JPH10324750A - 吸水性樹脂の精製方法 - Google Patents

吸水性樹脂の精製方法

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JPH10324750A
JPH10324750A JP7429198A JP7429198A JPH10324750A JP H10324750 A JPH10324750 A JP H10324750A JP 7429198 A JP7429198 A JP 7429198A JP 7429198 A JP7429198 A JP 7429198A JP H10324750 A JPH10324750 A JP H10324750A
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water
resin
gel
organic solvent
miscible organic
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JP7429198A
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English (en)
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Yoshihiro Irisato
義広 入里
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水性樹脂のゲル強度と吸水能を向上させ、
ゲル表面のべたつきを改良できる精製法を提供する。 【解決手段】 水により、又は、水及び水混和性有機溶
媒により膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水及び/又は
水混和性有機溶媒により洗浄する、あるいは、水混和性
有機溶媒で再沈することを特徴とする吸水性樹脂の精製
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸水性樹脂の精製方
法に関する。詳しくは、水可溶成分を除くことにより、
吸水後のゲルの強度に優れ、ゲル強度が高く、かつ、塩
を含む水溶液に対して高い吸水力を示す吸水性樹脂の製
造に関する。
【0002】
【従来の技術】
[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂は、自重の数十
倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であり、生理用品、
紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等の衛生用品、創
傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパット、パッ
プ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲ
ル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等
の生活用品、シャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等
のトイレタリー用品、農・園芸用の保水材、切り花の延
命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化材)、育苗
用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テープ、流体播
種、結露防止用農業用シート等の農・園芸用品、食品用
トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シート等の食品包
装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用
資材、結露防止用建築材料、土木・建築用のシーリング
材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、
ガスケット・パッキング等の土木建築資材、光ファイバ
ー等の電子機器のシール材、通信ケーブル用止水材、イ
ンクジェット用記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝
固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理
剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等の幅広い分野
に使用されている。
【0003】また、その薬品徐放性を利用して、徐放性
肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用途にも期待されて
いる。
【0004】さらに、その親水性を利用して、湿度調整
材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への使用も期待
される。
【0005】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4625001号)、澱粉−アクリロニ
トリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−439
95号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開昭
51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸エス
テル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689
号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許00681
89号)、カチオン性モノマーの架橋重合体(米国特許
