JP2003041444A - 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛 - Google Patents

異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛

Info

Publication number
JP2003041444A
JP2003041444A JP2001227334A JP2001227334A JP2003041444A JP 2003041444 A JP2003041444 A JP 2003041444A JP 2001227334 A JP2001227334 A JP 2001227334A JP 2001227334 A JP2001227334 A JP 2001227334A JP 2003041444 A JP2003041444 A JP 2003041444A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite fiber
fiber
mixed yarn
fabric
polyethylene terephthalate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001227334A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuo Matsumoto
三男 松本
Masahiro Higaki
昌裕 檜垣
Seiji Tsuboi
誠治 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2001227334A priority Critical patent/JP2003041444A/ja
Publication of JP2003041444A publication Critical patent/JP2003041444A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Knitting Of Fabric (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周囲の湿度変化を自己感知して、布帛の寸法
を実質的に維持しながら通気性を自己調節することので
きる布帛を得るための異収縮混繊糸を提供すること。 【解決手段】 スルホネート基を含有する変性ポリエチ
レンテレフタレートとナイロンとがサイドバイサイド型
に接合された複合繊維(A)とこの複合繊維(A)より
も高い熱水収縮率を有する合成繊維(B)からなり、か
つ下記(1)式及び(2)式を同時に満足する異収縮混
繊糸。 (1)70≧DA/(DA+DB)×100≧30 (2)15(%)≧SB−SA≧3(%) 但し、DA、DBは複合繊維(A)、合成繊維(B)の総
繊度(dtex)であり、SA、SBは複合繊維(A)、
合成繊維(B)の熱水収縮率(%)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周囲の湿度の変化
を自己感知し、通気性を変化させる機能を有する通気性
自己調節布帛を得るための異収縮混繊糸に関するもので
あり、またこの異収縮混繊糸を用いた通気性自己調節布
帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から合成繊維を用いた布帛は衣料用
途をはじめ、巾広く使用されている。しかるに、合成繊
維を用いた布帛は、一般に、周囲の湿度が変化しても通
気性や透湿性などの特性は変化しない。このため、かか
る布帛を着用して運動すると、発汗により衣服内の湿度
が高くなり、不快感が強くなるという問題があった。
【0003】これに対し、綿や羊毛などの天然繊維を用
いた布帛では、周囲の湿度が高くなると吸湿して繊維の
捲縮形状が粗くなり、嵩高性が自己調節されるというこ
とが知られている。
【0004】このような天然繊維にならって、合成繊維
に吸湿による捲縮性自己調節機能を付与する試みが種々
なされている。例えば、特公昭63−44843号公
報、特公昭63−44844号公報は、変性ポリエチレ
