JP4678097B2 - 導電膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性膜に関する。本発明において機能性膜は、以下のように定義される。すなわち、機能性膜とは機能を有する膜であり、機能とは物理的及び/又は化学的現象を通じて果たす働きのことを意味する。機能性膜には、導電膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック膜、エレクトロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸収膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜等の各種の機能を有する膜が含まれる。
とりわけ本発明は、透明導電膜に関する。透明導電膜は、エレクトロルミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミック素子電極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネルのような透明電極として用いることができるほか、透明な電磁波遮蔽膜として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種の機能性材料からなる機能性膜は、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法(PVD)や、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD)によって製造されている。これらは、一般に大掛かりな装置が必要であり、中には大面積の膜の形成には不向きなものもある。
【0003】
また、ゾル−ゲル法を用いた塗布による膜の形成も知られている。ゾル−ゲル法では、大面積の膜の形成にも適するが、多くの場合、塗布後に高温で無機材料を焼結させる必要がある。
【0004】
例えば、透明導電膜について見れば以下の通りである。現在、透明導電膜は主にスパッタリング法によって製造されている。スパタッリング法は種々の方式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、支持体表面に沈着させ透明導電層を形成する方法である。
【0005】
スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い透明導電膜を形成できる点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点がある。今後さらに透明導電膜の大面積化が進められると、さらに装置が大きくなる。このことは、技術的には制御の精度を高めなくてはならないなどの問題が発生し、別の観点では製造コストが大きくなるという問題が発生する。また、成膜速度の遅さを補うためにターゲット数を増やして速度を上げているが、これも装置を大きくする要因となっており問題である。
【0006】
塗布法による透明導電膜の製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー溶液中に分散された導電性塗料を樹脂フィルム上に塗布して、乾燥し、硬化させ、透明導電膜を形成する。塗布法では、大面積の透明導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで透明導電膜を製造できるという長所がある。塗布法で形成された透明導電膜では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された透明導電膜は、バインダーの存在により導電性微粒子の接触が不十分で、得られる透明導電膜の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしまう。
【0007】
従来の塗布法による透明導電膜の製造として、例えば、特開平9−109259号公報には、導電性粉末とバインダー樹脂とからなる塗料を転写用プラスチックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/cm2)、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、この導電層をプラスチックフィルムもしくはシート上に積層し、熱圧着させる第3工程からなる製造方法が開示されている。
【0008】
この方法では、バインダー樹脂を大量に用いている(無機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末100〜500重量部、有機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末0.1〜30重量部)ため、電気抵抗値の低い導電膜は得られない。
【0009】
また、例えば、特開平8−199096号公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩からなる、バインダーを含まない導電膜形成用塗料をガラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が開示されている。この方法では、バインダーを用いていないので、導電膜の電気抵抗値は低くなる。しかし、300℃以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を形成することは困難である。すなわち、樹脂フィルムは高温によって、溶融したり、炭化したり、燃焼してしまう。樹脂フィルムの種類によるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは130℃の温度が限界であろう。
【0010】
塗布法以外で形成された導電膜としては、特開平6−13785号公報に、導電性物質(金属又は合金)粉体より構成された骨格構造の空隙の少なくとも一部、好ましくは空隙の全部に樹脂が充填された粉体圧縮層と、その下側の樹脂層とからなる導電性皮膜が開示されている。その製法について、板材に皮膜を形成する場合を例にとり説明する。同号公報によれば、まず、樹脂、粉体物質(金属又は合金)及び被処理部材である板材を皮膜形成媒体(直径数mmのスチールボール)とともに容器内で振動又は攪拌すると、被処理部材表面に樹脂層が形成される。続いて、粉体物質がこの樹脂層の粘着力により樹脂層に捕捉・固定される。更に、振動又は攪拌を受けている皮膜形成媒体が、振動又は攪拌を受けている粉体物質に打撃力を与え、粉体圧縮層が作られる。しかし、粉体圧縮層の固定効果を得るために、かなりの量の樹脂が必要とされる。また、製法は塗布法に比べ、煩雑である。
