以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和機および空気調和システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10の構成を示す構成図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10の主な機能構成を示すブロック図である。図2においては、データ信号の流れを実線で、制御信号の流れを一点鎖線で示している。図1に示すように、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、室内機11、室外機12、冷媒管13およびリモートコントローラ14を備える。空気調和機10は、一つの完結した冷凍サイクルを室内機11と室外機12とで形成している。空気調和機10は、冷媒管13を通って室内機11と室外機12との間を循環する冷媒を使用して、空調対象空間である室内の空気と室外の空気との間で熱移動を行い、室内に対する空気調和を実現している。すなわち、室内機11と室外機12とは冷媒管13により接続されており、冷媒管13中を流れる冷媒の圧力を室外機12の備える圧縮機により変化させて冷媒の吸熱、放熱により空気調和を行う。
室外機12は、冷媒管13により室内機11と接続されている。また、室外機12は、図示しない通信線を介して室内機11と通信可能とされている。室外機12は、空調室外設備として必要な通常の機能部の他に、温度センサである外気温度センサ15を備えており、該外気温度センサ15により外気温度を測定することが可能である。外気温度センサ15は、空調状態制御部25から設定された規定の周期、または予め外気温度センサ15に設定済みの規定の周期で外気温度を繰り返し検出する。そして、外気温度センサ15は、検出した外気温度の情報を室内機11の室内状態判定部23に送信する。外気温度センサ15は、通常、空気調和機10の駆動時には常時動作している。
室内機11は、無線通信によりリモートコントローラ14と通信可能とされている。これにより、室内機11は、室内のユーザによりリモートコントローラ14に入力された温度設定等の制御指示情報を、図示しない受信部においてリモートコントローラ14から受信することが可能である。これにより、室内機11は、空気調和機10における各種の制御設定を変更することが可能である。なお、室内機11は、有線通信によりリモートコントローラ14と通信してもよい。また、室内機11は、空気調和機10に対して各種の制御指示を設定可能な室内機スイッチ17を内蔵しており、該室内機スイッチ17の設定によっても制御設定を変更することが可能である。また、室内機11は、温度センサである室内温度センサ16を備えており、該室内温度センサ16により室内の温度を測定することが可能である。
また、室内機11は、空調室内設備として必要な通常の機能部の他に、室内の表面温度および室内に存在するユーザの表面温度を非接触で検出する表面温度センサ21と、室内に存在するユーザの室内における位置等を検出する電波センサ22と、表面温度センサ21の情報と電波センサ22の情報とを用いて室内の状態、または室内におけるユーザの位置および状態を判定する室内状態判定部23とを備える。また、室内機11は、室内状態判定部23の情報から室内の状態およびユーザの状態を決定する情報処理部24と、情報処理部24で決定した室内の状態から温度等の空気調和機の制御状態を決定する空調状態制御部25と、空調状態制御部25で決定した空気調和機の制御状態を保存しておく記憶部26とを備える。
表面温度センサ21は、赤外線センサであり、空調状態制御部25から送信される制御信号に従って室内における規定の複数の検出箇所の表面温度を検出する。表面温度センサ21は、空調状態制御部25から設定された規定の周期、または予め表面温度センサ21に設定済みの規定の周期で表面温度を繰り返し検出する。表面温度センサ21は、通常、空気調和機10の駆動時には常時動作している。そして、表面温度センサ21は、1つの検出周期において検出した室内の複数の検出箇所の表面温度の情報を室内状態判定部23に送信する。表面温度センサ21は、複数個が設けられてもよい。なお、表面温度センサ21は赤外線センサに限定されず、非接触で室内の表面温度を検出可能であれば、他のセンサを用いることができる。
電波センサ22は、空調状態制御部25から送信される制御信号に従って室内における規定の多数の検出箇所に送信波を送信し、該送信波の反射波を検出する。すなわち、電波センサ22は、室内に存在する物体に対して送信波であるマイクロ波を送信し、物体から反射される反射波を受信する。室内に物体が存在する場合は、送信波が反射される。そして、物体が移動している場合は、送信波と反射波との間に周波数の差分が生じる。この周波数の差分は、物体の移動速度に応じて変わる。このため、電波センサ22は、室内にユーザが存在する場合は、ユーザの位置およびユーザの活動状況に応じた周波数の差分を検出することが可能である。電波センサ22は、送信波と、検出した反射波との周波数の差分の情報である周波数差分情報を生成して室内状態判定部23に送信する。電波センサ22は、空調状態制御部25から設定された規定の周期、または予め設定済みの規定の周期で動作する。電波センサ22は、複数個が設けられてもよい。
上記の送信波と反射波との周波数の差分は、ユーザの活動状態ごとにそれぞれ固有の値の閾値として設定されることで、ユーザの状態を検出することが可能である。すなわち、この閾値と周波数差分情報とを用いることにより、室内状態判定部23は、室内にユーザが存在しているか不在であるか、ユーザが存在している場合であればユーザが呼吸中であるか無呼吸中であるか、ユーザが呼吸中であればユーザが覚醒中であるか睡眠中か、ユーザが覚醒中であればユーザが在床中であるか離床中であるか、ユーザが睡眠中であればユーザの寝返りなどの体動が多いか少ないか、を検出することが可能である。ユーザの活動状態ごとの閾値を記憶部26に記憶しておくことにより、室内状態判定部23は、電波センサ22から周波数差分情報を取得した際にユーザの状態の判定に利用することができる。
室内状態判定部23は、温度情報と周波数差分情報とを用いて、室内にユーザが存在しているか不在であるかの存在判定を行う。室内状態判定部23は、温度情報および周波数差分情報のうちどちらか一方の情報を用いて存在判定を行ってもよく、温度情報および周波数差分情報の両方の情報を用いて存在判定を行ってもよい。室内状態判定部23に送信された室内の表面温度の情報および周波数差分情報は、その後、情報処理部24を介して記憶部26に送信され、記憶部26に蓄積される。
室内状態判定部23は、表面温度センサ21から受信した複数の検出箇所の表面温度の情報を用いて、室内にユーザが存在する場合にユーザの温度とユーザの周囲の温度との温度差からユーザの存在を検知することができる。すなわち、室内状態判定部23は、1つの検出周期において検出された複数の検出箇所の表面温度において規定の温度差を有する異なる温度が存在する場合に、ユーザの存在を検知することができる。
室内状態判定部23は、電波センサ22から送信される周波数差分情報と規定の閾値とに基づいて、室内におけるユーザの状態を判定する。室内状態判定部23は、室内におけるユーザの状態として、室内における存在、不在、呼吸、無呼吸、覚醒、睡眠、在床、離床、体動が多い、体動が少ない、についての情報を判定する。室内状態判定部23は、判定した室内のユーザの状態の情報を、情報処理部24に送信するとともに記憶させるために記憶部26に送信する。
情報処理部24は、室内状態判定部23から送信された室内のユーザの状態の情報と、規定の閾値とに基づいて、室内のユーザの状態に合わせた空気調和機10の制御設定の条件、すなわち駆動の有無および室内の空調の設定温度を決定し、決定した条件を空調状態制御部25に送信する。
