JP3434691B2 - 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法 - Google Patents

架橋ポリコハク酸イミドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋ポリコハク酸
イミドの製造方法に関する。本発明に係わる架橋ポリコ
ハク酸イミドの製造方法は、特に、分解性及び/又は生
分解性を有する吸水性樹脂等を提供できる点で有用であ
る。より詳細には、分解性及び/又は生分解性に優れ、
且つ、高吸水能を有する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
の前駆体等として有用な架橋ポリコハク酸イミドを優れ
た生産性で提供できる点で有用である。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等
の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダ
ーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携
帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使
い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェ
ル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水
材、切り花の延命材、フローラルフォーム(切り花の固
定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テ
ープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸
用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シー
ト等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シー
ト等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用
のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリ
ート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資
材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブ
ル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連
資材、汚泥凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤
等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等の
幅広い分野に使用されている。また、その薬品徐放性を
利用して、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の用
途にも期待されている。さらに、その親水性を利用して
湿度調整材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への利
用も期待される
【0003】この様な用途に使用されている吸水性樹脂
の具体例としては、例えば、架橋ポリアクリル酸部分中
和物(特開昭55−84304号、米国特許4,62
5,001号)、澱粉−アクリロニトリル共重合体の部
分加水分解物(特開昭46−43995号)、澱粉−ア
クリル酸グラフト共重合体(特開昭51−125468
号)、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体の加水
分解物(特開昭52−14689号)、2ーアクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の共
重合架橋物(欧州特許0068189号)、カチオン性
モノマーの架橋体(米国特許4,906,717号)、
架橋イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(米国特許
4,389,513号)等を挙げることが出来る。しか
しながら、これらの先行技術により製造された吸水性樹
脂組成物は分解性を有しないため、使用後の廃棄物処理
が重大な問題となる。
【0004】我が国では現在、吸水性樹脂の廃棄は、主
に焼却処理と埋立処理により行われている。例えば使用
後の使い捨て衛生材料(紙おむつ、生理用品等)や、開
梱後に不要になった包装材等の廃棄が挙げられる。焼却
処理の問題点として、吸水性樹脂廃棄物を焼却する際に
発生する熱による焼却炉の炉材の損傷のみならず、発生
する炭酸ガスや含硫化合物、含窒素化合物が、地球温暖
化や酸性雨の原因となったり、炉内の焼却温度の上昇を
阻害することによりダイオキシンの生成を惹起する事な
どが指摘されており、地球環境に及ぼす負荷が大きい。
また、埋立処理の問題点としては、これら吸水性樹脂廃
