JP2000054263A - セリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法及びそれによって製造された絹織編物 - Google Patents

セリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法及びそれによって製造された絹織編物

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JP2000054263A
JP2000054263A JP10214995A JP21499598A JP2000054263A JP 2000054263 A JP2000054263 A JP 2000054263A JP 10214995 A JP10214995 A JP 10214995A JP 21499598 A JP21499598 A JP 21499598A JP 2000054263 A JP2000054263 A JP 2000054263A
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dyeing
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Keiichiro Kanehisa
慶一郎 金久
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 後染め染色に起因する色むら、スレ、シワ、
オレなどの疵の発生する可能性を除去して、堅ろう度を
高め、高い品質の且つ150cmの広巾の布地を製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 先染生糸を使用した織編物の製造
方法は、合糸前、合糸後であって撚糸前又は撚糸後に、
セリシン定着法を用いて絹繊維の芯となっているフィブ
ロインの周囲を覆っている鞘状のセリシンを該フィブロ
インに定着させた後、又は、それと同時にセリシン及び
フィブロインを同一色に染色して先染セリシン定着生糸
を作る糸製造工程と、先染セリシン定着生糸を用いて製
織又は製編して布を製造する布製造工程と、そして、布
を構成する先染セリシン定着生糸のセリシンを精練し除
去する後練り工程とを備えて構成されている。後練り工
程は、湯槽内に浸して布を構成する先染セリシン定着生
糸を膨潤する膨潤工程と、そして、湯槽内で酵素で布を
処理し、先染セリシン定着生糸のセリシンを分解して実
質的にフィブロインのみからなる布とする酵素精練工程
とから構成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セリシン定着糸を
用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法及びそれに
よって製造された絹織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、織物(編物の場合も同様)の製
造工程は、原糸から織糸(撚糸)をつくり、織機に仕掛
けるまでを製織準備又は織物準備といい、次の織る工程
を製織という。そして、最後に織物の幅・長さを整え、
必要な風合いを与える整理・仕上げの工程を経て完成す
る。ここで、目的とする織物の色・柄・意匠の構成によ
り、製織準備の工程で染色するもの(先染織物)と製織
した後に布の状態で染色するもの(後染織物)とがあ
る。
【0003】絹織物の製造もほぼ同様の工程を経て行わ
れるが、いわゆる絹らしさとして賞賛される性質は、フ
ィブロイン繊維によって発揮されるので、生糸に含まれ
ているセリシンは、製造工程のどこかで取り除く(精
練)必要がある。このことが絹織物製造の特色で、他繊
維の工程と大きく異なるところである。先練りは、製織
準備工程で、布として織る前の糸の状態でセリシンを除
去する方法であり、後練りは生糸のまま織り上げて布の
状態で精練する方法である。なお、生糸のセリシンは、
水や湯に対して溶解性であるため、セリシンが完全に除
去されていない状態で染色すると、斑模様となって均一
に染め上がらない。そこで、先練りにしろ後練りにし
ろ、通常は、染色する前にセリシンを除去することが必
要とされてきた。
【0004】ところで、織機に仕掛けるためには糸自体
にある程度の強さが必要であるが、先練り先染め織物の
場合、セリシンを除去してしまうと、この強さが十分で
なくなり機織りできない欠点があった。そこで、セリシ
ンを除去した後、強撚糸をかける場合は、でんぷん質を
使用して、糸の縮み防止、撚り止めを施して製造するの
が一般的であった。しかしながら、この製造方法では、
和装・洋装分野とも、多量の織物を製造することは撚糸
・織物製造工程、コスト面において問題があり、製品価
格の高い一部の和装高級織物の分野でのみ使用されてい
るのにとどまっていた。すなわち、絹を使用した織物に
おいて先染の強撚織物は極めて少なく、後染め織編物が
主体であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、後染め後練り織
物の場合は、糸が十分な強さを有しているため織機に容
易に仕掛けることができ、また、糸に強撚を掛けること
ができる利点があるものの、布の状態で染色するため、
無地又は手間の掛かる染め模様(捺染)とならざるを得
ず、織り模様のような装飾性に欠ける欠点があった。さ
らに、後染め織物は、布を構成する生糸のセリシンを落
