JP2001329438A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維およびその製造方法

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JP2001329438A
JP2001329438A JP2001059640A JP2001059640A JP2001329438A JP 2001329438 A JP2001329438 A JP 2001329438A JP 2001059640 A JP2001059640 A JP 2001059640A JP 2001059640 A JP2001059640 A JP 2001059640A JP 2001329438 A JP2001329438 A JP 2001329438A
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fiber
polyester
polyester fiber
elongation
yarn
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JP2001059640A
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English (en)
Inventor
Takashi Ota
隆司 太田
Setsuo Taguchi
節男 田口
Satoru Shimoyama
悟 下山
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリエステル繊維の宿命的な課題である低反発
性、繰り返し圧縮に対するヘタリやすさを改良し、反発
性、柔軟性に優れ、感触の良いクッション性や高い繰り
返し圧縮回復性を有するポリエステル繊維およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】荷重伸長曲線において、見掛ヤング率が1
00〜4500N/mm 2 、初期応力が0.1〜1.5
cN/dtex、初期伸度が1〜30%、切断強度が
0.5〜2cN/dtex、切断伸度が100〜400
%、X/Yが0.3〜1.5、α/βが1〜5であるこ
とを特徴とするポリエステル繊維。但し、Xは初期応力
点から第2交点までの伸度、Yは第2交点から切断点ま
での伸度、αは第2交点の強度、βは切断強度とαの差
を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた反発性、柔
軟性を有するポリエステル繊維およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ナイロンやポリエステルなど
の合成繊維は、高性能を有することから、衣料用あるい
は産業用分野に広く用いられている。
【0003】しかし、ナイロンは水分を吸うと伸び、乾
燥すると収縮するという乾湿時における寸法安定性が著
しく劣り、寸法安定性を重視する分野には使いづらい素
材である。そのため、近年、衣料用繊維としては、ポリ
エステルに置き換わりつつある。
【0004】また、ポリエステルは乾湿時の寸法安定性
が良好である反面、反発性が弱く、繰り返し屈曲に対し
てヘタリやすい欠点があった。
【0005】一方、高配向未延伸ポリエステル繊維を弛
緩熱処理するものとしてはヨーロッパ特許公開第753
395号明細書が知られている。しかしながら、この提
案は、極めて高い熱収縮性を有するポリエステル高配向
未延伸糸をそのまま用いるため、熱処理により大きく収
縮し、収縮斑、目付斑、皺、厚さヘタリを発生し、しか
も収縮加工を緩やかに行う必要があること、寸法変化が
大きく収率が著しく低下することによるコストアップの
問題があった。
【0006】さらに高配向未延伸ポリエステル繊維を非
接触加熱手段を用いて弛緩熱処理し、引き続きポリエス
テルマルチフィラメント延伸糸と引き揃えあるいは混繊
手段を用いて複合させる方法(特開平8−158183
号公報)がある。
【0007】しかし、この提案は、特定の低結晶化度の
高配向未延伸ポリエステル繊維を弛緩熱処理し自己伸張
性を発現させ、延伸糸と組合せて、ソフトな感触、適度
なふくらみを付与させることを目的としているものであ
り、自己伸長性を有するものの反発性や形状保持性が著
