JP2001049931A - 自閉引戸の停止解除装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 検知器と連動して引戸の停止状態を自動的に
解除して引戸を閉鎖するものを提供する。 【解決手段】 出入口に開閉自在に設けられた引戸１を
閉鎖方向に自動閉鎖するための手段を備え、かつ、引戸
１を全開位置で停止させる機構を備えた自閉引戸におい
て、引戸の開閉方向に移動自在に支持され、プッシュス
プリング１１により引戸１の閉鎖方向に向けて押出され
るように付勢されたプッシュロッド９と、プッシュスプ
リング１１の圧縮状態でプッシュロッド９に係脱自在に
係合するラッチ爪１２と、通電時にラッチ爪１２をプッ
シュロッド９から離脱させ、非通電時にラッチ爪１２を
プッシュロッド９との係合位置に保持させる電磁ソレノ
イド１５とを具備してなり、電磁ソレノイド１５が通電
状態になったとき、ラッチ爪１２がプッシュロッド９か
ら離脱してプッシュロッド９をプッシュスプリング１１
により引戸１の閉鎖方向に向けて押出し、このプッシュ
ロッド９の押出動作により全開位置の引戸１を閉鎖方向
に移動するようにした

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、出入口に開閉自在
に設けられた引戸を閉鎖方向に自動閉鎖するための手段
を備え、かつ、引戸を全開位置で停止させる機構を備え
た自閉引戸において、全開位置での引戸の停止状態を自
動的に解除することができる自閉引戸の停止解除装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ビル等において出入口扉として用いられ
る自閉引戸は、レールに吊下げられた引戸を、手動等の
外力で開放するときに何らかの形で自閉力を蓄積し、開
放された引戸から外力を取り除くと、開放時に蓄積した
自閉力で引戸を自動的に閉鎖するように構成されてい
る。その具体例を、図５に基づいて説明する。

【０００３】図５に示すように、引戸１は、上端の左右
両端近傍に２個のドアハンガー２，２’を取付け、この
ドアハンガー２，２’に回転自在に軸支された戸車３，
３’を介してレール４，４’に吊下支持され、レール
４，４’に沿って走行して開閉する。レール４，４’
は、戸先側端部（図中左側端部）に向けて傾斜してお
り、利用者が全閉位置（図中実線に示す位置）にある引
戸１を開いて引戸１から手を離すと、レール４，４’の
傾斜によって引戸１が自動的に閉鎖される。レール４，
４’の戸尻側端部（図中右側端部）には逆傾斜部４ａ，
４ａ’が設けられており、利用者が引戸１を全開位置
（図中１点鎖線に示す位置）まで開くと、戸車３，３’
がレール４，４’の逆傾斜部４ａ，４ａ’に載り上げて
引戸１が停止する。閉鎖時には、引戸１を戸車３，３’
が逆傾斜部４ａ，４ａ’より外れるように閉鎖方向（図
中左方向）に移動すればよい。つまり、引戸１は、通常
の使用時に全開状態にしなければ自動的に閉鎖し、全開
状態にした場合だけは停止する構造になっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述した自閉引戸は、
引戸１を全開位置で停止状態にすることができ、足腰等
が不自由な障害者や老人などの使用に好適であるが、火
災発生時等の非常時に引戸１が全開位置で停止したまま
であると、延焼が拡大したり、火災と同時に発生する有
毒ガスや煙等が入り込む虞れがあるため、このような非
常時には全開位置で停止状態にある引戸１を検知器と連
動して自動的に閉鎖する機構とすることが求められてい
る。

【０００５】そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、火
災発生時等の非常時に検知器からの信号によって引戸の
停止状態を自動的に解除して引戸を閉鎖することができ
る自閉引戸の停止解除装置を提供することを目的として
いる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、出入口に開閉自在に設けられた引戸を閉鎖
方向に自動閉鎖するための手段を備え、かつ、引戸を全
開位置で停止させる機構を備えた自閉引戸において、引
戸の開閉方向に移動自在に支持され、プッシュスプリン
グにより引戸の閉鎖方向に向けて押出されるように付勢
されたプッシュロッドと、前記プッシュスプリングの圧
縮状態で前記プッシュロッドに係脱自在に係合するラッ
チ爪と、通電時に前記ラッチ爪をプッシュロッドから離
脱させ、非通電時に前記ラッチ爪をプッシュロッドとの
係合位置に保持させる電磁ソレノイドとを具備してな
り、前記電磁ソレノイドが通電状態になったとき、前記
ラッチ爪が前記プッシュロッドから離脱して当該プッシ
ュロッドを前記プッシュスプリングにより引戸の閉鎖方
向に向けて押出し、このプッシュロッドの押出動作によ
り全開位置の引戸を閉鎖方向に移動するようにしたもの
である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。

【０００８】図１および図２は、本発明の実施の形態に
係る自閉引戸の停止解除装置を示すものである。尚、図
５と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略す
る。

【０００９】図１および図２において、５は出入口の上
端部に配設された上枠６に固着された断面Ｌ字型のレー
ル支持部材で、その水平壁５ａ上にレール４，４’を固
設している。

