JPWO2008153064A1 - プラズマ処理装置および処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電体の使用量をなるべく少なくできるプラズマ処理装置を提供することにある。【解決手段】プラズマ処理される基板Gを収納する金属製の処理容器4と、処理容器4内にプラズマPを励起させるために必要な電磁波を供給する電磁波源34を備え、電磁波源34から供給される電磁波を処理容器4の内部に透過させる、処理容器4の内部に一部を露出した1または2以上の誘電体25を処理容器4の蓋体3下面に備えたプラズマ処理装置であって、処理容器4の内部に露出した金属面に沿ってマイクロ波を伝搬させる表面波伝搬部51が、誘電体25に隣接して設けられている。

Description

本発明は、プラズマを励起させて基板に対して成膜などの処理を施すプラズマ処理装置および処理方法に関する。
例えばLCD装置などの製造工程においては、マイクロ波を利用して処理容器内にプラズマを励起させ、LCD基板(ガラス基板)に対してCVD処理やエッチング処理等を施すプラズマ処理装置が用いられている。かかるプラズマ処理装置として、処理容器の内面に配置した誘電体にマイクロ波源から同軸管や導波管によってマイクロ波を供給し、処理容器内に供給された所定のガスをマイクロ波のエネルギによってプラズマ化させるものが知られている。
近年、基板などの大型化に伴ってプラズマ処理装置も大きくなってきているが、処理容器の内面に配置され誘電体を単一の板とした場合、大型化した誘電体の製造が困難で製造コストを高騰させる要因となっていた。そこで、かかる不具合を解消すべく、本出願人は、処理容器の蓋体下面に複数の誘電体を取り付けることにより、誘電体板を複数に分割する技術を提案した(特許文献1)。
特開2006−310794号公報
ところで、以上のようなマイクロ波を利用したプラズマ処理装置では、一般的に、2.45GHzのマイクロ波を出力するマイクロ波源が用いられていた。その理由は、2.45GHzのマイクロ波を出力するマイクロ波源は工業的に広く普及しており、入手しやすく、経済的でもあるからである。
そして、従来のプラズマ処理装置では、マイクロ波源で出力した2.45GHzのマイクロ波を、処理容器の蓋体下面に配置された誘電体を透過させて処理容器の内部に供給する構成である。この場合、誘電体は処理容器に収納された基板の処理面(上面)のほぼ全体を覆うように配置されており、処理容器の内部に露出する誘電体の露出面の面積は、基板の処理面の面積とほぼ同程度の大きさであった。これにより、誘電体の下面全体で発生させたプラズマを用いて、基板の処理面全体に均一な処理を行っていた。
しかしながら、従来のプラズマ処理装置のように誘電体の露出面積を基板の処理面の面積とほぼ同程度とした場合、誘電体の使用量が多く必要であり、経済的でないという難点がある。特に最近では基板が大型化しており、誘電体の使用量が更に多く必要になってきており、コストアップの要因となっている。
また、処理容器の蓋体下面全体に誘電体を配置した場合、基板の処理面全体に処理ガスを均一に供給することが難しくなるという問題も生ずる。即ち、誘電体として例えばAlなどが用いられるが、金属製の蓋体に比べて、誘電体にガス供給孔を加工することが困難であり、通常は、ガス供給孔は蓋体の露出箇所のみに設けられる。このため、基板の処理面全体にシャワープレートのような状態で処理ガスを均一に供給することが難しくなってしまう。
エッチングやCVD(chemical vapor deposition)などのプラズマ処理において、プラズマから基板表面に入射するイオンのエネルギを制御するために、基板に高周波バイアスを印加して基板に自己バイアス電圧(負の直流電圧)を発生させることがある。このとき、基板に印加した高周波バイアスが基板周辺のシースのみにかかることが望ましいが、処理容器内面の多くが誘電体に覆われてプラズマからグランド面(処理容器内面)があまり見えない状況では、グランド面周辺のシースにもかかってしまう。このため、基板に過剰に大きな高周波電力を印加する必要があるばかりでなく、グランド面に入射するイオンのエネルギが増加してグランド面がエッチングされ、金属汚染を引き起こす問題があった。
さらに、処理速度を早くするために大電力のマイクロ波を投入すると、プラズマからのイオンや電子の入射により誘電体の温度が上昇し、熱応力により誘電体が破損したり、誘電体表面のエッチング反応が促進されて不純物汚染を引き起こす問題があった。
本発明の目的は、誘電体の使用量をなるべく少なくできるプラズマ処理装置を提供することにある。
上記のように、マイクロ波を利用したプラズマ処理装置では、入手の容易さ、経済性などの理由により、2.45GHzのマイクロ波を出力するマイクロ波源が一般的に用いられてきた。一方最近では、2GHz以下といった周波数の低いマイクロ波を利用したプラズマ処理が提案されており、一例として915MHzの周波数のマイクロ波を利用したプラズマ処理が検討されている。安定で電子温度が低いプラズマを得るための下限の電子密度が周波数の二乗に比例するため、周波数を下げるとより広範囲な条件でプラズマ処理に適したプラズマが得られるためである。
本発明者は、かかる2GHz以下といった周波数の低いマイクロ波を用いたプラズマ処理について種々の検討を行った。その結果、2GHz以下の周波数の電磁波を処理容器内面の誘電体に透過させた場合、誘電体の周囲から処理容器内面などの金属表面に沿って電磁波を有効に伝搬させることができ、この金属表面に沿って伝搬する電磁波によって処理容器内にプラズマを励起させることができるといった新規な知見を得た。なお、このように金属表面とプラズマとの間を金属表面に沿って伝搬する電磁波を、本明細書において「導体表面波」と呼ぶ。
本発明は、かかる新規な知見に基いて創出されたものである。即ち、本発明によれば、プラズマ処理される基板を収納する金属製の処理容器と、前記処理容器内にプラズマを励起させるために必要な電磁波を供給する電磁波源とを備え、前記電磁波源から供給される電磁波を前記処理容器の内部に透過させる、前記処理容器の内部に一部を露出した1または2以上の誘電体を前記処理容器の蓋体下面に備えたプラズマ処理装置であって、前記処理容器の内部に露出した金属面に沿って電磁波を伝搬させる表面波伝搬部が、前記誘電体に隣接して設けられている、プラズマ処理装置が提供される。このプラズマ処理装置にあっては、誘電体から表面波伝搬部に沿って伝搬させた電磁波(導体表面波)により、処理容器内にプラズマを励起させることができる。
このプラズマ処理装置において、例えば、前記誘電体の露出部分の面積が、前記表面波伝搬部の面積の1/2以下である。また、例えば、前記誘電体の露出部分の面積が、前記表面波伝搬部の面積の1/5以下である。また、例えば、前記誘電体の露出部分の面積が、基板上面の面積の1/5以下である。このように誘電体の露出面の面積を小さくしてグランド面(処理容器内面)の露出面の面積を大きくすることにより、金属汚染を引き起こすことなく、基板に効率よく自己バイアス電圧を発生させることが可能になる。なお、前記電磁波源から供給される電磁波の周波数が、例えば、2GHz以下である。
前記処理容器の内面には、連続する溝が設けられており、前記誘電体は前記溝で囲まれた範囲内に配置されていても良い。また、前記溝により、前記表面波伝搬部が区画されていても良い。この場合、例えば、前記溝の断面が概ね矩形であり、前記溝の幅Wと深さDが、0.26<D/W<2.3の関係を満たす。また、前記溝の幅が、電磁波のプラズマへの進入長の2倍よりも小さく、前記処理容器の内面とプラズマとの間に形成されるシースの厚さの2倍よりも大きいことが好ましい。また、前記溝のコーナ部の曲率半径は、処理容器の内面とプラズマとの間を伝搬するマイクロ波の波長λの1/40よりも小さいことが好ましい。また、前記蓋体の下面に保護膜が設けられていても良い。
また、前記処理容器の内面には、連続する凸部が設けられており、前記誘電体は前記凸部で囲まれた範囲内に配置されていても良い。また、前記凸部により、前記表面波伝搬部が区画されていても良い。この場合、例えば、前記凸部の断面が概ね矩形であり、前記凸部の高さが、前記処理容器の内面に沿って伝搬するマイクロ波の波長の1/2よりも小さく、前記処理容器の内面とプラズマとの間に形成されるシースの厚さよりもよりも大きい。
また、前記誘電体の上部には、前記誘電体の上面に下端が隣接または近接し、電磁波を前記誘電体に伝える1または複数の金属棒を備えていても良い。この場合、前記誘電体が概ね円柱形状であり、前記誘電体の周面に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていても良い。あるいは、前記金属棒と前記蓋体との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていても良い。また、前記蓋体の下面には、前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられていても良い。
また、前記誘電体の下面に金属電極が設けられ、前記金属電極の周囲または内方において前記誘電体が前記処理容器の内部に露出していても良い。この場合、前記誘電体を貫通して前記金属電極に電気的に接続された、電磁波を前記誘電体に伝える金属棒を備えていても良い。また、前記金属棒と前記蓋体との間に、前記金属容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていても良い。また、前記誘電体の上面と前記蓋体との間および前記誘電体の下面と前記金属電極との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていても良い。また、前記金属電極には、前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられており、前記金属棒には、前記ガス放出孔にガスを通すガス流路が形成されていても良い。また、前記誘電体に形成された穴を貫通し、前記金属電極と前記蓋体とを接続する一または複数の接続部材を備えていても良い。この場合、前記接続部材は、例えば金属からなる。また、前記金属電極には、前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられており、前記接続部材には、前記ガス放出孔にガスを通すガス流路が形成されていても良い。
また、前記電磁波源から供給される電磁波を前記誘電体に伝搬させる一または複数の導波管を備えていても良い。この場合、前記誘電体は、前記導波管の下面に形成されたスロットに挿入されていても良い。また、前記導波管内を伝搬する電磁波の波長を調節する波長調節機構を備えていても良い。また、前記誘電体と前記蓋体との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていても良い。
また、前記蓋体の内部に前記誘電体が内蔵され、蓋体の下面に形成した一または複数の開口部から、前記誘電体の下面が部分的に処理容器内に露出させられていても良い。この場合、前記蓋体の下面に複数の開口部が同心円状に配置されていても良い。また、前記蓋体の下面がラジアルラインスロットアンテナであっても良い。また、前記蓋体の下面に保護膜が設けられていても良い。
また、前記表面波伝搬部は少なくとも表面が金属である部分によって構成され、かつ前記金属の表面に延在する溝又は凸部によって画成されていても良い。また、前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、前記表面波伝搬部によって囲まれていても良い。また、前記誘電体の前記容器内部に露出する面が前記容器内部に沿って延在する形状をなし、かつ該延在面の両側が前記表面波伝搬部によって囲まれていても良い。また、前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、互いに離隔する複数個であっても良い。また、前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、円周または多角形を構成するように連続してまたは不連続に延在して配置されていても良い。また、前記円周または多角形の内部の表面波伝搬部の中心部に表面波非伝搬部が設けられていても良い。また、前記円周または多角形の内部の表面波非伝搬部は、溝又は凸部によって画成されていても良い。また、前記表面波伝搬部に沿って伝搬した電磁波によって前記表面波伝搬部と前記基板の処理面との間にプラズマが励起されても良い。また、前記容器内面の前記誘電体が露出していない部分に、プラズマ励起用ガスを前記容器内部に放出するガス放出口を設けても良い。また、前記表面波伝搬部の表面が、電磁波伝搬に実質的に影響を与えない薄さの保護膜によって覆われていても良い。また、前記表面波伝搬部の中心線平均粗さが、例えば2.4μm以下である。
また本発明によれば、金属製の処理容器に基板を収納し、電磁波源から前記処理容器の蓋体下面に露出している1または2以上の誘電体を透過させて前記処理容器内に電磁波を供給し、前記処理容器内にプラズマを励起させて、基板を処理するプラズマ処理方法であって、前記処理容器内に処理ガスを供給し、前記電磁波源から周波数が2GHz以下の電磁波を供給し、前記処理容器の内部に露出する前記誘電体の露出面から前記処理容器の内面に沿って電磁波を伝搬させることにより、前記処理容器内にプラズマを励起させ、基板を処理することを特徴とするプラズマ処理方法が提供される。
本発明によれば、誘電体周囲に配置させた表面波伝搬部に沿って伝搬させた電磁波(導体表面波)でプラズマを励起させることができるので、誘電体の使用量を大幅に少なくすることが可能となる。また、処理容器の内部に露出する誘電体の露出面積を小さくすることにより、誘電体の過熱による誘電体の破損やエッチング等が抑制されるとともに、処理容器内面からの金属汚染の発生がなくなる。また、誘電体の露出面積が減ることによって蓋体の露出面積が増えるので、金属製である蓋体にガス供給孔を容易に加工することができる。金属製である蓋体の下面に複数のガス供給孔を分布させて配置させることにより、基板の処理面全体にシャワープレートのような状態で処理ガスを均一に供給することができるようになる。加えて、例えば2GHz以下の周波数の電磁波として915MHzの周波数のマイクロ波を利用した場合、2.45GHzの周波数のマイクロ波を利用した場合と比べて、安定で電子温度が低いプラズマを得るための下限の電子密度を約1/7とすることができ、これまで使えなかったより広範囲な条件でプラズマ処理に適したプラズマが得られるようになり、処理装置の汎用性を著しく向上させることができる。この結果、一台の処理装置で処理条件が異なる複数の連続した処理を行うことが可能になり、高品質な製品を短時間に低コストで製造することが可能になる。
