JP2001006155A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
磁気記録媒体およびその製造方法Info
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Abstract
ッドの低浮上化により発生する潤滑剤の分解、および高
速回転化により発生するマイグレーション現象などによ
る障害を防止し、長期にわたる耐環境特性、潤滑特性の
安定化を実現する磁気記録媒体およびその製造方法の提
供。 【解決手段】 本発明の磁気記録媒体は、基体上に、非
磁性金属下地層、磁性層、保護層、および潤滑層が形成
されており、潤滑層が、アルコール系末端基を有するパ
ーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤と、第三級アミン
構造のアミン系末端基を有するパーフルオロポリエーテ
ル系液体潤滑剤と、を含む混合液体潤滑剤より形成され
る。
Description
部記憶装置に搭載される磁気記録媒体及びその製造方法
に関し、特に、その表面に塗布された液体潤滑剤による
改良に関する。
などにおいてコンピュータなどのデータ記録媒体として
汎用的に利用されている。固定磁気記録媒体装置は、磁
気記録媒体の回転時には磁気ヘッドが浮上し、磁気記録
媒体を回転させる回転駆動モータが停止した時には磁気
ヘッドが磁気記録媒体表面と接触するCSS(コンタク
ト・スタート・ストップ)方式が採用されている。
下地層、磁性層をDCスパッタ法で形成し、その表面を
カーボン保護膜で覆い磁性層の摩耗を防ぎ、更に磁気記
録媒体と磁気ヘッドとの間に働く摩擦力を低減してい
る。このような磁気記録媒体と磁気ヘッドの摺動による
摩擦・摩耗を防ぐための表面保護膜としては、硬度の高
いダイヤモンド的な性質を増長させダイヤモンド結合状
態の比率がグラファイト結合状態の比率に比して高いダ
イヤモンド状カーボン(DLC)、アモルファスカーボ
ン、またはダイヤモンド状カーボンに少量のNやSi等
を添加したものが主に用いられている。
場合、その表面は、反応性のカルボニル基、カルボキシ
ル基や水酸基等の官能基を有する薄い酸化膜に覆われて
おり、ここに汚染物が積極的に吸着、結合して存在す
る。そこで従来の磁気記録媒体は、その保護膜表面を潤
滑剤で覆い尽くすことにより、表面に有害なガスや有機
物の汚染物を吸着させず、さらに潤滑特性を向上させ、
CSS耐久性に優れ安定した磁気記録媒体を得ていた。
する方法として用いられている潤滑剤は、保護膜表面に
均一な膜厚で安定に形成されていることが必要であり、
保護膜との密着性・結合性が高いことが重要である。こ
の密着性を高めるために、水酸基やピぺロニル基などの
末端基をもったパーフルオロポリエーテル系潤滑剤が使
用されていた。これらは、アウジモント社からZ−DO
LやAM2001として市販されている。
量が低すぎると潤滑特性が悪化し、高すぎると吸着傾向
になるため、重量平均分子量は、1500〜5500M
Wのものが使用されている。このように分子量の比較的
大きい分子を、数10Å塗布した場合、一般的には分子
と分子の間に隙間が生じ、表面を完全に覆うのは困難で
ある。よって、従来のようにパーフルオロポリエーテル
系潤滑剤を使用した場合は、潤滑剤の膜厚を50Å以上
に厚く塗布しなければならなく、磁気記録媒体と磁気ヘ
ッドとの吸着を回避することは困難となる。
の低浮上化が進み、磁気ヘッドの構造も従来のヘッドか
らMRヘッド等の低浮上型ヘッドが採用されるようにな
ってきた。それに伴い、ヘッド材質が触媒作用を受けた
り摩擦熱を発生したりすこととによって、パーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤の主鎖部(エーテル部位)では分
解が進むことになる。さらに、この分解物やディスク表
面に吸着したガス等の腐食成分が磁気ヘッド表面に転写
され、磁気ヘッドの浮上特性を乱し、再生出力の低下を
招くことになる。また、分解したパーフルオロポリエー
テル系潤滑剤は、潤滑特性を保つことができず、保護膜
の摩耗を生じる。そして最悪の場合には、ヘッドクラッ
シュを引き起こすことになる。
pmから7200〜15000rpmへと高速回転化し
ている。その結果、磁気記録媒体表面の潤滑剤が遠心力
により外周部へ移動・飛散するスピンマイグレーション
現象も顕在化しつつある。このマイグレーションが大き
くなると、吸着障害や最悪の場合ヘッドクラッシュを引
き起こすことになる。
術では、固定磁気記録媒体装置の特性を大幅に低下させ
ることがある。上述した問題を解決すべく、各種パーフ
ルオロポリエーテル系潤滑剤を用いた試みが種々なされ
ているが、未だ要求される全ての性能を満足しうる技術
は確立されていないのが現状である。
ート化に伴う磁気ヘッドの低浮上化により発生する潤滑
剤の分解、および高速回転化により発生するマイグレー
