JP4631221B2 - 機能性フィルムの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を少なくとも有する機能性フィルムの製造方法に関する。本発明において、機能性フィルムには機能性フィルム、機能性シートの双方が含まれる。また、支持体が金属であるものも、本発明の機能性フィルムに含まれる。
【0002】
機能性層とは機能を有する層であり、機能とは物理的及び/又は化学的現象を通じて果たす働きのことを意味する。機能性層には、導電層、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層等の各種の機能を有する層が含まれる。
【0003】
とりわけ本発明は、透明導電層を有する透明導電性フィルムの製造方法に関する。透明導電層は、エレクトロルミネッセンスパネル電極、エレクトロクロミック素子電極、液晶電極、透明面発熱体、タッチパネルのような透明電極として用いることができるほか、透明な電磁波遮蔽層として用いることができる。
【0004】
【従来の技術】
従来より、各種の機能性材料からなる機能性層は、真空蒸着、レーザアブレーション、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理的気相成長法(PVD)や、熱CVD、光CVD、プラズマCVD等の化学的気相成長法(CVD)によって製造されている。これらは、一般に大掛かりな装置が必要であり、中には大面積の膜の形成には不向きなものもある。
【0005】
また、ゾル−ゲル法を用いた塗布による膜の形成も知られている。ゾル−ゲル法では、大面積の膜の形成にも適するが、多くの場合、塗布後に高温で無機材料を焼結させる必要がある。
【0006】
例えば、透明導電層について見れば以下の通りである。現在、透明導電層は主にスパッタリング法によって製造されている。スパタッリング法は種々の方式があるが、例えば、真空中で直流または高周波放電で発生した不活性ガスイオンをターゲット表面に加速衝突させ、ターゲットを構成する原子を表面から叩き出し、基板表面に沈着させ膜を形成する方法である。
スパッタリング法は、ある程度大きな面積のものでも、表面電気抵抗の低い導電層を形成できる点で優れている。しかし、装置が大掛かりで成膜速度が遅いという欠点がある。今後さらに導電層の大面積化が進められると、さらに装置が大きくなる。このことは、技術的には制御の精度を高めなくてはならないなどの問題が発生し、別の観点では製造コストが大きくなるという問題が発生する。また、成膜速度の遅さを補うためにターゲット数を増やして速度を上げているが、これも装置を大きくする要因となっており問題である。
【0007】
塗布法による透明導電層の製造も試みられている。従来の塗布法では、導電性微粒子がバインダー溶液中に分散された導電性塗料を基板上に塗布して、乾燥し、硬化させ、導電層を形成する。塗布法では、大面積の導電層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、スパッタリング法よりも低コストで導電層を製造できるという長所がある。塗布法では、導電性微粒子同士が接触することにより電気経路を形成し導電性が発現される。しかしながら、従来の塗布法で作製された導電層は接触が不十分で、得られる導電層の電気抵抗値が高い(導電性に劣る)という欠点があり、その用途が限られてしまう。
【0008】
従来の塗布法による透明導電層の製造として、例えば、特開平9−109259号公報には、導電性粉末とバインダー樹脂とからなる塗料を転写用プラスチックフィルム上に塗布、乾燥し、導電層を形成する第1工程、導電層表面を平滑面に加圧(5〜100kg/cm2 )、加熱(70〜180℃)処理する第2工程、この導電層をプラスチックフィルムもしくはシート上に積層し、熱圧着させる第3工程からなる製造方法が開示されている。
この方法では、バインダー樹脂を大量に用いている(無機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末100〜500重量部、有機質導電性粉末の場合には、バインダー100重量部に対して、導電性粉末0.1〜30重量部)ため、電気抵抗値の低い透明導電層は得られない。
【0009】
例えば、特開平8−199096号公報には、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉末、溶媒、カップリング剤、金属の有機酸塩もしくは無機酸塩からなる、バインダーを含まない導電層形成用塗料をガラス板に塗布し、300℃以上の温度で焼成する方法が開示されている。この方法では、バインダーを用いていないので、導電層の電気抵抗値は低くなる。しかし、300℃以上の温度での焼成工程を行う必要があるため、樹脂フィルムのような支持体上に導電層を形成することは困難である。すなわち、樹脂フィルムは高温によって、溶融したり、炭化したり、燃焼してしまう。樹脂フィルムの種類によるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムでは130℃の温度が限界であろう。
【0010】
特許2994764号公報には、ITOの超微粒子粉を樹脂と共に溶剤中に分散させて成るペーストを樹脂フィルム上に塗布し、乾燥し、その後、スチールロールによって圧延処理を施すことからなる透明導電膜の製造法が開示されている。
【0011】
特開平7−235220号公報には、ITO等の導電性微粒子を含み、バインダーを含まない分散液をガラス基板上に塗布し、ゆっくりと乾燥し、得られたITO膜上にシリカゾルからなるオーバーコート液を塗布し、次いで乾燥あるいは乾燥に続く焼成を行う方法が開示されている。同号公報によれば、シリカゾルからなるオーバーコート塗膜を乾燥させて硬化収縮させ、その際の硬化収縮応力によって、ITO膜中のITO微粒子同士を強固に接触させる。ITO微粒子同士の接触が不十分であれば、導電膜の電気抵抗は高い。大きな硬化収縮応力を得るため、オーバーコート塗膜を150〜180℃の高温で乾燥処理する必要がある。しかし、支持体が樹脂フィルムである場合には、このような高温により樹脂フィルムが変形してしまう。
また、同号公報によれば、シリカゾルからなるオーバーコートは、導電膜とガラス基板との結合にも寄与する。すなわち、シリカゾルからなるオーバーコートによって導電膜の強度が得られる。しかし、オーバーコート液の塗布、硬化収縮を行わなければ、導電膜の電気抵抗が高い上に、膜の強度も低い。さらに、導電膜の光学特性を向上させ、表面抵抗を小さくするため、導電性微粒子の分散液をガラス基板上に塗布した後の乾燥をゆっくりと行う必要がある。シリカゾルからなるオーバーコート膜は、その膜厚が厚いとクラックが入ってしまう欠点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような背景から、大面積の機能性層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで機能性層を製造できるという塗布法の利点を生かしつつ、各種機能を発現し得る機能性層が得られる方法の開発が望まれる。
【0013】
とりわけ導電層については、大面積の導電層を容易に形成しやすく、装置が簡便で生産性が高く、低コストで導電層を製造できるという塗布法の利点を生かしつつ、電気抵抗値の低い透明導電層が得られる方法の開発が望まれる。
【0014】
