JP5569216B2 - 熱硬化性組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
インクジェット用インクは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜5参照。)、インクジェット用インクとして吐出・印刷するためには、インクの粘度、溶媒の沸点などの様々なパラメータを最適化しなくてはならない。
粘度に関しては、一般的には吐出温度(吐出時のインクの温度)において、1〜50mPa・s程度の低粘度であることが求められている。特にピエゾ方式のインクジェット印刷の場合は、圧電素子の吐出圧力が小さいため、粘度が大きくなると場合によってはインクが吐出不能となる。
ポリイミド系のインクジェット用インクとしては、ポリイミドあるいは加熱処理することによりポリイミドとなるポリアミド酸を含有しているインクが各種提案されている(例えば、特許文献6〜10参照。)。
ポリイミド膜としての機能・特性は用途によって異なる。特にフィルム基板を用いたフレキシブルプリント配線板用途やシリコンウエハー基板を用いた半導体用途では、基板とポリイミド膜との密着性が大きな課題となっている。
原料のテトラカルボン酸誘導体の構造を最適化して、ポリイミド膜の機能・特性を発現する具体例としては、特定構造のテトラカルボン酸無水物を使用して製造される含リンポリエステルイミド前駆体や含リンポリエステルイミドが、薄膜化しても従来と同様の難燃性を保持し、良好な熱拡散性を有することが開示されている(例えば、特許文献11参照。)。しかしながら、特許文献11には、基板とポリイミド膜との密着性については何ら開示されておらず、さらにインクジェット用インクとしての粘度、溶媒の沸点などの必要特性にも配慮されてはいない。
[2] 酸無水物(a2)および(a2’)が、それぞれ独立に、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]項に記載の熱硬化性組成物。
[3]
ジカルボン酸無水物が、一般式(2)で表される化合物であり、
テトラカルボン酸二無水物が、一般式(3)で表される化合物である、
前記[2]項に記載の熱硬化性組成物。
式(3)中、Yは、
[4] カルボキシル基含有化合物(A)が、一般式(i−1)〜(i−3)、(ii−1)〜(ii−8)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、前記[3]項に記載の熱硬化性組成物。
[5] 一般式(1)中のZが、炭素数1〜20のアルキレン、前記アルキレン中の任意のメチレンを芳香族基に置き換えた基、または−(CH2CH2−O)n−CH2CH2−で表される基(nは1〜10の整数)である、前記[1]〜[4]の何れか一項に記載の熱硬化性組成物。
[6] エポキシ化合物(B)が、アルキレングリコールジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび式(B1)〜(B4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の熱硬化性組成物。
[7] 溶媒(C)をさらに含有する、前記[1]〜[6]の何れか一項に記載の熱硬化性組成物。
[8] 溶媒(C)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンから選ばれる少なくとも1種を含有する溶媒である、前記[7]項に記載の熱硬化性組成物。
[9] カルボキシル基含有化合物(A)以外のエポキシ硬化剤(D)をさらに含有する、前記[1]〜[8]の何れか一項に記載の熱硬化性組成物。
[10] エポキシ硬化剤(D)が、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、アミンアダクト、ポリカルボン酸系硬化剤、ポリアミン系硬化剤および触媒型硬化剤から選ばれる少なくとも1種である、前記[9]項に記載の熱硬化性組成物。
[11] 前記[1]〜[10]の何れか一項に記載の熱硬化性組成物からなるインクジェット用インク。
[12] 前記[11]項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を経て得られた硬化膜またはパターン状硬化膜。
[13] 前記[11]項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を有する、インクの塗布方法。
[14] 前記[11]項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を有する、硬化膜またはパターン状硬化膜の形成方法。
[15] フィルム基板と、該基板上に前記[14]項に記載の形成方法により形成された硬化膜またはパターン状硬化膜とを有する硬化膜付き基板。
[16] シリコンウエハー基板と、該基板上に前記[14]項に記載の形成方法により形成された硬化膜またはパターン状硬化膜とを有する硬化膜付き基板。
[17] 前記[15]または前記[16]項に記載の硬化膜付き基板を有する電子部品。
よって、本発明によれば、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、カルボキシル基含有化合物(A)とエポキシ化合物(B)とを含有し、溶媒(C)をさらに含有することが好ましい。前記組成物は、化合物(A)以外のエポキシ硬化剤(D)やその他の添加剤を含有してもよい。
カルボキシル基含有化合物(A)としては、下記アミド酸(i)および下記カルボキシル基含有エステル化合物(ii)から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
(i)後述する一般式(1)で表されるアミノ化合物(a1)と、酸無水物(a2)とを反応させて得られたアミド酸(以下「アミド酸(i)」ともいう。)
(ii)アミド酸(i)またはそのイミド化物(以下「イミド化物(i)」ともいう。)と、さらに酸無水物(a2')とを反応させて得られたエステル化合物(以下「カルボキシル基含有エステル化合物(ii)」または「エステル化合物(ii)」ともいう。)
化合物(A)は、カルボキシルを有しているため、エポキシ硬化剤として作用する。すなわち、加熱処理により、化合物(A)のカルボキシルとエポキシ化合物(B)のエポキシとが反応して硬化が進み、硬化膜が形成される。前記硬化膜は、基板との良好な密着性を示すとともに反り量が少なく、また電気的特性、耐アルカリ特性および熱的特性に優れている。
なお、アミド酸(i)またはそのイミド化物(i)と反応させる酸無水物(a2’)は、アミド酸(i)の合成時に使用する酸無水物(a2)と同一でも異なっていてもよい。
以下、アミノ化合物(a1)、酸無水物(a2)および酸無水物(a2’)などの反応原料、ならびに化合物(A)の合成時に使用する反応溶媒について説明した後、化合物(A)の合成条件について説明する。
アミノ化合物(a1)は、一般式(1)で表される。
