JP2000212278A - 架橋ポリコハク酸イミドの製造方法 - Google Patents

架橋ポリコハク酸イミドの製造方法

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JP2000212278A
JP2000212278A JP11020117A JP2011799A JP2000212278A JP 2000212278 A JP2000212278 A JP 2000212278A JP 11020117 A JP11020117 A JP 11020117A JP 2011799 A JP2011799 A JP 2011799A JP 2000212278 A JP2000212278 A JP 2000212278A
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Yoshihiro Irisato
義広 入里
Makoto Sukegawa
誠 助川
Toshio Kato
敏雄 加藤
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
Katsuhiko Machida
勝彦 町田
Susumu Nunokawa
進 布川
Akinori Nagatomo
昭憲 長友
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、ゲルの安定性に優れた架橋
重合体及びその製造方法を提供することである。 従
来の技術によったのでは、酸性分を除去しようとした場
合、多量の水を必要としたが、多量の水を使用すること
なく酸性分を除去すること。 酸性分を除去するこ
とにより、ポリコハク酸イミドと多価アミンとの反応性
を向上させ、生成する製品の品質を安定させること。 【解決手段】 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個
のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させる架橋
ポリコハク酸イミドの製造方法であって、反応系内に含
まれる酸を、架橋反応前に、塩基で中和した後に、及び
/又は、架橋反応中に、塩基で中和しながら、ポリコハ
ク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有する化合
物により、架橋反応させることを特徴とする、ポリコハ
ク酸イミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリコハク酸イミ
ドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】[吸水性樹脂の技術的背景]吸水性樹脂
は、自重の数十倍から数千倍の水を吸収できる樹脂であ
り、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等
の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダ
ーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携
帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使
い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェ
ル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水
材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固
定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テ
ープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸
用品、食品用トレー用鮮度保持材、ドリップ吸収性シー
ト等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シー
ト等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用
のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリ
ート混和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資
材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブ
ル用止水材、インクジェット用記録紙等の電気機器関連
資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、油類の脱水、水分除去
剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪等
の幅広い分野に使用されている。また、その薬品徐放性
を利用して、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤等の
用途にも期待されている。さらにその親水性を利用して
湿度調整材、電荷保持性を利用して帯電防止剤等への使
用も期待される。
【0003】[吸水性樹脂に関する先行技術]このよう
な用途に使用されている吸水性樹脂としては、例えば、
架橋ポリアクリル酸部分中和物(特開昭55−8430
4号、米国特許4625001号)、澱粉−アクリロニ
トリル共重合体の部分加水分解物(特開昭46−439
95号)、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体(特開昭
51−125468号)、酢酸ビニル−アクリル酸エス
テル共重合体の加水分解物(特開昭52−14689
号)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸とアクリル酸の共重合架橋物(欧州特許00681
89号)、カチオン性モノマーの架橋体(米国特許49
06717号)、架橋イソブチレン−無水マレイン酸共
重合体(米国特許4389513号)などが知られてい
る。
【0004】ところが、これらの吸水性樹脂組成物は分
解性を有しないため、使用後の廃棄が問題である。現状
では、これらの吸水性樹脂は、廃棄時には焼却処理する
方法と埋め立てする方法が行われているが、焼却炉で処
理する方法では、焼却時に発生する熱による炉材の損傷
のほかに、地球の温暖化や酸性雨の原因となることが指
摘されている。また、埋め立て処理する方法では、プラ
スチックは容積が嵩張ったり、腐らないために、地盤が
安定しない等の問題があるうえ、埋め立てに適した場所
が年を追うごとに少なくなってきたことが大きな問題と
なっている。
【0005】すなわち、これらの樹脂は分解性に乏し
く、水中や土壌中では半永久的に存在するので、廃棄物
処理における環境保全を考えると非常に重大な問題であ
る。例えば、紙おむつ、生理用品等の衛生材料に代表さ
れる使い捨て用途の樹脂の場合、それらをリサイクルす
れば多大な費用がかかり、焼却するにも大量であるため
地球環境への負荷が大きい。また、農・園芸用保水材と
して架橋ポリアクリル酸樹脂を使用した場合、土壌中で
Ca2+等の多価イオンとコンプレックスを形成し、不溶
性の層を形成すると報告されている(松本ら、高分子、
42巻、8月号、1993年)。しかし、このような層
はそのもの自体の毒性は低いといわれてはいるが、自然
界には、本来的に全く存在してこなかったものである。
そのため、長期に亘るそれら樹脂の土中への蓄積による
生態系への影響は不明であり、十分に調べる必要があ
り、その使用には慎重な態度が望まれる。同様に、非イ
オン性の樹脂の場合、コンプレックスは形成しないが、
非分解性のため土壌中へ蓄積する虞があり、その自然界
への影響については、より詳細な検討が必要である。
【0006】さらに、これらの重合系の樹脂は、人間の
肌等に対して毒性の強いモノマーを使用しており、重合
後の製品からこれを除去するために多くの検討がなされ
ているが、完全に除くことは困難である。特に、工業的
規模での製造ではより困難となることが予想される。
【0007】[生分解性を有する吸水性樹脂の技術的背
景]一方、近年、「地球にやさしい素材」として生分解
性ポリマーが注目されており、これを吸水性樹脂として
使用することも提案されている。このような用途に使用
されている生分解性を有する吸水性樹脂としては、例え
ば、ポリエチレンオキシド架橋体(特開平6−1577
95号等)、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシ
メチルセルロース架橋体(米国特許4,650,716
号)、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架
橋体などが知られている。これらの中で、ポリエチレン
オキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体は、特殊
な菌のみでしか、生分解することができないので、一般
的な条件では生分解性は遅かったり、又は、全く分解し
なかったりする。さらに分子量が大きくなると、極端に
分解性が低下したり、非分解性となる。また、カルボキ
シメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、デンプ
ン架橋体等の糖類架橋体は、その分子内に強固な水素結
合を多く含むために、分子間、ポリマー間の相互作用が
強く、そのため分子鎖が広く開くことができず、吸収能
は高くない。
【0008】[ポリアミノ酸径系吸水性樹脂の技術的背
景]一方、ポリアミノ酸を架橋して得られる樹脂は生分
解性を有するために地球環境にやさしく、また生体内に
吸収されても酵素作用により消化吸収され、しかも生体
内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がないことが
明らかにされているので、人に対してもやさしい素材で
ある。このような樹脂の具体例としては、例えば、ポリ
−γ−グルタミン酸にγ線を照射して製造される高吸水
能を有する樹脂が公知である(国岡ら、高分子論文集、
50巻10号、755頁(1993年))。しかしなが
ら、工業的な観点からは、この技術に用いる60Co照射
設備は、放射能の遮断を行うためには大がかりな設備が