ション現象などによる障害を防止し、長期にわたる耐環
境特性、潤滑特性の安定化を実現する磁気記録媒体およ
びその製造方法を提供することにある。
体は、固定磁気記録媒体装置の中にあって、磁気ヘッド
と共に使用されるときの上記の問題を解決するために、
以下の手段が講じられていることを特徴とする。
性金属下地層、磁性層、保護層、および潤滑層が形成さ
れており、該潤滑層が、一般式(I)〜(III) R1CH2-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-CH2R2 (I) F(CF2CF2CF2O)n-CH2R1 (II) F(CF2CF2O)n-CH2R1 (III) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して任意の末端基
であり、lおよびmはそれぞれ独立して0または1以上
の整数であり、nは1以上の整数である。ただしl=m
=0ということはない。]よりなる群から選ばれた少な
くとも一つのアルコール系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系液体潤滑剤と、一般式(IV)〜(V
I) R3R4N-(CH2)p-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-(CH2)q-NR5R6 (IV) F(CF2CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (V) F(CF2CF2O)p-(CH2)p-NR3R4 (VI) [式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立して
H以外の任意の末端基であり、l、m、p、およびqは
それぞれ独立して0または1以上の整数であり、nは1
以上の整数である。ただし、l=m=0ということはな
い。]よりなる群から選ばれた少なくとも一つの第三級
アミン構造のアミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤と、を含む混合液体潤滑剤より形
成される。
に、非磁性金属下地層、磁性層、保護層、および潤滑層
が形成され、該潤滑層が、前述のアルコール系末端基を
有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤より形成
された層と、アミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤より形成された層との二層からな
る。
ーフルオロポリエーテルの重量平均分子量が好ましくは
1500から15000であり、アルコール系末端基を
有するパーフルオロポリエーテルの重量平均分子量は1
500から5500であることが好ましい。
が30〜100%であることが好ましい。
の製造方法は、基体上に非磁性金属下地層を積層する工
程と、該非磁性金属下地層の上に磁性層を積層する工程
と、該磁性層の上に保護層を積層する工程と、該保護層
の上に潤滑層を積層する工程とを具えており、該潤滑層
を積層する工程が、前述の一般式(I)〜(III)よ
りなる群から選ばれた少なくとも一つのアルコール系末
端基を有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤
と、前述の一般式(IV)〜(VI)よりなる群から選
ばれた少なくとも一つの第三級アミン構造のアミン系末
端基を有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤と
を含む混合液体潤滑剤を塗布する工程である。
合液体潤滑剤を溶媒で希釈した混合液をディップコート
法またはスピンコート法で塗布する工程であることが好
ましい。
の一般式(I)〜(III)よりなる群から選ばれた少
なくとも一つのアルコール系末端基を有するパーフルオ
ロポリエーテル系液体潤滑剤を塗布する工程と、前述の
一般式(IV)〜(VI)よりなる群から選ばれた少な
くとも一つのアミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤を格別に塗布する工程を含んでも
よい。
ルコール系末端基を有するパーフルオロポリエーテル液
体潤滑剤、およびアミン系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル液体潤滑剤をそれぞれ各別に溶媒で希釈し
た混合液をディップコート法またはスピンコート法で、
各別に塗布する工程であることことが好ましい。
0〜100%になるように加熱工程またはUV照射工程
を行うことが好ましい。
図1に示したように、基体1上に形成された非磁性金属
下地層2、磁気記録用薄膜である磁性層3、保護層4を
有しており、さらに潤滑層5を有している。
汎用的に使用されているアルミ合金などの非磁性基板1
1の上に無電解メッキによりにNi−Pなどの非磁性金