酸無水物(a2)は、酸無水物基を有する限り特に限定されない。本発明では、低粘度かつカルボキシル基含有化合物(A)の濃度が高い熱硬化性組成物を得るという観点から、酸無水物(a2)中の酸無水物基数は、1つまたは2つであることが好ましい。すなわち酸無水物(a2)としては、ジカルボン酸無水物、テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
酸無水物基を1つ有する化合物としては、ジカルボン酸無水物が挙げられる。
ジカルボン酸無水物としては、一般式(2)で表される化合物、テトラプロペニルコハク酸無水物、テトラデセニルコハク酸無水物、オクタデセニルコハク酸無水物、2−ドデセン−1−イルコハク酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−t−ブチルフタル酸無水物、4−フルオロフタル酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,3−シクロへキサンジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物などが挙げられる。
ジカルボン酸無水物の中でも、カルボキシル基含有化合物(A)の濃度が高い熱硬化性組成物(該組成物はインクジェット用インクとして好適に使用することができる。)を調製できる点で、一般式(2)で表される化合物、すなわちコハク酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、フタル酸無水物、cis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物およびcis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物が好ましく;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、コハク酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
酸無水物基を2つ有する化合物としては、テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、一般式(3)で表される化合物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンコハク酸二無水物および式a1−1〜a1−58で表される化合物などが挙げられる。
また、インクジェット用インクの用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、一般式(3)で表される化合物、ブタンテトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
酸無水物(a2)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アミド酸(i)またはそのイミド化物(i)と反応させる酸無水物(a2’)としては、酸無水物基を有する限り特に限定されず、上述の酸無水物(a2)と同様のものを用いることができる。すなわち、一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物(A)を合成する際には、反応溶媒を通常用いる。
反応溶媒としては、エタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、上記例示の反応溶媒以外の溶媒を、反応溶媒に混合して用いることもできる。
反応溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ところで、カルボキシル基含有化合物(A)の合成が完了したときに反応溶媒が残存している場合には、該反応溶媒を溶媒(C)として用いることもできる。反応溶媒の中でも、熱硬化性組成物中の他の成分との相溶性がよく、また組成物が低粘度になるためにインクジェット用インクとして使用する場合にインクジェットヘッドからの吐出性がよい点で、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンが好ましい。
アミド酸(i)は、アミノ化合物(a1)および酸無水物(a2)を混合して、穏やかな反応条件下で合成することができる。穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度5〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、好ましくは温度5〜30℃、反応時間0.2〜10時間で、触媒を使用することなく、酸無水物(a2)の酸無水物基が反応により開環して生じたカルボキシルを活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシルの活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
上記の穏やかな反応条件では、アミノ化合物(a1)のアミノと酸無水物(a2)の酸無水物基とが反応して生じたカルボキシルがアミノ化合物(a1)のアミンと反応したり、イミド化したりすることがないため、遊離のカルボキシルを有するアミド酸(i)を得ることができる。
アミノ化合物(a1)の仕込み量は、酸無水物(a2)の酸無水物基数1モルに対して、通常0.1〜3モル、好ましくは0.5〜2モルである。
アミド酸(i)またはそのイミド化物(i)には、アミノ化合物(a1)由来のヒドロキシルが存在する。このため、アミド酸(i)またはそのイミド化物(i)と、さらに酸無水物(a2’)とを反応させることにより、アミノ化合物(a1)由来のヒドロキシルと酸無水物(a2’)の酸無水物基とが反応してカルボキシルが生じる。このようにして、エステルを有するアミド酸、あるいはエステルを有するイミド化物、すなわちカルボキシル基含有エステル化合物(ii)を合成することができる。エステル化は、例えば、常圧下、温度が通常50〜200℃、好ましくは60〜180℃、反応時間が通常0.2〜20時間、好ましくは0.5〜10時間で、進めることができる。
なお、上記のようにして得られたアミド酸(i)またはそのイミド化物(i)は,精製処理により単離した後、酸無水物(a2’)と反応させてもよく、これらを含む溶液に酸無水物(a2’)を添加して、酸無水物(a2’)と反応させてもよい。
なお、全仕込み量という観点からは、カルボキシル基含有化合物(A)の合成において、アミノ化合物(a1)のモル数をna1、酸無水物(a2)および(a2’)の合計のモル数をna2としたとき、モル比(na1/na2)を、通常0.3〜5.0、好ましくは0.35〜4.0、より好ましくは0.40〜3.0に設定すればよい。熱硬化性組成物中のカルボキシル基含有化合物(A)の相溶性、熱硬化性組成物から形成された硬化膜と金属との密着性の観点から、前記モル比が好ましい。
以上のようにして得られた反応液または混合液には、カルボキシル基含有化合物(A)および反応溶媒などが含まれる。化合物(A)を含む反応液または混合液はそのまま用いてもよく、化合物(A)を単離して用いてもよい。
カルボキシル基含有化合物(A)は、エポキシ化合物(B)も含めて、本発明の熱硬化性組成物およびインクジェット用インクに高濃度で含有させることができ、かつ前記組成物およびインクは低粘度である。したがって、本発明の熱硬化性組成物およびインクジェット用インクは、1回のジェッティングで比較的厚い硬化膜(2μm以上)を形成することができる。
