JP2001234383A - スタンパーの製造方法 - Google Patents

スタンパーの製造方法

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JP2001234383A
JP2001234383A JP2000044049A JP2000044049A JP2001234383A JP 2001234383 A JP2001234383 A JP 2001234383A JP 2000044049 A JP2000044049 A JP 2000044049A JP 2000044049 A JP2000044049 A JP 2000044049A JP 2001234383 A JP2001234383 A JP 2001234383A
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Masatoshi Hayashi
政俊 林
Seiji Morita
成二 森田
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    • G11B7/24Record carriers characterised by shape, structure or physical properties, or by the selection of the material
    • G11B7/26Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of record carriers
    • G11B7/261Preparing a master, e.g. exposing photoresist, electroforming
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D1/00Electroforming
    • C25D1/10Moulds; Masks; Masterforms

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Abstract

(57)【要約】 【課題】スタンパー(ファザーやサンなど)を安価に大
量に製造する。 【解決手段】レジストパターンである原盤I(3)から
ファザー(4)を電鋳により作製し、ドーナツ状に仕上
げた複数の前記ファザー(4)をステンレス基板(1
2)上で横方向に複数個連結してファザー集合体(4
S)とし、このファザー集合体(4S)からガラス円板
(8)と樹脂層(7)二層構造物のマザー集合体(9
S)を作製し、該マザー集合体(9S)から目的とする
スタンパーの集合体であるサン集合体(6S)を電鋳に
より得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファザー・スタン
パーやサン・スタンパー、さらにはそれらのスタンパー
を用いて成形基板を製造する製造方法に関する。スタン
パーは、微細な凹凸を持つ成形基板(樹脂製または場合
によりガラス製)の成形(例えば、射出成形、プレス成
形)に使用される。このような成形基板は、光ディス
ク、磁気ディスクまたはハードディスクその他の用途に
使用される。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、ハードディスク等の情報記
録媒体は、大きな容量の情報を記録することができ、か
つ、高速でアクセス、再生、記録及び(場合により消
去)することができる。このため、これらの媒体は、C
D(compact disc) 、LD(laser disc) 、DVD(dig
ital video disc, digital versatile disc)等と呼ば
れ、音楽や映像ソフト、ゲームソフト等を収納する媒体
として使われ、その需要が増大している。コンピュータ
のメモリーとしても、これらの媒体は使用され、その需
要が増大している。光ディスクやハードディスクは、マ
ルチメディア時代のメインメモリ−として大きく発展す
ると期待されている。
【0003】光ディスクについて言えば、記録層の有無
及びその種類により、(1)再生専用タイプ(CD、L
D、CD−ROM、photo-CD、DVD−ROM、再生
専用型MD等)、(2)一度だけ記録可能なライトワン
スタイプ write-once type(CD・R、DVD−R、D
VD−WO等) 、(3)記録した後、消去することがで
き、何度でも書き替え可能な(rewritable)タイプ(光
磁気ディスク magneto-optical disk 、相変化(phase-
change)型ディスク、MD、CD−E、DVD−RA
M、DVD−RW等) がある。さらに、将来使用される
媒体として、高密度のHD−DVDも提唱されている。
【0004】これらの光ディスクを製造する工程は、ま
ず、成形基板を原料樹脂で成形するところから始まる。
最初にスタンパーと呼ばれる成形型が用意される。この
成形型に原料樹脂(例えば、ポリカーボネート、アクリ
ル樹脂、ポリスチレン等)を加熱流動化した後、押しつ
けることにより、成形基板が成形(製造)される。成形
方法は、加圧成形の他、ほとんどは射出成形方法であ
る。
【0005】成形基板を製造する理由は、基板表面に細
かな凹凸が必要であるからである。凹凸のある基板を大
量に短時間で製造するには、樹脂成形が最も適してい
る。凹凸の種類には、(1)情報単位を表すピットpit
や(2)記録ヘッド(ピックアップ)のトラッキングの
ためのガイド溝 guide groove がある。ピットや溝は、
円形の基板上に同心円状または渦巻き状に設けられる。
成形基板を半径方向に見たとき、溝と溝との間はランド
landと呼ばれる。当初は、ランドをトラックとして、そ
こに記録するランド記録方式であった。逆に溝に記録す
るグルーブ記録方式もある。
【0006】その後、記録密度を向上させるために、溝
にもランドにも双方に記録するランド/グルーブ記録方
式が開発された。この場合、両者がトラックであり、溝
の幅とランドの幅はほぼ等しい。ただし、理由があって
他方を意図的に広くする場合もある。光は裏面(平滑な
面)から基板に入射し、この場合には基板裏面側から見
て奥にある方をランドと呼び、手前にある方を溝と呼
ぶ。
【0007】溝、ランドおよびピットの幅は、密度記録
の向上に伴い、例えば、1μm以下、0.8μm以下、
0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、
0.4μm以下、0.3μm以下と狭くなってきてい
る。
【0008】溝、ランドおよびピットの深さも、高密度
記録化に伴い、例えば、40nm以上、50nm以上、
80nm以上、100nm以上、120nm以上、13
0nm以上、150nm以上、180nm以上、200
nm以上、220nm以上、250nm以上と段々深く
なってきている。
【0009】幅が狭くなったり、深さが深くなると、つ
まり、高精度になると、成形基板の成形はますます難し
くなり、良品の歩留りは低下する。
【0010】なお、成形された成形基板の上には、最終
の製品に応じて、反射層や記録層、保護層等が形成され
る。
【0011】また、ハードディスクは、通常、アルミニ
ウム基板又はガラス基板に磁気記録層を形成したもので
あり、記録は磁気ヘッドで実施される。上記の高密度化
に伴い、記録層の表面は極めて平滑となっている。その
ため、磁気ヘッドが相対的に停止すると、ヘッドと記録
層が密着して離れなくなる現象が発生する。これを避け
るため、ハードディスクには、磁気ヘッドを相対的に停
止させたとき、これを置くガレージ領域(CSS領域=
contact stop and start)を設けてある。この領域の表
面は、レーザーテクスチャーlaser texture により意図
的に凹凸に仕上げてある。該凹凸により密着が防止され
る。また、高密度化に伴い、ヘッドのトラッキングが困
難になるため、そこで、光ディスクと同じように、ディ
スクに溝を設けることが提案されている。このように、
凹凸や溝が要求されることから、ディスクの生産性を上
げるため、成形基板が提案されている。つまり、ハード
ディスクにおいても、成形基板を用いて、基板の成形時
に凹凸や溝を形成するのであり、前記成形基板は軽くな
るという利点もある。
【0012】従来、成形型は一般に以下のようなプロセ
