JP2001315461A - 感熱孔版印刷マスター - Google Patents

感熱孔版印刷マスター

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JP2001315461A
JP2001315461A JP2000136167A JP2000136167A JP2001315461A JP 2001315461 A JP2001315461 A JP 2001315461A JP 2000136167 A JP2000136167 A JP 2000136167A JP 2000136167 A JP2000136167 A JP 2000136167A JP 2001315461 A JP2001315461 A JP 2001315461A
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JP
Japan
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film
master
heat
weight
polyetherimide
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JP2000136167A
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English (en)
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Tetsuya Yamagata
哲也 山形
Hirobumi Hosokawa
博文 細川
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カール性、低エネルギーでの穿孔性、および
経時変化に伴う品質の低下の少ない高品質の感熱孔版印
刷マスターを提供する。 【解決手段】 ポリエーテルイミドを含む2種以上の熱
可塑性樹脂からなるフィルムとポリエーテルイミドを含
む2種以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体とが実
質的に接着剤を介することなく接合されてなることを特
徴とする感熱孔版印刷マスター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッド、
あるいはハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュ
ランプ、レーザー光線等によって穿孔製版される感熱孔
版印刷マスター(以下、単にマスターということもあ
る。)に関し、更に詳しくは、穿孔感度に優れ、特にサ
ーマルヘッドによる低エネルギーでの穿孔性と画像性に
優れ、カール性の悪化を抑制した高品質なマスターに関
するものであり、とくに、接着剤を用いず、穿孔性、画
像性、カール性に優れたマスターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、マスターとして、塩化ビニリ
デンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレン
フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムに、天然繊維、化学
繊維または合成繊維あるいはこれらを混抄した薄葉紙、
不織布、紗等によって構成された多孔性支持体を接着剤
で貼り合わせた構造のものが知られている(例えば、特
開昭51−2513号公報、特開昭57−182495
号公報など)。
【0003】しかしながら、昨今では、印刷物に対して
高い解像度が要求されており、例えばサーマルヘッドに
よる穿孔では高い解像度を得るために個々のヘッドを小
さくしヘッド加熱周期を短かくして、単位面積当たりの
穿孔数を増やす試みがなされている。このような場合に
おいて、短時間での適正な大きさの穿孔を得るため、ま
た、サーマルヘッドの負荷を抑え寿命を延長するため
に、個々のヘッドに供給するエネルギーを低減させる必
要があり、フィルムが低いエネルギーで穿孔できるこ
と、すなわち、フィルムの高感度化が望まれている。
【0004】また、経時変化に伴うフィルムの穿孔感度
の悪化が印刷時の画像性、解像度を悪化させる原因とな
っており、経時変化の少ない感熱孔版印刷用フィルムが
要求されている。
【0005】また、マスターのカール性不良が印刷機内
での搬送、排版時における着版ミス、マスター詰まり等
のトラブルの主たる原因となっており、カール性が良好
で搬送、排版時におけるトラブルの少ないマスターが要
求されている。
【0006】また、フィルムがサーマルヘッドから与え
られるエネルギーで開孔しても、開孔部分にフィルムと
支持体とを接着する接着剤がある場合には、その接着剤
によって印刷インキの透過性が阻害され、印刷用紙に画
線を構成する点を形成できなくなり画像性が低下するこ
とがあるので、使用する接着剤の量を出来るだけ少なく
することが要求されている。さらに、接着剤自体につい
ても、例えばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂の接着
剤を使用する場合には、これらの接着剤は印刷インクに
よって、軟化、膨張、溶解しやすいため耐インク性に劣
り、また硬化性の接着剤を使用する場合には、未硬化物
が残存しやすいために、製版時にサーマルヘッドに融着
を生じやすく、また、塩素化樹脂系の接着剤を使用する
場合には、製版時にサーマルヘッドに有毒な塩素ガスを
放出する等、それぞれ問題点がある。したがって、現
在、マスターとして接着剤を全く用いないものが望まれ
ている。
【0007】上記のような問題点を解決し上記のような
要望を満たすために、フィルムの熱特性を規定すること
によって印刷特性を改善したフィルム(特開昭62−2
82984号公報、特開平3−39294号公報、特開
平4−224925号公報等)が提案されており、ま
た、フィルムの高感度化を目的にポリマーの組成を規定
したフィルム(特開平2−158391号公報、特開平
10−119453号公報等)が提案されており、さら
に、特開平4−212891号公報においては熱可塑性
フィルムの片面に合成繊維が散布され熱圧着されてなる
繊維相が形成されていることを特徴とするマスターが提
案されている。しかし、これらの方法では、特に単位面
積当たりの多数の穿孔が必要とされる高解像度印刷機に
おいて、穿孔感度、カール性、画像性の点において不十
分であり、これらを同時に満足するものが求められてい
た。また、経時変化に伴うフィルム品質の低下も問題と
なっており、経時変化の少ない高品質なマスターが求め
られていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来技術では実現できなかった低エネルギーでの穿孔
性、カール性、画像性に優れ、印刷のバラツキが少な
く、経時変化に伴う穿孔感度の低下が少ない高品質のマ
スターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マスター
の機能、穿孔製版・印刷のメカニズムに着目し鋭意研究
した結果、ポリエーテルイミドを含む2種以上の熱可塑
性樹脂からなるフィルムとポリエーテルイミドを含む2
種以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体とが実質的
に接着剤を介することなく接合されてなる印刷マスター
は、高い穿孔性、画像性およびカール性と室温付近での
長期保存安定性を有することを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0010】すなわち、本発明に係る感熱孔版印刷マス
ターは、ポリエーテルイミドを含む2種以上の熱可塑性
樹脂からなるフィルムとポリエーテルイミドを含む2種
以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体とが実質的に
接着剤を介することなく接合されてなることを特徴とす
るものからなる。
【0011】この感熱孔版印刷マスターにおいては、ポ
リエーテルイミドが1〜50重量%含まれていることが
好ましい。また、ガラス転移温度としては75℃以上1
50℃以下であることが好ましい。さらに、フィルムの
結晶融解エネルギーが5〜65J/gの範囲にあること
が好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について望ましい実
施の形態とともにさらに詳しく説明する。本発明のマス
ターは、ポリエーテルイミドを含む2種以上の熱可塑性
樹脂からなるフィルムとポリエーテルイミドを含む2種
以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体とが実質的に
接着剤を介することなく接合されている必要がある。多
孔性支持体とは、印刷インキの透過が可能で、フィルム
が穿孔される加熱条件では実質的に熱変形を起こさない
多孔質のものであり、紙、不織布、織布、紗またはその
他の多孔体である。ポリエーテルイミドを含む2種以上
の熱可塑性樹脂からなる原料を使用することにより、フ
ィルム及び多孔性支持体の熱特性、特に熱収縮特性が良
好であり、カール性に優れかつ、サーマルヘッドから与
えられる熱に対して敏感な、低エネルギーでの穿孔性に
優れた画像性の高い高感度のマスターを得ることができ
る。また、マスターの室温付近での長期保存安定性も良
好となり、室温付近での経時変化の少ない高品質なマス
ターを得ることができる。
【0013】本発明のマスターに用いられる熱可塑性樹
脂としてはポリエーテルイミドに加えて、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、それぞれの共重合
体、およびそれらのブレンド物等が挙げられ、中でもポ
リエーテルイミドとポリエステル、およびその共重合
体、またはブレンド物を用いてなる熱可塑性フィルム
が、製膜性、強伸度特性等の観点から最も好ましい。
【0014】本発明でいうポリエーテルイミドとは、脂
肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミ
ド基を繰り返し単位として含有するポリマーであり、溶
融成形性を有するポリマーであれば、特に限定されな
い。例えば、米国特許第4141927、特許第262
2678号、特許第2606912号、特許第2606
914号、特許第2596565号、特許第25965
66号、特許第2598478号のポリエーテルイミ
ド、特許第2598536号、特許第2599171
号、特開平9−48852公報、特許第2565556
号、特許第2564636号、特許第2564637号
公報、特許第2563548号、特許第2563547
号、特許第2558341号、特許第2558339
号、特許第2834580号に記載のポリマーである。
本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリエーテル
イミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単
位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オ
キシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
【0015】具体的なポリエーテルイミドとしては、下
記一般式化1で示されるポリマーを例示することができ
る。
【0016】
【化1】
【0017】ただし、上記式中R1 は、6〜30個の炭
素原子を有する2価の芳香族または脂肪族残基;R2
6〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜
20個の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20個の
炭素原子を有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の
炭素原子を有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジ
オルガノシロキサン基からなる群より選択された2価の
有機基である。
【0018】上記R1 、R2 としては、例えば、下記式
群化2に示される芳香族残基を挙げることができる。
【0019】
【化2】
【0020】本発明では、ポリエステル(A)との相溶
性、コスト、溶融成形性等の観点から、下記式化3また
は化4で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4
−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロ
パン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フ
ェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。このポリエー
テルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、
ジーイープラスチックス社より入手可能である。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】本発明では、ガラス転移温度が好ましくは
