JP2001278937A - 架橋ポリアミノ酸及びその製造方法 - Google Patents

架橋ポリアミノ酸及びその製造方法

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JP2001278937A
JP2001278937A JP2000094329A JP2000094329A JP2001278937A JP 2001278937 A JP2001278937 A JP 2001278937A JP 2000094329 A JP2000094329 A JP 2000094329A JP 2000094329 A JP2000094329 A JP 2000094329A JP 2001278937 A JP2001278937 A JP 2001278937A
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Yoshihiro Irisato
義広 入里
Chojiro Higuchi
長二郎 樋口
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、生産性に優れた架橋ポリア
ミノ酸及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも2個のイソシアナート基を有
する化合物により架橋した架橋ポリアミノ酸;並びに、
ポリコハク酸イミド又はポリアミノ酸の鎖延長と架橋反
応とを同時に行うことを特徴とする架橋ポリアミノ酸の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有する
架橋ポリアミノ酸及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等
の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダ
ーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携
帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使
い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェ
ル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水
材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固
定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テ
ープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸
用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シー
ト等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シー
ト等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用
のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリ
ート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資
材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブ
ル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連
資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去
剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等
の幅広い分野に使用されている。
【0003】また、その薬品徐放性を利用して、徐放性
肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用途にも期待されて
いる。
【0004】さらにその親水性を利用して湿度調整材、
電荷保持性を利用して帯電防止剤等への使用も期待され
る。
【0005】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4,625,001号)、澱粉−アクリロ
ニトリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−43
995号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開
昭51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸エ
ステル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689
号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許68,18
9号)、カチオン性モノマーの架橋体(米国特許4,9
06,717号)、架橋イソブチレン−無水マレイン酸
共重合体(米国特許4,389,513号)などが知られ
ている。
【0006】ところが、これらの吸水性樹脂組成物は分
解性を有しないため、使用後の廃棄が問題である。
【0007】現状では、これらの吸水性樹脂は、廃棄時
には焼却処理する方法と埋め立てする方法が行われてい
るが、焼却炉で処理する方法では、焼却時に発生する熱
による炉材の損傷のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原
因となることが指摘されている。また、埋め立て処理す
る方法では、プラスチックは容積が嵩張ったり、腐らな
いために、地盤が安定しない等の問題があるうえ、埋め
立てに適した場所が年を追うごとに少なくなってきたこ
とが大きな問題となっている。
【0008】すなわち、これらの樹脂は分解性に乏し
く、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物
処理における環境保全を考えると非常に重大な問題であ
る。例えば、紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表さ
れる使い捨て用途の樹脂の場合、それらをリサイクルす
れば多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため
地球環境への負荷が大きい。また、農・園芸用保水材と
して架橋ポリアクリル酸樹脂を使用した場合、土壌中で
Ca2+等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶
性の層を形成すると報告されている(松本ら、高分子、
42巻、8月号、1993年)。
【0009】しかし、このような層はそのもの自体の毒
性は低いといわれてはいるが、自然界には、本来的に全
く存在してこなかったものである。そのため、長期に亘
るそれら樹脂の土中への蓄積による生態系への影響は不
明であり、十分に調べる必要があり、その使用には慎重
な態度が望まれる。
【0010】同様に、非イオン性の樹脂の場合、コンプ
レックスは形成しないが、非分解性のため土壌中へ蓄積
する虞があり、その自然界への影響については、より詳
細な検討が必要である。
【0011】さらに、これらの重合系の樹脂は、人間の
肌等に対して毒性の強いモノマーを使用しており、重合
後の製品からこれを除去するために多くの検討がなされ
ているが、完全に除くことは困難である。特に、工業的
規模での製造ではより困難となることが予想される。
【0012】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解
性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として
使用することも提案されている。このような用途に使用
されている生分解性を有する吸水性樹脂としては、例え
ば、ポリエチレンオキシド架橋体(特開平6−1577
95号)、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメ
チルセルロース架橋体(米国特許4,650,716
号)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架
橋体などが知られている。
【0013】これらの中で、ポリエチレンオキシド架橋
体、ポリビニルアルコール架橋体は、特殊な菌のみでし
か、生分解することができないので、一般的な条件では
生分解性は遅かったり、又は、全く分解しなかったりす
る。さらに分子量が大きくなると、極端に分解性が低下
したり、非分解性となる。
【0014】また、カルボキシメチルセルロース架橋
体、アルギン酸架橋体、デンプン架橋体等の糖類架橋体
は、その分子内に強固な水素結合を多く含むために、分
子間、ポリマー間の相互作用が強く、そのため分子鎖が
広く開くことができず、吸収能は高くない。
【0015】[ポリアミノ酸系吸水性樹脂の技術的背
景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分
解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に
吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体