空調状態制御部25は、外気温度センサ15、表面温度センサ21、電波センサ22、室内状態判定部23、情報処理部24および記憶部26の制御を含む、空気調和機10における空調制御全般の制御を行う。また、空調状態制御部25は、情報処理部24から受信する室内のユーザの状態に合わせた空気調和機10の制御設定の条件、すなわち駆動の有無の情報および室内の空調の設定温度の情報に基づいて空調の温度設定を変更し、変更した空調の設定温度に従って空気調和機10における空調制御を実施する。
記憶部26は、空調状態制御部25における空気調和機10の制御情報である空気調和機10の制御における室内の設定温度など、空気調和機10の制御状態に関する各種の情報を記憶する。
通常、室内状態判定部23、情報処理部24、空調状態制御部25および記憶部26は、1つまたは複数のマイクロコンピュータから構成されている。すなわち、空調状態制御部25は、例えば、図3に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図3は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。空調状態制御部25は、例えば、図3に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、記憶部26は、メモリ102により実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。なお、空調状態制御部25の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。また、室内状態判定部23および情報処理部24のうちの1つ以上を、同様にプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、室内状態判定部23および情報処理部24のうちの1つ以上を実現するためのプロセッサおよびメモリは、空調状態制御部25を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。また、記憶部26は、メモリ102により実現される。
つぎに、空気調和機10が、室内にユーザが存在するか、または不在であるかのユーザの存在の有無を判定する存在判定処理について説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における第1の存在判定処理の手順を示すフローチャートである。
室内状態判定部23は、ステップS11において表面温度センサ21から室内の表面温度の情報を受信して取得する。そして、ステップS12において室内状態判定部23は、室内の表面温度の情報に基づいて室内の表面温度の分布を確認して室内の表面温度が均一であるか否かを確認する。
室内状態判定部23は、ステップS13において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、ステップS14において室内状態判定部23は、周波数差分情報に基づいて、送信波と反射波との周波数の差分の分布を確認して室内の送信波と反射波との周波数の差分が均一であるか否かを確認する。
ステップS15において室内状態判定部23は、ステップS12で確認した室内の表面温度と、ステップS14で確認した送信波と検出した反射波との周波数の差分とが、共に室内全体に渡って均一であるか否かを判定する。
室内状態判定部23は、室内の表面温度と、送信波と反射波との周波数の差分と、が共に室内全体に渡って均一でない場合は、すなわちステップS15においてNoの場合は、ステップS16において室内状態判定部23は、室内にユーザが存在すると判定する。なお、室内状態判定部23は、室内の表面温度と、送信波と反射波との周波数の差分と、のうち少なくとも一方が室内全体に渡って均一でない場合に、室内にユーザが存在すると判定することも可能である。
また、室内の表面温度と、送信波と反射波との周波数の差分とが共に室内全体に渡って均一である場合は、すなわちステップS15においてYesの場合は、室内状態判定部23は、ステップS17においてユーザが室内に不在であると判定する。
通常であれば、室内の表面温度が室内全体に渡って均一であれば、ユーザは不在である可能性が高い。しかしながら、例えばユーザが室内で死亡して数日が経過している場合、または温度を遮蔽する断熱材もしくは断熱シートの内部にユーザが存在している場合は、ユーザが室内に存在していても表面温度センサ21で検出する室内の表面温度が均一になる。このため、表面温度センサ21が検出する室内の表面温度の情報のみでは、室内におけるユーザの存在を正確に検出することができない。
一方、電波センサ22が検出する反射波の周波数においては、室内にユーザが存在する場合には、ユーザからの反射波の周波数と、ユーザの周囲からの反射波の周波数と、の間で差分が発生する。このため、電波センサ22の周波数差分情報のみで、室内にユーザが存在することを検出可能である。そして、表面温度センサ21における室内の表面温度の検出結果と、電波センサ22による周波数差分情報とを同時に確認することにより、ユーザが室内に存在することをより確実に判定することが可能となる。また、不具合等の何らかの原因により表面温度センサ21および電波センサ22のどちらか一方の検出感度が低下した場合でも、ユーザが室内に存在することを判定することが可能となる。
上記の構成は、例えば周囲とのコミュニケーションが少ない独居老人が、室内に存在しているか否かの情報、または生存しているか否かという情報を、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)カメラなどのユーザのプライバシーを侵害する可能性のある機器を使用せずに、空気調和機という日常生活での使用頻度が高い機器のみで検出することを可能にする。また、老人ホームまたは寮などの集団生活を営む場所における、室内における住人の存在確認または生存確認に利用することも可能である。
つぎに、他の存在判定処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における第2の存在判定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図5においては、図4のフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を記している。
室内状態判定部23は、ステップS11において表面温度センサ21から室内の表面温度の情報を受信して取得する。そして、ステップS12において室内状態判定部23は、室内の表面温度の情報に基づいて室内の表面温度の分布を確認して室内の表面温度が均一であるか否かを確認する。
つぎに、ステップS21において、室内状態判定部23は、ステップS12で確認した室内の表面温度が室内全体に渡って均一であるか否かを判定する。室内の表面温度が室内全体に渡って均一である場合は、すなわちステップS21においてYesの場合は、ステップS24において室内状態判定部23は、室内にユーザが不在であると判定する。
一方、室内の表面温度が室内全体に渡って均一でない場合は、すなわちステップS21においてNoの場合は、室内状態判定部23は、ステップS13において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、ステップS14において室内状態判定部23は、周波数差分情報に基づいて送信波と反射波との周波数の差分の分布を確認して室内の送信波と反射波との周波数の差分が均一であるか否かを確認する。
つぎに、ステップS22において室内状態判定部23は、ステップS14で確認した送信波と検出した反射波との周波数の差分とが、室内全体に渡って均一であるか否かを判定する。送信波と反射波との周波数の差分が室内全体に渡って均一である場合は、すなわちステップS22においてYesの場合は、ステップS24において室内状態判定部23は、室内にユーザが不在であると判定する。
一方、送信波と反射波との周波数の差分が室内全体に渡って均一でない場合は、すなわちステップS22においてNoの場合は、ステップS23において室内状態判定部23は、ユーザが室内に存在すると判定する。