スで製造されている(図3の(1)参照、(2)は先願
発明の実施例である)。古い従来技術としては、米国特
許第4,211,617(対応日本特許=公告S59−
16332)がある。
【0013】まず、光学的面精度にまで研磨されたガラ
ス基板(1)を用意する。この基板を洗浄したあと、密
着性を向上させるプライマー(例えば、シランカップリ
ング剤 silane-coupling agent) を塗布する。それから
フォトレジストphotoresist(2)を スピンコートし、
プリベ−クpre-bakeする。フォトレジストはポジ型(光
が照射された部分が現像で除去されるタイプ)が多く使
用されている。次にレ−ザービ−ムレコ−ダ laser-bea
m-recorderまたはレーザーカッティング装置laser cutt
ing machineを使って、ピットや溝のパタ−ンに従って
フォトレジストを露光する。一般に、ピットや溝の幅は
レーザービームの径により決まり、また、ピットや溝の
深さはフォトレジスト膜の厚さによって決定される。
【0014】次に所定の現像処理を施すとガラス板表面
にピットやグルーブのパターンを持ったレジストパター
ンresist pattern(3)が得られる。現像の後、場合に
より、レジストパターン(3)は、80〜120℃で2
0〜60分のポストベークpost-bake される。ポストベ
ークをした場合には、前記レジストパターンが室温程度
に冷えるまで約10時間待つ。この様子は図3の(1-1)
に示される。
【0015】レジストパターン(3)は、ガラス基板
(1)を含め原盤(MASTER SUBSTRATEor MASTER)と呼ば
れる。本明細書ではこの原盤を原盤Iと称する。原盤I
は、前記米国特許のFig.4のレプリカreplica 46に相
当する。
【0016】ここで、例えば、CD用のレジストパター
ンを製造する場合を考えると、この場合、露光が完了す
るのに74分かかり、ポストベークを施した場合には、
結局、原盤Iを完成させるのに、約10時間以上かかっ
てしまっている。加えて、レ−ザービ−ムレコ−ダまた
はレーザーカッティング装置は1台約2億円と高価であ
る。そのため、原盤Iは高価なものとなり、かつ、大量
生産が難しいという問題点がある。
【0017】次に原盤Iは導電化処理される。導電化処
理は、一般にスパッタリング(乾式)あるいは場合によ
り、無電解メッキ(湿式)で行われる。
【0018】導電化処理された原盤Iの上にはメッキ層
が厚く形成される。メッキ層の種類はは一般にニッケル
(Ni)である。主にこのNiメッキ層で形成されたも
のがスタンパー(4)である。この様子は図3の(1-2)
に示される。このスタンパー(4)は原盤Iの第1複製
であり、特にファザー (FATHER)・ スタンパーまたは単
にファザーと呼ばれる。実際には、ファザーをレジスト
パターン(原盤I)から剥がすことで、自由なファザー
が得られる。この様子は図3の(1-3) に示される。ファ
ザー(4)は、前記米国特許のFig.6のマザーメンバー
(mother member )52に相当する。
【0019】ファザーは一般に200〜300μmと薄
いので、剥がす時には注意を要する。また、剥がしたと
きに、前記フォトレジストの一部がファザー上に残って
いることが多いので、アセトン等の溶剤で溶解除去す
る。もしもレジストが残っていると、前記ファザーの凹
凸形状を崩してしまうので、レジストは確実に除去する
必要がある。ファザーを剥がした際に、レジストパター
ンは破損してしまうので、1枚の原盤Iからは1枚のフ
ァザーのみが得られる。レジストを除去した後、ファザ
ーの凹凸面を保護コートで覆い、裏面を研磨する。ファ
ザーの中心に穴を打ち抜き、また、外径の外の不要な部
分を打ち落とす。これによりドーナツ状のファザーが完
成する。
【0020】こうして完成したファザーは、極めて正確
な凹凸パターンを有する。そして、それは高価なもので
ある。高価な理由は、上述のとおり(a)原盤Iが高価
なことと、(b)1枚の原盤から1枚のファザーしか得
られないからである。
【0021】ファザー(4)はそのままで樹脂成形する
ための成形型に使用することができる。むしろ、DVD
・RAM、MD、HD・DVDその他の高密度記録媒体
(溝幅0.8μm以下)の場合には、極めて高精度な凹
凸パターンが要求されるので、ファザー(4)がそのま
ま射出成形に使用されている。
【0022】しかし、上述のとおり、ファザーは極めて
高価である。そこで、ファザーを新たに原盤の代わりに
用い、同様にNi電鋳を行い、第2複製(ファザーとは
凹凸が反転)を得る。この様子は図3の(1-4) に示され
る。第2複製はマザー (MATHER) ・スタンパーまたは単
にマザー(5)と呼ばれる。実際には、マザー(5)を
ファザー(4)から剥がすことで自由なマザー(5)が
得られる。この様子は、図3の(1-5) に示される。マザ
ー(5)は、前記米国特許のFig.8のサブマスター(sub
master) 60に相当する。
【0023】マザーの剥離を容易にするため、電鋳の前
にファザーは表面処理される。この処理には重クロム酸
カリウム溶液、過マンガン酸カリウム溶液等が用いら
れ、この処理はパッシベーション(passivation)と呼
ばれる。
【0024】マザーをファザーから剥がすときにファザ
ーが少し破損されるので、何度も繰り返しファザーを使
用することはできない。せいぜい2〜3回が限度であ
る。そのため、1枚のファザーから2〜3枚のマザーし
か得られない。該マザーがそのまま射出成形用に使用さ
れることもある。
【0025】さらに複製を増やすため、あるいは凹凸形
状を反転させるため、マザー(5)を原盤の代わりに用
い、ファザーを作製するのと同様にNi電鋳を行い、第
3複製(凹凸形状はファザーと同じ)を得る。図3の(1
-6) にこの様子が示される。第3複製はサン(息子 SO
N) ・スタンパーまたは単にサン(6)と呼ばれる。実
際には、サン(6)をマザー(5)から剥がすことで、
自由なサン(6)が得られる。この様子は図3の(1-7)
に示される。サン(6)は、前記米国特許のFig.9のス
タンパーメンバー(stamper member)70に相当する。
【0026】サンの剥離を容易にするため、電鋳の前に
マザーをパッシベーション処理する。この場合にも、サ
ンをマザーから剥がすときにマザーが破損されるので、
何度も繰り返しマザーを使用することはできない。せい
ぜい2〜3回が限度である。そのため1枚のマザーから
2〜3枚のサンしか得られない。
【0027】結局、高価な1枚のファザー(4)から、
2×2〜3×3=4〜9枚のサン(6)が得られるに過
ぎない。
【0028】通常はサン(場合よりファザーまたはマザ
ー)を用いて、射出成形法により、大量に成形基板が成
形される。この基板は光ディスクやハードディスク等の
情報記録媒体の素材として使われる。1枚のサンから約
2万〜3万枚の成形基板を成形することができる。しか
し、それ以上の成形を行うと、サンが破損して使用でき
なくなり、仮に使用しても、成形基板の品質が低下して
しまう。
【0029】情報記録媒体は、エンドユーザーに対し今
や1枚数百円(CD−Rの場合)で売られ、益々、低価
格のものが要求されている。これに伴い、スタンパーも
安価に大量に供給することが求められている。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スタ
ンパー(ファザーやサンなど)を安価に大量に製造する
ことにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、原盤やファザー(場合によりマザー)を横方向
に複数個連結して一組(単体)とし、この一組につい
て、一度に電鋳を行うことを着想した。これにより、目
的スタンパーの集合体(単体)を得、その後、個々の目
的スタンパー(複数個)に分離することで、電鋳を一度
で済ませば、一度に複数のスタンパーが得られ(現在
のスピードの時代に合っている)、スタンパーの膜厚
分布の均一性が向上する(後述)、スタンパー間の膜
厚のバラツキがなくなることを見いだし、本発明を成す
に至った。
【0032】ここで、スタンパーの膜厚分布の均一性
について、説明する。原盤やファザーを横方向に複数個
連結して一組(単体)とし、この一組について、一度に
電鋳を行う場合、2通りの方法が想定される。第1の方
法は、電鋳直後の状態を見たときに、目的スタンパーの
