JPWO2008059986A1 - インクジェット用インク - Google Patents
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Abstract
Description
ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であったが、近年、インクジェットにより所望のパターン膜を形成する方法が検討されている。
インクジェット用インクは各種提案されているが[例えば、特開2003−213165号公報(特許文献4)、特開2006−131730号公報(特許文献5)を参照]、ポリイミド系のインクジェットインクを調製しようとすると、比較的高分子であるため、インクジェットインクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸含有量を少なくする必要がある。これによって、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが薄くなってしまうという問題があった。
一方、アルケニル置換ナジイミド化合物は、加熱することによって重合して、イミド結合を有する固体生成物(ポリイミド)となり得る熱硬化性の化合物である[例えば、特開昭59−080661号公報(特許文献6)、特開昭60−124619号公報(特許文献7)、特開昭61−018761号公報(特許文献8)、特開平05−301948号公報(特許文献9)を参照]。
マレイミド型、アセチレン型、ナジック酸型等の熱硬化性ポリイミドは、末端に不飽和基を有する低分子量、低粘性の化合物の三次元架橋で得られるため、従来の線状のポリイミドよりも加工が容易である。良好な耐熱性を示し、硬化に際してボイドやクラックの発生が少ないため、成形材料や積層材料のマトリックス樹脂として優れた特性を有している。
アルケニル置換ナジイミド化合物は熱硬化性ポリイミドの形成材料であり、嵩高い構造を有した低分子量のイミドモノマーであるため、脂肪族炭化水素を除くほとんどの有機溶媒に可溶であり、溶液状態で長期間保存しても結晶の析出やゲル化が起こらず安定して使用できる。そして、詳細な硬化機構については不明だが、加熱することでアリル基およびノルボルネン骨格中の二重結合のEne反応やDiels−Alder反応が進行し、三次元架橋構造を形成する。このように汎用溶媒への溶解性を示し、硬化物が良好な耐熱性、機械的特性、電気的特性、耐薬品性を示すことから、樹脂改質剤、耐熱塗料、および各種コーティング材料、耐熱接着剤などへの用途展開が検討されている。
例えば、アルケニル置換ナジイミド化合物を用いてパターンを形成することも提案されているが[例えば、特開平09−325210号公報(特許文献10)を参照]、インクジェットにより所望のパターンを形成した後に、熱硬化により重合する方法については何ら記載も示唆もない。
また、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド等を含有するワニスに、さらにアルケニル置換ナジイミド化合物が添加されてなる液晶配向剤ワニスが提案されている[例えば、特開2004−341030号公報(特許文献11)を参照]。しかしながら、この技術はポリアミド酸、可溶性ポリイミド等のポリイミド系高分子化合物が主体のものであり、ポリイミド系配向膜の機械的強度や耐ラビング性向上させるために微量のアルケニル置換ナジイミド化合物を添加するものである(実施例では液晶配向剤ワニスに対して0.6%および0.06%)。アルケニル置換ナジイミド化合物の熱硬化によりポリイミド膜を形成することについては何ら記載されていないし、インクジェットにより印刷塗布することについても何ら示唆されていない。
本発明者らは、上記状況に鑑みて、少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含むインクジェット用インク、さらに高分子化合物(B)を含むインクジェット用インク、さらに溶媒(C)を含むインクジェット用インクを見い出した。
本発明は以下のようなインクジェット用インク等を提供する。
[1] 少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含むインクジェット用インク。
[2] 前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)が、モノアミン、ジアミン、トリアミン又はテトラアミンと下記式(1’)で表されるアルケニル置換ナジック酸無水物を反応させてなるアルケニル置換ナジイミド化合物である、前記[1]項に記載のインクジェット用インク。
式(1’)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかである。
[3] 前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)が下記式(1)で表される化合物である、前記[1]項又は[2]項に記載のインクジェット用インク。
式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜4の整数であり、
n=1のとき、R3は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(CqH2q)Ot(CrH2rO)uCsH2sX}(ただしq、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C6H4−R4(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R4は水素若しくは炭素数1〜4のアルキルをそれぞれ表す)で表される基、−C6H4−T−C6H5{ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−S−若しくは−SO2−である}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、R3は炭素数2〜20のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R)a−C6H4−R5−(ここで、aは0または1の整数、R及びR5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−、−C6H4−T−C6H4−T−C6H4−または−C6H4−T’−C6H4−T−C6H4−T’−C6H4−{ただし、Tは単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である。}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基、式(7)で表される基または式(8)で表される基であり、式(7)中、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数であり、
n=3のとき、R3は下記式(5)又は(5’)で表される基であり、
式(5)中、Rは、水素、フッ素、塩素、−OH、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2H、−OCF2CFHCF3、または炭素数1〜10のアルキルであり、式(5)、(5’)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、n=4のとき、R3は下記式(6)で表される基である。
式(6)中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
[4] nが2である、前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
[5] nが2であり、 R3が、炭素数2〜15のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えらされていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、−(R)a−C6H4−R5−(ここで、aは0または1の整数、R及びR5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−、−C6H4−T−C6H4−T−C6H4−または−C6H4−T’−C6H4−T−C6H4−T’−C6H4−{ただしTは単結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である。}で表される基である、前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
[6] R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが2であり、R3が炭素数2〜15のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、式(2)で表される基、式(3)で表される基、式(4)で表される基、式(7)で表される基または式(8)で表される基である、前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
式(2)及び(4)中、Rは、−CH2−、−CH2CH2−、−O−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−からなる有機基であり、式(4)中、Xは、−CH2−、−O−、からなる有機基であり、式(7)中、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
[7] R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、
nが3であり、R3が、式(5−1)、式(5’−1)または式(5’−2)で表される前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
式(5−1)中、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは−OHであり、式(5’−2)中、R4,R5,R6は、それぞれ独立して、1,2−エチレン、1,4−ブチレンである。
[8] R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、
nが4であり、R3が、下記式(6−1)で表される前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
[9] nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが3であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、およびnが4であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)から選ばれる少なくとも2種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含む、前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
[10] R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、R3が炭素数1〜12のアルキル(n=1)、炭素数6〜12のアリール(n=1)、−(CH2)p−(n=2、pは6〜12の整数である)、式(2−1)で表される基、式(3)で表される基、式(4−1)で表される基、式(7−1)で表される基、式(8)で表される基、式(5−2)で表される基、式(5−3)で表される基、式(5’−1)で表される基、式(5’−3)で表される基、式(6−1)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)の少なくとも2種を含む、前記[3]項に記載のインクジェット用インク。
[11] 高分子化合物(B)をさらに含む、前記[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[12] 前記高分子化合物(B)がポリアミド酸またはポリイミドの少なくとも1種である、前記[11]項に記載のインクジェット用インク。
[13] 前記高分子化合物(B)の重量平均分子量が1,000〜5,000である、前記[11]項または前記[12]項に記載のインクジェット用インク。
[14] 溶媒(C)をさらに含む、前記[1]〜[13]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[15] 溶媒(C)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1つ以上である、前記[14]項に記載のインクジェット用インク。
[16] インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)1〜99重量部を含む、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[17] インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)10〜80重量部を含む、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[18] インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)22〜70重量部を含む、前記[1]〜[15]のいずれかに記載のインクジェット用インク。
[19] 前記[1]〜[18]のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成するし、該塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成して得られるポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
[20] 前記[1]〜[18]のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むポリイミド膜形成方法。
