JP2009023082A - 工具授受システム - Google Patents

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Abstract

【課題】工具授受の制御が簡単であり、工具の構成を簡易にすることができる工具授受システムを提供する。
【解決手段】スピンドル40が保持したドリル310の工具保持装置192への授受時には、スピンドル40の前進に伴って係合レバー260がクランプスリーブ74に当接してその前進を止め、スピンドル40のクランプスリーブ74に対する前進によりクランプが解除され、押出部材90が工具ホルダ100を工具保持装置192に押し込む。工具保持装置192が保持したドリル310のスピンドル40への授受時には、クランプスリーブ74の前進を係合レバー260が止めた状態から更にスピンドル40が前進して工具保持部材210を後退させ、カム面270,292の作用により係合レバー260が退避位置へ退避し、クランプスリーブ74がスプリング76の付勢により前進してボール58を工具ホルダ100に係合させ、クランプさせる。
【選択図】図10

Description

本発明は、2つの工具保持装置の間において工具の授受を行う工具授受システムに関するものであり、特に、授受の容易化に関するものである。
切削工具,研削工具等の機械加工工具や、バニシング工具等の塑性加工工具等を含む加工工具は、自動工具交換等の目的で、例えば、工具保持軸と工具収納装置との間において授受される。下記特許文献1にその一例が記載されている。この特許文献1に記載の工具授受システムにおいては、加工工具が工具ホルダにより保持された状態で、工具ホルダごと工具保持軸に保持されたり、工具収納装置に収納されたりする。この形態で授受されることが多いが、不可欠ではなく、工具ホルダに保持されていない加工工具自体が授受されることもある。したがって、本明細書においては、工具ホルダに保持された状態の加工工具も、工具ホルダに保持されていない加工工具も区別することなく、工具と総称することとする。
特許文献1に記載の工具はボールクランプ機構を備えている。このボールクランプ機構は、やや特殊なもので、工具本体たるホルダ本体に形成された半径方向外向きのフランジと、ホルダ本体に軸方向に相対移動可能かつ相対回転不能に嵌合された係合部材から半径方向内向きに突出させられた係合突起とにより、工具保持軸の半径方向外向きのフランジを軸方向の両側から強く挟ませる(クランプさせる)ことにより、工具を工具保持軸に固定するものである。そのため、このボールクランプ機構は、ホルダ本体に軸方向に摺動可能に嵌合され、内周面に軸方向に対して傾斜して形成された傾斜面を有する円筒状のクランプスリーブと、半径方向のボール保持穴を有する上記係合部材と、ホルダ本体の半径方向外向きのフランジに軸方向に傾斜して形成された傾斜面と、係合部材のボール保持穴に半径方向に移動可能に保持されたボールと、クランプスリーブとホルダ本体との間に設けられ、クランプスリーブをホルダ本体の先端側から後端側に向かう後退方向に付勢するスプリングとを含むものとされている。
このボールクランプ機構においては、クランプスリーブがスプリングにより後退方向に付勢されることにより、クランプスリーブの傾斜面がボールを半径方向内向きに押す。その結果、係合部材のボール保持穴の内周面とホルダ本体の傾斜面との間に形成された楔状の隙間にボールが押し込まれ、係合部材をホルダ本体に対して前進させ、係合部材の半径方向内向きの係合突起とホルダ本体の半径方向外向きの突起とにより、工具保持軸の半径方向外向きのフランジが強く挟まれることとなる。なお、係合部材の係合突起と工具ホルダのフランジとに、工具保持軸のフランジを挟ませるためには、係合部材の半径方向内向きの係合突起に、工具保持軸の半径方向外向きのフランジを、工具保持軸の先端側から後端側へ通過させることが必要であり、そのために、工具保持軸の半径方向外向きのフランジに、それを軸方向に貫通する切欠が形成される。係合突起がこの切欠を通過可能な相対位相において、工具が工具保持軸に挿入され、係合突起が切欠を通過した後、工具と工具保持軸とが所定角度相対回転させられ、その状態で、上記のように係合部材がホルダ本体に対して前進させられると、係合突起とホルダ本体のフランジとが工具保持軸のフランジを強く挟む状態となるのである。また、詳細な説明は省略するが、クランプスリーブを制御するためにも、工具と工具保持軸とを相対回転させることが必要な構成とされている。
したがって、工具が工具保持軸に保持させられる際には、工具保持軸が、工具を保持した工具収納装置に同軸に対向した状態とされ、その状態で工具保持軸に向かって前進させるられることにより、工具が工具保持軸の受容穴に受容されるとともに、クランプスリーブがスプリングの付勢力に抗して移動させられ(前進させられ)、その後、工具と工具保持軸とが所定角度相対回転させられることにより、クランプスリーブが作用位置(後退位置)へ移動させられ、工具保持軸のフランジがホルダ本体のフランジと係合部材の係合突起とによりクランプされて、工具が工具保持軸に強固に保持された状態となる。同様に、工具が工具保持軸から工具収納装置に戻される際にも、工具保持軸の工具収納装置に対する接近離間運動と回転運動が与えられる。
特開2005−14143公報
このように特許文献1に記載の工具授受システムによれば、工具保持軸と工具収納装置との間における工具の授受を自動的に行うことができるのであるが、授受を行うために工具保持軸の軸方向の移動および軸線まわりの回転が必要であり、制御が複雑になり、また、工具(実際には工具ホルダ)の構成が複雑になる。
本発明は、上記の事情を背景として為されたものであり、工具授受の制御が簡単であり、工具の構成を簡易にすることができる工具授受システムおよび工具保持装置の提供を課題とする。
上記の課題は、第1工具保持装置と第2工具保持装置とを含み、それら両工具保持装置が相対移動させられることにより工具の授受を行う工具授受システムの第1工具保持装置を、(A)第1工具保持部材と、(B)その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構とを含むものとし、第2工具保持装置を、(I)第2工具保持装置本体と、(II)その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、(III)その第2工具保持部材を第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、(IV)第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、第2工具保持部材が第2付勢装置の付勢力に抗して第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、クランプスリーブの第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置とを含むものとすることにより解決される。
第1,第2工具保持装置はいずれも工具を保持する装置であればよく、例えば、第1工具保持装置がスピンドルを備えた回転加工装置に設けられ、第2工具保持装置が工具を収納する工具収納装置に設けられてもよく、あるいは第1工具保持装置と第2工具保持装置との一方が、スピンドルと工具収納装置との間で工具の交換を行う工具交換装置に設けられ、他方が、スピンドルと工具収納装置との少なくとも一方に設けられてもよい。第1工具保持装置は、工作機械に限らず、スピンドルを備えたロボットに設けられてもよい。
上記の課題はまた、(1)第1工具保持部材と、(2)その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構とを含む第1工具保持装置と相対移動させられることにより、その第1工具保持装置との間で工具の授受を行う第2工具保持装置を、(I)第2工具保持装置本体と、(II)その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、(III)その第2工具保持部材を前記第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、(IV)第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と前記第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、前記クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、第2工具保持部材が第2付勢装置の付勢力に抗して第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、クランプスリーブの第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置とを含むものとすることにより解決される。
第1工具保持装置により保持された工具を第2工具保持装置に保持させる場合には、第1受容穴が第2受容穴と同軸に対向し、工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分が第2受容穴に受容された状態で、第1,第2工具保持部材が軸方向において互いに接近する方向に相対移動させられる。この際、クランプスリーブ制御装置がクランプスリーブに作用し、第1工具保持部材に対して相対的に後退させる。それにより、クランプ機構による工具のクランプが解除され、第1,第2工具保持装置が相対移動させられることにより、工具が第1受容穴から抜け出させられる。
また、第2工具保持装置により保持された工具を第1工具保持装置に保持させる場合には、工具と第1受容穴とが同軸に対向する状態で、第1,第2工具保持部材が軸方向において互いに接近させられ、工具の第2受容穴に受容されている側とは反対側の部分が第1受容穴に受容される。この接近に伴ってクランプスリーブ制御装置がクランプスリーブに作用し、クランプスリーブが第1工具保持部材に対して相対的に後退させられるとともに、第2工具保持部材が第2工具保持装置本体に対して後退させられ、クランプスリーブが第1付勢装置の付勢により第1工具保持部材に対して前進させられてクランプ機構により工具がクランプされる。その後、第1,第2工具保持装置が相対移動させられることにより、工具が第2受容穴から抜け出させられる。
このように、本発明に係る工具授受システムにおいては、工具を第1,第2のいずれの工具保持装置に保持させる場合にも、第1,第2工具保持装置を軸方向において相対的に接近,離間させればよく、軸線まわりの相対回転が不要であり、工具の授受を自動で行うための制御を簡単に行うことができる。また、回転が不要であるため、工具の授受に要する時間が短縮され、特に、多軸の加工システムにおいて複数の工具を1つずつ、第1,第2工具保持装置の間で授受させる場合に授受時間の短縮効果が大きい。さらに、工具にクランプ機構を設けなくてよく、工具の構成を簡単にすることができ、第1,第2工具保持装置により保持される種々の工具の各々にクランプ機構を設ける場合に比較して装置コストの低減を図ることができる。
また、本発明によれば、第1工具保持装置との間における工具の授受が簡単な制御で行われる第2工具保持装置が得られる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、(6)項が請求項5に、(7)項が請求項6に、(9)項が請求項7に、(12)項が請求項8に、(13)項が請求項9に、(14)項が請求項10に、(19)項が請求項11に、(21)項が請求項12に、それぞれ相当する。
(1)第1工具保持装置と第2工具保持装置とを含み、それら両工具保持装置が相対移動させられることにより工具の授受を行う工具授受システムであって、
前記第1工具保持装置が、
第1工具保持部材と、
その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構と
を含み、
前記第2工具保持装置が、
第2工具保持装置本体と、
その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、
その第2工具保持部材を前記第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と前記第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、前記クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して前記第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、前記クランプスリーブの前記第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置と
を含む工具授受システム。
(2)前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置とが互いに対向した状態での軸方向の相対移動のみにより工具の授受を行う(1)項に記載の工具授受システム。
本項の工具授受システムにおいては、第1工具保持装置により保持された工具を第2工具保持装置に保持させる場合に、工具が第2受容穴と同軸に対向する状態で、第1,第2工具保持部材が軸方向において互いに接近する方向に相対移動させられることにより、工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分が第2受容穴に受容され、クランプ機構による工具のクランプが解除される。
また、第2工具保持装置により保持された工具を第1工具保持装置に保持させる場合には、第1,第2工具保持部材が軸方向において互いに接近する方向に相対移動させられることにより、工具が第1受容穴に受容され、クランプ機構によりクランプされた後、第1,第2工具保持装置が軸方向において互いに離間する向きに相対移動させられることにより、工具が第2受容穴から抜け出させられる。
本項の工具授受システムによれば、第1,第2工具保持装置の軸方向において互いに接近,離間する方向の移動のみにより工具の授受を行うことができ、授受がより簡単である。
(3)前記第2工具保持部材が、前記軸方向に平行に延びるとともに、前記第2受容穴を囲む周壁の外側面から第2受容穴まで達する開口を有し、その開口を通っての工具の前記第2受容穴に対する進入,離脱と、前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置との前記互いに対向した状態での軸方向の相対移動とにより工具の授受を行う(1)項または(2)項に記載の工具授受システム。
第1工具保持装置により保持された工具を第2工具保持装置に保持させる場合に、工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分が、軸方向において第2受容穴と同じ位置に位置する状態で、第1,第2工具保持装置が第2受容穴の半径方向において互いに接近する方向に相対移動させられ、工具が開口を通って第2受容穴内に入れられ、第2受容穴により同軸状に受容される。その状態で第1,第2工具保持装置が軸方向において互いに接近する方向に相対移動させられ、クランプ機構による工具のクランプが解除される一方、第2工具保持装置により工具が保持され、第1,第2工具保持装置が互いに軸方向に離間する向きに相対移動させられることにより、工具が第1受容穴から抜け出させられる。
また、第2工具保持装置により保持された工具を第1工具保持装置に保持させる場合には、工具と第1受容穴とが同軸に対向する状態で、第1,第2工具保持装置が軸方向において互いに接近させられ、工具の第2受容穴に受容されている側とは反対側の部分が第1受容穴に受容される。この接近に伴って工具がクランプ機構によりクランプされる。そして、第1,第2工具保持装置が、第2受容穴の半径方向において互いに離間する方向に相対移動させられ、工具が第2保持部材に設けられた開口を通って第2受容穴の外へ抜け出させられる。
本項の授受システムによれば、例えば、端面加工用ブラシのように、加工部がシャンクより大形の工具を、第1,第2工具保持装置の相対移動により、それらの間で授受させることができる。
開口は、次項に記載の工具授受システムにおけるように、第2工具保持部材の軸方向における全長にわたって形成されてもよく、あるいは一部に形成され、第2工具保持部材の軸方向においては、一方の端面のみに開口させられ、行き止まり状の開口としてもよい。
(4)前記開口が、前記第2工具保持部材の前記軸方向における全長にわたって形成された(3)項に記載の工具授受システム。
開口は、第2工具保持部材を軸方向に貫通して設けられることとなり、形成が容易である。
(5)前記第2工具保持装置本体が、前記工具が前記第2受容穴の半径方向に移動することを許容する開口を有し、前記第2工具保持装置全体が前記工具の前記第2受容穴の半径方向の移動を許容する構成とされた(4)項に記載の工具授受システム。
第2工具保持装置本体の開口は、第2工具保持部材の軸方向に平行な方向における全長にわたって形成されてもよく、一部に形成され、第2工具保持装置本体の軸方向において一方の端面にのみ開口させられた行き止まり状の開口とされてもよい。
本項に記載の工具授受システムによれば、例えば、シャンクより大きい加工部を有する工具を、第2工具保持装置本体との干渉を回避しつつ、第1,第2工具保持装置との間において授受させることができる。
(6)前記クランプスリーブ制御装置が、
前記クランプスリーブと係合可能な作用位置と、その作用位置から退避した退避位置とに移動可能な可動係合部材と、
その可動係合部材を、常には前記作用位置に維持し、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して後退させられるのに伴って前記作用位置から前記退避位置へ退避させる可動係合部材制御装置と
を含む(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の工具授受システム。
可動係合部材の退避位置への退避により、第1付勢装置により前進方向に付勢されているクランプスリーブの第1工具保持部材に対する相対的な前進が許容され、工具がクランプされる。
(7)前記可動係合部材制御装置が、
前記可動係合部材を前記作用位置へ付勢する第3付勢装置と、
前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を、前記可動係合部材の前記第3付勢装置の付勢力に抗した前記作用位置から前記退避位置への退避運動に変換する運動変換機構と
を含む(6)項に記載の工具授受システム。
(8)前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を前記可動係合部材の半径方向成分を有する方向への運動に変換する機構である(7)項に記載の工具授受システム。
(9)前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に設けられた作用部と、前記可動係合部材に設けられた被作用部とを含み、それら作用部と被作用部との少なくとも一方が、前記軸方向に対して傾斜したカム面を有する(8)項に記載の工具授受システム。
