JPWO2006054373A1 - 下水処理装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、大量の降雨時に、下水処理場を経ないで放流される雨水混入下水や汚濁物質混入雨水、即ち、合流式下水道越流水(combined sewer overflow:CSO)、分流式下水道雨水越流水、分流式下水道汚水越流水(sanitary sewer overflow)などを、公共用水域に放流される前に速やかに消毒する手段を設けた下水道システム、並びに雨水混入下水や汚濁物質混入雨水の消毒方法及び装置を提供する。本発明の一態様は、下水道システムであって、下水処理場の処理容量を超えない量の下水が下水処理場に流れ込む場合には、下水を、下水処理場において所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流し、大量の降雨によって下水処理場の処理容量を超える量の雨水を含んだ下水が下水処理場に流れ込むか若しくは流れ込むおそれのある場合には、下水処理場の処理容量を超える量の雨水混入下水については、下水道の雨天時下水道越流水排除施設において分岐して、臭素系消毒剤による消毒を行った後に公共水域に放流し、下水処理場の処理容量内の雨水混入下水については、下水処理場において所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システムに関する。

Description

本発明は、排水(drainage)を消毒する方法及び装置に関し、特に、雨水(rainwater)で希釈された下水(sewage)、具体的には、合流式下水道越流水、分流式下水道雨水越流水或いは分流式下水道汚水越流水を消毒処理する方法及び装置、並びにかかる消毒装置を具備した下水道システムに関する。
都市において、家庭汚水や産業排水は、合流式下水道又は分流式下水道によって下水処理場に送られて、砂等を除去するための沈砂池、浮遊固体(suspended solid;SS)を除去するための固液分離処理、活性汚泥処理、次いで、消毒をこの順序で経て、河川、湖沼、港湾、沿岸海域等の公共用水域(public water)に放流されている。
そして、消毒としては、一般的には、塩素ガスや、塩素系消毒剤で消毒することが一般的である。下水、屎尿、産業排水等には、感染症の源になる病原菌が含まれることがあるからである。一般的には、塩素系消毒剤が添加され、1mL当たりの大腸菌群数(大腸菌数)3000個(CFU/mL)以下にしている。なお、塩素系消毒剤を添加しないで、紫外線照射やオゾン添加が行われる場合もあるが、設備が膨大になるため用途が限られている。
しかしながら、大量の降雨時には、下水処理場の処理容量の問題などから、下水処理場での各種処理及び消毒を経ないで雨水が混入した下水や、各種の汚濁物が混入した雨水を公共用水域に放流しなければならない事態が起こる。この雨天時に公共用水域に放流される雨水混入下水や汚濁物質混入雨水を、公共用水域に放流される前に速やかに消毒することが重要である。
本発明は、大量の降雨時に、下水処理場を経ないで放流される雨水混入下水や汚濁物質混入雨水、或いは下水処理場内で生物処理及び消毒処理を経ないで放流される雨水が混入した簡易放流水を、公共用水域に放流される前に速やかに消毒する手段を設けた下水道システム、並びに雨水混入下水や汚濁物質混入雨水の消毒方法及び装置を提供する。
合流式下水道の代表的な構成例を示すフロー図である。 分流式下水道の代表的な構成例を示すフロー図である。 下水処理場の代表的な構成例を示すフロー図である。 本発明の一態様にかかる下水処理装置の構成例を示す図である。 本発明の一態様にかかる下水処理装置の構成例を示す図である。 本発明の一態様にかかる下水処理装置の構成例を示す図である。 本発明の一態様にかかる下水処理装置の構成例を示す図である。 本発明の一態様にかかる下水処理装置の構成例を示す図である。 本発明の一実施形態にかかる消毒装置を説明する概略説明図である 沈砂池に消毒剤を投入する本発明の一形態を説明する概略説明図である。 本発明の他の形態を示す概略説明図である。 消毒水を雨天時下水道越流水に添加するための添加装置の一実施態様を示す概略説明図である。 消毒剤の貯留・供給装置として採用することのできる他の形態を示す概略説明図である。 固体消毒剤の貯留部の具体的な構成例を示す図である。 固体消毒剤貯槽の一形態を示す図である。 固体消毒剤貯槽の一形態を示す図である。 定量供給器の一形態を示す図である。 定量供給器の一形態を示す図である。 固体消毒剤貯槽にコンテナを接続した形態を示す図である。 固体消毒剤コンテナの構成例を説明する図である。 固体消毒剤供給設備の設置形態の一例を説明する図である。 固体消毒剤を収容した容器の他の形態を説明する図である。 固体消毒剤を水に溶解して消毒水を形成する溶解部の他の構成例を示す図である。 本発明において使用することのできる他の形態の固体臭素系消毒剤貯留・供給装置を示す図である。 本発明において使用することのできる他の形態の固体臭素系消毒剤貯留・供給装置を示す図である。 流体・粉体移送用一軸ねじ式ポンプを用いた固体臭素系消毒剤貯留・供給装置の他の例を示す図である。 固体臭素系消毒剤を固体のまま処理対象の雨天時下水道越流水に投入する本発明の一態様に係る消毒装置の一具体例を示す図である。 消毒剤注入装置の一形態を示す図である。 消毒剤注入装置の他の形態を示す図である。 消毒剤注入装置の他の形態を示す図である。 固体の消毒剤を雨天時下水道越流水に投入した後の未溶解消毒剤残存率、残留ハロゲン濃度、大腸菌群数の時間的推移を示すグラフである。 本発明の他の態様にかかる雨天時下水道越流水の消毒装置の概念を示す図である。 消毒剤を添加した後の雨天時下水道越流水の流路の形状を変化させた形態を示す図である。 消毒剤を添加した後の雨天時下水道越流水の流路507の形状を変化させた他の形態を示す図である。 消毒剤を添加した後の雨天時下水道越流水の流路507の形状を変化させた他の形態を示す図である。 固体消毒剤を処理対象の雨天時下水道越流水に投入する消毒装置の一形態の概念を示す図である。 固体の臭素系消毒剤を固体のままで処理対象の雨天時下水道越流水に投入して消毒を行う方式の消毒装置の他の構成例を示す図である。 固体の臭素系消毒剤を固体のままで処理対象の雨天時下水道越流水に投入して消毒を行う方式の消毒装置の他の構成例を示す図である。 下水処理設備における雨天時越流水に対して所定量のハロゲン系消毒剤を添加した際の、降雨後経過時間と消毒後大腸菌群数の関係とを示すグラフである。 降雨後0.5時間経過後(図39のA点)での雨天時下水に対して種々の濃度のハロゲン系消毒剤を添加した場合の、消毒後の大腸菌群数を示すグラフである。 降雨後45分経過後(図39のB点)での雨天時下水に対して種々の濃度のハロゲン系消毒剤を添加した場合の、消毒後の大腸菌群数を示すグラフである。 降雨後1.5時間経過後(図39のC点)での雨天時下水に対して種々の濃度のハロゲン系消毒剤を添加した場合の、消毒後の大腸菌群数を示すグラフである。 種々の降雨後経過時間における雨天時越流水に対してハロゲン系消毒剤を添加した場合の、消毒剤添加後経過時間と被処理液中の残留ハロゲン濃度との関係を示すグラフである。 本発明の一態様に係る雨天時下水道越流水の消毒装置の構成例を示す図である。 消毒剤が添加された雨天時下水道越流水に対して還元剤を添加する処理を行う本発明の一形態を説明する図である。 消毒装置が消毒する排水を収集する下水管路網と処理地域を示す図である。 消毒装置が消毒する排水を収集する下水管路網と処理地域及び隣接する処理地域を示す図である。 本発明に係る雨天時下水道越流水消毒装置の制御装置の構成例を示す図である。 本発明にかかる雨天時下水道越流水消毒装置の制御方法に用いられるマッピング処理を示す図で、同図(a)は各処理地域A,B、C、D、E、Xで測定された降雨情報をマッピング処理した模式図で、同図(b)は同図(a)の時間t後の模式図である。 本発明にかかる雨天時下水道越流水消毒装置の制御装置の他の構成例を示す図である。 本発明にかかる雨天時下水道越流水消毒装置の制御装置の他の構成例を示す図である。 本発明にかかる異常検知機構を有する排水消毒装置の一実施形態によって消毒が実行される状態を示す系統図である。 薬剤添加量の過剰、過小を検知する処理手順を示す図である。 薬剤添加量の過剰、過小を検知する処理手順を示す図である。 薬剤添加量の過剰を検知する処理手順を示す図である。 固体消毒剤の異常供給を検知して供給を停止する制御装置の概念を示す図である。 本発明によって固体臭素系消毒剤による雨天時下水道越流水の消毒を行う装置の運転方法の一形態を説明する図である。 本発明にかかる雨天時下水道越流水の消毒システムの制御体系の一例を示す概念図である。 実施例4で用いた雨天時下水道越流水の消毒装置の構成を示す図である。 実施例5の結果を示すグラフである。
図46において、710は処理場、711は下水管、P1,P2,P3は中継ポンプである。
図48において、710は処理場、720は降雨情報測定手段、721aは処理地域Aの降雨情報、722aは処理地域Aの降雨情報、730は制御装置、731は降雨情報マッピング処理手段、732は降雨情報推定処理手段、733は予想降雨量、734は予想降雨強度、735は予想流入量、736は大腸菌群数推定処理手段、737は予測値/実測値補正処理手段、741は薬剤添加量、742は薬剤消費量、743は排水消毒装置運転開始時刻、750は濁度測定手段、751は流入水濁度、752は実測値測定手段、753は降雨量、754は降雨強度、755は流入水量、756は薬剤供給量、757は放流水残留薬剤濃度である。
図50において、710は処理場、720は降雨情報測定手段、721xは処理地域Xの降雨情報、722xは処理地域Xの降雨情報、730は制御装置、731は降雨情報マッピング処理手段、732は降雨情報推定処理手段、733は予想降雨量、734は予想降雨強度、735は予想流入量、736は大腸菌群数推定処理手段、737は予測値/実測値補正処理手段、737a〜737cは補正値加算処理手段、741は薬剤添加量、742は薬剤消費量、743は排水消毒装置運転開始時刻、750は濁度測定手段、751は流入水濁度、752は実測値測定手段、753は降雨量、754は降雨強度、755は流入水量、756は薬剤供給量、757は放流水残留薬剤濃度、760は地域特性シュミレーション手段、761は予想流入水量、762は予想流入汚濁負荷である。
図51において、710は処理場、720は降雨情報測定手段、721xは処理地域Xの降雨情報、722xは処理地域Xの降雨情報、730は制御装置、737は予測値/実測値補正処理手段、737a,737bは補正値加算処理手段、738は薬剤添加量算出処理手段、739は薬剤添加率設定手段、741は薬剤添加量、742は薬剤消費量、752は実測値測定手段、753は降雨量、754は降雨強度、755は流入水量、756は薬剤供給量、757は放流水残留薬剤濃度、760は地域特性シュミレーション手段、761は予想流入水量、762は予想流入汚濁負荷である。
図52において、810は沈砂池、810aは流入部、810bは沈砂部、811は放流水路、812は河川、813は放流水残留ハロゲン濃度計、814は放流口監視カメラ、820はスクリーン、821は原水流量計、830は消毒剤添加装置、831はホッパ、832は消毒剤、833は供給機、834はエジェクタ、835はホッパ重量、836は供給機回転数、840は溶解装置、841は溶解槽、842は攪拌機、843は溶解槽残留ハロゲン濃度計、X1はホッパ重量計である。
図53において、813は放流水残留ハロゲン濃度計、843は溶解槽残留ハロゲン濃度計、870は残留ハロゲンン高レベル判定出力、871は残留ハロゲン低レベル判定出力、901は放流水残留ハロゲン濃度高レベルしきい値、902は溶解槽残留ハロゲン濃度低レベルしきい値、903は溶解槽残留ハロゲン濃度高レベルしきい値、904は残留ハロゲン濃度差(消毒剤消費量)低レベルしきい値である。
図54において、835はホッパ重量計、836は供給機回転数、881は薬剤添加量過小判定出力、883は薬剤添加量過剰判定出力、910は供給機回転数→吐出量換算係数、911は薬剤吐出量添加量低レベルしきい値、912は薬剤吐出量添加量高レベルしきい値、913は薬剤吐出量判定処理サンプリング周期である。
図55において、814は放流口監視カメラ、890は魚類異常判定出力、921は魚類判定パターン、922は魚類漂流判定用移動範囲座標1、923は魚類漂流判定用移動範囲座標2、924は魚類漂流判定時間、925は漂流魚類個体数高レベルしきい値である。
図59において、551は消毒剤貯留槽、552は消毒剤計量手段、553は消毒剤移送配管、554は消毒剤混合手段、555は乾燥空気供給手段、556は除塵手段、557は消毒対象水、559は固体臭素系消毒剤、560は圧力調整手段である。
発明の実施の形態
「合流式下水道」(combined sewer)とは、家庭汚水及び産業排水と雨水とを同一の管に捕集して下水処理場へ送る方式であり、下水処理場にて、通常は、最初沈殿池による懸濁固形分の除去処理、曝気槽による生物処理、最終沈殿池による汚泥の除去、並びに塩素系消毒剤による消毒などの各処理が行われる。合流式下水道システムの代表的な構成例を図1に示す。一般家庭、工場等の汚水排出源から排出された汚水は下水道管渠に捕集される。また、雨水も雨水溝などを経由して同じ下水道管渠に捕集される。このようにして下水道管渠に集められた汚水及び雨水は、下水処理場に送られて、沈殿処理、曝気(生物反応)処理、最終沈殿処理、消毒処理などの各処理を経て、公共水域に放流される。公共水域としては、河川、湖沼、港湾、沿岸海域などが挙げられる。しかしながら、降雨量が多い場合には、下水処理場で処理可能な量を越える雨水混入下水が流入するおそれがある。このため、下水道管路の途中に雨水吐き室、ポンプ場(排水機場)等の雨水混入下水の排除施設が設けられている。雨水吐き室では、場合によっては濾過スクリーンなどを設置して夾雑物を排除した後に越流水を放流している。また、ポンプ場には、通常、沈砂池が設置され、排除された雨水混入下水は沈砂池によって簡易処理された後放流される。このような雨天時における雨水混入下水の放流水は、一般に合流式下水道越流水(combined sewer overflow:CSO)と呼ばれている。
一方、「分流式下水道」(separated sewer)とは、家庭汚水及び産業排水と、雨水とを別々の管に捕集し、家庭汚水及び産業排水を下水処理場へ送り、雨水を公共水域に放流する方式である。分流式下水道システムの代表的な構成例を図2に示す。一般家庭、工場等の汚水排出源から排出された汚水は、分流式下水道の汚水管渠に捕集され、下水処理場に送られて所定の処理を経て、公共水域に放流される。一方、雨水は、雨水溝などを経由して分流式下水道の雨水管渠に捕集され、雨水管路の複数箇所に設置されたポンプ場(排水機場)から公共水域に放流される。このような分流式下水道において、雨水管路のポンプ場から排出される分流式下水道の雨水越流水は、本来、雨水のみが含まれるはずである。しかし、現実には、大量の雨が降ったときなどには、大量の雨水が下水道を流れ、このときに、道路などの地表面に存在する汚濁物や、下水道内に堆積したヘドロも一緒に流してしまう。従って、分流式下水道の雨水越流水にも、地表面に存在する汚濁物及びヘドロに起因する大腸菌が含まれることがある。
上記の合流式下水道越流水及び分流式下水道の雨水越流水のいずれの場合においても、越流水中の大腸菌群数が放流規制値(3000CFU/mL以下)を超えることがあり、消毒をすることが所望される。ここで、CFUとは、コロニー形成単位(colony forming unit)を意味する。
下水処理場の一般的な構成例を図3に示す。下水道管路から送られてきた下水は、揚水ポンプによって下水処理場に導入され、最初沈殿池(初沈池)で処理されて、夾雑物や懸濁固形分が沈殿によって除去される。次に、曝気槽で生物処理を行った後、最終沈殿池で沈殿処理を行なって汚泥を分離した後、処理水を消毒槽(塩素混和槽)で消毒する。塩素混和槽に代えて、或いはこれと組みあわせてUV照射によって処理水を消毒することもある。この一連の処理を経たものが下水処理水として公共水域に放流される。しかしながら、合流式下水道システムの場合には、下水道管渠を雨水と汚水とが一緒に流れるため、大量の降雨時には、下水処理場の処理容量を超える量の雨水混入下水が流れてくることがある。この場合、揚水ポンプ場において一部の下水を排除して公共水域に放流することがある。また、最初沈殿池の処理容量と曝気槽の処理容量とは一般に異なり、曝気槽の処理容量の方が小さい。従って、最初沈殿池の処理容量内であるが、曝気槽の処理容量を超える量の下水が下水処理場に導入された場合には、曝気槽に下水を導入する前に、その一部を排除して、消毒槽(塩素混和槽及び/又はUV照射槽)で簡易処理した後に公共水域に放流することがある。また、下水処理場によっては、この放流水に対して消毒槽を設置するスペースがないことがあり、そのような場合には、未処理のまま公共水域に放流されることがある。このような下水処理場内での雨水混入下水の放流水も合流式下水道越流水(combined sewer overflow:CSO)と呼ばれ、その消毒処理が重要な課題となっている。
また、分流式下水道の汚水管渠は、本来、汚水のみが流れるはずであり、大量の降雨時においても汚水管渠を流れる下水の量は増加しない。しかしながら、実際には相当量の不明水が分流式下水道の汚水管渠内に侵入しており、汚水管渠から越流して公共水域に放流されてしまう下水が存在する。これは、分流式下水道の汚水越流水(sanitary sewer overflow:SSO)と呼ばれており、その消毒処理が重要な課題となっている。
本発明の一態様は、これらの合流式下水道越流水、分流式下水道雨水越流水、分流式下水道汚水越流水を速やかに消毒処理する手段(図1〜図3に示す本発明による消毒装置)を備えた下水道システムを提供する。
即ち、本発明によれば、晴天時若しくは少量の雨天時で、下水処理場の処理容量を超えない量の下水が下水処理場に流れ込む場合には、下水を、下水処理場において、最初沈殿池、曝気槽、最終沈殿池などの所定の処理を行った後、塩素系消毒剤及び/又はUV照射によって消毒処理を行った後に公共水域に放流するが、大量の降雨によって下水処理場の処理容量を超える量の雨水を含んだ下水が下水処理場に流れ込むか若しくは流れ込むおそれのある場合には、下水処理場の処理容量を超える量の雨水混入下水については、下水道管路の雨天時下水道越流水排除施設、例えば雨水吐き室、ポンプ場(排水機場)、或いは下水処理場の揚水ポンプ場において分岐して、臭素系消毒剤による消毒を行った後に公共水域に放流し、下水処理場の処理容量内の雨水混入下水については、下水処理場において最初沈殿池、曝気槽、最終沈殿池などの所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤及び/又はUV照射によって消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システムが提供される。
また、本発明の他の形態によれば、分流式下水道であって、下水道の汚水管渠を流れる汚水については、下水処理場において、最初沈殿池、曝気槽、最終沈殿池などの所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤及び/又はUV照射によって消毒処理を行った後に公共水域に放流し、下水道の雨水管渠を流れる雨水については、雨水排除施設、例えばポンプ場(排水機場)から公共水域に放流するが、ファーストフラッシュと呼ばれる降雨直後や大量の降雨などによって消毒が必要となる場合には、下水道の雨水管渠を流れる雨水について、雨水排除施設において臭素系消毒剤による消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システムが提供される。
更に、本発明の他の形態によれば、晴天時若しくは少量の雨天時で、下水処理場の曝気槽の処理容量を超えない量の下水が下水処理場に流れ込む場合には、下水を、下水処理場において、最初沈殿池、曝気槽、最終沈殿池などの所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤及び/又はUV照射によって消毒処理を行った後に公共水域に放流するが、大量の降雨によって下水処理場の最初沈殿池の処理容量は超えないが曝気槽の処理容量を超える量の雨水を含んだ下水が下水処理場に流れ込むか若しくは流れ込むおそれのある場合には、曝気槽の処理容量を超える量の雨水混入下水については、下水処理場での最初沈殿池における処理の後に分岐して、臭素系消毒剤による消毒を行った後に公共水域に放流し、曝気槽の処理容量内の雨水混入下水については、下水処理場での最初沈殿池における処理に続いて、曝気槽、最終沈殿池などの所定の処理を行い、続いて塩素系消毒剤及び/又はUV照射によって消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システムが提供される。