としてから染色するため、オレ、スレ、シワなどの疵が
発生しやすく織物の幅を広幅、例えば、約114cmよ
り大きくできない欠点があった。しかしながら、洋服地
として絹織物を用いる場合には、既存の洋服地縫製シス
テムを用いる限り150cm巾のものの方が縫製ロスが
少ない。
【0006】また、染色槽の湯温及び染料の混合比率
が、染色槽の水面付近と底付近とでは微妙に異なってお
り、布染め上がりに濃淡現象が現れてしまう欠点もあっ
た。さらに、整理の段階において、テンター等で濡れて
いる状態の布を乾燥、巾出しをする際布の両端に、オレ
及びシワ等を発生させる欠点もあった。他方、日本のア
パレル会社(フォーマルメーカー)が日本の絹生産地、
例えば、丹後産服地の代わりに使用している中国産の二
次製品(縫製され服になっているもの)又はイタリア産
の絹織物は、平成7年施行のPL法により、服地のデメ
リットである各種のデメリットを表示をして販売しなけ
ればならない等の問題があった。この様な理由により、
日本のアパレル業界は、天然素材から複合素材へと移行
してきたのであるが、その一方で、国産の絹100%で
150cm巾の絹織物を高級既製服地用として確保する
ことはアパレル業界全体の切実な要望であった。
【0007】絹とウールの複合織物は、コート素材とし
て膨大な需要があるが、従来、染色上の問題から、絹と
他繊維、例えば、ウールとの複合織物はなかなか完成で
きなかった。前述のように、絹を先染めするとセリシン
も除去されて織機に仕掛けることができなくなるため、
絹を含む複合織物は、どうしても後染め染色とせざるを
得なかった。更に、ウールとシルクとの複合物は、シル
クのセリシンを分解させる際にアルカリ性の溶剤が必要
であった。アルカリ溶剤は、ウールにダメージを与え、
ぜい化してしまう欠点があった。又、シルクとウールの
複合織物を黒に染める場合、シルクは淡い黒に、そし
て、ウールは真っ黒に染め上がり、このシャンブレー状
況は何度染色しても変化しない問題があった。これは、
同じ動物繊維でありながら染着速度、浸度が異なるため
で、後染め染色ではこの問題を解決することはできなか
った。
【0008】従来、絹100%のニット、ラッセルの編
物は、主に、絹紡糸を用いて行われてきた。これは、高
価な生糸を使用しても同じ色にしか染色できなかったた
め商品価値を高めることができなかったことによる。ま
た、絹紡糸を用いると、物性的にも堅ろう度も悪くなり
これも商品価値を下げる原因となっていた。この様に、
絹の後染めの織物は、様々な問題を含み、アパレルから
の要望に対応できぬまま今日に至っている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の従来技
術の課題を解決したもので、合糸前、合糸後であって撚
糸前又は撚糸後に、セリシン定着法を用いて絹繊維の芯
となっているフィブロインの周囲を覆っている鞘状のセ
リシンを該フィブロインに定着させた後、又は、それと
同時にセリシン及びフィブロインを同一色に染色して先
染セリシン定着生糸を作る糸製造工程と、先染セリシン
定着生糸を用いて製織又は製編して布を製造する布製造
工程と、そして、布を構成する先染セリシン定着生糸の
セリシンを精練し除去する後練り工程とを備えて構成さ
れてなるセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹
織編物製造方法を提供する。
【0010】本発明の第二の態様は、合糸前、合糸後で
あって撚糸前又は撚糸後に、セリシン定着法を用いて絹
繊維の芯となっているフィブロインの周囲を覆っている
鞘状のセリシンを該フィブロインに定着させた後、又
は、それと同時にセリシン及びフィブロインを同一色に
染色して先染セリシン定着生糸を作る糸製造工程と、先
染セリシン定着生糸を用いて製織又は製編して布を製造
する布製造工程と、湯槽内に浸して布を構成する先染セ
リシン定着生糸を膨潤する膨潤工程と、そして、湯槽内
で酵素で布を処理し、先染セリシン定着生糸のセリシン
を分解して実質的にフィブロインのみからなる布とする
酵素精練工程とを備えて構成されてなるセリシン定着糸
を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法を提供す
る。
【0011】請求項3に記載の発明は、これら発明の好
ましい実施形態であって、染色工程は、塩化シアヌール
若しくはその誘導体を用いてセリシン定着を行いしかる
後染色を行う、又は、下記の一般式で表される反応染料
を用いてセリシン定着と同時に染色を行うものである。 S−D−T−X 式1 ただし、Sは分子に水溶性を与えるスルフォン酸基、カ
ルボキシル基、置換されていてもよいピリジニオ基など
の水溶性基、Dは染料母体、Tは反応性基Xと染料母体
Dとの連結基、そして、Xはハロゲン元素、置換されて
いてもよいピリジニオ基、一般式2(式中、R1は水素
原子又は置換されていてもよい低級アルキル基を表し、
A1は置換されていてもよいフェニレン基、ナフチレン
基又はアレキレン基を表し、Y1は−SO2・CH=C
H2又は−SO2・CH2・CH2・Q1を表すが、こ
こでQ1はアルカリの作用によって離脱する基を表
す。)で表される反応性基、
【化4】 一般式3(式中、R2は水素原子又は置換されていても
よい低級アルキル基を表し、B1は置換されていてもよ
いフェニル基又はナフチル基を表す。)で表される反応
性基、
