JP3879289B2 - クッション材用ポリエステル短繊維の製造方法およびクッション材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔らかな風合いと弾力性に富み、かつ、車両用などの高温度下に晒される機会の多い用途に対し高熱耐へたり性を有するクッション材に適したクッション材用ポリエステル短繊維、クッション材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでクッション材には、主としてポリウレタンフォームが使用されてきたが、リサイクルできない点や通気性が悪く快適性の面でも問題があり、近年、ポリエステル繊維を主体とした繊維クッション材が提案されている。
【0003】
繊維クッション材は、母材繊維と熱接着繊維を混ぜてカード機で一度開繊した後、熱処理機で母材繊維を熱接着する方法が知られている。この方法において、通常の繊維クッション材はウレタンフォームに比較して柔らかさ・弾力性などの風合い面で劣るものであった。
【0004】
本発明のクッション材用ポリエステル短繊維は、母材繊維として使用するものであり、該繊維が特定の極限粘度、強伸度特性、収縮特性、ガラス転移温度を有することにより、上記のクッション材としたときの欠点を改善したものである。
【0005】
本発明のクッション材用ポリエステル短繊維は、強伸度特性以外に、特に収縮特性に特徴があるものである。従来から、クッション材用途以外の分野(特に紡績糸、長繊維、またそれらを使用した織編物)で、低収縮または自発伸長性を示す繊維には以下のようなものが知られている。
【0006】
例えば、特公平3−42334号公報のように異収縮の短繊維を混紡することにより嵩高性を有する紡績糸が得られ、皺になりにくく反発性の良好な織編物が得られること等は広く知られている。その低収縮側の繊維に伸度が80%以上、伸長剛性率が600kg/mm2 以下、結晶化度が25%以上、熱応力が40mg/d以下、沸水収縮率が3%以下の短繊維を用いることが開示されている。しかし、この短繊維のみをクッション材用の母材繊維として用いた場合、短繊維化で必須のカード工程を通すと、この工程張力によって部分的に延伸が発生し、糸物性が大きく変化する欠点を有していた。
【0007】
また、特公昭60−54404号公報、特公昭62−7300号公報、特公昭63−66923号公報には、自発伸長性のある短繊維が開示されている。特に、特開平6−346321号公報には、高い固有粘度のポリマーを用いて3000m/分以上の高速紡糸を行い、低温で延伸した後、弛緩熱処理して自発伸長性のあるマルチフィラメントとすることが開示されている。しかしながら、これらの自発伸長性のある短繊維、もしくはマルチフィラメントのいずれもが、高速紡糸によって得られたいわゆるPOYを延伸した後、弛緩熱処理したものか、弛緩熱処理した後、延伸して得たものであり、延伸工程を経るため、ヤング率が高くなりやすく、クッション材を成形した後の柔らかさが不十分となってしまう。
【0008】
更に、柔軟なポリエステルマルチフィラメントもしくは短繊維を得る手段として、特開昭53−52721号公報には、固有粘度の高いポリエステルチップを用いて、紡糸速度4000m/分以上の超高速度で溶融紡糸して得ることが開示されている。該公報によれば、延伸熱処理を行うことなく実用的なポリエステルマルチフィラメントもしくは短繊維が得られるものの、いわゆる超高速紡糸で得られるため、ヤング率が高いほか、超高速紡糸設備が必要であった。
【0009】
特開昭62−199827号公報、特開昭62−199828号公報で、高速紡糸によって得られるPOYを特定の条件でストレッチ熱処理することによって、極めて柔軟な織編物を得ることのできる紡績糸が本出願人によって開示されている。該公報による紡績糸を用いるとウールに似た曲げ特性を有する優れた織編物
が得られるものの、高速紡糸設備が必要であるという欠点があった。更に、該公報は紡績糸とした後に織編物として用いるものであり、熱成型して得るクッション材用途として用いるなどという点に関しては何ら記述されていないのである。
【0010】
一方、特開平4−194007号公報、特開平4−194010号公報には、断面積が異なる複数の吐出孔群を有する紡糸口金を用いて重合体からなる混繊糸を得る方法において、吐出孔群の少なくとも1群の吐出孔の断面積を連続的に拡大する吐出孔とし、最大の断面積が少なくとも0.785mm2 の紡糸口金として1群を高ドラフトで溶融紡糸することによって、一発紡糸で混繊糸を得る製造方法が開示されている。該公報によれば、比較的低い紡糸速度で太デニール成分の配向度および伸度レベルを細デニール成分の配向度および伸度レベルよりも高くすることが可能であることが示されている。しかしながら、該異繊度混繊未延伸糸は、延伸・熱処理が必要であり、得られる延伸糸は高配向、低伸度で、ヤング率が高く、クッション材に成型した際の柔らかさに欠ける欠点を有する。