ンテレフタレートとナイロンとをサイドバイサイド型に
貼り合わせた複合繊維で、ナイロンの吸湿による伸び縮
みを利用して捲縮を変化させる方法を提案している。し
かるに、かかる方法は布団綿用として短繊維の嵩高性を
変化させるために開発されたものであり、下記の問題点
を有することが本発明者らの検討結果により判明した。
即ち、かかる複合繊維を全量用いて布帛となすと、確か
に湿度の変化を感知して該複合繊維の捲縮粗さは変化す
るものの、同時に布帛の寸法も大きく変化してしまい、
衣服に供することができないばかりか、湿度変化に対す
る通気性の自己調節機能も充分には得られないことが分
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題を解消するためになされたものであり、本発明
の目的は、周囲の湿度変化を自己感知して、布帛の寸法
を実質的に維持しながら通気性を自己調節することので
きる布帛を得るための異収縮混繊糸を提供することであ
り、また、この異収縮混繊糸を用いた通気性自己調節布
帛を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成するため鋭意検討した結果、湿度を感知して捲
縮率が変化する複合繊維(A)と該複合繊維(A)より
も高い熱収縮率を有し、湿度変化に対して寸法が実質的
に変化しない合成繊維(B)との混繊糸を用いて布帛を
形成し、該合成繊維(B)を熱収縮させることにより、
周囲の湿度が変化した際、合成繊維(B)で布帛の寸法
形状を維持したまま、複合繊維(A)の捲縮性自己調節
作用により、通気性を自己調節する布帛が得られること
を知り、本発明を完成するに至った。
【0007】かくして、本発明によれば、「スルホネー
ト基を含有する変性ポリエチレンテレフタレートとナイ
ロンとがサイドバイサイド型に接合された複合繊維
(A)と該複合繊維(A)よりも高い熱水収縮率を有す
る合成繊維(B)からなり、かつ下記(1)式及び
(2)式を同時に満足することを特徴とする異収縮混繊
糸」が提供され、さらには「この異収縮混繊糸を用いた
通気性自己調節布帛」が提供される。 (1)70≧DA/(DA+DB)×100≧30 (2)15(%)≧SB−SA≧3(%) その際、前記のスルホネート基を含有する変性ポリエチ
レンテレフタレートが5−ナトリウムスルホイソフタル
酸成分(以下、5−ナトリウムスルホイソフタル酸と称
することがある)を1〜7モル%共重合したものが好ま
しく使用される。また、前記の合成繊維(B)としては
5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分が共重合されて
いる変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、本発明の異収縮混繊糸を構成
する複合繊維(A)は、スルホネート基を含有する変性
ポリエチレンテレフタレートとナイロンがサイドバイサ
イド型に接合されている。この両ポリマーは複合繊維と
した場合の接着性が比較的良好で、この両者の組合せに
より、湿度変化に対して可逆的で、捲縮率の大きな変化
が得られる。
【0009】ここで、スルホネート基を含有する変性ポ
リエチレンテレフタレートとはスルホン酸のアルカリま
たはアルカリ土類金属、ホスホニウム塩を有し、かつエ
ステル形成能を有する官能基を1個以上持つ化合物が共
重合されているポリエチレンテレフタレートである。ま
た、前記共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸及びそのエステル誘導体、5−ホスホニウム
イソフタル酸及びそのエステル誘導体、p−ヒドロキシ
エトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等が好適に選択
される。中でも5−ナトリウムスルホイソフタル酸が好
ましく用いられ、共重合量としては、1〜7モル%(特
に好ましくは1.5〜6.0モル%)が好ましい。
【0010】もう一方の成分であるナイロンとしては、
ナイロン6もしくはナイロン66が好適であり、極限粘
度[η](25℃のO−クロロフェノール溶液で測定)
が1.0〜1.4のものが好ましく選択できる。これら
