JP2000355883A - 強化繊維用サイジング剤 - Google Patents

強化繊維用サイジング剤

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JP2000355883A
JP2000355883A JP11170298A JP17029899A JP2000355883A JP 2000355883 A JP2000355883 A JP 2000355883A JP 11170298 A JP11170298 A JP 11170298A JP 17029899 A JP17029899 A JP 17029899A JP 2000355883 A JP2000355883 A JP 2000355883A
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JP
Japan
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sizing agent
resin
fiber
reinforcing fibers
carbon fiber
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JP11170298A
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Naoki Sugiura
直樹 杉浦
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エポキシ樹脂だけでなくラジカル重合系樹脂
とも樹脂含浸性がよく、また、それら樹脂と強化繊維と
の接着性に優れ、さらに、安定した物性改善効果が得ら
れる強化繊維用サイジング剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I)で示される官能基とエ
ポキシ基を有する化合物を主要成分として強化繊維用サ
イジング剤を構成する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂を構
成する強化繊維に使用されるサイジング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、繊維強化樹脂組成物を構成す
るマトリックス樹脂として、一般的に広く使用されてい
るエポキシ樹脂のほか、不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹
脂など多くの樹脂が用いられている。
【0003】一方、この繊維強化樹脂に使用されている
強化繊維には、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維な
どがある。その中で、炭素繊維は、化学組成の大部分
(90%以上)が炭素よりなる繊維であり、再生セルロ
ース、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチなどか
ら得られ、高強度炭素繊維、高弾性炭素繊維などに区別
される。この炭素繊維は、軽量で、比強度および比弾性
率に対して特に優れた性質を有している。加えて、耐熱
性、耐薬品性にも優れていることなどから、強化材とし
て有効であり、広範囲に用いられている。
【0004】しかしながら、この炭素繊維は、伸度が小
さく脆い材料であるため、その使用に際し、機械的摩擦
などによって毛羽が発生しやすいという不都合がある。
また、炭素繊維は、一般にマトリックス樹脂に対する接
着性に乏しいため、これを使用した炭素繊維強化樹脂組
成物において、炭素繊維の有する優れた性質を十分に発
揮させることが困難であるという不都合が生じる。
【0005】これらの不都合を軽減するため、従来から
炭素繊維に対してサイジング剤による処理が施されてい
る。この炭素繊維用サイジング剤は、炭素繊維の取扱い
性を向上させるために、また、マトリックス樹脂に対す
る接着性を向上させて、炭素繊維強化樹脂の性質を向上
させるために使用されるものである。このため、マトリ
ックス樹脂と炭素繊維の含浸性を向上させる、接着性を
向上させるなどの性能を有している。
【0006】このような炭素繊維に使用されるサイジン
グ剤として、例えば、ポリグリシジルエーテル類などを
用いるもの(特公昭57−15229号公報など)(以
下、「サイジング剤1」と略記する)や分子内に少なく
とも三つのエポキシ基を有するエポキシ化合物と、ビニ
ル基含有カルボン酸との反応生成物を主要成分とするも
の(特開昭55−84476など)(以下、「サイジン
グ剤2」と略記する)など種々のものが提案されてい
る。
【0007】前記サイジング剤1は、その使用に際し、
優れた含浸性や界面接着力などの利点を有している。一
方、サイジング剤2は、マトリックス樹脂、特に不飽和
ポリエステル樹脂との接着性を向上させることができ、
また、従来からの懸念であった、エポキシ樹脂をマトリ
ックス樹脂として用いた場合の硬化条件変動による炭素
繊維強化樹脂組成物の物性変動を低減することができる
優れたサイジング剤である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記サ
イジング剤1では、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエ
ステル樹脂、アクリル樹脂などのラジカル重合系樹脂に
対する接着性は十分ではなく、それらの樹脂をマトリッ
クス樹脂とする炭素繊維強化樹脂組成物に使用するに際
して問題となっていた。一方、サイジング剤2は、分子
内にエポキシ基とビニル基が必ず一つ以上有していない