そこで、本発明の目的は、塗布法による各種機能を発現し得る機能性層を有する機能性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0015】
とりわけ本発明の目的は、塗布法による電気抵抗値の低い透明導電層を有する透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。さらには、高温の加熱操作を必要とせず導電層を形成でき、均質で厚みむらのない導電層が得られる透明導電性フィルムの製造方法、導電層の大面積化にも対応できる透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
従来、塗布法において、バインダー樹脂を大量に用いなければ機能性層を成膜できず、あるいは、バインダー樹脂を用いない場合には、機能性物質を高温で焼結させなければ機能性層が得られないと考えられていた。
導電層について見れば、バインダー樹脂を大量に用いなければ導電層を成膜できず、あるいは、バインダー樹脂を用いない場合には、導電性物質を高温で焼結させなければ導電層が得られないと考えられていた。
【0017】
ところが、本発明者は鋭意検討した結果、驚くべきことに、大量のバインダー樹脂を用いることなく、かつ高温で焼成することもなく、圧縮によって機械的強度を有し且つ各種の機能を発現し得る機能性層が得られることを見いだした。本発明者は、導電性物質を用いると、電気抵抗値の低い透明導電層が得られることを見いだした。
【0018】
すなわち、本発明者は、機能性微粒子を分散した液を支持体上に塗布、乾燥し、機能性微粒子含有層を形成し、その後、前記機能性微粒子含有層を圧縮し、機能性微粒子の圧縮層を形成することを含む、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を有する機能性フィルムの製造方法に到達した。
【0019】
本発明者はさらに検討した結果、まず、機能性微粒子含有層を転写支持体上に形成し、次に、前記機能性微粒子含有層を圧縮する際に支持体上に転写することによって、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を有する機能性フィルムが得られることを見いだした。
【0020】
すなわち、本発明は、機能性微粒子を分散した液を転写支持体上に塗布、乾燥し、転写支持体上に機能性微粒子含有層が形成された転写前駆フィルムを作成し、
機能性層を形成すべき支持体と前記転写前駆フィルムとを、支持体と前記機能性微粒子含有層とが接するように重ね合わせ、前記機能性微粒子含有層を44N/mm 2 以上の圧縮力で圧縮し支持体上に機能性微粒子の圧縮層を形成し、次いで
転写支持体を前記機能性微粒子の圧縮層から剥離することを含む、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を少なくとも有する機能性フィルムの製造方法である。
【0021】
本発明は、支持体の機能性層が形成されるべき表面は、転写支持体の機能性微粒子含有層が形成されるべき表面よりも柔らかい、前記の機能性フィルムの製造方法である。
【0022】
発明は、前記機能性微粒子含有層を前記支持体及び前記転写支持体が変形しない温度で圧縮する、前記の機能性フィルムの製造方法である。
本発明は、前記機能性微粒子含有層をロールプレス機を用いて圧縮する、前記の機能性フィルムの製造方法である。
【0023】
本発明は、前記転写支持体は、機能性微粒子含有層が形成されるべき表面にハードコート層を有する、前記の機能性フィルムの製造方法である。
本発明は、前記支持体が樹脂製フィルムである、前記の機能性フィルムの製造方法である。
【0024】
本発明は、前記機能性微粒子が無機微粒子から選ばれる、前記の機能性フィルムの製造方法である。
本発明は、機能性層が、導電層、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選ばれる、前記の機能性フィルムの製造方法である。
【0025】
前記機能性層が導電層の場合には、前記機能性微粒子として導電性微粒子を用いる。本発明は、前記の機能性フィルムの製造方法において、前記機能性微粒子として導電性微粒子を用いて導電層を形成する、導電性フィルムの製造方法である。
【0026】
本発明は、前記導電性微粒子として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)からなる群から選ばれる導電性無機微粒子を用いる、前記の導電性フィルムの製造方法である。
【0027】
本発明において、前記機能性微粒子の分散液は、少量の樹脂を含んでも良いが、特に樹脂を含まないことが好ましい。前記機能性微粒子の分散液が樹脂を含む場合には、前記樹脂の含有量は、体積で表して、前記機能性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積であることが好ましい。特に導電性フィルムの製造においては、前記機能性微粒子の分散液が樹脂を含まないことが、電気抵抗値の低い導電層が得られる点で好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明において、機能性層には、特に限定されることなく、導電層、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層、光触媒層等の各種の機能を有する層が含まれる。従って、本発明において、前記目的とする層を構成すべき機能性微粒子が用いられる。機能性微粒子は、特に限定されることなく、凝集力を有する主として無機の微粒子が用いられる。いずれの機能性フィルムの製造においても、本発明の方法を適用することにより、十分な機械的強度を有する機能性塗膜が得られると共に、バインダー樹脂を大量に用いていた従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害を解消することができる。その結果、目的とする機能がより向上する。
【0029】
例えば、透明導電層の製造においては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒子が用いられる。ITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは、ATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることもできる。これら微粒子の粒子径は、導電フィルムの用途に応じて必要とされる散乱の度合いにより異なり、また、粒子の形状により一概には言えないが、一般に10μm以下であり、1.0μm以下が好ましく、5nm〜100nmがより好ましい。
【0030】
あるいは、有機質の導電性微粒子が用いられてもよい。有機質の導電性微粒子としては、例えば、金属材料を樹脂微粒子表面にコーティングしたもの等が挙げられる。
【0031】
本製造方法の適用によって、優れた導電性が得られる。本発明において、透明とは可視光を透過することを意味する。光の散乱度合いについては、導電層の用途により要求されるレベルが異なる。本発明では、一般に半透明といわれるような散乱のあるものも含まれる。
【0032】
強磁性層の製造においては、γ−Fe2 3 、Fe3 4 、Co−FeOx、Baフェライト等の酸化鉄系磁性粉末や、α−Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金属元素を主成分とする強磁性合金粉末等が用いられる。本製造方法の適用によって、磁性塗膜の飽和磁束密度が向上する。
