JPWO2020045511A1 - 水硬性材料用添加剤 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、反応性不飽和基を有するノニオン性界面活性剤が乳化剤として用いられたことを特徴とするセメント混和用アクリル樹脂エマルションが開示されている。特許文献2には、カルボキシル基を有する不飽和単量体と、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つの不飽和単量体とを含み、不飽和単量体の共重合体について重量分率法により算出したガラス転移温度が220〜270Kである混合物を、エチレン性不飽和結合とポリオキシアルキレン基とを有する分子を含む乳化剤を用いて乳化重合して得られるポリマーエマルションが開示されている。特許文献3には、不飽和二塩基酸のジメチルエステルおよび/またはメチルアクリレートを必須の単量体成分として用いて得られる、乳化重合体を必須の成分として含有することを特徴とする、セメント用組成物が開示されている。特許文献4には、少なくとも1種の水硬物質と、水硬物質100重量部を基準にして、約25〜約130重量部の水と、約0.01〜約30重量部の共重合体気泡安定剤とを含む発泡水硬組成物であって、前記共重合体気泡安定剤が、a)1種またはそれ以上の非イオン性のエチレン性不飽和単量体約0.1〜約98重量%と、b)少なくとも1種の単量体がカルボン酸を含有している、1種またはそれ以上のイオン性のまたはイオン化可能なエチレン性不飽和単量体約2〜約40重量%とからなる共重合体である、前記組成物が開示されている。
吹付工法に用いられる水硬性材料に関して、例えば特許文献5には、セメント、細骨材及び軽量骨材より選ばれる骨材、繊維状鉱物、増粘剤、膨張材及びガラス転移温度−20℃〜0℃のエマルションとを含むことを特徴とする水硬性組成物が開示されている。特許文献6には、岩盤の狭幅の割れ目又は/及び岩盤間の狭幅の継ぎ目に、フロー値が250以下のセメント組成物を噴霧することを特徴とする岩盤の安定化工法が開示されている。
本発明の水硬性材料用添加剤は、(メタ)アクリレート系共重合体エマルション粒子(以下、共重合体エマルション粒子ともいう。)を含む。
上記共重合体エマルション粒子は、全構造単位100質量%に対して、炭素数が3〜20であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位(a)を80〜99.9質量%有し、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位(b)を0.1〜10質量%有する。構造単位(a)及び(b)を上記割合で有することは、共重合体エマルション粒子のガラス転移温度が−50℃以下となることに寄与し、モルタル・コンクリート等におけるペースト分の骨材への粘着性を向上させる。これにより、施工面に水硬性材料組成物を吹き付けた際のリバウンド量を低減することができる。また、共重合体中の酸量が多い場合には、塩基性である水硬性材料と混合した際に高粘性となるため、吹付工法においては吹き付け直前に水硬性材料と混合する必要があるが、本発明の共重合体エマルション粒子は、構造単位(a)及び(b)を上記割合で有することにより、塩基性である水硬性材料と混合した際にも高粘性となることを充分に抑制することができるため、水硬性材料と混合してから吹き付けまでの時間を充分に確保することもできる。
上記構造単位(b)の含有割合として好ましくは全構造単位100質量%に対して0.1〜8質量%である。これにより本発明の作用効果をより充分に発揮することができる。より好ましくは0.1〜5質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
構造単位(c)の含有割合として好ましくは、全構造単位100質量%に対して0〜19.9質量%であり、より好ましくは0〜14.9質量%であり、更に好ましくは0〜9.9質量%であり、特に好ましくは0〜4.9質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
これにより、モルタル・コンクリートにおけるペースト分の粘着性を向上させ、ペースト分の骨材への粘着性を向上させる。
ガラス転移温度として好ましくは−55℃以下であり、より好ましくは−57℃以下であり、更に好ましくは−60℃以下である。
なお、共重合体エマルション粒子のガラス転移温度(Tg)は、後述する単量体成分の種類や使用割合によって制御することができ、次のFOXの式(1)により求められる他、DSC(示差走査熱量測定装置)やDTA(示差熱分析装置)によって求めることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数として好ましくは3〜18である。これにより、共重合体エマルションのガラス転移温度がより好適な範囲となる。アルキル基の炭素数としてより好ましくは4〜16であり、更に好ましくは4〜14であり、特に好ましくは4〜12である。
中でも好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等であり、より好ましくはブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、である。
その他の単量体として具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル;クロトン酸、チグリン酸、3−メチルクロトン酸、2−メチル−2−ペンテン酸等の(メタ)アクリル酸(塩)以外のエチレン性不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等の不飽和多価カルボン酸類;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノエチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物等のカルボキシル基を有する単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホ(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系単量体;
