JP2008019349A - 複合ゴム系グラフト共重合体及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた衝撃強度と耐加水分解性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオルガノシロキサン成分(a−1)5〜14質量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分(a−2)95〜86質量%を含む複合ゴム成分(a)85〜95質量%及びグラフト成分(b)15〜5質量%からなる複合ゴム系グラフト共重合体であって、グラフト成分(b)中のポリアルキルメタクリレート成分が50〜99質量%及びポリアルキルアクリレート成分が50〜1質量%であり、グラフト成分(b)のガラス転移温度が50〜99℃であり、実質的にアルミニウムイオンを含まない複合ゴム系グラフト共重合体及びその熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、衝撃強度発現性及び耐加水分解性のバランスに優れた複合ゴム系グラフト共重合体、並びに、これを用いた熱可塑性樹脂組成物に関する。
OA機器、自動車用途等に使用されるポリカーボネート系樹脂をはじめとする熱可塑性樹脂は、機械的性質、化学的性質が優れている樹脂であるため、広く各分野に用いられているが、低温における耐衝撃性が低いことが問題として挙げられている。又、リサイクル性等の観点から、熱安定性が要求されている。
耐衝撃性の改良に関しては、MBS樹脂等のグラフト共重合体の添加が有効とされている。
しかしながら、MBS樹脂等のブタジエン系ゴム成分を用いたものにおいては、樹脂中に二重結合があるために、耐候性などが低下する恐れがある。
これを改良するために、例えば特許文献1では、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が有効であることが知られている。
又、特許文献2及び3において、耐加水分解性、耐熱着色性などの熱安定性の改良には、ヒンダートフェノール系、チオ系、リン系などの安定剤の添加が有効とされている。
しかしながら、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体を用いる方法(特許文献1)では、ポリオルガノシロキサンの量が多いために、添加量によっては、熱可塑性樹脂組成物の色調を変化させやすい恐れがある。又、比較例としてポリオルガノシロキサンの量が少ないものが挙げられているが、複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴム成分の量が少ないために、十分な衝撃強度が得られない恐れがある。
又、安定剤を添加する方法(特許文献2及び3)においては、安定剤の添加量によっては、ポリカーボネート樹脂等の加水分解を促進する恐れがある。
特開2004−346271号公報
特許3250050号公報
特開平01−297402号公報
本発明の目的は、優れた衝撃強度と耐加水分解性を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることである。
本発明は、ポリオルガノシロキサン成分(a−1)5〜14質量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分(a−2)95〜86質量%を含む複合ゴム成分(a)85〜95質量%及びグラフト成分(b)15〜5質量%からなる複合ゴム系グラフト共重合体であって、グラフト成分(b)中のポリアルキルメタクリレート成分が50〜99質量%及びポリアルキルアクリレート成分が50〜1質量%であり、グラフト成分(b)のガラス転移温度が50〜99℃であり、実質的にアルミニウムイオンを含まない複合ゴム系グラフト共重合体及びその熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の方法によれば、衝撃強度と優れた耐加水分解性を両立する熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明のグラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサン成分(a−1)とポリアルキル(メタ)アクリレート成分(a−2)を含有する複合ゴム(a)に、ポリアルキルメタクリレート成分とポリアルキルアクリレート成分からなる単量体混合物をグラフト重合した後に、実質的にアルミニウムイオンを含まない水溶液で凝析固化することによって得られる。
複合ゴム(a)は、ポリオルガノシロキサン成分(a−1)5〜14質量%と、ポリアルキル(メタ)アクリレート成分(a−2)95〜86質量%を含有する。ポリオルガノシロキサン成分(a−1)が少なすぎる場合には、低温での衝撃強度を十分に発揮できない恐れがあり、多すぎる場合には、コストアップに繋がる恐れがある。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサンとしては、特に限定されるものではないが、好ましくはビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンである。ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンであれば、ポリアルキル(メタ)アクリレート成分を重合する際に、ポリアルキル(メタ)アクリレート単量体成分と複合化することができる。
ポリオルガノシロキサンの製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3量体以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7量体のものが好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独又は二種以上混合して用いられる。
又、ビニル重合性官能基含有シロキサンは、ビニル重合性官能基を含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうる単量体と、前記単量体とを共重合したものである。ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物を用いることが好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシラン及びδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン、 テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。なお、これらビニル重合性官能基含有シロキサンは単独で又は二種以上の混合物として用いることができる。