しく不足したものであった。
【0008】一方、繊維成型体としては、繊維クッショ
ンと呼ばれるものが、例えば特公昭62−2155号公
報、特公平3−140185号公報などに提案されてい
る。しかしながら、これらの繊維成型体は、反発性が低
く、圧縮による回復性が低く、ヘタリやすい欠点を有し
ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステル繊維の宿命的な課題である低反発性、繰り返し
圧縮に対するヘタリやすさを改良し、反発性、柔軟性に
優れ、感触の良いクッション性や高い繰り返し圧縮回復
性を有するポリエステル繊維およびその製造方法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明のポリエステル繊維は、次の通りの構成をとるもの
である。
【0011】すなわち、荷重伸長曲線において、下記
(1)〜(7)の特性を有することを特徴とするポリエ
ステル繊維である。 (1)見掛ヤング率が100〜4500N/mm2 (2)初期応力が0.1〜1.5cN/dtex (3)初期伸度が1〜30% (4)切断強度が0.5〜2cN/dtex (5)切断伸度が100〜400% (6)X/Yが0.3〜1.5 (ただし、Xは初期応力点から第2交点までの伸度、Y
は中間点から切断点までの伸度を示す。) (7)α/βが1〜5 (ただし、αは第2交点の強度、βは切断強度とαの差
を示す。) また、本発明のポリエステル繊維の製造方法は、高配向
未延伸ポリエステル糸を加工速度15m/分以上で、7
0℃以上の液浴および/またはスチーム処理で1〜50
%収縮させ、捲縮付与の後に80℃以上の温度で熱処理
することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のポリエステル繊維シートの
製造方法は、高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度1
5m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはスチ
ーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与し、カットを
行い、繊維シートとした後、80℃以上の温度で熱処理
することを特徴とするものである。
【0013】また、本発明の繊維成型体の製造方法は、
高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度15m/分以上
で、70℃以上の液浴および/またはスチーム処理で1
〜50%収縮させ、捲縮付与し、カットを行った後、開
繊して型枠内に充填あるいはウェブを作製して積層し、
80以上の温度で加熱して繊維ブロック状となすことを
特徴とするものである。
【0014】また、本発明の紡績糸の製造方法は、高配
向未延伸ポリエステル糸を加工速度15m/分以上で、
70℃以上の液浴および/またはスチーム処理で1〜5
0%収縮させ、捲縮付与し、カットを行い、さらに紡績
前および/または後に80℃以上の温度で熱処理するこ
とを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明につい
て説明をする。
【0016】本発明のポリエステル繊維は、荷重伸長曲
線において次の(1)〜(7)の特性を有することを特
徴とするものである。 (1)見掛ヤング率が100〜4500N/mm2 、好
ましくは500〜4500N/mm2 、さらに好ましく
は1000〜4300N/mm2 、最も好ましくは15
00〜4000N/mm2 である。 (2)初期応力が0.1〜1.5cN/dtex、好ま
しくは0.1〜1.2cN/dtex、さらに好ましく
は0.2〜1.0cN/dtex、最も好ましくは0.
3〜0.7cN/dtexである。 (3)初期伸度が1〜30%、好ましくは1〜25%、
さらに好ましくは1.5〜20%、最も好ましくは2〜
15%である。 (4)切断強度が0.5〜2cN/dtex、好ましく
は0.5〜1.7cN/dtex、さらに好ましくは
0.6〜1.5cN/dtex、最も好ましくは0.6
〜1cN/dtexである。 (5)切断伸度が100〜400%、好ましくは120
〜350%、さらに好ましくは150〜300%、最も