【化5】 一般式4、一般式5又は一般式6(式4−6中、R3、
R4、R5及びR6は互いに独立に水素原子又は置換さ
れていてもよい低級アルキル基、フェニル基又はナフチ
ル基を表すが、R3及びR4は一緒になって窒素原子又
は酸素原子を含む環を形成しても良い。)で示される反
応性基を表す。
【化6】 −OR5 式5 −SR6 式6
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1−3の
いずれか1項に記載のセリシン定着糸を用いる先染め後
練り方式の絹織編物製造方法において、さらに、セリシ
ンを除去した布を染色槽に浸して後染めする後染め工程
を備えて構成されている。請求項5に記載の発明は、請
求項1−4のいずれか1項に記載のセリシン定着糸を用
いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法において、染
色工程において、複数色の先染セリシン定着生糸を得
て、これを経糸及び/又は緯糸に用いて所望の織り模様
を形成してなることを特徴とする。請求項6に記載の発
明は、請求項2−5のいずれか1項に記載のセリシン定
着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法にお
いて、酵素精練工程の後に、さらに、酵素精練された布
を湯槽で洗い酵素を除去する仕上げ精練工程を含んでな
ることを特徴とする。請求項7に記載の発明は、請求項
6に記載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の
絹織編物製造方法において、仕上げ精練工程の中で柔軟
処理、撥水処理を併せて行うようにしてなることを特徴
とする。本発明の第三の態様は、請求項1〜7のいずれ
か1項に記載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方
式の絹織編物製造方法によって製造された絹織編物を提
供する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るセリシン定着
糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法及びそ
れによって製造された絹織編物について詳細に説明す
る。まず、従来と同様に、生糸を用意し、これら生糸を
綛揚状態、コーン状態又はチーズ状態に小さく纏めて、
セリシン定着法を用いて絹繊維の芯となっているフィブ
ロインの周囲を覆っている鞘状のセリシンを該フィブロ
インに定着させる。セリシン定着法としては、アルデヒ
ド類、重金属塩類、タンニン、合成樹脂加工又は塩化シ
アヌール若しくはその誘導体を用いる方法のいずれもが
適用できる。が、環境汚染や人体への影響のない塩化シ
アヌール若しくはその誘導体を用いる方法が好ましい。
塩化シアヌール又はその誘導体は、同じくたんぱく質で
あるセリシン、フィブロインを構成しているポリペプチ
ドの鎖状連鎖高分子間において骨格トリアジン構成によ
る強力な化学結合を形成する。アルデヒド類等の他の定
着剤も各ポリペプチドの鎖状連鎖高分子間において化学
結合を作る。
【0014】これにより、セリシンがフィブロインに定
着固定されると共に、セリシンを構成するポリペプチド
の鎖状連鎖高分子同志及びフィブロインを構成するポリ
ペプチドの鎖状連鎖高分子同志も相互に定着固定され
る。しかる後、各種染料(染料の種類についは特に限定
なし)を用いて、セリシンを定着させたまま、セリシン
及びフィビィロインを同一色に染色する。あるいは、ジ
クロロトリアジン類等の反応染料を用いてセリシン定着
と染色とを同時に行うこともできる。
【0015】反応染料としては、下記の一般式で表され
る反応染料を用いることができる。 S−D−T−X 式1 ただし、Sは分子に水溶性を与えるスルフォン酸基、カ
ルボキシル基、置換されていてもよいピリジニオ基など
の水溶性基、Dは染料母体、Tは反応性基Xと染料母体
Dとの連結基、そして、Xはハロゲン元素、置換されて
いてもよいピリジニオ基、一般式2(式中、R1は水素
原子又は置換されていてもよい低級アルキル基を表し、
A1は置換されていてもよいフェニレン基、ナフチレン
基又はアレキレン基を表し、Y1は−SO2・CH=C
H2又は−SO2・CH2・CH2・Q1を表すが、こ
こでQ1はアルカリの作用によって離脱する基を表
す。)で表される反応性基、
【化7】 一般式3(式中、R2は水素原子又は置換されていても
よい低級アルキル基を表し、B1は置換されていてもよ
いフェニル基又はナフチル基を表す。)で表される反応
性基、
【化8】 一般式4、一般式5又は一般式6(式4−6中、R3、
R4、R5及びR6は互いに独立に水素原子又は置換さ
れていてもよい、例えば、炭素数1−4のアルキル基
等、フェニル基又はナフチル基を表すが、R3及びR4
は一緒になって窒素原子又は酸素原子を含む環を形成し
ても良い。)で示される反応性基を表す。
【化9】 −OR5 式5 −SR6 式6
【0016】式1におけるハロゲン元素としては、塩素
原子、フッ素原子等を挙げることができる。また、ピリ
ジニオ基としては、カルボキシ基又はカルバモイル基に
よって置換されていてもよいピリジニオ基等を挙げるこ
とができる。R1、R2の低級アルキル基としては、1
−4個の炭素数を有するアルキル基を挙げることがで
き、これらは、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ
基、ハロゲン基、カルボキシ基、カルバモイル基、アル
コキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、ス
ルホ基、スルファモイル基等の基により置換されていて
も良い。また、一般式2で示される基のA1としては、
好ましくは、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、塩
素原子、臭素原子及びスルホ基の群から選ばれた1又は
2個の置換基により置換されていてもよいフェニレン基
及びスルホ基により置換されていてもよいナフチレン基
等を挙げることができる。また、一般式3で示される基
のB1としては、好ましくは、メチル、エチル、メトキ
シ、エトキシ、塩素原子、臭素原子及びスルホ基の群か
ら選ばれた1又は2個の置換基により置換されていても
よいフェニル基及びスルホ基により置換されていてもよ
いナフチル基等を挙げることができる。
【0017】上記いずれかの方法によって得られた先染
セリシン定着生糸は、しかる後、下撚りを掛け、綛揚の
場合は糸繰りをして、また、チーズ又はコーンの場合は
そのまま合糸、撚糸をかけて撚り止めを行う。撚りの掛
け方は、片撚り、諸撚り、特殊撚りなど従来周知の種々
の方法を採用することができ、それにより、種々の太
さ、特質の糸とすることができる。このように、緯糸及
び経糸を強撚糸とすることができるため、先染めジャガ
ード製品も可能となる。先染セリシン定着生糸を強撚糸
とすると、特に、素緯(片撚糸、S、Z)は復元力が強
く、織物とした時にシワになり難く、また、ストレッチ
性を持たせることができる。なお、染色の時期は、上述
したような絹繊維の状態において行う場合の他、絹繊維
を合糸した後撚糸前に、又は、撚糸後に行うこともでき
る。
【0018】このような強撚りを掛けた先染セリシン定
着生糸を用い、織機又は編機により織編物を製造する。
本発明では、先染セリシン定着生糸を用いて製織又は製
編するため、布地になった後には、従来のような染色工
程を必要としない。従って、上述したような染色に起因
する色むら、スレ、シワ、オレなどの疵の発生する可能
性がなくなり、高い品質の所望幅、例えば、150cm
の布地を製造することが可能となる。また、150cm
巾の織物の完成は、日本における既存のアパレル縫製シ
ステムに合致し、縫製が容易となる。150cm巾の織
物は、前述の様に114cm巾の織物より縫製ロスの発
生が少なくなるため、このような洋服地から作られる製
品の単価を下げることができるという効果を有する。
【0019】このような先染めセリシン定着生糸を用い
て製織又は製編した布を、従来の後染め染色の場合のよ
うに、石鹸アルカリ精練しても、セリシンを分解するこ
とができない。そこで、本発明では、製織り又は製編み
した布を、アルカリ重炭酸ソーダ(ラーゼンパワーI、
IIなどの溶剤を溶かした湯)に浸して膨潤し糸の体積
を大きくした後、セリシンを分解することができる酵
素、例えば、アルカラーゼ、セリアーゼにより処理して
セリシンを取り除き、しかる後、酵素精練された布を湯
槽で洗い酵素を除去して仕上げ精練を行う。
【0020】なお、膨潤工程に際して、高圧ガマなどを
利用して圧力下で膨潤工程を行う場合、湯温度を100
℃以上とすることでき、これにより、膨潤に要する時間
を短縮することができる。2気圧で110℃の高圧ガマ
を用いた場合、膨潤工程に要する時間を60〜120分
とし、一方、1気圧で98℃の常温ガマを用いた場合、
膨潤工程に要する時間を120〜180分とすることが
好ましい。酵素精練は、酵素の作用を最大限に引き出す
ためには60℃以下で行うことが好ましく、酵素精練に
要する時間は、60〜180分程度である。60℃以上
に温度を上げると、酵素が死んでしまいセリシンの分解
という本発明独特の効果が得られなくなる。また、仕上
げ精練は、100℃付近の比較的高温で行うことが好ま
しく、仕上げ精練に要する時間は、60分程度である。
【0021】次に、必要に応じて、従来と同様に乾燥仕
上げ並びにテンター、柔軟及び撥水仕上げなどの各種仕
上げ処理を行い、完成品たる絹織物を得る。乾燥仕上げ
は、例えば、120℃の温風及び表面温度120℃のシ
リンダーを用いて行うことができる。なお、撥水仕上げ
とは、水をはじく処理で従来の方法では単価の上昇を伴
うため、通常特殊的にしか処理されていない。この理由
により、雨の時のシルク製品の着用はタブー視されてき
た。
【0022】さて、従来の後染め染色方法では、乾燥仕
上げがなされる段階では、水をはじいてしまうため撥水
処理ができず、また、テンター仕上げに際しても撥水処
理を行うことができない。乾燥、撥水及び柔軟仕上げ
は、一体のものであり、テンター仕上げはこれらのため
の溶剤や水を含んでいると布地を一定に乾燥仕上げでき
ないからである。従って、染色工程において、布地の巾
は狭くなっており、乾燥状態より巾広く仕上げなければ
ならない。乾燥仕上げでは、布地を横に引っ張る(巾出
し)ことはできないから、布地をそのままの状態で、乾
燥、撥水及び柔軟の処理を同時に行う。この時点で撥水
処理を後染めで行う場合、再度乾燥仕上げを施すことに
なる。しかし、一度水と溶剤のなかに戻すと、元の状態
に戻ってしまって(テンター仕上げの乾燥状態)布地が
一定にならない。このことが撥水処理できない理由であ
り、従来の後染め染色方法の欠点であった。
【0023】ここで、従来のセリシンを落とす精練加工
