JPWO2007029761A1 - 透明性固形粉末化粧料 - Google Patents

Abstract

（Ａ）弾性粉末混合物２５〜５５質量％、（Ｂ）平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末２０〜４０質量％および（Ｃ）油剤２５〜５５質量％を必須成分とし、（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体、それぞれ１種以上を含むことを特徴とし、これら必須成分の混合組成物を固化して得られる固形粉末化粧料により、外観上透明性を有し、しかも使用性に優れ、さらには塗布したときのべたつき感がなく、さらさら、さっぱり感等の使用感触に優れた新規な固形粉末化粧料を提供する。

Description

本発明は、外観上透明であって美的感覚に優れ、パフ、ブラシ等を使用したときのとれ等の使用性に優れ、かつさらさら感、さっぱり感等の使用感を向上させた固形粉末化粧料に関する。

近年、透明な外観を有する化粧料は、見た目の美しさ等を付加価値とする目的でさまざまな剤型に開発がなされている。このような透明化粧料としては、ローション、エマルション等、主に水系成分で構成されたもの（例えば特許文献１、２参照）や、１２−ヒドロキシステアリン酸を配合した油性剤型（例えば特許文献３参照）のものについて非常に多くの検討がなされている。

一方でその透明化技術を粉体化粧料に応用することは、バインダーとしての油分が少ないという点で非常に困難である。本願出願人は、特許文献４において弾性粉末、非弾性球状シリコーン樹脂粉末、および油剤の混合組成物で外観上透明でとれ等の使用性に優れた固形粉末化粧料の発明を開示しているが、より優れた使用感を有する化粧料の開発が求められている。
特許第２７５２２３１号公報 特開２００５−５３８３４公報 特開平１１−２２２４１３公報 特許第３６２１２３３号公報

本願発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、外観上透明性を有し、しかも使用性に優れ、さらには塗布したときのべたつき感がなく、さらさら、さっぱり感等の使用感触に優れた新規な固形粉末化粧料を提供することを目的とする。

このような状況に鑑みて、本発明者は外観が透明な固形粉末化粧料においてさらさら感、さっぱり感等使用感触を向上させるべく、鋭意研究を行った結果、一定割合量の複数の特定の必須成分を、必要に応じて任意成分と混合し、固化一体化することで、外観上透明性を有し、かつ使用性に優れた透明性固形粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、（Ａ）弾性粉末混合物２５〜５５質量％、（Ｂ）平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末２０〜４０質量％および（Ｃ）油剤２５〜５５質量％を必須成分とし、（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体、それぞれ１種以上を含むことを特徴とし、これら必須成分と、必要に応じて任意成分の混合組成物を固化して得られる固形粉末化粧料に関する。
本発明は、更に（Ａ）弾性粉末混合物３０〜５５質量％、（Ｂ）平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末２５〜４０質量％および（Ｃ）油剤２０〜４５質量％を必須成分とし、（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体、それぞれ１種以上を含むことを特徴とし、これら必須成分と、必要に応じて任意成分の混合組成物を固化して得られる固形粉末化粧料に関する。

本発明によって、外観上透明であって美的感覚に優れ、パフ、ブラシ等を使用したときのとれ等使用性に優れ、かつさらさら感、さっぱり感等の使用感を向上させた透明性固形粉末化粧料を提供することが可能である。

以下、本発明の実施形態について詳述する。

本発明で用いる（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）弾性粉末と（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体、それぞれ１種以上を含むものからなる。
（Ａ１）弾性粉末とは、電子顕微鏡を用いた観察による平均粒子径が０．０１〜１０００μｍ、好ましくは０．１〜５０μｍの一次粒子の凝集体であるゴム弾性を有する粉末であって、ＪＩＳ−Ｋ−６３０１に従って測定されるＪＩＳ−Ａ硬度が１５〜８０の範囲の数字を示すものである。このような弾性粉末の具体的な例としては、シリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー、変性シリコーンエラストマー、アクリル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の合成エラストマー、天然エラストマー等の粉末が挙げられるが、中でもシリコーンエラストマー粉末が最も好ましい。該シリコーンエラストマー粉末は、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油を含有していても構わない。市販品としては、東レ・ダウ・コーニング社製のトレフィルＥシリーズ、例えば、トレフィルＥ−５０６Ｃ（粉末分１００％）、トレフィルＥ−５０７（粉末分７０％）、トレフィルＥ−５０８（粉末分７０％）等が挙げられる。