好ましくは200〜300% (6)X/Yが0.3〜1.5、好ましくは0.4〜
1.5、さらに好ましくは0.5〜1.4、最も好まし
くは0.6〜1.3である。(ただし、Xは初期応力点
から第2交点までの伸度、Yは第2交点から切断点まで
の伸度を示す。) (7)α/βが1〜5、好ましくは1.5〜5、さらに
好ましくは2〜4.5、最も好ましくは2.5〜4であ
る。 (ただし、αは第2交点の強度、βは切断強度とαの差
を示す。) このポリエステル繊維は、ポリエステル未延伸糸や高配
向未延伸糸(POY)、延伸糸が示すどの荷重伸長曲線
とも異なり、低見掛ヤング率、低初期応力、高初期伸度
であるために反発性、柔軟性に優れ、繊維成型体などの
クッション材においては、感触の良いクッション性や高
い繰り返し圧縮回復性を発現する。このような特性を発
現させるためには、延伸糸に比べて、見掛ヤング率が1
00〜4500N/mm2 と低く、初期応力が0.1〜
1.5cN/dtexと低く、初期伸度が1〜30%と
大きいことが重要である。見掛ヤング率、初期応力がよ
り高くなりすぎると硬い繊維となり、見掛ヤング率、初
期応力が低くなりすぎると柔らかくなりすぎてコシがな
い繊維になってしまう。さらに、初期伸度低すぎるとと
繊維の変形が吸収できなくなり、また高すぎると変形は
吸収できるがその復元力が小さくなり、どちらの場合も
反発性の乏しいものになると推定される。すなわち、上
述の範囲で本発明の優れた性能が得られるものと考えら
れる。
【0017】本発明の繊維は、実質的には未延伸糸であ
るが、ゴム状弾性を有する特異な繊維である。これは、
通常のポリエステル未延伸繊維は熱延伸して用いられる
のに対して、本発明のポリエステル繊維は逆に収縮し、
紡糸時に受けた繊維軸方向の歪みを緩和した状態で熱結
晶化した特異な構造によるものと推定される。すなわ
ち、本発明による独自の結晶/非晶ネットワーク構造を
形成していることによるものと考えられる。
【0018】本発明のポリエステル繊維は、X/Yが
0.3〜1.5、α/βが1〜5であり、POY、延伸
糸に比べて大きいこと、すなわち、X/Yおよびα/β
がこの範囲にあることが、結晶/非晶ネットワーク構造
を形成していることを示しており、この構造を有するが
故に特異な性能を発現させることができるのであると推
定している。また、α/βが5を越えることは、Yの値
が極めて小さいことであり、実用に供し得る強さをなし
ておらず、好ましくない。
【0019】また、特に限定されないが、その構造を表
すX、Y、α、βの好ましい値は、Xが90〜180
%、Yが70〜180%、αが0.4〜0.8cN/d
tex、βが0.1〜0.4cN/dtexであり、さ
らに好ましくはXが100〜160%、Yが90〜15
0%、αが0.5〜0.7cN/dtex、βが0.1
5〜0.3cN/dtexである。
【0020】さらに特筆すべき荷重伸長曲線における特
徴は、本発明の繊維が実質的には未延伸糸でありなが
ら、POYの荷重伸長曲線が示すような定応力伸長領域
を有さず、POYに比べて切断強度が低く、切断伸度が
高いことである。この点からも本発明のポリエステル繊
維が前述の特異な構造を有することを示していると考え
られる。
【0021】本発明において、本発明者らが行った各種
特性の測定方法および条件は下記の通りである。 (1)荷重伸長曲線 JIS−L1013 7.5(引張強さおよび伸び率)
の試験法に準じて、下記条件にて測定し、グラフ化した
ものをいう。
【0022】試験機:定速伸長形引張試験機 試長(つかみ間隔):5cm 初期荷重:8.82mN/tex 引張速度:100mm/分 チャート速度:100mm/分 温度:20±2℃ 湿度:65±5%RH (2)見掛ヤング率 JIS−L1013 7.10に準じて求めた。 (3)初期応力および初期伸度 図1に示すように得られた荷重伸長曲線の第一接線1と
第二接線2との交点4における荷重伸長曲線の強度の値
を初期応力とし、その時の伸度を初期伸度とした。 (4)切断強度および切断伸度 図1に示すように得られた荷重伸長曲線の最大応力点6
における強度および伸度値を切断強度および切断伸度と
した。 (5)第2交点 図1に示すように得られた荷重伸長曲線の第二接線2と
第三接線3との交点5における荷重伸長曲線上の点を第
2交点とし、初期応力点からこの第2交点までの伸度を
