WO2022269865A1

WO2022269865A1 - 工具保持システム

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Publication number: WO2022269865A1
Application number: PCT/JP2021/023970
Authority: WO
Inventors: 健二隅岡; 勝樹金岩; 成弘入野
Original assignee: Dmg森精機株式会社
Priority date: 2021-06-24
Filing date: 2021-06-24
Publication date: 2022-12-29
Also published as: CN117545588A

Abstract

工具保持システムは、工具保持部（５１）に保持された工具をロックするためのロック機構部（６００）を備える。ロック機構部（６００）は、工具と係合し、工具をロックする第１位置（Ｐａ）と、第１位置（Ｐａ）から退避し、工具のロックを解除する第２位置との間で動作可能な係合部（５３１）と、係合部（５３１）を第１位置（Ｐａ）に向けて付勢する第３位置（Ｐｃ）と、第３位置（Ｐｃ）から退避し、係合部（５３１）に対する付勢を解除する第４位置との間で動作可能な付勢部材（５４１）と、係合部（５３１）と接触し、第１位置（Ｐａ）から第２位置に向けた係合部（５３１）の動作を規制し、係合部（５３１）を第１位置（Ｐａ）に保持する第５位置（Ｐｅ）と、第５位置（Ｐｅ）から退避し、第１位置（Ｐａ）および第２位置の間における係合部（５３１）の動作を許容する第６位置との間で動作可能な規制部材（５５１）とを有する。

Description

工具保持システム

　この発明は、工具保持システムに関する。

　たとえば、特開２００６－１１６６９８号公報（特許文献１）には、工具が着脱可能に装着される主軸と、複数のツールポット（登録商標）を有する工具マガジンと、ツールポットを、工具マガジン内の工具取り出し位置、および、工具交換位置の間で搬送するポット搬送装置と、工具交換位置に配置されたツールポット、および、主軸の間で工具を交換する工具交換装置とを備える工作機械が開示されている。

特開２００６－１１６６９８号公報

　上述の特許文献１に開示される工作機械においては、ツールポットに、工具のプルスタッドに係合して工具の脱落を防ぐためのボールが設けられている。このような工具をロックするための機構を備えたツールポットにおいては、ツールポットの使用形態に応じて、ツールポットに保持する工具をロックするロック状態が必要とされたり、ツールポットに保持する工具をロックする一方で、一定以上の外力を受けた場合に工具のロックを解除する半ロック状態が必要とされたり、工具のロックを解除するアンロック状態が必要とされたりする。

　たとえば、ツールポットが工具マガジンに格納される場合、または、ツールポットがポット搬送装置により搬送される場合、ツールポットの移動に伴って工具に過大な慣性力が加わることが想定されるため、工具のロック状態が必要とされる。また、工具交換装置により工具交換が行なわれる場合、ツールポットからの工具の脱落を防ぎつつ、ツールポットに対する工具の円滑な着脱を可能とするために、工具の半ロック状態が必要とされる。また、工具交換を目的に、工具マガジン内に格納されたツールポットに対して工具を手動により着脱する場合、工具のアンロック状態が必要される。

　そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、工具のロック状態、半ロック状態およびアンロック状態を選択的に実現することが可能な工具保持システムを提供することである。

　この発明に従った工具保持システムは、工具を保持するための工具保持部と、工具保持部に設けられ、工具保持部に保持された工具をロックするためのロック機構部とを備える。ロック機構部は、工具と係合し、工具をロックする第１位置と、第１位置から退避し、工具のロックを解除する第２位置との間で動作可能な係合部と、係合部と接触し、係合部を第１位置に向けて付勢する第３位置と、第３位置から退避し、係合部に対する付勢を解除する第４位置との間で動作可能な付勢部材と、係合部と接触し、第１位置から第２位置に向けた係合部の動作を規制し、係合部を第１位置に保持する第５位置と、第５位置から退避することにより、第１位置および第２位置の間における係合部の動作を許容する第６位置との間で動作可能な規制部材とを有する。

　このように構成された工具保持システムによれば、規制部材を第５位置に動作させることによって、係合部が、規制部材により第１位置に保持される。これにより、工具をロックするロック状態を実現することができる。また、付勢部材を第３位置に動作させ、規制部材を第６位置に動作させることによって、係合部が、第１位置および第２位置の間における動作が許容された状態で、付勢部材により第１位置に向けて付勢される。これにより、工具をロックしつつ、一定以上の外力を受けた場合に工具のロックを解除する半ロック状態を実現することができる。また、付勢部材を第４位置に動作させ、規制部材を第６位置に動作させることによって、係合部が、第１位置および第２位置の間における動作が許容された状態で、付勢部材による第１位置に向けた付勢が解除される。これにより、係合部を第２位置に配置可能となり、工具のロックを解除するアンロック状態を実現することができる。

　また好ましくは、工具保持システムは、工具保持部に保持される工具を交換するための自動工具交換装置をさらに備える。自動工具交換装置による工具交換時、規制部材は、第６位置に配置され、付勢部材は、第３位置に配置される。

　このように構成された工具保持システムによれば、自動工具交換装置による工具交換時、工具の半ロック状態を得ることによって、工具保持部からの工具の脱落を防ぎつつ、工具保持部に対する工具の円滑な着脱を可能にできる。

　また好ましくは、工具保持部に保持される工具の手動による交換時、規制部材は、第６位置に配置され、付勢部材は、第４位置に配置される。

　このように構成された工具保持システムによれば、工具保持部に保持される工具の手動による交換時、工具のアンロック状態を得ることによって、工具保持部に対して工具を容易に着脱することができる。

　また好ましくは、工具保持システムは、所定平面内で無端状に並ぶ複数の工具保持部と、複数の工具保持部を所定平面内で周回動作させる搬送機構部とをさらに備える。搬送機構部による複数の工具保持部の搬送時、規制部材は、第５位置に配置され、付勢部材は、第３位置または第４位置に配置される。

　このように構成された工具保持システムによれば、搬送機構部による複数の工具の周回動作時、工具のロック状態を得ることによって、工具が工具保持部から脱落することを防止できる。

　また好ましくは、工具は、各工具保持部に対して、所定軸を中心にしてその軸方向に挿抜される。所定軸の軸方向は、所定平面に含まれる。

　このように構成された工具保持システムによれば、搬送機構部による複数の工具の周回動作時、工具に対して工具保持部から抜ける方向の遠心力が作用する場合がある。このため、工具のロック状態を得ることによって、工具が工具保持部から脱落することをより確実に防止できる。

　また好ましくは、工具は、工具保持部に対して、所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第１方向に挿入され、第１方向とは反対方向であって、所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第２方向に抜き出される。係合部は、ボールである。ロック機構部は、所定軸の半径方向に貫通し、ボールが配置される開口部が設けられ、所定軸の半径方向にスライド動作が可能なようにボールを支持する支持部材をさらに有する。

　１つの局面として、付勢部材は、所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であるプランジャである。プランジャは、所定軸を中心にしてその軸方向に延在し、第１方向にシフトするほど小さくなる直径を有し、ボールよりも所定軸の半径方向内側に配置されるテーパ面を含む。規制部材は、所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であり、プランジャから第１方向に隣り合った位置に設けられるピストンである。ピストンは、所定軸の半径方向外側に向けて延出し、ボールよりも所定軸の半径方向内側に配置される鍔部と、鍔部から第１方向に隣り合った位置に設けられ、鍔部よりも所定軸の半径方向内側に向けて凹む形状を有する凹部とを含む。

　別の局面として、付勢部材は、所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であるプランジャである。プランジャは、所定軸を中心にしてその軸方向に延在し、第１方向にシフトするほど大きくなる直径を有し、ボールよりも所定軸の半径方向外側に配置されるテーパ面を含む。規制部材は、所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であり、プランジャから第１方向に隣り合った位置に設けられるピストンである。ピストンは、所定軸の半径方向内側に向けて延出し、ボールよりも所定軸の半径方向外側に配置される鍔部と、鍔部から第１方向に隣り合った位置に設けられ、鍔部よりも所定軸の半径方向外側に向けて凹む形状を有する凹部とを含む。

　ロック機構部は、プランジャに対して第１方向の弾性力を作用させる第１弾性部材と、ピストンに対して第２方向の弾性力を作用させる第２弾性部材とをさらに有する。第１弾性部材の弾性力が作用されたプランジャと、第２弾性部材の弾性力が作用されたピストンとが、所定軸の軸方向において互いに当接した場合に、プランジャが第３位置に配置され、ピストンが第５位置に配置され、ボールが、鍔部と当接することによって第１位置に保持される。

　このように構成された工具保持システムによれば、工具のロック状態を実現することができる。この際、第１弾性部材および第２弾性部材の弾性力によって、ロック機構部のホームポジションが工具のロック状態とされるため、不慮の事態によって工具が工具保持部が抜けることを防止できる。

　また好ましくは、第６位置は、第５位置に対して第１方向の側に位置する奥側第６位置を含む。工具保持システムは、ピストンを第５位置から奥側第６位置に向けて動作させる第１動作機構部をさらに備える。第１動作機構部により、ピストンが第５位置から奥側第６位置に向けて動作された場合に、プランジャが第３位置に配置され、ボールが、テーパ面と接触することによって第１位置に向けて付勢される。

　このように構成された工具保持システムによれば、第１動作機構部によりピストンを第５位置から奥側第６位置に向けて動作させることによって、ロック機構部をロック状態から半ロック状態に動作させることができる。

　また好ましくは、第６位置は、第５位置に対して第２方向の側に位置する手前側第６位置を含む。工具保持システムは、ピストンを第５位置から手前側第６位置に向けて動作させる第２動作機構部をさらに備える。第２動作機構部により、ピストンが第５位置から手前側第６位置に向けて動作された場合に、プランジャが、ピストンに押されることによって、第４位置に配置され、ボールが、凹部に進入することによって、第２位置に配置される。

　このように構成された工具保持システムによれば、第２動作機構部によりピストンを第５位置から手前側第６位置に向けて動作させることによって、ロック機構部をロック状態からアンロック状態に動作させることができる。

　以上に説明したように、この発明に従えば、工具のロック状態、半ロック状態およびアンロック状態を選択的に実現することが可能な工具保持システムを提供することができる。

この発明の実施の形態における工具保持システムを示す斜視図である。この発明の実施の形態における工具保持システムを示す別の斜視図である。図２中のＩＩＩ－ＩＩＩ線上の矢視方向に見た工具マガジンを示す断面図である。図２中の矢印ＩＶに示される方向に見た工具マガジンを示す正面図である。図１中の工具格納部を示す斜視図である。図１中の工具格納部を示す別の斜視図である。図１中のホイール部と、ホイール部に装着された複数の工具保持部とを示す斜視図である。図１中のホイール部と、ホイール部に装着された複数の工具保持部とを示す別の斜視図である。ホイール部の旋回駆動部を示す斜視図である。ホイール部の旋回駆動部を示す別の斜視図である。図４中の２点鎖線ＸＩで囲まれた範囲の工具マガジンおよび搬送装置を示す正面図である。図４中の矢印ＸＩＩにより示される方向に見た工具マガジンおよび搬送装置を示す側面図である。案内装置および送り装置の取り付け構造を示す斜視図である。案内装置および送り装置の取り付け構造を示す別の斜視図である。移動体を示す斜視図である。移動体を示す別の斜視図である。工具保持部の外観を示す斜視図である。ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態、工具無し）を示す断面図である。ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態）を示す断面図である。図１９中の２点鎖線ＸＸで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（半ロック状態）を示す断面図である。図２１中の２点鎖線ＸＸＩＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（アンロック状態）を示す断面図である。図２３中の２点鎖線ＸＸＩＶで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態、工具無し）を示す断面図である。ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態）を示す断面図である。図２６中の２点鎖線ＸＸＶＩＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（半ロック状態）を示す断面図である。図２８中の２点鎖線ＸＸＩＸで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（アンロック状態）を示す断面図である。図３０中の２点鎖線ＸＸＸＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。この発明の実施の形態における工具保持システムを示すさらに別の斜視図である。図３２中の矢印ＸＸＸＩＩＩに示される方向に見た工具保持システム（カバー体あり）を示す斜視図である。図３２中の２点鎖線ＸＸＸＩＶで囲まれた範囲の工具マガジンを示す斜視図である。図２中の２点鎖線ＸＸＸＶで囲まれた範囲の工具保持システムを示す斜視図である。