棄物は嵩高く、腐りにくい埋設物のため、埋立地の地盤
が安定しないのみならず、埋立に適した用地の確保が困
難となってきた事、更にはバイオハザード(例えば、一
旦感染してしまうと治療に困難を極める疾病の病原体
(HIV、MRSA、O−157、B型/C型肝炎ウィ
ルス、エボラ出血熱、クロイツフェルト−ヤコブ病や狂
牛病を発病させるプリオン等))が混入し得る糞便、体
液、血液等を吸収させた使い捨て衛生材料(紙おむつ、
生理用品等)を滅菌処理することなくそのまま埋立るこ
との危険性が指摘されている。また、使用済みの使い捨
て衛生材料(紙おむつ、生理用品等)から樹脂を回収し
て再生、リサイクルしようとすれば膨大な費用を要す
る。この様に、上記先行技術により製造された吸水性樹
脂組成物は、分解性又は生分解性を有さず、水中や土壌
中では半永久的に存在するので、廃棄物処理や環境保全
を考慮すると重大な問題を内在している。
【0005】農・園芸用保水材として架橋ポリアクリル
酸系樹脂を使用した場合、土壌中でCaイオン等の多価
イオンとコンプレックスを形成し、不溶性の層を形成す
るとの報告がある(松本ら、高分子、42巻、8月号、
1993年)。しかしながらこの様な層は、それ自体の
毒性は低いと言われてはいるが、自然界には本来存在し
ないものであり、この様な樹脂が土壌中に蓄積する事に
よる、生態系への影響は不明であり、十分に精査する必
要があると考えられる。同様に非イオン生の樹脂の場合
にはコンプレックスは形成しないが、分解性がないため
土壌に蓄積する可能性があり、やはり生態系への影響が
不明であり、十分に精査する必要がある。また、これら
の樹脂は、原料として生物に対して毒性のある単量体を
使用しているので、重合生成物中には未反応の単量体や
オリゴマーが残存している。従って、樹脂製品の用途に
よっては、樹脂製品から未反応の単量体やオリゴマーを
除去する必要があるが、この精製操作は、高いコストを
要し、場合によっては困難を極める。
【0006】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]近年、「地球にやさしい素材」として生分解性ポリ
マーが注目を集めてきた。特に、生分解性と吸水性を併
せ持つポリマーは、上記した吸水性樹脂の廃棄物に関す
る問題を解決する切り札として注目されたが、以下に述
べるように、必ずしも期待に応えるものではなかった。
具体例としては、例えば、ポリエチレンオキシド架橋体
(特開平6−157795号)、ポリビニルアルコール
架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体(米国特許
4,650,716号)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋
体、ポリアミノ酸架橋体等を挙げることができる。しか
しながら、ポリエチレンオキシド架橋体やポリビニルア
ルコール架橋体は吸水能が低い。また、カルボキシメチ
ルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体等
の糖類架橋体は、その分子内に強固な水素結合を多く含
むため、分子間、ポリマー間の相互作用が強く、そのた
め分子鎖が広く開くことができず、吸水能が低い。これ
らのポリマーは吸水能が低いので、特に、高吸水能が要
求される製品(例えば生鮮食品の鮮度保持材、紙おむ
つ、生理用品、使い捨て雑巾、ペーパータオル等)の素
材としては適当ではないという問題がある。また、これ
らのポリマーの多くは、ポリマーを生分解する微生物
が、特殊な菌株に限定されているので、埋立地等の一般
的な条件の生育環境(温度、pH、嫌気性/好気性、光
の強度、光の波長等)においては生分解の速度が非常に
遅く、また、ポリマーの分子量が大きいと生分解の速度
がさらに遅くなるという問題がある。
【0007】ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生
分解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内
に吸収されても酵素により消化吸収され、しかも生体内
で抗原性を示さず、分解生成物も毒性が低いか又は無い
事が明らかにされており、人に対してもやさしい素材で
ある。具体的な例としては、例えば、ポリ−γ−グルタ
ミン酸にγ線を照射して高吸水能を有する樹脂を製造す
る方法(国岡ら;高分子論文集・50巻・10号・75
5頁〜(1993年))が挙げられる。しかしながら、
工業的観点からは、この技術に用いる60Coの照射設備
は、放射線の遮蔽を行うには大がかりな設備が必要であ
り、その管理にも充分な配慮が必要であるため現実的で
はない。また、出発物質であるポリグルタミン酸が高価
である事も問題である。ポリアミノ酸を架橋して得られ
る吸水性樹脂のその他の例としては、酸性アミノ酸を架
橋させてハイドロゲルを得る方法(Akamatsu
ら;米国特許第3,948,863号・特公昭52−4
1309号、岩月ら;特開平5−279416号)、架
橋アミノ酸樹脂を吸水性樹脂とする方法(Sikes
ら;特表平6−506244号・米国特許第5,24
7,068号・同第5,284,936号、鈴木ら;特
開平7−309943号等)が挙げられる。しかしなが