Xで表し、第2交点から切断点までの伸度をYで表し
た。また、第2交点の強度をα、切断強度とαの差をβ
で表した。
【0023】本発明のポリエステル繊維の製造方法は、
高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度15m/分以
上、好ましくは20m/分以上、さらに好ましくは25
m/分以上、最も好ましくは30m/分以上で、70℃
以上、好ましくは75℃以上、さらに好ましくは80℃
以上、最も好ましくは85℃以上の液浴および/または
スチーム処理で1〜50%、好ましくは5〜50%、さ
らに好ましくは10〜45%、最も好ましくは15〜4
0%収縮させた後、捲縮を付与し、80℃以上、好まし
くは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上、最も
好ましくは120℃以上の温度で熱処理することによっ
て得られる。
【0024】本発明のポリエステル繊維を得るために
は、収縮加工において緊張させながら収縮させることが
重要であり、緊張収縮こそが前述の特異な構造を形成す
る重要なプロセスであると考えている。この緊張収縮を
行うためには、加工速度を15m/分以上で、液浴およ
び/またはスチーム処理によって1〜50%収縮させる
ことが好ましい。加工速度が15m/分よりも遅い加工
では、加工における抵抗が低くなり、十分に緊張収縮さ
せることができなくなる。また、収縮処理においても液
浴/スチーム中を走行させながら収縮させることによっ
て、程良い抵抗がかかり緊張収縮が達成される。緊張収
縮ができる収縮率は50%までであり、50%よりも大
きくなると繊維の収縮応力が低くなり加工中に弛みが生
じてしまう。すなわち、加工速度15m/分以上で、液
浴および/またはスチームで1〜50%緊張収縮させる
ことにより、均一な非晶部が形成され、その後の80℃
以上の熱処理によって、熱結晶化され結晶/非晶ネット
ワーク構造が形成されると考えられる。ここで、加工速
度とは第1駆動装置における速度である。
【0025】さらに緊張収縮をより良く達成させるため
の好ましい収縮加工方法としては、2つ以上の収縮ゾー
ンに分けて行う多段階収縮加工が適用できる。
【0026】捲縮付与の方法は特に限定されないが、ジ
グザグ状に曲げて押し込み、屈曲をつける機械捲縮が、
より捲縮をセットできるため好ましい。捲縮を付与する
ことにより繊維と繊維が絡まり易くなり、繊維シート、
繊維成型体、紡績糸などの生産性を向上させることがで
きる。また、捲縮を付与することにより繊維の弾力性が
増すため、本発明のポリエステル繊維の特徴である反発
性と柔軟性をさらに向上させることができる。繊維同士
をより良く絡ませるためには、捲縮数は、1インチあた
りの屈曲の山が5個以上、すなわち5山/インチ以上が
好ましく、8山/インチ以上がより好ましく、10山/
インチ以上がさらに好ましい。
【0027】高配向未延伸ポリエステル糸の引き取り速
度としては、特に限定されないが、2000〜4000
m/分で溶融紡糸されたものが好ましく適用でき、23
00〜3800m/分がより好ましく、2500〜35
00m/分が最も好ましい。
【0028】また、捲縮付与後にカットを行い、ステー
プルとして用いることは、本発明のポリエステル繊維の
特性を活かすことができ好ましい。カット長としては、
特に限定されないが、100mm以下が好ましく、90
mm以下がさらに好ましく、80mm以下が最も好まし
い。
【0029】また、熱処理は、収縮加工後および/また
は捲縮付与後および/またはカット後に行うことが好ま
しく、精練、染色、成形、仕上げセットなど、特に限定
されないが、織編物、不織布、繊維成形体などの通常の
加工工程によって行うこともできる。また、熱処理を行
う前に開綿することは、熱が伝わりやすく、十分に結晶
化が促進され好ましい方法である。ポリエステルは、ポ
リエチレンテレフタレートおよびそれを主体とした共重
合体が用いられる。
【0030】本発明において用いられるポリエステル繊
維の太さは、特に限定されないが、一般的には単繊維繊
度で0.1〜250dtexが好ましく、より好ましく
は0.5〜200dtex、さらに好ましくは1〜15
0dtex、最も好ましくは1.5〜100dtexの
糸として用いるのが好ましい。
【0031】また、高強度、高弾性、防縮性を得る観点