法によって、経糸及び緯糸からなる先染絹生糸を使用し
た織物を各600分(各10時間)間荒練り及び本練り
を行ったが、染色されたセリシンは分解しなかったとい
うことを実験により確認している。さらに、これら精練
加工工程中に布地と布地とが触れ合い表面にスレが発生
して高級和洋装布地として使用できる状態にはならなか
ったが、これに対して、先染セリシン定着生糸を用いた
織編物において、緯糸及び経糸の一方、又は両方を強撚
糸とし、98℃〜100℃の湯で精練すると、糸は長さ
方向に縮み緯糸及び経糸の交差位置において両糸が強い
力で接触し合った。これは、セリシンが自然界での定着
状態より強固になっていることを意味し、通常の石鹸ア
ルカリ精練ではセリシンを分解できなくなる。
【0024】このように、上述した従来の後染め染色に
おける精練方法(後練り)では、先染セリシン定着生糸
のセリシン分解は不可能である。従って、本発明の具体
例の特徴は、先染セリシン定着生糸で製織又は製編した
布に膨潤処理を施し酵素でセリシンを分解し易くした点
にあり、それにより、先染セリシン定着生糸のトルク並
びに組織にダメージを与えないようにした点にある。こ
の事により、先染セリシン定着生糸の持っている特殊性
を引き出せる結果となった。膨潤工程並びに酵素精練工
程における時間幅は、生糸の太さや撚糸の撚数、組織、
布の違いによる時間の変動を考慮したものである。
【0025】本発明の方法によって製造された織編物
は、従って、後染め織物とは全く違ったものとなる。以
下、それを詳細に説明する。絹100%の生糸を使用し
た織物は、従来は、加工技術の問題、製織企画の問題、
整理、精練の問題で後染めの織物(38cm〜114c
m)が主体であった。しかし、本発明により、先染セリ
シン定着生糸を使用する事によって、セリシンを定着し
たままでの合糸撚糸が可能となり、染色工程での問題点
を回避した織編物が製造可能となった。さらに、強撚糸
を使用する事により、生糸独特のツヤを持った上に防シ
ワ性及びストレッチ性、撥水処理をなされた新しい特性
を付加した新しいタイプの織編物が完成される。また、
和装地において、揆水加工は各種の加工で補ってきた
が、本発明では、最終仕上げ段階で揆水処理が可能とな
った。
【0026】本発明の好ましい実施態様は、セリシンを
分解することができる酵素、例えば、アルカラーゼ、セ
リアーゼにより処理してセリシンを取り除く工程又は酵
素精練された布を湯槽で洗い酵素を除去して仕上げ精練
を行う工程の後に、布を染色槽に浸して後染めする後染
め工程を付加して構成されてなることをも特徴とする。
一般に、絹100%の黒の後染めは、物質的に非常に堅
ろう度が悪く、PL法施行段階ではデメリット表示をし
なければならない。すなわち、和装地は、生糸を製織り
又は製編みして布とし、しかる後、精練加工によりセリ
シンを落として白地状態にしてから後染め処理が行われ
るが、これが堅ろう度が悪くなる原因となっている。従
って、従来の絹織編物では基本的には濃色は堅ろう度が
悪い状況下にあり、また、インナー等には、洗濯、ドラ
イクリーニングでの色落ちの問題や汗が原因での変色な
どのため淡色が主であった。本発明では、先染セリシン
定着生糸によって製織又は製編して先染生糸を用いた織
編物とし、これを膨潤工程及び酵素精練工程を経ること
によりセリシンを分解する。この状態で、すでに、織編
物は黒色、濃色、淡色に先染めされているが、さらに、
その上からオーバダイ、すなわち、後染め処理をすれ
ば、先染された織編物とは異なる深い色が出ると共に、
堅ろう度も良好な結果が得られる。これにより、新しい
和装地が完成される。
【0027】表1は、後染め染色による従来の絹100
%の織物と本発明による先染生糸を使用した織編物との
特性を比較して纏めたものである。
【表1】 次に、他繊維との複合織物について説明する。本発明方
法によれば、セリシンを定着させた状態で絹を先染めし
ても製織り又は製編み後に生糸のセリシンを酵素によっ
て分解できるため、複合織物の糸として先染のものを使
用できることとなった。すなわち、上述の例で言えば、
生糸を黒に先染め染色し、これとは別に、ウールも黒に
染色して製織り又は製編みして布とした後、先染セリシ
ン定着生糸のセリシンを落とせば同一色調の黒のシルク
とウールの複合織物(ファブリック)が完成する。すな
わち、本発明方法により、無地(同一色)のシルクとウ
ールの複合織物の開発が可能となり、コート地と)のシ
ルクとウールの複合織物の開発が可能となり、コート地
として新しい素材を提供することが可能となった。
【0028】次に、絹100%のニット、ラッセルの編
物について説明する。従来、絹100%のニット、ラッ
セルの編物は、主に、絹紡糸を用いて行われてきた。こ
れは、高価な生糸を使用しても同じ色にしか染色できな
かったため商品価値を高めることができなかったことに
よる。また、絹紡糸を用いると、物性的にも堅ろう度も
悪くなりこれも商品価値を下げる原因となっていた。本
発明方法によれば、先染セリシン定着生糸を用いること
ができるから2色、3色の色違い生糸を用いて、しか
も、絹紡糸ではない生糸から作られたニットジャガード
等の新しいタイプの編み物(ファブリック)を提供でき
ることとなった。
【0029】従来技術における先染めは、生糸のセリシ
ンを分解した後、製織又は製編して織編物とするため、
織編物の特性を良くする手法としては使用する糸を双糸
とする程度のことしか対応できない欠点を有していた。