【0011】
特開平10−251933号公報には、紡糸速度2500m/分以下で巻き取ったポリエステル未延伸束を用いて熱伸長性ポリエステル短繊維を製造する方法が開示されている。該繊維は、金属酸化物を1重量%以上含有、三〜六葉断面形状の未延伸糸からなる未延伸束を特定範囲で延伸、弛緩熱処理を施す方法である。この場合も、繊維の添加物量・断面に限定がある他、延伸工程を経るため、ヤング率が高くなりやすく、柔らかさの点で不十分である。
【0012】
以上述べたように、これまで自発伸長性を示す繊維は得られていたが、クッション材用途に用いる等ということはなされておらず、更に超高速紡糸設備を必要とする場合や、延伸工程を経てヤング率が高く柔らかさに欠けるものでしかなく、ウレタンフォームの如き、柔らかな風合いと弾力性に富むクッション材にはなり得なかった。
【0013】
更に、ウレタンフォームと比べて繊維クッション材は、真夏の炎天下に放置された自動車の車内の温度が示すといわれている70℃条件下等での高熱耐へたり性が著しく劣る欠点を有している。
【0014】
一般的な繊維クッション材としてポリエステル系の繊維を溶融接着させたクッション材が開発されている(特開昭57−101018号公報、特開昭58−31150号公報等)が、これらのクッション材は、低融点の接着成分を接着剤に使うものであるために40℃以上の雰囲気での塑性変形が激しく、このため、70℃条件下等での高熱耐へたり性が著しく劣り、一般に車両用では使用不可能なものである。
【0015】
また、車両用クッション材の高熱耐へたり性を向上させることを目的として母材繊維、熱接着繊維の両面からさまざまなアプローチがなされている。
【0016】
母材繊維の面からは、特開平6−165884号公報、特開平7−54253号公報のようにガラス転移温度が80℃以上、融点150℃以上のポリエステル繊維が融点80℃以上の共重合ポリエステル系熱接着繊維で接合されたポリエステル固綿が開示されている。これらの繊維については、70℃条件下等での高熱耐へたり性の向上は認められるものの、通常の紡糸・延伸工程により得られた繊維ではヤング率が高く、該繊維によりクッション材を作製した場合には、ウレタンフォームの如き、柔らかな風合いと弾力性に富むクッション材にはなり得ないのである。
【0017】
熱接着繊維の面からは、例えば、特開平5−247724号公報、特開平5−247819号公報等で、芯鞘構造からなる熱接着成分の鞘部にポリエステルエラストマーを用いた熱接着繊維、クッション材が提案されているが、ポリエステルエラストマーの耐熱性が考慮されていないため、比較的高い温度雰囲気下に長時間晒されると接着部が劣化して耐久性が劣る欠点がある。
【0018】
特開平6−200461号公報等では、熱接着繊維の鞘部として耐熱性を向上させたポリエステルエラストマーを用い、更に母材繊維としてガラス転移温度が65℃以上の熱可塑性ポリマーを用いた耐熱性繊維構造体が提案されているが、ポリエステルエラストマー自体のガラス転移温度は依然として低く、高熱耐へたり性は十分とは言えないものであった。
【0019】
本発明者らの各種検討によれば、母材繊維の極限粘度、強伸度特性、収縮特性、ガラス転移温度を特定範囲とすることで、柔らかな風合いと弾力性に加え、高熱耐へたり性を満足させ得ることが分かった。更に70℃条件下等での高熱耐へたり性の向上を図るには、熱接着繊維のガラス転移温度と融点の関係も関わっている。本発明の母材繊維に加え、熱接着繊維のガラス転移温度と融点の関係を特定の範囲とすることでクッション材の70℃耐へたり性をさらに向上させることが可能となる。
【0020】
以上のように、従来技術では通常の雰囲気下で用いられる母材繊維およびクッション材は得られたとしても、特に高温に晒される車両用クッション材分野において柔らかな風合いと弾力性に富み、かつ、高熱耐へたり性が満足したクッション材を提供することはできなかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術では達成できなかった、柔らかな風合いと弾力性に富み、かつ、高熱耐へたり性を有するクッション材に適した母材繊維、クッション材、および該母材繊維の製造方法を提供することにある。
【0023】