からは、ポリエステルの極限粘度(オルソクロロフェノ
ール、30℃)は0.55〜1.00であることが好ま
しい。また、染色を容易にする観点からは、ポリエステ
ルが、ポリエチレンテレフタレートにポリアルキレング
リコールが共重合された共重合体であって、90℃〜1
10℃で分散染料可染とすることもできる。このポリエ
ステルを用いたポリエステル繊維の場合、天然繊維との
混用は染色に有利である。さらに、また、濃色、鮮明な
染色をする観点からは、ポリエステルとしては、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸が共重合されたカチオン染
料可染型ポリエステルとすることもできる。
【0032】本発明のポリエステル繊維は目的に応じて
他の繊維と混用できる。例えば、本発明以外のポリエス
テル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、アラミ
ド繊維、ポリウレタン繊維、獣毛、絹、綿、レーヨン、
麻のうち、少なくとも1種類以上の繊維と混用すること
は好ましい一形態である。特に、断面が中空である本発
明以外のポリエステル繊維や非対称冷却により発現する
構造差捲縮を有する繊維、機械捲縮を有する繊維と混用
することは好ましい一例である。もちろん混用する繊維
の繊度は問わない。
【0033】本発明のポリエステル繊維の混用率は、本
発明の効果を顕著に発現するために重量比で15%以上
が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が
最も好ましい。もちろん、本発明のポリエステル繊維の
みで構成されることは好ましい態様である。
【0034】本発明のポリエステル繊維は、織物、編
物、不織布などの繊維シートおよび繊維クッション、硬
綿などの繊維成型体に適用可能であり特に限定されな
い。
【0035】本発明のポリエステル繊維の性能をより有
効ならしめる態様としては、不織布、繊維成型体、詰め
綿、紡績糸などとして用いることが好ましく、ステープ
ル用途に適用することにより、反発性、クッション性、
繰り返し圧縮回復性、柔軟性、嵩高性などに際だった性
能を発揮することができる。
【0036】本発明のポリエステル繊維の不織布への適
用は、特に反発性に優れており、限定されるものではな
いが、一例として起毛した場合には、従来のポリエステ
ル繊維の課題であった毛倒れを著しく改善することがで
きる。
【0037】繊維成型体はクッション性がよく、特に繰
り返し圧縮による回復性が抜群に良好でヘタリが小さい
ものが得られ、ベッドマットや敷き布団などの寝具、椅
子やソファなどの家具、自動車、鉄道、航空機、船艇な
どの車両シートに好ましく適用できる。
【0038】また、詰め綿として用いた場合にはその高
反発性に加え、優れた嵩高性を有し、ヘタリ難いものを
得ることができるため寝装用や衣料用の中綿として好ま
しく適用できる。
【0039】さらに本発明のポリエステル繊維を用いた
紡績糸は、反発性に優れ、他の繊維と混紡した混紡糸で
は、他の繊維の風合いを活かしつつハリ、コシを有する
ものが得られ、コートやスーツ、ジャケット、シャツ、
ブラウス、ワンピースなどの衣料用途に好ましく適用す
ることができる。
【0040】これらの製造手段は特に限定されないが、
不織布の場合は繊維シートとしてから熱処理することが
通常の加工工程の中で行うことができ、加工性、コスト
メリットの点からも好ましい。繊維成型体の場合には、
カットした本発明の綿を開繊して型枠内に充填した後、
またはカットした本発明の綿でウェブを作製しそのウェ
ブを積層した後、成型と同時に熱処理することが好まし
い。その際、少なくとも本発明のポリエステル繊維と融
点において本発明のポリエステル繊維より低い低融点重
合体を少なくとも外表面に有する低融点繊維を含む他の
繊維とを混ぜ合わせて使用することは、成形性と成型体
の耐久性が増すため好ましい。紡績糸として用いる場合
は、紡績前後の両方またはどちらで熱処理を行っても構
わないが、他の繊維と混紡する場合には、混ぜる繊維の
特性によって熱処理方法を選択することが好ましい。
【0041】上述したように、本発明のポリエステル繊
維は多くの有用な特性を有すること、様々な布帛組織や
形態として、また単独あるいは他の繊維と混合して用い
ることができるなどその応用範囲は広い。