また、本発明の他の態様は、上述の合流式下水道越流水、分流式下水道雨水越流水又は分流式下水道汚水越流水を消毒処理するための装置を提供する。かかる装置は、一態様においては、固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置と、該固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置から供給される固体臭素系消毒剤を、合流式下水道越流水、分流式下水道雨水越流水、分流式下水道汚水越流水に添加・混合する消毒剤添加・混合装置とを具備する。
上記に説明したように、本発明が対象とする被処理水としては、合流式下水道において大量の降雨時に下水処理場における適正な処理を経ないで公共水域に放流されてしまう雨水が混入した下水、即ち合流式下水道越流水(CSO)、分流式下水道において降雨時に雨水管渠から公共水域に放流される汚濁物質を含んだ雨水、即ち分流式下水道雨水越流水、分流式下水道において、汚水管渠から公共水域に放流される不明水を含んだ汚水、即ち分流式下水道汚水越流水(SSO)を挙げることができる。以下の説明においては、これらの合流式下水道越流水、分流式下水道雨水越流水又は分流式下水道汚水越流水を総称して、雨天時下水道越流水(sewer stormwater overflow)と呼ぶ。また、本明細書の説明においては、本発明によって消毒処理する処理対象水を、場合により雨天時下水道越流水と称するがこの記載は本発明を限定するものではない。
上記に説明した本発明の概念は、また図4に示すように規定することもできる。図4において、下水は分岐装置に流入する。流入下水が所定値以下の場合には、流入下水は出口1から流出し、出口1から流出した下水は塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒施設に送られて消毒処理がなされる。消毒処理がなされた下水は公共水域に放流することができる。また、流入下水が所定値以上の量である場合には、所定値以下の量の流入下水は出口1から流出し、上記と同様の処理がされる。流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量は出口2から流出し、下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水消毒装置に送られ、臭素系消毒剤による消毒処理がなされる。臭素下水消毒装置で消毒処理がなされた下水も、公共水域に放流することができる。なお、ここでの所定値とは、例えば、下水処理場の処理容量、或いは図3に示すように下水処理場内で最初沈殿池と曝気槽の間で分岐させる場合には曝気槽の処理容量を指す。
即ち、本発明の他の態様は、
下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒施設と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、入口への流入下水を出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、入口への流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を出口1に流し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を出口1に流し、流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を出口2に流す分岐装置と;
から構成され、
上記分岐装置の出口1が上記消毒施設の下水導入部に接続され、上記分岐装置の出口2が上記臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている下水処理装置に関する。
上記の態様において、流入下水量が所定値以上の場合に流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量(分岐装置の出口2から流出する下水量)は、上記に説明した雨天時下水道越流水という概念で考えることができる。
消毒施設としては、たとえば下水処理場を例示することができる。消毒施設は、図5に示すように、最初沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されるようにすることができる。更に、消毒施設は、図6に示すように、最初沈殿池、ばっき槽及び最終沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されるようにすることもできる。
更に、消毒施設内においても分岐装置及び臭素消毒装置を配置して、所定値以上の流入水が流入した場合にはその超過分を分岐して臭素消毒装置によって消毒処理することができる。即ち、本発明の他の態様は、消毒施設が、更に、最初沈殿池と、入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置とを有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1が消毒槽の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続される上記に記載の下水処理装置に関する。かかる形態の構成例を図7に示す。更には、本発明の他の態様は、消毒施設が、更に、最初沈殿池と、ばっき槽と、最終沈殿池と、入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置(device)とを有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続される上記に記載の下水処理装置に関する。かかる形態の構成例を図8に示す。
更に、上記の図7又は図8に示す分岐装置及び臭素下水消毒装置を含む装置を消毒施設内にのみ配置した構成も本発明の一態様に含まれる。即ち、本発明の他の態様は、下水処理場における下水処理装置であって、
最初沈殿池と;
下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置;とからなり、
分岐装置の出口1が消毒設備の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置に関する。
更に本発明の他の態様は、下水処理場における下水処理装置であって、
最初沈殿池と;
ばっき槽と;
最終沈殿池と;
下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と;からなり、
下水処理装置の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒設備の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置に関する。
上記に説明した下水処理装置においては、消毒施設によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にすることができる。また、消毒施設によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にすることができる。更に、分岐装置の入口は合流式下水道に接続することができる。また、臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にすることができる。更に、臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にすることができる。消毒施設及び/又は臭素下水処理装置によって消毒された下水は公共水域に流すことができる。また、上記に規定の下水処理装置において、臭素下水処理装置は、固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置と、該固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置から供給される固体臭素系消毒剤を、被処理水に添加・混合する消毒剤添加・混合装置とを具備することができる。また、固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置は、固体臭素系消毒剤の貯槽と、貯槽内の固体臭素系消毒剤を所定の量計量して排出する定量供給機とを備え、該貯槽及び定量供給機は、圧縮空気をその内部に噴射する複数個の噴射口で構成された固体臭素系消毒剤の撹拌手段を備えることができる。また、定量供給機は、計量手段を有する回転テーブルを備えることができる。更に、消毒剤添加・混合装置は、被処理水の一部を受容して固体臭素系消毒剤を混合・溶解する消毒水調製装置と、消毒水を被処理水に投入する手段とを備えることができる。更に、消毒剤添加・混合装置は、被処理水が流れる流路内に設置することができる。更に、固体臭素系消毒剤の貯留・混合装置及び添加・混合装置は、固体臭素系消毒剤を貯留する貯留槽、貯留槽に接続されており、消毒剤を固体のままで注入点まで移送するための消毒剤移送配管、消毒剤移送配管に接続されており、配管内を移送されてきた固体臭素系消毒剤を消毒対象の被処理水に加える消毒剤注入装置、から構成することができる。更に、消毒剤が添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解するように装置を構成することができる。更には、被処理水のサンプルを採取するための分取ラインと、サンプリングされた被処理水サンプルに消毒剤を添加するための消毒剤供給手段と、消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、を更に備え、有効ハロゲン濃度測定装置によって測定された消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて消毒剤添加・混合装置によって被処理水中に加えられる消毒剤の添加量を制御する消毒剤添加量制御手段を備えるように下水処理装置を構成することができる。また、消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加する還元剤供給装置と、消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて還元剤の添加量を制御する還元剤添加量制御装置を更に備えることができる。
また、本発明の他の態様は、下水を消毒処理する方法であって、
流入下水を、流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を塩素又はUVによって消毒し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を塩素又はUVによって消毒し、同時に流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を臭素系消毒剤によって消毒することを特徴とする下水処理方法に関する。
かかる方法において、塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にすることが好ましい。また、塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にすることができる。更に、上記の方法によって処理対象の下水として合流式下水道の下水を処理することができる。上記の方法においては、臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にすることができる。また、臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にすることができる。更に、塩素又はUVによって消毒された下水及び/又は臭素系消毒剤によって消毒された下水を公共水域に流すことができる。また、臭素系消毒剤による消毒処理の時間は3分以内であることができる。また、臭素系消毒剤として固体の臭素系消毒剤を被処理水に添加・混合して消毒を行うことができる。更に、臭素系消毒剤として、固体の臭素系系消毒剤を被処理水の一部に混合・溶解して消毒水を調製し、調製された消毒水を被処理水に投入することによって消毒を行うことができる。更に、消毒剤が、添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解するようにすることができる。更に、上記の方法においては、被処理水の一部をサンプリングして臭素系消毒剤を添加し、臭素系消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定して、測定された臭素系消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて被処理水に加える臭素系消毒剤の添加量を制御することを更に含むことができる。また、上記の方法においては、臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定し、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて、臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加することができる。
以下に本発明において用いることのできる種々の形態の臭素消毒装置及び臭素消毒装置による消毒の制御方法などについて詳細に説明する。上記で述べたように、以下の説明においては、本発明によって分岐装置で出口2に誘導され、臭素系消毒剤で消毒処理される処理対象水を、場合により雨天時下水道越流水と呼ぶが、この記載は本発明を限定するものではない。また、以下の説明においては便宜上臭素消毒装置を単に消毒装置と呼ぶことがある。
汚水や排水などの下水の消毒は、通常、紫外線照射、オゾン殺菌や、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤を用いて行われている。特に塩素系消毒剤は、紫外線照射やオゾン殺菌に比べて、設備が簡潔であり、汚れの状態に対して適用性が高いなど、利点が多い。
しかし、通常の下水処理に適用された技術を雨天時下水道越流水の処理に転用すると次の問題点が生じる。まず、雨天時下水道越流水には、アンモニア、アミンが共存するため、下記式(1)に代表される化学反応が生じ、活性塩素がクロラミンに変化し、殺菌効果がl/10以下に低下する。従って、病原菌の数は、変わらなくてもアンモニアやアミンが存在すると、塩素系消毒剤の添加量を増大させる必要がある。
式1
NH4 ++HClO→NH2Cl+H2O+H+ (1)
また、塩素系消毒剤を用いるときの消毒時間は15分以上必要であるので("下水道施設計画・設計指針と解説"参照)、雨天時下水道越流水と塩素系消毒剤を混和し、15分以上滞留させる混和槽が必要となる。しかし、雨天時下水道越流水の排除施設にはそのような混和槽を設置できる空間的余裕がない。
そこで、雨天時下水道越流水の消毒処理には、消毒時間が短い消毒剤、及び、その混合方法が求められる。
本発明の特徴の一つは、雨天時下水道越流水の消毒に固体臭素系消毒剤を用いるという点にある。本発明において用いることのできる固体臭素系消毒剤としては、例えば、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)などを挙げることができる。
本発明の一側面では、固体臭素系消毒剤を貯留する装置と、該固体消毒剤を水に混合して消毒水を得る消毒水調製装置と、前記消毒水を、有機物と、アンモニア又はアンモニウムイオンとを含む雨天時下水道越流水に添加して消毒を行う消毒水添加装置とを具備する雨天時下水道越流水の消毒装置が提供される。
本発明において、前記雨天時下水道越流水中の全有機物炭素(total organic carbon)が、5mg/L以上であることが好ましい。前記雨天時下水道越流水中のアンモニウムイオン濃度が、1mg/L以上であることが好ましい。
前記消毒水中の消毒剤の濃度は、活性塩素濃度に換算して、100mg/L as Cl〜10g/L as Clであることが好ましい。
前記雨天時下水道越流水中の消毒剤の添加濃度は、活性塩素濃度に換算して、0.5mg/L as Cl〜25mg/L as Clであることが好ましい。
前記添加工程は、前記消毒水を前記雨天時下水道越流水の水面下に導入させる工程を含むことが好ましい。更に、消毒された雨天時下水道越流水を公共水域に放流する工程を更に含むことが好ましい。
本発明の他の側面では、消毒剤と雨天時下水道越流水の一部とから消毒水を製造する装置と、
雨天時下水道越流水中の砂を除去するための沈砂池と、
前記消毒水を沈砂池に導入するための第1流路と、
を有し、前記雨天時下水道越流水が前記沈砂池に滞留中に消毒される、雨天時下水道越流水を消毒する装置が提供される。
本発明において、前記消毒水製造装置は、消毒剤貯留装置と、前記消毒剤を前記雨天時下水道越流水に添加する装置と、前記消毒剤と前記雨天時下水道越流水とを混合する装置とを有することが好ましい。また、前記沈砂池が2以上の沈砂部を有し、前記第1流路は、各々の沈砂部に消毒水を導入するための分配槽を有することが好ましい。
前記第1流路は、前記消毒水を前記雨天時下水道越流水の水面下に導入するための添加装置に連結されていることが好ましい。
消毒された雨天時下水道越流水を公共水域に放流することができるように貯留するための貯留池又は放流水路を更に含むことが好ましい。
前記貯留池又は放流水路に、消毒された雨天時下水道越流水の水質を検査するための計測器が設けられていることが好ましい。
前記沈砂池中の雨天時下水道越流水の一部を前記消毒水製造装置に導入するための第2流路を更に有することが好ましい。
本発明においては、有機物と、アンモニア又はアンモニウムイオンとを含む雨天時下水道越流水が消毒される。
例えば、合流式下水道では、汚水や排水などの下水と雨水とが混合して下水道管渠を流れる。そして、このように両者が混合した下水、特に、下水処理場で処理されないで放流される雨天時下水道越流水が、本発明によって消毒される。
分流式下水道では、生下水の下水道(汚水管渠)と雨水の下水道(雨水管渠)とが別れている方式であり、雨水管渠を流れ、公共水域に放流される雨天時下水道越流水が、本発明によって消毒される。
雨天時下水道越流水中の有機物の含有量としては、例えば、この雨天時下水道越流水には、全有機物炭素(total organic carbon)が、5mg/L以上であってもよく、10mg/L以上であってもよく、30mg/L以上であってもよく、50mg/L以上であってもよい。合流式下水でも、分流式下水でも、一般的には、全有機物炭素(total organic carbon)が、5mg/L以上である。
処理対象の雨天時下水道越流水のアンモニウムイオン濃度が、1mg/L以上であってもよく、10mg/L以上であってもよい。雨天時下水道越流水中にアンモニウムイオンが含まれているときには、活性臭素がブロマミン(NH2Br、NHBr2等)に変化する。しかし、ブロマミンの場合には、次亜臭素酸と同程度の消毒効果を維持するため、効果的に消毒することができる。合流式下水では、一般的には、アンモニアイオン濃度が、1mg/L以上である。また、分流式下水では、降雨直後のファーストフラッシュ(first flush)と呼ばれる越流水では、アンモニアイオン濃度が1mg/L以上であることが多い。
本発明の一側面では、雨水で希釈された下水を主対象とするが、分流式下水道による雨水を対象にしてもよい。更に、下水、し尿、若しくは、産業排水、又は、これらの処理水など、有機物とアンモニア又はアミンを含む水を、本発明の方法で処理してもよい。
本発明の一側面では、被処理水には、大腸菌を含んでいる。このような水は、特に消毒をする必要が高いからである。合流式下水には、一般的には、大腸菌も含まれている。また、分流式雨水にも、大腸菌が含まれていることが多い。