(10)前記可動係合部材が、前記軸方向に直角な回動軸線のまわりに回動可能であり、その回動軸線から互いに異なる方向に延び出した2つのアーム部の一方に前記クランプスリーブと係合する係合部を備え、それら2つのアーム部の他方に前記被作用部を備えた回動型係合部材である(9)に記載の工具授受システム。
可動係合部材は、半径方向のみの移動により、退避位置と作用位置とに位置させられる平行移動型係合部材としてもよい。しかし、回動型係合部材とすれば、簡単な構造で可動係合部材を退避位置と作用位置とに移動させることができる。
(11)前記クランプスリーブ制御装置が、
前記クランプスリーブと係合可能な作用位置と、その作用位置から退避した退避位置とに移動可能な可動係合部材と、
その可動係合部材を前記作用位置へ付勢する第3付勢装置と、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を、前記可動係合部材の前記第3付勢装置の付勢力に抗した前記作用位置から前記退避位置への退避運動に変換する運動変換機構とを含み、前記可動係合部材を、常には前記作用位置に維持し、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して後退させられるのに伴って前記作用位置から前記退避位置へ退避させる可動係合部材制御装置と
を含み、前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を前記可動係合部材の前記軸方向における前記第2工具保持部材に対する相対的な後退運動に変換する機構である(2)項に記載の工具授受システム。
(12)前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に回動支点のまわりに回動可能に支持され、力点において前記第2工具保持部材と係合し、作用点において前記可動係合部材と係合し、前記回動支点から前記力点までの距離が、前記回動支点から前記作用点までの距離より小さい増速レバーを含む(11)項に記載の工具授受システム。
増速レバーの増速により、可動係合部材が第2工具保持部材より大きく後退させられて退避位置へ移動させられ、クランプスリーブの前進を許容する。
(13)前記工具保持部が前記周壁を半径方向に貫通したボール保持穴を有し、そのボール保持穴に、前記周壁の厚さより大きい直径を有するボールが前記半径方向に移動可能に保持され、前記クランプスリーブが内周面に前記軸方向に対して傾斜した傾斜面を有し、前記クランプ機構が、前記クランプスリーブが前記第1付勢装置の付勢力に基づいて前記傾斜面により前記ボールを内周側へ押し、前記第1受容穴に受容された工具をクランプするボールクランプ機構である(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の工具授受システム。
ボールクランプ機構によれば、工具を、その心出しを精度良く行いつつ、強固に保持することができる。
(14)前記第1工具保持装置が、前記第1工具保持部材の前記第1受容穴内に軸方向に移動可能に設けられ、第4付勢装置により、前記第1受容穴に受容された工具に押し付けられることによりその工具を前記第1受容穴から押し出すとともに、前記ボール保持穴に対応する位置において、前記ボールが前記内周面より内周側へ設定突出量以上突出することを防止する押出部材を含む(13)項に記載の工具授受システム。
上記設定突出量は、0でもよく、正の値でもよい。
第1工具保持装置と第2工具保持装置との接近により、クランプスリーブが後退させられてボールによる工具のクランプが解除されると、第4付勢装置の付勢力に基づいて、押出部材により工具が第1受容穴から押し出され、工具の傾斜面によりボールが半径方向外向きに押し出される。それに伴って押出部材がボール保持穴に対応する位置まで前進し、ボールが設定突出量以上第1受容穴内部へ突出することを防止する状態となる。設定突出量を比較的大きく設定すれば、押出部材により、ボールがボール保持穴から第1受容穴内に脱落することが防止され、もっと小さく設定すれば、接近に続く第1工具保持装置と第2工具保持装置との離間により、クランプスリーブの前進が許容されても、クランプスリーブはボールを第1受容穴内部へ押し込むことができず、クランプ位置(前進端)までは前進できない。押出部材により、ボールクランプ機構が解除状態に保持されるのである。ボールの上記設定突出量が正の値である場合、ボールクランプ機構の解除状態の保持を目的とする場合は、少なくとも、工具の第1受容穴への受容を妨げる突出量より小さい大きさに設定されることが必要である。ボールの脱落防止を目的とする場合は、突出量は、ボールクランプ機構の解除状態の保持を目的とする場合より大きく設定することができる。
ボールクランプ機構が解除状態に保持されるのであれば、後の、第2工具保持装置から第1工具保持装置への工具の授受に際して、工具が第1受容穴に受容されることをボールおよびクランプスリーブが妨げることがなく、工具が押出部材を第4付勢装置の付勢力に抗して押し戻し、工具の傾斜面がボール保持穴に対応する位置に到ってはじめてボールの第1受容穴内部への移動が許容され、ボールにより工具がクランプされる。設定突出量の設定によりボールクランプ機構が解除状態に保持される場合にも勿論、押出部材によりボールのボール保持穴から第1受容穴内への脱落が防止される。
このように、1つの押出部材により、工具の押出しとボールの脱落阻止とを行うことができ、突出量の設定によりボールクランプ機構の解除状態の保持も行うことができ、第1工具保持装置の構成を簡易にすることができる。
本項の特徴は前記(1)項ないし(13)項の各々に記載の特徴とは切り離して採用することも可能である。
(15)前記第2工具保持部材に、前記工具の少なくとも前記第2受容穴からの離脱に対して、設定された大きさの離脱防止力を付与する離脱防止力付与装置が設けられた(1)項ないし(14)項のいずれかに記載の工具授受システム。
ここにおいて「少なくとも」は、離脱防止力付与装置が、工具に第2受容穴への受容時には離脱防止力を付与せず、第2受容穴からの離脱に対してのみ離脱防止力を付与する装置とされてもよく、離脱に加えて、工具の第2受容穴への受容時にも離脱防止力を付与する装置とされてもよいことを意味する。
上記離脱防止力は、第1工具保持装置においてボールクランプ機構が工具をクランプしていない状態で第1,第2工具保持装置が互いに離間させられる場合は、工具の第2受容穴からの離脱を防止し、ボールクランプ機構が工具をクランプしている状態で第1,第2工具保持装置が互いに離間させられる場合は、工具の第2受容穴からの離脱を許容する大きさに設定される。
離脱防止力付与装置は、例えば、付勢装置の付勢力に基づく等により工具の外周面に摩
擦係合し、その摩擦に基づく離脱防止力を付与する摩擦型離脱防止力付与装置とすることも可能である。しかし、次項におけるように、付勢装置の付勢力に基づく凸部と凹部との係合により離脱防止力を付与する凹凸型離脱防止力付与装置とする方が、離脱防止力を所望の大きさに設定することが容易である。
(16)前記離脱防止力付与装置が、
前記軸方向に直角な方向である半径方向に凸の凸部と半径方向に凹の凹部との一方を有して半径方向に移動可能かつ軸方向に移動不能に設けられ、前記工具に設けられた前記凸部と前記凹部との他方と係合する係合部と、
その係合部を半径方向内向きに付勢する第5付勢装置と
を含む(15)項に記載の工具授受システム。
(17)前記第1工具保持部材と前記第2工具保持部材との少なくとも一方が、回転軸線まわりに回転自在な状態を取り得るものとされるとともに、その一方の外周面が、前記回転軸線を中心とする円筒面に、その回転軸線に平行な一平面状を成す被位相決め面が少なくとも1つ形成された形状を成し、当該工具授受システムが、
(i)治具本体と、(ii)前記被位相決め面と係合可能な位相決め面を備え、前記治具本体
に、位相決め面と直交する方向に移動可能に保持された位相決め部材と、(iii)その位相
決め部材を治具本体から突出する方向に付勢する第6付勢装置とを含む位相決め治具と、
前記第1工具保持部材と前記第2工具保持部材との前記少なくとも一方と前記位相決め
治具とを、前記位相決め面に直角な方向と、位相決め面に平行かつ工具保持部材の軸線に直角な方向とに相対移動させる相対移動装置と
を含む(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の工具授受システム。
第1,第2工具保持部材の少なくとも一方と位相決め治具とが、位相決め面に直角な方向から互いに接近させられ、位相決め部材が第6付勢装置の付勢力に抗して移動させられた状態で、両者が位相決め面に平行かつ工具保持部材の軸線に直角な方向に相対移動させられれば、工具保持部材は、円筒面と位相決め面との間の摩擦力により軸線まわりに回転させられる。そして、工具保持部材の位相が、被位相決め面が位相決め面に密着する位相になれば、工具保持部材の回転が止まり、工具保持部材の位相が予め定められた一定の位相に決められる。
本項に記載の工具授受システムによれば、第1,第2工具保持部材の位相を機械的に合わせることができる。例えば、第1工具保持装置が回転加工装置に設けられ、第1工具保持部材が回転駆動装置により回転させられる場合、工具授受時に必要であれば、第1工具保持部材の回転停止位置の制御により、第1工具保持部材の位相を予め設定された位相とすることができるが、回転停止位置制御機能が必要であるのに対し、本項の位相決め治具を用いれば、工具保持部材の位相を機械的に決めることができ、回転停止位置制御機能のない回転加工装置であっても、設定された位相において工具の授受を行うことが可能となる。
本項の特徴は、前記(1)項ないし(16)項の各々に記載の特徴とは切り離して採用することも可能である。
(18)前記被位相決め面が、前記外周面に互いに平行に2面設けられた(17)項に記載の工具授受システム。
工具保持部材の位相が、2つの被位相決め面のいずれか一方が位相決め面に係合することにより決められるため、位相決め時における工具保持部材の回転量が少なくて済み、迅速に位相が決められる。本項の特徴は、第1工具保持装置と第2工具保持装置とが、半回転ずつ回転した相対位相において工具の授受を行い得るものである場合に有効である。
(19)(1)第1工具保持部材と、(2)その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構とを含む第1工具保持装置と相対移動させられることにより、その第1工具保持装置との間で工具の授受を行う第2工具保持装置であって、
第2工具保持装置本体と、
その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、
その第2工具保持部材を前記第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、
前記第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と前記第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、前記クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して前記第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、前記クランプスリーブの前記第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置とを含む第2工具保持装置。
前記 (4)項ないし(18)項の各々に記載の特徴は本項の第2工具保持装置にも適用可能である。
(20)前記第1工具保持装置と互いに対向した状態での軸方向の相対移動のみにより第1工具保持装置との間で工具の授受を行う(19)項に記載の第2工具保持装置。
(21)前記第2工具保持部材が、前記軸方向に平行に延びるとともに、前記第2受容穴を囲む周壁の外側面から第2受容穴まで達する開口を有し、その開口を通っての工具の前記第2受容穴に対する進入,離脱と、前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置との前記互いに対向した状態での軸方向の相対移動とにより工具の授受を行う(19)項または(20)項に記載の第2工具保持装置。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
請求可能発明の一実施例である工具授受システムは、図1および図2に示すように、加工装置の一種である回転加工装置10,工具収納装置12および被加工物保持装置(図示省略)を備えた加工システムに設けられ、回転加工装置10と工具収納装置12との間において工具の授受を行うシステムである。本実施例の回転加工装置10は、複数のスピンドルを備え、1つの被加工物に複数種類の加工を施す多軸の加工装置であり、図1に概略的に示すように、加工台14と、加工台移動装置16とを含む。加工台移動装置16は、加工台14を、水平面内において互いに直交する2方向であるX軸方向およびY軸方向と、鉛直方向であるZ軸方向とにそれぞれ移動させるX軸方向移動装置,Y軸方向移動装置およびZ軸方向移動装置を含む。これら移動装置はそれぞれ、例えば、回転電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータを駆動源とし、加工台14をX軸,Y軸およびZ軸の各方向において任意の位置へ移動させる。サーボモータは、回転角度の正確な制御が可能なモータである。サーボモータに代えて、例えば、ステップモータを用いてもよい。多軸の加工装置は、2軸でもよく、3軸以上でもよい。軸数が多いほど、例えば、被加工物に施す加工の種類が多くなる。
加工台14には、図1に示すように、複数、例えば、6個のスピンドルユニット30が適宜の間隔を隔てて、例えば、等間隔に一列に並んで設けられている。これらスピンドルユニット30は同様に構成され、図3に1つを代表的に示すように、ユニット本体32が加工台14に、複数のスピンドルユニット30の並び方向と直交する方向に移動可能に保持され、スピンドル移動装置34により移動させられる。本実施例では、6個のスピンドルユニット30は、加工台14にY軸方向に並べられ、X軸方向に移動可能に設けられている。スピンドル移動装置34は、例えば、流体圧アクチュエータの一種である油圧シリンダを駆動源として構成されている。
上記ユニット本体32により、図3に示すように、スピンドル40が複数の軸受42を介して、スピンドルユニット30の移動方向であって、X軸方向に平行な軸線まわりに回転可能に保持され、加工台14に設けられた回転駆動装置44により自身の水平な軸線まわりに回転させられる。回転駆動装置44は、複数のスピンドル40の各々について設けられてもよく、あるいは共通に設けられ、クラッチ装置等により回転が個別に伝達されるようにしてもよい。回転駆動装置44は、本実施例においては、例えば、エンコーダ付サーボモータを駆動源とし、スピンドル40の回転停止位置制御機能を備えた装置とされている。
スピンドル40の先端部は、ユニット本体32から突出させられ、工具保持部48が設けられている。工具保持部48は、円筒状の周壁50と、その周壁50の内周面52により画定された第1受容穴54と、周壁50の先端から後方へ(ユニット本体32側へ)隔たった部分に、周壁50を半径方向に貫通して形成された複数、望ましくは3個以上であって、例えば、3個のボール保持穴56とを有している。これらボール保持穴56は、スピンドル40の回転軸線を中心線とする一円周上に等角度間隔に形成され、それぞれ、周壁50の厚さより大きい直径を有するボール58が半径方向に移動可能に嵌合されている。また、周壁50の先端には、図3および図4に示すように、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、その先端面60に開口し、周壁50を半径方向に貫通して係合部の一種である係合凹部としての切欠62が形成され、回転伝達部を構成している。切欠は、1個設けるのみでもよい。
工具保持部48の外周面64には、図3に示すように、クランプスリーブ74が軸方向に摺動可能に嵌合されるとともに、工具保持部48との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング76により前進方向、すなわち工具保持部48の先端側に向かう向きに付勢されている。このスプリング76が第1付勢装置を構成し、その付勢によるクランプスリーブ74の前進限度は、工具保持部48の外周面に嵌合された止め輪により構成されるストッパ78にクランプスリーブ74が当接することにより規定され、クランプスリーブ74の工具保持部48からの抜け出しが阻止されている。また、クランプスリーブ74の先端面は、クランプスリーブ74の軸線側ほど前方へ向かう向きに傾斜させられたテーパ面79とされている。
クランプスリーブ74の内周面には、図3に示すように、クランプスリーブ74の中心線を中心とする円環溝80が形成されている。円環溝80は、その前部は、内周面がスピンドル40の軸線に平行なストレート溝部81とされ、後部はスピンドル40の軸線に対して傾斜させられた傾斜溝部86とされている。傾斜溝部86の内周面は、後方ほどクランプスリーブ74の軸線に近づく向きに傾斜させられ、スピンドル40の軸方向に対して傾斜させられた2つのテーパ状の傾斜面82,84を含む面とされている。これら傾斜面82,84は、スピンドル40の軸方向に対する傾斜角度を異ならされ、後側の傾斜面84の傾斜角度は、前側の傾斜面82より小さい緩やかな傾斜面とされている。以後、傾斜面82を急傾斜面82、傾斜面84を緩傾斜面84と称する。
前記第1受容穴54内には、図3に示すように、押出部材90が軸方向に移動可能に嵌合されている。この押出部材90は有底の円筒状を成し、その底壁部92とスピンドル40との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング94により、前進方向であって、第1受容穴54の開口側へ付勢されている。圧縮コイルスプリングは圧縮スプリングの一種であり、スプリング94が第4付勢装置を構成している。押出部材90の前端部である底壁部92は、直径が第1受容穴54の直径よりやや小さい小径部とされ、底壁部92と押出部材90の底壁部92より後側の部分であって、第1受容穴54に嵌合された部分との間には、押出部材90の軸線に平行な方向における断面形状が、ボール58の曲率に対応する湾曲面状を成し、環状の肩面96が設けられている。以後、底壁部92を小径部92と称する。
前記円環溝80のストレート部81の深さ(半径方向の寸法)と、前記ボール保持穴56の深さ(工具保持部48の周壁50の半径方向の寸法)と、押出部材90の小径部92
と工具保持部48の内周面52との間の隙間の半径方向の寸法との和は、ボール58の直径と等しくされており、押出部材90の小径部92がボール保持穴56に対応する位置において、ボール58が周壁50の内周面52より内周側へ突出するが、上記隙間分以上、突出することが防止される。それにより、後述するように、工具ホルダ100(図5参照)がスピンドル40から離脱させられた状態において、ボール58のボール保持穴56からの離脱が防止されるとともに、クランプ解除状態に維持される。本実施例では、スピンドル40が第1工具保持部材を構成し、工具保持部48,ボール58,クランプスリーブ74およびスプリング76を含むクランプ機構の一種であるボールクランプ機構,押出部材90およびスプリング94と共に第1工具保持装置を構成し、例えば、図5に示す工具ホルダ100を保持し、工具を保持する。また、本実施例においては、スピンドル40が第1工具保持装置本体でもある。