そして、上述した第2の存在判定処理を行った場合も、表面温度センサ21における室内の表面温度の検出と、電波センサ22による周波数差分情報とを同時に確認することにより、ユーザが室内に存在することをより確実に判定することが可能となる。
図4に示した第1の存在判定処理と図5に示した第2の存在判定処理とは、空調状態制御部25の制御により切り替えることが可能である。空調状態制御部25は、第1の存在判定処理の実行を指示する場合には、第1の存在判定処理の実行を指示する第1存在判定処理指示信号を室内状態判定部23に送信する。また、空調状態制御部25は、第2の存在判定処理を実施する場合には、第2の存在判定処理の実行を指示する第2存在判定処理指示信号を室内状態判定部23に送信する。
室内状態判定部23は、第1の存在判定処理を実行するように設定されている場合において、第2存在判定処理指示信号を受信した場合は、その後は第2の存在判定処理を実施する。また、室内状態判定部23は、第2の存在判定処理を実行するように設定されている場合において、第1存在判定処理指示信号を受信した場合は、その後は第1の存在判定処理を実施する。そして、たとえばユーザの生存まで確認する必要がある場合には、第1の存在判定処理を実行し、ユーザの生存までの確認は不要でありユーザが室内に存在するか否かを判断できればよい場合には第2の存在判定処理を実行する、といったように用途に合わせて切り替えればよい。
また、第1の存在判定処理と第2の存在判定処理との設定は、リモートコントローラ14で設定可能とされてもよく、空気調和機10の据え付け工事の際に室内機スイッチ17で設定可能とされてもよい。いずれの場合においても、記憶部26に内蔵された第1の存在判定処理を実行させるプログラムまたは第2の存在判定処理を実行させるプログラムを室内状態判定部23が実行することにより実現可能である。
室内状態判定部23は、第1の存在判定処理または第2の存在判定処理で、室内にユーザが存在していると判定した場合は、その後、ユーザがどのような状態で室内に存在しているかを判定する。判定する内容は、以下の事項である。(1)ユーザが呼吸をしているか、または無呼吸であるか。(2)ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるか。(3)ユーザが覚醒しているのであればユーザが在床中であるか、または離床中であるか。(4)ユーザが睡眠中であればユーザは体動が多い状態であるか、または体動が少ない状態であるか。
つぎに、空気調和機10が、室内にユーザが存在していると判定した後に、室内に存在するユーザが呼吸をしているか、または無呼吸であるかを判定するユーザの呼吸判定処理について説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの呼吸判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、ステップS31において存在判定処理として図4に示した第1の存在判定処理または図5に示した第2の存在判定処理を実行して、ステップS32においてユーザが室内に存在していると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS33において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、ステップS34において室内状態判定部23は、第1閾値と取得した周波数差分情報とを比較して、室内における周波数差分が第1閾値以上であるか否かをステップS35において判定する。なお、ステップS33における周波数差分情報の代わりに、ステップS31の存在判定処理において取得した周波数差分情報を用いることも可能である。
第1閾値は、室内に存在しているユーザが呼吸している場合における、ユーザに送信された送信波とその反射波との周波数の差分の代表的な数値であり、ユーザが呼吸しているか、または無呼吸であるかを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第1閾値を読み出して使用する。なお、第1閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
取得した室内における周波数差分が第1閾値以上である場合には、すなわちステップS35においてYesの場合は、室内状態判定部23は、ステップS36においてユーザが呼吸中であると判定する。一方、取得した室内における周波数差分が第1閾値未満である場合には、すなわちステップS35においてNoの場合は、室内状態判定部23は、ステップS37においてユーザが無呼吸であると判定する。
ユーザが呼吸している場合には、ユーザには微少な体動があるため、電波センサ22で検出される周波数差分に変化が現れる。この変化した周波数差分の値をユーザの呼吸時の閾値として予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と取得した周波数差分情報とを比較することによって、ユーザが呼吸中であるか、または無呼吸であるかを判定することが可能となる。したがって、取得した周波数差分が第1閾値以上である場合にはユーザが呼吸中であると判定され、取得した周波数差分が第1閾値未満である場合には、ユーザは無呼吸状態と判定される。
つぎに、空気調和機10が、ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるかを判定するユーザの睡眠判定処理について説明する。室内状態判定部23は、ユーザの呼吸判定処理でユーザが呼吸中であると判定した場合は、その後、ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるかを判定する。図7は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの睡眠判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、存在判定処理を実行してユーザが室内に存在していると判定した後、ステップS41において図6に示したユーザの呼吸判定処理を実行し、ステップS42においてユーザが呼吸中であると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS43において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS44において第2閾値と取得した周波数差分情報とを比較して、ステップS45において室内における周波数差分が第2閾値以上であるか否かを判定する。なお、ステップS43における周波数差分情報の代わりに、存在判定処理から呼吸判定処理までにおいて取得した周波数差分情報を用いることも可能である。
第2閾値は、室内に存在しているユーザが覚醒中である場合における、ユーザに送信された送信波とその反射波との周波数の差分の代表的な数値であり、ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるかを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第2閾値を読み出して使用する。なお、周波数差分の第2閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
取得した周波数差分が第2閾値以上である場合には、すなわちステップS45においてYesの場合は、室内状態判定部23は、ステップS46においてユーザが覚醒中であると判定する。一方、取得した室内における周波数差分が第2閾値未満である場合には、すなわちステップS45においてNoの場合は、室内状態判定部23は、ステップS47においてユーザが睡眠中であると判定する。
ユーザが覚醒している場合には、体の向きを変える、起き上がるなど、睡眠時と比較して体動が増えるため、電波センサ22で検出される周波数差分に変化が現れる。この変化した周波数差分の値をユーザが覚醒時の閾値として予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と取得した周波数差分情報とを比較することによって、ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるかを判定することが可能となる。したがって、取得した周波数差分が第2閾値以上である場合にはユーザが覚醒中であると判定され、取得した周波数差分が第2閾値未満である場合には、ユーザは睡眠中であると判定される。