[21] 前記[20]に記載されたポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
[22] 前記[21]に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
本発明の好ましい態様に係るインクジェット用インクを用いると、1回のジェッティングで比較的厚い膜厚を有するポリイミド膜を形成できる。また、本発明のインクジェット用インクから形成されたポリイミド膜は、例えば、耐熱性、電気絶縁性が高く、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させる。
第2図は、合成例12で得られたTrisANITAEAの1H−NMRスペクトルである。
第3図は、合成例13で得られたTrisANITrisAMのIRスペクトルである。
第4図は、合成例13で得られたTrisANITrisAMの1H−NMRスペクトルである。
第5図は、合成例14で得られたTrisANIPARAROのIRスペクトルである。
第6図は、合成例14で得られたTrisANIPARAROの1H−NMRスペクトルである。
第7図は、合成例15で得られたTetrakisANITAMのIRスペクトルである。
第8図は、合成例15で得られたTetrakisANITAMの1H−NMRスペクトルである。
該インクジェット用インクは、少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含むインクジェット用インク、さらに高分子化合物(B)を含むインクジェット用インク、またはさらに溶媒(C)を含むインクジェット用インクである。
1 アルケニル置換ナジイミド化合物(A)
本発明のインクジェット用インクに含まれるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であり、好ましくは下記式(1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
なお、式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜4の整数である。
また、n=1のとき、R3は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(CqH2q)Ot(CrH2rO)uCsH2sX}(ただしq、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C6H4−R4(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R4は水素若しくは炭素数1〜4のアルキルをそれぞれ表す)で表される基、−C6H4−T−C6H5{ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−S−若しくは−SO2−である}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
また、n=2のとき、R3は炭素数2〜20のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R)a−C6H4−R5−(ここで、aは0または1の整数、R及びR5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−、−C6H4−T−C6H4−T−C6H4−または−C6H4−T’−C6H4−T−C6H4−T’−C6H4−{ただし、Tは単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である。}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基、式(7)で表される基または式(8)で表される基であり、式(7)中、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。
また、n=3のとき、R3は下記式(5)又は(5’)で表される基である。
式(5)中、Rは、水素、フッ素、塩素、−OH、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2H、−OCF2CFHCF3、または炭素数1〜10のアルキルであり、式(5)、式(5’)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
また、n=4のとき、R3は下記式(6)で表される基である。
式(6)中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。
なお、n=3のとき、R3は下記式(5−1)、式(5’−1)または式(5’−2)で表される基であってもよい。
式(5−1)中、Rは炭素数1〜10のアルキルまたは−OHであり、式(5’−2)中、R4,R5,R6は、それぞれ独立して、1,2−エチレン、1,4−ブチレンである。
また、n=4のとき、R3は下記式(6−1)で表される基であってもよい。
アルケニル置換ナジイミド化合物(A)には、nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(a1:以下、単に「アルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)、およびnが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(a2:以下、単に「ビスアルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)、およびnが3であるアルケニル置換ナジイミド化合物(a3:以下、単に「トリスアルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)、およびnが4であるアルケニル置換ナジイミド化合物(a4:以下、単に「テトラキスアルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)がある。
本発明のインクジェット用インクには、nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが3であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、およびnが4であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)から選ばれる少なくとも2種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含有していてもよい。
なお、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)は、モノアミン、ジアミン、トリアミン又はテトラアミンと下記式(1’)で表されるアルケニル置換ナジック酸無水物を反応させてなるアルケニル置換ナジイミド化合物であってもよい。
式(1’)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかである。
また、本発明のインクジェット用インクには、R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、R3が炭素数1〜12のアルキル(n=1)、炭素数6〜12のアリール(n=1)、−(CH2)p−(n=2、pは6〜12の整数である)、式(2−1)で表される基、式(3)で表される基、式(4−1)で表される基、式(7−1)で表される基、式(8)で表される基、式(5−2)で表される基、式(5−3)で表される基、式(5’−1)で表される基、式(5’−3)で表される基、式(6−1)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)の少なくとも2種を含有していてもよい。
1.1 アルケニル置換ナジイミド(a1)
本発明で用いられるnが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシ−1’−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、これらのアルケニル置換ナジイミド(a1)は、単独で用いてもよいし、これらの混合物として用いてもよい。
上記のアルケニル置換ナジイミド(a1)として、好ましいものは
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等があげられる。
また、
N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
アルケニル置換ナジイミド(a1)として、更に好ましいものは、
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
1.2 ビスアルケニル置換ナジイミド(a2)
また、本発明で用いられるnが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、
ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、
1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、
1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、
1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、
1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、
1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、
N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2’−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、
ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、
ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、
1,1,1−トリ{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、
N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
さらに、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む次のようなものでもよい。
また、これらのビスアルケニル置換ナジイミド(a2)は、単独で用いてもよいし、これらの混合物として用いてもよい。
上記のビスアルケニル置換ナジイミド(a2)として、好ましいものは
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン等が挙げられる。
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン等が挙げられる。
ビスアルケニル置換ナジイミド(a2)として、更に好ましいものは、
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
1.3 トリスアルケニル置換ナジイミド(a3)
本発明で用いられるnが3であるトリスアルケニル置換ナジイミド化合物の合成は、トリアミン1.0モルに対して、アルケニル置換ナジック酸無水物を3.0〜5.0モル混合し、常温で、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン、テトラリン、クロロフォルム、トリクレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチレンエーテル、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の任意の溶媒、または、2種以上を混合した溶媒に溶解させて、溶液とし、0.5〜30時間攪拌保持して反応させることができる。上記溶媒を20〜80℃で減圧乾燥除去し、アミド酸が得られる。上記アミド酸を上記溶媒中にて0.5〜30時間、溶媒の沸点近傍でリフラックスあるいは、化合物そのものを160℃〜200℃で加熱し、脱水閉環させた後、溶媒を減圧乾燥させて目的の化合物を得ることができる。目的の化合物であることはNMR、IRにより確認できる。
本発明で用いられるnが3であるトリスアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリエチル}アミン
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリフェニル}メタン
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}ヒドロキシメタン
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリエチル}アミン(TrisANITAEA)のIRおよび1H−NMRスペクトル(400MHz)を、それぞれ図1および図2に示す。
IRスペクトルでは、アルケンC−H伸縮:3070、2966cm−1;芳香族C−H伸縮:2966cm−1;アルカンC−H伸縮:2938cm−1;イミドC=O伸縮:1762、1690cm−1;C=C伸縮:1640cm−1;−CH2−N−メチレンはさみ振動:1448cm−1;イミドC−N伸縮:1382cm−1等が帰属される。
1H−NMRスペクトルでは、a、b、e、f、g、i、lプロトン(30H):2.50〜3.49pmのピーク;j、k、m、nプロトン(12H):5.01〜6.27ppmのピーク;hプロトン(6H):1.25〜1.76ppmのピーク等が帰属される。
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリフェニル}メタン(TrisANITrisAM)のIRおよび1H−NMRスペクトル(400MHz)を、それぞれ図3および図4に示す。