　この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。

　図１および図２は、この発明の実施の形態における工具保持システムを示す斜視図である。

　図１および図２を参照して、本実施の形態における工具保持システム１０は、工作機械に備わっている。工具保持システム１０は、ワークの加工に用いられる工具を保持するための装置であり、さらに、複数の工具を格納し、ワークの加工目的に応じて、格納された工具を順次、ワーク加工が行なわれる加工エリアに向けて搬送するための装置である。

　代表的な例として、工具保持システム１０を備える工作機械は、横形マシニングセンタである。工作機械は、立形マシニングセンタであってもよいし、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する複合加工機であってもよいし、ワークの付加加工（ＡＭ（Additive　manufacturing）加工）と、ワークの除去加工（ＳＭ（Subtractive　manufacturing）加工）とが可能なＡＭ／ＳＭハイブリッド加工機であってもよい。工作機械は、自動工具交換機能を有する刃物台を備えた旋盤であってもよい。

　工作機械は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたＮＣ（Numerically　Control）工作機械である。

　本明細書においては、工具保持システム１０の構成を説明する便宜上、水平方向に平行な軸を「Ｘ軸」といい、水平方向に平行で、かつ、Ｘ軸に直交する軸を「Ｚ軸」といい、鉛直方向に平行な軸を「Ｙ軸」という。

　まず、工具保持システム１０の全体構造について説明する。工具保持システム１０は、工具マガジン１２と、搬送装置１４と、自動工具交換装置１６（ＡＴＣ：Automatic　Tool　Changer）とを有する。工具マガジン１２は、複数の工具を格納する。

　自動工具交換装置１６は、アーム部１７を有する。アーム部１７は、Ｚ軸方向に平行な旋回中心軸を中心に旋回動作が可能で、かつ、その旋回中心軸の軸方向にスライド動作が可能なように構成されている。自動工具交換装置１６は、アーム部１７の動作に伴って、加工エリア外のＡＴＣ工具待機位置Ｋに位置決めされた搬送装置１４（後述する工具保持部５１）と、加工エリア内の工具主軸（不図示）との間で工具交換を行なう。

　搬送装置１４は、工具マガジン１２および自動工具交換装置１６の間で工具を搬送する。搬送装置１４は、工具マガジン１２におけるマガジン内工具搬送位置Ｊと、自動工具交換装置１６におけるＡＴＣ工具待機位置Ｋとの間において、工具を搬送する。搬送装置１４は、直線方向に工具を搬送する。搬送装置１４は、Ｘ軸方向に工具を搬送する。

　図３は、図２中のＩＩＩ－ＩＩＩ線上の矢視方向に見た工具マガジンを示す断面図である。図４は、図２中の矢印ＩＶに示される方向に見た工具マガジンを示す正面図である。

　図１から図４を参照して、工具マガジン１２は、工具格納部２１を有する。工具格納部２１は、複数の工具を格納可能なように構成されている。

　工具格納部２１は、ホイール部３１を有する。ホイール部３１は、Ｘ軸方向に平行な所定軸１１０を中心とするリング形状（ホイール形状）を有する。ホイール部３１は、所定軸１１０を中心にして旋回可能ように構成されている。

　ホイール部３１には、所定軸１１０の軸方向に貫通し、所定軸１１０の軸方向に見た場合に所定軸１１０を中心とする円形状を有する中空部が設けられている。所定軸１１０を中心とするホイール部３１の直径は、所定軸１１０の軸方向におけるホイール部３１の厚みよりも大きい。所定軸１１０を中心とするホイール部３１の半径は、所定軸１１０の軸方向におけるホイール部３１の厚みよりも大きい。

　ホイール部３１は、外周縁３１ｐを有する。外周縁３１ｐは、所定軸１１０の半径方向外側におけるホイール部３１の端部であって、所定軸１１０の周方向に延びている。

　工具格納部２１は、ホイール部３１の外周縁３１ｐに沿った位置で複数の工具を着脱可能に格納している。複数の工具は、各工具の回転中心軸が所定軸１１０の半径方向に延びる姿勢により、工具格納部２１に格納されている。複数の工具は、所定軸１１０を中心とする周方向に並ぶように、工具格納部２１に格納されている。

　なお、複数の工具は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、外周縁３１ｐと重なる位置に格納されてもよいし、外周縁３１ｐよりも所定軸１１０の半径方向内側の位置で格納されてもよいし、外周縁３１ｐよりも所定軸１１０の半径方向外側の位置で格納されてもよい。

　工具格納部２１は、複数の工具保持部５１をさらに有する。複数の工具保持部５１は、ホイール部３１に対して着脱可能なように装着されている。複数の工具保持部５１は、ホイール部３１の外周縁３１ｐに沿って設けられている。

　各工具保持部５１は、工具を保持可能なように構成されている。工具保持部５１は、全体として円筒形状を有し、その内部には工具をロックするための後述のロック機構部６００が設けられている。

　本実施の形態では、工具格納部２１が、工具保持部５１を介して工具を格納し、搬送装置１４が、工具保持部５１を介して、工具マガジン１２および自動工具交換装置１６の間で工具を搬送する。

　工具マガジン１２は、複数の工具格納部２１（２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃ，２１Ｄ，２１Ｅ，２１Ｆ）を有する。複数の工具格納部２１は、基本的には、互いに同じ構造を有する。

　複数の工具格納部２１は、所定軸１１０を中心にして、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）に並んでいる。工具格納部２１Ａ、工具格納部２１Ｂ、工具格納部２１Ｃ、工具格納部２１Ｄ、工具格納部２１Ｅおよび工具格納部２１Ｆは、挙げた順に、Ｘ軸方向に並んでいる。工具格納部２１Ａは、複数の工具格納部２１のうちで、ＡＴＣ待機位置Ｋに最も近くに配置されている。工具格納部２１Ｆは、複数の工具格納部２１のうちで、ＡＴＣ待機位置Ｋから最も離れて配置されている。

　図５および図６は、図１中の工具格納部を示す斜視図である。図７および図８は、図１中のホイール部と、ホイール部に装着された複数の工具保持部とを示す斜視図である。

　図１から図８を参照して、ホイール部３１は、基部３２と、テーパ部３３と、鍔部３４とを有する。

　基部３２は、所定軸１１０を中心とするリング形状を有する。基部３２は、所定軸１１０に直交する平面に平行に配置されている。基部３２は、所定軸１１０に直交する平面に対して斜めに配置されてもよい。

　テーパ部３３は、基部３２の外周縁に沿って、所定軸１１０を中心に帯状に延びている。テーパ部３３は、基部３２から所定軸１１０の半径方向外側、かつ、所定軸１１０の軸方向に延出している。テーパ部３３は、所定軸１１０に直交する平面に対して斜めに配置されている。

　鍔部３４は、テーパ部３３の外周縁に沿って、所定軸１１０を中心に帯状に延びている。鍔部３４は、テーパ部３３から所定軸１１０の半径方向外側に延出する鍔形状を有する。鍔部３４は、所定軸１１０に直交する平面に平行に配置されている。鍔部３４の外周縁が、ホイール部３１の外周縁３１ｐに対応している。

　ホイール部３１は、基部３２が鍔部３４に対して所定軸１１０の軸方向に段差をなすように構成されている。基部３２は、鍔部３４に対して、所定軸１１０の軸方向においてＡＴＣ工具待機位置Ｋから遠ざかる方向に突出するように段差をなしている。鍔部３４に対する基部３２の突出方向は、複数の工具格納部２１の間で共通している。

　なお、基部３２は、鍔部３４に対して、所定軸１１０の軸方向においてＡＴＣ工具待機位置Ｋに近づく方向に突出するように段差をなしてもよい。

　工具格納部２１は、複数の装着部３８をさらに有する。装着部３８は、工具保持部５１が着脱可能に装着されるように構成されている。

　複数の装着部３８は、所定軸１１０の周方向に並んでホイール部３１に設けられている。複数の装着部３８は、鍔部３４に設けられている。複数の装着部３８は、所定軸１１０の軸方向において、鍔部３４を挟んで基部３２の反対側に設けられている。装着部３８は、所定軸１１０の軸方向に沿った一方向（ＡＴＣ工具待機位置Ｋから工具格納部２１に向かう方向）から装着部３８を受け入れ可能なように構成されている。

　図５から図８を参照して、ホイール部３１には、開口部３６が設けられている。開口部３６は、ホイール部３１の外周方向（所定軸１１０の周方向）における一部の区間１１５において、ホイール部３１の外周縁３１ｐから所定軸１１０に向けて切り欠かれている（図７を参照のこと）。開口部３６は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）に貫通している。

　開口部３６は、所定軸１１０の半径方向において、ホイール部３１の外周縁３１ｐから後述するリング体３９までの間に渡って設けられている。開口部３６は、所定軸１１０の半径方向において、鍔部３４、テーパ部３３および基部３２の間に渡って設けられている。

　ホイール部３１の外周方向における開口部３６の幅は、全体として、所定軸１１０の半径方向外側から半径方向内側に向かうほど大きくなる。

　複数の工具保持部５１は、ホイール部３１の外周縁３１ｐに沿って並び、かつ、一部の区間１１５において途切れるように設けられている。複数の装着部３８は、ホイール部３１の外周縁３１ｐに沿って並び、かつ、一部の区間１１５において途切れるように設けられている。

　図７に示されるように、開口部３６は、工具を格納する位置（装着部３８が設けられる鍔部３４）において、所定軸１１０を中心にして角度αの範囲で切り欠かれている。この場合に、角度αは、５°以上３５°以下の範囲であってもよいし（５°≦α≦３５°）、１５°以上２５°以下の範囲であってもよい（１５°≦α≦２５°）。角度αは、所定軸１１０の周方向において、２つの工具保持部５１が並ぶ角度範囲以上であってもよいし、３つの工具保持部５１が並ぶ角度範囲以上であってもよい。