必要であり、その管理にも十分な配慮が必要であるた
め、現実的ではない。また出発物質であるポリグルタミ
ン酸が高価であることも問題点である。
【0009】架橋アミノ酸樹脂を吸水性ポリマーに使用
する報告がされている(Sikesら、特表平6−50
6244号;米国特許第5,247,068及び同第
5,284,936号、鈴木ら、特開平7−30994
3号)。しかし、いずれの報告の場合も、これらの樹脂
は吸水性が十分でなく、実用的ではなかった。
【0010】また、酸性アミノ酸を架橋させてハイドロ
ゲルを得る方法が報告されている(Akamatsu
ら、米国特許第3948863号;特公昭52−413
09号、岩月ら、特開平5−279416号)。しか
し、これらの樹脂は吸水性ポリマーとして使用できる吸
水能は有しなかった。
【0011】さらに、特開平8−59820号に、酸性
ポリアミノ酸を塩基性ポリアミノ酸により架橋させた吸
水性樹脂が報告されている。しかし、これらの方法で
は、記載された反応における、ポリマーと架橋剤との反
応性が低く、過酷な条件下にて反応しなければならず、
反応の制御がほとんど不可能である。得られた樹脂は、
性能が十分とはいえなかった。
【0012】そこで、本発明者らは、特開平7−224
163号にてポリコハク酸イミドとジアミン化合物とを
反応させた後、又は、同時に加水分解することにより、
塩水吸水能の高い吸水性樹脂を発明した。また、特開平
7−309943号、米国特許第5,612,384号
には、上記公報と同様のポリコハク酸イミドと少なくと
も2以上のアミノ基をもつ化合物により架橋し、加水分
解することにより得られる樹脂が報告されている。
【0013】これらの樹脂は、非常に吸水能に優れ、有
望な樹脂である。ところが、工業的に生産し、安定的に
製品を供給していくためには、場合により、いくつかの
課題が残されていた。その中の一つは、原料として用い
るポリコハク酸イミドについて、一定の高分子量のもの
を得るためには、その製造工程において、酸触媒を用い
て重合しなければならず、ポリマー中に酸触媒が酸性分
として残留する点である。ここで、従来の技術によった
のでは、酸性分を除去しようとすると、多量の水を必要
とした。この点は、特に工業的生産を想定すると、この
酸性分の除去が、非常に解決困難な課題であった。残存
した酸触媒は、ポリコハク酸イミドと多価アミンとの反
応性を低下させ、生成する製品の品質を不安定にする。
すなわち、生分解性を有し、吸水性樹脂に対する要望は
高く、それらを工業的に安定して生産するためには、さ
らなる製造法の改良が要望されていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以下
の〜に示すように、上記のような従来の問題点を解
決し、生分解性を有し、ゲルの安定性に優れた架橋重合
体及びその製造方法を提供することである。
【0015】 従来の技術によったのでは、酸性分を
除去しようとした場合、多量の水を必要としたが、多量
の水を使用することなく酸性分を除去すること。この課
題は、特に工業的生産を想定すると、非常に解決困難な
課題であった。
【0016】 酸性分を除去することにより、ポリコ
ハク酸イミドと多価アミンとの反応性を向上させ、生成
する製品の品質を安定させること。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[14]に記
載した事項により特定される。
【0018】[1] ポリコハク酸イミドを、少なくと
も2個のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させ
る架橋ポリコハク酸イミドの製造方法であって、反応系
内に含まれる酸を、架橋反応前に、塩基で中和した後
に、及び/又は、架橋反応中に、塩基で中和しながら、
ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有
する化合物により、架橋反応させることを特徴とする、
ポリコハク酸イミドの製造方法。
【0019】[2] ポリコハク酸イミドを、少なくと
も2個のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させ
る架橋ポリコハク酸イミドの製造方法であって、反応系
内に含まれる酸を、架橋反応前に塩基を用いて反応系内
に含まれる酸を中和した後に、ポリコハク酸イミドを、
少なくとも2個のアミノ基を有する化合物により、架橋
反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミドの製
造方法。
【0020】[3] ポリコハク酸イミドを、少なくと
も2個のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させ
る架橋ポリコハク酸イミドの製造方法であって、反応系
内に含まれる酸を、架橋反応中に塩基を用いて反応系内
に含まれる酸を中和しながら、ポリコハク酸イミドを、
少なくとも2個のアミノ基を有する化合物により、架橋
反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミドの製
造方法。
【0021】[4] ポリコハク酸イミドを、少なくと
も2個のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させ
る架橋ポリコハク酸イミドの製造方法であって、反応系
内に含まれる酸を、架橋反応前に塩基を用いて反応系内
に含まれる酸を中和した後、さらに、架橋反応中に塩基
を用いて反応系内に含まれる酸を中和しながら、ポリコ
ハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有する化
合物により、架橋反応させることを特徴とする、ポリコ
ハク酸イミドの製造方法。
【0022】[5] 反応系内に含まれる酸が、架橋反
応に供するポリコハク酸イミドの製造工程において酸触
媒として使用したものである、[1]乃至[4]の何れ
かに記載した架橋重合体の製造方法。
【0023】[6] 酸が、リン酸である、[1]乃至
[5]の何れかに記載した架橋重合体の製造方法。
【0024】[7] ポリコハク酸イミドが、アスパラ
ギン酸を、酸触媒としてのリン酸を使用して、重合した
ものである、[1]乃至[6]の何れかに記載した架橋
重合体の製造方法。
【0025】[8] 反応系内に含まれる酸の量が、ポ
リコハク酸イミドに対して0.1〜10重量%である、
[1]乃至[7]の何れかに記載した架橋重合体の製造
方法。
【0026】[9] 塩基が、有機三級アミンである、
[1]乃至[8]の何れかに記載した架橋重合体の製造
方法。
【0027】[10] 有機三級アミンが、トリエチル
アミンである、[9]に記載した架橋重合体の製造方
法。
【0028】[11] 塩基が、無機塩基である、
[1]乃至[8]の何れかに記載した架橋重合体の製造
方法。
【0029】[12] 無機塩基が、水酸化ナトリウム
である、[11]に記載した架橋重合体の製造方法。
【0030】[13] 塩基の使用量が、反応系内に含
まれる酸の量に対して、0.1〜10当量に相当するも
のである、[1]乃至[12]の何れかに記載した架橋
重合体の製造方法。
【0031】[14] [1]乃至[13]の何れかに
記載した架橋重合体を加水分解して得られる樹脂。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細について説
明する。
【0033】(1) 架橋重合体の製造方法 本発明の架橋重合体の製造方法は、架橋反応前に塩基を
用いて反応系内に含まれる酸を中和した後、及び/又
は、架橋反応中に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を
中和しながら、ポリコハク酸イミドに少なくとも2個の
アミノ基を有する化合物を反応させて架橋ポリコハク酸
イミドを製造する。さらに残りのイミド環を加水分解し
て得られる架橋重合体の製造方法でもある。以下、重合
体の製造方法として、(2)ポリコハク酸イミドの製造
方法、(3)架橋反応、(4)イミド環の加水分解反
応、に分けて説明する。
【0034】(2) ポリコハク酸イミドの製造方法 ポリアスパラギン酸系重合体の製造方法は、ポリコハク
酸イミドを用いる方法に限定される。本発明に使用する
ポリコハク酸イミドの分子量は高い方が保水材としての
能力が高くなるので好ましい。一般的に、3万以上、好
ましくは6万以上、より好ましくは9万以上である。す
なわち、本発明では高分子量のポリコハク酸イミドを得
ることができる方法が好ましい。
【0035】本発明のPSIの製造方法としては酸触媒
を用いて重合する方法である。アミノ酸を、酸性触媒の
存在下で反応させることにより、ポリコハク酸イミドや
ポリアミノ酸類を製造する技術としては、例えば、以下
〜に挙げるようなものがある。
【0036】 P.Neriらの方法(Journa
l of Medicinal Chemistry、
1973年16巻8号) P.Neriらは、アスパラギン酸、リン酸を反応して
得られた反応混合物を、薄層状として加熱し、重合を行
った結果を報告している。この手法によって、真空系で
は、重合度n=1100〜1600(分子量10.7〜
15.5万相当)を有する高分子量のポリコハク酸イミ
ドが得られる。P.Neriらの行っている薄層状とし
て加熱する方法は、具体的には、アスパラギン酸100
g及びリン酸50gを用いて得たペースト状反応混合物
を、1000cm2の面積を有するテフロン被覆トレイ
上で加熱するものである。
【0037】 米国特許5,142,062号 第1段階として、アスパラギン酸とリン酸類の混合物
を、温度100〜250℃、圧力1bar未満で反応さ
せ、分子量1万〜10万のポリコハク酸イミドを含有す
る固体反応混合物を製造し、第2段階として、第1段階
で得た固体反応混合物を0.001〜2mmの粒子サイ
ズに粉砕し、さらに第1段階の温度・圧力範囲から選択
した条件下で重縮合を行うことによって、分子量10万
〜20万を有する高分子量のポリコハク酸イミドを製造
する技術が開示されている。
【0038】 特開平7−216084号 アスパラギン酸と酸性触媒の混合物を、常圧系で加熱
し、ポリコハク酸イミドを製造する方法が開示されてい
る。実施例3には、前記と同様、アスパラギン酸、リ
ン酸を反応して得た反応混合物を、ステンレス鋼パン上
にて層状として加熱し、重合を行った例が開示されてい
る。
【0039】 特開平8−231710号 アスパラギン酸1モル当たり酸性触媒0.005〜0.