反応原料の反応系への添加順序は、特に限定されない。
アミド酸(i)の合成では、例えば、アミノ化合物(a1)と酸無水物(a2)とを同時に反応溶媒に加える方法、酸無水物(a2)を反応溶媒中に溶解させた後にアミノ化合物(a1)を加える方法、アミノ化合物(a1)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物(a2)を加える方法など、何れの方法も用いることができる。
カルボキシル基含有エステル化合物(ii)の合成では、例えば、上述のようにしてアミノ化合物(a1)と酸無水物(a2)とを混合して反応させた後、得られたアミド酸(i)またはそのイミド化物(i)を単離し、これらと酸無水物(a2’)と反応溶媒とを混合する方法、上述のようにしてアミノ化合物(a1)と酸無水物(a2)とを混合して反応させた後、さらに酸無水物(a2’)を加える方法など、何れの方法も用いることができる。また、アミノ化合物(a1)と酸無水物(a2)(一部が酸無水物(a2’)に相当することになる。)と反応溶媒とを混合して、アミド酸(i)およびエステル化合物(ii)の合成を同時に進めてもよい。
アミド酸(i)の具体例としては、一般式(i−1)〜(i−3)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、化合物(A)の合成時に得られた反応液または混合液をそのまま、他の成分と混合する場合には、前記反応液または混合液の使用量は、15〜70重量%が好ましく、20〜60重量%がより好ましい。
なお、化合物(A)の濃度は、組成物全体に対する濃度である。
エポキシ化合物(B)は、オキシランやオキセタンを有する化合物であれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
エポキシ化合物(B)としては、例えば、アルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、式(B1)〜(B4)で表される化合物、オキシランを有するモノマーの重合体、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
エポキシ化合物(B)の市販品としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート828EL」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1001」、「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)などが挙げられる。これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」、商品名「エピコート828EL」は、得られる硬化膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
エポキシ化合物(B)は、1種のみを用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱硬化性組成物中のエポキシ化合物(B)の濃度は特に限定されないが、1〜80重量%が好ましく、10〜60重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、本発明の硬化性組成物から形成された硬化膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
なお、エポキシ化合物(B)の濃度は、組成物全体に対する濃度である。
本発明の熱硬化性組成物は、溶媒(C)をさらに含有することが好ましい。溶媒(C)は、化合物(A)およびエポキシ化合物(B)を溶解することができる溶媒であれば、特に制限されない。また、単独では化合物(A)またはエポキシ化合物(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって化合物(A)またはエポキシ化合物(B)を溶解するようになる場合、そのような混合溶媒を溶媒(C)として用いることも可能である。
溶媒(C)の沸点は、通常150〜300℃、好ましくは150〜250℃である。
溶媒(C)としては、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル(1−ブトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1−エトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
溶媒(C)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒(C)は、本発明の熱硬化性組成物における固形分濃度が30〜80重量%となるような割合で、特に30〜75重量%となる割合で用いることが好ましい。なお、固形分とは、熱硬化性組成物中の溶媒(C)以外の全成分をいう。化合物(A)の合成時に得られた反応液または混合液をそのまま、他の成分と混合する場合には、前記溶媒(C)には化合物(A)の合成時に使用した反応溶媒も含まれる。
得られる硬化膜の耐めっき性およびはんだ耐熱性をより向上させるために、本発明の熱硬化性組成物はさらに化合物(A)以外のエポキシ硬化剤(D)を含有してもよい。エポキシ硬化剤(D)としては、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、アミンアダクト、ポリカルボン酸系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、触媒型硬化剤などが挙げられる。
エポキシ硬化剤(D)を用いる場合、熱硬化性組成物中、エポキシ硬化剤(D)は、カルボキシル基含有化合物(A)100重量部に対して、通常0重量部を超えて50重量部以下、好ましくは0重量部を超えて40重量部以下、より好ましくは0重量部を超えて30重量部以下の範囲で含まれる。
アミンとエポキシとの反応性生物の具体例としては、S510(チッソ(株)製)と4−ベンジルピペリジンとの反応生成物、S510(チッソ(株)製)と3,5−ジメチルピペリジンとの反応生成物、エピコート828EL(油化シェルエポキシ(株)製)と3,5−ジメチルピペリジンとの反応生成物、エピコート828EL(油化シェルエポキシ(株)製)と4−ヒドロピペリジンとの反応生成物が挙げられる。
ポリカルボン酸系硬化剤としては、オキシジフタル酸無水物1モルとイソロイシン2モルとの反応生成物、オキシジフタル酸無水物1モルとロイシン2モルとの反応生成物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物1モルとロイシン2モルとの反応生成物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物1モルとイソロイシン2モルとの反応生成物などが挙げられる。