属層(メッキ層)12を施したもの、ガラス素材、セラ
ミック素材などが挙げられる。
は、DCスパッタ法などを用いてCrから形成されてい
る。Crの変わりに、CrTi、CrSi、CrMo、
CrAlなどを用いてもよい。
層3は、強磁性合金であるコバルト合金をDCスパッタ
法などを用いて成膜することが好ましい。コバルト合金
としては、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co
−Cr−Pt−Taなどが挙げられる。
4は、スパッタ法、CVD法などによって形成され、そ
の材料としては、ダイヤモンド状カーボン(DLC)、
アモルファスカーボン、ダイヤモンド状カーボンに少量
のNやSiを添加したカーボン、もしくは、その他同様
のものを使用することができる。
気記録媒体の表面の潤滑特性を改善するために設けられ
る潤滑層5がスピンコート法、ディップコート法(引き
上げ式、ドレイン式)によって成膜される。この潤滑層
5は、アルコール系末端基を有する主鎖がパーフルオロ
ポリエーテルの液体潤滑剤と、第三級アミン構造で弱塩
基性を帯びたアミン系末端基を有する主鎖がパーフルオ
ロポリエーテルの液体潤滑剤との組み合わせから形成さ
れる。組み合わせとしては、各液体潤滑剤を混合して混
合液体潤滑剤として用いる場合と、各液体潤滑剤を混合
させずにそれぞれの層として設けて二層構造にする場合
とが考えられる。
フルオロポリエーテル系液体潤滑剤は、一般式(I)〜
(III) R1CH2-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-CH2R2 (I) F(CF2CF2CF2O)n-CH2R1 (II) F(CF2CF2O)n-CH2R1 (III) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して任意の末端基
であり、lおよびmはそれぞれ独立して0または1以上
の整数であり、nは1以上の整数である。ただしl=m
=0ということはない。]で表される群から選ばれた少
なくとも一つのパーフルオロポリエーテルを含む。
ーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤は、一般式(I
V)〜(VI) R3R4N-(CH2)p-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-(CH2)q-NR5R6 (IV) F(CF2CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (V) F(CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (VI) [式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立して
H以外の任意の末端基であり、l、m、p、およびqは
それぞれ独立して0または1以上の整数であり、nは1
以上の整数である。ただし、l=m=0ということはな
い。]で表される群から選ばれた少なくとも一つのパー
フルオロポリエーテルを含む。
膜表面は、反応性のカルボニル基やカルボキシル基、水
酸基の官能基を有した薄い酸化膜で一様に覆われてお
り、この弱酸性を示すカーボン表面に対し、より密着性
・結合性の高い潤滑層を得るためには、弱塩基性を示す
有極性官能基を有したパーフルオロポリエーテル系液体
潤滑剤を適用するのが最適である。
ミンが挙げられるが、第一級アミンや第二級アミンで
は、アルカリ性が比較的強いため、これらの官能基を有
したパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤を潤滑剤と
して保護層の表面に適用した場合、潤滑剤の結合性は高
まるが、逆に大気中やドライブ内の有害な酸性ガスも引
きつけやすくなり、潤滑剤の分解による再生出力の低下
やヘッドクラッシュを起こす原因となる。また、第一級
アミンや第二級アミン構造を有したパーフルオロポリエ
ーテル系液体潤滑剤は、室温、加熱放置における安定性
にも問題がある。
三級アミン構造 -(CH2)p-NR3R4、−(CH2)q−NR5R6 [pおよびqは0または1以上の整数、R3、R4、
R5、およびR6はそれぞれ独立してH以外の任意の末端
基を表す。]を有することが重要であり、さらにこの第
三級アミンの置換基R3、R4、R5およびR6として、カ
ーボン保護膜−潤滑層の密着性(物理的吸着性)をさら
に高めるために、カーボン保護膜のグラファイト構造と
π−π電子相互作用を持つ共役系結合を含む置換基を第
三級アミン基が有していることが望ましい。
下のようなものが挙げられる。
ル潤滑剤は、分子量が低すぎると潤滑特性が悪化し、高
すぎると吸着傾向になるため、重量平均分子量は、15
00〜5500MWのものが使用されていた。これに対