工具ホルダ100は、図5および図6に示すように、円筒状を成すホルダ本体102を備え、その前部にコレットチャック104が設けられ、工具を着脱可能に保持する。コレットチャック104は、ホルダ本体102内に軸方向に移動可能に嵌合されたコレット108およびホルダ本体102の外周側に螺合されたクランプナット110を含む。ホルダ本体102のコレットチャック104に対して後側に隣接する部分には、半径方向外向きに延び出すフランジ部114が設けられている。このフランジ部114は、図6に示すように、直径方向に隔たった2個所がそれぞれ、軸線に平行な平面に沿って切り欠かれて1対の平面部116が設けられ、横断面形状が小判形を成す。また、これら平面部116にはそれぞれ、板状のキー118が嵌合され、固定されるとともに、図5に示すように、フランジ部114の後側、すなわちコレットチャック104とは反対側の端面である後端面120から後方へ軸方向に平行に突出させられ、被係合部の一種である係合突部を構成し、回転伝達部を構成している。フランジ部114は、図5に示すように段付状を成し、前部側は後端面120が設けられた後部側より径が大きくされるとともに、その前端と後端との各縁部にそれぞれ面取りが施され、前方ほど直径が減少するテーパ部121および後方ほど直径が減少するテーパ部122が形成されている。
ホルダ本体102の後端部には、図5に示すように、外周面の直径が後端側ほど直線的に減少させられたテーパ状の案内部130が設けられ、案内部130に対して前側に隣接する部分に円環溝132が形成されている。円環溝132の軸方向に隔たった1対の溝側面134,136のうち、後側の溝側面136は、ホルダ本体102の外周側ほど後方へ傾斜させられたテーパ面とされ、前側の溝側面134は溝側面136の傾斜と対応する傾斜を有し、逆向きに傾斜させられたテーパ面とされている。また、ホルダ本体102の溝側面136と案内部130との間の部分は、幅が極く短いストレートな円筒面状を成すが、その直径は、前記押出部材90の小径部92の直径と等しく、第1受容穴54の直径より小さくされている。
前記工具収納装置12は、図2に概略的に示すように、収納装置本体190と、収納装置本体190に設けられた複数の第2工具保持装置としての工具保持装置192とを備えている。これら工具保持装置192は、上下方向に複数列、例えば、2列に、各列同数ずつ設けられ、各列の工具保持装置192は、適宜の距離を隔てて、例えば、等距離を隔てて水平方向に並んで設けられている。また、各列の複数ずつの工具保持装置192は、並び方向における位置が互いに一致させられている。本収納装置本体190は、2列の工具保持装置列の各工具保持装置192がY軸方向に平行な方向に並び、工具保持装置192の軸線がX軸方向に平行となるように設けられるとともに、上下方向に移動可能に設けられ、昇降装置194により、回転加工装置10が設けられた加工エリア内に位置し、回転加工装置10との間で工具の授受を行う工具授受位置と、加工エリアから上方の退避エリアないし作業エリアへ離脱させられた位置であって、例えば作業者により工具保持装置192について工具の交換が行われる工具交換位置である手動工具交換位置ないし作業位置とに移動させられる。
複数の工具保持装置192は同様に構成されており、1つを代表的に説明する。
工具保持装置192は、図7に示すように、第2工具保持装置本体としての工具保持装置本体200を有する。工具保持装置本体200は、収納装置本体190に着脱可能に固定され、軸方向、ここではX軸方向に貫通して形成された横断面形状が円形の嵌合穴202が形成され、第2工具保持部材としての工具保持部材210が軸方向に移動可能かつ相対回転不能に嵌合されている。工具保持部材210は、円筒状の嵌合部212と、嵌合部212の前部に設けられ、嵌合部212より大形の保持部214とを備え、嵌合部212において工具保持装置本体200にX軸方向に移動可能に嵌合されている。工具保持部材210の工具保持装置本体200に対する回転は、図8に示すように、嵌合部212の周壁を半径方向に貫通し、軸方向に延びる状態で形成された長穴216に、工具保持装置本体200の内周面から嵌合穴202内に突出して設けられた係合突部218が嵌合されることにより阻止される。これら長穴216および係合突部218が相対回転阻止装置を構成している。係合突部218は長穴216に対して、工具保持部材210の軸方向には相対移動可能である。
工具保持部材210は、図8に示すように、工具保持装置本体200との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての少なくとも1つ、本実施例では複数、例えば、4つの圧縮コイルスプリング220により前方へ、すなわち工具保持装置本体200から突出し、第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢されている。これらスプリング220が第2付勢装置を構成し、それらの付勢による工具保持部材210の前進限度は、工具保持部材210の後端部に設けられた大径のストッパ部222が工具保持装置本体200の後端面223に当接することにより規定される。後端面223がストッパ部ないし前進限度規定部を構成している。工具保持部材210が前進限度を規定され、前進位置に位置する状態では、工具保持部材210の保持部214が工具保持装置本体200から離れた状態となる。
工具保持部材210には、図7および図9に示すように、その中心部を軸方向に貫通して第2受容穴230が形成されている。第2受容穴230は、横断面形状が円形の段付状を成し、直径の異なる複数、例えば、3つの穴部を備え、工具保持部材210の後部側から順に、工具より直径が大きく、工具が半径方向に隙間を有して収容される工具収容穴部232と、工具収容穴部232より大径であり、前記工具ホルダ100のクランプナット110が嵌合されるナット嵌合穴部234と、ナット嵌合穴部234より大径であり、ホルダ本体102のフランジ部114が嵌合されるフランジ部嵌合穴部236とを含む。これらナット嵌合穴部234とフランジ部嵌合穴部236との間には、工具保持部材210の軸線と直交し、前向きで環状の当接面238が形成され、力受け面を構成している。
工具保持部材210の保持部214には、図8に示すように、フランジ部嵌合穴部236を構成する部分の直径方向に隔たった2個所にそれぞれ、半径方向に貫通して孔244が形成され、ボール246が工具保持部材210の半径方向に移動可能かつ軸方向に移動不能に嵌合されるとともに、付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング248により半径方向内向きに、すなわちフランジ部嵌合穴部236内に突出する向きに付勢されている。このスプリング248が第5付勢装置を構成している。孔244のフランジ部嵌合穴部236側の開口部はボール246の直径より小さくされ、ボール246との係合により、スプリング248の付勢によるボール246の移動限度を規定するとともに、ボール246の孔244からの抜出しを阻止している。ボール246は、移動限度が規定された状態では、図9に示すように、その一部がフランジ部嵌合穴部236内に突出させられ、係合位置に位置する。ボール246が係合部たる半径方向に凸の凸部を構成する。本実施例では、ボール246およびスプリング248が離脱防止力付与装置の一種である凹凸型離脱防止力付与装置であって、工具保持具たるボールプランジャ249を構成し、2組設けられている。ボールプランジャ249は3組以上、設けてもよい。
保持部214のフランジ部嵌合穴部236を構成する部分にはまた、図9に示すように、ボール246が嵌合された部分に対して、90度より小さい角度、位相を異にする位置にホルダセンサ250が設けられている。ホルダセンサ250は、例えば、非接触型センサの一種である近接センサにより構成され、工具ホルダ100(工具)が工具保持装置192に保持された状態と保持されない状態とで異なる信号を出力するように構成され、工具保持装置192による工具ホルダ100および工具の保持の有無であって、工具収納装置12における工具の収納の有無が検出される。
工具保持部材210の保持部214の外面には、図7および図9に示すように、前記2組のボールプランジャ249が設けられた部分に対して90度位相を異にする2個所にそれぞれ、1対の支持壁258が突設され、回動型係合部材の一種である係合レバー260が軸261により、工具保持部材210の軸線と直角に立体交差する軸線まわりに回動可能に取り付けられている。これら係合レバー260はそれぞれ、その回動軸線から互いに異なる方向であって、工具保持部材210の軸線と平行な方向に延び出させられた2つのアーム部262,264を備えている。回動軸線から前方へ延び出させられたアーム部262は、工具保持部材210の先端から更に前方へ延び出させられるとともに、その延び出し端部が、延び出し方向に対して直角に、かつ、工具保持部材210の軸線側に曲げられ、係合部266が設けられている。係合部266の先端には、図7に示すように、前記クランプスリーブ74の前部のテーパ面79に対応する傾斜の傾斜面268が設けられている。
2つの係合レバー260の回動軸線から後方へ延び出させられた各アーム部264の延び出し端部は、図7に示すように、延び出し端側ほど工具保持部材210の軸線に向かう向きに傾斜させられたカム面270が形成され、被作用部272が設けられている。2つの係合レバー260の各アーム部264と工具保持部材210との間にはそれぞれ、第3付勢装置としての圧縮コイルスプリング274が配設され、係合レバー260が、係合部266が工具保持部材210の軸線側に向かう向きに付勢されている。
2つの係合レバー260をそれぞれ付勢する圧縮コイルスプリング274の各一端部は、図7に示すように、工具保持部材210に設けられたばね受け276,278により受けられる。これらばね受け276,278はそれぞれ、工具保持部材210の軸方向においてちょうど、前記ボールプランジャ249が設けられた部分と同じ部分に設けられ、その一部がフランジ部嵌合穴部236内へ突出させられている。それにより、フランジ部嵌合穴部236のばね受け276,278が設けられた部分の横断面形状は、図9に示すように、前記工具ホルダ100のフランジ部114の横断面形状に対応する小判形を成し、一対のボールプランジャ249はそれぞれ、小判の長手方向に隔たって位置する。
工具保持装置本体200には、図7および図9に示すように、工具保持部材210の軸線まわりにおいて一対の係合レバー260の各々と対応する個所にそれぞれ、作用部材290が設けられている。本作用部材290は、工具保持装置本体200に着脱可能に固定されている。これら作用部材290はそれぞれ、工具保持部材210の軸線に平行に設けられ、その先端部は工具保持装置本体200から前方へ突出させられるとともに、係合レバー260のカム面270に対応する傾斜のカム面292が形成され、作用部294が設けられている。係合レバー260は、スプリング274の付勢による回動限度を、カム面270がカム面292に係合することにより規定され、図7に示すように、回動限度が規定され、常には、係合レバー260の前側のアーム部262が工具保持部材210の軸線と平行に延び、係合部266が工具保持部材210の軸線に対して直角となり、前記クランプスリーブ74と係合可能な作用位置に位置させられる。後述するように、工具保持部材210の後退に伴ってカム面270,292の作用により、係合レバー260はスプリング274の付勢力に抗して係合部266が工具保持部材210の軸線から離
れる方向に回動させられ、作用位置から退避した退避位置へ回動させられる。本実施例においては、それぞれカム面270,292を有する被作用部272,作用部294が運動変換機構を構成し、工具保持部材210の工具保持装置本体200に対する後退運動を、係合レバー260の回動であって、半径方向成分および軸方向成分を有する方向への運動に変換し、スプリング274と共に回動型係合部材制御装置を構成し、係合レバー260と共にクランプスリーブ制御装置を構成している。
本加工システムにおいて前記回転加工装置10,工具収納装置12は、図1ないし図3に示すように、制御装置300により制御される。制御装置300はコンピュータを主体として構成され、加工台移動装置16,スピンドル移動装置34,回転駆動装置44および昇降装置194等を制御し、回転加工装置10に被加工物の加工を行わせ、回転加工装置10および工具収納装置12に工具の授受を行わせる。ホルダセンサ250の出力信号は、制御装置300のコンピュータに入力される。
次に作動を説明する。
本加工システムにおいて、回転加工装置10の6つのスピンドルユニット30は、例えば、それらのうちの3つが、直径が異なる3種類の下穴を加工する下穴加工ドリルを保持し、残りの3つが、3種類の下穴にそれぞれ対応する直径のタップを保持し、下穴加工および雌ねじ加工を行う。これらドリルおよびタップはそれぞれ、図10にドリル310を代表的に示すように、工具ホルダ100により保持されてスピンドル40に取り付けられる。ドリル310はコレットチャック104によって工具ホルダ100により保持され、工具ホルダ100は、図10に示すように、ホルダ本体102においてスピンドル40の第1受容穴54に嵌合され、一対のキー118がそれぞれ、スピンドル40の切欠62に嵌合され、回転が伝達されるとともに、ボールクランプ機構によってクランプされている。
クランプスリーブ74がスプリング76により前進方向に付勢され、緩傾斜面84においてボール58を周壁50の内周面52側へ押して工具ホルダ100の溝側面136に押し付け、工具ホルダ100を第1受容穴54内に引き込む向きの力を作用させているのであり、スピンドル40の先端面60とフランジ部114の後端面120との当接により、スピンドル40によって工具に作用する軸方向の力が受けられる。また、押出部材90はスプリング94により付勢されて工具ホルダ100に当接させられているが、押出部材90の押出力よりもボールクランプ機構による工具ホルダ100の引込み力の方が大きく、工具ホルダ100はスピンドル40に保持された状態に保たれる。
スピンドル40により保持されたドリル310によって被加工物に下穴を加工する場合には、それぞれドリル310を保持する3つのスピンドルユニット30のうちの1つがスピンドル移動装置34により前進させられ、加工を行うドリル310が他のドリル310およびタップより前方の加工位置に位置する状態に保たれる。加工を行う工具が選択されるのである。スピンドルユニット30は、スピンドル移動装置34を構成する油圧シリンダに予め設定された高さの油圧が得られる位置まで前進させられ、スピンドル移動装置34は、その油圧が得られる状態に保たれ、加工を行うドリル310が加工位置に位置する状態に保たれる。そして、加工台14が加工台移動装置16によってY軸,Z軸方向に移動させられ、選択されたドリル310が被加工物に対して所定の箇所に位置させられた状態で加工台14がX軸方向に移動させられ、ドリル310が軸方向に移動させられつつ、回転駆動装置44によるスピンドル40の回転により回転させられ、被加工物に下穴加工を施す。加工台14は、X軸方向において被加工物側へ予め設定された位置まで移動させられ、被加工物に所定の下穴が形成される。この加工時における加工台14のX軸方向における前進位置であって、ドリル310の加工終了位置は、加工台移動装置16の数値制御により決められる。加工が終了すれば、加工台14の後退によりドリル310が被加工物から離間させられるとともに、スピンドル移動装置34によりスピンドルユニット30が後退させられる。
スピンドル40により保持されたタップにより被加工物の下穴に雌ねじを形成する場合には、加工台14が加工台移動装置16によってX軸,Y軸およびZ軸に移動させられ、被加工物に対して所定の位置に位置決めされる。その状態で、加工を行うタップを保持したスピンドルユニット30がスピンドル移動装置34により前進させられるとともに、スピンドル40が回転駆動装置44により回転させられ、加工を行うタップが回転させられつつ、他の工具に対して前進させられるとともに、下穴内に進入させられてねじを形成する。タップ(スピンドル40)の前進位置(加工終了位置)は予め設定され、例えば、スピンドルユニット30側に設けられた被検出部としてのドグおよび加工台14側に設けられたセンサを含むスピンドル位置検出装置により検出され、その検出に基づいてスピンドル40の前進が止められ、回転が止められる。その後、スピンドルユニット30がスピンドル移動装置34により後退させられ、タップが、加工の済んだ穴から抜け出させられる。
例えば、加工が繰り返し行われ、工具が寿命に達した場合には、回転加工装置10と工具収納装置12との間において工具の交換が行われる。スピンドル40が保持し、寿命に達した工具を工具収納装置12に収納し、工具収納装置12に収納された未使用の工具を受け取るのである。そのため、工具収納装置12においては、上下2列に設けられた工具保持装置192のうち、例えば、上側の工具保持装置列が使用済みの工具を戻すための使用済み工具保持装置列とされ、その使用済み工具保持装置列を構成する工具保持装置192である使用済み工具保持装置192は工具を保持せず、空とされている。また、下側の工具保持装置列が未使用の工具を保持する未使用工具保持装置列とされ、その未使用工具保持装置列を構成する工具保持装置192である未使用工具保持装置192は未使用のドリル310あるいはタップを保持した工具ホルダ100を保持している。
工具収納装置12は、加工中は、加工エリアの上方の作業エリアへ退避させられて作業位置にあり、工具交換時に昇降装置194により工具授受位置へ下降させられ、加工エリア内に進入させられる。そして、まず、使用済みの工具が、スピンドル40から使用済み工具保持装置192に渡され、工具収納装置12に収納される。空の使用済み工具保持装置192においては、図10に示すように、一対の係合レバー260が作用位置に位置し、工具保持部材210が前進位置に位置させられている。例えば、複数の工具が同時に寿命に達した場合のように、授受が行われ、交換される工具が複数ある場合には、回転加工装置10と工具収納装置12との間において複数の工具の授受が同時に行われるが、ここでは、簡単のために1つの工具、例えば、1つのドリル310の授受を行う場合を説明する。なお、図10においてスピンドルユニット30および工具保持装置192は、軸方向の位置は同じであるが、位相を90度異にする2つの状態が図示されている。図11〜図18においても同じである。