内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが
明らかにされているので、人に対してもやさしい素材で
ある。
【0016】このような樹脂の具体例としては、例え
ば、ポリ−γ−グルタミン酸にγ線を照射して製造され
る高吸水能を有する樹脂が公知である(国岡ら、高分子
論文集、50巻10号、755頁(1993年))。
【0017】しかしながら、工業的な観点からは、この
技術に用いる60Co照射設備は、放射能の遮断を行うた
めには大がかりな設備が必要であり、その管理にも十分
な配慮が必要であるため、現実的ではない。また出発物
質であるポリグルタミン酸が高価であることも問題点で
ある。
【0018】架橋アミノ酸樹脂を吸水性ポリマーに使用
する報告がされている[特表平6−506244号(米
国特許第5,247,068及び同第5,284,936
号)、特開平7−309943号]。しかし、いずれの
報告の場合も、これらの樹脂は吸水性が十分でなく、実
用的ではなかった。
【0019】また、酸性アミノ酸を架橋させてハイドロ
ゲルを得る方法が報告されている[米国特許第3,94
8,863号(特公昭52−41309号公報)特開平
5−279416号]。しかし、これらの樹脂は、吸水
性ポリマーとして使用できる吸水能は有しなかった。
【0020】さらに、特開平8−59820号に、酸性
ポリアミノ酸を塩基性ポリアミノ酸により架橋させた吸
水性樹脂が報告されている。
【0021】しかし、これらの方法では、記載された反
応における、ポリマーと架橋剤との反応性が低く、過酷
な条件下にて反応しなければならず、反応の制御がほと
んど不可能である。したがって、得られた樹脂は、性能
が十分とはいえなかった。
【0022】そこで、本発明者らは、特開平7−224
163号にて、ポリコハク酸イミドとジアミン化合物と
を反応させた後、又は、同時に加水分解することによ
り、塩水吸水能の高い吸水性樹脂を発明した。
【0023】また、特開平7−309943号、米国特
許第5,612,384号には、上記公報と同様のポリコ
ハク酸イミドと少なくとも2以上のアミノ基をもつ化合
物により架橋し、加水分解することにより得られる樹脂
が報告されている。これらの樹脂は、非常に吸水能に優
れ、有望な樹脂である。
【0024】ところが、これらの樹脂の製造を効率的に
行うためには架橋に用いる重合体がある程度の重合度を
必要とし、分子量が十分に高くない場合は、架橋剤量を
多く必要としたり、収率が低下する、架橋を均一に行わ
れない等の問題点を有していた。また前駆体である重合
体の製造において、重合度が十分な重合体を製造する方
法は多くの検討がなされているが、触媒を多く必要とす
るためその回収等にコストがかかったりして工業的に生
産するには多くの問題点を有していた。そこで本発明者
らは、分子量が低い重合体(前駆体)を利用して吸水性
樹脂を製造できれば上記問題が解決でき、工業的にも有
意義である点に着目した。
【0025】そして、本発明者らは、特開平11−21
7433号及び特開平11−217436号にて、鎖延
長剤を用いて、前駆体であるポリコハク酸イミドの分子
量を増大させる方法を提案した。この方法は、低分子量
の前駆体の分子量を増大させる有効な方法である。しか
し、産業上必要とされている架橋重合体を得るために
は、鎖延長反応の後、さらに架橋反応を行わなければな
らず、工程数が多い点に改善の余地を残していた。
【0026】以上の通り、従来技術においては、生分解
性を有する吸水性樹脂に対する要望は高く、それらを工
業的に安定して生産するためには、新しい構造を有する
化合物及び工程数の少ない製造法が要望されていた。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような課題を解決すること、すなわち生分解性を有し
且つ生産性に優れた架橋ポリアミノ酸を提供することに
あり、また生分解性を有する架橋ポリアミノ酸を生産性
良く製造できる方法を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、ポリアミノ酸の構造の
面では、少なくとも2個のイソシアナート基を有する化
合物を用いて架橋した構造を有するポリアミノ酸が優れ
た効果を奏することを見出し、製法の面では、鎖延長と
架橋反応とを同時に行う方法が優れた効果を奏すること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0029】すなわち本発明は、少なくとも2個のイソ
シアナート基を有する化合物により架橋した架橋ポリア
ミノ酸である。
【0030】さらに本発明は、ポリコハク酸イミド又は
ポリアミノ酸の鎖延長と、架橋反応とを同時に行うこと
を特徴とする架橋ポリアミノ酸の製造方法である。
【0031】
【発明の実施の形態】(1) 架橋ポリアミノ酸の構造 本発明の架橋ポリアミノ酸は、少なくとも2個のイソシ
アナート基を有する化合物により架橋した構造を有す
る。この架橋ポリアミノ酸は、その構造上から大きく分
けると重合体のポリマー基本骨格、側鎖部分、架橋部分
からなる。以下、これらを3つに分けて説明する。
【0032】(1−1) 架橋ポリアミノ酸のポリマー
基本骨格 本発明の架橋ポリアミノ酸のポリマー基本骨格は、ポリ
アミノ酸又はその共重合体であり、アミノ酸を繰り返し
単位として主鎖を形成する。アミノ酸は特に限定されな
いが、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン
酸が好ましい。これらは他のアミノ酸を繰り返し単位と
して含んでいても構わない。
【0033】酸性アミノ酸以外のアミノ酸成分の具体例
としては、例えば、20種類のタンパク質構成アミノ
酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニ
ン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸
性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性ア
ミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラ
ニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ
酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を
挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L
体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
【0034】また、アミノ酸以外の単量体成分を含んで
いても構わない。共重合体の場合の単量体成分の例とし
ては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミノホ
スホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン
酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が
挙げられる。
【0035】また、多価アミン、多価アルコール、多価
チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホス
ホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合
物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化
合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合
物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化
合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合
物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化
合物、多価金属等が挙げられる。共重合体である場合
は、ブロック・コポリマーであっても、ランダム・コポ
リマーであっても構わない。また、グラフト構造を有し
ていても構わない。ただし、重合体の繰り返し単位の総
数に対して、ポリアスパラギン酸等の酸性ポリアミノ酸
残基を50〜100モル%含むことが好ましい。このポ
リアスパラギン酸残基とは、ポリアスパラギン酸及び/
又はポリアスパラギン酸の塩からなる構成の繰り返し単
位である。
【0036】加水分解を施した重合体のポリマー基本骨
格としては、アスパラギン酸の場合は主鎖中のアミド結
合が、α結合である場合と、β結合である場合がある。
グルタミン酸の場合は、主鎖中のアミド結合が、α結合
である場合と、γ結合である場合がある。
【0037】すなわち、ポリアスパラギン酸及びその共
重合体の場合は、アスパラギン酸もしくは共重合体単量
体のアミノ基等と、アスパラギン酸のα位のカルボキシ
ル基と結合した場合がα結合であり、アスパラギン酸の
β位のカルボキシル基と結合した場合がβ結合である。
ポリグルタミン酸及びその共重合体の場合は、グルタミ
ン酸もしくは共重合体単量体のアミノ基等と、グルタミ
ン酸のα位のカルボキシル基と結合した場合がα結合で
あり、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基と結合した
場合がγ結合である。これらのポリアスパラギン酸、ポ
リグルタミン酸の場合のその結合様式は、特に限定され
ない。
【0038】また、本発明の架橋ポリアミノ酸は鎖延長