本発明では、固体臭素系消毒剤が用いられる。塩素系消毒剤と比べて、臭素系消毒剤は、消毒時間が短いことが特徴である。臭素系消毒剤では、数十秒から数分、例えば30秒〜15分、好ましくは40秒〜10分、より好ましくは45秒〜5分、更に好ましくは50秒〜3分で消毒ができる。また、次亜臭素酸(HOBr)は天然で容易に分解するので、排水に残存した次亜臭素酸を分解処理するための装置を設ける必要がない。これに対して、塩素系消毒剤では、活性塩素が下水中のアンモニアと反応し、クロラミンを形成し、殺菌力を低下させるため、雨天時下水道越流水の排除施設の滞留時間内で消毒することは困難である。また、クロラミンの残留性が高いため、分解処理するための装置を設ける必要がある。
本発明で好適に用いられる固体臭素系消毒剤としては、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)などを挙げることができる。
本発明の一側面では、所定の消毒剤を水に混合する工程を含む。本発明では、雨天時下水道越流水の排除施設で消毒剤を雨天時下水道越流水に添加してもよい。雨天時下水道越流水の排除施設としては、例えば、合流式下水道の雨水吐き室、ポンプ場(排水機場)、分流式下水道のポンプ場(排水機場)、下水処理場の揚水ポンプ場、下水処理場の最初沈殿池から曝気槽への流路から分岐して雨天時下水道越流水を公共水域に放流する施設などを挙げることができる。本発明の消毒剤は、これらの雨天時下水道越流水排除施設に流入する下水管渠で添加しても良いし、雨水排除ポンプ井で添加してもよいし、雨水排除ポンプ流入管内で添加してもよい。また、これらの雨天時下水道越流水排除施設には沈砂池を設けている場合が多い。その場合には、消毒剤を、沈砂池中、或いは沈砂池の流入部で添加してもよい。消毒剤の添加場所は、上記の1ヶ所に限らず、数ヶ所に分けて添加することができる。
あるいは、雨天時下水道越流水の排除施設に、雨天時下水道越流水が流れる主流路と、主流路から分岐するバイパス流路とを設け、このバイパス流路に消毒槽を設置してもよい。この消毒槽にて、消毒剤を雨天時下水道越流水に添加し、消毒剤を雨天時下水道越流水に溶解させてもよい。
消毒剤を添加する場所が雨水排除ポンプの流入側であれば、ポンプ内の撹拌力によって、消毒剤と雨天時下水道越流水との混合が十分行われるため、好ましい。また、消毒剤を沈砂池流入部で添加すれば、沈砂池での滞留時間を反応時間に利用することができるので好ましい。
本発明で用いられる消毒剤は、室温で固体であるので、消毒剤を水に溶解させて消毒水にして、雨天時下水道越流水に添加することができる。溶解方法は特に限定しないが、エジェクターによる水流撹拌、流路撹拌、混合装置を設けた溶解槽のいずれでもよい。
例えば、消毒剤の飽和溶解濃度に対して、1重量%以上、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上の消毒剤が溶解している消毒水を用いても良い。もっとも、添加した消毒剤の全てを水に溶解させる必要はなく、消毒水中に固体の消毒剤が残留していてもよい。
消毒水の濃度は、活性塩素濃度に換算して、100mg/L as Cl〜10g/L as Clであることが好ましく、200mg/L as Cl〜2g/L as Clであることが更に好ましい。消毒水の濃度が、100mg/L as Clより小さい場合には、消毒水の添加量が多量になるばかりでなく、希釈水によって消毒剤が消費される場合もあるので、殺菌が十分でないおそれがある。一方、消毒水の濃度が、10g/L as Clより大きい場合には、消毒剤と雨天時下水道越流水との混合が不充分となり、消毒効果が低減する。
消毒水添加量は、消毒水中の消毒剤の濃度、降雨量、雨天時下水道越流水の水質等に依存し、一般には、降雨量、即ち、雨天時下水道越流水の量及び水質の増加に対応して、消毒水添加量が増加する。しかし、本発明の一実施態様では、雨水が増すことによって流入水質の汚濁度が減じる。したがって、本発明の一実施態様では、雨水が増え、流入水量が3倍になったとしても、消毒水又は消毒剤の添加量を3倍にする必要はない。したがって、あらかじめビーカテスト等で流入水質における最適添加量を見出し、その値に流入水量を乗じて消毒水又は消毒剤添加量を定めるのが合理的である。
流入水質の把握については、濁度もしくは電気伝導度を測定することにより、雨水の混入状態を把握することができる。この指標であれば、オンタイム検出が可能である。これらの指標以外には、降雨パターン、雨天時下水道越流水中の粒子性状、SS含有量、化学的酸素要求量(COD、Chemical Oxygen Demand)、生物学的酸素要求量(BOD、Biological Oxygen Demand)等を用いることができ、これらの指標を任意に組み合わせても良い。また、流入水量については、様々な流量計を利用してもよいが、雨水排除ポンプの稼動台数・負荷状況から割り出してもかまわない。
次いで、上記消毒水を、所定の雨天時下水道越流水に添加して、消毒する。例えば、消毒水槽中の消毒水をバイパス流路を介して、メイン流路に導入させる。
雨天時下水道越流水が、雨水が混入した下水、屎尿、又は、産業排水等の場合には、通常、雨天時下水道越流水中の消毒剤の添加濃度が、活性塩素濃度に換算して、0.5〜25mg/L as Clであることが好ましく、1〜15mg/L as Clであることが更に好ましい。消毒剤の添加濃度は、消毒水中の消毒剤の濃度及び量、並びに、雨天時下水道越流水の量から計算することができる。消毒剤の添加濃度は、雨天時下水道越流水中で消毒剤が消費される前の値である。
被処理水が、雨水が混入した下水、尿尿、産業排水等の場合、これらの被処理水は、一般的に大腸菌群が104〜107CFU/mLの範囲で含まれるが、消毒剤の上記添加量により、確実に速やかに通常、1分程度で被処理水に対する殺菌を行うことができる。
図9は、本発明の一実施形態を説明する概略説明図である。
雨天時下水道越流水が、メインの下水管渠から放流用の流路12に流れこんでいる。流路12内の雨天時下水道越流水は、放流ゲート11を越えて放流水路17に移動し、公共水域19に放流される。放流水路17中の雨天時下水道越流水について、残留ハロゲン検出器、濁度計、電気伝導度計などの計測器18で計測する。残留ハロゲン検出器は、次亜臭素酸等の活性ハロゲンの残留濃度を測定する。このように、残留ハロゲン検出器は、放流ゲートから放流口の手前の間に配置されることが好ましい。
残留ハロゲン検出器で検出した活性ハロゲン濃度がLC50値(例えば、BCDMHの場合には、活性塩素(Cl2)換算で、0.4mg/L)以上の場合には、LC50値以下になるように、望ましくはLC50値の1/2(例えば、BCDMHの場合には、活性塩素(Cl2)換算で0.2mg/L)以上の場合には、LC50値の1/2以下になるように、消毒剤又は消毒水の供給量を減らすか、もしくは一時的に遮断する。これにより、公共用水域中の水棲生物に与える悪影響を軽減することができる。
そして、これらの計測値及び大腸菌群数が所定の放流基準を満たしていることを確認して、河川等の公共水域19に放流される。
公共水域(public water)には、河川、湖沼、港湾、沿岸海域、公共溝渠、かんがい用水路、及び、その他の公共の用に供される水域または水路が含まれる。
図9の実施態様では、流路12にバイパス流路20が接続している。流路12に流れ込んだ雨天時下水道越流水の一部が、バイパス流路20に導入される。そして、この雨天時下水道越流水には、臭素系消毒剤が添加されて、消毒水に変換して、再び、流路12に戻される。
流路12には、汲み上げポンプ13が配置されている。流路12の雨天時下水道越流水の一部は、汲み上げポンプ13によってバイパス流路20に揚水される。
バイパス流路20には、自動スクリーン22、流量計23、消毒剤添加装置30、溶解装置40、ポンプ46がこの順序に配置されている。
消毒剤添加装置30は、固体臭素系消毒剤39を貯蔵するためのホッパー32と、固体臭素系消毒剤39を供給するための供給機34と、消毒剤をバイパス流路に排出するためのエジェクター36とを有する。
固体臭素系消毒剤が添加されたバイパス流路20内の雨天時下水道越流水は、溶解装置40に導かれる。溶解装置40は、固体の臭素系消毒剤を雨天時下水に溶解するものである。消毒剤が液体のときには、消毒剤を雨天時下水に混合するものである。装置40は、攪拌槽41aと貯留槽41bとに分かれた溶解槽を有する。もっとも、このように溶解槽を2槽に分ける必要はない。
攪拌槽41aには、水位計42及び排水を攪拌するための攪拌機44が設けられている。攪拌槽41a内の雨天時下水道越流水は、攪拌機44で攪拌され、雨天時下水道越流水中に固体の消毒剤を溶解して消毒水を形成することができる。貯留槽41aでオーバフローした消毒水が、貯留槽41bに移送される。
固体の消毒剤の溶解度が小さいときには、溶解装置40を設けることが好ましい。一方、固体の消毒剤の溶解度が大きいときには、流路中で速やかに消毒剤が溶解するので、必ずしも溶解装置は必要でない。
装置40で得られた消毒水は、好ましくは、ポンプ46により、流路47を通って雨天時下水道越流水の流路12に導かれる。
なお、雨天時下水道越流水の流路12或いは放流流路17に溜め部分を形成したり、或いは撹拌機や邪魔板を配置して、消毒水と雨天時下水道越流水との混合を促進させることができる。
また、雨天時下水道越流水の排除施設に沈砂池が配置されている場合には、沈砂池の流入部又は沈砂池の沈砂部に消毒水を導入してもよい。一般的な沈砂池の構成を図10に示す。沈砂池10は、流入部11と、沈砂部14a,b,cとに分かれる。
沈砂池10の流入部11に、汲み上げポンプ13を配置する。雨天時下水道越流水の流路12から沈砂池の流入部11に導入された雨天時下水道越流水の一部が、汲み上げポンプ13によってバイパス流路20に揚水される。一方、流入部11の雨天時下水道越流水の他の部分は、沈砂部14a、14b、14cに流入する。
バイパス流路20に導入された雨天時下水道越流水の一部は、図9に示す消毒剤供給装置、溶解装置によって消毒剤が溶解されて消毒水を形成し、この消毒水が、流路47を介して、沈砂池10に導かれる。消毒水は、直接、沈砂池10に導かれても良いし、図11に示されるように、分配槽48を介して、沈砂池10に導かれても良い。
即ち、図11では、流路47に、分配槽48が設けられている。図11では、説明の便宜上、沈砂池10の沈砂部14a、14b、14cを図示し、流入部11は省略されている。
消毒水は、沈砂池10の流入部11に導かれても良いし、図11に示されるように、沈砂池10の沈砂部14a、14b、14cの各々の上流に導入されてもよい。
図11に示されるように、消毒水が、沈砂池10の沈砂部14a、14b、14cの各々の上流に導入される場合には、分配槽48において、消毒水を沈砂部14a、14b、14cの各々に導かれる消毒水を予め分配することが好ましい。
沈砂部14a、14b、14cでは、雨天時下水道越流水中に含まれている砂が沈降して除去される。同時に、雨天時下水道越流水と消毒水とが混合し、雨天時下水道越流水が消毒される。消毒された雨天時下水道越流水は、ポンプ16によって放流水路17に誘導され、公共水域19に放流される。沈砂部14a、14b、14cでは、雨天時下水道越流水及び消毒水は、好ましくは、1秒〜30分滞留し、更に好ましくは、1秒〜15分滞留し、更になお好ましくは、1秒〜10分滞留する。
図12に、消毒水を雨天時下水道越流水に添加するための添加装置の一実施態様を示す。添加装置50は、水平方向に伸びる管52と、この管52に連通し、消毒水を雨天時下水道越流水に導入する導入部を有する。管52は、消毒水の供給流路に連流し、図示されていない支持体で支えられている。導入部の一実施態様は、例えば、管52から吊り下がる複数のホース54である。ホースの開口端56は、雨天時下水道越流水の水面下に位置することが好ましい。分配槽48から分配された消毒水は、消毒水の供給流路、管52、ホース54をこの順序に流れて、雨天時下水道越流水15に添加される。
ホース54の開口端56が雨天時下水道越流水15の水面上に位置するときには、ホースの開口端56から消毒水の飛沫が風等により、ミストを形成し、周囲の機器、特に電装機器を腐食させる危険がある。ホースの開口端56は雨天時下水道越流水15の水面下に配置されていることが好ましい。
管52は、消毒水で腐食されない材質であることが好ましく、例えば、インコネル等の金属材料、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック材料を用いることができる。管52は、ホースを支えるのに十分な機械強度を有することが好ましい。剛性であることが好ましいが、柔軟であってもよい。
各々の管52には、例えば、2〜20本、好ましくは、2〜10本、更に好ましくは、2〜6本のホースを吊り下げても良い。隣接する2本のホース間の間隔は、一定であることが好ましい。消毒水を排水に効率よく混合することができるからである。もっとも、隣接する2本のホース間の間隔が異なっていても良い。ホース54は、柔軟であることが好ましいが、剛性であってもよい。
なお、上記では、雨天時下水道越流水の一部を分岐して消毒剤溶解用の水として用いる例を示したが、水道水や雑用水などを消毒剤溶解用の水として用いることもできる。
本発明において、消毒剤の貯留・供給装置として採用することのできる他の形態を図13に示す。固体臭素系消毒剤の貯留・供給槽100は、筒型、例えば円筒型の貯留部101と供給部102とに分かれる。貯留部101の底部には、槽内の固体消毒剤を撹拌するための撹拌翼などの撹拌装置が備えられ、モーター104に接続して回転するようになっている。また、貯留部101には、空気源設備105から空気が供給される。供給部102から、所定量の固体消毒剤が排出されて、誘導管107を通って、薬品溶解部109の溶解コーン108に落下する。
図13に示す消毒剤貯留装置によれば、貯留部の形状を筒型、例えば円筒型にすると共に、撹拌翼による機械的撹拌と空気による撹拌によって、粉体の圧密とブリッジの形成を防止している。従来のホッパーのように、貯留部が逆円錐型であると、固体消毒剤によってブリッジが形成されて供給不良を起こしやすい。特に、本発明では、大量の降雨時の雨天時下水道越流水を消毒するということを目的としているので、固体の臭素系消毒剤を長期間貯留し、年に十数回〜数十回の大量の降雨時に速やかに雨天時下水道越流水に添加して消毒を行わなければならない。また、このような消毒剤の添加装置は、例えば、下水道の雨水吐き室やポンプ場などに設置され、無人状態で遠隔操作により作動させるため、長期間圧密やブリッジを形成しないで貯留・供給ができなければならない。更に、固体臭素系消毒剤は、他の固体粉体と比べて圧密やブリッジを起こしやすいという特性を有しており、圧密及びブリッジを防止することは、固体臭素系消毒剤をスムーズに供給するためには必須である。図13に示す消毒剤貯留装置100では、固体消毒剤を、撹拌翼103によって機械的に撹拌すると共に、空気源105からの空気を、槽100の底部の複数箇所に設けられた空気孔より噴出させることによって撹拌する。なお、空気源105からの空気の導入ラインには、除湿器を設置して、乾燥空気が貯留部101に供給されるようにすることが好ましい。撹拌用空気の湿度は、例えば圧力0.5MPaの際の露点が5℃以下とすることが好ましい。撹拌用空気を除湿することにより、加水分解による固体臭素系消毒剤の劣化を防止することができる。撹拌用空気の供給は、間欠的に行うことができる。撹拌用空気の供給量は、貯留部1m3に対して80NL/min程度にすることが好ましい。空気源105としては、常時0.5MPa以上の圧力が確保できる機器を用いることが好ましい。また、貯留部101内に連続的に乾燥空気を供給して内部を加圧状態とすることにより、供給部102からの固体消毒剤の排出を目づまりなく円滑に行うことができる。貯留部101内の空気は集塵装置106を通って排気される。
集塵装置106としては、バグフィルター、水洗塔、サイクロンなどを用いることができる。
固体消毒剤の貯留部101の形状は、円筒型が好ましいが、撹拌機や空気パージによる粉体流動機構を備えれば、円錐状や角型のものも用いることができる。また、貯留部での固体消毒剤の撹拌手段としては、上記の機械的撹拌、空気ブローによる撹拌の他に、容器自体を振動させる手法も採用できる。
固体消毒剤の貯留部101の具体的な構成例を図14を参照して説明する。
図14を参照して説明すると、固体消毒剤の貯留部は、固体消毒剤の貯槽100と、貯槽100内の粉体を所定の量計量して供給先に排出する定量供給機102とを備えている。貯槽100は支持フレーム112に取付けられ、定量供給機102は貯槽100の下面に取付けられている。
図15及び図16を参照して貯槽100について説明する。貯槽100は、円筒容器状に形成され、排出口124が形成された底板100a、固体消毒剤投入口126が設けられた天井板100b、及び円筒状の容器本体100cを備えている。投入口126から固体消毒剤が容器内に投入される。また底板100a上には、底板100aを貫通する駆動軸128を有し鉛直方向に延びる軸線115を中心に所定の方向Rに回転される粉体の攪拌手段である攪拌翼130を備えている。
容器本体100cは、その周縁の周方向に等間隔で8個所、攪拌翼130の近傍に開口する圧縮空気の噴射口である噴射ノズル132を備えている。底板100aには、軸線115の回りに等間隔で4個所攪拌翼130に向けて開口する噴射ノズル132を備えている。噴射ノズル132の各々には、圧縮空気源162の乾燥圧縮空気が、逆止弁164を介して供給される。圧縮空気は、その噴射量、噴射間隔などが自在に制御されて供給される。
逆止弁164は周知のものでよく、例えば弁体が弁座に対して垂直に移動するポペット弁、あるいは弁板が弁座に対しヒンジを中心に揺動開閉するスイングキャッチ弁などを用いることができる。そして粉体が圧縮空気源の方向に逆流するのを確実に止めるために、弁体あるいは弁板を周知の手段であるスプリング165などによって押さえ、圧縮空気が流されたときにのみ開弁するようにするとよい。
固体消毒剤投入口126には、その開口を閉じる、蓋部材、あるいは開閉自在なバタフライ弁などが取付けられる。また天井板100bには、集塵設備につながる集塵口100dが備えられている。容器本体100cの外周部には、貯槽100を支持フレーム12(図14)上に載置するためのブラケット100eが4個備えられている。
攪拌翼130は、軸線115を中心に容器本体100cの内周部まで放射状に反対方向に延びた一対の放射翼131、131を備えている。放射翼131の各々は、連通する上方に凸の中空三角断面を有し、半径方向先端部は回転方向Rの側に向けて曲げられ、また上方に突出されている。放射翼131には、その中空部に駆動軸128内を通して前述の逆止弁164を介した加圧空気が圧縮空気源162から供給され、三角断面の上端の稜線上及び回転方向R側の面には、その噴射口133が複数個形成されている。
図17及び図18を参照して定量供給機102について説明する。定量供給機102は、円筒状の容器本体134、容器本体134の底板136上に配設され底板136を貫通する駆動軸138を有して鉛直方向に延びる軸線115を中心に所定の回転方向RRに回転される回転テーブル140、及び回転テーブル140上に一体に備えられた攪拌手段である攪拌翼142を備えている。定量供給機102は、駆動軸138を回転駆動させる駆動源144を備えている。
容器本体134は、貯槽100の排出口124と実質的に同じ大きさの内径を有した円筒状を成し、底板136には供給口146が形成され、円筒の上端は取付フランジ147を有して開放されており、貯槽100の底板100aの排出口124の部分に取付けられる。
回転テーブル140は、計量手段としての上下及び半径方向外方が開口された計量室140aを、外周の周方向に複数個備えている。計量室140aの外方及び下方の開口は、容器本体134の周壁及び底板136によって実質上閉じられている。容器本体134内の粉体は、回転テーブル140を所定の方向RRに回転させると、順次に計量室140aに上側の開口から導入され、すり切り板140bの部分においてこの上側の開口も閉じられ、計量室140aに閉じ込められる。回転方向RRのすり切り板140bの中央においては、下側の開口は供給口146に開けられ、計量室140a内の粉体は放出される。したがって、計量室140aの容積及び回転テーブル40の回転数を規定することにより、所定の量の粉体が計量されて供給口146に排出される。
円筒状の容器本体134は、その周縁の3個所、攪拌翼142の近傍の下部に開口する圧縮空気の噴射口である噴射ノズル148を備えている。噴射ノズル148には、前述の貯槽100に備えられた噴射ノズル132と同様に、圧縮空気源162の乾燥圧縮空気が、噴射量、噴射間隔などを制御されて逆止弁164を介し供給される。
