JP2001114694A - う蝕防止剤、口腔用剤および飲食物 - Google Patents
う蝕防止剤、口腔用剤および飲食物Info
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Abstract
防止剤、およびそれを添加してう蝕予防作用を付与した
口腔用剤と飲食物を提供する。 【解決手段】 赤米等、有色素米の玄米または糠を水、
親水性有機溶媒またはこれらの混合物で抽出処理する
と、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用およびプラ
ーク形成抑制作用を有し、それによりう蝕を防止する作
用を有する抽出物が得られる。これを歯磨き、マウスウ
ォッシュ等の口腔用剤、あるいは飲食物に配合する。
Description
カンを合成する酵素・グルコシルトランスフェラーゼの
活性を阻害して虫歯の発生を防ぐ作用があるグルコシル
トランスフェラーゼ阻害剤、口腔内微生物の生育場所と
なるプラークの形成を抑制して歯周病を防ぐ作用がある
プラーク形成抑制剤、ならびにう蝕予防作用を付与した
口腔用剤および飲食物に関するものである。
けでなく、う蝕を起こすことがある家畜や愛玩動物の飼
料または餌も包含する意味で飲食物という。
トレプトコッカス・ミュータンスが産生する酵素・グル
コシルトランスフェラーゼが関与している。すなわち、
口腔内に残った飲食物中のショ糖の一部がグルコシルト
ランスフェラーゼの作用によって水不溶性かつ付着性の
強いグルカンに変化し、それが口腔内微生物と共に歯の
表面に付着してプラーク(歯垢)を形成する。そして、
歯垢内の微生物が食物中の糖を代謝して酸を作り、この
酸が歯のエナメル質を脱灰し侵食するのがう蝕である。
付着した歯垢を歯磨き等を用いて除くだけでなく、口腔
におけるストレプトコッカス・ミュータンスの増殖やグ
ルコシルトランスフェラーゼの作用を阻害することによ
ってグルカンの生成を防止し、ひいてはプラークが生じ
ないようにするのが最も有効である。
ランスフェラーゼ阻害作用を有する物質やプラーク形成
を抑制する物質を含有させることによりう蝕予防作用を
付与した口腔用剤や飲食物が提供されるようになった。
このような用途に適したものとして従来知られているグ
ルコシルトランスフェラーゼ阻害物質は、ムタステイ
ン、生薬タンニン類、エラグ酸、緑茶ポリフェノール、
ウーロン茶抽出物等である。
性が高い天然物を原料とする新規なグルコシルトランス
フェラーゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤、およびそれら
を添加してう蝕予防作用を付与した口腔用剤と飲食物を
提供することにある。
う蝕予防に有効な製剤および飲食物は次のとおりであ
る。
たグルコシルトランスフェラーゼ阻害物質を有効成分と
して含有することを特徴とするグルコシルトランスフェ
ラーゼ阻害剤。
たプラーク形成抑制物質を有効成分として含有すること
を特徴とするプラーク形成抑制剤。
ゼ阻害剤または(および)上記のプラーク形成抑制剤
を含有することを特徴とする口腔用剤。
ゼ阻害剤または(および)上記のプラーク形成抑制剤
を含有することを特徴とするう蝕予防性飲食物。
ることを特徴とするう蝕予防剤。
精すると糠となって剥落する部分)にアントシアニンそ
の他の赤色系色素を含み、それにより玄米が淡赤色〜紫
黒色である米を意味する。高度の搗精を施すと白くなる
ものもあるが、上述のような果皮の着色があることによ
って、現代日本人が主食とする白米(しろごめ)とは明
確に区別されているものである。
また地域によっては、主食であった可能性もあるが、現
代では、日常的にこれを食しているのはアジアのごく一
部の地域にすぎない。しかし、近年その特徴的な色や風
味を現代の食生活にも生かそうとする試みがなされてお
り、その結果、幾つかの新品種も開発されて小規模なが
ら国内でも栽培されるようになった。
示す物質やプラーク形成抑制作用を示す物質は有色素米