反応によって分子量が増加することが特徴の一つでもあ
る。この鎖延長によって生成する部分を便宜的に「連結
基」と呼ぶ。この連結基の構造は特に限定されないが、
ポリアミノ酸末端のアミノ基とイソシアナート基が反応
した尿素結合、あるいはカルボキシル基とイソシアナー
ト基が反応したアミド基を有する場合が考えられる。
【0039】(1−2) 架橋ポリアミノ酸の側鎖構造 本発明の架橋ポリアミノ酸の側鎖基は特に限定されない
が、基本的には酸性ポリアミノ酸のカルボキシル基が置
換されたカルボン酸誘導体である。すなわち、酸性ポリ
アミノ酸から誘導された構造をとる。この酸性ポリアミ
ノ酸から誘導された構造は、酸性ポリアミノ酸のカルボ
キシル基から誘導された構造であり、カルボン酸、カル
ボン酸の塩、エステル、チオエステル、アミド等が挙げ
られる。カルボキシル基の対イオンとしては、アルカリ
金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等がある。
【0040】エステル、チオエステル、アミド等の場
合、縮合されたアルコール、チオール、アミン成分は置
換基を有していても構わない。これらは、ペンダント基
として表わすことができる。例えば、リジン等のアミノ
酸残基、カルボキシル基を有するペンダント基、スルホ
ン酸基を有するペンダント基、水酸基を有するペンダン
ト基等がある。ここで、カルボキシル基、スルホン酸基
の場合は、塩となっていても構わない。
【0041】(1−3) 架橋ポリアミノ酸の架橋構造 本発明の架橋ポリアミノ酸の架橋構造は、イソシアナー
ト基とポリアミノ酸が反応してできた構造であれば特に
限定されないが、架橋反応を行う重合体によって2通り
に分けて考えられる。
【0042】一つはポリコハク酸イミドの場合である。
イミド環自身はイソシアナート基との反応性は低いの
で、他の部分で架橋していることが考えられる。例え
ば、ポリコハク酸イミドの構造中に存在する、閉環して
いないカルボキシル基またはアミド基との反応、イミド
環を形成せず酸性アミノ酸のカルボキシル基の両方がア
ミノ基と結合した分岐構造中のアミド基、あるいは重合
体末端でイソシアナートとアミノ基、カルボキシル基と
反応して生成したアミド基との反応により、架橋構造が
形成されていることが考えられる。
【0043】もう一つは、ポリアミノ酸の場合である。
この場合、架橋構造は、基本的には、酸性ポリアミノ酸
から誘導された構造をとる。酸性ポリアミノ酸から誘導
された構造は、酸性ポリアミノ酸のカルボキシル基から
誘導された構造であり、アミドが考えられる。また、ウ
レタン結合、尿素結合、ビュレット結合、アロファネー
ト結合、イソシアナートの二量化、三量化による架橋構
造を含んでいても構わない。
【0044】(2) 架橋ポリアミノ酸の製造方法 本発明の架橋ポリアミノ酸の製造方法は、重合体(前駆
体)の鎖延長と、架橋反応とを同時に行うことを特徴と
する。この反応は、ポリコハク酸イミドやポリアミノ酸
に特定の反応試剤を反応させることにより実施できる。
以下に、その詳細について説明する。
【0045】(2−1) 鎖延長、架橋反応に用いる重
合体(前駆体) 鎖延長、架橋反応に用いる重合体(前駆体)は、ポリコ
ハク酸イミド、あるいはポリアスパラギン酸等のポリア
ミノ酸である。以下、それらについて説明する。
【0046】(2−1−1) ポリコハク酸イミド 本発明の架橋ポリアミノ酸の製造に用いるポリコハク酸
イミドの製造方法は特に限定されない。ポリコハク酸イ
ミドの分子量は、高い方が保水材としての能力が高くな
るので好ましい。一般的には3万以上、好ましくは5万
以上、より好ましくは9万以上である。
【0047】ポリコハク酸イミドの製造方法としては、
例えば、酸触媒を用いてアミノ酸を重合する方法があ
る。そのような技術としては、例えば、以下の〜に
挙げるようなものがある。
【0048】.P.Neriらの方法(Journa
l of Medicinal Chemistry、
1973年16巻8号):P.Neriらは、アスパラ
ギン酸にリン酸触媒を反応して得られた反応混合物を、
薄層状として加熱し、重合を行った結果を報告してい
る。この手法によって、真空系では、重合度n=110
0〜1600(分子量10.7〜15.5万相当)を有す
る高分子量のポリコハク酸イミドが得られる。具体的に
は、この報告においては、アスパラギン酸100g及び
リン酸50gを用いて得たペースト状反応混合物を、1
000cm2の面積を有するテフロン(登録商標)被覆
トレイ上で加熱している。
【0049】.米国特許5,142,062号:第1段
階として、アスパラギン酸とリン酸触媒の混合物を、温
度100〜250℃、圧力1bar未満で反応させ、分
子量1万〜10万のポリコハク酸イミドを含有する固体
反応混合物を製造し、第2段階として、この固体反応混
合物を0.001〜2mmの粒子サイズに粉砕し、さら
に第1段階の温度・圧力範囲から選択した条件下で重縮
合を行うことによって、分子量10万〜20万を有する
高分子量のポリコハク酸イミドを製造する技術が開示さ
れている。
【0050】.特開平7−216084号:アスパラ
ギン酸と酸性触媒の混合物を、常圧系で加熱し、ポリコ
ハク酸イミドを製造する方法が開示されている。実施例
3には、前記と同様に、アスパラギン酸、リン酸触媒
を反応して得た反応混合物を、ステンレス鋼パン上にて
層状として加熱し、重合を行った例が開示されている。
【0051】.特開平8−231710号:アスパラ
ギン酸1モル当たり酸性触媒0.005〜0.25モルが
均一に混合された混合物を、常圧系で加熱し、ポリコハ
ク酸イミドを製造する方法が開示されている。実施例2
では、アスパラギン酸、リン酸、及び、水を用いて得た
ペースト状の混合物を、40〜80℃で真空乾燥し、得
られた乾燥混合物を粉砕して、200℃、常圧系で重合
操作を行っている。
【0052】これら〜の技術では、酸性触媒を用い
るアスパラギン酸の重合において、真空系、及び/又
は、常圧系の反応が実施されている。
【0053】一方、有機溶剤中でポリこはく酸イミドを
製造する方法としては、例えば、以下の〜の方法が
知られている。
【0054】.米国特許第4,363,797号:イオ
ン交換樹脂を触媒として用い、アスパラギン酸を高沸点
溶剤中で200〜230℃で脱水縮合する方法が開示さ
れている。具体的には、例えば、アスパラギン酸と、触
媒としてのイオン交換樹脂(商品名アンバーライト)
と、高沸点溶剤としてのジフェニルエーテルとを容器内
に装入し、230〜240℃まで徐々に昇温すると20
0℃で脱水縮合が始まり、更に230〜240℃で2〜
3時間反応させ、その後、冷却、濾過してイオン交換樹
脂とポリこはく酸イミド回収し、イオン交換樹脂を濾別
する処理等を行なってポリこはく酸イミドを得る方法が
記載されている。
【0055】.特公昭52−8873号:アスパラギ
ン酸無水物の塩酸塩を原料として、ポリアスパラギン酸
を製造する方法が開示されている。具体的には、例え
ば、L−アスパラギン酸無水物の塩酸塩を不活性有機溶
剤であるキシレンに懸濁させ、還流下で加熱し、冷却、
濾過する方法が挙げられ、さらに、この反応温度を20
0℃とすると、原料の一部がポリこはく酸イミドに変化
することがあると開示されている。
【0056】.特開平7−196796号:アスパラ
ギン酸等を原料として、o−クレゾール等の溶媒で原料
を湿らし、硫酸水素ナトリウム存在下、ポリこはく酸イ
ミドを製造する方法が開示されている。
【0057】.特開平8−176297号:アスパラ
ギン酸を有機溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒
中、縮合りん酸の存在下にポリこはく酸イミドを製造す
る方法が開示されている。特に、高い分子量のポリこは
く酸イミドを得るには、触媒としてりん酸等を用いる事
が好ましいと開示されている。
【0058】これら〜の技術で得られるポリこはく
酸イミドの重量平均分子量は、〜の技術で得られる
ものと比較して、相対的に高い。
【0059】.特開平9−143265号:本発明者
らの先願の公開公報であり、アスパラギン酸類(アスパ
ラギン酸、アスパラギン酸塩、アスパラギン酸無水物の
塩等)を原料として、有機溶剤中で触媒の存在下に、ポ
リこはく酸イミドを製造する方法が開示されている。こ
の技術は、得られるポリこはく酸イミドの重量平均分子
量が、6万以上と高いものである点で極めて有意義であ
る。
【0060】本発明のポリコハク酸イミドの製造時に、
アスパラギン酸以外の他のアミノ酸を添加して共重合体
を製造することもできる。
【0061】アスパラギン酸以外のアミノ酸成分の具体
例としては、例えば、20種類のタンパク質構成アミノ
酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラニ
ン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸
性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性ア
ミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラ
ニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミノ
酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等を
挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体(L
体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