また、覚醒時であれば睡眠時と比較して体の向きを変える、起き上がるなどの行動が増える。そして、これらの体動ごとに、変化した周波数差分の値はそれぞれ異なる。このため、取得した周波数差分と閾値との比較として、各体動に対応した異なる複数の周波数差分の閾値を第2閾値として記憶部26に記憶させて、取得した周波数差分と各閾値との比較を行って判定を行ってもよい。
つぎに、空気調和機10が、ユーザが在床中であるか、または離床中であるかを判定するユーザの在床判定処理について説明する。室内状態判定部23は、ユーザの睡眠判定処理で、ユーザが覚醒中であると判定した場合は、その後、ユーザが在床中であるか、または離床中であるかを判定する。図8は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの在床判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、上述した存在判定処理、ユーザの呼吸判定処理を実施した後、ステップS51において図7に示したユーザの睡眠判定処理を実行して、ステップS52においてユーザが覚醒中であると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS53において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS54において第3閾値と取得した周波数差分情報とを比較して、ステップS55において室内における周波数差分が第3閾値以上であるか否かを判定する。なお、ステップS53における周波数差分情報の代わりに、存在判定処理から睡眠判定処理までにおいて取得した周波数差分情報を用いることも可能である。
第3閾値は、室内に存在しているユーザが在床中である場合における、ユーザに送信された送信波とその反射波との周波数の差分の代表的な数値であり、ユーザが在床中であるか、または離床中であるかを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第3閾値を読み出して使用する。なお、周波数差分の第3閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
取得した周波数差分が第3閾値以上である場合には、すなわちステップS55においてYesの場合は、室内状態判定部23は、ステップS56においてユーザが離床中であると判定する。一方、取得した周波数差分が第3閾値未満である場合には、すなわちステップS55においてNoの場合は、室内状態判定部23は、ステップS57においてユーザが在床中であると判定する。
ユーザが離床している場合には、室内を歩く、椅子に座る、食事をするなど、在床時と比較して体動が増えるため、電波センサ22で検出される周波数差分に変化が現れる。この変化した周波数差分の値をユーザが在床時の閾値として予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と取得した周波数差分情報とを比較することによって、ユーザが在床中であるか、または離床中であるかを判定することが可能となる。したがって、取得した周波数差分が第3閾値以上である場合にはユーザが離床中であると判定され、取得した周波数差分が第3閾値未満である場合には、ユーザは在床中であると判定される。
また、離床時であれば在床時と比較して、室内を歩く、椅子に座る、食事をするなどの行動が増える。これらの体動ごとに、変化した周波数差分の値はそれぞれ異なる。このため、取得した周波数差分と閾値との比較として、各体動に対応した異なる複数の周波数差分の閾値を第3閾値として記憶部26に記憶させて、取得した周波数差分と各閾値との比較を行って判定を行ってもよい。
つぎに、空気調和機10が、睡眠中のユーザの体動が多いか、または体動が少ないかを判定するユーザの体動判定処理について説明する。室内状態判定部23は、ユーザの在床判定処理で、ユーザが在床中であると判定した場合は、その後、ユーザの体動が多いか、または体動が少ないかを判定する。図9は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの体動判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、上述した存在判定処理、ユーザの呼吸判定処理を実施した後、ステップS61において図7に示したユーザの睡眠判定処理を実行して、ステップS62においてユーザが睡眠中であると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS63において電波センサ22から周波数差分情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS64において第4閾値と取得した周波数差分情報とを比較して、ステップS65において室内における周波数差分が周波数差分の第4閾値以上であるか否かを判定する。
第4閾値は、室内に存在しているユーザが睡眠中である場合における、ユーザに送信された送信波とその反射波との周波数の差分の代表的な数値であり、ユーザの体動が多いか、またはユーザの体動が少ないかを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある周波数差分の第4閾値を読み出して使用する。なお、周波数差分の第4閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
取得した周波数差分が第4閾値以上である場合には、すなわちステップS65においてYesの場合は、室内状態判定部23は、ステップS66においてユーザの体動が多いと判定する。一方、取得した現在の周波数差分が第4閾値未満である場合には、すなわちステップS65においてNoの場合は、室内状態判定部23は、ステップS67においてユーザの体動が少ないと判定する。なお、ステップS63における周波数差分情報の代わりに、存在判定処理から睡眠判定処理までにおいて取得した周波数差分情報を用いることも可能である。
ユーザの体動が多いとは、寝返りを打ったり、起きてはいないものの動くなど、ユーザの動く回数が規定の基準値より多いことである。ユーザの体動が少ないとは、ユーザの動く回数が規定の基準値より少ないことである。ユーザの体動がある場合には、体動により電波センサ22で検出される周波数差分に変化が現れる。この変化した周波数差分をユーザの体動が多い場合の閾値として予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と取得した周波数差分とを比較することによって、ユーザの体動が多いか、または体動が少ないかを判定することが可能となる。したがって、取得した周波数差分が第4閾値以上である場合にはユーザの体動が多いと判定され、現在の周波数差分が第4閾値未満である場合には、ユーザの体動が少ないと判定される。
睡眠時におけるユーザの体動が多い状態は、ユーザの眠りが浅い場合が考えられるが、ユーザの周囲温度が高いためユーザが暑く感じている可能性がある。すなわちユーザの睡眠状態が快適な睡眠状態ではない、と考えることができる。逆に、睡眠時におけるユーザの体動が少ない状態は、ユーザの眠りが深い場合が考えられるが、ユーザの周囲温度が適切な温度であり、ユーザの睡眠状態が快適な睡眠状態であると考えることができる。したがって、規定の基準値は、ユーザの睡眠状態が快適な睡眠状態であるか否かを判定する基準値である。
また、ユーザの体動が多い場合は、寝返りを打ったり、起きてはいないものの動いたりするなどの行動が増える。これらの体動ごとに、変化した周波数差分の値はそれぞれ異なる。このため、取得した周波数差分と閾値との比較として、各体動に対応した異なる複数の周波数差分の閾値を第4閾値として記憶部26に記憶させて、取得した周波数差分と各閾値との比較を行って判定を行ってもよい。