本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図2中のX−X断面)である。 蓋体の下面図(図1中のX−X断面)である。 図1中のZ−Z断面における蓋体3の上部における横断面図である。 誘電体にマイクロ波を伝搬させる電極部の斜視図である。 誘電体の斜視図である。 導体表面波の伝搬モデルの説明図である。 導体表面波の減衰量の周波数依存性を示すグラフである。 溝を伝搬する導体表面波の説明図である。 電子密度を変化させて溝のD/Wと透過量との関係を示したグラフである。 溝の幅を変化させて溝のD/Wと透過量との関係を示したグラフである。 溝の幅とシース厚さとの関係を説明するための図である。 溝の幅と進入長との関係を説明するための図である。 曲率半径と透過量との関係を示したグラフである。 プラズマ処理中の処理容器内の状態を示す説明図である。 第1の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図16中のY−Y断面)である。 第1の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図15中のX−X断面)である。 図15中のZ−Z断面における蓋体の上部における横断面図である。 第2の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図である。 図18中のZ−Z断面における蓋体の上部における横断面図である。 第3の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図21中のY−Y断面)である。 第3の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図20中のX−X断面)である。 第4の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図23中のY−Y断面)である。 第4の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図22中のX−X断面)である。 第5の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図25中のY−Y断面)である。 第5の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図24中のX−X断面)である。 第6の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図27中のY−Y断面)である。 第6の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図26中のX−X断面)である。 第7の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図29中のY−Y断面)である。 第7の変形例にかかるプラズマ処理装置が備える蓋体の下面図(図28中のX−X断面)である。 第8の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図31中のY−Y断面)である。 第8の変形例にかかるプラズマ処理装置において、誘電体の周囲から表面波伝搬部全体に導体表面波を伝搬していく状態を示す説明図である。 第9の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図33中のD−O’−O−E断面)である。 図32中のA−A断面図である。 誘電体の平面図である。 表面波伝搬部において、導体表面波が伝搬していく状態の説明図である。 電磁界シミュレーションにより求めたシース中のマイクロ波電界の定在波分布の説明図である。 図36の直線A−Bにおけるシース中のマイクロ波電界強度分布を示すグラフである。 セル角部の規格化電界強度を示すグラフである。 第10の変形例にかかるプラズマ処理装置の蓋体の下面図である。 第11の変形例変形例2にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図41中のD−O’−O−E断面)である。 図40中のA−A断面図である。 第12の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図43中のD−O’−O−E断面)である。 図42中のA−A断面図である。 第13の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図45中のB−O−C断面)である。 図44中のA−A断面図である。 第14の変形例にかかるプラズマ処理装置の概略的な構成を示した縦断面図(図47中のB−O−C断面)である。 図46中のA−A断面図である。 誘電体の外縁が、処理容器の内部から見て、金属電極の外縁よりも内側にある変形例の説明図である。 金属カバーの側面に、誘電体の外縁を受容する凹部を設けた変形例の説明図である。 蓋体下面の凹部に誘電体を挿入した変形例の説明図である。 蓋体下面の凹部に誘電体を挿入した別の変形例の説明図である。 誘電体の周囲において、平面形状の蓋体を露出させた変形例の説明図である。 誘電体の周囲において、平面形状の蓋体を露出させた別の変形例の説明図である。 誘電体の周囲において、平面形状の蓋体を露出させた更に別の変形例の説明図である。 菱形の誘電体の説明図である。 正三角形の誘電体を用いた変形例にかかるプラズマ処理装置の蓋体の下面図である。 弾性部材を用いた接続部材の構造の説明図である。 皿バネを用いた接続部材の構造の説明図である。 Oリングを用いてシールした接続部材の構造の説明図である。 テーパーワッシャーを用いた接続部材の構造の説明図である。 溝の他の例の説明図である。 凸部を伝搬する導体表面波の説明図である。
符号の説明
G 基板
1 プラズマ処理装置
2 容器本体
3 蓋体
4 処理容器
10 サセプタ
11 給電部
12 ヒータ
20 排気口
25 誘電体
34 マイクロ波源
35 同軸管
45 金属棒
50 溝
51 表面波伝搬部
55 ガス配管
56 冷媒配管
61 ガス放出孔
以下、本発明の実施の形態を、プラズマ処理の一例であるCVD処理を行うプラズマ処理装置1に基づいて説明する。なお、電磁波の一例としてマイクロ波を用いたプラズマ処理装置1に基づいて説明する。
(プラズマ処理装置1の基本構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図2中のY−Y断面)である。図2は、このプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図1中のX−X断面)である。図3は、図1中のZ−Z断面における蓋体3の上部における横断面図である。図4は、誘電体25にマイクロ波を伝搬させる電極部47の斜視図である。図5は、誘電体25の斜視図である。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
このプラズマ処理装置1は、上部が開口した立方体形状の容器本体2と、この容器本体2の上方を塞ぐ蓋体3で構成される処理容器4を備えている。容器本体2の上方を蓋体3で塞ぐことにより、処理容器4の内部には密閉空間が形成されている。処理容器4全体(処理容器2および蓋体3)は導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなり、電気的に接地された状態になっている。
処理容器4の内部には、基板として例えばガラス基板(以下「基板」という)Gを載置するための載置台としてのサセプタ10が設けられている。このサセプタ10は例えば窒化アルミニウムからなり、その内部には、基板Gを静電吸着すると共に処理容器4の内部に所定のバイアス電圧を印加させるための給電部11と、基板Gを所定の温度に加熱するヒータ12が設けられている。給電部11には、処理容器4の外部に設けられたバイアス印加用の高周波電源13がコンデンサなどを備えた整合器14を介して接続されると共に、静電吸着用の高圧直流電源15がコイル16を介して接続されている。ヒータ12には、同様に処理容器2の外部に設けられた交流電源17が接続されている。
処理容器4の底部には、処理容器4の外部に設けられた真空ポンプなどの排気装置(図示せず)によって処理容器4内の雰囲気を排気するための排気口20が設けられている。図示のように容器本体2の上方を蓋体3によって塞いだ状態では、蓋体3の下面周辺部と容器本体2の上面との間に配置されたOリング21と、後述する各誘電体25と蓋体3との間に配置されたOリング30によって、処理容器4内の気密性が保持されている。
蓋体3の下面には、例えばAlからなる4つの誘電体25が下部を処理容器4の内部に露出させた状態で取付けられている。誘電体25として、例えばフッ素樹脂、石英などの誘電材料を用いることもできる。誘電体25は、直方体形状をなす誘電体下部26の上面に、四角形の板状のフランジ部27を一体的に形成させた構成である。誘電体25の上面(フランジ部27の上面)の四隅には、後述する電極棒46を挿入させるための孔28が4箇所に設けられている。
誘電体25は、フランジ部27を、蓋体3の下方に形成された段部29に載せることにより、蓋体3の下面に誘電体25を支持している。なお、フランジ部27の下面と段部29との間には、処理容器4の外部と内部とを隔てるシール部材としてのOリング30が配置されている。
蓋体3の上面中央には、マイクロ波源34から供給されるマイクロ波を伝搬させる同軸管35が接続されている。この同軸管35は、内側導体36と外部導体37とによって構成されている。内側導体36は、蓋体3の内部に配置された分岐板40に接続されている。
図3に示すように、分岐板40は、内部導体36との連結位置を中心とする4本の枝導体41を十字状に配置した構成である。同軸管35と分岐板40は、Cuなどの導電性部材により形成される。分岐板40は、伝送線路のインピーダンス整合手段としての誘電体42を用いて蓋体3の内部に支持されている。
各枝導体41の先端下面には、金属棒45が取付けてある。更に、図4に示すように、各金属棒45の下端には、下面に4本の電極棒46を有する電極部47が設けられている。この電極部47下面の4本の電極棒46が、上述した誘電体25上面の四隅に形成された孔28に挿入されている。金属棒45電極棒46および電極部47はCuなどの導電性部材により形成される。
上述のマイクロ波供給装置34からは、周波数が2GHz以下のマイクロ波として例えば915MHzの周波数をもったマイクロ波が、同軸管35に対して導入されるようになっている。これにより、915MHzのマイクロ波が、分岐板40で分岐されて、金属棒45を介して各誘電体25に伝搬される。
蓋体3の下面には、各誘電体25の周囲から所定の距離離れた位置において、各誘電体25を取り囲むように配置された溝50が設けられている。蓋体3の下面において、この溝50で囲まれた領域が表面波伝搬部51となる。この実施の形態では、溝50で仕切られることにより、各誘電体25の周囲には、蓋体3の下面を4つに区切った表面波伝搬部51が配置されている。プラズマ処理中、マイクロ波供給装置34から各誘電体25に伝搬されられたマイクロ波は、蓋体3の下面に露出している誘電体25周囲から各表面波伝搬部51の表面に沿って伝搬させられる。その際、溝50は、各表面波伝搬部51の表面に沿って伝搬させられたマイクロ波(導体表面波)が、溝50を超えて表面波伝搬部51の外側に伝搬させないようにするための、伝搬障害部として機能する。なお、プラズマ処理中の蓋体3の下面における導体表面波の伝搬状態、および、溝50の伝搬障害部としての機能については、後ほど詳しく説明する。
蓋体3の内部には、プラズマ処理に必要な所定のガスの供給用のガス配管55と、冷媒供給用の冷媒配管56が設けられている。処理容器4の外部に配置されたガス供給源60からガス配管55を通じて供給された所定のガスは、蓋体3の下面に開口するガス放出孔61から処理容器4の内部に供給される。
冷媒配管56には、処理容器4の外部に配置された冷媒供給源65から冷媒を循環供給する冷媒供給配管66と冷媒戻り配管67が接続されている。これら冷媒供給配管66と冷媒戻り配管67を通じて冷媒供給源65から冷媒配管56に冷媒が循環供給されることにより、蓋体3は所定の温度に保たれている。
(プラズマ処理装置1におけるプラズマ処理)
以上のように構成された本発明の実施の形態にかかるプラズマ処理装置1において、例えば基板Gの上面にアモルファスシリコンが成膜される場合について説明する。先ず、基板Gが処理容器4の内部に搬入され、サセプタ10上に基板Gが載置される。その後、密閉された処理容器4内において所定のプラズマ処理が行われる。
プラズマ処理中は、ガス供給源60からガス配管55およびガス放出孔61を経てプラズマ処理に必要な、例えばアルゴンガス/シランガス/水素の混合ガスが処理容器4内に供給されつつ、排気口20から排気され、処理容器4内が所定の圧力に設定される。そして、このように所定のガスが処理容器2内に供給される一方で、ヒータ12によって基板Gが所定の温度に加熱される。また、マイクロ波供給装置34で発生させられた例えば915MHzのマイクロ波が、同軸管35、分岐板40および電極棒46を通じて、各誘電体板26中に伝搬させられる。そして、各誘電体板26を透過したマイクロ波が、蓋体3の下面に露出している誘電体25周囲から導体表面波TMの状態で、各表面波伝搬部51の表面に沿って伝搬させられていく。
この実施の形態にかかるプラズマ処理装置10にあっては、誘電体25の周囲に配置させた表面波伝搬部51に沿って伝搬させたマイクロ波(導体表面波)でプラズマPを励起させることができるので、誘電体25の使用量をなるべく少なくすることが可能となる。この場合、溝50の配置で表面波伝搬部51の領域を変えることにより、処理容器4内におけるプラズマPの生成領域を任意に制御することが可能である。例えば、表面波伝搬部51の領域を大きくして基板サイズの外側まで広げることにより、基板Gの上面(処理面)全体に均一なプラズマ処理を行うことができる。
また、処理容器4の内部に露出する誘電体25の露出面積を小さくすることにより、誘電体25の破損、プラズマ処理に伴うエッチング等による誘電体25の損失も低減できる。この場合、誘電体25の露出面積を基板Gの処理面積の1/5以下とすることにより、プラズマと対向するグランド電極の面積は、最低でも基板G表面の面積の1.5(1.7−1/5)倍以上となる。これにより、蓋体3下面のスパッタリングに伴う基板Gの金属汚染を引き起こすことなく、高周波電源13から印加された高周波電圧を、基板G表面近傍のプラズマシースsに効率よく印加させることが可能となる。
また、誘電体25の露出面積が減ることによって蓋体3の露出面積が増えるので、金属製である蓋体3にガス供給孔61を容易に加工することができる。金属製である蓋体3の下面に複数のガス供給孔61を分布させて配置させることにより、基板Gの処理面全体にシャワープレートのような状態で処理ガスを均一に供給することができるようになる。これにより、基板Gの処理面全体に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(導体表面波Wの伝搬と周波数との関係)
処理容器4内に生成されるプラズマPの誘電率は、ε′−jε″で表わされる。プラズマPの誘電率には損失成分もあるため複素数で表現される。プラズマPの誘電率の実部ε′は通常−1よりも小さい。プラズマPの誘電率は、次式(1)で表される。
Figure 2008153064
また、プラズマPにマイクロ波を入射したときの伝搬特性は、次式(2)にて表される。
Figure 2008153064
ここで、kは波数、kは真空中の波数、ωはマイクロ波角周波数、νは電子衝突周波数、ωpeは次式(3)で表される電子プラズマ周波数である。
Figure 2008153064

ここで、eは素電荷、nはプラズマPの電子密度、εは真空中の誘電率、mは、電子の質量である。
進入長δは、マイクロ波を入射したとき、マイクロ波がどれだけプラズマ内部に入射可能であるかを示す。具体的には、マイクロ波の電界強度EがプラズマPの境界面での電界強度Eの1/eに減衰するまでに進入した距離が進入長δである。進入長δは、次式(4)で表される。
δ=−1/Im(k) ・・・(4)
kは、前述したように波数である。
電子密度nが次式(5)で表されるカットオフ密度nより大きい場合、マイクロ波はプラズマ中を伝搬することができず、プラズマPに入射されたマイクロ波は急速に減衰する。
nc = ε0 me ω2/e2 ・・・(5)
式(4)によれば、進入長δは、数mm〜数10mmとなり、電子密度が高いほど短くなる。また、電子密度nが、カットオフ密度nより充分大きい場合、進入長δは、周波数にあまり依存しない。
一方、プラズマPのシース厚さtは、次式(6)で表される。
Figure 2008153064
ここで、Vはプラズマ電位、kはボルツマン定数、Tは電子温度、λは次式(7)で表されるデバイ長(Debye length)である。デバイ長λは、プラズマ中の電位の乱れがいかに迅速に減衰するかを示す。
Figure 2008153064
式(6)によれば、シース厚さtは、数10μm〜数100μmとなる。また、シース厚さtはデバイ長λに比例することがわかる。また、式(6)では、電子密度nが高いほどデバイ長λは短くなることが理解できる。
「導体表面波TMの波長、減衰量」
導体表面波TMの伝搬モデルとして、図6に示すように、導体である蓋体3(表面波伝搬部51)の下面とプラズマPとの間に形成された無限に広い厚さtのシースgをz方向に導体表面波TMが伝搬する場合について説明する。シースgの誘電率をεr=1、プラズマPの誘電率をεr’−jεr’'とする。マクスウェルの方程式から、図6のy方向の磁界Hyが満たす方程式を導くと、次のようになる。
Figure 2008153064
ただし、hは固有値であり、シースの内外で次のように表される。
Figure 2008153064
ここで、γは伝搬定数、hiはシースg中における固有値、heはプラズマP中における固有値である。固有値hiおよびheは、一般には複素数となる。
導体である蓋体3の下面においてz方向の電界強度が0になるという境界条件から、式(8)の一般解は、次のようになる。
Figure 2008153064
ここで、AおよびBは任意定数である。