IRスペクトルでは、アルケンC−H伸縮:3056、2970cm−1;芳香族C−H伸縮:2970cm−1;アルカンC−H伸縮:2936cm−1;イミドC=O伸縮:1772、1706cm−1;C=C伸縮:1638cm−1;イミドC−N伸縮:1402cm−1等が帰属される。
1H−NMRスペクトルでは、a〜dプロトン(12H):6.50〜7.59ppmのピーク;e、f、g、i、lプロトン(18H):2.25〜3.73ppmのピーク;hプロトン(6H):1.25〜1.81ppm;j、k、m、nプロトン(12H):5.01〜5.14、5.74〜6.34ppmのピーク;oプロトン(1H):5.30〜5.60ppmのピーク等が帰属される。
トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}ヒドロキシメタン(TrisANIPARARO)のIRおよび1H−NMRスペクトル(400MHz)を、それぞれ図5および図6に示す。
IRスペクトルでは、アルケンC−H伸縮:3056、2972cm−1;芳香族C−H伸縮:2972cm−1;アルカンC−H伸縮:2936cm−1;イミドC=O伸縮:1776、1706cm−1;C=C伸縮:1636cm−1;イミドC−N伸縮:1402cm−1等が帰属される。
1H−NMRスペクトルでは、a〜dプロトン(12H):6.98〜7.53ppmのピーク;e、f、g、i、lプロトン(18H):2.27〜3.60ppmのピーク;hプロトン(6H):1.47〜1.81ppmのピーク;j,k、m、nプロトン(12H):5.01〜6.24ppmのピーク等が帰属される。
1.4 テトラキスアルケニル置換ナジイミド(a4)
本発明で用いられるnが4であるテトラキスアルケニル置換ナジイミド化合物の合成は、テトラアミン1.0モルに対して、アルケニル置換ナジック酸無水物を4.0〜6.0モル混合し、常温で、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メチルナフタレン、テトラリン、クロロフォルム、トリクレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ヘキサメチレンエーテル、アニソール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルフォキシド等の任意の溶媒、または、2種以上を混合した溶媒に溶解させて、溶液とし、0.5〜30時間攪拌保持して反応させることができる。上記溶媒を20〜80℃で減圧乾燥除去し、アミド酸が得られる。上記アミド酸を上記溶媒中にて0.5〜30時間、溶媒の沸点近傍でリフラックスあるいは、化合物そのものを160℃〜200℃で加熱し、脱水閉環させた後、溶媒を減圧乾燥させて目的の化合物を得ることができる。目的の化合物であることはNMR、IRにより確認できる。
本発明で用いられるnが4であるテトラキスアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
テトラキス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)テトラフェニル}メタン
テトラキス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)テトラフェニル}メタン(TetrakisANITAM)のIRおよび1H−NMRスペクトル(400MHz)を、それぞれ図7および図8に示す。
IRスペクトルでは、アルケンC−H伸縮:3060、2972cm−1;芳香族C−H伸縮:2972cm−1;アルカンC−H伸縮:2936cm−1;イミドC=O伸縮:1776、1706cm−1;C=C伸縮:1638cm−1;イミドC−N伸縮:1404cm−1等が帰属される。
1H−NMRスペクトルでは、a〜dプロトン(16H):6.80〜7.59ppmのピーク;e、f、g、i、lプロトン(24H):2.25〜3.60ppmのピーク;j、k、m、nプロトン(16H):5.04〜6.50ppmのピーク;hプロトン(8H):1.25〜1.75ppmのピーク等が帰属される。
本発明の好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物(A)は、嵩高い構造を有した低分子量のイミドモノマーであるため、ほとんどの有機溶媒に可溶であり、溶液状態で長期間保存しても結晶の析出やゲル化が起こらず安定して使用できる。また、加熱することで三次元架橋構造のポリイミドを形成し、該ポリイミド硬化物は良好な耐熱性、機械的特性、電気的特性、耐薬品性を示す。
2 高分子化合物(B)
本発明のインクジェット用インクにさらに含むことができる高分子化合物(B)は、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン等の高分子化合物であるが、これに限定されるものではない。好ましくはポリアミド酸または可溶性ポリイミド等のポリイミド系高分子化合物であり、例えば特願2006−235336号に記載されている、ポリアミド酸、或いはそのイミド化重合体を好ましく挙げることができるが、これに限定されるものではない。
該ポリアミド酸は、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)とを用いて得ることができるが、当該製法で得られたポリアミド酸に限定されるものではない。
以下に、高分子化合物(B)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)を説明する。
2.1 酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)
本発明で用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体等の無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体やテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、エタンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、下記式b1−1〜b1−73で表される化合物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
酸無水物を2つ以上有する化合物の上記具体例の中でも、スチレン−無水マレイン酸共重合体、式b1−1、b1−5、b1−6、b1−7、b1−8、b1−9、b1−14、b1−18、b1−20で表される化合物が溶媒への溶解性が高く高濃度のインクを調製できるので好ましい。また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、b1−6、b1−7、b1−8、b1−9、b1−14、b1−18等で表される化合物を用いるが特に好ましい。
また、上記記載の酸無水物基を有する化合物は一種単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
2.2 ジアミン(b2)
本発明において用いられるジアミン(b2)はアミノ基を2つ有していれば特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(II)〜(VIII)で表される化合物が挙げられる。
式(II)中、A1は、−(CH2)p−(pは1〜12の整数である)、−{(CqH2qO)t(CrH2rO)uCsH2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に1〜6の整数、t、uは0または1の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、であり、式(III)中、Rは−CH3または、−(CH3)2で表される有機基であり、式(IV)及び(VI)〜(VIII)中、A1は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−(CH2)m−、−O−(CH2)m−O−、−S−(CH2)m−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、A2は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または炭素数1〜3のアルキレンであり、シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CH3と置き換えられていてもよい。
一般式(II)で表されるジアミンとしては、例えば式(II−1)〜(II−7)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば式(III−1)〜(III−3)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば式(IV−1)〜(IV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば式(V−1)〜(V−5)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば式(VI−1)〜(VI−30)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VII−1)〜(VII−6)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(VIII−1)〜(VIII−11)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミン(b2)の上記具体例の中でも、より好ましくは、式(V−1)〜(V−5)、式(VI−1)〜(VI−12)、式(VI−26)、式(VI−27)、式(VII−1)、式(VII−2)、式(VII−6)、式(VIII−1)〜(VIII−5)で表されるジアミンが挙げられ、さらに好ましくは式(V−6)、式(V−7)、式(VI−1)〜(VI−12)で表されるジアミンが挙げられる。
本発明において用いられるジアミン(b2)としては、さらに一般式(IX)で表されるジアミンが挙げられる。
式(IX)中、
A3は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2)m−(式中、mは1〜6の整数である)であり、
R6は、ステロイド骨格を有する基、下記式(X)で表される基、または、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは炭素数1〜30のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜30のアルキルまたはフェニルであり、
該アルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよく、
該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3と置き換えられていてもよい。
式(X)中、
A4およびA5はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−または炭素数1〜12のアルキレンであり、
R7およびR8はそれぞれ独立して、−Fまたは−CH3であり、
環Sは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり、
R9は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、
aおよびbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
c、dおよびeはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、eが2または3であるとき複数の環Sは同一の基であっても異なる基であってもよく、
fおよびgはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
c+d+e≧1である。
一般式(IX)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、好ましくは、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R6−A3−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IX−1)〜(IX−11)で表されるジアミンが挙げられる。
上記式(IX−1)、(IX−2)、(IX−7)および(IX−8)中、R18は炭素数2〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX−3)〜(IX−6)および(IX−9)〜(IX−11)中、R19は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシがさらに好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−12)〜(IX−17)で表されるジアミンが挙げられる。
上記式(IX−12)〜(IX−15)においてR20は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルが好ましく、炭素数6〜16のアルキルがさらに好ましい。式(IX−16)と式(IX−17)においてR21は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルが好ましく、炭素数8〜20のアルキルがさらに好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−18)〜(IX−38)で表されるジアミンが挙げられる。
