JP2001041309A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JP2001041309A
JP2001041309A JP11213069A JP21306999A JP2001041309A JP 2001041309 A JP2001041309 A JP 2001041309A JP 11213069 A JP11213069 A JP 11213069A JP 21306999 A JP21306999 A JP 21306999A JP 2001041309 A JP2001041309 A JP 2001041309A
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toroidal
output shaft
gear
hydraulic control
planetary gear
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JP11213069A
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English (en)
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Hidenao Taketomi
秀直 武富
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧制御機構51により変速制御されるトロ
イダル変速機構1と、遊星歯車機構2とを備えたギヤー
ドニュートラル発進方式のトロイダル型無段変速機に対
して、ギヤードニュートラル状態に確実に設定して前後
進のフェールセーフを達成しつつ、変速範囲を出来る限
り広くして燃費の改善を図る。 【解決手段】 油圧制御機構51に第1及び第2の油圧
制御弁60,70を設け、この第1の油圧制御弁60
に、ローモード時の前進側とハイモード時のロー側との
レシオ範囲でのみ変速制御を行い得るようにスリーブ6
2の移動を規制する規制部材66を設け、第2の油圧制
御弁70に、ハイモード時のハイ側とローモード時の後
進側とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得るようにス
リーブ72の移動を規制する規制部材76を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段
変速機に関し、特にギヤードニュートラル発進方式のも
のに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ギヤードニュートラル発進方
式のトロイダル型無段変速機は知られており、このもの
は、一般に、トロイダル変速機構と遊星歯車機構とを備
えている。このトロイダル変速機構は、エンジン出力軸
に連結された入力ディスクと、該入力ディスクに対して
対向配置された出力ディスクと、該入出力ディスク間に
傾斜可能に摩擦接触されるパワーローラとを有してお
り、油圧制御機構によりこのパワーローラが入出力ディ
スク間で無段階に傾斜されることにより、入力ディスク
の回転を無段階に変速して出力ディスクに伝達するよう
になっている。
【0003】上記油圧制御機構は、例えば特公平7−1
13410号公報に示されているように、ケーシング内
に設けられかつステップモータにより駆動されるスリー
ブと、該スリーブ内に嵌装され、パワーローラの傾斜量
をフィードバックするように構成されたスプールとを有
する油圧制御弁(3層弁)を備えている。そして、この
油圧制御弁は、ピストンによって画成された2室を有す
る油圧アクチュエータの該2室にスリーブの移動により
互いに異なる制御油圧をそれぞれ供給することで上記ピ
ストンを駆動し、このピストンの駆動によりパワーロー
ラを所定量だけ傾斜させるようになっている。尚、上記
公報では、トロイダル変速機構への入力回転が前進時と
後進時とで逆転する場合に、2つの油圧制御弁を設けて
これらを前進時と後進時とで使い分けるようにしてい
る。
【0004】一方、上記遊星歯車機構は、太陽歯車と、
該太陽歯車と噛み合って太陽歯車の周囲を公転する遊星
歯車と、該遊星歯車を支持しかつ遊星歯車の公転に伴っ
て回転するキャリアと、遊星歯車と噛み合う内歯歯車と
により構成され、例えば、この太陽歯車は上記トロイダ
ル変速機構の出力ディスクに連結され、キャリアは第1
のクラッチを介して上記エンジン出力軸に連結され、内
歯歯車は変速機出力軸に連結される。また、上記太陽歯
車(出力ディスク)と内歯歯車(変速機出力軸)とは、
第2のクラッチにより回転一体に締結されるようになっ
ている。
【0005】そして、ローモード時には、上記第1のク
ラッチを締結すると共に、上記第2のクラッチを開放す
ることにより、エンジン出力をトロイダル変速機構と遊
星歯車機構とを介して変速機出力軸に伝達する一方、ハ
イモード時には、上記第1のクラッチを解放すると共
に、上記第2のクラッチを締結することにより、エンジ
ン出力をトロイダル変速機構のみを介して変速機出力軸
に伝達するように構成されている。
【0006】また、上記ローモード時には、上記トロイ
ダル変速機構の変速比を制御することにより、前進、後
進及びギヤードニュートラル状態が達成されるようにな
っている。つまり、キャリアはエンジン出力軸により一
定の回転速度で回転する一方、太陽歯車はトロイダル変
速機構により変速された回転速度で回転し、この太陽歯
車の回転速度が変化することにより、内歯歯車(変速機
出力軸)の回転速度が前進側から後進側まで連続的に変
化し、その途中に回転速度が0になる点(ギヤードニュ
ートラル点)が存在する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
にギヤードニュートラル点が存在するものでは、ギヤー
ドニュートラル状態に確実に設定して運転者が意図しな
い前後進が起こらないようにするためには、油圧制御機
構によるトロイダル変速機構の変速制御を正確に行う必
要がある。しかし、油圧制御弁のステップモータの脱調
やセンサ等の故障が発生する可能性があり、ギヤードニ
ュートラル状態を確実に保証することは困難である。こ
のことは、上記公報のように単に2つの油圧制御弁を設
けて前進時と後進時とで使い分けるようにしても同じで
ある。
【0008】そこで、前進用及び後進用の2つの油圧制
御弁に、そのスリーブをギヤードニュートラル点に対応
する部分で強制的に停止させるストッパをそれぞれ設け
ることが考えられる。しかしながら、単にストッパを設
けるのみでは、パワーローラの傾斜量が制限されるた
め、トロイダル変速機構により変速可能な範囲をフルに
使用することができず、変速範囲が狭くなってしまう。
このため、特にハイモードでの最大増速比が小さくな
り、燃費が悪化するという問題がある。
【0009】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記のようなギヤード
ニュートラル発進方式のトロイダル型無段変速機に対し
て、油圧制御機構に工夫を凝らすことによって、ギヤー
ドニュートラル状態に確実に設定して前後進のフェール
セーフを達成しつつ、変速範囲を出来る限り広くして燃
費の改善を図れるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、油圧制御機構を、第1の油
圧制御弁と第2の油圧制御弁とで構成し、第1の油圧制
御弁に、ローモード時の前進側とハイモード時のロー側
とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得るように制御油
圧を規制する規制部を設ける一方、第2の油圧制御弁
に、ハイモード時のハイ側とローモード時の後進側との
レシオ範囲でのみ変速制御を行い得るように制御油圧を
規制する規制部を設けるようにした。
【0011】具体的には、請求項1の発明では、エンジ
ン出力軸に連結された入力ディスクと、該入力ディスク
に対して対向配置された出力ディスクと、該入出力ディ
スク間に傾斜可能に摩擦接触されるパワーローラとを有
するトロイダル変速機構と、上記トロイダル変速機構の
パワーローラを所定の傾斜位置に駆動して該トロイダル
変速機構の変速比を制御する油圧制御機構と、太陽歯車
と、該太陽歯車と噛み合って太陽歯車の周囲を公転する
遊星歯車と、該遊星歯車を支持しかつ遊星歯車の公転に
伴って回転するキャリアと、遊星歯車と噛み合う内歯歯
車とにより構成され、上記太陽歯車、キャリア及び内歯
歯車のうちの2つの構成要素が上記エンジン出力軸に対
して上記トロイダル変速機構を介した状態と介さない状
態とでそれぞれ連結され、残りの1つの構成要素が変速
機出力軸に連結される遊星歯車機構とを備え、ローモー
ド時には、エンジン出力を上記トロイダル変速機構と遊