本発明の熱硬化性組成物は、目的とする特性によっては、さらにその他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、高分子化合物、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、アクリル樹脂、重合性モノマー、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料などが挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリオキシエチレンが挙げられ、ポリアミド酸および可溶性ポリイミドなどのポリイミド系高分子化合物が好ましい。
高分子化合物としては、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを少なくとも用いて得られ、下記式で表される構成単位を有するポリアミド酸またはそのイミド化重合体が特に好ましい。
式(III)、(V)および(VII)中、A2は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−(CH2)n−、−O−(CH2)n−O−または−S−(CH2)n−S−であり、ここでnは1〜6の整数である。
式(VI)および(VII)中、2つ存在するA3は、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−または炭素数1〜3のアルキレンである。
以上の式(I)〜(VII)において、シクロヘキサン環またはベンゼン環が有する少なくとも一つの水素原子は、−Fまたは−CH3で置き換えられていてもよい。
ジアミンの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタン等が好ましく利用できる。
ジアミンとしては、さらに下記式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
R6における上記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらのアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。
式(VIII)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R6−A4−」のベンゼン環への結合位置を1位としたときに、3位および5位、または2位および5位に結合していることが好ましい。
式(VIII−3)〜(VIII−6)および(VIII−9)〜(VIII−11)中、R8は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであることがさらに好ましい。
式(VIII−16)および式(VIII−17)中、R10は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルであることが好ましく、炭素数8〜20のアルキルであることがさらに好ましい。
式(VIII−20)、(VIII−21)、(VIII−23)、(VIII−26)、(VIII−27)、(VIII−29)、(VIII−32)〜(VIII−35)および(VIII−38)中、R12は水素、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましい。
式(VIII−33)と(VIII−34)中、A5は炭素数1〜12のアルキレンである。
式(X)中、R15およびR16はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
式(IX)中、ステロイド核のB環に結合した「NH2−Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、ステロイド核の6位の炭素に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6のフェニル環への結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(X)中、2つの「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、該フェニル環にステロイド核および「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」が結合していると考えた場合、ステロイド核と「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」との位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XI)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。また、式(XII)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A9に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
式(XI−4)〜(XI−9)中、R21は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、水素または炭素数1〜10のアルキルであることが好ましい。
さらに、ジアミンの例として、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテルも挙げられる。
上述のとおり、ジアミンとしては、例えば、上記式(I)〜(XII)で表される化合物を用いることができるが、これらの化合物以外の、一級アミノ基を2つ有する化合物も用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独で、または他の一級アミノ基を2つ有する化合物として挙げた化合物と混合して用いることができる。
アルケニル置換ナジイミド化合物は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、例えば、国際公開第2008/059986号パンフレットに記載されている、式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物等が挙げられる。