上記式(IX−18)、(IX−19)、(IX−22)、(IX−24)、(IX−25)、(IX−28)、(IX−30)、(IX−31)、(IX−36)および(IX−37)においてR22は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記式(IX−20)、(IX−21)、(IX−23)、(IX−26)、(IX−27)、(IX−29)、(IX−32)〜(IX−35)および(IX−38)において、R23は−H、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。上記式(IX−33)と(IX−34)において、A9は炭素数1〜12のアルキレンである。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX−39)〜(IX−48)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(IX)で表されるジアミン(b2)のうち、式(IX−1)〜式(IX−11)で表されるジアミンが好ましく、式(IX−2)、式(IX−4)、式(IX−5)、式(IX−6)で表されるジアミンがさらに好ましい。
本発明において用いられるジアミン(b2)は、さらに下記一般式(XI)及び(XII)で表される化合物が挙げられる。
式(XI)と(XII)中、
R10は−Hまたは−CH3であり、
R11はそれぞれ独立して、−Hまたは炭素数1〜20のアルキルもしくはアルケニルであり、
A6はそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−または−CH2−であり、
R13およびR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
前記一般式(XI)において、2つの「NH2−Ph−A6−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、A6の結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば式(XI−1)〜(XI−4)で表されるジアミンが挙げられる。
一般式(XII)において、2つの「NH2−(R14−)Ph−A6−O−」は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ位またはパラ位の炭素に結合している。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XII−1)〜(XII−8)で表されるジアミンが挙げられる。
本発明において用いられるジアミン(b2)は、さらに一般式(XIII)、(XIV)で表される化合物が挙げられる。
式(XIII)中、
R15は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルのうち炭素数2〜20のアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
A7はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、
A8は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
hは0または1である。
式(XIV)中、
R16は炭素数6〜22のアルキルであり、
R17は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり、
A7はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
前記一般式(XIII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。
一般式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば式(XIII−1)〜(XIII−9)で表されるジアミンが挙げられる。
上記式(XIII−1)〜(XIII−3)において、R24は−H、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、(XIII−4)〜(XIII−9)においてR25は−H、炭素数1〜10のアルキル基がさらに好ましい。
前記一般式(XIV)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば(XIV−1)〜(XIV−3)で表されるジアミンが挙げられる。
(XIV−1)〜(XIV−3)式中、R26は炭素数2〜30の有機基であり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、R27は炭素数2〜30の有機基であり、これらの中でも−Hまたは炭素数1〜10のアルキル基がさらに好ましい。
上述のとおり、本発明において用いられるジアミン(b2)は、例えば、一般式(II)〜(XIV)で表されるジアミンを用いることができるが、これらのジアミン以外のジアミンも用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独または他のジアミンと混合して用いることができる。
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記式(XV)で表されるものが本発明において、好ましく使用され得る。
式中、R3およびR4は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R5は独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。ここで、より好ましいyは1〜15の整数である。
さらに、好ましくは、本発明において用いられるジアミン(b2)として、下記式(11)〜(18)で表されるジアミンが使用され得る。
式中、R30およびR31は独立して炭素数3〜20のアルキル基である。
なお、本発明で用いることができるジアミン(b2)は、本明細書のジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
また、本発明で用いることができるジアミン(b2)は、1種単独、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、2種以上の組み合わせとしては、上記ジアミン同士、上記ジアミンとそれ以外のジアミン、または、上記ジアミン以外のジアミン同士を用いることができる。
また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび一般式(XV)においてy=1〜15の整数であるジアミンを用いることが特に好ましい。
2.3 モノアミン(b3)
本発明において用いられるモノアミン(b3)は、特に限定されないが、具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、モノエタノールアミン、n−ブチルアミン、アニリンなどを挙げることができる。
これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
これらのモノアミンは一種単独でまたは二種以上組み合わせても使用できる。
2.4 酸無水物基を1つ有する化合物(b4)
本発明において用いられる酸無水物基を1つ有する化合物(b4)は、特に限定されないが、具体例としては、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドなどを挙げることができる。
これらの中でも、インクの保存安定性という点から、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドが特に好ましい。
これらの酸無水物基を1つ有する化合物は一種単独でまたは二種以上組み合わせても使用できる。
2.5 ポリアミド酸の反応条件
本発明で用いることのできるポリアミド酸は、たとえば、モノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)とからなる化合物の群から選ばれる1以上と、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)と、ジアミン(b2)とを反応させて合成できる。
モノアミン(b3)を用いる場合、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)1モルに対して、ジアミン(b2)0.01〜0.8モルおよびモノアミン(b3)0.4〜1.98モル用いることが好ましく、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)1モルに対して、ジアミン(b2)0.15〜0.25モルおよびモノアミン(b3)1.5〜1.7モル用いることがさらに好ましい。
酸無水物基を1つ有する化合物(b4)を用いる場合、ジアミン(b2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)0.01〜0.8モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(b4)0.4〜1.98モル用いることが好ましく、ジアミン(b2)1モルに対して、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)0.15〜0.25モルおよび酸無水物基を1つ有する化合物(b4)1.5〜1.7モル用いることがさらに好ましい。
2.5.1 反応溶媒
少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)とを用いてポリアミド酸を得るために用いられる溶媒は、当該化合物が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、およびN,N−ジメチルアセトアミド、などを挙げることができる。
これらの中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルを用いると、インクジェットヘッドへのダメージが少ないインクとすることができるので好ましい。
これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
反応溶媒は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b3)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は0℃〜100℃で、0.2〜20時間反応させるのが好ましい。
2.5.2 反応系への添加順序
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)とを同時に反応溶媒に加える、ジアミン(b2)とモノアミン(b3)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)または酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)と酸無水物基を1つ有する化合物(b4)を反応溶媒中に溶解させた後にモノアミン(b3)をあらかじめ反応させた後にジアミン(b2)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とをあらかじめ反応させて共重合体を合成した後に、その共重合体にモノアミン(b3)を添加する、などいずれの方法も用いることができる。
2.6 高分子化合物(B)の重量平均分子量
重量平均分子量が1,000〜20,000である高分子化合物(B)が特に溶媒に対する溶解性が優れていてインクジェット用インクとして好ましい。本発明において、高分子化合物(B)の溶媒に対する「溶解性」をさらに向上させるために、その重量平均分子量は1,000〜10,000であることが好ましく、1,000〜5,000であることがさらに好ましい。
そして、高分子化合物(B)の重量平均分子量が1,000〜2,000であることが特に好ましい。1,000以上の重量平均分子量を有する高分子化合物(B)は、加熱処理によって蒸発することがなく、化学的、機械的に安定であり、2,000以下の重量平均分子量を有する高分子化合物(B)は、溶媒に対する溶解性を向上させることができるので、得られる塗膜の膜厚を大きくすることが可能であり、インクジェット用インクとして好ましく用いることができるからである。
高分子化合物(B)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、得られた高分子化合物(B)をテトラヒドロフラン(THF)等で濃度が約1重量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
3 溶媒(C)
本発明のインクジェット用インクは、例えば、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)、必要により高分子化合物(B)を溶媒(C)に溶解して得ることができる。したがって、本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒は、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)、必要により高分子化合物(B)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、必要により高分子化合物(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって、インクジェット用インクに含まれる溶媒(C)として用いることが可能である。
インクジェット用インクに含まれる溶媒(C)の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、マロン酸ジエチル、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール等を挙げることができる。
前記の通り、本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒について特に制限は無いが、インクジェット印刷機のインクヘッドの仕様によっては、その接合部材や内在するフィルター素材が使用する溶媒の種類によって腐食や膨潤する場合がある。あるいは、乾燥速度が速い溶媒ではインクヘッドの目詰まりが起こったりするので溶媒(C)の選択は非常に重要である。