4906717号)、架橋イソブチレン−無水マレイン
酸共重合体の加水分解物(米国特許4389513号)
などが知られている。
【0006】しかし、これらの吸水性樹脂は食塩水、
尿、汗、海水などの塩を含む溶液に対しては、吸水の原
動力である浸透圧が減少するため、その吸水量が著しく
低下する、ゲル強度が低く、時間とともにゲルがべたつ
くという欠点を有している。
【0007】吸水性樹脂の上記の欠点を解決するために
多くの検討がされている。例えば、ゲル強度及びゲルの
経時安定性を改良する方法としては、吸水性樹脂にしゅ
う酸を含有させる方法(特願平5−289699号)、
吸水性樹脂に平均粒径1μm以下の酸化ジルコニウムを
含有させる方法 (特願平5−120678号)、吸水
性樹脂に多価金属硫酸化物を含有させる方法(特願平5
−282708号)、吸水性樹脂に含酸素還元性無機塩
及び/または有機酸化防止剤を含有させる方法(特開昭
63−118375号)、吸水性樹脂に酸化剤を含有さ
せる方法(特開昭63−127754号)、吸水性樹脂
に硫黄含有還元剤を含有させる方法(特開昭63−27
2349号)、吸水性樹脂に金属キレート剤を含有させ
る方法(特開昭63−146964号)、吸水性樹脂に
ラジカル連鎖禁止剤を含有させる方法(特開昭63−1
5266号)、吸水性樹脂にホスフィン酸基またはホス
ホン酸基含有アミン化合物またはその塩を含有させる方
法(特開平1−275661号)、吸水性樹脂に多価金
属酸化物を含有させる方法(特開昭64−29257
号)、吸水性樹脂の重合時に水溶性連鎖移動剤を共存さ
せる方法(特開平2−255804号、特開平3−17
9008号)が提案されている。
【0008】しかし、いずれの報告の場合も、これらの
樹脂が実際に使用される用途では、改良が十分ではな
く、ゲル強度が低く、表面がべたつき、実用的ではなか
った。また、吸水性樹脂のゲル強度及び経時安定性を改
良する方法として、吸水性樹脂の架橋密度を高める方法
が一般的に知られているが、架橋密度を上げると吸水量
の低下が起こり、本質的な解決とならなかった。
【0009】吸水性樹脂の表面近傍をさらに架橋する方
法(特開昭58−180233号、特開昭59−189
103号、特開昭51−136588号、特開昭61−
211305号)、架橋反応時に不活性無機粉末を存在
させる方法(特開昭60−163956号)等も提案さ
れている。
【0010】これらの方法によって吸水性樹脂の諸物性
は改良されるが、使用した架橋剤が樹脂表面に残存しや
すいため、エポキシ化合物、イソシアナート化合物等の
化合物を使用する場合、架橋剤の種類によっては安全性
の問題が新たに発生することがあった。そこで、残存表
面架橋剤を低減する方法(特開平3−195705号)
も提案されているが、極めて複雑なプロセスを必要と
し、残存表面架橋剤の低減も不十分であった。
【0011】一方、従来の重合系の吸水性樹脂の塩を含
む水溶液の吸水量低下といった欠点を解決する方法とし
て、多糖類に親水性モノマーをグラフト重合させる方法
(特開昭56−76419号、特開昭56−76481
号)、多糖類に親水性モノマーをグラフト重合させ、必
要によりさらに加熱処理する方法(特公平3−6888
9号)、多糖類そのものを架橋する方法(特開昭56−
5137号、特開昭58−79006号、特開昭60−
58443号)、セルロース誘導体を用いる方法(特開
昭49−128987号、特開昭50−85689号、
特開昭54−163981号、特開昭56−28755
号、特開昭58−1701号、特開昭60−94401
号、特開昭61−89364号)、ウロン酸またはその
塩を含む多糖類を加熱により架橋し、不溶化させる方法
(特開昭56−5137号)が提案されている。
【0012】しかしながら、これらのいずれの方法によ
っても塩水吸収能力が十分に改善されたとは言い難い。
【0013】一方、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポ
リアクリルアミド、架橋ポリメタクリル酸ヒドロキシエ
チル、架橋ポリエチレングリコール、架橋ポリプロピレ
ングリコール等のノニオン系の吸水性樹脂の場合、塩を
含む溶液に対して吸水量低下は少ないが、その絶対吸水
量が小さいために有用でなかった。
【0014】しかしながら、これらのいずれの方法によ
っても塩水吸収能力が十分に改善されたとは言い難い。
【0015】すなわち、上記の吸水性樹脂の応用分野に
おいては塩を含む溶液を対象とする場合が多いために、
塩の存在下でも高い吸収量を示す材料の開発が望まれて
いた。また、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリルア
ミド等の重合系の吸水性樹脂は、人間の肌等に対して毒
性の強いモノマーを使用しており、重合後の製品からこ
れを除去するために多くの検討がなされているが、完全
に除くことは困難である。特に工業的規模での製造では
より困難となることが予想される。
【0016】以上のように、従来の吸水性樹脂では、ゲ
ル強度が低く、表面がべたつき、経時安定性が乏しく、
未重合のモノマーやエポキシ化合物等の表面架橋剤が残
存するという安全性の問題があった。更に他の問題とし
て、塩を含む水溶液に対して吸水特性が十分でなく、こ
れらの改良が強く望まれていた。
【0017】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解
性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として
使用することも提案されている。
【0018】このような用途に使用されている生分解性
を有する吸水性樹脂としては、例えばポリエチレンオキ
シド架橋体(特開平6−157795号等)、ポリビニ
ルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋
体(米国特許4650716号)、アルギン酸架橋体、
澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体などが知られている。