本発明は、極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルからなるチップを口金面深度70mm以下で、紡糸速度2000m/分以下で紡糸ドラフト5000以上で溶融紡糸し、得られた未延伸糸を、乾熱140〜200℃で1〜7%の緊張状態で熱処理し、しかる後短繊維化することにより、極限粘度〔ηs〕が0.66以上、強伸度曲線における定応力伸長域伸度が20%以下、破断伸度が80〜180%、ヤング率が50g/d以下、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率がともに−5〜5%、ガラス転移温度が75℃以上である、ポリエステル短繊維を製造することを特徴とする、クッション材用ポリエステル短繊維の製造方法である。また、本発明は、上記のクッション材用ポリエステル短繊維の製造方法によりポリエステル短繊維を製造した後、得られたポリエステル短繊維を、熱接着繊維で熱成形により点接合して一体構造化することより、70℃耐へたり性が70%以上であるクッション材を製造することを特徴とするクッション材の製造方法である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明におけるクッション材用ポリエステル短繊維(以下、母材繊維という)は、極限粘度〔ηs〕が0.66以上である。極限粘度〔ηs〕が0.66未満では、後述する製造方法において、強伸度曲線における定応力伸長域伸度が20%以下、破断伸度が80〜180%である母材繊維とすることができにくくなる。また、極限粘度〔ηs〕が0.66未満では、本発明の目的とする柔らかな風合いと弾力性に富んだクッション材を得ることが困難になる。通常の極限粘度〔ηs〕である0.62程度に比べて極限粘度〔ηs〕が0.66以上でより高い弾力性を発揮する理由は明確ではないが、分子鎖が長いことにより、結晶に囲まれた非晶が多くなり、曲げなどの変形に対して戻りやすくなるためと考えられる。
【0026】
また、本発明における母材繊維は、強伸度曲線における定応力伸長域伸度が20%以下のものである。本発明における定応力伸長域とは、図1の1のように一定応力で伸長する領域(イ)の伸度を示し、定応力伸長域伸度20%以下とは、従来の高速紡糸によって得られる、いわゆるPOYの定応力伸長域伸度よりも十分に低い伸度である。後述する強伸度測定における強伸度曲線の定応力伸長域伸度が20%を越えると、カード工程で受ける工程張力によって繊維が伸長し、糸物性が大きく変化してしまう。
【0027】
また、本発明における母材繊維は、破断伸度が80〜180%のものである。破断伸度が80%未満では、ヤング率が高くなる傾向にあり、本発明の目的とする柔軟な風合いが得難い。一方、破断伸度が180%を越えると降伏点応力が低くなり、カード工程で受ける工程張力によって繊維が伸長しやすく、繊維の均一性が低下し、糸物性も大きく変化してしまう。
【0028】
また、本発明における母材繊維は、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率がともに−5〜5%のものである。沸水収縮率と180℃乾熱収縮率の一方、または両方が−5%未満である場合、成形体とした際に金型から繊維が突出し、金型に合った目的の成形体が得られなくなってしまう。一方、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率の一方、または両方が5%を越える場合、クッション材を熱成形した場合に、風合いが硬くなる他、今度は収縮により金型に合った目的の成形体が得られなくなってしまう。収縮サイドよりも、自発伸長サイドにあった方が弾力性に富んだクッション材が得られる傾向にあり、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率がともに−5〜2%の範囲がより好ましい。
【0029】
また、本発明における母材繊維はヤング率が50g/d以下であり、40g/d以下であることが、本発明の柔軟な風合いを発揮することができるので好ましい。
【0030】
また、本発明における母材繊維は、ガラス転移温度が75℃以上であることが必要である。このことは、クッション材の70℃条件下等での高熱耐へたり性向上には必須である。
【0031】
更に、高い耐熱耐へたり性を得るためには、ガラス転移温度は80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上であることである。
【0032】
本発明でいう母材繊維を構成する重合体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)以外に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびその共重合体などの高いガラス転移温度を持つポリエステルがより好適に用いられる。
【0033】
母材繊維の横断面の形状は、円形であっても異形であってもよいが、中空断面であることが最も好ましい。中空断面とすることにより、口金直下のチムニーによる冷却を強化し、繊維を非対称に冷却することが可能となる。さらに、本発明では後述するように、口金の孔径や面積を著しく大きくして紡糸ドラフトを高く設定して紡糸を行うため、冷却効果が大きく、従来の中空繊維の非対称冷却の場合よりも格段に高いレベルの構造捲縮が得られるのである。その結果、クリンパーにより付与する機械捲縮に加え、繊維自身が構造捲縮を有し、クッション材としたときにより柔らかで、良好な弾力性を発現するのである。
【0034】