星歯車機構とを介して上記変速機出力軸に伝達する一
方、ハイモード時には、エンジン出力を上記トロイダル
変速機構のみを介して上記変速機出力軸に伝達するよう
に構成され、上記ローモード時に上記トロイダル変速機
構の変速比を制御することにより、前進、後進及びギヤ
ードニュートラル状態を達成するギヤードニュートラル
発進方式のトロイダル型無段変速機を対象とする。
【0012】そして、上記油圧制御機構は、ローモード
時の前進側とハイモード時のロー側とのレシオ範囲での
み変速制御を行い得るように制御油圧を規制する規制部
を有する第1の油圧制御弁と、ハイモード時のハイ側と
ローモード時の後進側とのレシオ範囲でのみ変速制御を
行い得るように制御油圧を規制する規制部を有する第2
の油圧制御弁とを備えているものとする。
【0013】上記の構成により、第1及び第2の油圧制
御弁の各規制部によりギヤードニュートラル状態に確実
に設定することができる。一方、第1の油圧制御弁によ
る制御範囲はその規制部により制限されてハイモード時
ではロー側のレシオ範囲でしか変速制御は行えないが、
ハイモード時のハイ側のレシオ範囲は、後進側を制御す
る第2の油圧制御弁により変速制御を行うので、トロイ
ダル変速機構により変速可能な範囲をフルに使用するこ
とができる。よって、前後進のフェールセーフを達成し
つつ、燃費の改善を図ることができる。
【0014】請求項2の発明では、請求項1の発明にお
いて、第1及び第2の油圧制御弁は共に3層弁からなる
ものとする。
【0015】このことにより、パワーローラの傾斜量を
フィードバックすることができ、トロイダル変速機構の
変速制御に最適な油圧制御弁が得られる。
【0016】請求項3の発明では、請求項2の発明にお
いて、エンジン出力軸と遊星歯車機構において該エンジ
ン出力軸に対してトロイダル変速機構を介さないで連結
される構成要素とが、圧力作動式のクラッチにより連結
されるように構成され、ハイモード時のロー側からハイ
側への切換時に、上記トロイダル変速機構の油圧制御経
路を第1の油圧制御弁から第2の油圧制御弁に切り換え
ると共に、上記クラッチの制御経路中の作動圧をドレー
ンするように構成されているものとする。
【0017】すなわち、ハイモード時のロー側では、ロ
ーモードへの切換えに備えてクラッチの制御経路中の作
動圧を保持しておき、直ぐにクラッチを作動できるよう
にしておく必要があるのに対して、ハイモード時のハイ
側では、その必要はなく、逆に、クラッチに上記作動圧
を供給するためのソレノイド等に異常が生じてクラッチ
が作動すると、後進してしまう可能性がある。しかし、
この発明では、ハイモード時のハイ側では、クラッチの
制御経路中の作動圧がドレーンされるので、クラッチが
誤作動してローモードになることはなく、後進側へ誤変
速するのを確実に防止することができる。
【0018】請求項4の発明では、請求項2の発明にお
いて、エンジン出力軸と遊星歯車機構において該エンジ
ン出力軸に対してトロイダル変速機構を介さないで連結
される構成要素とが、圧力作動式のクラッチにより連結
されるように構成され、前進時に後進が選択されたとき
に、該前進時の車速が所定値以下となるまで上記クラッ
チの制御経路中の作動圧をドレーンするように構成され
ているものとする。
【0019】このことで、所定値よりも大きい車速で前
進しているときに運転者がセレクトレバーで後進を選択
してもクラッチが作動せず、後進状態になることはな
い。この結果、運転者の誤操作による変速機の損傷を防
止することができる。
【0020】請求項5の発明では、エンジン出力軸に連
結された入力ディスクと、該入力ディスクに対して対向
配置された出力ディスクと、該入出力ディスク間に傾斜
可能に摩擦接触されるパワーローラとを有するトロイダ
ル変速機構と、上記トロイダル変速機構のパワーローラ
を所定の傾斜位置に駆動して該トロイダル変速機構の変
速比を制御する油圧制御機構と、太陽歯車と、該太陽歯
車と噛み合って太陽歯車の周囲を公転する遊星歯車と、
該遊星歯車を支持しかつ遊星歯車の公転に伴って回転す
るキャリアと、遊星歯車と噛み合う内歯歯車とにより構
成され、上記太陽歯車及び内歯歯車の一方が上記エンジ
ン出力軸に対して上記トロイダル変速機構を介した状態
で連結されかつ他方が変速機出力軸に連結され、上記キ
ャリアが上記エンジン出力軸に対して上記トロイダル変
速機構を介さないで連結される遊星歯車機構とを備え、
ローモード時には、エンジン出力を上記トロイダル変速
機構と遊星歯車機構とを介して上記変速機出力軸に伝達
する一方、ハイモード時には、エンジン出力を上記トロ
イダル変速機構のみを介して上記変速機出力軸に伝達す
るように構成され、上記ローモード時に上記トロイダル
変速機構の変速比を制御することにより、ギヤードニュ
ートラル状態を達成するギヤードニュートラル発進方式
のトロイダル型無段変速機を対象とする。
【0021】そして、上記遊星歯車機構の各歯車のギヤ
比が、上記トロイダル変速機構の最大変速点がギヤード
ニュートラル点となるように設定され、上記遊星歯車機
構のキャリアを回転しないように固定するブレーキを備
えているものとする。
【0022】この発明により、油圧制御弁に規制部を設
けなくてもその油圧制御弁のスリーブを一方の端まで移
動させれば、ギヤードニュートラル状態に確実に設定す
ることができ、しかも、変速範囲を広く取ることができ
る。一方、遊星歯車機構のキャリアをブレーキにより回
転しないように固定すれば、太陽歯車と内歯歯車とは常
に互いに逆方向に回転するので、容易に後進状態にする
ことができる。よって、請求項1の発明と同様の作用効
果が得られると共に、1つの油圧制御弁により前進及び
後進の変速制御が行え、規制部も不要であるので、コス
トを低減化することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は、本発明の
実施形態1に係るトロイダル型無段変速機の概略構成を
示し、この変速機は、トロイダル変速機構1と遊星歯車
機構2とを備えている。このトロイダル変速機構1は、
同図の左右方向に延びるエンジン出力軸5(エンジン
は、図示は省略するが、エンジン出力軸5の右側端に設
けられている)に連結された2つの入力ディスク6,6
と、該両入力ディスク6,6に対してそれぞれ対向配置
された出力ディスク7,7とを有している。この各入出
力ディスク6,7の対向面はトロイド曲面に形成され、
この各入出力ディスク6,7の対向面間には、傾斜可能
に摩擦接触される2つのパワーローラ8,8がエンジン
出力軸5の軸心に対して対称に配設されている。
【0024】上記両入力ディスク6,6は、上記両出力
ディスク7,7に対してエンジン出力軸5の軸方向両端
側に配置されていて、不図示のボールスプラインを介し
てエンジン出力軸5に対して、回転方向に係止されかつ
軸方向に滑らかに移動可能に取り付けられている。そし
て、エンジン出力軸5において左側の入力ディスク6の
左側にはローディングカム装置11が設けられ、このロ
ーディングカム装置11は、エンジン出力軸5よりエン
ジン回転が入力されて、この入力トルクに応じてエンジ
ン出力軸5に沿った方向の押圧力を発生させるようにな
っている。尚、図示は省略するが、右側の入力ディスク
6の右側には、エンジン出力軸5との間に皿ばねが設け
られ、上記ローディングカム装置11により発生した押
圧力は、左側の入力ディスク6に作用すると共に、上記
エンジン出力軸5及び皿ばねを介して右側の入力ディス
ク6にも作用し、同様に、皿ばねの押圧力も両入力ディ
スク6,6に作用するようになっている。
【0025】一方、上記各出力ディスク7は、エンジン
出力軸5に対して相対回転可能に嵌合されていて、上記
各入力ディスク6の対向面とは反対側面で互いに一体的
に結合されていると共に、外周面で第1出力ギヤ15と
回転一体に結合されている。この第1出力ギヤは、第2
出力ギヤ16と噛み合い、このことで、各入力ディスク
6から各パワーローラ8を介して各出力ディスク7に伝
達された回転力は第2出力ギヤ16に伝達される。
【0026】上記遊星歯車機構2は、太陽歯車21と、
該太陽歯車21と噛み合って太陽歯車21の周囲を公転
する複数の遊星歯車22,22,…と、該各遊星歯車2
2を支持しかつ遊星歯車22の公転に伴って回転するキ
ャリア23と、各遊星歯車22と噛み合う内歯歯車24
とにより構成されている。この内歯歯車24は、変速機
出力軸28に回転一体に設けた連結部材27に連結され
ている。上記太陽歯車21は上記第2出力ギヤ16に連
結され、この第2出力ギヤ16は上記変速機出力軸28
に対して相対回転可能に嵌合されている。つまり、太陽
歯車21は、エンジン出力軸5に対してトロイダル変速
機構1を介した状態で連結されていることになる。一
方、上記キャリア23は、エンジン出力軸5に対してト