この程度の対応では、完成したファブリックでのスレ、
シワ、オレなどの疵に対応ができたとは言えず、又、布
の補修も不可能であった。本発明方法によれば、製織又
は製編に使用する先染セリシン定着生糸はセリシンが定
着している状態のため、双糸とするだけでなく緯糸を強
撚糸とするなど種々の対応が可能となり、また、糸のセ
ット性も良好である。そして、セリシンを分解する工程
での疵の発生率を最小限にくいとめれば完全なファブリ
ックを作ることができる。
【0030】
【実施例1】生糸21中(21デニール)を6本合糸し
て、綛状態にて塩化シアヌールを用いてセリシン定着を
行い、しかる後、黒色に先染染色した。塩化シアヌール
は反応性の強い化合物であるため、反応速度を早くなり
過ぎるのを防止するために加工槽の水温を20℃以下と
した。その後、撚糸にて強撚糸を製造した。21D/6
(126デニール)S.Z.2000t/m)。この先
染生糸を使用して、 経糸総本数 8880本 耳内糸本数 8760本 整経長 63m 箴巾 74インチ 箴入れ 30羽/インチ4本入り 織卸し 100本/インチ 組織図(Wジョーゼット) とした。
【0031】この規格において21/6本、S2000
t/m,Z2000t/mを2本交互に整経(経糸)
し、 織機 、ピカノールGTM 回転数 340回転/分で運転した。 同様に、Wジョーゼトの組織通りに、21/6本、S2
000t/m,Z2000t/mを2本交互に挿入(緯
糸)した。織上がった洋装地を下記の条件1−3にて精
練した。 1.膨潤処理(ラーゼンパワー1.、2.) 高圧ガマ 110℃ 180 分 2.酵素精練(セリアーゼ) 55℃ 180分 3.仕上げ精練 常温ガマ 98℃ 60分 4.乾燥仕上げ 温風乾燥 1 20分 柔軟処理、撥水処理 テンター仕上げ 5.織物完成
【0032】出来上がった織物規格は、織物仕上げ巾1
50cm、目付219g/m2,51匆付で、京都府織
物指導所(京都府中郡峰山町字丹波/試験担当小林哲)
作成の平成7年12月26日付け染色堅ろう度試験成績
書に記載の測定結果を表2に記載した。
【表2】 測定結果を検討すると、カーボアーク燈光試験において
実施例1の織物は、変退色8級となっている。従来の後
染めによる黒色絹織物が、3〜4級程度であったのと比
較すると、格段に特性が向上している。摩擦試験の結果
も、実施例1の織物は、乾燥状態で5級、湿潤状態で4
級となっている。従来の後染めによる黒色絹織物が、乾
燥状態で2〜3級、湿潤状態で1〜2級程度であったの
と比較すると、この点でも特性が向上している。
【0033】従来の後染めによる黒色絹織物は、洗濯、
ドライクリーニングともできないため比較データは存在
しないが、実施例1の織物では、洗濯試験及びドライク
リーニングにおける変退色は4〜5級及び5級、汚染は
5級(絹)及び3〜4級(レーヨン)となっており、洋
装地として実施例1の織物を使用できることを示唆して
いる。汗試験A法では、実施例1の織物は、酸性及びア
ルカリ性のいずれの試験において従来の後染めによる黒
色絹織物とほぼ同等の特性を示している。
【0034】
【実施例2】染色が淡いベージュである点を除いて実施
例1と同じ織物につき、京都府以外の公的検査機関であ
る財団法人日本染色検査協会一宮検査所(試験担当菅野
検査官)作成の平成9年3月31日付け染色堅ろう度試
験鑑定証明書(9日染宮検試証第802号)に記載の測
定結果を表3に記載した。
【表3】
【0035】
【実施例3】染色がグリーンベージュである点を除いて
実施例1と同じ織物につき、京都府以外の公的検査機関
である財団法人日本染色検査協会一宮検査所(試験担当
菅野検査官)作成の平成9年3月31日付け染色堅ろう
度試験鑑定証明書(9日染宮検試証第802号)に記載
の測定結果を表3に記載した。測定結果を検討すると、
実施例2及び実施例3のものは、実施例1に比較しても
耐光性の点を除いて全ての項目で優れた特性を示した。
耐光性が実施例1のものに比べて十分でない理由は、実
施例1のものが黒色染色であるのに対し、実施例2、3
のものがカラー染料で染色したもので、染料そのものが
異なったためであると推測される。実施例1の織物で
は、洗濯試験における変退色、汗試験A法における酸性
及びアルカリ性の汚染は4〜5級であり、また、ドライ
クリーニングにおける汚染は3〜4級(レーヨン)とな
っていたが、実施例2及び実施例3では、いずれも5級
となっており、特性がさらに優れたものとなった。な
お、表4は、実施例3である織物の他の特性について記
載したものである。
【表4】
【0036】
【実施例4】生糸21中(21デニール)を6本合糸し
て、チーズに巻上げ、チーズ状態のまま塩化シアヌール
を用いてセリシン定着を行い、しかる後、黒色に先染染
色した。その後、撚糸にて強撚糸を製造した。21D/
6(126デニール)S.Z.1250t/m。この先
染生糸を使用して、 経糸総本数 7920本 耳内糸本数 7800本 整経長 63m 箴巾 66インチ 箴入れ 30羽/インチ4本入り 織り卸し 86本/(インチ) 組織図(Wクレープ)
【0037】この規格において21/6本、S1250
t/m、Z1250t/mを1本交互に整経(経糸)
し、 織機、 豊和工業ベルサマット 回転数 200回転/分で運転した。 同様に、Wクレープの組織通りに、21/6本、S12
50t/m,Z1250t/mを1本交互に挿入(緯
糸)した。織上がった洋装地を下記の条件1−3にて精