（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体とは、一次粒子の凝集体であるゴム弾性を有する粉末であって、ＪＩＳ−Ｋ−６３０１に従って測定されるＪＩＳ−Ａ硬度が１５〜８０の範囲の数字を示す粉末の粉末表面を非弾性物質で被覆複合化したものであって、複合粉体全体としての硬度が１５〜８０の範囲であるものを指す。その平均粒子径は、０．０１〜１０００μｍ、好ましくは０．１〜５０μｍである。かかる弾性粉末の具体例としては、（Ａ１）弾性粉末と同じものを挙げることができる。また非弾性物質とは、被覆される対象となる弾性粉末の硬度よりも大きい数値を示す（硬い）ものを指し、具体的にはシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン系樹脂等の有機系樹脂や、シリカ、アルミナ等の無機系樹脂が挙げられる。中でもシリコーン系樹脂、とりわけポリオルガノシルセスキオキサン硬化物が好適である。

（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体の具体的な例としては、シリコーンエラストマー粉末の表面をシリコーン樹脂で被覆した複合シリコーン粉体、より具体的にはシリコーンエラストマー粉末の周囲をポリオルガノシルセスキオキサン硬化物で被覆してなる複合粉体等が挙げられる。このような複合粉体として、市販品としては、信越化学工業社製のＫＳＰシリーズ、ＫＳＰ−１００、ＫＳＰ−１０１、ＫＳＰ−１０２、ＫＳＰ−１０５、ＫＳＰ−３００等が挙げられる。またこのような複合粉体は、特開２０００−３８３１４号公報、または特許第２８３２１４３号に記載の方法に準じて製造することができる。

（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体の組み合わせについては、成分（Ａ１）がシリコーンエラストマー粉末、成分（Ａ２）がシリコーンエラストマー粉末の表面をシリコーン樹脂で被覆した複合シリコーン粉体である（Ａ）弾性粉末混合物を好ましく用いることができる。

（Ａ）弾性粉末混合物に含まれる（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体の配合比（重量比）は、２：１〜２０：１の範囲であることが好ましい。更に、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体の配合量は、化粧料全体に対して３質量％以上であることが好ましく、更に好ましいのは５質量％以上を含有することである。当該範囲内であれば、使用感触としてさっぱり感、さらさら感が得られる。

これら（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）、（Ａ２）を各々１種以上含むことで透明性を失わず、さっぱり感、さらさら感を得ることが可能である。

これら（Ａ）弾性粉末混合物の配合量は、化粧料全体に対して２５〜５５質量％であり、好ましくは２５〜４５質量％であり、更に好ましくは３０〜４０質量％である。２５質量％以上であると外観の透明性に優れ、５５質量％以下であるととれ等の使用性が良好である。

なお、これら（Ａ）弾性粉末混合物としては、その表面をトリメチルシロキシケイ酸、シランカップリング剤、金属石鹸、Ｎ−アシル化リジン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等従来公知の化合物で処理した弾性粉末、またはメカノケミカル処理、プラズマ処理等の処理を行った弾性粉末を含む弾性粉末混合物も用いることができる。使用に際しては、処理した弾性粉末をそのまま用いても構わないが、ビーズミル、擂潰機等を用いてその凝集を解き、使用するほうが好ましい。

本発明で用いる（Ｂ）非弾性球状シリコーン樹脂粉末とは、電子顕微鏡を用いた観察による平均粒子径が０．１〜５０μｍ、好ましくは１〜２０μｍの球状のシリコーン樹脂の粉末であって、ＪＩＳ−Ａ硬度が８０超、好ましくは９０以上である粉末を指す。
本発明で用いる（Ｂ）非弾性球状シリコーン樹脂粉末としては、メチルシロキサン網状重合体またはポリオルガノシルセスキオサン（ポリメチルシルセスキオサン）硬化物等のシリコーン樹脂粉末を用いることができる。その具体例としてはＧＥ東芝シリコーン社製のトスパールシリーズが挙げられる。
（Ｂ）成分の平均粒子径は、化粧料の肌上での「のび」・「肌への付着性」等を考慮した結果、平均粒子径が０．１〜５０μｍであることが必要であり、好ましくは１〜２０μｍである。