ロイダル変速機構1を介さないで連結されるようになっ
ている。すなわち、エンジン出力軸5の左側端部には第
1伝達ギヤ30が回転一体に設けられ、この第1伝達ギ
ヤ30には第2伝達ギヤ31が噛み合うようになされ、
この第2伝達ギヤ31には、上記変速機出力軸28に対
して相対回転可能に嵌合された第3伝達ギヤ32が噛み
合うようになされている。そして、この第3伝達ギヤ3
2と上記キャリア23との間には、締結及び開放自在な
油圧作動式の第1のクラッチ41が設けられており、こ
の第1のクラッチ41の作動により第3伝達ギヤ32と
キャリア23とが連結されて一体的に回転するようにな
っている。
【0027】上記第2出力ギヤ16と変速機出力軸28
との間には、締結及び開放自在な油圧作動式の第2のク
ラッチ42が設けられており、この第2のクラッチ42
が締結されると、第2出力ギヤ16(太陽歯車21)と
変速機出力軸28(内歯歯車24)とが連結されて一体
的に回転することになる。
【0028】そして、ローモード時には、後述の如く上
記第1のクラッチ41を締結しかつ上記第2のクラッチ
42を開放するようになっており、このことで、エンジ
ン出力軸5の回転は、トロイダル変速機構1並びに第1
及び第2出力ギヤ15,16を介して遊星歯車機構2の
太陽歯車21に伝達されると共に、第1〜第3伝達ギヤ
30〜32を介してキャリア23に伝達され、この太陽
歯車21とキャリア23との回転によって内歯歯車24
が回転し、この内歯歯車24の回転が連結部材27を介
して変速機出力軸28に伝達されることになる。つま
り、ローモード時には、エンジン出力をトロイダル変速
機構1と遊星歯車機構2とを介して変速機出力軸28に
伝達するように構成されている。
【0029】一方、ハイモード時には、後述の如く第1
のクラッチ41を解放しかつ第2のクラッチ42を締結
するようになっており、このことで、エンジン出力軸5
の回転は、トロイダル変速機構1並びに第1及び第2出
力ギヤ15,16を介して変速機出力軸28に伝達され
ることになる。つまり、ハイモード時には、エンジン出
力をトロイダル変速機構1のみを介して変速機出力軸2
8に伝達するように構成されている。
【0030】また、上記ローモード時には、後述の如く
上記トロイダル変速機構1の変速比を制御することによ
り、前進、後進及びギヤードニュートラル状態が達成さ
れるようになっている。つまり、図3の遊星速度線図に
示すように、キャリア23はエンジン出力軸5と同様に
一定の回転速度N0で回転する一方、太陽歯車21(第
2出力ギヤ16)はトロイダル変速機構1により変速さ
れた回転速度(N0〜N2)で回転し、この太陽歯車2
1の回転速度がN0からN2へと大きくなることによ
り、内歯歯車24(変速機出力軸28)の回転速度がN
0(前進)から後進側まで連続的に変化し、その途中に
回転速度が0になる点(図3のGN点:ギヤードニュー
トラル点という)が存在する(このときの太陽歯車21
の回転速度をN1とする)。尚、図3中、Xは、(内歯
歯車24の歯数)/(太陽歯車21の歯数)であり、X
=(N1−N0)/N0となる。
【0031】上記トロイダル変速機構1の各パワーロー
ラ8は、図2に示すように、油圧制御機構51により各
入出力ディスク6,7間で無段階に傾斜され、このこと
で、各入力ディスク6の回転を無段階に変速して各出力
ディスク7に伝達し、上記遊星歯車機構2の太陽歯車2
1の回転速度をN0〜N2の任意の値に設定することが
できるようになっている。
【0032】上記油圧制御機構51は、上記各パワーロ
ーラ8にそれぞれ対応して設けられた油圧アクチュエー
タ52を備えている。この各油圧アクチュエータ52
は、ピストン53によって上側室54と下側室55とが
画成されてなり、この上側室54及び下側室55に、後
述の第1及び第2の油圧制御弁60,70のいずれか一
方から互いに異なる制御油圧がそれぞれ供給されること
で、ピストン53が上下移動するように構成されてい
る。このピストン53には、該ピストン53と共に上下
移動する回転軸56が設けられている。そして、上記各
パワーローラ8は、上記各回転軸56に偏心軸57を介
して回転自在に装着され、該各回転軸56の上下移動に
より各パワーローラ8が傾斜するようになっている。こ
のとき、上記各回転軸56は、該各回転軸56の上下移
動による各パワーローラ8の傾斜の際に回転するように
なっており、このことで、各パワーローラ8の傾斜量
(傾転角)は、各油圧アクチュエータ52の稼働量(回
転軸56の上下移動量)、延いては回転軸56の回転量
によって決定されることになる。尚、図1で左側の2つ
のパワーローラ8,8同士は互いに逆方向に同じ量だけ
傾斜し、右側の2つのパワーローラ8,8同士も互いに
逆方向に同じ量だけ傾斜すると共に、左側の出力ディス
ク7と右側の出力ディスク7とが同じ回転速度になるよ
うになされている。
【0033】上記各パワーローラ8の傾斜量は、各入出
力ディスク6,7の回転速度が同じになるときを基準
(0)にすると、−α〜+β(出力ディスク7が入力デ
ィスク6に対して増速となる側をマイナス、減速となる
側をプラスとしており、この実施形態1では|−α|>
|+β|としている)となり、この傾斜量が−αのとき
には、上記第2出力ギヤ16(遊星歯車機構2の太陽歯
車21)の回転速度がN2となり、+βのときにはN0
となる。また、第2出力ギヤ16の回転速度がN1(ギ
ヤードニュートラル点に対応)となるときの傾斜量は、
−γ(>−α)に設定されている。尚、以下の説明にお
いて、各パワーローラ8の傾斜量の大小をいうときは、
絶対値ではなくプラス及びマイナスを含めていうものと
する。
【0034】そして、上記ハイモード時において、上記
各パワーローラ8の傾斜量を−αから+βまで大きくし
ていくと、第2出力ギヤ16の回転速度、つまり変速機
出力軸28の回転速度がN2からN0へと小さくなり、
傾斜量が+βのときにローモードに切り換えて、今度は
傾斜量を逆に+βから−γへと小さくしていくと、第2
出力ギヤ16の回転速度、つまり太陽歯車21の回転速
度がN0からN2へと大きくなり、この結果、内歯歯車
24の回転速度、つまり変速機出力軸28の回転速度が
N0から0へと小さくなる。そして、ローモードのまま
傾斜量をさらに−γから−αへと小さくしていくと、変
速機出力軸28は逆方向に回転して後進すると共に、そ
の後進速度が大きくなる。
【0035】上記油圧制御機構51は、さらに第1及び
第2の油圧制御弁60,70と、この両油圧制御弁6
0,70のいずれか一方を選択して該選択した方から上
記各油圧アクチュエータ52の上側室54及び下側室5
5に制御油圧を供給するように構成された切換弁80
と、運転手が操作可能なセレクトレバーに連動して軸方
向に移動するスプール91aを有するマニュアルバルブ
91と、第1及び第2シフトバルブ92,93とを備え
ている。
【0036】上記第1及び第2の油圧制御弁60,70
は同じものであって、3層弁からなっている。すなわ
ち、この第1及び第2の油圧制御弁60,70は、略円
筒状のケーシング61,71と、該ケーシング61,7
1内に軸方向に往復移動可能に設けられたスリーブ6
2,72と、該スリーブ62,72内にスリーブ62,
72に対して軸方向に往復移動可能に設けられたスプー
ル63,73とを有している。上記スリーブ62,72
の左側端部の内周部は、ステップモータ64,74によ
り回転駆動される駆動ロッド65,75と螺合され、該
左側端部の外周部には、上記ケーシング61,71の内
周面に設けられた溝部61a,71aと係合する係合突
部62a,72aが設けられている。このことで、上記
駆動ロッド65,75がステップモータ64,74によ
り回転すると、スリーブ62,72は回転することなく
軸方向に移動できるようになっている。
【0037】上記スプール63,73の右側端部には、
図示しない連動部材の一端部と係合する切欠き部63
a,73aが設けられ、この連動部材の他端部は上記4
つの回転軸56,56,…のうちの1つと連結され、こ
の回転軸56の上下方向の移動量、つまり各パワーロー
ラ8の傾斜量がフィードバックされるようになってい
る。
【0038】また、上記スリーブ62,72には、ライ
ン圧が導入されるライン圧導入ポート62b,72b
と、スリーブ62,72のスプール63,73に対する
移動に伴って、このライン圧導入ポート62b,72b
からライン圧を配分して導出する第1導出ポート62
c,72c及び第2導出ポート62d,72dとを有
し、安定状態にあるときにはライン圧は第1導出ポート
62c,72cと第2導出ポート62d,72dとに均
等に配分されている。この第1導出ポート62c,72
cは上記切換弁80の第1及び第2導入ポート80b,
80cにそれぞれ接続され、上記第2導出ポート62
d,72dは切換弁80の第3及び第4導入ポート80
d,80eにそれぞれ接続されている。