【0062】また、アミノ酸以外の単量体成分を添加し
て共重合体を製造することもできる。共重合成分は特に
限定されないが、酸性アミノ酸のカルボキシル基あるい
はアミノ基と反応できる官能基を少なくとも2個以上を
含むことが好ましい。
【0063】酸性アミノ酸試剤中の、酸性アミノ酸のカ
ルボキシル基と反応できる官能基としては、特に限定さ
れないが、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、チオ
ール基、ヒドラジノ基、カルバモイル基、スルホンアミ
ド基、ホスホンアミド基、イソシアナート基、エポキシ
基、オキサゾリル基、カルボジイミド基等が挙げられ
る。共重合試剤中の、酸性アミノ酸のアミノ基と反応で
きる官能基としては、特に限定されないが、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イソシアナート
基、エポキシ基、反応性二重結合、反応性三重結合等が
挙げられる。
【0064】これらの官能基のアスパラギン酸もしくは
グルタミン酸との反応は、特に限定されず、有機化学的
反応は全て用いることができる。例えば、脱水縮合、付
加、置換反応等が挙げられる。
【0065】共重合体製造時に添加する単量体成分の例
としては、アミノカルボン酸、アミノスルホン酸、アミ
ノホスホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカル
ボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸
等が挙げられる。
【0066】また、多価アミン、多価アルコール、多価
チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホス
ホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合
物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化
合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合
物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化
合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合
物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化
合物、多価金属等が挙げられる。
【0067】こうして得られたポリコハク酸イミドを用
いて、架橋重合体を製造する。
【0068】(2−1−2)ポリアミノ酸(前駆体) 本発明の架橋ポリアミノ酸の製造に用いるポリアミノ酸
(前駆体)の製造方法は、特に限定されない。ただし、
ポリアミノ酸としては酸性ポリアミノ酸が好ましく、ポ
リアスパラギン酸、ポリグルタミン酸が特に好ましい。
【0069】ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸
の製造方法は特に限定されないが、例えば、.発酵法
あるいは酵素法により製造したもの、.アスパラギン
酸−4−エステルあるいはグルタミン酸−5−エステル
のN−カルボキシ−α−アミノ酸無水物(NCA)を重
合し、エステル基を除去したもの等が挙げられる。の
アスパラギン酸−4−エステルあるいはグルタミン酸−
5−エステルのエステル基のアルコール成分は特に限定
されず、一般的に酸性ポリアミノ酸エステルの製造に用
いられるものは使用できる。
【0070】さらに、アスパラギン酸等を酸触媒の存在
下熱により重縮合したポリコハク酸イミドを加水分解し
たもの使用できる。特に工業的に効率よく製造できるポ
リコハク酸イミドを加水分解したものが好ましい。
【0071】本発明の架橋ポリアミノ酸の製造に用いる
前駆体の重量平均分子量(Mw)は、所望する特性を有
する生成物が実質的に得られれば特に制限されないが、
一般的には20,000〜1,000,000、より好ま
しくは50,000〜500,000、特に好ましくは7
0,000〜250,000である。
【0072】(2−2)架橋ポリアミノ酸の製造方法に
用いる反応試剤 本発明の架橋重合体の製造に用いられる反応試剤は、重
合体(前駆体)の鎖延長反応と架橋反応どちらも行うこ
とができるものである。この機能を発現できるものであ
れば特に限定されないが、少なくとも2個のイソシアナ
ート基を有する化合物(多価イソシアナート化合物)が
好ましく、特に、脂肪族ジイソシアナート等が好まし
い。
【0073】例えば、エチレンジイソシアナート、プロ
ピレンジイソシアナート、1,3−ジイソシアナトプロ
パン、ブチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイ
ソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ヘプ
タメチレンジイソシアナート、オクタメチレンジイソシ
アナート、ノナメチレンジイソシアナート、デカメチレ
ンジイソシアナート、ウンデカメチレンジイソシアナー
ト、ドデカメチレンジイソシアナート、ヘキサデカメチ
レンジイソシアナート、ビス(2−イソシアナトエチ
ル)エーテル、ビス(3−イソシアナトプロピル)エー
テル、ビス(4−イソシアナトブチル)エーテル、ビス
(5−イソシアナトペンチル)エーテル、ビス(6−イ
ソシアナトヘキシル)エーテル、ビス(12−イソシア
ナトドデシル)エーテル、1,2−ビス(2'−イソシア
ナトエトキシ)エタン、1,2−ビス(3'−イソシアナ
トプロポキシ)エタン、1,2−ビス(4'−イソシアナ
トブトキシ)エタン、1,3−ビス(2'−イソシアナト
エトキシ)プロパン、1,3−ビス(3'−イソシアナト
プロポキシ)プロパン、ビス(イソシアナトエチルオキ
シエチル)エーテル、ビス(イソシアナトプロピルオキ
シプロピル)エーテル、ビス(イソシアナトブチルオキ
シブチル)エーテル、キシリレンジイソシアナート、ビ
ス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナ
トプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプチル)ベ
ンゼン、トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、トリ
ス(イソシアナトエチル)ベンゼン、シクロヘキサンジ
イソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン、イソホロンジイソシアナート、ノルボルネンジ
イソシアナート、ビス−2,2−(4'−イソシアナトシ
クロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
【0074】これらの中では、加水分解を被りやすく、
芳香族化合物等を含まず、加水分解した単位が生分解性
に優れたもの用いることが好ましい。この場合、架橋重
合体の生分解性がより速くなる。このような点で好まし
い多価イソシアナート化合物としては、例えば、エチレ
ンジイソシアナート、プロピレンジイソシアナート、
1,3−ジイソシアナトプロパン、ブチレンジイソシア
ナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチ
レンジイソシアナート、ヘプタメチレンジイソシアナー
ト、ビス(2−イソシアナトエチル)エーテル、ビス
(3−イソシアナトプロピル)エーテル、ビス(4−イ
ソシアナトブチル)エーテル、1,2−ビス(2'−イソ
シアナトエトキシ)エタン、1,2−ビス(3'−イソシ
アナトプロポキシ)エタン、ビス(イソシアナトエチル
オキシエチル)エーテル等が挙げられる。さらに、工業
的に入手し易い、ブチレンジイソシアナート、ヘキサメ
チレンジイソシアナート等が特に好ましい。
【0075】(2−3) 架橋ポリアミノ酸の製造条件 架橋ポリアミノ酸の製造条件について、前駆体としてポ
リコハク酸イミドを用いた場合と、ポリアミノ酸を用い
た場合とに分けて説明する。
【0076】(2−3−1)ポリコハク酸イミドを用い
た場合の架橋ポリアミノ酸の製造条件 その製造条件については特に限定されないが、(2−
2)で説明した反応試剤である多価イソシアナート化合
物等を用いて、ポリコハク酸イミドの鎖延長反応と架橋
反応を同時に行い、残ったイミド環を加水分解する方法
が好ましい。
【0077】本発明の製造法に使用する反応試剤の量
は、反応試剤の反応基数、分子量によって決まる鎖延長
と架橋度によるが、使用する用途の種類によっても変わ
ってくる。便宜的に、架橋度とは、架橋間の距離もしく
は構成単量体の数、もしくはポリマー主鎖に対する架橋
部分の割合の度合いを表すものと定義する。
【0078】その使用量は特に限定されないが、架橋度
が大きすぎると、樹脂の吸水量が低下し、反対に架橋度
が小さすぎると水溶性となり、吸水性を示さなくなるの
で、適当な架橋度に調整する必要がある。
【0079】ポリコハク酸イミド(前駆体)の繰り返し
単位構造を100モル%とした場合、反応試剤の量は
0.01〜100モル%が好ましく、0.5〜50モル%
がより好ましい。
【0080】ここで、反応試剤は、必ずしもその全ての
官能基がポリコハク酸イミドと反応している必要はな
く、実質的に高い吸水量とゲル強度が発現でき、ゲルの
安定性が保つことができれば構わない。すなわち、本発
明の架橋ポリアミノ酸は2個以上の反応基が反応した架
橋した構造を含むが、反応基が未反応であるペンダント
構造も含んでも構わない。この場合、イソシアナート基
のような反応基は後の加水分解工程により加水分解して