350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエー
テルイミドが好ましく、2,2−ビス[4−(2,3−
ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物
とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミ
ンとの縮合物が、ポリエステル(A)との相溶性、コス
ト、溶融成形性等の観点から最も好ましい。このポリエ
ーテルイミドは、General Electric社
製で「Ultem1000または5000シリーズ」の
商標名で知られているものである。
【0024】本発明のマスターには、特に限定されない
が、ポリエーテルイミドが1重量%以上50重量%以下
含まれていることが好ましい。より好ましくは2重量%
以上40重量%以下、さらに好ましくは3重量%以上3
5重量%以下、もっとも好ましくは5重量%以上30重
量%以下である。なお、フィルムと多孔性支持体に含ま
れるポリエーテルイミドの濃度は異なっていても、同一
であってもよく、特に限定されない。マスターに含まれ
るポリエーテルイミドが1重量%未満であるとマスター
の熱収縮率が悪くなり、寸法安定性、平面性が悪くな
り、穿孔感度が低下することがあるので注意が必要であ
る。また、ポリエーテルイミドが50重量%を超えると
延伸性が低下し、押出されたポリマーに未溶融物が含ま
れやすくなるためか製膜時のフィルム破れが多発し生産
性が著しく低下して本発明のマスターを得難くなること
があるので注意が必要である。
【0025】なお、マスター中のポリエーテルイミドの
含有量は公知の測定により求めることが可能である。次
にマスター中のポリエーテルイミド含有量を求める例を
示すが、かかる例に限定されるものではない。
【0026】秤量したマスター(Xg)をヘキサフルオ
ロイソプロパノールとクロロホルムの混合溶液に溶解さ
せた後にアセトンで再沈させてポリエステルとポリエー
テルイミドの粉末状粒子を得る。得られた粉末状粒子か
らポリエーテルイミド成分をクロロホルムに溶出させ、
ろ過して取り出し秤量する(Yg)。式からフィルム
中に含まれるポリエーテルイミドの含有量を算出する。 ポリエーテルイミドの含有量=Y/X×100 [%] ・ ・ ・ (式)
【0027】本発明のマスターにおけるポリエステルと
は、ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とす
るポリマー、またはヒドロキシカルボン酸成分を構成成
分とするポリマー、またはこれらの共重合体、並びに混
合物である。
【0028】ポリエステルを構成するジカルボン酸成分
としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスル
ホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
等の芳香族ジカルボン酸成分や、コハク酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイ
マー酸、エイコサンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸成
分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジ
カルボン酸等を用いることができる。
【0029】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−
シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリアルキレングリコール、2,2′−ビス
(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等
を用いることができる。
【0030】また、ヒドロキシカルボン酸成分として
は、例えばグリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、
4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒド
ロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げるこ
とができる。
【0031】本発明におけるポリエステルとして好まし
くは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタ
レートとエチレンイソフタレートとの共重合体、エチレ
ンテレフタレートとエチレンナフタレートとの共重合
体、ヘキサメチレンテレフタレートとシクロヘキサンジ
メチレンテレフタレートとの共重合体、ポリエチレンテ
レフタレートとポリブチレンテレフタレートとのブレン
ド等を挙げることができる。穿孔感度と延伸性の点から
特に好ましくは、エチレンテレフタレートとエチレンイ
ソフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートと
エチレンナフタレートとの共重合体、ポリエチレンテレ
フタレートとポリブチレンテレフタレートとのブレンド
等である。
【0032】本発明では、特に限定されないが、ポリエ
ステルが50重量%以上99重量%以下含まれているこ
とが好ましい。より好ましくは60重量%以上98重量
%以下、さらに好ましくは65重量%以上97重量%以
下、もっとも好ましくは70重量%以上95重量%以下
である。フィルム中に含まれるポリエステルが50重量
%以上99重量%以下であると含まれるポリエーテルイ
ミドとの相溶性が良好となり、室温付近での長期保存安
定性が高くなるので好ましい。
【0033】本発明に用いられるポリエステルの固有粘
度は、ポリエーテルイミドとの溶融混練性、製膜性、溶
融押出時の耐分解性等の観点から、好ましくは0.5以
上1.4dl/g以下、より好ましくは0.55以上
1.2dl/g以下、最も好ましくは0.6以上1.0
dl/g以下である。
【0034】本発明におけるポリエーテルイミドを含む
2種以上の熱可塑性樹脂からなるフィルムとポリエーテ
ルイミドを含む2種以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性
支持体とが実質的に接着剤を介することなく接合される
とは、両者を接着剤を用いずに直接貼り合わせることを
いう。接着剤を介することなく接合するには、通常、フ
ィルムと多孔性支持体とを加熱しつつ両者を直接貼り合
わせる、熱接着により行なわれる。熱接着の方法は、一
旦フィルムを製膜した後に、該フィルムと多孔性支持体
とを熱接着する方法であっても、フィルムの製膜工程中
任意の段階において熱接着する方法であっても、いずれ
の方法であってもよいが、好ましくは後者の方法であ