本発明者が鋭意検討した結果、インクジェットヘッドの耐久性向上やヘッド目詰まり、インク吐出性の点で、乳酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトンが溶媒(C)として特に好ましいことを見出した。
さらに、インクジェット用インクの塗布性にインクの表面張力が大きく影響するため、インクの表面張力を20〜45mN/m、好ましくは27〜42mN/m、より好ましくは30〜40mN/mに調整する。表面張力が45mN/mより大きくなるとインク吐出口におけるインクメニスカスが不安定化してインクが吐出できなくなることがあり、20mN/mより小さくなると塗布した液滴が濡れ広がってしまい塗布パターンの形状が大きく悪化する。
表面張力を20〜45mN/mの範囲に調整するには、溶媒選定が重要である。表張力が20〜45mN/mの範囲にある一種の溶媒を用いても良いが、表面張力の大きな溶媒(例えば、γ−ブチロラクトン:43mN/m)および表面張力の小さな溶媒(例えば、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル:24mN/m、あるいはエチレングリコールモノブチルエーテル:32mN/m)を混合して用いると溶媒組成で表面張力を微調整できるので好ましい。
また、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、カルバミド酸エステル等のアミド系の溶媒は、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)や高分子化合物(B)の良溶媒であることから好ましく用いることができるが、その一方でインクジェットヘッドの耐久性に難があり注意が必要である。
本発明のインクジェット用インクに含まれる溶媒(C)において、アミド系溶媒は全く含まないか、あるいは多くても溶媒(C)の全重量に対して20重量%以下であることが好ましい。
これらの溶媒は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
4 本発明のインクジェット用インクにおけるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)および高分子化合物(B)の濃度
本発明においてインクジェット用インク中のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)の濃度は特に限定されないが1〜99重量%が好ましく、10〜80重量%がさらに好ましく、22〜70重量%がさらに好ましい。これらの濃度範囲であると、1回のインクジェッティングで得られる膜の厚さが最適となり、ジェッティング精度が高いので好ましい。
本発明においてインクジェット用インク中の高分子化合物(B)の濃度は特に限定されないが、0〜50重量%が好ましく、0〜25重量%がさらに好ましい。これらの濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性が付与できることがあり好ましい。
インクジェット用インクとして用いる場合、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)および高分子化合物(B)の濃度は高いほど得られるポリイミド膜の膜厚が厚くなるため好ましいが、その一方で粘度も高くなる傾向にあるため、場合によってはインクジェット印刷機で吐出できなくなるという問題が生じる。本発明者らが鋭意検討した結果、特に上記の濃度範囲であれば膜厚の大きなポリイミド膜を形成可能なインクジェット用インクとして好ましく用いることができることを見出した。
5 本発明のインクジェット用インクに添加される添加剤
本発明のインクジェット用インクは、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)、必要により高分子化合物(B)、必要により溶媒(C)とを混合して得られる。
さらに、目的とする特性によっては、本発明のインクジェット用インクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、トリメリット酸等のエポキシ硬化剤、アミノシリコン化合物、溶媒、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等の添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
(1)エポキシ樹脂
本発明のインクジェット用インクは、エポキシ樹脂をさらに含んでもよい。本発明のインクジェット用インクに含まれるエポキシ樹脂は、オキシランを有すれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
本発明においてインクジェット用インク中のエポキシ樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、および、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、などが挙げられる。
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどを挙げることができる。
オキシランを有するモノマーの重合体およびオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。本発明のインクジェット用インクがこれらのエポキシ樹脂を含有すると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
本発明のインクジェット用インクに含まれ得るエポキシ樹脂の具体例としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。
これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
エポキシ樹脂は一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
(2)アクリル樹脂
本発明のインクジェット用インクは、アクリル樹脂をさらに含んでもよい。インクジェット用インクに含まれるアクリル樹脂は、アクリル基やメタクリル基を有すれば特に限定されない。
インクジェット用インク中のアクリル樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、インクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、及び、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも形成される膜が柔軟である点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが特に好ましい。
ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、またはシクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]等を挙げることができる。
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、またはジペンタエリスリトールジアクリレート等を挙げることができる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、またはウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらのアクリル樹脂は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
(3)界面活性剤
インクジェット用インクの塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。本発明のインクジェット用インクに添加される界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)などのシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)などのアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
(4)帯電防止剤
本発明のインクジェット用インクに添加される帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
(5)カップリング剤
本発明のインクジェット用インクに添加されるカップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらのカップリング剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
(6)エポキシ硬化剤
本発明のインクジェット用インクに添加されるエポキシ硬化剤は、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物等が挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物等の酸無水物等が挙げられる。中でも透明性が良好な無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
これらのエポキシ硬化剤は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ硬化剤は、インクジェット用インク100重量部に対し0.2〜5重量部添加して用いられることが好ましい。
(7)アミノシリコン化合物
本発明のインクジェット用インクにおいてアミノシリコン化合物を添加することができる。アミノシリコン化合物としては、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのアミノシリコン化合物は、一種のみを用いてもよく、また、二種以上を混合して用いてもよい。
アミノシリコン化合物は、基板への密着性をよくするために使用するものであり、インクジェット用インク100重量部に対し0.05〜2重量部添加して用いられることが好ましい。
6 インクジェット用インクの粘度
本発明においてインクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、常温でジェッティングを行う場合は、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する点で好ましくは1〜50mPa・s(25℃)であり、より好ましくは5〜30mPa・s(25℃)、さらに好ましくは8〜20mPa・s(25℃)である。
インクヘッドを加熱してジェッティングを行う場合は、加熱温度(アルケニル置換ナジイミド化合物が硬化しない温度、好ましくは40〜120℃)において、1〜50mPa・s、好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは8〜20mPa・sであればよい。
7 ポリイミド膜
本発明のインクジェット用インクを、基板表面にインクジェットにより塗布し、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱処理して全面または所定のパターン状(ライン状等)のポリイミド膜を形成することができる。
従来、パターン状のポリイミド膜を形成する場合はフォトリソグラィ技術を用いているが、フォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液が必要であり、さらに煩雑な工程を要するものであった。これに対して、本発明のインクジェット用インクを用いて形成されたパターン状ポリイミド膜は、インクジェット印刷により必要な部分のみに描画するため材料使用量は圧倒的に少なく、フォトマスクを使用しないので多品種大量生産が可能であり、且つ製造に要する工程数が少ないといった特徴を有するものである。
7.1 インクジェット方法によるインクジェット用インクの塗布
インクジェット塗布方法には、インクの吐出方法により各種のタイプがある。例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、静電誘導型などが挙げられる。本発明にかかるインクは、インクに含まれる各成分を適正に選択することにより、様々な方法でジェッティングが可能であり、インクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
本発明にかかるインクを用いて塗布を行うのにより好ましい吐出方法は圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。また、インク収容部は塗布ヘッドに対し分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
また、塗布ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、上述のようにシリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
7.2 溶媒乾燥
インクジェット塗布方法を用いて、基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェットによって塗布した後、ホットプレート、またはオーブンなどでの加熱により溶媒(C)を気化等させて除去する、すなわち乾燥することによって、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)の膜を形成することができる。インクジェット用インクが、さらに高分子化合物(B)を含む場合は、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)と高分子化合物(B)の複合膜を形成することができる。
加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、アルケニル置換ナジイミド化合物(A)が硬化しない温度が好ましく、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合5〜15分間、ホットプレートを用いた場合1〜5分間で膜が形成される。