場合があること、これらの官能基が主鎖末端と分枝支鎖
末端のいずれかに存在する可能性があり、しかも分子と
してのかさが高さが大きく、また炭素繊維とマトリック
ス樹脂界面層に架橋網を形成しやすいなど、安定した物
性の発現が望めないなどの問題点があった。
【0009】よって本発明は、エポキシ樹脂だけでな
く、特に、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビ
ニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂との樹脂含
浸性が良く、また、これらの樹脂と炭素繊維などの強化
繊維との接着力に優れ、さらに、安定した物性改善効果
が得られる強化繊維用サイジング剤、また、それを水に
分散させてなるサイジング剤溶液を提供することを課題
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の強化繊維用サイジング剤は、下記一般式
(I)で示される官能基とエポキシ基を有する化合物を
主要成分としたことを特徴とするものである。また、こ
の前記課題は、前記本発明の強化繊維用サイジング剤を
水に分散させてなるサイジング剤溶液によって解決でき
る。
【0011】
【化2】 (一般式(I)中のRは、水素原子またはアルキル基で
ある。)
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の上記請求項1に係る強化繊維用サイジング剤
は、上述したように、上記一般式(I)で示される官能
基とエポキシ基を有する化合物を主要成分としたことを
特徴とするものである。この化合物として、上記一般式
(I)で示される官能基とエポキシ基とを分子内に有す
る化合物であればとくに限定されないが、具体的には例
えば下記一般式(II)〜(VII)で示される化合物
が好ましく使用される。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】 (一般式(VI)中のnは、2〜7である。)
【0018】これらの一般式(II)〜(VII)で代
表される化合物は、分子の一方の端部に上記一般式
(I)で示される官能基が、他方の端部にはエポキシ基
を、それぞれ配したものであり、このような分子構造を
とることによって、マトリックス樹脂となる、例えば、
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリ
ル樹脂などのラジカル重合系樹脂などと強化繊維を強力
に結合する。
【0019】すなわち、上記官能基の二重結合がラジカ
ル重合系樹脂とラジカル反応して結合し、エポキシ基が
強化繊維表面の活性基と物理的あるいは化学的結合を形
成することになる。このような機構から、官能基のR
は、水素原子または炭素数が1ないし2のアルキル基で
あることが好ましく、マトリックス樹脂となる樹脂の種
類などに合わせて適したものが選択される。
【0020】また、エポキシ基としては、上記一般式
(II)または上記一般式(III)〜(VI)で示さ
れる化合物などのグリシジルエーテルの形態のものであ
る。
【0021】また、上記化合物の骨格には、上記一般式
(II)〜(IV)または上記一般式(VI)で示され
る化合物のようなビスフェノールA型、あるいは上記一
般式(V)で示される化合物のようなビスフェノールF
型、または、ビスフェノールS型、ビフェニル型などが
挙げられる。
【0022】このビスフェノールA型あるいはビスフェ
ノールF型は、その構造が比較的剛直であることから、
これを骨格としてなる上記化合物を主要成分としたサイ
ジング剤において、強化繊維に対して良好な力学的特性
を付与することができるものである。また、このビスフ
ェノールA型あるいはビスフェノールF型は、π共役系
を有していることにより、微小なグラファイト結晶で構
成されている炭素繊維に対して特に良好な親和性を有し
ているため、炭素繊維との組み合わせにおいて、優れた
界面接着性を発現するため好ましい。
【0023】このような上記化合物は、上述したよう
に、その分子内に上記一般式(I)で示される官能基と
エポキシ基とを有するものであり、その官能基の数は、
上記一般式(II)〜(VI)で示される化合物のよう
に一個ずつであることが望ましい。
【0024】このような上記化合物を主要成分として構
成してなる強化繊維用サイジング剤にあっては、その主
要成分として、上記化合物などの中から一つを選定して
単独で用いることもできるが、上記化合物などの中から
複数の化合物を組み合わせてなる、化合物の混合体とし
て使用することもできる。
【0025】このような上記一般式(I)で示される官
能基とエポキシ基を有する化合物を主要成分とした強化
繊維用サイジング剤は、上記の二種類の官能基を必ずそ
れぞれ一つ有しているものであるため、強化繊維に対し
ても、また、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
ビニルエステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマ
トリックス樹脂に対しても優れた親和性を有している。
したがって、前記マトリックス樹脂に対し、濡れ性を向
上させることができ、また、安定した効果を得ることが
できる強化繊維用サイジング剤とすることができる。
【0026】本発明の上記請求項2に係るサイジング剤
溶液は、上記一般式(I)で示される官能基とエポキシ
基を有する化合物を主要成分とした強化繊維用サイジン
グ剤を水に分散させてなることを特徴とするものであ
る。上記強化繊維用サイジング剤は、これを強化繊維に