工具収納時には、加工台14の移動により、使用済みの工具を保持したスピンドル40が空の使用済み工具保持装置192の工具保持部材210と同軸に対向する位置へ移動させられる。また、スピンドル40が回転させられ、工具保持部材210との位相が合わされる。スピンドル40が工具を保持する際、スピンドル40の一対の切欠62と工具ホルダの一対のキー118との位相が一致させられ、それらが嵌合されるようにすることが必要であり、工具は、工具保持装置192に予め設定された位相で収納される。本実施例では、それぞれ横断面形状が小判形を成す工具ホルダ100のフランジ部114がフランジ部嵌合穴部236に嵌合され、一対の平面部116とフランジ部嵌合穴部236の一部を画定するばね受け276,278との係合により、工具ホルダ100の工具保持装置192に対する回転が阻止され、工具が予め設定された位相で収納されるのであり、スピンドル40は、保持した工具を工具保持装置192に保持させる場合にも、工具保持装置192から工具を受け取る場合にも、予め設定された同じ位相とされる。スピンドル40は、一対の切欠62が、フランジ部嵌合穴部236のばね受け276,278によって画定される部分と対応する状態となる位相であって、工具が収納された状態においては工具ホルダ100の一対のキー118と対応する状態となる位相とされるのであり、それにより、スピンドル40が保持した工具を工具保持装置192に保持させる場合には、工具ホルダ100のフランジ部114の位相がフランジ部嵌合穴部236の位相と一致させられ、工具を設定された位相で工具保持装置192に保持させることができ、工具保持装置192から工具を受け取る際には、一対の切欠62と一対のキー118との位相が一致させられ、両者が嵌合させられる。ここでは、スピンドル40が保持した工具の工具保持装置192への収納であり、制御装置300により回転駆動装置44が制御され、スピンドル40が回転させられるとともに、予め設定された位相が得られる位置において停止させられることにより、フランジ部114の位相が第2受容穴230のフランジ部嵌合穴部236の位相と一致させられる。なお、工具ホルダ100のフランジ部114がフランジ部嵌合穴部236に収納された状態では、フランジ部114の一対のキー118が設けられていない円筒状の部分が、一対のボールプランジャ249に対応する状態となる。
この状態でスピンドルユニット30がスピンドル移動装置34により前進させられ、スピンドル40が工具保持部材210に接近させられる。スピンドルユニット30および工具保持装置192において保持される工具の軸線に平行な方向が工具保持装置の軸方向であり、本実施例においてはX軸方向に平行な方向である。スピンドル40の工具保持部材210に対する接近により、図11に示すように、ドリル310および工具ホルダ100の第1受容穴54に受容されている側とは反対側の部分が第2受容穴230に挿入され、ドリル310が工具収容穴部232に収容されるとともに、工具ホルダ100のクランプナット110およびフランジ部114がそれぞれ、ナット嵌合穴部234およびフランジ部嵌合穴部236に嵌合される。工具ホルダ100は、テーパ部121と、フランジ部114の平面部116を除く部分の外周面とにおいてボールプランジャ249のボール246をスプリング248の付勢力に抗して孔244内に押し込み、退避位置へ退避させて嵌合を許容させる。
スピンドル40の工具保持部材210への接近時には、まず、図11に示すように、クランプスリーブ74が係合レバー260の係合部266に当接し、前進を阻止される。工具保持部材210を前進方向に付勢する4つのスプリング220の付勢力の和は、クランプスリーブ74を付勢するスプリング76の付勢力より大きく、工具保持部材210は移動せず、係合レバー260は作用位置に位置させられ、クランプスリーブ74を前進を阻止された状態に保つ。クランプスリーブ74の当接後、スピンドル40がスプリング76を圧縮しつつクランプスリーブ74に対して前進させられる。クランプスリーブ74がスプリング76の付勢力に抗してスピンドル40に対して相対的に後退させられるのである。それにより、図12に示すように、スピンドル40に保持されたボール58がクランプスリーブ74に対して前進させられて緩傾斜面84から離れ、ボールクランプ機構による工具ホルダ100のクランプが解除される。そのため、一部が工具ホルダ100の円環溝132内へ押し込まれていたボール58が、ボール保持穴56内を外周面64側へ移動することが許容され、スプリング94の付勢力に基づいて、押出部材90により工具ホルダ100が第1受容穴54から押し出され、工具ホルダ100の溝側面136によりボール58が半径方向外向きに押し出される。この工具収納時におけるスピンドル40の工具保持装置192に対する接近位置ないし前進位置は予め設定され、例えば、スピンドルユニット30側に設けられたドグおよび加工台14側に設けられたセンサを含むスピンドル位置検出装置により検出され、その検出に基づいてスピンドル40の前進が止められる。このドグは、被加工物にタップによって雌ねじを形成する場合にスピンドル40の前進位置を検出するためのドグとは別のドグであり、センサは同じものであり、共用である。
工具ホルダ100は、第1受容穴54から押し出されて第2受容穴230に押し込ま
れ、図13に示すように、フランジ部114が当接面238に当接させられる。その状態では、一対のボールプランジャ249の各ボール246がフランジ部嵌合穴部236内に突出させられて、フランジ部114に設けられたテーパ部122に係合し、工具ホルダ100が使用済み工具保持装置192により離脱を防止された状態で保持される。フランジ部114のテーパ部122であって、凸部を構成するボール246と係合する部分は、ボール246の片側にしかないが、半径方向に凹の凹部として機能し、係合部と係合する被係合部を構成する。また、スピンドル40においては、押出部材90が、その小径部92がボール保持穴56に対応する位置まで前進し、ボール58が、小径部92と工具保持部48の内周面52との間の隙間以上、第1受容穴54内に突出することが防止される。
その後、スピンドルユニット30がスピンドル移動装置34により後退させられ、図14に示すようにスピンドル40が後退させられて工具保持装置192から離間させられ、工具ホルダ100が第1受容穴54から抜け出させられる。工具ホルダ100は、ボールプランジャ249のボール246のテーパ面122との係合により離脱防止力が付与され、第2受容穴230からの離脱が防止される。クランプスリーブ74はスピンドル40の工具保持装置192からの離間により、係合レバー260から離れ、スプリング76により付勢されて前進させられるが、ボール58が押出部材90により、小径部92と第1受容穴54の内周面との間の隙間分を超える第1受容穴54内部への突出を阻止されるため、緩傾斜面84がボール58に当接してボール保持穴56に押し込むクランプ位置までは前進できず、急傾斜面82がボール58に当接するクランプ解除位置で止められ、ボールクランプ機構が解除状態に保たれる。ボール58は、押出部材90により、ボール保持穴56から第1受容穴54内への脱落も防止される。また、押出部材90は肩面96においてボール58に当接し、第1受容穴54からの脱落が防止される。ボール58が押出部材90のストッパ部ないし脱落防止部を構成すると考えることもできる。
また、工具保持装置192に設けられたホルダセンサ250の検出信号に基づいて、工具が使用済み工具保持装置192により保持されたか否かの判定がコンピュータにおいて行われ、工具の収納動作が行われたにもかかわらず、工具検出信号が得られない場合には、例えば、報知装置により異常の発生が作業者に報知される。
工具を使用済み工具保持装置192に保持させ、空となったスピンドル40は、未使用工具保持装置192から工具を受け取る。そのため、工具収納装置12が上昇させられ、スピンドル40は使用済み工具保持装置192の真下にある未使用工具保持装置192と同軸に対向させられる。スピンドル40は使用済みの工具を工具保持装置192に保持させた直後であり、その位相は予め設定された位相にあり、一対の切欠62と一対のキー118との位相が一致する位相にあり、スピンドル40を回転させて位相合わせを行わなくてよい。この状態は、工具保持装置192は交替させられているが、図14により示される。
そして、スピンドル40が前進させられ、図15に示すように、工具ホルダ100の第2受容穴230に受容されている側とは反対側の部分であって、ホルダ本体102が第1受容穴54に嵌合される。前述のように、スピンドル40により保持されたドリル310が使用済み工具保持装置192により保持された後、ボールクランプ機構は解除状態に保たれ、工具ホルダ100はボール58に妨げられることなく、第1受容穴54に嵌合される。スピンドル40の前進に伴って押出部材90が工具ホルダ100に当接して前進を止められ、スピンドル40がスプリング94を圧縮しつつ前進してクランプスリーブ74が一対の係合レバー260の係合部266に当接し、前進を止められる。クランプスリーブ74は、その先端のテーパ面79において一対の係合レバー260の各係合部266の傾斜面268に当接させられる。押出部材90の工具ホルダ100への当接より先にクランプスリーブ74が係合レバー260に当接するようにしてもよい。
この状態からスピンドル40は更に、スプリング94を圧縮しつつ押出部材90に対して前進させられるとともに、スプリング76を圧縮しつつクランプスリーブ74に対して前進させられる。工具保持部材210を前進方向に付勢する4つのスプリング220の付勢力の和は、スプリング76,94の各付勢力の和より大きく、工具保持部材210は後退させられず、係合レバー260は作用位置に位置する状態に保たれ、スピンドル40の前進に伴って押出部材90がスピンドル40に対してスプリング94の付勢力に抗して押し戻されてスピンドル40内に押し込まれ、工具ホルダ100が更に第1受容穴54に挿入される。工具ホルダ100の後端部のストレートな円筒面部の直径は、前述のように、押出部材90の小径部92の直径と同じであって、工具保持部48の内周面52の直径であって、第1受容穴54の直径よりやや小さくされており、ボール58は工具ホルダ100の後端部を通り、工具ホルダ100に対して前方へ移動することができる。この際、ボール58が、押出部材90の小径部92と工具ホルダ100の案内部130との間の空間に入ることがあっても、案内部130の傾斜に案内されてボール保持穴56側へ押し戻され、工具ホルダ100の後端部を乗り越えることができる。
スピンドル40の工具保持装置192への接近により、図16に示すように、切欠62にキー118が嵌合させられ、スピンドル40の先端面60が工具ホルダ100のフランジ部114の後端面120に当接させられるとともに、ボール58が工具ホルダ100の円環溝132に対応する位置に位置し、溝側面136に係合可能な状態となれば、その状態から更にスピンドル40が前進させられるとき、先端面60と後端面120との当接およびフランジ部114と工具保持部材210の当接面238との当接により、工具ホルダ100を介して工具保持部材210が後退方向へ押される。先端面60が力作用面を構成し、フランジ部114が力伝達部を構成している。スプリング76,94の各付勢力と、スピンドル40が工具保持部材210を押す力との和が、4つのスプリング220の付勢力の和より大きくなれば、図17に示すように、工具保持部材210が工具保持装置本体200に対して後退させられる。
工具保持部材210が後退させられる際、工具保持部材210に回動可能に保持された係合レバー260も後退させられるが、係合レバー260はカム面270において、工具保持装置本体200に固定の作用部材290のカム面292に当接させられているため、それらカム面270,292の作用により、図17に示すように、工具保持部材210の後退に伴って係合レバー260が退避位置へ回動させられつつ後退させられる。係合レバー260は、傾斜面268においてクランプスリーブ74の先端のテーパ面79に当接させられており、それら面268,79の斜面の作用により、クランプスリーブ74を一旦、スプリング76の付勢力に抗して後退させつつスムーズに退避位置へ回動させられる。係合レバー260が退避位置へ回動させられ、クランプスリーブ74との係合が外れれば、クランプスリーブ74の前進が許容され、図18に示すように、スプリング76の付勢によりスピンドル40に対して前進させられる。それにより、クランプスリーブ74の内周面に形成された緩傾斜面84がボール58に係合し、ボール保持穴56内を第1受容穴54側へ移動させ、工具ホルダ100の溝側面136に押し付ける。工具ホルダ100はフランジ部114の後端面120においてスピンドル40の先端面60に当接させられているため、それ以上、第1受容穴54内に引き込まれることはなく、緩傾斜面84の斜面の効果により、ボール58の溝側面136への押付力が増大し、工具ホルダ100がスピンドル40により強固に保持される。
工具保持時におけるスピンドル40の工具保持装置192に対する前進位置は予め設定され、ドグおよびセンサを含むスピンドル位置検出装置により検出される。このドグは、雌ねじ加工時におけるタップの前進位置を検出するためのドグおよびスピンドル40から工具保持装置192へのドリル310の授受時の前進位置を検出するためのドグとは別のドグであり、センサは同じものである。工具保持部材210の後退位置は、スピンドル4
0の前進位置により決まり、保持部214が工具保持装置本体200に当接するには至らない位置であるが、スピンドル40が設定された前進位置において停止することができない場合があっても、工具保持部材210の後退限度は、保持部214が工具保持装置本体200に当接することにより規定され、工具保持部材210が過剰に押されることが防止される。
このように工具ホルダ100がスピンドル40により保持された後、スピンドル40が後退させられ、工具ホルダ100が第2受容穴230から抜け出させられる。スピンドル40が工具保持装置192から離間させられるとき、ボールプランジャ249のボール246は、工具ホルダ100に作用する第2受容穴230から抜け出す方向の力により、テーパ部122およびフランジ部114のテーパ部122に続く円筒状部によってスプリング248の付勢力に抗して孔244内に押し込まれ、工具ホルダ100の第2受容穴230からの離脱を許容する。工具保持装置192においては、スピンドル40の後退に伴って工具保持部材210がスプリング220の付勢により前進させられて前進位置へ戻り、係合レバー260がスプリング274の付勢により作用位置へ戻る。この状態は、図10により示される。このように本授受システムにおいては、回転加工装置10と工具収納装置12との間における工具の授受が、第1工具保持装置と第2工具保持装置192とが互いに対向した状態での軸方向の相対移動のみにより行われる。スピンドル移動装置34は、工具の授受時に第1工具保持装置と第2工具保持装置とを軸方向に相対移動させる相対移動装置を構成している。
工具収納装置12は、全部の使用済み工具の収納および未使用の工具のスピンドル40による保持の終了後、昇降装置194により作業位置へ上昇させられる。そして、回転加工装置10により被加工物の加工が開始され、作業位置においては作業者により、使用済みの工具が工具保持装置192から取り外され、使用済み工具保持装置192が空にされるとともに、工具がスピンドル40に取り付けられて空になった未使用工具保持装置192に、次の交換に備えて未使用の工具が保持させられる。
なお、工具の授受は工具の消耗時の他に、例えば、被加工物の種類の変更により加工の種類が変わる際に工具を変更するために行われる。
工具授受時におけるスピンドル40の位相決めは、位相決め治具を用いて行われるようにしてもよい。その実施例を図19に基づいて説明する。
本実施例の位相決め治具350は、図19に概略的に示すように、治具本体352と、治具本体352にY軸方向(図19においては左右方向)に移動可能に設けられた位相決め部材354とを有する。位相決め部材354は、治具本体352に保持される保持部356と、保持部356の治具本体352からの突出端部に設けられて位相決め部を構成する位相決めプレート358とを備えている。位相決めプレート358は、位相決め部材354の移動方向と直交する一平面状の位相決め面360を備え、位相決め部材354は治具本体352との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング362により、治具本体352から突出する向きに付勢されている。このスプリング362が第6付勢装置を構成し、その付勢による位相決め部材354の前進限度は、図示を省略する前進限度規定装置により規定される。本実施例において位相決め治具350は、位相決め面360が鉛直となる状態で設けられている。
また、スピンドル40には、例えば、工具保持部48の、ストッパ78により抜出しを阻止された状態におけるクランプスリーブ74より前側の部分の外周面の少なくとも1個所、本実施例では直径方向に隔たった2箇所がそれぞれ、軸線に平行に切り欠かれて一平面状の被位相決め面364が形成され、一対の被位相決め面364およびそれら被位相決め面364の間の一対の部分円筒面366が被位相決め部368を構成している。一対の被位相決め面364は、スピンドル40の軸線まわりにおいて、スピンドル40の位相が位相決め治具350により、予め設定された位相に決められる位置に設けられる。さらに、スピンドル40を回転させる回転駆動装置は、本実施例においては、回転電動モータを駆動源とするが、回転停止位置制御機能を有さない装置とされている。
例えば、スピンドル40が空の状態で工具収納装置から工具を受け取る場合には、まず、加工台14が位相決め治具350へ移動させられ、複数のスピンドルユニット30のうち、工具を保持するスピンドルユニット30がスピンドル移動装置34により前進させられ、他のスピンドルユニット30に対して突出した位相決め実行位置に位置させられる。スピンドル40は、被位相決め部368が位相決め面360の上部と対向する状態で、加工台14が加工台移動装置16によって移動させられ、位相決め面360に直角な方向、すなわち位相決め部材354の移動方向と平行な方向であって、本実施例では水平な方向から位相決め面360に接近させられ、予め設定された位相決め位置、ここではスピンドル40の回転軸線が、前進位置に位置する位相決め部材354の位相決め面360に対して、回転軸線と被位相決め面364との距離よりやや短い距離、離れた状態となる位置に位置させられる。そのため、スピンドル40は、図19に実線で示すように、位相決め部材354をスプリング362の付勢力に抗して後退させつつ、位相決め面360に押し付けられる。
この状態で加工台14が下降させられ、図19に太線の矢印で示すように、スピンドル40が位相決め面360に平行かつスピンドル40の回転軸線に直角な方向であって、下方へ移動させられる。この際、回転駆動装置はスピンドル40の自由な回転を許容する状態とされ、スピンドル40は、図19に実線で示すように、部分円筒面366が位相決めプレート358に係合する位相にあれば、スピンドル40が下方へ移動するに従って、部分円筒面366と位相決め面360との間の摩擦力により、図19に一点鎖線および二点鎖線で示すように、軸線まわりに回転させられる。位相決め部材354は、二点鎖線で示すように、スプリング362の付勢により被位相決め部368が接触した状態に保たれる。そして、スピンドル40の位相が、被位相決め面364が位相決め面360に密着する位相になれば、スピンドル40の回転が止まり、スピンドル40が、工具保持部材192に対して予め定められた一定の位相となる位相であって、一対の切欠62と工具ホルダ100の一対のキー118との位相が一致する位相に決められる。