複合繊維(A)を構成する両成分には必要に応じて艶消
剤、着色剤、帯電防止剤、熱安定剤等を添加することが
できる。
【0011】更に本発明で使用されるサイドバイサイド
型に接合された複合繊維(A)は、糸条の状態での熱処
理もしくは常法による染色加工処理によって捲縮を発現
する。かかる捲縮の形態として、図3(イ)に示すよう
にナイロン成分が捲縮の外側に位置し、変性ポリエチレ
ンテレフタレート成分が捲縮の内側に位置するもの(以
下Xタイプと称す)であってもよいし、逆に図3(ロ)
に示すようにナイロン成分が捲縮の内側に位置し、変性
ポリエチレンテレフタレート成分が捲縮の外側に位置す
るもの(以下Yタイプと称す)であってもよい。本発明
の異収縮混繊糸において、どちらのタイプの複合繊維で
も選択できるが、Yタイプのほうが、湿度変化に対して
捲縮性の大きな変化が得られるので好ましい。
【0012】ここで、Yタイプでは、捲縮された複合繊
維が乾燥されると内側のナイロン成分は収縮し、外側の
変性ポリエチレンテレフタレート成分はほとんど長さ変
化を起こさないため、捲縮率が増大する。逆に、この捲
縮された複合繊維を吸湿させると内側のナイロン成分が
伸長し、外側の変性ポリエチレンテレフタレート成分は
ほとんど長さ変化を起こさないため、捲縮率が低下す
る。このため、Yタイプの複合繊維(A)と後述する合
成繊維(B)からなる混繊糸を用いて布帛組織の密度が
比較的密な空隙の小さい布帛を形成すると、該布帛は常
法による染色加工を施した後において、以下の性質を有
する。すなわち、該布帛は吸湿した際、該布帛に含まれ
る複合繊維(A)の捲縮が粗くなり、かかる捲縮部分が
布帛表面に浮き上がることにより、該布帛の充填密度が
低下して通気性が高くなる。逆に、該布帛が乾燥される
と、複合繊維(A)の捲縮が細かくなり、布帛の充填密
度が増し通気性が低下する。また、Yタイプの複合繊維
(A)と合成繊維(B)からなる混繊糸を用いて布帛組
織の密度が比較的粗な空隙の大きい布帛を形成すると、
該布帛は常法による染色加工を施した後において、次の
性質を有する。即ち、該布帛は吸湿した際、該布帛に含
まれる複合繊維(A)の捲縮が粗くなり、かかる捲縮部
分が複合繊維(A)の周囲に伸長し、布帛組織の空隙部
を塞ぎ、前記の密な布帛組織の場合とは反対に通気性が
低下する。逆に、該布帛が乾燥されると、複合繊維
(A)の捲縮が細かくなり、捲縮部分が複合繊維(A)
の周囲にコンパクトに集束し、布帛組織の空隙が大きく
なり、通気性が高まる。
【0013】以上のようにYタイプの複合繊維(A)と
合成繊維(B)からなる混繊糸を用い、布帛組織の密度
を密にしたり粗にするだけで布帛が吸湿した際、通気性
を大きくしたり小さくしたり自由に設計できる。
【0014】一方、吸湿により捲縮が細かくなるXタイ
プの複合繊維(A)と合成繊維(B)からなる混繊糸を
用いて布帛を形成すると布帛組織の密度の粗密と通気性
変化との関係が前記Yタイプの場合と逆になるだけで、
湿度変化に対する通気性を自由に設計できる。
【0015】かかる複合繊維(A)は、任意の断面形
状、複合形態をとることができる。図2は複合繊維
(A)の横断面を例示したものである。通常は(イ)、
(ロ)のような横断面を有する複合繊維が用いられる
が、取り扱い中にナイロン成分と変性ポリエチレンテレ
フタレート成分とが剥離しやすい場合には、例えば、
(ニ)のような断面を有するものが好適に使用される。
両成分の複合比は任意に選択することができるが、通常
変性ポリエチレンテレフタレートとナイロンの重量比は
30:70〜70:30(好ましくは40:60〜6
0:40)の範囲で用いられる。複合繊維(A)の繊
度、フィラメント数については特に限定されないが、本
発明の異収縮混繊糸を用いて得られる布帛の風合い等を
考慮すると、総繊度30〜200dtex、単糸繊度
1.2〜4.0dtexのマルチフィラメントであるこ
とが好ましい。
【0016】上記の複合繊維(A)は下記に示す方法に
よって容易に得ることができる。即ち、スルホネート基
を含有する変性ポリエチレンテレフタレートとナイロン
とをサイドバイサイド型に複合紡糸し、一旦巻き取るこ
となく連続して100〜150℃で延伸し巻取る。延伸
倍率は最終時に得られる複合繊維の切断伸度が10〜6