25モルが均一に混合された混合物を、常圧系で加熱
し、ポリコハク酸イミドを製造する方法が開示されてい
る。実施例2では、アスパラギン酸、リン酸、及び、水
を用いて得たペースト状の混合物を、40〜80℃で真
空乾燥し、得られた乾燥混合物を粉砕して、200℃、
常圧系で重合操作を行っている。
【0040】前記〜の従来技術では、酸性触媒を用
いるアスパラギン酸の重合において、真空系、及び/又
は、常圧系の反応が実施されている。
【0041】また、有機溶剤中でポリこはく酸イミドを
製造する方法の具体例としては、例えば、以下の〜
の方法が知られている。
【0042】 米国特許第4,363,797号 米国特許第4,363,797号には、イオン交換樹脂
を触媒として用い、アスパラギン酸を高沸点溶剤中で2
00〜230℃で脱水縮合する方法が開示されている。
【0043】この技術の実施の形態としては、例えば、
アスパラギン酸と、触媒としてのイオン交換樹脂(商品
名アンバーライト)と、高沸点溶剤としてのジフェニル
エーテルとを容器内に装入し、230〜240℃まで徐
々に昇温すると200℃で脱水縮合が始まり、更に23
0〜240℃で2〜3時間反応させ、その後、冷却、濾
過してイオン交換樹脂とポリこはく酸イミド回収し、イ
オン交換樹脂を濾別する処理等を行なってポリこはく酸
イミドを得る方法が記載されている。
【0044】 特公昭52−8873号 特公昭52−8873号には、アスパラギン酸無水物の
塩酸塩を原料として、ポリアスパラギン酸を製造する方
法が開示されている。この技術の実施の形態としては、
例えば、L−アスパラギン酸無水物の塩酸塩を不活性有
機溶剤であるキシレンに懸濁させ、還流下で加熱し、冷
却、濾過する方法が挙げられるが、さらに、この反応温
度を200℃とすると、原料の一部がポリこはく酸イミ
ドに変化することがあると開示されている。
【0045】 特開平7−196796号 特開平7−196796号には、アスパラギン酸等を原
料として、o−クレゾール等の溶媒で原料を湿らし、硫
酸水素ナトリウム存在下、ポリこはく酸イミドを製造す
る方法が開示されている。
【0046】 特開平8−176297号 特開平8−176297号には、アスパラギン酸を有機
溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒中、縮合りん
酸の存在下にポリこはく酸イミドを製造する方法が開示
されている。特に、高い分子量のポリこはく酸イミドを
得るためには、触媒としては、特にりん酸等が好ましい
と開示されている。この技術で得られるポリこはく酸イ
ミドの重量平均分子量は、上記〜の技術で得られる
ものと比較して、相対的に高いものである。
【0047】 特開平9−143265号 本発明者らが先に出願した特開平9−143265号に
は、アスパラギン酸類(アスパラギン酸、アスパラギン
酸塩、アスパラギン酸無水物の塩等)を原料として、有
機溶剤中で触媒の存在下に、ポリこはく酸イミドを製造
する方法が開示されている。この技術は、得られるポリ
こはく酸イミドの重量平均分子量が、6万以上と高いも
のである点で極めて有意義である。
【0048】本発明のポリコハク酸イミドの製造時に、
アスパラギン酸以外の他のアミノ酸を添加して共重合体
を製造することもできる。アスパラギン酸以外のアミノ
酸成分の具体例としては、例えば、20種類の必須アミ
ノ酸、L−オルニチン、一連のα−アミノ酸、β−アラ
ニン、γ−アミノ酪酸、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、
酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸、塩基性
アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L−フェニルア
ラニン2量体(アスパルテーム)等のアミノ酸及びアミ
ノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸等
を挙げることができる。α−アミノ酸は、光学活性体
(L体、D体)であっても、ラセミ体であってもよい。
また、重合体はアミノ酸以外の単量体成分を添加して共
重合体を製造することもできる。共重合体製造時に添加
する単量体成分の例としては、アミノカルボン酸、アミ
ノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロキシカルボン
酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メ
ルカプトホスホン酸等が挙げられる。また、多価アミ
ン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、
多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合
物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合
物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、
多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化
合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合
物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合
物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等が挙げら
れる。こうして得られたポリコハク酸イミドを用いて、
架橋重合体を製造する。
【0049】(3) 架橋反応 本発明の架橋重合体の製造方法は、架橋反応前に塩基を
用いて反応系内に含まれる酸を中和した後、及び/又
は、架橋反応中に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を
中和しながら、ポリコハク酸イミドに少なくとも2個の
アミノ基を有する化合物を反応させて架橋ポリコハク酸
イミドを製造する方法である。すなわち、本発明の架橋
重合体の製造方法は、架橋重合体を吸水性樹脂として使
用する場合、架橋反応の程度(以下、架橋度という。)
により製造される樹脂の吸水特性が変わるので、目的の
吸水特性を持つ樹脂を得るためには、厳密に架橋反応を
制御できる製造法である。本発明の重合体の架橋反応
は、ポリコハク酸イミドを架橋する方法に限定される。
本発明の特徴の一つは架橋反応前に塩基を用いて反応系
内に含まれる酸を中和するか、架橋反応中に塩基を用い
て反応系内に含まれる酸を中和しながら、架橋反応を行
うところにある。本発明の反応系内の酸量は、架橋反応
前の混合物の酸を測定しても、ポリコハク酸イミド中に
含まれる酸を測定して代用しても構わない。その測定方
法も特に限定されず、酸−塩基滴定、元素分析等、様々
な分析法が使用できる。特に重合にしようする酸が判っ
ているときは元素分析は有効である。例えば、リン酸を
用いてアスパラギン酸を重合した場合、リン分を測定
し、酸とすることができる。酸の決定に複数の測定方法
を併用すると、より再現性が増すので好ましい。本発明
の中和に使用する塩基としては、特に限定されず、化学
反応に用いられる一般的な塩基は全て用いることができ
る。
【0050】塩基としては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属
水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸
水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、シュウ酸
ナトリウム等のアルカリ金属塩、アンモニア等の無機系
塩基試剤;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ
プロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミ
ン、トリヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリ
プロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリペン
タノールアミン、トリヘキサノールアミン、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルア
ミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロ
ヘキシルアミン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミ
ン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチ
ルペンチルアミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペ
ンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシ
ルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ピリ
ジン、ピコリン、キノリン等のアミン等の有機系塩基試
剤が挙げられる。ここで、使用する塩基は架橋剤のアミ
ンより塩基性が高い方が好ましい。すなわち、無機塩
基、二級アミン、三級アミン等の有機塩基が好ましい。
また、塩基の形態としては、常温にて液体の塩基でも固
体の塩基でも使用できる。 一般的に、塩基の塩基性が
同等であれば液体の塩基の方が固体の塩基より速く、反
応系内の酸を中和することができる。また、使用する塩
基はそのまま用いても、水、有機溶媒に溶解、又は懸濁
させて用いることができる。特に固体の塩基の場合、水
溶液等にして溶液状態で用いると中和が速い。本発明の
中和に用いられる塩基の量は、塩基の塩基性の強さによ
っても変わるが、反応系内に含まれる酸に対して0.2
〜10当量が好ましく、0.5〜5当量がより好まし
く、1〜2当量が特に好ましい。使用量が少ない場合は
架橋反応が定量的に進行せず、使用量が多すぎる場合
は、塩基とポリコハク酸イミドが反応して収率が低下す
る場合がある。また、塩基の塩基性が高い場合は過剰量
を少なくし、塩基性が低い場合は過剰に用いることがで
きる。本発明の中和に用いる塩基の装入時期は、架橋反
応前か、架橋反応中に限定される。架橋反応前に装入
し、結果的に架橋反応中になっても構わない。中和の反
応性の高い塩基または反応し易い形態にて装入した場合
は中和に要する時間は短く、反応性の低い塩基又は反応
しにくい形態にて装入した場合は中和に長時間を要す
る。後者の場合は、塩基装入し、十分な中和が行われる
前に架橋剤を装入し、架橋反応しながら中和することも
できる。
【0051】本発明の製造方法において架橋反応はポリ
コハク酸イミドが溶解した状態にて行われるのが好まし
い。中和はポリコハク酸イミドを良溶媒に溶解する前に
行っても溶解後に行っても構わない。ただし、ポリコハ
ク酸イミドを溶解前に行う場合は、塩基の反応性に注意
を要する。例えば、ポリコハク酸イミドとの反応性が高
い塩基を用いると、ポリコハク酸イミドが反応し、一部
が開環したポリアスパラギン酸構造となる場合がある。
このポリアスパラギン酸構造が増えてくるか、もしくは
局部的にポリアスパラギン酸ができると架橋反応に用い
る溶媒に溶解しなくなるので架橋反応が均一に進行しな
くなる。本発明における少なくとも2個のアミノ基を有
する化合物とは、2個以上のアミノ基を有する有機化合
物であれば特に限定されない。本発明の架橋剤のアミノ
基としては、一級アミノ基、二級アミノ基が挙げられる
が、ポリコハク酸イミドとの反応性が高く、架橋度の調
整が容易である。一級アミノ基が好ましい。また、芳香
環に結合したアミノ基も同様な理由にて好ましくなく、
脂肪族又はアラルキル基と結合したアミノ基、芳香環に
メチレンを介して結合したアミノ基(ベンジル位のアミ
ノ基)が好ましい。