室内状態判定部23が上述した処理を行うことにより、室内のユーザの状態、すなわちユーザの存在または不在、呼吸中または無呼吸、覚醒中または睡眠中、在床または離床、体動が多い状態または体動が少ない状態、を判定した後、判定した結果情報を元に情報処理部24でユーザの状態に合わせた空気調和機10の制御設定を決定する。
つぎに、空気調和機10における室内にユーザが不在時の空調制御の温度設定処理について説明する。図10は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの不在時の第1の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、ステップS71において存在判定処理として図4に示した第1の存在判定処理または図5に示した第2の存在判定処理を実行して、ステップS72において室内にユーザが不在であると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS73において外気温度センサ15から室外の外気温度の情報を受信して取得する。また、室内状態判定部23は、ステップS74において室内温度センサ16から室内の表面温度の情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS75において室内の室内温度と室外の外気温度との温度差の絶対値と、第5閾値とを比較して、室内温度と外気温度との温度差の絶対値が第5閾値より大であるか否かをステップS76において判定する。なお、ステップS74における室内の表面温度の情報の代わりに、存在判定処理において取得した室内の表面温度の情報を用いることも可能である。
温度差の第5閾値は、室内にユーザが不在時の室外と室内との温度差が過剰な状態にあるか否かを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第5閾値を読み出して使用する。なお、第5閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
ユーザが室内に存在しない場合は、室内を必要以上に過度に空調する必要はない。すなわち、ユーザが室内に存在しない場合は、室内を必要以上に冷却または暖める必要はない。これは外気温度と室内温度とに必要以上に過度に差をつけないことに等しい。そこで外気温度と室内温度との温度差が過剰である状態の閾値を予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と、外気温度と室内温度との温度差の絶対値とを比較することによって、外気温度と室内温度との温度差が過剰である状態であるか否かの判定が可能となる。したがって、外気温度と室内温度との温度差の絶対値が第5閾値より大である場合には外気温度と室内温度との温度差が過剰である状態であると判定され、外気温度と室内温度との温度差の絶対値が第5閾値以下である場合には、外気温度と室内温度との温度差が過剰ではないと判定される。
外気温度と室内温度との温度差の絶対値が温度差の第5閾値以下である場合は、すなわちステップS76においてNoの場合は、一連の空調制御の温度設定処理を終了する。
一方、外気温度と室内温度との温度差の絶対値が第5閾値より大である場合は、すなわちステップS76においてYesの場合は、ステップS77において室内状態判定部23は、外気温度と室内温度との温度差が大きい旨の温度差過度情報を情報処理部24に送信する。そして、情報処理部24は、温度差過度情報を受信すると、該温度差過度情報と現在の空調の設定温度とに基づいて、外気温度と室内温度との温度差を小さくする、すなわち室内温度を外気温度に近づける室内の空調の設定温度を決定する。情報処理部24は、現在の空調の設定温度を記憶部26から取得して使用する。
上記のように情報処理部24でユーザの状態に合わせた空気調和機の空調制御の温度設定が決定された後、情報処理部24は、決定した空調の設定温度の情報を空調状態制御部25に送信する。空調状態制御部25は、受信した空調の設定温度の情報に基づいて記憶部26における空調制御の温度設定を変更し、変更した設定温度に従って室外機12の圧縮機の制御を行って空気調和機10における空調制御を実施する。記憶部26における温度設定の変更周期は予め記憶部26に記憶されている。
ユーザが室内に存在しない場合は、室内を過度に空調する必要はないため、室内の空調温度の設定を外気温度と室内温度との温度差を小さくする温度に変更する制御を行うことにより、省エネルギーが実現できる。
つぎに、空気調和機10における室内にユーザが不在時の他の空調制御の温度設定処理について説明する。図11は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10におけるユーザの不在時の第2の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、ステップS81において存在判定処理として図4に示した第1の存在判定処理または図5に示した第2の存在判定処理を実行して、ステップS82において室内にユーザが不在であると判定する。室内状態判定部23は、ステップS82において室内にユーザが不在であると判定した後、ステップS83において空調の運転を終了させる制御情報の決定を行い、空調の運転の終了を指示する制御情報である空調終了指示情報を情報処理部24に送信する。情報処理部24は、空調終了指示情報を受信すると、該空調終了指示情報を空調状態制御部25に送信する。空調状態制御部25は、受信した空調終了指示情報に基づいて、温度の設定の変更ではなく、室内の空調を終了させる制御を行う。
ユーザが室内に存在しない場合は、室内を空調する必要はないため、室内の空調を終了させる制御を行うことにより、より有効な省エネルギーが実現できる。
図10に示した第1の温度設定処理と図11に示した第2の温度設定処理とは、空調状態制御部25の制御により切り替えることが可能である。空調状態制御部25は、第1の温度設定処理の実行を指示する場合には、第1の温度設定処理の実行を指示する第1の温度設定処理指示信号を室内状態判定部23に送信する。また、空調状態制御部25は、第2の温度設定処理を実施する場合には、第2の温度設定処理の実行を指示する第2の温度設定指示信号を室内状態判定部23に送信する。
室内状態判定部23は、第1の温度設定処理を実行するように設定されている場合において、第2の温度設定処理指示信号を受信した場合は、その後は第2の温度設定処理を実施する。また、室内状態判定部23は、第2の温度設定処理を実行するように設定されている場合において、第1の温度設定処理指示信号を受信した場合は、その後は第1の温度設定処理を実施する。
つぎに、空気調和機10における室内でユーザが在床している場合の空調制御の温度設定処理について説明する。図12は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における室内でユーザが在床している場合の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、上述した存在判定処理、ユーザの呼吸判定処理、ユーザの睡眠判定処理を実施した後、ステップS91において在床判定処理として図8に示した在床判定処理を実行して、ステップS92において室内でユーザが在床中であると判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS93において表面温度センサ21から室内の表面温度の情報を受信し、その中からユーザの表面温度の情報を取得する。つぎに、室内状態判定部23は、ステップS94において室内温度センサ16から室内温度の情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS95において、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値と、第6閾値とを比較して、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値より大であるか否かをステップS96において判定する。なお、ステップS93における室内の表面温度の情報の代わりに、存在判定処理において取得した室内の表面温度の情報を用いることも可能である。