【0011】
塗布法以外で形成された他の導電膜としては、特開平9−107195号公報に、導電性短繊維をPVCなどのフィルム上にふりかけて堆積させ、これを加圧処理して得た、導電性繊維−樹脂一体化層が開示されている。導電性短繊維とは、ポリエチレンテレフタレートなどの短繊維にニッケルメッキなどを被着処理したものである。しかし、加圧操作は、樹脂マトリックス層が熱可塑性を示す温度条件下で行うことが好ましく、175℃、20kg/cm2という高温・低圧条件が要求されるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電膜を形成することは困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、大面積の機能性膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで、かつ、高品質の機能性膜の開発が望まれる。
とりわけ導電膜については、大面積の導電膜を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで、かつ、高品質の導電膜の開発が望まれる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、機能性微粒子を使用して各種機能を発現し得る機能性膜を提供することにある。
とりわけ本発明の目的は、機能性微粒子を使用した抵抗値の低い透明導電膜を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の導電膜は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に導電層を備える導電膜であって、前記導電層は、導電性微粒子を含有し、表面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下であるような構成とした。
【0015】
また、本発明の導電膜の好適な態様として、前記支持体が透明樹脂フィルムであるような構成とした。
【0016】
このような本発明では、機能層において機能性微粒子の接触が充分になされ、機能層の強度、支持体との密着性は大きなものとなり、例えば、機能性微粒子が導電性微粒子である機能性膜は電気抵抗が低いものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の機能性膜は、支持体の少なくとも一方の面に機能層を備える機能性膜であって、機能層を、機能性微粒子を含有し、かつ、機能層の表面側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面側(支持体側)の機能性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下であるものとした。
【0018】
以下に、本発明の機能性膜の一実施形態である透明導電膜を例にして本発明を説明する。尚、本発明において、透明とは可視光を透過することを意味する。光の散乱度合いについては、透明導電膜の用途により要求されるレベルが異なる。
本発明の機能性膜である透明導電膜は、透明支持体上に機能層としての透明導電層を備えている。
【0019】
透明導電膜を構成する透明導電層は、機能性微粒子として導電性微粒子を含有し、透明導電層の表面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対側の面の導電性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下のものである。本発明において、上記の分散値σ1と分散値σ2は、以下のように規定される。すなわち、透明導電膜の写真倍率10万倍の断面写真における透明導電層の表面と反対側の導電性微粒子配列と、表面側の導電性微粒子配列をそれぞれトレースし、得られた2種の導電性微粒子配列状態を示す線について、基準線との距離を複数測定し、この測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を、分散値σ1、σ2とする。
【0020】
この要件を図1および図2を参照してより詳しく説明する。まず、透明導電膜の写真倍率10万倍の断面写真(図1)上に方眼のトレーシングペーパーをずれないように載置し、透明導電層の表面とは反対側(図2の1A面)の導電性微粒子が配列されている端面と、表面側(図2の1B面)の導電性微粒子が配列されている端面とを、それぞれトレースし、導電性微粒子配列状態を示す線L1、L2を得る。尚、導電性微粒子が明らかに欠落している部分は、測定に影響を与えるため、その欠落部分は、欠落部分の両脇より外挿して線分を得る。次に、上記の2種の導電性微粒子配列状態を示す線L1、L2それぞれに、約1cm離れたところに基準線B1とB2を引く。そして、基準線B1から導電性微粒子配列状態を示す線L1までの距離を1〜2mm間隔で測定(測定長さは10cm以上とする)し、この測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を分散値σ1とする。同様に、基準線B2から導電性微粒子配列状態を示す線L2までの距離を1〜2mm間隔で測定し、この測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を分散値σ2とする。そして、分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)を計算する。
【0021】