攪拌翼142は、軸線115を中心に容器本体134の内周部まで放射状に反対方向に延びる一対の放射翼143、143を備えている。放射翼143の各々は、連通し上方に凸の中空三角断面を有し、半径方向先端部は上方に突出されている。放射翼143には、その中空部に駆動軸138内を通して前述の逆止弁164を介した加圧空気が圧縮空気源162から供給され、三角断面の上端の稜線上及び回転方向RR側の面には、その噴射口150が複数個形成されている。
定量供給機102の供給口146には管部材107が接続されている。定量供給機102から供給された固体消毒剤は、管部材107の下方に配置された、排出した粉体を水に溶かす溶解手段である溶解コーン108に落下する。溶解コーン108からの溶解水は流水が圧送された管路20のエジェクタ109に流され、エジェクタ109の吸引作用によって吸引され、輸送管路47により目的の場所に送られる。
溶解コーン108においては、上方の拡がった漏斗状本体の上端部周縁の複数個のノズルから水が放出され、放出された水は漏斗状本体の内面に沿って渦巻状になって下方に流される。そしてこの流れの中に、管部材107から粉体を投入することにより、粉体は溶解される。もっとも、粉体の全てを水に溶解させる必要はなく、消毒水中に固体の消毒剤が残留していてもよい。
上記に説明した構成の固体消毒剤貯留・供給装置によれば、薬剤供給部と薬品溶解部の間に溶解コーンを設け、供給部で切り出した薬品は溶解コーンに落下する構造とした。この構造により、薬品溶解部と供給部とを切り離すことができ、消毒水が固体薬剤の貯留部に逆流することが防止できる。
薬品供給部としては、上記に説明したテーブルフィーダー方式のものの他に、スクリューフィーダー方式、ロータリーバルブ方式の供給装置を採用することができる。また、薬品溶解部としては、上記に説明した渦流式溶解コーンとエジェクタとの併用の他に、円形又は角形の滑り台給水方式や、単純槽と攪拌機とを組みあわせた形式や、ラインミキサーなどの形式のものを採用することができる。
また、貯留部101の消毒剤投入口126に、固体消毒剤のコンテナを接続できるような形態にすることもできる。図19によれば、固体消毒剤の貯槽101は、消毒剤投入口126において、固体消毒剤の収容された開閉自在な排出口184を有する複数個の容器であるコンテナ186(図示は1個)と排出口184を介して連結される(図19の状態)。
図20を参照してコンテナ186について説明する。コンテナ186は、排出口184が下端に形成された容器本体114と、排出口184に設けられ常時は排出口184を閉じている弁体であるコーン116と、コーン116に一端が連結され容器本体114内を上方に延びて他端が外方に突出した軸部材であるコーンロッド118とを備えている。排出口184は、コーンロッド118の突出端を把持してコーン116を操作することにより開閉される。コーンロッド118は、容器本体114内に配設されたばねを有する付勢手段120によって、コーン116を排出口184を閉じる方向に付勢されている。
容器本体114は、円筒状たて型の本体部114a、粉体の投入口114bを有した上蓋部114c、コーン116が当接し排出口184の形成された漏斗状の底部114d、及び底部114dの先端部に形成され貯槽101に挿脱自在に連結される円筒状のガイド部114eを備えている。本体部114aの下部外周には、保管、移動、貯槽101上への載置、などのためのフレーム14fが備えられている。
コーン116は、中空の円錐体状を成し、その底面の外周縁には排出口184に当接するシール材であるコーンシール117が取付けられ、頂部はコーンロッド118に連結されている。
コーンロッド118は、上蓋部114cに取付けられたシャフトガイド114gによって上下に摺動自在に案内されている。付勢手段120は、シャフトガイド114gとコーンロッド118のピン119との間に圧縮コイルばね121を備えている。圧縮コイルばね121の中をコーンロッド118が通されている。コーンロッド118の突出した上端には、弁開閉手段(弁開閉手段については後に述べる)によって解除自在に把持される円板状のフランジ部122が備えられている。
図21を参照して、上述のごとく構成された固体消毒剤供給設備の設置形態の一例について説明する。固体消毒剤の貯槽101及び定量供給機102のそばには、間隔を置いて、固体消毒剤を収容したコンテナ186が複数個、3段の棚156に、図20の紙面に垂直の方向に複数列、格納されている。貯槽101及び定量供給機102と棚156との間には、スタッカクレーン158が備えられ、スタッカクレーン158によって棚156のコンテナ186は必要に応じて適宜に出し入れされ、取り出されたコンテナ186は、貯槽101上に、排出口184のガイド部114eを貯槽の投入口126に挿入させ載置される。
載置されたコンテナ186の上方には弁開閉手段160が備えられている。弁開閉手段160は、空気圧シリンダによって水平方向に開閉されコンテナ186のコーンロッド118のフランジ122を着脱自在に把持すると共に、上下方向に移動させる空気圧シリンダを備え、コーンロッド118を動かしてコンテナ186の弁体であるコーン116を開閉する。
図22を参照して固体消毒剤を収容した容器の他の形態である、フレコンバッグ180を用いた実施形態について説明する。フレコンバッグ180は、柔軟な袋により形成された、粉体などを収容するのに用いられる周知のものである。フレコンバッグ180は、袋の下部にテープ、ロープなどにより開閉自在に縛られ閉じられる排出口180aを備え、上部には吊り下げ用のロープ180bを備えている。粉体の収容されたフレコンバッグ180は、格納場所において電動チェンブロック184を用いて吊り金具182により吊り下げられ移動され、貯槽101上に、排出口180aを固体消毒剤投入口126に挿入させて位置付けられる。そして、排出口180aをそれを閉じているテープ、ロープなどを解いて開け、固体消毒剤を貯槽101に充填する。
上述したとおりの固体消毒剤供給設備の作用について説明する。
(1)必要なときに必要量の固体消毒剤を供給できる:
固体消毒剤を複数個の容器である、コンテナ186あるいはフレコンバッグ180に分けて収容し、供給先の必要量に応じて容器を貯槽101に順次に連結し貯槽101内に粉体を充填し、充填された粉体を定量供給機102によって所定の量計量して供給先に供給するので、容器及び貯槽内に収容する粉体の量を少なくでき、圧密による粉体の固化を防止できる。また、貯槽101内に攪拌手段130、定量供給機102内に攪拌手段142を備えると共に、圧縮空気を定期的に貯槽101及び/又は定量供給機102内に、周壁、攪拌手段などから噴射するので、粉体の固化をさらに防止できる。したがって、必要なときに必要量の粉体を供給することができる。
(2)作業者などに粉体が触れない:
固体消毒剤を収容した容器である、コンテナ186あるいはフレコンバッグ180を、貯槽101上にその排出口を投入口126を介して連結して載置し固体消毒剤を貯槽101に充填するので、粉体の封入された袋を開封し粉体を貯槽101に充填するような作業は不要であり、作業者などに粉体の触れるのが防止される。
(3)逆止弁:
貯槽101及び定量供給機102内に、逆止弁164を介して圧縮空気を噴射するので、貯槽101及び定量供給機102内を加圧状態に維持することができ、供給口146からの粉体の排出をよりスムースに行える。
(4)定量供給機に連結した柔軟な管部材:
定量供給機102の粉体供給口146に連結した管部材107を、柔軟な塩化ビニルのごとき合成樹脂によって形成することにより、加圧された定量供給機102内の回転テーブル140の計量室140aが回転テーブル140の回転により固体消毒剤供給口146に間欠的に連通すると、管部材107に間欠的に加圧状態の固体消毒剤が排出されその作用によって管部材107は伸縮振動する。したがって、固体消毒剤が管部材107の中に閉塞されるのが防止される。管部材107として鋼管などを用いた場合に行われる閉塞を防止するための外部から打撃を与えることも不要になる。管部材107を透明なものにすれば、その中の粉体の状態が確認でき好都合である。
(5)溶解手段:
さらに、定量供給機102により計量され排出された固体消毒剤を、溶解手段である溶解コーン108を通して溶解水にして搬送するようにすれば、単に流水の圧送された輸送管路に粉体を投入し供給先に送るのに比べて、効率良く、効果的に送ることができる。
また、上記に説明の装置においては、下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができる。
(1)定量供給機の設置位置:
本実施の形態においては、定量供給機102は貯槽101外に取付けられているが、定量供給機102を貯槽101内に、例えば攪拌手段130と同一の軸線115上で駆動するように配設してもよい。
(2)逆止弁の設置位置:
本実施の形態においては、圧縮空気源162の圧縮空気を貯槽101及び定量供給機102の複数個の噴射ノズル132、148、噴射口133、150などに、共通の逆止弁164を介して供給したが、貯槽101、定量供給機102、攪拌翼130、攪拌翼142などの大きさ、形状、そして扱う固体消毒剤の種類、圧縮空気の供給間隔などに応じて、噴射ノズル、噴射口の部分に固体消毒剤が詰まらないように、逆止弁を噴射ノズル及び/又は噴射口の部分それぞれに備えてもよい。
固体消毒剤を水に溶解して消毒水を形成する溶解部の他の構成例を図23に示す。上記図13等で説明した固体消毒剤の貯槽101が、雨天時下水道越流水の流路12に設けられたピット210の上に設置されている。定量供給機102に接続した消毒剤誘導管107がピット210の中に向かって配置される。流路12内には、水中混合機202が取り付けられた水中エジェクタ201が設置される。流路12内の雨天時下水道越流水の一部がポンプ203によって揚水され、ストレーナ205で夾雑物を除去した後、配管207,208を通して、水中混合機202及び水中エジェクタ201に供給される。水中混合機202内に、上方の消毒剤誘導管107から落下する固体消毒剤が投入され、水中エジェクタ201内で水中に十分に混合されて消毒水が形成されて、放出口204から、被処理水、即ち雨天時下水道越流水中に投入される。なお、図23bは、図23aのA−A線を上から見た図であり、このように、放出口204を分岐させて配置することもできる。
このような構成とすることにより、装置の高さを低くすることができる。従来の固体消毒剤貯留・供給装置では、供給装置の下方に混合機が配置されるので、装置の高さがどうしても高くなってしまう。上記の構成とすることで、混合機が下水流路内に配置されるので、装置の高さが低くなる。実際には、従来の固体消毒剤貯留・供給装置では5.5m程度の高さであったものが、図23に示す構成では、装置高さを2〜3m程度にすることができる。装置の高さを低くできることで、装置を設置する際の制約がなくなる。このように固体消毒剤貯留槽の設置高さを低くすることができるので、貯留槽への固体消毒剤の補充をラインによって行う場合などに、動力を小さくすることができる。また、混合機への給水揚程が小さくなるため、給水のための動力を小さくすることができる。更に、従来の固体消毒剤貯留・供給装置では、消毒剤混合機及び消毒水投入装置が、雨天時下水道越流水流路の上部の地上に配置されているので、混合機から消毒水が溢れ出した場合、消毒水が周りに散乱してしまうが、図23に示す構成では、消毒剤の混合機が雨天時下水道越流水中に配置されるので、例えば消毒水排出管の目づまりなどによって混合機から消毒水が溢れだしても、処理対照の雨天時下水道越流水中に入るだけであり、周りを汚染することがない。
本発明において使用することのできる他の形態の固体臭素系消毒剤貯留・供給装置を図24に示す。図24に示す固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置は、上部に固体臭素系消毒剤投入口252を有する貯留槽250と、貯留槽250の下部の開口(固体臭素系消毒剤排出口)に取り付けられた固体臭素系消毒剤定量供給装置251とから構成される。貯留槽250は、例えば中央部が幅広の樽型の形状で、中心軸260が傾斜するように、フレーム257によって設置されており、モーター253によって軸260を中心として回転するように構成されている。貯留槽250の内壁には、撹拌用の邪魔板256を複数設置することが好ましい。貯留槽250の下部の開口(固体臭素系消毒剤排出口)には、スクリューフィーダー255が取り付けられていて、貯留槽250内に収容されている固体臭素系消毒剤は、モーター254によってフィーダー255を回転させることで、所定量が誘導管107を通って供給される。誘導管の下方に図13で示す溶解コーン108や、図23で示す水中混合機202などの固体消毒剤溶解装置を配置することができる。この方式の貯留槽によれば、固体臭素系消毒剤のような圧密しやすい粉体を、貯留槽の回転によって混合することでブリッジの防止を図ることができる。また、貯留槽の機高を低くすることができ、更に固体消毒剤撹拌用の空気が不要といった利点がある。
図25は、本発明において使用することのできる他の形態の固体臭素系消毒剤貯留・供給装置を示す図である。図25に示す装置においては、固体臭素系消毒剤貯留槽310の底部の排出口に、流体・粉体移送用一軸ねじ式ポンプ312が接続されている。一軸ねじ式ポンプ312のスクリュー部をモーター314によって回転させることにより、貯留槽310内の固体臭素系消毒剤を強制的に吸引して、水平方向に移送することができる。一軸ねじ式ポンプ312の終端部には固体臭素系消毒剤の誘導管107が接続されている。誘導管の下方に図13で示す溶解コーン108や、図23で示す水中混合機202などの固体消毒剤溶解装置を配置することができる。この方法によれば、薬品貯槽の直下部に固体臭素系消毒剤の溶解装置を設置する必要がなくなるため、設備の高さを低くすることができる。また、薬品供給設備の付近に、固体臭素系消毒剤溶解用の多量の溶解水を配置・誘導する必要がなくなるので、プラント全体としての工事費を削減することができ、また設置条件が緩和される。この目的で使用することのできる流体・粉体移送用一軸ねじ式ポンプとしては、例えば、英国Mono Pump Ltd.社のモノポンプなどを用いることができる。また、かかる装置は、固体臭素系消毒剤貯留・供給装置としての用途の固体臭素系消毒剤の貯留槽に固体臭素系消毒剤を補充するための移送手段としても用いることができる。なお、図25に示す固体臭素系消毒剤貯留槽310は、所謂ホッパー型であるが、底面に機械的撹拌装置やエアパージなどの圧密・ブリッジ防止機構311が設置されており、この機構によってブリッジの形成などを防止している。勿論、例えば、図13、図15、図24などに示す貯留槽を用いることもできる。
流体・粉体移送用一軸ねじ式ポンプを用いた固体臭素系消毒剤貯留・供給装置の他の例を図26に示す。固体臭素系消毒剤貯留槽310と一軸ねじ式ポンプ312の構成は、図25に示す構成と同様である。図26に示すシステムにおいては、更に、別の一軸ねじ式ポンプ320を配置し、この導入口322に固体臭素系消毒剤を溶解するための溶解用水を導入する。一軸ねじ式ポンプ312のスクリュー部をモーター321によって回転させることによって溶解用水が移送されて、配管324を通って、導入口325より、固体臭素系消毒剤が移送されている一軸ねじ式ポンプ312に導入される。好ましくは、一軸ねじ式ポンプ312内で混合された溶解用水と固体臭素系消毒剤は、次に乳化分散機326に導入され、モーター327によって乳化分散機326を運転することにより、固体臭素系消毒剤のスラリーが形成され、誘導管328を通って移送される。誘導管328内を移送される固体臭素系消毒剤のスラリーは、そのまま、処理対象の雨天時下水道越流水中に投入することができる。乳化分散機326としては、例えば、グラインダ様の形状を持つ乳化ポンプなどを用いることができる。このように、固体臭素系消毒剤を水中でスラリー状に分散させてこれを処理対象の雨天時下水道越流水に投入することにより、水に溶解しにくい固体臭素系消毒剤をある程度の濃度の水スラリーとして投入点まで移送し、速やかに処理対象の雨天時下水道越流水中に分散させて溶解させることが可能である。
このように一軸ねじ式ポンプを二つ組みあわせることで、例えば、固体臭素系消毒剤移送用の一軸ねじ式ポンプ312の能力を給水用の一軸ねじ式ポンプ320の能力よりも大きくすることにより、貯槽310内の薬品を強制的に一軸ねじ式ポンプ312内に吸い込ませることができる。従って、固体臭素系消毒剤移送用の一軸ねじ式ポンプと給水用一軸ねじ式ポンプの能力を適当に調整することによって、薬剤の供給量を微妙に調節することができる。
上記に説明の雨天時下水道越流水の消毒装置は、固体の臭素系消毒剤をまず水、例えば処理対象の雨天時下水道越流水の一部を分取したものに混合・溶解して消毒水を形成し、これを雨天時下水道越流水に投入して消毒を行うというものである。しかしながら、本発明の他の態様においては、固体の臭素系消毒剤を固体のまま処理対象の雨天時下水道越流水に注入・溶解して消毒処理を行うこともできる。
図27に、固体臭素系消毒剤を固体のまま処理対象の雨天時下水道越流水に投入する本発明の一態様に係る消毒装置の一具体例を示す。消毒剤貯留槽401には、粉末状又は顆粒状の固体臭素系消毒剤408が収容されている。消毒剤408は、バルブ404を開放することにより、消毒剤切り出し装置402と計量装置403とを介して、消毒剤移送配管405に送られる。消毒剤移送配管405の末端は消毒剤注入装置409に接続され、ここで消毒剤408が消毒対象の雨天時下水道越流水412に加えられる。図27に示す消毒装置においては、消毒剤注入装置409は、モータ406に接続した撹拌翼407が取り付けられており、この撹拌翼407の作用により、粉末状又は顆粒状の固体臭素系消毒剤408が被処理対象水中に溶解される。
なお、消毒剤注入装置409は、好ましくは、消毒対象の被処理水の噴流を生起せしめる手段を有していて、生起せしめられた噴流の作用によって消毒剤注入装置内が減圧状態となり、この減圧により発生する吸引力によって粉末状又は顆粒状の固体臭素系消毒剤が移送せしめられるような構造を有していることが好ましい。このような構造の幾つかの具体例を図28〜図30に示す。
図28に示す消毒剤注入装置409は、モータ406と撹拌翼407とを接続するシャフトの周りを囲む細管424と、細管424の終端部付近を囲むカバー421から構成されている。細管424の終端部は被処理水412中に配置されており、細管の上部には消毒剤移送配管405が接続されている。モータ406により撹拌翼407を回転させることによって、カバー内に水流が発生し、細管の終端部の近傍で噴流422が生じる。この噴流によって細管424内が減圧状態となり、これによって生じる吸引力により粉末状又は顆粒状の固体臭素系消毒剤423が細管424の終端部に向かって空気移送される。移送された消毒剤423は、水流422に加えられ、撹拌翼407によって消毒対象水と混合される。
また、図29に示す消毒剤注入装置409は、雨天時下水道越流水を流す流路内に、オリフィスを形成する板状部材431が配置されている。そして、オリフィスの出口近傍に消毒剤移送配管405が接続されている。排水の水流がオリフィスを通過することによって噴流432が生起し、この噴流により消毒剤移送配管405の末端付近が減圧状態となり、これによって生じる吸引力により粉末状又は顆粒状の消毒剤433が噴流に向かって移送され、噴流の撹拌作用によって排水と混合される。
更に、図30に示す消毒剤注入装置409は、雨天時下水道越流水の水流412中にポンプ441が配置され、これから排水が配管443内に導入され、エジェクタ442を通て再び水流412に戻される。そして、消毒剤移送配管405がエジェクタ442に接続されている。エジェクタ442によって噴流が発生せしめられて、消毒剤移送配管405の末端付近が減圧状態となり、これによって生じる吸引力により粉末状又は顆粒状の消毒剤が配管443に向かって移送され、噴流の撹拌作用によって排水と混合される。消毒剤注入装置内を減圧状態にするための手段としては、上記の構成の他に、消毒剤注入装置409の近傍に吸引機を設置することもできる。
このように、固体の臭素系消毒剤を固体のまま直接処理対象の雨天時下水道越流水に投入して混合することにより、以下のような利点が得られる。
まず、消毒剤を予め水に溶解又は懸濁してから消毒対象水に注入する方法で必要な消毒剤を溶解する為の設備、即ち溶解槽、撹拌装置、イジェクタなどが不要であり、設備コストが低くなる。更に、水に溶解又は懸濁した後の消毒水を消毒対象水への注入点まで圧送するための設備、即ち移送ポンプ、イジェクタなども不要である。また、スラリー状の消毒液を消毒対象水に注入する場合には、消毒剤が溶解槽内に不均一に分布することを防止するために、溶解槽での十分な撹拌を継続しなければならないが、固体の臭素系消毒剤を固体のまま直接処理対象の雨天時下水道越流水に投入して混合することにより、この操作も不要となる。更に、溶液又はスラリー状の消毒剤が配管内に堆積して閉塞することもない。
