾燥した後、100t射出成形機(住友重機(株)製、商品名;SE−100DU)に供給し、シリンダー温度280℃及び金型温度80℃で射出成形を行ない、各「試験片1」及び各「試験片2」を得た。次いで、各試験片を用いてシャルピー衝撃強度ならびに顔料着色性の測定を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2014208716
[実施例17〜24、比較例10〜14]
ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体(G−1)〜(G−12)の粉体、及びポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名;ユーピロンS−2000F、粘度平均分子量24,000)を、表3に記載の比率で配合し、さらに着色剤としてカーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1部を加え、混合した。該配合物を、30mmΦ二軸押出機(L/D=30)に供給してシリンダー温度280℃及びスクリュー回転数150rpmで溶融混合して押出して、熱可塑性樹脂組成物(I−1〜13)のペレットを得た。
得られたペレットを80℃で12時間乾燥した後、100t射出成形機(住友重機(株)製、商品名;SE−100DU)に供給し、シリンダー温度280℃及び金型温度80℃で射出成形を行い、各「試験片1’」(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm、Vノッチ付き)、各「試験片2’」(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)及び各「試験片3」(長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mm)を得た。次いで各試験片を用いてシャルピー衝撃強度、顔料着色性の測定、及びUL−94V試験を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2014208716
表3中の略号は以下のとおりである。
PX−200:芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製PX−200)、
A−3800:ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800)。
〔実施例及び比較例についての考察〕
実施例1〜8のグラフト共重合体(G−1)〜(G−8)は、ゴム用ビニル単量体(a2)としてスチレンを用いているためゴム(A−1)〜(A−8)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、またこれらの各ゴムの体積平均粒子径は300〜2000nmの範囲内であった。
比較例1、比較例3のグラフト共重合体(G−9)、(G−11)は、ゴム(A−9)、(A−11)の屈折率が1.47より低かった。
比較例2、比較例4のグラフト共重合体(G−10)、(G−12)は、ポリオルガノシロキサンラテックス(A−2)、(A−3)の粒子径が小さいため、ゴム(A−10)、(A−12)の体積平均粒子径が300nmより小さかった。
実施例9〜16の熱可塑性樹脂組成物(H−1)〜(H−8)は、それぞれのグラフト共重合体(G−1)〜(G−8)を構成する、それぞれのゴム(A−1)〜(A−8)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、かつ該ゴムの体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内であるため、低温耐衝撃性と顔料着色性の両方が良好であった。
比較例5の熱可塑性樹脂組成物(H−9)は、各グラフト共重合体を構成する各ゴム(A−9)の屈折率が低いために、顔料着色性が悪かった。
比較例6、比較例8の熱可塑性樹脂組成物(H−10)、(H−12)は、各グラフト共重合体を構成する各ゴム(A−10)、(A−12)の体積平均粒子径が小さいために、低温耐衝撃性及び顔料着色性が悪かった。
比較例9の熱可塑性樹脂組成物(H−13)は、グラフト共重合体を含有していないため、低温耐衝撃性が悪かった。
実施例17〜24の熱可塑性樹脂組成物(I−1)〜(I−8)は、グラフト共重合体を構成するゴム(A−1)〜(A−8)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、かつ該ゴムの体積平均粒子径が300〜200nmの範囲内であるため、低温耐衝撃性、顔料着色性ならびに難燃性のすべてが良好であった。
比較例10の熱可塑性樹脂組成物(I−9)は、グラフト共重合体を構成するゴム(A−9)の屈折率が低いために顔料着色性が悪かった。
比較例11の熱可塑性樹脂組成物(I−10)は、グラフト共重合体を構成するゴム(A−10)の体積平均粒子径が小さいために、低温耐衝撃性及び顔料着色性が悪かった。
比較例12の熱可塑性樹脂組成物(I−11)は、グラフト共重合体を構成するゴム(A−11)中のポリオルガノシロキサン含有量が低いために、難燃性が悪かった。
比較例13の熱可塑性樹脂組成物(I−12)は、グラフト共重合体を構成するゴム(A−12)の体積平均粒子径が小さく、かつ該ゴム中のポリオルガノシロキサン含有量が低いために、低温耐衝撃性及び難燃性が悪かった。
比較例14の熱可塑性樹脂組成物(I−13)は、グラフト共重合体を含有していないため、低温耐衝撃性及び難燃性が悪かった。
本発明のグラフト共重合体や熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野等の材料として、工業的に広く利用することができる。

Claims (17)

  1. 下記の「作製条件」で作製された「試験片1」、「試験片2」または「試験片3」について、下記の「測定条件」で測定されるシャルピー衝撃強度[kJ/m]、L*及び難燃性が、以下の(1)〜(3)で示される性能を有する、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体:
    [(1)−30℃におけるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、
    (2)L*が8以下、
    (3)難燃性がV1又はV0。
    〔試験片1及び2の作製条件〕:
    (a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体3質量部、
    (b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)97質量部、
    (c)Irganox1076(BASF製)0.1質量部、
    (d)アデカスタブ2112(ADEKA製)0.1質量部、