また、本発明の母材繊維を用い、熱成形により熱接着繊維で点接合して一体構造化したクッション材は、70℃耐へたり性が70%以上であることが必要である。70%未満であれば、夏場など高温雰囲気下で荷重を受けたとき、クッション材がへたりやすく歪回復しないため、本発明の所期の効果を十分に得ることができない。
【0035】
本発明者らの知見によれば、本発明に係る母材繊維を少なくとも60%以上使用したクッション材は、70℃耐へたり性は70%以上であり、好ましくは、85%以上、より好ましくは、90%以上を示すものである。
【0036】
更に、本発明の母材繊維を使用しクッション材を作製する場合には、ガラス転移温度、融点が、下記式(1)〜(3)を同時に満足する重合体を少なくとも一部に使用した熱接着繊維を使用することが好ましい。
【0037】
75≦Tg ≦150 ・・・(1)
0≦Tm −Tg ≦ 80 ・・・(2)
Tm ≦200 ・・・(3)
該熱接着繊維は、特定範囲に特異の熱特性を有する重合体により構成される。用いられる重合体のガラス転移温度Tg は、75℃以上150℃以下であることが好ましい。75℃未満では70℃雰囲気下で歪を加えられると熱による接着点が容易に塑性変形を生じるため、高熱耐へたり性が著しく劣り、本発明の目的を達成でき難いのである。逆に、150℃を越えると熱接着繊維としての機能が低下し、圧縮がかかった際に接着部分が脆く、簡単に破壊されて永久歪が残ってしまい好ましくないのである。上記の目的を達成するためには、Tg は、90℃以上140℃以下であることが好ましい。
【0038】
また、高熱耐へたり性を付与するための重合体の融点とガラス転移温度との差、Tm−Tgは0℃以上80℃以下であることが必要である。TmとTgは、できるだけ近い値である方が成形温度下での熱接着性が良好となる。最も良好なのは、Tm−Tg=0、すなわち、Tm=Tgのときである。
【0039】
Tm−Tgが80℃を越える場合は、熱接着繊維の融点が高くなり、その結果、成形後の熱接着力の低下が生じ、歪がかかった際に接着部分が簡単に破壊されて永久歪が残ってしまうのである。上記の目的を達成するためには、Tm−Tgは、0℃以上50℃以下であることが好ましく、50℃以下であれば、熱接着性も良好であり、歪みに対して接着部分が簡単に破壊されることもない。
【0040】
また、重合体の融点は200℃以下であることが必要である。200℃を越えると、成形体を作成するときの成形温度を高く設定する必要が生じ、その結果、母材繊維に軟化・融解が生じ、高熱耐へたり性が低下してしまうのである。また、クッション材の風合いも硬くなってしまい好ましくない。
【0041】
熱接着繊維の横断面の形状は、円形であっても異形であってもよい。
【0042】
また、単成分繊維、複合繊維いずれでもよく、複合繊維の場合は熱特性を規定した該重合体が少なくとも表面に露出していればよく、複合する重合体のガラス転移温度は母材繊維と同様に75℃以上が好ましく、更に高い耐熱耐へたり性を得るためには、ガラス転移温度は80℃以上、更に好ましくは100℃以上である。紡糸後、ついで延伸、捲縮付与して、更に所望の繊維長に切断し得ることができる。
【0043】
上述の該熱接着繊維は、繊維クッション材を構成する繊維として使用することができる。
【0044】
熱接着繊維のデニールは、通常1〜10デニール程度であればよいが、5デニール未満が好ましい。繊維長は、5〜100mmであればよく、接着点の増加・分散性の向上という観点から見れば60mm以下であることがより好ましい。
【0045】
クッション材中における熱接着繊維の好ましい含有量は、5重量%以上40%重量以下、より好ましくは10重量%以上30重量%以下である。5重量%以下では、クッション材中に熱接着点として形成される3次元網目構造が少なく、歪が加わったときに物理的変形が生じ、耐へたり性、耐久性、クッション性が著しく低下してしまうので好ましくない。40重量%を越えると、熱接着点が増える点は好ましい。しかし、風合いが硬くなる他、歪が加わったときの変形に対して、耐へたり性、耐久性が著しく低下してしまい好ましくないのである。
【0046】
また、従来の熱接着繊維は延伸後、スチーム処理しながらクリンパーにて機械捲縮を付与しようとすると膠着が生じるため、スチーム処理なしで行うことを余儀なくされ、捲縮も十分に付与できなかった。また、その後の熱セットも行うことができなかった。一方、該熱接着繊維は、従来のものと異なる高いガラス転移温度・融点範囲を有しているため、上記の如き方法で十分な機械捲縮を付与することができるのである。
【0047】
すなわち、従来は、熱接着繊維のガラス転移温度、融点が低いために、捲縮を十分に付与することが困難であり、よって捲縮率も低く、かつ、ウエブの作製時にも捲縮形態が変形しやすい欠点があった。従って、母材繊維と熱接着繊維同士が絡み合うことにより形成される接着点を増やすことに限界があったのである。強固な捲縮が十分付与された本発明の熱接着繊維を用いることにより、母材繊維と熱接着繊維の熱接着点が増加し、接合点が強固なものとなる。また、繊維長を短くし分散性を高めた際にも、抜け落ちることが少ない。このように該熱接着繊維を使用すれば、クッション材全体が3次元コイルスプリング状網目構造となるので、どのような方向に大変形を与えられても個々の繊維のコイルが少しずつ変形して力や歪を吸収でき、高熱耐へたり性が維持できるのである。