温度差の第6閾値は、ユーザが室内で在床中である場合のユーザの表面温度と室内温度との温度差が過剰な状態にあるか否かを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第6閾値を読み出して使用する。なお、第6閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
ユーザが在床中の場合は、ユーザは覚醒しているが非活動的な場合に相当する。そこでユーザの表面温度を著しく変化させないように、ユーザの表面温度を著しく変化させる可能性のある状態のユーザの表面温度と室内温度との温度差の閾値を予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値とを比較することによって、ユーザの表面温度を著しく変化させる可能性のある状態であるか否かの判定が可能となる。
したがって、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値より大である場合には、ユーザの表面温度を著しく変化させる可能性のある状態、すなわち、ユーザの表面温度と室内温度との温度差が過剰な状態であると判定され、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値以下である場合には、ユーザの表面温度を著しく変化させる可能性のない状態、すなわちユーザの表面温度と室内温度との温度差が過剰な状態ではないと判定される。
ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値以下である場合は、すなわちステップS96においてNoの場合は、一連の空調制御の温度設定処理を終了する。
一方、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値より大である場合は、すなわちステップS96においてYesの場合は、ステップS97において室内状態判定部23は、ユーザの表面温度と室内温度との温度差が大きい旨の温度差過度情報を情報処理部24に送信する。そして、情報処理部24は、温度差過度情報を受信すると、該温度差過度情報と現在の空調の設定温度とに基づいて、ユーザの表面温度と室内温度との温度差を小さくするように室内の空調の設定温度を決定する。情報処理部24は、現在の空調の設定温度を記憶部26から取得して使用する。例えば、ユーザの表面温度が24℃、室内温度が30℃であり、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第6閾値よりも大きい場合は、ユーザの表面温度と室内温度との温度差を小さくするように空気調和機10における空調の設定温度を下げる。
上記のように情報処理部24でユーザの状態に合わせた空気調和機10の空調制御の温度設定が決定された後、情報処理部24は、決定した空調の設定温度の情報を空調状態制御部25に送信する。空調状態制御部25は、受信した空調の設定温度の情報に基づいて記憶部26における空調制御の温度設定を変更し、変更した設定温度に従って室外機12の圧縮機の制御を行って空気調和機10における空調制御を実施する。記憶部26における温度設定の変更周期は予め記憶部26に記憶されている。
このような制御を行うことにより、在床中のユーザの身体に優しい、ユーザが快適な空調制御を行うことが可能である。
つぎに、空気調和機10における室内でユーザが離床している場合の空調制御の温度設定処理について説明する。図13は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における室内でユーザが離床している場合の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、ステップS101において在床判定処理として図8に示した在床判定処理を実行して、ステップS102において室内でユーザが離床中であると判定する。ステップS102において室内でユーザが離床中であると判定した場合にはユーザが活動中であると判断でき、空調制御の温度設定を変更する必要がないため、室内状態判定部23は、一連の空調の制御処理を終了する。この場合、空調制御の温度設定は、リモートコントローラ14から図示しない受信部を介して情報処理部24に入力された温度の状態とされ、空調制御の温度設定を変更する制御は行われない。したがって、情報処理部24において新たな設定温度の決定は行われない。
このような制御を行うことにより、空調の不要な温度調整を無くすことができ、離床中のユーザの身体に優しい、ユーザが快適な空調制御を行うことが可能である。
つぎに、空気調和機10における室内でユーザが睡眠中で且つ体動が少ない場合の空調制御の温度設定処理について説明する。図14は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における室内でユーザが睡眠中で且つ体動が少ない場合の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、上述した存在判定処理、ユーザの呼吸判定処理、ユーザの睡眠判定処理、在床判定処理を実施した後、ステップS111において快適睡眠判定処理として図9に示した快適睡眠判定処理を実行して、ステップS112においてユーザの体動が少ないと判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS113において表面温度センサ21から室内の表面温度の情報を受信し、その中からユーザの表面温度の情報を取得する。つぎに、室内状態判定部23は、ステップS114において室内温度センサ16から室内温度の情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS115において、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値と、第7閾値とを比較して、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第7閾値より大であるか否かをステップS116において判定する。なお、ステップS113における室内の表面温度の情報の代わりに、存在判定処理において取得した室内の表面温度の情報を用いることも可能である。
温度差の第7閾値は、ユーザが睡眠中でかつ体動が少ない場合に、ユーザが寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中であるか否かを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある第7閾値を読み出して使用する。なお、温度差の第7閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
ユーザの体動が少ないことは、ユーザは寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中であることに相当する。そこで、ユーザの体動が少ない場合には、ユーザが寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中である状態のユーザの表面温度と室内温度との温度差の閾値を予め設定して記憶しておく。そして、この閾値と、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値とを比較することによって、ユーザが寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中であるか否かの判定が可能となる。