【0039】上記切換弁80には、上記第1及び第2導
入ポート80b,80cのいずれか一方と連通する第1
導出ポート80fと、上記第3及び第4導入ポート80
d,80eのいずれか一方と連通する第2導出ポート8
0gとが設けられている。この切換弁80の第1導出ポ
ート80fは第1出力ライン81を介して上記各油圧ア
クチュエータ52の上側室54及び下側室55のいずれ
か一方に接続され、第2導出ポート80gは第2出力ラ
イン82を介して他方に接続されている。尚、図2で
は、第1及び第2出力ライン81,82は1つの油圧ア
クチュエータ52のみに接続しているが、実際には途中
で4つに分岐されて、4つの油圧アクチュエータ52,
52,…全てに接続される。また、同図では、第1出力
ライン81は油圧アクチュエータ52の上側室54に、
第2出力ライン82は下側室55にそれぞれ接続されて
いるが、この接続関係は、互いに逆方向に傾斜される2
つのパワーローラ8,8にそれぞれ対応した2つの油圧
アクチュエータ52,52同士では逆になる。
【0040】上記切換弁80は、上記第1の油圧制御弁
60がローモード時の前進側とハイモード時のロー側と
のレシオ範囲でのみ変速制御を行い、上記第2の油圧制
御弁70がハイモード時のハイ側とローモード時の後進
側とのレシオ範囲でのみ変速制御を行うように切り換え
るものであり、図2の状態では、スプール80aが図示
しないばねで右側に寄っていて第1及び第2導出ポート
80f,80gが第1及び第3導入ポート80b,80
dとそれぞれ連通した状態にあり、第1の油圧制御弁6
0により上記各パワーローラ8の傾斜量を制御できる状
態になっている。一方、切換弁80に設けられた制御ポ
ート80hに、後述の如くライン圧が導入されると、該
切換弁80のスプール80aが左側に移動して第1及び
第2導出ポート80f,80gが第2及び第4導入ポー
ト80c,80eとそれぞれ連通した状態となり、第2
の油圧制御弁70により各パワーローラ8の傾斜量を制
御できる状態になる。
【0041】そして、上記第1の油圧制御弁60におけ
るケーシング61内周面の溝部61aには、上記各パワ
ーローラ8の傾斜量を−γ〜+βの範囲にしか設定する
ことができないようにスリーブ62の移動を規制する規
制部材66が設けられている。つまり、各パワーローラ
8の傾斜量を−γよりも小さくしようとしてもスリーブ
62の係合突部62aが上記規制部材66に当接してそ
れ以上右方向に移動することができないために制御油圧
が規制され、ローモード時には前進側の制御しかでき
ず、ハイモード時にはロー側の制御しかできないように
なっている。
【0042】一方、第2の油圧制御弁70におけるスリ
ーブ72とステップモータ74との間には、上記各パワ
ーローラ8の傾斜量を−α〜−γの範囲にしか設定する
ことができないようにスリーブ72の移動を規制する規
制部材76が設けられている。つまり、各パワーローラ
8の傾斜量を−γよりも大きくしようとしてもスリーブ
72が上記規制部材76に当接してそれ以上左方向に移
動することができないために制御油圧が規制され、ロー
モード時には後進側の制御しかできず、ハイモード時に
はハイ側の制御しかできないようになっている。
【0043】上記ライン圧は、メインライン85におい
て油圧ポンプ86から吐出された作動油の圧力をレギュ
レータバルブ87により所定値に調整したものである。
このレギュレータバルブ87には、上記各パワーローラ
8等の潤滑用ライン88も接続されており、作動油が各
パワーローラ8等にも供給されるようになっている。
尚、第1及び第2の油圧制御弁60,70のスリーブ6
2,72において第1導出ポート62c,72cよりも
右側部分及び第2導出ポート62d,72dよりも左側
部分には、コントロールバルブ90により圧力がかなり
低目に調整されたリリーフ圧が導入されるリリーフ圧導
入ポート62e,72eが設けられている。
【0044】上記ライン圧は、上記マニュアルバルブ9
1のライン圧導入ポート91bにも供給されている。こ
のライン圧導入ポート91bは、セレクトレバーがニュ
ートラル(Nレンジ)又はパーキング(Pレンジ)に設
定された状態では、該ライン圧導入ポート91bの軸方
向両側に設けた第1及び第2導出ポート91c,91d
のどちらとも連通せず、前進(Dレンジ)に設定された
状態では、第1導出ポート91cのみと連通し、後進
(Rレンジ)に設定された状態では、第2導出ポート9
1dのみと連通するように構成されている。
【0045】上記マニュアルバルブ91の第1導出ポー
ト91cは、上記第1シフトバルブ92の第1導入ポー
ト92bに接続され、マニュアルバルブ91の第2導出
ポート91dは、第1シフトバルブ92の第2導入ポー
ト92cと上記第2シフトバルブ93の第4導入ポート
93e及び制御ポート93hとに接続されている。この
第2シフトバルブ93の制御ポート93hにライン圧が
供給されると、不図示のばねで右側に寄せられていたス
プール93aが左側に移動するようになっている。ま
た、第1シフトバルブ92の第1〜第3導出ポート92
d,92e,92fは、第2シフトバルブ93の第3導
入ポート93d、第1導入ポート93b及び第2導入ポ
ート93cとそれぞれ接続されている。さらに、第1シ
フトバルブの92の制御ポート92gには減圧ライン9
5が接続され、この減圧ライン95にはON/OFFソ
レノイド96が設けられている。そして、レデューシン
グバルブ97によりライン圧よりも所定量だけ低くされ
た一定減圧の作動油がこのON/OFFソレノイド96
のところまで供給されており、このON/OFFソレノ
イド96がON状態になると、上記一定減圧が第1シフ
トバルブ92の制御ポート92gに供給されて、不図示
のばねで左側に寄せられていたスプール92aが右側に
移動する一方、OFF状態のときには上記一定減圧が制
御ポート92gには供給されないようなっている。
【0046】上記第2シフトバルブ93の第2導出ポー
ト93gは、上記切換弁80の制御ポート80hに接続
されており、後述の如く上記マニュアルバルブ91並び
に第1及び第2シフトバルブ92,93を介して切換弁
80の制御ポート80hにライン圧が供給されるように
なっている。
【0047】上記第2シフトバルブ93の第1導出ポー
ト93fは、第1クラッチ制御ライン101を介して上
記第1のクラッチ41と接続されている。この第1クラ
ッチ制御ライン101の途中には第1デューティソレノ
イド102が設けられており、この第1デューティソレ
ノイド102のところまでライン圧が供給されていて第
1デューティソレノイド102が作動(ローモードのと
きに作動)すると、第1のクラッチ41にライン圧(又
はON/OFFデューティ比によってライン圧よりも減
圧された調整圧)が供給されて第1のクラッチ41が締
結状態となるように構成されている。尚、上記第1クラ
ッチ制御ライン101における第1のクラッチ41と第
1デューティソレノイド102との間には第1アキュー
ムレータ103が設けられている。
【0048】また、上記マニュアルバルブ91の第2導
出ポート91dは、第2クラッチ制御ライン106を介
して上記第2のクラッチ42と接続されている。この第
2クラッチ制御ライン106の途中には第2デューティ
ソレノイド107が設けられており、この第2デューテ
ィソレノイド107のところまでライン圧が供給されて
いて第2デューティソレノイド107が作動(ハイモー
ドのときに作動)すると、第2のクラッチ42にライン
圧(又はON/OFFデューティ比によってライン圧よ
りも減圧された調整圧)が供給されて第2のクラッチ4
2が締結状態となるように構成されている。尚、第2ク
ラッチ制御ライン106における第2のクラッチ42と
第2デューティソレノイド107との間には、上記第1
アキュームレータ103と同様の第2アキュームレータ
108が設けられている。
【0049】以上の構成からなるトロイダル型無段変速
機の動作について説明する。図4は、セレクトレバーが
Nレンジ又はPレンジに設定された状態を示し、この状
態(ギヤードニュートラル状態)では、第1の油圧制御
弁60におけるスリーブ62の係合突部62aが規制部
材66に当接し、第2の油圧制御弁70におけるスリー
ブ72も規制部材76に当接している。そして、第1及
び第2の油圧制御弁60,70におけるスリーブ62,
72のライン圧導入ポート62b,72bにはライン圧
が供給されている(図4の油圧ラインにおいてクロスハ
ッチングを施した部分が、ライン圧が供給されている部
分である(図5〜図8においても同じ))が、このライ
ン圧は第1導出ポート62c,72cと第2導出ポート
62d,72dとに均等に配分されている。また、切換
弁80のスプール80aは右側に寄っていて、その第1
及び第2導出ポート80f,80gが第1及び第3導入
ポート80b,80dとそれぞれ連通しており、第1の