　図２から図４に示されるように、搬送装置１４による工具搬送時、工具格納部２１Ｆから工具格納部２１Ａまでの各工具格納部２１において、開口部３６がマガジン内工具搬送位置Ｊに配置されてもよい。この際、少なくとも、搬送対象となる工具を格納する工具格納部２１よりも、Ｘ軸方向においてＡＴＣ工具待機位置Ｋ寄りの位置にある全ての工具格納部２１において、開口部３６がマガジン内工具搬送位置Ｊに配置される。たとえば、工具格納部２１Ｅに搬送対象となる工具が格納される場合、少なくとも、工具格納部２１Ｄ、工具格納部２１Ｃ、工具格納部２１Ｂおよび工具格納部２１Ａにおいて、開口部３６がマガジン内工具搬送位置Ｊに配置される。搬送対象となる工具を格納する工具格納部２１におけるマガジン内工具搬送位置Ｊと、ＡＴＣ工具待機位置Ｋとの間で、所定軸１１０の軸方向に連続して延びる工具搬送路１１６が形成される。

　マガジン内工具搬送位置Ｊは、所定軸１１０から、所定軸１１０の半径方向外側に離れた位置に規定されている。マガジン内工具搬送位置Ｊは、所定軸１１０からＺ軸方向に離れた位置に規定されている。なお、所定軸１１０の周方向におけるマガジン内工具搬送位置Ｊの位置は、特に限定されない。

　工具格納部２１Ｆから工具格納部２１Ａまでの間において、複数の開口部３６は、所定軸１１０の軸方向に見て互いに重なり合うように配置される。

　図４に示されるように、搬送装置１４は、移動体９１を有する。移動体９１は、工具保持部５１を保持しながら、複数の開口部３６を通って所定軸１１０の軸方向に移動可能なように構成されている。移動体９１は、工具搬送路１１６を通って、搬送対象となる工具を格納する工具格納部２１におけるマガジン内工具搬送位置Ｊと、ＡＴＣ工具待機位置Ｋとの間で移動可能なように構成されている。

　ホイール部３１の外周縁３１ｐに沿って並ぶ複数の工具保持部５１は、開口部３６が設けられた一部の区間１１５において途切れるように設けられている。このため、移動体９１は、工具保持部５１と干渉することなく、工具搬送路１１６を通って所定軸１１０の軸方向に移動することができる。

　図１から図４を参照して、一例として、工具格納部２１Ｅに格納された工具（工具保持部５１）をＡＴＣ工具待機位置Ｋに呼び出す場合の工具保持システム１０の動作フローについて説明する。

　工具保持部５１を保持しない状態の移動体９１が、ＡＴＣ工具待機位置Ｋに配置されている。まず、工具格納部２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃ，２１Ｄの各工具格納部２１において、ホイール部３１を旋回動作させることによって、開口部３６をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出す。工具格納部２１Ｅにおいて、ホイール部３１を旋回動作させることによって、搬送対象となる工具を保持する工具保持部５１をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出す。

　次に、移動体９１をＡＴＣ工具待機位置Ｋから工具格納部２１Ｅにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊまで移動させる。

　次に、移動体９１により工具保持部５１を保持する。最後に、移動体９１を工具格納部２１Ｅにおけるマガジン内工具搬送位置ＪからＡＴＣ工具待機位置Ｋまで移動させる。

　なお、工具格納部２１Ｅにおいて、搬送対象となる工具を保持する工具保持部５１をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出すステップは、移動体９１をＡＴＣ工具待機位置Ｋから工具格納部２１Ｅにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊまで移動させるステップの後に実行されてもよい。

　本実施の形態における工具保持システム１０においては、搬送装置１４による工具搬送時に、移動体９１が、工具保持部５１を保持しながら、複数の開口部３６を通って所定軸１１０の軸方向に移動する。この場合に、開口部３６は、ホイール部３１の外周縁３１ｐから所定軸１１０に向けて切り欠かれているため、移動体９１が、ホイール部３１の外周縁３１ｐから所定軸１１０の半径方向外側に張り出すことを抑制できる。これにより、工具保持システム１０をコンパクトに構成することができ、延いては、工具保持システム１０を備える工作機械の据え付け面積を小さく抑えることができる。

　続いて、工具マガジン１２の構造についてより詳細に説明する。図１から図６を参照して、各工具格納部２１は、支持部６１をさらに有する。

　支持部６１は、ホイール部３１を所定軸１１０を中心に旋回可能なように支持している。工具格納部２１は、支持部６１によって、工作機械が設置される工場等の床面から上方に離れた位置に支持されている。

　支持部６１は、フレーム体６２と、複数の支持ローラ６３（６３ｈ，６３ｉ，６３ｊ）とを有する。フレーム体６２は、上下方向に延びるフレームからなる。フレーム体６２は、所定軸１１０の軸方向に隣り合うホイール部３１間の隙間に配置されている。

　複数の支持ローラ６３は、フレーム体６２により支持されている。支持ローラ６３は、所定軸１１０に平行な回転中心軸１４０を中心に回転可能なように設けられている。

　複数の支持ローラ６３は、所定軸１１０を中心とする周方向において互いに間隔を開けて設けられている。複数の支持ローラ６３は、所定軸１１０に直交する同一の平面内に設けられている。支持ローラ６３ｈおよび支持ローラ６３ｉは、支持ローラ６３ｊよりも上方に設けられている。支持ローラ６３ｈおよび支持ローラ６３ｉは、互いに同じ高さに設けられている。

　図３および図５から図８を参照して、ホイール部３１は、リング体３９をさらに有する。

　リング体３９は、所定軸１１０の軸方向に厚みを有し、所定軸１１０を中心とするリング形状を有する。リング体３９は、ホイール部３１の内周縁に沿って設けられている。リング体３９は、所定軸１１０の軸方向において基部３２に接合されている。リング体３９は、所定軸１１０の半径方向においてテーパ部３３と対向している。テーパ部３３は、リング体３９を所定軸１１０の外周上において取り囲むように設けられている。

　複数の支持ローラ６３は、所定軸１１０の半径方向内側からリング形状を有するホイール部３１と接触している。複数の支持ローラ６３は、所定軸１１０の半径方向内側からリング体３９と接触している。複数の支持ローラ６３は、ホイール部３１の内周側に配置されている。

　このような構成によれば、複数の支持ローラ６３が所定軸１１０の半径方向内側からホイール部３１と接触するため、ホイール部３１から所定軸１１０の軸方向に張り出す支持部６１の長さを小さくすることができる。これにより、所定軸１１０の軸方向において互いに隣り合うホイール部３１同士の間隔を狭めることが可能となるため、工具保持システム１０をさらにコンパクトに構成することができる。

　図９および図１０は、ホイール部の旋回駆動部を示す斜視図である。図３から図１０を参照して、工具格納部２１は、旋回駆動部４１をさらに有する。旋回駆動部４１は、ホイール部３１を所定軸１１０を中心に旋回させるための駆動機構である。旋回駆動部４１は、工具格納部２１（ホイール部３１）毎に設けられている。

　旋回駆動部４１は、モータ４２と、減速機４３と、第１ギヤ４４と、第２ギヤ３７とを有する。モータ４２は、出力軸４２ｒを有する（図３を参照のこと）。出力軸４２ｒは、所定軸１１０に直交する方向に延びる回転中心軸１３０を中心する回転を出力する。出力軸４２ｒは、Ｚ軸に平行な回転中心軸１３０を中心とする回転を出力する。モータ４２の出力軸４２ｒは、減速機４３と接続されている。

　減速機４３は、出力軸４３ｒを有する（図３を参照のこと）。出力軸４３ｒは、所定軸１１０（Ｘ軸）に平行な回転中心軸１２０を中心とする回転を出力する。減速機４３は、モータ４２からの回転を減速しつつ、回転の中心軸の軸方向を９０°変換する。

　減速機４３の出力軸４３ｒは、第１ギヤ４４と接続されている。第１ギヤ４４は、出力軸４３ｒとともに、回転中心軸１２０を中心にして回転する。

　第２ギヤ３７は、所定軸１１０を中心に設けられている。第２ギヤ３７は、ホイール部３１の内周縁に沿って設けられている。第２ギヤ３７は、所定軸１１０の軸方向においてリング体３９に接合されている。リング体３９は、所定軸１１０の軸方向において、基部３２および第２ギヤ３７の間に配置されている。第２ギヤ３７は、第１ギヤ４４と噛み合っている。

　図９に示されるように、第２ギヤ３７は、第１プレート３７ｅおよび第２プレート３７ｆと、複数のピン３７ｇとを有する。

　第１プレート３７ｅおよび第２プレート３７ｆは、所定軸１１０を中心とするリング状のプレート材からなる。第１プレート３７ｅおよび第２プレート３７ｆは、所定軸１１０の軸方向において、互いに間隔を設けて配置されている。ピン３７ｇは、所定軸１１０の軸方向に延び、その両端において第１プレート３７ｅおよび第２プレート３７ｆに接続されている。複数のピン３７ｇは、所定軸１１０の周方向において、互いに間隔を開けて設けられている。第２ギヤ３７において、複数のピン３７ｇが所定軸１１０の周方向に並ぶ複数の歯を構成している。

　モータ４２は、ホイール部３１に対して順方向または逆方向の回転を出力する。モータ４２から出力された回転が、減速機４３および第１ギヤ４４を挙げた順に介して、第２ギヤ３７に伝達されることによって、ホイール部３１が、所定軸１１０を中心にして順方向または逆方向に旋回動作する。

　モータ４２および減速機４３は、支持部６１（フレーム体６２）に設けられている。モータ４２および減速機４３は、支持部６１（フレーム体６２）によって支持されている。

　図３に示されるように、ある１つの工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｆ）のモータ４２は、所定軸１１０の軸方向において、その工具格納部２１と隣り合って配置される工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｅ）のホイール部３１の内側に部分的に配置されている。

　ある１つの工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｆ）のモータ４２は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、その工具格納部２１と隣り合って配置される工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｅ）のホイール部３１の内側の中空部と重なり合うように配置されている。ある１つの工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｆ）のモータ４２は、所定軸１１０の軸中心からその半径方向外側に見た場合に、その工具格納部２１と隣り合って配置される工具格納部２１（たとえば、工具格納部２１Ｅ）のホイール部３１の内周縁と重なり合うように配置されている。

　このような構成によれば、所定軸１１０の軸方向において互いに隣り合う工具格納部２１のホイール部３１同士の間隔を狭めることができる。これにより、工具保持システム１０をさらにコンパクトに構成することができる。

　続いて、搬送装置１４の構造についてより詳細に説明する。図１１は、図４中の２点鎖線ＸＩで囲まれた範囲の工具マガジンおよび搬送装置を示す正面図である。図１２は、図４中の矢印ＸＩＩにより示される方向に見た工具マガジンおよび搬送装置を示す側面図である。図１３および図１４は、案内装置および送り装置の取り付け構造を示す斜視図である。図１５および図１６は、移動体を示す斜視図である。

　図１１から図１６を参照して、移動体９１は、天板９３と、第１底板９４および第２底板９５と、工具クランプ機構部２１０とを有する。

　移動体９１は、全体として、直方体の外観をなしている。天板９３は、その移動体９１の頂部に配置され、第１底板９４および第２底板９５は、その移動体９１の底部に配置されている。

　工具クランプ機構部２１０は、上下方向において、天板９３と、第１底板９４および第２底板９５との間に設けられている。工具クランプ機構部２１０は、工具（工具保持部５１）を把持するクランプ状態と、工具（工具保持部５１）の把持を解除するアンクランプ状態との間で動作可能なように構成されている。

　図１２に示されるように、開口部３６がマガジン内工具搬送位置Ｊに配置されている。図１２中には、ホイール部３１が所定軸１１０を中心に旋回する場合に、ホイール部３１の外周縁３１ｐが描く軌跡が２点鎖線により示されている。