ら、これらの吸水性樹脂は吸水能が必ずしも十分なもの
ではなく、実用的ではなかった。
【0008】本発明者らは、既に、特開平7−2241
63号において、ポリコハク酸イミドを架橋剤と反応さ
せ、その反応液がゲル化する前に反応を終了する事によ
り架橋ポリコハク酸イミドを得た後、残りのイミド環を
加水分解し、塩水吸水能の高い架橋ポリアスパラギン酸
系吸水性樹脂を製造する技術について開示した。また、
本発明者らは、特開平9−169840号において、ポ
リコハク酸イミドを部分的に架橋した後、架橋ポリコハ
ク酸イミドを単離することなく、該反応液にアルカリ水
溶液を添加して残りのイミド環を加水分解することによ
り、塩水吸水能の高い架橋ポリアスパラギン酸系吸水性
樹脂を製造する技術について開示した。本発明者らが開
示したこれらの発明は、新規性、進歩性、及び産業上利
用可能性の観点から極めて有意義なものである。
【0009】しかしながら、特開平7−224163
号、特開平9−169840号に開示した方法において
は、工程を充分に管理しないと架橋が充分に進行せず、
高い吸水能を有する吸水性樹脂が得られないことがあっ
た。また、工程を充分に管理しないと架橋反応時に反応
液全体が固化し攪拌が困難となることがあった。この様
に架橋ポリアスパラギン酸系吸水性樹脂は非常に有用で
はあるが、その中間体である架橋ポリコハク酸イミドの
製造工程管理上、改善の余地があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、上
記のような従来技術の問題点に鑑み、本発明者らが既に
開示している発明の技術的な思想を発展させることによ
り、優れた吸水能を有する(生)分解性吸水性樹脂等、
特に架橋ポリアスパラギン酸系吸水性樹脂の前駆体等と
して有用な架橋ポリコハク酸イミドを、高い生産性かつ
簡便な操作性で製造する方法を提供することを課題とし
た。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリコハク酸イミドに
架橋剤を添加してペンダント基として導入した後、分散
剤を装入して反応系を分散状態にし、次いで塩基を添加
して架橋反応する事により、高吸水能を有する架橋ポリ
アスパラギン酸系吸水性樹脂の前駆体等として有用な架
橋ポリコハク酸イミドを高い生産性で製造できることを
見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、ポリコハク酸イミドと架橋剤を反応させてペンダン
ト基として導入した後、分散剤を装入して反応系を分散
状態にし、さらに塩基を添加して架橋反応を行う事を特
徴とする架橋ポリコハク酸イミドの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるポリコハク酸イミドの製造方
法は、特に限定されない。ポリコハク酸イミドの製造方
法の具体例としては、例えば、ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソサエティー(J.Amer.Ch
em.Soc.)80巻、3361頁〜(1958年)
に記載されている製造方法を挙げることが出来る。即
ち、アスパラギン酸をリン酸存在下で150℃〜200
℃に加熱し縮合脱水することにより製造できる。
【0013】本発明において用いられるポリコハク酸イ
ミドの分子量(重量平均分子量)は特に限定されない
が、一般的には高い方が保水材としての能力が高くなり
好ましい。選択する架橋剤にもよるが、高い重量平均分
子量のポリコハク酸イミドを使用した方が、高い吸水能
を有した樹脂が得られ、通常、重量平均分子量1万以上
のものが用いられる。
【0014】本発明において用いられるポリコハク酸イ
ミドは、線状構造を有するものであっても、分岐状構造
を有するものであっても構わない。また、部分的にアミ
ド結合を含んでいてもよい。更に、主鎖基本骨格に、ア
スパラギン酸以外のアミノ酸誘導体との結合を含んでい
てもよい(即ち、コポリマーであってもよい)。アスパ
ラギン酸以外のアミノ酸誘導体としては、例えばグリシ
ン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリ
ン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、グルタミ
ン酸、リジン、オルニチン、システイン、シスチン、メ
チオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン
等の脂肪族α−アミノ酸、チロシン、フェニルアラニ
ン、トリプトファン、ヒスチジン等の芳香族α−アミノ
酸、これらα−アミノ酸の側鎖官能基が置換されたも
の、β−アラニン、γ−アミノ酪酸等のアミノカルボン
酸、グリシル−グリシン、アスパルチル−フェニルアラ
ニン等のジペプチド(二量体)、グルタチオン等のトリ
ペプチド(三量体)等が挙げられる。これらのアミノ酸
誘導体は光学活性体(L体、D体)でも、ラセミ体でも
よい。また、これらの結合は、ランダムに存在して(ラ
ンダムコポリマー)も、ブロック的に存在して(ブロッ
クコポリマー)もよい。
【0015】本発明において用いられる良溶媒は、ポリ
コハク酸イミドを実質的に完全に溶解できる有機溶媒を