【0042】
【実施例】以下、実施例について説明する。
【0043】実施例1 ポリエチレンテレフタレート(IV=0.68)を溶融
紡糸し、引取速度3100m/分、283デシテック
ス、30フィラメントのPOYを得た。この原糸合糸し
てして5万デシテックスのトウとし、加工速度25m/
分で95℃の液浴中を通して30%収縮させ、6.5万
デシテックスのトウを得た。このトウをクリンパで機械
捲縮を付与し、次いで、これを熱風乾燥機中で180
℃、5分間熱処理し、単糸が約12デシテックスのポリ
エステル繊維を得た。
【0044】実施例2ポリエチレンテレフタレート(I
V=0.68)を溶融紡糸し、引取速度3100m/
分、283デシテックス、30フィラメントのPOYを
得た。この原糸合糸してして5万デシテックスのトウと
し、加工速度30m/分で一段目が95℃の液浴中で2
0%収縮させ、二段目が90℃の液浴中で15%収縮さ
せ、6.8万デシテックスのトウを得た。このトウをク
リンパで機械捲縮を付与し、51mmにカットし、開綿
を行い、その後、熱風乾燥機中で160℃、5分間熱処
理し、単糸が約13デシテックスのポリエステル綿を得
た。
【0045】実施例1の繊維を51mmにカットし、開
綿した綿、および実施例2の綿を握ると嵩高く、反発感
があった。これらの荷重伸長曲線を分析した結果を表1
に示した。どちらも本発明の要件である特性値を満足す
る値であった。これらは、特定の加工速度、湿熱処理に
より緊張収縮させることにより達成されたものである。
【0046】比較例1、比較例2 通常の溶融紡糸して得られた単糸が約9デシテックスの
POY(比較例1)、通常の溶液紡糸・延伸して得られ
た単糸が約12デシテックス延伸糸(比較例2)を51
mmにカットし、開綿した綿を握ったところ、実施例の
綿に比べて、嵩が足りず、反発感が劣るものであった。
これらの荷重伸長曲線の分析結果を表1に示したが、ど
ちらも本発明の要件である特性値を満たすものではなか
った。
【0047】
【表1】
【0048】実施例3 実施例2のポリエステル繊維を64mmにカットした
後、イソフタル酸40モル%共重合した融点が110℃
のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維を鞘
成分とし、ポリエステルテレフタレートを芯成分とする
芯鞘型複合繊維(芯/鞘=50/50)の捲縮付与原綿
(単糸4.4dtex、繊維長64mm)を用い、重量
比で60/40となるように混綿、開繊し、空気流とと
もに、側面にパンチング孔を有する金型(内面が100
0×1000×1000mm)中に吹き込んで充填密度
が0.04g/cm3 で固定した。さらに蒸熱130℃
を吹き込んで20分間熱セットし冷却して繊維成型体を
製造した。
【0049】得られた繊維成型体は形態が安定したもの
であり、反発性が良好で繰り返しの圧縮に対する回復性
が良好なものであった。
【0050】この繊維成型体を常温で、圧縮率50%、
3万回の繰り返しの圧縮試験を行ったところ、圧縮残留
歪は3.2%であり、極めて優れた圧縮回復性を示し
た。
【0051】実施例4 実施例2のポリエステル繊維を51mmにカットした
後、イソフタル酸40モル%共重合した融点が110℃
のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維を鞘
成分とし、ポリエステルテレフタレートを芯成分とする
芯鞘型複合繊維(芯/鞘=50/50)の捲縮付与原綿
(単糸4.4dtex、繊維長64mm)を用い、重量
比で70/30となるように混綿してウェブを作製し
た。そのウェブを積層し、圧縮して充填密度が0.05
g/cm3 で固定した。さらに蒸熱140℃を吹き込ん
で15分間熱セットし冷却して繊維成型体を製造した。
【0052】得られた繊維成型体を用いてベッドマット
を作製したところ、寝心地が良く、繰り返しの圧縮に対
する回復性が良好なものであった。
【0053】この繊維成型体を常温で、圧縮率50%、
3万回の繰り返しの圧縮試験を行ったところ、圧縮残留
歪は4.1%であった。
【0054】比較例3 通常の溶液紡糸・延伸して得られた単糸が約12デシテ
ックス、繊維長64mmの機械捲縮ポリエステルステー
プル繊維で、前記と同じ芯鞘型複合繊維繊維を前記と同
率用いて同条件で成型したものは、圧縮残留歪が10.