分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下となるような透明導電層は、構成する導電性微粒子が透明支持体に埋め込まれるような状態となって初めて可能なものである。従来の透明導電膜では、透明導電層の表面と反対側は、透明支持体の平滑面がそのまま反映された平滑な面となり、比(σ1/σ2)が1.2以上となるようなものは存在しなかった。比(σ1/σ2)が1.2未満であると、導電性微粒子同士の接触が不充分となり、導電性に優れた透明導電層が得られにくい。また、透明導電層の強度が低く、透明支持体との密着性も不充分なものとなる。一方、比(σ1/σ2)は高い方が好ましいが、透明導電層の形成において高い圧縮力が必要となり、圧縮装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般的に1.85までが適当である。
【0022】
上述のような透明導電層を構成する導電性微粒子としては、透明導電膜の透明性を損なうものでなければ特に限定されることなく、公知の無機質の導電性微粒子を用いることができる。
無機質の導電性微粒子としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム等があり、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の微粒子が好ましい。更にITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることもできる。
【0023】
これらの導電性微粒子の平均一次粒径は、300nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは5nm〜50nmの範囲である。導電性微粒子の平均一次粒径が300nmを超えると、透明導電層の特性バランスが損なわれる可能性が高く好ましくない。
【0024】
上述のような導電性微粒子からなる透明導電層は、その厚みが0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲とすることができる。そして、透明導電層の電気抵抗は、透明導電膜の用途に応じて適宜設定することができる。
【0025】
本発明では、透明導電膜を構成する透明導電層に電気抵抗値を増大させない範囲で微量の樹脂を含有してもよい。例えば、上述の導電性微粒子の体積を100としたときに、体積で25未満、好ましくは20未満、より好ましくは3.7未満で透明導電層に樹脂を含有させることができるが、さらに好ましくは、透明導電層に樹脂を含有させないことである。樹脂は、透明導電層の光散乱を少なくする作用があるが、一方で、透明導電膜の電気抵抗値を高くしてしまう。それは、絶縁性の樹脂によって導電性微粒子同士の接触が阻害され、樹脂量が多い場合には導電性微粒子同士が接触しないため、微粒子相互間の電子移動が阻害されるからである。従って、ヘイズ度の向上と導電性微粒子相互間の導電性の確保の双方を考慮して、樹脂を含有する場合は、上記の体積範囲内で用いられる。この範囲内の樹脂量であれば、樹脂は少量であるので、透明導電層において、導電性微粒子の空隙に樹脂がほとんどが存在するものと考えられる。
【0026】
上述の樹脂としては、特に限定されることなく、透明性に優れる熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーを、1種または2種以上を混合して用いることができる。樹脂の例としては、フッ素系ポリマー、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0027】
フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−三フッ化エチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。また主鎖の水素をアルキル基で置換した含フッ素系ポリマーも用いることができる。樹脂の密度が大きいものほど、大きな重量を用いても、体積がより小さく、上記の体積条件を満たしやすい。
【0028】
尚、上述の導電性微粒子の体積および樹脂の体積とは、みかけの体積ではなく、真体積である。真体積は、JIS Z 8807に基づきピクノメーターのような機器を使用して密度を求め、使用する材料の重量を密度で割って求められる。このように、樹脂の使用量を重量ではなく体積で規定するのは、透明導電層において、導電性微粒子に対して樹脂がどのようにして存在するのか、を考えた場合に、より現実を反映するからである。
【0029】
本発明の透明導電膜を構成する透明支持体としては、樹脂フィルム、ガラス等の各種のものを用いることができる。これにより、透明支持体に接している導電性微粒子の一部分が透明支持体に埋め込まれるような感じとなり、透明導電層が透明支持体に良く密着される。このような透明支持体として、ガラス等の硬度の大きい材料、あるいは、樹脂フィルムであってもフィルム表面が硬いもの等、導電性微粒子の硬度よりも大きい硬度をもつ材料を用いる場合、ガラス面や、硬いフィルム表面上に、導電性微粒子の硬度よりも小さい硬度をもつ樹脂層を予め形成した透明支持体を使用する。これにより、導電性微粒子が樹脂層に埋め込まれ、透明導電層と透明支持体の密着性が充分なものとなる。
【0030】
尚、透明導電層を形成した後に、硬度の小さい樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。この樹脂層は、導電性微粒子を分散した液に溶解しない物質であることが好ましい。溶解すると毛管現象で、前記樹脂を含む溶液が導電性微粒子の周りにきてしまい、結果として、得られる透明導電層の電気抵抗値が高くなってしまう。また、透明導電層を形成した後に、樹脂層をガラス面や硬いフィルム表面から剥離して、透明支持体として透明な樹脂層を備える透明導電膜とすることもできる。
【0031】
上述のような樹脂層は、透明性に優れる熱可塑性樹脂またはゴム弾性を有するポリマーを、1種または2種以上を混合したもので形成することができる。樹脂の例としては、フッ素系ポリマー、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロースジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
【0032】
ガラス、セラミックス等の可撓性を備えない材料を用いる場合、工程中に割れる可能性が高いので、その点を考慮する必要がある。従って、透明支持体として、割れることがない樹脂フィルムが好適である。樹脂フィルムは、次に述べるように、導電性微粒子からなる透明導電層との密着性が良い点でも好ましく、また、軽量化を求められている用途にも好適である。したがって、高温での使用目的がない場合、樹脂フィルムを透明支持体として用いることができる。