シースgとプラズマPとの境界において、磁界及び電界の接線成分が連続になることから任意定数を消去すると、以下の特性方程式が導かれる。
Figure 2008153064
特性方程式(13)のうち、シース厚さtは式(6)より、プラズマPの誘電率εr’−jεr’'は式(1)より求められる。従って、連立方程式(13)を解くことにより、固有値hiおよびheがそれぞれ求められる。複数の解が存在する場合には、シース内の磁界分布が双曲線関数になる解を選べばよい。さらに、式(9)より伝搬定数γが求められる。
伝搬定数γは、減衰定数αと位相定数βから、γ=α+jβと表される。伝搬定数の定義から、プラズマの電界強度Eは、次式(14)にて示される。
E=E×e−jγz=E−αzjβz・・・(14)
ここで、zは導体表面波TMの伝搬距離、Eは伝搬距離zが0のときの電界強度を示す。e−αzは導体表面波TMが伝搬とともに指数関数的に減衰する効果を表し、ejβzは導体表面波TMの位相の回転を表す。また、β=2π/λcであるから、位相定数βから導体表面波TMの波長λcが求められる。よって、伝搬定数γがわかると、導体表面波TMの減衰量と導体表面波TMの波長λcとを算出できる。なお、減衰定数αの単位は、Np(ネーパ)/mであり、後程示す各グラフの単位dB/mとは、以下の関係がある。
1Np/m=20/ln(10)dB/m=8.686dB/m
これらの式を用いて、マイクロ波周波数が915MHz、電子温度Teが2eV、プラズマ電位Vpが24V、電子密度nが1×1011cm−3、4×1011cm−3、1×1012cm−3のときの進入長δ、シース厚さt、導体表面波TMの波長λcをそれぞれ計算した。その結果を次表に示す。
Figure 2008153064
導体表面波は、ある電子密度以下ではカットオフになり伝搬できない。この電子密度を導体表面波共鳴密度nrといい、式(5)で表されるカットオフ密度の2倍の値となる。カットオフ密度は周波数の二乗に比例するから、導体表面波は周波数が低いほど低い電子密度でも伝搬する。
導体表面波共鳴密度nrの値を計算すると、2.45GHzのとき1.5×1011cm−3となる。実際のプラズマ処理条件では、表面付近の電子密度が1×1011cm−3以下になることがあるが、このような条件では導体表面波が伝搬しない。一方、915MHzのときには2.1×1010cm−3となり、2.45GHzの場合の約1/7となる。915MHzでは、表面付近の電子密度が1×1011cm−3以下となっても導体表面波が伝搬する。このように、表面付近の電子密度が1×1011cm−3程度の低密度プラズマにおいても表面波を伝搬させるには、2GHz以下の周波数を選択する必要がある。
一方、図1に示したプラズマ処理装置1において、誘電体26から放出された導体表面波TMが処理容器4の内壁(蓋体3下面および容器本体2内面)に沿って基板Gの周辺まで伝搬してしまうと、処理容器4内に生成されるプラズマPが不均一になりプロセスの均一性が悪化したり、処理容器4内に基板Gを搬入出させる際に開閉されるゲートバルブや、基板Gを載置させるサセプタ10が劣化する等の弊害が生じる。導体表面波TMが誘電体26と基板G間の距離を伝搬する間に十分減衰しない場合(減衰量が20dB以下)には、導体表面波TMを反射させてそれ以上伝搬させない手段が必要になる。ここで、図7に示すグラフの実線は、後述する変形例8の代表的条件における導体表面波TMの減衰量の周波数依存性である。プラズマ処理装置1において、誘電体26と基板G間の標準的な間隔は約0.1mであり、この距離を伝搬したときの減衰量が20dBとすれば、1mあたりの減衰量は200dB/mとなる。このときの周波数は、図7より1.9GHzであることが分かる。すなわち、1.9GHz以下のとき、導体表面波TMを反射させる手段が必要になる。
(溝50の必要性)
以上のように、この実施の形態にかかるプラズマ処理装置1によれば、2GHz以下のマイクロ波を使用することにより、誘電体26の周囲から表面波伝搬部51全体に伝搬させた導体表面波TMにより均一なプラズマPを生成させることができる。しかし一方で、導体表面波TMが不適切な位置まで伝搬すると、処理容器4内に生成されるプラズマPが不均一になる要因となるおそれがある。また、導体表面波TMがゲートバルブやビューポートにまで伝搬すると、導体表面波TMがもつエネルギにより、これらの機器の近傍に設けられたOリングが焼損したり、これらの機器の直近にてプラズマが生成され、機器表面に反応生成物が付着して不具合を生じさせるおそれがある。そこで、この実施の形態のプラズマ処理装置1では、蓋体3の下面に露出している各誘電体25の周囲を溝50で取り囲む構成とし、この溝50で囲まれた表面波伝搬部51のみに導体表面波TMを有効に伝搬させるようにした。また、発明者らは、伝搬抑制の効果を高めるために溝50の形状の適正化を図った。
「溝50のアスペクト比D/W」
溝50の形状の最適化をする際に、計算に用いる電子密度をどのように設定するかが重要である。導体表面波がプラズマ中に入り込む深さは進入長δ程度であり、数mm〜十数mmである(表1参照)。このようにプラズマの表面に近い部分の電子密度を様々な処理条件において実測すると、1×1011cm−3〜1×1012cm−3であった。そこで、電子密度nを1×1011cm−3〜1×1012cm−3の範囲に定めて検討を行った。図8に示したように、断面が略矩形状の溝50を選択した。溝50の幅をW、深さをDとする。
溝のアスペクト比D/Wの適正値を導き出すために、電子密度nが1×1011cm−3、4×1011cm−3、1×1012cm−3の場合、導体表面波TMが、溝50にてどの程度減衰するかをシミュレーションにより求めた。このとき、溝50の幅Wを4mmに設定した。その結果を図9に示すとともに、この結果について図10を参照しながら以下に考察する。
図8に示したように、導体表面波TMは、溝50に到達すると、溝50の底面を伝搬する導体表面波TM11と溝50をジャンプしてプラズマ中を直接伝わる透過波TM12とに分配される。導体表面波TM11と透過波TM12とは、溝50の端部Pにて再び合流する。その際、導体表面波の一部は反射し、反射波(導体表面波TM22)となり、残りは、進行波(導体表面波TM21)となってさらに伝搬していく。
このとき、導体表面波TM11と透過波TM12との位相が180度ずれていると、合流地点Pでこの2つの波はうち消し合って、ほぼ全反射する。このとき、進行波(導体表面波TM21)は存在しない、すなわち、導体表面波TMは溝50の先に伝搬しない。
たとえば、図9にて導体表面波TMの透過量が−10dBの場合、導体表面波TMの90%は、溝50により反射され、反射波TM22となって戻り、残りの10%だけが導体表面波TM21となって溝50を超えて伝搬する。すなわち、この場合、溝50が障害となって導体表面波の90%は溝50により減衰する。
図9によれば、電子密度がn高いほど、透過量が最小となるアスペクト比D/Wの値が大きいほうにずれることが分かる。また、電子密度nが1×1011cm−3、4×1011cm−3、1×1012cm−3のすべての場合について、導体表面波TMの90%が溝50にて反射されるアスペクト比D/Wは0.26である。導体表面波TMの90%が溝50にて反射されれば、その溝50は導体表面波TMの伝搬抑制機能を充分に果たしているといえる。よって、発明者らは、すべての電子密度において導体表面波TMの90%が反射される0.26をアスペクト比D/Wの下限値と定めた。
つぎに、溝50の幅Wを4mm、6mm、12mmとした場合のアスペクト比D/Wに対する導体表面波TMの透過量を求めた結果を図10に示す。ここでは、電子密度nを1×1012cm−3に設定した。前述したように、電子密度がn高いほど、透過量が最小となるアスペクト比D/Wの値が大きいほうにずれる。よって、シミュレーション時、導体表面波TMの電子密度nを最も高く設定することによりアスペクト比D/Wの上限値を求めることができる。
溝の幅Wを変えたとき、透過量が最小となるアスペクト比D/Wの値は、W=6mmで最大値をとる。このとき、導体表面波TMの90%が溝50にて反射されるアスペクト比D/Wは2.3となることがわかる。このようにして、発明者らは、導体表面波TMの伝搬を抑制するためは、溝50のアスペクト比D/Wを、0.26≦D/W≦2.3を満たすように定める必要があると結論付けた。
<溝50の幅W>
つぎに、発明者らは、溝50の幅Wとシース厚さtとの関係および溝50の幅Wと進入長δとの関係に着目して溝50の幅Wの適正値についてつぎのように考察した。図11(a)に示したように、溝50の幅Wがシース厚さtの2倍以下である場合(2t≧W)、溝50の内部空間はすべてシース領域となる。この結果、溝50がある部分とない部分とのシース厚さtに段差が生じず、溝50を設けても、導体表面波TMにとっては、溝50はないものと同じになる。よって、2t≧Wでは、溝50は伝搬抑制の機能を果たさない。
一方、図11(b)に示したように、溝50の幅Wがシース厚さtの2倍より大きい場合(2t<W)、溝50の底面に沿って生じるシース領域は、0.1mm程度の幅しかないので、溝50を設けたことによりシース領域に段差が生じる。この結果、溝50の底面近傍に沿って伝搬する導体表面波TM11と、溝を飛び越えて伝搬する導体表面波TM12とにより溝50の端部Pにて反射が起こり、導体表面波TMの一部は反射波(導体表面波TM22)となって、残りの導体表面波TM21だけが溝50を超えて伝搬する。以上の考察から、発明者らは、溝50が、導体表面波TMの伝搬抑制機能を有するためには、溝50の幅Wは、シース厚さtの2倍より大きい(2t<W)必要があることを見いだした。
つぎに、発明者らは、溝50の幅Wを適正化する他の方法として、溝50の幅Wと進入長λとの関係に着目した。前述したように、進入長δは、マイクロ波がどれだけプラズマPに入射可能であるかを示す。
導体表面波TMは、プラズマPの境界面から進入長δより深く、プラズマ内部へ入射することはできない。したがって、溝50の幅Wが、進入長δの2倍以上の場合(2δ≦W)、図12(a)に示したように、透過波TM12は、進入長δより深くプラズマ内部に入り込めず、溝50を飛び越えて伝搬することができない。このため、進入長δの2倍以上の幅Wの溝50を設けても、溝50の端部Pにて導体表面波TMの伝搬の抑制に有効な反射は起こらず、導体表面波TMは溝50を超えてその先に伝搬する。
一方、図12(b)に示したように、溝50の幅Wが、進入長δの2倍より小さい場合(2δ>W)、透過波TM12が伝搬できない領域は生じない。この結果、溝50の底面に沿って伝搬する導体表面波TM11と、溝50を飛び越えて伝搬する導体表面波TM12とにより溝50の端部Pにて反射が起こり、導体表面波TMの一部は反射波(導体表面波TM22)となって、残りの導体表面波TM21だけが溝50を超えて伝搬する。以上の考察から、発明者らは、溝50が、導体表面波TMの伝搬を抑制する機能を有するためには、溝50の幅Wは、進入長δの2倍より小さい場合(2δ>W)必要があることを解明した。
再び図10を参照する。このときの電子密度nは1×1012cm−3であり、進入長δは5.3mmである。溝50の幅Wが4mmおよび8mmの場合には、溝50の幅Wが進入長δの2倍より小さいため、アスペクト比D/Wを最適化すると透過量を−40dB以下と非常に小さく抑えることが可能である。一方、W=12mmの場合には、進入長δの2倍より大きいため、アスペクト比D/Wを最適化しても透過量を−10dB以下にすることができないことがわかる。
「曲率半径」
溝のコーナ部(図8のコーナCa、Cb)やエッジ部では、インピーダンスが不連続になるため伝搬する導体表面波の一部が反射する。コーナ部やエッジ部の角が丸くなるとインピーダンスの不連続性が緩和されるため、透過量が増加する。特に、コーナ部やエッジ部の曲率半径Rが導体表面波の波長に対して無視できない程度に大きくなると、透過量が大きく増加する。
導体表面波が一箇所の曲率半径Rのコーナ部を通過するときの透過量をシミュレーションにより計算した結果を図13に示す。電子密度nは1×1012cm−3、プラズマ電位は24Vに設定した。このときのシース厚tは0.07mm、導体表面波の波長λcは30.4mm、進入長δは5.3mmである。
導体表面波の透過量は、曲率半径が0mm、すなわちコーナ部が直角の場合に最も小さく、曲率半径Rの増加とともに大きくなることが分かる。コーナ部が直角の場合の透過量に対して10%透過量が増加するまでであれば、溝50は、伝搬抑制機能を有しているとすれば、コーナ部の曲率半径が0.77mmまでが許容範囲となる。0.77mmは、導体表面波TMの波長30.4mmの約1/40(=0.77/30.4)である。以上のシミュレーション結果および考察から、溝50のコーナ部の曲率半径Rが、導体表面波TMの波長λの1/40よりも小さい必要があると結論付けた。
「溝50の位置」
上述したように、溝50を設けることにより、表面波伝搬部51全体に伝搬させた導体表面波TMによりプラズマPを生成させることができる。即ち、溝50で囲まれた表面波伝搬部51の下面全体でプラズマPを生成させることができるので、溝50の位置によって、処理容器4内で生成されるプラズマPの領域を制御することが可能である。
通常、プラズマ処理装置1の処理容器4内では、基板Gの上方において、基板サイズを超えた外側の範囲まで、プラズマPを生成させ、基板Gの上面(処理面)全体に均一なプラズマ処理を行うようにしている。したがって、蓋体3の下面において、基板サイズを超えた外側の位置に溝50を配置し、基板Gの上方において、基板サイズを超えた外側の範囲まで表面波伝搬部51を設けることが望ましい。
なお、溝50は、プラズマ処理中においてプラズマが接する処理容器4内壁の金属面であれば、どこに設けられていてもよい。たとえば、ゲートバルブ、ビューポート等の他の機構を取り囲むように溝50を形成しても良い。これにより、ゲートバルブ、ビューポート等の損失、反応生成物の付着等の不具合を回避できる。
(誘電体25の露出面積と基板Gの表面積の関係(1/5))
処理容器4の内部において行われるプラズマ処理においては、サセプタ10上に載置された基板Gの表面へのイオン入射が重要な役割を担っている。例えば、プラズマ成膜処理では、基板Gの表面にプラズマ中のイオンを入射させながら成膜を行うことにより、基板Gの温度が低温でも高品質な薄膜を短時間で形成することができる。また、プラズマエッチング処理では、基板Gの表面へのイオンの垂直入射による異方性エッチングにより、微細なパターンを正確に形成することが可能になる。このように、何れのプラズマ処理においても、良好なプロセスを行うには基板Gの表面へのイオン入射エネルギをプロセス毎に最適な値に制御することが不可欠となる。基板Gの表面へのイオン入射エネルギは、高周波電源13からサセプタ10を通して基板Gに印加される高周波バイアス電圧によって制御することができる。
図14に、サセプタ10(高周波印加電極)と蓋体3(対向電極=グランド電極)との間に高周波電圧を印加したプラズマ処理中の処理容器4内の状態を示す。プラズマ処理装置1の処理容器4内では、基板Gの上方において、基板サイズを超えた外側の範囲まで、高密度のプラズマPが生成される。このように、基板サイズを超えた範囲までプラズマPを生成させることにより、基板Gの上面(処理面)全体に均一なプラズマ処理を行うことができる。例えば、2.4m×2.1mのガラス基板を処理する場合を例にすると、プラズマPの生成範囲は、基板サイズより片側で15%程度、両側で30%程度大きな領域である。このため、蓋体3の下面においては、基板サイズよりも片側で15%程度(両側で30%程度)の範囲が、グランド電極3’となる。
一方、高周波電源13から基板Gに高周波バイアス電圧が印加されることにより、プラズマ処理中の処理容器4内では、プラズマPと基板Gの上面(処理面)との間およびプラズマPと蓋体3下面のグランド電極3’の部分との間にはプラズマシースg、sが形成される。高周波電源13から印加された高周波バイアス電圧は、これらプラズマシースg、sに分圧されてかかることになる。
ここで、基板Gの処理面(上面)の表面積をAs、プラズマPと対向している蓋体3下面のグランド電極3’となっている部分の面積をAgとし、基板Gの処理面とプラズマPとの間のプラズマシースsにかかる高周波電圧をVs、蓋体3の下面とプラズマPとの間のプラズマシースgにかかる高周波電圧をVgとする。これら高周波電圧Vs、Vgと、面積As、Agとには、次の式(15)の関係がある。
(Vs/Vg)=(Ag/As) (15)
Brian Chapman、 "Glow Discharge Processes、" A Wiley
Interscience Publication、 1980.