シロキサン系架橋剤としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤、 例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。
上記ポリオルガノシロキサンの製造は、具体的には、例えば、ジオルガノシロキサンとビニル重合性官能基含有シロキサンからなる混合物又はさらに必要に応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させたラテックスを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和することにより行うことができる。
重合に用いる酸触媒の添加方法としては、シロキサン混合物、乳化剤及び水とともに混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化されたラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等があるが、ポリオルガノシロキサン粒子径の制御のしやすさを考慮すると、シロキサン混合物が微粒子化されたラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好ましい。
シロキサン混合物、乳化剤、水及び/ 又は酸触媒を混合する方法は、高速攪拌による混合、ホモジナイザーなどの高圧乳化装置による混合などがあるが、ホモジナイザーを使用する方法はポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好ましい方法である。
又、ポリオルガノシロキサンの製造の際に用いる乳化剤としては、アニオン系乳化剤が好ましく、特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が使用される。特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類及び硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。又、これらのうちでは、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n −ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。又、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸などの鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の外観不良を低減させることができる。
重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックスを苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質により中和することによって行うことができる。
複合ゴム(a)中のポリオルガノシロキサン成分(a−1)は5〜14質量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分(a−2)は95〜86質量%含有される。ポリオルガノシロキサン成分(a−1)が多すぎる場合には、コストアップに繋がる恐れがあり、少なすぎる場合には、低温強度の向上効果が低くなる。
ポリオルガノシロキサン成分(a−1)とポリアルキル(メタ) アクリレートゴム成分(a−2)を含有する複合ゴム(a)は、前述したポリオルガノシロキサン成分のラテックス中ヘアルキル(メタ) アクリレート成分を添加し、通常のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって調製することができる。アルキル(メタ) アクリレートを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサン成分のラテックスと一括で混合する方法とポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に一定速度で滴下する方法がある。なお、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、ポリオルガノシロキサン成分のラテックスとを一括で混合する方法が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、これらを単独で又は二種以上併用して用いることができる。
又、グラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性及び成形光沢を考慮すると、特にn −ブチルアクリレートの使用が好ましい。
前記アルキル(メタ)アクリレート重合時には、多官能性アルキル(メタ)アクリレートを併用することができる。多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばアリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、これらを単独で又は二種以上併用して用いることができる。
重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤又は酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。本発明においては、レドックス系開始剤、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせた系を用いることが好ましい。
本発明においては、使用する硫酸第一鉄の量は、グラフト共重合体ラテックス100質量部に対して、0 .0001〜2ppmであることが好ましい。より好ましくは0.00 1〜1ppmである。硫酸第一鉄の量が0.0001ppm未満の場合、重合効率が低下する恐れがあり、多すぎる場合には、グラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合したときの耐加水分解性が低下する傾向にある。
