WO2006115253A1 - 低騒音空気入りタイヤ - Google Patents

Abstract

　空気入りタイヤをリムから離脱する際に、タイヤ内周面の吸音材が損傷を受け難くするようにした低騒音空気入りタイヤである。タイヤ内周面に多孔性材料の吸音材を装着した空気入りタイヤにおいて、前記吸音材の内周面に潤滑剤を塗布するか、又は前記吸音材の内周面のタイヤ幅方向両端部をそれぞれも硬質の保護層で被覆する。

Description

低騒音空気入りタイヤ

技術分野

[0001] 本発明は低騒音空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ内周面に多孔性材料 なる吸音材を装着した低騒音空気入りタイヤの改良に関する。

背景技術

[0002] 空気入りタイヤが走行中に発生するタイヤ騒音には色々ある力 その中の一つとし て、タイヤ空洞部の充填空気が振動することにより発生する空洞共鳴音がある。従来 、この空洞共鳴音を効果的に低減する対策として、図 5に示すように、トレッド部 1の 内側のタイヤ内周面にポリウレタンフォーム等の多孔性材料の吸音材 5を配置して、 この吸音材 5により空洞共鳴音を吸収するようにしたものが提案されている（例えば、 特許文献 1、 2参照)。

[0003] このように吸音材 5が取り付けられた空気入りタイヤ Tがリム Rに装着された後、その 空気入りタイヤ Tをタイヤローテーション等のためにリム Rから取り外す場合には、図 6 に示すように、タイヤチェンジャーのレバー Xの先端が吸音材 5の表面に強く押し付 けられることがある。しかし、一般に吸音材を構成する多孔性材料は材質が柔らかぐ Iき裂き強度が低 、ため、上記のようにタイヤチェンジャーのレバーが押し付けられ ると、損傷を受けやすいという問題がある。特に偏平率が小さくタイヤ断面高さの低い 空気入りタイヤほど、このような吸音材の損傷を受け易いという傾向がある。このように 低騒音タイヤの吸音材に一旦損傷箇所が出来ると、その損傷箇所にタイヤ走行時の 空気入りタイヤの変形に基づく応力が集中するため、やがて吸音材カ^イヤ内周面 力も離脱して所望の吸音性能が得られなくなってしまうという問題があった。

特許文献 1 :特開昭 62— 216803号公報

特許文献 2：特開昭 2003— 63208号公報

発明の開示

[0004] 本発明の目的は、空気入りタイヤをリム力も離脱する際に、タイヤ内周面の吸音材 が損傷を受け難くするようにした低騒音空気入りタイヤを提供することにある。 [0005] 上記目的を達成する本発明の低騒音空気入りタイヤは、タイヤ内周面に多孔性材 料力 なる吸音材を装着した空気入りタイヤにぉ 、て、前記吸音材の内周面の少な くともタイヤ幅方向両端部の領域に潤滑剤を塗布したことを特徴とするものである。

[0006] また、上記目的を達成する本発明の他の低騒音空気入りタイヤは、タイヤ内周面に 多孔性材料力もなる吸音材を装着した空気入りタイヤにおいて、前記吸音材の内周 面のタイヤ幅方向両端部をそれぞれ前記吸音材よりも硬質の保護層で被覆したこと を特徴とするものである。

[0007] 前者の低騒音空気入りタイヤによれば、吸音材の内周面の少なくともタイヤ幅方向 両端部の領域に潤滑剤を塗布したので、リム組みされた空気入りタイヤをリム力 取り 外す際に、タイヤチェンジャーのレバーが吸音材の表面に接触しても、レバーの先端 が吸音材の表面でスリップすることにより吸音材の損傷を防止することができる。

[0008] また、後者の低騒音空気入りタイヤによれば、吸音材の内周面のタイヤ幅方向両端 部をそれぞれ前記吸音材よりも硬質の保護層で被覆したので、リム組みされた空気 入りタイヤをリムから取り外す際に、上記保護層によりタイヤチェンジャーのレバーか らの強い押圧力を緩和し、吸音材の損傷を防止することができる。したがって、リムか ら取り外し後の空気入りタイヤを再使用しても、損傷箇所を起点とする応力の集中が なく破損を起こし難いので、吸音材の吸音性能を長期に維持することができる。 図面の簡単な説明

