JP3621233B2

JP3621233B2 - 透明性固形粉末化粧料

Info

Publication number: JP3621233B2
Application number: JP18252697A
Authority: JP
Inventors: 一弘清水
Original assignee: 株式会社カネボウ化粧品
Priority date: 1997-07-08
Filing date: 1997-07-08
Publication date: 2005-02-16
Anticipated expiration: 2017-07-08
Also published as: JPH1129436A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観上透明であって美的感覚に優れ、かつパフ等を使用したときのとれ等使用性に優れた固形粉末化粧料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、自然嗜好の風潮の中で素肌本来の美しさを訴求する目的のために外観上透明な多くの化粧料の開発がなされている。例えば、ローション、ポマード、ヘアスティック、口紅などに応用されている。しかし、これらの透明性化粧料は、水分あるいは油分が多量に配合されている場合に限られていた。その透明化技術を固形粉末化粧料に応用することは、固形粉末化粧料の処方構成上、屈折率の高い顔料の配合、あるいはバインダーとしての油分の少なさなどの点で、非常に困難であった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、外観上透明性を有し、粉末化粧料を塗布した後も素肌本来の美しさを訴求でき、しかも使用性に優れる、新規な固形粉末化粧料を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、（Ａ）成分弾性粉末４５〜９７重量％、（Ｂ）成分平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末１〜２５重量％及び（Ｃ）油剤２〜３０重量％を含有することで外観上透明性を有し、かつ使用性に優れた固形粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【０００６】
本発明で用いる（Ａ）弾性粉末とは、電子顕微鏡を用いた観察による平均一次粒子径が、例えば、０．０１〜１０００μｍの一次粒子の凝集体であるゴム弾性を有する樹脂粉末であり、シリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー、変性シリコーンエラストマー、アクリル系ゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリエチレン系ゴム、ポリエステル系ゴム等の合成エラストマー、及び天然ゴムのエラストマー等が挙げられる。
これらの内、平均一次粒子径が０．１〜２０μｍの範囲にあるシリコーンエラストマーが好ましい。シリコーンエラストマーの例としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のトレフィルＥシリーズ、例えば、トレフィルＥ−５０５Ｃ、トレフィルＥ−５０６Ｃ、トレフィルＥ−５０７等が挙げられる。該シリコーンエラストマーは、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油を含有していても構わない。
なお、シリコーンエラストマーの配合量は、用いる剤型によって異なるが、一般に、４５〜９７重量％（以下、ｗｔ％と略す）が、感触に優れ、透明性が得られる点から好ましい。
【０００７】
また、弾性粉末表面をトリメチルシロキシケイ酸、シランカップリング剤、金属石鹸、Ｎ−アシル化リジン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等従来公知の化合物で処理した弾性粉末、メカノケミカル処理、プラズマ処理等の処理が行われた弾性粉末も、本発明に適用される。
使用に際しては、そのまま用いても構わないが、ビーズミル、擂潰機等を用いてその凝集を解き、使用するほうが、より好ましい。
【０００８】
本発明で用いる（Ｂ）成分の非弾性球状粉末としては、平均粒子径が０．１〜５０μｍの非弾性球状シリコーン樹脂粉末であり、ブラシを使用したときの粉末化粧料のとれ等の使用性の面から好ましい。
【０００９】
非弾性球状粉末の平均粒子径は、化粧料の肌上での「のび」・「肌への付着性」などを考慮した場合、平均粒子径が０．１〜５０μｍであることが必要であり、好ましくは１〜１０μｍである。
【００１０】
また、その配合量は、配合する非弾性球状粉末の種類により異なるが、１〜２５ｗｔ％が好ましく、更に好ましくは５〜２０ｗｔ％である。この範囲では、最終製品の「外観上の透明性」・「パフでの使用性」に優れる。
【００１１】
本発明で用いる（Ｃ）成分の油剤としては、通常化粧料に用いられる室温で半固形、液状油剤を用いることができる。例えば、ワセリン、流動パラフィン等の炭化水素類；ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類；トリカプリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル等のトリグリセライド類；セタノール等の高級アルコール類；ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類；ラノリン誘導体；メチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物類；グリセリン、１，３−ブチレングリコール等の多価アルコール類；パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類が挙げられる。また、ワックス類等の固形油剤は溶融し、他の液状油剤と混合して溶液状態とすることにより使用することができる。
本発明において、これらの油性成分は１種以上を組み合わせて使用することができる。
【００１２】
その配合量は、粉末化粧料としての使用性を考慮して、２〜３０ｗｔ％が好ましい。この範囲であれば、感触、透明性に優れる。
【００１３】
本発明でいう「透明性」のある化粧料とは、金皿の底面に白地に２６ポイントの大きさの黒色文字を記した紙を置き、試料をその金皿に厚さ４．５〜５．０ｍｍになるよう打型し、底面の文字を目視認識できるものをものをさす。
【００１４】
なお一層美麗な外観を得るために、色素、有色顔料、白色顔料等を本発明の効果を損なわない程度に配合し、着色することも可能である。
【００１５】
例えば、赤色１０４号、赤色２２６号、黄色４号、青色１号、青色４０４号等の色素、黄色４号Ａｌレーキ、黄色２０３号Ｂａレーキ等のレーキ色素、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム等の金属塩等が挙げられる。
これらの粉末の形状、大きさに、特に制限はないが、平均一次粒子径として、０．０１〜２０μｍの範囲にあるものが好ましい。
また、その配合量としては０．１ｗｔ％以下、好ましくは０．０１ｗｔ以下程度である。
【００１６】
更に、上記粉末の他に必要に応じて一般に添加されている成分を、発明の効果を損なわない程度に配合することができる。これらの成分として紫外線吸収剤、防腐剤、香料、酸化防止剤、保湿剤、ビタミン類・血行促進剤・セラミド類・植物抽出エキス等の生理活性成分などが挙げられる。
【００１７】
本発明の、美麗な透明性を有し、かつ使用性の良好な透明性固形粉末化粧料を得るには、特別の製造装置を必要とせず、従来ファンデーション、プレストパウダーを製造するために用いている製造方法に準じればよい。
【００１８】
本発明の透明性固形粉末化粧料の例としては、剤型的には粉末を固形化したものであれば特に剤型を選ばない。例えば、容器に充填し、固形化したものとしては、ファンデーション、プレストパウダー、チークカラー、アイシャドウ等が挙げられる。また、粉末そのものを固化成型したものとしては、パウダースティック等が挙げられる。
【００１９】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００２０】
実施例は表１に、比較例は表２に示す処方でプレストパウダーを作製した。なお、（Ａ）成分の弾性粉末としてはシリコーンエラストマー（前記、トレフィルＥ−５０５Ｃ）を、（Ｂ）成分の非弾性球状粉末としては球状シリコーン樹脂〔東芝シリコーン社製、トスパール１４５Ａ（平均一次粒子径４．５μｍ）〕、又は球状シリカ〔富士エデヴィソン社製、サイロピュア３０（平均一次粒子径５．０μｍ）〕を使用した。
【００２１】
【表１】