　移動体９１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、ホイール部３１の外周縁３１ｐよりも、所定軸１１０の半径方向内側に配置されている。移動体９１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、第２ギヤ３７およびリング体３９よりも、所定軸１１０の半径方向外側に配置されている。移動体９１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、開口部３６の開口面の面内に配置されている。

　搬送装置１４は、案内装置７１をさらに有する。案内装置７１は、移動体９１を所定軸１１０の軸方向に案内するための装置である。

　案内装置７１は、レール７３を有する。レール７３は、所定軸１１０の軸方向に沿って延びている。レール７３は、凹断面をなしながら所定軸１１０の軸方向に延びる溝形状を有する。本実施の形態では、案内装置７１が、複数のレール７３（７３ｐ，７３ｑ，７３ｒ）を有する。

　図１１に示されるように、レール７３には、第１切り欠き部７６が設けられている。第１切り欠き部７６は、レール７３ｐ、レール７３ｑおよびレール７３ｒの各レール７３に設けられている。第１切り欠き部７６は、工具格納部２１毎に設けられている。第１切り欠き部７６は、ホイール部３１の外周方向（所定軸１１０の周方向）においてレール７３を貫通している。第１切り欠き部７６は、各工具格納部２１におけるホイール部３１の旋回動作時に、そのホイール部３１が通ることが可能なように構成されている。

　第１切り欠き部７６は、各工具格納部２１のホイール部３１に対応して設けられている。第１切り欠き部７６は、ホイール部３１の基部３２が配置される平面上に設けられている。第１切り欠き部７６は、各工具格納部２１のホイール部３１の旋回動作時に、そのホイール部３１の基部３２が通ることが可能なように構成されている。レール７３は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）に互いに隣り合う工具格納部２１の間で、第１切り欠き部７６により分断されている。

　代表的に図１１に示される範囲で説明すると、第１切り欠き部７６は、工具格納部２１Ａにおけるホイール部３１の基部３２が配置される平面上と、工具格納部２１Ｂにおけるホイール部３１の基部３２が配置される平面上との各々に設けられている。第１切り欠き部７６は、レール７３（７３ｑ）を、工具格納部２１Ａにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を案内するレール片７３Ａと、工具格納部２１Ｂにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を案内するレール片７３Ｂと、工具格納部２１Ｃにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を案内するレール片７３Ｃとに分断している。

　レール片７３Ａおよびレール片７３Ｂの間、ならびに、レール片７３Ｂおよびレール片７３Ｃの間の各隙間は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）における基部３２の厚みよりも大きい。

　このような構成によれば、ホイール部３１を複数のレール７３（７３ｐ，７３ｑ，７３ｒ）と干渉させることなく、所定軸１１０を中心に旋回させることができる。

　図１３および図１４に示されるように、複数のレール７３（７３ｐ，７３ｑ，７３ｒ）は、支持部６１（フレーム体６２）により支持されている。図１１に示される範囲で説明すると、レール片７３Ａは、工具格納部２１Ａにおける支持部６１により支持され、レール片７３Ｂは、工具格納部２１Ｂにおける支持部６１により支持され、レール片７３Ｃは、工具格納部２１Ｃにおける支持部６１により支持されている。レール７３は、固定されており、ホイール部３１とともに旋回動作しない。

　支持部６１は、下側支持アーム７２と、上側支持アーム７４とをさらに有する。上側支持アーム７４および下側支持アーム７２は、フレーム体６２からＺ軸方向にアーム状に延出している。上側支持アーム７４は、下側支持アーム７２の上方に配置されている。上側支持アーム７４および下側支持アーム７２は、上下方向（Ｙ軸方向）において、互いに間隔を開けて対向している。

　レール７３ｐおよびレール７３ｑは、下側支持アーム７２に取り付けられている。レール７３ｒは、上側支持アーム７４に取り付けられている。

　このような構成によれば、複数のレール７３（７３ｐ，７３ｑ，７３ｒ）を支持するための部材として、ホイール部３１を旋回可能に支持する支持部６１が共用されるため、工具保持システム１０を簡易な構成にできる。

　案内装置７１は、回転ローラ９２をさらに有する。回転ローラ９２は、移動体９１に設けられている。回転ローラ９２は、所定軸１１０（Ｘ軸）に直交する方向に延びる回転中心軸を中心に回転可能なように設けられている。回転ローラ９２は、カムフォロアから構成されている。回転ローラ９２は、溝形状をなすレール７３に嵌合されている。

　案内装置７１は、複数の回転ローラ９２（９２ｐ，９２ｑ，９２ｒ）を有する。回転ローラ９２ｐは、第１底板９４に設けられている。第１底板９４には、複数の回転ローラ９２ｒがＸ軸方向に並んで設けられている。回転ローラ９２ｑは、第２底板９５に設けられている。第２底板９５には、複数の回転ローラ９２ｑがＸ軸方向に並んで設けられている。回転ローラ９２ｑは、回転ローラ９２ｐからＺ軸方向に離れた位置に設けられている。回転ローラ９２ｐ，９２ｑは、Ｚ軸方向に延びる回転中心軸を中心に回転可能なように設けられている。

　回転ローラ９２ｒは、天板９３に設けられている。天板９３には、複数の回転ローラ９２ｒがＸ軸方向に並んで設けられている。回転ローラ９２ｒは、Ｙ軸方向に延びる回転中心軸を中心に回転可能なように設けられている。回転ローラ９２ｒは、回転ローラ９２ｐおよび回転ローラ９２ｑよりも上方に設けられている。

　回転ローラ９２ｐ、回転ローラ９２ｑおよび回転ローラ９２ｒは、それぞれ、レール７３ｐ、レール７３ｑおよびレール７３ｒに嵌合されている。

　図１２に示されるように、案内装置７１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、ホイール部３１の外周縁３１ｐよりも、所定軸１１０の半径方向内側に配置されている。案内装置７１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、鍔部３４およびテーパ部３３よりも、所定軸１１０の半径方向内側に配置されている。案内装置７１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、第２ギヤ３７およびリング体３９よりも、所定軸１１０の半径方向外側に配置されている。

　このような構成によれば、案内装置７１が、ホイール部３１の外周縁３１ｐよりも所定軸１１０の半径方向外側に張り出すことがないため、工具保持システム１０をさらにコンパクトに構成することができる。

　搬送装置１４は、送り装置８１をさらに有する。送り装置８１は、移動体９１を所定軸１１０の軸方向に送るための装置である。

　送り装置８１は、ラック８２を有する。ラック８２は、所定軸１１０の軸方向に沿って延びている。

　図１１に示されるように、ラック８２には、第２切り欠き部８３が設けられている。第２切り欠き部８３は、工具格納部２１毎に設けられている。第２切り欠き部８３は、ホイール部３１の外周方向（所定軸１１０の周方向）においてラック８２を貫通している。第２切り欠き部８３は、各工具格納部２１におけるホイール部３１の旋回動作時に、そのホイール部３１が通ることが可能なように構成されている。

　第２切り欠き部８３は、各工具格納部２１のホイール部３１に対応して設けられている。第２切り欠き部８３は、ホイール部３１の基部３２が配置される平面上に設けられている。第２切り欠き部８３は、各工具格納部２１のホイール部３１の旋回動作時に、そのホイール部３１の基部３２が通ることが可能なように構成されている。ラック８２は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）に互いに隣り合う工具格納部２１の間で、第２切り欠き部８３により分断されている。

　代表的に図１１に示される範囲で説明すると、第２切り欠き部８３は、工具格納部２１Ａにおけるホイール部３１の基部３２が配置される平面上と、工具格納部２１Ｂにおけるホイール部３１の基部３２が配置される平面上との各々に設けられている。第２切り欠き部８３は、ラック８２を、工具格納部２１Ａにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を送るラック片８２Ａと、工具格納部２１Ｂにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を送るラック片８２Ｂと、工具格納部２１Ｃにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで移動体９１を案内するラック片８２Ｃとに分断している。

　ラック片８２Ａおよびラック片８２Ｂの間、ならびに、ラック片８２Ｂおよびラック片８２Ｃの間の各隙間は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）における基部３２の厚みよりも大きい。

　このような構成によれば、ホイール部３１をラック８２と干渉させることなく、所定軸１１０を中心に旋回させることができる。

　図１３および図１４に示されるように、ラック８２は、支持部６１（フレーム体６２）により支持されている。図１１に示される範囲で説明すると、ラック片８２Ａは、工具格納部２１Ａにおける支持部６１により支持され、ラック片８２Ｂは、工具格納部２１Ｂにおける支持部６１により支持され、ラック片８２Ｃは、工具格納部２１Ｃにおける支持部６１により支持されている。ラック８２は、固定されており、ホイール部３１とともに旋回動作しない。

　ラック８２は、上側支持アーム７４に取り付けられている。ラック８２は、レール７３ｒからＺ軸方向に離れた位置に設けられている。ラック８２は、上下方向において、レール７３ｒと、レール７３ｐおよびレール７３ｑとの間に設けられている。

　このような構成によれば、ラック８２を支持するための部材として、ホイール部３１を旋回可能に支持する支持部６１が共用されるため、工具保持システム１０を簡易な構成にできる。

　送り装置８１は、モータ９６と、ギヤボックス９７と、減速機９８とをさらに有する。モータ９６、ギヤボックス９７および減速機９８は、移動体９１に搭載されている。モータ９６および減速機９８は、上下方向において、天板９３と、第１底板９４および第２底板９５との間に設けられている。減速機９８は、モータ９６の上方に設けられている。ギヤボックス９７は、Ｘ軸方向において、モータ９６および減速機９８と隣り合って設けられている。

　モータ９６は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）に延びる回転中心軸を中心する回転を出力する出力軸（不図示）を有する。ギヤボックス９７には、モータ９６からの回転を減速機９８に伝達するための複数のギヤが内蔵されている。減速機９８は、Ｚ軸方向に延びる回転中心軸を中心する回転を出力する出力軸（不図示）を有する。減速機９８の出力軸は、後述する第２ピニオン８７と接続されている。減速機９８は、ギヤボックス９７からの回転を減速しつつ、回転の中心軸の軸方向を９０°変換する。

　送り装置８１は、第１ピニオン８６と、第２ピニオン８７と、第３ピニオン８８とをさらに有する。第１ピニオン８６、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８は、移動体９１に設けられている。

　第１ピニオン８６、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８は、それぞれ、第１回転中心軸１５０、第２回転中心軸１６０および第３回転中心軸１７０を中心に回転可能に設けられている。第１回転中心軸１５０、第２回転中心軸１６０および第３回転中心軸１７０は、Ｚ軸方向に延びている。

　第１ピニオン８６、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８は、工具クランプ機構部２１０の上方に設けられている。第１ピニオン８６、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８は、上下方向（Ｙ軸方向）において、ラック８２と対向して設けられている。

　第１ピニオン８６および第２ピニオン８７は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）において、互いに離れて配置されている。第３ピニオン８８は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）において、第１ピニオン８６および第２ピニオン８７の間に配置されている。

　第１ピニオン８６および第２ピニオン８７は、ラック８２と係合されている。第３ピニオン８８は、第１ピニオン８６および第２ピニオン８７と係合されている。第３ピニオン８８は、ラック８２と非係合とされている。