意味する。具体例としては、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン等のアミ
ド系有機溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の
含硫有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で用い
てもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。良溶媒
の使用量は特に限定されず、溶媒の種類によって異なる
が、通常ポリコハク酸イミドに対して2重量倍〜100
重量倍が使用される。
【0016】本発明において用いられる分散剤は特に限
定されないが、ポリコハク酸イミドの貧溶媒を用いるこ
とが好ましい。本発明において用いられる貧溶媒とは、
ポリコハク酸イミドを実質的に完全には溶解できない有
機溶媒および水を包含する。具体例としては、水、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノー
ル、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタ
ノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノ
ール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール等のグリコール類およびそのエーテル類、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン類、ジエチルエーテル、メチル−ter−ブチ
ルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、石油
エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼ
ン、キシレン、メシチレン、クメン、シメン、デカリン
等の炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン、ジブロモエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼ
ン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジク
ロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、その他アニソー
ル、クレゾール等が挙げられる。これらは単独で用いて
も2種以上を混合して用いても良い。これらの貧溶媒の
使用量は特に限定されないが、通常、ポリコハク酸イミ
ドを溶解するのに用いた良溶媒に対して0.5重量倍〜
10重量倍が使用される。貧溶媒が少なすぎた場合に
は、ポリコハク酸イミドが分散状態とならず、架橋反応
中にゲル化する可能性がある。
【0017】本発明において使用される架橋剤は特に限
定されないが、その分子内にカルボキシル基を1個以上
有し、かつイミド環と反応し得る多官能化合物が好まし
い。具体例としては、例えば(ポリアミノ)ポリカルボ
ン酸類を挙げることができる。より詳細な具体例として
は、リジン、シスチン、オルニチン等のタンパク質構成
アミノ酸、Nδ−(2−アミノ−2−カルボキシエチ
ル)オルニチン、Nδ−(2−アミノ−2−カルボキシ
エチル)リジン、o−(2−アミノ−3−ヒドロキシプ
ロピル)ホモセリン、キヌレニン、α,β−ジアミノコ
ハク酸、α,ε−ジアミノピメリン酸、2,6−ジアミ
ノ−7−ヒドロキシアゼライン酸、イソリジン、3,5
−ジアミノヘキサン酸、α,γ−ジアミノ酪酸、ジェン
コール酸、シスタチオニン、シスチンジスルホキシド、
α,ε−ジアミノ−β−ヒドロキシピメリン酸、ハイプ
シン、γ−ヒドロキシオルニチン、α−ヒドロキシリジ
ン、ランチオニン、リジノノルロイシン、リゾビトキシ
ン、ロゼアニン等のタンパク質構成アミノ酸以外のアミ
ノ酸が挙げられる。また、これらのアミノ酸は、塩酸
塩、硫酸塩、臭化水素塩等の鉱酸塩、p−トルエンスル
ホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、メチルエ
ステル、エチルエステル等のカルボン酸アルキルエステ
ル、ナトリウム塩、カリウム塩等のカルボン酸アルカリ
金属塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩
等のカルボン酸有機アミン塩でも良い。これらの中では
リジン、シスチン、オルニチン等のアミノ酸およびその
エステル、塩等の誘導体が好ましい。これらを用いた場
合、得られる吸水性樹脂の分解および/または生分解後
も、生体、環境に安全であり、特に好ましい。これらは
単独で用いても2種以上混合して用いても良い。
【0018】本発明における架橋剤において、例えばリ
ジン、オルニチン等のアミノ酸の場合、二つのアミノ基
の内の一方はカルボキシル基と水素結合しており、形式
上は一官能のアミンである。これらは、架橋剤としては
機能しないが、ポリコハク酸イミドと反応させること
で、ペンダント基としてポリマーに導入することができ
る。ペンダント基が導入されたポリコハク酸イミドに対