り、特に好ましい方法は、フィルムを延伸する場合にお
いて、この延伸工程の前の段階でフィルムと多孔性支持
体とを熱接着し、その後の延伸工程において、さらにこ
の熱接着されたフィルムと多孔性支持体とを共延伸する
方法である。製膜段階で熱接着した方が、製造工程が簡
略化されるためコスト的に有利であり、特に、延伸段階
前に熱接着すると延伸により接着性が向上するからであ
る。
【0035】本発明において、上述の「共延伸する」と
は、未延伸不織布をフィルムと積層することにより重ね
た後に、両者を共に延伸に供することをいう。
【0036】熱接着の方法は、特に限定されないがフィ
ルムと多孔性支持体との密着性を高めるためには、好ま
しくは加熱ロールによる熱圧着が用いられる。また、熱
接着温度は50℃からマスターのガラス転移温度+20
℃の範囲であるのが好ましい。
【0037】本発明のマスターのガラス転移温度は特に
限定されないが、75℃以上150℃以下の温度範囲で
単一であることが好ましい。より好ましくは80℃以上
150℃以下の温度範囲で単一であることが好ましい。
さらに好ましくは85℃以上140℃以下の温度範囲で
単一であることが好ましい。マスターのガラス転移温度
が75℃以上150℃以下であると室温近傍での収縮が
小さくなり室温付近での長期保存安定性が高くなるので
好ましい。また、カールが生じにくくなり印刷機内での
搬送性、排版性が良好となるので好ましい。また、マス
ターのガラス転移温度が150℃以上になると、穿孔特
性が低下することがあるので注意が必要である。
【0038】本発明でいうガラス転移温度は、示差走査
熱分析における昇温時の熱流束ギャップからJIS K
7121に従って求めることができる。示差走査熱分析
による方法のみで判定しにくい場合には、動的粘弾性測
定あるいは顕微鏡観察などの形態学的方法を併用しても
良い。また、示差走査熱分析によってガラス転移温度を
判定する場合は、温度変調法や高感度法を使用すること
も有効である。該フィルムが2つ以上のガラス転移温度
を有する場合はフィルム中でポリエーテルイミドと熱可
塑性樹脂とが相溶しておらず、本発明の効果が得られな
いことがあるので注意が必要である。
【0039】本発明のマスターの結晶融解エネルギー
(ΔHu)は、特に限定されないが好ましくは5〜65
J/g、より好ましくは10〜60J/g、特に好まし
くは15〜55J/gである。ΔHuが5〜65J/g
であれば、穿孔感度のばらつきが小さく画像性が高くな
るので好ましい。
【0040】本発明のマスターは60℃で50時間処理
する前後での平均穿孔面積の比(処理後の平均穿孔面積
/処理前の平均穿孔面積)が0.9以上であることが好
ましい。より好ましくは0.92以上、さらに好ましく
は0.93以上である。平均穿孔面積の比が0.9より
も小さいとマスターの画像性が著しく低下し、印字抜け
等の印刷不良を起こすことがあるので注意が必要であ
る。
【0041】本発明のマスターのフィルムの熱収縮率は
要求される穿孔の方法によって決定され、特に限定され
ないが65℃、60分間処理した時のフィルムの長手方
向の熱収縮率が5%以下であることが好ましい。より好
ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下であ
る。65℃、60分間処理した時のフィルムの長手方向
の熱収縮率が5%以下であると、このフィルムを用いて
作成したマスターのカール性が良好となり、印刷機内で
の搬送性、排版性が良好となり好ましい。また経時変化
を起こしにくくなり室温付近での長期保存性が高まるの
で好ましい。
【0042】本発明のマスターのフィルムの熱収縮率は
要求される穿孔の方法によって決定され、特に限定され
ないが100℃、10分間処理した時のフィルムの長手
方向の熱収縮率が10%以上であることが好ましい。よ
り好ましくは12%以上、さらに好ましくは15%以上
である。100℃、30分間処理した時のフィルムの長
手方向の熱収縮率が8%以上であると細孔の径が大きく
かつ均一となり穿孔性が高まるので好ましい。
【0043】本発明のマスターのフィルムの結晶融解エ
ネルギー(ΔHu)は、特に限定されないが好ましくは
5〜65J/g、より好ましくは10〜60J/g、特
に好ましくは15〜55J/gである。ΔHuが5〜6
5J/gであれば、フィルムの穿孔感度のばらつきが小
さく画像性が高くなるので好ましい。
【0044】本発明のマスターのフィルム厚さは、特に
限定されないが穿孔性と製膜安定性の点から好ましくは
0.2〜8μm、より好ましくは0.23〜7μm、さ
らに好ましくは0.25〜5μmである。
【0045】本発明のマスターのフィルムは、特に限定
されないが、穿孔感度を高め、画像性を向上する点か
ら、フィルムを常温から融点あるいは分解点まで昇温し
ながら幅方向および長手方向の熱収縮応力を測定した時
の、熱収縮応力のピーク値が100g/mm2 以上であ
ることが好ましい。より好ましくは130g/mm2
上である。
【0046】本発明の感熱孔版印刷用フィルムの融解温
度は、特に限定されないが、穿孔感度を高める点から1
30〜320℃が好ましい。さらに好ましくは、140
〜310℃、より好ましくは150〜300℃である。
【0047】本発明のマスターのフィルム中には、フィ
ルム巻き上げ工程、マスター作成時のコーティング、張
り合わせ工程および印刷時の作業性を向上させるため、
あるいは熱穿孔時のサーマルヘッドとフィルムとの融着
を防止するため、表面を粗面化してフィルムに適度な滑
り性を付与することが好ましく、本発明の効果を阻害し
ない範囲であれば無機粒子や有機粒子、その他の各種添
加剤、例えば可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、
滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤などを添加
してもかまわない。
【0048】無機粒子の具体例としては、酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンなど
の酸化物、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどの
複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸
塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタ
ン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リ
ン酸第3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第