し、上述したような本発明における第三級アミン構造で
弱塩基性を帯びたアミン系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル潤滑剤を用いると、カーボン保護膜との結
合性が強固になるため、1500〜15000MWでの
高分子量でも吸着障害を起こさず、摩耗を起こしにくい
良好な潤滑性能を得ることができる。
加熱処理またはUV処理することによって、保護層と潤
滑層との結合の強度である結合率を制御することが可能
となる。この制御は加熱温度または加熱時間、もしくは
UV波長、パワー・発生オゾン量・照射時間を調節する
ことにより容易に行うことができる。本発明に用いる潤
滑層の保護層との結合率は、カーボン保護層と強固に結
合している結合性パーフルオロポリエーテル潤滑剤と結
合の弱い移動性パーフルオロポリエーテル潤滑剤の比率
を表している。この結合率とは、潤滑層を設けた磁気記
録媒体をFT−IR高感度反射法で1290〜1260
cm-1に検出されるC−Fピーク吸光度と、該磁気記録
媒体をフルオロカーボン(例えば、3M(株)製PF−
5060、アウジモント(株)製ZS−100)で5分
間にわたって浸漬および超音波にさらした後のC−Fピ
ーク吸光度との比で表す。本発明では、この結合率を3
0〜100%に制御することが好ましい。
反応性のカルボニル基やカルボキシル基、水酸基の官能
基を有した極めて薄い酸化膜で覆われており、表面物性
的には弱酸性を示している。そこで上述したように、こ
のカーボン保護膜表面に対して弱塩基性を有し且つ共役
系結合を有した官能基を持つアミン系末端基を有するパ
ーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤とアルコール系末
端基を有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤の
組み合わせを用いることにより、液体潤滑剤の持つ柔軟
性を失うことなく、従来のカーボン保護膜表面と潤滑層
界面での物理吸着による結合のみでなく、化学吸着によ
る分子結合を伴った強固な結合を得ることができる。
気ヘッドの低浮上化や磁気ヘッドの構造の変化により、
潤滑剤が磁気ヘッドに転写することによる磁気記録媒体
と磁気ヘッドとの吸着障害が起こりにくくなり、高速回
転化による潤滑剤が外周部へ移動・飛散するスピンマイ
グレーションも起こりにくくなる。さらに、高温・高湿
環境下における結合力低下に伴う現象、例えば有害なド
ライブ内ガス汚染成分の付着促進や凝集発生、潤滑剤の
分解によって生じるヘッドクラッシュ等、カーボン保護
膜と潤滑層間の結合力の低下による様々な現象が起こり
にくくなり、安定した潤滑特性を、長期間維持すること
ができる。
す。
ーテルの合成 本発明におけるアミン系末端基を有するパーフルオロポ
リエーテルは以下のように合成した。
FC225(30ml)に溶解した。別個に末端官能基
が水酸基(−OH)であるパーフルオロポリエーテルHO
H2C-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-CH2OH(アウジモント社製 Fo
mblin Z−DOL)(10.0g)およびピリジン
(0.1g)をHCFC225(80ml)に溶解し、
0℃に冷却した無水トリフルオロメタンスルホン酸液に
ゆっくりと加えた。この混合液の温度を0℃以下に保っ
て10時間攪拌した。NMRにより反応の終点を確認し
た。得られた液を純水で洗浄し、HCFC225を蒸留
させ目的とするトリフレート CF3OSO2CH2-(CF2CF2O)l-
(CF2O)m-CH2OSO2CF3(8.8g)を得た。
に記載すると以下のようになる。
→ Rf(CH2OSO2CF3)2 式中、Rfは、前述の化学式(I)から(VI)の主鎖
であるパーフルオロポリエーテル部分を表す。
を作用させて目的のアミン系末端基を有するパーフルオ
ロポリエーテルを得た。
2 → Rf(CH2N−A1A2)2 上記A1およびA2は、それぞれ独立して任意の末端基
部を示し、前述のR3、R4、R5、およびR6のいずれか
を表している。
のアミノ系末端基で修飾したパーフルオロポリエーテル
を得た。また、ここで述べた以外の各種方法を用いて本
発明におけるアミノ系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテルを製造することができる。
するパーフルオロポリエーテルの合成 オートクレーブに(a)で合成したトリフレート(5.
0g)と、ピペリジニルエチルアミン(0.5g)と、
HCFC225(50ml)とを入れ窒素置換した後、
90℃で200時間反応させた。NMRを用いて原料の
ないことを確認した。次いで、水およびエタノールで洗
浄し、HCFC225を蒸留させ目的物のピペリジニル
エチルアミン末端基
gを得た。
ルオロポリエーテルの合成 オートクレーブに(a)で合成したトリフレート(5.