して塩基を添加すると、もう一つのアミノ基と水素結合
を形成していたカルボン酸が中和されてアミノ基がフリ
ーとなり、イミド環と反応する事で架橋反応が進行す
る。そこで、本発明においては、上記アミノ酸類は、そ
の分子内の1個のアミノ基だけがフリーとなるような形
態でポリコハク酸イミドの溶液に対して添加される。例
えば、リジン等のジアミノモノカルボン酸を用いる場合
はそのままで、リジン・1塩酸塩等のジアミノモノカル
ボン酸・鉱酸塩を用いる場合は鉱酸のみを中和すること
で、1個のアミノ基がフリーとなりポリコハク酸イミド
に対してペンダント基として導入される。また、例えば
シスチン等のジアミノジカルボン酸類を用いる場合は、
分子内には2個の分子内塩が存在するので、1個分の塩
基を添加してカルボン酸塩とすれば、1個のアミノ基の
みがフリーとなりポリコハク酸イミドに対してペンダン
ト基として導入できる。更に、例えばオルニチンメチル
エステル等を用いる場合は、そのままでは架橋反応が起
こってしまい好ましくないため、モノ塩酸塩として1個
のアミノ基をふさいだ状態で反応に用いる。
【0019】本発明における、「ペンダント基」とは、
ポリコハク酸イミドのイミド環と反応し得る官能基を有
した化合物がイミド環を開環し、ポリコハク酸イミド主
鎖に対して「ぶら下がった」状態にあるものを意味す
る。
【0020】即ち、本発明においては、 架橋剤をペンダント基として導入する。 架橋反応が進行しても反応系がゲル化する恐れのない
よう反応系を分散状態にする。 塩基を添加してペンダント基として導入された架橋剤
を活性化して架橋反応を開始する。 の3段階で架橋反応を行う。
【0021】本発明において使用される架橋剤の量は特
に限定されず、目的とする架橋度により適宜選択するこ
とができる。ここで、架橋度とは、ポリマー主鎖に対す
る架橋部分の割合を意味する。また、架橋剤の種類(官
能基の数、官能基間の長さ)、ポリコハク酸イミドの分
子量、目的とする用途によって異なるが、一般的には架
橋剤の使用量が多すぎると架橋度が高くなり、例えば吸
水性樹脂とした場合の吸水能が低下する。一方、架橋剤
の使用量が少なすぎると架橋度が低くなり、吸水性樹脂
とした場合、水溶性となり吸水性を示さなくなる。そこ
で本発明においては、実質的に架橋反応に使われる架橋
剤の使用量は、通常、ポリコハク酸イミド主鎖の単量体
単位に対して0.1〜30モル%程度になるように調整
される。
【0022】本発明においては、架橋剤をそのまま、も
しくは適当な有機溶媒または水に溶解した溶液を、ポリ
コハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶液に対して添加す
る。ここで適当な有機溶媒とは、実質的に架橋剤を完全
に溶解できるものであれば特に限定されないが、好まし
くはポリコハク酸イミドの良溶媒が好ましい。水、また
はポリコハク酸イミドの貧溶媒を用いる場合は、添加し
た際に反応系が分散状態にならない程度の最小限の使用
量にする方が好ましい。通常、ポリコハク酸イミドを溶
解するのに用いた良溶媒の30分の1〜5分の1の量が
用いられる。
【0023】本発明においてはペンダント基として導入
された架橋剤を活性化するのに用いられる塩基は、アミ
ノ基とカルボキシル基の水素結合を解離させる事ができ
れば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化
物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢
酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロ
ピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、
トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリプロ
パノールアミン、トリブタノールアミン、トリペンタノ
ールアミン、トリヘキサノールアミン、N−メチルモル
ホリン、ピリジン、キノリン、ピコリン等の3級アミン
を挙げることができる。
【0024】本発明において、ペンダント基として導入
された架橋剤を活性化するのに用いられる塩基の使用量
は、実質的にはペンダント基として導入された架橋剤中
のカルボキシル基と等モル必要であるが、その使用量を
調整する事で架橋度の調整が可能である。すなわち、ペ
ンダント基として導入された架橋剤のカルボキシル基よ
り少ない量の塩基を作用させた場合、用いた架橋剤の量
から算出される架橋度よりも低い架橋度となり、架橋剤
の一部はそのままペンダント基として作用することにな
る。即ち、上述した、好ましい架橋剤の使用量とは狭義
には、架橋剤を活性化するのに用いる塩基の使用量を意
味する。
【0025】本発明において、架橋剤をペンダント基と
して導入する反応、および塩基を添加して架橋する反応
の反応温度は特に限定されない。架橋剤の反応性、触媒
の有無、ポリコハク酸イミドの分子量等によっても異な
るが、通常、−10℃〜200℃で行われ、10〜80
℃が好ましい。
【0026】架橋反応により得られた架橋ポリコハク酸
イミドは、そのまま樹脂として使用してもよいし、残存
イミド環を加水分解して「架橋ポリアスパラギン酸系樹