アミノ基、アミド基等に分解される。
【0081】本発明の製造方法において架橋反応は、ポ
リコハク酸イミドが溶解した状態にて行われるのが好ま
しい。すなわち、有機溶媒に溶解したポリコハク酸イミ
ドの溶液に反応試剤を加え反応させる方法が挙げられ
る。
【0082】有機溶媒としては、一般的には、使用する
架橋剤を実質的に溶解できるような良溶媒を用いること
が好ましい。良溶媒の具体例としては、例えば、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミダゾ
リジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げ
ることができる。これらの中では、ポリコハク酸イミド
の溶解性が高い、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。これらの溶媒
は、単独でも、2種以上を混合して用いても構わない。
【0083】また、架橋反応を遅くすること、あるいは
原料や生成物を分散させることなどを目的として、必要
に応じて、ポリコハク酸イミドを溶解しない貧溶媒を加
えても構わない。この貧溶媒は、特に限定されず、反応
試剤と反応しないもの、もしくはわずかしか溶解しない
あれば、化学反応一般に使用される溶媒はいずれも使用
できる。
【0084】一方、水のような反応試剤と反応する溶媒
を用いて、反応後に生成する官能基を架橋剤として用い
ることもできる。例えば、イソシアナートを含有する反
応試剤の場合、水と反応してできたアミノ基をポリコハ
ク酸イミドの架橋剤として用いることができる。
【0085】鎖延長及び架橋反応が進行する時点のポリ
コハク酸イミドを含む溶液における、ポリコハク酸イミ
ドの濃度は特に限定されないが、一般的には、0.1〜
50質量%が好ましく、特に1〜40質量%が好まし
い。
【0086】反応試剤は、そのまま用いてもよいし、
水、有機溶媒に溶解、又は懸濁させて用いてもよい。反
応試剤を装入する時期は特に限定されないが、ポリコハ
ク酸イミドを有機溶媒に溶解した後に装入する方が、均
一な状態にて反応できるので好ましい。
【0087】本発明の架橋ポリアミノ酸の製造方法にお
いては、必要に応じて触媒を用いることができる。反応
を促進させる場合は塩基触媒を用い、反応を抑制させる
場合は酸触媒を用いることができる。使用する塩基ある
いは酸としては、特に限定されず、化学反応に用いられ
る一般的なものを全て用いることができる。
【0088】また、(2−2)にて説明した架橋剤以外
にも、ポリコハク酸イミドと反応できる架橋剤を併用し
ても構わない。例えば、多価アミン、多価チオール、多
価ヒドラジド等が挙げられる。ただし、反応試剤の反応
基、例えばイソシアナート基はアミノ基等との反応性が
著しく高いのでその使用方法については考慮する必要が
ある。
【0089】架橋反応に必要に応じて用いる触媒として
は、一般的には、塩基触媒である。塩基触媒としては、
中和に用いる塩基として後述するものを同様に使用でき
る。また架橋反応を遅くするために酸触媒を添加しても
構わない。
【0090】架橋反応における反応温度は、特に限定さ
れず、架橋剤の反応性や、ポリコハク酸イミドの分散状
態を考慮して、適宜決定すればよい。一般的には、0〜
200℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
【0091】架橋反応が完了した後は、架橋反応に用い
た有機溶媒を分離しないで、そのまま次の加水分解工程
へ進んでもよく、分離して架橋ポリコハク酸イミドとし
て取り出して次の加水分解工程へ進んでもよい。
【0092】架橋ポリコハク酸イミドと有機溶媒の分離
は、一般に用いられる方法に従えばよい。例えば、濾
過、デカンテーション、遠心分離等が採用できる。
【0093】また、架橋反応後の反応生成物は、系外に
取り出しても、必要により、そのまま連続的に加水分解
反応を行ってもよい。ここで、系外に反応生成物を取り
出す場合は、場合によっては反応生成物を乾燥して用い
ても構わない。
【0094】[イミド環の加水分解反応]架橋反応後の
反応生成物は、残ったイミド環の一部を加水分解する。
【0095】加水分解反応は水中にて行うが、加水分解
が進行するにつれ、樹脂がゲル化し膨潤してくるので、
ゲルの膨潤度を制御しつつ行うと効率的である。
【0096】架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環
の加水分解は、特開平11−5840号に記載の方法に
て容易に実施できる。すなわち、水と水混和性有機溶媒
混合液中、無機もしくは有機塩の水溶液中、或いは40
乃至100℃の温水中にて加水分解を行う方法であり、
これらの複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0097】架橋ポリコハク酸イミドのイミド環の加水
分解において、水中ではゲル化が著しくなり、攪拌が困
難となったり、有機溶媒中では沈殿物が凝集して攪拌困
難となったり、また加水分解が遅くなったり十分に進行
しなくなり、生成した樹脂の吸水量が低下するので、こ
れらの方法を用いる。
【0098】水混和性有機溶媒を使用する場合、使用す
る有機溶剤は、特に限定されないが、一般にはメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタ
ノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等の環状エーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、
N,N'−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキ
シド、スルホラン等がある。この中で、架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂として乾燥する際に、特に乾燥が容易で
あり、かつ乾燥後に組成物内に溶剤が残留しにくい点で
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノールが好ましい。
【0099】使用する水の使用量は容積効率を高めるた
めに、生成する吸水性樹脂の1〜10質量倍が好まし
く、特に1〜5質量倍が好ましい。
【0100】使用する水の割合は、混合溶媒に対して5
〜100質量%が好ましく、20〜80質量%が特に好
ましい。
【0101】無機もしくは有機塩を使用する場合、使用
する無機もしくは有機塩は、特に限定されず、一般的な
塩は広く使用できる。中性塩、塩基性塩、酸性塩が使用
できる。ここで多価金属塩の場合、イミド環の加水分解
で生成したカルボキシル基とイオン的に架橋するので架
橋度は高くなるので、濃度を高くできない。使用する塩
の添加の方法としては、水に加えて溶解させても、水中
で中和により生成させても構わない。また、架橋反応に
よって生じた塩をそのまま用いることもできる。使用す
る塩の濃度は、0.01〜20質量%が好ましく、0.1
〜5質量%がより好ましい。濃度が低すぎる場合は効果
が小さく、濃度が高すぎると塩が製品中に混入する場合
がある。
【0102】残りのイミド環の開環に使用できる試剤
は、特に限定されないが、一般的には、アルカリ水が用
いられる。使用するアルカリ水は特に限定されないが、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等
のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナ
トリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素
塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢
酸塩、シュウ酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモ
ニア水等が挙げられる。この中で、コスト的に安価な水
酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0103】残りのイミド環のアルカリ開環の反応液の
pHはアルカリ水の濃度によって変わる。pHが高すぎ
ると主鎖のアミド結合を切断し、生成する樹脂の吸水能
を低下させ、逆にpHが低すぎると、反応が遅くなり、
実用的でない。一般的には7.5〜13が好ましく、9
〜12がより好ましい。
【0104】架橋ポリコハク酸イミドのイミド環の開環
反応は、水中、5〜100℃にて行われる。10〜70
℃がより好ましく、特に10〜60℃が好ましい。
【0105】(2−3−2)ポリアミノ酸を用いた場合
の架橋ポリアミノ酸の製造条件 本発明の架橋ポリアミノ酸の製造においてポリアミノ酸
を用いる場合の製造条件については特に限定されない
が、ポリアミノ酸を(2−2)で説明した反応試剤を用
いて鎖延長反応と架橋反応を同時に行う方法が好まし
い。
【0106】この方法としては、(a)前駆体を架橋剤
を用いて溶液中で架橋する方法、(b)前駆体と架橋剤
を混合し、固相状態で熱により架橋する方法がある。
(a)の方法は溶液中にて行われ、(b)の方法は固体
状態にて行われる。
【0107】(a)の場合、すなわち溶液中にて反応を
行う方が好ましい。溶液ではない場合、架橋が均一に進
行せず好ましくない。使用する溶媒は前駆体が溶解する
溶媒であれば特に限定されない。
【0108】本発明の架橋重合体の製造方法において、
前駆体の架橋反応における濃度は特に限定されないが、
例えば、前駆体の濃度が2質量%〜60質量%が好まし
く、5質量%〜50質量%がより好ましく、5質量%〜
20質量%がより好ましい。