【0048】
該熱接着繊維を構成する重合体としては、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分とし、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールSのEO付加物(BPS−EO)より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルであり、次のような成分を共重合してあってもよい。
【0049】
好ましい共重合成分としては、アジピン酸、セバシン酸、などの脂肪族ジカルボン酸類、フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、オキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸類、および/またはジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ビスフェノールAのEO付加物(BPA−EO)などのうちから1種または2種以上の共重合成分が挙げられる。
【0050】
但し、ポリエチレングリコールの場合、数平均分子量が10000を越えるとポリマ合成における反応性が著しく低下し、未反応物がポリエステルとは非相溶となり製糸性を著しく阻害することがあるので数平均分子量が10000以下のものを用いることが好適である。
【0051】
次に、本発明でいう母材繊維の好ましい製造方法について詳述する。
【0052】
本発明の母材繊維は、極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルからなるチップを口金面深度70mm以下で、紡糸速度2000m/分で紡糸ドラフト5000以上とした口金を用いて溶融紡糸し、得られた未延伸糸を、乾熱140〜200℃で1〜7%の緊張状態で熱処理し、しかる後短繊維化することによって得ることができる。
【0053】
前記したように、本発明においては、極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルからなるチップを用いるものであり、極限粘度〔ηc〕が0.7以上であることがより好ましい。極限粘度〔ηc〕が 0.68未満では、口金面深度70mm以下で紡糸ドラフト5000以上、紡糸速度2000m/分以下として引き取り、前記緊張熱処理しても、強伸度曲線における定応力伸長域20%以下の母材繊維が得られない。極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルからなるチップを用いて、前記溶融紡糸・緊張熱処理した場合に、強伸度曲線における定応力伸長域が20%以下の繊維が得られる理由は次のように考えられる。極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルは、溶融粘度が高いため、5000以上の高いドラフト下において高い伸長粘度を有し、紡糸速度2000m/分以下でPOY(高配向未延伸糸)あるいはFOY(高配向高密度糸)に近似した未延伸糸特性になるためと考えられる。
【0054】
また、本発明においては、口金面深度を70mm以下にするものであり、50mm以下とすることがより好ましい。本発明でいう口金面深度とは、図2に示すように、紡糸口金表面から紡糸頭下端までの距離(L)をいう。口金面深度が70mmを越えると、口金直下で五月雨状態が発生し、製糸性が悪化するため好ましくない。
【0055】
また、本発明では、紡糸ドラフトを5000以上にするものであり、6000以上とすることがより好ましい。本発明でいう紡糸ドラフトとは、紡糸速度(m/分)を口金吐出孔から吐出するポリマーの吐出線速度(m/分)で除した値である。紡糸ドラフトが5000未満では、紡糸速度2000(m/分)以下でPOYに近似した伸度レベル(120〜170%)、複屈折率レベル(0.025〜0.070)の繊維にすることが難しくなる。
【0056】
また、本発明においては、紡糸速度を2000(m/分)以下にするものである。紡糸ドラフト5000以上においては、紡糸速度が2000(m/分)を越えると糸切れしやすくなる。従って、本発明においては、低速度の溶融紡糸装置が有効に使用できる。
【0057】