（Ｂ）非弾性球状シリコーン樹脂粉末の配合量は、化粧料全体に対して２０〜４０質量％であり、好ましくは２５〜４０質量％であり、更に好ましくは２５〜３５質量％である。当該範囲内であれば、使用感触としてべたつき感を感じずに、さらさら感、さっぱり感が得られるばかりでなく、外観の透明性にも優れる。

本発明で用いる（Ｃ）油剤は、化粧料に通常用いられる、室温で半固形または液状である任意の油剤である。（Ｃ）油剤としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール；イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸；グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ラフィノース等の多価アルコール；ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類；流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素；ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂；パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤；エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー等が挙げられる。

また、上記とは別の（Ｃ）油剤としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、ポリグリセリル変性シリコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン化合物も用いることができる。

本発明においては、これらの（Ｃ）油剤は、１種または２種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、流動パラフィンなどの炭化水素と、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン化合物の組み合わせを好ましく挙げることができる。なかでも、油分の屈折率が１．４〜１．６であるものを好ましく、１．４５〜１．５４であるものを更に好ましく用いることができる。尚、本発明における屈折率（ｎ）を測定するには、まず、ガラス板上に試料２ｇをとり、金ベラを用いて均一なスラリー状となるまで練り合わせ、精密アッペ屈折計（ＡＴＡＧＯ社製タイプ：３Ｔ）を用いて２０℃で測定するものとする。

（Ｃ）油剤の配合量は、粉末化粧料としての使用性を考慮して、化粧料全体に対して２５〜５５質量％、好ましくは３０〜５５％、更に好ましくは３０〜５０％である。当該範囲内であれば、粉体剤形としての特性を維持しつつ、外観の透明性に優れ、べたつきがなく使用感触が良い。

本発明の固形粉末化粧料には、必要に応じて、上記の（Ｃ）油剤に加えて（Ｃ）油剤として更に揮発性油を化粧料全体に対して３質量％以下、好ましくは１％以下の配合量で更に配合することができる。

ここで、揮発性油としては、沸点が１００〜２６０℃の範囲にあるイソパラフィン系炭化水素；珪素数が２〜８の揮発性シリコーン；メチルトリストリメチルシロキシシランが挙げられる。沸点が１００〜２６０℃の範囲にあるイソパラフィン系炭化水素としては、イソブテンとｎ−ブテンを共重合したものを水素添加して得られる炭素数１２〜２８の軽質流動イソパラフィン、石油から精製して得られる揮発性の炭化水素混合物である炭素数６〜３０の軽質流動パラフィンが挙げられ、例えば、日本油脂社製のＮＡＳ−３、ＮＡＳ−４、ＮＡＳ−５、エクソン社製のアイソパーＣ、同Ｄ、同Ｅ、同Ｇ、同Ｈ、同Ｋ、同Ｌ、同Ｍ、シェル社製のシェルゾール７１、日本石油化学社製の日石アイメゾール３００、同４００、フィリップ社製のソルトロール１００、同１３０、同２２等があげられる。珪素数が２〜８の揮発性シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサン等が挙げられ、それらの市販品としては、信越化学工業社製のＫＦ−９６Ａ−１ｃｓ、ＫＦ−９６Ａ−１．５ｃｓ、ＫＦ−９９５、東レダウコーニングシリコーン社製のＳＨ２４４、ＳＨ３４４、ＳＨ２４５、ＤＣ３４５、ＤＣ２４６、ＳＨ２００Ｃ−１ｃｓ、ＳＨ２００Ｃ−１．５ｃｓ、ＧＥ東芝シリコーン社製のＴＳＦ４０４、ＴＳＦ４０５、ＴＳＦ４０４５、ＴＳＦ４５１−１Ａ、ＴＳＦ４５１−１．５Ａ等が挙げられる。メチルトリストリメチルシロキシシランは、別名メチルトリメチコンであり、市販品としては信越化学工業社製のＴＭＦ−１．５等が挙げられる。