【0033】
誘電体層や強誘電体層の製造においては、チタン酸マグネシウム系、チタン酸バリウム系、チタン酸ストロンチウム系、チタン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)、ジルコン酸鉛系、ランタン添加チタン酸ジルコン酸鉛系(PLZT)、ケイ酸マグネシウム系、鉛含有ペロブスカイト化合物等の誘電体ないしは強誘電体の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、誘電体特性ないしは強誘電体特性の向上が得られる。
【0034】
各種機能を発現する金属酸化物層の製造においては、酸化鉄(Fe2 3 )、酸化ケイ素(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al2 3 )、二酸化チタン(TiO2 )、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、酸化タングステン(WO3 )等の金属酸化物の微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、膜における金属酸化物の充填度が上がるため、各機能が向上する。例えば、触媒を担持させたSiO2 、Al2 3 を用いた場合には、実用強度を有する多孔質触媒層が得られる。TiO2 を用いた場合には、光触媒機能の向上が得られる。また、WO3 を用いた場合には、エレクトロクロミック表示素子での発色作用の向上が得られる。
【0035】
また、エレクトロルミネッセンス層の製造においては、硫化亜鉛(ZnS)微粒子が用いられる。本製造方法の適用によって、塗布法による安価なエレクトロルミネッセンス層の製造を行うことができる。
【0036】
本発明において、目的に応じて、上記各種の機能性微粒子から選ばれる機能性微粒子を分散した液を機能性塗料として用いる。
【0037】
導電性微粒子などの機能性微粒子を分散する液体としては、特に限定されることなく、既知の各種液体を使用することができる。例えば、液体として、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。これらのなかでも、極性を有する液体が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種以上の混合したものでも使用することができる。また、液体の種類により、分散剤を使用することもできる。
【0038】
また、液体として、水も使用可能である。水を用いる場合には、転写支持体が親水性のものである必要がある。樹脂フィルムは通常疎水性であるため水をはじきやすく、均一な膜が得られにくい。転写支持体が樹脂フィルムの場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいは転写支持体の表面を親水性にする必要がある。
【0039】
用いる液体の量は、特に制限されず、前記微粒子の分散液が後述する塗布方法に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記微粒子100重量部に対して、液体100〜100,000 重量部程度である。前記微粒子と液体の種類に応じて適宜選択するとよい。一般的には、前記微粒子の粒径が小さくなるほど比表面積が大きくなり、粘度が高くなりやすい。比表面積が大きい微粒子を用いる場合は、液体の量を多くして、固形分濃度を下げればよい。また、塗膜厚みが薄い場合も、液体の量を多くして、固形分濃度の低い塗布液を用いるとよい。
【0040】
前記微粒子の液体中への分散は、公知の分散手法により行うとよい。例えば、サンドグラインダーミル法により分散する。分散に際しては、微粒子の凝集をほぐすために、ジルコニアビーズ等のメディアを用いることも好ましい。また、分散の際に、ゴミ等の不純物の混入が起こらないように注意する。
【0041】
前記微粒子の分散液は、樹脂を含まないことが好ましい。すなわち、樹脂量=0であることが好ましい。前記微粒子の分散液が樹脂を含まなければ、転写支持体上に塗布により形成された(圧縮前の)機能性微粒子含有層も樹脂を含まない。
【0042】
導電層においては、樹脂を用いなければ、樹脂によって導電性微粒子同士の接触が阻害されることがない。従って、導電性微粒子相互間の導電性が確保され、得られる導電層の電気抵抗値が低い。導電性を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、その量は、従来技術におけるバインダー樹脂としての使用量に比べると非常に少ない。例えば、分散液中における樹脂の含有量の上限は、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積である。従来技術においては、強い圧縮を行わないので、塗膜の機械的強度を得るためにバインダーを多く用いなければならなかった。バインダーとしての役割を果たす程度の量の樹脂を用いると、導電性微粒子同士の接触がバインダーにより阻害され、微粒子間の電子移動が阻害され導電性が低下する。
【0043】
一方、樹脂には導電層のヘイズを向上させる効果がある。しかしながら、導電性の点からすると、樹脂は、分散前の体積で表して、前記導電性微粒子の体積を100としたとき、25未満の体積の範囲内で用いられることが好ましく、20未満の体積の範囲内で用いられることがより好ましい。また、ヘイズの向上効果は少なくなるが、導電性の点からすれば、樹脂を用いないことが最も好ましい。
【0044】
WO3 微粒子やTiO2 微粒子などを始めその他の機能性微粒子を用いた機能性層においても、樹脂を用いなければ、樹脂によって各微粒子同士の接触が阻害されることがないため、各機能の向上が図られる。微粒子間の接触が阻害されず各機能を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であるが、その量は、前記各微粒子の体積を100としたとき、例えば約80以下の体積である。
【0045】
Al2 3 微粒子などを用いた触媒層においては、樹脂を用いなければ、樹脂によって触媒機能を有する微粒子の表面が覆われることがない。このため、触媒としての機能の向上が図られる。触媒層においては、層の内部に空隙が多い方が、触媒としての活性点が多くなるので、この観点からもなるべく樹脂を用いないことが好ましい。
【0046】
このように機能性層には、圧縮時において(すなわち、前記機能性微粒子の分散液中において)樹脂を用いないことが好ましく、用いるとしても少量が好ましい。用いる場合の樹脂量は、機能性層の目的に応じて、ある程度変化し得るので、適宜決定するとよい。
【0047】
前記微粒子の分散液には、導電性や触媒作用などの各機能に要求される性能を満たす範囲内で、各種の添加剤を配合してもよい。例えば、紫外線吸収剤、界面活性剤、分散剤等の添加剤である。
【0048】
本発明において、導電性微粒子などの機能性微粒子の分散液を転写支持体上に、塗布、乾燥し、転写支持体上に導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を形成する。
【0049】
転写支持体としては、特に限定されることなく、樹脂フィルム、金属、布、紙等の各種のものを用いることができる。しかしながら、後工程の圧縮の際に割れることがなく、また圧縮後の剥離が容易な可撓性を有するものが好ましい。転写支持体の形状は、フィルム状の他、箔状、メッシュ状、織物等が使用可能である。