油圧制御弁60により各パワーローラ8の傾斜量を制御
できる状態となっている。しかし、第1の油圧制御弁6
0において第1導出ポート62cと第2導出ポート62
dとの圧力は等しいので、第1出力ライン81中の圧力
PHと第2出力ライン82中の圧力PLとが等しく、各
油圧アクチュエータ52の上側室54と下側室55との
圧力差はなくて各パワーローラ8の傾斜量は−γに維持
されている。
【0050】さらに、ライン圧は、マニュアルバルブ9
1のライン圧導入ポート91bにも供給されてはいる
が、このライン圧導入ポート91bは第1及び第2導出
ポート91c,91dのどちらとも連通しておらず、こ
のため、ライン圧は第1及び第2シフトバルブ92,9
3並びに第1及び第2のクラッチ41,42には導入さ
れず、ドレーンされた状態にある。
【0051】また、減圧ライン95には、一定減圧がO
N/OFFソレノイド96のところまで供給されてはい
る(図4の油圧ラインにおいてハッチングを施した部分
が、一定減圧が供給されている部分である(図5〜図8
においても同じ))が、このON/OFFソレノイド9
6はOFF状態にあり、その一定減圧は第1シフトバル
ブ92の制御ポート92gに供給されてはいない。
【0052】次いで、運転手がセレクトレバーをDレン
ジに設定すると、車速が小さい段階ではローモードに設
定され、以下に説明するように第1のクラッチ41が締
結状態となりかつ第2のクラッチ42が開放状態となっ
て、エンジン出力がトロイダル変速機構1と遊星歯車機
構2とを介して変速機出力軸28に伝達される。
【0053】すなわち、図5に示すように、上記セレク
トレバーの操作によりマニュアルバルブ91のスプール
91aが上記Nレンジ又はPレンジのときよりも右側に
移動し、そのライン圧導入ポート91bが第1導出ポー
ト91cのみと連通する。これにより、第1シフトバル
ブ92の第1導入ポート92bにライン圧が導入され、
この第1導入ポート92bは第2導出ポート92eと連
通しているので(ON/OFFソレノイド96はOFF
状態のままであり、第1シフトバルブ92のスプール9
2aは左側に寄っている)、第2シフトバルブ93の第
1導入ポート93bにライン圧が導入される。また、こ
の第2シフトバルブ93の第1導入ポート93bは第1
導出ポート93fと連通しているので、第1クラッチ制
御ライン101において第1デューティソレノイド10
2のところまでライン圧が供給される。そして、ローモ
ードに設定されているので、この第1デューティソレノ
イド102が作動し、第1のクラッチ41にライン圧が
供給される。一方、第2クラッチ制御ライン106にお
いても第2デューティソレノイド107のところまでラ
イン圧が供給されてはいるが、この第2デューティソレ
ノイド107は作動されず、第2のクラッチ42にはラ
イン圧が供給されない。したがって、第1のクラッチ4
1が締結状態となり、第2のクラッチ42が開放状態と
なる。
【0054】上記ローモードにおける前進時に、車速が
大きくなるにつれて、各パワーローラ8の傾斜量が−γ
から大きくされる。つまり、第1の油圧制御弁60のス
リーブ62がステップモータ64により左方向に移動さ
せられ、第1導出ポート62cの方が第2導出ポート6
2dよりも圧力が高くなって、第1出力ライン81中の
圧力PHが第2出力ライン82中の圧力PLよりも高く
なり、各油圧アクチュエータ52の上側室54と下側室
55とで圧力差が生じて各パワーローラ8の傾斜量が大
きくなる。尚、各パワーローラ8の傾斜量はスプール6
3にフィードバックされており、設定位置に達してステ
ップモータ64を停止させると最終的にはスプール63
もスリーブ62と同じ量だけ左側に移動して再び安定状
態になる。
【0055】一方、第1の油圧制御弁60により各パワ
ーローラ8の傾斜量が制御されているときに、第2の油
圧制御弁70では、ステップモータ74によりスリーブ
72を右側に移動させる。このとき、第2の油圧制御弁
70のスプール73は、各パワーローラ8の傾斜量をフ
ィードバックするための連動部材により、上記第1の油
圧制御弁60のスプール63と連動して左側に移動する
ので、ライン圧導入ポート72bと第2導出ポート72
dとが完全に連通した状態となり、切換弁80の第4導
入ポート80eにはライン圧が導入される。また、右側
のリリーフ圧導入ポート72eと第1導出ポート72c
とが連通して切換弁80の第2導入ポート80cにはリ
リーフ圧が導入される。しかし、この第2及び第4導入
ポート80c,80eは第1及び第2導出ポート80
f,80gとはそれぞれ連通していないので、このライ
ン圧及びリリーフ圧は各油圧アクチュエータ52には供
給されない。
【0056】続いて、各パワーローラ8の傾斜量が+β
に達した段階で、車速がさらに大きくなると、今度はハ
イモードに設定される。つまり、図6に示すように、第
2デューティソレノイド107が作動して第2のクラッ
チ42にライン圧を供給して第2のクラッチ42を締結
状態にする一方、第1デューティソレノイド102が非
作動状態になって第1のクラッチ41を解放状態にし
て、エンジン出力をトロイダル変速機構1のみを介して
変速機出力軸28に伝達するようにする。尚、このハイ
モードのロー側では、第1クラッチ制御ライン101に
おいて第1デューティソレノイド102のところまでは
ライン圧が供給されており、ハイモードから直ぐにロー
モードへ切換えできるようにしている。また、逆に、上
記ローモードの前進側では第2クラッチ制御ライン10
6において第2デューティソレノイド107のところま
ではライン圧が供給されているので、ローモードからハ
イモードへの切換えも直ちに行われる。
【0057】上記ハイモード時においては、車速が大き
くなるにつれて、各パワーローラ8の傾斜量が+βから
小さくされる。つまり、第1の油圧制御弁60のスリー
ブ62がステップモータ64により今度は右方向に移動
させられ、第2導出ポート62dの方が第1導出ポート
62cよりも圧力が高くなり、上記ローモード時とは反
対に各パワーローラ8の傾斜量が小さくなる。
【0058】そして、各パワーローラ8の傾斜量が再び
−γに達すると、第1の油圧制御弁60におけるスリー
ブ62の係合突部62aが規制部材66に当接して上記
Nレンジ又はPレンジと同じ状態になり(第2の油圧制
御弁70もNレンジ又はPレンジと同じ状態になる)、
このため、第1の油圧制御弁60では各パワーローラ8
の傾斜量を−γよりも小さくすることはできなくなる。
そこで、車速がさらに大きくなると、油圧制御経路を第
1の油圧制御弁60から第2の油圧制御弁70に切り換
えて、各パワーローラ8の傾斜量を第2の油圧制御弁7
0により制御するようにする。つまり、ハイモードのロ
ー側のレシオ範囲は第1の油圧制御弁60により変速制
御を行い、ハイモードのハイ側のレシオ範囲は第2の油
圧制御弁70により変速制御を行うようにする。
【0059】具体的には、図7に示すように、ON/O
FFソレノイド96をON状態にし、第1シフトバルブ
92の制御ポート92gに一定減圧を供給してそのスプ
ール92aを右側に移動させる。このため、第1シフト
バルブ92の第1導入ポート92bは第1導出ポート9
2dと連通し、ライン圧は第2シフトバルブ93の第3
導入ポート93dに供給される。そして、この第2シフ
トバルブ93の第3導入ポート93dは第2導出ポート
93gと連通した状態にあるので、ライン圧はこの第2
導出ポート93gから切換弁80の制御ポート80hに
供給され、切換弁80のスプール80aが左側に移動す
る。この結果、切換弁80の第1及び第2導出ポート8
0f,80gが第2及び第4導入ポート80c,80e
とそれぞれ連通し、第2の油圧制御弁70により各パワ
ーローラ8の傾斜量を制御できる状態となる。
【0060】上記第1シフトバルブ92のスプール92
aの右側への移動によりその第2導出ポート92eはド
レーンポートと連通され、このため、第1クラッチ制御
ライン101中のライン圧(作動圧)はドレーンされ
る。この結果、第1デューティソレノイド102が誤作
動しても第1のクラッチ41が締結状態になることはな
く、ローモードになることは絶対にない。つまり、この
段階でローモードになると、後述の後進状態と同じにな
るので、第1クラッチ制御ライン101中のライン圧を
ドレーンすることで、後進側への誤変速を確実に防止し
ている。また、第1及び第2のクラッチ41,42が共
に作動することにより、遊星歯車機構2の各構成要素に
異常に大きな力が生じるのを防止することもできる。
【0061】上記ハイモードのハイ側においては、車速
が大きくなるにつれて、各パワーローラ8の傾斜量が−
γから小さくされる。つまり、第2の油圧制御弁70の
スリーブ72がステップモータ74により右方向に移動
させられ、第2導出ポート72dの方が第1導出ポート