プラズマシースs、gを流れる電子電流の影響により、プラズマシースs、gにかかる高周波電圧Vs、Vgが大きくなると、プラズマシースs、gにかかる直流電圧が大きくなる。プラズマシースs、gにかかる直流電圧の増加分は、高周波電圧Vs、Vgの振幅(0 to peak値)とほぼ等しい。プラズマP中のイオンはプラズマシースs、gにかかる直流電圧により加速されて電極面である基板Gの処理面および蓋体3の下面に入射するが、このイオン入射エネルギは、高周波電圧Vs、Vgによって制御することができる。
この実施の形態で示したプラズマ装置1の場合、高周波電源13によって基板Gの処理面と蓋体3下面との間に印加された高周波電圧(=Vs+Vg)は、基板G表面および蓋体3下面の近傍に形成されるプラズマシースs、gに分圧してかかることとなる。このとき、蓋体3下面近傍のプラズマシースgにかかる高周波電圧Vgを可能な限り小さくし、高周波電源13から印加された高周波電圧の大半が、基板G表面近傍のプラズマシースsにかかるようにすることが望ましい。なぜならば、蓋体3下面近傍のプラズマシースgにかかる高周波電圧Vgが大きくなると、電力効率が悪化するばかりでなく、蓋体3(グランド電極)に入射するイオンのエネルギが増加し、蓋体3下面がスパッタされて金属汚染が引き起こされるからである。実際のプラズマ処理装置では、蓋体3下面近傍のプラズマシースgにかかる高周波電圧Vgが、基板G表面近傍のプラズマシースsにかかる高周波電圧Vsの1/5以下でないと実用にならない。即ち(15)式より、プラズマPと対向している蓋体3下面のグランド電極3’となっている部分の面積は、最低でも基板G表面の面積の1.5倍以上でなければならないことが分かる。
従来のマイクロ波プラズマ処理装置では、基板Gと対向する蓋体3の下面の大部分がマイクロ波を伝えるための誘電体25で覆われているため、特に大型基板用のプラズマ処理装置では高密度プラズマが接するグランド電極の面積が小さかった。上述のように、例えば2.4m×2.1mのガラス基板を処理するプラズマ処理装置1においては、高密度のプラズマPが基板サイズより片端15%程度、両端で30%程度大きな領域に生成され、このプラズマPと対向する蓋体3の下面部分がグランド電極3’となる。仮に、このグランド電極3’の部分において、誘電体25が処理容器4の内部の露出しておらず全て接地部であれば、プラズマPと対向するグランド電極3’の面積は基板面積の1.7倍((1+0.3))となる。ところが、従来のマイクロ波プラズマ処理装置では、グランド電極3’のうちの大部分が誘電体25で覆われているため十分な面積が得られなかった。このため、従来の大型基板用のマイクロ波プラズマ処理装置では、高周波バイアスを印加すると金属汚染を生じる危惧があった。
そこで、この実施の形態にかかるプラズマ処理装置1では、処理容器4の内部に露出する誘電体25の露出面の面積をなるべく小さくし、誘電体25の露出面の面積を基板Gの上面の面積の1/5以下に抑える構成とした(なお、後述するように、本発明では蓋体3の下面に沿って伝搬する導体表面波TMを用いて処理容器4内にプラズマPを発生させることができるので、誘電体25の露出面積を小さくしても、グランド電極3’の下面全体において有効にプラズマPを発生させることができる)。このように、プラズマPと接する誘電体25の露出面の面積を基板Gの上面の面積の1/5以下とすれば、必然的に、プラズマPと対向するグランド電極3’の面積は、最低でも基板G表面の面積の1.5(1.7−1/5)倍以上確保される。これにより、蓋体3下面がスパッタされることによる金属汚染を引き起こすことなく、高周波電源13から印加された高周波電圧を、基板G表面近傍のプラズマシースsに効率よく印加させることが可能となる。
(表面波伝搬部の平坦性)
電子密度が高くなるとシースに印加されるマイクロ波電界強度が大きくなる。表面波伝搬部51に微小な角部があると、角部に電界が集中して過熱され、異常放電(アーク放電)が発生することがある。一度異常放電が発生すると、金属表面を溶かしながら放電部が動き回り、金属表面に大きな損傷を与えてしまう。表面波伝搬部51の中心線平均粗さがシースの厚さよりも十分小さければ、微小な角部があっても金属表面に平均的に電界がかかるから、電界が集中することはなく、異常放電も起こらない。
先にシース厚さtについて説明したが、シース厚さtは電子密度の平方根に逆比例する。最大の電子密度として、1×1013cm-3を仮定すれば十分である。このときのデバイ長は3.3μmであり、Arプラズマの場合、シースの厚さはその3.5倍の12μmとなる。金属表面の中心線平均荒さがシースの厚さの1/5以下、より好ましくは1/20以下になっていれば、微小な角部での電界集中は無視できる。従って、表面波伝搬部51の中心線平均粗さは、2.4μm、より好ましくは0.6μm以下になっていればよい。
(変形例)
以下、プラズマ処理装置1の他の実施の形態を説明する。なお、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と共通の構成要素については、同一の符号を付することにより、重複説明を省略する。
(第1の変形例)
図15は、第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図16中のY−Y断面)である。図16は、第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図15中のX−X断面)である。図17は、図15中のZ−Z断面における蓋体3の上部における横断面図である。
この第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、例えばAlからなる4つの板状の誘電体25の下面に、板状の金属電極70を取付けた構成である。金属電極70の中央には、蓋体3および誘電体25を上下に貫通している金属棒45の下端が取付けてある。金属棒45の上端は、蓋体3の上面においてバネ71で持ち上げられており、このバネ71の力によって、金属電極70の上に載せられた誘電体25が、蓋体3の下面に押し付けられている。
誘電体25および金属電極70は、いずれも略四角形であるが、誘電体25は金属電極70よりも僅かに大きい。このため、処理容器4の内部から見ると、金属電極70の周囲において誘電体25が露出した状態になっている。
金属棒45の周囲には、誘電材料からなるリング部材72が取付けてあり、リング部材72と金属棒45の間およびリング部材72と蓋体3の間には、シール部材としての二つのOリング73が金属棒45を中心として同心円状に設けられている。これにより、図示のように容器本体2の上方を蓋体3によって塞いだ状態では、蓋体3の下面周辺部と容器本体2の上面との間に配置されたOリング21と、金属棒45と蓋体3との間に配置された二つのOリング73によって、処理容器4内の気密性が保持されている。
蓋体3の上面中央には、内側導体36と外部導体37で構成される同軸管35が接続されている。内側導体36の下端は、蓋体3の内部に形成された分配導波管74の中央に配置されており、同軸管35により供給された2GHz以下の周波数を有するマイクロ波が、分配導波管74、金属棒45および金属電極70を伝搬して誘電体25に供給されている。蓋体3の内部に形成された分配導波管74の終端面(分配導波管74が収納されている蓋体3の内部空間の内壁面)74’は、金属棒45の中心軸から距離λ/4の位置に設定され、同軸管35により供給されたマイクロ波が導波管74から金属棒45に効率よく伝搬されるようになっている。
また、この第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に配置された4つの表面波伝搬部51の更に外側に、外周溝51’を設けている。また、金属電極70の下面に複数のガス放出孔61を開口させ、金属棒45の内部に貫通させたガス流路75から各ガス放出孔61を通じて処理容器4内部に所定のガスを供給する構成になっている。
この第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、誘電体25の周囲から表面波伝搬部51に導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができ、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。また、この第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1では、誘電体25の周囲から金属電極70の下面にも導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができる。加えて、この第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1にあっては、蓋体3の下面において、表面波伝搬部51の更に外側に外周溝51’を設けているので、導体表面波TMが容器本体2の内壁まで伝搬することをより確実に防止でき、処理容器4内のプラズマ生成領域を制御しやすいといった利点がある。また、バネ71の力で金属棒45を吊り下げることにより、金属電極70の上に載せた誘電体25を支持した構成であり、誘電体25が蓋体3、金属電極70および金属棒45に対して固定されていないので、熱膨張等による金属部材(蓋体3、金属電極70および金属棒45)の変形などの影響を誘電体25に及ぼすことがなく、誘電体25の破損を防止できる。
(第2の変形例)
図18は、第2の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図である。図19は、図18中のZ−Z断面における蓋体3の上部における横断面図である。
この第2の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、基本的には、先に図15〜17で説明した第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1と同様の構成である。但し、この第2の変形例にかかるプラズマ処理装置2では、分配導波管74の終端面74’が下方に形成されている点、および内部導体36が蓋体3とインピーダンス整合手段としての誘電体42を介して接続されている点が異なる。この第2の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、先に図14〜16で説明した第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。加えて、この第2の変形例にかかるプラズマ処理装置1によれば、蓋体3の内部に形成された分配導波管74を小型にできる。
(第3の変形例)
図20は、第3の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図21中のY−Y断面)である。図21は、第3の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図20中のX−X断面)である。
この第3の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、容器本体2が円筒形状であり、処理容器4の内部に円柱形状の処理空間が形成されている。蓋体3およびサセプタ10も円形状になっている。この第3の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、半導体ウェハなどの円盤形状の基板Gをプラズマ処理する構成である。この第3の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、誘電体25の周囲から表面波伝搬部51に導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができ、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。
(第4の変形例)
図22は、第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図23中のY−Y断面)である。図23は、第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図22中のX−X断面)である。
この第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1も、容器本体2が円筒形状であり、半導体ウェハなどの円盤形状の基板Gをプラズマ処理する構成である。この第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1では、誘電体25の下面に、板状の金属電極70を取付けた構成である。但し、この第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、誘電体25および金属電極70が一枚ずつである。金属電極70は、誘電体25、およびリング状の金属スペーサ83を貫通させた接続部材としての金属製のボルト80によって蓋体3に固定されている。金属スペーサ83と蓋体3、および金属スペーサ83と金属電極70は、ボルト80によって密着するようになっている。また、蓋体3の下面と金属電極70の下面の両方にガス放出孔61が開口しており、金属電極70下面のガス放出孔61には、ボルト80の内部に貫通させたガス流路75からガスを供給する構成になっている。また、同軸管35の内側導体36の内部には、冷媒を通す冷媒流路81が形成されている。また、誘電体25上面と蓋体3下面との間および誘電体25下面と金属電極70上面との間に、シール部材としての二つのOリング82が設けられている。これにより、図示のように容器本体2の上方を蓋体3によって塞いだ状態では、蓋体3の下面周辺部と容器本体2の上面との間に配置されたOリング21と、誘電体25上面と蓋体3下面との間および誘電体25下面と金属電極70上面との間に配置された二つのOリング82によって、処理容器4内の気密性が保持されている。
この第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、誘電体25の周囲から表面波伝搬部51と金属電極70の下面に導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができ、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。加えて、この第4の変形例にかかるプラズマ処理装置1にあっては、プラズマから金属電極70に流入した熱が、熱伝導性のよい複数の金属スペーサ83、およびボルト80を通して蓋体3に伝えられるため、金属電極70の温度上昇を抑制できる。また、ボルト80の内部に貫通させたガス流路75からガスを供給する構成になっているため、第2の変形例のように、金属棒45の内部に貫通させたガス流路75からガスを供給する構成よりも金属電極70の着脱が容易でメンテナンス性に優れている。内側導体36の温度上昇も防止できる。さらに、誘電体25の上下面に設けられた二つのOリング82により平坦面で真空シールするため、第2の変形例のように曲面で真空シールする場合と比較して金属電極70の着脱が容易でメンテナンス性に優れている。
なお、金属電極70の下面には、導体表面波を反射させるための同心円状の溝(不図示)を設けてもよい。金属電極70の中央部は、金属電極70の周囲から伝搬してきた導体表面波が集中するため、プラズマ密度が高くなりやすいが、このように金属電極70に同心円状の溝を設けてその内側に伝搬する導体表面波を抑制することにより、より均一なプラズマを励起することができる。
(第5の変形例)
図24は、第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図25中のY−Y断面)である。図25は、第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図24中のX−X断面)である。
この第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の上部に複数の矩形導波管90がE面(狭壁面)が上向きになるように平行に等間隔に配置されている。それぞれの矩形導波管90の下面には、処理容器4の内部に通じる4つのスロット(開口部)が等間隔に開口されており、スロットの内部には例えばAlからなる誘電体25が配置されている。スロット周囲には、誘電体25と蓋体3との間にOリング93が設けられており、処理容器4内の気密性が保持されている。
矩形導波管90の内部には、例えばテフロン(登録商標)からなる2つの誘電部材91、92が間隔をあけて上下に配置されている。下方の誘電部材92は矩形導波管90に固定されている。一方、誘電部材91の上面には、矩形導波管90を貫通する誘電体棒94が接続されており、誘電体棒94を矩形導波管90の外部から上下に動かすことによって誘電部材91を上下に動かすことができるようになっている。第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1においては、このように誘電部材91の上下方向の位置により矩形導波管90内を伝搬するマイクロ波の管内波長を調整できるようになっている。次にこの原理について説明する。