特に、雨天時下水道越流水の消毒を消毒液の注入によって行う場合には、消毒液の必要注入量は、降雨状態によって左右され、大きく変動するために、雨天時下水の確実な消毒処理を行うためには、常に必要注入量以上の消毒液を準備しておく必要がある。しかしながら、一旦水に溶解した消毒剤は、固体状態に比べて消毒活性の低下が著しく、消毒剤を溶液状態で保管することは困難である。従って、必要注入量以上に調製した溶液は廃棄せざるを得ず、運転コストの増大及び資源の無駄につながる。しかしながら、固体の臭素系消毒剤を固体のまま直接処理対象の雨天時下水道越流水に投入して混合するという手法を採用することにより、必要量のみを必要時に貯留槽から排出するので、消毒剤の注入量を適切に制御することが可能であり、注入が終了した時点で無駄になる消毒剤溶解液が生じない。更に、消毒剤を溶解する水を予め確保することが困難な設備においても、確実な消毒処理を行うことが可能である。更に消毒剤注入量の制御が容易であり、過剰注入や注入不足の危険性が低くなる。更には、消毒剤注入装置において噴流を生起せしめる構造を採用することにより、消毒剤移送配管内を減圧状態として粉末状又は顆粒状の消毒剤を移送することで、移送配管中に破損が生じても、消毒剤が破損部分から吹き出すことがない。
上記に説明の形態は、固体臭素系消毒剤を固体のまま処理対象の雨天時下水道越流水に投入・混合することで雨天時下水道越流水の消毒を行うというものであるが、雨天時下水道越流水に固体臭素系消毒剤を投入して消毒処理を行うためには、消毒剤と処理対象の雨天時下水道越流水との混合操作を消毒剤の注入点で行う必要性は必ずしもない。
混合操作の目的の第一は、固体の消毒剤を被処理水中に溶解することである。消毒剤が固体のままでは、消毒剤と被処理水との接触効率が低く、消毒速度の低下を招く。消毒剤を溶解することによって、消毒剤と被処理水との接触効率が向上して消毒速度が速まる。雨天時下水道越流水が公共水域に放流されるまでの時間に制約がある場合には、十分な消毒効果を得るために、消毒速度を速めることが重要となる。
混合操作の目的の第二は、消毒剤を被処理水中に均一に拡散させることである。消毒対象とする被処理水の全体に消毒剤を均一に行き渡らせなければ、消毒剤濃度が高い箇所では過剰添加となって消毒剤が無駄になるばかりでなく、公共水域に高濃度の残留ハロゲンが放流される可能性がある。一方、消毒剤濃度が低い箇所では、添加不足になって十分な消毒が行われないことになる。消毒剤を被処理水中に均一に拡散させて消毒剤濃度を均等にすることによって、過不足のない消毒剤の添加が可能になる。
混合操作の目的の第三は、消毒剤を被処理水中に溶解・拡散させることによって、雨天時下水道越流水が公共水域に到る迄の間に、残留ハロゲンを一定値以下の濃度にまで低減することである。消毒剤が固体のままで、或いは溶解した消毒剤が不均一で高濃度のままで公共水域に流出すると、局所的に高濃度の残留ハロゲンを放流することになり、放流先の生態系に悪影響を与える可能性がある。これを防ぐためには、雨天時下水道越流水が公共水域に到るまでの間に、消毒剤が完全に溶解し、更に溶解後に残留ハロゲンが低減するだけの時間が必要である。このため、消毒剤を混合することによって溶解・拡散させることが重要である。
ところで、ハロゲン系消毒剤がその消毒能力(酸化力)によって消毒を行い、酸化反応の終了によって酸化力が消失するまでに要する時間は、溶解に要する時間に比べて十分に短い。例えば、ハロゲン系消毒剤として1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)を用いて、有効ハロゲン濃度が2mg/L as Cl程度で消毒処理を行う場合、消毒剤の酸化力の消失は、有効ハロゲン濃度が0.5mg/L as Cl以下に低減したことを指標とすることができる。消毒剤の添加量が10mg/L as Clの場合、被処理水中に消毒剤が溶解するのに要する時間が1分程度であるのに対して、有効ハロゲン濃度が2mg/L as Clから0.5mg/L as Clに低下するのに要する時間は10〜30秒程度である。この時間に幅があるのは、被処理水、即ち雨天時下水道越流水中の有機物質濃度による影響を受けるためである。したがって、消毒剤を少しづつ溶解して、完全に溶解してから更に30秒程度の時間を確保することで、十分な消毒効果と、放流水の残留ハロゲン濃度の低減の両方を図ることができる。
このことを、図31に模式的に示す。図31は、固体の消毒剤を固体のままで被処理水中に投入した場合の、未溶解の消毒剤の残存率、残留ハロゲン濃度、及び大腸菌群の時間経過を示す。時間経過と共に消毒剤が溶解するので、未溶解の消毒剤の量は低減し、残留ハロゲン濃度は上昇する。しかしながら、残留ハロゲン濃度は、消毒反応などの酸化反応に伴ってハロゲンが消費されて減少するので、消毒剤の溶解による増加分と酸化反応による消費に伴う減少分とが相殺し、増加し続けることはなく、ある存在量で推移することになる。そして、未溶解の消毒剤がなくなった後に、残留ハロゲン濃度は急激に減少する。この間の大腸菌群は、常に供給される酸化力に曝露されるために、残留ハロゲンが枯渇するまで低減し続ける。
したがって、本発明の他の態様によれば、固体臭素系消毒剤を、固体のまま処理対象の雨天時下水道越流水に投入し、消毒剤が添加位置から公共水域に到達するまでの間に完全に溶解するようにして、雨天時下水道越流水の消毒を行うことができる。
図32にかかる技術思想に基づいた本発明の他の態様にかかる雨天時下水道越流水の消毒装置の概念を示す。図32において、501は消毒剤貯留装置であり、その中に固体臭素系消毒剤502が貯留されている。固体臭素系消毒剤は、注入量制御装置503によって計量され、消毒剤移送配管504を経由して、雨天時下水道越流水の流路505に設けられた消毒剤添加位置506まで移送され、消毒対象の雨天時下水道越流水507に添加される。消毒剤が添加された雨天時下水道越流水は、消毒剤添加位置506から雨天時下水道越流水放流口508までの流路507を一定時間をかけて流下した後に、放流口508から河川などの公共水域509に放流される。
好ましい態様においては、放流口508に到達するまでの時間として、消毒剤添加位置506で消毒剤が添加されてから少なくとも2分間、更に消毒剤が完全に溶解してから少なくとも1分間を確保することが好ましい。このことによって、消毒剤は、流路507を流下しながら、水流によって雨天時下水道越流水中に溶解し且つ拡散する。消毒剤は、溶解したものから順次消毒能力(酸化力)を発現して消毒反応を行い、酸化反応によって消毒能力(酸化力)が消失する。よって、固体の臭素系消毒剤が流路507を流下しながら水流によって雨天時下水道越流水中に溶解することにより、少しずつ一定時間にわたって消毒力(酸化力)を供給し続けることになる。供給された消毒能力は、逐次酸化反応によって消費されて消失するため、放流口508においては、残留ハロゲンが高濃度に残留することがない。
図33は、消毒剤を添加した後の雨天時下水道越流水の流路507の形状を変化させた形態を示す。消毒剤の添加位置506から放流口508までの時間を確保するために、流路507を迂流式水路507aとしている。なお、迂流式水路507aを同一容量の槽とすることも可能であるが、その場合には、槽内での短絡流を防止して流れを押し出し流れに近づけるために、槽内に仕切板を配置することが好ましい。なお、迂流式水路は、水平迂流式、上下迂流式のいずれでもよい。
図34は別の形態例を示す。この例では、流路の途中に脱ハロゲン剤添加装置510を設置している。消毒剤が過剰添加された場合に、放流口508に達するまでに残留ハロゲンが十分に低下しない場合があり得る。このような場合に備えて、脱ハロゲン剤添加装置510から亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加して、残留ハロゲンを中和する。脱ハロゲン剤添加装置509からの還元剤の添加位置は、迂流式水路507aの途中でもよいし、迂流式水路7aの下流でもよい。
図35は、更に別の形態例を示す。この例では、消毒剤を添加した後の雨天時下水道越流水の流路を、スタティックミキサ507bによって構成した。流路を長くしなくても放流口508までの時間を確保することが可能な場合、スタティックミキサ507bによって水流による溶解・混合を促進することで、消毒効果をより高めることができる。
更に図36は、更に別の形態例を示す。例えば合流式下水道の雨水吐き室やポンプ場などの雨天時下水道越流水排除施設511からの雨天時下水道越流水に対して消毒剤の添加を行う場合には、放流口508に達するまでの十分な時間を確保できないことがある。この場合に、雨天時下水道越流水排除施設511の上流の下水道管渠513に注入点514を設けて、ここに固体臭素系消毒剤を添加することで、消毒剤が被処理水に添加されてから放流口に達するまでの時間を確保する。但し、この場合には、消毒剤が添加された下水の一部が下水処理場512に流入することになる。そこで、消毒剤が添加された下水が下水処理場512に達する迄に残留ハロゲン濃度が低減しない場合には、その途中に脱ハロゲン剤添加装置510を設置して、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加することにより、残留ハロゲンの中和を行うことができる。
固体の臭素系消毒剤を固体のままで処理対象の雨天時下水道越流水に投入して消毒を行う方式の消毒装置の他の構成例を図37に示す。消毒剤貯留槽551には、粉末状又は顆粒状の固体の臭素系消毒剤559が収容されている。消毒剤559は、注入量制御装置558が接続された注入装置552で計量され、消毒剤移送配管553を介して、流路557内の雨天時下水道越流水に投入され、消毒がされた後、放流口508より公共水域に放流される。
図38に他の構成例を示す。消毒剤貯留槽551には、粉末状又は顆粒状の固体の臭素系消毒剤559が収容されている。消毒剤559は、注入量制御装置558が接続された注入装置552で計量され、消毒剤移送配管553に送られる。消毒剤移送配管553の末端は、消毒剤混合装置554に接続されており、消毒剤混合装置554に供給された消毒剤559は、混合装置554内で、流路557を流れる雨天時下水道越流水に投入され、混合される。また、貯留槽551と注入量制御装置552には、乾燥空気供給装置555から乾燥空気が注入される。これにより、貯留槽551と注入量制御装置552の内部を常に乾燥状態且つ加圧状態に保つことができる。更に、貯留槽551及び注入量制御装置552の内部の気圧を一定の加圧状態に保つために、乾燥空気供給装置555と貯留槽551及び注入量制御装置552との間に圧力調整装置560を配置することができる。貯留槽551及び注入量制御装置552からの排気は、除塵装置556によって排気中の消毒剤を除去した後に大気中に排出する。消毒剤混合装置554から排出された消毒処理水に対して、還元剤添加混合装置561によって還元剤を添加して、残留ハロゲンの中和処理を行ってから放流口508から放流することもできる。消毒剤混合装置554としては、消毒剤を消毒対象水と消毒可能な状態まで混合する機能を有する装置であればよい。例えば、迂流壁を有する水路、管路又は槽、気体供給機と連結する散気装置、超音波発生装置、回転翼を有する撹拌装置、レジューサ若しくはポンプなどを用いることができる。
次に、本発明において固体臭素系消毒剤の注入量を制御する方法について説明する。固体臭素系消毒剤などのハロゲン系消毒剤の使用量は少ない方が環境や人類に与える影響が少なく、好ましいことは言うまでもない。しかしながらこれまでは、安全対策上の見地から、病原菌の十分な消毒効果を達成・維持するために、本来必要である消毒剤有効成分濃度を越える過剰な消毒剤を用いてきたのが実情である。
しかし、公共水域に放流される消毒処理後の排水中の残留ハロゲン濃度が高すぎる場合には、公共水域及びその周辺に生育する水棲生物や動植物などの生態系に悪影響を及ぼすことが明らかになるにつれ、適正な消毒剤濃度を排水に添加することが必要であるとの認識を有するに至った。
ところで、本発明が処理対象とする雨天時下水道越流水は、非常に短時間で水質が激しく変動するので、適正な消毒剤濃度を決定することが非常に困難である。すなわち、雨天時下水道越流水の水質は、降雨の状況により瞬時に大きく変動し、汚水濃度が高く且つ還元性の有機物濃度及び/又は無機物濃度が高い場合と、雨水による希釈が進んで汚水濃度が低下し且つ還元性の有機物濃度及び/又は無機物濃度が低下した場合では、消毒剤の必要量が大きく異なり、水質変動に応じた適切な最少量の消毒剤の添加を行うことが困難である、という問題がある。
そこで、本発明においては、排水の水質変動に応じて、適正な消毒効果を発揮し且つ残留ハロゲンを発生させないような消毒剤の適正量を求め、この最少必要量の消毒剤を被処理液中に添加することができる。
以下に、本発明において消毒剤の注入量を制御する一つの方法の技術思想を具体例に基づいて説明する。以下の説明は、一具体例を挙げて説明しているもので、本発明はこの記載に限定されるものではない。まず、既設の下水処理施設において、降雨時の種々の時点における合流式下水道越流水を採水してビーカにとり、消毒剤としてBCDMHを用い、消毒剤添加量を3ppm(=mg/L)としてビーカに加えて、90秒間消毒処理を行った。降雨開始後の経過時間と消毒処理後の処理水中の大腸菌群数との関係を求めた。結果を図39に示す。
図39から、降雨後30分経過(A時点)では消毒処理後の大腸菌群数が9000CFU/mL、降雨後45分経過(B時点)では消毒処理後の大腸菌群数が4700CFU/mLであり、いずれも消毒目標値(水質汚濁防止法に定める放流基準値:3000CFU/mL以下)を満足しない。降雨後1時間30分経過(C時点)で消毒後の大腸菌群数は10CFU/mL未満となり、消毒目標値以下になったことが分かる。これは、降雨の継続に従って雨天時下水の性状が変化することにより、同じ消毒剤添加量(3ppm)であっても消毒効果が異なり、消毒剤過剰又は消毒剤過小の状態が生じることを示している。即ち、降雨開始直後は、下水中の大腸菌群が高い濃度で流出するため、これを十分に消毒処理するためには多量の消毒剤が必要となるが、降雨開始からある程度時間が経過した時点では、雨水によって汚水が希釈されて排水中の大腸菌群数が減少するため、消毒処理に必要な消毒剤の量が少なくなる。
次に、降雨開始から0.5時間経過後(図39のA点)の合流式下水道越流水を採水したものをビーカにとり、BCDMHを種々の添加率で加えて90秒間消毒処理を行い、処理水中の大腸菌群数を計測した。結果を図40に示す。BCDMH添加率が2ppmでは、消毒処理後の大腸菌群数は104CFU/mL以上であり、消毒目標値である3000CFU/mLを満足しない。処理水中の消毒処理後の大腸菌群数は、BCDMH添加率が4ppmでは3000CFU/mLを僅かに超える程度となり、BCDMH添加率が6ppmでは100CFU/mL以下となり、消毒目標値を大きく下回った。以上のことから、この時点の下水道越流水の消毒には、4.2〜4.3ppm程度の添加率でBCDMHを加えることが必要なことが分かる。
更に、降雨開始から45分経過後(図39のB点)及び1.5時間経過後(図39のC点)についても同様に、BCDMH添加率と、90秒消毒処理後の大腸菌群数との関係を調べ、結果を図41及び図42に示した。これらの図より、B点(降雨45分経過後)では、下水道越流水の消毒に必要なBCDMH添加率は3.5〜3.6ppm程度、C点(降雨1.5時間経過後)では、下水道越流水の消毒に必要なBCDMH添加率は1.6〜1.7ppm程度であることが分かる。
次に、図39でのA点(降雨後30分経過)、B点(降雨後45分経過)及びC点(降雨後1.5時間経過)での合流式下水道越流水を採水したものをビーカにとり、BCDMHを図39の実験と同じ添加率3ppmで加え、BCDMH添加後の経過時間と処理水中の残留ハロゲン濃度との関係を調べた。結果を図43に示す。A点(降雨後30分経過)では、消毒剤添加直後ですでに残留ハロゲン濃度は0.1mg/L asCl2未満であり、図39の結果と併せて考えると、BCDMH添加率3ppmでは被処理液の消毒効果は充分でないといえる。B点(降雨後45分経過)では、消毒剤添加後約20秒で残留ハロゲン濃度が約0.1mg/L as Cl2であり、100秒でほぼ0mg/L as Cl2に近いことがわかる。図39の結果(消毒時間90秒で大腸菌群数が4700CFU/mL)と併せて考えると、B時点での消毒剤添加量3ppmは、必要量よりも未だ若干少ないといえる。また、C時点では、消毒剤添加後約20秒では残留ハロゲン濃度が0.3mg/L as Cl2強と高く、約150秒まで徐々に低下するが、約150秒以降は約0.1mg/L as Cl2強で安定(消毒作用の飽和)している。これより、C時点(降雨後1.5時間)での消毒剤の添加量3ppmは過剰で、消毒処理後に残留ハロゲンが残存してしまったことがわかる。
これらの結果を踏まえて、当該下水処理施設の雨天時下水の処理においては、消毒剤処理後の残留ハロゲン濃度を、消毒目標値を確実に達成するための多少の余裕を見て、図43でのB線とC線のほぼ中間地点に設定すればよい。即ち、図43から、BCDMH添加後20秒の時点で残留ハロゲン濃度を0.2mg/L as Cl2に設定すればよい。実際の消毒処理に当たっては、定期的に排水のサンプルを採り、所定濃度の消毒剤を入れて残留ハロゲン濃度の減少程度を測定する。これが上記で設定した設定値(上記の場合には消毒剤添加後20秒で残留ハロゲン濃度0.2mg/L as Cl2)よりも高い場合には、排水への消毒剤の投入量を排水サンプルに投入した濃度よりも低い値に調整し、逆に残留ハロゲン濃度の減少程度が設定値よりも低い場合には消毒剤投入量を排水サンプルに投入した濃度よりも高い値に調整する。この作業を定期的に繰り返して、排水への消毒剤の投入量を経時的に制御することにより、消毒剤投入量を、充分な消毒効果が得られ且つ残留ハロゲンが生じない最適値に維持することが可能になる。なお、サンプルに投入する消毒剤の濃度は、その時点で排水中にに実際に投入している濃度とすることが好ましい。このようにすれば、消毒剤投入濃度の大きな変動を防ぐことができ、より緻密な制御が可能となるからである。また、サンプルにおいて測定された残留ハロゲン濃度の減少程度と設定値との差から、実際に排水中に投入する濃度をどの程度増減させればよいかについては、当業者が経験的に決定することができる。
なお、図39、図43の曲線は、対象となる下水処理設備が同じであれば、多少の変動はあるがほぼ同様の傾向を示す。したがって、処理対象の下水処理設備において、図39、図43のようなグラフを作成して残留ハロゲン濃度の減少程度の目標値を設定すれば、以降の降雨時には、この設定値に基づいて雨天時下水に対する消毒剤添加量の制御を行うことができる。
この技術思想に基づいて構成した本発明の一態様に係る雨天時下水道越流水の消毒装置の構成例を図44に示す。
図44に示す消毒装置は、被処理液(雨天時下水道越流水)601の導入ライン602と、消毒槽(沈砂池)603と、被処理液に消毒剤を導入するための消毒剤導入手段604とを備える。消毒剤導入手段としては、上述の種々の形態の消毒剤供給装置を用いることができる。消毒剤導入手段604は、消毒槽603の上流のライン602中に導入してもよいし、或いは消毒槽603に直接投入してもよい。上記に説明したように、消毒槽(沈砂池)603を設けずに雨天時下水道越流水の流路中に消毒剤を投入してもよい。また、被処理液導入ライン602の途中に、試験用の被処理液サンプルを採取するための分取ライン612が接続されている。分取ライン612には、揚水ポンプ616が接続されている。
本発明による消毒方法を実施するためには、まず、準備段階として、処理対象となる雨天時下水道越流水排除施設において、降雨時に、降雨開始から種々の時間が経過した後の複数の越流水サンプルを採取して、これに適当量の消毒剤を加えて消毒後の大腸菌群数を測定することによって、降雨後の経過時間と消毒後の大腸菌群数との関係(図39のグラフ)と、消毒剤添加後の経過時間と被処理水の残留ハロゲン濃度との関係(図43のグラフ)を作成して、これらの関係から、目標とすべき残留ハロゲン減少程度の値を設定しておく。例えば、図39及び図43に示す関係が得られた場合には、上記に説明したように、消毒剤添加後20秒で残留ハロゲン濃度0.2mg/L as Cl2という目標値が設定される。