集合体(単体)ではなく、既に個々のスタンパーに分離
している方法である。したがって、電鋳後に個々のスタ
ンパーへの分離工程が不要である。第2の方法は、電鋳
によりスタンパーの集合体(単体)を得て、その後、個
々に分離する方法である。この場合、電鋳後に個々のス
タンパーへの分離工程が必要である。本発明は第2の方
法を採る。なぜならこれにより、スタンパーの膜厚分
布の均一性が向上し、スタンパー間の膜厚のバラツキ
がなくなるからである。
【0033】よって、本発明は、第1に、「横方向に連
なった複数の原盤からなる原盤集合体を用意する準備工
程、前記原盤集合体上に電鋳することにより横方向に連
なった複数のファザー・スタンパーからなるファザー集
合体を製造する電鋳工程、および前記集合体を個々のフ
ァザー・スタンパーに分離する分離工程とからなること
を特徴とするファザー・スタンパーの製造方法(請求項
1)」を提供する。
【0034】また、本発明は「請求項1記載の電鋳工程
で製造されたファザー集合体を用意する準備工程、前記
ファザー集合体に樹脂を押しつけることにより凹凸の反
転した樹脂製マザー集合体を成形する成形工程、前記マ
ザー集合体を電鋳することにより横方向に連なった複数
のサン・スタンパーからなるサン集合体を製造する電鋳
工程、および前記サン集合体を個々のサン・スタンパー
に分離する分離工程とからなることを特徴とするサン・
スタンパーの製造方法(請求項2)」を提供する。
【0035】また、本発明は「前記原盤が円板状で情報
記録媒体用のものであることを特徴とする請求項1また
は2記載のスタンパーの製造方法(請求項3)」を提供
する。
【0036】さらに、本発明は「同一基板上に載置され
た複数のファザー・スタンパーからなるファザー集合体
を用意する準備工程、前記ファザー集合体に樹脂を押し
つけることにより凹凸の反転した樹脂製マザー集合体を
成形する成形工程、前記マザー集合体に電鋳することに
より横方向に連なった複数のサン・スタンパーからなる
サン集合体を製造する電鋳工程、および前記サン集合体
を個々のサン・スタンパーに分離する分離工程とからな
ることを特徴とするサン・スタンパーの製造方法(請求
項4)」を提供する。
【0037】また、本発明は「前記ファザー・スタンパ
ーが円板状で情報記録媒体用のものであることを特徴と
する請求項4記載のサン・スタンパーの製造方法(請求
項5)」を提供する。
【0038】また、本発明は「請求項2または4記載の
電鋳工程で得られたサン集合体を、前記準備工程におけ
る集合体として用いて請求項2記載の工程を繰り返すこ
とにより、サン・スタンパーを製造する方法(請求項
6)」を提供する。
【0039】さらに本発明は、「請求項1から請求項6
のいずれかに記載の方法で製造されたファザー・スタン
パーまたはサン・スタンパーを用いて、樹脂またはガラ
スを射出成形またはプレス成形することにより、樹脂製
またはガラス製成形基板を製造する方法(請求項7)」
を提供する。
【0040】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
するが、これは本発明を限定するものではない。また、
本発明では上述のとおり、原盤(MASTER)には大きく分け
てI型とII型があるが、両者を総称して単に「原盤」と
言うこともある。 〔原盤I(MASTER I) 〕まず、基板substrate を用意
する。一般的に基板は円板状であるが、円板状に限定さ
れるものではなく角形でもよい。基板材料としては主に
ソ−ダライムガラス(青板ガラス) 、アルミノシリケ−
トガラス( 白板ガラス) 、無アルカリガラス、低膨張化
ガラス、結晶化ガラス等のガラス材料やセラミックス材
料等が用いられ、セラミックス材料としては、溶融石
英、合成石英等の石英、Siでも良い。場合によって
は、基板材料はAl、Fe、Cu等の金属でも良い。
【0041】基板の表面は、高精度な表面精度(平滑
面) を得るために精密に研磨される。また、基板表面に
表面層を形成しても良い。表面層の材料としては、(a)
SiO 2 のようなSi酸化物、(b) Si34 のような
のSi窒化物、(c) TiSi2のようなのSi金属化合
物、または(d) Ti,Al,Cu,Cr,Ta,Au,
Ag,Pt等の金属、あるいは(e) TiO2 ,TiN,
Al23 ,AlN,TaO2 ,Ta25,Ta34
の金属酸化物や金属窒化物が挙げられる。表面層は、基
板表面を酸化または窒化することで形成してもよい。多
くの場合、表面層は、薄膜の積層技術(例えば、真空蒸
着、スパッタリング)により形成される。その場合、表
面層は、前記材料を2種以上組み合わせて積層した多層
構造からできていてもよい。また、表面層は、平滑性を
向上させるためにCMP(chemical mechanical polish
ing)やその他の手法で精密研磨しても良い。
【0042】次に基板表面にフォトレジストを塗布す
る。一般には、フォトレジストを塗布する前に、基板に
シランカップリング剤のようなプライマーprimerを塗布
する。プライマーは、基板とフォトレジストとの密着性
を向上させる。しかし、表面層にCr、TiN等が存在
する場合、プライマーは必要ないこともある。そして、
フォトレジストをスピンコートなどの塗装方法で塗布す
る。前述のとおり、一般にフォトレジスト膜の厚さがピ
ットや溝の深さを決定する。
【0043】フォトレジスト塗布後に、レジスト感度の
調整のために低い温度でプリベ−クを行う。その後、レ
−ザビ−ムレコ−ダを使ってピットや溝その他のパタ−
ンに沿ってレ−ザビ−ムをレジストに照射する。これに
よりレジストを露光する。
【0044】次いで、露光したレジストを現像液に浸し
て現像する。現像液は、例えばリン酸ナトリウム、リン
酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無
機アルカリ溶液があり、無機に代えて有機アルカリ溶液
も使用することができる。フォトレジストがポジ型の場
合、露光した部分が現像液に溶ける。また、ネガ型の場
合、露光しなかった部分が現像液に溶ける。その後、超
純水でレジストを洗浄する。溶けた部分では、下地の基
板が露出している。
【0045】こうして、表面にフォトレジストのパタ−
ンを有する基板が得られる。このような基板を、本明細
書では、基板を含めてレジストパタ−ンと呼ぶ。このレ
ジストパタ−ンが原盤Iである。原盤Iは、現像の後、
やや高い温度でポストベ−クpost-bake してもよい。ポ
ストベ−クにより、形成される溝やピットの側壁角度が
急峻になる場合もある。また、レジストのエッチング抵
抗性を向上させることができる。さらに、ポストベ−ク
はレジストと基板との密着性を向上させることもでき
る。ポストベ−クは、レジスト表面の硬度を上げる場合
もある。硬度が上がれば、この後に導電膜を形成すると
きや、その上にさらに電鋳法でメッキ層を形成するとき
に、前記レジストはそれらに耐える物性が向上する。
【0046】〔原盤II( MASTER II)〕まず、原盤I
(レジストパタ−ン)を用意する。この原盤Iの一部で
は基板が露出しているので、この露出部分をエッチング
して基板に凹部を設けるのである。この凹部パターンは
レジストのパタ−ンと同一である。
【0047】エッチング方法は湿式(wet process)でも
よいが、乾式(dry process)が好ましい。乾式エッチン
グの中で、とりわけ反応性イオンエッチング(RIE)
が有効である。他に、マグネトロンRIE、ECR(電
子サイクロトロン・レゾナンス)、ICP(誘導結合型
プラズマ)、ヘリコン波等を用いたエッチングも使用可
能である。RIEは、通常の低プラズマ密度(1010
/cm3 程度以下)のプロセスでも良い。しかし、エッ
チング部分の肌荒れや側壁の肌荒れを低減するには、高
プラズマ密度(1011個/cm3程度以上)のプロセス
が好ましい。後者には、ICP、ヘリコン波を用いるR
IEが含まれる。後者はパターンがさらに微細になった
場合に効果的である。
【0048】乾式エッチング(dry etching)を使えば、
ピットの前端及び後端の側壁角度を急峻にすることがで
きる。そのため、光ディスクの再生信号ジッタ(jitter)
が低減される。セラミックス型(原盤II)の方が、レジ
ストパターン(原盤I)に比べ、ピットや溝の側壁が荒
れていない。乾式エッチングであれば、エッチングの後
も、凹部の底面や側壁の表面粗さは極めて小さい。乾式