7.3 ポリイミドの膜の形成
アルケニル置換ナジイミド化合物(A)の膜、あるいはアルケニル置換ナジイミド化合物(A)と高分子化合物(B)の複合膜を形成した後、アルケニル置換ナジイミド化合物を硬化させるために、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃で、加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる(オーブンを用いた場合は、30〜90分間、ホットプレートを用いた場合は、5〜30分間である)。なお、高分子化合物(B)がポリアミド酸やポリアミド酸エステル等である場合は、加熱処理によるイミド化反応も同時に進行する。
膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、パターン状のポリイミド膜を含むものとする。
このようにして得られたポリイミド膜は、耐熱性、電気絶縁性に優れた絶縁膜である。また、原料のインクジェット用インクがエポキシ樹脂を含む場合、比較的強靭で、耐薬品性、平坦性、密着性および耐スパッタ性に優れた絶縁膜となるので好ましい。
8 フィルム基板
本発明のフィルム基板は、例えば、インクジェット等の方法により配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、当該基板を乾燥し、さらに加熱してポリイミド膜が形成されて得られる。
9 電子部品
例えば、予め配線が形成されたポリイミドフィルム等のフィルム基板上に、本発明のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布し、その後、当該フィルム基板を乾燥し、さらに加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルな電子部品が得られる。
実施例および比較例で用いる、アルケニル置換ナジック酸無水物、アルケニル置換ナジイミド(a1)、ビスアルケニル置換ナジイミド(a2)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)、ジアミン(b2)、モノアミン(b3)および溶媒(C)の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
アルケニル置換ナジック酸無水物
ANA:アリルナジック酸無水物
アルケニル置換ナジイミド(a1)
ANIM:N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド
ビスアルケニル置換ナジイミド(a2)
BANIM:ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン
トリスアルケニル置換ナジイミド(a3)
TrisANITAEA:トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリエチル}アミン
TrisANITrisAM:トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)トリフェニル}メタン
TrisANIPARARO:トリス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}ヒドロキシメタン
テトラキスアルケニル置換ナジイミド(a4)
TetrakisANITAM:テトラキス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)テトラフェニル}メタン
酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
ジアミン(b2)
DDS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
HFBAPP:4,4’−[[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビス−4,1−フェニレンオキシ]ビスベンゼンアミン
HMDA:ヘキサメチレンジアミン
12DA:1,12−ドデカンジアミン
BAEE:1,2−ビス(3−アミノエトキシ)エタン
BAPB:1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)ブタン
BAPEE:ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチルエーテル]
DDET:4,4’−(1,2−エチンジイル)ビスベンゼンアミン
DDP:4,4’−(1,5−ペンタンジイル)ビス−ベンゼンアミン
IPD:イソホロンジアミン
APDS:ビスアミノプロビルテトラメチルシロキサン
FM3311:上記式(XV)において、R3、R4がともにメチルであり、R5がメチレンであり、xが3でありyが10〜15程度の混合物である、平均分子量が1,000である化合物(商品名「FM3311」(チッソ(株)製))
モノアミン(b3)
S330:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
トリアミン(b4)
TAEA:トリアミノエチルアミン
TrisAM:トリアミノフェニルメタン
PARARO:パラローズアニリン
テトラアミン(b5)
TAM:テトラアミノフェニルメタン
溶媒(C)
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチルー2−ピロリドン
[実施例1]インクジェット用インク(1)
攪拌機及び原料投入仕込み口を備えた200mlの三つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIMの40重量%溶液を得た。この溶液の粘度は15.2mPa・s(25℃)であり、表面張力(25℃)は33mN/mであった。この溶液をそのままインクジェット用インク(1)として使用した。溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)で測定した。表面張力は、自動動的表面張力計(協和界面化学株式会社製 BP−D4)で測定した。
BANIM 40.0g
GBL 30.0g
EDM 30.0g
[実施例2]インクジェット用インク(2)
実施例1で用いた三つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、BANIMの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は42.7mPa・s(25℃)、15.4mPa・s(50℃)であり、表面張力(25℃)は34mN/mであった。
BANIM 50.0g
GBL 25.0g
EDM 25.0g
[実施例3]インクジェット用インク(3)
実施例1で用いた三つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、ANIM/BANIMの60重量%溶液を得た。この溶液の粘度は108mPa・s(25℃)、18.4mPa・s(60℃)であり、表面張力(25℃)は33mN/mであった。
ANIM 10.0g
BANIM 50.0g
GBL 20.0g
EDM 20.0g
[実施例4]インクジェット用インク(4)
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なポリアミド酸(B)の30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は15.5mPa・sであった。GPCで測定した重量平均分子量は2,100であった。
ポリアミド酸の重量平均分子量は、得られたポリアミド酸をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置:日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。カラムは、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
ODPA 55.0g
DDS 11.0g
S330 59.0g
EDM 291.0g
このポリアミド酸(B)溶液とBANIMを以下に示すとおりに仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、固形分の50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は75.6mPa・s(25℃)、12.5mPa・s(60℃)であり、表面張力(25℃)は27mN/mであった。
ポリアミド酸(B)溶液 30.0g
BANIM 12.0g
[実施例5]
実施例1で調製されたインクジェット用インク(1)をインクジェットインクとして使用し、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831で1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板上に1ドット幅でドットピッチ20ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を行った。インクジェットヘッドのヒーターの設定を30℃とし、ピエゾ電圧は16V、駆動周波数は5kHzとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成されたポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅、ライン幅の均一性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製の触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
[実施例6]
実施例2で調製されたインクジェット用インク(2)をインクジェットインクとして使用し、ヘッドヒーターの設定を50℃にした以外は、実施例5と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例5と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
[実施例7]
実施例3で調製されたインクジェット用インク(3)をインクジェットインクとして使用し、ヘッドヒーターの設定を60℃にした以外は、実施例5と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例5と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
[実施例8]
実施例4で調製されたインクジェット用インク(4)をインクジェットインクとして使用し、ヘッドヒーターの設定を60℃にした以外は、実施例5と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例5と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
終夜という用語が使用される場合は、約12〜18時間という時間を指し、「室温」が使用される場合、約20〜25℃という温度を指す。
[合成例1]アルケニル置換ナジイミドの合成(1)
攪拌子を入れ、ガラス栓をした200mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、室温終夜攪拌した後、室温減圧(真空計圧力0.1Pa)下で、溶媒を蒸発させ、アミック酸を得た。このアミック酸をシャーレに移し、180℃に加熱されたオーブンに30分間入れ、脱水閉環させ固体のイミド化物BANIHFBAPP 4.1gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1710cm−1、1778cm−1)で確認した。
ANA 1.85g
HFBAPP 2.35g
THF 10.0g
[合成例2]アルケニル置換ナジイミドの合成(2)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例1と同様の方法を経て、粘調な液体イミド化物BANIH 5.97gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1690cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 4.67g
HMDA 1.33g
THF 200.0ml
[合成例3]アルケニル置換ナジイミドの合成(3)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例1と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANI12DA 5.93gを得た。なお、イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1692cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 4.03g
12DA 1.97g
THF 200.0ml
[合成例4]アルケニル置換ナジイミドの合成(4)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、合成例1と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANIBAEE 27.7gを得た。
ANA 22.01g
BAEE 7.99g
THF 70.0g
[合成例5]アルケニル置換ナジイミドの合成(5)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、合成例1と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANIBAPB 28.0gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1690cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 20.00g