したがって、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第7閾値より大である場合には、ユーザが寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中ではない状態、すなわちユーザの表面温度を著しく変化させる可能性のある状態であると判定され、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第7閾値以下である場合には、ユーザが寝返りを打つことが少なく快適に睡眠中である状態と判定される。
ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第7閾値以下である場合は、すなわちステップS116においてNoの場合は、一連の空調制御の温度設定処理を終了する。
一方、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第7閾値より大である場合は、すなわちステップS116においてYesの場合は、ステップS117において室内状態判定部23は、温度維持情報を情報処理部24に送信する。そして、情報処理部24は、温度維持情報を受信すると、該温度維持情報と現在の空調の設定温度とに基づいて、ユーザの表面温度を著しく変化させないように、空調の設定温度を決定する。すなわち、情報処理部24は、ユーザの表面温度を上げずに維持するように、空調の設定温度を現在の設定温度に決定する。情報処理部24は、現在の空調の設定温度を記憶部26から取得して使用する。なお、ユーザを快適に睡眠状態に導くために、設定温度を現在の空調の設定温度よりも低い設定温度にすることも可能である。
上記のように情報処理部24でユーザの状態に合わせた空気調和機10の空調制御の温度設定が決定された後、情報処理部24は、決定した空調の設定温度の情報を空調状態制御部25に送信する。空調状態制御部25は、受信した空調の設定温度の情報に基づいて記憶部26における空調制御の温度設定を変更し、変更した設定温度に従って室外機12の圧縮機の制御を行って空気調和機10における空調制御を実施する。記憶部26における温度設定の変更周期は予め記憶部26に記憶されている。
このような制御を行うことにより、睡眠中のユーザの身体に優しい、ユーザが快適に睡眠できる空調制御を行うことが可能である。
つぎに、空気調和機10における、室内でユーザが睡眠中で且つ体動が多い場合の空調制御の温度設定処理について説明する。図15は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和機10における、室内でユーザが睡眠中で且つ体動が多い場合の空調制御の温度設定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、室内状態判定部23は、上述した存在判定処理、ユーザの呼吸判定処理、ユーザの睡眠判定処理、在床判定処理を実施した後、ステップS121において快適睡眠判定処理として図9に示した快適睡眠判定処理を実行して、ステップS122においてユーザの体動が多いと判定する。
つぎに、室内状態判定部23は、ステップS123において表面温度センサ21から室内の表面温度の情報を受信し、その中からユーザの表面温度の情報を取得する。つぎに、室内状態判定部23は、ステップS124において室内温度センサ16から室内温度の情報を受信して取得する。そして、室内状態判定部23は、ステップS125において、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値と、第8閾値とを比較して、現在のユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が温度差の第8閾値より大であるか否かをステップS126において判定する。なお、ステップS123における室内の表面温度の情報の代わりに、存在判定処理において取得した室内の表面温度の情報を用いることも可能である。
温度差の第8閾値は、ユーザが睡眠中で且つユーザの体動が多い場合に、ユーザが寝返りを打つことが多く、非快適な睡眠中であるか否かを判定するための基準値である。室内状態判定部23は、記憶部26に予め記憶してある温度差の第8閾値を読み出して使用する。なお、温度差の第8閾値は、室内状態判定部23が内部に備える記憶部に記憶されていてもよい。
ユーザが睡眠中で且つ体動が多いことは、寝返りを打つことが多く、非快適な睡眠中であることに相当する。つまり暑くて寝苦しい場合に相当すると考えられる。すなわち、睡眠時におけるユーザの体動が多い状態は、ユーザの眠りが浅い場合が考えられるが、ユーザの周囲温度が高いためユーザが暑く感じている可能性がある。すなわち、ユーザの睡眠状態が非快適な睡眠状態である、と考えることができる。すなわち、非快適な睡眠時においては、ユーザの体動がより多くなる。そこで、ユーザの体動が多い場合には、ユーザが非快適な睡眠状態にあると考えられるユーザの表面温度と室内温度との温度差の閾値を予め設定して記憶しておく。そして、この閾値とユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値とを比較することによって、ユーザが非快適な睡眠状態にあるか否かの判定が可能となる。
したがって、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第8閾値より大である場合には、ユーザの睡眠状態が非快適な睡眠状態であると判定され、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第8閾値以下である場合には、ユーザの睡眠状態が非快適な睡眠状態ではないと判定される。
ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第8閾値以下である場合は、すなわちステップS126においてNoの場合は、一連の空調の制御処理を終了する。
一方、ユーザの表面温度と室内温度との温度差の絶対値が第8閾値より大である場合は、すなわちステップS126においてYesの場合は、ステップS127において室内状態判定部23は、温度差過度情報を情報処理部24に送信する。そして、情報処理部24は、温度差過度情報を受信すると、該温度差過度情報と現在の空調の設定温度とに基づいて、ユーザの表面温度が下がるように空調の設定温度を決定する。すなわち、情報処理部24は、現在の空調の設定温度よりも低い空調の設定温度を決定する。情報処理部24は、現在の空調の設定温度を記憶部26から取得して使用する。
上記のように情報処理部24でユーザの状態に合わせた空気調和機10の空調制御の温度設定が決定された後、情報処理部24は、決定した空調の設定温度の情報を空調状態制御部25に送信する。空調状態制御部25は、受信した空調の設定温度の情報に基づいて記憶部26における空調制御の温度設定を変更し、変更した設定温度に従って室外機12の圧縮機の制御を行って空気調和機10における空調制御を実施する。記憶部26における温度設定の変更周期は予め記憶部26に記憶されている。
このような制御を行うことにより、睡眠中のユーザの体動を減らして、ユーザが快適に睡眠できる空調制御を行うことが可能である。
以上のように、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、室内のユーザの存在または不在を図4または図5に示したフローで確認する。室内にユーザが存在する場合には、空気調和機10は、ユーザの状態を図6から図9に示したフローで判定することができる。空気調和機10が判定可能なユーザの状態は、以下の事項である。(1)ユーザが呼吸をしているか、または無呼吸であるか。(2)ユーザが覚醒中であるか、または睡眠中であるか。(3)ユーザが覚醒しているのであればユーザが在床中であるか、または離床中であるか。(4)ユーザが睡眠中であればユーザは体動が多い状態であるか、または体動が少ない状態であるか。そして、空気調和機10は、ユーザの状態の判定結果に基づいて、図10から図15に示したフローで空気調和機10の温度設定を変更することが可能である。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、表面温度センサ21で検出された室内の表面温度の情報と、電波センサ22で検出された周波数差分情報との両方を確認することにより、ユーザが室内に存在することをより確実に判定することができ、信頼性が向上する。また、表面温度センサ21および電波センサ22のどちらか一方の検出感度が低下した場合でも、ユーザが室内に存在することを判定することが可能となる。
また、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、ユーザの状態に合わせた快適な空調制御の設定を提供できる。また、空気調和機10は、図6から図9に示したユーザの状態を判定するフロー、および図10から図15に示した空気調和機10の温度設定のフローのうちの一部を必要に応じて省略することで、空気調和機10の制御処理を簡素化することも可能である。
なお、特許文献1の技術と特許文献2の技術とを単に組み合わせても、赤外線センサからの出力とドップラーセンサからの出力とを単独で使用することになる。これに対して、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、表面温度センサ21と電波センサ22との両方のセンサの出力を利用してユーザの状態を検出することができる。これにより、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、より確実にユーザの状態を判定することができ、信頼性の高い判定が可能である。また、空気調和機10は、室内におけるユーザの有無だけではなく、ユーザが呼吸しているか、ユーザが睡眠中であるかなどのユーザの詳細な状態の情報を利用して空調制御が可能である。これにより、本実施の形態1にかかる空気調和機10は、ユーザにとって快適な空調制御を自動で行うことが可能である。
したがって、本発明にかかる本実施の形態1にかかる空気調和機10は、ユーザの状態を確実に検出でき、ユーザの状態に合わせたユーザにとって快適な空調制御が可能である。
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、室内のユーザの状態に合わせて室内機11の温度設定を変更する場合について説明したが、実施の形態2では空気調和機により空調が行われている室内の環境情報であるユーザの状態および温度設定を外部のユーザに提供可能な空気調和機システムについて説明する。
図16は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムの主な機能構成を示すブロック図である。図17は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和機30の主な機能構成を示すブロック図である。図17においては、図2に示す空気調和機10と同じ構成については、図2と同じ符号を記している。
実施の形態2にかかる空気調和システムは、空気調和機30、外部サーバ40および外部情報端末50により構成されている。
本実施の形態2にかかる空気調和機30が実施の形態1にかかる空気調和機10と異なる点は、通信部31を有することである。空気調和機30は、通信部31を有することにより外部サーバ40との通信が可能とされている。通信部31は、室内の環境情報、例えば室内のユーザの状態の情報である、室内における存在、不在、呼吸、無呼吸、覚醒、睡眠、在床、離床、体動が多い、体動が少ない、についての情報、および空気調和機30の設定を、インターネットなどのネットワーク技術を用いて外部サーバ40を経由して、外部情報端末50に送信する機能を有する。通信部31は、空調状態制御部25により制御される。
通信部31は、1つまたは複数のマイクロコンピュータから構成されている。すなわち、通信部31は、例えば、図3に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。通信部31は、例えば、図3に示すプロセッサ101がメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して通信部31の機能を実現してもよい。なお、通信部31の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。通信部31を実現するためのプロセッサおよびメモリは、室内状態判定部23、情報処理部24および空調状態制御部25のうちの1つ以上を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
外部サーバ40は、空気調和機30および外部情報端末50と通信可能とされている。外部サーバ40は、空気調和機30および外部情報端末50と通信可能な通信部を有するサーバであれば特に限定されない。
外部情報端末50は、外部サーバ40と通信可能とされており、外部サーバ40を介して空気調和機30と通信可能とされている。外部情報端末50は、外部サーバ40と通信可能な通信部を有するサーバであれば特に限定されない。
つぎに、通信部31の作用について説明する。実施の形態1において説明した処理では、室内のユーザの各種の情報、すなわち室内における存在、不在、呼吸、無呼吸、覚醒、睡眠、在床、離床、体動が多い、体動が少ない、についての情報を、CCDカメラ等の撮影機器によりユーザの姿を撮影することなく取得可能であるため、プライバシーの侵害に配慮されている。通信部31を通じてこれらの情報を外部情報端末50に送信することで、外部情報端末50を有する他のユーザが、空気調和機30が設置されている室内のユーザの情報を確認することが可能である。
これにより、実施の形態2にかかる空気調和システムは、独居老人などの周囲とのコミュニケーションが少ない人の生存状況および生活状況を、空気調和機という日常生活での使用頻度が高い機器のみで検出することができる。また、実施の形態2にかかる空気調和システムは、老人ホームまたは寮などの集団生活を営む場所における住人の存在確認または生存確認にも利用可能である。したがって、実施の形態2にかかる空気調和システムを用いることにより、空気調和機によるユーザの見守りシステムを構築することが可能となる。そして、外部の別のサービスと連動することで、ユーザが呼吸していない場合は他のユーザが早急に駆けつける、などの救急対応も可能となる。
以上のように、実施の形態2にかかる空気調和システムは、ユーザのプライバシーを侵害するおそれのある機器を使用せずに室内のユーザの状態およびこれに合わせた空気調和機30の制御状態を、通信部31から外部サーバ40を通じて外部情報端末50に送信することができる。これにより、空気調和機30を使用しているが呼吸をしているかどうかなどのユーザの詳細な状況および空気調和機30の制御状態をプライバシーの侵害無く外部のユーザに提供することができ、ユーザが生存しているかなどの安全に係わる情報を外部のユーザが取得することが可能となる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、室内機と、室内機に接続された室外機と、空気調和機に対する制御指示命令を室内機に送信するリモートコントローラと、を備える空気調和機である。室内機は、空調対象空間である室内の表面温度を検出する表面温度センサと、室内に送信波の電波を送信し物体で反射された反射波の電波を検出して送信波と反射波との周波数の差分を検出する電波センサと、表面温度センサにおける検出結果に基づいた室内の表面温度の分布の均一性と、電波センサにおける検出結果に基づいた室内における送信波と反射波との周波数の差分の分布の均一性との両方に基づいて室内にユーザが存在するか否かを判定し、さらに電波センサにおける検出結果に基づいて室内におけるユーザの状態を判定する室内状態判定部と、を備える。また、室内機は、室内状態判定部における室内のユーザの状態の判定結果に基づいて室内のユーザの状態に合わせた空気調和機の制御設定の条件を決定する情報処理部と、情報処理部で決定した空気調和機の制御設定の条件に基づいて空気調和機を制御する空調状態制御部と、を備える。