の果皮の部分に含まれているので、玄米または糠が抽出
原料となる。抽出溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプパノール、ブタノール等、炭素数1〜4の低
級脂肪族アルコール;1,3−ブチレングリコール、プ
ロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;
アセトン等の低級脂肪族ケトン;水;またはこれらの混
合物を用いることができ、常温または加温状態の溶媒に
抽出原料を浸漬するだけでも効率よく抽出されて来る。
物を除去したのち溶媒を留去し、必要ならばさらに乾燥
する。得られる抽出液濃縮物およびその乾燥物は、ほと
んどの場合、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用と
プラーク形成抑制作用の両方の活性を示す。また、その
活性は、そのままでもグルコシルトランスフェラーゼ阻
害剤あるいはプラーク形成抑制剤として使用可能なほど
強い。しかし、さらに適宜の精製を施して活性を向上さ
せてから利用に供してもよいことはもちろんである。
ゼ阻害剤には、有色素米から抽出されたグルコシルトラ
ンスフェラーゼ阻害物質のほかに、任意の助剤、賦形
剤、溶液として利用に供するための水または有機溶剤等
を含有させることができる。プラーク形成抑制剤の場合
も同様である。
ゼ阻害物質やプラーク形成抑制剤は、口腔用剤に添加し
てその作用を口腔におけるグルカン生成の防止とプラー
ク形成の抑制に利用することができる。添加対象として
適当な口腔用剤の例としては、各種歯磨き類、マウスウ
ォッシュ、トローチ、チューインガム、口腔用パスタ、
歯肉マッサージクリーム、うがい剤、口中清涼剤等があ
る。
ゼ阻害剤やプラーク形成抑制剤の添加により他の口腔用
剤構成成分や口腔用剤製造法が制限されることはなく、
たとえばリン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、不溶
性メタリン酸ナトリウム、アルミノシリケート、無水ケ
イ酸、レジン等の研磨剤;長鎖アルキル硫酸ナトリウ
ム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルジエタノ
ールアマイド、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤;
CMC、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、
カラゲナン、アラビアガム、ポリビニルアルコール等の
粘結剤;ポリエチレングリコール、ソルビトール、グリ
セリン、プロピレングリコール等の粘稠剤;サッカリ
ン、ステビオサイド類、グリチルリチン酸、ソーマチ
ン、アスパルテーム等の甘味剤;デヒドロ酢酸、デヒド
ロ酢酸ナトリウム等の防腐剤;メントール、カルボン、
オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント
油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジンジャー油、アニ
ス油等の香料;各種色素等、口腔用剤製造に通常使用さ
れる原料を製品の種類や用途に応じて任意に選択し、常
法により製造することができる。
コシルトランスフェラーゼ阻害剤を併用してもよく、さ
らに、ストレプトコッカス・ミュータンスに対して有効
な抗菌剤を添加してもよい。任意の抗炎症剤、抗菌剤、
消臭剤等を添加することにより、口腔用剤として一層す
ぐれたものを提供することもできる。添加可能な抗炎症
剤の例としては、アセンヤク、カンゾウ、ウワウルシ、
オウゴン、コウキ、サイコ、サンザシ、シソ、シャクヤ
ク、ソウハクヒ、キョウニン、タイソウ、チョウジ、ト
ウニン、ニクズク、ボタンピ、クワの葉等の抽出物;ア
ズレン、アラントイン、ウルソール酸、オレアノール
酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸またはその誘
導体;トコフェロール、トラネキサム酸等を挙げること
ができ、また、添加可能な抗菌剤の例としては、ゴバイ
シ、サイシン、サンショ、ショウキョウ、ディル、タイ
ム、ローズマリー、油溶性甘草エキス等の抽出物;アス
コルビン酸、ムタスティン、フミン酸、リノール酸、リ
ノレン酸等を挙げることができる。さらに、併用可能な
消臭剤の例としては、アマチャ、ウイキョウ、ウラジロ
ガシ、ケイヒ、コショウ、メース、セージ、シソ、イチ
ョウ、カキ葉、緑茶、ウーロン茶、トウガラシ、タマリ
ンドハスク等の抽出物;ロジン、カキ渋、アクチゾル、
クロロフィリン誘導体、エラグ酸、クロルヘキシジン、
メイラード反応物等を挙げることができる。
トランスフェラーゼ阻害物質およびプラーク形成抑制物
質は、実用濃度では容易に水に溶ける。したがって、こ
れを水性口腔用剤に配合するのに特に困難な点はない。
その好適添加率は活性の強さや添加対象物によって異な
るが、標準的な有色素米抽出物をそのまま虫歯予防チュ
ーインガムに配合する例について述べると、約0.00
1〜5.0重量%が適量であり、特に好ましい配合率は
約0.1〜1.0重量%である。
ンスフェラーゼ阻害物質およびプラーク形成抑制物質が
上述のように水溶性のものであることにより、その作用
は有色素米の糠の状態でも発揮される。したがって、利
用可能範囲は限られるものの有色素米の糠(活性を失わ
ない範囲で加工されたものを含む)もまたう蝕防止のた
めに利用可能である。
ゼ阻害剤、プラーク形成抑制剤およびう蝕防止剤(有色
素米の糠よりなるもの)は、口腔用剤に添加するだけで
なく、飲食物、特にショ糖を含有する飲食物に添加し
て、口腔におけるグルカンおよびプラークの生成防止ひ
いてはう蝕の予防に利用することができる。添加対象飲
食物として適当なものの例には、清涼飲料、菓子、パ
ン、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリー、チ
ョコレート、錠菓、ペットフード等がある。
に1時間浸漬して可溶性成分を抽出する。この処理を2
回行い、得られた抽出液を濃縮乾固して、抽出物を得
る。
華南紫および秋田産の朝紫)、黒米(長野産の黒優
占)、赤米(九州産)、紅米(中国雲南産)を選び、抽
出溶媒として水、70%エタノールまたはエタノールを
用いて上記抽出処理を行なった。参考例として、“しろ
ごめ”(コシヒカリ)の玄米についても同様の抽出処理
を行なった。抽出物の収率は表1のとおりであった。
て、製造実施例1の場合と同様の抽出を行なった。な
お、抽出は糠100gに対して抽出溶媒500mlを用
いて行なった。抽出物の収率は表2のとおりであった。
ール抽出物について、下記の方法でグルコシルトランス
フェラーゼ活性の阻害率を調べた。
を試験管に入れ、試験管を30度に傾けた状態にして、
37℃で20時間静置する。その後、試験管をゆっくり
傾けて反応上清を除き、酵素反応により生成して試験管
に付着したグルカンを水で3回洗浄する。その後水2m
lを加え、超音波処理により上記グルカンを水中に分散
させる。グルカン分散液および調製直後の上記酵素反応
液について、波長550nmの吸光度を測定する。ま
た、コントロールとして、試料水溶液の代わりに水を加
えた場合について同様の操作を行う。測定結果から、下
記の計算式によりグルコシルトランスフェラーゼ活性の
阻害率を算出する。
(A3−A2)〕×100 但し、A0:試料を添加した場合の吸光度;酵素反応開
始前 A1:試料を添加した場合の吸光度;グルカン分散液 A2:コントロール(酵素反応開始前) A3:コントロール(グルカン分散液) 上記試験の結果から、阻害率が50%になる試料濃度を
内挿法により求め、IC50値として表示する(IC
50値が小さいほど酵素活性阻害作用が強い)。その結
果を表3,4に示す。
阻害作用原料米 IC50値(μg/ml) 華南紫 2000 朝紫 2400 黒優占 3200 赤米 2750 紅米 2900 コシヒカリ >4000