    (e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部。
    上記の5種類の材料(a)〜(e)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片1」(長さ80mm、幅10mm、厚み4mm、Vノッチ付き)および「試験片2」(長さ100mm、幅50mm、厚み2mm)を得る。
    〔試験片3の作製条件〕:
    (a)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体5質量部、
    (b)粘度平均分子量24,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンS−2000F)89.5質量部、
    (e)カーボンブラック#960(三菱化学(株)製)0.1質量部、
    (f)芳香族リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業(株)製PX−200)5質量部、
    (g)ポリテトラフルオロエチレン含有粉体(三菱レイヨン(株)製メタブレンA−3800)0.5質量部。
    上記の5種類の材料(a)、(b)、(e)、(f)、(g)を配合し、バレル温度280℃に加熱した脱揮式押出機((株)池貝製PCM−30)にてスクリュー回転数150rpmの条件で混練し押出してペレットを得る。このペレットを100t射出成形機(住友重機(株)製SE−100DU)にて、シリンダー温度280℃、金型温度90℃の条件で成形して「試験片3」(長さ127mm、幅12.7mm、厚み1.6mm)を得る。
    〔シャルピー衝撃強度の測定条件〕:
    ISO 179に準拠する方法により、−30℃の雰囲気下で12時間以上放置した「試験片1」について、シャルピー衝撃強度を測定する。
    〔L*の測定条件〕:
    JISZ8722に準じた下記の測定条件にて、「試験片2」について三刺激値(XYZ)を測定する。次いでCIE色差式を用いてL*値を算出する。
    装置:分光式色差計SE−2000(日本電色工業株式会社製、0−45°後分光方式)、
    測定範囲:380〜780nm、
    測定光源:C光(2°視野)。
    〔難燃性の測定条件〕:
    UL−94V(垂直燃焼試験)に準じて「試験片3」について難燃性を測定する。]
  2. ポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有するゴム(A)の存在下で、グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体であって、該ゴム(A)の屈折率が1.47〜1.56の範囲内であり、該ゴム(A)の体積平均粒子径が300〜2000nmの範囲内であるポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  3. 前記ゴム(A)がポリオルガノシロキサン(A1)及びビニル重合体(A2)を含有する複合ゴムである請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  4. 前記ポリオルガノシロキサン(A1)がオルガノシロキサンを含むオルガノシロキサン混合物を重合したものであり、該オルガノシロキサンが環状ジメチルシロキサン及び/又は2官能性ジアルキルシラン化合物である請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  5. 前記ゴム(A)の体積平均粒子径が400〜1000nmの範囲内である請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  6. 前記ゴム(A)中のポリオルガノシロキサン(A1)の含有量が40〜80質量%であり、ビニル重合体(A2)の含有量が60〜20質量%である請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  7. 前記ビニル重合体(A2)が、20℃における水への溶解度が5質量%以下のラジカル重合開始剤を用いてゴム用ビニル単量体(a2)を重合したものである請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  8. 前記ラジカル重合開始剤が、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  9. 前記ビニル重合体(A2)が芳香族ビニル単量体単位及び/又はエステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレート単位を含有する請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  10. 前記ゴム(A)が、該ゴム(A)の合計100質量%を基準として、アルキル(メタ)アクリレート単位を0〜35質量%含有する請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  11. 前記ゴム用ビニル単量体(a2)が、該ゴム用ビニル単量体(a2)の合計100質量%を基準として、架橋性単量体を0.1〜10質量%含有する請求項7に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  12. 前記グラフト用ビニル単量体(b)が、芳香族ビニル単量体、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル単量体、エステル基がフェニル基若しくは置換フェニル基であるアリール(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  13. 前記グラフト用ビニル単量体(b)を重合して得られる重合体の屈折率が1.50〜1.60の範囲内である請求項2に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体と熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物。
  15. 前記熱可塑性樹脂組成物100質量%中の前記ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体の含有量が0.5〜90質量%である、請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  16. 前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  17. 請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
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