スピンドル40は下降位置、すなわち位相決め面360の下部に密着させられる位置まで下降させられる。位相決め面360の、位相決め面360に平行かつスピンドル40の回転軸線に直角な方向における寸法は、スピンドル40がいずれの位相で位相決め面360に密着させられて位相決めが開始されても、スピンドル40を回転させ、位相を決めることができる大きさとされている。スピンドル40は切欠62を一対備え、工具ホルダ100はキー118を一対備え、スピンドル40と工具保持装置192とは半回転ずつ回転した相対位相において工具の授受を行い得るものであり、工具授受時の相対位相が2つあり、スピンドル40はいずれかの位相に決められればよく、そのため、被位相決め面364が一対、設けられ、位相決めのためのスピンドル40の回転量が少なくて済み、迅速に位相決めが為される。また、位相決め面360の上記寸法も短くすることができ、位相決め治具350をコンパクトに構成することができる。
スピンドル40の下降後、スピンドル40が回転駆動装置によって回転させられる状態となり、自由な回転が防止されて位相が決められた状態に保たれる。そのため、スピンドル40が工具収納装置12へ移動させられて工具を保持する際、工具との位相が合い、工具を保持することができる。スピンドル40が保持した工具を工具収納装置に収納する場合にも同様に、スピンドル40の位相決めが行われる。スピンドルが一旦、工具を保持した後に行われる工具の授受時には、工具の保持が工具を工具収納装置に戻した直後に行われるのであれば、スピンドル40の位相は工具授受位相にあり、位相決め治具350を用いた位相決めを省略することができる。本実施例では、加工台移動装置16が相対移動装置を構成している。
加工装置において複数のスピンドルユニットが個々に軸方向に移動させられない構成である場合には、位相決めを行うスピンドルの選択をその軸方向の移動により行うことができないため、例えば、位相決めプレートを、隣接するスピンドルユニットの間に進入してスピンドルが接触させられ、位相決めを行うことができる形状,寸法を有するものとすればよい。
なお、工具が工具ホルダに保持されて工具保持部材により保持される場合、工具ホルダに被位相決め面を設け、被位相決め部を設けてもよい。この場合、加工開始時における空の第1工具保持部材への工具ホルダの取付けは作業者により行われ、その後、工具を第2工具保持部材に保持させる際には、工具ホルダについて、スピンドルに被位相決め部が設けられる場合と同様にして位相決め治具により位相決めが行われる。第2工具保持部材に工具を保持させた後、空となった第1工具保持部材に直ちに工具を保持させるのであれば、第1工具保持部材の位相は工具ホルダを保持していた状態での位相であって、工具授受位相にあり、位相決めは不要であり、被位相決め部が設けられた工具ホルダを保持しておらず、位相決めを行うことができなくても、位相が合った状態で工具を受け取ることができる。
別の実施例を図20ないし図26に基づいて説明する。
本実施例の工具授受システムは、第2工具保持装置のクランプスリーブ制御装置の可動係合部材を、軸方向に平行な方向に直線移動する直線移動型係合部材としたものである。なお、第1工具保持装置は前記実施例と同様に構成されており、図示および説明を省略する。
図20に示すように、第2工具保持装置としての工具保持装置390の第2工具保持装置本体としての工具保持装置本体392に第2工具保持部材としての工具保持部材394が軸方向に移動可能に嵌合されている。工具保持部材394には、軸方向に貫通して段付状の第2受容穴396が形成され、前記第2受容穴230と同様に、後端部側から順に、工具収容穴部398,ナット嵌合穴部400およびフランジ部嵌合穴部402が設けられ、ナット嵌合穴部400と、それより大径のフランジ部嵌合穴部402との間に前向きの当接面404が形成されている。
また、図20に示すように、工具保持部材394の工具保持装置本体392から前方へ突出させられた前端部は大径とされ、その大径部410と工具保持装置本体392との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としての圧縮コイルスプリング412により、工具保持部材394は前進方向へ付勢されている。圧縮コイルスプリング412が第2付勢装置を構成している。このスプリング412の付勢による工具保持部材394の前進限度は、工具保持部材394に設けられた溝414と、工具保持装置本体392に設けられ、溝414に工具保持部材394の軸方向に相対移動可能に嵌合された係合突部416とを含む前進限度規定装置により規定される。係合突部416が溝414の後側の端面に係合することにより前進限度が規定され、工具保持部材394が前進位置に位置させられる。また、前進限度規定装置は相対回転阻止装置でもあり、工具保持部材394と工具保持装置本体392との相対回転を阻止する。
工具保持部材394の大径部410の外側には、図20に示すように、直線移動型係合部材としての係合スリーブ420が軸方向に相対移動可能に嵌合されている。係合スリーブ420は、有底の円筒状を成し、その前端の底壁部422と大径部410との間に配設された圧縮コイルスプリング424により、工具保持部材394から前方へ突出する向きに付勢されている。底壁部422には、工具ホルダ100の進入を許容する開口426が設けられ、開口426の周縁部が軸方向に直角な係合部428を構成している。係合スリーブ420には、その周方向の一部であって、例えば、最上部に作用部材430が係合スリーブ420の軸方向に平行な姿勢で、係合スリーブ420から後方へ延び出す向きに設けられている。作用部材430は、装置本体392を軸方向に相対移動可能に
貫通させられ、装置本体392から後方へ突出させられるとともに、その突出端部に増速レバー432が係合させられている。
増速レバー432は一直線状を成し、その一端部において工具保持装置本体392の、作用部材430が貫通させられた部分に対して直径方向に隔たった箇所に軸434により、係合スリーブ420の軸線と直角に立体交差する水平な軸線まわりに回動可能に取り付けられ、他端部に設けられた球状の係合部436が、作用部材430を上下方向に貫通して設けられた被係合部としての係合穴438に、係合穴438の中心線に平行な方向に相対移動可能に嵌入させられている。増速レバー432は、工具保持装置本体392および工具保持部材394の後面に対向する状態で設けられており、係合スリーブ420および作用部材430を介して、係合スリーブ420を前進方向に付勢するスプリング424の付勢力が作用し、増速レバー432は係合部436が前方へ向かう向きに付勢される。スプリング424の付勢による増速レバー432の回動限度は、工具保持部材394の後面のうち、増速レバー432の作用部材430より回動軸線に近い側の部分に突設された突部440に増速レバー432が当接させられることにより規定される。増速レバー432の回動軸線と突部440(工具保持部材394)に当接する部分との距離は、増速レバー432の回動軸線と作用部材430に対する係合部との距離より小さくされているのである。また、この当接により、スプリング424の付勢による係合スリーブ420の前進限度が規定される。この前進限度が規定された位置が係合スリーブ420の作用位置である。
工具保持部材394にはまた、係合スリーブ420を退避位置に位置する状態に保つ退避位置維持装置450が設けられている。退避位置維持装置450は、図21に示すように、工具保持部材394の大径部410に設けられた凹部452内に軸454により、工具保持部材394の軸方向と直角に立体交差する軸線まわりに回動可能に取り付けられた第1レバー456および第2レバー458を含む。第1レバー456は、軸454から前方へ延び出させられた延出し端部がフランジ部嵌合穴部402側へ屈曲させられて作用部460が設けられている。作用部460には、フランジ部嵌合穴部402の中心線に対して傾斜させられ、後方ほどフランジ部嵌合穴部402の中心線に向かう向きに傾斜させられたカム面462が形成されている。第1レバー456は、第1レバー452の軸454から後方へ延び出させられた部分と工具保持部材394との間に配設された圧縮コイルスプリング464により、作用部460がフランジ部嵌合穴部402内に突出する向きに付勢されている。スプリング464の付勢による第1レバー456の回動限度は、第1レバー456の軸454から後方へ延び出させられた部分が、凹部452内に設けられたストッパ466に当接することにより規定され、回動限度が規定された状態では、図21に示すように、カム面462全体がフランジ部嵌合穴部402内に突出させられた状態となる。
第2レバー458は軸454に第1レバー456と相対回動可能に取り付けられ、図21に示すように、軸454から前方へ延び出させられ、その延び出し端部は外向きに、すなわち係合スリーブ420側へ屈曲させられて係合部としての係合突部468が設けられるとともに、係合突部468と第1レバー456との間に配設された圧縮コイルスプリング470により、係合突部468が凹部452から大径部410の外へ突出する向きに付勢されている。スプリング470の付勢による第2レバー458の回動限度は、第2レバー458が、第1レバー456の側面に突設されたストッパ474に当接することにより規定される。第1,第2レバー456,458がそれぞれ、スプリング464,470の付勢による回動限度を規定された状態では、第2レバー458は、係合突部468が凹部452内に引っ込んだ退避位置に位置させられる。そして、前記係合スリーブ420の周壁には、半径方向に貫通し、第2レバー458の係合突部468が嵌入可能な係合穴480が形成され、被係合部を構成している。係合スリーブ420が前進位置に位置する状態では、係合穴480は第2レバー458の係合突部468より前に位置する。なお、図示は省略するが、工具保持部材394のフランジ部嵌合穴部402の周壁部分には、ボ
ールプランジャが一対設けられ、工具ホルダを保持するようにされている。
工具ホルダ100により保持されて、スピンドル40により保持された工具、例えば、ドリル310を空の工具保持装置390に保持させる場合を説明する。この際、工具保持装置390において工具保持部材394は前進位置に位置し、係合スリーブ420は作用位置にある。工具保持部材394に対する位相を決められたスピンドル40は、工具保持部材394と同軸に対向する状態から前進させられ、ドリル310および工具ホルダ100が第2受容穴396に進入させられる。この際、まず、クランプスリーブ74が係合スリーブ420の係合部428に当接して前進を阻止され、その状態から更にスピンドル40が前進させられ、クランプスリーブ74に対して前進させられれば、ボールクランプ機構のボール58がクランプスリーブ74の緩傾斜面84から離れてスピンドル40による工具ホルダ100の保持が解除される。
そのため、工具ホルダ100は、押出部材90により第1受容穴54から押し出されて第2受容穴396内に押し込まれる。この際、図22に示すように、工具ホルダ100のフランジ部114が退避位置維持装置450の第1レバー456のカム面462に係合し、その斜面の作用により第1レバー456がスプリング464の付勢力に抗して回動させられ、作用部460がフランジ部嵌合穴部402から凹部452内へ抜け出させられる。また、第1レバー456の回動によりストッパ474が移動するため、第2レバー458がスプリング470の付勢により係合突部468が係合スリーブ420へ向かう向きに回動させられるが、係合穴480は退避位置維持装置450より前方にあり、第2レバー458の回動は係合スリーブ420の内周面に係合して止められる。工具ホルダ100は、フランジ部114が当接面404に当接するまで第2受容穴396に押し込まれ、ボールプランジャのボールがフランジ部114のテーパ面122に係合させられて、工具ホルダ100が工具保持装置390により保持される。そして、スピンドル40が後退させられて、工具ホルダ100が第1受容穴54から抜け出させられる。
工具保持装置390が保持したドリル310をスピンドル40に保持させる場合には、スピンドル40が前進させられ、押出部材90が工具ホルダ100に当接して前進を止められ、さらにクランプスリーブ74が作用位置にある係合スリーブ420の係合部428に当接して前進を止められる。スピンドル40は更に前進させられ、切欠62にキー118が嵌入させられるとともに、先端面60が工具ホルダ100のフランジ部114の後端面120に当接し、工具ホルダ100を介して工具保持部材394がスピンドル40により押され、図23に示すように、スプリング412の付勢力に抗して後退させられる。それにより、増速レバー432が工具保持部材394により押されて回動させられ、係合スリーブ420がスプリング424の付勢力に抗して後退させられる。
増速レバー432の回動軸線と突部440に当接する部分との距離が、回動軸線と作用部材430に対する係合部との距離より小さくされ、増速レバー432の回動支点から力点までの距離、すなわち軸434の軸線から増速レバー432の突部440との係合点までの距離が、回動支点から作用点、すなわち軸434の軸線から増速レバー432の係合部436と係合スリーブ420の係合穴438との係合点までの距離より小さくされているため、図23に示すように、工具保持部材394の後退距離が増速されて係合スリーブ420に伝達され、係合スリーブ420は工具保持部材394より多く後退させられ、工具保持部材394に対して後退させられる。それにより、係合スリーブ420の係合穴480が退避位置維持装置450の第2レバー458の係合突部468に至り、第2レバー458がスプリング470の付勢により回動させられて係合突部468が係合穴480に嵌合され、係合スリーブ420が工具保持部材394に係止され、退避位置に位置する状態に維持される。このように係合スリーブ420が増速されて工具保持部材394に対して後退させられ、退避位置へ移動させられることにより、クランプ
スリーブ74のスピンドル40に対する前進が許容され、緩傾斜面84がボール58を、ボール保持穴56内を第1受容穴54側へ移動させて工具ホルダ100の溝側面136に押し付け、工具ホルダ100がクランプされる。
工具ホルダ100のクランプ後、スピンドル40が後退させられ、ドリル310が第2受容穴396から抜け出させられる。この後退に伴って工具保持部材394はスプリング412により付勢されて、スピンドル40に追従して前進させられるとともに、工具保持部材394に係止された係合スリーブ420が工具保持部材394と一体的に前進させられる。そのため、図24に示すように、突部440が増速レバー432から離れた状態となる。工具保持部材394が前進位置へ到達した状態から更にスピンドル40が後退させられれば、図25に示すように、工具ホルダ100が工具保持部材394に対して後退させられる。そして、フランジ部114が第1レバー456から外れれば、第1レバー456はスプリング464の付勢により回動させられ、カム面462がフランジ部収容穴部402内に突出させられるとともに、第2レバー458が、係合突部468が係合穴480から離脱する向きに回動させられ、更にスピンドル40が後退させられれば、図26に示すように、第2レバー458の係合突部468が係合穴480から離脱させられる。それにより、係合スリーブ420は工具保持部材394に対する係止を解かれ、スプリング424の付勢により工具保持部材394に対して前進させられ、図22に示す作用位置へ戻る。このように係合スリーブ420が作用位置へ至るまでには、スピンドル40の後退により、クランプスリーブ74は、その先端部が、作用位置に位置する状態での係合スリーブ420の係合部428より後方へ移動させられており、クランプスリーブ74が係合スリーブ420の前進により押されてスピンドル40に対して後退させられ、緩傾斜面84がボール58から離れてボールクランプ機構による工具ホルダ100の保持が解除されることがない。退避位置維持装置450による係合スリーブ420の退避位置における維持により、スピンドル40は、工具を保持した状態を保って工具保持装置390から離れ、工具を第2受容穴396から抜け出させることができる。
本実施例においては、増速レバー432が運動変換機構を構成し、スプリング424とともに可動係合部材制御装置を構成し、係合スリーブ420と共にクランプスリーブ制御装置を構成している。
さらに別の実施例を図27ないし図34に基づいて説明する。
本実施例の工具授受システムは、前記実施例の工具授受システムと同様に加工システムに設けられ、回転加工装置と工具収納装置との間において工具の授受を行うシステムであるが、第2工具保持装置の第2工具保持部材および第2工具保持装置本体にそれぞれ、開口が設けられている。回転加工装置は、前記回転加工装置10と同様に構成されており、詳細な図示および説明を省略するが、必要に応じて、回転加工装置10についての説明を使用する。
本加工システムの工具収納装置490は、図27に概略的に示すように、収納装置本体500と、収納装置本体500に設けられた複数の第2工具保持装置としての工具保持装置502とを備えている。これら工具保持装置502は、前記工具収納装置12の収納装置本体190に設けられた複数の工具保持装置192と同様に、収納装置本体500に上下方向に複数列、例えば、2列に、各列同数ずつ設けられ、収納装置本体500が昇降装置504によって昇降させられることにより、一斉に昇降させられる。これら2列に設けられた複数ずつの工具保持装置502は、上側の列の工具保持装置502と下側の列の工具保持装置502とでは、開口の開口方向が上下逆であることを除いて同様に構成されており、下側の列の工具保持装置502の1つを代表的に説明する。
工具保持装置502は、図28に示すように、第2工具保持装置本体としての工具保持装置本体510を有する。工具保持装置本体510は、図28および図32に示すように、概して矩形のブロック状を成し、収納装置本体500に着脱可能に固定されている。工具保持装置本体510には、図28および図29に示すように、第2工具保持部材としての工具保持部材520がX軸方向に平行な軸方向に移動可能かつ相対回転不能に保持されている。工具保持部材520はブロック状を成し、複数、本実施例では2本のガイドロッド522が工具保持部材520の、その軸方向と直角な方向であって、複数の工具保持装置502が並ぶ方向に平行な方向に距離を隔てた位置にそれぞれ、軸方向に平行な姿勢で着脱可能に固定され、被案内部を構成している。これらガイドロッド522は、工具保持部材520から後方へ突出させられるとともに、工具保持装置本体510に設けられて案内部を構成する2つのガイド孔523に軸方向に移動可能に嵌合され、これらガイド孔523と共に案内装置を構成している。それにより、工具保持部材520の工具保持装置本体510に対する軸方向の移動が案内されるとともに、工具保持部材520の工具保持装置本体510に対する相対回転が阻止される。案内装置は相対回転阻止装置としても機能する。