脂」としてもよい。また、ペンダント基を導入して「ポ
リコハク酸イミド誘導体」としてもよい。
【0027】得られた架橋ポリコハク酸イミドは、反応
液のまま次工程のペンダント基導入反応及び/または加
水分解行程に進んでもよいし、固液分離操作により溶媒
を分離して、架橋ポリコハク酸イミドとして取り出し、
用いても構わない。架橋ポリコハク酸イミドと溶媒の固
液分離操作としては、化学一般に用いられる方法を用い
ることができる。例えば、濾過、デカンテーション、遠
心分離等が挙げられる。得られる架橋ポリコハク酸イミ
ドは溶媒が付着ンたウェット・ケーキのまま次行程に用
いてもよいし、乾燥して溶媒を除いた状態で次行程に用
いてもよい。
【0028】本発明に係る架橋ポリコハク酸イミドの乾
燥方法は特に限定されず、例えば、熱風乾燥、特定蒸気
での乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤ
ー乾燥、ナウタードライヤー乾燥、ミクロンドライヤー
乾燥等を挙げることができる。また、乾燥温度は、一般
的には20〜200℃が採用される。
【0029】乾燥後の架橋ポリコハク酸イミドは、さら
に、精製処理、粉砕処理、造粒処理、表面処理等を施し
てもよい。架橋ポリコハク酸イミドの粒度は特に限定さ
れないが、粒度が大きすぎると次のペンダント基導入反
応および/または残存イミド環の加水分解反応等を行な
う場合はその反応速度が遅くなるので、1μm〜50m
mが好ましい。
【0030】架橋ポリコハク酸イミドそのものを使用す
る場合、使用形態は特に限定されるものではなく、単独
でも、他の素材と組み合わせて樹脂等の添加剤として使
用しても良い。例えば、熱可塑性樹脂に混練りして射出
成形等にて成形する方法、構成樹脂のモノマーと架橋ポ
リコハク酸イミド及び必要により開始剤を混合後光又は
熱等で重合する方法、樹脂と架橋ポリコハク酸イミドを
溶剤に分散させキャストし溶剤を除去する方法、プレポ
リマーと架橋ポリコハク酸イミドを混合後架橋する方
法、ポリマーと架橋ポリコハク酸イミドを混合後架橋す
る方法等が挙げられる。その成形品としても特に制限さ
れるものではなく、固形物、シート、フィルム、繊維、
不織物、発泡体、ゴム等として使用できる。また、単独
で他の素材との複合体として使用しても良い。例えば、
パルプや不織物等にはさみサンドイッチ構造にする方
法、樹脂シートやフィルムを詩自体として多層構造とす
る方法、樹脂シートにキャストし二層構造とする方法が
ある。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
本発明に係る架橋ポリコハク酸イミドは、残存イミド環
を加水分解して「架橋ポリアスパラギン酸系樹脂」に、
またはペンダント基を導入して「架橋ポリコハク酸イミ
ド誘導体」に誘導し、その吸水性能を評価した。尚、本
実施例において、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂のおよ
び架橋重合体の吸水量は、以下のティーバッグ法にて測
定した。
【0032】[ティーバッグ法] ティーバッグの調製 不織布性のティーバッグ(80mm×50mm)に、予
め乾燥状態重量 (Wd)を秤量した乾燥状態の吸水性
樹脂を充填する。 浸漬 で調製した試料、および、吸水性樹脂を充填していな
いティーバッグ(ブランク)を、25℃に維持した大過
剰の蒸留水または生理食塩水に1時間浸漬した。尚、生
理食塩水(0.9wt%塩化ナトリウム水溶液)は、蒸
留水と塩化ナトリウムにより調製した。 秤量 浸漬終了後、浸漬により膨潤した試料、およびブランク
を引き上げ、1分間水切りを行い、それぞれ浸漬後試料
重量(Ww)と浸漬後ブランク重量 (Wb)を秤量し
た。 吸水量の評価 次式[式1]により、吸水量(蒸留水または生理食塩水
[g]/乾燥樹脂[1g])を評価した。
【0033】
【式1】[吸水量]=(Ww−Wd−Wb)/ Wd
【0034】また、吸水速度を比較する指標として、上
記同様な操作で蒸留水に対する10分後の吸水量(W1
0)を測定し、その1時間後の吸水量(W60)に対す
る割合を算出した。尚、樹脂の粒径による吸水速度のバ
ラツキを考慮して、ふるい分けにより100〜500μ
mの粒径の樹脂だけを測定に用いた。
【0035】実施例1 2.78g(0.015mol)のリジン・モノ塩酸塩
(以下Lys・HCl)を1.5gの蒸留水に溶解し、
24.5wt%NaOH水溶液2.44g(0.015
mol)を添加し中和した。該溶液を、重量平均分子量
9.6万のポリコハク酸イミド(以下PSI)9.71
g(0.10mol)を38.8gのN,N−ジメチル
ホルムアミド(以下DMF)に溶解した溶液に0.5h
rかけて滴下装入し、1hr反応させた。その後、3
8.8gのメタノールを装入して反応系を分散状態に
し、25℃で3hr熟成した。その後、24.5wt%
NaOH水溶液1.63g(0.01mol)を滴下装
入し、25℃で20hr架橋反応させた。得られた反応
マスを濾過、洗浄して架橋ポリコハク酸イミドの湿体を
得た。該湿体を83.1gの水及び116.5gのメタ
ノールに懸濁させ、24.5wt%NaOH水溶液を滴
下装入し、25〜35℃、pH=9〜11.5で加水分
解を行った。24.5wt%NaOHの消費量は13.