【0033】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製 アートンなど)等が挙げられる。
尚、透明支持体は、用途に応じてヘイズが0.5〜5%の範囲のものを用いることができる。
本発明では、透明支持体の両面に透明導電層を備えた透明導電膜とすることも勿論可能である。
【0034】
次に、本発明の透明導電膜の製造方法の一例を説明する。
透明導電膜を構成する透明導電層は、導電性微粒子と、必要に応じて微量の樹脂を含む分散液を導電性塗料として透明支持体上に塗布、乾燥し、その後、圧縮することにより形成できる。
【0035】
導電性微粒子を分散する液体としては、導電性塗料が樹脂を含有する場合には、樹脂が溶解するものであれば特に限定されることなく、既知の各種溶剤を使用することができる。例えば、溶剤として、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなかでも、極性を有する溶剤が好ましく、メタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類が好適である。これら溶剤は、単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。また、導電性微粒子の分散性向上のために分散剤を用いても良い。
【0036】
また、溶剤として、水も使用可能である。水を用いる場合には、透明支持体が親水性のものである必要がある。上述の樹脂層や樹脂フィルムは通常疎水性であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。透明支持体表面に樹脂層を備える場合、透明支持体が樹脂フィルムの場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいは支持体の表面を親水性にする必要がある。尚、導電性塗料が樹脂を含有する場合には、樹脂の溶解性も考慮した方がよい。
【0037】
用いる溶剤の量は、特に制限されず、導電性微粒子の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、導電性微粒子100重量部に対して、液体100〜100000重量部程度である。導電性微粒子と液体の種類に応じて適宜選択するとよい。
【0038】
導電性微粒子の液体中への分散は、公知の分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダーミル法により分散する。分散に際しては、導電性微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物の混入が起こらないように注意する。
【0039】
前記導電性微粒子の分散液には、導電性を低下させない範囲内で、各種の添加剤を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤である。
【0040】
透明支持体上への導電性微粒子の分散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができる。例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、バーコート法、ディップ法、キスコート法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができる。また、噴霧、吹き付けなどにより、透明支持体上へ分散液を付着させることも可能である。
【0041】
乾燥温度は分散に用いた液体の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不純物が導電性微粒子の表面に付着しないように注意する。
塗布、乾燥後の導電性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や透明導電膜の用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0042】
このように、導電性微粒子を液に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。導電性微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中に従来のように多量のバインダー樹脂が存在しなくても、すなわち本発明のように樹脂を含有しない、あるいは、樹脂が特定量以下の少ない量であっても、微粒子は膜を形成する。多量のバインダー樹脂が存在しなくても膜となる理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて液が少なくなってくると毛管力のため、微粒子が集まってくる。さらに微粒子であるということは比表面積が大きく凝集力も強いので、膜となるのではないかと考えている。しかし、この段階での膜は、分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)が1.2未満のものであり、強度は弱く、また、透明導電層としては電気抵抗値が高く、電気抵抗値のばらつきも大きい。
【0043】
次に、形成された導電性微粒子含有層を圧縮し、導電性微粒子の圧縮層を得る。圧縮することにより、導電性微粒子が透明支持体に埋め込まれるような状態となり、分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)が1.2以上となる。これにより、電気抵抗の低下と膜強度の向上が達成される。すなわち、圧縮することで導電性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加する。このため、電気抵抗は下がり、塗膜強度が上がる。微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮することで強固な膜となる。また、圧縮することでヘイズ度が低下する。
【0044】