導波管の内部に誘電体を挿入すると、中空の場合の管内波長λg0と比べて管内波長λgが短くなる。例えば、比誘電率をεrの誘電体を導波管内に隙間なく充填したときの管内波長λgは次式(16)となる。
Figure 2008153064
導波管内の一部に誘電体を挿入した場合には、隙間なく充填した場合の管内波長と、中空の場合の管内波長の中間の管内波長となる。また、同じ体積の誘電体を挿入する場合でも、導波管内において最も電界が強いH面(広壁面)の中心線上に配置した方が、電界が弱いH面の端の方に配置するよりも波長が短くなる。このように、第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1においては、誘電部材91の上下方向の位置により管内波長を調整することができる。なお、固定の誘電部材92は、導波モードの上下方向の対称性を確保するために設けられている。
均一なプラズマを励起するためには、矩形導波管90に設けられた各々のスロットから同一強度のマイクロ波を放出する必要がある。スロットの長手方向のピッチを管内波長の1/2の整数倍(本変形例においては管内波長の1/2倍)に設定することにより、各々のスロットから同一強度のマイクロ波を放出することができる。一般に導波管の管内波長はスロットのインピーダンスにより変化するが、本変形例においては、上記の管内波長調節手段により管内波長をスロットピッチの2倍に常に一致させることにより、プラズマ励起条件が変わっても常に均一なプラズマを励起することが可能である。従って、極めて広い処理条件に対応可能な汎用性の高いプラズマ処理装置が実現される。
この第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、誘電体25の周囲から表面波伝搬部51に導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができ、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。この第5の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に誘電体を分割して配置するCMEP(Cellular Microwave Excitation Plasma)に好適に実施できる。
(第6の変形例)
図26は、第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図27中のY−Y断面)である。図27は、第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図26中のX−X断面)である。
この第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の内部に例えばAlからなる円盤状の誘電体25を内蔵させ、蓋体3の下面に形成した複数のスロット95から、誘電体25の下面が部分的に処理容器4内に露出させられた構成である。スロット95は、同軸管内部導体36の中心軸に対して同心円上に点対称な位置に設けられており、各々のスロット95から同一強度のマイクロ波が放出されるようになっている。蓋体3の下面が、ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)となっている。この第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、複数のスロット95を一括して溝50で囲むことにより、一つの表面波伝搬部51内において複数個所に誘電体25の下面を露出させている。加えて、この第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、複数のスロット95に取り囲まれた領域に同心円状の溝50”で囲まれた表面波非伝搬部96が設けられている。
この第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、処理容器4内に露出させられた誘電体25の周囲から表面波伝搬部51に導体表面波TMを伝搬させてプラズマPを励起させることができ、先に図1等で説明したプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。加えて、この第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1にあっては、表面波伝搬部51の中央に溝50”で囲まれた表面波非伝搬部96が設けられているので、処理容器4内の中央付近にプラズマが集中して生成されることを防ぐことができる。このように、蓋体3の下面に形成する溝50、50’、50”を利用して、処理容器4内に生成されるプラズマPの領域を任意に制御できるようになる。
(第7の変形例)
図28は、第7の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図29中のY−Y断面)である。図29は、第7の変形例にかかるプラズマ処理装置1が備える蓋体3の下面図(図28中のX−X断面)である。
この第7の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の内部に形成された導波管74の下面に配置した例えばAlからなる誘電体25の下面を処理容器4の内部に露出させている。この第7の変形例にかかるプラズマ処理装置1では、複数の誘電体25を一括して溝50で囲むことにより、一つの表面波伝搬部51内において複数個所に誘電体25の下面を露出させている。また、表面波伝搬部51の中央に溝50”で囲まれた表面波非伝搬部96が設けられている。この第7の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、先に説明したこの第6の変形例にかかるプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。
(第8の変形例)
図30は、第8の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図である。図31は、(図30のA−A断面図である。本変形例について、同軸管35以下の構造は図14等に示す第1の変形例とほぼ同一である。4本の分岐同軸管101が、紙面に垂直方向にλg(分岐同軸管101の管内波長)の間隔で等間隔に配置されている。それぞれの分岐同軸管101には、4本の同軸管35がλgの間隔で等間隔に接続されている。同軸管35の下方にはマイクロ波を4分岐する分配導波管74を介して金属棒45が設けられているので、金属棒45、および金属電極70の縦横のピッチはλg/2となる。
分岐導波管101の中央部と分岐導波管100との間には、同軸管38が設けられている。分岐導波管100は、マイクロ波源(図示せず)から供給されたマイクロ波を2段のT分岐回路により4分岐するトーナメント方式の分岐である。分岐導波管100によって均等に分配されたマイクロ波は、同軸管38、分岐同軸管101、同軸管35、分配導波管74、金属棒45、誘電体板25を通してプラズマに供給される。このとき、分岐同軸管101においては、同軸管35がλg/2の整数倍(ここでは2倍)の間隔で接続されているため、それぞれの同軸管35に供給されるマイクロ波の電力および位相が等しくなり、均一なプラズマを励起することが可能になっている。
この第8の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、先に説明した第1の変形例にかかるプラズマ処理装置1と同様の作用効果を享受できる。さらに、分岐導波管100、分岐同軸管101および分配導波管74により、マイクロ波を均等に分配可能な多段の分配器が構成され、分岐数を増やすことで2m角を越える大面積基板にも柔軟に対応することが可能になっている。
「周波数の限定」
先に示した図7より、周波数を下げると減衰量が減小することが分かる。これは、次のように説明される。式(1)によれば、周波数を下げるとプラズマPの誘電率の実部ε′が負に大きくなり、プラズマインピーダンスが小さくなることが分かる。従って、プラズマにかかるマイクロ波電界がシースにかかるマイクロ波電界と比較して弱くなり、プラズマ中におけるマイクロ波の損失が小さくなるため、導体表面波TMの減衰量が減小する。
導体表面波をプラズマの生成に利用しようとした場合、マイクロ波の周波数としてあまり高い周波数を選択すると、導体表面波が必要な箇所まで伝搬しないために均一なプラズマを生成することができない。大面積基板用のプラズマ処理装置において、実質的にどの程度の周波数まで均一なプラズマが得られるかを見積もるために、先ず、図30に示す第8の変形例にかかる代表的なプラズマ処理装置1において、導体表面波が伝搬しなければならない距離を求めた。本変形例は、導体表面波をプラズマの生成に利用した実用的な大面積基板用のプラズマ処理装置の中で、導体表面波を伝搬させる距離が最も短く、より高い周波数まで均一なプラズマが得られる形態である。
図30、31に示すように、分岐同軸管101の管内波長をλgとしたとき、一辺の長さがλg/4の矩形の複数の誘電体25が、λg/2の間隔で縦横に等間隔に配置されている。なお、分岐同軸管101の内部導体と外部導体間が中空の場合には、管内波長λgは自由空間の波長と一致する。たとえば、915MHzにおいては、λg=328mmとなる。横方向に8列、紙面に垂直方向に8列で、計64枚の誘電体25が、誘電体25より外形が僅かに小さい金属電極70によって蓋体3の下面に密着するように保持されている。蓋体3の下面には、各誘電体25を取り囲むように溝50が碁盤目状に設けられており、表面波伝搬部51を画成している。
金属棒45を通して供給されたマイクロ波は、誘電体25中を伝搬し、さらに誘電体25の周囲から導体表面波となって、蓋体3の下面、および金属電極70の表面に沿ってプラズマを励起しながら伝搬する。
図31に示すように、導体表面波TMが大きく減衰しないで(<6dB)伝搬しなければならない最長距離は、λg√2/8となることが分かる。この距離を伝搬したときに6dB減衰するとしたときの1mあたりの減衰量が、図7のグラフの破線で示されている。この値よりも減衰量が小さければ表面波伝搬部51全体で均一なプラズマPを励起することができる。表面波伝搬部51の表面付近の電子密度:4×1011cm-3、電子温度:2eV、シース電圧:24V、圧力:13.3Pa、ガス:Arの条件である。
図7のグラフより、実線と破線が交差する周波数は2070MHzであることが分かる。これよりも周波数が高いと導体表面波TMの減衰が大きくて表面波伝搬部51全体にまで届かないため、均一なプラズマPを励起することができない。導体表面波TMを用いて均一なプラズマPを励起するには、多少余裕を見て2GHz以下の周波数を選択する必要がある。
(第9の変形例)
図32は、第9の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図33中のD−O’−O−E断面)である。図33は、図32中のA−A断面図である。図34は、この実施の形態で使用される誘電体25の平面図である。蓋体3の下面には、例えばAlからなる4つの誘電体25が取付けられている。誘電体25として、例えばフッ素樹脂、石英などの誘電材料を用いることもできる。図34に示すように、誘電体25は正方形の板状に構成されている。誘電体25の四隅には、対角線に対して直角に切り落とされた平坦部150が形成されているので、厳密には、誘電体25は8角形である。しかしながら、誘電体25の幅Lに比べて、平坦部150の長さMは十分に短く、誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる。
図33に示すように、これら4つの誘電体25は、互いの頂角同士(平坦部26同士)を隣接させるように配置されている。また、隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接して配置される。このように4つの誘電体25を、互いの頂角同士を隣接させ、かつ、互いに隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接するように配置することにより、4つの誘電体25に囲まれた蓋体3の下面中央に、正方形の領域Sが形成される。
各誘電体25の下面には、金属電極151が取り付けられている。金属電極151は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなる。誘電体25と同様に、金属電極151も正方形の板状に構成されている。なお、本願明細書では、このように各誘電体25の下面に取り付けられた板状の金属部材を、「金属電極」と呼ぶ。但し、金属電極151の幅Nは、誘電体25の幅Lに比べて僅かに短い。このため、処理容器の内部から見ると、金属電極151の周囲には、誘電体25の周辺部が正方形の輪郭を現す状態で露出している。そして、処理容器4の内部から見ると、誘電体25の周辺部によって形成された正方形の輪郭の頂角同士が隣接させて配置されている。
誘電体25および金属電極151は、ネジ等の接続部材152によって、蓋体3の下面に取り付けられている。処理容器の内部に露出している接続部材30の下面は、金属電極151の下面と同一面になっている。なお、接続部材30の下面31は、必ずしも金属電極27の下面と同一面でなくても良い。誘電体25に対する接続部材152の貫通箇所には、リング状のスペーサー153が配置されている。このスペーサー153の上にはウェーブワッシャー等の弾性部材153’が配置され、誘電体25の上下面に隙間のない状態になっている。誘電体25の上下面に制御されない隙間があると、誘電体25を伝搬するマイクロ波の波長が不安定になり、全体としてプラズマの均一性が悪くなったり、マイクロ波入力側から見た負荷インピーダンスが不安定になってしまう。また、隙間が大きいと、放電したりもする。誘電体25および金属電極151を蓋体3の下面に密着させて且つ接続部で確実に電気的、熱的に接触させるために、接続部に弾性のある部材を用いる必要がある。弾性部材153’は、例えば、ウェーブワッシャー、バネワッシャー、皿バネ、シールドスパイラル等でも良い。材質は、ステンレススチール、アルミ合金等である。接続部材152は導電性の金属などで構成され、金属電極151は、接続部材152を介して蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。接続部材152は、例えば、四角形に構成された金属電極151の対角線上に4箇所に配置されている。
接続部材152の上端は、蓋体3の内部に形成された空間部155に突出している。このように空間部155に突出した接続部材152の上端には、ウェーブワッシャーからなる弾性部材35を介してナット36が取り付けられている。この弾性部材35の弾性により、誘電体25および金属電極27は、蓋体3の下面に密着するように付勢されている。誘電体25の上下面に制御されない隙間があると、誘電体25を伝搬するマイクロ波の波長が不安定になり、全体としてプラズマの均一性が悪くなったり、マイクロ波入力側から見た負荷インピーダンスが不安定になってしまう。また、隙間が大きいと、放電したりもする。誘電体25および金属電極151を蓋体3の下面に密着させて且つ接続部で確実に電気的、熱的に接触させるために、接続部に弾性のある部材を用いる必要がある。弾性部材152は、例えば、ウェーブワッシャー、バネワッシャー、皿バネ、シールドスパイラル等でも良い。材質は、ステンレススチール、アルミ合金等である。この場合、蓋体3の下面に対する誘電体25および金属電極151の密着力の調整は、ナット36の調整によって容易に行われる。
蓋体3下面と誘電体25上面との間には、封止部材としてのOリング30が配置されている。Oリング37は、例えばメタルOリングである。このOリング30によって、処理容器4の内部雰囲気が、同軸管35の内部雰囲気と遮断され、処理容器4の内部と外部との雰囲気が隔てられている。
接続部材152の中心部には、縦方向のガス流路160が設けられており、誘電体25と金属電極151との間には、横方向のガス流路161が設けられている。金属電極151の下面には、複数のガス放出孔152が分散して開口されている。ガス供給源60からガス配管55を通じて蓋体3内の空間部155に供給された所定のガスが、ガス流路160、161およびガス放出孔162を通って、処理容器4の内部に向けて分散して供給されるようになっている。
4つの誘電体25に囲まれた蓋体3の下面中央の領域Sには、金属カバー165が取り付けられている。この金属カバー165は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなり、蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。金属カバー165は、金属電極151と同様に、幅Nの正方形の板状に構成されている。
金属カバー165は、誘電体25と金属電極151の合計程度の厚さを有する。このため、金属カバー165下面と金属電極151下面は、同一面になっている。