【0052】その具体例としては、エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ペンタ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメ
チレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレ
ンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレン
ジアミン、ドデカメチレンジアミン、テトラデカメチレ
ンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、1−アミノ
−2,2−ビス(アミノメチル)ブタン、テトラアミノ
メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン等の脂肪族ポリアミン、ノルボルネンジアミン、1,
4−ジアミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノ
シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリア
ミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリ
レンジアミン等の芳香族ポリアミン、塩基性アミノ酸も
しくはそれらのエステル類、シスタミン等のモノアミノ
化合物の分子1個又はそれ以上が1個又はそれ以上のジ
スルフィド結合により結合した化合物及びその誘導体等
のポリアミンが挙げられる。また、リジン、シスチン、
オルニチンに代表されるタンパク質構成アミノ酸又はそ
れらの塩又はエステル類が挙げられる。
【0053】さらに3官能以上の化合物としては、1,
1,1−トリス(2’−アミノメチル)エタン、テトラ
キス(2’−アミノメチル)メタン、1,1,1トリス
(2’−アミノエチル)エタン、テトラキス(2’−ア
ミノエチル)メタン、1,1,1トリス(2’−アミノ
プロピル)エタン、テトラキス(2’−アミノプロピル
ル)メタン、1,1,1トリス(2’−アミノブチル)
エタン、テトラキス(2’−アミノブチル)メタン、
1,2,3−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,
2,4−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5
−トリス(アミノメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0054】重合体である架橋剤の例としては、グリシ
ン−リジン、アラニン−リジン、グリシン−オルニチ
ン、アラニン−オルニチン等のC末端に塩基性アミノ酸
を有するジペプチド、リジン−グリシン、リジン−アラ
ニン、オルニチン−グリシン、オルニチン−アラニン、
リジン−リジン、オルニチン−リジン、リジン−オルニ
チン、オルニチン−オルニチン等のN末端に塩基性アミ
ノ酸を有するジペプチド、グリシン−グリシン−リジ
ン、グリシン−リジン−グリシン、グリシン−グリシン
−オルニチン、グリシン−オルニチン−グリシン、リジ
ン−リジン−リジン、オルニチン−オルニチン−オルニ
チン、グリシン−グリシン−グリシン−リジン、グリシ
ン−オルニチン−グリシン−グリシン等の塩基性アミノ
酸を少なくとも1つ以上含むポリペプチドが挙げられ
る。また重合体がポリマーである架橋剤の例としては、
ポリリジン、ポリアルギニン、リジンとアルギニンの共
重合体、リジンとアスパラギン酸との共重合体、リジン
とグルタミン酸との共重合体、塩基性アミノ酸と他のア
ミノ酸との共重合体が挙げられ、ポリエチレンイミン、
ポリアリルアミン、キトサン、ペプチド等が挙げられ
る。本発明ではこれらの重合体の重合度は特に限定され
ず、反応に用いる有機溶媒への溶解性等を考慮して選べ
ばいい。これらの架橋剤中では、生分解性を有するもの
が、廃棄等を考慮した場合、好ましく、また、ポリコハ
ク酸イミドとの反応性に優れたものが好ましい。例え
ば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−
ブタンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、リジン、オルニチン、シスタミンが好ま
しい。
【0055】その使用量は、特に限定されないが、架橋
度が大きすぎると、樹脂の吸水量が低下し、反対に架橋
度が小さすぎると水溶性となり、吸水性を示さなくなる
ので、適当な架橋度に調整する必要がある。
【0056】本発明の製造法に使用する架橋剤の量は、
架橋剤の官能数、分子量によって決まる架橋度による
が、使用する用途の種類によっても変わってくる。ポリ
コハク酸イミドの繰り返し単位に対して、架橋剤として
は0.01〜100モル%が好ましく、特に0.5〜5
0モル%が好ましい。ポリコハク酸イミドの単量体単位
に対する架橋剤のアミノ基の比は、0.1〜100モル
%が好ましく、0.5〜50モル%が特に好ましい。ま
た、反応性の異なるアミノ基を有する架橋剤を用いて、
段階的に反応させて架橋しても構わない。ポリコハク酸
イミドと架橋剤の反応において段階的に反応させる場合
の例として、リジン、オルニチンのような化合物を挙げ
ることができる。これらは、アミノ基が結合した炭素に
カルボキシル基を有するため、α−アミノ基の反応性を
落としたものである。その他、立体障害の有無、脂肪族
と芳香族アミンの違い等も利用することができる。ここ
で、少なくとも2個のアミノ基を有する化合物は、必ず
しもその全てのアミノ基がポリコハク酸イミドと反応し
ている必要はなく、実質的に高い吸水量とゲル強度が発
現でき、ゲルの安定性が保つことができれば構わない。
すなわち、本発明の架橋重合体は2個以上のアミンが反
応した架橋した構造を含むが、アミノ基が未反応である
ペンダント構造も含んでも構わない。
【0057】使用する架橋剤の量は、架橋剤の官能数、
分子量によって決まる架橋度によるが、使用する用途の
種類によっても変わってくる。ここでは、便宜的に、架
橋度とは架橋間の距離もしくは構成単量体の数、もしく
はポリマー主鎖に対する架橋部分の割合の度合いを表す
ものと定義する。その使用量は特に限定されないが、架
橋度が大きすぎると、樹脂の吸水量が低下し、反対に架
橋度が小さすぎると水溶性となり、吸水性を示さなくな
るので、適当な架橋度に調整する必要がある。ポリコハ
ク酸イミドの繰り返し単位に対して、架橋剤としては
0.01〜100モル%が好ましく、特に0.5〜50
モル%が好ましい。ポリコハク酸イミドの単量体単位に
対する架橋剤のアミノ基の比は、0.1〜100モル%
が好ましく、0.5〜50モル%が特に好ましい。
【0058】本発明の実施において用いられる架橋ポリ
コハク酸イミドの製造方法は、特に限定されないが、有
機溶媒に溶解したポリコハク酸イミドの溶液に架橋剤を
反応させる方法が挙げられる。有機溶媒に溶解したポリ
コハク酸イミドの溶液に架橋剤を反応させる方法は、例
えば、特開平7−224163号等に記載の方法を挙げ
ることができる。すなわち、ポリコハク酸イミドを有機
溶媒に溶解した溶液に、架橋剤を加え、反応させる方法
である。
【0059】本発明において使用する有機溶媒は、一般
的には、使用する架橋剤を実質的に溶解できるような良
溶媒を用いることが好ましい。良溶媒の具体例として
は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−
ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,
N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン等を挙げることができる。これらの中で
は、ポリコハク酸イミドの溶解性が高い、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特
に好ましい。これらの溶媒は、単独でも、2種以上を混
合して用いても構わない。
【0060】また、架橋反応を遅くする目的とか、原料
もしくは生成物を分散させる等を目的として、必要によ
り、ポリコハク酸イミドを溶解しない、もしくはわずか
しか溶解しない貧溶媒等を加えても構わない。貧溶媒
は、特に限定されず、化学反応一般に使用される溶媒
は、いずれであっても使用できる。
【0061】例えば、水、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2
−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のア
ルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール等のグリコール類、メチルグリ
コソルブ、エチルグリコソルブ等のグリコソルブ類、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環
状エーテル、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、エチルベンゼン、キシレン、デカリン、ジフェニル
エーテル、アニソール、クレゾール等がある。
【0062】架橋反応が進行する時点のポリコハク酸イ
ミドを含む溶液における、ポリコハク酸イミドの濃度は
特に限定されないが、一般的には、0.1〜50重量%
が好ましく、特に1〜40重量%が好ましい。
【0063】架橋反応においては、必要に応じ触媒を使
用してもよい。触媒としては、一般的には、塩基触媒が
用いられる。塩基触媒としては上記中和に用いる塩基と
して説明したものが同様に使用できる。また架橋反応を
遅くするために酸触媒を添加しても構わない。
【0064】架橋反応における反応温度は、特に限定さ
れず、架橋剤の反応性や、ポリコハク酸イミドの分散状
態を考慮して、適宜決定すればよい。一般的には、0〜
200℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。
【0065】架橋反応が完了した後は、架橋反応に用い
た有機溶媒を分離しないで、そのまま次の加水分解工程
へ進んでもよく、分離して架橋ポリコハク酸イミドとし
て取り出して次の加水分解工程へ進んでもよい。
【0066】架橋ポリコハク酸イミドと有機溶媒の分離
は、一般に用いられる方法に従えばよい。例えば、濾
過、デカンテーション、遠心分離等が採用できる。ま
た、架橋反応後の反応生成物は、系外に取り出しても、
必要により、そのまま連続的に加水分解反応を行っても
よい。ここで、系外に反応生成物を取り出す場合は、場
合によっては反応生成物を乾燥して用いても構わない。
【0067】架橋反応におけるポリコハク酸イミドの濃
度は、特に限定されないが、0.1〜50重量%が好ま
しく、特に1〜40重量%が好ましい。
【0068】(4) イミド環の加水分解反応 架橋反応後の反応生成物は、場合によっては、イミド環
の一部を加水分解しても構わない。反応は水中にて行う
が、加水分解が進行するにつれ、樹脂がゲル化し膨潤し
てくるので、ゲルの膨潤度を制御しつつ行うと効率的で
ある。架橋ポリコハク酸イミドの残りのイミド環の加水
分解は特願平9−68185号に記載の方法にて容易に
実施できる。すなわち、水と水混和性有機溶媒混合液
中、無機もしくは有機塩の水溶液中、或いは40乃至1
00℃の温水中にて加水分解を行う方法であり、これら
の複数を組み合わせて使用しても構わない。架橋ポリコ
ハク酸イミドのイミド環の加水分解において、水中では
ゲル化が著しくなり、攪拌が困難となったり、有機溶媒
中では沈殿物が凝集して攪拌困難となったり、また加水
分解が遅くなったり十分に進行しなくなり、生成した樹
脂の吸水量が低下するので、これらの方法を用いる。
【0069】水混和性有機溶媒を使用する場合、使用す
る有機溶剤は、特に限定されないが、一般にはメタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタ
ノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン
等の環状エーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリド
ン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルス
ルホキシド、スルホラン等がある。この中で、架橋ポリ
アスパラギン酸系樹脂として乾燥する際に、特に乾燥が
容易であり、かつ乾燥後に組成物内に溶剤が残留しにく
い点でメタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブタノールが好ましい。
【0070】使用する水の使用量は容積効率を高めるた
めに、生成する吸水性樹脂の1〜10重量倍が好まし
く、特に1〜5重量倍が好ましい。使用する水の割合
は、混合溶媒に対して5〜100重量%が好ましく、2
0〜80重量%が特に好ましい。無機もしくは有機塩を
使用する場合、使用する無機もしくは有機塩は、特に限
定されず、一般的な塩は広く使用できる。中性塩、塩基
性塩、酸性塩が使用できる。ここで多価金属塩の場合、
イミド環の加水分解で生成したカルボキシル基とイオン
的に架橋するので架橋度は高くなるので、濃度を高くで
きない。使用する塩の添加の方法としては、水に加えて
溶解させても、水中で中和により生成させても構わな
い。また、架橋反応によって生じた塩をそのまま用いる
こともできる。
【0071】使用する塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化
水素酸、フッ化水素酸、硫酸、亜硫酸、二亜硫酸、アミ
ド硫酸、チオ硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、
オルトリン酸、メタリン酸、次リン酸、ピロリン酸、ホ
スフィン酸、ホスホン酸、炭酸、過炭酸、ホウ酸、オル
トホウ酸、メタホウ酸、塩素酸、過塩素酸、次亜塩素
酸、臭素酸、過臭素酸、次亜臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ
素酸、次亜ヨウ素酸、ケイ酸、オルトケイ酸、メタケイ
酸、アルミン酸、テルル酸、イソシアン酸、チオシアン
酸、マンガン酸、過マンガン酸、過ヨウ素酸、クロム
酸、ニクロム酸、メタ亜アンチモン酸、メタバナジン
酸、モリブデン酸等の無機鉱酸、有機ホスホン酸、有機
スルホン酸、有機カルボン酸、シュウ酸、有機フェノー
ル等の金属塩もしくは有機塩基塩、酸化物等が挙げられ
る。この中で毒性が低く、酸化還元性が無く、低コスト
であり、水への溶解性が高い塩酸、臭化水素酸、ヨウ化
水素酸、フッ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、
リン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ホス
フィン酸、ホスホン酸、炭酸、ホウ酸、オルトホウ酸、
メタホウ酸、ケイ酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、シュ
ウ酸、有機ホスホン酸、有機スルホン酸、有機カルボン
酸の金属塩もしくは有機塩基塩が好ましく、特に塩酸、
硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、有機ホスホン酸、
有機スルホン酸、有機カルボン酸の金属塩もしくは有機
塩基塩が好ましい。金属塩の金属はリチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、
クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛、ガリウム、ゲリウム、ルビジウム、ストロンチウ
ム、イットリウム、ジルコニウム、ニオビウム、モリブ
デン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミ
ウム、インジウム、錫、テルリウム、セシウム、バリウ
ム、セリウム、金、水銀、タリウム、鉛等が挙げられ
る。この中で毒性が低く、低コストであり、水への溶解
性が高いリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。
【0072】有機塩としては、アンモニウム、テトラメ
チルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ
プロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テ
トラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウ
ム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピ
ルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペン
チルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアン
モニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、ベ
ンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピルア
ンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエチ
ルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニ
ウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベンジ
ルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、
トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシル
アミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミ
ン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミン、
トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルア
ミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチル
アミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、
ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピ
ルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミ
ン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、
ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデ
シルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等が挙げ
られる。この中で水への溶解性、臭気、安全性、コスト
を考慮すると、テトラメチルアンモニウム、テトラエチ
ルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラ
ブチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、
ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチル
アンモニウム等のアンモニウム塩、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルア
ミン、トリエタノールアミン、のアミン塩等が特に好ま
しい。
【0073】具体的な塩の例としては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、
塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ベリリウム、
塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化バナジウム、塩
化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化
ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化ストロンチウム、塩
化イットリウム、塩化ジルコニウム、塩化モリブデン、
塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化パラジウム、塩化
銀、塩化カドミウム、塩化錫、塩化テルリウム、塩化セ
シウム、塩化バリウム、塩化セリウム、塩化鉛、テトラ
メチルアンモニウム・クロリド、テトラエチルアンモニ
ウム・クロリド、テトラブチルアンモニウム・クロリ
ド、トリエタノールアミン塩酸塩等の塩化物塩、臭化ナ
トリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化アンモニ
ウム、テトラメチルアンモニウム・ブロミド、テトラエ
チルアンモニウム・ブロミド、テトラブチルアンモニウ
ム・ブロミド、トリエタノールアミン・臭化水素酸塩、
ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、
ヨウ化アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・ヨー
ド、テトラエチルアンモニウム・ヨード、テトラブチル
アンモニウム・ヨード、トリエタノールアミン・ヨウ化
水素酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウ
ム、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・硫
酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩、テトラブチ
ルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫酸
塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝
酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・硝酸塩、
テトラエチルアンモニウム・硝酸塩、テトラブチルアン
モニウム・硝酸塩、トリエタノールアミン・硝酸塩、リ
ン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リ
ン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸リチウム、炭酸アンモニウム、テトラメチルアンモニ
ウム・炭酸塩、テトラエチルアンモニウム・炭酸塩、テ
トラブチルアンモニウム・炭酸塩、トリエタノールアミ
ン・炭酸塩、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ
酸リチウム、ホウ酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸
ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンス
ルホン酸リチウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、
テトラメチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テ
トラエチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テト
ラブチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、トリエ
タノールアミン・ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエン
スルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウ
ム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンス
ルホン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・p
−トルエンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウム・
p−トルエンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム
・p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・
p−トルエンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、安息
香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸アンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム・安息香酸塩、テトラエ
チルアンモニウム・安息香酸塩、テトラブチルアンモニ
ウム・安息香酸塩、トリエタノールアミン・安息香酸
塩、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸
リチウム、シュウ酸アンモニウム、テトラメチルアンモ
ニウム・シュウ酸塩、テトラエチルアンモニウム・シュ
ウ酸塩、テトラブチルアンモニウム・シュウ酸塩、トリ
エタノールアミン、・シュウ酸塩、酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、テトラ
メチルアンモニウム・酢酸塩、テトラエチルアンモニウ
ム・酢酸塩、テトラブチルアンモニウム・酢酸塩、トリ
エタノールアミン・酢酸塩、プロピオン酸ナトリウム、
プロピオン酸カリウム、プロピオン酸リチウム、プロピ
オン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・プロ
ピオン酸塩、テトラエチルアンモニウム・プロピオン酸
塩、テトラブチルアンモニウム・プロピオン酸塩、トリ
エタノールアミン、・プロピオン酸塩等が挙げられる。
【0074】これらの中で塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・クロリド、テトラエチルアンモニウム・ク
ロリド、テトラブチルアンモニウム・クロリド、トリエ
タノールアミン塩酸塩、臭化ナトリウム、臭化カリウ
ム、臭化リチウム、臭化アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・ブロミド、テトラエチルアンモニウム・ブ
ロミド、テトラブチルアンモニウム・ブロミド、トリエ
タノールアミン・臭化水素酸塩、ヨウ化ナトリウム、ヨ
ウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、テトラメチルアン
モニウム・ヨード、テトラエチルアンモニウム・ヨー
ド、テトラブチルアンモニウム・ヨード、トリエタノー
ルアミン・ヨウ化水素酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリ
ウム、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・
硫酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩、テトラブ
チルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫
酸塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム・硝酸塩、テトラエチル
アンモニウム・硝酸塩、テトラブチルアンモニウム・硝
酸塩、トリエタノールアミン・硝酸塩、リン酸ナトリウ
ム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム・炭酸塩、テトラエチル
アンモニウム・炭酸塩、テトラブチルアンモニウム・炭
酸塩、トリエタノールアミン・炭酸塩、ホウ酸ナトリウ
ム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベ
ンゼンスルホン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニ
ウム・ベンゼンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウ
ム・ベンゼンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム
・ベンゼンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・ベン
ゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウ
ム、p−トルエンスルホン酸カリウム、p−トルエンス
ルホン酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・p
−トルエンスルホン酸塩、テトラエチルアンモニウム・
p−トルエンスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウム
・p−トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン・
p−トルエンスルホン酸塩、安息香酸ナトリウム、安息
香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・安息香酸塩、テトラエチルアンモニウム・
安息香酸塩、テトラブチルアンモニウム・安息香酸塩、
トリエタノールアミン・安息香酸塩、シュウ酸ナトリウ
ム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、酢酸ナ
トリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、テトラメ
チルアンモニウム・酢酸塩、テトラエチルアンモニウム
・酢酸塩、テトラブチルアンモニウム・酢酸塩、トリエ
タノールアミン・酢酸塩、プロピオン酸ナトリウム、プ
ロピオン酸カリウム等が好ましく、特に、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、テトラメチルア
ンモニウム・クロリド、テトラエチルアンモニウム・ク
ロリド、テトラブチルアンモニウム・クロリド、トリエ
タノールアミン塩酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウ
ム、硫酸アンモニウム、テトラメチルアンモニウム・硫
酸塩、テトラエチルアンモニウム・硫酸塩、テトラブチ
ルアンモニウム・硫酸塩、トリエタノールアミン・硫酸
塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモ
ニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニ
ウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アン
モニウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンス
ルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸アンモニウム、
テトラメチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テ
トラエチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、テト
ラブチルアンモニウム・ベンゼンスルホン酸塩、トリエ
タノールアミン・ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエン
スルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウ
ム、p−トルエンスルホン酸アンモニウム、テトラメチ
ルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラエ
チルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、テトラ
ブチルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、トリ
エタノールアミン・p−トルエンスルホン酸塩、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウ
ム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸
アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ア
ンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カ
リウム等が好ましくい。
【0075】使用する塩の濃度は、0.01〜20重量
%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。濃度
が低すぎる場合は効果が小さく、濃度が高すぎると塩が
製品中に混入する場合がある。残りのイミド環の開環に
使用できる試剤は、特に限定されないが、一般的には、
アルカリ水が用いられる。使用するアルカリ水は特に限
定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属炭酸
塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカ
リ金属炭酸水素塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の
アルカリ金属酢酸塩、シュウ酸ナトリウム等のアルカリ
金属塩、アンモニア水等が挙げられる。この中で、コス
ト的に安価な水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ま
しい。残りのイミド環の開環アルカリ開環の反応液のp
Hはアルカリ水の濃度によって変わるが、pHが高すぎ
ると主鎖のアミド結合を切断し、生成する樹脂の吸水能
を低下させ、逆にpHが低すぎると、反応が遅くなり、
実用的でない。一般的には7.5〜13が好ましく、9
〜12がより好ましい。
【0076】架橋ポリコハク酸イミドのイミド環の開環
反応は、水中、5〜100℃にて行われる。特に10〜
60℃が好ましい。
【0077】架橋ポリコハク酸イミドのイミド環をアル
カリ加水分解反応させた結果生成する架橋ポリアスパラ
ギン酸系樹脂の後処理については、特に限定されない。
例えば、中和、塩交換、乾燥、精製、造粒、表面架橋処
理等の処理を、必要に応じて行えばよい。以下、特に中
和、塩交換、乾燥の処理について説明する。架橋ポリア
スパラギン酸系樹脂の中和処理は、必要に応じて行えば
よい。ただし、加水分解反応後の架橋ポリアスパラギン
酸系樹脂を含む反応液は、通常はアルカリ性である。し
たがって、酸等を添加して、中和することが好ましい。
この中和処理により、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
分子内に存在するカルボキシル基を塩にすることができ
る。この中和度は特に限定されないが、一般的には架橋
ポリアスパラギン酸系樹脂の分子内の全アスパラギン酸
残基の総数を基準として、塩を形成するカルボキシル基
の割合は、0〜50%が好ましく、0〜30%がより好
ましい。
【0078】中和処理の方法は特に限定されないが、加
水分解反応後に、酸を添加してpHを調整する方法が一
般的である。この酸の具体例としては、塩酸、臭化水素
酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、炭
酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、安
息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンス
ルホン酸等のスルホン酸、ベンゼンホスホン酸等のホス
ホン酸等が挙げられる。
【0079】中和処理により、架橋ポリアスパラギン酸
系樹脂の分子内に存在するカルボキシル基を塩とした場
合、必要に応じて、その塩を他の種類の塩に交換するこ
ともできる。
【0080】この塩交換に使用される試剤の具体例とし
ては、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン塩等を挙げることができる。より具体的には、ナトリ
ウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、テトラ
メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テト
ラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、
テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニ
ウム、エチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロ
ピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペ
ンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルア
ンモニウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、
ベンジルトリメチルアンモニウム、トリエチルプロピル
アンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、トリエ
チルペンチルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモ
ニウム、シクロヘキシルトリエチルアンモニウム、ベン
ジルトリエチルアンモニウム等のアンモニウム塩、トリ
メチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキ
シルアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノール
アミン、トリブタノールアミン、トリペンタノールアミ
ン、トリヘキサノールアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペン
チルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミ
ン、ジベンジルアミン、エチルメチルアミン、メチルプ
ロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルア
ミン、メチルヘキシルアミン、メチルアミン、エチルア
ミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミ
ン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、
ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン塩等を
例示することができる。
【0081】これらの中では、その分子量が大きくなる
と相対的に単量体単位あたりの分子量が大きくなり、単
位重量当たりの吸水量が小さくなるので、その分子量が
小さいものの方が好ましい。また、人の肌等に触れる可
能性がある場合は、毒性が低い方が好ましい。これらの
点から、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウ
ム、トリエタノールアミンを用いることが好ましく、さ
らに、ナトリウム、カリウムを用いることが、コストの
面で特に好ましい。
【0082】架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の乾燥処理
の方法は特に制限されない。例えば熱風乾燥、特定蒸気
での乾燥、マイクロ波乾燥、減圧乾燥、ドラムドライヤ
ー乾燥、疎水性有機溶剤中での共沸脱水による乾燥等の
公知の手法を挙げることができる。乾燥温度は、一般的
には、20〜200℃が好ましく、50〜120℃がよ
り好ましい。この乾燥処理を施した架橋ポリアスパラギ
ン酸系樹脂に対して、さらに精製処理、造粒処理、表面
架橋処理等を施しでもよい。
【0083】(5) 重合体の構造 本発明の重合体は、その構造上から、大きく分けると重
合体のポリマー基本骨格、側鎖部分、架橋部分からな
る。以下、これらを3つに分けて説明する。
【0084】(5−1) 重合体のポリマー基本骨格 本発明の重合体のポリマー基本骨格は、ポリアスパラギ
ン酸又はその共重合体であり、アスパラギン酸を繰り返
し単位として主鎖を形成する。これらは、他のアミノ酸
を繰り返し単位として含んでいても構わない。共重合体
の成分としては(2)で挙げた単量体成分が挙げられ
る。共重合体である場合は、ブロック・コポリマーであ
っても、ランダム・コポリマーであっても構わない。ま
た、グラフトであっても構わない。本発明の加水分解を
施した重合体のポリマー基本骨格としては、主鎖中のア
ミド結合が、α結合である場合と、β結合である場合が
ある。すなわち、ポリアスパラギン酸及びその共重合体
の場合は、アスパラギン酸もしくは共重合体単量体のア
ミノ基等と、アスパラギン酸のα位のカルボキシル基と
結合した場合がα結合であり、アスパラギン酸のβ位の
カルボキシル基と結合した場合がβ結合である。このポ
リアスパラギン酸の場合のα結合とβ結合、通常混在し
て存在する。その結合様式は、特に限定されない。本発
明の側鎖基及び架橋基は、基本的にポリアスパラギン酸
のカルボキシル基が置換されたカルボン酸誘導体であ
る。その詳細を以下に説明する。
【0085】(5−2) 重合体の側鎖構造 例えば、単純にイミド環を開環した構造でカルボキシル
基を持つ基、リジン等のアミノ酸残基、カルボキシル基
を有するペンダント基、スルホン酸基を有するペンダン
ト基等がある。ここで、カルボキシル基、スルホン酸基
の場合は、塩となっていても構わない。カルボキシル基
の対イオンとしては、アルカリ金属塩、アンモニウム
塩、アミン塩等がある。
【0086】(6) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
形状、粒子径 架橋ポリアスパラギン酸樹脂の形状は、不定形破砕状、
球状、粒状、顆粒状、造粒状、リン片状、塊状、パール
状、微粉末状、繊維状、棒状、フィルム状、シート状等
種々のものが使用でき、用途によって好ましい形状を使
用できる。また、繊維状基材や多孔質状や発泡体あるい
は造粒物であってもよい。これらの架橋ポリアミノ酸系
吸水性樹脂の粒子径は特に限定されないが、使用用途に
よって変わってくる。例えば、紙オムツ用の場合は、速
い吸収速度とゲル・ブロッキングが起こらないことが望
まれるので平均粒子径100〜1000μmが好まし
く、150〜600μmがより好ましい。止水材等の樹
脂への練り混み等に用いる場合は1〜10μmが好まし
く、農園芸用の保水材の場合は土との分散性を考慮する
と100μm〜5mmが好ましい。いずれも使用用途に
よって変わってくる。
【0087】(7) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
使用の形態 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の使用の形態は、特に限
定されるものではなく、単独でも、他の素材と組み合わ
せて使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に混練りし
て射出成形等にて成形する方法、構成樹脂のモノマーと
ポリアスパラギン酸系樹脂及び必要により開始剤を混合
後、光もしくは熱等で重合する方法、樹脂とポリアスパ
ラギン酸系樹脂を溶剤に分散させ、キャストし、溶剤を
除去する方法、プレポリマーとポリアスパラギン酸系樹
脂を混合後、架橋する方法、ポリマーとポリアスパラギ
ン酸系樹脂を混合後、架橋する方法等がある。本発明の
樹脂組成物は成型品としては、特に制限されるものでは
なく、固形物、シート、フィルム、繊維、不織布、発泡
体、ゴム等として使用できる。またその成型方法として
も特に限定されるものではない。一方、本発明で使用さ
れるはポリアスパラギン酸系樹脂は、単独でも、他の素
材との組み合わせによる複合体でも構わない。複合体の
構造は特に限定されないが、例えば、パルプ、不織布等
にはさみ、サンドイッチ構造にする方法、樹脂シート、
フィルムを支持体として多層構造とする方法、樹脂シー
トにキャストし、二層構造とする方法等がある。また、
本発明に使用される吸水性樹脂は必要により、2種以上
の他の吸水性樹脂と混合して用いても良い。また必要に
より食塩、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、超微
粒子状シリカ、酸化チタン粉末等の無機化合物、キレー
ト剤 等の有機化合物を添加しても構わない。さらに酸
化剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、殺
菌剤、防カビ剤、肥料、香料、消臭剤、顔料等を混合し
ても構わない。本発明の樹脂はゲル状でも固形物として
も使用できる。例えば、農園芸用保水材、切り花延命
剤、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤等に使用する場合はゲルと
して用い、紙おむつ用吸収体等は固形状として用いる。
【0088】(8) 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の
使用用途 架橋ポリアスパラギン酸系樹脂の使用用途は特に限定さ
れないが、従来の吸水性樹脂が使用できる用途のいずれ
にも使用できる。例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パ
ット、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシ
ング材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用
品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル
消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シ
ャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー
用品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラ
ルフォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽
培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農
業用シート等の農・園芸用品、食品用トレー用鮮度保持
材、ドリップ吸収性シート等の食品包装材、保冷材、生
鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用
建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法
の逸泥防止剤、コンクリート混和剤、ガスケット・パッ
キング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器の
シール材、通信ケーブル用止水材、インクジェット用記
録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固剤、ガソリン、