【0050】
転写支持体として、圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが好適である。樹脂フィルムは軽量であり、取扱いも容易であり、さらに圧縮後の剥離も容易である。本発明では、高温での加圧工程や、焼成工程がないので、樹脂フィルムを転写支持体として用いることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネンフィルム(JSR(株)製、アートンなど)等が挙げられる。
【0051】
本発明において、転写支持体は、機能性微粒子含有層が形成されるべき表面にハードコート層を有していてもよい。転写支持体のハードコート層上に機能性微粒子含有層を形成すると、後の圧縮工程の際に、機能性微粒子がハードコート層に埋め込まれないため機能性微粒子の転写支持体との密着性が強くならず、機能性微粒子の支持体との密着性の方が強くなり、その結果、転写支持体から支持体へ機能性微粒子層の転写が容易となる。
【0052】
ハードコート層は、ハードコート剤を必要に応じて溶剤に溶解した液を、転写支持体ベース上に塗布、乾燥して、硬化させることにより形成することができる。
ハードコート剤としては、特に制限されることなく、公知の各種ハードコート剤を用いることができる。例えば、シリコーン系、アクリル系、メラミン系等の熱硬化型ハードコート剤を用いることができる。これらの中でも、シリコーン系ハードコート剤は、高い硬度が得られる点で優れている。
【0053】
また、不飽和ポリエステル樹脂系、アクリル系等のラジカル重合性ハードコート剤、エポキシ系、ビニルエーテル系等のカチオン重合性ハードコート剤等の紫外線硬化型ハードコート剤を用いてもよい。紫外線硬化型ハードコート剤は、硬化反応性等の製造性の点から好ましい。これらの中でも、硬化反応性、表面硬度を考慮すると、アクリル系のラジカル重合性ハードコート剤が望ましい。
【0054】
ハードコート剤の塗布は、グラビアシリンダー、リバース、メイヤーバー等のロールコーター、スリットダイコーター等公知の方法で行うとよい。
塗布後、適切な温度範囲で乾燥し、その後、硬化させる。熱硬化型ハードコート剤の場合には、適切な熱を与えて、例えばシリコーン系ハードコート剤の場合には60〜120℃程度に、1分間〜48時間加熱して硬化させる。紫外線硬化型ハードコート剤の場合には、紫外線照射を行い、硬化させる。紫外線照射は、キセノンランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等のランプを用いて、紫外線を200〜2000mJ/cm2 程度照射するとよい。ハードコート層の厚さは、例えば、0.5〜20μm程度であり、好ましくは2〜5μm程度である。
【0055】
転写支持体上への機能性微粒子分散液の塗布は、特に限定されることなく、公知の方法により行うことができる。例えば、1000cps以上の高粘度の分散液の塗布は、ブレード法、ナイフ法などの塗布法によって行うことができる。500cps未満の低粘度の分散液の塗布は、バーコート法、キスコート法、スクイズ法などの塗布法によって行うことができ、又は噴霧、吹き付けなどにより、支持体上へ分散液を付着させることも可能である。さらに、分散液の粘度によらず、リバースロール法、ダイレクトロール法、エクストルージョンノズル法、カーテン法、グラビアロール法、ディップ法などの塗布法を用いることも可能である。
【0056】
乾燥温度は分散に用いた液体の種類によるが、10〜150℃程度が好ましい。10℃未満では空気中の水分の結露が起こりやすく、150℃を越えると樹脂フィルム支持体が変形する。また、乾燥の際に、不純物が前記微粒子の表面に付着しないように注意する。
【0057】
塗布、乾燥後の機能性微粒子含有層の厚みは、次工程の圧縮条件や、圧縮及び支持体上に転写された後に最終的に得られる導電層などの各機能性層の用途にもよるが、0.1〜10μm程度とすればよい。
【0058】
このように、導電性微粒子などの機能性微粒子を液に分散させて塗布し、乾燥すると、均一な膜を作成しやすい。前記微粒子の分散液を塗布して乾燥させると、分散液中にバインダーが存在しなくても微粒子は膜を形成する。バインダーが存在しなくても膜となる理由は必ずしも明確ではないが、乾燥させて液が少なくなってくると毛管力のため、微粒子が互いに集まってくる。さらに微粒子であるということは比表面積が大きく凝集力も強いので、膜となるのではないかと考えている。しかし、この段階での膜の強度は弱い。また、導電層においては電気抵抗値が高く、電気抵抗値のばらつきも大きい。
【0059】
以上のようにして、転写支持体上に機能性微粒子含有層を形成し、転写前駆フィルムを得る。
【0060】
次に、転写前駆フィルムの機能性微粒子含有層を圧縮しながら、機能性層を形成すべき支持体上に転写する。
機能性層を形成すべき支持体としては、特に限定されることなく、樹脂フィルム、金属、布、紙等の各種のものを用いることができる。しかしながら、圧縮の際に割れることがないものが好ましい。支持体の形状は、フィルム状の他、箔状、メッシュ状、織物等が使用可能である。
【0061】
支持体の機能性層が形成されるべき表面は、転写支持体の機能性微粒子含有層が形成されるべき表面よりも柔らかいことが好ましい。圧縮工程の際に、機能性微粒子の転写支持体との密着性よりも、機能性微粒子の支持体との密着性の方が強くなり、その結果、転写支持体から支持体へ機能性微粒子層の転写が容易となる。
【0062】
支持体として、圧縮工程の圧縮力を大きくしても割れることがない可撓性樹脂フィルムが好適である。樹脂フィルムは軽量であり、取扱いも容易である。本発明では、高温での加圧工程や、焼成工程がないので、樹脂フィルムを支持体として用いることができる。樹脂フィルムとしては、転写支持体で挙げたものと同様のものが挙げられる。また、必要に応じて、支持体表面にコロナ放電処理や易接着処理がされていても良い。
【0063】
本発明において、支持体は、機能性層が形成されるべき表面に樹脂層を有していてもよい。樹脂層には、圧縮工程の際に、機能性微粒子の一部が該樹脂層に埋め込まれて、機能性微粒子の圧縮層が該樹脂層上に密着性良く形成される程度の柔らかさが求められる。従って、樹脂層は、例えば鉛筆硬度2Hよりも柔らかいことが好ましい。樹脂層に要求される柔らかさの程度は、転写支持体表面の硬さ(形成されている場合には、ハードコート層の硬さ)、機能性微粒子の種類や粒径、圧縮圧力等によっても変化する。
【0064】
支持体の樹脂層には柔らかい樹脂を用いることができ、このような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等の中から、比較的低い硬度が得られるものを用いる。樹脂層には、密着性に悪影響を与えない範囲で、樹脂層の硬さを調整するためのシリカなどの微粒子や、着色、紫外線吸収のためのフィラーを含ませることも可能である。圧縮後に、前記柔らかい樹脂層を熱や紫外線などで硬化させてもよい。例えば、前記ハードコート剤も硬化前であれば柔らかいので、この樹脂層に用いることができる。そして、圧縮後に硬化処理を施すことによりハードコート層とすることもできる。
【0065】
本発明では、機能性層が形成されるべき表面に直接、前記機能性微粒子の分散液を塗布しなくても良いので、例えば、樹脂層が前記分散液に可溶なものであっても、樹脂層が溶解されることなく、樹脂層上に圧縮層を形成できるという利点がある。
【0066】