　第１回転中心軸１５０および第２回転中心軸１６０は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）において、互いに離れて位置している。第３回転中心軸１７０は、所定軸１１０の軸方向（Ｘ軸方向）において、第１回転中心軸１５０および第２回転中心軸１６０の間に位置している。上下方向（Ｙ軸方向）における、ラック８２と、第３回転中心軸１７０との間の距離は、上下方向（Ｙ軸方向）における、ラック８２と、第１回転中心軸１５０および第２回転中心軸１６０との間の各距離よりも大きい。

　所定軸１１０の軸方向における第１回転中心軸１５０および第２回転中心軸１６０の間隔は、所定軸１１０の軸方向における第２切り欠き部８３の切り欠き長さよりも大きい。所定軸１１０の軸方向における、各工具格納部２１におけるラック８２の長さ（ラック片８２Ａ等の長さ）は、所定軸１１０の軸方向における第１回転中心軸１５０および第２回転中心軸１６０の間隔よりも大きい。

　このような構成によれば、第１ピニオン８６および第２ピニオン８７は、所定軸１１０の軸方向において互いに離れて位置するため、ラック８２に第２切り欠き部８３が設けられているにも拘わらず、第１ピニオン８６および第２ピニオン８７の少なくともいずれか一方をラック８２に係合させることができる。また、ラック８２と非係合とされる第３ピニオン８８は、第１ピニオン８６および第２ピニオン８７と係合されるため、第１ピニオン８６の回転を第３ピニオン８８を介して第２ピニオン８７に伝達することができる。したがって、送り装置８１により、移動体９１を所定軸１１０の軸方向に円滑に送ることができる。

　なお、本実施の形態では、第１ピニオン８６が駆動輪であり、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８が従動輪である場合を説明したが、駆動輪は、第１ピニオン８６、第２ピニオン８７および第３ピニオン８８のうちのいずれのピニオンであってもよい。

　図１２に示されるように、送り装置８１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、ホイール部３１の外周縁３１ｐよりも、所定軸１１０の半径方向内側に配置されている。送り装置８１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、第２ギヤ３７およびリング体３９よりも、所定軸１１０の半径方向外側に配置されている。送り装置８１は、所定軸１１０の軸方向に見た場合に、鍔部３４およびテーパ部３３よりも、所定軸１１０の半径方向内側に配置されている。

　このような構成によれば、送り装置８１が、ホイール部３１の外周縁３１ｐよりも所定軸１１０の半径方向外側に張り出すことがないため、工具保持システム１０をさらにコンパクトに構成することができる。

　続いて、工具保持部５１と、工具保持部５１に保持された工具をロックするためのロック機構部６００とについて説明する。

　図１７は、工具保持部の外観を示す斜視図である。図１８は、ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態、工具無し）を示す断面図である。

　図１９は、ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態）を示す断面図である。図２０は、図１９中の２点鎖線ＸＸで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。図２１は、ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（半ロック状態）を示す断面図である。図２２は、図２１中の２点鎖線ＸＸＩＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。図２３は、ＨＳＫ仕様用の工具保持部およびロック機構部（アンロック状態）を示す断面図である。図２４は、図２３中の２点鎖線ＸＸＩＶで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。

　図１７から図２４を参照して、工具保持部５１は、全体として、中心軸６１０を中心とする筒形状を有する。

　工具Ｔは、工具保持部５１に対して、中心軸６１０を中心にしてその軸方向に挿抜される。工具Ｔは、工具保持部５１に対して、中心軸６１０を中心にしてその軸方向に沿った第１方向６２１に挿入され、第１方向６２１とは反対方向であって、中心軸６１０を中心にしてその軸方向に沿った第２方向６２２に抜き出される。

　工具保持部５１は、工具挿入部５２と、ブロック部５３とを有する。工具挿入部５２およびブロック部５３は、中心軸６１０の軸方向に並んで互いに接続されている。工具挿入部５２は、中心軸６１０の軸方向において第２方向６２２を向いて開口している。工具Ｔは、工具挿入部５２の開口部を通じて、工具保持部５１に対して挿抜される。

　ブロック部５３は、中空のブロック体からなる。ブロック部５３は、略直方体の外観を有する。ブロック部５３は、前述の移動体９１に搭載された工具クランプ機構部２１０によって把持される。

　図中には、工具保持部５１により保持される工具Ｔとして、ＨＳＫホルダＳａが示されている。ＨＳＫホルダＳａは、シャンク部６３１を有する。シャンク部６３１は、工具挿入部５２の内側に配置される。シャンク部６３１は、中心軸６１０を中心とする円筒形状を有する。シャンク部６３１には、窪み部６３２が設けられている。窪み部６３２は、シャンク部６３１の内周面に、中心軸６１０の半径方向外側に向けて凹む窪み形状をなしている。

　工具保持システム１０は、ロック機構部６００をさらに有する。ロック機構部６００は、工具保持部５１に設けられている。ロック機構部６００は、工具保持部５１に内蔵されている。

　ロック機構部６００は、係合部５３１と、付勢部材５４１と、規制部材５５１とを有する。

　係合部５３１は、工具Ｔ（ＨＳＫホルダＳａのシャンク部６３１）と係合し、工具Ｔをロックする第１位置Ｐａと、第１位置Ｐａから退避し、工具Ｔのロックを解除する第２位置Ｐｂとの間で動作可能に構成されている。付勢部材５４１は、係合部５３１と接触し、係合部５３１を第１位置Ｐａに向けて付勢する第３位置Ｐｃと、第３位置Ｐｃから退避し、係合部５３１に対する付勢を解除する第４位置Ｐｄとの間で動作可能に構成されている。規制部材５５１は、係合部５３１と接触し、第１位置Ｐａから第２位置Ｐｂに向けた係合部５３１の動作を規制し、係合部５３１を第１位置Ｐａに保持する第５位置Ｐｅと、第５位置Ｐｅから退避することにより、第１位置Ｐａおよび第２位置Ｐｂの間における係合部５３１の動作を許容する第６位置Ｐｆ（Ｐｆ１，Ｐｆ２）との間で動作可能に構成されている。

　より具体的に説明すると、ロック機構部６００は、支持部材５６１をさらに有する。支持部材５６１は、全体として、中心軸６１０を中心とする筒形状を有する。支持部材５６１は、工具挿入部５２の内側に収容されている。

　支持部材５６１は、円筒部５６２と、第１内鍔部５６４とを有する。円筒部５６２は、中心軸６１０を中心とする円筒形状を有する。図１８に示されるように、円筒部５６２および工具挿入部５２は、中心軸６１０の半径方向において、隙間６３０を介して互いに対向している。隙間６３０は、中心軸６１０を中心としてその周方向に延びている。ＨＳＫホルダＳａのシャンク部６３１は、隙間６３０に配置されている。

　第１内鍔部５６４は、中心軸６１０を中心とする鍔形状を有する。第１内鍔部５６４は、第２方向６２２における円筒部５６２の端部から、中心軸６１０の半径方向内側に延出している。

　支持部材５６１には、複数の開口部５６３が設けられている。複数の開口部５６３は、円筒部５６２に設けられている。開口部５６３は、中心軸６１０の半径方向において、支持部材５６１（円筒部５６２）を貫通している。開口部５６３は、円形の開口面を形成している。開口部５６３は、中心軸６１０の半径方向において、窪み部６３２と対向する位置に設けられている。複数の開口部５６３は、中心軸６１０の周方向において、互いに間隔を開けて設けられている。

　係合部５３１は、ボールからなる。複数の開口部５６３の各々には、係合部（ボール）５３１が配置されている。係合部５３１は、支持部材５６１（円筒部５６２）によって、中心軸６１０の半径方向においてスライド動作が可能なように支持されている。係合部５３１は、開口部５６３を通じて、窪み部６３２に対して進退可能なように設けられている。

　付勢部材５４１は、プランジャからなる。付勢部材５４１は、全体として、中心軸６１０を中心とする円筒形状を有する。付勢部材５４１は、支持部材５６１の内側に配置されている。付勢部材５４１は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能なように構成されている。

　付勢部材５４１は、テーパ面５４２を有する。テーパ面５４２は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向に延在している。テーパ面５４２は、第１方向６２１における付勢部材５４１の端部に設けられている。テーパ面５４２は、中心軸６１０を中心とする円錐面からなる。テーパ面５４２は、第１方向６２１にシフトするほど小さくなる直径を有する。

　付勢部材５４１が中心軸６１０に直交する平面により切断された場合に得られる中心軸６１０を中心とするテーパ面５４２の直径は、付勢部材５４１が切断される位置が第１方向６２１にシフトするほど小さくなる。付勢部材５４１が中心軸６１０に直交する平面により切断された場合に得られる中心軸６１０を中心とするテーパ面５４２の直径は、付勢部材５４１が切断される位置が中心軸６１０の軸方向において規制部材５５１に近づくほど小さくなる。

　テーパ面５４２は、係合部５３１よりも中心軸６１０の半径方向内側に配置されている。付勢部材５４１は、テーパ面５４２が中心軸６１０の半径方向内側から係合部５３１に接触可能なように設けられている。

　付勢部材５４１は、第２内鍔部５４３をさらに有する。第２内鍔部５４３は、中心軸６１０を中心とする鍔形状を有する。第２内鍔部５４３は、第１方向６２１における付勢部材５４１の端部から中心軸６１０の半径方向内側に延出する鍔形状を有する。第２内鍔部５４３は、中心軸６１０の軸方向において、支持部材５６１の第１内鍔部５６４と対向している。中心軸６１０の軸方向における付勢部材５４１のスライド動作に伴って、第１内鍔部５６４および第２内鍔部５４３の間の距離が変化する。

　規制部材５５１は、ピストンからなる。規制部材５５１は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能ように構成されている。規制部材５５１は、付勢部材５４１から第１方向６２１に隣り合った位置に設けられている。

　規制部材５５１は、中心軸６１０の軸上で延びている。規制部材５５１は、中心軸６１０の軸方向において、付勢部材５４１と対向している。中心軸６１０の軸方向における規制部材５５１のスライド動作に伴って、規制部材５５１および付勢部材５４１の間の距離が変化する。規制部材５５１は、中心軸６１０の軸方向において、付勢部材５４１と当接可能なように設けられている。

　工具保持部５１のブロック部５３には、貫通孔５４が設けられている。貫通孔５４は、中心軸６１０の軸上で延び、ブロック部５３を貫通している。規制部材５５１は、工具保持部５１（工具挿入部５２，ブロック部５３）の内側から、貫通孔５４を通り、工具保持部５１の外側の空間に延出している。規制部材（ピストン）５５１は、ピストンエンド５５２を有する。ピストンエンド５５２は、第１方向６２１における規制部材５５１の端部からなる。ピストンエンド５５２は、工具保持部５１の外側の空間に配置されている。

　規制部材５５１は、第１鍔部５５６（鍔部）と、凹部５５７と、第２鍔部５５８とをさらに有する。第１鍔部５５６、凹部５５７および第２鍔部５５８は、挙げた順に、中心軸６１０の軸方向に並んで設けられている。第１鍔部５５６、凹部５５７および第２鍔部５５８は、支持部材５６１の内側に配置されている。

　第１鍔部５５６は、中心軸６１０の半径方向外側に向けて延出する鍔形状を有する。第１鍔部５５６は、第２方向６２２における規制部材５５１の端部に設けられている。第１鍔部５５６は、係合部５３１よりも中心軸６１０の半径方向内側に配置されている。第１鍔部５５６は、中心軸６１０の軸方向において、付勢部材５４１のテーパ面５４２と対向している。