工具保持部材520は、図29に示すように、工具保持装置本体510との間に配設された複数、本実施例では2つの第2付勢装置としての圧縮コイルスプリング524(図29には1つのみ図示されている)により前方へ、すなわち工具保持装置本体510から突出し、第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢されている。これらスプリング524はそれぞれ、複数の工具保持装置502が並ぶ方向に平行な方向において距離を隔てて設けられ、各一端部が、工具保持装置本体510に設けられた有底の嵌合孔525(図32参照)に嵌合され、第2付勢装置を構成している。これらスプリング524の付勢による工具保持部材520の工具保持装置本体510に対する離間限度であって前進限度は、ガイドロッド522の工具保持装置本体510から後方へ突出させられた後端部に設けられた大径の頭部ないしストッパ部526が工具保持装置本体510の後端面528に当接することにより規定される。後端面528がストッパ部ないし前進限度規定部を構成している。工具保持部材520は前進限度を規定され、前進位置に位置する状態では、図28および図29に示すように、工具保持装置本体510から離れた状態となる。
工具保持部材520には、図28および図30に示すように、その中心部を軸方向に貫通して第2受容穴534が形成されている。工具保持部材520は、前記工具保持部材210より短く、軸方向において、前記工具ホルダ100のクランプナット110およびフランジ部114が収容される長さを有し、第2受容穴534は、図30および図31に示すように、横断面形状が円形の段付状を成し、直径の異なる複数、例えば、2つの穴部を備え、工具保持部材520の後部側から順に、クランプナット110が嵌合されるナット嵌合穴部536と、ナット嵌合穴部536より大径であり、ホルダ本体102のフランジ部114が嵌合されるフランジ部嵌合穴部538とを含む。これらナット嵌合穴部536とフランジ部嵌合穴部538との間には、工具保持部材520の軸線と直交し、前向きで環状の当接面540が形成され、力受け面を構成している。
工具保持部材520には、図28および図31に示すように、フランジ部嵌合穴部538を構成する部分の複数箇所、例えば、3箇所にそれぞれ、ボールプランジャ550が設けられている。これら3組のボールプランジャ550はそれぞれ、前記ボールプランジャ249と同様に構成され、図31に示すように、その軸線が、工具保持部材520の軸線と直交する姿勢で設けられ、それらのうちの2組は、第2受容穴534の中心線より下側の部分に斜め上向きに、かつ、その中心線を含む鉛直な平面に対して互いに対称に設けられ、残りの1組は、第2受容穴534の中心線より上側の部分に下向きに設けられ、3組のボールプランジャ550は、第2受容穴534の中心線のまわりにほぼ等角度間隔で設けられている。
工具保持部材520のフランジ部嵌合穴部538を構成する部分にはまた、図31に示すように、ボールプランジャ550が設けられた部分に対して、位相を異にする位置にホルダセンサ554が設けられている。ホルダセンサ554は、前記ホルダセンサ250と同様に構成され、工具保持装置502による工具ホルダ100および工具の保持の有無であって、工具収納装置490における工具の収納の有無が検出される。
工具保持部材520の外面には、図28,図29および図31に示すように、前記3組のボールプランジャ550が設けられた部分とは位相を異にする少なくとも1箇所、本実施例においては複数箇所、例えば、Y軸方向に隔たった2個所にそれぞれ、1対の支持壁558が突設され、回動型係合部材の一種である係合レバー560が軸562により、工具保持部材520の軸線と直角に立体交差する軸線であって、鉛直なZ軸方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられている。これら係合レバー560はそれぞれ、前記係合レバー260と同様に構成されており、同じ作用を成す部分には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
2つの係合レバー560はそれぞれ、図28に示すように、第3付勢装置としての圧縮コイルスプリング564により付勢され、それらスプリング564の各一端部が工具保持部材520に設けられたばね受け566,568により受けられている。これらばね受け566,568の一部が、図28および図31に示すように、フランジ部嵌合穴部538内へ突出させられ、フランジ部嵌合穴部538のばね受け566,568が設けられた部分の横断面形状が、前記工具ホルダ100のフランジ部114の横断面形状に対応する小判形を成すことは、図1ないし図18に示す実施例と同じである。
工具保持装置本体510には、図28および図29に示すように、工具保持部材520の軸線まわりにおいて一対の係合レバー560の各々と対応する個所にそれぞれ、作用部材570が設けられている。これら作用部材570はそれぞれ、前記実施例の作用部材290と同様に構成されており、同じ作用を成す部分には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。これら作用部材570の各作用部294および一対の係合レバー560の各被作用部272が運動変換機構を構成し、圧縮コイルスプリング564と共に可動係合部材制御装置を構成し、可動係合部材たる係合レバー560と共にクランプスリーブ制御装置を構成している。
工具保持部材520には、図28,図30および図31に示すように、軸方向に平行に延びるとともに、第2受容穴534を囲む周壁の外側面600から第2受容穴534まで達する開口602が形成されている。開口602は、外側面600のうち、下向きの面に開口させられるとともに、工具保持部材520の前端面と後端面とにそれぞれ開口させられ、工具保持部材520の軸方向における全長にわたって形成されている。この開口602の幅(工具保持部材520の軸線に直角な方向であって、複数の工具保持装置502が並ぶ方向と平行な方向の寸法)は、第2受容穴534のナット嵌合穴部536の直径より小さく、後述する回転加工工具のシャンクの直径より大きくされている。また、開口502の一対の側面の、第2受容穴534側とは反対側の開口縁部には、第2受容穴534から遠ざかるほど、互いに離れる向きに傾斜させられた傾斜面が形成されて案内面603が設けられ、案内部を構成している。
また、前記工具保持装置本体510には、図28,図30および図32に示すように、その第2受容穴534に対向する部分に、その外側面のうち、下面に開口し、軸方向に平行に延びる開口604が形成されている。開口604は、横断面形状がほぼ矩形を成し、工具保持装置本体510の前端面と後端面とに開口させられ、その軸方向に平行な方向の全長にわたって形成されている。この開口604は、第2受容穴534の中心線を中心として、工具ホルダ100のクランプナット110を収容可能な幅および深さ(軸方向および幅方向と直角な方向であって、上下方向の寸法)を有する。本実施例では、工具保持部材520および工具保持装置本体510がそれぞれ、開口602,604により、工具が第2受容穴534の半径方向に移動することを許容し、工具保持装置502全体が工具の第2受容穴534の半径方向の移動を許容する構成とされている。
さらに、収納装置本体500にも、図28,図30および図32に示すように、工具保持装置本体510が固定された部分に開口606が形成されている。開口606は、収納装置本体500の外側面のうち、下面に開口させられるとともに、収納装置本体500を軸方向に平行な方向に貫通し、工具保持装置本体510側の面および工具保持装置本体510とは反対側の面に開口させられている。この開口606は、図32に示すように、第2受容穴534の中心線を中心として、工具のシャンクより大径の加工部を受容可能な大きさを有し、開口606において工具の半径方向の移動を許容する。
収納装置本体500に設けられた上側の列の工具保持装置502の工具保持部材520,工具保持装置本体510および収納装置本体500のそれら工具保持装置502を保持する部分についてはそれぞれ、開口602,604,606が上方へ開口する状態で設けられている。
また、本加工システムにおいて回転加工装置および工具収納装置490等は、コンピュータを主体とする制御装置610(図27参照)により制御される。
次に作動を説明する。
本加工システムにおいて、回転加工装置10の6つのスピンドルユニット30は、例えば、ドリル,リーマ,タップ,エンドミル,端面加工用ブラシ,あり溝加工用フライス,座ぐりカッタ等、被加工物に施す加工に応じた種々の工具を保持させられる。これらスピンドルユニット30が保持する工具の種類は、同じであることもあれば、異なることもある。スピンドルユニット30が図29に示す端面加工用ブラシ620を保持し、加工を行う場合を例に取って説明する。
端面加工用ブラシ620は、図29に示すように、シャンク622と、シャンク622の長手方向の一端部に設けられ、シャンク622より大径の加工部たるブラシ部624とを有する。端面加工用ブラシ620は、前記ドリル310と同様に、工具ホルダ100により保持されてスピンドル40に取り付けられる。このブラシ620によって被加工物の端面に加工を施す場合には、加工を施すブラシ620を保持するスピンドルユニット30がスピンドル移動装置34によって前進させられることにより、加工を行うブラシ620が選択された状態で、加工台14が加工台移動装置16によって移動させられるとともに、スピンドル40が回転駆動装置44によって回転させられ、それにより、ブラシ620がX軸,Y軸,Z軸方向に移動させられるとともに回転させられ、被加工物に加工を施し、例えば、ばり取りを行う。
例えば、加工が繰り返し行われ、ブラシ620が寿命に達した場合には、回転加工装置10と工具収納装置490との間においてブラシ620の交換が行われる。工具収納装置490においては、上下2列に設けられた工具保持装置502のうち、例えば、下側の工具保持装置列が使用済みの工具を戻すための使用済み工具保持装置列とされ、その使用済み工具保持装置列を構成する工具保持装置502である使用済み工具保持装置502は工具を保持せず、空とされている。また、上側の工具保持装置列が未使用の工具を保持する未使用工具保持装置列とされ、その未使用工具保持装置列を構成する工具保持装置502である未使用工具保持装置502は未使用のブラシ620等の工具を保持した工具ホルダ100を保持している。前記実施例の工具収納装置12と同様に、上側の工具保持装置列が使用済み工具保持装置列とされ、下側の工具保持装置列が未使用工具保持装置列とされてもよい。
工具収納装置490は、加工中は、加工エリアの上方へ退避させられて作業位置にあり、工具交換時に昇降装置504により工具授受位置へ下降させられ、加工エリア内に進入させられる。そして、まず、使用済みのブラシ620が、スピンドル40から使用済み工具保持装置502に渡され、工具収納装置490に収納される。複数の工具が同時に寿命に達する等、交換の必要が生じた場合、それら複数の工具は、ブラシ620のように大径の加工部を有する工具を含んでいても、回転加工装置10と工具収納装置490との間において同時に交換が行われる。ここでは、簡単のために1つのブラシ620の授受が行われる場合を説明する。
工具ホルダ100に保持されてスピンドル40に取り付けられたブラシ620は、前記ドリル310と同様に、工具ホルダ100に保持されたままの状態で工具保持装置502とスピンドル40との間で授受される。ブラシ620の使用済み工具保持装置502への渡し時には、ボールクランプ機構による工具ホルダ100のクランプが解除されるとともに、工具ホルダ100が工具保持装置502により保持され、スピンドル40による未使用のブラシ620の保持時には、工具保持装置502による工具ホルダ100の保持が解除されるとともに、ボールクランプ機構により工具ホルダ100が保持されることは、前記ドリル310の授受の場合と同じであり、詳細な説明は省略するが、ブラシ620は、ブラシ部624が大きく、軸方向の移動のみでは第2受容穴534に受容され得ない。そのため、スピンドルユニット30は軸方向の移動に加えて第2受容穴534の半径方向の移動を行わされ、それにより、スピンドル40からのブラシ620の取外し時には、ブラシ620が第2受容穴534と同軸となる状態とされ、スピンドル40へのブラシ620の取付け時には、ブラシ620が第2受容穴534から離脱させられるようにされる。
工具ホルダ100に保持されてスピンドル40に取り付けられたブラシ620の使用済み工具保持装置502への収納を説明する。この場合のスピンドル40の移動軌跡を図33に概略的に示す。まず、加工台14が加工台移動装置16によって移動させられることによりスピンドルユニット30が移動させられ、ブラシ620が空の使用済み工具保持装置502の前方に位置し、第2受容穴534と同軸に対向する位置へ移動させられる。また、前記ドリル310の収納について説明したのと同様に、スピンドル40が回転させられ、工具保持部材520との位相が合わされ、ブラシ620が予め設定された位相で収納されるようにされる。
この状態からスピンドルユニット30は、スピンドル移動装置34によりX軸方向において前進させられつつ、加工台14が加工台移動装置16によって下方へ移動させられることにより、図33に矢印Aで示すように、斜め下方へ移動させられる。スピンドルユニット30は、ブラシ620が工具保持装置502より下方に位置する位置へ移動させられたならば、下降を停止させられ、矢印Bで示すように、前進のみさせられて、図29に示すように、ブラシ部624が工具保持装置本体510から後方へ外れ、収納装置本体500の下方に位置し、工具ホルダ100のクランプナット110が工具保持部材520よりやや前方の位置において工具保持部材520よりやや下方に位置する受容開始位置へ移動させられて停止させられる。これらスピンドルユニット30の下降停止および前進停止は、例えば、移動開始からの経過時間に基づいて制御され、あるいは複数のドグとそれらドグを検出するリミットスイッチ等の検知スイッチとの利用により制御される。
そして、加工台14が加工台移動装置16によって上方へ移動させられることにより、スピンドルユニット30は、矢印Cで示すように上昇させられ、第2受容穴534の半径方向に移動させられて、ブラシ620のシャンク622が工具保持部材520に設けられた開口602を通って第2受容穴534内に進入させられる。シャンク622の開口602への進入は、一対の案内面603により案内される。この進入は、工具保持装置本体510に設けられた開口604により、シャンク622の第2受容穴534の半径方向における移動が許容され、収納装置本体500に設けられた開口606によりブラシ部624の上記半径方向における移動が許容されることにより、許容される。スピンドル40は、シャンク622が第2受容穴534と同心となる位置へ上昇させられたならば、その後、スピンドル移動装置34によって軸方向に移動させられ、矢印Dで示すように、前進位置まで前進させられ、前記ドリル310の工具保持装置192への収納時と同様に、ボールクランプ機構による工具ホルダ100の保持が解除されるとともに、工具保持装置502により工具ホルダ100が保持され、ブラシ620が工具収納装置290に収納される。保持後、スピンドルユニット30がスピンドル移動装置34によって軸方向に移動させられ、後退させられることにより、スピンドル40は、矢印Eで示すように後退させられ、工具ホルダ100が第1受容穴54から抜け出させられる。
ブラシ620は、シャンクが長く、加工部が大形の工具であるが、本工具保持装置502においてはボールプランジャ550が3組設けられて工具ホルダ100の保持力が大きくされている上、3組のボールプランジャ550がほぼ等角度間隔で配設されることにより、工具保持装置502に保持されたブラシ620の傾きが良好に防止されている。
ブラシ620を使用済み工具保持装置502に保持させ、空となったスピンドル40は、未使用工具保持装置502からブラシ620を受け取る。そのため、工具収納装置490が下降させられ、スピンドル40は使用済み工具保持装置502の真上にある未使用工具保持装置502と同軸に対向させられる。そして、スピンドルユニット30がスピンドル移動装置34によって前進させられることにより、図34に矢印aで示すようにスピンドル40が前進させられ、工具ホルダ100が第1受容穴54に嵌合される。スピンドル40はさらに、矢印bで示すように前進位置まで前進させられ、前記ドリル310の保持時と同様に、ボールクランプ機構により工具ホルダ100がクランプされる。
スピンドル40は、前進位置まで移動させられた後、スピンドルユニット30がスピンドル移動装置34によって軸方向に移動させられることにより、矢印cで示すように後退させられ、工具ホルダ100のコレットチャック104のクランプナット110が第2受容穴534から前方へ抜け出させられ、ボールプランジャ550による工具ホルダ100の保持が解除される。その状態で、加工台14が加工台移動装置16によって移動させられることにより、矢印dで示すように、スピンドル40が、第2受容穴534の半径方向において上方へ移動させられてブラシ620が上昇させられ、シャンク622が開口602を通って第2受容穴534の外へ抜け出させられ、離脱完了位置に至る。このシャンク622の抜出しは、工具保持装置本体510の開口604により許容される。また、この際、ブラシ部624は、そのシャンク622側の部分が収納装置本体500の開口606内に位置し、開口606により、ブラシ部624の第2受容穴534の半径方向における移動であって、上方への移動が許容され、シャンク622の第2受容穴534からの抜出しが許容される。その後、スピンドル40は、矢印eで示すように後退させられ、ブラシ620が、ブラシ部624が工具保持装置502の前方に位置する位置へ移動させられた後、さらに矢印fで示すように、スピンドル40が後退させられつつ下方へ移動させられ、第2受容穴534と同軸に対向する状態とされる。開口606が設けられてブラシ620の第2受容穴534の半径方向における移動を許容する工具収納装置本体500も第2工具保持装置本体を構成すると考えることもできる。また、スピンドル移動装置34は、工具授受時に第1工具保持装置と第2工具保持装置とを軸方向に相対移動させる相対移動装置でもあり、加工台移動装置16は、第2工具保持装置502(第2受容穴534)と第1工具保持装置(第1工具保持装置により保持された工具)とを、第2受容穴534の半径方向に相対移動させる相対移動装置でもある。
前記ドリル310やタップのように、軸方向において直径がほぼ一定である工具も、工具保持装置502に保持させることができる。そのため、回転加工装置10がドリル310やタップを保持しているのであれば、それらについてもスピンドル40と工具保持装置502との間において授受が行われる。この場合、スピンドル40は、前記工具保持装置192との間におけるドリル310の授受と同様に、軸方向の移動のみによって工具保持装置502との間でドリル310の授受を行う。また、回転加工装置10と工具収納装置490との間において、ブラシ620およびドリル310等の交換を同時に行うこともできる。この交換は、ブラシ620の交換時と同様に、スピンドル40の軸方向の移動および半径方向の移動によって行われる。