圧縮は44N/mm2以上の圧縮力で行うことが好ましい。44N/mm2未満の低圧であれば、導電性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、導電性に優れた透明導電層が得られにくい。圧縮は180N/mm2以上の圧縮力がより好ましい。圧縮力が高いほど、より導電性に優れた透明導電層が得られ、また、透明導電層の強度が向上し、透明支持体との密着性も強固となる。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1000N/mm2までの圧縮力が適当である。
また、圧縮を常温(15〜40℃)付近の温度で行うことが好ましい。加熱条件化で圧縮(ホットプレス)を行うと、圧縮圧力を強くしたときに樹脂フィルムが伸びてしまう可能性がある。
【0045】
圧縮手段は、特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、また、ロールトゥーロールで生産できることから生産性が上がり好適である。
【0046】
ロールプレス機のロール温度は常温が好ましい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で樹脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、透明導電層の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたいというような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下げるために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度より少し高めの温度にすればよい。ロールプレス機で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇しないように温度調節することも好ましい。尚、樹脂フィルムのガラス転移温度は、動的粘弾性を測定して求められ、主分散の力学的損失がピークとなる温度をさす。例えば、PETフィルムについてみると、そのガラス転移温度はおよそ110℃前後である。
【0047】
ロールプレス機のロールは、強い圧力がかけられることから金属ロールが好適である。また、ロール表面が柔らいと、圧縮時に導電性微粒子がロールに転写することがあるので、ロール表面を硬質膜で処理することが好ましい。
【0048】
このようにして、導電性微粒子の圧縮層を形成することにより、透明導電層を備えた本発明の透明導電膜が得られる。透明導電層の厚みは、上述のように、用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。また、10μm程度の厚い透明導電層を得るために、導電性微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行っても良い。尚、このように同一操作を繰り返して同じ機能層が積層された機能層を得た場合には、積層の最も外側の面を測定する面とする。また、異なる機能層が積層された機能層を得た場合にも、積層の最も外側の面を測定する面とする。
【0049】
このようにして得られる本発明の透明導電膜は、その透明導電層が優れた導電性を示し、従来のような多量のバインダー樹脂を用いずに作成したにもかかわらず実用上十分な膜強度を有し、透明支持体との密着性にも優れる。
【0050】
上述の実施形態では、機能性膜として透明導電膜を挙げたが、本発明において、機能性膜には、特に限定されることなく、導電膜、磁性膜、強磁性膜、誘電体膜、強誘電体膜、エレクトロクロミック膜、エレクトロルミネッセンス膜、絶縁膜、光吸収膜、光選択吸収膜、反射膜、反射防止膜、触媒膜、光触媒膜等の各種の機能を有する膜が含まれる。従って、本発明において、前記目的とする膜を構成すべき機能性微粒子が用いられる。機能性微粒子は、特に限定されることなく、凝集力を有する主として無機の微粒子が用いられる。いずれの本発明の機能性膜においても、十分な機械的強度を有する機能層が得られると共に、バインダー樹脂を大量に用いていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害を解消することができる。その結果、目的とする機能がより向上する。
【0051】
上述の透明導電膜の他に、例えば、強磁性膜においては、γ−Fe2 O3 、Fe3 O4 、Co−FeOx、Baフェライト等の酸化鉄系磁性粉末や、α−Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金属元素を主成分とする強磁性合金粉末等が用いられ、機能層である磁性塗膜の飽和磁束密度が向上する。
【0052】
誘電体膜や強誘電体膜においては、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタン酸ジルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム系、鉛含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強誘電体の微粒子が用いられる。そして、本発明の誘電体膜や強誘電体膜では、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上が得られる。
【0053】
また、各種機能を発現する金属酸化物膜においては、酸化鉄(Fe2 O3)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2 O3)、二酸化チタン(TiO2)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タングステン(WO3)等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本発明の金属酸化物膜では、機能層における金属酸化物の充填度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒を担持させたSiO2、Al2 O3を用いた場合には、実用強度を有する多孔質触媒膜が得られる。TiO2を用いた場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、WO3を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子での発色作用の向上が得られる。