【００１０】７はレール支持部材５の垂直壁５ｂの戸尻
側端部に固着された取付ベースで、その上端部の戸先側
端部に一対の支持アーム８を設け、この一対の支持アー
ム８にプッシュロッド９を引戸１の開閉方向に移動自在
に支持している。プッシュロッド９の先端（戸先側端）
には鍔板１０が取付けられ、この鍔板１０と支持アーム
８との間にプッシュロッド９と同軸状にプッシュスプリ
ング１１を圧縮介在し、このプッシュスプリング１１に
よりプッシュロッド９を戸先方向に向けて付勢してい
る。

【００１１】１２は取付ベース７の上端部の戸尻側端部
に枢軸１３を介して回動自在に配設されたラッチ爪で、
プッシュロッド９の後端（戸尻側端）に取付けたエンド
リング１４に係脱自在に係合するようになっている。

【００１２】１５は取付ベース７に配設してあるラッチ
爪１２の下方に固着された電磁ソレノイドで、そのプラ
ンジャー１６の上端部をピン１７を介してラッチ爪１２
に連結するとともに、プランジャー１６をリターンスプ
リング１８によりバネ受１９を介して上方に向けて付勢
している。この電磁ソレノイド１５は、引戸の開閉作動
に支障のないように配線された電源と電気的に接続さ
れ、かつ、火災報知器等の検知器に有線或いは無線によ
り接続され、検知器が異常を検出して所定の制御信号を
出力すると、電源から通電されるようになっている。電
磁ソレノイド１５の非通電時、プランジャー１６がリタ
ーンスプリング１８により上方に押し上げられ、ラッチ
爪１２をプッシュロッド９のエンドリング１４との係合
位置に保持できるようになっており、電磁ソレノイド１
５の通電時、励磁力によりプランジャー１６がリターン
スプリング１８に抗して下方に引き下げられ、ラッチ爪
１２が反時計方向に回動してプッシュロッド９のエンド
リング１４より離脱するようになっている。

【００１３】２０はドアハンガー２’にプッシュロッド
９と対向するように配設されたコ字型の押動部材、２１
は取付ベース７にプッシュロッド９のエンドリング１４
と対向するように配設されたプッシュロッド押出確認用
リミットスイッチ、２２は出入口の戸尻側端部に引戸１
と対向するように配設された戸当たりゴムである。

【００１４】次に、本発明の実施の形態に係る自閉引戸
の停止解除装置の作用について説明する。尚、引戸１は
全開位置で停止されているものとし、電磁ソレノイド１
５への通電は遮断され、プッシュロッド９はプッシュス
プリング１１に抗して戸尻側に押し戻されてエンドリン
グ１４をラッチ爪１２に係合させているものとする。

【００１５】例えば火災が発生して煙や有毒ガスが発生
すると、この煙や有毒ガスを検知器が検出してこの検知
器が出力する所定の制御信号により電磁ソレノイド１５
へ通電される。これにより、電磁ソレノイド１５のプラ
ンジャー１６がリターンスプリング１４に抗して下方に
引き下げられ、ラッチ爪１２が反時計方向に回動してプ
ッシュロッド９のエンドリング１４より離脱する。この
ようにラッチ爪１２がエンドリング１４から離脱する
と、プッシュロッド９が圧縮状態のプッシュスプリング
１１により戸先側に押出され、それに伴ってドアハンガ
ー２’に配設された押動部材１９がプッシュロッド９に
より戸先側に押圧される。これにより、引戸１にレール
４，４’の逆係止部４ａ，４ａ’による停止力を上回る
力が作用し、引戸１は閉鎖方向に移動する。従って、引
戸１の停止状態を解除できる。そして、戸車３，３’が
レール４，４’の逆傾斜部４ａ，４ａ’から離脱する
と、引戸１はレール４，４’の傾斜によって自動的に閉
鎖される。これにより、延焼を阻止したり、火災と同時
に発生する有毒ガスや煙等が入り込むのを防止できる。
尚、上述の非常時において、プッシュロッド９が圧縮状
態のプッシュスプリング１１により戸先側に押出され
と、プッシュロッド９のエンドリング１４によってプッ
シュロッド押出確認用リミットスイッチ２１がオンさ
れ、このリミットスイッチ２１に接続した確認ランプ等
を集中管理室等に設けておくことにより、引戸１の停止
状態の解除を離れた位置から容易に確認できる。

【００１６】上述の非常事態が解除された後は、電磁ソ
レノイド１５の通電を遮断させ、引戸１を全開位置より
もなお開放方向へ押し込むことにより、図１に示す平常
時の状態にリセットできるようになっている。即ち、電
磁ソレノイド１５の通電を遮断すると、そのプランジャ
ー１６がリターンスプリング１８により上方に押し上げ
られ、ラッチ爪１２がプッシュロッド９のエンドリング
１４との係合位置に戻される。この状態において、引戸
１を全開位置まで開くと、それに伴ってプッシュロッド
９がドアハンガー２’に配設された押動部材１９により
プッシュスプリング１１に抗して戸尻側へ押し戻され、
更に、引戸１を戸当りゴム２２を圧縮しながら全開位置
よりもなお開放方向へ押し込むと、プッシュロッド９の
エンドリング１４がラッチ爪１２に係合されて図１に示
す平常時の状態にリセットできる。このように引戸１を
全開位置よりもなお開放方向へ押し込むだけで、容易に
リセットすることができるとともに、反復使用すること
も可能である。