本発明の固形粉末化粧料においては、化粧料の感触を調節するために、屈折率が１．３〜１．６の範囲にある粉末を、必要に応じて任意成分として更に配合することができる。更に好ましくは、屈折率が１．４５〜１．５４の範囲にあるものから選択される。具体的には、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂（ＰＥＴ等）、ポリアミド樹脂（ナイロン等）、ポリオレフィン樹脂（ポリエチレン、ポリプロピレン等）、アクリル樹脂（ポリメタクリル酸メチル（ＰＭＭＡ）等）、ポリウレタン樹脂、無水珪酸、含水珪酸、ポリテトラフルオロエチレン等のうち上記屈折率を有するものを選択することができる。当該範囲の屈折率を有する粉体を更に配合することにより、化粧料の感触調整が可能となる以外に、透明性を維持しつつ、粉体のパフや筆等への付着性（とれ）を更に改善することができる。

本発明の固形粉末化粧料においては、一層美麗な外観を得るために、色素、有色顔料、白色顔料、有機粉体、光輝性粉体等を本発明の効果を損なわない程度に必要に応じて任意成分として更に配合することも可能である。特に光輝性粉体を配合することにより、通常の不透明の粉体化粧料と比較すると色合いやパール感にくすみがなく、外観の美麗さをより一層強調することができる。

本発明で用いる色素、顔料、有機粉体の例としては、赤色１０４号アルミニウムレーキ、赤色１０２号アルミニウムレーキ、赤色２２６号、赤色２０１号、赤色２０２号、青色１号アルミニウムレーキ、黄色４号アルミニウムレーキ、黄色５号アルミニウムレーキ、黄色２０３号バリウムレーキ等の色素およびレーキ色素；黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料；酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の白色顔料；タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム、窒化ホウ素等の体質顔料；硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属塩；アルミナ等の無機粉体；メタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー；ポリエチレン、ナイロン、ポリウレタン、塩化ビニルポリマー、セルロースパウダー、キチンパウダー、キトサンパウダー、シルクパウダー等の有機粉体等が挙げられる。

また光輝性粉体の例としては、化粧料で一般的に使用される光輝性を有する顔料が挙げられ、例えば酸化チタン被覆雲母（雲母チタン）、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラス末等が挙げられる。これらより一種または二種以上を適宜選択して用いることが出来る。これらの粉体の形状（球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等）に特に制限はない。粉体の大きさとしては、粒子径１μｍ〜１２０μｍの範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは１０μｍ〜８０μｍの範囲に入るものが好ましい

これらの色素、有色顔料、白色顔料、有機粉体、光輝性粉体等の配合量は、用途によって異なり、特に限定されるものではないが、その配合量は、化粧料全体に対して０．００１〜５質量％、好ましくは０．０１〜１％である。当該範囲内であれば、透明性を維持しつつ、外観の美麗さをより一層強調することができる。

本発明の固形粉末化粧料には、更に、上記成分の他に一般に添加されている成分を必要に応じて任意成分として、発明の効果を損なわない程度に配合することができる。これらの成分として紫外線吸収剤、防腐剤、香料、酸化防止剤、保湿剤、ビタミン類、セラミド類、植物エキス等の生理活性成分等が挙げられる。

本発明の固形粉末化粧料においては、上述の必須成分（Ａ）〜（Ｃ）の合計配合量は、化粧料全体に対して７０質量％以上であり、好ましくは９０質量％以上、更に好ましくは９５質量％以上である。必須成分（Ａ）〜（Ｃ）の合計配合量は、化粧料全体に対して１００質量％またはそれ未満の範囲で選択される。必須成分（Ａ）〜（Ｃ）に加えて、上述した屈折率が１．３〜１．６の範囲にある粉末を、化粧粉全体に対して０〜３０質量％、好ましくは０〜１０質量％、更に好ましくは０〜５質量％の範囲で配合することができる。加えて必要に応じて、色素、有色顔料、白色顔料、有機粉体、光輝性粉体、および一般に添加されている成分等を配合することができる。