機能性層を形成すべき支持体と転写前駆フィルムとを、支持体と転写前駆フィルムの機能性微粒子含有層とが接するように重ね合わせ、導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を圧縮し、支持体上に導電性微粒子などの機能性微粒子の圧縮層を形成する。
【0067】
圧縮することにより、膜の強度を向上させる。すなわち、圧縮することで導電性微粒子などの機能性微粒子相互間の接触点が増え接触面が増加する。このため、塗膜強度が上がる。微粒子は元々凝集しやすい性質があるので圧縮することで強固な膜となる。
【0068】
導電層においては、塗膜強度が上がると共に、電気抵抗が低下する。触媒層においては、塗膜強度が上がると共に、樹脂を用いないか又は樹脂量が少ないので多孔質膜となる。そのため、より高い触媒機能が得られる。他の機能性層においても、微粒子同士がつながった高い強度の膜とすることができると共に、樹脂を用いないか又は樹脂量が少ないので、単位体積における微粒子の充填量が多くなる。そのため、より高いそれぞれの機能が得られる。
【0069】
圧縮することにより、膜強度が向上されると共に、機能性微粒子含有層が転写支持体側から支持体側に転写される。
圧縮は44N/mm2 以上の圧縮力で行う。44N/mm2 未満の低圧であれば、導電性微粒子含有層などの機能性微粒子含有層を十分に圧縮することができず、導電性などの機能性に優れた導電層などの機能性層が得られにくい。138N/mm2 以上の圧縮力がより好ましく、183N/mm2 の圧縮力が更に好ましい。圧縮力が高いほど、塗膜強度が向上し、支持体との密着性が向上する。導電層においては、より導電性に優れた層が得られ、また、導電層の強度が向上し、導電層と支持体との密着性も強固となる。圧縮力を高くするほど装置の耐圧を上げなくてはならないので、一般には1000N/mm2 までの圧縮力が適当である。
【0070】
また、圧縮を前記支持体及び前記転写支持体が変形しない温度で行うことが好ましい。例えば、前記支持体及び/又は前記転写支持体が樹脂フィルムの場合、前記樹脂のガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。前記支持体が金属製の場合、前記金属が溶融しない温度範囲となる。
【0071】
圧縮は、特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に圧縮すべきフィルムを挟んで圧縮し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に高圧がかけられ、シートプレスよりも生産性が良く好適である。
【0072】
ロールプレス機のロール温度は生産性の点から常温(人間が作業しやすい環境)が好ましい。加温した雰囲気やロールを加温した圧縮(ホットプレス)では、圧縮圧力を強くすると樹脂フィルムが伸びてしまうなどの不具合が生じる。加温下で支持体の樹脂フィルムが伸びないようにするため、圧縮圧力を弱くすると、塗膜の機械的強度が低下する。導電層においては、塗膜の機械的強度が低下し、電気抵抗が上昇する。ロールプレス機で連続圧縮した場合に、発熱によりロール温度が上昇しないように温度調節することも好ましい。
【0073】
微粒子表面の水分の付着をできるだけ少なくしたいというような理由がある場合に、雰囲気の相対湿度を下げるために、加温した雰囲気としてもよいが、温度範囲はフィルムが容易に伸びてしまわない範囲内である。一般にはガラス転移温度(二次転移温度)以下の温度範囲となる。湿度の変動を考慮して、要求される湿度になる温度より少し高めの温度にすればよい。
支持体が金属製であれば、この金属が溶融しない温度範囲まで、加温した雰囲気にすることも可能である。
【0074】
なお、樹脂フィルムのガラス転移温度は、動的粘弾性を測定して求められ、主分散の力学的損失がピークとなる温度を指す。例えば、PETフィルムについて見ると、そのガラス転移温度はおよそ110℃前後である。
【0075】
ロールプレス機のロールは、強い圧力がかけられることから金属ロールが好適である。また、ロール表面をハードクロムやセラミック溶射膜、TiNなどのイオンプレーティングにより得た膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の硬質膜で処理しても良い。
【0076】
圧縮に続いて、転写支持体を機能性微粒子の圧縮層から剥離する。
このようにして、支持体上に、導電性微粒子などの機能性微粒子の圧縮層が形成される。導電性微粒子などの機能性微粒子圧縮層の厚みは、用途にもよるが、0.05〜10μm程度とすればよく、0.1〜5μmが好ましく、0.1〜3μmが更に好ましく、0.1〜2μmが最も好ましい。
【0077】
また、10μm程度の厚い圧縮層を得るために、転写前駆フィルムの作成の際に、微粒子の分散液の塗布、乾燥、圧縮の一連の操作を繰り返し行っても良い。
さらに、本発明において、支持体の両面に導電層などの各機能性層を形成することも勿論可能である。
【0078】
このようにして得られる透明導電層などの各機能性層は、優れた導電性や触媒作用などの各機能性を示し、バインダー樹脂を用いないか又はバインダーとしては機能しない程の少量の樹脂を用いて作成したにもかかわらず、実用上十分な膜強度を有し、支持体との密着性にも優れる。
【0079】
本発明の機能性フィルムの製造方法において、少なくとも2層の異なる機能性微粒子の圧縮層から構成された機能性微粒子圧縮層を得ることも可能である。
多層構造は、転写前駆フィルムの作成の際に、対応する機能性微粒子の分散液の塗布、乾燥の一連の操作を繰り返し、多層の機能性微粒子含有層を形成し、その後、圧縮を行うことによって得られる。
また、単層の機能性微粒子含有層を有する転写前駆フィルムを複数種作成し、順次、機能性微粒子含有層を圧縮し支持体上に転写させることも好ましい。
【0080】
多層機能性層の目的や用途に応じて、異なる機能を有する複数の機能性層を組み合わせて多層構造とするとよい。複数の機能性層の組み合わせによって、例えば、太陽電池用、エレクトロルミネッセンス素子用、エレクトロクロミック素子用等の多層機能性層が得られる。
【0081】
具体的には、太陽電池用としては、順に透明導電層、透明絶縁体層、I族 III族IV族からなるカルコパルライト構造半導体層、金属電極という多層構造が例示される。
分散型直流動作エレクトロルミネッセンス素子用としては、順に透明導電層、EL発光層、背面電極という多層構造が例示される。
透過型エレクトロクロミック素子用としては、順に透明導電層、第1発色層、誘電体層、第2発色層、透明導電層という多層構造が例示される。
これら以外にも、種々の用途に応じた種々の多層構造が考えられる。
【0082】
多層構造の場合、多層機能性層を構成する各層の全てが必ずしも圧縮層である必要はない。例えば、太陽電池用の場合に、透明導電層、透明絶縁体層、半導体層を圧縮により形成し、金属電極を蒸着により形成してもよい。
【0083】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0084】
図1は、本発明の製造方法における圧縮層の形成を説明するための図である。