油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水
膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性
薬剤、湿度調整材、帯電防止剤等が挙げられる。
【0089】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重
量部」を意味する。実施例中の吸水量は、以下のティー
バッグ法にて測定した。また製造法の比較は、アスパラ
ギン酸からポリコハク酸イミドを製造し、さらに架橋、
イミド環の加水分解を経て得られたポリマーの物性の比
較を行った。これを1サイクルとして5回繰り返し行
い、品質と収量の安定性を見た。収量は、架橋反応に用
いるポリコハク酸イミドの重量に対する、生成した吸水
性ポリマーの重量の割合を算出し、物質収率(%)とし
た。
【0090】(1)ティーバッグ法 吸水量の測定は蒸留水、生理食塩水を対象として行っ
た。すなわち、蒸留水の場合は吸水性樹脂約0.05
部、生理食塩水の場合は吸水性樹脂約0.1部を不織布
製のティーバッグ(80mm×50mm)に入れ、過剰
の対応する溶液中に浸して該樹脂を1時間膨潤させた
後、ティーバッグを引き上げて1分間水切りを行い、膨
潤した樹脂を含むティーバッグの重量を測定した。同様
な操作をティーバッグのみで行った場合をブランクとし
て、膨潤した樹脂を含むティーバッグの重量からブラン
クの重量と吸水性樹脂の重量を減じた値を、吸水性樹脂
の重量で除した値を吸水量(g/樹脂1g)とした。な
お、生理食塩水は0.9重量%塩化ナトリウム水溶液で
ある。
【0091】[参考製造例]ポリコハク酸イミドの製造
方法;L−アスパラギン酸150部とリン酸75部を混
合し、ロータリーエバポレーターを用いて20mmHg
にて4時間反応させた。反応混合物をDMF1000部
に溶解し、メタノール5000部に排出した。得られた
沈殿物を吸引濾過にて集め、水5000部にて洗浄し、
60℃にて乾燥すると重量平均9.7万のポリコハク酸
イミド108部が得られた。このポリコハク酸イミド中
には2.4重量%の酸が含まれていた。
【0092】[実施例1]参考製造例にて得られた重量
平均分子量9.6万のポリコハク酸イミド100部、ト
リエチルアミン10.5部(酸に対して1.2当量相当
分)をDMF400部に懸濁させて、60℃にてポリコ
ハク酸イミドが溶解するまで攪拌した。攪拌後、室温ま
で冷却し、ヘキサンジアミン2.48部をDMF10部
に溶解した溶液を加え、室温で1時間攪拌後、撹拌を止
め、20時間反応させ、架橋ポリコハク酸イミドのゲル
を得た。この架橋ポリコハク酸イミドのゲルを、刃付攪
拌翼を具備したミキサーに移送し、蒸留水900部とメ
タノール400部を加え、8000rpmにて5分間ゲ
ルを粉砕した。さらに、この中に、25重量%苛性ソー
ダ水溶液165部を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、さらに2時間攪拌し、その後7重量%塩酸水を加え
てpH7となるように中和した。中和終了後、さらにメ
タノール500部を加え、沈殿物を60℃で乾燥し、吸
水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸系樹脂14
5部を得た(物質収率145%)。この架橋ポリアスパ
ラギン酸系樹脂の吸水量は、蒸留水で460倍、生理食
塩水で64倍であった。さらに、同様にアスパラギン酸
から一貫して吸水性樹脂を4回製造した。このとき、ト
リエチルアミンは得られたポリコハク酸イミドに含まれ
ている酸に対して毎回1.2当量計算して用いた。得ら
れた吸水性樹脂の吸水量は、蒸留水に対して、450
倍、460倍、450倍、470倍であり、生理食塩水
に対して、63倍、64倍、63倍、65倍であり、品
質は安定していた。また、物質収量はそれぞれ、14
7、146、148、144%であり、安定していた。
【0093】[実施例2]トリエチルアミンの代わりに
20重量%水酸化ナトリウム水溶液13.5部(酸に対
して1当量相当)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、架橋ポリアスパラギン酸系樹脂143部を得た(物
質収率143%)。この架橋ポリアスパラギン酸系樹脂
の吸水量は、蒸留水で480倍、生理食塩水で66倍で
あった。さらに、同様にアスパラギン酸から一貫して吸
水性樹脂を4回製造した。得られた吸水性樹脂の吸水量
は、蒸留水に対して、490倍、460倍、470倍、
470倍であり、生理食塩水に対して、67倍、64
倍、65倍、65倍であり、品質は安定していた。ま
た、物質収量はそれぞれ、141、145、144、1
44%であり、安定していた。
【0094】[比較例1]実施例1においてトリエチル
アミンを用いない以外は、実施例1と同様に処理して吸
水性樹脂が得られた。さらに、同様にアスパラギン酸か
ら一貫して吸水性樹脂を4回製造した。得られた吸水性
樹脂の吸水量は、蒸留水に対して、630倍、400
倍、350倍、870倍、380倍であり、生理食塩水
に対して、73倍、60倍、55倍、78倍であり、一
部高吸水量の樹脂があるものの、品質は安定していなか
った。また、物質収量はそれぞれ、101、155、1
64、44%であり、大きく変動した。
【0095】
【発明の効果】以下の〜に示すように、吸水能に優
れ、使用後、もしくは廃棄後に分解性することで地球環
境に優しく、吸水能に優れた吸水性樹脂が安定的に得ら
れるようになった。 従来の技術によったのでは、酸性分を除去しようと
した場合、多量の水を必要としたが、多量の水を使用す
ることなく酸性分を除去することができる。 酸性分を除去することにより、ポリコハク酸イミド
と多価アミンとの反応性を向上させ、生成する製品の品
質を安定させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉谷 弘明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 町田 勝彦 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 布川 進 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 長友 昭憲 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4G066 AA13D AA14D AA50D AB07A AB13D AC27B AC35B BA36 BA50 CA43 DA11 EA05 FA07 FA09 FA37 4J043 PA02 QB06 RA34 SA05 SA62 SB01 YB02 YB32 ZA60 ZB60

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個
    のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させる架橋
    ポリコハク酸イミドの製造方法であって、 反応系内に含まれる酸を、 架橋反応前に、塩基で中和した後に、及び/又は、 架橋反応中に、塩基で中和しながら、 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有
    する化合物により、 架橋反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個
    のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させる架橋
    ポリコハク酸イミドの製造方法であって、 反応系内に含まれる酸を、 架橋反応前に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を中和
    した後に、 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有
    する化合物により、 架橋反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミド
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個
    のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させる架橋
    ポリコハク酸イミドの製造方法であって、 反応系内に含まれる酸を、 架橋反応中に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を中和
    しながら、 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有
    する化合物により、 架橋反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミド
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個
    のアミノ基を有する化合物により、架橋反応させる架橋
    ポリコハク酸イミドの製造方法であって、 反応系内に含まれる酸を、 架橋反応前に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を中和
    した後、さらに、 架橋反応中に塩基を用いて反応系内に含まれる酸を中和
    しながら、 ポリコハク酸イミドを、少なくとも2個のアミノ基を有
    する化合物により、 架橋反応させることを特徴とする、ポリコハク酸イミド
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応系内に含まれる酸が、架橋反応に供
    するポリコハク酸イミドの製造工程において酸触媒とし
    て使用したものである、請求項1乃至4の何れかに記載
    した架橋重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸が、リン酸である、請求項1乃至5の
    何れかに記載した架橋重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリコハク酸イミドが、アスパラギン酸
    を、酸触媒としてのリン酸を使用して、重合したもので
    ある、請求項1乃至6の何れかに記載した架橋重合体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 反応系内に含まれる酸の量が、ポリコハ
    ク酸イミドに対して0.1〜10重量%である、請求項
    1乃至7の何れかに記載した架橋重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 塩基が、有機三級アミンである、請求項
    1乃至8の何れかに記載した架橋重合体の製造方法。
  10. 【請求項10】 有機三級アミンが、トリエチルアミン
    である、請求項9に記載した架橋重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 塩基が、無機塩基である、請求項1乃
    至8の何れかに記載した架橋重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 無機塩基が、水酸化ナトリウムであ
    る、請求項11に記載した架橋重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 塩基の使用量が、反応系内に含まれる
    酸の量に対して、0.1〜10当量に相当するものであ
    る、請求項1乃至12の何れかに記載した架橋重合体の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13の何れかに記載した
    架橋重合体を加水分解して得られる樹脂。
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