エッチングは、急峻な側壁角度を有する凹部を形成する
こともできる。乾式に限らず、エッチングは、より深い
凹部を形成することができる。凹部が深いことや、凹部
の側壁角度が急峻なことは、様々な利点を光ディスクに
もたらす。この利点には、ノイズ低減や隣接トラック間
の光学的クロストークcross-talk、熱的クロスト−クth
ermal cross-talk(=クロスイレーズ cross-erase) の
低減がある。
【0049】表面層を有する基板を使用した場合、表面
層だけをエッチングしてもよい。この場合には、仮に表
面層とその下地である基板との材質が異なれば、エッチ
ング速度も異なるので、エッチングの終点を揃えること
ができると言う利点がもたらされる。この場合には、表
面層の厚さが溝やその他の深さを決定する。
【0050】エッチングの後、残留したレジストを除去
する。除去方法には酸素プラズマによる乾式エッチング
(アッシング) が可能である。あるいは、残留したレジ
ストを「濃い酸性溶液(例えば、濃硫酸や濃硝酸)を加
熱したもの」の中に浸すことで、除去することが可能で
ある。その溶液中に過酸化水素水を添加することは効果
的である。こうしてレジストを除去した後、超純水等で
基板表面を洗浄する。
【0051】これにより、ピットや溝などに相当する凹
部を有する基板が得られる。この基板が原盤IIである。
基板材料は特にセラミックスが好ましい。何故なら、セ
ラミックスは表面(肌)が大変に滑らかであるからであ
る。つまり、セラミックスの表面粗さRaは極めて小さ
い(Ra≦10nm、場合によりRa≦1nm)。この
ことは、光ディスクを製造した場合、光ディスクのノイ
ズを低くする。本明細書では、原盤IIをセラミックス型
と呼ぶことがある。 〔原盤集合体〕請求項1記載の方法は、準備工程を持
ち、複数個の原盤を横方向に連なった複数の原盤からな
る原盤集合体を用意する。原盤集合体(3S)は、図2
の(4-1)に示すように原盤I(3)を複数個用意し、そ
れを共通の基板(11)上に固定することで作製され
る。
【0052】〔ファザーまたはファザー集合体〕まず、
原盤(3)または原盤集合体(3S)を用意する。
【0053】ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)は、原盤(3)または原盤集合体(3S)をメッキ
すること(厚膜法)により製造する。メッキ層がファザ
ー(4)またはファザー集合体(4S)となる。
【0054】一般的に、メッキの手法には乾式と湿式と
がある。湿式には、無電解メッキと電解メッキとがあ
る。乾式は真空薄膜形成技術と呼ばれ、真空蒸着、イオ
ンプレ−ティング、スパッタリング等がある。ここでの
厚膜製造メッキ方法は、2方法により行われ、第1の方
法は乾式と無電解メッキを含むもので、第2の方法は電
解メッキである。
【0055】第2の方法(電解メッキ)は電鋳electro-
forming とも呼ばれ、電鋳は短時間で厚いメッキ層を形
成することができる。電鋳を行なう場合、原盤(3)ま
たは原盤集合体(3S)は導電性を持っていないので、
最初に原盤(3)または原盤集合体(3S)の表面に薄
い(一般に約50〜100nm)金属層を形成する。該
金属層は導電層と呼ばれ、該導電層を形成する処理を導
電化処理と呼ぶ。
【0056】ここで、該導電化処理は前記第1の方法に
よって行われる。金属はNi(ニッケル)が好ましく、
それ以外にAu、Pt、Pd、Ag、Ti、Ta、Cr
等あるいは、これらの2種以上の合金があり、その他に
導電率の高い金属やその金属化合物が使用可能である。
また、金属にリンを含有させてもよい。金属として、N
iを使用する場合、あらかじめNiに近いかまたは等し
い熱膨張係数を有する他の金属や金属化合物を第2プラ
イマー層として形成しておいてもよい。つまり、該第2
プライマー層の上に導電層を形成するのである。第2プ
ライマー層は、電鋳時または終了後に「電鋳層が応力で
歪む現象」を軽減することができる。この現象は、場合
によりピットや溝等の凹部を破壊する。第2プライマー
層は、場合によって、ファザー(4)またはファザー集
合体(4S)が完成した後、除去される。
【0057】その後、導電層が形成された原盤(3)ま
たは原盤集合体(3S)は、電鋳を行うためメッキ浴に
浸される。メッキ浴には、多くの場合、スルファミン酸
ニッケル溶液が使用される。電鋳を行うと導電層の上に
Niメッキ層が形成される。このNiメッキ層がファザ
ー(4)またはファザー集合体(4S)である。Niに
代えて、他の金属を使用することもできる。あるいは、
Niに他の金属例えばTiや元素例えばリン(P)を混
ぜてもよい。Tiを混ぜれば、比較的強固で耐久性の良
好な型が得られる。リンを混ぜれば、表面硬度の高い型
を得ることができる。導電層、その上のメッキ層または
その両方をNi−PやTi−P、Ni−Ti−P等の合
金で構成すれば、高硬度で高耐久性のファザー(4)ま
たはファザー集合体(4S)を得ることが可能である。
【0058】また、Niメッキ層の単層ではなく、Ni
メッキ層に加えて他のメッキ層(例えば、銀や銅、クロ
ムのような金属またはそれらの合金)を積層した多層構
造でも良い。
【0059】場合によっては、電鋳も用いることなし
に、第1の方法(乾式または無電解メッキ法)だけで、
金属製のファザーを製造することも可能である。乾式方
法はメッキ液の廃液処理の問題がない。乾式の中でもイ
オンプレ−ティングは特に低い表面粗さを有する型を与
えることができる。
【0060】形成されるメッキ層の厚さが約100μm
を越えると、原盤(3)または原盤集合体(3S)の凹
凸は表面に現れなくなる。即ち、外から見た場合、メッ
キ層の表面は平坦になっている。メッキ層の厚さが約2
00〜約600μm(一般には約250〜約300μ
m)になったら、メッキを止める。これでファザー
(4)またはファザー集合体(4S)が完成する。
【0061】ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)は完成した直後は、原盤(3)または原盤集合体
(3S)の上に付着しているので、ファザー(4)また
はファザー集合体(4S)を原盤(3)または原盤集合
体(3S)から剥がす。ファザー(4)またはファザー
集合体(4S)は上述のとおり薄い金属膜の状態なの
で、剥がすのに注意を要する。剥がした後、ファザー
(4)またはファザー集合体(4S)表面にレジスト、
プライマーその他の汚れが付着している可能性があるの
で、ファザー(4)またはファザー集合体(4S)を洗
浄する。洗浄には、有機溶剤や超純水を用いた湿式洗
浄やアッシング、プラズマ処理、UV照射、オゾン洗
浄等の乾式洗浄がある。
【0062】なお、ここまでのプロセスは、米国特許
5,673,250(対応日本特許=公開 Koukai H8
−22621)の第11欄第56行〜第12欄第39行
及びFIG.9にもいくらか説明されている。
【0063】〔マザー集合体〕従来のマザー(5)は、
図3の(1-5) に示すマザー・スタンパー(5)と呼ばれ
るものでニッケル製である。本発明におけるマザー集合
体(9S)は樹脂製で、その元になるマザー(樹脂製の
第2複製)は、本出願人の先願にかかる特願平11-76839
号(平成10年3月27日出願の特願平10-80642号を基礎と
する国内優先権主張)の発明に使用されたものである。
先願発明のマザー(9)は、図3の(2-5) に示されるよ
うに、基板(8)とその上の凹凸樹脂(7)からなる。
本発明のマザー集合体(9S)は、このマザー(9)を
複数個連結したものである。
【0064】簡単に言えば、マザー(9)またはマザー
集合体(9S)は、次のように作られる。前記ファザー
(4)またはファザー集合体(4S)の凹凸面に柔らか
い樹脂を押し付け、その後、樹脂を固化hardenまたは硬
化cureさせる。固化または硬化した樹脂はファザー
(4)またはファザー集合体(4S)の凹凸を転写して
おり、ファザー(4)またはファザー集合体(4S)か
ら剥がす。剥がされた樹脂がマザー(9)またはマザー
集合体(9S)である。即ち、マザー(9)またはマザ
ー集合体(9S)は樹脂製の第2複製である。これが本
発明の特徴の一つである。この点で、従来技術の金属製
のマザーと異なる。
【0065】さらに、従来技術と大きく異なる点は、1
つのファザー(4)またはファザー集合体(4S)から
