JP2001321717A - 機能性膜の製造方法 - Google Patents

機能性膜の製造方法

Info

Publication number
JP2001321717A
JP2001321717A JP2000147321A JP2000147321A JP2001321717A JP 2001321717 A JP2001321717 A JP 2001321717A JP 2000147321 A JP2000147321 A JP 2000147321A JP 2000147321 A JP2000147321 A JP 2000147321A JP 2001321717 A JP2001321717 A JP 2001321717A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
fine particles
functional
conductive
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000147321A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4639430B2 (ja
Inventor
Tadayoshi Iijima
忠良 飯島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2000147321A priority Critical patent/JP4639430B2/ja
Publication of JP2001321717A publication Critical patent/JP2001321717A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4639430B2 publication Critical patent/JP4639430B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布法による各機能を発現し得る機能性膜の
製造方法を提供する。特に、機能層を塗布形成するにあ
たり、塗布しやすくかつ優れた機能特性が発現できる塗
料を提供する。 【解決手段】 機能性微粒子を分散液に分散した塗料を
支持体上に塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成
し、しかる後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能
性微粒子の圧縮層を形成する機能性膜の製造方法であっ
て、前記機能性微粒子を分散するための分散液が、水と
可溶な液体を実質的な主成分として含んでなるように構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性膜の製造方
法に関する。本発明において機能性膜とは、物理的及び
/又は化学的現象を通じて機能する膜のこといい、具体
的には、導電膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電
体膜、エレクトロクロミック膜、エレクトロルミネッセ
ンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸収膜、反射膜、反
射防止膜、触媒膜、光触媒膜等の各種の機能を有する膜
が含まれる。
【0002】これらの中で、例えば、透明導電膜は、エ
レクトロルミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミ
ック素子電極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネル
のような透明電極として用いることができるほか、透明
な電磁波遮蔽膜として用いることができる。
【0003】
【従来の技術】従来より、各種の機能性材料からなる機
能性膜は、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタ
リング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法
(PVD)や、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等
の化学的気相成長法(CVD)によって製造されてい
る。これらは、一般に大掛かりな装置が必要であり、中
には大面積の膜の形成には不向きなものもある。
【0004】また、ゾル−ゲル法を用いた塗布による膜
の形成も知られている。ゾル−ゲル法では、大面積の膜
の形成にも適するが、多くの場合、塗布後に高温で無機
材料を焼結させる必要がある。
【0005】例えば、透明導電膜について見れば以下の
通りである。現在、透明導電膜は主にスパッタリング法
によって製造されている。スパタッリング法は種々の方
式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で
発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突
させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、
基板表面に沈着させ膜を形成する方法である。
【0006】スパッタリング法は、ある程度大きな面積
のものでも、表面電気抵抗の低い導電膜を形成できる点
で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅
いという欠点がある。今後さらに導電膜の大面積化が進
められると、さらに装置が大きくなる。このことは、技
術的には制御の精度を高めなくてはならないなどの問題
が発生し、別の観点では製造コストが大きくなるという
問題が発生する。また、成膜速度の遅さを補うためにタ
ーゲット数を増やして速度を上げているが、これも装置
を大きくする要因となっており問題である。
【0007】塗布法による透明導電膜の製造も試みられ
ている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー
溶液中に分散された導電性塗料を基板上に塗布して、乾
燥し、硬化させ、導電膜を形成する。塗布法では、大面
積の導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性
が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電膜を製
造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子
同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発
現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導
電膜は接触が不十分で、得られる導電膜の電気抵抗値が
高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限
られてしまう。
【0008】従来の塗布法による透明導電膜の製造とし
て、例えば、特開平9−109259号公報には、導電
性粉末とバインダー樹脂とからなる塗料を転写用プラス
チックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第
1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/
cm2)、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、
この導電層をプラスチックフィルムもしくはシート上に
積層し、熱圧着させる第3工程からなる製造方法が開示