0%(通常は20〜45%)となるように、適宜選択す
ればよい。しかる後、かかる延伸された複合繊維を延伸
温度よりも10℃以上低い温度で緊張又は10%以下の
弛緩熱処理を施すことにより、ナイロン成分が捲縮の内
側に位置する捲縮糸(即ちYタイプ)が得られる。ま
た、延伸された複合繊維熱処理する際に延伸温度よりも
高い温度で緊張又は10%以下の弛緩熱処理を施すこと
により、ナイロン成分が捲縮の外側に位置する捲縮糸
(即ちXタイプ)が得られる。なお、延伸された複合繊
維に前記熱処理を施す際、熱処理ヒータの前か後におい
て交絡処理を施してもよい。
【0017】一方、合成繊維(B)は湿度変化に対して
実質的に寸法変化しない合成繊維であれば特に限定され
ず、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アク
リル、パラ型あるいはメタ型アラミド、またはそれらの
変性合成繊維など衣料に適した合成繊維であれば自由に
選択できる。中でも5−ナトリウムスルホイソフタル酸
を共重合させた変性ポリエチレンテレフタレートを選択
すると複合繊維(A)と同じカチオン染料が使用できる
ので特に好ましい。繊維の断面形状も丸断面に限定され
ず、異型断面でもよい。それらの繊維形態も、フィラメント
糸、紡績糸、捲縮糸、エアジェット加工糸、混繊糸、撚
糸、合撚糸など布帛の使用目的に応じ自由に選択でき
る。合成繊維(B)の繊度、フィラメント数についても
特に限定されないが、本発明の異収縮混繊糸を用いて得
られる布帛の風合い等を考慮すると、総繊度20〜15
0dtex、単糸繊度0.04〜4.0dtexのマル
チフィラメントであることが好ましい。
【0018】本発明の異収縮混繊糸は上記複合繊維
(A)と合成繊維(B)からなるものであり、下記
(1)式を満足する必要がある。 (1)70≧DA/(DA+DB)×100≧30 (好ましくは65≧DA/(DA+DB)×100≧4
0) 但し、DAは複合繊維(A)の総繊度(dtex)、DB
は合成繊維(B)の総繊度(dtex)である。
【0019】上記(1)式において、複合繊維(A)の
総繊度が該範囲よりも大きいと、以下の問題が発生し易
くなり好ましくない。即ち、本発明の異収縮混繊糸を用
いて布帛となし、常法による染色加工を施して製品とな
した後において、合成繊維(B)の含有比率が低いた
め、該製品に伸長力等の外力が作用すると製品の耐久性
が低下する恐れがある。一方、上記(1)式において、
複合繊維(A)の総繊度が該範囲よりも小さいと製品中
の複合繊維(A)の含有比率が低いため、通気性の自己
調節機能が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0020】さらに、本発明の異収縮混繊糸は下記
(2)式を満足する必要がある。 (2)15(%)≧SB−SA≧3(%) (好ましくは10(%)≧SB−SA≧4(%)) 但し、SAは複合繊維(A)の熱水収縮率(%)、SB
合成繊維(B)の熱水収縮率(%)である。
【0021】上記(2)式において、SB−SAの値が1
5%よりも大きくなると、本発明の異収縮混繊糸を用い
て布帛となし、常法による染色加工を施して製品となし
た後において、該製品の表面に弛緩して浮いた複合繊維
(A)が多く現れるため、湿度の変化に対する布帛外観
や風合い変化が大きくなり、外観低下の恐れがある。一
方、上記(2)式において、SB−SAの値が3%よりも
小さくなると製品の通気性自己調節機能が低下するため
好ましくない。
【0022】なお、上記の熱水収縮率は常法による製造
方法において適宜製造条件を選択することにより得られ
る。
【0023】図4は、本発明に係る異収縮混繊糸を製造
する装置の一実施態様を例示するもので、該図を用いて
以上に説明した異収縮混繊糸を製造するための好ましい
方法について説明する。
【0024】まず、常法により製造された複合繊維
(A)はプリテンションローラー1で引き出された後、
供給ローラー2と取り出しローラー4との間で緊張また
は弛緩された状態で熱処理ヒーター3で熱セットされ
る。ここで、前述のように該熱セットの際の設定温度に
より、複合繊維(A)はXタイプまたはYタイプとな
る。その後、複合繊維(A)と常法により製造された合