【００２２】
【表２】

【００２３】
実施例及び比較例の試料の製造方法は、粉末成分を均一に混合した後、油剤成分を加え、更に均一状態になるまで混合を行った。得られた混合粉末を金皿に打型（厚さ４．５ｍｍ，打型圧１〜３ｋｇ／ｃｍ^２）し、試料とした。
【００２４】
本発明で用いた「透明性」、「使用性」の評価方法は下記の通りである。
【００２５】
（１）透明性の評価方法
試料を目視観察し、
金皿の底面の文字が認識できた場合：○、
金皿の底面の文字が認識できなかった場合：×、
として行った。
【００２６】
（２）使用性の評価方法
１０名の被験者に対し、パフを用いて使用させ、「均一にとれる」、「普通」、「均一にとれない」の３段階で評価を行い、「均一にとれる」と回答したパネラーの人数によって、表３の基準に従って評価した。
【００２７】
【表３】

【００２８】
「透明性」及び「使用性」の評価結果を表１、２に併せて示す。
【００２９】
表１から、本発明の実施例１〜４、６及び７は「透明性」及び「使用性」の各項目に対していずれも優れた評価結果を得た。
これに対し、表２の比較例はいずれかの項目に問題があった。比較例１，４，５，６及び７は（Ａ）成分シリコーンエラストマーと（Ｃ）成分油剤との組み合わせであるが、この場合「透明性」は得られたものの、「使用性」は悪い結果であった。一方、比較例２，３は（Ｂ）成分非弾性球状粉末と（Ｃ）成分油剤との組み合わせであるが、この場合「透明性」は得られず、「使用性」は良好な結果であった。
【００３０】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、外観上透明性を有し、かつパフなどでのとれ等の使用性に優れた固形状粉末化粧料を提供することは明らかである。

Claims

（Ａ）弾性粉末４５〜９７重量％、（Ｂ）平均粒子径が０．１〜５０μｍの範囲にある非弾性球状シリコーン樹脂粉末１〜２５重量％及び（Ｃ）油剤２〜３０重量％を必須成分とし、これらの混合組成物を打型して得られる透明性固形粉末化粧料。