されている。
【0009】この方法では、バインダー樹脂を大量に用
いている(無機質導電性粉末の場合には、バインダー1
00重量部に対して、導電性粉末100〜500重量
部、有機質導電性粉末の場合には、バインダー100重
量部に対して、導電性粉末0.1〜30重量部)ため、
電気抵抗値の低い透明導電膜は得られない。
【0010】例えば、特開平8−199096号公報に
は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カ
ップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩からな
る、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガラス板
に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が開示さ
れている。この方法では、バインダーを用いていないの
で、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかし、300℃
以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、樹脂フ
ィルムのような支持体上に導電膜を形成することは困難
である。すなわち、樹脂フィルムは高温によって、溶融
したり、炭化したり、燃焼してしまう。樹脂フィルムの
種類によるが、例えばポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルムでは130℃の温度が限界であろう。
【0011】塗布法以外のものとしては、特開平6−1
3785号公報に、導電性物質(金属又は合金)粉体よ
り構成された骨格構造の空隙の少なくとも一部、好まし
くは空隙の全部に樹脂が充填された粉体圧縮層と、その
下側の樹脂層とからなる導電性皮膜が開示されている。
その製法について、板材に皮膜を形成する場合を例にと
り説明する。同号公報によれば、まず、樹脂、粉体物質
(金属又は合金)及び被処理部材である板材を皮膜形成
媒体(直径数mmのスチールボール)とともに容器内で
振動又は攪拌すると、被処理部材表面に樹脂層が形成さ
れる。続いて、粉体物質がこの樹脂層の粘着力により樹
脂層に捕捉・固定される。更に振動又は攪拌を受けてい
る皮膜形成媒体が、振動又は攪拌を受けている粉体物質
に打撃力を与え、粉体圧縮層が作られる。粉体圧縮層の
固定効果を得るために、かなりの量の樹脂が必要とされ
る。また、製法は塗布法に比べ、煩雑である。
【0012】塗布法以外のものとしては、特開平9−1
07195号公報に、導電性短繊維をPVCなどのフィ
ルム上にふりかけて堆積させ、これを加圧処理して、導
電性繊維−樹脂一体化層を形成する方法が開示されてい
る。導電性短繊維とは、ポリエチレンテレフタレートな
どの短繊維にニッケルメッキなどを被着処理したもので
ある。加圧操作は、樹脂マトリックス層が熱可塑性を示
す温度条件下で行うことが好ましく、175℃、20k
g/cm2という高温・低圧条件が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このような背景から、
大面積の機能性膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で
生産性が高く、低コストで機能性膜を製造できるという
塗布法の利点を生かしつつ、各種機能を発現し得る機能
性膜が得られる方法の開発が望まれる。
【0014】とりわけ導電膜については、大面積の導電
膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、
低コストで導電膜を製造できるという塗布法の利点を生
かしつつ、電気抵抗値の低い透明導電膜が得られる方法
の開発が望まれる。
【0015】そこで、本発明の目的は、塗布法による各
種機能を発現し得る機能性膜を得るための製造方法を提
供することにある。
【0016】とりわけ本発明の目的は、塗布法による抵
抗値の低い透明導電膜が得られる製造方法を提供するこ
とにある。さらには、高温の加熱操作を必要とせず膜を
形成でき、均質で厚みむらのない膜が得られる透明導電
膜の製造方法、膜の大面積化にも対応できる透明導電膜
の製造方法を提供することにある。
【0017】さらに、機能層を塗布・形成するにあたり
塗布しやすい機能性微粒子の分散液を提供して良好な機
能性膜を得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】従来、塗布法において、
バインダー樹脂を大量に用いなければ機能性膜を成膜で
きず、あるいは、バインダー樹脂を用いない場合には、
機能性物質を高温で焼結させなければ機能性膜が得られ
ないと考えられていた。
【0019】導電膜について見れば、バインダー樹脂を
大量に用いなければ導電膜を成膜できず、あるいは、バ
インダー樹脂を用いない場合には、導電性物質を高温で
焼結させなければ導電膜が得られないと考えられてい
た。
【0020】ところが、本発明者は鋭意検討した結果、
驚くべきことに、大量のバインダー樹脂を用いることな
く、かつ高温で焼成することもなく、圧縮によって機械
的強度を有し且つ各種の機能を発現し得る機能性膜が得
られることを見いだし、本発明に到達した。本発明者
は、導電性物質を用いると、抵抗値の低い透明導電膜が
得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0021】また、機能層を塗布・形成するにあたり良
好な機能性膜を得るためには、機能性微粒子の分散液の
選定が重要であることも実験的にわかってきた。
【0022】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであり、本発明は、機能性微粒子を分散液に分散
した塗料を支持体上に塗布、乾燥し、機能性微粒子含有
層を形成し、しかる後、前記機能性微粒子含有層を圧縮
し、機能性微粒子の圧縮層を形成する機能性膜の製造方
法であって、前記機能性微粒子を分散するための分散液
が、水と可溶な液体を実質的な主成分として含んでなる
ように構成される。
【0023】本発明の好ましい態様として、前記水と可
溶な液体が、メチルアルコール、エチルアルコールであ
る。
【0024】本発明の好ましい態様として、前記水と可
溶な液体が、N−メチルピロリドン(NMP)である。
【0025】本発明の好ましい態様として、前記機能性
微粒子の圧縮層は、44N/mm2以上の圧縮力で圧縮
されることにより形成される。
【0026】本発明の好ましい態様として、圧縮が常温
で行なわれるように構成される。
【0027】本発明の好ましい態様として、圧縮がロー
ルプレス機によりなされるように構成される。
【0028】本発明の好ましい態様として、前記機能性
微粒子が無機微粒子として構成される。
【0029】本発明の好ましい態様として、機能性膜
が、導電膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体
膜、エレクトロクロミック膜、エレクトロルミネッセン
ス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸収膜、反射膜、反射
防止膜、触媒膜及び光触媒膜から選ばれる膜として構成
される。
【0030】本発明の好ましい態様として、前記機能性
微粒子が導電性微粒子であり、導電膜としての機能を有
するように構成される。
【0031】本発明の好ましい態様として、前記導電性
微粒子が、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カ
ドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素
ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(I
TO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)から
なる群から選ばれる導電性無機微粒子であるように構成
される。
【0032】本発明の好ましい態様として、前記支持体
が樹脂製フィルムから構成される。
【0033】本発明の好ましい態様として、前記機能性
微粒子を分散液に分散した塗料が樹脂を含有していない
ように構成される。
【0034】本発明の好ましい態様として、前記機能性
微粒子を分散液に分散した塗料が樹脂を含有しており、
その樹脂含有量が、分散前の体積で表して、前記導電性
微粒子の体積を100としたとき、25未満となるよう
に構成される。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明において、機能性膜には、
特に限定されることなく、導電膜、磁性膜、強磁性膜、
誘電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック膜、エレ
クトロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸
収膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜等の各種
の機能を有する膜が含まれる。従って、本発明におい
て、前記目的とする膜を構成すべき機能性微粒子が用い
られる。
【0036】機能性微粒子は、特に限定されることな
く、凝集力を有する主として無機の微粒子が用いられ
る。いずれの機能性膜の製造においても、本発明の方法
を適用することにより、十分な機械的強度を有する機能
性塗膜が得られると共に、バインダー樹脂を大量に用い
ていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害
を解消することができる。その結果、目的とする機能が
より向上する。
【0037】例えば、透明導電膜の製造においては、酸
化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、ア
ンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫
(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アル
ミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒
子が用いられる。あるいは、有機質の導電性微粒子が用
いられてもよい。本製造方法の適用によって、優れた導
電性が得られる。
【0038】強磁性膜の製造においては、γ−Fe
23、Fe34、Co−FeOx、Baフェライト等の
酸化鉄系磁性粉末や、α−Fe、Fe−Co、Fe−N
i、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金
属元素を主成分とする強磁性合金粉末等が用いられる。
本製造方法の適用によって、磁性塗膜の飽和磁束密度が
向上する。
【0039】誘電体膜や強誘電体膜の製造においては、
チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン
酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン
酸鉛系(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタ
ン酸ジルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム
系、鉛含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強
誘電体の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によっ
て、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上が得られ
る。
【0040】各種機能を発現する金属酸化物膜の製造に
おいては、酸化鉄(Fe23)、酸化ケイ素(Si
2)、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化チタン
(TiO2)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タングステ
ン(WO3)等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本
製造方法の適用によって、膜における金属酸化物の充填
度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒を担
持させたSiO2、Al23を用いた場合には、実用強
度を有する多孔質触媒膜が得られる。TiO2を用いた
場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、WO3
を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子での
発色作用の向上が得られる。
【0041】また、エレクトロルミネッセンス膜の製造
においては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。
本製造方法の適用によって、塗布法による安価なエレク
トロルミネッセンス膜の製造を行うことができる。
【0042】本発明において、目的に応じて、上記各種
の機能性微粒子から選ばれる機能性微粒子を分散液に分
散した塗料(ここでは機能性膜の源となるため「機能性
塗料」と称す)として用いる。この機能性塗料を支持体
上に塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成する。そ
の後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能性微粒子
の圧縮層を形成して、機能性膜を得る。
【0043】本発明においては、導電性微粒子などの機
能性微粒子を分散するための分散液として、水と可溶な
液体を実質的な主成分として用いる。具体的には、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のア
ルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチ
ルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミ
ド等のアミド類が挙げられる。これらのなかでも、エタ
ノール、NMP、メタノール等が特に好ましい。これら
は混合して用いてもよい。これらは、極性を有する液体
であり、水に可溶性、すなわち、水と親和性のあるもの
は、特に分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好
適である。特に、水とあらゆる比率で均一に混合するも
のが好ましい。以下、更に詳述する。
【0044】機能性微粒子が無機物であるときには、そ
の表面は、親水性になっている。メタノール、エタノー
ルやNMPのような水に溶解する液体は、親水性の表面
を持つ微粒子との親和性が高い。このため、分散性が良
好となる。従来法における機能層の形成は多量の結合材
樹脂を用いていた。樹脂の種類によっては必ずしも水に
溶解する液体(分散液)に対する樹脂の溶解性がよいと
は限らない。むしろ水に溶解する液体(分散液)に溶解
する樹脂の方がその種類が限られており、場合によって