1カルシウムなどのリン酸塩などを用いることができる
が、これらに限定されるわけではない。また、これらは
目的に応じて2種以上用いてもかまわない。 有機粒子
の具体例としては、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチ
レン粒子、スチレン・アクリル系およびアクリル系架橋
粒子、スチレン・メタクリル系およびメタクリル系架橋
粒子などのビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムア
ルデヒド、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレンな
どの粒子を用いることができるが、これらに限定される
ものではなく、粒子を構成する部分のうち少なくとも一
部がポリエステルに対し不溶の有機高分子微粒子であれ
ば如何なる粒子でも良い。また有機粒子は、易滑性、フ
ィルム表面の突起形成の均一性から粒子形状が球形状で
均一な粒度分布のものが好ましい。
【0049】これらの粒子の粒径、配合量、形状などは
用途、目的に応じて選ぶことが可能であるが、通常は、
平均粒子径としては0.01μm以上3μm以下の範
囲、配合量としては、0.01〜6重量%の範囲が好ま
しい。
【0050】本発明のマスターのフィルムは、未延伸、
未配向フィルムでもよいが、公知の方法により一軸ある
いは二軸延伸、熱固定した配向フィルムとすることによ
って強度、製膜安定性などの効果がより顕著に発揮され
る。特に、厚み均一性の点でステンター逐次二軸延伸法
により製膜されたものが好ましい。
【0051】本発明のマスターの多孔性支持体は、機械
強度、耐熱性の点から延伸した熱可塑性繊維からなるこ
とが好ましい。
【0052】本発明のマスターの多孔性支持体の結晶融
解エネルギー(ΔHu)は、製版後の排版性や耐久性の
面から、好ましくは20〜65J/g、より好ましくは
30〜65J/gである。また、多孔性支持体の結晶化
度は、穿孔における製版後の排版性の点から、好ましく
は20%以上であり、より好ましくは30%以上であ
る。
【0053】本発明のマスターの多孔性支持体は、全て
同一繊維径であってもよいし、異なる繊維径の繊維が混
繊されたものであってもよい。また、多孔性支持体は単
層構造に限らず、平均繊維径の異なるものを段階的に積
層した多層構造としてもよい。
【0054】本発明のマスターの多孔性支持体の目付量
は、印刷性の点から1〜20g/m 2 が好ましい。より
好ましくは2〜16g/m2 、さらに好ましくは2〜1
4g/m2 である。目付量が20g/m2 以下であれ
ば、インキの透過性が良好となり、印刷速度を早くして
も印刷画像がかすれたりすることがない。また、目付量
が1g/m2 以上であれば、インキの保持性が良好であ
り、鮮明な画像が得られる優れたマスターとすることが
できる。
【0055】また、多孔性支持体を構成する繊維の平均
直径は、0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは
1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μm、特に好
ましくは1〜5μmである。平均直径が20μm以下で
あれば、インキ透過性の均一なマスターとすることがで
きる。また、平均直径が0.5μm以上であれば支持体
として十分な強度が得られるので搬送性が良好となる。
【0056】本発明のマスターの製造法を、以下に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】本発明において、マスターのフィルムの製
造は、次の方法で製造することができる。本発明におい
て感熱孔版印刷用フィルムは、例えば、エチレンテレフ
タレートとエチレンイソフタレートの共重合体とポリエ
ーテルイミドを混合し、十分に乾燥させた後、押出し機
に供給して150〜350℃の押出機内で溶融しTダイ
押し出し法によりキャストドラム上に押し出すことによ
って未延伸フィルムを得る。この時の樹脂の乾燥条件
は、樹脂中の水分および低分子量物の除去を目的に樹脂
のTg―30℃以上融点以下の乾燥温度で10Torr
以下に減圧し3時間以上行うことが好ましく、5Tor
r以下に減圧し5時間以上行うことがより好ましい。ま
た押出し条件は、未延伸フィルムの成形に影響を与えな
い範囲でより低い温度、より短い滞留時間で押出すこと
が樹脂の熱分解を抑制するために好ましい。
【0058】溶融したフィルムと冷却ロールとの密着性
を向上させるには、通常静電印加密着法または液面塗布
密着法が好ましく採用される。この時、口金のスリット
幅、ポリマーの吐出量、キャストドラムの回転数を調整
することによって、未延伸フィルムを所望の厚さにする
ことができる。該未延伸フィルムは製膜安定性やフィル
ム厚み均一性の点からロールやテンターで同時あるいは
逐次二軸延伸することによって、二軸延伸フィルムを製
造することが出来る。また、逐次二軸延伸の場合、その
延伸順序は、フィルムを長手方向、幅方向の順、あるい
はこの逆としても良い。更に逐次二軸延伸においては、
長手方向、幅方向の延伸をそれぞれ2段階以上行うこと
も可能である。フィルムの延伸条件は、目的とするフィ
ルムの熱収縮特性および配向度、強度、弾性率に応じて
適宜調整し、任意の方法で行うことが出来る。フィルム
の延伸温度は用いる樹脂のガラス転移温度(Tg)−3
0℃以上、樹脂の結晶化温度+30℃以下の温度範囲の
より低い温度で行うことが好ましい。フィルムの長手方
向および幅方向の延伸倍率は、延伸温度をより低く設定
することが可能な1.2〜10倍の任意とすることがで
き、好ましくは1.5倍以上である。長手方向、幅方向
の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一でもよ
い。また、前記未延伸フィルムを面積倍率が5〜50倍
になるように同時に二軸延伸することも可能である。
【0059】かくして得られたフィルムを強度、経時安
定性、収縮特性の向上を目的に、任意の方法で熱処理を
行うことができる。熱処理温度は30℃以上融点以下の
範囲のより低い温度が好ましく、より好ましくは130
℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
また熱処理時間は任意とすることができるが、1秒〜5
分程度である。好ましくは1〜60秒の範囲で行う。熱
処理はフィルムを長手方向および/または幅方向に弛緩
させつつ行ってもよく、段階的に冷却を行ってもよい。
【0060】本発明のマスターのフィルムは多孔性支持
体との接着性を向上させるため、コロナ放電処理、薬液
処理、火炎処理、紫外線処理、プラズマ処理などの各種
表面処理を施すこともできる。さらに必要に応じコーテ