害作用原料米 IC50値(μg/ml) 華南紫 2300 朝紫 2500 黒優占 3550 赤米 3100 紅米 2800 コシヒカリ >4000
ール抽出物について、下記の方法でプラーク形成抑制作
用を調べた。
秤量した試験管にショ糖2%を含むブレインハートイン
フュージョンブロス(日水製薬製)5.35mlを加え
る。加熱滅菌処理後、試料溶液0.15mlおよびスト
レプトコッカス・ミュータンス6715の培養液0.5
mlを添加し、37℃で20分間培養を行う。培養終了
後、上清を静かに除き、試験管管壁のプラーク状付着物
をそのまま蒸留水で3回洗浄した後105℃で5時間乾
燥する。最後に試験管ごとに秤量して、管内のプラーク
状付着物の乾燥重量wを求める。別に、空試験として、
試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を用いて上記と同様
の操作を行い、プラーク状付着物の乾燥重量Wを求め
る。測定されたプラーク状付着物の重量wおよびWよ
り、次式によりプラーク形成抑制率を算出する。
制率が50%になる試料溶液の濃度IC50を内挿法に
より求める。その結果は表5,6のとおりであった。
を製造した。 紫米(朝紫)玄米70%エタノール抽出物 120重量部 ラフィノース 172重量部 グリセリン脂肪酸エステル 8重量部
予防作用を有するインスタントティーを製造した。 黒米糠50%エタノール抽出物 300重量部 ラフィノース 290重量部 ウーロン茶水抽出物 100重量部 難消化性デキストリン 810重量部
g、マーガリン125g、食塩5g、炭酸ソーダ25
g、炭酸アンモニウム9g、レシチン6g、全卵75
g、乳酸カルシウム50g、赤米糠50%エタノール抽
出物2g、および水350gを混練してドウを調製し、
以後、常法により延展、成形、焙焼を行なって、虫歯予
防対策がなされたビスケットを製造した。
て加熱し、そこに、ゼラチン80gおよび紅米玄米70
%エタノール抽出物10gを水150gに溶かした溶液
ならびに濃縮レモン果汁8gを混合し、型に流し込んで
冷却することにより、う蝕予防性グミキャンディーを製
造した。
および水あめ14重量部を入れて混合し、さらに砂糖3
5重量部、果糖25重量部、紫米(朝紫)糠の水抽出物
14重量部、ステビア甘味料・マルミロン(丸善製薬株
式会社製品)0.4重量部の混合物を数回に分けて加
え、よく練り合わせた。次いでグリセリン1重量部を加
え、充分混合したのちミキサーから取り出し、ローラー
で圧延して、う蝕予防作用を有するチューインガムを製
造した。
ンスフェラーゼ阻害物質やプラーク形成抑制物質を有効
成分とする本発明のう蝕防止用製剤は、食用の米を原料
とするものであるから安全性が高く、体内に摂取されて
も心配がない。しかも、有色素米の玄米または糠から得
られた抽出物のままでも強い作用を示すので、口腔用剤
や飲食物に添加してう蝕予防作用を付与するのに必要な
添加量がきわめて僅かで済む。したがって、本発明によ
ればう蝕の予防が従来よりも容易になるとともに、有色
素米の高度利用の道が開けることになる。
Claims (5)
- 【請求項1】 有色素米の玄米または糠より抽出された
グルコシルトランスフェラーゼ阻害物質を有効成分とし
て含有することを特徴とするグルコシルトランスフェラ
ーゼ阻害剤。 - 【請求項2】 有色素米の玄米または糠より抽出された
プラーク形成抑制物質を有効成分として含有することを
特徴とするプラーク形成抑制剤。 - 【請求項3】 請求項1記載のグルコシルトランスフェ
ラーゼ阻害剤または(および)請求項2記載のプラーク
形成抑制剤を含有することを特徴とする口腔用剤。 - 【請求項4】 請求項1記載のグルコシルトランスフェ
ラーゼ阻害剤または(および)請求項2記載のプラーク
形成抑制剤を含有することを特徴とするう蝕予防性飲食
物。 - 【請求項5】 有色素米の糠を有効成分として含有する
ことを特徴とするう蝕予防剤。
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