は微粒子との親和性の悪い液体を使わざるを得ない。ま
た、その場合、微粒子の分散性を上げるために分散剤を
添加することも多く、結果として得られる機能性膜中に
は本来の機能にとって不要な樹脂や分散剤を含むことと
なる。本発明では、後述するように機能性微粒子含有層
を圧縮することで機能層としての圧縮層を形成する。本
発明のごとく上記所定の分散液を用いることにより結合
材樹脂を含まなくても機能層を形成することができる。
つまり、微粒子を分散させる分散液を選ぶときに樹脂を
考慮しなくてもよい。また、本発明では樹脂を用いた場
合ものでも効果がある。この場合、樹脂により使用でき
る液体(分散液)が制限される。つまり、水に溶解する
ことができる液体を分散液とし、樹脂がこの分散液に溶
解することが求められる。
【0045】水に溶解しない液体を分散溶媒とすると、
機能性微粒子の分散が不十分となる。まず、微粒子の凝
集があまりほぐれない。微粒子を分散した液は、液体が
上澄みとなる。このため、塗布がしづらくなる。透明導
電膜を例にとると、この分散液を塗布し、乾燥し、圧縮
したものは、いわゆるヘイズが悪くなってしまう。電気
抵抗も理由はよくわからないが高くなってしまう。これ
は、分散液を塗布し乾燥した時に、微粒子が凝集した部
分と液体が多い部分ができてしまい、塗膜を圧縮しても
微粒子に電気経路の形成がうまくいかないためと考えら
れる。
【0046】上記本発明で用いられる分散液中の所定の
液体は、単独でも2種以上の混合したものでも使用する
ことができる。
【0047】これらの分散液としての水と可溶な液体
は、前記微粒子100重量部に対して、液体100〜1
00000重量部、特に、200〜20000重量部と
するのがよい。
【0048】前記微粒子の液体中への分散は、公知の分
散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダー
ミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集
をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用い
ることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物
の混入が起こらないように注意する。
【0049】前記微粒子の分散液は、樹脂を含まないこ
とが好ましい。すなわち、樹脂量=0であることが好ま
しい。導電膜においては、樹脂を用いなければ、樹脂に
よって導電性微粒子同士の接触が阻害されることがな
い。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、
得られる導電膜の電気抵抗値が低い。導電性を損なわな
い程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、
その量は、従来技術におけるバインダー樹脂としての使
用量に比べると少ない。例えば、分散液中における樹脂
の含有量の上限は、分散前の体積で表して、前記導電性
微粒子の体積を100としたとき、25未満、より好ま
しくは、20未満、最も好ましいのは零である。従来技
術においては、強い圧縮を行わないので、塗膜の機械的
強度を得るためにバインダーを多く用いなければならな
かった。バインダーとしての役割を果たす程度の量の樹
脂を用いると、導電性微粒子同士の接触がバインダーに
より阻害され、微粒子間の電子移動が阻害され導電性が
低下する。
【0050】WO3微粒子やTiO2微粒子などを用いた
機能性膜においても、樹脂を用いなければ、樹脂によっ
て各微粒子同士の接触が阻害されることがないため、各
機能の向上が図られる。微粒子間の接触が阻害されず各
機能を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも
可能であるが、その量は、上述の範囲内である。
【0051】Al23微粒子などを用いた触媒膜におい
ては、樹脂を用いなければ、樹脂によって触媒機能を有
する微粒子の表面が覆われることがない。このため、触
媒としての機能の向上が図られる。触媒膜においては、
膜の内部に空隙が多い方が、触媒としての活性点が多く
なるので、この観点からもなるべく樹脂を用いないこと
が好ましい。
【0052】このように機能性膜には樹脂を用いないこ
とが好ましく、用いるとしても少量が好ましい。用いる
場合の樹脂量は、機能性膜の目的に応じて、ある程度変
化し得るので、適宜決定するとよい。
【0053】前記微粒子の分散液(分散液)には、導電
性や触媒作用などの各機能に要求される性能を満たす範
囲内で、各種の添加剤を配合してもよい。例えば、紫外
線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤である。
【0054】塗設の対象となる支持体は、特に限定され
ることなく、樹脂フィルム、ガラス、セラミックス、金
属、布、紙等の各種のものを用いることができる。しか
しながら、ガラス、セラミックス等では、後工程の圧縮
の際に割れる可能性が高いので、その点を考慮する必要
がある。また、支持体の形状は、フィルム状の他、箔
状、メッシュ状、織物等が使用可能である。
【0055】好適な支持体としては、圧縮工程の圧縮力
を大きくしても割れることがない樹脂フィルムが挙げら
れる。樹脂フィルムは、次に述べるように、導電性微粒
子などの機能性微粒子層の該フィルムへの密着性が良い
点でも好ましく、また軽量化を求められている用途にも
好適である。本発明では、高温での加圧工程や、焼成工
程がないので、樹脂フィルムを支持体として用いること
ができる。
【0056】樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィル
ム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン
フィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィル
ム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アートン
など)等が挙げられる。
【0057】PETフィルムのような樹脂フィルムで
は、乾燥後の圧縮工程の際に、PETフィルムに接して
いる導電性微粒子などの機能性微粒子の一部分がPET
フィルムに埋め込まれるような感じとなり、この微粒子
層がPETフィルムに良く密着される。ガラスなどの硬
いものや、樹脂フィルムであってもフィルム表面が硬い
ものでは、微粒子が埋め込まれないため微粒子層と支持
体の密着性がとれない。その場合は、ガラス面や、硬い
フィルム表面上に柔らかい樹脂層を予め形成しておき、
微粒子を塗布、乾燥、圧縮することが好ましい。圧縮後
に、柔らかい樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよ
い。
【0058】柔らかい樹脂層は、微粒子を分散した液に
溶解しないものの方がよい。導電膜においては、前記樹
脂層が溶解すると毛管現象で、前記樹脂を含む溶液が導
電性微粒子の周りにきてしまい、結果として、得られる
導電膜の電気抵抗値が上昇する。触媒膜においても、毛
管現象で、前記樹脂を含む溶液が触媒機能を有する微粒
子の周りにきてしまい、触媒機能が低下する。
【0059】また、支持体として硬い金属を用いた場
合、微粒子層と支持体の密着性が悪いので、支持体金属
の表面を樹脂で処理するか、柔らかい金属(合金でもよ
い)とすればよい。
【0060】前記微粒子の分散液(塗料)を前記支持体
上に塗布、乾燥し、導電性微粒子含有層などの機能性微
粒子含有層を形成する。前記支持体上への前記微粒子分
散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法に