【0109】本発明の架橋反応は前駆体のカルボキシル
基が塩ではなくフリーのカルボン酸の状態にて反応す
る。
【0110】本発明のフリーのカルボキシル基の量は架
橋反応前に調整するか、或いは反応中のpHによって調
整できる。
【0111】使用する溶媒の具体例としては、例えば、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト
アミド、N−メチルピロリドン、N,N'−ジメチルイミ
ダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を
挙げることができる。これらの中では、ポリアミノ酸の
溶解性が高い、N,N'−ジメチルイミダゾリジノン、ジ
メチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。これら
の溶媒は、単独でも、2種以上を混合して用いても構わ
ない。
【0112】一方、水のような反応試剤と反応する溶媒
を用いて、反応後に生成する官能基を架橋剤として用い
ることもできる。例えば、イソシアナートを含有する反
応試剤の場合、水と反応してできたアミノ基をポリアミ
ノ酸の架橋剤として用いることができる。
【0113】本発明の製造方法において架橋反応はポリ
アミノ酸が溶解した状態にて行われるのが好ましい。す
なわち、有機溶媒に溶解したポリアミノ酸の溶液に反応
試剤を加え反応させる方法が挙げられる。
【0114】鎖延長及び架橋反応が進行する時点のポリ
アミノ酸を含む溶液におけるポリアミノ酸の濃度は特に
限定されないが、一般的には、0.1〜50質量%が好
ましく、特に1〜40質量%が好ましい。
【0115】本発明の製造法に使用する反応試剤の量
は、反応試剤の反応基数、分子量によって決まる鎖延長
と架橋度によるが、使用する用途の種類によっても変わ
ってくる。
【0116】その使用量は特に限定されないが、架橋度
が大きすぎると、樹脂の吸水量が低下し、反対に架橋度
が小さすぎると水溶性となり、吸水性を示さなくなるの
で、適当な架橋度に調整する必要がある。
【0117】ポリアミノ酸の繰り返し単位に対して、反
応試剤としては0.01〜100モル%が好ましく、特
に0.5〜50モル%が好ましい。
【0118】ここで、少なくとも2個の反応基を有する
化合物は、必ずしもその全ての官能基がポリアミノ酸と
反応している必要はなく、実質的に高い吸水量とゲル強
度が発現でき、ゲルの安定性が保つことができれば構わ
ない。すなわち、本発明の架橋ポリアミノ酸は2個以上
の反応基が反応した架橋した構造を含むが、反応基が未
反応であるペンダント構造も含んでも構わない。この場
合、イソシアナート基のような反応基は水と接触させ
る、高温をかける等により、分解させることが好まし
い。
【0119】また、使用する反応試剤はそのまま用いて
も、有機溶媒に溶解、又は懸濁させて用いることができ
る。反応試剤を装入する時期は特に限定されないが、ポ
リアミノ酸を有機溶媒に溶解した後が均一な状態にて反
応できるので好ましい。しかし、架橋反応前に装入し、
結果的に架橋反応中になっても構わない。
【0120】本発明の架橋ポリアミノ酸の製造方法にお
いては場合により触媒を用いることができる。反応を促
進させる場合は塩基触媒、金属触媒を用い、反応を抑制
させる場合は酸触媒を用いることができる。使用する塩
基あるいは酸としては、特に限定されず、化学反応に用
いられる一般的なものを全て用いることができる。金属
触媒はウレタン化に用いられる錫触媒が使用できる。
【0121】また、(2−2)にて説明した架橋剤以外
にもポリアミノ酸と反応できる架橋剤を併用して用いて
も構わない。例えば、多価アミン、多価チオール、多価
ヒドラジド等が挙げられる。ただし、反応試剤の反応
基、例えばイソシアナート基はアミノ基等との反応性が
著しく高いのでその使用方法については考慮する必要が
ある。
【0122】架橋反応における反応温度は、特に限定さ
れず、架橋剤の反応性や、ポリアミノ酸の分散状態を考
慮して、適宜決定すればよい。架橋反応を行なう反応温
度は、10〜300℃が好ましく、30〜200℃がよ
り好ましく、40〜150℃が特に好ましい。
【0123】(2−4)架橋ポリアミノ酸の後処理 本発明の架橋ポリアミノ酸の架橋反応後あるいは加水分
解反応後の処理方法については、特に限定されない。す
なわち、ポリコハク酸イミドの鎖延長・架橋反応後の後
処理、加水分解後の後処理、ポリアミノ酸の反応後の後
処理は特に限定されない。
【0124】例えば、中和、塩交換、乾燥、精製、造
粒、表面架橋処理等の処理を、必要に応じて行えばよ
い。以下、特に中和、塩交換、乾燥の処理について説明
する。
【0125】本発明の架橋ポリアミノ酸の中和処理は、
必要に応じて行えばよい。この中和処理により、架橋ポ
リアミノ酸の分子内に存在するカルボキシル基を塩又は
フリーのカルボン酸にすることができる。すなわち、酸
を用いることで架橋ポリアミノ酸中のカルボン酸塩をフ
リーのカルボン酸に変えることができ、逆に、アルカリ
を用いることで架橋ポリアミノ酸中のフリーのカルボン
酸をカルボン酸塩に変えることができる。この中和度は
特に限定されないが、一般的には架橋ポリアミノ酸の分
子内の繰り返し単位の総数を基準として、塩を形成する
カルボキシル基のを有する繰り返し単位の割合は、0〜
50モル%が好ましく、0〜30モル%がより好まし
い。特にポリコハク酸イミドを反応試剤を用いて鎖延長
・架橋した後、残りのイミド環を加水分解した後の水溶
液は、通常はアルカリ性である。したがって、酸等を添
加して、中和することが好ましい。この中和処理によ
り、架橋ポリアミノ酸の分子内に存在するカルボキシル
基を塩にすることができる。
【0126】酸の具体例としては、例えば、塩酸、臭化
水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、
炭酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、
安息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエン
スルホン酸等のスルホン酸、ベンゼンホスホン酸等のホ
スホン酸等が挙げられる。
【0127】アルカリの具体例としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金
属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ
酸ナトリウム等の有機カルボン酸アルカリ金属塩、トリ
エチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン等
が挙げられる。
【0128】中和処理により、架橋ポリアミノ酸の分子
内に存在するカルボキシル基を塩とした場合、必要に応
じて、その塩を他の種類の塩に交換することもできる。
【0129】この塩交換に使用される試剤の具体例とし
ては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン塩等を挙げることができる。より具体的には、ナトリ
ウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、テトラ
メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テト
ラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、
テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニ
ウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロ
ピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペ
ンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルア
ンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、
ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピル
アンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエ
チルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモ
ニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベン
ジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキ
シルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノール
アミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミ
ン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペン
チルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミ
ン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプ
ロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルア
ミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、
ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等を
例示することができる。
【0130】これらの中では、その分子量が大きくなる
と相対的に単量体単位あたりの分子量が大きくなり、単
位質量当たりの吸水量が小さくなるので、その分子量が
小さいものの方が好ましい。また、人の肌等に触れる可
能性がある場合は、皮膚刺激性等が低い方が好ましい。
これらの点から、ナトリウム、カリウム、リチウム、ア
ンモニウム、トリエタノールアミンを用いることが好ま
しく、さらに、ナトリウム、カリウムを用いることが、
コストの面で特に好ましい。
【0131】架橋反応後の架橋ポリアミノ酸の乾燥処理
の方法は特に制限されない。例えば熱風乾燥、特定蒸気
での乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤ
ー乾燥、疎水性有機溶剤中での共沸脱水による乾燥等の
公知の手法を挙げることができる。乾燥温度は、一般的
には、20〜200℃が好ましく、50〜120℃がよ
り好ましい。
【0132】この乾燥処理を施した架橋ポリアミノ酸に
対して、さらに精製処理、造粒処理、表面架橋処理等を
施しでもよい。
【0133】(3) 架橋ポリアミノ酸の形状、粒子径 架橋ポリアミノ酸の形状は、不定形破砕状、球状、粒
状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール状、微粉
末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等種々のも
のが使用でき、用途によって好ましい形状を使用でき
る。また、繊維状基材や多孔質状や発泡体あるいは造粒
物であってもよい。
【0134】これらの架橋ポリアミノ酸の粒子径は特に
限定されないが、使用用途によって変わってくる。
【0135】例えば、紙オムツ用の場合は、速い吸収速
度とゲル・ブロッキングが起こらないことが望まれるの
で平均粒子径100〜1000μmが好ましく、150
〜600μmがより好ましい。
【0136】止水材等の樹脂への練り混み等に用いる場
合は1〜10μmが好ましく、農園芸用の保水材の場合
は土との分散性を考慮すると100μm〜5mmが好ま
しい。いずれも使用用途によって変わってくる。
【0137】(4) 架橋ポリアミノ酸の使用の形態 架橋ポリアミノ酸の使用の形態は、特に限定されるもの
ではなく、単独でも、他の素材と組み合わせて使用して
もよい。
【0138】例えば、熱可塑性樹脂に混練りして射出成
形等にて成形する方法、構成樹脂のモノマーと架橋ポリ
アミノ酸及び必要により開始剤を混合後、光もしくは熱
等で重合する方法、樹脂と架橋ポリアミノ酸を溶剤に分
散させ、キャストし、溶剤を除去する方法、プレポリマ
ーと架橋ポリアミノ酸を混合後、架橋する方法、ポリマ
ーと架橋ポリアミノ酸を混合後、架橋する方法等があ
る。
【0139】本発明の架橋ポリアミノ酸を含んでなる組
成物は成型品としては、特に制限されるものではなく、
固形物、シート、フィルム、繊維、不織布、発泡体、ゴ
ム等として使用できる。
【0140】またその成型方法としても特に限定される
ものではない。
【0141】一方、本発明で使用されるは架橋ポリアミ
ノ酸は、単独でも、他の素材との組み合わせによる複合
体でも構わない。
【0142】複合体の構造は特に限定されないが、例え
ば、パルプ、不織布等にはさみ、サンドイッチ構造にす
る方法、樹脂シート、フィルムを支持体として多層構造
とする方法、樹脂シートにキャストし、二層構造とする
方法等がある。
【0143】また、本発明に使用される架橋ポリアミノ
酸は必要により、2種以上の他の吸水性樹脂と混合して
用いても良い。また必要により食塩、コロイダルシリ
カ、ホワイトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン
粉末等の無機化合物、キレート剤 等の有機化合物を添
加しても構わない。さらに酸化剤、酸化防止剤、還元
剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、
香料、消臭剤、顔料等を混合しても構わない。
【0144】本発明の樹脂はゲル状でも固形物としても
使用できる。
【0145】例えば、農園芸用保水材、切り花延命剤、
ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用する場合はゲルとして
用い、紙おむつ用吸収体等は固形状として用いる。
【0146】(5) 架橋ポリアミノ酸の使用用途 架橋ポリアミノ酸の使用用途は特に限定されないが、従
来の吸水性樹脂が使用できる用途のいずれにも使用でき
る。
【0147】例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パッ
ト、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシン
グ材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、
ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭
剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャン
プー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用
品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラル
フォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽
培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農
業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持
材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生
鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用
建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法
の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッ
キング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器の
シール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記
録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、
油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水
膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性
薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0148】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。また、実施例及び比較例において「部」とは「質
量部」を意味する。
【0149】実施例中の吸水量は、以下のティーバッグ
法にて測定した。
【0150】(1)ティーバッグ法 吸水量の測定は蒸留水、生理食塩水を対象として行っ
た。すなわち、蒸留水の場合は吸水性樹脂約0.05
部、生理食塩水の場合は吸水性樹脂約0.1部を不織布
製のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰
の対応する溶液中に浸して該樹脂を1時間膨潤させた
後、ティーバッグを引き上げて1分間水切りを行い、膨
潤した樹脂を含むティーバッグの質量を測定した。同様
な操作をティーバッグのみで行った場合をブランクとし
て、膨潤した樹脂を含むティーバッグの質量からブラン
クの質量と吸水性樹脂の質量を減じた値を、吸水性樹脂
の質量で除した値を吸水量(g/樹脂1g)とした。な
お、生理食塩水は0.9質量%塩化ナトリウム水溶液で
ある。
【0151】[実施例1]重量平均分子量の9.6万ポ
リコハク酸イミド10部をジメチルホルムアミド(DM
F)20部に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアナート
0.5部とジブチル錫ジラウレート0.05部を加え、6
0℃にて10時間反応させた。得られた架橋ポリコハク
酸イミドのゲルを刃付攪拌翼を具備したミキサーに移送
し、蒸留水90部とメタノール40部を加え、8000
rpmにて5分間ゲルを粉砕した。
【0152】さらに、この中に、25質量%苛性ソーダ
水溶液16.48部をpH12以下にて滴下した。滴下
終了後、さらに2時間攪拌し、その後7質量%塩酸水を
加えてpH7となるように中和した。中和終了後、さら
にメタノール500部を加え、沈殿物を60℃で乾燥
し、吸水性ポリマーである架橋重合体14.0部を得
た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量は、蒸
留水で460倍、生理食塩水で58倍と高かった。
【0153】[実施例2]実施例1の重量平均分子量
9.6万のポリコハク酸イミドの代わりに重量平均分子
量5.6万のポリコハク酸イミドを用いた以外は、実施
例1と同様にして、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂1.