マザー(9)またはマザー集合体(9S)を製造した
後、ファザー(4)またはファザー集合体(4S)は繰
り返し何度でも再使用可能なことである。従来技術で
は、ファザーはせいぜい3回再使用できるに過ぎない。
本発明であれば、10000回以上再使用できることが
確認されている。さらに異なる点は、1つのファザー
(4)またはファザー集合体(4S)から製造される複
数のマザー(9)が、マザー間で比較して個体差がな
い。つまり、それらのマザー(9)は、全く同一物(ク
ローン)であることである。そのため、それぞれのマザ
ーを使って、それぞれ金属製のサン(第3複製)を製造
した場合、得られたサン(6)は互いにクローンにな
る。
【0066】ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)に押しつける時の樹脂は、転写性の高い樹脂が好ま
しい。粘度が低いものや流動性が高いものは転写性が一
般に高い。粘度を低くするには、加熱して軟化させる
方法がある。この場合は樹脂を冷やせば、固化する。あ
るいは、樹脂に溶剤を混ぜてもよい。この場合は、溶
剤を揮発させれば、樹脂は固化する。また、低分子量
の樹脂またはプレポリマーprepolymerまたは樹脂原料
は、低粘度である。極端には、液体状である。これらに
溶剤を混ぜてもよい。溶剤を混ぜれば、さらに低粘度に
なる。この場合には、マザー(9)またはマザー集合体
(9S)の表面でそれらの高分子化(例えば硬化cure)
を進めれば、固体の樹脂(高分子量の樹脂)が生成す
る。生成した樹脂はファザー(4)またはファザー集合
体(4S)の凹凸を転写している。
【0067】特にの方法が好ましい。の方法で高分
子化を進める手段は、(a) 加熱または(b) 放射線照射で
ある。あるいは、(c) 2つの樹脂液を混合し、放置する
だけで互いに反応し高分子化する手段もある。放射線と
しては、イオンビーム、電子線、紫外線、遠紫外線、レ
ーザー光線、X線、シンクロトロン放射線等が挙げられ
る。なかでも、紫外線が取扱いやすいだろう。
【0068】好ましい方法を説明する。図1の(3-4) の
場合を除き、ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)が薄い(一般に250〜300μm程度)ため、平
面性が悪い。そこで、まずファザー(4)またはファザ
ー集合体(4S)を平面性の高い基板で裏打ちすること
が好ましい。基板は金属またはガラスである。金属とし
ては、例えば、鉄、銅、真鍮、アルミニウム、ステンレ
ス、青銅等がある。基板の厚さは1〜20mm程度であ
る。基板は接着剤でファザーに接着する。
【0069】ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)の凹凸面を上に向けて置く。上から低粘度の放射線
硬化可能な樹脂液(7)を垂らす。泡が入らないように
樹脂液の上に透明板(一般にガラス板)8を置く。透明
板(8)を通じて放射線を照射して樹脂を硬化させる。
図1の(2-4) や(3-5) 、図2の(4-5) 、図3の(2-4)が
この状態を示す。硬化した樹脂(7)を透明板(8)と
共にファザー(4)またはファザー集合体(4S)から
剥離する。こうして硬化樹脂(7)と透明板(8)の2
層からなるマザー(9)またはマザー集合体(9S)が
得られる。
【0070】透明板(8)としてのガラス板の厚さは、
0.6mm以上、好ましくは約4mm〜約10mmであ
る。ガラス板の表面粗さは、原盤の基板(1)に比べて
低くて良い。表面粗さRaは5nm〜1μmでよい。ガ
ラス板に代えて、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポ
リオレフィン、アクリル樹脂等の樹脂も使用可能であ
る。
【0071】ガラス板を使用する場合、あらかじめ洗浄
を行った後、樹脂との接着性を向上させる第3プライマ
ーを塗布してもよい。塗布した後、加熱bakeすることが
好ましい。第3プライマーは例えばシランカップリング
剤等である。
【0072】シランカップリング剤としては、例えばビ
ニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノ
シラン等がある。ビニルシランとしてはビニルトリクロ
ルシラン、ビニルトリス( β−メトキシエトキシ) シラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン等があり、アクリルシランとしては、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン等があり、エポキシ
シランとしてはβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
チルジエトキシシラン等があり、アミノシランとしては
N−β( アミノエチル) γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−β( アミノエチル) γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン等がある。その他、γ−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン等も使用される。
【0073】その他のプライマーの例は、シラン(例え
ば、クロロシラン、アルコキシシラン)やシラザンや特
殊シリル化剤である。これらのプライマーは2種以上混
合して使用しても良い。プライマーは、トルエン、キシ
レン、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール等の溶媒で希釈して使用しても良い。
【0074】マザーの樹脂としては、例えば、以下のよ
うなものが使用可能である。大別すると(A)熱可塑性
樹脂と(B)熱硬化性樹脂がある。
【0075】(A)熱可塑性樹脂:ポリカーボネート、
ポリスチレン、スチレン系ポリマーアロイ、ポリオレフ
ィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポ
リオレフィン、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタ
クリレ−ト系) 、ポリ塩化ビニール、熱可塑性ポリウレ
タン、ポリエステル、ナイロンなど。
【0076】(B)熱硬化性樹脂:熱硬化性ポリウレタ
ン、エポキシ樹脂、不飽和アクリル樹脂、アクリルウレ
タン樹脂、不飽和ポリエステル、ジエチレングリコール
ビスアリルカーボネート樹脂など。主成分として、ウレ
タン化ポリ(メタ) アクリレートやポリカーボネートジ
(メタ) アクリレート、アセタールグリコールジアクリ
レートを含む樹脂液を硬化させた樹脂も好ましい。
【0077】熱硬化性樹脂の場合は、ファザーに接触さ
せる時は低分子量の樹脂液が使用される。その樹脂液に
は、硬化触媒または硬化剤を含めてもよい。紫外線で硬
化させる場合には、硬化触媒として、光増感剤が使用さ
れる。光増感剤の代表的なものとしてはアセトフェノン
系、ベンゾインアルキルエーテル系、プロピオフェノン
系、ケトン系、アントラキノン系、チオキサントン系が
挙げられる。複数種を混合して使用してもよい。特にケ
トン系の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
等が転写性能、離型性能、品質安定性の面で有用であ
る。紫外線で硬化する樹脂は特に紫外線硬化型(curabl
e)樹脂と呼ばれる。これらの樹脂はマザーの材料として
好ましい。
【0078】特にマザー(9)またはマザー集合体(9
S)を剥離するとき、ファザー(4)またはファザー集
合体(4S)や後のサン(6)またはサン集合体(6
S)に付着しない樹脂が好ましい。
【0079】後の電鋳工程やイオンプレーティング工程
における静電気対策のために、帯電防止剤を樹脂液に混
合してもよい。あるいは、マザー(9)またはマザー集
合体(9S)が完成した後に、薄い帯電防止層(例え
ば、Pt層)を形成しても良い。このような対策は焼け
焦げ、変形、剥離、ゴミ付着等の問題を防止する。ま
た、マザー(9)またはマザー集合体(9S)の厚さを
より均一にする上でも、これらの対策は有効である。
【0080】あらかじめ裏打ちがない場合、ファザー
(4)またはファザー集合体(4S)からマザー(9)
またはマザー集合体(9S)を剥離する前に、ファザー