雨天時下水道越流水の消毒は、消毒剤導入手段604から適当量の消毒剤を投入して、消毒槽603で処理することによって行うが、本発明方法においては、消毒剤を添加する前の被処理液を、周期的にライン612よりサンプリングする。サンプリングされた被処理液は、モニタリング槽613に収容され、ここで所定量の濃度の消毒剤614が添加され、撹拌機(図示せず)によって混合撹拌される。モニタリング槽に加える消毒剤の濃度は、緻密な濃度制御を可能にするためには、その時点で消毒剤導入手段604によって被処理液中に実際に供給されている消毒剤の濃度とすることが好ましい。モニタリング槽613には、被処理液中の残留ハロゲン濃度を測定する測定器615が接続されており、消毒剤添加後の残留ハロゲン濃度の数値を継時的に測定する。この目的で用いることのできる残留ハロゲン濃度測定器としては、例えば、ポーラログラフ方式による遊離塩素計(例えば、東亜ディーケーケー(株)製造の製品名CLM−37又はCLM−22)などを挙げることができる。測定された残留ハロゲン濃度値は記録計618によって記録される。そして、当該雨天時下水道越流水排除施設に関して、予め設定されている目標値と、モニタリング槽613において測定された値とを比較する。例えば、当該下水処理設備に関して図39及び図43のグラフが得られている場合には、設定値は消毒剤添加後20秒で残留ハロゲン濃度が0.2mg/L as Cl2という値であるので、モニタリング槽613で消毒剤が添加された被処理水サンプルの、消毒剤添加後20秒における残留ハロゲン濃度を測定する。そして、この値が設定値である0.2mg/L as Cl2よりも高い場合には、消毒剤導入手段604から投入する消毒剤の濃度を減少させ、逆に0.2mg/L as Cl2よりも低い場合には、消毒剤導入手段604から投入する消毒剤の濃度を増加させる。この消毒剤投入濃度の制御は、予め設定した残留ハロゲン濃度減少程度の目標値を入力したコンピュータ(図示せず)に、残留ハロゲン濃度測定器615での測定値を通信ライン604を通してインプットし、設定値と測定値との比較結果に応じて投入消毒剤量を制御する自動制御装置(図示せず)を用いることにより、自動的に行うことができる。残留ハロゲン濃度減少程度の測定が完了した被処理水サンプルは、戻しライン617を介して被処理液導入ライン602に戻し、被処理液と共に消毒槽603に導入する。消毒槽603では、消毒剤が加えられた被処理液が短い場合には1分以内、長い場合には10分以内滞留されて、消毒剤との反応が進められる。消毒処理が行われた被処理水は、ポンプ606により揚水されて、排水路607を介して、公共水域608に放流される。
なお、被処理液サンプルは、消毒剤投入位置よりも上流から採取することが好ましい。消毒剤投入位置よりも下流からサンプルを採取する、即ち消毒剤が添加されている被処理液をサンプルとして採取すると、消毒途中のある時点での残留ハロゲン濃度を測定することになるが、図43に示したように、残留ハロゲン濃度は消毒剤添加後の経過時間に極めて敏感に依存して変化するので、これでは適切な制御はできないからである。
この態様によれば、上記のモニタリング操作を、定期的、例えば1分〜60分毎、好ましくは5分〜20分毎に行い、その結果に応じて消毒剤の添加濃度を調整する。これによって、特に時間の経過によってその性状が大きく変動する雨天時越流水の消毒処理に際して、充分な消毒効果を与えると共に、残留ハロゲンを公共用水域に放出することのない、適切な消毒剤添加濃度を維持することが可能になる。
なお、雨天時下水道越流水の消毒においては、消毒剤の添加量は、消毒剤の種類や越流水の性状などによっても変化するが、一般に1〜10mg/L(ppm)、好ましくは2〜6mg/Lであり、本発明においても、この範囲内で消毒剤添加量を制御することが好ましい。
上述したように、消毒槽603は、特別な反応槽でなくても、雨天時下水道越流水の流路であってもよく、固体臭素系消毒剤による消毒に必要な接触時間を取れればよい。ここで、固体臭素系消毒剤による消毒に必要な接触時間とは、処理対象の雨天時下水道越流水の最大越流量を設定し、少なくとも20秒、できれば30秒、更に好ましくは60秒とすればよい。また、処理対象の雨天時下水道越流水の最大越流量の設定方法は、次のようにするのが合理的である。下水道において越流水が生じるのは、合流式下水道における大量の雨天時、若しくは分流式下水道における不明水やマンホール等から雨水が大量に混入した場合である。下水道への雨水の流入は、降雨状況によって大きく変化する。つまり、台風や集中豪雨などの場合には浸水被害が出たり、河川の氾濫が生じることまである。本発明は、このような極端に大量の降雨の場合を想定するものではない。なぜなら、このような場合の雨天時下水道越流水の水質は、雨水と殆ど同じ清澄な水となり、消毒が必要ではなくなるからである。様々な調査を通じて、処理対象としての雨天時下水道越流水の最大越流量は、晴天時下水量の20倍から10倍に設定することが望ましい。このように、処理対象の雨天時下水道越流水の量を明確にし、固体臭素系消毒剤の接触時間を設定することにより、消毒槽若しくは雨天時下水道越流水流路の大きさを決定することができる。
また、図44で示す雨天時下水道越流水消毒装置によって消毒剤が添加された処理水の残留ハロゲン濃度を測定し、残留ハロゲン濃度が高い場合には、還元剤を加えて中和を行った後に放流することが好ましい。図45に示すシステムは、図44の消毒槽603の下流の消毒剤が添加された雨天時下水道越流水に対する処理方法を示す。消毒剤が添加された雨天時下水道越流水は、消毒槽603から排水流路に誘導される。ここで、残留ハロゲン濃度検出計623によって処理水の残留ハロゲン濃度を測定し、残留ハロゲン濃度が高い場合には、還元剤621を投入し、還元槽622で残留ハロゲンの中和を行った後に、排水路607を介して公共水域608に放流する。なお、還元剤621は、図45に示すように排水流路620に直接投入してもよいし、還元槽622に投入してもよい。また、還元槽622を設けずに、排水流路607中で中和が行われるようにしてもよい。還元剤の添加量は、残留ハロゲン濃度の設定値(先の例では0.2mg/L)に対して化学的に等量であれば十分である。なぜならば、実際の消毒処理後の残留ハロゲン濃度は、設定値より低い値になるからである。更に、ハロゲン検出計623を、図44に示す消毒剤導入手段と連動させて、排水流路620中の被処理水中の残留ハロゲン濃度が高い場合には、投入する消毒剤の量を制御することもできる。このようにすれば、固体臭素系消毒剤の添加量を最小にし、且つ、還元剤添加量を過剰にすることなく、ハロゲンの無害化が達成される。
また、本発明に係る雨天時下水道越流水の消毒システムにおいて、処理地域の降雨情報から、降雨開示時刻、降雨総量、降雨継続時間の予測を行い、この予測値に基づいて消毒剤の添加量を制御することができる。
従来、この種の排水消毒装置の制御方法としては、排水消毒装置を設置する処理場内に設けられた測定装置により、排水の流入量及び流入汚濁負荷、降雨量、降雨強度を測定し、該測定した測定値から該排水消毒装置に流入する排水中の大腸菌群数を推定して薬剤の添加量を予測し制御していた。
図46は、家庭排水や工場排水などの下水を収集する下水管路網と処理地域を示す図である。処理地域X内で発生した下水、雨水を含む下水及び地表を流下した雨水等の排水は、処理地域X内に設けられた下水管711に流入する。各下水管711に流入した排水は合流し、該合流した排水は直接下水処理場710に設けられた下水消毒装置に流入するか又は各中継ポンプP1、P2、P3により下水処理場に送水される。
本発明の一態様においては、このような下水システムにおいて、処理地域内の下水、雨水を含む下水及び地表を流下した雨水等を含む排水、特に雨天時下水道越流水を薬剤により消毒する消毒装置の制御方法において、処理地域に設けられた測定点又は該処理地域及び隣接する処理地域に設けられた測定点から降雨情報を収集し、降雨情報から処理地域内における降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間の予測を行い、該予測した降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間から薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻を予測し該排水消毒装置を制御する。
こののような消毒装置の制御方法を採用すると、処理地域に設けられた測定点又は該処理地域及び隣接する処理地域に設けられた測定点より収集された降雨情報から処理地域内における降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間のを予測するので、薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻をリアルタイムに予測することができる。
また、他の形態によれば、処理地域内の下水、雨水を含む下水及び地表を流下した雨水等を含む排水、特に雨天時下水道越流水を薬剤により消毒する消毒装置の制御装置において、処理地域又は該処理地域及び隣接する処理地域の降雨情報を測定する降雨情報測定手段と、降雨情報測定手段により測定された降雨情報から処理地域内における降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間の予測を行う降雨情報予測処理手段と、降雨情報予測処理手段により予測された降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間から薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻の予測を行う大腸菌群数予測処理手段を具備することができる。
このように排水消毒装置の制御装置は、処理地域又は該処理地域及び隣接する処理地域の降雨情報を測定する降雨情報測定手段と降雨情報から処理地域内における降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間の予測を行う降雨情報予測処理手段と降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間から薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻の予測を行う大腸菌群数予測処理手段を具備するので、薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻をリアルタイムに予測することができる。
他の形態によれば、上述のの消毒装置の制御装置において、降雨情報測定手段により測定された降雨情報から排水消毒装置に流入する排水の流入水量及び流入汚濁負荷を予測する地域特性シミュレーション手段と該地域特性シミュレーション手段により予測された流入水量及び流入汚濁負荷により薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻の補正をする予測値補正処理手段を具備することができる。
このように地域特性シミュレーション手段により予測された流入水量及び流入汚濁負荷により薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻の補正をする予測値補正処理手段を具備するので、該薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻の予測をさらに正確に行うことができる。
更に他の形態によれば、上述の消毒装置の制御装置において、消毒装置に流入する被処理水の流入水濁度を測定する濁度測定手段を設け、降雨情報予測処理手段により予測された降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間及び濁度測定手段により測定された流入水濁度から薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻の予測を行うことができる。
このように降雨情報予測処理手段により予測された降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間及び濁度測定手段により測定された流入水濁度から薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻を予測するので、該薬剤添加量、薬剤消費量及び排水消毒装置運転開始時刻の予測をさらに正確に行うことができる。
更に他の形態によれば、処理地域内の下水、雨水を含む下水及び地表を流下した雨水等を含む排水、特に雨天時下水道越流水を薬剤により消毒する消毒装置の制御装置において、処理地域又は該処理地域及び隣接する処理地域の降雨情報を測定する降雨情報測定手段と、降雨情報測定手段により測定された降雨情報から排水消毒装置に流入する排水の流入水量及び流入汚濁負荷を予測する地域特性シミュレーション手段と、予め排水に対する薬剤添加率を設定する薬剤添加率設定手段と、地域特性シミュレーション手段により予測された流入水量、流入汚濁負荷及び薬剤添加率設定手段より設定された薬剤添加率から薬剤添加量及び薬剤消費量の予測を行う薬剤添加量算出処理手段を具備することができる。
このように処理地域又は該処理地域及び隣接する処理地域の降雨情報を測定する降雨情報測定手段と、降雨情報から排水消毒装置に流入する排水の流入水量及び流入汚濁負荷を予測する地域特性シミュレーション手段と、予め被処理水に対する薬剤添加率を設定する薬剤添加率設定手段と、流入水量、流入汚濁負荷及び薬剤添加率から薬剤添加量及び薬剤消費量の予測を行う薬剤添加量算出処理手段を具備するので、薬剤添加量及び薬剤消費量を簡単な構成でリアルタイムに予測することができる。
他の形態によれば、上述のいずれかの消毒装置の制御装置において、消毒装置が設置される処理施設における降雨量、降雨強度、該消毒装置に流入する被処理水の流入水量、消毒装置に供給される薬剤の薬剤供給量、消毒装置から放流される放流水残留薬剤濃度を測定する実測値測定手段を設け、実測値測定手段により測定された測定値により薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻の予測を補正する実測値補正処理手段を具備することを特徴とする。
このように実測値測定手段により測定された測定値で薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻の予測を補正する実測値補正処理手段を具備するので、該薬剤添加量、薬剤消費量及び消毒装置運転開始時刻の予測をさらに正確に行うことができる。
図47は、上記に説明の形態の消毒装置が消毒する排水を収集する下水管路網と処理地域及び隣接する処理地域を示す図である。図47に示すように、雨天時下水道越流水の消毒装置を設置する下水処理場710の処理地域Xの周囲には、同様の下水処理場を有する処理地域A、B、C、D、Eが隣接して存在する。なお、本実施形態例における下水管路網の基本的構成は、図46に示す下水管網と同一であるのでその説明は省略する。
図48は、本発明にかかる排水消毒装置の制御装置の構成例を示す図である。同図に示すように、処理地域A内には複数の降雨情報測定手段720、720…が設けられ、該降雨情報測定手段720、720…で処理地域A内の降雨情報721a、722a…が測定できるようになっている。なお、各降雨情報測定手段720は、図示は省略するが、処理地域A内の中継ポンプが設置されているポンプ場、排水機場、処理場、計測設備を有する施設に設けられている。その他の処理地域B、C、D、E、Xについても、同様な降雨情報測定手段でそれぞれの処理地域の降雨量、降雨強度などの降雨情報を測定するようになっている。該各処理地域A,B、C、D、E、Xで測定された降雨情報は、市販の電話回線を利用したデータ伝送装置やアメダスシステムなどを利用して制御装置730に連続的又は定期的に伝送されてくるようになっている。
図49は、雨天時下水道越流水消毒装置の制御方法に用いられるマッピング処理を示す図で、同図(a)は各処理地域A,B、C、D、E、Xで測定された降雨情報をマッピング処理した模式図で、同図(b)は同図(a)の時間t経過後の模式図である。上記制御装置730に入力された処理地域A,B、C、D、E、Xからの降雨情報は、降雨情報マッピング処理手段731により図49(a)に示すような模式図にマッピング処理される。各処理地域A,B、C、D、E、Xで測定された降雨情報は、連続的又は定期的に制御装置730に伝送されるので、図49(a)に示す模式図は時間t経過後に図49(b)に示すような模式図となる。なお、上記マッピング処理された降雨情報は、Aで示すように降雨強度の強弱で表されている。
次に、連続的又は定期的に伝送されマッピング処理された降雨情報の時系列推移(図49参照)から、降雨情報推定処理手段732より処理地域Xにおける降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間の予測を行う。また、該降雨情報推定処理手段732は、予測した降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間から、処理地域Xの処理場710における予想降雨量733、予想降雨強度734及び消毒装置に流入する被処理水の予想流入量735を求める。該求められた予想降雨量733、予想降雨強度734及び予想流入量735は既知の大腸菌群数推定処理手段736に入力される。また、大腸菌群数推定手段736には、下水処理場710に設置された濁度測定手段750で測定された消毒装置に流入する被処理水の流入水濁度751が入力されている。
大腸菌群数推定処理手段736は、上記入力された予想降雨量733、予想降雨強度734、予想流入量735及び流入水濁度751から、大腸菌群数を推定し、それに対する必要な薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び排水消毒装置運転開始時刻736cの予測を行う。
次に処理地域Xの下水処理場710に設けられた実測値測定手段752より、処理場710における降雨量753、降雨強度754、該排水消毒装置に流入する排水の流入水量755、排水消毒装置に供給されるハロゲン系薬剤の薬剤供給量756、排水消毒装置から放流される排水の放流水残留薬剤濃度757を測定する。該測定された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757を予測値/実測値補正処理手段737に入力する。
予測値/実測値補正処理手段737は、上記入力された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757から薬剤添加量736a、薬剤消費量736b、排水消毒装置運転開始時刻736cの各予測値を補正する補正値を求める。該求められた各補正値は、補正値加算処理手段737a、737b、737cで薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び排水消毒装置運転開始時刻736cに加算処理され、薬剤添加量741、薬剤消費量742及び排水消毒装置運転開始時刻743が求められる。
制御装置730は、上記各補正値を加算処理することで求められた薬剤添加量741、薬剤消費量742及び排水消毒装置運転開始時刻743の各予測値により、排水消毒装置の運転、薬剤添加量、薬剤消費量の制御を行う。なお、薬剤添加量741は、排水消毒装置の実際の薬剤添加量設定値として、薬剤添加のリアルタイム制御に使用される。また、薬剤消費量742は、処理場710内にストックされている薬剤の保有量との比較を行い、排水消毒装置に添加する薬剤が不足する場合は警報などを発することで、運転員に薬剤の補充を求める目的で使用される。また、排水消毒装置運転開始時刻743は、運転員に排水消毒装置運転開始時刻を知らせるとともに、排水消毒装置の自動運転開始指令として使用する。
上記のように、各処理地域A,B,C,D,E、X内の各降雨情報測定手段20で測定された降雨情報をもとに降雨情報推定処理手段732が、処理地域X内における降雨開始時刻、降雨総量及び降雨継続時間を予測するとともに処理地域Xの処理場710における予想降雨量733、予想降雨強度734、予想流入量735を求め、この予想降雨量733、予想降雨強度734、予想流入量735から大腸菌群数推定処理手段736が大腸菌群数を推定し、それに対する排水消毒装置の制御に必要な薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び排水消毒装置運転開始時刻736cを予測するで、各予測値をリアルタイムにて予測することができる。