より行うことができる。例えば、リバースロール法、ダ
イレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストル
ージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バ
ーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法な
どの塗布法によって行うことができる。また、噴霧、吹
き付けなどにより、支持体上へ分散液を付着させること
も可能である。
【0061】乾燥温度は分散に用いた液体の種類による
が、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空
気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると
樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不
純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0062】塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層などの
機能性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や最終
導電膜などの各機能性膜の用途にもよるが、0.1〜1
0μm程度とすればよい。
【0063】このように、導電性微粒子などの機能性微
粒子を分散液に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な
膜を作成しやすい。前記微粒子の分散液を塗布して乾燥
させると、分散液中にバインダーが存在しなくても微粒
子は膜を形成する。バインダーが存在しなくても膜とな
る理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて液が少な
くなってくると毛管力のため、微粒子が互いに集まって
くる。さらに微粒子であるということは比表面積が大き
く凝集力も強いので、膜となるものと考えられる。しか
し、この段階での膜の強度は弱い。また、導電膜におい
ては抵抗値が高く、抵抗値のばらつきも大きい。
【0064】そこで次の工程で、形成された導電性微粒
子含有層などの機能性微粒子含有層を圧縮し、導電性微
粒子などの機能性微粒子の圧縮層を得る。圧縮すること
により、膜の強度を向上させる。すなわち、圧縮するこ
とで導電性微粒子などの機能性微粒子相互間の接触点が
増え接触面が増加する。このため、塗膜強度が上がる。
微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮すること
で強固な膜となる。
【0065】導電膜においては、塗膜強度が上がると共
に、電気抵抗が低下する。また、触媒膜においては、塗
膜強度が上がると共に、樹脂を用いないか又は樹脂量が
少ないために多孔質膜となる。そのため、より高い触媒
機能が得られる。他の機能性膜においても、微粒子同士
がつながった高い強度の膜とすることができる共に、樹
脂を用いないか又は樹脂量が少ないので、単位体積にお
ける微粒子の充填量が多くなる。そのため、より高いそ
れぞれの機能が得られる。
【0066】圧縮層を形成させるための圧縮は、44N
/mm2以上の圧縮力で行うことが好ましい。44N/
mm2未満の低圧であれば、導電性微粒子含有層を十分
に圧縮することができず、導電性に優れた導電膜が得ら
れにくい。特に、135N/mm2以上の圧縮力がより
好ましく、更に180N/mm2以上の圧縮力が好まし
い。圧縮力が高いほど、塗膜強度が向上し、支持体との
密着性が向上する。導電膜においては、より導電性に優
れた膜が得られ、また、導電膜の強度が向上し、導電膜
と支持体との密着性も強固となる。圧縮力を高くするほ
ど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1
000N/mm2までの圧縮力が上限として適当であ
る。また、圧縮は常温(15〜40℃)付近の温度で行
うことが好ましい。常温付近の温度における圧縮操作
は、本発明の利点の一つである。
【0067】圧縮のための手段は、特に限定されること
なく、シートプレス、ロールプレス等により行うことが
できるが、ロールプレス機を用いて行うことが好まし
い。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべき
フィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法であ
る。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、また、ロー
ルトゥーロールで生産できることから生産性が上がり好
適である。
【0068】ロールプレス機のロール温度は常温が好ま
しい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホット
プレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸
びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で支持体の樹
脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱く
すると、塗膜の機械的強度が低下する。導電膜において
は、塗膜の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。
微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたいとい
うような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下げる
ために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲はフ
ィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一般に
はガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲とな
る。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度
より少し高めの温度にすればよい。ロールプレス機で連
続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇しない
ように温度調節することも好ましい。
【0069】なお、ガラス転移温度は、動的粘弾性を測
定して求められ、主分散の力学的損失がピークとなる温
度を指す。例えば、PETフィルムについてみると、そ
のガラス転移温度はおよそ110℃前後である。
【0070】支持体が金属製であれば、この金属が溶融
しない温度範囲まで、加温した雰囲気にすることも可能
である。
【0071】ロールプレス機のロールは、強い圧力がか
けられることから金属ロールが好適である。また、ロー
ル表面が柔らいと、圧縮時に微粒子がロールに転写する
ことがあるので、ロール表面を硬質膜で処理することが
好ましい。
【0072】このようにして、導電性微粒子などの機能
性微粒子の圧縮層が形成される。導電性微粒子などの機
能性微粒子圧縮層の膜厚は、用途にもよるが、0.1〜
10μm程度とすればよい。また、10μm程度の厚い
圧縮層を得るために、微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧
縮の一連の操作を繰り返し行っても良い。さらに、本発
明において、支持体の両面に導電膜などの各機能性膜を