2%であり、実施例のものに比べて低い圧縮回復性を示
した。
【0055】
【発明の効果】本発明のポリエステル繊維は次の効果を
有する。 (1)本発明のポリエステル繊維は反発性、柔軟性など
に優れた繊維、布帛および繊維シートを提供することが
できる。 (2)本発明のポリエステル繊維から得られる繊維成型
体は、感触の良いクッション性や高い繰り返し圧縮回復
性を有する。 (3)本発明のポリエステル繊維から得られる詰め綿
は、優れた嵩高性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ポリエステル繊維の初期応力、初期伸
度、切断強度、切断伸度、第2交点を説明する荷重伸長
曲線である。
【符号の説明】
1:第一接線 2:第二接線 3:第三接線 4:第一接線と第二接線の交点 5:第二接線と第三接線の交点 6:最大応力点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/42 D04H 1/42 T 1/54 1/54 H Fターム(参考) 4L035 BB33 BB72 DD19 EE08 EE20 FF05 FF07 4L036 MA05 MA26 MA35 MA39 PA01 PA10 PA19 PA31 RA03 RA04 UA25 4L047 AA21 AA28 AB02 AB09 BA09 BB06 CB10 CC07

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷重伸長曲線において、下記(1)〜
    (7)の特性を有することを特徴とするポリエステル繊
    維。 (1)見掛ヤング率が100〜4500N/mm2 (2)初期応力が0.1〜1.5cN/dtex (3)初期伸度が1〜30% (4)切断強度が0.5〜2cN/dtex (5)切断伸度が100〜400% (6)X/Yが0.3〜1.5 (ただし、Xは初期応力点から第2交点までの伸度、Y
    は第2交点から切断点までの伸度を示す。) (7)α/βが1〜5 (ただし、αは第2交点の強度、βは切断強度とαの差
    を示す。)
  2. 【請求項2】請求項1に記載のポリエステル繊維が短繊
    維であることを特徴とするポリエステル繊維。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のポリエステル繊
    維を用いてなることを特徴とする繊維シート。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の繊維シートが不織布であ
    ることを特徴とする繊維シート。
  5. 【請求項5】請求項3または4に記載の繊維シートが他
    の繊維と混合されてなるものであることを特徴とする繊
    維シート。
  6. 【請求項6】請求項1または2に記載のポリエステル繊
    維を用いてなることを特徴とする繊維成型体。
  7. 【請求項7】請求項1または2に記載のポリエステル繊
    維を用いてなることを特徴とする詰め綿。
  8. 【請求項8】請求項1または2に記載のポリエステル繊
    維を用いてなることを特徴とする紡績糸。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の紡績糸が他の繊維と混紡
    されてなることを特徴とする混紡糸。
  10. 【請求項10】請求項6に記載の繊維成型体を用いてな
    ることを特徴とするベッドマット。
  11. 【請求項11】高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度
    15m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはス
    チーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与の後に80
    ℃以上の温度で熱処理することを特徴とするポリエステ
    ル繊維の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項11において、2段階以上の多段
    階で収縮させることを特徴とするポリエステル繊維の製
    造方法。
  13. 【請求項13】請求項11または12において、捲縮付
    与後または熱処理後にカットすることを特徴とするポリ
    エステル繊維の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項11〜13のいずれかにおいて、
    熱処理を行う前に開綿することを特徴とするポリエステ
    ル繊維の製造方法。
  15. 【請求項15】高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度
    15m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはス
    チーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与し、カット
    を行い、繊維シートとした後、80℃以上の温度で熱処
    理することを特徴とするポリエステル繊維シートの製造
    方法。
  16. 【請求項16】高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度
    15m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはス
    チーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与し、カット
    を行った後、開繊して型枠内に充填し、80℃以上の温
    度で加熱して繊維ブロック状となすことを特徴とする繊
    維成型体の製造方法。
  17. 【請求項17】高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度
    15m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはス
    チーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与し、カット
    を行った後、ウェブを作製して積層し、80℃以上の温
    度で加熱して繊維ブロック状となすことを特徴とする繊
    維成型体の製造方法。
  18. 【請求項18】高配向未延伸ポリエステル糸を加工速度
    15m/分以上で、70℃以上の液浴および/またはス
    チーム処理で1〜50%収縮させ、捲縮付与し、カット
    を行い、さらに紡績前および/または後に80℃以上の
    温度で熱処理することを特徴とする紡績糸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006193838A (ja) * 2005-01-11 2006-07-27 Nippon Ester Co Ltd 不織布用短繊維及び短繊維不織布
JP2006307987A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Yokohama Rubber Co Ltd:The ホース
CN107820523A (zh) * 2015-06-30 2018-03-20 希伯莱因股份公司 用于卷曲的填塞‑卷曲装置、喷嘴芯以及喷嘴芯的模制件、扩充套件、锁定装置和定位件及其方法

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