72cよりも圧力が高くなり、各パワーローラ8の傾斜
量が小さくなる。尚、上記第1の油圧制御弁60と同様
に、各パワーローラ8の傾斜量はスプール73にフィー
ドバックされており、設定位置に達してステップモータ
74を停止させると最終的にはスプール73もスリーブ
72と同じ量だけ右側に移動して再び安定状態になる。
【0062】一方、第2の油圧制御弁70により各パワ
ーローラ8の傾斜量が制御されているときに、第1の油
圧制御弁60では、ステップモータ64によりスリーブ
62を左側に移動させる。このとき、第1の油圧制御弁
60のスプール63は上記第2の油圧制御弁70のスプ
ール73と連動して右側に移動するので、ライン圧導入
ポート62bと第1導出ポート62cとが完全に連通し
た状態となり、切換弁80の第1導入ポート80bには
ライン圧が導入される。また、左側のリリーフ圧導入ポ
ート62eと第2導出ポート62dとが連通して切換弁
80の第3導入ポート80dにはリリーフ圧が導入され
る。しかし、この第1及び第3導入ポート80b,80
dは第1及び第2導出ポート80f,80gとはそれぞ
れ連通していないので、このライン圧及びリリーフ圧は
各油圧アクチュエータ52には供給されない。
【0063】次いで、各パワーローラ8の傾斜量が−α
に達すると、変速機出力軸28は最大限に変速された状
態となり、これ以上変速することはできない。この状態
から第2の油圧制御弁70のスリーブ72がステップモ
ータ74により左方向に移動させられると、第1導出ポ
ート72cの方が第2導出ポート72dよりも圧力が高
くなり、今度は各パワーローラ8の傾斜量が大きくな
る。そして、各パワーローラ8の傾斜量が再び−γに達
すると、第2の油圧制御弁70におけるスリーブ72が
規制部材76に当接してNレンジ又はPレンジと同じ状
態になる。この状態からさらに減速するときには、油圧
制御経路を第2の油圧制御弁70から第1の油圧制御弁
60に切り換えて、ハイモード及びローモードに応じて
上記と同様に制御する。
【0064】そして、ローモード時において各パワーロ
ーラ8の傾斜量を小さくしていくと、やがて−γに達
し、第1の油圧制御弁60におけるスリーブ62の係合
突部62aが規制部材66に当接する。このため、第1
の油圧制御弁60では後進側の変速制御はできないが、
ギヤードニュートラル状態に確実に設定することができ
る。
【0065】一方、セレクトレバーがRレンジに設定さ
れると、油圧制御経路を第1の油圧制御弁60から第2
の油圧制御弁70に切り換えて、各パワーローラ8の傾
斜量を第2の油圧制御弁70により制御する。つまり、
ローモードの前進側のレシオ範囲は第1の油圧制御弁6
0により変速制御を行い、ローモードの後進側のレシオ
範囲は第2の油圧制御弁70により変速制御を行う。
【0066】具体的には、セレクトレバーがRレンジに
設定されると、図8に示すように、該セレクトレバーの
操作によりマニュアルバルブ91のスプール91aがN
レンジ又はPレンジのときよりも左側に移動し、ライン
圧導入ポート91bが第2導出ポート91dのみと連通
する。これにより、第1シフトバルブ92の第2導入ポ
ート92c並びに第2シフトバルブ93の第4導入ポー
ト93e及び制御ポート93hにライン圧が供給され、
この第1シフトバルブ92の第2導入ポート92cは第
3導出ポート92fと連通しているので(ON/OFF
ソレノイド96はOFF状態のままであり、第1シフト
バルブ92のスプール92aは左側に寄っている)、第
2シフトバルブ93の第2導入ポート93cにもライン
圧が供給される。一方、第2シフトバルブ93の制御ポ
ート93hにライン圧が供給されることで、第2シフト
バルブ93のスプール93aが左側に寄った状態とな
り、このため、第2シフトバルブ93の第2及び第4導
入ポート93c,93eが第1及び第2導出ポート93
f,93gとそれぞれ連通して、第1クラッチ制御ライ
ン101において第1デューティソレノイド102のと
ころまでライン圧が供給される。そして、ローモードに
設定されているので、この第1デューティソレノイド1
02が作動し、第1のクラッチ41にライン圧が供給さ
れる。また、切換弁80の制御ポート80hにも第2シ
フトバルブ93の第4導入ポート93e及び第2導出ポ
ート93gを介してライン圧が導入され、切換弁80は
左側に寄った状態となり、第2の油圧制御弁70により
各パワーローラ8の傾斜量が−α〜−γの範囲で制御さ
れる。
【0067】上記マニュアルバルブ91のスプール91
aの左方向への移動によりその第1導出ポート91cは
ドレーンポートと連通され、このため、第2クラッチ制
御ライン106中のライン圧はドレーンされる。この結
果、第2デューティソレノイド107が誤作動しても第
2のクラッチ42が締結状態になることはなく、ハイモ
ードになることは絶対にない。つまり、この段階でハイ
モードになると、上述の如く前進状態と同じになるの
で、第2クラッチ制御ライン106中のライン圧をドレ
ーンすることで、前進側への誤変速を確実に防止してい
る。
【0068】また、セレクトレバーがDレンジに設定さ
れて所定値よりも大きい車速で走行しているときに、急
にRレンジに設定されたときには、ON/OFFソレノ
イド96をON状態にして第1シフトバルブ92の制御
ポート92gに一定減圧を供給する。これにより、第1
シフトバルブ92の第2導入ポート92cと第3導出ポ
ート92fとが連通しなくなり、第1クラッチ制御ライ
ン101中のライン圧がドレーンされ、第1のクラッチ
41が作動しなくなる。この結果、いきなり後進状態に
なることはなく、運転者の誤操作による変速機の損傷を
防止することができる。そして、前進時の車速が所定値
以下となれば、ON/OFFソレノイド96をOFF状
態にして後進状態に設定する。
【0069】したがって、上記実施形態1では、トロイ
ダル変速機構1の各パワーローラ8を所定の傾斜位置に
駆動して変速比を制御する油圧制御機構51における第
1の油圧制御弁60が、ローモード時の前進側とハイモ
ード時のロー側とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得
るようにスリーブ62の移動を規制する規制部材66を
有し、第2の油圧制御弁70が、ハイモード時のハイ側
とローモード時の後進側とのレシオ範囲でのみ変速制御
を行い得るようにスリーブ72の移動を規制する規制部
材76を有しているので、ギヤードニュートラル状態に
確実に設定することができ、運転手が意図しない前進や
後進が起こるのを防止することができる。一方、第1の
油圧制御弁60による制御範囲はその規制部材66によ
り制限されてハイモード時ではロー側のレシオ範囲でし
か変速制御は行えないが、ハイモード時のハイ側のレシ
オ範囲は、後進側を制御する第2の油圧制御弁70によ
り変速制御を行うので、トロイダル変速機構1により変
速可能な範囲をフルに使用することができる。よって、
前後進のフェールセーフを達成しつつ、燃費の改善を図
ることができる。
【0070】尚、上記実施形態1では、遊星歯車機構2
の太陽歯車21をエンジン出力軸5に対してトロイダル
変速機構1を介した状態で連結し、キャリア23をエン
ジン出力軸5に対してトロイダル変速機構1を介さない
状態で連結し、内歯歯車24を変速機出力軸28に連結
したが、これに限らず、太陽歯車21、キャリア23及
び内歯歯車24のうちの2つの構成要素をエンジン出力
軸5に対してトロイダル変速機構1を介した状態と介さ
ない状態とでそれぞれ連結し、残りの1つの構成要素を
変速機出力軸28に連結するようにすればよい。
【0071】(実施形態2)図9及び図10は本発明の
実施形態2を示し(尚、図1及び図2と同じ部分につい
ては同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、遊
星歯車機構2の太陽歯車21、遊星歯車22及び内歯歯
車24のギヤ比を、トロイダル変速機構1の最大変速点
がギヤードニュートラル点となるように設定したもので
ある。
【0072】すなわち、この実施形態2では、油圧制御
機構51は、上記実施形態1における第2の油圧制御弁
70と切換弁80とを備えておらず、第1の油圧制御弁
60(以下、単に油圧制御弁60という)のみを備えて
いる。また、この油圧制御弁60は、上記実施形態1の
ような規制部材66は有していない。そして、この1つ
の油圧制御弁60により前進のハイモード及びローモー
ド時共に、各パワーローラ8の傾斜量が−α〜+β(α
及びβは上記実施形態と同じ値)の範囲に設定されるよ
うになっており、ローモード時に各パワーローラ8の傾
斜量が−αとなったとき(最大変速点に達したときに)
にギヤードニュートラル状態となり、+βのときにロー
モードとハイモードとの切換えが行われるようになって
いる。つまり、ローモード時において傾斜量が−αにな