金属カバー165は、ネジ等の接続部材166によって、蓋体3の下面に取り付けられている。処理容器の内部に露出している接続部材166の下面は、金属カバー165の下面と同一面になっている。なお、接続部材166の下面167は、必ずしも金属カバー165の下面と同一面でなくても良い。接続部材166は、例えば、四角形に構成された金属カバー165の対角線上に4箇所に配置されている。ガス放出孔172を均等に配置するために、誘電体25の中心と接続部材166の中心間の距離は、隣り合う誘電体25の中心間の距離L'の1/4に設定されている。
接続部材166の上端は、蓋体3の内部に形成された空間部155に突出している。このように空間部155に突出した接続部材166の上端には、バネワッシャー、ウェーブワッシャー等の弾性部材168を介してナット169が取り付けられている。この弾性部材168の弾性により、金属カバー165は、蓋体3の下面に密着するように付勢されている。
接続部材166の中心部には、縦方向のガス流路170が設けられており、蓋体3下面と金属カバー165との間には、横方向のガス流路171が設けられている。金属カバー165の下面には、複数のガス放出孔172が分散して開口されている。ガス供給源60からガス配管55を通じて蓋体3内の空間部155に供給された所定のガスが、ガス流路170、171およびガス放出孔172を通って、処理容器4の内部に向けて分散して供給されるようになっている。
蓋体3の下面において、4つの誘電体151の外側の領域には、サイドカバー175が取り付けられている。このサイドカバー175は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなり、蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。サイドカバー175も、誘電体25と金属電極151の合計程度の厚さを有する。このため、サイドカバー175下面は、金属カバー165下面および金属電極151下面と同一面になっている。
サイドカバー175の下面には、4つの誘電体25を取り囲むように配置された2重の溝50が設けられており、この2重の溝50で仕切られた内側の領域において、サイドカバー175には、4つのサイドカバー内側部分178が形成されている。これらサイドカバー内側部分178は、処理容器4の内部から見た状態において、金属カバー165を対角線で2等分した直角二等辺三角形とほぼ同様の形状を有している。ただし、サイドカバー内側部分178の二等辺三角形の高さは、金属カバー165を対角線で2等分した二等辺三角形の高さよりも、僅かに(導体表面波の波長の1/4程度)長くなっている。これは、導体表面波から見た二等辺三角形の底辺部における電気的な境界条件が、両者で異なるためである。
また、本実施形態においては、溝50は処理容器内部から見ると8角形の形状になっているが、4角形の形状になっていてもよい。こうすれば、4角形の溝50の角と誘電体25との間にも、同様の直角二等辺三角形の領域が形成される。また溝50で仕切られた外側の領域において、サイドカバー175には、蓋体3下面の周辺部を覆うサイドカバー外側部分179が形成されている。
後述するように、プラズマ処理中、マイクロ波供給装置34から各誘電体25に伝搬されられたマイクロ波は、蓋体3の下面に露出している誘電体25の周囲から金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面に沿って伝搬させられる。その際、溝50は、サイドカバー内側部分178下面に沿って伝搬させられたマイクロ波(導体表面波)が、溝50を超えて外側(サイドカバー外側部分179)に伝搬させないようにするための、伝搬障害部として機能する。このため、本実施の形態では、蓋体3の下面において溝50で囲まれた領域である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面が表面波伝搬部51となる。
サイドカバー175は、ネジ等の接続部材180によって、蓋体3の下面に取り付けられている。処理容器の内部に露出している接続部材180の下面は、サイドカバー175の下面と同一面になっている。なお、接続部材180の下面は、必ずしもサイドカバー175の下面と同一面でなくても良い。
接続部材180の上端は、蓋体3の内部に形成された空間部155に突出している。このように空間部155に突出した接続部材180の上端には、バネワッシャー、ウェーブワッシャー等の弾性部材181を介してナット182が取り付けられている。この弾性部材181の弾性により、サイドカバー175は、蓋体3の下面に密着するように付勢されている。
接続部材180の中心部には、縦方向のガス流路185が設けられており、蓋体3下面とサイドカバー175との間には、横方向のガス流路186が設けられている。サイドカバー175の下面には、複数のガス放出孔187が分散して開口されている。ガス供給源60からガス配管55を通じて蓋体3内の空間部155に供給された所定のガスが、ガス流路185、186およびガス放出孔187を通って、処理容器4の内部に向けて分散して供給されるようになっている。
金属棒45の上端には、蓋体3の上部に設けられたバネ190の押圧力が、支柱191を介して加えられている。金属棒45の下端は、蓋体3の下面に取り付けられた誘電体25の上面中央に当接している。誘電体25の上面中央には、金属棒45の下端を受ける凹部192が形成されている。バネ190の押圧力によって、金属棒45は、下端を誘電体25上面中央の凹部192に挿入させた状態で、誘電体25を貫通せずに上から押し付けられている。支柱191は、テフロン(登録商標)等の絶縁体からなる。なお、凹部192を設けるとマイクロ波入力側から見た反射を抑制することができるが、なくてもよい。その他、サセプタ10の周囲には、処理容器4の内部において、ガスの流れを好ましい状態に制御するためのバッフル板195が設けられている。
以上のように構成された第9の変形例にかかるプラズマ処理装置1によれば、プラズマ処理中は、蓋体3下面全体に配置させた各ガス放出孔162、172、187から、基板Gの処理面全体にシャワープレートのような状態で所定のガスを均一に供給することができ、サセプタ10上に載置された基板Gの表面全体に所定のガスを満遍なく供給することが可能となる。
そして、このように所定のガスが処理容器2内に供給される一方で、ヒータ12によって基板Gが所定の温度に加熱される。また、マイクロ波供給装置34で発生させられた例えば915MHzのマイクロ波が、同軸管35、分岐板40および電極棒45を通じて、各誘電体25中に伝送させられる。そして、各誘電体25を透過したマイクロ波が、導体表面波の状態で、表面波伝搬部51である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面に沿って伝搬させられていく。
ここで、図35は、表面波伝搬部51である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面において、導体表面波が伝搬していく状態の説明図である。プラズマ処理中、導体表面波(マイクロ波)TMは、蓋体3の下面において格子状に露出している誘電体25を透過し、金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面に沿って伝搬させられる。この場合、金属カバー165と金属電極151は、いずれも面積がほぼ同一の正方形であり、また、金属カバー165と金属電極151は、いずれも、処理容器4内に露出している誘電体25の部分(周辺部)で四辺を囲まれた状態になっている。このため、金属カバー165と金属電極151に対しては、誘電体25を透過した導体表面波TMがほとんど等しい状態で伝搬させられる。その結果、金属カバー45下面と金属電極27下面においては、全体的に均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることができる。
一方、金属カバー165と金属電極151が、処理容器4内に露出している誘電体25の部分(周辺部)で四辺を囲まれた状態になっているのに対して、サイドカバー内側部分178は、処理容器4内に露出している誘電体25の部分(周辺部)で2辺のみが囲まれた状態になっている。このため、サイドカバー内側部分178下面に対しては、金属カバー165および金属電極151に比べて、約半分程度のパワーで導体表面波TMが伝播させられる。しかしながら、サイドカバー内側部分178は、金属カバー165を対角線で2等分した直角二等辺三角形とほぼ同様の形状であり、サイドカバー内側部分178の面積は、金属カバー165と金属電極151の面積のほぼ半分である。このため、サイドカバー内側部分178下面においても、金属カバー165下面および金属電極151下面と等しい条件でプラズマを生成させることができる。
また、処理容器4内に露出している誘電体25の部分(周辺部)を中心に考えると、一部を除けば、図35に示すように、処理容器4内に露出している誘電体25の部分の両側には、同様の直角二等辺三角形で示される表面波伝搬部部分aが左右対称に形成されている。このため、表面波伝搬部部分aに対しては、いずれも等しい条件で、処理容器内に露出している誘電体25の部分から導体表面波TMが伝搬させられる。その結果、表面波伝搬部全体(即ち、金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面全体)において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることができる。
加えて、このプラズマ処理装置1では、上述したように、処理容器4の内部に露出している金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー175下面の全体にガス放出孔162、172、187が細かく分布して設けられていることにより、サセプタ10上に載置された基板Gの表面全体に所定のガスを満遍なく供給することができる。このため、表面波伝搬部51である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(誘電体25の厚さ)
この第9の変形例にかかるプラズマ処理装置1では、誘電体25および金属電極151が、接続部材152によって蓋体3の下面に取り付けられているが、金属電極151を蓋体3に電気的に接続させている接続部材152の周辺では、誘電体25中をマイクロ波が伝搬することができない。接続部材152の周辺を抜けたマイクロ波は、誘電体25の角部まで回折の効果である程度は回り込むが、誘電体25の角部のマイクロ波電界強度は、他の部分より弱くなる傾向がある。あまり弱くなると、プラズマの均一性が悪化してしまう。
図36に、電磁界シミュレーションにより求めたシース中のマイクロ波電界の定在波分布を示す。誘電体25の材質はアルミナである。プラズマ中の電子密度は3×1011cm-3、圧力は13.3Paである。なお、図36に示すように、一枚の金属電極151を中心として、隣接する金属カバー165の中心点を頂点に持つ領域(もしくは、この隣接する金属カバー165の中心点を頂点に持つ領域と同様の機能を果たす、サイドカバー内側部分178を二等分した領域)を含むユニットを、セルと呼ぶ。想定したセルは、一辺の長さが164mmの正方形である。セルの中央に、セルに対して45°回転した状態で誘電体25が存在している。電界が強い部分が明るく表示されている。金属電極151下面、金属カバー165、サイドカバー内側部分178下面には、規則的で対称な2次元的な定在波が生じていることがわかる。これはシミュレーションにより求めた結果であるが、実際にプラズマを立ててプラズマを観察すると、全く同じ分布が得られることが分かっている。
誘電体25の厚さを3mmから6mmまで変えたときの、図36の直線A−Bにおけるシース中のマイクロ波電界強度分布を図37に示す。縦軸は、直線A−Bにおける最大電界強度で規格化してある。中央と端部(金属カバー角部)が定在波の腹の位置になっており、その間に節の位置があることが分かる。中央と端部で電界強度が概ね等しいことが望ましいが、端部の方が弱いことが分かる。
こうして求められた金属カバー角部の規格化電界強度を、図38に示す。誘電体25の厚さが3mmのときは93%であるが、誘電体25の厚さが厚くなると減少し、6mmでは66%になることが分かる。プラズマの均一性を考慮すれば、金属電極151下面の角部と金属カバー165の角部の規格化電界強度は70%以上、より好ましくは80%以上であることが望ましい。図38から、規格化電界強度を70%以上にするためには誘電体25の厚さを4.1mm以下、80%以上にするためには5.1mm以下にする必要があることが分かる。
誘電体25中を伝搬するマイクロ波の回折により誘電体25に達するマイクロ波の強度は、誘電体25の厚さだけでなく、伝搬障害物である接続部材152と誘電体25までの距離に依存する。この距離が長いほど、誘電体25に達するマイクロ波の強度は強くなる。接続部材30と誘電体25角部までの距離は、誘電体25の中心間の距離(セルのピッチ)に概ね比例する。従って、誘電体25の中心間の距離に対し、誘電体25の厚さを一定以下に設定すればよいことになる。図36においてセルのピッチは164mmであるから、規格化電界強度を70%以上にするためには誘電体25の厚さを誘電体25の中心間の距離の1/29以下に、80%以上にするためには1/40以下にすればよい。
(処理容器4内における誘電体25の露出部分の面積)
誘電体25の端部まで誘電体25中を伝搬したマイクロ波は、誘電体25に隣接した金属表面上(即ち、金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面)を導体表面波として伝搬していく。このとき、図35に示したように、処理容器4内に露出している誘電体25の部分の両側に形成される2つの表面波伝搬部部分aを対称な形状にするとともに、これら2つの表面波伝搬部部分aにマイクロ波のエネルギが等分に分配されるようにすれば、2つの表面波伝搬部部分aには密度および分布が等しいプラズマが励起され、表面波伝搬部全体として均一なプラズマが得られやすい。
一方、誘電体25が処理容器4内に露出している部分でも、誘電体表面波によりプラズマが励起される。誘電体表面波は、誘電体25とプラズマとの両方にマイクロ波電界がかかるのに対し、導体表面波は、プラズマのみにマイクロ波電界がかかるので、一般に導体表面波の方がプラズマにかかるマイクロ波電界が強くなる。このため、金属表面である表面波伝搬部(即ち、金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面)には誘電体25表面よりも密度が高いプラズマが励起される。
誘電体25の露出部分の面積が表面波伝搬部部分aの面積よりも十分小さければ、プラズマの拡散により基板Gの周辺では均一なプラズマが得られる。しかし、誘電体25の露出部分の面積が片方の表面波伝搬部部分aの面積よりも大きければ、すなわち、表面波伝搬部全体で見ると、誘電体25の露出部分の合計面積が、表面波伝搬部の面積の1/2よりも大きければ、不均一なプラズマになるばかりでなく、面積の小さな表面波伝搬部に電力が集中して異常放電が発生したりスパッタリングが起こる可能性が高くなる。従って、誘電体25の露出部分の合計面積の面積を、表面波伝搬部の面積の1/2以下、より好ましくは1/5以下にすることが望ましい。
(第10の変形例)
図39は、第10の変形例にかかるプラズマ処理装置1の蓋体3の下面図である。この変形例10にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に例えばAlからなる8つの誘電体25が取付けられている。第9の変形例と同様、図39に示すように、各誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる板状である。各誘電体25は、互いの頂角同士を隣接させるように配置されている。また、隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接して配置される。このように8つの誘電体25を、互いの頂角同士を隣接させ、かつ、互いに隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線上に、各誘電体25の頂角が隣接するように配置することにより、蓋体3の下面には、4つの誘電体25に囲まれた正方形の領域Sが3箇所に形成される。
各誘電体25の下面には、金属電極151が取り付けられている。金属電極151は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなる。誘電体25と同様に、金属電極151も正方形の板状に構成されている。但し、金属電極151の幅Nは、誘電体25の幅Lに比べて僅かに短い。このため、処理容器4の内部から見ると、金属電極151の周囲には、誘電体25の周辺部が正方形の輪郭を現す状態で露出している。そして、処理容器4の内部から見ると、誘電体25の周辺部によって形成された正方形の輪郭の頂角同士が隣接させて配置されている。
誘電体25および金属電極151は、ネジ等の接続部材152によって、蓋体3の下面に取り付けられている。金属電極151は、接続部材152を介して蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。金属電極151の下面には、複数のガス放出孔42が分散して開口されている。