グラフト成分(b)中のポリアルキルメタクリレート成分の含有量は50〜99質量%及びポリアルキルアクリレート成分の含有量は50〜1質量%である。ポリアルキルメタクリレート成分とポリアルキルメタクリレート成分の共重合体であることにより、解重合を抑制することができ、熱安定性に優れる。ポリアルキルメタクリレート成分が多すぎる場合には、解重合を十分に抑制できない恐れがあり、少なすぎる場合には、ガラス転移温度が低くなりすぎるために、複合ゴム系グラフト共重合体の取り扱い性が低下する恐れがある。
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体は、複合ゴム(a)の存在下に、アルキルメタクリレート成分とアルキルアクリレート成分の混合物をラジカル重合させることにより得られる。
グラフト重合は、複合ゴム重合体を含むラテックスにビニル系単量体を加え、ラジカル重合法により一段で又は多段で重合する。重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤又は酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。それらのうちでは、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせた系が好ましい。
又、上記のようにして調製されるゴムグラフト共重合体の粒子径は、特に限定されるものではないが、得られるグラフト共重合体を含む樹脂組成物の耐衝撃性と成形物表面外観を考慮すると、上記ゴムグラフト共重合体の平均粒子径は0.1μm〜800μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満になると、樹脂組成物から得られる成形物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、又平均粒子径が800μm を越えると、樹脂組成物から得られる成形物の耐衝撃性が低下するとともに成形表面外観が悪化する傾向にある。
グラフト重合において用いるビニル系単量体中にはグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調製するための各種連鎖移動剤やグラフト交叉剤を添加することができる。
重合方法としては、一段又は二段以上の多段重合が可能である。多段重合の際は、重合に用いる単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加又は連続添加する方式とすることが好ましい。このような重合方式をとることで、良好な重合安定性が得られ、かつ所望の粒径及び粒径分布を有するラテックスを安定に得ることができる
用いるビニル系単量体としては、特に限定はないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物である。これらの単量体は単独又は二種以上併用して用いることができる。
用いるビニル系単量体としては、特に限定はないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物である。これらの単量体は単独又は二種以上併用して用いることができる。
グラフト成分(b)のガラス転移温度は50〜99℃である。ガラス転移温度が高すぎる場合には、グラフト共重合体から実質的にアルミニウムイオンを含まない条件での回収が困難になる恐れがある。又、低すぎる場合には、グラフト共重合体の保存安定性を低下する恐れがある。
複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴム成分(a)は85〜95質量%及びグラフト成分(b)は15〜5質量%である。ゴム成分が多すぎる場合には、グラフト共重合体の保存安定性を低下する恐れがあり、少なすぎる場合には、衝撃強度向上効果が低くなる。
グラフト重合の方法としては、乳化重合法が用いられる。グラフト重合の際には、重合ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体の平均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができる。乳化剤としては、安定化効果、グラフト共重合体の物性を考えると、スルホン酸系塩化合物及び/ 又は硫酸系塩化合物が好ましい。
スルホン酸系塩化合物及び/ 又は硫酸系塩化合物としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いるが好ましい。安定化効果と物性とのバランスを考慮すると、ラウリル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
又、重合安定性を向上させる目的で、乳化分散剤を使用することができる。乳化分散剤としては、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが使用できる。該乳化剤は、一種又は二種以上を使用することができる。
得られたグラフト共重合体ラテックスは、適当な酸化防止剤や添加剤を加え、あるいは添加せずに、凝析、熱処理固化して脱水した後、乾燥等の方法により、粉末状のグラフト共重合体とされる。
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体の回収方法としては金属塩化合物、酸による湿式凝固回収、噴霧回収が使用される。湿式凝固にて回収する場合、アルカリ金属塩化合物、特に好ましくはアルカリ土類金属塩化合物、例えば硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等を使用することができる。
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体は、実質的にアルミニウムイオンを含まないことを特徴とする。アルミニウムイオンを含む場合には、マトリクス樹脂の熱安定性を低下させる恐れがある。
乳化剤と凝固剤から生成する塩が強酸塩であるものはイオン化しにくく、熱可塑性樹脂等の熱分解等により発生するラジカルと反応しないため、着色性物質の形成が起こりにくくなっていると共に加水分解反応も促進しないため、耐熱着色性、耐加水分解性が優れるものと考える。
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体は、任意の熱可塑性樹脂に配合される。