n=1のとき、R16は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(CqH2q)Ot(CrH2rO)uCsH2sX}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C6H4−R17(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R17は水素または炭素数1〜4のアルキルを表す)で表される基、−C6H4−T−C6H5(ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−S−またはSO2−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、R16は−CpH2p−(ここで、pは2〜20の整数である)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(CqH2qO)t(CrH2rO)uCsH2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R17)a−C6H4−R18−(ここで、aは0または1の整数、R17およびR18はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C6H4−T−C6H4−(ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−O−、−OC6H4C(CH3)2C6H4O−、−S−、−SO2−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物の中でも、
R14およびR15がそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、
nが2であり、
R16が−CpH2p−(ここで、pは2〜10の整数である。)で表されるアルキレン、−(R17)a−C6H4−R18−(ここで、aは0または1の整数、R17およびR18はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、または−C6H4−T−C6H4−(ここで、Tは−CH2−、−C(CH3)2−、−CO−、−O−、−OC6H4C(CH3)2C6H4O−、−S−または−SO2−である)で表される基である、
アルケニル置換ナジイミド化合物が好ましい。
式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物の中でも、R14およびR15がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが2であり、R16が−(CH2)6−、下記式(II-2)で表される基または下記式(II-3)で表される基である、アルケニル置換ナジイミド化合物が特に好ましい。
シリコンアミド酸化合物は、分子内にアミド酸構造を有するシリコンアミド酸化合物であれば特に限定されないが、例えば、国際公開第2008/123190号パンフレットに記載されている、分子内に少なくとも2つのアミド酸構造を有する、下記式(III)で表されるシリコンアミド酸または下記式(IV)で表されるシリコンアミド酸が挙げられる。
式(III)で表されるシリコンアミド酸の中でも、下記式(III-1)、(III-2)または(III-3)で表されるシリコンアミド酸が好ましい。式(IV)で表されるシリコンアミド酸の中でも、下記式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)または(IV-4)で表されるシリコンアミド酸が好ましい。
本発明の熱硬化性組成物中のシリコンアミド酸化合物濃度は、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性を付与できることがある。
アクリル樹脂は、アクリル基またはメタクリル基を有する樹脂であれば特に限定されない。アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレートまたは三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの単独重合体、あるいはこれらのモノマーの共重合体が挙げられる。アクリル樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
重合性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。重合性モノマーは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、本発明の熱硬化性組成物の下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用することができ、本発明の熱硬化性組成物100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、本発明の熱硬化性組成物の帯電を防止するために使用することができ、本発明の熱硬化性組成物100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
帯電防止剤としては、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物や四級アンモニウム塩が挙げられる。
帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができ、本発明の熱硬化性組成物100重量%中、0.01〜3重量%の量で用いられることが好ましい。カップリング剤としてはシランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤として具体的には、トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物などを挙げることができる。カップリング剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱硬化性組成物は、カルボキシル基含有化合物(A)と、エポキシ化合物(B)と、必要に応じて溶媒(C)、エポキシ硬化剤(D)、その他の添加剤などとを均一に混合することによって、調製することができる。
また、本発明の熱硬化性組成物は、カルボキシル基含有化合物(A)の合成時に得られた反応液あるいは混合液をそのまま、エポキシ化合物(B)と、必要に応じて溶媒(C)、エポキシ硬化剤(D)、その他の添加剤などと均一に混合することによって、調製することもできる。なお、前記反応液あるいは混合液には、アミド酸(i)およびカルボキシル基含有エステル化合物(ii)から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有化合物(A)、イミド化物(i)、ならびに反応溶媒などが含まれる。
本発明の熱硬化性組成物は、粘度、表面張力、溶媒の沸点等の様々なパラメータをインクジェット印刷用に最適化することができ、良好なインクジェット印刷性(例えば描画性)を示し、保存安定性にも優れる。
本発明のインクジェット用インクは、上述の熱硬化性組成物からなる。
本発明のインクジェット用インクの、インクジェットヘッドから吐出するときの温度(吐出温度)における粘度は、通常1〜50mPa・s、好ましくは5〜20mPa・s、より好ましくは8〜15mPa・sである。粘度が前記範囲にあると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する。粘度が15mPa・sより小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
常温(25℃)でジェッティングを行う場合も多いため、本発明のインクジェット用インクの25℃における粘度は、通常1〜50mPa・s、好ましくは5〜20mPa・s、より好ましくは8〜15mPa・sである。25℃における粘度が15mPa・sより小さいと、インクジェット吐出不良が生じることがない。