0g)と、ジエチルアミン(0.4g)と、HCFC2
25(50ml)とを入れ窒素置換した後、90℃で1
00時間反応させた。NMRを用いて原料のないことを
確認した。次いで、水およびエタノールで洗浄し、HC
FC225を蒸留させ目的物のジエチルアミン末端基
gを得た。
るパーフルオロポリエーテルの合成 オートクレーブに(a)で合成したトリフレート(5.
0g)と、ジフェニルメチルアミン(0.4g)と、H
CFC225(50ml)とを入れ窒素置換した後、9
0℃で100時間反応させた。NMRを用いて原料のな
いことを確認した。次いで、水およびエタノールで洗浄
し、HCFC225を蒸留させ目的物のジフェニルメチ
ルアミン系末端基
gを得た。
無電解メッキ処理により厚さ13μmのNi−Pの非磁
性金属層(メッキ層)12を形成した。次いでその表面
をポリッシュにより表面粗さRa=10Åになるように
研磨した後、ダイヤモンドスラリーを使用したテクスチ
ャー加工により、ほぼ同心円状の溝を表面粗さがRa=
13Åになるように作製した。
タ法により膜厚500ÅのCrからなる非磁性金属下地
層2、次いで、膜厚300Åの82Co−14Cr−4
Taからなる磁性層3、さらに膜厚100Åのダイヤモ
ンド状カーボン(DLC)からなる保護膜4を成膜し
た。
ニッシュを行った後、保護膜4の上に、先に合成したピ
ペリジニルエチルアミン末端基を有するパーフルオロポ
リエーテルと、アルコール系末端基を有するパーフルオ
ロポリエーテル(例えば、アウジモント(株)製 Fombl
in Z−DOL、ダイキン工業(株)DEMNUMS
A)とをそれぞれ表1に示した4種類の混合比で混合し
た液体潤滑剤をディップコート法により膜厚が20Åに
なるように、各混合比の液体潤滑剤に対してそれぞれ3
枚の保護膜上に塗布して磁気記録媒体を製造した。この
それぞれの液体潤滑剤はフルオロカーボン(例えば、3
M(株)製 PF−5060、アウジモント(株)製
ZS−100)を溶媒として、その濃度が0.04wt
%になるように希釈して塗布した。
時間を制御し潤滑剤のアミンおよびアルコールの各混合
比を有する磁気記録媒体において、それぞれ結合率、つ
まり結合性パーフルオロポリエーテルの割合が、30、
60、および100%の磁気記録媒体を製造した。
ーフルオロポリエーテルと、アルコール系末端基を有す
るパーフルオロポリエーテル(例えば、アウジモント
(株)製 Fomblin Z−DOL、ダイキン工業(株)D
EMNUM SA)とを混合した液体潤滑剤を使用した
以外は実施例1〜12に記載の方法と同様にして磁気記
録媒体を製造した。
パーフルオロポリエーテルと、アルコール系末端基を有
するパーフルオロポリエーテル(例えば、アウジモント
(株)製 Fomblin Z−DOL、ダイキン工業(株)D
EMNUM SA)とを混合した液体潤滑剤を使用した
以外は実施例1〜12に記載の方法と同様にして磁気記
録媒体を製造した。
ず、アルコール系末端基を有するパーフルオロポリエー
テル(例えば、アウジモント(株)製 FomblinZ−DO
L、ダイキン工業(株)DEMNUM SA)からなる
液体潤滑剤を使用し、結合率を30および60%にした
以外は、実施例1〜12に記載の方法と同様にして磁気
記録媒体を製造した。
ず、ピペロニル系末端基を有するパーフルオロポリエー
テル(例えば、アウジモント(株)製 FomblinAM20
01)からなる液体潤滑剤を使用し、結合率を30およ
び60%にした以外は、実施例1〜12に記載の方法と
同様にして磁気記録媒体を製造した。
較例1および2に用いたアミン系末端基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとアルコール系末端基を有するパー
フルオロポリエーテルとの混合比および結合率を示して
ある。
磁気記録媒体表面の潤滑層について以下のように行っ
た。これらの結果を表1〜4に示す。
製した磁気記録媒体をFT−IR高感度反射法で129
0〜1260cm-1に検出されるC−Fピーク吸光度を
求めておく。そしてこの媒体をフルオロカーボン(例え
ば、3M(株)製PF−5060、アウジモント(株)
製ZS−100)で5分間にわたって浸漬および超音波
にさらし、浸漬後の媒体で再度C−Fピーク吸光度を求
め、浸漬前後の吸光度比で結合率とした。
潤滑特性を調べたものである。
2で作製した磁気記録媒体の表面上に、ヘッド荷重が
3.5gfの磁気ヘッドを、半径位置18.5mm、回
転数1rpmで摺動させ、この時の動摩擦係数μlを測
定した。
させた後、回転数1rpmで摺動させた時の動摩擦係数
μLを測定した。
を用い実際の磁気ディスクドライブに組み込み、初期の
摩擦係数μlを測定した。その後、常温/常湿(25℃
/40%RH)と60℃/80%RHの条件下で、それ
ぞれ20,000回のCSSを繰り返した。60℃/8
0%RHの条件で20,000回のCSSを繰り返した