熱可塑性樹脂樹脂の具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS) 、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN) 、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AESなどのスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM 系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(P PS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)などのエンジニアリングプラスチックス、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレンなどの熱可塑性エラストマー(TPE)、PC/ABSなどのPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABSなどのPVC 系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABSなどのPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PPなどのPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBTなどのPC系樹脂/P Es系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PEなどのオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PAなどのPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMAなどのPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイなどのポリマーアロイ等や、硬質、半硬質、軟質塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体1〜14質量%及び熱可塑性樹脂99〜86質量%を含有する。
グラフト共重合体の含有量が少なすぎる場合には、十分な耐衝撃性が得られず、又十分な耐加水分解性、耐熱着性が得られない。一方、グラフト共重合体の含有量が多すぎる場合には熱可塑性樹脂の他の優れた特性が失われる傾向にある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法は特に限定されるものではなく、公知の技術、例えばヘンシェルミキサー、タンブラー等で粉体、粒状物を混合し、これを押出し機、ニーダー、ミキサー等で溶融混合する方法、あらかじめ溶融させた成分に他成分を逐次混合していく方法、さらには混合物を射出成型機で成型する方法等各種方法で製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱又は光に対する安定剤、例えばフェーノール系、フォスファイト系安定剤、紫外線吸収剤、アミン系の光安定剤を添加してもよい。又公知の難燃化剤例えばリン系、ブロム系、シリコーン系、有機金属塩系難燃剤を添加しても良い。さらに耐加水分解性等の改質剤、酸化チタン、タルク等の充填剤、染顔料、可塑剤等を必要に応じて添加することができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。なお各実施例及び比較例での諸物性の測定法は次の通り行った。
(1)重合率
ラテックスを180℃で30分加熱して固形分を測定し、仕込み量からの計算値との比較により、重合率を求めた。
ラテックスを180℃で30分加熱して固形分を測定し、仕込み量からの計算値との比較により、重合率を求めた。
(2)アイゾット衝撃強度
30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度280℃ で溶融混練し、ペレット状に賦型して種々の組成物を得た。さらに射出成形することで試験片を得た。評価はASTMD−256に準じて、−30℃で測定した。
30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度280℃ で溶融混練し、ペレット状に賦型して種々の組成物を得た。さらに射出成形することで試験片を得た。評価はASTMD−256に準じて、−30℃で測定した。
(3)耐加水分解性
賦型ペレットを120℃、100%RH 雰囲気下に60時間調湿し、その前後のメルトインデックス(MI)を測定した。ΔMI=加水分解後のMI/加水分解前のMIとして計算した。
賦型ペレットを120℃、100%RH 雰囲気下に60時間調湿し、その前後のメルトインデックス(MI)を測定した。ΔMI=加水分解後のMI/加水分解前のMIとして計算した。
(4)アルミニウムイオン量
ICP発光分析装置:Thermo社IRIS Intrepid II XSPICPにより測定を行った。アルミニウムイオンを含まないサンプルにより確認した検出下限は7ppmである。
ICP発光分析装置:Thermo社IRIS Intrepid II XSPICPにより測定を行った。アルミニウムイオンを含まないサンプルにより確認した検出下限は7ppmである。
(5)ガラス転移温度
グラフト成分のガラス転移温度は、ポリマーハンドブックに記載の各成分のガラス転移温度を基に、FOXの式によって計算した。
グラフト成分のガラス転移温度は、ポリマーハンドブックに記載の各成分のガラス転移温度を基に、FOXの式によって計算した。
製造例1 シリコーンゴム重合体ラテックス(S−1)の製造
テトラエトキシシラン2質量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5質量部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5質量部を混合し、シロキサン混合物100質量部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ0.67質量部溶解した蒸留水200質量部に上記混合シロキサン100質量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合撹拌しながら80℃で5時間加熱した後20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和して重合を完結させ、ポリオルガノシロキサンラテックスを得た。ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は170nmであった。