　第２鍔部５５８は、中心軸６１０の半径方向外側に向けて延出する鍔形状を有する。第２鍔部５５８は、第１鍔部５５６から第１方向６２１に離れた位置に設けられている。

　凹部５５７は、第１鍔部５５６よりも中心軸６１０の半径方向内側に向けて凹む凹形状をなしている。凹部５５７は、第１鍔部５５６および第２鍔部５５８の間において、中心軸６１０の半径方向内側に向けて凹み、中心軸６１０を中心に環状に延びる溝形状をなしている。

　ロック機構部６００は、係止部５５９をさらに有する。係止部５５９は、第２鍔部５５８から第１方向６２１に離れた位置に設けられている。係止部５５９は、中心軸６１０を中心とするリング形状を有する。係止部５５９は、規制部材５５１の外周上に嵌め合わされている。係止部５５９は、中心軸６１０の軸方向において、工具保持部５１（工具挿入部５２）と係止されている。

　ロック機構部６００は、第１弾性部材５７１と、第２弾性部材５７２とをさらに有する。第１弾性部材５７１は、付勢部材（プランジャ）５４１に対して第１方向６２１の弾性力を作用させる。第２弾性部材５７２は、規制部材（ピストン）５５１に対して第２方向６２２の弾性力を作用させる。

　第１弾性部材５７１は、コイルバネからなる。第１弾性部材５７１は、中心軸６１０を中心にその軸上に配置されている。第１弾性部材５７１は、支持部材５６１の第１内鍔部５６４と、付勢部材５４１の第２内鍔部５４３との間に配置されている。第１弾性部材５７１は、中心軸６１０の軸方向において圧縮変形されている。

　第２弾性部材５７２は、コイルバネからなる。第２弾性部材５７２は、中心軸６１０を中心にその軸上に配置されている。第２弾性部材５７２は、係止部５５９と、第２鍔部５５８との間であって、規制部材５５１の外周上に配置されている。第２弾性部材５７２は、中心軸６１０の軸方向において圧縮変形されている。

　続いて、ロック機構部６００の動作について説明する。ロック機構部６００は、図１９および図２０に示される、工具保持部５１に保持される工具Ｔをロックするロック状態と、図２１および図２２に示される、工具保持部５１に保持される工具Ｔをロックしつつ、一定以上の外力を受けた場合に工具Ｔのロックを解除する半ロック状態と、図２３および図２４に示される、工具保持部５１に保持される工具Ｔのロックを解除するアンロック状態との間で動作可能である。

　図１９および図２０に示されるように、規制部材５５１を第５位置Ｐｅに動作させることによって、係合部５３１が、規制部材５５１により第１位置Ｐａに保持される。これにより、ロック機構部６００は、ロック状態とされる。

　より具体的には、第１弾性部材５７１の弾性力が作用された付勢部材（プランジャ）５４１と、第２弾性部材５７２の弾性力が作用された規制部材（ピストン）５５１とが、中心軸６１０の軸方向において互いに当接している。この場合に、付勢部材（プランジャ）５４１は、第３位置Ｐｃに配置される。規制部材（ピストン）５５１は、第５位置Ｐｅに配置される。係合部（ボール）５３１は、第１鍔部５５６と当接することによって第１位置Ｐａに保持される。

　第１鍔部５５６は、外周面５５６ａを有する。外周面５５６ａは、中心軸６１０を中心にその軸方向に延在している。外周面５５６ａは、中心軸６１０の軸方向における位置に拘わらず、一定の直径を有する。外周面５５６ａは、テーパ面５４２の最大直径よりも小さく、テーパ面５４２の最小直径よりも大きい直径を有する。

　規制部材５５１の第１鍔部５５６は、中心軸６１０の軸方向において、付勢部材５４１のテーパ面５４２と当接している。第１鍔部５５６の外周面５５６ａは、テーパ面５４２の直上から第１方向６２１に向けて延在している。第１鍔部５５６の外周面５５６ａと、テーパ面５４２とは、中心軸６１０を含む平面内において、９０°よりも大きく、１８０°よりも小さい角度をなしている。

　係合部５３１が第１位置Ｐａに配置された状態において、中心軸６１０の半径方向外側における係合部５３１の一部が、窪み部６３２の内側に位置決めされる。これにより、係合部５３１は、第２方向６２２におけるシャンク部６３１の抜け止めとして機能している。

　規制部材５５１が第５位置Ｐｅに配置された状態において、第１鍔部５５６（外周面５５６ａ）は、中心軸６１０の半径方向において、開口部５６３がなす開口面と対向している。第１鍔部５５６（外周面５５６ａ）は、中心軸６１０の半径方向内側から係合部５３１と接触している。これにより、第１位置Ｐａから、第１位置Ｐａよりも中心軸６１０の半径方向内側に位置する第２位置Ｐｂに向けた係合部５３１の動作が規制されている。

　付勢部材５４１が第３位置Ｐｃに配置された状態において、テーパ面５４２は、中心軸６１０の半径方向において、開口部５６３がなす開口面と対向している。テーパ面５４２は、中心軸６１０の半径方向内側から係合部５３１と接触している。

　図２１および図２２に示されるように、付勢部材５４１を第３位置Ｐｃに動作させ、規制部材５５１を第６位置Ｐｆに動作させることによって、係合部５３１が、第１位置Ｐａおよび第２位置Ｐｂの間における動作が許容された状態で、付勢部材５４１により第１位置Ｐａに向けて付勢される。これにより、ロック機構部６００は、半ロック状態とされる。

　第６位置Ｐｆは、第５位置Ｐｅに対して第１方向６２１の側に位置する奥側第６位置Ｐｆ１を含む。規制部材（ピストン）５５１を第５位置Ｐｅから奥側第６位置Ｐｆ１に向けて動作させる。この場合に、付勢部材（プランジャ）５４１が第３位置Ｐｃに配置される。係合部（ボール）５３１は、テーパ面５４２と接触することによって第１位置Ｐａに向けて付勢される。

　より具体的には、規制部材５５１を第１方向６２１に向けてスライド動作させると、規制部材５５１は、奥側第６位置Ｐｆ１に配置される。

　規制部材５５１が奥側第６位置Ｐｆ１に配置された状態において、第１鍔部５５６（外周面５５６ａ）が、中心軸６１０の半径方向において、開口部５６３がなす開口面と対向する位置から退避する。これにより、第１位置Ｐａと、第１位置Ｐａよりも中心軸６１０の半径方向内側に位置する第２位置Ｐｂとの間における係合部５３１の動作が許容される。

　付勢部材５４１は、第１弾性部材５７１の弾性力によって第１方向６２１に向けて付勢される。テーパ面５４２は、中心軸６１０の半径方向内側から係合部５３１と接触している。付勢部材５４１は、第３位置Ｐｃに配置される。係合部５３１は、第３位置Ｐｃに配置された付勢部材５４１により付勢されることによって、第１位置Ｐａに配置される。

　一方、工具Ｔに対して第２方向６２２の外力が加わった場合に、シャンク部６３１から係合部５３１に対して中心軸６１０の半径方向内側に向けた力が作用する。係合部５３１は、図２２中の矢印に示されるように、第３位置Ｐｃに配置された付勢部材５４１を第２方向６２２に押しながら、第１位置Ｐａよりも中心軸６１０の半径方向内側に位置し、工具Ｔのロックを解除する第２位置Ｐｂに向けて動作する。

　図２３および図２４に示されるように、付勢部材５４１を第４位置Ｐｄに動作させ、規制部材５５１を第６位置Ｐｆに動作させることによって、係合部５３１が、第１位置Ｐａおよび第２位置Ｐｂの間における動作が許容された状態で、付勢部材５４１による第１位置Ｐａに向けた付勢が解除される。これにより、係合部５３１を第２位置Ｐｂに配置可能となり、ロック機構部６００は、アンロック状態とされる。

　第６位置Ｐｆは、第５位置Ｐｅに対して第２方向６２２の側に位置する手前側第６位置Ｐｆ２を含む。規制部材（ピストン）５５１が第５位置Ｐｅから手前側第６位置Ｐｆ２に向けて動作される。この場合に、付勢部材（プランジャ）５４１が、規制部材（ピストン）５５１に押されることによって、第４位置Ｐｄに配置されている。係合部（ボール）５３１は、凹部５５７に進入することによって、第２位置Ｐｂに配置されている。

　より具体的には、規制部材５５１を第１弾性部材５７１の弾性力に抗しながら第２方向６２２に向けてスライド動作させると、規制部材５５１は、手前側第６位置Ｐｆ２に配置される。

　規制部材５５１が手前側第６位置Ｐｆ２に配置された状態において、凹部５５７が、中心軸６１０の半径方向において、開口部５６３がなす開口面と対向する位置に配置される。付勢部材５４１は、規制部材５５１により押されることによって、第１弾性部材５７１の弾性力に抗しながら、第２方向６２２に向けてスライド動作し、第４位置Ｐｄに配置される。

　付勢部材５４１が第４位置Ｐｄに配置された状態において、テーパ面５４２は、中心軸６１０の半径方向において、開口部５６３がなす開口面と対向する位置から退避する。これにより、付勢部材５４１から係合部５３１に対する付勢が解除される。

　係合部５３１は、工具Ｔに対して第２方向６２２の外力が加わった場合に、中心軸６１０の半径方向内側に向けて移動し、第２位置Ｐｂに配置される。

　係合部５３１が第２位置Ｐｂに配置された状態において、中心軸６１０の半径方向内側における係合部５３１の一部が、凹部５５７の内側に位置決めされ、中心軸６１０の半径方向外側における係合部５３１の一部が、窪み部６３２の内側から退避する。これにより、係合部５３１および工具Ｔ（シャンク部６３１）の間の係合が解除される。

　図２５は、ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態、工具無し）を示す断面図である。

　図２６は、ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（ロック状態）を示す断面図である。図２７は、図２６中の２点鎖線ＸＸＶＩＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。図２８は、ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（半ロック状態）を示す断面図である。図２９は、図２８中の２点鎖線ＸＸＩＸで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。図３０は、ＢＴ仕様用の工具保持部およびロック機構部（アンロック状態）を示す断面図である。図３１は、図３０中の２点鎖線ＸＸＸＩで囲まれた範囲の工具保持部およびロック機構部を示す断面図である。

　図２５から図３１を参照して、図中には、工具保持部５１により保持される工具Ｔとして、ＢＴホルダＳｂが示されている。ＢＴホルダＳｂは、プルボルト６４１を有する。プルボルト６４１は、工具挿入部５２の内側に配置されている。プルボルト６４１は、中心軸６１０を中心とする軸形状を有する。プルボルト６４１には、くびれ部６４２が設けられている。くびれ部６４２は、プルボルト６４１の外周面に、中心軸６１０の半径方向内側に向けて凹むくびれ形状をなしている。くびれ部６４２は、ＨＳＫホルダＳａにおける窪み部６３２に対応している。

　工具保持部５１のケーシング部分である工具挿入部５２およびブロック部５３は、ＢＴ仕様用の工具保持部５１と、ＨＳＫ仕様用の工具保持部５１との間で共通である。ＢＴ仕様用のロック機構部６００は、係合部５３１が、規制部材５５１および付勢部材５４１よりも中心軸６１０の半径方向外側に配置される点で、ＨＳＫ仕様用のロック機構部６００と異なる。