成繊維(B)が引き揃えられ、混繊される。かかる混繊
の方法としてはインターレースノズルを用いるのが一般
的であり交絡数が20〜60ケ/mとなるようインター
レース加工を施すことが好ましい。また、インターレー
スノズルで混繊処理された該混繊糸にさらに撚糸を施し
てもよいが、撚数が多くなると、該混繊糸の嵩高性が撚
りによって締め付けられ、製品の自己調節機能が低下し
てしまうため好ましくない。このため、撚糸を施す場合
は(10000/√Dtex)T/m以内の撚数にとど
めておいた方がよい。
【0025】そして、次の発明は上記の異収縮混繊糸を
少なくとも一部に含む布帛である。該布帛を常法の染色
加工工程に供することにより、染色工程の熱履歴で、本
発明の異収縮混繊糸は熱水収縮率の大きい合成繊維
(B)が芯部に、熱水収縮率の小さい複合繊維(A)が
鞘部に位置する芯鞘型2層構造糸となる。ここで、上記
布帛の構造としては、織物または編物であることが好ま
しく、また、上記異収縮混繊糸を30wt%以上(より
好ましくは40wt%以上)含んでいると本発明の主目
的である通気性の自己調節機能が充分得られ、好まし
い。布帛の組織、密度は特に限定されず、布帛の用途に
応じて適宜選択される。
【0026】かかる布帛は、周囲の湿度が変化すると芯
鞘型複合糸の芯部で該布帛の寸法形状を維持しつつ、芯
鞘型複合糸の鞘部が捲縮を自己調節する。その結果、布
帛の空隙率が変化する。本発明に係る通気性自己調節布
帛はかかる作用により通気性の自己調節機能を有する。
【0027】
【実施例】次に本発明の実施例及び比較例を詳述する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。 <熱水収縮率>試料を1.125mの検尺機を用いて、
10回のカセを作り、0.0177cN/dtex
(0.02g/de)の荷重をカセにかけてカセ長L 0
を測り、次に荷重をはずして、98℃の温水中に30分
浸漬した後、取り出し、和紙で水分を切り水平状態で自
然乾燥し、再び前記荷重をかけてカセ長L1を測り、次
式により熱水収縮率(%)を算出した。 熱水収縮率(%)=((L0−L1)/L0)×100 <極限粘度>O−クロロフェノールを溶媒とし、25℃
で求めた。 <通気度>カトーテック(株)製KES−F8−AP1通
気性試験機を使用し、通気抵抗を測定し、通気性の代用
特性とした。 <蒸れ感>試験者3名により、28℃60%RH、風速
14m/secの雰囲気内でマシンによる30分間の歩
行を行った後、蒸れ感を官能評価した。
【0028】[実施例1]極限粘度[η]が1.1のナ
イロン6と極限粘度[η]が0.5であり、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合させた変
性ポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸温度2
85℃、紡糸速度1000m/min、延伸倍率2.7
倍、熱セット温度140℃、巻取速度2700m/mi
nで紡糸直接延伸して図2(イ)に示すような断面形状
を有し、変性ポリエチレンテレフタレートとナイロン6
との重量比が50:50でサイドバイサイド型に接合さ
れた、83dtex/24filの複合繊維(A)を得
た。
【0029】一方、常法の製造方法でポリエチレンテレ
フタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2.
6モル%共重合させ、熱水収縮率が15%で56dte
x/24filの合成繊維(B)を得た。
【0030】次いで該複合繊維(A)を図4に示す熱処
理ヒーター3を用いて120℃で1%弛緩して熱処理を
施し熱水収縮率を6.8%とした後、複合繊維(A)と
合成繊維(B)を引き揃え、引き続きインターレースノ
ズル5で交絡数37ケ/mのインターレース加工を施
し、異収縮混繊糸を得た。
【0031】次いで、該異収縮混繊糸を全量用いて天竺
編物を編成し、高圧120℃で十分揉み効果を付与して
複合繊維(A)の捲縮を促進させると同時に合成繊維
(B)を熱収縮させた後、常法の乾熱180℃によるプ
レセット、高圧120℃による染色、乾熱160℃によ
る仕上げセットを施し、仕上げ密度が50コース/2.