本発明はまた、上記共重合体エマルション粒子と溶媒とを含む樹脂分散体(以下、共重合体エマルションともいう)である。
上記溶媒としては、後述する共重合体エマルションの製造方法に記載の溶媒が挙げられる。
本発明の共重合体エマルションの製造は、特に制限されないが、単量体成分を乳化重合することにより製造することができる。乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いてもよい。
本発明はまた、共重合体エマルション粒子を含む水硬性材料用添加剤を製造する方法であって、上記製造方法は、全単量体成分100質量%に対して80〜99.9質量%の炭素数が3〜20であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと0.1〜10質量%の(メタ)アクリル酸(塩)とを含む単量体成分を重合して、ガラス転移温度が−50℃以下である共重合体エマルション粒子を形成する工程を含む水硬性材料用添加剤の製造方法でもある。また、上記共重合体エマルション粒子を形成する工程を行うことにより得られる水硬性材料用添加剤もまた、本発明の1つである。
上記単量体成分は、全単量体100質量%に対して、炭素数が3〜20であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを80〜99.9質量%含み、(メタ)アクリル酸(塩)を0.1〜10質量%含む。(メタ)アクリル酸(塩)を上記割合で含むことにより、重合性が向上し、得られる共重合体エマルションの安定性が向上する。
単量体成分の具体例及び好ましい例、並びに、各単量体の好ましい割合は、上述のとおりである。
上記アニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤。
上記界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1重量部である。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましい。
単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;ジグリコールアミン、アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の水硬性材料用添加剤は、上記共重合体エマルション粒子を含むものであり、共重合体エマルション粒子を2種以上含んでいてもよい。上記水硬性材料用添加剤における上記共重合体の含有量(2種以上の共重合体エマルション粒子を含む場合は、その総含有量)は、特に制限されないが、水硬性材料用添加剤中の固形分(すなわち不揮発分)100質量%中、5〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは20〜90質量%、更に好ましくは30〜75質量%である。
なお、本明細書中、「水硬性材料用添加剤」とは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等の水硬性材料組成物へ添加される添加剤のことをいい、上記共重合体エマルションのみからなる剤であってもよいし、また、上記共重合体エマルションだけでなく、必要に応じて更に後述するその他の添加剤等を含む剤であってもよい。
<固形分測定方法>
1.アルミ皿を精秤する。
2.1で精秤したアルミ皿に固形分測定物を精秤する。
3.窒素雰囲気下130℃に調温した乾燥機に2で精秤した固形分測定物を1.5時間入れる。
4.1時間後、乾燥機から取り出し、室温のデシケーター内で15分間放冷する。
5.15分後、デシケーターから取り出し、アルミ皿+測定物を精秤する。
6.5で得られた質量から1で得られたアルミ皿の質量を差し引き、2で得られた固形分測定物の質量で除することで固形分を測定する。
本発明の水硬性材料用添加剤は、上記その他の添加剤の中でも、減水剤と併用されることが好ましい。これによりペースト分の骨材への粘着性がより向上する。
すなわち、上記水硬性材料組成物は、更に減水剤を含むものであることが好ましく、このような形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
R1{−T−(R2 O)t−R3 }n (2)
上記式(2)中、R1、R3は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のアルケニル基、炭素数1〜22のアルキニル基、フェニル基またはアルキルフェニル基(アルキルフェニル基中のアルキル基の炭素数は1〜22である)を表わす。R2Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表わし、2種以上の場合はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。tは、オキシアルキレン基の平均付加モル数であり、0〜300の数を表わす。tが0のとき、R1、R3が同時に水素原子であることはなく、Tは−O−、−CO2−、−SO4−、−PO4−又は−NH−の基を表わす。nは、1又は2の整数を表わし、R1が水素原子のとき、nは1である。
上記式(2)で表されるオキシアルキレン系消泡剤の例としては、(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