この中でポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアル
コール架橋体は吸水量が小さく、特に生理用品、紙おむ
つ、使い捨て雑巾、ペーパータオルなどの高い吸水能が
要求される製品の素材として使用する場合、適切でな
い。
【0019】また、これらの化合物は特殊な菌のみしか
生分解することができないので、一般的な条件では生分
解は遅かったり、もしくは全く分解しなかったりする。
さらに分子量が大きくなると極端に分解性が低下する。
【0020】また、カルボキシメチルセルロース架橋
体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体等の糖類架橋体は、
その分子内に強固な水素結合を多く含むために、分子
間、ポリマー間の相互作用が強く、そのため分子鎖が広
く開くことができず、吸水能は高くない。
【0021】[ポリアミノ酸系吸水性樹脂の技術的背
景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分
解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に
吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体
内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが
明らかにされているので、人に対してもやさしい素材で
ある。
【0022】このような樹脂の記載例として、ポリ−γ
−グルタミン酸にγ線を照射して高吸水能を有する樹脂
を製造する方法が報告されている(国岡ら、高分子論文
集、50巻10号、755頁(1993年))。しか
し、工業的な観点からは、この技術に用いる60Co照
射設備は、放射能の遮断を行うためには大がかりな設備
が必要であり、その管理にも十分な配慮が必要であるた
め現実的ではない。また出発物質であるポリグルタミン
酸が高価であることも問題点である。
【0023】また、酸性アミノ酸を架橋させてハイドロ
ゲルを得る方法が報告されている[Akamatsuら、米国特
許第3948863号(特公昭52−41309号対
応)、岩月ら、特開平5−279416号]。さらに架
橋アミノ酸樹脂を吸水性ポリマーに用いる報告がされて
いる(Sikesら、特表平6−506244号;米国特許
第5247068及び同第5284936号、鈴木ら、
特開平7−309943号、原田ら、特開平8−598
20号)。
【0024】しかしいずれの報告の場合も、これらの樹
脂は吸水性や塩水吸水性が十分でなく、実用的ではなか
った。
【0025】[本発明者らの技術的思想の背景]本発明
者らは、特開平7−224163号に記載されているよ
うに、ポリコハク酸イミドを架橋剤と反応させ、残りの
イミド環を加水分解することにより、塩水吸水能の高い
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を製造する技術について
開示した。また、本発明者らは、特開平9−16984
0号に記載されているように、ポリコハク酸イミドを架
橋した後、水混和性有機溶剤と水との均一な混合溶媒中
で残りのイミド環を加水分解し、これにより塩水吸水能
の高い架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を製造する技術に
ついて開示した。
【0026】これら技術により得られる架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂は、地球にやさしく、かつ高吸水能を有
するので非常に有用である。しかし、このような架橋ポ
リアスパラギン酸系樹脂においても、ゲル強度の向上、
ゲル表面のべたつき防止、塩を含む水溶液に対する吸水
能の向上などの点でさらなる改善の余地があった。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、上記のような従来の問題点を解決し、優れたゲル強
度を有し、ゲル表面のべたつきを改良した高吸水性樹脂
が得られる方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、樹脂中に含まれるモノマー、オリゴマー、水溶
性ポリマー、無機もしくは有機の塩が吸水量を低下さ
せ、またゲル強度を低下させ、吸水性樹脂の性能を低下
させていることを見出した。すなわち、これらの夾雑物
を除去すれば、樹脂の吸水量、ゲル強度等の吸水能が向
上する。
【0029】本発明の方法はこれらを解決し、高吸水性
樹脂を得る方法であり、本発明者らは上記課題を解決す
べくさらに鋭意検討した結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、水により、又は、水及び水混和
性有機溶媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水
及び/又は水混和性有機溶媒により洗浄することを特徴
とする吸水性樹脂の精製方法、水により、又は、水及び
水混和性有機溶媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲル
を、水及び/又は水混和性有機溶媒により洗浄すること
により、水溶解性成分を除去することを特徴とする吸水
性樹脂の精製方法、及び、水により、又は、水及び水混
和性有機溶媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、
水混和性有機溶媒で再沈することを特徴とする吸水性樹
脂の精製方法である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。 [1]吸水性樹脂 本発明に使用される吸水性樹脂は特に限定されないが、
架橋ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリロニトリ
ル共重合体の部分加水分解物、澱粉−アクリル酸グラフ