本発明のインクジェット用インクの25℃における表面張力は、通常20〜70mN/m、好ましくは20〜40mN/mである。表面張力が前記範囲にあると、ジェッティングにより良好な液滴が形成でき、かつメニスカスを形成することができる。
本発明の硬化膜またはパターン状硬化膜は、本発明のインクジェット用インクを、例えばインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を経て得られる。硬化膜の形成には、ホットプレートまたはオーブンなどの加熱処理を用いることができる。また、硬化膜の形成には、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理を用いることもできる。
なお、インクジェット塗布方法を用いてインクをパターン状に印刷した場合には、パターン状の硬化膜(パターン状硬化膜)が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、以下では硬化膜は、パターン状硬化膜を含むものとする。
本発明の硬化膜からなる絶縁膜は、例えば、プリント配線板用途あるいは半導体用途で、基板との良好な密着性を示し、耐熱性および電気絶縁性が高く、充分な機械的強度を有し、反り量が少なく、電子部品の信頼性や歩留まりを向上させることができる。
本発明のインクジェット用インクの塗布方法は、上述のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を有する。
本発明のインクは、含有成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、インクジェット塗布方法によれば、本発明のインクジェット用インクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
本発明のインクジェット用インクを用いて塗布を行う際の好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成であってもよい。また、インク収容部は、塗布ヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えば、チューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
また、塗布ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用させるバネ部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、シリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
本発明の硬化膜の形成方法は、上述のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を有する。
上記塗膜を形成した後、通常、ホットプレートまたはオーブンなどでの加熱により溶媒を気化等させて除去する、すなわち乾燥する。この乾燥条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合は5〜15分間、ホットプレートを用いた場合は1〜5分間乾燥する。このような乾燥により、基板上に形状を保持できる程度の塗膜が形成される。
なお、本発明のインクジェット用インクの粘度が高い場合には、インクジェットヘッドを加熱(好ましくは40〜120℃)することでインクを加熱し、インクの粘度を下げたうえで塗布を行う。
上記塗膜を形成した後、エポキシ化合物(B)を硬化させるために、通常150〜350℃、好ましくは150〜300℃で硬化処理する。このとき、オーブンを用いた場合では、通常30〜120分間、ホットプレートを用いた場合では、通常5〜30分間硬化処理することにより、最終的な硬化膜を得ることができる。なお、硬化処理では、加熱処理に限定されず、UV処理、イオンビーム、電子線またはガンマ線照射などの処理を行ってもよい。
このように本発明の好ましい態様に係る熱硬化性組成物からは、1回のジェッティングで厚い硬化膜を得ることができる。このため、例えば10μm程度の厚い絶縁膜を形成する場合には、従来のインクジェット用インクよりも、重ね塗りの回数を減らすことができ、絶縁膜の製造工程を短縮することができる。
本発明の硬化膜付き基板は、フィルム基板またはシリコンウエハー基板と、該基板上に上述の硬化膜の形成方法により形成された硬化膜またはパターン状硬化膜とを有する。例えば、配線が形成されたポリイミドフィルムやシリコンウエハー基板等の基板上に、本発明のインクをインクジェット塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、上記で説明したように基板を乾燥し、さらに加熱して硬化膜を形成させて得られる。
本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、またはE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板、およびBTレジン基板が挙げられる。
本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、またはステンレス等の金属からなる基板(それらの金属を表面に有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、またはスポジュメン等のセラミックスからなる基板(それらのセラミックスを表面に有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、または液晶ポリマー等の樹脂からなる基板(それらの樹脂を表面に有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、またはガリウム砒素等の半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO、またはATO等の電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、またはγGEL(ガンマゲル)(以上、株式会社タイカの登録商標)等のゲルシートが挙げられる。
本発明の電子部品は、上述の硬化膜付き基板を有する電子部品である。このように本発明のフィルム基板を有する硬化膜付き基板を利用して、フレキシブルな電子部品が得られる。また、本発明のシリコンウエハー基板を有する硬化膜付き基板を利用して、半導体電子部品が得られる。
AEE :2−(2−アミノエトキシ)エタノール
APE−OH:2−(4−アミノフェニル)エタノール
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
PMDA:ピロメリット酸二無水物
TMA :トリメリット酸無水物
MA :マレイン酸無水物
VG3101L:商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)