練した。 1.膨潤処理 常温ガマ 98℃ 120分 2.酵素精練 55℃ 120分 3.仕上げ精練 常温ガマ 98℃ 60分 4.乾燥し上げ シリンダー乾燥(表面温度120 ℃) 5.柔軟処理、撥水処理 テンター仕上げ 6.織物完成 出来上がった織物規格は、織物仕上げ巾150cm、目
付122.2g/m2,28.5匆付で、京都府織物指
導所(京都府中郡峰山町字丹波/試験担当小林哲)作成
の平成7年11月24日付け染色堅ろう度試験成績書に
記載の測定結果も表2に記載した。実施例4の織物の各
種特性は、実施例1の織物のものとほぼ等しい結果とな
っている。
【0038】
【実施例5】実施例1−3の織物と同規格の21/6本
(126デニール)S.Z.2000t/mの先染セリ
シン定着生糸を使用して、福原WSニット機(シイング
ルニット)に、S.Z.1本交互にて20本のコーン巻
きされた先染生糸を毎分28回転で編み上げた。編上げ
生地巾は、191cmで、この編物を下記の条件1−2
にて精練した。 1.膨潤処理 常温ガマ 98℃ 120分 2.酵素精練 55℃ 120分 3.撥水、柔軟処理 4.編物完成(仕上げ巾160cm)
【0039】このようにして得られた編物は、表5に示
したように全ての項目で4級以上の成績を収めており、
実用的な意味での欠点はないという結果となった。
【表5】 前述した従来の先染生糸を用いた編物は、生糸のセリシ
ンを除去した後染色し、それを用いて製編みするもので
あったため、先染生糸を強撚糸とすることができず、横
方向のみのストレッチ効果しか得られなかった。実施例
5の編物は、縦方向にも先染生糸の持っている弾力性
(トルク)によりストレッチ効果が発揮される。従っ
て、現状の立体縫製を施して裁断される洋装地並びイン
ナー商品にも、この縦方向のストレッチ効果により使用
可能となり、絹編物として新分野を開拓することができ
る。又、ストレッチ後の復元能力も、従来の生糸及び絹
紡糸を用いた編物に比べて高くなった。
【0040】なお、実施例1〜5とも、本発明において
用いる先染セリシン定着生糸、すなわち、セリシンを定
着した状態でフィビィロインと共に同一色に染色された
生糸は、製織又は製編した後、膨潤処理及び酵素精練工
程を経てセリシンを分解することができるため、従来の
絹織物、絹編物の染色、風合いをより高い品質のレベル
で達成することができた。更に、従来の絹100%の黒
の後染め織編物は、和装地、洋装地共に非常に堅ろう度
が悪く、悪天候時には絹の着物、洋服を着用することは
タブー視されてきた。本発明の実施例1〜4の織物によ
れば、カーボンアーク燈光試験、摩擦試験、洗濯試験、
ドライクリーニング試験など従来の後練り織物の常識を
覆す結果となった。
【0041】
【発明の効果】本発明方法によれば、合糸前、合糸後で
あって撚糸前又は撚糸後に、セリシン定着法を用いて絹
繊維の芯となっているフィブロインの周囲を覆っている
鞘状のセリシンを該フィブロインに定着させた後、又
は、それと同時にセリシン及びフィブロインを同一色に
染色して先染セリシン定着生糸を作る糸製造工程と、先
染セリシン定着生糸を用いて製織又は製編して布を製造
する布製造工程と、そして、布を構成する先染セリシン
定着生糸のセリシンを精練し除去する後練り工程とを備
えて構成されてなるため、後染め染色に起因する色む
ら、スレ、シワ、オレなどの疵の発生する可能性がなく
なり、堅ろう度等も後染めと比較しても格段の効果を持
ち、PL法対策に対しても充分対応でき、高い品質の且
つ150cmの広巾の布地を製造することが可能となる
という効果を有する。更に、撥水効果の顕著な布地も製
造できる。
【0042】本発明の好ましい態様に係る方法によれ
ば、酵素精練工程の後に、布を染色槽に浸して後染めす
る後染め工程をさらに備えて構成されてなるため、先染
された織編物とは異なる深い色が出ると共に堅ろう度も
良好な新しい和洋装地が完成される効果がある。本発明
の第三の態様に係る織編物によれば、150cmの広巾
の布地とすることができるため、日本における既存のア
パレル縫製システムに合致し、縫製が容易となる効果が
ある。また、先染セリシン定着生糸を強撚糸とすること
により、生糸独特のツヤを持った上に防シワ性及びスト
レッチ性などの新しい特性を付加した新しいタイプの織
物が完成される。また。編物も、横方向だけでなく縦方
向にもストレッチ効果を持つ新しいタイプのものが完成
される。従って、本発明の産業利用上価値は、極めて高
いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H057 AA01 AA02 BA07 CA38 CA90 CB03 CB11 CC01 CC03 DA01 DA21 DA33 DA34 GA07 GA11 GA13 GA21 GA90 4L033 AA03 AB05 AB06 AC01 AC15 BA58 CA08 4L048 AA12 AB07 AB19 BA01 CA00 DA02 EB00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合糸前、合糸後であって撚糸前又
    は撚糸後に、セリシン定着法を用いて絹繊維の芯となっ
    ているフィブロインの周囲を覆っている鞘状のセリシン
    を該フィブロインに定着させた後、又は、それと同時に
    セリシン及びフィブロインを同一色に染色して先染セリ
    シン定着生糸を作る糸製造工程と、 前記先染セリシン定着生糸を用いて製織又は製編して布