ると、第2出力ギヤ16(太陽歯車21)の回転速度が
N2と最大となり、このとき、図11に実線で示すよう
に、内歯歯車24(変速機出力軸28)の回転速度が0
となる。また、ローモード時において傾斜量が+βにな
ると、上記実施形態1と同様に、太陽歯車21の回転速
度がN0となり、内歯歯車24の回転速度もN0とな
る。尚、図11中、Yは、(内歯歯車24の歯数)/
(太陽歯車21の歯数)であり、Y=(N2−N0)/
N0となる。
【0073】一方、上記遊星歯車機構2のキャリア23
には、該キャリア23を回転しないように遊星歯車機構
2のハウジング120に固定する第3のクラッチ43
(ブレーキ)が設けられている。この第3のクラッチ4
3は、後進用に設けられたものであり、この第3のクラ
ッチ43が締結状態になると、キャリア23の回転速度
が0になるので、図11においてC点の回転速度を0に
すれば容易に判るように、内歯歯車24は必ず後進方向
に回転する(図11の破線参照)。
【0074】上記油圧制御機構51は、上記実施形態1
と同様のマニュアルバルブ111を備えており、このマ
ニュアルバルブ111にはライン圧が導入される第1及
び第2ライン圧導入ポート111b,111cが設けら
れ、この第1及び第2ライン圧導入ポート111b,1
11cは、セレクトレバーがNレンジ又はPレンジに設
定された状態では、第1及び第2導出ポート111d,
111eとはそれぞれ連通しないようになっている。そ
して、Dレンジに設定された状態では、スプール111
aが1段階左側に移動することで、第1及び第2ライン
圧導入ポート111b,111cは第1及び第2導出ポ
ート111d,111eとそれぞれ連通し、Rレンジに
設定された状態では、スプール111aがさらにもう1
段階左側に移動することで、第2ライン圧導入ポート1
11cが第2導出ポート111eと連通するだけであ
り、第1ライン圧導入ポート111bは第1導出ポート
111dと連通しないようになっている。
【0075】上記マニュアルバルブ111の第1導出ポ
ート111dは、シフトバルブ112の制御ポート11
2eと接続されており、このシフトバルブ112の制御
ポート112eにライン圧が導入されると、不図示のば
ねで左側に寄せられていたスプール112aが右側に移
動するようになっている。
【0076】上記マニュアルバルブ111の第2導出ポ
ート111eは、途中に第1デューティソレノイド10
2が設けられた接続ライン115を介して上記シフトバ
ルブ112の導入ポート112bと接続されている。こ
のシフトバルブ112の導入ポート112bは、スプー
ル112aが右側に寄った状態では第1導出ポート11
2cと連通し、左側に寄った状態では第2導出ポート1
12dと連通するようになっている。このシフトバルブ
112の第1導出ポート112cは、第1クラッチ制御
ライン101を介して第1のクラッチ41と接続されて
いる。また、上記マニュアルバルブ111の第1導出ポ
ート111dは、第2クラッチ制御ライン106を介し
て第2のクラッチ42とも接続されている。この第2ク
ラッチ制御ライン106には第2デューティソレノイド
107が設けられている。さらに、上記シフトバルブ1
12の第2導出ポート112dは、第3クラッチ制御ラ
イン116を介して上記第3のクラッチ43と接続され
ている。尚、この第3クラッチ制御ライン116にも、
第1及び第2アキュームレータ103,108と同様の
第3アキュームレータ117が設けられている。
【0077】次に、上記トロイダル型無段変速機の動作
について説明する。図12は、セレクトレバーがNレン
ジ又はPレンジに設定された状態を示し、この状態で
は、油圧制御弁60におけるスリーブ62のライン圧導
入ポート62bにはライン圧が供給されている(図12
の油圧ラインにおいてクロスハッチングを施した部分
が、ライン圧が供給されている部分である(図13〜図
15においても同じ))が、このライン圧が第1導出ポ
ート62cと第2導出ポート62dとに均等に配分され
ているので、各油圧アクチュエータ52の上側室54と
下側室55との圧力差はなく各パワーローラ8の傾斜量
は−αに維持されている。また、ライン圧は、マニュア
ルバルブ111の第1及び第2ライン圧導入ポート11
1b,111cにも導入されているが、この第1及び第
2ライン圧導入ポート111b,111cが第1及び第
2導出ポート111d,111eとそれぞれ連通してお
らず、このため、ライン圧はシフトバルブ112及び第
1〜第3のクラッチ41〜43には導入されず、ドレー
ンされた状態にある。
【0078】次いで、運転手がセレクトレバーをDレン
ジに設定すると、マニュアルバルブ111のスプール1
11aが1段階左側に移動して第1及び第2ライン圧導
入ポート111b,111cが第1及び第2導出ポート
111d,111eとそれぞれ連通する。このため、ラ
イン圧はシフトバルブ112の制御ポート112eに供
給されてそのスプール112aを右側に移動させるの
で、導入ポート112bと第1導出ポート112cとが
連通する。また、第2導出ポート112dはドレーンポ
ートと連通して第3クラッチ制御ライン116のライン
圧はドレーンされたままとなる。さらに、ライン圧は接
続ライン115において第1デューティソレノイド10
2のところまで供給されると共に、第2クラッチ制御ラ
イン106において第2デューティソレノイド107の
ところまで供給される。そして、ローモード時には、図
13に示すように、第1デューティソレノイド102の
みが作動し、これにより、ライン圧がシフトバルブ11
2の導入ポート112b及び第1導出ポート112c並
びに第1クラッチ制御ライン101を介して第1のクラ
ッチ41に供給される。この結果、第1のクラッチ41
のみが締結状態となり、エンジン出力がトロイダル変速
機構1と遊星歯車機構2とを介して変速機出力軸28に
伝達される。また、ハイモード時には、図14に示すよ
うに、第2デューティソレノイド107のみが作動し、
これにより、ライン圧が第2クラッチ制御ライン106
を介して第2のクラッチ42に供給される。この結果、
第2のクラッチ42のみが締結状態となり、エンジン出
力がトロイダル変速機構1のみを介して変速機出力軸2
8に伝達される。
【0079】一方、運転手がセレクトレバーをRレンジ
に設定すると、図15に示すように、マニュアルバルブ
111のスプール111aがさらにもう1段階左側に移
動して第2ライン圧導入ポート111cと第2導出ポー
ト111eとは連通状態が維持されるが、第1ライン圧
導入ポート111bと第1導出ポート111dとは非連
通状態となる。このため、シフトバルブ112の制御ポ
ート112eにはライン圧が導入されず、そのスプール
112aは左側に寄った状態となり、導入ポート112
bと第2導出ポート112dとが連通する。また、シフ
トバルブ112の第1導出ポート112cはドレーンポ
ートと連通して第1クラッチ制御ライン101のライン
圧はドレーンされる。さらに、マニュアルバルブ111
の第1導出ポート111dはドレーンポートに連通し、
このため、第2クラッチ制御ライン106のライン圧も
ドレーンされる。そして、第1デューティソレノイド1
02を作動させてライン圧をシフトバルブ112の導入
ポート112b及び第2導出ポート112d並びに第3
クラッチ制御ライン116を介して第3のクラッチ43
に供給する。この結果、第3のクラッチ43のみが締結
状態となり、遊星歯車機構2のキャリア23がそのハウ
ジング120に固定され、後進が可能となる。
【0080】したがって、上記実施形態2では、遊星歯
車機構2の各歯車21,22,24のギヤ比が、トロイ
ダル変速機構1の最大変速点がギヤードニュートラル点
となるように設定され、遊星歯車機構2のキャリア23
を回転しないように固定するブレーキとしての第3のク
ラッチ43が設けられているので、油圧制御弁60に上
記実施形態1のような規制部材66を設けなくてもその
油圧制御弁60のスリーブ62を一方の端まで移動させ
れば、ギヤードニュートラル状態に確実に設定すること
ができ、しかも、変速範囲を広く取ることができる。一
方、遊星歯車機構2のキャリア23を第3のクラッチ4
3により固定すれば、内歯歯車24(変速機出力軸2
8)は前進時とは逆方向に回転するので、容易に後進状
態にすることができる。よって、上記実施形態1と同様
に、前後進のフェールセーフを達成しつつ、燃費の改善
を図ることができる。しかも、1つの油圧制御弁60に
より前進及び後進の変速制御が行え、規制部材も不要で
あるので、上記実施形態1よりもコストの低減化を図る
ことができる。
【0081】尚、上記実施形態2では、遊星歯車機構2
の太陽歯車21をエンジン出力軸5に対してトロイダル
変速機構1を介した状態で連結し、内歯歯車24を変速
機出力軸28に連結したが、逆に、内歯歯車24をエン