24部を得た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸
水量は、蒸留水で661倍、生理食塩水で63倍と高か
った。
【0154】[実施例3]実施例1の重量平均分子量
9.6万のポリコハク酸イミドの代わりに重量平均分子
量2.9万のポリコハク酸イミドを用い、ヘキサメチレ
ンジイソシアナート1.0部を用いた以外は、実施例1
と同様にして、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂0.99
部を得た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量
は、蒸留水で554倍、生理食塩水で60倍と高かっ
た。
【0155】[実施例4]重量平均分子量12.5万の
ポリアスパラギン酸ナトリウム5部をDMSO(ジメチ
ルスルホキシド)30部に加え、ヘキサメチレンジイソ
シアナート0.5部とジブチル錫ジラウレート0.05部
を加え、60℃にて10時間反応させた。得られた架橋
ポリアスパラギン酸を、蒸留水200部に排出した。沈
殿物を60℃で乾燥し、吸水性ポリマーである架橋重合
体4.9部を得た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
の吸水量は、蒸留水で450倍、生理食塩水で56倍と
高かった。
【0156】[比較例1]実施例1のヘキサメチレンジ
イソシアナートの代わりにヘキサメチレンジアミンを用
いた以外は、実施例1と同様に反応したがゲル化せず、
さらに実施例1と同様に処理したが吸水性樹脂は得られ
なかった。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の架橋ポリ
アミノ酸は、生分解性を有し且つ生産性に優れたもので
あり、また本発明の架橋ポリアミノ酸の製造方法は、生
分解性を有する架橋ポリアミノ酸を生産性に良く製造で
きる方法である。
【0158】そして、本発明は、吸水能に優れ、使用後
もしくは廃棄後に分解性することで地球環境に優しく、
吸水能に優れた吸水性樹脂を効率よく得ることができる
点で産業上非常に有用である。具体的には、従来技術と
比較すると以下の(1)〜(3)に示すような有用性を
有している。
【0159】(1) 従来の技術はポリコハク酸イミド
の鎖延長反応を行い、その後架橋反応を行っていたのに
対して、本発明では、鎖延長反応と架橋反応を同時に進
行することができるので架橋重合体を効率よく製造でき
るようになった。したがって工業的生産を想定すると、
工程数が削減され非常に有効な方法である。
【0160】(2) 従来の技術ではポリコハク酸イミ
ドが高分子量である必要があり、分子量が低い場合、多
量の架橋剤を必要としていたのに対して、本発明では、
架橋方法は鎖延長反応と架橋反応を同時に行うので効率
よく架橋反応を進行できるようになった。したがって、
特に工業的生産を想定すると有効な手法である。
【0161】(3) 従来の技術では分子量が低いポリ
コハク酸イミドを用いると吸水能が低い場合があったの
に対して、本発明では、鎖延長反応と架橋反応を同時に
行なうので吸水能が高い樹脂を得ることができるように
なった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 DC12 EA36 GE11 JA13 JA20 4J034 BA03 DA03 DA05 DL04 DL07 HA01 HA07 HA08 HC03 HC08 HC09 HC12 HC17 HC22 HC46 HC54 HC71 HC73 KC17 KD02 LA01 LA22 RA01 RA02 RA06 RA08 RA10 RA16

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2個のイソシアナート基を有
    する化合物により架橋した架橋ポリアミノ酸。
  2. 【請求項2】 少なくとも2個のイソシアナート基を有
    する化合物が、脂肪族ジイソシアナートである請求項1
    記載の架橋ポリアミノ酸。
  3. 【請求項3】 脂肪族ジイソシアナートが、ヘキサメチ
    レンジイソシアナートである請求項1又は2記載の架橋
    ポリアミノ酸。
  4. 【請求項4】 重合体の繰り返し単位の総数に対して、
    酸性ポリアミノ酸残基を50〜100モル%含む請求項
    1乃至3の何れか一項記載の架橋ポリアミノ酸。
  5. 【請求項5】 酸性ポリアミノ酸が、ポリアスパラギン
    酸である請求項4記載の架橋ポリアミノ酸。
  6. 【請求項6】 ポリアスパラギン酸残基が、ポリアスパ
    ラギン酸及び/又はポリアスパラギン酸の塩である請求
    項5記載の架橋ポリアミノ酸。
  7. 【請求項7】 ポリコハク酸イミドの鎖延長と、架橋反
    応とを同時に行うことを特徴とする架橋ポリアミノ酸の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 鎖延長と架橋反応が、少なくとも2個の
    イソシアナート基を有する化合物により行われる請求項
    7記載の架橋ポリアミノ酸の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリアミノ酸の鎖延長と、架橋反応とを
    同時に行うことを特徴とする架橋ポリアミノ酸の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 鎖延長と架橋反応が、少なくとも2個
    のイソシアナート基を有する化合物により行われる請求
    項9記載の架橋ポリアミノ酸の製造方法。
  11. 【請求項11】 ポリアミノ酸が、ポリアスパラギン酸
    である請求項9又は10記載の架橋ポリアミノ酸の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005032252A1 (en) * 2003-07-14 2005-04-14 Nederlandse Organisatie Voor Toegepast- Natuurwetenschappelijk Onderzoek Tno Polymer matrix for extending vase life of cut flowers

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005032252A1 (en) * 2003-07-14 2005-04-14 Nederlandse Organisatie Voor Toegepast- Natuurwetenschappelijk Onderzoek Tno Polymer matrix for extending vase life of cut flowers

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