　すなわち、ＢＴ仕様用のロック機構部６００において、係合部５３１は、ボールである。ロック機構部６００は、中心軸６１０の半径方向に貫通し、係合部（ボール）５３１が配置される開口部５６３が設けられ、中心軸６１０の半径方向にスライド動作が可能なように係合部（ボール）５３１を支持する支持部材５６１を有する。支持部材５６１は、工具挿入部５２と一体に設けられている。

　付勢部材５４１は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であるプランジャである。付勢部材（プランジャ）５４１は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向に延在し、第１方向６２１にシフトするほど大きくなる直径（内径）を有し、係合部（ボール）５３１よりも中心軸６１０の半径方向外側に配置されるテーパ面５４２を有する。

　規制部材５５１は、中心軸６１０を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であり、付勢部材（プランジャ）５４１から第１方向６２１に隣り合った位置に設けられるピストンである。規制部材（ピストン）５５１は、中心軸６１０の半径方向内側に向けて延出し、係合部（ボール）５３１よりも中心軸６１０の半径方向外側に配置される第１鍔部５５６（鍔部）と、第１鍔部５５６から第１方向６２１に隣り合った位置に設けられ、第１鍔部５５６よりも中心軸６１０の半径方向外側に向けて凹む形状を有する凹部５５７とを有する。

　ロック機構部６００は、付勢部材（プランジャ）５４１に対して第１方向６２１の弾性力を作用させる第１弾性部材５７１と、規制部材（ピストン）５５１に対して第２方向６２２の弾性力を作用させる第２弾性部材５７２とをさらに有する。

　図２６および図２７に示されるように、第１弾性部材５７１の弾性力が作用された付勢部材（プランジャ）５４１と、第２弾性部材５７２の弾性力が作用された規制部材（ピストン）５５１とが、中心軸６１０の軸方向において互いに当接した場合に、付勢部材（プランジャ）５４１が第３位置Ｐｃに配置され、規制部材（ピストン）５５１が第５位置Ｐｅに配置され、係合部（ボール）５３１が、第１鍔部５５６と当接することによって第１位置Ｐａに保持される。これにより、ロック機構部６００は、ロック状態とされる。

　図２８および図２９に示されるように、規制部材（ピストン）５５１が第５位置Ｐｅから奥側第６位置Ｐｆ１に向けて動作される。この場合に、付勢部材（プランジャ）５４１が第３位置Ｐｃに配置される。係合部（ボール）５３１が、テーパ面５４２と接触することによって第１位置Ｐａに向けて付勢される。これにより、ロック機構部６００は、半ロック状態とされる。

　図３０および図３１に示されるように、規制部材（ピストン）５５１が第５位置Ｐｅから手前側第６位置Ｐｆ２に向けて動作される。この場合に、付勢部材（プランジャ）５４１が、規制部材（ピストン）５５１に押されることによって、第４位置Ｐｄに配置される。係合部（ボール）５３１が、凹部５５７に進入することによって、第２位置Ｐｂに配置される。これにより、ロック機構部６００は、アンロック状態とされる。

　続いて、工具保持システム１０におけるロック機構部６００の状態と、ロック機構部６００を動作させるための機構とについて説明する。

　図３２は、この発明の実施の形態における工具保持システムを示す別の斜視図である。図３２を参照して、工具保持システム１０（工具マガジン１２）は、搬送機構部としてのホイール部３１を有する。ホイール部３１は、Ｙ軸－Ｚ軸平面内で無端状に並ぶ複数の工具保持部５１を周回動作させる。

　工具マガジン１２における工具保持部５１の周回動作の間、および、搬送装置１４による工具保持部５１の搬送の間、規制部材（ピストン）５５１が、第５位置Ｐｅに配置され、付勢部材（プランジャ）５４１が、第３位置Ｐｃに配置されることによって、ロック機構部６００がロック状態とされている。

　このような構成により、工具保持部５１からの工具Ｔの脱落を防ぐことができる。特に、工具マガジン１２における工具保持部５１の周回動作の間、工具保持部５１とともに周回動作する工具Ｔに対して遠心力が作用するが、このような場合であっても、工具保持部５１からの工具Ｔの脱落をより確実に防ぐことができる。

　また、本実施の形態では、第１弾性部材５７１および第２弾性部材５７２の弾性力によって、規制部材（ピストン）５５１が、第５位置Ｐｅに配置され、付勢部材（プランジャ）５４１が、第３位置Ｐｃに配置されている。これにより、ロック機構部６００のホームポジションが工具のロック状態とされるため、不慮の事態によって工具Ｔが工具保持部５１が脱落することを防止できる。

　図３３は、図３２中の矢印ＸＸＸＩＩＩに示される方向に見た工具保持システム（カバー体あり）を示す斜視図である。図３４は、図３２中の２点鎖線ＸＸＸＩＶで囲まれた範囲の工具マガジンを示す斜視図である。

　図３２から図３４を参照して、工具保持システム１０は、カバー体５１１をさらに有する。カバー体５１１は、内部空間５１６を形成している。内部空間５１６には、複数の工具格納部２１が収容されている。

　カバー体５１１には、カバー開口部５１２が設けられている。内部空間５１６は、カバー開口部５１２を通じて、内部空間５１６の外側の外部空間に開放されている。カバー開口部５１２は、カバー体５１１において、所定軸１１０に直交する平面（Ｙ軸－Ｚ軸平面）に平行な開口面をなしている。カバー開口部５１２がなす開口面は、所定軸１１０の軸方向において、工具格納部２１Ｆの一部と対向している。

　工具保持システム１０は、扉部５１３をさらに有する。扉部５１３は、カバー開口部５１２に設けられている。扉部５１３は、カバー開口部５１２を閉塞する閉状態と、カバー開口部５１２を開口させる開状態との間で動作可能である。扉部５１３は、Ｚ軸方向にスライド動作可能である。扉部５１３の動作は、特に限定されず、たとえば、扉部５１３は、Ｙ軸方向（上下方向）に延びる軸を中心として回動動作が可能であってもよい。

　工具マガジン１２は、手動工具交換位置Ｍに配置される工具保持部５１において、手動により工具を交換可能なように構成されている。手動工具交換位置Ｍは、所定軸１１０の周方向における工具格納部２１Ｆの所定位置に規定されている。手動工具交換位置Ｍは、所定軸１１０の軸方向において、カバー開口部５１２がなす開口面と対向している。

　一例として、工具格納部２１Ｂに格納された工具を、手動工具交換位置Ｍに割り出す場合の工具保持システム１０の動作フローについて説明する。

　まず、移動体９１を工具格納部２１Ｂにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊまで移動させる。次に、工具格納部２１Ｂにおいて、ホイール部３１を旋回動作させることによって、交換対象となる工具を保持する工具保持部５１をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出す。次に、移動体９１により工具保持部５１を保持する。

　次に、工具格納部２１Ｂ，２１Ｃ，２１Ｄ，２１Ｅの各工具格納部２１において、ホイール部３１を旋回動作させることによって、開口部３６をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出す。工具格納部２１Ｆにおいて、ホイール部３１を旋回動作させることによって、工具保持部５１が装着されていない状態の装着部３８をマガジン内工具搬送位置Ｊに割り出す。

　次に、移動体９１を工具格納部２１Ｂにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊから工具格納部２１Ｆにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊにまで移動させる。工具保持部５１を、工具格納部２１Ｆにおけるマガジン内工具搬送位置Ｊで待機する装着部３８に装着する。次に、工具格納部２１Ｆにおいて、ホイール部３１を旋回動作させることによって、工具保持部５１が装着された工具保持部５１を手動工具交換位置Ｍに割り出す。

　工具保持システム１０（工具マガジン１２）は、シリンダピストン５２１と、操作部（不図示）とをさらに有する。

　シリンダピストン５２１は、規制部材（ピストン）５５１を第５位置Ｐｅから手前側第６位置Ｐｆ２に向けて動作させる第２動作機構部として設けられている。操作部は、シリンダピストン５２１を駆動させる場合に作業者により操作される。操作部は、たとえば、フットスイッチであってもよいし、押しボタンであってもよい。

　工具保持部５１は、中心軸６１０が所定軸１１０の半径方向と平行となる姿勢により、ホイール部３１に装着されている。シリンダピストン５２１は、手動工具交換位置Ｍに配置される工具保持部５１の半径方向内側に配置されている。シリンダピストン５２１は、工具格納部２１Ｆのホイール部３１と、工具格納部２１Ｅのホイール部３１との間に配置されている。

　シリンダピストン５２１は、ピストン５２２を有する。ピストン５２２は、手動工具交換位置Ｍに配置される工具保持部５１の中心軸６１０の軸上で伸縮駆動する。ピストン５２２は、中心軸６１０の軸上において、規制部材（ピストン）５５１のピストンエンド５５２と対向している。

　シリンダピストン５２１の駆動に伴って、ピストン５２２が、ピストンエンド５５２を所定軸１１０の半径方向外側に向けて押し出す。規制部材（ピストン）５５１が、第５位置Ｐｅから手前側第６位置Ｐｆ２に向けて動作することによって、ロック機構部６００がアンロック状態とされる。これにより、作業者は、手動工具交換位置Ｍに配置される工具保持部５１に対して工具を着脱することができる。

　図３５は、図２中の２点鎖線ＸＸＸＶで囲まれた範囲の工具保持システムを示す斜視図である。

　図３５を参照して、工具保持システム１０は、ロック解除キー５２７と、ＡＴＣ取り付けリブ５２６とをさらに有する。

　ロック解除キー５２７は、規制部材（ピストン）５５１を第５位置Ｐｅから奥側第６位置Ｐｆ１に向けて動作させる第１動作機構部として設けられている。ＡＴＣ取り付けリブ５２６は、Ｙ軸－Ｚ軸平面に平行に配置されている。ＡＴＣ取り付けリブ５２６には、自動工具交換装置１６が取り付けられている。ＡＴＣ工具待機位置Ｋにおいて、移動体９１（ロック機構部６００）は、ＡＴＣ取り付けリブ５２６とＸ軸方向に隣り合って配置されている。

　ロック解除キー５２７は、ＡＴＣ取り付けリブ５２６に固定されている。ロック解除キー５２７は、ＡＴＣ取り付けリブ５２６から－Ｘ軸方向に延出している。ロック解除キー５２７は、Ｘ軸方向において、規制部材（ピストン）５５１のピストンエンド５５２と対向する位置に設けられている。ロック解除キー５２７は、傾斜面５２８を有する。傾斜面５２８は、Ｙ軸に平行な平面であって、＋Ｘ軸方向、かつ、－Ｚ軸方向に向かって延在する平面からなる。

　移動体９１がＡＴＣ工具待機位置Ｋに向けて＋Ｘ軸方向に移動する場合に、ロック解除キー５２７が、Ｘ軸方向においてピストンエンド５５２に差し込まれる。このとき、傾斜面５２８が、ピストンエンド５５２を－Ｚ軸方向に引き出す。規制部材（ピストン）５５１が、第５位置Ｐｅから奥側第６位置Ｐｆ１に向けて動作することによって、ロック機構部６００が半ロック状態とされる。これにより、ＡＴＣ工具待機位置Ｋに配置された工具保持部５１において、工具Ｔの脱落を防ぎつつ、自動工具交換装置１６による工具交換時には、工具保持部５１に対する工具Ｔの円滑な着脱を可能にできる。