形成することも勿論可能である。このようにして得られ
る透明導電膜などの各機能性膜は、優れた導電性や触媒
作用などの各機能性を示し、バインダー樹脂を用いない
か又はバインダーとしては機能しない程の少量の樹脂を
用いて作成したにもかかわらず、実用上十分な膜強度を
有し、支持体との密着性にも優れる。
【0073】次に、本発明を透明導電膜に適用した例に
ついて説明する。
【0074】本発明において、導電性微粒子を上記の分
散液に分散した塗料を導電性塗料として用いる。この導
電性塗料を支持体上に塗布、乾燥し、導電性微粒子含有
層を形成する。その後、前記導電性微粒子含有層を圧縮
し、導電性微粒子の圧縮層を形成して、導電膜を得る。
透明導電膜における導電性微粒子としては、導電膜の透
明性を大きく損なうものでなければ特に限定されること
なく、無機質の導電性微粒子が用いられる。あるいは、
有機質の導電性微粒子が用いられる場合もある。
【0075】本発明において、透明とは可視光を透過す
ることを意味する。光の散乱度合いについては、導電膜
の用途により要求されるレベルが異なる。本発明では、
一般に半透明といわれるような散乱のあるものも含まれ
る。
【0076】無機質の導電性微粒子としては、酸化錫、
酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム等があり、
アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化
錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、ア
ルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の微粒子が好ま
しい。更にITOがより優れた導電性が得られる点で好
ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸
バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティン
グしたものを用いることもできる。これら微粒子の粒子
径は、導電膜の用途に応じて必要とされる散乱の度合い
により異なり、また、粒子の形状により一概には言えな
いが、一般に10μm以下であり、1.0μm以下が好
ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0077】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。
【0078】下記実施例I−1〜I−2及び比較例I−
1は、CRT電磁波遮蔽用途の透明導電膜を得るため
に、導電性微粒子としてアンチモンドープ酸化錫(AT
O)微粒子を用いた例である。
【0079】[実施例I−1]一次粒径が10〜30n
mのアンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子(SN−
100P:石原産業(株)製)100重量部にエタノー
ル400重量部を加え、メディアをジルコニアビーズと
して分散機にて分散した。
【0080】得られた塗液を100μm厚のPETフィ
ルム上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風
を送って乾燥した。得られたフィルムを、以降におい
て、圧縮前ATOフィルムと称する。ATO含有塗膜の
厚みは3.4μmであった。
【0081】まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を
行った。一対の直径140mmの金属ロール(ロール表
面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備える
ロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記
ロールの加熱を行わないで、室温(23℃)にて前記圧
縮前ATOフィルムを挟み圧縮した。この時、フィルム
幅方向の単位長さ当たりの圧力は660N/mmであっ
た。次に、圧力を解放し、圧縮された部分のフィルム長
手方向の長さを調べたら1.9mmであった。この結果
から、単位面積当たりに347N/mm2の圧力で圧縮
したことになる。
【0082】次に、予備実験に使用したものと同様の前
記圧縮前ATOフィルムを金属ロール間に挟み前記条件
で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮
した。このようにして、圧縮されたATOフィルムを得
た。圧縮後のATO塗膜の厚みは2.0μmであった。
【0083】この実施例I−1のサンプルについて下記
の要領で抵抗値とヘイズをそれぞれ測定した。
【0084】(電気抵抗及びヘイズの測定)導電膜が形
成されたフィルムを50mm×50mmの大きさに切断
し、対角の位置にある角の2点にテスターをあてて電気
抵抗を測定した。また、ヘイズメーター(TC−H3
DPK型:東京電色製)を用いてヘイズを測定した。
【0085】測定の結果、実施例I−1のサンプルにお
ける電気抵抗は、37kΩであり、ヘイズは11%であ
った。
【0086】[実施例I−2]上記実施例I−1におけ
る分散液をエタノールから、N−メチルピロリドン(N
MP)に変えた。それ以外は、上記実施例I−1と同様
にして、実施例I−2のサンプルを作製し、上記の要領
で抵抗値とヘイズをそれぞれ測定した。
【0087】測定の結果、実施例I−2のサンプルにお
ける電気抵抗は、38kΩであり、ヘイズは11%であ
った。
【0088】[比較例I−1]上記実施例I−1におけ
る分散液をエタノールから、トルエン(水に不溶)に変
えた。それ以外は、上記実施例I−1と同様にして、比
較例I−1のサンプルを作製し、上記の要領で抵抗値と
ヘイズをそれぞれ測定した。
【0089】測定の結果、比較例I−1のサンプルにお
ける電気抵抗は、160kΩであり、ヘイズは40%で
あった。
【0090】次ぎに示す実施例II−1〜II−2及び
比較例II−1は、エレクトロルミネッセンスパネル電
極用途の透明導電膜を得るために、導電性微粒子とし
て、ATOよりもより低い電気抵抗の得られるITO微
粒子を用いた例である。
【0091】[実施例II−1]一次粒径が10〜30
nmのITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部
にエタノール400重量部を加え、メディアをジルコニ
アビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液を1
00μm厚のPETフィルム上に、バーコーターを用い
て塗布し、50℃の温風を送って乾燥した。得られたフ
ィルムを、以降において、圧縮前ITOフィルムと称す
る。ITO含有塗膜の厚みは3.4μmであった。
【0092】実施例I−1と同様にして、ロールプレス
機を用いて、前記圧縮前ITOフィルムをフィルム幅方
向の単位長さ当たりの圧力660N/mm、単位面積当
たりの圧力347N/mm2、5m/分の送り速度で圧
縮し、圧縮されたITOフィルムを得た。圧縮後のIT
O塗膜の厚みは2.0μmであった。
【0093】このようにして作製した実施例II−1の
サンプルについて上記の要領で抵抗値とヘイズをそれぞ
れ測定した。
【0094】測定の結果、実施例II−1のサンプルに
おける電気抵抗は、2kΩであり、ヘイズは7%であっ
た。
【0095】[実施例II−2]上記実施例II−1に
おける分散液をエタノールから、N−メチルピロリドン
(NMP)に変えた。それ以外は、上記実施例II−1
と同様にして、実施例II−2のサンプルを作製し、上
記の要領で抵抗値とヘイズをそれぞれ測定した。
【0096】測定の結果、実施例II−2のサンプルに