ィング処理を施すこともできる。フィルムに離型層を設
けることによりスティック防止性および原稿との癒着防
止性を付与したり、あるいは多孔性支持体との接着性や
帯電防止性を付与してもよい。
【0061】本発明のマスターにおいて、熱可塑性フィ
ルムと熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体との接着は、
特に限定されるものではないが、熱可塑性フィルムと熱
可塑性繊維からなる多孔性支持体とを重ねあわせて熱圧
着する方法が好ましい。
【0062】用いる多孔性支持体は熱可塑性繊維からな
る未延伸不織布を二軸延伸したものが好ましい。二軸延
伸する場合の方法は、上記フィルムと同様に逐次二軸延
伸法、同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよい。
逐次二軸延伸法の場合、未延伸不織布を縦方向、横方向
の順に延伸するのが一般的であるが、逆に延伸してもよ
い。延伸倍率は、特に限定されるものでもなく、用いる
ポリマの種類によって適宜決定されるが、好ましくは
縦、横それぞれ2〜8倍、より好ましくは3〜8倍が適
当である。さらにその後、二軸延伸後の多孔性支持体を
熱処理してもよい。熱処理温度は、50〜150℃が好
ましい。熱処理時間は、0.5秒〜10分が好ましい。
次いで、上記フィルムと熱圧着し接着することでマスタ
ーを作製することができる。
【0063】本発明における熱可塑性フィルムと熱可塑
性樹脂からなる多孔性支持体の熱圧着の方法は、特に限
定されるものではないが、加熱ロールによる熱圧着が、
プロセスの容易さの点から特に好ましい。本発明におい
て、熱圧着は熱可塑性フィルムをキャスト化した後、延
伸工程の前段階で行なうのが好ましい。熱圧着温度は5
0℃から熱可塑性繊維のガラス転移温度(Tg)+20
℃の間が好ましい。
【0064】次いで熱圧着した熱可塑性フィルムと熱可
塑性繊維からなる未延伸不織布とを共延伸することも好
ましく用いることができる。熱圧着した状態で共延伸す
ることにより、フィルムと多孔性支持体とが一体となっ
て延伸することができる。また、両者を一体で共延伸す
ることにより熱可塑性繊維からなる多孔性支持体が補強
体の役目をなし、熱可塑性フィルムが破れたりすること
がなく極めて安定に製膜することができる。
【0065】さらに、熱処理後一旦30℃以下に冷却し
たフィルムを張力下あるいは無張力下で40〜100℃
の温度に10秒〜1週間程度置くエージング処理を行い
フィルムの熱特性を調節することができる。このエージ
ング処理は、前記熱処理と同様、製膜工程の中に組み込
まれてもよいが、熱処理後一旦巻き取って得たロール状
のフィルムにこのような処理を施すことがより好まし
い。
【0066】本発明における共延伸の方法は、マスター
の穿孔感度向上および熱可塑性繊維からなる多孔性支持
体を形成する繊維の均一分散性の点で二軸延伸が好まし
い。二軸延伸は、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法
のいずれの方法であってもよい。逐次二軸延伸法の場
合、縦方向、横方向の順に延伸するのが一般的である
が、逆に延伸してもよい。延伸温度は、延伸に用いるポ
リエステル繊維のガラス転移温度(Tg)と昇温結晶化
温度(Tcc)との間であるのが好ましい。延伸倍率は
特に限定されるものではなく、用いる熱可塑性フィルム
用ポリマーの種類やマスターに要求される穿孔感度等に
よって適宜決定されるが、縦横それぞれ2〜5倍程度が
適当である。また、二軸延伸後、縦、または横、あるい
は縦横に再延伸してもかまわない。さらに本発明のマス
ターに、二軸延伸後熱処理を施すことも好ましい。ま
た、処理して得られたマスターを一旦室温程度まで冷却
した後、さらに40〜90℃の比較的低温で、5分から
1週間程度エージングすることもできる。このようなエ
ージングを採用すると、マスターの保管時あるいは印刷
機の中でのカール、シワの発生が少なく特に好ましい。
【0067】本発明のマスターは、フィルムのサーマル
ヘッドに接触すべき片面に穿孔時の融着を防止するた
め、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹
脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有
機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤等
からなる薄層を設けることが好ましい。該融着防止の薄
層の厚みは好ましくは0.005〜0.4μm、より好
ましくは0.01〜0.4μmである。
【0068】本発明のマスターにおいて、融着防止の薄
層を設ける場合には、塗液は水に溶解、乳化または懸濁
した塗液の状態で塗布し、その後水を乾燥等によって除
去する方法が好ましい。塗布は、フィルムの延伸前ある
いは延伸後いずれの段階で行ってもよい。本発明の効果
をより顕著に発現させるためには、縦延伸後に横延伸す
るような逐次二軸延伸を行う場合は、横延伸前に、また
同時二軸延伸を行う場合には、延伸前に塗布するのが特
に好ましい。塗布方法は特に限定されないが、ロールコ
ーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコ
ーター等を用いて塗布するのが好ましい。また、融着防
止の薄層を設ける前に、必要に応じて塗布面に空気中、
その他種々の雰囲気中でコロナ放電処理等の活性化処理
を施してもよい。
【0069】[特性の測定方法] (1)固有粘度(dl/g) オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から、下式で計算した値を用いた。すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]2・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、
Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/1
00ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.34
3とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオスト
ワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で
示す。
【0070】(2)熱収縮率(%) JIS C−2318に規定された方法にしたがってフ
ィルム長手方向、幅方向の熱収縮率を測定した。サンプ
リング方法は、弾性率のサンプルと同様にした。試料幅
10mm、試料長200mmのサンプルをギアオーブン