図1において、ベースフィルム(2a)上にハードコート層(2b)が形成された転写支持体(2) 上に、機能性微粒子含有層(P4)が形成されて、転写前駆フィルム(5) とされている。ロールプレス機の上下一対のプレスロール(R1)(R2)の間に、支持体(1) と転写前駆フィルム(5) とを、支持体(1) の機能性層を形成すべき面とフィルム(5) の機能性微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせて挟み圧縮する。機能性微粒子含有層(P4)は圧縮されて圧縮層(4) となる。その後、両者(1) (5) が適宜配置されるガイドローラ(G1)(G2)を通過したところで、転写支持体(2) と圧縮層(4) とを剥離すると、支持体(1) 上に圧縮層(4) が転写形成される。
【0085】
実施例1〜は、エレクトロルミネッセンスパネル電極用途の透明導電性フィルムを得るために、導電性微粒子としてITO微粒子を用いた例である。
【0086】
(転写前駆フィルムの作成)
一次粒径が10〜30nmのITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部にエタノール300重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液を転写支持体(2) のハードコート層(2b)上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、ITO微粒子含有層(P4)を形成した。このようにして、転写前駆フィルム(5) を得た。ITO微粒子含有層(P4)の厚みは1.7μmであった。
【0087】
(支持体)
75μm厚のPETフィルムHSL(帝人デュポンフィルム製)を支持体(1) として用いた。
【0088】
(圧縮層の形成)
支持体(1) と転写前駆フィルム(5) とを、支持体(1) とITO微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせ、ロールプレス機を用いて挟み圧縮した。
【0089】
圧縮に先立って、まず、圧縮圧力の確認のための予備実験を行った。
一対の直径140mmの金属ロール(ロール表面にハードクロムめっき処理が施されたもの)を備えるロールプレス機を用いて、ロールを回転させず且つ前記ロールの加熱を行わないで、室温(23℃)にて、支持体(1) と転写前駆フィルム(5) とを挟み圧縮した。この時、フィルム幅方向の単位長さ当たりの圧力は1000N/mmであった。次に、圧力を解放し、圧縮され支持体に転写された部分のフィルム長手方向の長さを調べたら2mmであった。この結果から、単位面積当たりに500N/mm2 の圧力で圧縮したことになる。
【0090】
次に、予備実験に使用したものと同様の支持体(1) と転写前駆フィルム(5) とを金属ロール間に挟み前記条件で圧縮し、ロールを回転させ5m/分の送り速度で圧縮した。圧縮後に、転写支持体(2) を支持体(1) 上のITO微粒子の圧縮層(4) から剥離した。このようにして、支持体(1) 上にITO微粒子の圧縮層(4) が形成されたITOフィルム(図3)を得た。ITO微粒子圧縮層(4) の厚みは1.0μmであった。剥離は容易に行われ、ITO微粒子圧縮層(4) 面が完全に露出していた。
【0091】
(電気抵抗)
ITO微粒子圧縮層(4) が形成されたフィルムを50mm×50mmの大きさに切り出した。対角の位置にある角の2点にテスターをあてて電気抵抗を測定したところ、3kΩであった。
【0092】
(90度ピール試験)
ITO微粒子圧縮層(4) の支持体フィルム(1) との密着性及び圧縮層(4) の強度を評価するため、90度ピール試験を行った。図2を参照して説明する。
圧縮層(4) が形成されたフィルムにおける支持体フィルム(1) の圧縮層(4) が形成された面とは反対側の面に両面テープ(12)を貼った。これを大きさ25mm×100mmに切り出した。この試験サンプルをステンレス板(13)に貼った。試験サンプルが剥がれないように、サンプルの両端部(25mm辺)にセロハン粘着テープ(幅12mm、日東電工製、No. 29)(14)を貼った。(図2(a))。
【0093】
試験サンプルの圧縮層(4) 面にセロハン粘着テープ(幅12mm、日東電工製、No. 29)(15)をサンプルの長辺と平行になるように貼った。セロハンテープ(15)とサンプルとの貼付の長さは50mmであった。セロハンテープ(15)の貼付されていない端を張力計(16)に取り付け、セロハンテープ(15)の貼付面と非貼付面(15a) との成す角が90度になるようにセットした。セロハンテープ(15)を、100mm/分の速度で引っ張って剥がした。このときテープ(15)を剥がす速度と試験サンプルを貼り付けたステンレス板(13)が同じ速度で移動するようし、セロハンテープ(15)の非貼付面(15a) と試験サンプル面とが常に90度となるようにした。張力計(16)にて剥がすときに要した力(F) を計測した。(図2(b))。
【0094】
試験後、剥がされた圧縮層(4) 表面とセロハンテープ表面を調べた。両方の表面に粘着剤がある場合は、圧縮層(4) が破壊されたのではなく、セロハンテープの粘着剤層が破壊されたこと、すなわち、粘着剤の強度が剥がすときに要した力(F) の値であったということになり、圧縮層(4) の強度はその値(F) 以上となる。
【0095】
本試験においては、粘着剤の強度上限が6N/12mmであるため、表1に6N/12mmと表示したものは、上記のように両方の表面に粘着剤がある場合であって、密着性と圧縮層(4) の強度が6N/12mm以上であることを表す。これより小さい値の場合は、圧縮層(4) 表面に粘着剤がなくセロハンテープ表面に圧縮層の一部が付着しており、その値において、圧縮層(4) 中で破壊が生じたことを表す。3N/12mm以上の値であれば、実用的レベルである。
【0096】
上記90度ピール試験の結果、実施例1では、セロハンテープを剥がすのに6N/12mmの力を要した。ピール試験後の圧縮層(4) 表面を調べたところ、セロハンテープの粘着剤が付着していた。剥がしたセロハンテープの粘着面を調べたところ、粘着性があった。従って、圧縮層(4) の強度は6N/12mm以上であった。
【0097】
[実施例2〜6]
実施例1において、圧縮圧力をそれぞれ表1に示す値に変更して圧縮した以外は実施例1と同様にして、圧縮されたITOフィルムを得た。電気抵抗を測定し、90度ピール試験を行った。
【0098】
[比較例1]
比較のため、実施例1のITO微粒子含有層(P4)が形成された転写前駆フィルム(5) につき、物性試験を行った。圧縮処理されていないITO微粒子含有層(P4)の電気抵抗は340kΩであった。
【0099】
[実施例7]
実施例2において、圧縮時の送り速度を2.5m/分に変更した以外は実施例2と同様にして、圧縮されたITOフィルムを得た。電気抵抗を測定し、90度ピール試験を行った。
【0100】
[比較例2]
NMP900重量部にPVDF100重量部を溶解して、樹脂溶液とした。一次粒径が10〜30nmのITO微粒子(同和鉱業(株)製)100重量部に、前記樹脂溶液1000重量部とNMP900重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。
得られた塗液を50μm厚のPETフィルム上にバーコーターを用いて塗布し乾燥し(100℃、3分)、ITOフィルムを得た。ITO塗膜の厚みは1.0μmであった。電気抵抗を測定し、90度ピール試験を行った(ITO微粒子の体積を100としたときのPVDFの体積は383であった)。
90度ピール試験の結果は、3.4N/12mmであった。これは樹脂量が多いために塗膜表面にPVDFが滲み出て、塗膜表面に対するセロハンテープの密着性が低くなったためであり、塗膜は破壊されていなかった。従って、塗膜強度は3.4N/12mm以上であった。