以上の説明においては、スピンドル40が工具保持装置502と同軸に対向する状態から工具授受の相対移動が開始されるものとしたが、これは、工具授受のために、スピンドル40と工具保持装置502とに第2受容穴230の半径方向の相対移動を必要としない工具が大半であり、かつ、工具授受のための相対移動の開始点までのスピンドル40と工具保持装置502との相対移動を工具の種類を問わず同一とすることを前提としたためである。しかし、これは不可欠ではなく、授受すべき工具が、半径方向の相対移動を必要としないものである場合には、スピンドル40と工具保持装置502とが同軸に対向する状態から工具授受の相対移動が開始され、半径方向の相対移動を必要とする場合には、スピンドル40と工具保持装置502とが偏心した状態から工具授受の相対移動が開始されるようにすることも可能である。後者の場合には、スピンドル40を工具保持装置502に対して移動させるのであれば、図33に示すスピンドル40の移動軌跡中の矢印Aで示される移動および図34に示すスピンドル40の移動軌跡中の矢印fで示される移動が不要となり、スピンドル40と工具保持装置502との軸方向の相対移動(図33,図34においてそれぞれ矢印B,矢印cで示される移動)矢印,半径方向の相対移動(図33,図34においてそれぞれ矢印C,矢印dで示される移動)および軸方向の相対移動(図33,図34においてそれぞれ矢印D,矢印eで示される移動)によって、工具が工具保持装置502に保持され、工具保持装置502から離脱させられることとなる。
なお、工具収納装置は、工具保持装置502と前記工具保持装置192との両方を備えたものとしてもよく、あるいは加工システムは、工具保持装置502のみを備えた工具収納装置と、工具保持装置192のみを備えた工具収納装置との両方が設けられ、それらが選択的に加工エリアへ移動させられ、回転加工装置10との間で工具の授受が行われるようにしてもよい。
第2工具保持部材に設けられる開口は、軸方向における全長にわたって形成されることは不可欠ではない。例えば、図35および図36に概略的に示すように、第2工具保持部材としての工具保持部材650の第2受容穴652が、工具654の大形の加工部656を受容可能な形状,寸法を有するものとされ、工具保持部材650に第2受容穴652の半径方向における工具654の移動を許容する形状,寸法を有する開口660が形成されてもよいのである。
第2受容穴652は、段付状を成し、工具654が収容される工具収容穴部662,工具ホルダ100のクランプナット110が嵌合されるナット嵌合穴部664およびフランジ部114が嵌合されるフランジ部嵌合穴部666を備え、それら嵌合穴部664,666の間に当接面668が形成されている。工具収容穴部662は、工具保持部材650の後端面に開口して設けられ、工具654の加工部656より大きい径を有するものとされている。これら穴部662,664,666は、クランプナット110が工具保持部材650のやや前方に位置する状態で、スピンドル40に保持された工具654の加工部656が軸方向において第2受容穴652の工具収容穴部662に対応する位置に位置するように形成されるとともに、工具収容穴部662は、加工部656が半径方向の移動により工具収容穴部662に収容された状態から、フランジ部114が当接面668に当接するまでスピンドル40が前進させられる際の加工部656の前進を許容する軸方向の寸法を有する。
開口660は、平面視の形状がT字形を成し、工具保持部材650に、第2受容穴652の周壁の外側面674のうち、下面から第2受容穴652まで達するとともに、工具保持部材650の前端面には開口するが、後端面には開口しないで形成されており、行き止まり状の開口とされている。開口660は、ナット嵌合穴部664およびフランジ部嵌合穴部666に対応する部分は、幅がナット嵌合穴部664の直径より小さく、工具654のシャンク676より大きい狭幅開口部678とされ、工具収容穴部662に対応する部分は、幅が工具収容穴部662の直径と同じ大きさである広幅開口部680とされている。なお、図示の工具654はあり溝を加工するフライスであるが、T溝を加工するフライス等も本工具保持装置に保持させ得る。
スピンドル40により保持された工具654を第2工具保持装置に保持させる場合には、図36に実線で示すように、工具654が工具保持部材650の下方であって、クランプナット110が工具保持部材650のやや前方に位置し、加工部656が軸方向において、広幅開口部680の前部(狭幅開口部678側の部分)に対応する位置に位置させられる。この状態からスピンドル40が第2受容穴652の半径方向に(上方へ)移動させられ、シャンク676が狭幅開口部678を通って第2受容穴652内に進入させられ、加工部656が広幅開口部680を通って工具収容穴部662内へ進入させられ、図36に二点鎖線で示すように、工具654が第2受容穴652に同軸に受容される。スピンドル40は、第2受容穴652と同軸に対向する位置まで移動させられた後、前進させられ、スピンドル40による工具ホルダ100の保持が解除される。この際、加工部656は工具収容穴部662内を前進し、スピンドル40の前進を許容する。
スピンドル40が工具654を保持する場合には、スピンドル40が軸方向において前進させられて工具654を保持した後、クランプナット110が第2受容穴652から抜け出す位置まで後退させられた状態で下方へ移動させられ、工具654は、加工部656およびシャンク676がそれぞれ、広幅開口部680,狭幅開口部678を通って工具保持部材650の外へ抜け出させられる。
第2保持部材に開口が設けられる場合、ドリルのように、直径がほぼ一定である工具が受容される第2受容穴について設けられてもよい。例えば、図37および図38に概略的に示す第2工具保持部材としての工具保持部材700の第2受容穴702は、例えば、段付状を成し、工具収容穴部704,ナット嵌合穴部706およびフランジ部嵌合穴部708を有する。工具収容穴部704の直径が最も小さく、ナット嵌合穴部706とフランジ部嵌合穴部708との間には当接面709が設けられている。
工具保持部材700の第2受容穴702が設けられた部分に開口710が設けられている。開口710は、工具保持部材700の第2受容穴702を囲む周壁の外側面のうち、例えば、下面から第2受容穴702まで達するとともに、工具保持部材700の前端面には開口させられているが、後端面には開口させられない形状とされ、ナット嵌合穴部706の直径より小さく、工具714の直径より大きい幅を有する。工具714は、例えば、ドリルのように直径が小さく、軸方向においてほぼ同じである工具である。
工具714を工具保持部材700に保持させる場合には、図38に実線で示すように、工具714が工具保持部材700の下方に位置し、工具ホルダ100のクランプナット110が第2受容穴702のやや前方に位置する状態からスピンドル40が上方へ移動させられ、工具714が開口710を通って第2受容穴702内へ進入させられる。その後、スピンドル40が前進させられてボールクランプ機構による工具714の保持が解除される。また、スピンドル40が工具714を保持する場合には、前進させられて工具714を保持した後、後退させられ、クランプナット110が第2受容穴702から抜け出させられた状態で下方へ移動させられ、工具714が開口710を通って工具保持部材700の外へ抜け出させられる。
直径が軸方向の全体にわたってほぼ同じである工具は、第1,第2工具保持装置の軸方向の相対移動のみによって授受することができるが、第2工具保持部材に開口を形成し、その開口を通り、第2受容穴の半径方向への移動により第2受容穴内に進入,離脱させられるようにすれば、工具の授受に必要な軸方向のストロークを短くすることができる。工具の授受が行われる場合、第1工具保持装置におけるクランプ機構による工具の保持を解除し、あるいは第2工具保持装置による工具の保持を解除するとともにクランプ機構に工具を保持させるのに必要なストロークは、工具の長さによらず、同じであるが、工具が長いほど、工具を第2受容穴から抜け出させるための軸方向のストロークが長くなる。それに対し、工具を第2受容穴に対して半径方向から出し入れするようにすれば、工具を軸方向に移動させなくても、第2受容穴に対して出し入れすることができ、出し入れのためのスピンドル40の移動を工具の形状や長さにかかわらず同一にでき、また、軸方向のストロークを短くすることができるのである。後者の効果は工具の長さが長いほど大きいが、工具が短いものであっても効果は得られる。特に、第2工具保持装置を移動装置により第2受容穴の半径方向に移動させ、その移動により工具を第2受容穴に出し入れするようにすれば、軸方向のストロークが、第1工具保持装置におけるクランプ機構による工具の保持を解除し、あるいは第2工具保持装置による工具の保持を解除するとともにクランプ機構に工具を保持させるのに必要なストロークのみでよいことになる。
第1工具保持装置がロボットに設けられてもよい。その実施例を図39に基づいて説明する。ロボットは、3次元空間において多彩な動作を行うことができる機能を有する機械である。
本実施例の工具授受システムは、ばり取りシステムに設けられている。本ばり取りシステムでは、ほぼ直方体状の被加工物800についてばり取りが行われ、複数、例えば、2台のロボット802,804,複数、例えば2つの工具収納装置806,808および被加工物保持装置810を含む。被加工物保持装置810は、被加工物800が載置されるテーブル812と、テーブル812を一軸線、例えば、鉛直軸線まわりに回転させるテーブル回転装置814とを含む。テーブル812には被加工物800を保持,解放する保持具(図示省略)が設けられている。テーブル回転装置814は、例えば、サーボモータを駆動源として構成され、テーブル812を正逆両方向に任意の角度、回転させる。
工具収納装置806,808は、被加工物保持装置810の両側にそれぞれ、位置を固定して設けられている。これら工具収納装置806,808は同様に構成され、それぞれ、収納装置本体820と、収納装置本体820に設けられた複数の第2工具保持装置としての工具保持装置822とを備えている(図39には1つのみ図示されている)。これら収納装置本体820および工具保持装置822は、工具ホルダ823により保持されたばり取り工具の一種であるブラシ824が、その軸線が鉛直となる姿勢で収納されることを除いて、前記収納装置本体500および工具保持装置502と同様に構成されている。本工具授受システムにおいて軸方向は、鉛直方向に平行な方向である。また、工具ホルダ823は、前記工具ホルダ100と同様に構成されている。
図示は省略するが、複数の工具保持装置822は、工具収納装置806,808および被加工物保持装置810が並ぶ方向と直角な方向(図39においては紙面に直角な方向)であって、水平方向に1列に並んで設けられ、各工具保持装置822は収納装置本体820に、前記第2受容穴534と同様の第2受容穴の中心線が鉛直方向に延びる状態で設けられている。また、収納装置本体820,工具保持装置本体,工具保持部材にはそれぞれ、図27〜図34に示す実施例の前記開口602,604,606と同様の開口が設けられ、これら開口はそれぞれ、工具授受システムの軸方向に直角な方向であって、第2受容穴の半径方向においては、水平方向であって、被加工物保持装置810側に開口させられている。ばり取りには、ばり取り部位に応じた形状,寸法を有するブラシ824が使用され、工具収納装置806,808の各複数ずつの工具保持装置822にはそれぞれ、異なる種類のブラシ824が保持される。
ロボット802,804は、工具収納装置806,808と被加工物保持装置810との間にそれぞれ設けられている。一方の工具収納装置806と被加工物保持装置810との間に設けられたロボット802は、それら装置806,810が並ぶ方向と直角で水平な方向に移動可能に設けられ、移動装置830により移動させられる。ロボット802は、走行台832,走行台832上に回動可能に設けられた複数、例えば、3本のアーム834,836,838,スピンドル(図示省略)および第1工具保持装置としての工具保持装置840を有し、例えば、サーボモータを駆動源として構成される移動装置830により、上記水平方向において任意の位置へ移動させられる。
アーム834は、走行台832に、走行方向と平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられ、アーム836は、アーム834の自由端部に、アーム834の回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられている。また、アーム838は、アーム836の自由端部にアーム836の回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられ、これらアーム834,836,838はそれぞれ、例えば、サーボモータを駆動源とする回動装置842,844,846により、正逆両方向に任意の角度回動させられる。
アーム838にスピンドルが1つ、アーム838の回動軸線と直交する軸線まわりに回転可能に設けられ、回転駆動装置(図示省略)により回転させられる。ロボット802は、工具の軸数が1軸のものであり、スピンドルに工具保持装置840が設けられている。したがって、アーム834,836,838は一平面、本システムでは、ロボット802の走行方向と直角な平面である鉛直平面内において回動させられ、それらアーム834,836,838の各回動の組合わせにより、工具保持装置840に保持されたブラシ824を、アーム回動平面内において任意の位置へ移動させることができるとともに、その回転軸線の方向を任意の方向に設定することができる。工具保持装置840は、前記図1〜図18に示す実施例の第1工具保持装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明は省略する。
ロボット804は、他方の工具収納装置808と被加工物保持装置810との間に設けられ、ロボット802と同様に、走行台850,複数、例えば、4本のアーム852,854,856,858,スピンドル(図示省略)および工具保持装置840を有し、移動装置860により、工具収納装置808および被加工物保持装置810が並ぶ方向と直角で水平な方向において任意の位置へ移動させられる。
アーム852,854,856は、走行台850の走行方向に平行な軸線まわりに回動可能に連結され、それぞれ、回動装置862,864,866により回動させられる。アーム858は、アーム856に、アーム856の回動軸線と直交する軸線まわりに回動可能に取り付けられ、回動装置868により回動させられる。スピンドルは、先端のアーム858に、アーム856,858の各回動軸線に対して直角な軸線まわりに回転可能に設けられ、回転駆動装置(図示省略)により回転させられる。スピンドルに工具保持装置840が設けられており、工具保持装置840に保持されたブラシ824を、アーム回動平面内において、任意の位置へ移動させ、任意の方向の軸線まわりに回転させることができる。
本ばり取りシステムにおいて被加工物800のばり取りを行う場合には、被加工物800はテーブル812上に載置されるとともに保持具により保持され、その上面および4つの側面についてそれぞれ、ブラシ824によりばり取りが行われる。ロボット802,804はそれぞれ、ばり取り部位に応じた種類のブラシ824を保持し、本システムでは、ロボット802に保持されたブラシ824により、被加工物800の側面についてばり取りが行われ、ロボット804に保持されたブラシ824により、被加工物800の上面および側面(上面や側面に形成された穴や凹部の開口縁のみならず、穴の内部も含む)についてばり取りが行われる。ロボット802により保持されたブラシ824は、アーム834,836,838の各回動およびロボット802の走行により、図39に示すように、被加工物800の側面の被加工部位に対する相対位置が決められるとともに回転軸線が加工に適した方向とされ、かつ、スピンドルの回転により回転させられて、ばり取りを行う。
ロボット804により保持されたブラシ824も、ロボット802に保持されたブラシ824と同様にばり取りを行うが、アーム858がアーム856にアーム856の回動軸線と直交する軸線まわりに回動可能に取り付けられていることによって、ロボット804はロボット802より自由度が大きくされているため、被加工物800の上面や、ロボット804の走行方向と直角な側面のばり取りも行うことができる。
ロボット802,804によりそれぞれ保持されたブラシ824により、被加工物800の側面および上面についてばり取りが行われたならば、テーブル812が90度回転させられ、被加工物800の次にばり取りが行われる側面がロボット802,804の走行方向と平行となる状態とされる。あるいは180度回転させられて、回転前にばり取りされた側面とは反対側の側面がロボット802,804の走行方向と平行となる状態とされる。テーブル812が90度の倍数ではない任意の角度回転させられて、側面がロボット802,804の走行方向に対して傾斜した状態とされてもよい。
ばり取りに使用するブラシ824の種類を変える場合には、ロボット802,804と工具収納装置806,808との間でブラシ824の交換が行われる。例えば、ロボット802は、工具収納装置806の空いている工具保持装置822に使用済みのブラシ824を収納し、工具収納装置806の別の工具保持装置822に収納されているブラシ824を工具保持装置840が保持する。ブラシ824は、加工部がシャンクより大径の工具であり、第2受容穴に、その半径方向に移動させられて出し入れされるが、第2受容穴が鉛直方向に設けられているため、前記図27〜図34に示す実施例におけるスピンドル40の工具保持装置502に対する移動と同様の相対移動が、工具授受システムの軸方向を鉛直方向として行われる。この移動は、アーム834,836,838の回動により行われる。
ロボット802の工具保持装置840が保持したブラシ824を工具収納装置806に収納する場合には、ブラシ824が鉛直な姿勢とされ、工具保持装置840が工具保持装置822に対して水平方向に移動させられ、シャンクが開口を通って第2受容穴に入れられる。その状態で工具保持装置840が下降させられてボールクランプ機構による工具ホルダ823の保持が解除される。また、工具保持装置840に工具収納装置806に収納されたブラシ824を保持させる場合には、ロボット802が走行させられて、次に保持すべきブラシ824が収納された工具保持装置822へ移動させられる。そして、工具保持装置840は、第1受容穴とブラシ824とが同軸に対向する状態で下降させられてブラシ824を保持し、保持後、水平方向に移動させられてブラシ824が開口を通って第2受容穴から抜け出させられる。ロボット804についても同様にして、工具収納装置808との間においてブラシ824の交換が行われる。なお、工具授受時にはスピンドルの回転停止位置の制御により、工具保持装置822,840の各工具保持部材の位相が合わされる。図19に示す位相決め治具350を用いて位相が合わされるようにしてもよい。
なお、被加工物の加工時における工具の軸方向の移動位置は、常に、回転電動モータを駆動源とする移動装置の数値制御により決められるようにしてもよい。例えば、上記各実施例において、タップによるねじ加工時に、加工を行うタップをスピンドル移動装置34により、他の工具に対して前進させ、加工位置に位置させた状態で加工台14を加工台移動装置16によりY軸およびZ軸方向に移動させ、選択されたタップを被加工物に対して位置決めし、回転駆動装置44により回転させつつ、加工台14のX軸方向の移動により軸方向に移動させ、加工を行わせる。タップの前進位置であって加工終了位置は、加工台移動装置16による加工台14のX軸方向の移動位置の制御により決められる。