また、大腸菌群数推定処理手段736は予想降雨量733、予想降雨強度734、予想流入量735及び流入水濁度751から薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び消毒装置運転開始時刻736cを予測するので、各予測値の予測をさらに正確に行うことができる。
さらに予測値/実測値補正処理手段737が降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757から補正値を求め、補正値加算処理手段737a、737b、737cで該各補正値を薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び消毒装置運転開始時刻736cに加算処理し、薬剤添加量741、薬剤消費量742及び消毒装置運転開始時刻743を求めるので、各予測値の予測をさらに正確に行うことができる。
図50は消毒装置の制御装置の他の構成例を示す図である。図50に示す消毒装置の制御装置の基本的構成は、図48に示す排水消毒装置の制御装置と略同一であるのでその説明は省略する。本消毒装置の制御装置が図48に示す消毒装置の制御装置と異なる点は、地域特性シミュレーション手段760を具備する点である。
処理地域X内の各降雨情報測定手段720より測定された降雨量、降雨強度などの降雨情報721x、722x…は、制御装置730の降雨情報マッピング処理手段731に入力されるとともに、地域特性シミュレーション手段760に入力される。該地域特性シミュレーション手段760は、市販の地域特性シミュレーションソフトウエアであり、予め登録した処理地域の地形情報、雨水収集ルート、下水管路網、下水排出人口、下水排出種別を設定初期条件として入力し、そして上記降雨情報721x、722x…を入力することで、水理・水質解析を行うものである。
地域特性シミュレーション手段760は、処理地域X内の降雨情報から排水消毒装置に流入する排水の予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762を求める。該求められた予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762は、実測値測定手段752により測定された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757とともに予測値/実測値補正処理手段737に入力される。
予測値/実測値補正処理手段737は、入力された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757、予想流入量761及び予想流入汚濁負荷762から薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び消毒装置運転開始時刻736cを補正する補正値を求める。該各補正値は、補正値加算処理手段737a、737b、737cで大腸菌群数推定処理手段736からの薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び排水消毒装置運転開始時刻736cの各予測値に加算処理され、薬剤添加量741、薬剤消費量742及び排水消毒装置運転開始時刻743の各予測値が求められる。制御装置730は、該各予測値により、排水消毒装置の運転、薬剤添加量、薬剤消費量の制御を行う。
上記のように予測値/実測値補正処理手段737が地域特性シミュレーション手段760で求めた予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762から薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び排水消毒装置運転開始時刻736cを補正する補正値を求め、該各補正値を補正値加算処理手段737a、737b、737cにより大腸菌群数推定手段736からの薬剤添加量736a、薬剤消費量736b及び消毒装置運転開始時刻736cに加算処理することで、薬剤添加量741、薬剤消費量742及び消毒装置運転開始時刻743を求めるので、各予測値の予測をさらに正確に行うことができる。
なお、上記の形態例では、処理地域X内の各降雨情報測定手段720で測定された降雨情報721x、722x…のみを地域特性シミュレーション手段760に入力する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、処理地域X及び隣接する処理地域A,B,C,D,Eの各降雨情報を入力しても良い。
図51は、消毒装置の制御装置の他の構成例を示す図である。まず、処理地域X内の各降雨情報測定手段720により測定された降雨量、降雨強度などの降雨情報721x、722x…は、地域特性シミュレーション手段760に入力される。
地域特性シミュレーション手段760は、処理地域X内の降雨情報から消毒装置に流入する被処理水の予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762を求める。該求められた予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762は、薬剤添加量算出処理手段738に入力される。
また、薬剤添加量算出処理手段738には、予め消毒装置に流入する排水に対する薬剤添加率を設定する薬剤添加率設定手段739で設定された薬剤添加率739aが入力されるようになっている。該薬剤添加量算出処理手段738は、入力された薬剤添加率739a、予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762から、薬剤添加量736a及び薬剤消費量736bの予測を行う。
処理地域Xの処理場710に設けられた実測値測定手段752より、処理場710における降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757を測定する。該測定された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757は、制御装置730の予測値/実測値補正処理手段737に入力される。
予測値/実測値補正処理手段737は、薬剤添加量算出処理手段738からの薬剤添加量736a及び薬剤消費量736bの各予測値を補正する補正値を上記入力された降雨量753、降雨強度754、流入水量755、薬剤供給量756、放流水残留薬剤濃度757から求める。該各補正値は、補正値加算処理手段737a、737bで薬剤添加量算出処理手段738からの薬剤添加量736a及び薬剤消費量736bの各予測値に加算処理され、薬剤添加量741及び薬剤消費量742を求める。制御装置730は、薬剤添加量741及び薬剤消費量742より排水消毒装置の制御を行う。
上記のように、処理地域X内の各降雨情報測定手段720で測定された降雨情報721x、722x…から地域特性シミュレーション手段760により予想流入水量761及び予想流入汚濁負荷762を求め、薬剤添加量算出手段738が該予想流入水量761、予想流入汚濁負荷762及び薬剤添加率設定手段739で設定された薬剤添加率739aから薬剤添加量741及び薬剤消費量742を予測するので、各予測値をリアルタイムにて予測することができる。
なお、上記の形態例では、処理地域X内の各降雨情報測定手段720で測定された降雨情報721x、722x…のみを地域特性シミュレーション手段760に入力する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、処理地域X及び隣接する処理地域A,B,C,D,Eの各降雨情報を入力しても良い。
また、上記では、下水処理場での雨天時下水道越流水を消毒する形態について説明しているが、雨水吐き室、ポンプ場(排水機場)などの雨天時下水道越流水排除施設で雨天時下水道越流水を消毒する形態についても、上述の制御装置を適用することができる。
更に、本発明に係る雨天時下水道越流水の消毒装置には、固体臭素系消毒剤添加量の過剰、過小を検知できる異常検知機構(固体臭素系消毒剤添加量検知手段)を備えることができる。
本発明において使用することのできる固体臭素系消毒剤添加量検知手段は、固体臭素系消毒剤添加直後の被処理水で計測した残留ハロゲン濃度と、消毒剤が添加された被処理水が放流される放流水路で計測した残留ハロゲン濃度とが所定のしきい値を越えること及び/又は両残留ハロゲン濃度を比較することによって、ハロゲン系薬剤添加量の過剰及び/又は過小を検知する手段である。即ちハロゲン系薬剤添加直後の被処理水で計測した残留ハロゲン濃度と、放流水路で計測した残留ハロゲン濃度とがそれぞれ所定のしきい値を越えた場合、ハロゲン系薬剤添加量の過剰または過小として検知する。またハロゲン系薬剤添加直後の被処理水で計測した残留ハロゲン濃度と、放流水路で計測した残留ハロゲン濃度とを比較して、その濃度差を消毒剤消費量としてこの消毒剤消費量を予め設定しておいた消毒剤消費量低レベルしきい値と比較して低レベルしきい値未満の場合は、消費していないのに必要以上の消毒剤を添加していることになるので、ハロゲン系薬剤添加量の過剰として検知する。
また、固体臭素系消毒剤添加量検知手段は、固体臭素系消毒剤保有量(保有量から求めた消費量)と吐出量とを比較することで固体臭素系消毒剤添加量の過剰及び/又は過小を検知する手段である。即ち、固体臭素系消毒剤保有量の差分から求めた実際の消費量と回転数や流量計などの測定機器で計測した吐出量との誤差の比率が、予め設定しておいた薬剤吐出量添加量の高低レベルしきい値(比率)を超えた場合、薬剤添加量の過剰または過小として検知する。
また、固体臭素系消毒剤添加量検知手段は、放流水路に生息する魚類を画像監視することで固体臭素系消毒剤添加量の過剰を検知する手段である。即ち画像監視している魚類が死ぬまたは弱るなどして漂流していると判断した個体数が予め設定しておいた漂流魚類個体数高レベルしきい値を越えた場合、薬剤添加過剰と判定し検知する。
図52は本発明において使用することのできる異常検知機構を有する消毒装置の一実施形態によって被処理水の消毒が実行される状態を示す系統図であり、一例として、粉末状の固体臭素系消毒剤を用い、水に溶解して消毒水を形成してこれを被処理水に添加する方式を示している。以下の装置の構成は、上記で説明した各種形態の消毒剤貯留・供給装置や、固体臭素系消毒剤を固体のまま被処理水に投入する方式の消毒装置にも適用することができる。また、以下の説明では、沈砂池で雨天時下水道越流水の消毒を行う形態について説明しているが、上記で説明したような雨天時下水道越流水の流路において消毒を行う各種の形態についても適用することができる。
図52において、810は消毒装置によって消毒が実行される雨天時下水道越流水が流入、流出する沈砂池である。そして沈砂池810の流入部810aに流入した雨天時下水道越流水の一部は、ポンプP1によって汲み上げられてスクリーン820で異物が取り除かれ、原水流量計821で流量が測定された後に、消毒剤添加装置830に送られる。
消毒剤添加装置830では、ホッパ831内に投入されている固体臭素系消毒剤832をモータM1を駆動することで供給機833からエジェクタ834に所定量ずつ供給して排水中に添加する。消毒剤が添加された水は溶解装置840の溶解槽841内に送られ、モータM2によって駆動される攪拌機842によって攪拌されて消毒剤が確実に溶解された後、ポンプP2によって沈砂池810の流入部810aに戻されることで被処理水の消毒が実行され、沈砂部810bを経て放流水路811から河川などの公共水域812に放流される。
以下に説明する装置においては、前記の消毒を実行する上で、被処理水の過剰消毒或いは消毒不良を迅速且つ確実に防止するため、三種類の異常検知手段を設置している。即ち薬剤添加量の過剰、過小を検知する手段と、薬剤添加が確実に実行されていることを監視する手段と、薬剤添加量過剰判定を補完する手段とを具備している。以下説明する。
消毒を実行する上で、被処理水の過剰消毒或いは消毒不良を防止するため薬剤添加量の過剰、過小を検知する必要がある。そこで放流水路811と溶解装置840にそれぞれ残留ハロゲン濃度計813,843を設置し、両者の測定値を図示しないコンピュータ(又は電気回路)に入力することで図53に示す処理手順に従って薬剤添加量の過剰、過小を検知する。
即ち、図53において、まず残留ハロゲン濃度計813によって測定した放流水路811での残留ハロゲン濃度と、残留ハロゲン濃度計843によって測定した溶解装置840での残留ハロゲン濃度とを入力する。そして図53の残留ハロゲン濃度判定処理フローにおいて、まず残留ハロゲン濃度計813によって測定した放流水路811での残留ハロゲン濃度を予め設定しておいた放流水残留ハロゲン濃度高レベルしきい値901と比較してこれを越えていた場合は薬剤添加過剰と判定し、残留ハロゲン高レベル判定出力870を出力する。
次に残留ハロゲン濃度計843によって測定した溶解装置840での残留ハロゲン濃度を予め設定しておいた溶解槽残留ハロゲン濃度低レベルしきい値902と比較して低レベルしきい値902未満の場合は薬剤添加過小と判定し、残留ハロゲン低レベル判定出力871を出力する。次に溶解装置840での残留ハロゲン濃度を予め設定しておいた溶解槽残留ハロゲン濃度高レベルしきい値903と比較して高レベルしきい値903以上の場合は薬剤添加過剰と判定し、残留ハロゲン高レベル判定出力870を出力する。
更に残留ハロゲン濃度計843によって測定した溶解装置840での残留ハロゲン濃度と、残留ハロゲン濃度計813によって測定した放流水路811での残留ハロゲン濃度との差分を消毒剤消費量として捉え、この消毒剤消費量が予め設定しておいた残留ハロゲン濃度差(消毒剤消費量)低レベルしきい値904と比較して低レベルしきい値904未満の場合は薬剤添加過剰と判定して残留ハロゲン高レベル判定出力870を出力する。即ち消毒剤は殺菌しようとする物質が多いとその消費量が増えるので、消毒剤消費量が少ないということは、消費していないのに(殺菌しようとする物質が多くないのに)必要以上の消毒剤を添加していることになる。従って、たとえ溶解装置840での残留ハロゲン濃度と放流水路811での残留ハロゲン濃度とがそれぞれ個別には所定の許容数値内に入っているとしても、必要以上の消毒剤を添加していると判定するのである。
以上の検知手段によれば、溶解槽841で計測した残留ハロゲン濃度(即ちハロゲン系薬剤添加直後の排水で計測した残留ハロゲン濃度)及びその下流の放流水路811で計測した残留ハロゲン濃度と、予め設定した残留ハロゲン濃度しきい値等とを比較することで薬剤添加過剰、過小を判定できるので、従来のように放流水路811だけで計測する場合に比べて、薬剤添加から測定点までの時間遅れがなく迅速且つ確実に薬剤添加の過剰、過小を判定できる。また二点で測定した残留ハロゲン濃度を比較してその濃度差を消毒剤消費量として薬剤添加過剰を判定するので、この点からも薬剤添加の過剰を判定できる。
消毒を実行する上で、薬剤添加が確実に実行されていることを監視することが必要である。そこで消毒剤添加装置830のホッパ831に設けたホッパ重量計X1によってホッパの重量35を測定し、またモータM1の回転数36を測定し、両測定値を図示しないコンピュータ(又は電気回路)に入力することで図54に示す処理手順に従って薬剤添加が確実に実行されていることを監視する。
即ち、図54の薬剤吐出量判定処理フローにおいて、まず時刻tより予め設定しておいた薬剤吐出量判定処理サンプリング周期913でk+1回サンプリングした供給機回転数836に〔供給機回転数−吐出量換算係数〕910をかけて求めた粉体薬剤吐出量と、時刻tと時刻t+kにおけるホッパ重量835の差分から求めた粉体薬剤消費量との比率が、予め設定しておいた薬剤吐出量添加量低レベルしきい値911未満の場合、薬剤添加量過小と判定し、薬剤添加量過小判定出力881を出力する。即ち本来、ホッパ重量835の差分から求めた粉体薬剤消費量と供給機回転数836から求めた粉体薬剤吐出量とは一致するはずであるが、ホッパ重量835の差分から求めた粉体薬剤消費量よりも供給機回転数836から求めた粉体薬剤吐出量の方が多いということは、供給機回転数836から求めた粉体薬剤吐出量が実際に吐出している吐出量よりも見かけ上多くなっているということであり、これは所定の粉体薬剤吐出量を得るために決定した供給機回転数836によっては所定の粉体薬剤吐出量を得ることが出来ず、もっと回転数を上げなければならないこと、あるいは、供給機833の機械的な不具合により、所定の粉体薬剤吐出量を得ることができないことを意味し、つまり薬剤添加量過小ということになる。
一方、粉体薬剤吐出量と粉体薬剤消費量との比率が、予め設定しておいた薬剤吐出量添加量高レベルしきい値912以上の場合、薬剤添加量過剰と判定し、薬剤添加量過剰判定出力882を出力する。何れの条件も満たさない場合は出力しない。
このように粉体薬剤吐出量と粉体薬剤消費量とを比較することで、リアルタイムで薬剤添加が確実に実行されているか否かを監視することができる。
消毒装置の残留ハロゲン濃度計が測定異常となり、薬剤添加過剰、過小の判定が不可能になる状態においても、消毒を実行すべく、残留ハロゲン濃度計による異常判定を補完するため、図55に示す画像処理技術を用いた放流水路の魚類生息状態判定処理を実行することができる。
即ち、放流水路811の放流口に放流口監視カメラ814を設置し、図55に示す魚類異常判定処理フローにおいて、放流口監視カメラ814の映像データと、予め設定しておいた魚類判定パターン921とのパターン比較を行ない、類似する映像パターンを放流水路811に生息する魚類と判断する。そして魚類と判断した各映像パターンに対して、最初に検知した座標より、その周辺区域即ち、魚類の移動範囲を示す2つの魚類漂流判定用移動範囲座標922,923を定め、魚類と判断した映像パターンがその座標範囲(点線で囲む範囲)内に予め設定しておいた魚類漂流判定時間924で定めた時間を超えて存在した場合、当該魚類は死ぬ或いは弱るなどして漂流している魚類と判定する。以上の判定処理を魚類と判断した全ての映像パターンに対して行ない、漂流している魚類個体数が予め設定しておいた漂流魚類個体数高レベルしきい値925を越えた場合、薬剤添加過剰と判定し、魚類異常判定出力890を出力する。
以上のように判定した薬剤添加量の過剰、過小に関する出力870,871,881,882,890は、消毒装置の運転員に異常発生を警報として知らしめる目的で使用したり、また薬剤添加過剰或いは過小に応じて薬剤投入量を増加或いは減少せしめる自動制御を実行する目的で使用したり、更に薬剤添加量過剰の場合に薬剤の投入自動停止や中和薬剤の自動投入を実行する目的で使用することができる。
図56に示すように、固体臭素系消毒剤の貯留槽951をはかり(ロードセル)953の上に設置し、切り出し装置952の故障などによって消毒剤の供給速度が異常に速くなった場合に、検知器956によって異常供給を検知して非常供給停止装置955を作動させて、供給管954からの固体臭素系消毒剤の供給を停止することによって、固体臭素系消毒剤が異常に大量に供給されて、残留ハロゲンによって放流口周辺の環境が悪化するのを防止することができる。
本発明によって固体臭素系消毒剤による雨天時下水道越流水の消毒を行う装置の運転方法としては、例えば次のような方法がある。処理対象の雨天時下水道越流水が、合流式下水道や分流式下水道のポンプ場(排水機場)からの越流水である場合、越流水の放流は次のように行われることが多い。ポンプ場には沈砂池若しくは雨水貯留施設が配置されている。図57において、下水道管渠961内を流れる下水に雨水が混入して量が多くなると、可動ゲート962が開放されて雨水混入下水が越流する(雨天時下水道越流水)。越流水は沈砂池若しくは雨水貯留施設963に収容され、スクリーン971を通してポンプ井972に流入する。ポンプ井972内には雨水ポンプが配置されており、可動ゲート962が開放されてから所定時間経過後に雨水ポンプ964が作動して沈砂池若しくは雨水貯留施設963内の雨天時下水道越流水が放流流路965に誘導され、放流流路965から河川などの公共水域966に放流される。また、雨水ポンプ964は、通常複数台設置され、ポンプ井972内の水位によって雨水ポンプ964の稼働台数が制御されるようになっている。可動ゲート962の作動は、通常、中央監視室の作業員が、降雨確率、降雨情報、降雨量などの各種の気象情報に基づいて行う。このような場合、可動ゲート962が作動して沈砂池若しくは雨水貯留施設963内に雨天時下水道越流水が流れ込んだ際に、まず、ポンプ967を可動させて雨天時下水道越流水の一部を取り出して、混合装置969において固体臭素系消毒剤968と混合して消毒水を調整し、これを沈砂池若しくは雨水貯留施設963内に投入することができる。この際、沈砂池若しくは雨水貯留施設963の容量から算出した所定量の固体臭素系消毒剤をあらかじめ投入して沈砂池若しくは雨水貯留施設963内に溜まる雨天時下水道越流水の消毒を行うことができる。その後、雨水ポンプ964が作動して雨天時下水道越流水の公共水域への放流が始まったら、越流水の流量にあわせて適当量の固体臭素系消毒剤を投入するように、消毒剤の供給量を制御することができる。なお、図57では、固体臭素系消毒剤を水に溶解して消毒水を形成し、これを雨天時下水道越流水中に投入する方式を示しているが、固体臭素系消毒剤を固体のまま沈砂池の雨天時下水道越流水中に投入する方式でもよい。なお、このような制御は、ポンプ場などの雨天時下水道越流水排除施設や下水道管渠、下水処理場などにおける水量、残留ハロゲン濃度、放流ゲート(可動ゲート)開信号、雨水ポンプ運転信号などのモニター値を、中央制御室などの遠隔の管理施設に送り、管理施設において遠隔で制御することが好ましい。即ち、雨天時下水道越流水排除施設の現場では、無人で消毒剤の投入を制御することができるようにすることが好ましい。このような制御体系の概念を図58に示す。