は薄いので、ファザー(4)またはファザー集合体(4
S)を金属板で裏打ちすることが好ましい。鉄、銅、真
鍮、アルミニウム、ステンレス、青銅等の金属板をファ
ザー(4)またはファザー集合体(4S)の裏面に接着
する。そうすると、ファザー(4)またはファザー集合
体(4S)からマザー(9)またはマザー集合体(9
S)を剥離しやすい。
【0081】剥離されたマザー(9)またはマザー集合
体(9S)は、肌荒れがない。ファザー(4)またはフ
ァザー集合体(4S)の表面粗さRa が10nm以下の
場合、マザー(9)またはマザー集合体(9S)の表面
粗さRa も10nm以下となる。ファザー(4)または
ファザー集合体(4S)の表面粗さRa が1nm以下の
場合には、マザー(9)またはマザー集合体(9S)の
表面粗さRa も1nm以下となる。これが本発明の特徴
の一つである。
【0082】剥離された後のファザー(4)またはファ
ザー集合体(4S)は、再びマザー(9)またはマザー
集合体(9S)を製造するために繰り返し使用すること
ができる。ある実施例ではファザー(4)またはファザ
ー集合体(4S)は1000回使われた。本発明者の推
測では、ファザー(4)またはファザー集合体(4S)
は10000回以上繰り返し使用することができる。こ
れは、マザー(9)またはマザー集合体(9S)が樹脂
でできているため、剥離時にファザー(4)またはファ
ザー集合体(4S)を損傷すること(特に肌を荒らすこ
と)がないためと推測される。損傷がないので、100
00回以上繰り返し使用されても、製造された1000
0枚以上のマザーは、互いに個体差のない(または個性
が極めて似ている)。それ故、それらのマザーはクロー
ンに例えられよう。
【0083】したがって、高価なファザーに比べれば、
マザーはずっと安価に速く製造される。
【0084】〔サン集合体〕サン(6)はファザー
(4)と同じく金属製である。サン集合体(6S)は、
複数個のサン(6)が横方向に連なったものである。サ
ン集合体(6S)の製造方法は、ファザー集合体(4
S)と同じである。この場合、原盤集合体(3S)に代
えてマザー集合体(9S)が使用される。サン集合体
(6S)はマザー集合体(9S)をメッキすることによ
り製造される。ただし、マザー集合体(9S)の上にい
きなり前述の導電化処理をしてメッキするのではなく、
その前に、1〜20Åのフォトレジストを塗布してもよ
い。その後で導電化処理し、そしてメッキするのであ
る。こうすると、表面粗さRaおよびうねりWaが多少
改良される。具体的な作製方法は、上述のファザー
(4)またはファザー集合体(4S)の作製方法と同様
なので、ここでは省略する。
【0085】サン集合体(6S)はマザー集合体(9
S)上で作製するので、作製した後、マザー集合体(9
S)から剥離する。剥離後、マザー集合体(9S)は1
00回以上繰り返し使用可能である。
【0086】サン集合体(6S)の平面性を高めるため
に、サン集合体(6S)の剥離前または剥離後に、
サン集合体(6S)の裏面を機械的に研磨する。剥離
後に研磨する場合は、サン集合体(6S)の凹凸面を保
護するため、マザー集合体(9S)から剥離後、サン集
合体(6S)の凹凸面に保護コートを施す。保護コート
は、剥離可能型の保護塗料を塗布し、乾燥させることに
よって形成される。
【0087】〔サン〕サン(6)はサン集合体(6S)
から分離することにより得られる。一般にはサン(6)
をサン集合体(6S)から機械的に外形を打ち抜くこと
により分離される。一般には、個々のサン(6)に分離
された後、個々のサン(6)の中心付近も機械的に打ち
抜かれる。こうすることによりドーナツ状のサン(6)
が仕上がる。これでサン(6)は出荷が可能となる。
【0088】本発明の特徴であるが、剥離後のサン
(6)の肌荒れが小さい。そのため、マザー集合体(9
S)のマザー(9)の表面粗さRaがで10nm以下の
場合、サン(6)の表面粗さRa も10nm以下とな
る。マザー集合体(9S)のマザー(9)の表面粗さが
Raで1nm以下の場合、サン(6)の表面粗さRa も
1nm以下となる。本発明によれば、場合により、Ra
で0.5nm以下(RMSで0.3nm以下)の表面粗
さを有するサン(6)も製造可能である。さらに、より
良好な条件を選択すれば、Raで0.3nm以下(RM
Sで0.2nm以下または0.1nm以下) のサン
(6)も提供可能である。
【0089】マザー集合体(9S)がクローンであるこ
とから、1つのファザー集合体(4S)から製造された
サン(6)もクローンである。極端に言えば、サン
(6)はファザー(4)ともクローンの関係にある。し
たがって、高価なファザー(4)またはファザー集合体
(4S)から多数の安価なサン(6)が製造される。
【0090】なお、RIEで製造された原盤IIを使用し
た場合、サンの肌荒れが少なく、特に高品質のサンが製
造される。 〔識別〕上記説明のように多くのサンを区別するのは困
難である。そこで、サンの所定位置に刻印してもよい。
位置は、例えば信号領域がサンの半径22mm〜59m
mであれば、それ以外の部分(例えば、半径20mm〜
21mmの部分)である。刻印は、単なる溝grooveや凹
部またはピットでもよい。刻印は、数字や記号でもよ
い。細かい凹部の集合により、目で見た場合、文字や数
字、記号を表しているものが好ましい。刻印は、レーザ
ー加工、スタンピング加工、プレス加工によって行われ
る。また、刃物、やすり、研磨テープ等で直接サンに傷
を付けることにより刻印してもよい。
【0091】刻印は、原盤やファザー、マザーに行って
もよい。
【0092】これらの刻印は成形基板に転写されるの
で、製造された成形基板を見れば、どの型が使用された
か判別でき、前記刻印は、成形基板の品質管理に利用す
ることができる。
【0093】〔成形基板の成形〕サンを用いて、サン表
面の凹凸を転写する方法で、成形基板が製造(成形)さ
れる。成形方法には、射出、プレス、注型などがある。
なかでも、射出成形法が高い生産性を持つ。成形基板の
材質は、樹脂またはガラス(特に低融点ガラス)であ
る。
【0094】成形基板に使用される樹脂は、一般に熱可
塑性樹脂(特に比較的硬い樹脂)である。その例として
は、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン系ポリ
マーアロイ、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタク
リレ−ト系) 、ポリ塩化ビニール、ポリエステル、ナイ
ロン、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アモルファス・ポリ
オレフィンなどがある。しかし、場合により熱硬化性樹
脂も使用可能である。その例としては、エポキシ樹脂、
熱硬化性ポリウレタン、不飽和アクリル樹脂、不飽和ポ
リエステル、ジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ート樹脂などがある。樹脂基板の成形技術は先行技術と
同じなので、これを省略する。
【0095】次に以下に発明の実施の形態を示す。ここ
では、RaとWaの値は、Wyko Corp. 社の"TOPO-SYST
EM" で測定した。
【0096】(第1の発明の実施の形態)本発明の第1の
実施の形態を図1を用いて説明する。
【0097】〔原盤I〕まず、基板材料として合成石英
板を1枚用意した。この板を外径185mm、内径20
mm、厚み6mmのドーナツ状円板に加工し、基板
(1)とした。その後、基板表面をそれぞれ表面粗さ:
Ra=1nm以下に精密研磨した。洗浄後、基板表面に
「プライマーとしてのヘキサメチルジシラザン」とフォ
トレジストをこの順にスピンコートし、100℃のクリ
ーンオーブン内で30分プリベークした。そして、厚さ
約200nmのフォトレジスト層(2)が基板(1)上
に形成された。
【0098】次にレ−ザーカッティング装置を用いて、
フォトレジスト(2)を露光した。露光のパターンは、
書き換え可能型MD(ミニディスク) フォ−マットに従
って(a)ウオッブル(wobble)ガイド溝パタ−ンおよび
(b)TOC(table of contents) パタ−ンとなるプリ
ピットprepits である。トラックピッチは1.6μm、
溝幅は1.2μm、溝のウォッブル(wobble)振幅は約
30〜40nm、TOCパターンにおけるプリピット(p