ものについて、摩擦係数μLを測定し、ヘッドの汚れの
有無を光学顕微鏡により観察した。
エーテル系潤滑剤の末端基を弱塩基性の第三級アミン構
造で置換した潤滑剤およびアルコール系末端基を有する
パーフルオロポリエーテルを混合した液体潤滑剤を塗布
した磁気記録媒体は、各動摩擦係数の上昇がなく、ヘッ
ド汚れも認められなかった。
ル末端基またはピペロニル末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系潤滑剤のみを塗布した比較例では、各動
摩擦係数の上昇や、ヘッド汚れが認められた。
ション評価を調べたものである。
気ディスクドライブに組み込み、80℃/80%RH環
境で10000rpmの高速回転を500時間行った後
の、磁気記録媒体面内の膜厚を半径方向r=20mmの
内周とr=45mmの最外周で測定した。
ては、従来の潤滑剤と比較して、結合性を高めることが
でき、潤滑剤の外周への移動・飛散が極めて少ないこと
がわかる。
パーフルオロポリエーテル潤滑剤のみを用いた磁気記録
媒体では、外周と内周との厚さに大きな差が生じ、潤滑
剤の外周への移動・飛散が多いことがわかる。
価を調べたものである。
価するため、SO2ガスを用いた。標準ガス発生装置
「パーミエーター(ガステック(株)製)」のSO2パ
ーミエーションチューブを用いて0.1ppmのSO2
ガス発生下で24時間放置した。その後の磁気記録媒体
表面へ吸着したSO2成分をイオンクロマト法で定量し
た。
ーフルオロポリエーテル系潤滑剤の末端基を弱塩基性の
第三級アミン構造で置換した潤滑剤およびアルコール系
末端基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤と混
合された潤滑剤を塗布した磁気記録媒体は、カーボン表
面に存在する活性な吸着サイトと積極的に結合し、表面
を覆うため、外的ガス汚染成分である酸性ガスの媒体表
面への吸着を抑制することができた。
ルオロポリエーテル潤滑剤のみを用いた磁気記録媒体で
は、ガス吸着評価での酸性ガスの吸着量が多いことがわ
かる。
対して弱塩基性を有し且つ共役系結合を有した官能基を
持つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤とアルコール系
末端基を塗布することにより、液体潤滑剤の持つ柔軟性
を失うことなく、従来のカーボン保護膜表面と潤滑層界
面での物理吸着的な結合のみでなく、化学吸着的な分子
結合を伴った強固な結合を得ることができる。
ンタミの吸着も抑制することができる。これにより、低
浮上型の磁気ヘッドに対して優れた潤滑特性を示し、長
期使用時における特性安定に優れる磁気記録媒体が提供
される。
視図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 基体上に、非磁性金属下地層、磁性層、
保護層、および潤滑層が形成された磁気記録媒体であっ
て、前記潤滑層が、一般式(I)〜(III) R1CH2-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-CH2R2 (I) F(CF2CF2CF2O)n-CH2R1 (II) F(CF2CF2O)n-CH2R1 (III) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して任意の末端基
であり、lおよびmはそれぞれ独立して0または1以上
の整数であり、nは1以上の整数である。ただしl=m
=0ということはない。]よりなる群から選ばれた少な
くとも一つのアルコール系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系液体潤滑剤と、 一般式(IV)〜(VI) R3R4N-(CH2)p-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-(CH2)q-NR5R6 (IV) F(CF2CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (V) F(CF2CF2O)p-(CH2)p-NR3R4 (VI) [式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立して
H以外の任意の末端基であり、l、m、p、およびqは
それぞれ独立して0または1以上の整数であり、nは1
以上の整数である。ただし、l=m=0ということはな
い。]よりなる群から選ばれた少なくとも一つの第三級
アミン構造のアミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤と、を含む混合液体潤滑剤より形
成されることを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項2】 基体上に、非磁性金属下地層、磁性層、
保護層、および潤滑層が形成された磁気記録媒体であっ