　以上に説明した、この発明の実施の形態における工具保持システム１０の構造についてまとめると、工具保持システム１０は、工具Ｔを保持するための工具保持部５１と、工具保持部５１に設けられ、工具保持部５１に保持された工具Ｔをロックするためのロック機構部６００とを備える。ロック機構部６００は、工具Ｔと係合し、工具Ｔをロックする第１位置Ｐａと、第１位置Ｐａから退避し、工具Ｔのロックを解除する第２位置Ｐｂとの間で動作可能な係合部５３１と、係合部５３１と接触し、係合部５３１を第１位置Ｐａに向けて付勢する第３位置Ｐｃと、第３位置Ｐｃから退避し、係合部５３１に対する付勢を解除する第４位置Ｐｄとの間で動作可能な付勢部材５４１と、係合部５３１と接触し、第１位置Ｐａから第２位置Ｐｂに向けた係合部５３１の動作を規制し、係合部５３１を第１位置Ｐａに保持する第５位置Ｐｅと、第５位置Ｐｅから退避することにより、第１位置Ｐａおよび第２位置Ｐｂの間における係合部５３１の動作を許容する第６位置Ｐｆとの間で動作可能な規制部材５５１とを有する。

　このように構成された、この発明の実施の形態における工具保持システム１０によれば、工具Ｔのロック状態、半ロック状態およびアンロック状態を選択的に実現することができる。

　今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　この発明は、たとえば、マシニングセンタ等の工作機械に適用される。

　１０　工具保持システム、１２　工具マガジン、１４　搬送装置、１６　自動工具交換装置、１７　アーム部、２１，２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃ，２１Ｄ，２１Ｅ，２１Ｆ　工具格納部、３１　ホイール部、３１ｐ　外周縁、３２　基部、３３　テーパ部、３４　鍔部、３６　開口部、３７　第２ギヤ、３７ｅ　第１プレート、３７ｆ　第２プレート、３７ｇ　ピン、３８　装着部、３９　リング体、４１　旋回駆動部、４２，９６　モータ、４２ｒ，４３ｒ　出力軸、４３，９８　減速機、４４　第１ギヤ、５１　工具保持部、５２　工具挿入部、５３　ブロック部、５４　貫通孔、６１　支持部、６２　フレーム体、６３，６３ｈ，６３ｉ，６３ｊ　支持ローラ、７１　案内装置、７２　下側支持アーム、７３，７３ｐ，７３ｑ，７３ｒ　レール、７３Ａ，７３Ｂ，７３Ｃ　レール片、７４　上側支持アーム、７６　第１切り欠き部、８１　送り装置、８３　第２切り欠き部、８２　ラック、８２Ａ，８２Ｂ，８２Ｃ　ラック片、８６　第１ピニオン、８７　第２ピニオン、８８　第３ピニオン、９１　移動体、９２，９２ｐ，９２ｑ，９２ｒ　回転ローラ、９３　天板、９４　第１底板、９５　第２底板、９７　ギヤボックス、１１０　所定軸、１１５　区間、１１６　工具搬送路、１２０，１３０，１４０　回転中心軸、１５０　第１回転中心軸、１６０　第２回転中心軸、１７０　第３回転中心軸、２１０　工具クランプ機構部、５１１　カバー体、５１２　カバー開口部、５１３　扉部、５１６　内部空間、５２１　シリンダピストン、５２２　ピストンロッド、５２６　ＡＴＣ取り付けリブ、５２７　ロック解除キー、５２８　傾斜面、５３１　係合部、５４１　付勢部材、５４２　テーパ面、５４３　第２内鍔部、５５１　規制部材、５５２　ピストンエンド、５５６　第１鍔部、５５６ａ　外周面、５５７　凹部、５５８　第２鍔部、５５９　係止部、５６１　支持部材、５６２　円筒部、５６３　開口部、５６４　第１内鍔部、５７１　第１弾性部材、５７２　第２弾性部材、６００　ロック機構部、６１０　中心軸、６２１　第１方向、６２２　第２方向、６３０　隙間、６３１　シャンク部、６３２　窪み部、６４１　プルボルトｍ、６４２　くびれ部、Ｊ　マガジン内工具搬送位置、Ｋ　ＡＴＣ工具待機位置、Ｍ　手動工具交換位置、Ｐａ　第１位置、Ｐｂ　第２位置、Ｐｃ　第３位置、Ｐｄ　第４位置、Ｐｅ　第５位置、Ｐｆ　第６位置、Ｐｆ１　奥側第６位置　Ｐｆ２　手前側第６位置、Ｓａ　ＨＳＫホルダ、Ｓｂ　ＢＴホルダ、Ｔ　工具。

Claims

　工具を保持するための工具保持部と、
　前記工具保持部に設けられ、前記工具保持部に保持された工具をロックするためのロック機構部とを備え、
　前記ロック機構部は、
　前記工具と係合し、工具をロックする第１位置と、前記第１位置から退避し、工具のロックを解除する第２位置との間で動作可能な係合部と、
　前記係合部と接触し、前記係合部を前記第１位置に向けて付勢する第３位置と、前記第３位置から退避し、前記係合部に対する付勢を解除する第４位置との間で動作可能な付勢部材と、
　前記係合部と接触し、前記第１位置から前記第２位置に向けた前記係合部の動作を規制し、前記係合部を前記第１位置に保持する第５位置と、前記第５位置から退避することにより、前記第１位置および前記第２位置の間における前記係合部の動作を許容する第６位置との間で動作可能な規制部材とを有する、工具保持システム。
　前記工具保持部に保持される工具を交換するための自動工具交換装置をさらに備え、
　前記自動工具交換装置による工具交換時、前記規制部材は、前記第６位置に配置され、前記付勢部材は、前記第３位置に配置される、請求項１に記載の工具保持システム。
　前記工具保持部に保持される工具の手動による交換時、前記規制部材は、前記第６位置に配置され、前記付勢部材は、前記第４位置に配置される、請求項１または２に記載の工具保持システム。
　所定平面内で無端状に並ぶ複数の前記工具保持部と、
　複数の前記工具保持部を前記所定平面内で周回動作させる搬送機構部とをさらに備え、
　前記搬送機構部による複数の前記工具保持部の搬送時、前記規制部材は、前記第５位置に配置され、前記付勢部材は、前記第３位置または前記第４位置に配置される、請求項１から３のいずれか１項に記載の工具保持システム。
　工具は、各前記工具保持部に対して、所定軸を中心にしてその軸方向に挿抜され、
　前記所定軸の軸方向は、前記所定平面に含まれる、請求項４に記載の工具保持システム。
　工具は、前記工具保持部に対して、所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第１方向に挿入され、前記第１方向とは反対方向であって、前記所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第２方向に抜き出され、
　前記係合部は、ボールであり、
　前記ロック機構部は、前記所定軸の半径方向に貫通し、前記ボールが配置される開口部が設けられ、前記所定軸の半径方向にスライド動作が可能なように前記ボールを支持する支持部材をさらに有し、
　前記付勢部材は、前記所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であるプランジャであり、
　前記プランジャは、前記所定軸を中心にしてその軸方向に延在し、前記第１方向にシフトするほど小さくなる直径を有し、前記ボールよりも前記所定軸の半径方向内側に配置されるテーパ面を含み、
　前記規制部材は、前記所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であり、前記プランジャから前記第１方向に隣り合った位置に設けられるピストンであり、
　前記ピストンは、前記所定軸の半径方向外側に向けて延出し、前記ボールよりも前記所定軸の半径方向内側に配置される鍔部と、前記鍔部から前記第１方向に隣り合った位置に設けられ、前記鍔部よりも前記所定軸の半径方向内側に向けて凹む形状を有する凹部とを含み、
　前記ロック機構部は、前記プランジャに対して前記第１方向の弾性力を作用させる第１弾性部材と、前記ピストンに対して前記第２方向の弾性力を作用させる第２弾性部材とをさらに有し、
　前記第１弾性部材の弾性力が作用された前記プランジャと、前記第２弾性部材の弾性力が作用された前記ピストンとが、前記所定軸の軸方向において互いに当接した場合に、前記プランジャが前記第３位置に配置され、前記ピストンが前記第５位置に配置され、前記ボールが、前記鍔部と当接することによって前記第１位置に保持される、請求項１から５のいずれか１項に記載の工具保持システム。
　工具は、前記工具保持部に対して、所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第１方向に挿入され、前記第１方向とは反対方向であって、前記所定軸を中心にしてその軸方向に沿った第２方向に抜き出され、
　前記係合部は、ボールであり、
　前記ロック機構部は、前記所定軸の半径方向に貫通し、前記ボールが配置される開口部が設けられ、前記所定軸の半径方向にスライド動作が可能なように前記ボールを支持する支持部材をさらに有し、
　前記付勢部材は、前記所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であるプランジャであり、
　前記プランジャは、前記所定軸を中心にしてその軸方向に延在し、前記第１方向にシフトするほど大きくなる直径を有し、前記ボールよりも前記所定軸の半径方向外側に配置されるテーパ面を含み、
　前記規制部材は、前記所定軸を中心にしてその軸方向にスライド動作が可能であり、前記プランジャから前記第１方向に隣り合った位置に設けられるピストンであり、
　前記ピストンは、前記所定軸の半径方向内側に向けて延出し、前記ボールよりも前記所定軸の半径方向外側に配置される鍔部と、前記鍔部から前記第１方向に隣り合った位置に設けられ、前記鍔部よりも前記所定軸の半径方向外側に向けて凹む形状を有する凹部とを含み、
　前記ロック機構部は、前記プランジャに対して前記第１方向の弾性力を作用させる第１弾性部材と、前記ピストンに対して前記第２方向の弾性力を作用させる第２弾性部材とをさらに有し、
　前記第１弾性部材の弾性力が作用された前記プランジャと、前記第２弾性部材の弾性力が作用された前記ピストンとが、前記所定軸の軸方向において互いに当接した場合に、前記プランジャが前記第３位置に配置され、前記ピストンが前記第５位置に配置され、前記ボールが、前記鍔部と当接することによって前記第１位置に保持される、請求項１から５のいずれか１項に記載の工具保持システム。
　前記第６位置は、前記第５位置に対して前記第１方向の側に位置する奥側第６位置を含み、さらに、
　前記ピストンを前記第５位置から前記奥側第６位置に向けて動作させる第１動作機構部を備え、
　前記第１動作機構部により、前記ピストンが前記第５位置から前記奥側第６位置に向けて動作された場合に、前記プランジャが前記第３位置に配置され、前記ボールが、前記テーパ面と接触することによって前記第１位置に向けて付勢される、請求項６または７に記載の工具保持システム。
　前記第６位置は、前記第５位置に対して前記第２方向の側に位置する手前側第６位置を含み、さらに、
　前記ピストンを前記第５位置から前記手前側第６位置に向けて動作させる第２動作機構部を備え、
　前記第２動作機構部により、前記ピストンが前記第５位置から前記手前側第６位置に向けて動作された場合に、前記プランジャが、前記ピストンに押されることによって、前記第４位置に配置され、前記ボールが、前記凹部に進入することによって、前記第２位置に配置される、請求項６から８のいずれか１項に記載の工具保持システム。