付与する際には、水、あるいはアセトンなどの有機溶剤
などに分散させ、サイジング剤溶液としたものが使用さ
れる。このサイジング剤溶液にあっては、これを水エマ
ルジョン系とした場合、アセトンなどの有機溶剤溶液な
どとした場合と比較して、工業的にも、また安全性の面
からも優れているため好ましい。
【0027】このような前記強化繊維用サイジング剤を
水に分散させてなるサイジング剤溶液を調整する際に
は、分散の安定化のため、界面活性剤を利用することが
好ましい。ここで使用される界面活性剤としては、ノニ
オン系、カチオン系、アニオン系のいずれのものも用い
ることができる。とくに、ノニオン系の界面活性剤は、
これを用いたサイジング溶液を使用した繊維強化樹脂組
成物を形成する場合においてプリプレグ状態などでの優
れた貯蔵安定性を有しているため、また、熱可塑性樹脂
との複合化などを行う場合にトラブル発生要因となる塩
類を有していないことから扱いやすいなどのため好まし
い。
【0028】ここでの強化繊維用サイジング剤と界面活
性剤との配合比率は、重量比でサイジング剤/界面活性
剤=95/5〜70/30であり、好ましくは、サイジ
ング剤/界面活性剤=85/15〜75/25である。
この範囲にあっては、それを使用して得られるサイジン
グ剤溶液の安定性がよく、なおかつ、サイジング剤の効
果に悪影響を与えることがなく好ましい。この配合比率
において、界面活性剤の配合比率が上記範囲未満となる
場合には、それを使用して得られるサイジング剤溶液の
安定性が悪く不都合が生じる。一方、上記範囲を越える
場合では、それを使用して得られるサイジング剤溶液で
強化繊維を処理するに際し、強化繊維の表面が界面活性
剤に被覆されるという不都合が生じて、サイジング剤が
有効に作用することができないため、強化繊維の界面接
着性向上効果に対して悪影響を与える。
【0029】また、このような上記サイジング剤溶液に
対して、平滑剤を配合することで、強化繊維、特に、炭
素繊維の耐擦過性を向上させるサイジング剤溶液を得る
こともできる。
【0030】このような前記強化繊維用サイジング剤を
水に分散させてなるサイジング剤溶液は、水エマルジョ
ン系とすることによって、工業的にも、また安全性の面
からも優れたものとすることができる。
【0031】このようなサイジング剤溶液を使用して処
理される強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド
繊維などが挙げられる。炭素繊維は、ピッチ、レーヨン
あるいはポリアクリロニトリルなどのいずれの原料物質
からなるものでもよい。またその種類は、例えば、高強
度タイプ(低弾性率炭素繊維)、中高弾性炭素繊維およ
び超高弾性炭素繊維などのいずれの種類のものでもよ
い。さらに、これら強化繊維の形態は、長繊維、短繊維
あるいは織物、編み物、不繊布などのシート状形態を有
するものなどいずれのものでもよく、特に限定されな
い。
【0032】上述のような強化繊維用サイジング剤の付
着した強化繊維を製造するには、ローラー浸漬法、ロー
ラー接触法など一般に工業的に用いられている方法など
によって行われる。その製造工程に際し、前記サイジン
グ剤溶液を使用して、強化繊維の表面に前記強化繊維用
サイジング剤を付着させることによって製造される。こ
こで製造される強化繊維に対する強化繊維用サイジング
剤の付着量は、サイジング剤溶液の濃度調整や、絞りコ
ントローラーなどの通過工程の調整などの方法によって
調節される。
【0033】上述のように製造される強化繊維用サイジ
ング剤の付着した強化繊維は、続いて乾燥処理され、サ
イジング剤を付着させる際に同時に付着したサイジング
剤溶液に含まれていた水、あるいは有機溶媒などの除去
が行われ、繊維強化樹脂組成物を形成する際に使用され
るものとなる。ここでの乾燥処理は、熱風、熱板、ロー
ラー、各種赤外線ヒーターなどを熱媒として利用した方
法などによって行われる。
【0034】このような強化繊維は、上記サイジング剤
溶液を使用して強化繊維の表面を処理し、前記強化繊維
用サイジング剤を付着させることによって、強化繊維用
サイジング剤の効果が付与されたものである。したがっ
て、この上記強化繊維は、強化繊維用サイジング剤の効
果によって、機械的摩擦などによる毛羽などが発生しに
くく、さらに、マトリックス樹脂に対する親和性や接着
性に優れた強化繊維である。
【0035】この上記強化繊維は、マトリックス樹脂と
複合化され、一方向プリプレグ、クロスプリプレグ、ト
ウプレグ、短繊維強化樹脂含浸シート、短繊維マット強
化樹脂含浸シートなどを形成する繊維強化樹脂組成物を
構成する。
【0036】このような前記サイジング剤溶液で処理さ
れた強化繊維を用いた繊維強化樹脂組成物を製造するに
は、一般に通常行われている方法を採用することがで
き、例えば、ホットメルト法、溶剤法、シラップ法、あ
るいはSMCなどに用いられる増粘樹脂法などの方法に
よって行われる。その製造に際し、前記サイジング剤溶
液で処理された強化繊維を使用して、前記マトリックス
樹脂を含浸して行われる。
【0037】このような繊維強化樹脂にあっては、前記
サイジング剤溶液で処理された強化繊維を用いているた
め、マトリックス樹脂として、アクリル樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などのラジカル重
合系樹脂などを使用することができ、また、前記サイジ
ング剤の主要成分である化合物の有するエポキシ基が強
化繊維と、また一般式(I)で示される官能基がマトリ
ックス樹脂と強靱に接着することから、強化繊維とマト
リックス樹脂の界面接着力が強く、良好な力学的特性を
示すものとすることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を、実施例および比較例によっ
て具体的に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施
例のみに限定されるものではない。 (実施例1)アクリロニトリル97重量%とメタクリル
酸3重量%からなるアクリロニトリル共重合体をジメチ
ルホルムアミド(DMF)に溶解して、紡糸ノズルより
吐出させ、乾ー湿式紡糸方式で、洗、沸水延伸し、続い
て沸水洗浄、乾燥して、単糸デニール0.7の前駆体繊
維を製造した。ついで、この前駆体繊維を、空気中20
0℃〜300℃で耐炎化して耐炎繊維としたのち、窒素
ガス中最高温度1400℃で炭素化して炭素繊維とし
た。このようにして作成された炭素繊維に対し、電気化
学的に表面酸化処理を施して炭素繊維束を得た。
【0039】この炭素繊維束を、サイジング剤溶液にロ
ーラー浸漬し、熱風乾燥して、サイジング剤付着糸とし
た。ここでのサイジング剤溶液としては、サイジング剤
を構成する主要成分である化合物に対してノニオン系の
界面活性剤20重量%を配合し、2wt%の水性エマル
ジョン溶液として調整したものを使用した。この前記サ
イジング剤付着糸を製繊して、200g/m2の目付を
有する平織りクロスとし、ついで、メタクリルシラップ
(メチルアクリレートプレポリマー液)を含浸させて、
繊維体積含有率VF40%のシート状コンポジット材料
を作製し、これを試験体とした。
【0040】このような試験体を作成する際に使用され
るサイジング剤を構成する主要成分を上記一般式(I
I)で示される化合物とし、また、炭素繊維束に対する
サイジング剤の付着量を1.50重量%として試験体を
作製した。この試験体に対して、曲げ試験、断面の観
察、さらに破断断面の走査型電子顕微鏡による観察(以
下、「SEM観察」と略記する)を行った。ここでの曲
げ試験では、JIS K7074に準ずる方法により曲
げ強度の測定を行った。その結果、曲げ強度は750M
Paであった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全
く確認されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の
凝集破壊様式が確認された。
【0041】(実施例2)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分を上記一般式(III)で示
される化合物とし、実施例1と同様にして試験体を作製
した。この試験体に対して、上記実施例1と同様の方法
により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSE
M観察を行った。その結果、曲げ強度は650MPaで
あった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認
されなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破
壊様式が確認された。
【0042】(実施例3)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分を上記一般式(IV)で示さ
れる化合物とし、実施例1と同様にして試験体を作製し
た。この試験体に対して、上記実施例1と同様の方法に
より、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM
観察を行った。その結果、曲げ強度は600MPaであ
った。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認さ
れなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊
様式が確認された。
【0043】(実施例4)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分を上記一般式(V)で示され
る化合物とし、実施例1と同様にして試験体を作製し
た。この試験体に対して、上記実施例1と同様の方法に
より、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM
観察を行った。その結果、曲げ強度は730MPaであ
った。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認さ
れなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊
様式が確認された。
【0044】(実施例5)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分を上記一般式(VI)で示さ
れる化合物とし、実施例1と同様にして試験体を作製し
た。この試験体に対して、上記実施例1と同様の方法に
より、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM
観察を行った。その結果、曲げ強度は730MPaであ
った。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認さ
れなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊
様式が確認された。
【0045】(実施例6)上記実施例5の試験体に用い
たものと同様のサイジング剤付着糸と、マトリックス樹
脂からなる引き抜き形成品を作製して、これを試験体と