repit)幅は約0.4μmとした。
【0099】露光を終えたレジストを、それぞれ無機ア
ルカリ現像液(AZデベロッパー:ヘキスト社製)で現
像した。レジスト表面を超純水を用いてスピン洗浄し、
その後、120℃のクリーンオーブンで30分ポストベ
ークした。これによりレジストパターンが形成された。
このレジストパターンが原盤I(3)である。この様子
は図1の(3-1) に示される。
【0100】レジスト層の厚さは、現像でやや薄くな
り、約65nmであった。
【0101】ここでは、フォトレジスト材料として「残
存率が95%以上のもの」を使ったので、溝の側壁、ピ
ット側壁及びピット前後エッジがいずれもシャープに形
成された。そのため、ウォッブル信号の再生が正確であ
る。また、CNRの向上、クロスイレーズcross-erase
の減少及びクロストークcross-talkの減少がもたらされ
る。書き込み信号および読み取り信号のドロップアウト
も少なくなった。溝の底および側壁の表面粗さ、ピット
の底及び側壁の表面粗さがそれぞれ小さいため、ノイズ
が小さくなった。
【0102】この実施の形態とは別に原盤I(3)を反
応性イオンエッチング(RIE)装置内に入れ、ドライ
エッチングを行い、残ったレジストを除去し、洗浄する
と、原盤IIが得られるが、本形態では実施しない。原盤
IIは石英基板(1)に直接にパターンが食刻されたもの
である。
【0103】〔ファザー〕原盤I(3)をスパッタリン
グ装置にセットし、表面に厚さ約50〜70nmのNi
層(導電層)を付着depositionさせ、これにより導電化
処理が実施される。原盤Iの凹凸が深い場合は、RF放
電下でスパッタリングすることが好ましい。RF放電下
では、原盤Iの帯電による悪影響(例えばスパッタリン
グ速度ムラ)を受けにくくなる。そこで本形態では、R
F放電(電力:400W)下でスパッタリングを実施し
た。ここで、導電層のNi層が厚くなると、後工程で成
膜するNiメッキ層が剥がれる場合があるため、Ni層
(導電層)の厚さを10nm〜40nm程度に薄くす
る。
【0104】次に原盤Iをスルファミン酸ニッケルを溶
かしたメッキ浴に入れた。浴の温度は約45〜55℃に
した。そして、通電することによりNi電鋳を開始し
た。開始時は、電流密度を低くし、徐々に電流密度を上
げた。電鋳は、得られたNiメッキ層つまりファザー
(4)の厚さが293μmになったとき止めた。この様
子は図1の(3-2)に示される。
【0105】ファザー(4)を原盤I(3)から剥し
た。剥したファザーは図1の(3-3)に示される。このと
きファザー(4)の表面粗さRaは1nm以下であっ
た。
【0106】次に、ファザー(4)の凹凸面に保護塗料
として商品名:クリンコ−トS(ファインケミカル ジ
ャパン社製)をスピンコート法により塗布した。塗布し
た後、塗膜を約10時間自然乾燥させた。これにより凹
凸面は保護コートで覆われた。
【0107】凹凸面が保護されたファザーの裏面を研磨
した後、その内径と外径を打ち抜いて落とした。こうし
て、ドーナツ状のファザー(4)が仕上がった。
【0108】この工程では、電鋳の準備を開始してから
仕上げまでに約4時間を要した。 〔ファザー集合体〕ファザー(4)をABC3枚用意
し、これらを図4に示すように横方向に連結してφ25
0mmのステンレス基板(12)の上にエポキシ接着剤
で接着した。これによりファザー集合体(4S)が得ら
れる。基板(12)を使用することで、ファザーの平面
性が向上する効果もある。
【0109】〔マザー集合体〕紫外線硬化型樹脂液を用
意する。この樹脂液は、 化学構造式1のアセタールグリコールジアクリレート
を70部、 化学構造式2と化学構造式3の混合物であるウレタン
アクリレートを30部、そして、 1−ヒドロキシシクロヘキシシクロヘキシルフェニル
ケトン( 商品名:イルガキュア−184;チバ・ガイギ
ー(株)製) を3部混合することで調製された。
【0110】
【0111】
【0112】樹脂液としては、熱や光の吸収特性、離型
性、耐光性、耐久性、硬度を考えると、色数(APH
A)が30〜50、屈折率が25℃で1.4〜1.8程
度のものが好ましい。本実施の形態では、離型性及び後
の電鋳を複数回数行なうことを考えて、色数40、屈折
率1.47〜1.48の樹脂液を用いた。
【0113】樹脂液の比重は、25℃で0.8〜1.3
程度、粘度は25℃で10〜4800CPS程度のもの
が転写性の点で好ましい。本実施の形態では、マザーの
複製時間の短縮化および混入する泡の低減を目的とし
て、比重が1.08程度、粘度が4500〜4780C
PS程度の樹脂液を用いた。
【0114】粘度は、低分子量の成分を用いることで可
能である。つまり、ウレタンアクリレート(化学構造式
2および3)の分子量は、1000〜2000程度と大
きいので、別の低分子量の成分を用いれば粘度を低くす
ることができる。
【0115】また、別に、外径250mm、内径10m
m、厚み6mmの青板ガラス円板を用意した。そして、
円板を洗浄し、表面にプライマーであるシランカップリ
ング剤塗布した。シランカップリング剤は、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシランを溶媒(トルエ
ン)に溶かして、2%程度の溶液としたものである。塗
布法はスピンシャワー法である。塗布後、120℃でベ
−クbakeした。
【0116】そして、凹凸面を上にしたファザー集合体
(4S)の上に前記樹脂液(7)を垂らし、上から前記
ガラス円板(8)を押しつけ、樹脂液(7)を円板
(8)とファザー集合体(4S)で挟みこんだ。このと
き、樹脂液(7)に泡が入らないように注意した。さら
にガラス円板(8)を加圧して粘稠な樹脂液(7)をフ
ァザ−集合体(4S)の表面全体に均一に押し拡げた。
【0117】ガラス円板(8)を通して、樹脂液(7)
に水銀ランプからの紫外線を5〜60秒程照射する。こ
れにより樹脂液は硬化し硬い樹脂層(7)が生成した。
ここでは樹脂層(7)とガラス円板(8)の2層構造物
がマザー集合体(9S)である。この様子は図1の(3-
5)に示される。
【0118】次にマザー集合体(9S)をファザー集合
体(4S)から剥離した。剥離は両者を損傷しないよう
に注意深く実施した。マザー集合体(9S)のマザー
(9)表面粗さRaも、1nm以下であった。
【0119】剥離した後に残されたファザー集合体(4
S)は、損傷していないので繰り返し使用可能である。
驚くべきことに、ファザー集合体(4S)には樹脂が付
着しておらず、残存樹脂の除去は不要であった。そこ
で、再び、そのままファザー集合体(4S)を使用して
マザー集合体(9S)を製造した。ファザー集合体(4
S)は繰り返し1000回も使用可能である。
【0120】〔サン集合体〕マザー集合体(9S)から
サン集合体(6S)を電鋳した。電鋳方法は、上記のフ
ァザー集合体(4S)と同じである。ただし、原盤
(3)の代わりにマザー集合体(9S)を使用する。図
1の(3-7)に示すように、製造直後は、サン集合体(6
S)はマザー集合体(9S)の上にある。そこで、サン
集合体(6S)をマザー集合体(9S)から剥離する
と、図1の(3-9)に示す自由なサン集合体(6S)が得
られる。
【0121】サン集合体(6S)を剥した後のマザー集
合体(9S)は、損傷しておらず、マザー集合体(9
S)は100回以上繰り返し使用可能であった。驚くべ
きことに、サン集合体(6S)には樹脂が付着しておら
ず、残存樹脂の除去は不要であった。
【0122】〔サン〕サン集合体(6S)を大まかに3
枚のサン(6)に切り離した。得られた各サンの凹凸面
に保護コートを施した後、裏面を研磨して、均一な厚さ
を得た。そして、サンの内径と外径を打ち抜き、仕上げ
た。こうしてサン(6)が完成した。各サン(6)の平
均の膜厚は293μmで、膜厚のばらつきは±5μm以
内であり均一であった。サン(6)の表面粗さRaおよ
びうねりWaはそれぞれ1nm以下であった。
【0123】得られた各サン(6)をそれぞれ順に「専
用の再生装置」にセットして、その再生信号をチェック
した。信号の種類は、トラッキング信号、ノイズ、ウォ
ブル信号、アドレス信号、欠陥数である。その結果、信
号の品質は、ファザー(4)からの再生信号と同等であ
った。各サン(6)からの再生信号も互いに同等であっ
た。
【0124】本実施の形態によれば、一度の電鋳で3枚
のサン(6)を製造することができ、後の分離工程を考