ト共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体
の加水分解物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸とアクリル酸の共重合架橋物、カチオン性
モノマーの架橋体、架橋イソブチレン−無水マレイン酸
共重合体、ポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルア
ルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、
アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、架橋ポリアミノ酸等が
挙げられる。
【0031】この中で吸水能が高く、コスト的に有利な
架橋ポリアクリル酸部分中和物、澱粉−アクリル酸グラ
フト共重合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸とアクリル酸の共重合架橋物、カチオン性
モノマーの架橋体、架橋イソブチレン−無水マレイン酸
共重合体、及び地球環境に優しい生分解性を持つカルボ
キシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉
架橋体、ポリアミノ酸架橋体が好ましく、特に架橋ポリ
アクリル酸部分中和物、澱粉−アクリル酸グラフト共重
合体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物及び架橋ポリアミノ酸
が好ましい。
【0032】[1−1]架橋ポリアクリル酸系樹脂 本発明に使用される架橋ポリアクリル酸系吸水性樹脂に
ついては特に限定されないが、一般的には、アクリル酸
エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸、メタクリ
ル酸エステル、メタクリル酸アミド、アクリロニトリ
ル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、ヒドロキシメチルメタクリレート、酢酸ビニル、カ
チオン化アクリレート、カチオン化メタクリレート、ビ
ニルスルホン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル
酸等のコポリマーがあっても構わない。
【0033】[1−2]架橋ポリアミノ酸系樹脂 本発明に使用される架橋ポリアミノ酸系吸水性樹脂につ
いては特に限定されないが、一般的には、架橋ポリアス
パラギン酸、架橋ポリグルタミン酸、架橋ポリリジン及
びこれらのポリマーと他のアミノ酸とのコポリマーがあ
る。
【0034】コポリマーとしてのアミノ酸成分の具体例
としては、例えば、20種類の必須アミノ酸、一連のα
−アミノ酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、酸性アミノ
酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸の
N置換体、アスパラギン酸−L−フェニルアラニン2量
体(アスパルテーム)等を挙げることができる。α−ア
ミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であっても、ラセ
ミ体であってもよい。この中で高い吸水性を有する架橋
ポリアスパラギン酸、架橋ポリグルタミン酸が好まし
く、さらに工業的生産に適した架橋ポリアスパラギン酸
が特に好ましい。架橋ポリアスパラギン酸の製造方法に
ついては特に限定されないが、一般的には、ポリアスパ
ラギン酸をポリグリシジル化合物、ポリイソシアナート
化合物、ポリアジリジン化合物等で架橋する方法、ポリ
コハク酸イミドをポリアミンで一部開環架橋後、アルカ
リにて加水分解する方法、酸性アミノ酸及び/もしくは
酸性アミノ酸オリゴマーと架橋剤の存在下に重合する方
法があるが、高吸水量の樹脂が得られるポリコハク酸イ
ミドをポリアミンで一部開環架橋後、アルカリにて加水
分解する方法が好ましい。
【0035】[2] 吸水性樹脂の精製 本発明の吸水性樹脂の精製方法は、吸水性樹脂のゲルを
水及び/又は水混和性有機溶媒により洗浄又は再沈する
方法である。
【0036】この精製法により、吸水性樹脂の吸水能や
ゲル強度が向上する。これは、樹脂のゲル中に含まれる
モノマー、オリゴマー、無機もしくは有機の塩など、樹
脂の特性を低下させる水可溶成分が除去されるからと考
えられる。
【0037】この洗浄処理の具体例としては、以下の2
つの方法がある。
【0038】[2−1] 水又は水と水混和性有機溶媒
の混合液によって膨潤させた吸水性樹脂のゲルを水及び
/又は水混和性有機溶媒を用いて濾過し、洗浄する方
法。
【0039】[2−2] 水又は水と水混和性有機溶媒
の混合液によって膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水混
和性有機溶媒を用いた再沈により洗浄する方法。
【0040】これら方法[2−1][2−2]は、単離
した状態の固体の吸水性樹脂にも適用でき、単離しない
状態、すなわちウエットケーキ、プレスケーキ、スラリ
ー等の水または水と有機溶媒を含んだ状態の吸水性樹脂
にも適用できる。ここで、[2−1]にて、固体の状態
の吸水性樹脂の場合は、固体を水、又は、水と水混和性
有機溶媒にて洗浄すると一時的にゲルの形態を経るの
で、本発明に含有される。また、[2−2]にて、ポリ
マーを再沈する場合も、条件によってはゲルの膨潤度を
抑えながら行うこともできるが、この場合も本質的には
本発明の技術と何ら変わりないので本発明に含まれる。
すなわち、本発明の精製方法は、一時的にゲル状ポリマ
ーを経ることを特徴とするが、そのゲルとは、完全に溶
媒を吸収した状態のものも、一部に吸収して不透明のス
ラリー状態のものも含む。さらに、吸水性樹脂がゲル状
であることの時間的な長さについては特に限定されな
い。
【0041】以下、これら方法[2−1][2−2]に
ついて説明する。