また、本発明における母材繊維を得るためには、前記高配向未延伸糸を乾熱140〜200℃で1〜7%の緊張状態で熱処理するものである。乾熱処理温度が140℃未満では、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率とをともに5%未満とすることが難しくなる。また、乾熱処理温度が200℃を越えると、水分を含んだトウが軟化しやすくなるほか、母材繊維の強度が極めて低くなるため好ましくない。また、緊張率が1%未満では、繊維にタルミが生じ均一な熱処理がしにくくなる他、走行安定性が低下するため好ましくない。また、緊張率が7%を越えるとヤング率が高くなるほか、ネッキング延伸が起こりやすくなり、目的の糸物性が得られなくなり、所期の目的を達成できない。
【0058】
本発明における母材繊維は前記緊張処理後に乾燥し、捲縮を付与し、カットして得ることができる。
【0059】
【実施例】
なお、本発明で定義する各特性値は、以下の方法で求めた。
【0060】
(1)極限粘度(η)
オルソクロロフェノール中、25℃で測定した。
【0061】
(2)強伸度曲線
東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試料長2cm、引っ張り速度10cm/分、チャート速度20cm/分の条件で応力−歪み曲線を描き、定応力伸長域伸度および破断伸度を求めた。なお、定応力伸長域伸度は、定応力伸長域における最小応力部分にX軸に平行な線を引き(図1の(ロ))、定応力伸長域から応力が立ち上がる部分に接線を引き(図1の(ハ))、その交点の伸度から求める。
【0062】
(3)ヤング率
東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用いて試料長2cm、引張り速度2cm/分、チャート速度10cm/分の条件で二次降伏点までの応力−歪み曲線を拡大して描き、直線部分の接線より求めた。
【0063】
(4)沸水収縮率
母材繊維試料の両端をクリップでつかみ、合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、原長 L1(cm)を求める。クリップ間を十分ゆるめ、無荷重状態で98℃の沸水バス中で15分間処理し、処理後の試料に合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、処理後の長さ L2(cm)を測定する。沸水収縮率は次式によって求める。試験回数は15回とし、その平均値で求める。
【0064】
沸水収縮率={(L1−L2)/L1}×100(%)
(5)乾熱収縮率
母材繊維試料の両端をクリップでつかみ、合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、原長 L3(cm)を求める。クリップ間を十分ゆるめ、無荷重状態で180℃のオーブン中で15分間処理し、処理後の試料に合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、処理後の長さ L4(cm)を測定する。乾熱収縮率は次式によって求める。試験回数は15回とし、その平均値で求める。
【0065】
乾熱収縮率={(L3−L4)/L3}×100(%)
(6)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC)で、窒素気流下16℃/分の昇温温度で測定し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0066】
(7)融点(Tm)
融点顕微鏡を用い、10℃/分の昇温温度下で熱接着繊維が融解し流動が開始する温度を求めた。
【0067】
(8)70℃耐へたり性
クッション材を測定サンプルとして立方体(10×10×10cm)に切り出し、平行平面板(タテ×ヨコ=15×15cm)を用いて測定した。
【0068】
クッション材からの切り出し法は、クッション材内部の繊維配列からみて、クッション成形時に繊維が圧縮されてなる方向を判断し、その圧縮された方向と立方体の1面が実質的に平行となるように切り出すものである。ただし、厚さ等が10cmに満たないもののときには、複数枚のものを重ねることなどにより、10cmになるようにして上記立方体を作製する。
【0069】
へたり試験での圧縮は、成形体を作製する際にウエブを圧縮した方向と同じ方向を有する面方向下において、厚さ50%になるまで圧縮し(側面は、フリー状態)、その状態で70℃乾熱中に22時間保持後、平行平面板よりはずして歪を開放し圧縮作用をやめ、さらに、そのまま常温中(約30℃)に移し、そのままの状態で1日(24時間)放置(静置)した後の厚み li(cm)と処理前の元の厚み l0(cm)から、{(li/l0)×100)}(%)で求めた。
【0070】
厚みは、0.1cm単位で測定し、n数は5とした。
【0071】
(9)クッション風合い
10人のパネラーが手で押したときの風合い(ソフト性、弾力性)をランクづけで、非常に良好◎、良好○、普通△、不良×として、5人以上が評価した値を示す。
【0072】
実施例1〜18および比較例1〜10
ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)、または共重合ポリエチレンテレフタレート(変性PET;比較例10は、酸成分としてテレフタル酸ジメチル(DMT)95モル%とアジピン酸ジメチル(DMA)5モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%の割合、実施例15、26は酸成分としてテレフタル酸ジメチル(DMT)100モル%、グリコール成分としてビスフェノールSのEO付加物(BPS−EO)10モル%とエチレングリコール(EG)90モル%の割合でそれぞれ重合して得た)からなるガラス転移温度を変更させたポリエステルチップを用い、極限粘度〔ηc〕、紡糸口金の吐出形状、吐出孔径、紡糸速度、紡糸ドラフト、口金面深度を表1、2のように変更し、吐出孔径が48Hである紡糸口金を用い、紡糸温度300℃の条件で溶融紡糸巻き取りを実施した。該未延伸糸を引き揃え、10万Dとし、表に示す条件で熱処理を行った後、捲縮を付与し、乾燥した後、繊維長76mmにカットして、表1、2に示す物性の単糸デニール6d、繊維長76mmのポリエステル短繊維を得た。
【0073】
熱接着繊維の鞘成分に用いる重合体として、酸成分がテレフタル酸ジメチル(DMT)60モル%と、イソフタル酸ジメチル(DMI)40モル%、とエチレングリコール(EG)100モル%を少量の触媒と安定剤と共に仕込み、従来から知られている方法でエステル交換反応後、昇温減圧しつつ重縮合して鞘部に用いる低融点の重合体を得、60℃にて48時間真空乾燥して用いた。この重合体のガラス転移温度は67℃、融点は115℃であった。
【0074】
芯部にPETを用い、300℃で溶融し、鞘部の重合体(熱接着成分)は260℃で溶融して、鞘部/芯部=50/50の重量比率で通常の紡糸機より紡糸温度292℃で紡糸口金より吐出し、1350m/minの速度で巻取った。続いて、該未延伸糸を合糸して80℃温浴中で延伸倍率3.0倍で延伸後、クリンパーにて機械捲縮を付与し、切断して単糸デニール4d、繊維長51mmの熱接着繊維を得た。
【0075】
実施例1〜18および比較例1〜10の母材繊維に対して、上記により得られた熱接着繊維を混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを積層し目付4000g/m2 となし、厚み10cmまで圧縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却してクッション材を得た。クッション材の評価結果を合わせて表1、2に示した。
【0076】
比較例1、2はポリエステルチップん0極限粘度〔ηc〕が0.68未満であり、得られたポリエステル短繊維の極限粘度〔ηs〕が0.66未満であり、定応力伸長域伸度が20%を越え、破断伸度も180%を越えており、カードを通した際に延伸が生じた。比較例1は沸水収縮率、乾熱収縮率も5%を越えていた。実施例1、2ともに70℃耐ヘタリ性が低く、クッション風合いも悪いものとなった。
【0077】
比較例3は、口金面深度が70mmを越えており、口金直下で脈動が発生し、安定した紡糸ができなかった。
比較例4は、紡糸ドラフトが低く、その結果、得られた繊維の定応力伸長域伸度が20%を越え、破断伸度も180%を越えており、カードを通した際に延伸が生じ、70℃耐ヘタリ性は低く、クッション風合いも悪いものとなった。
【0078】
比較例5は、紡糸速度が2000(m/分)を越えており、紡糸段階で糸切れが発生し、安定した紡糸性が得られなかった。
【0079】
一方、本発明の要件を満足する実施例1〜9からは、70℃耐ヘタリ性が良好で、クッション風合いも柔らかで、弾力性に富んだものが得られた。
【0080】
【表1】
比較例6は、ポリエステル短繊維の熱処理におけるストレッチ率が5%を越えているため、破断伸度が80%未満であり、沸水収縮率、乾熱収縮率も5%を越えており、ヤング率も50g/dを越えており、得られたクッション材は硬い風合いのものであった。
【0081】
比較例7は、ポリエステル短繊維の熱処理におけるストレッチ率が1%未満であり、トウの走行が不安定となり、安定した熱処理ができなかった。
【0082】
比較例8は、ポリエステル短繊維の熱処理温度が140℃未満であり、得られた繊維の定応力伸長域伸度が20%を越えており、カードを通した際に延伸が生じた。沸水収縮率、乾熱収縮率もともに5%を越えており、得られたクッション材は70℃耐ヘタリ性が低く、クッション風合いも硬いものであった。
【0083】
比較例9は、ポリエステル短繊維の熱処理温度が200℃を越えているため、HD(加熱ロール)上でトウの膠着が起こり、安定した熱処理ができなかった。
【0084】
比較例10は、ポリエステル短繊維のガラス転移温度が75℃未満であるため、70℃耐ヘタリ性が著しく低くなった。
【0085】
一方、本発明の要件を満足する実施例10〜18からは、70℃耐ヘタリ性が良好で、クッション風合いも柔らかで、弾力性に富んだものが得られた。