54cm、43ウエール/2.54cmの製品を得た。
かかる製品から複合繊維(A)を抜き出し、捲縮構造を
観測したところ、捲縮の内側にナイロン成分が位置する
(Yタイプ)捲縮構造であった。
【0032】次いで、該製品について乾燥雰囲気下(2
5℃、30%RH)平衡時を基準として高湿度雰囲気下
(25℃、95%RH)における通気性と寸法の変化率
を測定した。結果を表1に示す。なお、20分経過後の
データを平衡時のデータとした。
【0033】[比較例1]実施例1で用いた複合繊維
(A)の代わりに同様の総繊度、フィラメント数、捲縮
率の仮撚加工が施されたポリエチレンテレフタレート繊
維を用い、それ以外は実施例1と同じ条件で編物を編成
し、続いて実施例1と同じ条件で染色加工を施して、仕
上げ密度が50コース/2.54cm、43ウエール/
2.54cmの製品を得た。
【0034】次いで、該製品について乾燥雰囲気下(2
5℃、30%RH)平衡時を基準として高湿度雰囲気下
(25℃、95%RH)における通気性と寸法の変化率
を測定した。結果を表1に示す。なお、20分経過後の
データを平衡時のデータとした。
【0035】
【表1】
【0036】実施例1の編地は、雰囲気が乾燥状態から
高湿度状態に変化すると複合繊維(A)の捲縮形態が粗
くなって、編組織内の空隙率が大きくなることにより、
通気性が高くなった。逆に雰囲気が高湿度状態から乾燥
状態に戻ると複合繊維(A)の捲縮形態が細かくなり、
編組織内の空隙率が小さくなることにより、通気性も低
くなることが判明した。また、このように複合繊維の捲
縮形態が乾燥雰囲気と高湿度雰囲気とで大きく変化して
いるにもかかわらず、編地の寸法変化は高々1.3%と
小さいものであった。
【0037】一方、比較例1の編地は、雰囲気が乾燥状
態から高湿度状態に変化しても、捲縮の形態が変わら
ず、通気性はほとんど変化しなかった。
【0038】次いで、実施例1の編地と比較例1の編地
を用いてTシャツを試作し、試験者3名で、蒸れ感の官
能評価を行ったところ、試験者3名とも、実施例1の編
地によるものの方が比較例1の編地によるものよりも蒸
れ感が少なく快適であるという評価で一致した。
【0039】なお、実施例1の編地と比較例1の編地と
も、汗等で吸湿した状態において、Tシャツの寸法変化
や、しわ、しぼ等の外観変化は特に認められなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、運動などをして衣服内
の湿度が高くなると、その湿度変化を自己感知し、通気
性を自己調節する機能を有した、着用快適性に優れた布
帛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異収縮混繊糸において、合成繊維
(B)が熱収縮した後の混繊状態を模式的に示す模式図
である。
【図2】本発明で用いられる複合繊維の横断面を例示し
た模式図である。
【図3】本発明で用いられる複合繊維の、捲縮発現後に
おける湾曲構造の形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る異収縮混繊糸を製造するための一
工程を示す概略図である。
【符号の説明】
P 変性ポリエチレンテレフタレート N ナイロン (A)複合繊維(A) (B)合成繊維(B) 1 プレテンションローラ 2 供給ローラ 3 熱処理ヒータ 4 取り出しローラ 5 インターレースノズル 6 巻取り装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪井 誠治 東京都千代田区内幸町2丁目1番1号 帝 人株式会社内 Fターム(参考) 4L002 AA06 AA07 AB04 AB05 AC02 BA01 DA00 DA01 EA01 EA02 FA01 4L036 MA05 MA17 MA33 MA39 PA01 PA03 PA33 RA03 4L048 AA20 AA24 AA30 AA34 AA47 AA50 AA54 AB08 AB09 AB11 AC00 AC15 CA07 CA11 DA01 EB05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホネート基を含有する変性ポリエチ
    レンテレフタレートとナイロンとがサイドバイサイド型
    に接合された複合繊維(A)と該複合繊維(A)よりも
    高い熱水収縮率を有する合成繊維(B)からなり、かつ
    下記(1)式及び(2)式を同時に満足することを特徴
    とする異収縮混繊糸。 (1)70≧DA/(DA+DB)×100≧30 但し、DAは複合繊維(A)の総繊度(dtex)、DB
    は合成繊維(B)の総繊度(dtex)である。 (2)15(%)≧SB−SA≧3(%) 但し、SAは複合繊維(A)の熱水収縮率(%)、SB
    合成繊維(B)の熱水収縮率(%)である。
  2. 【請求項2】 前記のスルホネート基を含有する変性ポ
    リエチレンテレフタレートが5−ナトリウムスルホイソ
    フタル酸成分を1〜7モル%共重合した変性ポリエチレ
    ンテレフタレートである請求項1記載の異収縮混繊糸。
  3. 【請求項3】 前記の合成繊維(B)が5−ナトリウム
    スルホイソフタル酸成分を共重合した変性ポリエチレン
    テレフタレートである請求項1または請求項2に記載の
    異収縮混繊糸。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の異収縮