【００１７】次に、本発明の他の実施の形態を図３およ
び図４について説明する。

【００１８】図３は、プッシュロッド９を移動自在に支
持する支持アーム８と、プッシュロッド９の先端に取付
けた鍔板１０との間に、プッシュロッド９と同軸状に円
筒型の戸当りゴム２３を介在しており、引戸１を全開位
置よりもなお開放方向へ押し込むと、支持アーム８と鍔
板１０との間で戸当りゴム２３が圧縮するようになって
いる。

【００１９】図４は、電磁ソレノイド１５のプランジャ
ー１６の上端を斜めに成形してラッチ爪２４を形成し、
このラッチ爪２４にプッシュロッド９の後端に取付けた
エンドリング１４が係止されており、電磁ソレノイド１
５に通電されてプランジャー１６が下方に引き下げられ
ると、ラッチ爪２４がエンドリング１４から外れて引戸
１の停止状態を解除できるようになっている。

【００２０】尚、以上の実施の形態においては、引戸１
を全開位置よりもなお開放方向へ押し込んでリセットす
るようにしているが、必ずしもこの方式である必要はな
く、例えば、手やプルレバー等により直接プッシュロッ
ド９を押し戻してリセットする方式であっても構わな
い。

【００２１】また、以上の実施の形態においては、レー
ル４，４’を傾斜状に配置して引戸１から手を離せば引
戸１が自動的に閉鎖するようにしているが、必ずしもこ
の方式である必要はなく、例えば、重りの自重を利用し
て引戸１を自動的に閉鎖する方式や、渦巻きバネや引っ
張りバネの弾性復元力を利用して引戸１を自動的に閉鎖
する方式であっても構わない。

【００２２】更に、以上の実施の形態においては、戸車
３，３’をレール４，４’の逆傾斜部４ａ，４ａ’に載
り上げて引戸１を全開位置で停止するようにしている
が、必ずしもこの方式である必要はなく、例えば、引戸
１に被係止具を付設し、引戸１の全開状態で被係止具に
係脱自在に係合する板バネストッパーで引戸１を全開位
置で停止する方式であっても構わない。

【００２３】

【発明の効果】本発明の自閉引戸の停止解除装置は、以
上のように構成してあるので、火災発生時等の非常時に
検知器からの信号によって全開位置での引戸の停止状態
を自動的に解除して引戸を閉鎖することができ、これに
よって延焼を阻止したり、火災と同時に発生する有毒ガ
スや煙等が入り込むのを防止できて安全であるという効
果を有する。しかも、簡単な操作でリセットすることが
できるとともに、反復使用することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自閉引戸の停止解除装置の要部正面図
である。

【図２】本発明の自閉引戸の停止解除装置の要部平面図
である。

【図３】本発明の自閉引戸の停止解除装置の他の実施の
形態の要部正面図である。

【図４】本発明の自閉引戸の停止解除装置の他の実施の
形態の要部正面図である。

【図５】自閉引戸の概略全体図である。

【符号の説明】

１ 引戸 ２，２’ ドアハンガー ３，３’ 戸車 ４，４’ レール ４ａ，４ａ’ 逆傾斜部 ７ 取付ベース ９ プッシュロッド １１ プッシュスプリング １２ ラッチ爪 １４ エンドリング １５ 電磁ソレノイド １６ プランジャー １８ リターンスプリング ２０ 押動部材 ２２ 戸当りゴム ２３ 戸当りゴム ２４ ラッチ爪

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 出入口に開閉自在に設けられた引戸を閉
   鎖方向に自動閉鎖するための手段を備え、かつ、引戸を
   全開位置で停止させる機構を備えた自閉引戸において、 引戸の開閉方向に移動自在に支持され、プッシュスプリ
   ングにより引戸の閉鎖方向に向けて押出されるように付
   勢されたプッシュロッドと、 前記プッシュスプリングの圧縮状態で前記プッシュロッ
   ドに係脱自在に係合するラッチ爪と、 通電時に前記ラッチ爪を前記プッシュロッドから離脱さ
   せ、非通電時に前記ラッチ爪を前記プッシュロッドとの
   係合位置に保持させる電磁ソレノイドとを具備してな
   り、 前記電磁ソレノイドが通電状態になったとき、前記ラッ
   チ爪が前記プッシュロッドから離脱して当該プッシュロ
   ッドを前記プッシュスプリングにより引戸の閉鎖方向に
   向けて押出し、このプッシュロッドの押出動作により全
   開位置の引戸を閉鎖方向に移動するようにしたことを特
   徴とする自閉引戸の停止解除装置。