蓋体3の下面の各領域Sには、金属カバー165が取り付けられている。各金属カバー165は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなり、蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。金属カバー165は、金属電極151と同様に、幅Nの正方形の板状に構成されている。
金属カバー165は、誘電体25と金属電極151の合計程度の厚さを有する。このため、金属カバー165下面と金属電極151下面は、同一面になっている。
金属カバー165は、ネジ等の接続部材166によって、蓋体3の下面に取り付けられている。金属カバー165の下面には、複数のガス放出孔172が分散して開口されている。
蓋体3の下面において、8つの誘電体25の外側の領域には、サイドカバー175が取り付けられている。このサイドカバー175は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなり、蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。サイドカバー175も、誘電体25と金属電極151の合計程度の厚さを有する。このため、サイドカバー175下面は、金属カバー165下面および金属電極151下面と同一面になっている。
サイドカバー175の下面には、8つの誘電体25を取り囲むように配置された溝50が連続して設けられており、この溝50で仕切られた内側の領域において、サイドカバー175には、8つのサイドカバー内側部分178が形成されている。これらサイドカバー内側部分178は、処理容器4の内部から見た状態において、金属カバー165を対角線で2等分した直角二等辺三角形とほぼ同様の形状を有している。ただし、サイドカバー内側部分178の二等辺三角形の高さは、金属カバー165を対角線で2等分した二等辺三角形の高さよりも、僅かに(導体表面波の波長の1/4程度)長くなっている。これは、導体表面波から見た二等辺三角形の底辺部における電気的な境界条件が、両者で異なるためである。
また、本実施形態においては、溝50は処理容器内部から見ると8角形の形状になっているが、4角形の形状になっていてもよい。こうすれば、4角形の溝50の角と誘電体25との間にも、同様の直角二等辺三角形の領域が形成される。また溝50で仕切られた外側の領域において、サイドカバー175には、蓋体3下面の周辺部を覆うサイドカバー外側部分179が形成されている。
プラズマ処理中、マイクロ波供給装置34から各誘電体25に伝搬されられたマイクロ波は、蓋体3の下面に露出している誘電体25の周囲から金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面に沿って伝搬させられ、蓋体3の下面において、溝50で囲まれた領域である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面が表面波伝搬部となる。
サイドカバー175は、ネジ等の接続部材180によって、蓋体3の下面に取り付けられている。サイドカバー175の下面には、複数のガス放出孔187が分散して開口されている。
この第10の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、表面波伝搬部である金属カバー165下面、金属電極151下面およびサイドカバー内側部分178下面全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。蓋体3の下面に取り付けられる誘電体25の枚数および配置は任意に変更できる。
(第11の変形例)
図40は、第11の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図41中のD−O’−O−E断面)である。図41は、図40中のA−A断面図である。この第11の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に例えばAlからなる8つの誘電体25が取付けられている。先と同様、各誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる板状である。各誘電体25は、互いの頂角同士を隣接させるように配置されている。また、隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接して配置される。このように8つの誘電体25を、互いの頂角同士を隣接させ、かつ、互いに隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線上に、各誘電体25の頂角が隣接するように配置することにより、蓋体3の下面には、4つの誘電体25に囲まれた正方形の領域Sが3箇所に形成される。
各誘電体25の下面には、金属電極151が取り付けられている。金属電極151は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなる。誘電体25と同様に、金属電極151も正方形の板状に構成されている。但し、金属電極151の幅Nは、誘電体25の幅Lに比べて僅かに短い。このため、処理容器4の内部から見ると、金属電極151の周囲には、誘電体25の周辺部が正方形の輪郭を現す状態で露出している。そして、処理容器4の内部から見ると、誘電体25の周辺部によって形成された正方形の輪郭の頂角同士が隣接させて配置されている。
誘電体25および金属電極151は、ネジ等の接続部材152によって、蓋体3の下面に取り付けられている。この実施の形態では、金属棒45の下端が誘電体25を貫通し、金属棒45の下端が金属電極151の上面に接触した状態になっている。また、金属棒45下端と金属電極51上面との接続部を囲むように、誘電体25下面と金属電極151上面との間に封止部材としてのOリング30’が配置されている。金属電極151は、接続部材152を介して蓋体3の下面に接続されて、電気的に接地された状態になっている。
この実施の形態では、蓋体3の下面の各領域S、および、8つの誘電体25の外側の領域において、蓋体3の下面が処理容器4内に露出した状態になっている。また、蓋体3の下面には、誘電体25および金属電極151が挿入される凹部3aが設けられている。各凹部3aに誘電体25および金属電極27が挿入されることにより、処理容器4内に露出している蓋体3の下面と金属電極151下面が同一面になっている。
蓋体3の下面には、8つの誘電体25を取り囲むように配置された溝50が連続して設けられており、この溝50で仕切られた内側の領域において、蓋体3の下面には、8つの蓋体下面内側部分3bが形成されている。これら蓋体下面内側部分3bは、処理容器4の内部から見た状態において、金属電極151を対角線で2等分した直角二等辺三角形とほぼ同様の形状を有している。
この第11の変形例にかかるプラズマ処理装置1においては、プラズマ処理中、マイクロ波供給装置34から各誘電体25に伝搬されられたマイクロ波は、蓋体3の下面に露出している誘電体25の周囲から金属電極151下面および蓋体3の各領域Sと各蓋体下面内側部分3bの下面に沿って伝搬させられる。この第11の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、表面波伝搬部である金属電極151下面および蓋体3の各領域Sと各蓋体下面内側部分3bの下面の全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(第12の変形例)
図42は、第12の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図43中のD−O’−O−E断面)である。図43は、図42中のA−A断面図である。この第12の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に例えばAlからなる4つの誘電体25が取付けられている。各誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる板状である。各誘電体25は、互いの頂角同士を隣接させるように配置されている。また、隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接して配置される。このように8つの誘電体25を、互いの頂角同士を隣接させ、かつ、互いに隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接するように配置することにより、蓋体3の下面中央には、誘電体25に囲まれた正方形の領域Sが形成される。
第12の変形例にかかるプラズマ処理装置1では、各誘電体25の下面に取り付けられる金属電極151と、領域Sに取り付けられる金属カバー165と、誘電体25の外側の領域に取り付けられるサイドカバー175が一体に構成されている。また、サイドカバー175下面の周縁部に溝50が連続して設けられており、この溝50で仕切られた内側の領域(即ち、金属電極151下面、金属カバー165下面およびサイドカバー175下面)全体が表面波伝搬部となっている。
この第12の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、表面波伝搬部である金属電極151下面、金属カバー165下面およびサイドカバー175下面全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(第13の変形例)
図44は、第13の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図45中のB−O−C断面)である。図45は、図44中のA−A断面図である。この第13の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に例えばAlからなる1つの誘電体25が取付けられている。誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる板状である。
誘電体25および金属電極151は、ネジ等の接続部材152によって、蓋体3の下面に取り付けられている。接続部材152の上端は、蓋体3の内部に形成された空間部155に突出している。このように空間部155に突出した接続部材152の上端には、皿バネ等の弾性部材156を介してナット157が取り付けられている。接続部材152の下面には、ガス放出孔200が開口している。また、接続部材152のの中央にガス放出孔162が開口している。
誘電体151の周囲では、蓋体3の下面が露出した状態になっている。蓋体3の下面には、誘電体25を取り囲むように配置された溝50が設けられている。この溝50で仕切られた蓋体3の下面の内側領域と金属電極151の下面が表面波伝搬部である。
この第13の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、表面波伝搬部である蓋体3下面の溝50で仕切られた内側領域と金属電極151の下面金属全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(第14の変形例)
図46は、第14の変形例にかかるプラズマ処理装置1の概略的な構成を示した縦断面図(図47中のD−O’−O−E断面)である。図47は、図46中のA−A断面図である。この第14の変形例にかかるプラズマ処理装置1は、蓋体3の下面に例えばAlからなる8つの誘電体25が取付けられている。先と同様、図34に示すように、各誘電体25は実質的に正方形と見なすことができる板状である。各誘電体25は、互いの頂角同士を隣接させるように配置されている。また、隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線L’上に、各誘電体25の頂角が隣接して配置される。このように8つの誘電体25を、互いの頂角同士を隣接させ、かつ、互いに隣り合う誘電体25同士において、中心点O’を結ぶ線上に、各誘電体25の頂角が隣接するように配置することにより、蓋体3の下面には、4つの誘電体25に囲まれた正方形の領域Sが3箇所に形成される。
各誘電体25の下面には、金属電極151が取り付けられている。金属電極151は、導電性を有する材料、例えばアルミニウム合金からなる。誘電体25と同様に、金属電極151も正方形の板状に構成されている。但し、金属電極151の幅Nは、誘電体25の幅Lに比べて僅かに短い。このため、処理容器4の内部から見ると、金属電極151の周囲には、誘電体25の周辺部が正方形の輪郭を現す状態で露出している。そして、処理容器4の内部から見ると、誘電体25の周辺部によって形成された正方形の輪郭の頂角同士が隣接させて配置されている。
誘電体25および金属電極151は、ネジ等の接続部材152によって、蓋体3の下面に取り付けられている。金属電極151は、接続部材152を介して蓋体3の下面に電気的に接続されて、電気的に接地された状態になっている。
この実施の形態では、蓋体3の下面の各領域S、および、8つの誘電体25の外側の領域において、蓋体3の下面が処理容器4内に露出した状態になっている。また、蓋体3の下面は、全体的に平面形状に構成されている。このため、金属電極27下面は、蓋体3の下面よりも下方に位置している。
蓋体3の下面には、8つの誘電体25を取り囲むように配置された溝50が連続して設けられており、この溝50で仕切られた内側の領域において、蓋体3の下面には、8つの蓋体下面内側部分3bが形成されている。これら蓋体下面内側部分3bは、処理容器4の内部から見た状態において、金属電極151を対角線で2等分した直角二等辺三角形とほぼ同様の形状を有している。また、蓋体3の下面の各領域Sには、複数のガス放出孔52が分散して開口され、各蓋体下面内側部分3bには、複数のガス放出孔72が分散して開口されている。
この第14の変形例にかかるプラズマ処理装置1においては、プラズマ処理中、マイクロ波供給装置34から各誘電体25に伝搬されられたマイクロ波は、蓋体3の下面に露出している誘電体25の周囲から金属電極151下面および蓋体3の各領域Sと各蓋体下面内側部分3bの下面に沿って伝搬させられる。この第14の変形例にかかるプラズマ処理装置1によっても、表面波伝搬部である金属電極151下面および蓋体3の各領域Sと各蓋体下面内側部分3bの下面の全体において、均一な条件でマイクロ波のパワーによりプラズマを生成させることにより、基板Gの処理面全体に更に均一なプラズマ処理を施すことが可能となる。
(誘電体の外縁の位置)
ここで、図48〜54は、誘電体25、金属電極151、金属カバー165(金属カバー165a)の外縁部分の形状を示す断面図(断面の位置は、図33中の断面Fに相当する。)である。図48に示すように、誘電体25の外縁25’が、処理容器4の内部から見て、金属電極151の外縁151’よりも内側にあり、誘電体25の側面(外縁25’)のみが処理容器4の内部に露出していても良い。また、誘電体25の外縁25’が、処理容器4の内部から見て、金属電極151の外縁151’と同じ位置でも良い。
また、図49に示すように、誘電体25の外縁25’が金属電極151の外縁151’より外側にある場合、金属カバー165の側面に、誘電体25の外縁25’を受容する凹部165’を設けても良い。
(蓋体下面の形状)
図50、51に示すように、蓋体3に、金属カバー165と同様の形状の金属カバー165aを一体的に形成し、蓋体3下面において、金属カバー165aに隣接して設けられた凹部165bに誘電体25を挿入しても良い。この場合、金属カバー165a下面の中心線平均粗さを、2.4μm以下、さらには0.6μm以下とすることが望ましい。
また、図50に示すように、誘電体25の外縁が金属カバー45aの側面と隣接しても良いし、図51に示すように、誘電体25の外縁が金属カバー45aの側面から離れていても良い。
また、金属カバー45を省略し、図52〜54に示すように、誘電体25の周囲において、平面形状の蓋体3下面を露出させても良い。この場合、処理容器4の内部から見て、複数の誘電体25で囲まれている蓋体3下面の形状と、誘電体25に取り付けられている金属電極151下面の形状が実質的に同じであることが望ましい。また、蓋体3下面の中心線平均粗さを、2.4μm以下、さらには0.6μm以下とすることが望ましい。
また、図52に示すように、誘電体25の外縁25’が、処理容器4の内部から見て、金属電極27の外縁27’よりも外側にあっても良い。また、図53に示すように、誘電体25の外縁25’が、処理容器4の内部から見て、金属電極151の外縁151’と同じ位置でも良い。また、図54に示すように、誘電体25の外縁25’が、処理容器4の内部から見て、金属電極151の外縁151’よりも内側にあっても良い。その他、図48〜53に示すように、金属電極151の外縁151’にテーパー部210を形成しても良い。また、図48、49に示すように、金属カバー45の外縁にテーパー部211を形成しても良い。また、図50、51に示すように、蓋体3と一体の金属カバー45aの外縁にテーパー部212を形成しても良い。また、図51、52に示すように、誘電体25の外縁にテーパー部213を形成しても良い。また、図52、54に示すように、金属電極151の外縁151’に逆テーパー部214を形成しても良い。