おける電気抵抗は、2kΩであり、ヘイズは7%であっ
た。
【0097】[比較例II−1]上記実施例II−1に
おける分散液をエタノールから、トルエン(水に不溶)
に変えた。それ以外は、上記実施例II−1と同様にし
て、比較例II−1のサンプルを作製し、上記の要領で
抵抗値とヘイズをそれぞれ測定した。
【0098】測定の結果、比較例II−1のサンプルに
おける電気抵抗は、8kΩであり、ヘイズは29%であ
った。
【0099】以上の実験結果より、水に溶解するエタノ
ール、NMPなどを、微粒子を分散させるための分散液
とした場合には、分散性が良好で扱いやすい塗料を得る
ことができ、しかも電気抵抗も低く、ヘイズも良好であ
った。これに対して、水に溶解しないトルエンなどを分
散液に用いた場合には、微粒子の分散が悪く、電気抵抗
が高くなり、ヘイズも悪くなってしまった。
【0100】また、本発明における上記各実施例サンプ
ルは、バインダー樹脂を用いないで作製したにもかかわ
らず、十分な膜強度を有し、支持体との密着性にも優れ
ることが実験的に確認されている。
【0101】
【発明の効果】以上の結果より、本発明の効果は明らか
である。すなわち、本発明は、機能性微粒子を分散液に
分散した塗料を支持体上に塗布、乾燥し、機能性微粒子
含有層を形成し、しかる後、前記機能性微粒子含有層を
圧縮し、機能性微粒子の圧縮層を形成する機能性膜の製
造方法であって、前記機能性微粒子を分散するための分
散液が、水と可溶な液体を実質的な主成分として含んで
なるように構成されているので、分散性が良好で扱いや
すい塗料を得ることができ、各機能性膜に要求される特
性が向上する。例えば、本発明による透明導電膜は、導
電性に優れ、透明性にも優れる。さらに、十分な機械的
強度を有し、導電膜と支持体との密着性も強固であり、
長期間使用することが可能である。また、本発明の方法
によれば、製造方法自体が簡便で生産性が高く、低コス
トで導電膜を始め各種の機能性膜を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 301 B05D 7/24 301E C08J 7/04 C08J 7/04 D G02F 1/15 505 G02F 1/15 505 G11B 5/842 G11B 5/842 A 7/26 531 7/26 531 Fターム(参考) 2K001 CA18 CA32 DA04 4D075 BB05Z CA22 CA23 CA24 DA04 DB31 DC21 EA06 EA10 EB01 EC30 4F006 AA35 AB01 AB54 AB64 AB65 AB74 BA06 BA07 BA08 BA14 CA08 5D112 AA04 AA05 BB18 BD09 CC01 EE06 GA16 GB04 GB08 5D121 AA03 EE13 EE21 GG10 GG16 GG18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機能性微粒子を分散液に分散した塗料を
    支持体上に塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成
    し、しかる後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能
    性微粒子の圧縮層を形成する機能性膜の製造方法であっ
    て、 前記機能性微粒子を分散するための分散液が、水と可溶
    な液体を実質的な主成分として含んでなることを特徴と
    する機能性膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水と可溶な液体が、メチルアルコー
    ル、エチルアルコールである請求項1に記載の機能性膜
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記水と可溶な液体が、N−メチルピロ
    リドン(NMP)である請求項1に記載の機能性膜の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記機能性微粒子の圧縮層は、44N/
    mm2以上の圧縮力で圧縮されることにより形成される
    請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の機能性膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 圧縮が常温で行なわれる請求項4に記載
    の機能性膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 圧縮がロールプレス機によりなされる請
    求項5に記載の機能性膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記機能性微粒子が無機微粒子である請
    求項1ないし請求項6のいずれかに記載の機能性膜の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 機能性膜が、導電膜、磁性膜、強磁性
    膜、誘電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック膜、
    エレクトロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選
    択吸収膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜及び光触媒膜か
    ら選ばれる膜である、請求項1ないし請求項7のいずれ
    かに記載の機能性膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記機能性微粒子が導電性微粒子であ
    り、導電膜としての機能を有する、請求項1ないし請求
    項8のいずれかに記載の機能性膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記導電性微粒子が、酸化錫、酸化イ
    ンジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドー
    プ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、
    錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びアルミニウムド
    ープ酸化亜鉛(AZO)からなる群から選ばれる導電性
    無機微粒子である、請求項9に記載の機能性膜の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記支持体が樹脂製フィルムである、
    請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の機能性膜
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記機能性微粒子を分散液に分散した
    塗料が樹脂を含有していない請求項1ないし請求項11
    のいずれかに記載の機能性膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記機能性微粒子を分散液に分散した
    塗料が樹脂を含有しており、その樹脂含有量が、分散前
    の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100とし
    たとき、25未満である請求項1ないし請求項11のい
    ずれかに記載の機能性膜の製造方法。