【0042】[2−1] ゲルを、水及び/又は水混和
性有機溶媒を用いて濾過し、洗浄する方法 この方法においては、例えば、水又は水と水混和性有機
溶媒の混合液によって膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、
ゲルのまま、水及び/又は水混和性有機溶媒を用いて濾
過し、さらに濾過して得たハイドロゲルを、水及び/又
は水混和性有機溶媒にて洗浄する。この濾過により、濾
材の目より小さい不純物を濾過除去でき、所望に応じ
て、残りの不純物もさらなる洗浄により除去できる。
【0043】使用する水混和性有機溶媒は、水と混和可
能な有機溶媒であれば、特に限定されない。その具体例
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノー
ル、2−エトキシエタノール等のアルコール類、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ
ール等のグリコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジ
ノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等がある。こ
れらのうち、特に、得られる吸水性樹脂の乾燥が容易で
あり、かつ乾燥後に樹脂内に溶剤が残留しにくい点で、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール等のアルコール類が好ましい。
【0044】樹脂の膨潤に使用する水、水混和性有機溶
媒の量は、十分に樹脂を膨潤できる量であればよく、特
に限定されない。樹脂の膨潤度は、その樹脂の吸水能に
応じて変化する。特に、この方法においては、過剰の蒸
留水又は純水を用いて膨潤させることが好ましい。ただ
し、あまり多量の水を使用するのは経済的でない。この
ような点から、使用する蒸留水又は純水の量は、樹脂の
蒸留水又は純水の吸水量の0.001〜10重量倍が好
ましく、0.02〜5重量倍がより好ましい。膨潤後の
樹脂のゲルを洗浄するために使用する水及び/又は水混
和性有機溶媒の量は、特に限定されないが、洗浄効果及
び経済性の点から、樹脂の重さの1〜50重量倍が好ま
しく、3〜20重量倍が特に好ましい。また、膨潤後の
樹脂のゲルを洗浄するために、水と水混和性有機溶媒の
混合液を使用する場合、両者の比率は、特に限定されな
いが、洗浄効果の点から、水の割合が20重量%以上で
あることが好ましい。ここで有機溶媒の比率が高くなる
と、ゲルが収縮し、[2−2]と同じく、樹脂が再沈さ
れた状態になる。
【0045】濾過に用いる素材は、特に限定されない
が、例えば、スチール製ふるい、ナイロン製不織布、ガ
ラスフィルター等が挙げられる。濾過器のメッシュの大
きさは目の開きで50μm〜2mmが好ましく、100μm
〜1mmがより好ましい。目の大きさを適度に大きくすれ
ば濾過速度が速くなり、適度に小さくすればゲルの回収
率が高くなる。
【0046】濾過は、被濾過液を静置して行ってもよ
く、攪拌しながら行ってもよく、濾過器ごと振動もしく
は回転しながら行ってもよい。また、濾過は常圧で行っ
ても、加圧下であっても、減圧濾過であっても構わな
い。
【0047】ゲルの洗浄方法としては、通常の洗浄にて
も、もしくは濾過して得たハイドロゲルをさらに蒸留水
または純水にてスラッジして濾過、水洗する方法であっ
ても構わない。スラッジする方法では、操作数は多くな
るが、洗浄効率は大きい。
【0048】また濾過の際にメッシュを通して落ちたゲ
ルも、底に沈殿するので、回収して使用することができ
る。
【0049】濾過、洗浄後のゲルは、そのまま乾燥する
か、もしくは水混和性有機溶媒によって再沈して、沈殿
物を集め、乾燥する。
【0050】再沈に使用する水混和性有機溶媒として
は、特に限定されないが、一般にはメタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、
2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等の
アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール等のグリコール類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エ
ーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−
ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ス
ルホラン等が挙げられる。この中で、安価に入手できる
点で、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、アセトンが好ましい。
【0051】[2−2] ゲルを、水混和性有機溶媒を
用いた再沈により洗浄する方法 この方法においては、例えば、水又は水と水混和性有機
溶媒の混合液によって膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、
水混和性有機溶媒中に排出することによりその樹脂を再
沈するか、あるいは、そのゲルに対して水混和性有機溶
媒を装入することによりその樹脂を再沈する。
【0052】吸水性樹脂の膨潤については、先に説明し
た方法[2−1]と同様にして行えばよい。
【0053】ゲルを水混和性有機溶媒中に排出すること
により再沈する場合は、必要に応じて、排出する前のゲ
ルの粘度を調整してもよい。例えば、ゲルが含有する水
の割合を高くすればゲルの粘度は高くなり、逆に水混和
性有機溶媒の割合を高くすればゲルの粘度は低くなり、
スラリー状になる。排出を行う場合はスラリーの移液を
行うので、スラリーの粘度は低い方が好ましい。ただ
し、排出の方法は特に限定されず、排出時間も限定され
ない。ゲル又はゲルを含むスラリー中に、水混和性有機
溶媒を装入していく方法では、装入の途中で樹脂が凝集
して強固な固まりとなる場合があるので、高回転の攪拌