EP828EL:商品名「エピコート828EL」(油化シェルエポキシ(株)製)
ETNL:エタノール
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
TMA :トリメリット酸無水物
CA :シトラコン酸無水物
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた1000mlの四つ口フラスコに、反応溶媒としてETNL330.0g、およびAEE135.5g(1.290モル)を仕込み、乾燥窒素気流下、攪拌しながらODPA200.0g(0.645モル)を加え、常圧下、130℃で5時間還流した。その後、ETNLを留去して、アセトン600gを加え、室温で2時間攪拌した。攪拌後、ろ過をして残渣を減圧乾燥させた。これにより、式(s1−2)で表されるイミド化物220.5gを得た。
式(s1−2)で表されるイミド化物40.62g(0.084モル)、EDM57.0gおよびMA16.4g(0.168モル)を、温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた300mlの四つ口フラスコ中に仕込み、常圧下100℃で3時間攪拌して、式(s1−3)で表されるエステル化合物を主成分として含む反応液(A)−1を得た。
E型回転粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)を用いて25℃で測定した、反応液(A)−1の回転粘度は45.0mPa・sであった。固形分濃度は50重量%であった。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた500mlの四つ口フラスコに、反応溶媒としてGBL180.0g、およびAEE40.3g(0.384モル)を仕込み、乾燥窒素気流下、攪拌しながらPMDA41.9g(0.192モル)を加え、常圧下、130℃で4時間還流した。その後、40℃まで温度を下げ、MA37.7g(0.384モル)を加えた。その後、100℃で6時間攪拌して、式(s2−4)で表されるエステル化合物を主成分として含み、式(s2−1)で表されるアミド酸、式(s2−3)で表されるエステル化合物および式(s2−2)で表されるイミド化物を含む混合液(A)−2を得た。
E型回転粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)を用いて25℃で測定した、混合液(A)−2の回転粘度は35.0mPa・sであった。固形分濃度は40重量%であった。
合成例2において、表1に示すとおりに反応原料および反応溶媒を仕込むこと以外は合成例2と同様にして、混合液(A)−3〜(A)−6を得た。これらの25℃における粘度および固形分濃度を、表1に示す。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた500mlの四つ口フラスコに、反応溶媒としてEDM90.0gおよびNMP90.0gを入れ、AEE41.9g(0.398モル)を仕込み、乾燥窒素気流下、攪拌しながらMA78.1g(0.796モル)を加え、常圧下、130℃で4時間還流した。これにより、式(s7−3)で表されるエステル化合物を主成分として含み、式(s7−1)で表されるアミド酸および式(s7−2)で表されるエステル化合物を含む混合液(A)−7を得た。25℃における粘度および固形分濃度を、表1に示す。
合成例7において、表1に示すとおりに反応原料および反応溶媒を仕込むこと以外は合成例7と同様にして、混合液(A)−8を得た。25℃における粘度および固形分濃度を、表1に示す。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた500mlの四つ口フラスコに、反応溶媒としてGBL180.0g、およびAEE17.6g(0.168モル)を仕込み、乾燥窒素気流下、攪拌しながらPMDA36.6g(0.168モル)を加え、常圧下、130℃で4時間還流した。その後、40℃まで温度を下げ、MA65.9g(0.672モル)を加えた。100℃で6時間攪拌した後に室温に戻すと、フラスコ内で不溶化が起こり、均一な溶液が得られなかった。
以上、合成例1〜8、および比較合成例1までの結果を表1に示す。
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口がつながった環流冷却器を備えた300mlの四つ口フラスコに、合成例1で得られた反応液(A)−1を29.8g、溶媒(C)としてEDMを45.0g、エポキシ化合物(B)としてVG3101Lを22.4g、エポキシ硬化剤(D)としてTMAを2.7g、順に混合した。これを室温にて3時間攪拌して、熱硬化性組成物を得た。E型回転粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)を用いて25℃で測定した、熱硬化性組成物の回転粘度は12.3mPa・sであった。固形分濃度は40重量%であった。
実施例1において、表3に示すとおりに各成分の種類、仕込み量を変更したこと以外は実施例1と同様にして熱硬化性組成物を調製した。これらの25℃における粘度および固形分濃度を、表3に示す。
以上、実施例1〜12、および比較例1〜3までの結果を表3に示す。
(i)保存安定性
熱硬化性組成物の保存安定性を見るために、冷凍(−20℃)で60日保存後の粘度を測定した。熱硬化性組成物の粘度は、25℃にてE型回転粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC ELD)を用いて測定した。60日保存前後での粘度差が5%未満であればAA、5%以上であればBBとした。
FUJIFILM Dimatix社製インクジェット塗布装置DMP−2831(型番)、および1滴の吐出量が10plのインクジェットヘッドを使用して、熱硬化性組成物のインクジェット塗布を行った。
印刷基板として1.5mm厚のガラスエポキシ樹脂両面銅張り板を使用し、印刷設定は1ドット幅でドットピッチ30ミクロン、長さ5cmのライン塗布とし、ピエゾ電圧は18V、印刷層数は1層、吐出温度は25℃、駆動周波数は5kHzとした。本条件では、1滴の量が9.0〜9.5plで吐出できる。
インクジェット塗布を完了した後、基板上に形成された塗膜のライン幅を光学顕微鏡で観察した。次に該基板を80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後、180℃のオーブンで90分間加熱して、ライン状に形成された硬化膜を得た。KLA−Tencor Japan(株)製の触針式膜厚計αステップ200を使用して、3箇所の測定値の相加平均値を膜厚とした。
印刷層数を3層にしたこと以外は上記(ii)インクジェット描画性の評価と同様の印刷設定で、厚さ35μmの日鉱金属製の銅箔(型番BHY−22B−T)の光沢面に熱硬化性組成物を塗布した。塗布後、80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後、180℃のオーブンで90分間加熱して、硬化膜を形成した。