JP2000147321A 2000-05-19 2000-05-19 透明導電膜の製造方法 Expired - Fee Related JP4639430B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000147321A JP4639430B2 (ja) 2000-05-19 2000-05-19 透明導電膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000147321A JP4639430B2 (ja) 2000-05-19 2000-05-19 透明導電膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001321717A true JP2001321717A (ja) 2001-11-20
JP4639430B2 JP4639430B2 (ja) 2011-02-23

Family

ID=18653523

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000147321A Expired - Fee Related JP4639430B2 (ja) 2000-05-19 2000-05-19 透明導電膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4639430B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006314913A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Fujikura Ltd 導電性被膜およびその製造方法、ならびにフレキシブル配線基板
JP2011068122A (ja) * 2009-06-05 2011-04-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 無機粒子複合体及び無機粒子複合体の製造方法
US8269416B2 (en) 2005-10-05 2012-09-18 Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. Film with transparent conductive layer, flexible functional element and flexible dispersion-type electroluminescent element, and method for producing the same and electronic device by the use thereof
JP2020517087A (ja) * 2017-04-13 2020-06-11 ザ ディラー コーポレイション 微結晶性セルロースを含有する導電性インク配合物、導電性トレースを印刷する方法、およびそれを含有する積層体

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0256728A (ja) * 1988-08-22 1990-02-26 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体の製造方法
JPH04113510A (ja) * 1990-09-04 1992-04-15 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体及びその製造方法
JP3191482B2 (ja) * 1993-04-21 2001-07-23 三菱マテリアル株式会社 透明導電膜とその形成材
JP3990808B2 (ja) * 1998-03-26 2007-10-17 Tdk株式会社 非水電解質電池用電極の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006314913A (ja) * 2005-05-12 2006-11-24 Fujikura Ltd 導電性被膜およびその製造方法、ならびにフレキシブル配線基板
US8269416B2 (en) 2005-10-05 2012-09-18 Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. Film with transparent conductive layer, flexible functional element and flexible dispersion-type electroluminescent element, and method for producing the same and electronic device by the use thereof
JP2011068122A (ja) * 2009-06-05 2011-04-07 Sumitomo Chemical Co Ltd 無機粒子複合体及び無機粒子複合体の製造方法
JP2020517087A (ja) * 2017-04-13 2020-06-11 ザ ディラー コーポレイション 微結晶性セルロースを含有する導電性インク配合物、導電性トレースを印刷する方法、およびそれを含有する積層体
JP7170709B2 (ja) 2017-04-13 2022-11-14 ザ ディラー コーポレイション 微結晶性セルロースを含有する導電性インク配合物、導電性トレースを印刷する方法、およびそれを含有する積層体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4639430B2 (ja) 2011-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100522035B1 (ko) 기능성막 및 그 제조방법
US7452435B2 (en) Functional film
US7294298B2 (en) Functional film for transfer having functional layer, object furnished with functional layer and process for producing the same
KR100504591B1 (ko) 투명 도전막 및 그 제조방법
KR100464532B1 (ko) 기능성 막
JP2001321717A (ja) 機能性膜の製造方法
JP2001327917A (ja) 機能性膜の製造方法、および機能性膜
JP3774117B2 (ja) 導電膜の製造方法
JP4631221B2 (ja) 機能性フィルムの製造方法
JP2003016842A (ja) 透明導電フィルム及びその製造方法
JP4465812B2 (ja) 機能性膜
JP4365510B2 (ja) 機能性フィルム及びその製造方法
JP4491911B2 (ja) 導電性フィルム及びその製造方法
JP2001328192A (ja) 機能性膜及びその製造方法
JP2001328196A (ja) 機能性フィルムおよびその製造方法
JP2001332128A (ja) 機能性膜
JP4465811B2 (ja) 機能性膜
JP4678097B2 (ja) 導電膜
US20050147745A1 (en) Method for producing functional film
JP2001328195A (ja) 機能性フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070511

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101102

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees