JPWO2013132864A1 - リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト及び電極、並びにリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト及び電極、並びにリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

(イ)75〜50モル%がp−フェニレンジアミンであり、25〜50モル%が下記化学式1で表される化合物である芳香族ジアミン化合物と、下記化学式2で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる芳香族ポリアミド酸を含むバインダー用樹脂組成物と、(ロ)ケイ素原子、スズ原子およびゲルマニウム原子の中から選ばれた少なくとも1種を含む負極活物質と、を含むリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。本発明のペーストは引張弾性率と破断伸度のバランスに優れる。【化1】

Description

この発明は、活物質を含む活物質層を形成してリチウムイオン二次電池の電極を形成するのに用いられる電極合材ペースト及び電極、並びにリチウムイオン二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化が進み、その電源としてエネルギー密度の高い二次電池が望まれている。二次電池とは、正極活物質と負極活物質とが電解質を介して化学反応することにより生じた化学エネルギーを、電気エネルギーとして利用するものである。このような二次電池の中でも、高いエネルギー密度を有するものとして、リチウムイオン二次電池が実用化されている。リチウムイオン二次電池の正極活物質には、リチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が主に用いられており、負極活物質には、炭素材料が主に用いられている。
上記リチウムイオン二次電池、もしくはその他の二次電池において、活物質を集電体に固定するためのバインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVdF」と略す)が多用されている。
近年、リチウムイオン二次電池の負極活物質として、炭素材料の理論容量を大きく超える充放電容量を有する次世代の負極活物質の開発が進められている。特に、ケイ素原子やスズ原子等を用いた負極活物質は、大きな充放電容量を有するため、実用化が期待されている。しかし、ケイ素原子やスズ原子はリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が非常に大きく、充放電サイクルに伴い、膨張、収縮を繰り返す。したがって、これらを負極活物質として用い、従来のPVdFなどをバインダーとして用いた場合、活物質粒子が微粉化したり、バインダーから脱離したりする等して、サイクル劣化が生じやすいという欠点がある。また、短時間に充放電を行うと、急激なイオンの移動により発熱するため、バインダーに耐熱性が求められている。そこで、機械強度と耐熱性に優れるポリイミドをバインダーに用いた電極が提案されている。
例えば特許文献1では、ポリイミドをバインダーとした二次電池用負極材料について提案されているが、炭素質粉末からなる負極活物質の記載があるのみであり、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む負極活物質への適用は示唆されていない。
また特許文献2は、ポリイミドおよびアクリル−シリカハイブリッド樹脂を含む負極バインダーが提案されている。特許文献2によると、ポリイミドとアクリル−シリカハイブリッド樹脂を複合化することで、サイクル数の増加に伴う抵抗の増大を効果的に抑制することができる、としている。しかしながら、この方法では、複合化によりバインダーの機械的強度が過度に低下してしまい、活物質粒子を強固に保持できず、活物質粒子の脱落を十分に抑制できない。
特許文献3及び4では、ケイ素との親和性が高いシロキサン系モノマーを配合したポリイミドバインダーが提案されている。シロキサン骨格をポリイミドに導入することで、活物質に対する結着性が向上し、活物質の微粉化や脱離が抑制されるため、サイクル特性が向上する。しかし、この方法では、ポリイミド分子骨格の柔軟性が高くなり、樹脂の機械的強度、特に弾性率が過度に低下してしまうため、Siが膨張収縮を繰り返した場合に、樹脂が徐々に伸長してしまい、最終的には活物質粒子を強固に保持できず、活物質粒子の脱落を十分に抑制できない、という課題がある。
特許文献5には、ケイ素原子やスズ原子を含む合金からなる活物質に対して、特定の機械特性を有するバインダー樹脂を用いることが提案されている。特許文献5によると、引張弾性率が高いバインダー樹脂を使用した場合、活物質粒子が充放電により膨張収縮した際に、電極活物質層の変形が小さいため、集電体との密着性及び活物質粒子同士の接触状態を良好に保つことができる、としている。また特許文献5によると、引張弾性率と併せて、破断伸度がある程度高い樹脂がバインダーとして望ましいとある。破断伸度が低すぎると、活物質の膨張に耐えられず、電極活物質層の破断、活物質粒子同士の接触状態の悪化や集電体からの剥離が生じやすいためである。
以上をまとめると、ケイ素原子やスズ原子等リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が非常に大きい活物質には、活物質に対する結着性が優れ、且つ引張弾性率と破断伸度のいずれもが高い値を示す樹脂がバインダーとして適している。
特許文献5は、ケイ素原子やスズ原子を含む合金からなる活物質に対して、特定の機械特性を有するバインダー樹脂を用いることが提案されているものの、樹脂の具体的な化学構造についても開示されておらず、また、結着性向上のための具体的提案もない。
特許文献6及び7は、ポリイミドの化学構造を具体的に開示した樹脂バインダーが提案されている。しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献6及び7に記載のポリイミドは、引張弾性率と破断伸度のいずれかが高い値を示すものの、もう一方の物性が不十分であったり、活物質に対する結着性が不十分であった。また特許文献7では、負極活物質として黒鉛や非晶質炭素などの炭素材料について検討はされているものの、次世代の負極活物質であるケイ素原子やスズ原子等を用いた負極活物質についての検討は不十分であった。
他にも特許文献8には、所定のジアミンをジアミン全体の40質量%以下で含有することが望ましいとするポリイミド樹脂が開示されてはいるものの、上述の課題の解決には至っていなかった。
特開平10−312791号公報 特開2011−40326号公報 特開2010−238562号公報 特開2011−86480号公報 国際公開第2010/150513号 国際公開第2011/040308号 特開2011−142068号公報 特開2011−216320号公報
本発明は、引張弾性率と破断伸度のバランスに優れた、リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト及び電極、さらにはこれからなるサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の提供を目的とする。
本発明者らは、種々検討した結果、特定の化学構造からなる樹脂組成物を用いると、活物質に対し結着性に優れ、且つ引張弾性率が大きく、優れた靱性(大きな破断伸度及び破断エネルギー)を有する、新たな電極用バインダー樹脂組成物を得ることを見出して、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の項に関する。
[1](イ)芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる芳香族ポリアミド酸を含むバインダー用樹脂組成物と、(ロ)ケイ素原子、スズ原子およびゲルマニウム原子の中から選ばれた少なくとも1種を含む負極活物質と、を含むリチウムイオン二次電池電極合材ペーストであって、
上記芳香族ジアミン化合物は、その75〜50モル%がp−フェニレンジアミンであり、その25〜50モル%が下記化学式1
Figure 2013132864
Figure 2013132864
(化学式1)
(式中、Aは直結、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基および/またはスルホニル基を表す。nは1〜4の整数である。)で表される化合物であり、
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式2
Figure 2013132864
(化学式2)
(Yは、炭素数6〜27の4価の芳香族基であり、芳香環、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族から選ばれるものである。)で表される化合物であるリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
[2] 上記Xが化学式3
Figure 2013132864
(化学式3)
(式中、Aは直結、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基および/またはスルホニル基を表す。nは1〜4の整数である。)で表される[1]記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
[3] 上記化学式3においてnが1である[2]記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
[4] 上記芳香族ジアミン化合物が、その75〜50モル%がp−フェニレンジアミンであり、その25〜50モル%が下記化学式4で表される化合物である[1]記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
Figure 2013132864
(化学式4)
[5] 上記負極活物質が、リチウムイオン吸蔵および/または挿入時の体積膨張率が110%より大きい[1]記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
[6] [1]ないし[5]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池電極合材ペーストを集電体上に塗布し、加熱処理してイミド化反応することにより得られるリチウムイオン二次電池用電極。
[7] リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えたリチウムイオン二次電池であって、上記負極が、[6]に記載のリチウムイオン二次電池用電極であるリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、引張弾性率と破断伸度のバランスに優れた、リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト及び電極、さらにはこれらからなるサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が提供される。
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
まず実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストに用いられるバインダー用樹脂組成物について説明する。
[バインダー用樹脂組成物]
1.芳香族ジアミン化合物
実施形態に用いられる芳香族ジアミン化合物は(化学式1)で示される単位と、p−フェニレンジアミン単位からなる。
Figure 2013132864
Figure 2013132864
(化学式1)
化学式1中、Aは直結(すなわち芳香環が直接結合する)、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基および/またはスルホニル基から選ばれる2価の基を表す。Aの異なるジアミン単位を共重合しても良い。Aとしては直接結合またはスルホニル基が好ましい。nは1〜4の整数である。nとしては1または2が好ましく、特に1が好ましい。
芳香族ジアミン化合物としては、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンが好ましく、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンが特に好ましい。実施形態に用いられる芳香族ジアミン化合物は、(化学式1)で示す単位が25〜100モル%と、p−フェニレンジアミン単位が75〜0モル%からなる。
(化学式1)で示す単位が多いほど、バインダー樹脂組成物の破断伸度がよくなる傾向にある。破断伸度が要求される用途においては、(化学式1)で示す単位が好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%、p−フェニレンジアミン単位が50〜0モル%、特に好ましくは30〜0モル%で用いると良い。p−フェニレンジアミン単位が多いほど、バインダー樹脂組成物の引張弾性率がよくなる傾向にある。引張弾性率が要求される用途においては、(化学式1)で示す単位が好ましくは25〜80モル%、特に好ましくは25〜50モル%、p−フェニレンジアミン単位が75〜20モル%、特に好ましくは75〜50モル%で用いると良い。
2.芳香族テトラカルボン酸二無水物
実施形態に用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物は、(化学式2)で示される。
Figure 2013132864
(化学式2)
化学式2におけるYは、炭素数6〜27の4価の芳香族基であり、芳香環、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基から選ばれる。特に芳香環が直接結合により相互に連結された非縮合多環式芳香族基が好ましい。
実施形態に用いられる芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、メロファン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、などが含まれ、好ましくはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、中でも、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
3.芳香族ポリアミド酸
実施形態に用いられる芳香族ポリアミド酸は、前述した芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸二無水物を縮合する事により得る事が出来る。
一般式(1)で表されるポリアミド酸は、
Figure 2013132864
(1)
例えば下記一般式(2)で表されるジアミンと、
Figure 2013132864
(2)
下記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物と
Figure 2013132864
(3)
を反応させて得られる。
この際、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの仕込み比を、M1:M2=0.90〜1.10:1.00(M1:テトラカルボン酸二無水物のモル数、M2:ジアミンのモル数)を満たすようにすることが好ましい。M1:M2は、0.92〜1.08:1.00であることがより好ましく、0.95〜1.05:1.00であることがさらに好ましい。芳香族ポリアミド酸の重量平均分子量は、1.0×10〜5.0×10であることが好ましい。重量平均分子量が1.0×10未満であると、バインダー樹脂組成物を硬化して得られる層の機械強度が低下することがあり、重量平均分子量が5.0×10を超えると塗工が困難となる。ポリイミドまたはその前駆体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定され得る。
また、上記芳香族ポリアミド酸は、アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシグリシドキシシランなどのシランカップリング剤、トリアジン系化合物、フェナントロリン系化合物、トリアゾール系化合物などを、芳香族ポリアミド酸の総量100質量部に対して0.1〜20質量部含有してもよい。これらを含有することにより、活物質や集電体との接着性をさらに高めることができる。上記シランカップリング剤の中で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
[リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト]
実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストは、前述したバインダー用樹脂組成物と負極活物質とを含んでなる。実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストはリチウムイオン二次電池用電極バインダー樹脂組成物もしくはこれを含むワニスに、導電助剤、活物質、溶剤等を添加し、撹拌ないし混錬して製造し得る。各原料の混合方法としては、以下の2つの方法が挙げられるが、これに限定されない。
i)リチウムイオン二次電池用電極バインダー樹脂組成物を含むワニスに、導電助剤を添加して混練する。得られた混練物に、活物質および溶媒を加えて電極合材ペーストとする。
ii)リチウムイオン二次電池用電極バインダー樹脂組成物を含むワニスに、導電助剤を添加し、さらに、活物質を添加して混練する。得られた混練物に溶媒を加えて撹拌して電極合材ペーストとする。
上記攪拌は、攪拌羽根等を用いた通常撹拌や、自転・公転ミキサー等を用いた撹拌であればよい。混練操作は、混練機などを用いることができる。
1.負極活物質
負極活物質としては特に限定されないが、リチウムイオン吸蔵および/または挿入時の体積膨張率が110%より大きいものを好ましく使用する事が出来る。負極活物質の体積膨張率が150%以上が好ましく、200%以上であると更に好ましい。実施形態に用いられるバインダー用樹脂は充放電に伴う体積膨張率が大きくとも、良好な結着性を示す。体積膨張率の値は、例えば『車載用リチウムイオン電池の開発動向』,近畿大学工学部研究公開フォーラム,2010 年10 月27日等に公開されている。
負極活物質としては、充放電容量の大きいケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を好ましく用いることができる。これらは充放電に伴う体積変化が大きいため、本発明の効果がより発揮される。上記の中でもより好ましくはケイ素粒子及び/又はケイ素合金である。
ケイ素原子を含む負極活物質としては、例えば、(i)シリコン微粒子、(ii)スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムと、ケイ素との合金、(iii)ホウ素、窒素、酸素または炭素とケイ素との化合物や、これらにさらに(ii)に例示した金属を有するものなどが挙げられる。ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiOx(0<x≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
スズ原子を含む負極活物質としては、例えば、(i)ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムと、スズとの合金、(ii)酸素または炭素とスズとの化合物や、これらにさらに(i)に例示した金属を有するものなどが挙げられる。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnOw(0<w≦2)、SnSiO、LiSnOあるいはMgSnなどが挙げられる。
ゲルマニウムを含む負極活物質としては、例えばゲルマニウムの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物等が挙げられる。
上記負極活物質は、体積膨張率が110%以下の活物質と混合して使用してもよく、混合物全体の体積膨張率が110%より大きい材料であれば、好ましく使用することができる。体積膨張率が110%以下の活物質としては、黒鉛、チタン酸リチウムが挙げられる。これらのうち1種または2種を、上記負極活物質と混合して用いることができる。
これらの負極活物質の表面は、導電性を向上する目的で、炭素や銅などの導電性を有する材料で覆われていても良い。
上記活物質の平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。また、上記活物質の表面は、シランカップリング剤などによって処理が施されていてもよい。
2.溶媒
実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストは、溶媒を含有し得る。溶媒の種類は、リチウムイオン二次電池用電極バインダー樹脂組成物と活物質等を均一に溶解もしくは分散可能なものであれば特に制限されない。このような溶剤として、非プロトン性極性溶媒が好ましく、非プロトン性アミド系溶媒がより好ましい。非プロトン性アミド系溶媒の例には、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、および1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが含まれる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、二種類以上組み合わせてもよい。
これらの溶媒以外にも、必要に応じて他の溶媒を共存させてもよい。他の溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クロロトルエン、m-クロロトルエン、p-クロロトルエン、o-ブロモトルエン、m-ブロモトルエン、p-ブロモトルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコールおよびn−ブタノール等が含まれる。
溶媒量はリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストの粘度等を考慮して適宜選択される。通常、合材ペーストに含まれる固形分100質量部に対して、50〜900質量部配合することが好ましく、より好ましくは65〜500質量部である。
3.導電助剤
実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストは、活物質とともに導電助剤を配合することができる。導電助剤は、電極の電気抵抗を低下させる目的で配合される。導電助剤としては、炭素材料を用い得る。炭素材料としては、その種類に特に制限はないが、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。
有機物の熱分解物としては、石炭系コークス;石油系コークス;石炭系ピッチの炭化物;石油系ピッチの炭化物;或いはこれらピッチを酸化処理した後の炭化物;ニードルコークス;ピッチコークス;フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物;及びこれらを一部黒鉛化した炭素材;ファーネスブラック;アセチレンブラック;ピッチ系炭素繊維;等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛に種々の表面処理を施したものが好ましい。
これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、リチウムイオン二次電池用電極合材ペーストには、上記炭素材料以外に、酸化錫などの金属酸化物、硫化物や窒化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などを配合してもよい。これらの炭素材料以外の材料についても、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
リチウムイオン二次電池用電極合材ペースト中の固形分の総量(質量)に対する導電助剤の配合量(質量)は、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また通常20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
[リチウムイオン二次電池用電極]
実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極は、集電体と負極活物質層との積層物である。この活物質層は、バインダー樹脂組成物を含むリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストの硬化物である。リチウムイオン二次電池用電極にはシート状の電極が含まれる。
1.集電体
負極集電体の材質としては、ケイ素及び/又はケイ素合金、スズおよびその合金、ケイ素−銅合金、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。
負極集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。集電体の厚みは、特に制限はないが、例えば通常5μm〜30μmであり、好ましくは9〜20μmである。
2.負極活物質層
活物質層は、バインダー樹脂組成物を含有するリチウムイオン二次電池用電極合材ペーストを、集電体に塗布し、それを加熱硬化させて得られる。
電極合材ペーストの塗布は、例えばスクリーン印刷、ロールコート、スリットコート等の方法で行い得る。この際、バインダー(硬化物)がメッシュ状となるように電極合材ペーストをパターン上に塗布してもよい。活物質層の厚みは特に制限なく、例えば硬化後の厚みを5μm以上とすることが好ましく、より好ましくは10μm以上である。また200μm以下とすることが好ましく、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから正極または負極としての実用性に欠ける。一方厚みが厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい場合がある。
電極合材ペーストの加熱硬化は、通常、大気圧下で行うことが可能であるが、加圧下、ないしは真空下で行ってもよい。また加熱乾燥時の雰囲気は、特に制限されないが、通常、空気、窒素、ヘリウム、ネオンまたはアルゴン等の雰囲気下で行うことが好ましく、より好ましくは不活性気体である窒素またはアルゴン雰囲気下で行う。
また、電極合材ペーストの加熱硬化における加熱温度は、通常150℃〜500℃で1分間〜24時間熱処理することにより、ポリイミド前駆体のポリイミドへの閉環反応を行い、信頼性のある負極を得ることができる。好ましくは200℃〜450℃で5分間〜20時間である。
[リチウムイオン二次電池]
こうして得られた負極は、リチウムイオン二次電池用として使用する事が出来る。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。上述したバインダー樹脂組成物の硬化物は、正極及び負極のいずれの活物質層としてもよく、いずれか一方のみに用いてもよい。本発明では特に、ケイ素原子またはスズ原子を負極活物質として含む負極の活物質層として上述したバインダー樹脂組成物の硬化物を用いることが好ましい。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池の形態は特に制限されない。リチウムイオン二次電池の形態の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状としてもよい。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池を組み立てる手順も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよい。一例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
1.電解液
リチウムイオン二次電池用の電解液としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
電解液には、例えば、リチウム塩を溶解させた非水溶媒が用いられる。リチウム塩は、公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;LiClO、LiBrO、LiClOなどの過ハロゲン酸塩;LiPF、LiBF、LiAsFなどの無機フッ化物塩;リチウムビス(オキサラトホウ酸塩)LiBCなどの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCSOなどのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;Liトリフルオロスルフォンイミド((CFSONLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩;などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5M以上、2.0M以下の範囲である。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ブチルジグライム、メチルテトラグライムなどの非プロトン性有機溶媒が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電解液中に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状とすることも可能である。このような有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
また電解液中には、更に被膜形成剤を含んでいても良い。被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、1−フルオロエチルメチルカーボネート、エチル1−フルオロエチルカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ビス(1−フルオロエチル)カーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、エチル2−フルオロエチルカーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、メチル1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカーボネート、エチル1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルカーボネート、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、ビス(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イル)カーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、エチル3,3,3−トリフルオロプロピルカーボネート、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)カーボネートなどのフッ素系カーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
また、被膜形成剤を用いる場合、その含有量は、電解液の構成成分全量(質量)に対して、被膜形成剤を通常10質量%以下、中でも8質量%以下、更には5質量%以下、特に2質量%以下とすることが好ましい。被膜形成剤の含有量が多過ぎると、リチウムイオン二次電池の初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼす場合がある。
2.正極
正極は、集電体と、正極活物質層とが積層された構造とし得る。
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、下限が、通常1μm、好ましくは3μm、より好ましくは5μm、上限が、通常100mm、好ましくは1mm、より好ましくは50μmの範囲である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する虞がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる恐れがある。
正極活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵・放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物;オリビン構造のリン酸化合物;バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物;NiPS、FePS等の遷移金属のリン−硫黄化合物;VSe、NbSeなどの遷移金属のセレン化合物;Fe0.250.75、Na0.1CrSなどの遷移金属の複合酸化物;LiCoS、LiNiSなどの遷移金属の複合硫化物;等が挙げられる。
これらの中でも、V、V13、VO、Cr、MnO、TiO、MoV、LiCoO、LiNiO、LiMn、TiS、V、Cr0.250.75、Cr0.50.52、LiFePO、LiMnPOなどが好ましく、特に好ましいのはLiCoO、LiNiO、LiMn4、LiFePO、LiMnPOや、これらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。
これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。正極活物質層中の正極活物質の含有割合は、下限が、通常10質量%、好ましくは30質量%、更に好ましくは50質量%であり、上限が、通常99.9質量%、好ましくは99質量%である。
正極活物質を結着するバインダー樹脂としては、上述したバインダー樹脂組成物の他、公知のものを任意に選択して用いることができる。このような例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、不飽和結合を有さない高分子などが挙げられる。これらの高分子の重量平均分子量は、下限が、通常1万、好ましくは10万、上限が、通常300万、好ましくは100万である。
正極活物質層を構成する全ての成分の質量に対するバインダー樹脂(質量)の割合は、下限が通常0.1質量%、好ましくは1質量%、更に好ましくは5質量%であり、上限が通常80質量%、好ましくは60質量%、更に好ましくは40質量%、特に好ましくは10質量%である。バインダー樹脂の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう虞がある。一方で、バインダー樹脂の割合が高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる虞がある。
正極活物質層中には、電極の導電性を向上させるために、導電材を含有させてもよい。導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。正極は、正極活物質及び上記バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂組成物を、集電体上に形成して得られる。正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてペースト状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作製される。なお、正極集電体へのペーストの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
ペーストを形成するための液体媒体としては、正極活物質、バインダー樹脂、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてペースト化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
3.セパレータ
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。セパレータには、例えば、優れたイオン透過性を有する微多孔性フィルム、ガラス繊維シート、不織布、織布などが用いられる。また、耐有機溶剤性と疎水性の観点から、セパレータの材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレナフタレート、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリイミドなどが用いられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、通常は安価なポリプロピレンが用いられるが、リチウムイオン二次電池に耐リフロー性を付与する場合には、この中でも熱変形温度が230℃以上のポリプロピレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどを用いることが好ましい。セパレータの厚みは、例えば10〜300μmである。また、セパレータの空孔率は、電子やイオンの透過性、セパレータの素材などに応じて適宜決めればよいが、一般的に30〜80%であることが望ましい。
以下、本発明を実施例を参照してより詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されない。本実施例および比較例で用いた化合物の略称を示す。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
p−PD:p−フェニレンジアミン
m−BP:4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
m−BS:ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
4,4’−BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
1,4−APB:1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
実施例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
<固形分濃度>
試料溶液(その質量をw1とする)を、熱風乾燥機中250℃で60分間加熱処理して、加熱処理後の質量(その質量をw2とする)を測定する。
固形分濃度[質量%]は、次式によって算出した。
固形分濃度[質量%]=(w2/w1)×100
<対数粘度>
試料溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dl(溶媒はNMP)になるように希釈した。この希釈液を35℃にて、ラウダ社製 自動動粘度測定装置PVSを用いて流下時間(T1)を測定した。対数粘度は、ブランクのNMPの流下時間(T0)を用いて、次式から算出した。
対数粘度[dl/g]={ln(T1/T0)}/0.5
<樹脂特性(引張弾性率、破断伸度、破断エネルギー)>
樹脂特性は、島津製作所社製小型卓上引張試験機EZ−Sを用いて測定した。
<剥離強度>
上記で得られた負極における負極活物質層の剥離強度を測定した。剥離強度は、ダイプラウィンテス社製SAICASを用い、切刃の刃幅2mm、負極活物質層表面からの切込み量10μm、切刃の水平速度8μm/secで測定した。
(参考例1)
・電極バインダー樹脂組成物の調製
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、14.74gのm−BPと、溶媒として127.1gのNMPとを装入した。m−BPが溶解するまで撹拌した後、11.65gのBPDAを約30分かけて投入し、54.5gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.4dl/gであった。
・バインダー樹脂フィルムの調製
得られた電極用バインダー樹脂組成物を、基材のガラス板上にアプリケータによって塗布し、その塗膜を、窒素雰囲気下330℃で2時間焼成し、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。
・負極の作製
負極活物質としてシリコン粒子(高純度化学社製、平均粒径5μm)と、上記電極バインダー樹脂組成物と、導電助剤として黒鉛粉末(電気化学工業社製、デンカブラックHS−100)とを、それぞれNMPを分散溶媒として均一に混合して電極ペーストを調製した。得られた電極ペーストにおけるシリコン粒子、バインダー原料溶液、黒鉛粉末の質量比は、85:10:5とした。
この電極ペーストを、集電体としての銅箔(日本製箔社製圧延銅箔、厚さ:18μm)にアプリケータを用いて塗布し、窒素雰囲気下で330℃、30分間熱処理を行って硬化させて負極を作製した。この時、集電体上の負極活物質層の熱処理後の厚みはおよそ20μmになるよう電極用ペーストの濃度および塗布量を調節した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(参考例2)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、1.62gのp−PDと、16.58gのm−BPと、溶媒として170.5gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BPが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、73.1gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12.3質量%であり、対数粘度は1.3dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(実施例1)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、3.24gのp−PDと、11.05gのm−BPと、溶媒として150.5gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BPが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、64.5gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.3dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが16μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(実施例2)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、4.87gのp−PDと、5.53gのm−BPと、溶媒として130.5gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BPが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、55.9gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.4dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(参考例3)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、17.3gのm−BSと、溶媒として140.2gのNMPとを装入した。m−BSが溶解するまで撹拌した後、11.65gのBPDAを約30分かけて投入し、60.1gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.5dl/gであった。得られた電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが14μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(参考例4)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、1.62gのp−PDと、19.46gのm−BSと、溶媒として185.3gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BSが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、79.4gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12.1質量%であり、対数粘度は1.2dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(実施例3)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、3.24gのp−PDと、12.97gのm−BSと、溶媒として160.4gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BSが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、68.7gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.4dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが16μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(実施例4)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、4.87gのp−PDと、6.49gのm−BSと、溶媒として135.4gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよびm−BSが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、58.0gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12.2質量%であり、対数粘度は1.3dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが16μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(比較例1)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、14.74gの4,4’−BAPBと、溶媒として231gのNMPとを装入した。4,4’−BAPBが溶解するまで撹拌した後、11.65gのBPDAを約30分かけて投入し、99gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が6.9質量%であり、対数粘度は3.0dl/gであった。得られた電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが13μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(比較例2)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、1.35gのp−PDと、13.82gの4,4’−BAPBと、溶媒として305.1gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよび4,4’−BAPBが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、14.56gのBPDAを約30分かけて投入し、130.7gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12.1質量%であり、対数粘度は1.2dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが13μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(比較例3)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、3.24gのp−PDと、11.05gの4,4’−BAPBと、溶媒として323.3gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよび4,4’−BAPBが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、138.5gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が6質量%であり、対数粘度は2.7dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが14μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(比較例4)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、4.87gのp−PDと、5.53gの4,4’−BAPBと、溶媒として237.6gのNMPとを装入し、溶液の温度を50℃に昇温してp−PDおよび4,4’−BAPBが溶解するまで撹拌した。溶液の温度を室温まで下げた後、17.48gのBPDAを約30分かけて投入し、101.8gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が7質量%であり、対数粘度は2.5dl/gであった。上記電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが14μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
(比較例5)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、11.69gの1,4−APBと、溶媒として111.4のNMPとを装入した。1,4−APBが溶解するまで撹拌した後、11.65gのBPDAを約30分かけて投入し、47.8gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.2dl/gであった。得られた電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。
Figure 2013132864
p−PD:p−フェニレンジアミン
m−BP:4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル
m−BS:ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン
4,4’−BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
1,4−APB:1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
表1に示されるように、p-PDの配合比率が同じ場合、化学式1で示されるジアミン化合物を用いた実施例1−4,参考例1−4は、化学式1で示されるジアミン化合物を用いていない比較例2−5と比較して、より高い破断伸度を示した。
表1記載の破断エネルギーは、フィルムが伸び始めてから破断に至るまでに要した総エネルギーを指す。破断強度が高く、且つ破断伸度が大きい程、数値が大きくなる。すなわち、この数値が大きいもの程、破断が生じにくい樹脂といえる。p-PDの配合比率が同じ場合、化学式1で示されるジアミン化合物を用いた実施例1−4,参考例1−4は、化学式1で示されるジアミン化合物を用いていない比較例2−5と比較して、より高い破断エネルギーを示しており、より破断しにくい樹脂であることが理解される。また、化学式1で示されるジアミン化合物を用いた実施例1−4,参考例1−4は、化学式1で示されるジアミン化合物を用いていない比較例1−4と比較して、活物質/バインダー間の剥離強度が高かった。これにより、本発明のバインダー樹脂組成物を用いた二次電池用負極を二次電池に用いた際、活物質が脱離し難く、サイクル特性が向上する。
実施例1−4は、参考例1−4と比較して、p-PDの配合比率が高くなるほど、引張弾性率が高かった。
なお、負極活物質としてスズ原子またはゲルマニウム原子を含む負極活物質を用いて剥離強度の測定を行った場合についても、上述の実施例、参考例、および比較例と同様の傾向の結果が得られた。
本出願は、同出願人により先にされた日本国特許出願、すなわち、特願2012−51024号(出願日2012年3月7日)に基づく優先権主張を伴うものであって、これらの明細書の内容を参照して本発明の一部としてここに組み込むものとする。
正極活物質層中には、電極の導電性を向上させるために、導電剤を含有させてもよい。導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。正極は、正極活物質及び上記バインダー樹脂を含有するバインダー樹脂組成物を、集電体上に形成して得られる。正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電剤及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてペースト状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作製される。なお、正極集電体へのペーストの塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
(比較例5)
撹拌機および窒素導入管を備えた容器に、11.69gの1,4−APBと、溶媒として111.4のNMPとを装入した。1,4−APBが溶解するまで撹拌した後、11.65gのBPDAを約30分かけて投入し、47.8gのNMPをさらに加えて、20時間攪拌して電極バインダー樹脂組成物を得た。得られた電極バインダー樹脂組成物は、固形分濃度が12質量%であり、対数粘度は1.2dl/gであった。得られた電極用バインダー樹脂組成物を実施例1と同様に処理して、厚さが15μmのバインダー樹脂フィルムを形成した。得られたフィルムの特性を表1に示した。また、実施例1と同様の方法で負極活物質層の厚みがおよそ20μmの負極を作製した。負極活物質層の剥離強度を表1に示した。

Claims (7)

  1. 芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させてなる芳香族ポリアミド酸を含むバインダー用樹脂組成物と、
    ケイ素原子、スズ原子およびゲルマニウム原子の中から選ばれた少なくとも1種を含む負極活物質と、を含むリチウムイオン二次電池電極合材ペーストであって、
    前記芳香族ジアミン化合物は、その75〜50モル%がp−フェニレンジアミンであり、その25〜50モル%が下記化学式1
    Figure 2013132864
    Figure 2013132864
    (化学式1)
    (式中、Aは直結、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基および/またはスルホニル基を表す。nは1〜4の整数である。)で表される化合物であり、
    前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式2
    Figure 2013132864
    (化学式2)
    (Yは、炭素数6〜27の4価の芳香族基であり、芳香環、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族から選ばれるものである。)で表される化合物であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
  2. 前記Xが化学式3
    Figure 2013132864
    (化学式3)
    (式中、Aは直結、イソプロピリデン基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基および/またはスルホニル基を表す。nは1〜4の整数である。)で表されることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
  3. 前記化学式3においてnが1であることを特徴とする請求項2記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
  4. 前記芳香族ジアミン化合物が、その75〜50モル%がp−フェニレンジアミンであり、その25〜50モル%が下記化学式4
    Figure 2013132864
    (化学式4)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
  5. 前記負極活物質が、リチウムイオン吸蔵および/または挿入時の体積膨張率が110%より大きいことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用電極合材ペースト。
  6. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極合材ペーストを集電体上に塗布し、加熱処理してイミド化反応することにより得られることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極。
  7. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極が、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用電極であるリチウムイオン二次電池。
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