て、前記潤滑層が、請求項1に記載のアルコール系末端
基を有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤より
形成された層と、請求項1に記載されたアミン系末端基
を有するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤より形
成された層との二層からなることを特徴とする磁気記録
媒体。 - 【請求項3】 前記潤滑層は、前記保護層との結合率が
30〜100%であることを特徴とする請求項1または
請求項2に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項4】 前記アミン系末端基を有するパーフルオ
ロポリエーテル系液体潤滑剤の重量平均分子量が150
0から15000であることを特徴とする請求項1〜3
のいずれかに記載の磁気記録媒体。 - 【請求項5】 前記アルコール系末端基を有するパーフ
ルオロポリエーテル系液体潤滑剤の重量平均分子量が1
500から5500であることを特徴とする請求項4に
記載の磁気記録媒体。 - 【請求項6】 基体上に非磁性金属下地層を積層する工
程と、該非磁性金属下地層の上に磁性層を積層する工程
と、該磁性層の上に保護層を積層する工程と、該保護層
の上に潤滑層を積層する工程とを具えた磁気記録媒体の
製造方法であって、 前記潤滑層を積層する工程が、一般式(I)〜(II
I) R1CH2-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-CH2R2 (I) F(CF2CF2CF2O)n-CH2R1 (II) F(CF2CF2O)n-CH2R1 (III) [式中、R1およびR2はそれぞれ独立して任意の末端基
であり、lおよびmはそれぞれ独立して0または1以上
の整数であり、nは1以上の整数である。ただしl=m
=0ということはない。]よりなる群から選ばれた少な
くとも一つのアルコール系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系液体潤滑剤と、一般式(IV)〜(V
I) R3R4N-(CH2)p-(CF2CF2O)l-(CF2O)m-(CH2)q-NR5R6 (IV) F(CF2CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (V) F(CF2CF2O)n-(CH2)p-NR3R4 (VI) [式中、R3、R4、R5、およびR6はそれぞれ独立して
H以外の任意の末端基であり、l、m、p、およびqは
それぞれ独立して0または1以上の整数であり、nは1
以上の整数である。ただし、l=m=0ということはな
い。]よりなる群から選ばれた少なくとも一つの第三級
アミン構造のアミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤とを含む混合液体潤滑剤を塗布す
る工程であること特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項7】 前記潤滑層を積層する工程が、前記混合
液体潤滑剤を溶媒で希釈した混合液をディップコート法
またはスピンコート法で塗布する工程であることを特徴
とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項8】 基体上に非磁性金属下地層を積層する工
程と、該非磁性金属下地層の上に磁性層を積層する工程
と、該磁性層の上に保護層を積層する工程と、該保護層
の上に潤滑層を積層する工程とを具えた磁気記録媒体の
製造方法であって、前記液体潤滑層を積層する工程が、
請求項6に記載のアルコール系末端基を有するパーフル
オロポリエーテル系液体潤滑剤を塗布する工程と、請求
項6に記載のアミン系末端基を有するパーフルオロポリ
エーテル系液体潤滑剤を各別に塗布する工程とを備える
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項9】 前記潤滑層を積層する工程が、前記アル
コール系末端基を有するパーフルオロポリエーテル系液
体潤滑剤、およびアミン系末端基を有するパーフルオロ
ポリエーテル系液体潤滑剤をそれぞれ各別に溶媒で希釈
した混合液をディップコート法またはスピンコート法
で、各別に塗布する工程であることを特徴とする請求項
8に記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項10】 前記潤滑層が前記保護膜との結合率を
30〜100%有するように加熱工程またはUV照射工
程をさらに備えることを特徴とする請求項6〜9のいず
れかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
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