上記使用方法は、本発明の水硬性材料用添加剤を水硬性材料とともに施工面に吹き付ける限り特に制限されないが、水硬性材料用添加剤と水硬性材料とを混合したものを施工面に吹き付けることが好ましい。上記使用方法としては、水硬性材料用添加剤と水硬性材料とを混合する工程と、混合工程により得られた水硬性材料組成物を圧縮空気又はポンプ等で圧送する工程と、圧送された水硬性材料組成物を吹き付ける工程とを含むことがより好ましい。上記水硬性材料組成物の好ましい形態等は、上述のとおりである。
動的光散乱法による粒子径測定装置(Malvern社製Zetasizer Nano)を用い、散乱強度平均粒子径を測定した。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート539.0g、2−エチルヘキシルアクリレート539.0g、およびアクリル酸22.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分57.2%、粒子径270nmであった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート1078.0g、およびアクリル酸22.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分57.2%、粒子径280nmであった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、2−エチルヘキシルアクリレート1078.0g、およびアクリル酸22.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分57.9%、粒子径300nmであった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート539.0g、2−エチルヘキシルアクリレート539.0g、メタクリル酸12.1g、およびアクリル酸9.9gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分57.9%、粒子径290nmであった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート550.0g、2−エチルヘキシルアクリレート550.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下しようと試みたが、重合反応中にゲル化し、目的となるエマルションを得ることができなかった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート264.0g、2−エチルヘキシルアクリレート264.0g、スチレン550.0g、およびアクリル酸22.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分53.8%、粒子径260nmであった。
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、脱イオン水387.7gを仕込んだ。他方、滴下ロートに、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルフォネート塩(第一工業製薬(株)製「ハイテノール18E」)の20%水溶液82.5g、脱イオン水278.1g、ブチルアクリレート220.0g、メチルメタクリレート220.0g、およびエチルアクリレート660.0gからなるプレエマルションを調製して仕込んだ。次に、前記プレエマルション7.2g(プレエマルション全量の0.5%に相当)をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら攪拌下で80℃まで昇温した。昇温後、フラスコ内に、3.5%過硫酸カリウム水溶液14.3gと2.5%二亜硫酸ナトリウム水溶液2.8gとを添加して重合を開始させた。添加後に反応系内を80℃で20分間維持した。ここまでを初期反応とする。初期反応終了後、反応系内を80℃に維持したまま、残りのプレエマルション1433.4g(プレエマルション全量の99.5%に相当)と、3.5%過硫酸カリウム水溶液73.7gとを240分間かけて均一に滴下した。滴下後、脱イオン水18gで滴下ロートを洗浄し、洗浄液をフラスコ内に添加した。その後、80℃で60分間維持したのち、室温まで冷却した。得られた反応液に25%アンモニア水溶液16.4gを添加し、30分間攪拌したのち、100メッシュの金網でろ過して、エマルション樹脂組成物を得た。得られたエマルション樹脂組成物を分析したところ、固形分53.8%、粒子径195nmであった。
温度計、攪拌機、滴下ロート、環流冷却器を備えたガラス製反応容器にイオン交換水72.26部、3−メチル−3−ブテン−1−オールにエチレンオキサイドを50モル付加した不飽和アルコール127.74部を仕込み、65℃に昇温した後、そこへ過酸化水素30%水溶液0.71部を添加し、アクリル酸40%水溶液46.58部を3時間、3−メルカプトプロピオン酸0.67部を3時間、L−アスコルビン酸2.1%水溶液12.97部を3.5時間かけて滴下した。その後60分引き続いて65℃に温度を維持し
て重合反応を完結させ、温度を50℃以下に降温し水酸化ナトリウム12.2%水溶液76.07部でpH4からpH7になるように中和し、重量平均分子量29,000の重合体水溶液からなる本発明のポリカルボン酸共重合体を得た。尚、重合時に使用する原料の全量に対する全単量体の使用量は、56.2重量%であった。
下記のとおり調製した(練り上げた)コンクリートをスコップで扱った際に手に感じる、コンクリートの粘着性を5段階評価で表した。粘着性が高いものを5、低いものを1とした。
コンクリートの調製:
パン型コンクリートミキサーにて、表1の配合割合に従って、水、セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント(株)製)、粗骨材(青梅産硬質砕石、表乾比重=2.65g/cm3)、細骨材(大井川産陸砂、表乾比重=2.62g/cm3)、及び、上記実施例、比較例で得られた水硬性材料用添加剤をセメントに対して0.3重量部となる様に投入し、90秒間混練を行ってコンクリートを作成した。更にスランプ値が20±1cmとなるように、減水剤として製造例1で得られたポリカルボン酸共重合体を添加した。なお、空気量は消泡剤であるオキシアルキレン系消泡剤を添加して3.0%未満となるように調整した。得られたコンクリートのスランプ値はJIS A 1150に従って測定した。