テトラエトキシシラン2質量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5質量部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5質量部を混合し、シロキサン混合物100質量部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ0.67質量部溶解した蒸留水200質量部に上記混合シロキサン100質量部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混合液をコンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合撹拌しながら80℃で5時間加熱した後20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.4に中和して重合を完結させ、ポリオルガノシロキサンラテックスを得た。ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は170nmであった。
実施例1 シリコーン−アクリル複合ゴムグラフト共重合体(G−1)の製造
上記ポリオルガノシロキサンラテックスを固形分換算で10質量部採取し、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、ラウリル硫酸ナトリウム0.2質量部(固形分換算)及び蒸留水270質量部を加え、窒素置換をしてから50℃ に昇温し、n−ブチルアクリレート78質量部、アリルメタクリレート0.4質量部及びtert−ブチルヒドロペルオキシド0.5質量部の混合液を仕込み、30分間撹拌し、この混合液をポリオルガノシロキサン粒子に浸透させた。次いで、硫酸第1鉄0.0002質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006質量部、ロンガリット0.18質量部及び蒸留水10質量部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で90分間保持して重合を完了させ、複合ゴムラテックスを得た。
上記ポリオルガノシロキサンラテックスを固形分換算で10質量部採取し、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、ラウリル硫酸ナトリウム0.2質量部(固形分換算)及び蒸留水270質量部を加え、窒素置換をしてから50℃ に昇温し、n−ブチルアクリレート78質量部、アリルメタクリレート0.4質量部及びtert−ブチルヒドロペルオキシド0.5質量部の混合液を仕込み、30分間撹拌し、この混合液をポリオルガノシロキサン粒子に浸透させた。次いで、硫酸第1鉄0.0002質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006質量部、ロンガリット0.18質量部及び蒸留水10質量部の混合液を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で90分間保持して重合を完了させ、複合ゴムラテックスを得た。
この複合ゴムラテックスに、tert−ブチルヒドロペルオキシド0.08質量部、メチルメタクリレート11質量部とブチルアクリレート1質量部との混合液を65℃で30分間にわたり滴下し、その後65℃で2時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了させた。最終的な重合率は、99質量%以上であった。グラフト成分のガラス転移温度は、85℃である。
得られたグラフト共重合体ラテックスを5質量%酢酸カルシウム水溶液400質量部にて凝析させ90℃で熱処理固化した。その後凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥してグラフト共重合体を得た。
アルミニウムイオンの量は、検出限界以下であった。
比較例1 シリコーン−アクリル複合ゴムグラフト共重合体(G−2)の製造
5質量%酢酸カルシウム水溶液の代わりに、1質量%硫酸アルミニウム水溶液を用いることにより、グラフト共重合体を得た。アルミニウムイオンの量は、331ppmであった。
5質量%酢酸カルシウム水溶液の代わりに、1質量%硫酸アルミニウム水溶液を用いることにより、グラフト共重合体を得た。アルミニウムイオンの量は、331ppmであった。
実施例2、比較例2及び比較例3
表1に記載の組成比で30mmΦ 二軸押し出し機にてシリンダー温度280℃ で溶融混練し、ペレット状に賦型して種々の組成物を得た。さらに射出成形することで1/4インチ厚アイゾッド試験片を得た。ポリカーボネートは、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS−2000Fを用いた。
表1に記載の組成比で30mmΦ 二軸押し出し機にてシリンダー温度280℃ で溶融混練し、ペレット状に賦型して種々の組成物を得た。さらに射出成形することで1/4インチ厚アイゾッド試験片を得た。ポリカーボネートは、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS−2000Fを用いた。
表1に示した通り、実施例の複合ゴム系グラフト共重合体を添加した熱可塑性樹脂組成物は、低温衝撃強度が良好であると共に、ΔMIが小さく、耐加水分解性が良好である。以上に示した通り、本発明の複合ゴム系グラフト共重合体は、衝撃強度発現性及び耐加水分解性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物を与えるものである。
Claims (2)
- ポリオルガノシロキサン成分(a−1)5〜14質量%及びポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分(a−2)95〜86質量%を含有する複合ゴム成分(a)85〜95質量%並びにグラフト成分(b)15〜5質量%からなる複合ゴム系グラフト共重合体であって、グラフト成分中のポリアルキルメタクリレート成分が50〜99質量%及びポリアルキルアクリレート成分が50〜1質量%であり、グラフト成分のガラス転移温度が50〜99℃であり、実質的にアルミニウムイオンを含まない複合ゴム系グラフト共重合体。
- 請求項1記載の複合ゴム系グラフト共重合体1〜14質量%及び熱可塑性樹脂99〜86質量%を含む熱可塑性樹脂組成物。
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