[0009] [図 1]本発明の実施形態力 なる低騒音空気入りタイヤをリム組みした状態を示す子 午線断面図である。

[図 2]本発明の他の実施形態力 なる低騒音空気入りタイヤをリム組みし状態を示す 子午線断面図である。

[図 3]図 2の空気入りタイヤに設けた吸音材を一部破断して示す斜視図である。

[図 4]他の実施形態力もなる吸音材を一部破断して示す斜視図である。

[図 5]従来の低騒音空気入りタイヤを一部破断して示す斜視図である。

[図 6]図 5の低騒音空気入りタイヤをリム力も取り外す際の断面を示す説明図である。 発明を実施するための最良の形態

[0010] 以下、本発明の低騒音空気入りタイヤについて、図に示す実施形態を参照して説 明する。

[0011] 図 1は、本発明の実施形態力 なる低騒音空気入りタイヤをリムに装着した状態で 示す子午線断面図である。

[0012] 空気入りタイヤ Tは、トレッド部 1の左右にそれぞれ一対のサイドウォール部 2、 2と一 対のビード部 3、 3とを連接してタイヤ本体が構成されている。図示は省略されている 力 この他にタイヤ本体にはタイヤの骨格をなすカーカス層やトレッド部に剛性を与 えるベルト層などが設けられている。このようなタイヤ本体のタイヤ内周面 laには、吸 音材 5が弾性固定バンド 6により装着されている。その吸音材 5は帯状の多孔性材料 から構成され、タイヤ内周面 laを 1周するように環状に配置されている。かつ、吸音 材 5はの内周面 5aには、その全面にわたって潤滑剤 4が塗布されている。

[0013] 上記空気入りタイヤ Tをリム Rにリム組みした状態で、そのリム R力もタイヤチェンジャ 一を使用して取り外す場合には、図 6に示すように、タイヤチェンジャーのレバー の 先端が吸音材 5の表面を押圧する場合がある。しかし、上記空気入りタイヤ Tには、 吸音材 5の表面に潤滑材 4が塗布されているので、レバー Xが押し付けられても、そ の先端力 Sスリップすることにより吸音材 5を損傷させることはない。したがって、リムから 離脱後に、その空気入りタイヤを再使用しても、吸音材が早期に破損することはなぐ 長期にわたり良好な吸音性能を発揮することができる。

[0014] 吸音材 5に対する潤滑剤 4の塗布領域としては、その内周面 5aの少なくともタイヤ 幅方向両端部であればよい。好ましくは、潤滑剤 4を内周面 5aの全領域に塗布する のがよい。潤滑剤 4は、このように吸音材 5の内周面 5aに塗布する場合のほか、吸音 材 5の外周面側にも塗布するようにしてょ ヽ。このように吸音材の外周面にも潤滑剤 を塗布することにより、吸音材とタイヤ内周面との間の接触摩擦抵抗を低減すること ができるため、吸音材の耐久性を向上することができる。

[0015] 潤滑剤の種類は特に限定されな 、が、例えば、ワックス、黒鉛、二硫ィ匕モリブデン、 ボロン、ポリテトラフルォロエチレン、タルク、シリコーン、流動パラフィン、鉱物油等を 例示することができる。これら潤滑剤は 1種類だけ単独使用してもよぐ或いは 2種類 以上を組み合わせて使用してもよい。上記のワックスとしては、天然ワックス、フイツシ ヤー ·トロプシュ、ポリエチレン等の炭化水素系合成ワックス、脂肪酸エステル系ヮック ス、脂肪酸アミド、ケトン 'ァミン類、硬化ヒマシ油等を使用することができる。これらヮ ックスも、 1種類のみを単独使用してもよぐ或いは 2種類以上を組み合わせて使用し てもよい。

[0016] 図 2は、本発明の他の実施形態力もなる低騒音空気入りタイヤをリムに装着した状 態で示し、図 3は、そのタイヤ内面に装着される吸音材を取付用の弾性固定バンドと 共に示す。

[0017] 図 2の空気入りタイヤ Tは、タイヤ本体については図 1の実施形態の場合と同じであ るので、タイヤ本体の説明は省略する。図 1と共に図 3も参照すると、吸音材 5は図 1と 同様に帯状の多孔性材料力 構成され、その帯状材がトレッド部 1の内側にタイヤ内 周面 laを 1周するように環状に設けられている。この吸音材 5の内周面 5aには、タイ ャ幅方向両端部にそれぞれ保護層 7、 7が被覆されており、その保護層 7は硬度が吸 音材 5よりも大きい硬質の榭脂シートまたは金属シートで構成されている。

[0018] 上記保護層 7は、吸音材 5に対して図 4に示す実施形態のように設けてもよい。すな わち、吸音材 5の両側面をそれぞれ斜めの傾斜面 5b, 5bに形成し、これら両傾斜面 5b, 5bと内周面 5aのタイヤ幅方向両端部との両方を保護層 7, 7が被覆するようにし たものであってもよい。

[0019] このように吸音材 5の内周面 5aの少なくとも両端部を保護層 7, 7で被覆するように したことにより、リム組みされた空気入りタイヤ Tをタイヤチェンジャーを使用してリム R から取り外すとき、レバー Xの先端を保護層 7の表面に直接当接させ、吸音材 5を損 傷させないようにすることができる。したがって、図 1の実施形態と同様に吸音材 5の 耐久性を向上し、良好な吸音性能を長期にわたり維持することができる。

[0020] 本発明にお 、て、保護層 7は吸音材 5よりも硬度の高 、硬質材料から構成さあれて いれば特に限定されないが、好ましくは榭脂シート又は金属シートで構成されるとよ い。榭脂シートの材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド などを例示することができる。また、金属シートの材料としては、鋼、銅などを例示する ことができ、特にステンレススチールが好ましい。

[0021] 保護層の厚さとしては、 0. 05〜： L Ommにすることが好ましい。保護層の厚さが 0.

05mm未満では、レバー先端の接触に対する吸音材の損傷防止が難しくなる。また 、 1. Ommより厚いと、吸音材の曲げ剛性を高くするため、吸音材をタイヤ内周面に 沿わせて配置することが難しくなる。

[0022] 保護層のタイヤ幅方向の幅としては、 10〜40mmにすることが好ましい。保護層の 幅が 10mm未満では、レバー先端の接触に対する吸音材の損傷防止が難しくなる。 また、 40mmよりも大きいと、保護層による吸音材の内周面に対する被覆面積が大き くなりすぎて吸音性能が低下するようになる。

[0023] また、図 2の実施形態では、保護層 7のタイヤ空洞側表面に対して、図 1の実施形 態で使用した潤滑剤を塗布すると更によい。このように潤滑剤を併用することにより、 タイヤチェンジャーのレバーのスリップを促すため、保護層による吸音材の損傷防止 効果を一層向上することができる。

[0024] なお、図 1や図 2の実施形態では、タイヤ内周面 laに対する吸音材 5の取り付けを

、弾性固定バンド 6を吸音材 5の外周側に配置して行ったが、弾性固定バンド 6を吸 音材 5の内周面 5a側に配置して装着してもよい。

[0025] 上述した本発明の低騒音空気入りタイヤは、空気入りタイヤ一般に適用することが できるが、特に吸音材の損傷を起こし易い偏平率が 45%以下の空気入りタイヤに適 用する場合に大きな効果を発揮することがきる。

[0026] 実施例

タイヤサイズが 225Z40R18で、タイヤ内周面に厚さ 20mm、幅 180mmのウレタ ンフォーム製の吸音材を幅 20mm、厚さ 2mmのポリプロピレン榭脂製の弾性固定バ ンドにより装着することを共通条件にし、吸音材の内周面にポリエチレンワックスを塗 布した低騒音空気入りタイヤ（実施例 1)、吸音材の内周面のタイヤ幅方向両端部に それぞれ幅 20mm、厚さ 0. 5mmのポリプロピレン榭脂シート (保護層）を被覆した低 騒音空気入りタイヤ (実施例 2)、実施例 2のタイヤ構成において保護層の表面にポリ エチレンワックスを塗布した低騒音空気入りタイヤ（実施例 3)、吸音材の表面に加工 を施さなカゝつた低騒音空気入りタイヤ (従来例）とをそれぞれ製作した。

[0027] これら 3種類の空気入りタイヤについて、それぞれリム組み後に同一のタイヤチェン ジャーを使用してリムから取り外す作業を 50回繰り返し、吸音材の表面における損傷 が発生した回数を調べた。その結果を表 1に示す。 [0028] [表 1]

[0029] 表 1から、実施例 1及び 2は、従来例に比べて、吸音材の損傷の発生が激減 していることがわ力る。

Claims

請求の範囲

[1] タイヤ内周面に多孔性材料力もなる吸音材を装着した空気入りタイヤにおいて、前 記吸音材の内周面の少なくともタイヤ幅方向両端部の領域に潤滑剤を塗布した低騒 音空気入りタイヤ。

[2] 前記潤滑剤を前記吸音材の内周面の全領域に塗布した請求項 1に記載の低騒音 空気入りタイヤ。

[3] 前記潤滑剤が、ワックス、黒鉛、二硫ィ匕モリブデン、ボロン、ポリテトラフルォロェチ レン、タルク、シリコーン、流動パラフィン、鉱物油の群力も選ばれた少なくとも 1種で ある請求項 1又は 2に記載の低騒音空気入りタイヤ。

[4] タイヤ内周面に多孔性材料力もなる吸音材を装着した空気入りタイヤにおいて、前 記吸音材の内周面のタイヤ幅方向両端部をそれぞれ前記吸音材よりも硬質の保護 層で被覆した低騒音空気入りタイヤ。

[5] 前記吸音材のタイヤ幅方向の両側面を傾斜面に形成し、該傾斜面を前記タイヤ幅 方向両端部と共に前記保護層で被覆した請求項 4に記載の低騒音空気入りタイヤ。

[6] 前記保護層が榭脂シート又は金属シートからなる請求項 4に記載の低騒音空気入 りタイヤ。

[7] 前記保護層の表面に潤滑剤を塗布した請求項 4、 5又は 6に記載の低騒音空気入 りタイヤ。

[8] 前記保護層の片側当たりの幅が 10〜40mmである請求項 4〜7のいずれかに記載 の低騒音空気入りタイヤ。

[9] 前記保護層の厚さが 0. 05〜： L Ommである請求項 4〜8のいずれかに記載の低 騒音空気入りタイヤ。

[10] 前記空気入りタイヤの偏平率が 45%以下である請求項 1〜9のいずれかに記載の 低騒音空気入りタイヤ。