により65℃、60分間、100℃、10分間2種類の
条件下で熱処理し、試料長の変化から、下記式により熱
収縮率を算出した。 熱収縮率(%) =[(熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)
/熱処理前の長さ]×100
【0071】(3)融解温度、結晶化温度、融解エネル
ギー(ΔHu)、ガラス転移温度(Tg) 示差走査熱量計(DSC)として、セイコー電子工業株
式会社製ロボットDSC「RDSC220」を用い、デ
ータ解析装置として、同社製ディスクステーション「S
SC/5200」を用いて、アルミニウム製受皿に5m
gの組成物またはフィルムサンプルを充填する。この試
料を常温から20℃/分の昇温速度で昇温して、昇温D
SC曲線を得た。融解温度、昇温結晶化温度は、JIS
K−7121にしたがい求めた。結晶融解エネルギー
は、まず結晶融解吸熱ピークの面積を求め、同じDSC
測定条件でインジウムの融解吸熱ピークの面積を基準と
して求めた。続いて一旦溶融したサンプルを急冷した後
に常温から20℃/分の昇温速度で昇温して、昇温DS
C曲線を得た。ガラス転移温度を、JIS K−712
1にしたがい求めた。
【0072】(4)フィルムの最大熱収縮応力 フィルムサンプルを幅4mm、測定長20mmとしてセ
イコーインスツルメンツ(株)製熱分析装置EXSTA
R6100を用い、一定測定長条件で25℃より10℃
/分の昇温速度で測定した。得られた曲線から最大熱収
応力を求めた。
【0073】(5)フィルムの厚さ フィルムサンプルを任意に10箇所を選び断面方向に切
り出し、電子顕微鏡で倍率2000倍で写真撮影を行
い、フィルムの厚さを測定した。これを10枚の写真に
ついて行い、その平均値で表した。
【0074】(6)平均繊維径 平均繊維径は、多孔性支持体の任意の10箇所を、電子
顕微鏡を用いて倍率2000倍で10枚の写真撮影を行
い、1枚の写真につき任意の15本の繊維の直径を測定
し、これを10枚の写真について行い、合計150本の
繊維径を測定して、その平均値を表したものである。
【0075】(7)目付量 マスターからポリエステルフィルムを注意深く剥離し、
多孔性支持体を20×20cmに切り取り、その重量を
測定して1平方メートル当たりの重量に換算した値であ
る。
【0076】(8)穿孔特性 作製したマスターを理想科学工業(株)製RISOGR
APH“GR377”に供給して、サーマルヘッド式製
版方式(600dpi)により、5mm角の黒ベタを格
子状に製版した。この際、サーマルヘッドに投入するエ
ネルギーを1ドット当たり17μJとした。この状態で
穿孔し、走査型顕微鏡で200倍の倍率でフィルムの穿
孔部分100個を観察し、フィルムの穿孔部分の面積を
測定した。1ドット当たりの穿孔面積の平均値と標準偏
差を求め、穿孔特性を下記の項目で評価した。感度、ば
らつきとも◎、○が実用に供し得るものである。
【0077】A.穿孔感度 ◎:平均穿孔面積が450μm2 以上のもの。 ○:平均穿孔面積が300μm2 以上450μm2 未満
のもの。 △:平均穿孔面積が150μm2 以上300μm2 未満
のもの。 ×:平均穿孔面積が150μm2 未満のもの。
【0078】B.穿孔のばらつき ばらつき度=10×log(穿孔面積の平均値/穿孔面
積の標準偏差)2 ◎:ばらつき度が15以上のもの ○:ばらつき度が10以上15未満のもの。 △:ばらつき度が5以上10未満のもの。 ×:ばらつき度が5未満のもの。
【0079】(9)カール性評価 マスターを10cm角に切り取り、50℃で30分間放
置した後、平板上にフィルム層を上にして置いたときの
カール状態を観察し、以下の基準で評価した。全くカー
ルをせずに平面を維持しているものを「◎」、端部分で
若干の浮き上がりがあるが、浮き上がり高さが1cm以
下であるものを「○」、端部分での浮き上がりが1cm
を超え、3cm以下であるものを「△」、端部分での浮
き上がりが3cmを超えるものを「×」、とした。◎、
○が実用に供するものである。
【0080】(10)長期保存安定性評価 マスターを60℃で50時間処理後の穿孔特性、カール
性を上記(8)穿孔特性、(9)カール性評価に基づい
て評価した。
【0081】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。 実施例1 (ポリエステルAの製造)テレフタル酸ジメチル80重
量部、イソフタル酸ジメチル20重量部、エチレングリ
コール64重両部およびエステル交換反応触媒として酢
酸カルシウム・1水和物0.09重量部、重合反応触媒
として三酸化アンチモン0.03重量部を加え、150
℃から240℃に2時間かけて昇温してメタノールを系
外に留出させてエステル交換反応を行った。次いでリン
酸トリメチル0.05重量部を加えた後、エチレングリ
コール中に均一に分散させた平均粒子径1.2μmのシ
リカ粒子を粒子として0.4重量部添加し過剰のエチレ
ングリコールを系外に留出させた。その後、240℃か
ら徐々に昇温、減圧し最終的に285℃50Paで重合
反応を行いポリエステルAを得た。
【0082】(未延伸不織布A、多孔性支持体Aの製
造)孔径0.30mm、孔数130個、オリフィスが一
列の矩形紡糸口金を用いて、ポリエチレンテレフタレー
ト(固有粘度=0.494)とポリエーテルイミドAを
9対1の比率で混合した原料を、口金温度290℃、吐
出量40g/分、熱風流量0.055Nm3 /分、熱風
温度295℃で、メルトブロー法にて紡出し、コンベア
上に繊維を捕集温度100℃で捕集して、目付量100
g/m2 の熱可塑性繊維からなる未延伸不織布Aを作製
した。得られた未延伸不織布Aを構成する熱可塑性繊維
の平均繊維径は、8.0μmであった。
【0083】該不織布シートを長手方向に2.5倍延伸
した後、幅方向に5.0倍延伸して、温度160℃で熱
処理を行い、繊維径4.3μm、目付8.0g/m2
幅方向に平行に配列した支持体単糸の複屈折0.189
の多孔性支持体Aを作製した。
【0084】(感熱孔版印刷マスターAの製造)得られ
たポリエステルAとGeneral Electric
社製の固有粘度0.68の”Ultem”1010(ポ
リエーテルイミドA)を9対1の比率で混合し、回転形
真空乾燥機を用いて150℃で5時間真空乾燥した。乾
燥したポリマーを押出し機に供給し、280℃で溶融
し、T型口金よりシート状にドラム上に押出し、冷却固
化して未延伸フィルムを得た。
【0085】次いで、未延伸フィルムと未延伸不織布A
を重ね、加熱ロールに供給してロール温度75℃で熱圧
着した。こうして得られた積層シートを95℃に加熱さ
れたシリコーンゴム製の延伸ロール(加圧ロール1.5
N/cm)で長手方向に3.5倍延伸し、さらにテンタ
ー式延伸機に送り込み、95℃に加熱して幅方向に3.