装置:英光精機株式会社製 テクスチャーアナライザーTA.XT Plus
装置の概要:プローブ、試料台、応力検出器からなり、一定荷重を一定時間与えることができる機構、及び、モルタルとプローブとの接触及び引き剥がしを一定速度で行えるように当該速度を制御できる機構を有する。
粘着性試験用プローブ:つきさし、圧縮用円柱プローブ P/35(材質:アルミニウム、直径35mm)
評価方法:下記のとおり調製した(練り上げた)モルタル試料を200mLデスカップに移し試料台に置いた。次に毎秒1mmの速度でプローブを試料の表面から20mmの深さまで貫入させ、その後直ちに1mm/sec.の速度でプローブを引き抜き、プローブがモルタルから剥がれる際に要する最大荷重を求め、プローブタック試験の値とした。単位はN/cm2で表記した。エマルション未添加の系の最大荷重を100%としたときの各々の系の最大荷重比を、粘着性と定義した。最大荷重比が100%以上である場合に、粘着性が高いとみなした。
モルタル試料の調製:
モルタル試験は、温度が20℃±1℃、相対湿度が60%±15%の環境下で行った。モルタル配合は、C/S/W=560/1350/250(g)とした。
ただし、
C:セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製)
S:細骨材(大井川産陸砂)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては上記実施例、比較例で得られた水硬性材料用添加剤及び消泡剤を含み、イオン交換水中充分に均一溶解させた。
モルタルミキサー(ホバート社製ミキサー、型番:N−50)を用い、混練容器へCおよびSを投入し、1速で10秒間混練した。さらに1速で混練しながら、Wを10秒かけて投入した。混練を始めてから60秒後にミキサーを停止し、30秒間モルタルの掻き落としを行った。その後、さらに2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。上記のようにして得られたモルタルを、フロー測定板(60cm×60cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、さらにモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突いた後、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから3分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)および該長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。更にフロー値が230mmとなるように、減水剤として製造例1で得られたポリカルボン酸共重合体を添加した。なお、空気量は消泡剤であるオキシアルキレン系消泡剤を添加して3.0%未満となるように調整した。
結果を以下表2に記した。表2における単量体は、以下のとおりである。なお、上記のFoxの式(1)により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に( )で示した。
BA:ブチルアクリレート(−56℃)
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(−70℃)
AA:アクリル酸(95℃)
St:スチレン(100℃)
MAA:メタクリル酸(130℃)
MMA:メチルメタクリレート(105℃)
EA:エチルアクリレート(−22℃)
Claims (6)
- (メタ)アクリレート系共重合体エマルション粒子を含む水硬性材料用添加剤であって、
該共重合体エマルション粒子は、全構造単位100質量%に対して、炭素数が3〜20であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位(a)を80〜99.9質量%有し、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位(b)を0.1〜10質量%有し、ガラス転移温度が−50℃以下であることを特徴とする水硬性材料用添加剤。 - 前記共重合体エマルション粒子は、前記アルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸(塩)以外のその他の単量体由来の構造単位(c)の含有割合が、全構造単位100質量%に対して0〜19.9質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性材料用添加剤。
- 前記水硬性材料用添加剤は、吹付けコンクリート用途に用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の水硬性材料用添加剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水硬性材料用添加剤と水硬性材料とを含むことを特徴とする水硬性材料組成物。
- 前記水硬性材料組成物は、更に減水剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の水硬性材料組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の水硬性材料用添加剤を水硬性材料とともに施工面に吹き付けて使用する方法。
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