ジン出力軸5に対してトロイダル変速機構1を介した状
態で連結し、太陽歯車21を変速機出力軸28に連結し
てもよい。但し、上記実施形態2のように構成した方
が、遊星歯車機構2により減速した状態で変速機出力軸
28に伝達できて好ましい。
【0082】尚、上記実施形態1,2では、第1及び第
2の油圧制御弁60,70(実施形態2では油圧制御弁
60)を3層弁としたが、各パワーローラ8の傾斜量の
フィードバックを別途に行うようにすれば、3層弁でな
くてもよい。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のギヤード
ニュートラル発進方式のトロイダル型無段変速機による
と、油圧制御機構に、ローモード時の前進側とハイモー
ド時のロー側とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得る
ように制御油圧を規制する規制部を有する第1の油圧制
御弁と、ハイモード時のハイ側とローモード時の後進側
とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得るように制御油
圧を規制する規制部を有する第2の油圧制御弁とを設け
るか、又は遊星歯車機構の各歯車のギヤ比を、トロイダ
ル変速機構の最大変速点がギヤードニュートラル点とな
るように設定して、その遊星歯車機構のキャリアを回転
しないように固定するブレーキを設けたことにより、ギ
ヤードニュートラル状態を確実に保証してフェールセー
フを達成しつつ、変速範囲を出来る限り広くして燃費の
向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るトロイダル型無段変
速機の概略構成を示す模式図である。
【図2】油圧制御機構を示す油圧回路図である。
【図3】遊星歯車機構の遊星速度線図である。
【図4】ギヤードニュートラル状態又はパーキング状態
を示す図2相当図である。
【図5】ローモードの前進側の状態を示す図2相当図で
ある。
【図6】ハイモードのロー側の状態を示す図2相当図で
ある。
【図7】ハイモードのハイ側の状態を示す図2相当図で
ある。
【図8】ローモードの後進側の状態を示す図2相当図で
ある。
【図9】実施形態2を示す図1相当図である。
【図10】実施形態2における油圧制御機構を示す油圧
回路図である。
【図11】実施形態2における遊星歯車機構の遊星速度
線図である。
【図12】ギヤードニュートラル状態又はパーキング状
態を示す図10相当図である。
【図13】ローモードの状態を示す図10相当図であ
る。
【図14】ハイモードの状態を示す図10相当図であ
る。
【図15】後進の状態を示す図10相当図である。
【符号の説明】
1 トロイダル変速機構 2 遊星歯車機構 5 エンジン出力軸 6 入力ディスク 7 出力ディスク 8 パワーローラ 21 太陽歯車 22 遊星歯車 23 キャリア 24 内歯歯車 28 変速機出力軸 41 第1のクラッチ(圧力作動式のクラッチ) 43 第3のクラッチ(ブレーキ) 51 油圧制御機構 60 第1の油圧制御弁 66 規制部材(規制部) 70 第2の油圧制御弁 76 規制部材(規制部) 101 第1クラッチ制御ライン(クラッチの制御経
路)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン出力軸に連結された入力ディス
    クと、該入力ディスクに対して対向配置された出力ディ
    スクと、該入出力ディスク間に傾斜可能に摩擦接触され
    るパワーローラとを有するトロイダル変速機構と、 上記トロイダル変速機構のパワーローラを所定の傾斜位
    置に駆動して該トロイダル変速機構の変速比を制御する
    油圧制御機構と、 太陽歯車と、該太陽歯車と噛み合って太陽歯車の周囲を
    公転する遊星歯車と、該遊星歯車を支持しかつ遊星歯車
    の公転に伴って回転するキャリアと、遊星歯車と噛み合
    う内歯歯車とにより構成され、上記太陽歯車、キャリア
    及び内歯歯車のうちの2つの構成要素が上記エンジン出
    力軸に対して上記トロイダル変速機構を介した状態と介
    さない状態とでそれぞれ連結され、残りの1つの構成要
    素が変速機出力軸に連結される遊星歯車機構とを備え、 ローモード時には、エンジン出力を上記トロイダル変速
    機構と遊星歯車機構とを介して上記変速機出力軸に伝達
    する一方、ハイモード時には、エンジン出力を上記トロ
    イダル変速機構のみを介して上記変速機出力軸に伝達す
    るように構成され、 上記ローモード時に上記トロイダル変速機構の変速比を
    制御することにより、前進、後進及びギヤードニュート
    ラル状態を達成するギヤードニュートラル発進方式のト
    ロイダル型無段変速機であって、 上記油圧制御機構は、ローモード時の前進側とハイモー
    ド時のロー側とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得る
    ように制御油圧を規制する規制部を有する第1の油圧制
    御弁と、ハイモード時のハイ側とローモード時の後進側
    とのレシオ範囲でのみ変速制御を行い得るように制御油
    圧を規制する規制部を有する第2の油圧制御弁とを備え
    ていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトロイダル型無段変速機
    において、 第1及び第2の油圧制御弁は共に3層弁からなることを
    特徴とするトロイダル型無段変速機。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のトロイダル型無段変速機
    において、 エンジン出力軸と遊星歯車機構において該エンジン出力
    軸に対してトロイダル変速機構を介さないで連結される
    構成要素とが、圧力作動式のクラッチにより連結される
    ように構成され、 ハイモード時のロー側からハイ側への切換時に、上記ト
    ロイダル変速機構の油圧制御経路を第1の油圧制御弁か
    ら第2の油圧制御弁に切り換えると共に、上記クラッチ
    の制御経路中の作動圧をドレーンするように構成されて
    いることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のトロイダル型無段変速機
    において、 エンジン出力軸と遊星歯車機構において該エンジン出力
    軸に対してトロイダル変速機構を介さないで連結される
    構成要素とが、圧力作動式のクラッチにより連結される
    ように構成され、 前進時に後進が選択されたときに、該前進時の車速が所
    定値以下となるまで上記クラッチの制御経路中の作動圧
    をドレーンするように構成されていることを特徴とする
    トロイダル型無段変速機。
  5. 【請求項5】 エンジン出力軸に連結された入力ディス
    クと、該入力ディスクに対して対向配置された出力ディ
    スクと、該入出力ディスク間に傾斜可能に摩擦接触され
    るパワーローラとを有するトロイダル変速機構と、 上記トロイダル変速機構のパワーローラを所定の傾斜位
    置に駆動して該トロイダル変速機構の変速比を制御する
    油圧制御機構と、 太陽歯車と、該太陽歯車と噛み合って太陽歯車の周囲を
    公転する遊星歯車と、該遊星歯車を支持しかつ遊星歯車
    の公転に伴って回転するキャリアと、遊星歯車と噛み合
    う内歯歯車とにより構成され、上記太陽歯車及び内歯歯
    車の一方が上記エンジン出力軸に対して上記トロイダル
    変速機構を介した状態で連結されかつ他方が変速機出力
    軸に連結され、上記キャリアが上記エンジン出力軸に対
    して上記トロイダル変速機構を介さないで連結される遊
    星歯車機構とを備え、 ローモード時には、エンジン出力を上記トロイダル変速
    機構と遊星歯車機構とを介して上記変速機出力軸に伝達
    する一方、ハイモード時には、エンジン出力を上記トロ
    イダル変速機構のみを介して上記変速機出力軸に伝達す
    るように構成され、 上記ローモード時に上記トロイダル変速機構の変速比を
    制御することにより、ギヤードニュートラル状態を達成
    するギヤードニュートラル発進方式のトロイダル型無段
    変速機であって、 上記遊星歯車機構の各歯車のギヤ比が、上記トロイダル
    変速機構の最大変速点がギヤードニュートラル点となる
    ように設定され、 上記遊星歯車機構のキャリアを回転しないように固定す
    るブレーキを備えていることを特徴とするトロイダル型
    無段変速機。
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