5倍延伸後、110℃で5秒間熱処理し、冷却した。得
られた積層シートのフィルム側の面にシリコーン系離型
剤をバーコーターを用いて0.05g/m2 塗布し、感
熱孔版印刷マスター(感熱孔版印刷マスターA)を得
た。
【0086】実施例2 (感熱孔版印刷マスターBの製造)ポリエステルAとポ
リエーテルイミドAを7対3の比率で混合した原料を用
いて、長手方向、幅方向の延伸温度を100℃、延伸倍
率をそれぞれ3.3、3.5倍とする以外は実施例1と
同様にして感熱孔版印刷マスター(感熱孔版印刷マスタ
ーB)を作成した。
【0087】実施例3 (ポリエステルBの製造)テレフタル酸ジメチル80重
量部、イソフタル酸ジメチル20重量部、1,4−ブタ
ンジオール56重量部、テトラブチルチタネート0.0
05重量部を150℃から210℃に4時間かけて昇温
してメタノールを系外に留出させてエステル交換反応を
行った。次いでテトラブチルチタネート0.005重量
部を加えた後210℃から徐々に昇温、減圧し最終的に
260℃、50Paで重合反応を行いポリエステルBを
得た。
【0088】(感熱孔版印刷マスターCの製造)ポリエ
ステルAに代えてポリエステルBを用いること、ポリエ
ステルBとポリエーテルイミドAを8対2の比率で混合
した原料を用いること以外は実施例1と同様にして、感
熱孔版印刷マスター(感熱孔版印刷マスターC)を作成
した。
【0089】実施例4 (ポリエステルCの製造)テレフタル酸ジメチル100
重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール25重量
部、エチレングリコール53重量部 エステル交換反応
触媒および重合反応触媒としてテトラブチルチタネート
0.02重量部を加え、150℃から240℃に4時間
かけて昇温してメタノールを系外に留出させてエステル
交換反応を行った。次いで240℃から徐々に昇温、減
圧し最終的に280℃、50Paで重合反応を行いポリ
エステルCを得た。
【0090】(感熱孔版印刷マスターDの製造)ポリエ
ステルBに代えてポリエステルCを用いること意外は実
施例3と同様にして、感熱孔版印刷マスター(感熱孔版
印刷マスターD)を作成した。
【0091】比較例1 (感熱孔版印刷マスターEの製造)ポリエステルAとポ
リエーテルイミドAを10対0の比率で混合した原料を
使用する以外は実施例1と同様にして感熱孔版印刷マス
ター(感熱孔版印刷マスターE)を作成した。
【0092】比較例2 (感熱孔版印刷マスターFの製造)ポリエステルBとポ
リエーテルイミドAを10対0の比率で混合した原料を
使用する以外は実施例3と同様にして感熱孔版印刷マス
ター(感熱孔版印刷マスターF)を作成した。
【0093】比較例3 (感熱孔版印刷マスターGの製造)ブレンドチップを使
ず、ポリエステルAを用いて、実施例1と同様にして作
成した二軸延伸フィルム(二軸延伸フィルムG)の片面
に酢酸ビニル系接着剤を用いて実施例1で得た多孔性支
持体Aを貼り合わせ、さらにフィルムのもう一方の面に
シリコーン系離型剤をバーコーターを用いて0.05g
/m2 塗布し、感熱孔版印刷マスター(感熱孔版印刷マ
スターG)を作成した。
【0094】比較例4 (多孔性支持体Bの製造)孔径0.30mm、孔数13
0個、オリフィスが一列の矩形紡糸口金を用いて、ポリ
エチレンテレフタレート(固有粘度=0.494)のチ
ップを、口金温度280℃、吐出量40g/分、熱風流
量0.055Nm3 /分、熱風温度295℃で、メルト
ブロー法にて紡出し、コンベア上に繊維を捕集温度10
0℃で捕集して、目付量100g/m2 の熱可塑性繊維
からなる未延伸不織布を作製した。得られた不織布を構
成する熱可塑性繊維の平均繊維径は、8.0μmであっ
た。
【0095】(感熱孔版印刷マスターHの製造)多孔性
支持体Aの代わりに多孔性支持体Bを使用する以外は、
実施例1と同様にして感熱孔版印刷マスターHを作成し
た。
【0096】得られた感熱孔版印刷マスターA〜Hの評
価結果を表1に示す。本発明の感熱孔版印刷マスターA
〜Dは、高い穿孔性、カール性を持ち、室温付近での長
期保存安定性に優れた、高品質な感熱孔版印刷マスター
であることがわかる。
【0097】
【表1】
【0098】
【発明の効果】本発明によれば、高い穿孔性、カール
性、室温付近での長期保存安定性を有する感熱孔版印刷
マスターが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 恒川 哲也 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 2H114 AB21 AB23 AB25 BA06 BA10 DA41 DA47 DA49 DA56 DA58 FA04 FA06 FA08 4J002 BB03X BB12X BD04X BD10X CF00X CF06X CF07X CF08X CF10X CF18X CL00X CM04W GS00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテルイミドを含む2種以上の熱
    可塑性樹脂からなるフィルムとポリエーテルイミドを含
    む2種以上の熱可塑性樹脂からなる多孔性支持体とが実
    質的に接着剤を介することなく接合されてなることを特
    徴とする感熱孔版印刷マスター。
  2. 【請求項2】 ポリエーテルイミドが1〜50重量%含
    まれていることを特徴とする請求項1に記載の感熱孔版
    印刷マスター。
  3. 【請求項3】 ガラス転移温度が75℃以上150℃以
    下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感
    熱孔版印刷マスター。
  4. 【請求項4】 結晶融解エネルギーが5〜65J/gで
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    感熱孔版印刷マスター。
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