BAPB 10.00g
THF 70.0g
[合成例6]アルケニル置換ナジイミドの合成(6)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、合成例1と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANIBAPEE 28.1gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1692cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 19.49g
BAPEE 10.50g
THF 70.0g
[合成例7]アルケニル置換ナジイミドの合成(7)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、合成例1と同様の方法を経て、固体のイミド化物BANIDDET 8.26gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1702cm−1、1770cm−1)で確認した。
ANA 5.92g
DDET 3.08g
THF 40.0g
[合成例8]アルケニル置換ナジイミドの合成(8)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、合成例1と同様の方法を経て、固体のイミド化物BANIDDP 8.58gを得た。
ANA 5.29g
DDP 3.70g
THF 20.0g
[合成例9]アルケニル置換ナジイミドの合成(9)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例1と同様の方法を経て、固体のイミド化物BANIIPD 2.70gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1698cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 2.11g
IPD 0.88g
THF 7.0g
[合成例10]アルケニル置換ナジイミドの合成(10)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANIAPDS 6.73gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1692cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 4.47g
APDS 2.72g
THF 16.8g
[合成例11]アルケニル置換ナジイミドの合成(11)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、粘調な液体のイミド化物BANIFM3311 7.85gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1700cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 2.40g
FM3311 5.76g
THF 20.0g
[合成例12]アルケニル置換ナジイミドの合成(12)
攪拌子を入れた300mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、非常に粘調な液体のイミド化物TrisANITAEA 4.45gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1692cm−1、1766cm−1)で確認した。
ANA 3.63g
TAEA 0.87g
THF 200.0ml
[合成例13]アルケニル置換ナジイミドの合成(13)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、固体のイミド化物TrisANITrisAM 2.98gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1706cm−1、1774cm−1)で確認した。
ANA 2.04g
TrisAM 0.97g
THF 7.0g
[合成例14]アルケニル置換ナジイミドの合成(14)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、固体のイミド化物TrisANIPARARO 2.97gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1706cm−1、1778cm−1)で確認した。
ANA 2.00g
PARARO 1.00g
THF 7.0g
[合成例15]アルケニル置換ナジイミドの合成(15)
攪拌子を入れた100mlのナス型フラスコをスターラー上に用意し、オーブンの加熱温度が160℃であること以外は合成例9と同様の方法を経て、固体のイミド化物TetrakisANITAM 2.97gを得た。イミド化物の同定はFT−IRを用いて赤外吸収スペクトル(イミド環カルボニル基の伸縮振動1706cm−1、1776cm−1)で確認した。
ANA 2.04g
TAM 0.96g
THF 7.0g
[実施例9]インクジェット用インク(6)
攪拌子を入れたアズワン株式会社製ラボランパックスクリュー管瓶6ccをスターラー上に用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIM固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIMの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は7.1mPa・s(25℃)であった。
BANIM 3.00g
EDM 4.00g
GBL 4.00g
[実施例10]インクジェット用インク(7)
実施例9と同様に瓶を用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIM固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIMの40重量%溶液を得た。この溶液の粘度は15.2mPa・s(25℃)であった。
BANIM 4.00g
EDM 3.00g
GBL 3.00g
[実施例11]インクジェット用インク(8)
実施例9と同様に瓶を用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIM固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIMの60重量%溶液を得た。この溶液の粘度は189.6mPa・s(25℃)であった。
BANIM 6.00g
EDM 2.00g
GBL 2.00g
[実施例12]インクジェット用インク(9)
実施例9と同様に瓶を用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIDDET固形分は攪拌したが室温においては溶解しなかった。
BANIDDET 1.20g
EDM 1.40g
GBL 1.40g
[実施例13]インクジェット用インク(10)
実施例9と同様に瓶を用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIDDP固形分が完全に溶解するまで攪拌し、褐色透明なBANIDDPの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は7.2mPa・s(25℃)であった。
BANIDDP 1.20g
EDM 1.40g
GBL 1.40g
[実施例14]インクジェット用インク(11)
ラボランパックスクリュー管瓶13.5ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIHFBAPP固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIHFBAPPの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は7.5mPa・s(25℃)であった。
BANIHFBAPP 3.60g
EDM 4.20g
GBL 4.20g
[実施例15]インクジェット用インク(12)
ラボランパックスクリュー管瓶13.5ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIIPD固形分が完全に溶解するまで攪拌し、黄色透明なBANIIPDの40重量%溶液を得た。この溶液の粘度は14.6mPa・s(25℃)であった。
BANIIPD 2.40g
EDM 1.80g
GBL 1.80g
[実施例16]インクジェット用インク(13)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIAPDS固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIAPDSの55重量%溶液を得た。この溶液の粘度は14.6mPa・s(25℃)であった。
BANIAPDS 6.60g
EDM 2.70g
GBL 2.70g
[実施例17]インクジェット用インク(14)
実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIAPDS固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIAPDSの70重量%溶液を得た。この溶液の粘度は16.5mPa・s(70℃)であった。
BANIAPDS 1.40g
GBL 0.60g
[実施例18]インクジェット用インク(15)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIFM3311固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIFM3311の60重量%溶液を得た。この溶液の粘度は14.7mPa・s(25℃)であった。
BANIFM3311 7.20g
EDM 2.40g
GBL 2.40g
[実施例19]インクジェット用インク(16)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIH固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIHの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は14.3mPa・s(25℃)であった。
BANIH 6.00g
EDM 3.00g
GBL 3.00g
[実施例20]インクジェット用インク(17)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANI12DA固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANI12DAの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は15.8mPa・s(25℃)であった。
BANI12DA 6.00g
EDM 3.00g
GBL 3.00g
[実施例21]インクジェット用インク(18)
実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIBAEE固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIBAEEの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は17.3mPa・s(25℃)であった。
BANIBAEE 2.00g
EDM 1.00g
GBL 1.00g
[実施例22]インクジェット用インク(19)
実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIBAPB固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIBAPBの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は18.4mPa・s(25℃)であった。
BANIBAPB 2.00g
EDM 1.00g
GBL 1.00g
[実施例23]インクジェット用インク(20)
実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、BANIBAPEE固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なBANIBAPEEの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は17.7mPa・s(25℃)であった。
BANIBAPEE 2.00g
EDM 1.00g
GBL 1.00g
[実施例24]インクジェット用インク(21)
実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、TrisANITAEA固形分が完全に混合するまで攪拌し、褐色透明なTrisANITAEAの50重量%溶液を得た。この溶液の粘度は16.1mPa・s(25℃)であった。
TrisANITAEA 2.40g
EDM 1.20g
GBL 1.20g
[実施例25]インクジェット用インク(22)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、TrisANITrisAM固形分が完全に溶解するまで攪拌し、赤褐色透明なTrisANITrisAMの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は8.9mPa・s(25℃)であった。
TrisANITrisAM 3.60g
EDM 4.20g
GBL 4.20g
[実施例26]インクジェット用インク(23)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、TrisANIPARARO固形分が完全に溶解するまで攪拌し、赤紫透明なTrisANIPARAROの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は13.8mPa・s(25℃)であった。