(誘電体と金属電極の形状)
図55に示すように、菱形の誘電体25を用いても良い。この場合、誘電体25の下面に取り付けられる金属電極151は、誘電体25の相似の僅かに小さい菱形とすれば、金属電極151の周囲において、誘電体25の周辺部が菱形の輪郭を現す状態で処理容器4の内部に露出することとなる。
また、図56に示すように、正三角形の誘電体25を用いても良い。この場合、誘電体25の下面に取り付けられる金属電極151は、誘電体25の相似の僅かに小さい正三角形とすれば、金属電極151の周囲において、誘電体25の周辺部が正三角形の輪郭を現す状態で露出することとなる。また、このように正三角形の誘電体25を用いる場合、3つの誘電体25の頂角同士を隣接させて、中心角が同じとなるように配置させれば、各誘電体25同士の間に、金属電極151と同様の形状の表面波伝搬部215を形成させることができる。
(接続部材の構造)
上述したように、誘電体25および金属電極151は蓋体3の下面に対して接続部材152によって取り付けられている。この場合、図57に示すように、弾性部材156の下部に配置される下部ワッシャー156aと螺子(接続部材152)の隙間を小さくする必要がある。なお、弾性部材156には、ウェーブワッシャ、皿バネ、バネワッシャ、金属バネ等が用いられる。また、弾性部材156を省略しても良い。
図58は、弾性部材156として皿バネを用いたタイプである。皿バネは、バネ力が強いためOリング30を潰すのに十分な力を発生することができる。皿バネの上下の角がナット157及び蓋体3に密着するので、ガスの漏れを抑えることができる。皿バネの材質は、NiメッキしたSUS等である。
図59は、Oリング156bを用いてシールするタイプである。ガスの漏れを無くすことができる。Oリング156bは、穴上の角に配置されていてもよい。Oリング156bと共に、ウェーブワッシャー、皿バネ等の弾性部材を用いてもよい。シールするために、Oリング156bの代わりにシールワッシャーを用いてもよい。
図60は、テーパーワッシャー156cを用いたタイプである。ナット157を締めこんだとき、テーパーワッシャー156cと蓋体3、及び螺子(接続部材152)が密着して隙間がなくなり、確実にシールすることができる。さらに、螺子(接続部材152)がテーパーワッシャー156cにより蓋体3に固定されるため、ナット157を締めているときにナット157と共に螺子(接続部材152)が回転することがない。このため、螺子(接続部材152)と金属電極151等が摺れて表面に傷がついたり、表面に形成された保護膜がはがれてしまう恐れがない。テーパーワッシャー156cの材質は、金属または樹脂が良い。
なお、誘電体25および金属電極151を固定する接続部材30について説明したが、金属カバー165を固定する接続部材166およびサイドカバー175を固定する接続部材180についても同様に適用できる。また、図57〜59のタイプにおいては、螺子(接続部材152)の回転防止機能が描かれていないが、螺子(接続部材152)を金属電極151等に圧入、焼嵌、溶接、接着等により固定してもよいし、螺子(接続部材152)を金属電極151等と一体に形成してもよい。また、螺子(接続部材152)と蓋体3との間にキー溝を形成し、キーを挿入して回転を防止してもよい。さらに、螺子(接続部材152)の末端(上端)部に6角部等を設けて、レンチ等でおさえながら螺子(接続部材152)を締めるようにしてもよい。
(溝、凸部)
溝50、50’、50”として、図61(a)に示す半円矩形の溝、図61(b)に示すアリ溝、図61(c)に示すノッチ220の左右に対照的に配置された溝、図61(d)に示すC形状の溝、図61(e)に示す容器本体2の上面と蓋体3下面で構成される溝、図61(f)に示す大きさが異なる二重溝などが例示できる。
また、溝50、50’、50”に代えて、あるいは加えて、凸部を設けても良い。溝の場合は形状を後から変えることは困難であるが、凸部であれば、交換によって形状を変えることが比較的容易である。
図62に示したように、凸部105の表面に沿った導体表面波TMの伝搬について、4つの角C〜Cはインピーダンスの不連続点、角C〜C間の3つの平面部はある特性インピーダンスを持った伝送線路とみなされ、4つのインピーダンスの不連続点が3つのある長さの伝送線路で結合された伝送線路フィルタと考えることができる。単一の角C〜Cのみでは、導体表面波TMを十分反射させることができなくても、凸部225の平面部の長さ(伝送線路の長さ)を最適化することにより全体として小さな透過量を実現することができる。
ところで、凸部225の高さHはなるべく小さい方が良い。凸部225の高さHを必要以上に高くすると、凸部225の壁面にてプラズマPの電子とイオンが再結合し、プラズマ密度が低くなるため、好ましくないからである。伝送線路の反射係数の位相は、波長の1/2の長さで360°回転するから、凸部225の高さHが導体表面波TMの波長の1/2以下で全てのインピーダンスが実現できる。
また、溝のときと同様に、凸部225の高さHはシース厚さtよりも高い必要がある。導体表面波TMが凸部225を段差として捉えることができる高さでなければ、凸部225は、伝搬抑制機能を発揮し得ないためである。
以上から、発明者らは、導体表面波TMの伝搬を抑制するためは、凸部225の高さHはシース厚さtよりも高く導体表面波TMの波長λの1/2より小さい必要があると結論付けた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、誘電体25の表面には、処理容器4の内部に露出する部分を除いて、導体膜として、例えば厚さ10μm程度のNi膜、Al膜を設けても良い。このように誘電体25の表面に導体膜を設けることにより、処理容器4の内部に露出する部分以外の箇所においてマイクロ波が伝播しなくなり、Oリング30等に対する悪影響を回避できる。この導体膜の形成箇所は、Oリング30との接触箇所の他、誘電体25の上面中央に設けられた凹部3a、接続部材160との隣接部分、金属電極151との接触面の少なくとも一部、などが考えられる。
また、蓋体3の下面や容器本体2の内面には、保護膜としてアルミナ膜、イットリア膜、テフロン(登録商標)膜などを設けても良い。また、本発明にかかるプラズマ処理装置は、大面積のガラス基板、円形のシリコンウエハや角型のSOI(Silicon On Insulator)を処理することもできる。また、本発明にかかるプラズマ処理装置では、成膜処理、拡散処理、エッチング処理、アッシング処理などのあらゆるプラズマ処理を実行することができる。
また、以上では、周波数が2GHz以下のマイクロ波として915MHzのマイクロ波を例にして説明したが、この周波数に限定されない。例えば896MHz、922MHzのマイクロ波も適用できる。また、マイクロ波以外の電磁波にも適用できる。また、蓋体3、容器本体3、金属電極151、金属カバー165、サイドカバー175、接続部材152、166、180等の表面には、アルミナ膜を形成しても良い。以上では、ガスは処理容器4の上面に開けたガス放出孔162、172、187から放出される例を示したが、その代わりに容器側壁から蓋体3の下部空間に向けて放出する構成でもよい。また、金属電極151は、金属板で構成する代わりに、誘電体25下面に被着させた金属膜で構成してもよい。
本発明は、例えばCVD処理、エッチング処理に適用できる。

Claims (42)

  1. プラズマ処理される基板を収納する金属製の処理容器と、前記処理容器内にプラズマを励起させるために必要な電磁波を供給する電磁波源とを備え、前記電磁波源から供給される電磁波を前記処理容器の内部に透過させる、前記処理容器の内部に一部を露出した1または2以上の誘電体を前記処理容器の蓋体下面に備えたプラズマ処理装置であって、
    前記処理容器の内部に露出した金属面に沿って電磁波を伝搬させる表面波伝搬部が、前記誘電体に隣接して設けられている、プラズマ処理装置。
  2. 前記誘電体の露出部分の面積が、前記表面波伝搬部の面積の1/2以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記誘電体の露出部分の面積が、前記表面波伝搬部の面積の1/5以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記誘電体の露出部分の面積が、基板上面の面積の1/5以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記電磁波源から供給される電磁波の周波数が2GHz以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記処理容器の内面には、連続する溝が設けられており、前記誘電体は前記溝で囲まれた範囲内に配置されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記溝により、前記表面波伝搬部が区画されている、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記処理容器の内面には、連続する凸部が設けられており、前記誘電体は前記凸部で囲まれた範囲内に配置されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記凸部により、前記表面波伝搬部が区画されている、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記誘電体の上部には、前記誘電体の上面に下端が隣接または近接し、電磁波を前記誘電体に伝える1または複数の金属棒を備えている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記誘電体が概ね円柱形状であり、前記誘電体の周面に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えている、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  12. 前記金属棒と前記蓋体との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えている、請求項10に記載のプラズマ処理装置。
  13. 前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  14. 前記ガス放出孔が、前記蓋体の下面に設けられている、請求項13に記載のプラズマ処理装置。
  15. 前記誘電体の下面に金属電極が設けられ、前記金属電極の周囲または内方において前記誘電体が前記処理容器の内部に露出している、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  16. 前記誘電体を貫通して前記金属電極に電気的に接続された、電磁波を前記誘電体に伝える金属棒を備えている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
  17. 前記金属棒と前記蓋体との間に、前記金属容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えていることを特徴とする、請求項16に記載のプラズマ処理装置。
  18. 前記誘電体の上面と前記蓋体との間および前記誘電体の下面と前記金属電極との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
  19. 前記金属電極には、前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられており、前記金属棒には、前記ガス放出孔にガスを通すガス流路が形成されている、請求項16に記載のプラズマ処理装置。
  20. 前記誘電体に形成された穴を貫通し、前記金属電極と前記蓋体とを接続する一または複数の接続部材を備えている、請求項15に記載のプラズマ処理装置。
  21. 前記接続部材は、金属からなる、請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  22. 前記金属電極には、前記処理容器内にプラズマ処理に必要なガスを放出する1または複数のガス放出孔が設けられており、前記接続部材には、前記ガス放出孔にガスを通すガス流路が形成されている、請求項20に記載のプラズマ処理装置。
  23. 前記電磁波源から供給される電磁波を前記誘電体に伝搬させる一または複数の導波管を備える、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  24. 前記誘電体は、前記導波管の下面に形成されたスロットに挿入されている、請求項23に記載のプラズマ処理装置。
  25. 前記導波管内を伝搬する電磁波の波長を調節する波長調節機構を備えている、請求項23に記載のプラズマ処理装置。
  26. 前記誘電体と前記蓋体との間に、前記処理容器の外部と内部とを隔てるシール部材を備えている、請求項23に記載のプラズマ処理装置。
  27. 前記蓋体の内部に前記誘電体が内蔵され、前記蓋体の下面に形成した一または複数の開口部から、前記誘電体の下面が部分的に処理容器内に露出させられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  28. 前記蓋体の下面に複数の開口部が同心円状に配置されている、請求項27に記載のプラズマ処理装置。
  29. 前記蓋体の下面がラジアルラインスロットアンテナである、請求項28に記載のプラズマ処理装置。
  30. 前記蓋体の下面に保護膜が設けられている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  31. 前記表面波伝搬部は少なくとも表面が金属である部分によって構成され、かつ前記金属の表面に延在する溝又は凸部によって画成されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  32. 前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、前記表面波伝搬部によって囲まれている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  33. 前記誘電体の前記容器内部に露出する面が前記容器内部に沿って延在する形状をなし、かつ該延在面の両側が前記表面波伝搬部によって囲まれている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  34. 前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、互いに離隔する複数個である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  35. 前記誘電体の前記容器内部に露出する面が、円周または多角形を構成するように連続してまたは不連続に延在して配置されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  36. 前記円周または多角形の内部の表面波伝搬部の中心部に表面波非伝搬部が設けられている、請求項35に記載のプラズマ処理装置。
  37. 前記円周または多角形の内部の表面波非伝搬部は、溝又は凸部によって画成されている、請求項35に記載のプラズマ処理装置。
  38. 前記表面波伝搬部に沿って伝搬した電磁波によって前記表面波伝搬部と前記基板の処理面との間にプラズマが励起される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  39. 前記容器内面の前記誘電体が露出していない部分に、プラズマ励起用ガスを前記容器内部に放出するガス放出口を設けた、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  40. 前記表面波伝搬部の表面が、電磁波伝搬に実質的に影響を与えない薄さの保護膜によって覆われている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  41. 前記表面波伝搬部の中心線平均粗さが、2.4μm以下である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  42. 金属製の処理容器に基板を収納し、電磁波源から前記処理容器の蓋体下面に露出している1または2以上の誘電体を透過させて前記処理容器内に電磁波を供給し、前記処理容器内にプラズマを励起させて、基板を処理するプラズマ処理方法であって、
    前記処理容器内に処理ガスを供給し、
    前記電磁波源から周波数が2GHz以下の電磁波を供給し、
    前記処理容器の内部に露出する前記誘電体の露出面から前記処理容器の内面に沿って電磁波を伝搬させることにより、前記処理容器内にプラズマを励起させ、基板を処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
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