【0086】
【表2】
以上の結果から明らかなように、本発明で規定する糸物性を有し、製造方法で製造したクッション材用ポリエステル短繊維を用いたクッション材は、柔らかな風合いと弾力性に富んだ風合いを有し、70℃における耐ヘタリ性も70%以上であることが明らかであるが、本発明で規定した糸物性、製造方法を外れるクッション材用ポリエステル短繊維を用いたクッション材は70℃耐ヘタリ性、クッション材風合いに劣ることが明らかである。
【0087】
実施例19〜29
熱接着繊維に用いる重合体としてテレフタル酸ジメチル(DMT)、または、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)より選ばれた少なくとも1種を主たる酸成分とし、エチレングリコール、または、ビスフェノールSのEO付加物(BPS−EO)より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とし、更に、イソフタル酸ジメチル(DMI)、ビスフェノールAのEO付加物(BPA−EO)より選ばれた少なくとも1種の共重合成分を、ある割合(例えば、実施例19では酸成分としてNDCM100とグリコール成分としてBPS−EO30とEG70の割合)で少量の触媒と安定剤と共に仕込み、公知の方法でエステル交換反応後、昇温減圧しつつ重縮合して鞘部に用いる低融点の重合体を得、60℃にて48時間真空乾燥して用いた。重合体のガラス転移温度(Tg )、融点(Tm )を表3,4に示した。
【0088】
芯部に用いる重合体を300℃で溶融し、鞘部に用いる重合体(熱接着成分)は260℃で溶融して、一定の重量比率(実施例19では、芯/鞘=50/50、実施例29では、熱接着成分のみ100)で通常の紡糸機より紡糸温度292℃で紡糸口金より吐出し、1350m/minの速度で巻取った。続いて、該未延伸糸を合糸して80℃温浴中で延伸倍率3.0倍で延伸後、クリンパーにてスチーム処理(80℃)しながら機械捲縮を付与し、切断して4d×51mmの熱接着繊維を得た。得られた熱接着繊維の特性を表3、4に示した。
【0089】
実施例1の母材繊維と得られた熱接着繊維を混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを積層し目付4000g/m2 となし、厚み10cmまで圧縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却してクッション材を得た。クッション材の評価結果を表3、4に示した。
【0090】
【表3】
【表4】
以上の結果から明らかなように、本発明でいうクッション材用ポリエステル短繊維と特定範囲の熱特性を有する熱接着繊維を用いたクッション材は、柔らかな風合いと弾力性に富んだ風合いを有し、更に70℃における耐へたり性が著しく向上することが明らかである。
【0091】
【発明の効果】
以上述べた本発明によれば、特に車両用などの高温度下に晒される機会の多い用途に対し、柔らかな風合いと弾力性に富み、高熱耐へたり性を有するクッション材に適したクッション材用ポリエステル短繊維、クッション材、およびその製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【図1】定応力伸長域を説明する強伸度曲線の例示図である。
【図2】口金面深度を説明する紡糸装置の概略図である。
【符号の説明】
1:定応力伸長域を有するPOYの強伸度曲線
2:本発明におけるクッション材用ポリエステル短繊維の強伸度曲線
イ:定応力伸長域
ロ:定応力伸長域における最小応力部分のX軸に平行な線
ハ:定応力伸長域から応力が立ち上がる部分の接戦
4:紡糸頭
5:紡糸口金
Claims (3)
- 極限粘度〔ηc〕が0.68以上であるポリエステルからなるチップを口金面深度70mm以下で、紡糸速度2000m/分以下で紡糸ドラフト5000以上で溶融紡糸し、得られた未延伸糸を、乾熱140〜200℃で1〜7%の緊張状態で熱処理し、しかる後短繊維化することにより、極限粘度〔ηs〕が0.66以上、強伸度曲線における定応力伸長域伸度が20%以下、破断伸度が80〜180%、ヤング率が50g/d以下、沸水収縮率と180℃乾熱収縮率がともに−5〜5%、ガラス転移温度が75℃以上である、ポリエステル短繊維を製造することを特徴とする、クッション材用ポリエステル短繊維の製造方法。
- ポリエステル短繊維が中空繊維であることを特徴とする請求項1記載のクッション材用ポリエステル短繊維の製造方法。
- 請求項1記載のクッション材用ポリエステル短繊維の製造方法によりポリエステル短繊維を製造した後、得られたポリエステル短繊維を、熱接着繊維で熱成形により点接合して一体構造化することより、70℃耐へたり性が70%以上であるクッション材を製造することを特徴とするクッション材の製造方法。
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