した。ここでのマトリックス樹脂としては、ビニルエス
テル樹脂(「デックライト3505」商品名、大日本イ
ンキ化学工業(株)製)を使用した。この試験体に対し
て、引張試験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観
察を行った。その結果、引張強度は1500MPaであ
った。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認さ
れなかった。さらに、SEM観察から、樹脂の凝集破壊
様式が確認された。
【0046】(実施例7)上記実施例1の試験体に用い
たものと同様のサイジング剤付着糸と、マトリックス樹
脂からなる一方向プリプレグを製造し、このプリプレグ
を積層、硬化させて一方向コンポジット材料を作製し、
これを試験体とした。ここでのマトリックス樹脂として
は、エポキシ樹脂を使用した。この試験体に対して、上
記実施例1と同様の方法により、曲げ試験を行った。ま
た、ILSSの測定を行った。その結果、繊維方向の曲
げ強度は1750MPa,繊維方向に直交する方向の曲
げ強度は110MPaおよびILSS95MPaであっ
た。
【0047】(比較例1)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分をエピコート828(商品
名、油化シェル製)とし、実施例1と同様にして試験体
を作製した。この試験体に対して、上記実施例1と同様
の方法により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面
のSEM観察を行った。その結果、曲げ強度は300M
Paであった。また、断面には、ボイド、未含浸部が確
認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維と樹脂と
の界面の剥離があきらかに確認された。
【0048】(比較例2)上記実施例1におけるサイジ
ング剤を構成する主要成分を下記一般式(VII)で示
される化合物とし、実施例1と同様にして試験体を作製
した。この試験体に対して、上記実施例1と同様の方法
により、曲げ試験、断面の観察、さらに破断断面のSE
M観察を行った。その結果、曲げ強度は450MPaで
あった。また、断面には、ボイド、未含浸部は全く確認
されなかった。しかし、SEM観察から、炭素繊維と樹
脂との界面の剥離があきらかに確認された。
【0049】
【化8】
【0050】(比較例3)上記比較例1の試験体に用い
たものと同様のサイジング剤付着糸と、マトリックス樹
脂からなる引き抜き形成品を作製して、これを試験体と
した。ここでのマトリックス樹脂としては、上記実施例
6と同様ものを使用した。この試験体に対して、引張試
験、断面の観察、さらに破断断面のSEM観察を行っ
た。その結果、引張強度は1200MPaであった。ま
た、断面には、ボイド、未含浸部が一部存在することが
確認された。さらに、SEM観察から、炭素繊維と樹脂
との界面の剥離があきらかに確認された。
【0051】(従来例4)上記比較例1の試験体に用い
たものと同様のサイジング剤付着糸と、マトリックス樹
脂からなる一方向プリプレグを製造し、このプリプレグ
を積層、硬化させて一方向コンポジット材料を作製し、
これを試験体とした。ここでのマトリックス樹脂として
は、エポキシ樹脂を使用した。この試験体に対して、上
記実施例1と同様の方法により、曲げ試験を行った。ま
た、ILSSの測定を行った。その結果、繊維方向の曲
げ強度は1700MPa,繊維方向に直交する方向の曲
げ強度は120MPaおよびILSS90MPaであっ
た。
【0052】以上の結果から、本発明の実施例において
は、十分な強度が得られ、またボイド、未含浸部は全く
確認されず、さらに、SEM観察から樹脂の凝集破壊様
式を確認することができて、比較例に比べて優れている
ことが確認できた。また、マトリックス樹脂としてエポ
キシ樹脂を使用した場合において、従来例と比較して遜
色なく使用することができることが確認できた。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の強化繊維
用サイジング剤は、上記一般式(I)で示される官能基
とエポキシ基を有する化合物を主成分としたものである
ので、強化繊維に対しても、また、エポキシ樹脂だけで
なく、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂などのラジカル重合系樹脂などのマトリッ
クス樹脂に対しても優れた親和性を有し、前記マトリッ
クス樹脂に対し、濡れ性を向上させることができ、ま
た、安定した効果を得ることができるものである。
【0054】また、本発明のサイジング剤溶液は、前記
強化繊維用サイジング剤を界面活性剤を使用して水に分
散させてなるものであるので、強化繊維用サイジング剤
の効果を付与する処理に際して、工業的にも、また安全
性の面からも優れたものとすることができ、また、良好
な溶液安定性を有する取扱いのしやすいものとすること
ができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される官能基とエ
    ポキシ基を有する化合物を主要成分としたことを特徴と
    する強化繊維用サイジング剤。 【化1】 (一般式(I)中、Rは、水素原子またはアルキル基で
    ある。)
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Cited By (4)

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