8g(0.085mol)であり、反応完結まで3hr
を要した。該加水分解マスに塩酸を添加してpH=7〜
7.5に調整し、得られた沈澱をデカンテーションによ
り取り出した。得られた沈澱に水20gを添加してスラ
リーとし、該スラリーをメタノール200gに排出して
再沈澱を行った。得られた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して
架橋ポリアスパラギン酸系樹脂10.5gを得た。得ら
れた吸水性樹脂の吸水量は蒸留水に対して1090倍、
生理食塩水に対して96倍であった。また、W10/W
60×100=60.2%であった。
【0036】実施例2 2.78g(0.015mol)のLys・HClを
1.5gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液2.44g(0.015mol)を添加し中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、1hr反応させ
た。その後、38.8gのメタノールを装入して反応系
を分散状態にし、25℃で3hr熟成した。その後、2
4.5wt%NaOH水溶液2.44g(0.015m
ol)を滴下装入し、25℃で20hr架橋反応させ
た。得られた反応マスを濾過、洗浄して架橋ポリコハク
酸イミドの湿体を得た。該湿体を83.1gの水及び1
16.5gのメタノールに懸濁させ、13.5g(0.
083mol)の24.5wt%NaOH水溶液を3h
rかけて滴下装入し、25〜35℃、pH=9〜11.
5で加水分解を行い、1hr熟成を行った。該加水分解
マスに塩酸を添加してpH=7〜7.5に調整し、得ら
れた沈澱をデカンテーションにより取り出した。得られ
た沈澱に水20gを添加してスラリーとし、該スラリー
をメタノール200gに排出して再沈澱を行った。得ら
れた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂12.3gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水
量は蒸留水に対して690倍、生理食塩水に対して75
倍であった。また、W10/W60×100=75.9
%であった。
【0037】実施例3 3.70g(0.020mol)のLys・HClを
1.5gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液3.27g(0.020mol)を添加し中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、1hr反応させ
た。その後、38.8gのメタノールを装入して反応系
を分散状態にし、25℃で3hr熟成した。その後、2
4.5wt%NaOH水溶液1.63g(0.010m
ol)を滴下装入し、25℃で20hr架橋反応させ
た。得られた反応マスを濾過、洗浄して架橋ポリコハク
酸イミドの湿体を得た。該湿体を83.1gの水及び1
16.5gのメタノールに懸濁させ、13.5g(0.
083mol)の24.5wt%NaOH水溶液を3h
rかけて滴下装入し、25〜35℃、pH=9〜11.
5で加水分解を行い、1hr熟成を行った。該加水分解
マスに塩酸を添加してpH=7〜7.5に調整し、得ら
れた沈澱をデカンテーションにより取り出した。得られ
た沈澱に水20gを添加してスラリーとし、該スラリー
をメタノール200gに排出して再沈澱を行った。得ら
れた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂12.3gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水
量は蒸留水に対して600倍、生理食塩水に対して83
倍であった。また、W10/W60×100=61.9
%であった。
【0038】実施例4 4.63g(0.025mol)のLys・HClを
1.5gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液4.08g(0.025mol)を添加し中和し
た。該溶液を、重量平均分子量9.6万のPSI9.7
1g(0.10mol)を38.8gのDMFに溶解し
た溶液に0.5hrかけて滴下装入し、1hr反応させ
た。その後、38.8gのメタノールを装入して反応系
を分散状態にし、25℃で3hr熟成した。その後、2
4.5wt%NaOH水溶液1.63g(0.010m
ol)を滴下装入し、25℃で20hr架橋反応させ
た。得られた反応マスを濾過、洗浄して架橋ポリコハク
酸イミドの湿体を得た。該湿体を83.1gの水及び1
16.5gのメタノールに懸濁させ、13.5g(0.
083mol)の24.5wt%NaOH水溶液を3h
rかけて滴下装入し、25〜35℃、pH=9〜11.
5で加水分解を行い、1hr熟成を行った。該加水分解
マスに塩酸を添加してpH=7〜7.5に調整し、得ら
れた沈澱をデカンテーションにより取り出した。得られ
た沈澱に水20gを添加してスラリーとし、該スラリー
をメタノール200gに排出して再沈澱を行った。得ら
れた沈澱を濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂14.8gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水
量は蒸留水に対して450倍、生理食塩水に対して48
倍であった。また、W10/W60×100=62.7
%であった。
【0039】実施例5 実施例1と同様の操作を行い、架橋ポリコハク酸イミド
の湿体を得た。得られた湿体を120gのメタノールに
懸濁し、7.73g(0.1mol)のグリシンと4.