下で装入を行うか、固化後に刃付きの高速ミキサーで粉
砕してやる必要がある。
【0054】ゲルの再沈に使用される水混和性有機溶媒
としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘ
プタノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,2−ジメトキシエタン、メトキシメタノール、
2−メトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、N,N−ジメチルアミノホルムアミド、N,N−
ジメチルアミノアセトアミド、ジメチルスルホキシド、
N,N−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−
メチルピロリドン等が挙げられる。工業的な見地から
は、安全性が高く、回収し易い、アセトン、メタノー
ル、エタノールが好ましい。これらは単独でも二種以上
を混合して用いても構わない。また、樹脂の膨潤に用い
た水混和性有機溶媒と同じでも異なっていてもよい。さ
らに、必要により、水を含んでいても構わない。
【0055】この再沈に使用される水混和性有機溶媒の
量は、ゲルが再沈すればよく、完全沈殿でもゲルとして
沈降させてもよく、特に限定されない。溶媒の種類にも
よるが、一般に、樹脂の重さの0.5〜10重量倍が好
ましく、1〜5重量倍がより好ましい。使用量が多くな
ると非経済的である。
【0056】水または水混和性有機溶媒で膨潤したゲル
と、再沈に用いる水混和性有機溶媒の混合の方法は特に
限定されず、一般的な方法を用いることができる。
【0057】例えば、水または水/水混和性有機溶媒に
よって膨潤させたゲルを水混和性有機溶媒中に排出もし
くは水混和性有機溶媒を挿入することにより再沈する方
法がある。
【0058】排出するゲルは必要により、粘度を変える
ことができる。例えば、水の割合が大きくなるとゲルは
粘度を増し、逆に水混和性有機溶媒の割合が大きくなる
とゲルの粘度は小さくなり、スラリー状になる。
【0059】排出の方法は特に限定されず、排出時間も
限定されない。再沈した樹脂は、通常の化学合成におけ
る液体と固体の分離方法が適用できる。例えば、濾過、
デカンテーション、遠心分離等である。
【0060】またこれらの樹脂の乾燥方法としては、特
に制限されるものではなく、熱風乾燥、特定蒸気での乾
燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤー乾
燥、疎水性有機溶剤中での共沸脱水による乾燥等、公知
の手法により、乾燥できる。乾燥温度は20〜200℃
が好ましく、50〜120℃がより好ましい。
【0061】得られた樹脂はさらに必要により表面架
橋、造粒を行っても構わない。
【0062】[3]吸水性樹脂の使用の形態 吸水性樹脂の使用の形態は、特に限定されるものではな
く、単独でも、他の素材と組み合わせて使用してもよ
い。
【0063】例えば、熱可塑性樹脂に混練りして射出成
形等にて成形する方法、構成樹脂のモノマーと吸水性樹
脂樹脂及び必要により開始剤を混合後、光もしくは熱等
で重合する方法、樹脂と吸水性樹脂を溶剤に分散させ、
キャストし、溶剤を除去する方法、プレポリマーと吸水
性樹脂樹脂を混合後、架橋する方法、ポリマーと吸水性
樹脂を混合後、架橋する方法等がある。
【0064】本発明の樹脂組成物は成型品としては、特
に制限されるものではなく、固形物、シート、フィル
ム、繊維、不織布、発泡体、ゴム等として使用できる。
またその成型方法としても特に限定されるものではな
い。
【0065】一方、本発明で使用されるは吸水性樹脂
は、単独でも、他の素材との組み合わせによる複合体で
も構わない。複合体の構造は特に限定されないが、例え
ば、パルプ、不織布等にはさみ、サンドイッチ構造にす
る方法、樹脂シート、フィルムを支持体として多層構造
とする方法、樹脂シートにキャストし、二層構造とする
方法等がある。
【0066】また、本発明に使用される吸水性樹脂は必
要により、2種以上の他の吸水性樹脂と混合して用いて
も良い。また必要により食塩、コロイダルシリカ、ホワ
イトカーボン、超微粒子状シリカ、酸化チタン粉末等の
無機化合物、キレート剤等の有機化合物を添加しても構
わない。さらに酸化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸
収剤、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、肥料、香料、消臭
剤、顔料等を混合しても構わない。
【0067】本発明の樹脂はゲル状でも固形物としても
使用できる。例えば、農園芸用保水材、切り花延命剤、
ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用する場合はゲルとして
用い、紙おむつ用吸収体等は固形状として用いる。
【0068】[4]吸水性樹脂樹脂の使用用途 吸水性樹脂の使用用途は特に限定されないが、従来の吸
水性樹脂が使用できる用途のいずれにも使用できる。
【0069】例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パッ
ト、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシン
グ材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、
ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭
剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャン
プー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用
品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラル
フォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽
培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農
業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持
材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生
鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用
建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法
の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッ
キング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器の
シール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記
録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、
油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水
膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性
薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0070】
【実施例】以下実施例によって本発明をより具体的に説
明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重量
部」を意味する。
【0071】なお、実施例中の吸水量測定はティーバッ
グ法により、吸水性樹脂のゲルのゲル強度は鋼球静置法
にて測定した。
【0072】以下これらの測定方法を説明する。
【0073】(1)ティーバッグ法 吸水量の測定は蒸留水、生理食塩水を対象として行っ
た。すなわち、蒸留水の場合は吸水性樹脂約0.05
部、生理食塩水の場合は吸水性樹脂約0.1部を不織布
製のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰の溶
液中に浸して該樹脂を蒸留水、生理食塩水は1時間膨潤
させた後、人工尿の場合は10分後にティーバッグを引
き上げて1分間水切りを行い、重量を測定した。同様な
操作をティーバッグのみで行った場合をブランクとし
て、測定値からブランクの重量と吸水性樹脂の重量を減
じた値を、吸水性樹脂の重量で除した値を吸水量(g/樹
脂1g)とした。なお、生理食塩水は0.9重量%塩化ナ
トリウム水溶液である。
【0074】(2)鋼球静置法 吸水性樹脂5部に生理食塩水250部を加えて1時間ゲ
ル化させ、径の小さい鋼球からゲル上に乗せていき、3
0秒間沈まなかった時の最大径をそのゲルのゲル強度と
した。
【0075】[実施例1]窒素気流下、重量平均分子量
9.6万のポリコハク酸イミド5部を、N,N−ジメチ
ルホルムアミド(DMF)20部に溶解し、リジンメチ
ルエステル・2塩酸塩1.8部とトリエチルアミン3.
1部を加え、室温で20時間攪拌した。この反応物にメ
タノール100部を加え、室温で2時間攪拌し、生成し
たゲルをほぐした。この結果得られた沈殿物を、吸引濾
過にて集め、メタノール、続いて水で洗浄し、架橋ポリ
コハク酸イミドのウエットケーキを得た。
【0076】この架橋ポリコハク酸イミドのウエットケ
ーキを、蒸留水30部とメタノール90部に懸濁した。
8重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、懸濁液のpHが
11〜12の範囲内になるように滴下し、更にそのpH
が下がらなくなるまでアルカリ水溶液を加え続けた。p
Hが下がらなくなった後、希塩酸を加え反応液のpHが
7になるまで加えた。得られた沈殿物に蒸留水50部を
加えてゲル化させ、目の開き425μmのふるいを用い
て濾過し、蒸留水にて十分に洗浄し、これを乾燥して、
吸水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
6.9部を得た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
吸水量は蒸留水で490倍、生理食塩水で62倍であっ
た。また、ゲル強度は20/16インチであった。
【0077】[実施例2]実施例1と同様にして、架橋
ポリコハク酸イミドを加水分解して、中和した。この
後、沈殿物に蒸留水15部、メタノール15部を加えゲ
ル化させた。得られたゲルを、目の開き200μmのふ
るいを用いて濾過し、50重量%のメタノール水15部
にて2回洗浄し、これを乾燥して、吸水性ポリマーであ
る架橋ポリアスパラギン酸系樹脂7.2部を得た。この
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量は、蒸留水で5
50倍、生理食塩水で64倍であった。また、ゲル強度
は20/16インチであった。
【0078】[実施例3]実施例1と同様にして、架橋
ポリコハク酸イミドを加水分解して、中和した。この
後、沈殿物に蒸留水15部、メタノール18部を加えス
ラリー状にゲル化させた。得られたゲルを、50部のメ
タノール中に30分かけて少しずつ装入して、ゲルを再
沈させた。これを集めてから乾燥して、吸水性ポリマー
である架橋ポリアスパラギン酸系樹脂7.7部を得た。
この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量は蒸留水で
450倍、生理食塩水で61倍であった。また、ゲル強
度は20/16インチであった。
【0079】[実施例4]架橋ポリアクリル酸系樹脂
(日本触媒(株)製、アクアリックCAW)10部を用
いて、水30部、メタノール30部を用いてゲル化し、
実施例3と同様に処理した。この吸水性ポリマーの吸水