【0101】
[実施例8]
(支持体)
50μm厚のPETフィルムHPE(帝人デュポンフィルム製)(1) の易接着面上に、シリコーンハードコート液KP−854(信越化学工業(株)製)を塗布、乾燥し、2μm厚の未硬化のシリコーンハードコート層(H) を形成した。
【0102】
(転写前駆フィルムの作成)
実施例1で用いたのと同じPETベースフィルム(2a)上にシリコーンハードコート層(2b)が形成された転写支持体(2) を用いた。実施例1と同様にして、この転写支持体(2) のハードコート層(2b)上に、ITO微粒子含有層(P4)を形成し、転写前駆フィルム(5) を得た。
【0103】
(圧縮層の形成)
シリコーンハードコート層(H) が形成された支持体(1) と、ITO微粒子含有層(P4)が形成された転写前駆フィルム(5) とを、シリコーンハードコート層(H) とITO微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせ、ロールプレス機を用いて挟み圧縮した。圧縮圧力:347N/mm2 。圧縮後に、転写支持体(2) を支持体(1) 上のITO微粒子の圧縮層(4) から剥離した。このようにして、図6に示す層構成の支持体(1) 上にシリコーンハードコート層(H) 及びITO微粒子の圧縮層(4) が形成されたITOフィルムを得た。剥離は容易に行われ、ITO微粒子圧縮層(4) 面が完全に露出していた。
次に、ITOフィルムを、100℃の雰囲気下に1時間おいて、未硬化シリコーンハードコート層(H) を硬化させた。ITO微粒子圧縮層(4) の厚みは1.0μmであった。電気抵抗を測定し、90度ピール試験を行った。
【0104】
【表1】
Figure 0004631221
【0105】
実施例1〜8及び比較例1〜2の測定結果を表1に示す。実施例1〜8の導電性フィルムはいずれも、電気抵抗値が低く、圧縮層の強度も強く、圧縮層と支持体フィルムとの密着性にも優れていた。
実施例1〜6から、プレス圧が高いほど導電性がより良好となり、圧縮層強度が強く、圧縮層と支持体フィルムとの密着性も強固となリ、セロハンテープの粘着剤が導電面に残ってしまうほどであった。
樹脂を含む導電層よりも樹脂を含まない導電層の方が、より優れた導電性が得られた。また、実施例1〜8の導電性フィルムはいずれも、可視光透過率の点においても透明性にも優れていた。
【0106】
これに対して、比較例1のものは、圧縮工程を行っていないので、実施例1〜6のものに比べ、電気抵抗値が高い。
比較例2のものは、従来のように圧縮しなくても塗膜が形成できるようにバインダー樹脂を多量に用いた。バインダー樹脂を多量に用いたので塗膜の強度は十分であったが、電気抵抗値が高かった。
【0107】
[実施例9:ITO/TiO2 多層機能性層の形成]
この実施例は、まず、ITO圧縮層を支持体上に転写形成し、次に、ITO圧縮層上にTiO2 圧縮層を転写形成した例である。本発明の製造方法における多層圧縮層の形成を説明するための図4及び図5を参照して説明する。
【0108】
1.第1圧縮層の形成
実施例2と同様にして、支持体(1) 上に第1圧縮層としてITO微粒子圧縮層(4I)を形成した。圧縮圧力:347N/mm2
【0109】
2.第2圧縮層の形成
(転写支持体)
実施例1で用いたのと同じPETベースフィルム(2a)上にシリコーンハードコート層(2b)が形成された転写支持体(2) を用いた。
【0110】
(転写前駆フィルムの作成)
一次粒径が30〜70nmのTiO2 微粒子100重量部にエタノール900重量部を加え、メディアをジルコニアビーズとして分散機にて分散した。得られた塗液を転写支持体(2) のハードコート層(2b)上に、バーコーターを用いて塗布し、50℃の温風を送って乾燥し、TiO2 微粒子含有層(P4II)を形成した。このようにして、転写前駆フィルム(5) を得た。TiO2 微粒子含有層(P4II)の厚みは0.7μmであった。
【0111】
(第2層圧縮層の形成)
図4に示すように、ITO圧縮層(4I)が形成された支持体(1) と、TiO2 微粒子含有層(P4II)が形成された転写前駆フィルム(5) とを、ITO圧縮層(4I)とTiO2 微粒子含有層(P4II)とが接するように重ね合わせ、ロールプレス機を用いて挟み圧縮した。圧縮圧力:347N/mm2 。圧縮後に、転写支持体(2) を支持体(1) 上のTiO2 微粒子の圧縮層(4II) から剥離した。このようにして、図5に示す層構成の支持体(1) 上にITO微粒子の圧縮層(4I)及びTiO2 微粒子の圧縮層(4II) が形成されたITO/TiO2 フィルムを得た。ITO微粒子圧縮層(4I)の厚みは1.0μmであり、TiO2 微粒子圧縮層(4II) の厚みは0.5μmであった。剥離は容易に行われ、TiO2 微粒子圧縮層(4II) 面が完全に露出していた。
【0112】
(90度ピール試験)
上記90度ピール試験の結果、セロハンテープを剥がすのに6N/12mmの力を要した。ピール試験後の圧縮層(4II) 表面を調べたところ、セロハンテープの粘着剤が付着し、ITO圧縮層(4I)とTiO2 圧縮層(4II) との間の剥がれもなかった。剥がしたセロハンテープの粘着面を調べたところ、粘着性があった。
従って、圧縮層(4I)(4II) の強度は6N/12mm以上であった。
得られたITO/TiO2 多層機能性フィルムは、太陽電池として利用できる。
【0113】
[実施例10:転写用機能性フィルムの作成]
この実施例は、本発明の方法により得られた圧縮されたITOフィルムを用いて、転写用ITOフィルムを作成し、転写用ITOフィルムのITO圧縮層をポリカーボネート基板上に転写した例である。図6〜図8を参照して説明する。
【0114】
1.圧縮層の形成
(支持体)
75μm厚のPETフィルムHSL(帝人デュポンフィルム製)(1) 上に、シリコーンハードコート液KP−854(信越化学工業(株)製)を塗布、乾燥し、2μm厚の未硬化のシリコーンハードコート層(H) を形成した。
【0115】
(転写前駆フィルムの作成)
実施例1で用いたのと同じPETベースフィルム(2a)上にシリコーンハードコート層(2b)が形成された転写支持体(2) を用いた。実施例1と同様にして、この転写支持体(2) のハードコート層(2b)上に、ITO微粒子含有層(P4)を形成し、転写前駆フィルム(5) を得た。
【0116】
(圧縮層の形成)
シリコーンハードコート層(H) が形成された支持体(1) と、ITO微粒子含有層(P4)が形成された転写前駆フィルム(5) とを、シリコーンハードコート層(H) とITO微粒子含有層(P4)とが接するように重ね合わせ、ロールプレス機を用いて挟み圧縮した。圧縮圧力:347N/mm2 。圧縮後に、転写支持体(2) を支持体(1) 上のITO微粒子の圧縮層(4) から剥離した。このようにして、図6に示す層構成の支持体(1) 上にシリコーンハードコート層(H) 及びITO微粒子の圧縮層(4) が形成されたITOフィルムを得た。剥離は容易に行われ、ITO微粒子圧縮層(4) 面が完全に露出していた。
次に、ITOフィルムを、100℃の雰囲気下に1時間おいて、未硬化シリコーンハードコート層(H) を硬化させた。ITO微粒子圧縮層(4) の厚みは1.0μmであった。
【0117】
2.転写用機能性フィルムの作成
(接着剤層の形成)