この基板の硬化膜を形成した面に粘着剤のついた支持基板を貼り付けて、銅箔裏面に幅2.5mmのマスキングテープをつけて銅箔をエッチングして、硬化膜上に幅2.5mmの銅箔を作成した。
マスキングテープを剥がした後、銅箔と硬化膜との界面で引き剥がしのきっかけをつくり、これを(株)島津製作所製の引張り試験機EZGraphにより、銅箔を180°方向に引き剥がし、密着強度を測定した。
上記(iii)密着性の評価と同様の印刷設定で、クロム基板上に熱硬化性組成物を塗布した。塗布後、80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後、180℃のオーブンで90分間加熱して、厚さ2μmの硬化膜を形成した。その後、硬化膜上にアルミニウムを蒸着させて、電極を作成した。体積抵抗率および絶縁耐力は、ディジタル超絶縁/微少電流計 DSM−8104(日置電機株式会社製)を用いて測定した。
上記(iii)密着性の評価と同様の印刷設定で、ガラス基板上に熱硬化性組成物を塗布した。塗布後、80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後、180℃のオーブンで90分間加熱して硬化膜を形成した。示差熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメント社製、SSC5200)を用いて、ガラス基板上に形成した硬化膜をナイフで削ったものの5%重量減温度を測定した。
測定条件を下記に示す。
・試料重量:5mg
・昇温開始温度:30℃
・昇温終了温度:500℃
・昇温速度:10℃/min
・雰囲気:空気中
上記(iii)密着性の評価と同様の印刷設定で、銅箔(厚さ12.5μm)をポリイミド上に積層した基板[(三井化学(株)製)ネオフレックスNEX−13FE(商品名)]の銅箔面上に40mm×40mmの正方形のパターンを形成した。これを80℃のホットプレートで5分間乾燥し、その後、180℃のオーブンで90分間加熱して硬化膜を形成した。
得られた硬化膜を、2規定のNaOH水溶液中に室温で15分浸漬させて、水洗の後に60℃で30分乾燥させた。これを、以下の評価基準により、アルカリ溶液耐性として光学顕微鏡により評価した。
AA:硬化膜と銅箔との界面に、染込みの発生や剥離等の異常は観察されない。
BB:硬化膜と銅箔との界面に、染込みの発生や剥離等の異常が観察された。
40×40mm基材(東レデュポン(株)製カプトン200H(厚さ50μm))の中央部30×30mmを残し、接着剤付のPIテープ(東亜フレックス(株)製、型番KY6240)を用いてガラス基板(50×50mm)上に固定して、上記(iii)密着性の評価と同様の印刷設定で、基材上にインクジェット印刷を行い、80℃で5分間乾燥した。これを室温に戻してPIテープを剥がして、180℃のオーブンで90分間加熱して硬化膜を形成させた。これを室温に戻して、20℃、60%湿度で16時間放置した(このときの硬化膜の膜厚は10±2μmとなった)。この基材を水平面上に置き、平坦面からの4隅の反り高さを測定し、その相加平均値を反り量とした。
以上の結果から明らかなように、本発明の熱硬化性組成物からは、2μmを超える厚みの硬化膜が得られ、さらに該硬化膜は、密着性、電気的特性、耐熱性、アルカリ溶液耐性、低反りに関する何れもの評価も良好であった。
Claims (15)
- (A)(i)一般式(1)で表されるアミノ化合物(a1)と、
酸無水物(a2)とを反応させて得られたアミド酸、および
(ii)前記アミド酸またはそのイミド化物と、
さらに酸無水物(a2')とを反応させて得られたエステル化合物
から選ばれる少なくとも1種のカルボキシル基含有化合物(ただし、下記一般式(1’)で表される化合物を除く)と、
(B)エポキシ化合物と
を含有する熱硬化性組成物からなるインクジェット用インク。
R 1 は、置換基を有してもよい炭素数6〜20のアリール、置換基を有してもよい炭素数5〜20のシクロアルキルまたは下記一般式(2’)で表される一価の基であり、前記置換基は、カルボキシル、ヒドロキシルまたは炭素数1〜14のアルキルであり;
R 2 は、下記式(a)〜(g)の何れかで表される二価の基であり;
R 3 は、下記一般式(4’)で表される一価の基である。
- 酸無水物(a2)および(a2')が、それぞれ独立に、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
- 一般式(1)中のZが、炭素数1〜20のアルキレン、前記アルキレン中の任意のメチレンを芳香族基に置き換えた基、または−(CH2CH2−O)n−CH2CH2−で表される基(nは1〜10の整数)である、請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- エポキシ化合物(B)が、アルキレングリコールジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−4,4'−ジアミノジフェニルメタンおよび式(B1)〜(B4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- 溶媒(C)をさらに含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- 溶媒(C)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、エチルラクテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびγ−ブチロラクトンから選ばれる少なくとも1種を含有する溶媒である、請求項7に記載のインクジェット用インク。
- カルボキシル基含有化合物(A)以外のエポキシ硬化剤(D)をさらに含有する、請求項1〜8の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
- エポキシ硬化剤(D)が、酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、アミンアダクト、ポリカルボン酸系硬化剤、ポリアミン系硬化剤および触媒型硬化剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載のインクジェット用インク。
- 請求項1〜10の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を経て得られた硬化膜またはパターン状硬化膜。
- 請求項1〜10の何れか一項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理する工程を有する、硬化膜またはパターン状硬化膜の形成方法。
- フィルム基板と、該基板上に請求項12に記載の形成方法により形成された硬化膜またはパターン状硬化膜とを有する硬化膜付き基板。
- シリコンウエハー基板と、該基板上に請求項12に記載の形成方法により形成された硬化膜またはパターン状硬化膜とを有する硬化膜付き基板。
- 請求項13または請求項14に記載の硬化膜付き基板を有する電子部品。
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