TrisANIPARARO 3.60g
EDM 4.20g
GBL 4.20g
[実施例27]インクジェット用インク(24)
ラボランパックスクリュー管瓶20ccを使用したこと以外は実施例9と同様に瓶を用意した。以下に示すとおりに原料を仕込み、TetrakisANITAM固形分が完全に溶解するまで攪拌し、褐色透明なTetrakisANITAMの30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は13.8mPa・s(25℃)であった。
TetrakisANITAM 3.60g
EDM 4.20g
GBL 4.20g
[比較例1]インクジェット用インク(5)
実施例1で用いた三つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で10hr攪拌した後、70℃に昇温して8hr攪拌して減粘し、黄色透明なポリアミド酸の8重量%溶液を得た。この溶液の粘度は9.1mPa・s(25℃)であり、表面張力(25℃)は43mN/mであった。本合成例では、溶媒としてEDMを使用すると反応生成物が析出するため、NMPを使用した。GPCで測定した重量平均分子量は25,000であった。この溶液をそのままインクジェット用インク(5)とした。
ODPA 5.0g
DDS 4.0g
NMP 103.5g
[比較例2]
比較例1で調製されたインクジェット用インク(5)をインクジェットインクとして使用した以外は、実施例5と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例5と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ライン幅は塗布したときの幅より大幅に広がり、ラインのエッジの直線性も不十分であり、また、ラインは十分な厚みを有していなかった。
実施例9から27で得られたインクジェット用インクのうち実施例10、11、12、17を除いたインクの耐熱性試験を行った。インクジェット用インク1mlをガラス基板上に滴下し、スピンコートを行った。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ポリイミドの絶縁膜を得た。更に250℃に加熱したオーブンで30分間加熱した。80℃の乾燥後、230℃の加熱後、250℃の加熱後に膜厚を測定し、減少率を算出した。また、同時に加熱時の膜の流動(リフロー)の有無も調べた。その結果を表2に示す。
実施例9、実施例10で得られたインクジェット用インクの保存安定性試験を行った。インクをサンプル瓶に入れ、作製当日の粘度及び140日間室温保存後の粘度を測定した。その結果を、表3に示す。
[比較例3]インクジェット用インク(25)
攪拌機及び原料投入仕込み口を備えた500mlセパラブルフラスコを用意し、以下に示すとおりに原料を仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、透明な30重量%溶液を得た。この溶液の粘度は17.6mPa・s(25℃)であった。
ODPA 26.45g
DDS 5.3g
S330 28.25g
EDM 140g
[比較例4]保存安定性試験
比較例3で得られたインクジェット用インクの保存安定性試験を行った。インクをサンプル瓶に入れ、作製当日の粘度及び140日間室温保存後の粘度を測定した。その結果を、表3に示す。
実施例10で調製されたインクジェット用インク(7)をインクジェットインクとして使用し、FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831で0.7um厚のガラス基板上に1ドット幅でドットピッチ20ミクロンに設定し、長さ5cmのライン塗布を行った。インクジェットヘッドのヒーターの設定を30℃とし、ピエゾ電圧は30V、駆動周波数は5kHzとした。基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成されたポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅、ライン幅の均一性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製の触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を表4に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
[実施例31]
実施例16で調製されたインクジェット用インク(13)をインクジェットインクとして使用し、ピエゾ電圧は16V、ヘッドヒーターの設定を70℃にした以外は、実施例30と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例30と同じ条件で評価を行った。その結果を表4に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
[実施例32]
実施例19で調製されたインクジェット用インク(16)をインクジェットインクとして使用し、ピエゾ電圧は18Vにした以外は、実施例30と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例30と同じ条件で評価を行った。その結果を表4に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
Claims (22)
- 少なくとも1種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含むインクジェット用インク。
- 前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)が下記式(1)で表される化合物である、請求の範囲第1項又は第2項に記載のインクジェット用インク。
式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜4の整数であり、
n=1のとき、R3は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(CqH2q)Ot(CrH2rO)uCsH2sX}(ただしq、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C6H4−R4(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R4は水素若しくは炭素数1〜4のアルキルをそれぞれ表す)で表される基、−C6H4−T−C6H5{ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−S−若しくは−SO2−である}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、R3は炭素数2〜20のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、
炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R)a−C6H4−R5−(ここで、aは0または1の整数、R及びR5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−、−C6H4−T−C6H4−T−C6H4−または−C6H4−T’−C6H4−T−C6H4−T’−C6H4−{ただし、Tは単結合、炭素数1〜6のアルキレン、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である。}で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基、式(7)で表される基または式(8)で表される基であり、式(7)中、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数であり、
n=3のとき、R3は下記式(5)又は(5’)で表される基であり、
式(5)中、Rは、水素、フッ素、塩素、−OH、−OCF3、−OCF2H、−CF3、−CF2H、−CFH2、−OCF2CF2H、−OCF2CFHCF3、または炭素数1〜10のアルキルであり、
式(5)、(5’)中、R4、R5、R6は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく、
n=4のとき、R3は下記式(6)で表される基である。
式(6)中、R4、R5、R6、R7は、それぞれ独立して、単結合、トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレン、または炭素数1〜10のアルキレンであり、アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。 - nが2である、請求の範囲第3項に記載のインクジェット用インク。
- nが2であり、
R3が、炭素数2〜15のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えらされていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、−(R)a−C6H4−R5−(ここで、aは0または1の整数、R及びR5はそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−、−C6H4−T−C6H4−T−C6H4−または−C6H4−T’−C6H4−T−C6H4−T’−C6H4−{ただしTは単結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−、−O−、−S−または−SO2−であり、T’は−CH2−または−O−である。}で表される基である、請求の範囲第3項に記載のインクジェット用インク。 - R1およびR2がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、
nが2であり、
R3が炭素数2〜15のアルキレン{アルキレン中の互いに隣接しない任意のメチレンは−O−または−CH=CH−で置き換えられていてもよく、任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい}、式(2)で表される基、式(3)で表される基、式(4)で表される基、式(7)で表される基または式(8)で表される基である、請求の範囲第3項に記載のインクジェット用インク。
式(2)及び(4)中、Rは、−CH2−、−CH2CH2−、−O−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−からなる有機基であり、式(4)中、Xは、−CH2−、−O−、からなる有機基であり、式(7)中、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。 - nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、nが3であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)、およびnが4であるアルケニル置換ナジイミド化合物(A)から選ばれる少なくとも2種のアルケニル置換ナジイミド化合物(A)を含む、請求の範囲第3項に記載のインクジェット用インク。
- 高分子化合物(B)をさらに含む、請求の範囲第1項〜第10項のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 前記高分子化合物(B)がポリアミド酸またはポリイミドの少なくとも1種である、請求の範囲第11項に記載のインクジェット用インク。
- 前記高分子化合物(B)の重量平均分子量が1,000〜5,000である、請求の範囲第11項又は第12項に記載のインクジェット用インク。
- 溶媒(C)をさらに含む、請求の範囲第1項〜第13項のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 溶媒(C)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1つ以上である、請求の範囲第14項に記載のインクジェット用インク。
- インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)1〜99重量部を含む、請求の範囲第1項〜第15項のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)10〜80重量部を含む、請求の範囲第1項〜第16項のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- インクジェット用インク100重量部に対して、前記アルケニル置換ナジイミド化合物(A)22〜70重量部を含む、請求の範囲第1項〜第15項のいずれかに記載のインクジェット用インク。
- 請求の範囲第1項〜第18項のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成するし、該塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成して得られるポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
- 請求の範囲第1項〜第18項のいずれかに記載されたインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を加熱処理してポリイミド膜を形成する工程を含むポリイミド膜形成方法。
- 請求の範囲第20項に記載されたポリイミド膜形成方法で基板上にポリイミド膜が形成されたフィルム基板。
- 請求の範囲第21項に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
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