    混繊糸を少なくとも一部に用いた通気性自己調節布帛。
JP2001227334A 2001-07-27 2001-07-27 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛 Pending JP2003041444A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001227334A JP2003041444A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001227334A JP2003041444A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003041444A true JP2003041444A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19060013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001227334A Pending JP2003041444A (ja) 2001-07-27 2001-07-27 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003041444A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007102522A1 (ja) 2006-03-01 2007-09-13 Teijin Fibers Limited 複合繊維含有糸条
US7820571B2 (en) * 2004-06-01 2010-10-26 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Woven or knitted fabric exhibiting reversibly changeable air permeability
JP2015525312A (ja) * 2012-06-22 2015-09-03 ナイキ イノベイト シーブイ 環境応答性の繊維及び衣服

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7820571B2 (en) * 2004-06-01 2010-10-26 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Woven or knitted fabric exhibiting reversibly changeable air permeability
WO2007102522A1 (ja) 2006-03-01 2007-09-13 Teijin Fibers Limited 複合繊維含有糸条
US8153253B2 (en) 2006-03-01 2012-04-10 Teijin Fibers Limited Conjugate fiber-containing yarn
JP2015525312A (ja) * 2012-06-22 2015-09-03 ナイキ イノベイト シーブイ 環境応答性の繊維及び衣服

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003041462A (ja) 通気性自己調節織編物
JP5584297B2 (ja) 多層構造布帛および繊維製品
JP2004124348A (ja) 複合織編物
JP2006214056A (ja) 織物
JP3545749B2 (ja) 梳毛調布帛及びその製造方法
JP2003082543A (ja) 複合仮撚糸およびその製造方法および通気性自己調節布帛
JP2021183732A (ja) ポリエステル仮撚糸および編織物
JP4155853B2 (ja) 織編物
JP2005105420A (ja) スポーツ衣料
JP2007270358A (ja) 着用快適性に優れる厚地織物およびデニム商品
JP2003041444A (ja) 異収縮混繊糸及び通気性自己調節布帛
JP2005206994A (ja) 裏材
JP2001303375A (ja) 複合弾性糸及びその製造方法
JPH0881854A (ja) 織物の製造方法
JP2004124316A (ja) 着用快適性に優れた布帛
JP3972631B2 (ja) ポリエステル系複合仮撚加工糸およびその製造方法
JP3465640B2 (ja) 長短複合紡績糸および織物
JP4070849B2 (ja) 嵩高軽量ポリエステル繊維織物
JP2002194634A (ja) ポリエステル複合糸の製造方法および布帛の製造方法
JP2004183193A (ja) 織物
JP4217517B2 (ja) 織編物
JP2700022B2 (ja) ポリエステルマルチフィラメント糸条
JP2003278039A (ja) ポリエステル複合仮撚糸
JP3447866B2 (ja) 軽量ウォーム感に優れたポリエステル多層構造糸
JPH0754240A (ja) 制電性編織物

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040818

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090224

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090623