【0054】
さらに、エレクトロルミネッセンス膜においては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。本発明のエレクトロルミネッセンス膜は、塗布法による安価なものとすることができる。
【0055】
機能性微粒子の粒子径rは、機能性膜の用途に応じて、例えば、必要とさらる散乱の度合い等により異なり、また、粒子の形状により一概には言えないが、一般に平均一次粒径r=10μm以下であり、1.0μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0057】
[実施例1]
まず、平均一次粒径が20nmのATO微粒子(石原産業(株)製 SN−100P)100重量部に、エタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して導電性塗料を調製した。
【0058】
次に、上記の導電性塗液をバーコーターを用いてPETフィルム(厚み50μm)上に塗布し50℃で乾燥した。得られたフィルムを、以降において、圧縮前ATOフィルムと称する。ATO含有塗膜の厚みは2.2μmであった。
【0059】
次に、圧縮前ATOフィルムを金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)間に挟み、室温(23℃)にてロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。この圧縮工程における単位面積当たりの圧縮圧力を下記の表1に示すように異なる条件で設定した。このようにATOフィルムを圧縮することにより、透明導電層を備えた透明導電膜(試料1〜6)を得た。
【0060】
また、樹脂として大成化工(株)製のアクリル樹脂溶液MT408−42(不揮発成分濃度50%)100重量部を、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン(1:1:1)混合溶液400重量部に溶解した樹脂溶液に、上記と同じATO粉末100重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して導電性塗料を調製した。この導電性塗料を用いて上述の透明導電膜(試料1〜6)と同様にして、透明導電膜(試料7)を得た。但し、圧縮工程における単位面積当たりの圧縮圧力は、表1に示すものとした。
【0061】
さらに、透明支持体として、上記のPETフィルム上に、シリコン樹脂系ハードコート材(GE・東芝シリコン(株)製トスガード510)を3μm厚で設けたものを使用した他は、上述の透明導電膜(試料3:樹脂を用いていない)と同様にして、透明導電膜(試料8)を得た。
【0062】
上述のように作製した8種の透明導電膜(試料1〜8)について、圧縮後の透明導電層の厚みを測定し、また、下記の測定方法にしたがって透明導電層について分散値σ1と分散値σ2との比(σ1/σ2)を測定して結果を下記の表1に示した。
【0063】
また、下記の測定方法にしたがって表面電気抵抗値、ヘイズを測定し、結果を下記の表1に示した。さらに、PETフィルムと透明導電層との密着性、および、透明導電層の強度を評価するために、下記の方法で90°ピール試験を行い、結果を下記の表1に示した。
【0064】
比(σ1/σ2)を測定方法
透明導電膜の倍率10万倍の断面写真上に方眼のトレーシングペーパーをずれないように載置し、透明導電層の界面側と表面側の導電性微粒子が配列されている端面をそれぞれトレースし、導電性微粒子配列状態を示す線L1、L2とする。尚、導電性微粒子が明らかに欠落している部分は、その両脇より外挿して線分を得る。次に、上記の2種の導電性微粒子配列状態を示す線L1、L2それそれに、約1cm離れたところに基準線B1とB2を引く。そして、基準線B1から線L1までの距離、および、基準線B2から線L2までの距離を、それぞれ2mm間隔で測定(測定長さは10cmとする)し、この測定値の平均値と各測定値との差の平方の平均値を、分散値σ1、σ2とし、比(σ1/σ2)を計算する。
【0065】
表面電気抵抗値の測定
透明導電層が形成された透明導電膜を50mm×50mmの大きさに切り出し、対角の位置にある角の2点にテスターの端子棒をあてて電気抵抗を測定。
【0066】
ヘイズの測定
ヘイズメーター(東京電色(株)製 TC−H3 DPK型)を用いて測定。
【0067】
90°ピール試験
透明導電膜のPETフィルムの透明導電層が形成された面とは反対側の面に両面テープを貼り、これを大きさ25mm×100mmに切り出して試験サンプルとし、ステンレス板に貼る。次いで、試験サンプルが剥がれないように、試験サンプルの両端部(25mm長の辺)にセロハンテープ を貼る。その後、試験サンプルの透明導電層面にセロハンテープ(幅12mm、日東電工(株)製 No.29)を試験サンプルの長辺と平行になるように貼る。セロハンテープと試験サンプルとの貼付の長さは50mmとする。次いで、セロハンテープの貼付されていない端をチャックに取り付け、セロハンテープの貼付面と非貼付面との成す角が90度になるようにセットし、セロハンテープを100mm/分の速度で引っ張って剥がす。このときセロハンテープを剥がす速度と試験サンプルを貼り付けたステンレス板が同じ速度で移動するようにし、セロハンテープの非貼付面と試験サンプル面とが常に90度となるようにする。試験後、塗膜の状態を調べ、下記の評価基準で評価する。
○:塗膜が破壊されておらず、且つPETフィルムからの剥離も起こっていないもの
×:塗膜が破壊されており、塗膜の一部がセロハンテープに付着しているもの
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示されるように、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下である透明導電層を備えた本発明の透明導電膜(試料1〜5)は、いずれも、電気抵抗値が充分に低く、かつ、ヘイズも低く十分な透明性を備えることが確認された。また、これらの透明導電膜は、樹脂を含有していないにもかかわらず透明導電層のPETフィルムに対する密着性も良好であることが確認された。