また、第1,第2工具保持装置間における工具の授受時にも、それらの軸方向の相対位置が数値制御により決められるようにしてもよい。例えば、前記実施例を例に取れば、授受される工具が1つであれば、工具の授受を行うスピンドル40がスピンドル移動装置34により前進させられて他のスピンドル40より前方に位置させられ、選択される。そして、加工台14が加工台移動装置16により、Y軸,Z軸方向に移動させられ、スピンドル40が工具保持部材210に対して互いに対向した状態に位置決めされるとともに、スピンドル40の軸方向であって、X軸方向に移動させられ、スピンドル40と工具保持装置192との間において工具の授受を行わせる。工具の収納時にも、受取り時にも、スピンドル40が加工台移動装置16の数値制御により、所定の前進位置へ前進させられ、停止させられる。授受される工具が複数であっても、一部であれば、それら工具を保持するスピンドル40は、スピンドル移動装置34により、授受が行われない工具より前方に位置させられて選択され、加工台14の移動により一斉に移動させられて工具の授受を行う。全部の工具について授受が行われる場合、それら工具を保持するスピンドル40は、スピンドル移動装置34により前方へ移動させられてもよく、移動させられることなく、加工台14の移動により移動させられて工具の授受を行ってもよい。授受される工具が複数ある場合でも、1つずつ、授受が行われるようにしてもよい。このように工具の授受時における第1,第2工具保持装置の軸方向の相対移動が数値制御される場合、スピンドル移動装置は、授受工具を保持するスピンドルの選択装置として機能すると考えることができる。スピンドル移動装置を、サーボモータ等を駆動源とし、数値制御が可能な装置としてもよい。その場合、スピンドル移動装置によってスピンドルを移動させることにより、複数の工具のうち、加工に使用される工具が選択されるようにしてもよく、あるいは加工が行われるようにしてもよく、あるいは工具の授受が行われるようにしてもよい。
さらに、工具収納装置において工具保持装置列は、使用済み工具保持装置列と未使用工具保持装置列とを1対とする工具保持装置列対が上下に複数対、設けられたものとしてもよい。
また、工具収納装置は、複数の工具保持装置が1列に設けられ、一部が使用済みの工具の保持に使用され、一部が未使用の工具の保持に使用されてもよい。
さらに、請求可能発明は、1軸の加工装置を有する加工システムの工具授受システムや、旋盤の工具授受システムにも適用することができる。
また、第2工具保持装置を移動装置によって第2受容穴の半径方向に移動させることにより、工具が第2保持装置の開口を通って第2受容穴に進入させられて受容され、第2受容穴から抜け出させられるようにしてもよい。
また、第2工具保持部材の第2受容穴を囲む周壁に開口を複数、周方向に間隔を隔てて設けてもよい。
さらに、図1ないし図19に示す各実施例の工具保持部材210のように、第2工具保持装置本体に軸方向に移動可能に嵌合された第2工具保持部材に開口を設けてもよい。例えば、この第2工具保持部材の第2工具保持装置本体から前方へ突出させられた部分に、前端面に開口する状態で開口を設ける。第2工具保持装置本体にも開口を設けてもよい。第2工具保持装置本体には、その第2工具保持部材に形成された開口に対応する部分に開口が形成される。
また、第2工具保持部材を開口を有さないものとする場合にも、図27〜図34に示す実施例の第2工具保持部材520と同様に、第2工具保持部材に設けられたガイドロッドにおいて第2工具保持装置本体に軸方向に相対移動可能に嵌合され、移動が案内されるようにしてもよい。
また、スピンドルの軸方向における複数の移動位置をスピンドル位置検出装置によって検出する場合、検出装置は、複数のセンサおよび1つのドグを有する装置としてもよい。この際、複数のセンサをスピンドルに設け、1つのドグをスピンドルを軸方向に移動可能に保持する部材に設けてもよく、逆でもよい。
さらに、第2工具保持部材が、第2受容穴を囲む周壁の外側面から第2受容穴まで達する開口を有する場合、その開口を通っての工具の第2受容穴に対する進入,離脱は、回動装置によって付与される回動により行われるようにしてもよい。
請求可能発明の一実施例である工具授受システムを備えた加工システムの加工装置を概略的に示す背面図である。 上記加工システムの工具収納装置を概略的に示す正面図である。 上記加工システムのスピンドルユニットを示す側面断面図である。 上記スピンドルユニットのスピンドルを示す正面図である。 上記スピンドルにより保持される工具ホルダを示す側面図(一部断面)である。 上記工具ホルダを示す正面図である。 上記工具収納装置の工具保持装置を示す側面断面図である。 上記工具収納装置の工具保持装置を図7とは異なる箇所において断面にして示す側面図である。 上記工具保持装置を示す正面図である。 上記スピンドルユニットと工具保持装置との間における工具の授受を説明する図であり、スピンドルが保持した工具の工具保持装置への収納開始時の状態を示す断面図である。 上記スピンドルが保持した工具が工具保持装置の第2受容穴に挿入され、クランプスリーブが工具保持装置の係合レバーに当接した状態を示す断面図である。 上記スピンドルがクランプスリーブに対して前進した状態を示す断面図である。 上記スピンドルの押出部材が工具を押し出した状態を示す断面図である。 工具の引渡しが終了し、工具がスピンドルから抜け出させられた状態を示す断面図である。 上記工具収納装置に収納された工具のスピンドルによる保持を説明する図であり、スピンドルがクランプスリーブが係合レバーに当接するまで前進させられた状態を示す断面図である。 スピンドルが工具ホルダに当接するまで前進させられた状態を示す断面図である。 スピンドルが前進させられて第2工具保持部材を後退させ、係合レバーが退避位置へ退避させられた状態を示す断面図である。 係合レバーの退避に伴ってクランプスリーブが前進させられ、工具ホルダをクランプした状態を示す断面図である。 工具授受時にスピンドルの位相を出す位相決め治具を概略的に示す正面図である。 別の実施例である工具授受システムの第2工具保持装置を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置に設けられた退避位置維持装置を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置により工具が保持された状態を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置に保持された工具のスピンドルによる保持を説明する図であり、スピンドルが第2工具保持部材を後退させ、係合スリーブが退避位置に維持された状態を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置に保持された工具がスピンドルにより保持され、スピンドルの後退により係合スリーブおよび第2工具保持部材が前進を開始した状態を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置において第2工具保持部材が前進位置へ復帰し、係合スリーブの退避位置における維持が解除され始めた状態を示す側面断面図である。 図20に示す第2工具保持装置において係合スリーブの退避位置への維持が解除され、作用位置への復帰を開始した状態を示す側面断面図である。 別の実施例である工具授受システムの工具収納装置を概略的に示す正面図である。 図27に示す工具収納装置に設けられた工具保持装置を示す平面図(一部断面)であり、工具保持部材の図31におけるB−B断面図である。 図28に示す工具保持装置を工具と共に示す側面図(一部断面)である。 図28に示す工具保持装置の側面断面図である。 図28に示す工具保持装置の工具保持部材を示す正面図である。 図28に示す工具保持装置の工具保持装置本体を収納装置本体と共に示す正面図であり、図29におけるА−A断面図である。 スピンドルに保持された工具の図27に示す工具保持装置への渡し時におけるスピンドルの移動経路を示す線図である。 図27に示す工具保持装置に保持された工具のスピンドルによる保持時におけるスピンドルの移動経路を示す線図である。 別の実施例である第2工具保持部材を概略的に示す平面断面図である。 図35に示す第2工具保持部材を工具と共に概略的に示す側面断面図である。 さらに別の実施例である第2工具保持部材を概略的に示す平面断面図である。 図37に示す第2工具保持部材を工具と共に概略的に示す側面断面図である。 さらに別の実施例である工具授受システムを備えたばり取りシステムを概略的に示す正面図である。
符号の説明
10:回転加工装置 12:工具収納装置 40:スピンドル 48:工具保持部 50:周壁 52:内周面 54:第1受容穴 56:ボール保持穴 58:ボール 64:外周面 74:クランプスリーブ 76:圧縮コイルスプリング 84:緩傾斜面 90:押出部材 94:圧縮コイルスプリング 100:工具ホルダ 114:フランジ部 136:溝側面 192:工具保持装置 200:工具保持装置本体 210:工具保持部材 220:圧縮コイルスプリング 230:第2受容穴 260:係合レバー 262,264:アーム部 266:係合部 268:傾斜面 270:カム面 272:被作用部 274:圧縮コイルスプリング 290:作用部材 292:カム面 294:作用部 300:制御装置 310:ドリル 350:位相決め治具 354:位相決め部材 360:位相決め面 362:圧縮コイルスプリング 390:工具保持装置 392:工具保持装置本体 394:工具保持部材 396:第2受容穴 412:圧縮コイルスプリング 420:係合スリーブ 424:圧縮コイルスプリング 428:係合部 432:増速レバー 450:退避位置維持装置 490:工具収納装置 502:工具保持装置 510:工具保持装置本体 520:工具保持部材 524:圧縮コイルスプリング 534:第2受容穴 560:係合レバー 564:圧縮コイルスプリング 570:作用部材 600:外側面 602,604,606:開口 610:制御装置 650:工具保持部材 652:第2受容穴 660:開口 674:外側面 700:工具保持部材 702:第2受容穴 710:開口 802,804:ロボット 806,808:工具収納装置 822:工具保持装置 823:工具ホルダ

Claims (12)

  1. 第1工具保持装置と第2工具保持装置とを含み、それら両工具保持装置が相対移動させられることにより工具の授受を行う工具授受システムであって、
    前記第1工具保持装置が、
    第1工具保持部材と、
    その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構と
    を含み、
    前記第2工具保持装置が、
    第2工具保持装置本体と、
    その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、
    その第2工具保持部材を前記第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、
    前記第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と前記第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、前記クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して前記第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、前記クランプスリーブの前記第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置と
    を含むことを特徴とする工具授受システム。
  2. 前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置とが互いに対向した状態での軸方向の相対移動のみにより工具の授受を行う請求項1に記載の工具授受システム。
  3. 前記第2工具保持部材が、前記軸方向に平行に延びるとともに、前記第2受容穴を囲む周壁の外側面から第2受容穴まで達する開口を有し、その開口を通っての工具の前記第2受容穴に対する進入,離脱と、前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置との前記互いに対向した状態での軸方向の相対移動とにより工具の授受を行う請求項1または2に記載の工具授受システム。
  4. 前記開口が、前記第2工具保持部材の前記軸方向における全長にわたって形成されるとともに、前記第2工具保持装置本体が、前記工具が前記第2受容穴の半径方向に移動することを許容する開口を有し、前記第2工具保持装置全体が前記工具の前記第2受容穴の半径方向の移動を許容する構成とされた請求項3に記載の工具授受システム。
  5. 前記クランプスリーブ制御装置が、
    前記クランプスリーブと係合可能な作用位置と、その作用位置から退避した退避位置とに移動可能な可動係合部材と、
    その可動係合部材を、常には前記作用位置に維持し、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して後退させられるのに伴って前記作用位置から前記退避位置へ退避させる可動係合部材制御装置と
    を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の工具授受システム。
  6. 前記可動係合部材制御装置が、
    前記可動係合部材を前記作用位置へ付勢する第3付勢装置と、
    前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を、前記可動係合部材の前記第3付勢装置の付勢力に抗した前記作用位置から前記退避位置への退避運動に変換する運動変換機構と
    を含む請求項5に記載の工具授受システム。
  7. 前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を前記可動係合部材の半径方向成分を有する方向への運動に変換する機構であり、前記第2工具保持装置本体に設けられた作用部と、前記可動係合部材に設けられた被作用部とを含み、それら作用部と被作用部との少なくとも一方が、前記軸方向に対して傾斜したカム面を有する請求項6に記載の記載の工具授受システム。
  8. 前記クランプスリーブ制御装置が、
    前記クランプスリーブと係合可能な作用位置と、その作用位置から退避した退避位置とに移動可能な可動係合部材と、
    その可動係合部材を前記作用位置へ付勢する第3付勢装置と、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を、前記可動係合部材の前記第3付勢装置の付勢力に抗した前記作用位置から前記退避位置への退避運動に変換する運動変換機構とを含み、前記可動係合部材を、常には前記作用位置に維持し、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して後退させられるのに伴って前記作用位置から前記退避位置へ退避させる可動係合部材制御装置と
    を含み、前記運動変換機構が、前記第2工具保持装置本体に対する前記第2工具保持部材の後退運動を前記可動係合部材の前記軸方向における前記第2工具保持部材に対する相対的な後退運動に変換する機構であり、前記第2工具保持装置本体に回動支点のまわりに回動可能に支持され、力点において前記第2工具保持部材と係合し、作用点において前記可動係合部材と係合し、前記回動支点から前記力点までの距離が、前記回動支点から前記作用点までの距離より小さい増速レバーを含む請求項2に記載の工具授受システム。
  9. 前記工具保持部が前記周壁を半径方向に貫通したボール保持穴を有し、そのボール保持穴に、前記周壁の厚さより大きい直径を有するボールが前記半径方向に移動可能に保持され、前記クランプスリーブが内周面に前記軸方向に対して傾斜した傾斜面を有し、前記クランプ機構が、前記クランプスリーブが前記第1付勢装置の付勢力に基づいて前記傾斜面により前記ボールを内周側へ押し、前記第1受容穴に受容された工具をクランプするボールクランプ機構である請求項1ないし8のいずれかに記載の工具授受システム。
  10. 前記第1工具保持装置が、前記第1工具保持部材の前記第1受容穴内に軸方向に移動可能に設けられ、第4付勢装置により、前記第1受容穴に受容された工具に押し付けられることによりその工具を前記第1受容穴から押し出すとともに、前記ボール保持穴に対応する位置において、前記ボールが前記内周面より内周側へ設定突出量以上突出することを防止する押出部材を含む請求項9に記載の工具授受システム。
  11. (1)第1工具保持部材と、(2)その第1工具保持部材に設けられ、(a)円筒状の周壁と、その周壁の内周面により画定された第1受容穴とを有する工具保持部と、(b)その工具保持部の外周側に軸方向に摺動可能に嵌合されたクランプスリーブと、(c)そのクランプスリーブを前記工具保持部に対して相対的に前進させる前進方向に付勢する第1付勢装置とを含み、前記クランプスリーブの前進に伴って前記第1受容穴に受容された工具をクランプするクランプ状態となり、クランプスリーブの後退に伴ってクランプ解除状態となるクランプ機構とを含む第1工具保持装置と相対移動させられることにより、その第1工具保持装置との間で工具の授受を行う第2工具保持装置であって、
    第2工具保持装置本体と、
    その第2工具保持装置本体に対して前記軸方向に相対移動可能であり、前記第1受容穴と同軸に対向する状態で、前記工具の第1受容穴に受容されている側とは反対側の部分を受容する第2受容穴を備えた第2工具保持部材と、
    その第2工具保持部材を前記第2工具保持装置本体に対して前記第1工具保持装置に向かう前進方向に付勢する第2付勢装置と、
    前記第2工具保持部材が前進位置にある状態で当該第2工具保持装置と前記第1工具保持装置とが前記軸方向に互いに接近させられるのに伴って、前記クランプスリーブに作用し、そのクランプスリーブを前記第1付勢装置の付勢力に抗して前記第1工具保持部材に対して相対的に後退させ、前記第2工具保持部材が前記第2付勢装置の付勢力に抗して前記第2工具保持装置本体に対して後退させられる運動に基づいて、前記クランプスリーブの前記第1工具保持部材に対する相対的な前進を許容するクランプスリーブ制御装置とを含むことを特徴とする第2工具保持装置。
  12. 前記第2工具保持部材が、前記軸方向に平行に延びるとともに、前記第2受容穴を囲む周壁の外側面から第2受容穴まで達する開口を有し、その開口を通っての工具の前記第2受容穴に対する進入,離脱と、前記第1工具保持装置と前記第2工具保持装置との前記互いに対向した状態での軸方向の相対移動とにより工具の授受を行う請求項11に記載の第2工具保持装置。
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