アクリル樹脂1BR−305(固形分:39.5%、大成化工(株)製)100重量部に、紫外線硬化型樹脂SD−318(大日本インキ化学工業(株)製)92重量部、メチルエチルケトン137重量部を加えて、接着剤層用塗布液とした。前記塗布液を、シリコーン剥離PETフィルムS314(R) 上に塗布、乾燥して、10μm厚の接着剤層(7) を形成した。
【0118】
上記1で得られたITOフィルムのITO圧縮層(4) と、シリコーン剥離PETフィルムS314(R) の接着剤層(7) とが接するように、両フィルムをラミネートした。このようにして、図7に示す層構成の転写用ITOフィルムを作成した。
【0119】
3.ポリカーボネート板への機能性層の付与
得られた転写用ITOフィルムのシリコーン剥離PETフィルムS314(R) を剥がして、接着剤層(7) を露出させ、接着剤層(7) が2mm厚みのポリカーボネート板(6) に接するようにラミネーターにて貼り付けた。紫外線を照射して、接着剤層(7) を硬化させた。その後、支持体PETフィルム(1) を剥がした。ポリカーボネート板(6) 上にITO圧縮層(4) が形成され、ITO圧縮層(4) 上には硬化したシリコーンハードコート層(H) が存在した。このようにして、図8に示すように、ポリカーボネート板(6) 上に、接着剤層(7) を介して、ITO圧縮層(4) が付与された。
【0120】
実施例1〜では、無機微粒子としてITO微粒子をそれぞれ用いて、無機機能性フィルムを作製した例を示した。実施例では、無機微粒子としてITO微粒子及びTiO2 微粒子を用いて、ITO/TiO2 多層機能性フィルムを作製した例を示した。上記実施例と同様にして、WO3 微粒子、Al2 3 微粒子等の種々の性質を有する無機微粒子を用いて、種々の無機機能性層を作製することができる。
【0121】
実施例10に示したように、本発明の方法により得られた機能性フィルムを用いて、転写用機能性フィルムを作成し、転写用機能性フィルムの機能性微粒子圧縮層を種々の基板上に転写することができる。板材のように可撓性に乏しい物体に均一厚みの機能性層を付与する場合に利点がある。
【0122】
前述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、機能性微粒子を含む塗料を転写支持体に塗布、乾燥して転写前駆フィルムを作成し、機能性層を形成すべき支持体と前記転写前駆フィルムとを重ね合わせて圧縮するという簡便な操作で機能性フィルムが得られる。本発明による機能性層は、十分な機械的強度を有すると共に、従来の塗布法におけるバインダー樹脂による弊害が解消され、その結果、目的とする機能がより向上する。
【0124】
本発明によれば、導電性塗料を転写支持体に塗布、乾燥して転写前駆フィルムを作成し、導電層を形成すべき支持体と前記転写前駆フィルムとを重ね合わせて圧縮するという簡便な操作で透明導電性フィルムが得られる。本発明による透明導電層は、導電性に優れ、透明性にも優れる。さらに、十分な機械的強度を有し、導電層と支持体との密着性も強固であり、長期間使用することが可能である。
【0125】
また、本発明の方法によれば、導電性フィルムの大面積化にも対応でき、装置が簡便で生産性が高く、低コストで透明導電膜を始め各種の機能性フィルムを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法における圧縮層の形成を説明するための図である。
【図2】 実施例における90度ピール試験を説明するための図である。
【図3】 本発明の製造方法で得られる機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図4】 本発明の製造方法における多層圧縮層の形成を説明するための図である。
【図5】 本発明の製造方法で得られる多層機能性層を有する機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図6】 本発明の製造方法で得られる機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図7】 本発明の製造方法で得られる機能性フィルムを用いて作成される転写用機能性フィルムの一例を示す断面図である。
【図8】 転写用機能性フィルムの機能性層が付与された物体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
(R1)(R2):プレスロール
(G1)(G2):ガイドローラ
(1) :支持体
(2) :転写支持体
(2a):転写支持体ベース
(2b):ハードコート層
(P4):機能性微粒子含有層
(4) :機能性微粒子圧縮層
(5) :転写前駆フィルム
(6) :対象物体
(7) :接着剤層
(H) :ハードコート層

Claims (10)

  1. 機能性微粒子を分散した液を転写支持体上に塗布、乾燥し、転写支持体上に機能性微粒子含有層が形成された転写前駆フィルムを作成し、
    機能性層を形成すべき支持体と前記転写前駆フィルムとを、支持体と前記機能性微粒子含有層とが接するように重ね合わせ、前記機能性微粒子含有層を44N/mm 2 以上の圧縮力で圧縮し支持体上に機能性微粒子の圧縮層を形成し、次いで
    転写支持体を前記機能性微粒子の圧縮層から剥離することを含む、支持体上に機能性微粒子の圧縮層からなる機能性層を少なくとも有する機能性フィルムの製造方法。
  2. 支持体の機能性層が形成されるべき表面は、転写支持体の機能性微粒子含有層が形成されるべき表面よりも柔らかい、請求項1に記載の機能性フィルムの製造方法。
  3. 前記機能性微粒子含有層を前記支持体及び前記転写支持体が変形しない温度で圧縮する、請求項1又は2に記載の機能性フィルムの製造方法。
  4. 前記機能性微粒子含有層をロールプレス機を用いて圧縮する、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  5. 前記転写支持体は、機能性微粒子含有層が形成されるべき表面にハードコート層を有する、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  6. 前記支持体が樹脂製フィルムである、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  7. 前記機能性微粒子が無機微粒子から選ばれる、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  8. 機能性層が、導電層、紫外線遮蔽層、赤外線遮蔽層、磁性層、強磁性層、誘電体層、強誘電体層、エレクトロクロミック層、エレクトロルミネッセンス層、絶縁層、光吸収層、光選択吸収層、反射層、反射防止層、触媒層及び光触媒層からなる群から選ばれる、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  9. 前記機能性微粒子として導電性微粒子を用いて、導電層を形成する、請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の機能性フィルムの製造方法。
  10. 前記導電性微粒子として、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)からなる群から選ばれる導電性無機微粒子を用いる、請求項に記載の機能性フィルムの製造方法。
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