2gのNaOHを水30gに溶解したグリシン水溶液を
滴下装入し、25℃で24hr反応させた。その後、9
%塩酸によりpH=7.5まで中和し、得られた沈澱を
濾過、洗浄、乾燥して、ペンダント基としてグリシンが
導入された架橋ポリコハク酸イミド誘導体18.1gを
得た。得られた吸水性樹脂の吸水量は蒸留水に対して7
20倍、生理食塩水に対して79倍であった。また、W
10/W60×100=75.5%であった。
【0040】比較例1 2.78g(0.015mol)のLys・HClを
1.5gの蒸留水に溶解し、24.5wt%NaOH水
溶液4.08g(0.025mol)を添加し中和し
た。該溶液を、9.71g(0.1mol)のPSIを
38.8gのDMFに溶解した溶液に対して0.5hr
かけて滴下装入した。装入の途中で粘度が著しく上昇
し、装入後、反応液全体がゲル化し、攪拌不能となった
ため、その後は無攪拌で25℃/30hr熟成した。得
られたゲルに対し100gのメタノールを加え、ゲルを
ほぐそうと試みたが、攪拌が困難であったため、ゲル全
体がほぐれるのに20hr程度を要した。得られた沈澱
を濾過、洗浄して架橋ポリコハク酸イミドの湿体を得
た。得られた湿体を90gの水および120gのメタノ
ールに懸濁し、24.5wt%NaOH水溶液13.1
gを25〜35℃、pH=9〜11の条件で滴下装入
し、加水分解を行った。沈澱の粒子径が大きいため反応
が遅く、加水分解に6hr程度要した。その後、9%塩
酸を添加してpH=7.5に調整し、得られた沈澱をデ
カンテーションにより取り出し、水20gを加えてスラ
リーとした。得られたスラリーを200gのメタノール
に排出して再沈澱させ、濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリ
アスパラギン酸系樹脂8.8gを得た。得られた吸水性
樹脂の吸水量は蒸留水に対して400倍、生理食塩水に
対して53倍であった。また、W10/W60×100
=60.7%であった。
【0041】比較例2 3.50g(0.015mol)のリジンメチルエステ
ル・2塩酸塩を100gのDMFに懸濁し、等量のトリ
エチルアミンで中和した。該溶液を、重量平均分子量
9.6万のPSI9.71g(0.10mol)を3
8.8gのDMFに溶解した溶液に対して滴下装入し、
1hr攪拌した。その後、3.03g(0.030mo
l)のトリエチルアミンを添加して25℃で40hr架
橋反応させた。反応液をエタノール300gに排出して
再沈澱させ、濾過、洗浄して架橋ポリコハク酸イミドの
湿体を得た。得られた湿体を水2000gに懸濁し、2
4.5wt%NaOH水溶液を滴下装入し、pH=9〜
11に調整しながら加水分解を行った。得られた反応液
(流動性ゲル)をエタノール5000mlに排出して再
沈澱させ、濾過、洗浄、乾燥して架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂12.8gを得た。得られた吸水性樹脂の吸水
量は蒸留水に対して110倍、生理食塩水に対して30
倍であった。また、W10/W60×100=61.2
%であった。
【0042】[実施例と比較例の比較・考察]比較例1
においては、加水分解により誘導した架橋ポリアスパラ
ギン酸系樹脂の吸水量は十分に高いものが得られたが、
架橋反応液全体がゲル化する等、架橋ポリコハク酸イミ
ドを製造する際の操作性が悪く、生産性が低下した。比
較例2においては、高い生産性で架橋ポリコハク酸イミ
ドを製造しようとした結果、加水分解により誘導した架
橋ポリアスパラギン酸系樹脂の吸水量が低下してしまっ
た。対照的に、実施例1〜5では、いずれの場合でも、
高い吸水量を有する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂を、
高い生産性で製造することができた。
【0043】
【発明の効果】本発明の製造方法により、高い吸水能と
(生)分解性を併有する架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
の前駆体等として有用な架橋ポリコハク酸イミドを、高
い生産性、優れた操作性で製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 73/00 - 73/26 C08L 101/16 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解した溶
    液に、リジン、オルニチン、シスチンまたはそれらのエ
    ステル、塩からなる群から選択される少なくとも1種の
    架橋剤を添加してペンダント基として導入した後、分散
    剤を装入して反応系を分散状態にし、次いで塩基を添加
    して架橋反応を進行させる事を特徴とする、架橋ポリコ
    ハク酸イミドの製造方法。
  2. 【請求項2】分散剤が、ポリコハク酸イミドの貧溶媒で
    ある、請求項1記載の架橋ポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】良溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミ
    ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−
    ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
    ン、ジメチルスルホキシド、スルホランからなる群から
    選択される少なくとも1種である請求項1〜記載の架
    橋ポリコハク酸イミドの製造方法。
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