えても、3枚のサンを得るのに単時間で済み、昨今のス
ピード経営の時代にマッチしている。
【0125】3枚のサンについて、それぞれ射出成形機
にセットし、試みに樹脂製の成形基板を成形した。成形
条件は変えずに成形することができた。そのため、3枚
のサンは個体差がなくクローンと呼ぶことができる。 (第2の発明の実施の形態)本発明の実施の形態を図2を
用いて説明する。
【0126】〔原盤I〕第1の発明の実施の形態と同じ
方法で3枚の原盤I(3)を用意した。図2の(4-1)参
照。
【0127】〔原盤集合体〕3枚の原盤Iを大きなガラ
ス基板(11)の上に横方向に連結して接着することに
より、原盤集合体(3S)を製作した。図2の(4-2)参
照。
【0128】〔ファザー集合体〕原盤Iの代わりに原盤
集合体(3S)を用い、第1の実施の形態の〔ファザ
ー〕と同様にして、ファザー集合体(4S)を電鋳し
た。図2の(4-3)参照。
【0129】原盤集合体(3S)からファザー集合体
(4S)を剥がした(図2の(4-4)参照)後、アセトン
等の有機溶剤で表面の残留レジストを洗い落とした。そ
の後、ファザー集合体をスピン洗浄した。ファザー集合
体の凹凸面に商品名:シリテクトSILITECTO (エース産
業 ACE INDUSTRIALS Co.社製) をスピンコートした。こ
うして保護されたファザー集合体(4S)裏面を研磨し
た。
【0130】これらのファザー集合体(4S)の裏面に
第1の実施の形態と同様にステンレス基板を接着した
(不図示)。
【0131】〔マザー集合体〕第1の実施の形態実と同
様にファザー集合体(4S)から樹脂製マザー集合体
(9S)を図2の(4-5)、(4-6)に示すように製造(複
製)した。マザー集合体(9S)を剥離した後のファザ
ー集合体(4S)には損傷がなかった。驚くべきこと
に、ファザー集合体(4S)には樹脂が付着しておら
ず、残存樹脂の除去は不要であった。そこで、そのま
ま、ファザー集合体(4S)を繰り返し使用することが
できる。繰り返しは1000回位可能である。
【0132】〔サン集合体〕第1の実施の形態と同様に
樹脂製マザー集合体(9S)からサン集合体(6S)を
図2の(4-7)、(4-8)に示すように製造(複製)した。
サン集合体(6S)を剥離した後のマザー集合体(9
S)に損傷はなかった。驚くべきことに、サン集合体
(6S)には樹脂が付着しておらず、残存樹脂の除去は
不要であった。マザー集合体(9S)は10回位繰り返
し使用することができる。
【0133】〔サン〕サン集合体(6S)から外形を打
ち抜くことにより、3枚のサン(6)を入手した。その
後、内径も打ち抜き、内径34mm、外径138mmの
ドーナツ状のサン(6)を得た。各サン(6)の膜厚
は、304μmで、膜厚は均一であった。各サン(6)
の表面粗さRaおよびうねりWaはそれぞれ1nm以下
であった。 (第3の発明の実施の形態)射出成形機として、住友重機
械工業株式会社(Sumitomo Heavy Industries, Ltd. )
製の商品名「SD30」を用意した。
【0134】成形基板用の樹脂として、帝人株式会社製
のポリカーボネート・商品名「AD5503」を用意
し、上記成形機のホッパーに供給しセットした。
【0135】第1の実施の形態で作製したサンを上記成
形機に取りつけ、金型温度を125℃、樹脂温度を34
0℃、射出圧力を30t、サイクルタイムを12秒の成
形条件で樹脂基板を成形した。基板の厚さは0.6mm
である。その結果、2時間で600枚の成形基板(φ=
120mm)が製造された。
【0136】
【発明の効果】本発明によれば、1度の電鋳で複数のフ
ァザーまたはサンが製造される。そのため、短時間で大
量のファザーまたはサンを得ることができる。しかも、
一度の電鋳で製造された各サンの膜厚のバラツキが少な
く揃っており、さらに膜厚の均一性も高い。
【0137】本明細書では、成形基板が光ディスクに使
用される場合を詳しく説明したが、成形基板は他の用途
に使用されるものでもよい。微細な凹凸を持つどんな成
形基板も本発明のサンを用い成形することができる。そ
のような成形基板には、例えば、磁気ディスク(ハード
ディスク)用基板、光カード用基板、液晶デバイス用基
板、半導体デバイス用基板、プリンターの部品用基板、
情報記録/再生装置の部品用基板、パーソナルコンピュ
ータの部品用基板、自動車の部品用基板、光学部品自体
(例えば、ゾーンプレート、非球面レンズ、回折格子、
ホログラム板、フォトマスク、レティクル)またはその
基板、エンコーダ部品用の基板等がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態と先願発明にかか
るプロセスチャートである。
【図2】 本発明の第2の実施の形態と先願発明にかか
るプロセスチャートである。
【図3】 従来技術と先願発明とを比較するプロセスチ
ャートである。
【図4】 本発明のファザー集合体の概略図である。
【符号の説明】
1・・・基板(ガラス、石英など) 2・・・フォトレジスト 3・・・原盤 3S・・原盤集合体 4・・・ファザースタンパー(第1複製) 4S・・ファザー集合体 5・・・マザースタンパー(第2複製) 6・・・サンスタンパー(第3複製) 6S・・サン集合体 7・・・樹脂液又は樹脂又は硬化樹脂 8・・・透明板 9・・・樹脂製マザー(第2複製) 9S・・樹脂製マザー集合体 10・・基板 11・・基板 12・・基板 以上

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横方向に連なった複数の原盤からなる原
    盤集合体を用意する準備工程、前記原盤集合体上に電鋳
    することにより横方向に連なった複数のファザー・スタ
    ンパーからなるファザー集合体を製造する電鋳工程、お
    よび前記集合体を個々のファザー・スタンパーに分離す
    る分離工程とからなることを特徴とするファザー・スタ
    ンパーの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電鋳工程で製造されたフ
    ァザー集合体を用意する準備工程、前記ファザー集合体
    に樹脂を押しつけることにより凹凸の反転した樹脂製マ
    ザー集合体を成形する成形工程、前記マザー集合体に電
    鋳することにより横方向に連なった複数のサン・スタン
    パーからなるサン集合体を製造する電鋳工程、および前
    記サン集合体を個々のサン・スタンパーに分離する分離
    工程とからなることを特徴とするサン・スタンパーの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記原盤が円板状で情報記録媒体用のも
    のであることを特徴とする請求項1又は2記載のスタン
    パーの製造方法。
  4. 【請求項4】 同一基板上に載置された複数のファザー
    ・スタンパーからなるファザー集合体を用意する準備工
    程、前記ファザー集合体に樹脂を押しつけることにより
    凹凸の反転した樹脂製マザー集合体を成形する成形工
    程、前記マザー集合体に電鋳することにより横方向に連
    なった複数のサン・スタンパーからなるサン集合体を製
    造する電鋳工程、および前記サン集合体を個々のサン・
    スタンパーに分離する分離工程とからなることを特徴と
    するサン・スタンパーの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ファザー・スタンパーが円板状で情
    報記録媒体用のものであることを特徴とする請求項4記
    載のサン・スタンパーの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2又は4記載の電鋳工程で得られ
    たサン集合体を、前記準備工程における集合体として用
    いて請求項2記載の工程を繰り返すことにより、サン・
    スタンパーを製造する方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載の方法で製造されたフ
    ァザー・スタンパーまたはサン・スタンパーを用いて樹
    脂又はガラスを射出成形またはプレス成形することによ
    り、樹脂製又はガラス製成形基板を製造する方法。
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