本発明の固形粉末化粧料を製造するには、特別な製造装置は必要ではなく、従来のファンデーション、プレストパウダーを製造するための製造方法に準じることができる。例えば、上記の成分（Ａ）〜（Ｃ）と、必要に応じて任意成分を、容器に充填し、固化する場合は、金皿や樹脂皿等に加圧圧縮する方法や、圧縮前の成分（Ａ）、成分（Ｂ）、（Ｃ）油剤と、必要に応じて任意成分の混合物をエタノール等の溶媒と混合し、金皿や樹脂皿、容器に充填して、溶媒を乾燥固化する方法等いずれの方法をとることもできる。一例としては、上記の成分（Ａ）〜（Ｂ）と、必要に応じて任意成分を均一に混合した後、（Ｃ）油剤を徐々に加え、更に均一になるまでカッターミル等を用いて混合し、得られた混合粉末を金皿に所望の厚さになるように入れ、プレス充填する。打型圧力は、適宜設定することができるが、例えば２ｋｇ／ｃｍ^２とすることができる。

本発明の透明性固形粉末化粧料は、剤型的に粉末を固化一体化したものであれば任意の形態の化粧料にすることができる。例えば、容器に充填し、固化した固形粉末化粧料としてはファンデーション、プレストパウダー、チークカラー、フェースカラー、アイシャドウ等が挙げられ、また粉末そのものを固化成型した固形粉末化粧料としてはパウダースティック等が挙げられる。特にプレストパウダーが本発明の効果が発揮されやすい化粧料である。

上述した成分を配合し、固化することにより得られる本発明の固形粉末化粧料は、外観上透明性を有し、しかも使用性に優れ、さらには塗布したときのべたつき感がなく、さらさら、さっぱり感等の使用感触に優れるという効果を有する。
なお、本発明でいう「透明性」を有する化粧料とは、金皿の底面に白地に所定の大きさの黒文字を記した紙を置き、さらにその上に混合組成物を入れ、厚さ３ｍｍになるように成型したとき、真上から見たときに底面の文字を目視認識できるものをさす。

次に実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。また実施例および比較例で用いた化粧料の各種特性の評価方法を以下に示す。

本発明で用いた「透明性」、「使用性」の評価は下記の通りである。

（１）透明性の評価
上述した条件で試料の透明性を目視で観察し、以下の判断基準により透明性を評価した。
金皿の底面の文字（１６ポイント）が認識できた場合：◎
金皿の底面の文字（２６ポイント）が認識できた場合：○
金皿の底面の文字が認識できなかった場合 ：×

（２）使用性の評価
（１）の透明性の評価において外観の透明性が◎または○と評価された試料のみ（比較例４，５以外）を２０名の被験者に対してブラシを用いて使用させ官能評価を行った。使用時の「とれ」に関するスコアは、良い（５点）、やや良い（４点）、普通（３点）、やや悪い（２点）、悪い（１点）の５段階で評価し、使用時の「感触」に関するスコアは、さらさら感、さっぱり感について、感じる（５点）、やや感じる（４点）、普通（３点）、やや感じない（２点）、感じない（１点）の５段階で評価した。さらに２０名のスコアの平均値を求め、表１に示す評価基準で判定した。

実施例１〜８
本発明の化粧料に関する実施例では表２に示す処方で、比較例では表３に示す処方でプレストパウダーを作製した。

［製造方法］
実施例および比較例のプレストパウダーを製造するために、粉末成分を均一に混合した後、油剤成分を徐々に加え、更に均一状態になるまでカッターミルを用いて混合を行った。得られた混合粉末を直径５５ｍｍ、高さ３ｍｍの丸状金皿に試料の厚さ２ｍｍになるようプレス充填した。打型圧力は２ｋｇ／ｃｍ^２で内容量は３．０〜３．５ｇ程度とした。
なお、上記実施例および比較例で使用したトレフィルＥ−５０８の平均粒子径は３μｍ；トレフィルＥ−５０６Ｃの平均粒子径は３μｍ；ＫＳＰ−１０２の平均粒子径は３０μｍ；トスパール１３０の平均粒子径は３μｍであった。