【0070】
これに対して、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明導電膜(試料6、8)は、透明導電層の電気抵抗の値に関係なく透明導電層のPETフィルムに対する密着性が悪いものであった。
【0071】
また、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明導電膜(試料7)は、透明導電層に多量の樹脂が含有されるため、透明導電層のPETフィルムに対する密着性は良好であるが、透明導電層の電気抵抗が高いものであった。
【0072】
[実施例2]
まず、平均一次粒径が20nmのITO微粒子(住友金属鉱山(株)製SUFP−HX)100重量部に、メタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して導電性塗料を調製した。
【0073】
次に、厚み50μmのPETフィルムに、上記の導電性塗液をバーコーターを用いて塗布し50℃で乾燥した。このようにして得られたフィルムを、以降において、圧縮前ITOフィルムと称する。これらの圧縮前ITOフィルムのITO含有塗膜の厚みは1.9μmであった。
【0074】
次いで、圧縮前ITOフィルムを金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)間に挟み、室温(23℃)にてロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。この圧縮工程における単位面積当たりの圧縮圧力を下記の表2に示すように異なる条件で設定した。このようにITOフィルムを圧縮することにより、透明導電層を備えた透明導電膜(試料A〜F)を得た。
【0075】
また、樹脂として大成化工(株)製のアクリル樹脂溶液MT408−42(不揮発成分濃度50%)100重量部を、メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン(1:1:1)混合溶液400重量部に溶解した樹脂溶液に、上記と同じITO粉末100重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散して導電性塗料を調製した。この導電性塗料を用いて上述の透明導電膜(試料A〜F)と同様にして、透明導電膜(試料G)を得た。但し、圧縮工程における単位面積当たりの圧縮圧力は、表2に示すものとした。
【0076】
さらに、透明支持体として、上記のPETフィルム上に、シリコン樹脂系ハードコート材(GE・東芝シリコン(株)製トスガード510)を3μm厚で設けたものを使用した他は、上述の透明導電膜(試料C:樹脂を用いていない)と同様にして、透明導電膜(試料H)を得た。
【0077】
上述のように作製した透明導電膜(試料A〜H)について、実施例1と同様にして、透明導電層の厚み、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)、表面電気抵抗値、ヘイズを測定し、結果を下記の表2に示した。また、実施例1と同様に90°ピール試験を行い、結果を下記の表2に示した。
【0078】
【表2】
【0079】
表2に示されるように、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下である透明導電層を備えた本発明の透明導電膜(試料A〜E)は、いずれも、透明導電層の電気抵抗が充分に低く、かつ、ヘイズも低く十分な透明性を備えることが確認された。また、これらの透明導電膜は、樹脂を含有していないにもかかわず透明導電層の透明支持体に対する密着性も良好であることが確認された。
【0080】
これに対して、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明導電膜(試料F、H)は、透明導電層の透明支持体に対する密着性が悪いものであった。
また、分散値σ1、σ2の比(σ1/σ2)が1.2未満である透明導電層を備えた透明導電膜(試料G)は、透明導電層に多量の樹脂が含有されるため、透明導電層のPETフィルムに対する密着性は良好であるが、透明導電層の電気抵抗が高いものであった。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、支持体の少なくとも一方の面に機能層を備える機能性膜を、機能層が機能性微粒子を含有し、かつ、機能層の表面側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対側の機能性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下であるものとしたので、機能層において機能性微粒子の接触が充分になされ、例えば、機能性微粒子として導電性微粒子を用いた透明導電膜は電気抵抗が低いものとなる。また、支持体と機能層の密着も強固であり、長期間の使用が可能である。さらに、支持体として、透明樹脂フィルムのような透明支持体を使用することも可能であり、また、本発明の機能性膜は、大面積化に対しても、塗布装置や圧縮装置の変更等で対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能性膜の一実施形態である透明導電膜の写真倍率10万倍の断面写真の一例を示す図である。
【図2】透明導電層の表面側と、その反対側の導電性微粒子配列状態を示す線から、分散値σ1、σ2を得る手順を説明するための図である。
Claims (2)
- 支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に導電層を備える導電膜において、
前記導電層は、導電性微粒子を含有し、表面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ2と、その反対面側の導電性微粒子配列から得られる分散値σ1との比(σ1/σ2)が1.2以上、1.85以下であることを特徴とする導電膜。 - 前記支持体は、透明樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の導電膜。
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