    を製造する布製造工程と、そして、 布を構成する先染セリシン定着生糸のセリシンを精練し
    除去する後練り工程と、 を備えて構成されてなるセリシン定着糸を用いる先染め
    後練り方式の絹織編物製造方法。
  2. 【請求項2】 合糸前、合糸後であって撚糸前又
    は撚糸後に、セリシン定着法を用いて絹繊維の芯となっ
    ているフィブロインの周囲を覆っている鞘状のセリシン
    を該フィブロインに定着させた後、又は、それと同時に
    セリシン及びフィブロインを同一色に染色して先染セリ
    シン定着生糸を作る糸製造工程と、 前記先染セリシン定着生糸を用いて製織又は製編して布
    を製造する布製造工程と、 湯槽内に浸して布を構成する先染セリシン定着生糸を膨
    潤する膨潤工程と、そして、 湯槽内で酵素で布を処理し、先染セリシン定着生糸のセ
    リシンを分解して実質的にフィブロインのみからなる布
    とする酵素精練工程と、 を備えて構成されてなるセリシン定着糸を用いる先染め
    後練り方式の絹織編物製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のセリシン
    定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法に
    おいて、前記糸製造工程の染色は、塩化シアヌール若し
    くはその誘導体を用いてセリシン定着を行いしかる後染
    色を行う、又は、下記の一般式で表される反応染料を用
    いてセリシン定着と同時に染色を行うものであるセリシ
    ン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方
    法。 S−D−T−X 式1 [ただし、Sは分子に水溶性を与えるスルフォン酸基、
    カルボキシル基、置換されていてもよいピリジニオ基な
    どの水溶性基、Dは染料母体、Tは反応性基Xと染料母
    体Dとの連結基、そして、Xはハロゲン元素、置換され
    ていてもよいピリジニオ基、一般式2(式中、R1は水
    素原子又は置換されていてもよい低級アルキル基を表
    し、A1は置換されていてもよいフェニレン基、ナフチ
    レン基又はアレキレン基を表し、Y1は−SO2・CH
    =CH2又は−SO2・CH2・CH2・Q1を表す
    が、ここでQ1はアルカリの作用によって離脱する基を
    表す。)で表される反応性基、 【化1】 一般式3(式中、R2は水素原子又は置換されていても
    よい低級アルキル基を表し、B1は置換されていてもよ
    いフェニル基又はナフチル基を表す。)で表される反応
    性基、 【化2】 一般式4、一般式5又は一般式6(式4−6中、R3、
    R4、R5及びR6は互いに独立に水素原子又は置換さ
    れていてもよい低級アルキル基、フェニル基又はナフチ
    ル基を表すが、R3及びR4は一緒になって窒素原子又
    は酸素原子を含む環を形成しても良い。)で示される反
    応性基を表す。] 【化3】 −OR5 式5 −SR6 式6
  4. 【請求項4】 請求項1−3のいずれか1項に記
    載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編
    物製造方法において、さらに、セリシンを除去した布を
    染色槽に浸して後染めする後染め工程を備えて構成され
    てなるセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織
    編物製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1−4のいずれか1項に記
    載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編
    物製造方法において、前記染色工程において、複数色の
    先染セリシン定着生糸を得て、これを経糸及び/又は緯
    糸に用いて所望の織り模様を形成してなるセリシン定着
    糸を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2−5のいずれか1項に記
    載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編
    物製造方法において、酵素精練工程の後に、さらに、酵
    素精練された布を湯槽で洗い酵素を除去する仕上げ精練
    工程を含むようにしてなるセリシン定着糸を用いる先染
    め後練り方式の絹織編物製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のセリシン定着糸
    を用いる先染め後練り方式の絹織編物製造方法におい
    て、前記仕上げ精練工程の中で柔軟処理、撥水処理を併
    せて行うようにしてなるセリシン定着糸を用いる先染め
    後練り方式の絹織編物製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記
    載のセリシン定着糸を用いる先染め後練り方式の絹織編
    物製造方法によって製造された絹織編物。
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