表２に示す評価結果によると、本発明の実施例１〜８の化粧料は、「外観の透明性」および「とれ、感触等の使用性」の各項目についていずれも優れた評価結果を得た。これに対し、表３に示す評価結果によると、比較例１〜６の化粧料のうち外観の透明性が◎または○と評価されたすべての比較例は、感触評価の項目において、べたつきを感じさせる結果を示した。

実施例９
下記に示す組成のプレストパウダーを常法により作製した。上記外観の透明性、使用性（とれ，感触）に関して上記と同じ方法で評価したところ、優れた透明性を有し、使用性も良好であることが確認された。
（プレストパウダー） （質量％）
シリコーンエラストマー（粉末分） ２６
［トレフィルＥ−５０８：東レダウコーニング社製］
複合粉体 ６
［ＫＳＰ−１０２：信越化学工業社製］
非弾性球状シリコーン樹脂粉末 ２６
［トスパール１４５Ａ：ＧＥ東芝シリコーン社製］
ジメチルポリシロキサン ３０
ジメチルポリシロキサン（トレフィルＥ含有分） １１
無水珪酸 １
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
１００
実施例１０
下記に示す組成のプレストパウダーを常法により作製した。上記外観の透明性、使用性（とれ，感触）に関して上記と同じ方法で評価したところ、優れた透明性を有し、使用性も良好であることが確認された。
（プレストパウダー） （質量％）
シリコーンエラストマー（粉末分） ２６
［トレフィルＥ−５０８：東レダウコーニング社製］
複合粉体 ６
［ＫＳＰ−１０２：信越化学工業社製］
非弾性球状シリコーン樹脂粉末 ２６
［トスパール１４５Ａ：ＧＥ東芝シリコーン社製］
ジメチルポリシロキサン ３０
ジメチルポリシロキサン（トレフィルＥ−５０８含有分）１１
アクリレーツクロスポリマー １
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
１００

本発明の透明性固形粉末化粧料は、粉末剤型でありながら外観が透明であって新規性があり、しかもパフ、ブラシ等を使用したときのとれ等の使用性、さらさら感、さっぱり感等の感触に優れた化粧料である。そのため、本発明により、従来にない全く新しい固形粉末化粧料を提供することが可能である。

Claims (7)

1. （Ａ）弾性粉末混合物２５〜５５質量％、（Ｂ）平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末２０〜４０質量％および（Ｃ）油剤２５〜５５質量％を必須成分とし、（Ａ）弾性粉末混合物は、（Ａ１）弾性粉末と、（Ａ２）弾性粉末の周囲を非弾性物質で被覆した複合粉体、それぞれ１種以上を含むことを特徴とし、これら必須成分の混合組成物を固化して得られる固形粉末化粧料。
2. 成分（Ａ１）がシリコーンエラストマー粉末、成分（Ａ２）がシリコーンエラストマー粉末の表面をシリコーン樹脂で被覆した複合シリコーン粉体である、請求項１に記載の固形粉末化粧料。
3. 成分（Ｂ）がメチルシロキサン網状重合体またはポリオルガノシルセスキオサン硬化物から選択されるシリコーン樹脂粉末である、請求項１または２に記載の固形粉末化粧料。
4. 成分（Ｃ）がシリコーン化合物および／または炭化水素である、請求項１〜３のいずれか１項記載の固形粉末化粧料。
5. 屈折率が１．３〜１．６の範囲にある粉末を更に含有する、請求項１〜４のいずれか１項記載の固形粉末化粧料。
6. 光輝性粉体を更に含有する、請求項１〜５のいずれか１項記載の固形粉末化粧料。
7. 成分（Ａ）、成分（Ｂ）および成分（Ｃ）の合計配合量が、化粧料全体に対して９０質量％以上である、請求項１〜６のいずれか１項に記載の固形粉末化粧料。