量は蒸留水で580倍、生理食塩水で61倍であった。
このときのゲル強度は20/16インチであった。
【0080】[実施例5]使い捨て紙おむつ「エリエー
ル・フレンド」(大王製紙(株)製)を分解し、吸水性
樹脂を得た。この樹脂10部を用いてゲル化し、実施例
1と同様に処理した。この吸水性ポリマーの吸水量は蒸
留水で1010倍、生理食塩水で72倍であった。この
ときのゲル強度は24/16インチであった。
【0081】[比較例1]実施例1と同様にして、架橋
ポリコハク酸イミドを加水分解して、中和した。この
後、沈殿物をそのまま60℃にて乾燥し、粉砕後、吸水
性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂7.6
部を得た。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量
は蒸留水で160倍、生理食塩水で37倍であった。ま
た、ゲル強度は8/16インチであった。
【0082】[比較例2]実施例4にて用いた架橋ポリ
アクリル酸系樹脂(日本触媒(株)製、アクアリックC
AW)の吸水量を、洗浄処理を行なわずに測定したとこ
ろ、吸水量は蒸留水で350倍、生理食塩水で55倍で
あった。このときのゲル強度は12/16インチであっ
た。
【0083】[比較例3]実施例5にて用いた使い捨て
紙おむつ「エリエール・フレンド」(大王製紙(株)
製)の吸水性樹脂の吸水量を、洗浄処理を行なわずに測
定したところ、吸水量は蒸留水で750倍、生理食塩水
で63倍であった。このときのゲル強度は16/16イ
ンチであった。
【0084】[実施例1〜5と比較例1〜3の比較及び
考察]比較例1では、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
ゲルの洗浄や再沈を行わずに、そのまま用いたので、吸
水量が低く、ゲル強度も劣っていた。対照的に、実施例
1〜3では、何れの場合も、架橋ポリアスパラギン酸系
樹脂のゲルの洗浄又は再沈を行ったので、高い吸水量を
発現し、しかもゲル強度も優れた架橋ポリアスパラギン
酸が得られた。
【0085】また、比較例2では、架橋ポリアクリル酸
系樹脂のゲルの洗浄や再沈を行わずに、そのまま用いた
ので、吸水量がやや低く、ゲル強度も劣っていた。対照
的に、実施例4では、架橋ポリアクリル酸系樹脂のゲル
の再沈を行ったので、高い吸水量を発現し、しかもゲル
強度も優れた架橋ポリアクリル酸が得られた。
【0086】さらに、比較例3では、吸水性樹脂のゲル
の洗浄や再沈を行わずに、そのまま用いたので、吸水量
がやや低く、ゲル強度も劣っていた。対照的に、実施例
5では、吸水性樹脂のゲルの洗浄を行ったので、高い吸
水量を発現し、しかもゲル強度も優れた吸水性樹脂が得
られた。
【0087】このように、加水分解して得られた架橋ポ
リアスパラギン酸系樹脂、架橋ポリアクリル酸等の吸水
性樹脂のゲルを、水及び/又は水混和性有機溶媒で洗浄
することにより、あるいは、水混和性有機溶媒で再沈す
ることにより、吸水量及びゲル強度の点で優れた吸水性
樹脂が得られることが確認できた。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の精製方法
によれば、紙オムツ用、農・園芸用等に使用される吸水
体として有用な、ゲル強度が高く、高吸水量を有し、か
つゲル表面のべたつきが改良された吸水性樹脂が得られ
るようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 73/10 C08G 73/10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水により、又は、水及び水混和性有機溶
    媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水及び/又
    は水混和性有機溶媒により洗浄することを特徴とする吸
    水性樹脂の精製方法。
  2. 【請求項2】 水により、又は、水及び水混和性有機溶
    媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水及び/又
    は水混和性有機溶媒により洗浄することにより、水溶解
    性成分を除去することを特徴とする吸水性樹脂の精製方
    法。
  3. 【請求項3】 水により、又は、水及び水混和性有機溶
    媒により、膨潤させた吸水性樹脂のゲルを、水混和性有
    機溶媒で再沈することを特徴とする吸水性樹脂の精製方
    法。
  4. 【請求項4】 水混和性有機溶媒がアルコールであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載した吸水
    性樹脂の精製方法。
  5. 【請求項5】 吸水性樹脂が生分解性樹脂であることを
    特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載した吸水性樹
    脂の精製方法。
  6. 【請求項6】 吸水性樹脂が架橋ポリアミノ酸であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載した吸水
    性樹脂の精製方法。
  7. 【請求項7】 吸水性樹脂が架橋ポリアスパラギン酸系
    樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに
    記載した吸水性樹脂の精製方法。
  8. 【請求項8】 吸水性樹脂が架橋ポリ(メタ)アクリル
    酸であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記
    載した吸水性樹脂の精製方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8の何れかに記載した方法
    により精製された吸水性樹脂。
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