図58に示す制御体系によれば、臭素消毒装置の制御は、付帯する動力制御盤1002に組み込まれたシーケンサなどの制御ユニットによって自動的に行われる。
薬品供給器1003は、粉体流動槽(ロードセルを含む)、粉体流動機、薬品供給機、溶解コーン、付属弁類から構成される。
原水濁度計1004は、流入原水の濁度を常時出力する。
溶解水流量計1005は、薬品溶解用の給水量を常時出力する。
残留ハロゲン計1007は、放流水の残留ハロゲン濃度を常時出力する。
動力制御盤1002では、以下の制御が行われる。
・注入量制御:中央操作室1001から「放流水量」のデータ、薬品供給機1003に付帯する供給機から「回転数」のデータを取込み、これを「給粉量」に変換して、水量変動に対して注入率を一定にして適性注入するように制御を行う。
・注入率制御:「供給機運転時間」、「放流水量」のデータを取込み、経時変化により大腸菌群数が減少することを想定して薬品注入率を段階的に減少させることで、過剰注入を防止する制御を行う。
・注入率演算制御:原水濁度計1004から「濁度」のデータ、中央操作室1001から「放流量」、「降雨強度」、「降雨量」のデータを取込み、原水中に含まれる大腸菌群数を演算し、薬注量(率)を決定して注入制御を行う。
・運転シーケンス管理:補機類1006について例えば集塵機の「連動運転」指令、CSO放流設備1008ついてゲートの「開閉」など、付帯機器に関する連動運転管理を行う。
・注入判定:薬品供給機1003の給粉量は供給機回転数から計算するが、これだけではブリッジなどによる空運転を検知できない。そのため、薬品を貯留している粉体流動部のロードセルで粉体変動重量を計測し、回転数からの計算値と比較して整合性を判定する。
・各データ記録:計装からの測定値、故障履歴などを盤内のレコーダで記録する。
なお、必要によって、運転モード、状態表示や各種データを中央操作室1001へ送り、中央操作室から運転・監視が行えるようにする。
放流開始後、即ち雨水ポンプ運転開始後の消毒剤の注入量は、タイマーによって数段階に分けて注入量を徐々に低下させることが好ましい。例えば、運転開始後0〜1時間、1〜3時間、3〜5時間、5時間〜の4段階に分けて、それぞれ消毒剤の注入率を10mg/L、7mg/L、5mg/L、3mg/Lというように徐々に低下させることができる。添加段階の数、各段階の長さ、各段階での消毒剤注入率などは、降雨量、降雨タイプ、降雨予報などの情報に基づいて適宜変更することができる。例えば、予め数パターンの添加プログラムを設定しておき、降雨量、降雨タイプなどの情報に基づいて選択することができる。このような場合でも、消毒剤注入点の下流の雨天時下水道越流水流路にハロゲン濃度計を設置し、残留ハロゲン濃度が異常に高い場合には、注入を停止したり、若しくは警報を発するなどの制御を行うことが好ましい。更に、制御設備上の安全対策としては、例えば、放流側に設置の残留ハロゲン計によって消毒剤の過剰注入検知機構を設け、過剰注入を検知したの場合には供給停止を行ったり、消毒剤供給装置においてブリッジ等によって供給が滞った場合を想定し、一定時間消毒剤貯留槽の重量が変化しなかった場合に警報を発したり、消毒剤溶解水がエジェクター上部の溶解コーンから逆流した場合に検知する機構を設けて、検知にて供給停止したり、消毒剤溶解水の供給量不足を検知する機構、即ち、電磁流量計の下限検知機構を設けて、異常検知により溶解水供給弁を閉として逆流を防止する、というような制御を行うことが好ましい。
本発明の各種態様は、以下の通りである。
1.下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒施設と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、入口への流入下水を出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、入口への流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を出口1に流し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を出口1に流し、流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を出口2に流す分岐装置と;
から構成され、
上記分岐装置の出口1が上記消毒施設の下水導入部に接続され、上記分岐装置の出口2が上記臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている下水処理装置。
2.消毒施設によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
3.消毒施設によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
4.分岐装置の入口は合流式下水道に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
5.臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
6.臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
7.消毒施設及び/又は臭素下水処理装置によって消毒された下水を公共水域に流す請求項1に記載の下水処理装置。
8.消毒施設は、最初沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
9.消毒施設は、最初沈殿池、ばっき槽及び最終沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
10.消毒施設は、更に、
最初沈殿池と、
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置とを有し、
消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1が消毒槽の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
11.消毒施設は、更に、
最初沈殿池と、
ばっき槽と、
最終沈殿池と、
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置とを有し、
消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
12.下水処理場における下水処理装置であって、
最初沈殿池と;
下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置;とからなり、
分岐装置の出口1が消毒設備の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置。
13.下水処理場における下水処理装置であって、
最初沈殿池と;
ばっき槽と;
最終沈殿池と;
下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備と;
下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置と;
入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と;からなり、
下水処理装置の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒設備の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置。
14.臭素下水処理装置が、固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置と、該固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置から供給される固体臭素系消毒剤を、被処理水に添加・混合する消毒剤添加・混合装置とを具備することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の下水処理装置。
15.固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置が、固体臭素系消毒剤の貯槽と、貯槽内の固体臭素系消毒剤を所定の量計量して排出する定量供給機とを備え、該貯槽及び定量供給機は、圧縮空気をその内部に噴射する複数個の噴射口で構成された固体臭素系消毒剤の撹拌手段を備えている請求項14に記載の下水処理装置。
16.定量供給機が、計量手段を有する回転テーブルを備えた請求項15に記載の下水処理装置。
17.消毒剤添加・混合装置が、被処理水の一部を受容して固体臭素系消毒剤を混合・溶解する消毒水調製装置と、消毒水を被処理水に投入する手段とを備えた請求項14に記載の下水処理装置。
18.消毒剤添加・混合装置が、被処理水が流れる流路内に設置されている請求項17に記載の消毒装置。
19.固体臭素系消毒剤の貯留・混合装置及び添加・混合装置が、固体臭素系消毒剤を貯留する貯留槽、貯留槽に接続されており、消毒剤を固体のままで注入点まで移送するための消毒剤移送配管、消毒剤移送配管に接続されており、配管内を移送されてきた固体臭素系消毒剤を消毒対象の被処理水に加える消毒剤注入装置、から構成される請求項14に記載の消毒装置。
20.消毒剤が、添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解する請求項14に記載の消毒装置。
21.更に、被処理水のサンプルを採取するための分取ラインと、サンプリングされた被処理水サンプルに消毒剤を添加するための消毒剤供給手段と、消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、を備え、有効ハロゲン濃度測定装置によって測定された消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて消毒剤添加・混合装置によって被処理水中に加えられる消毒剤の添加量を制御する消毒剤添加量制御手段を備えた請求項14に記載の下水処理装置。
22.更に、消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加する還元剤供給装置と、消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて還元剤の添加量を制御する還元剤添加量制御装置を備えた請求項14に記載の下水処理装置。
23.下水を消毒処理する方法であって、
流入下水を、流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を塩素又はUVによって消毒し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を塩素又はUVによって消毒し、同時に流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を臭素系消毒剤によって消毒することを特徴とする下水処理方法。
24.塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項23に記載の方法。
25.塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項23に記載の方法。
26.処理対象の下水が合流式下水道の下水である請求項23に記載の方法。
27.臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項23に記載の方法。
28.臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項23に記載の方法。
29.塩素又はUVによって消毒された下水及び/又は臭素系消毒剤によって消毒された下水を公共水域に流す請求項23に記載の方法。
30.臭素系消毒剤による消毒処理の時間が3分以内である請求項23に記載の方法。
31.臭素系消毒剤として固体の臭素系消毒剤を被処理水に添加・混合して消毒を行う請求項23に記載の方法。
32.臭素系消毒剤として、固体の臭素系系消毒剤を被処理水の一部に混合・溶解して消毒水を調製し、調製された消毒水を被処理水に投入することによって消毒を行う請求項23に記載の方法。
33.消毒剤が、添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解する請求項23に記載の方法。
34.被処理水の一部をサンプリングして臭素系消毒剤を添加し、臭素系消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定して、測定された臭素系消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて被処理水に加える臭素系消毒剤の添加量を制御することを更に含む請求項23に記載の方法。
35.臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定し、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて、臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加する請求項23に記載の方法。
36.下水道システムであって、下水処理場の処理容量を超えない量の下水が下水処理場に流れ込む場合には、下水を、下水処理場において所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流し、大量の降雨によって下水処理場の処理容量を超える量の雨水を含んだ下水が下水処理場に流れ込むか若しくは流れ込むおそれのある場合には、下水処理場の処理容量を超える量の雨水混入下水については、下水道の雨天時下水道越流水排除施設において分岐して、臭素系消毒剤による消毒を行った後に公共水域に放流し、下水処理場の処理容量内の雨水混入下水については、下水処理場において所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システム。
37.分流式下水道システムであって、下水道の汚水管渠を流れる汚水について、下水処理場において所定の処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流し、下水道の雨水管渠を流れる雨水については、雨水排除施設、例えばポンプ場(排水機場)から公共水域に放流し、大量の降雨があった場合には、雨水排除施設において臭素系消毒剤による消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システム。
38.下水道システムであって、下水処理場の曝気槽の処理容量を超えない量の下水が下水処理場に流れ込む場合には、下水を、下水処理場において、最初沈殿池、曝気槽、最終沈殿池による処理を行った後に、塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流し、大量の降雨によって下水処理場の最初沈殿池の処理容量は超えないが曝気槽の処理容量を超える量の雨水を含んだ下水が下水処理場に流れ込むか若しくは流れ込むおそれのある場合には、曝気槽の処理容量を超える量の雨水混入下水については、下水処理場での最初沈殿池における処理の後に分岐して、臭素系消毒剤による消毒を行った後に公共水域に放流し、曝気槽の処理容量内の雨水混入下水については、下水処理場での最初沈殿池における処理に続いて、曝気槽、最終沈殿池による処理を行い、続いて塩素系消毒剤によって消毒処理を行った後に公共水域に放流することを特徴とする下水道システム。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例1〜3では、図4〜6で示されるシステムで、排水の処理をした。
実施例1
大腸菌群を含む下水処理水を被処理水として、殺菌試験を行った。消毒剤としては、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH)(実施例l)及び次亜塩素酸ソーダ(比較例1)を用いた。消毒剤の濃度を変えて、大腸菌群に対する殺菌試験を行った。被処理水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。
Figure 2006054373
Figure 2006054373
BCDMHは次亜塩素酸ソーダに比べ、1/2以下の濃度で殺菌効果を発揮し、1mg/L as Clの添加濃度で大腸菌群数を3000CFU/mL以下にすることができた。
BCDMHを1mg/L as Clで添加した条件でトリハロメタンは0.1mg/L以下であった。
なお、消毒剤の添加率の表示は、臭素系消毒剤、塩素系消毒剤ともに活性塩素表示とし、活性塩素濃度に換算して「mg/L as Cl」と表示する。例えば、1gのBCDMHを1Lの排水に添加したときには、540mg/L as Clになる。
反応時間についても、BCDMHでは1分で十分な効果が認められたのに対し、次亜塩素酸ソーダでは5分以上の時間が必要であった。
実施例2
水産加工排水を、凝集加圧浮上分離した後、更に、活性汚泥処理して得られた排水を被処理水とした。この被処理水に対して消毒剤添加濃度を変更し殺菌試験を行った。被処理水の水質を表3に試験結果を表4に示す。
Figure 2006054373
有機性窒素とは、アミンに加え、蛋白質等の有機性窒素全体としての値をいう。例えば、タンパク質の場合には、タンパク質中の窒素原子のみの量をいい、タンパク質中の炭素原子又は水素原子の量は含まれない。有機性窒素には、アンモニア、アンモニウムイオンのような無機窒素は含まれない。
Figure 2006054373
BCDMHは次亜塩素酸ソーダに比べ、1/3以下の濃度で殺菌効果を発撰し、2.5mg/L as Clの添加濃度で大腸菌群数を3000CFU/mL以下にすることができた。
実施例3
図4〜6で示されるシステムで、排水の処理をした。その結果を表5にまとめる。
Figure 2006054373
RUN1(下水量120m3/hour)では、BCDMH添加量12mg/Lで、大腸菌群数を3000CFU/mL以下にすることができる。RUN2(下水量250m3/hour)では、BCDMH添加量10mg/Lでは消毒は十分であるが、残留ハロゲン濃度が0.72mg/Lであり、適切ではない。BCDMH添加量5mg/Lで、大腸菌群数を3000CFU/mL以下にすることができ、しかも残留ハロゲン濃度が0.03mg/Lであり、適切である。
RUN3(下水量530m3/hour)は、降雨量が多い場合であり、BCDMH添加量3〜4.5mg/Lで適正な消毒が可能であった。なお、この時のBCDMHが雨水排除下水と接触した時間を求めたところ、50秒程度であり、極めて短時間で消毒することができた。
RUN4(下水道250m3/hour)は塩素系消毒剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いた比較例である。RUN4では、次亜塩素酸ナトリウム添加量を60mg/Lとしても、大腸菌群数を3000CFU/mL以下にすることができず、しかも残留ハロゲン濃度が1.53mg/LとLC50値(具体的には、塩素(Cl2)換算で、0.4mg/L)よりも高く、不適切である。
なお、RUN1〜RUN4のいずれの場合も、消毒剤添加量が0(ゼロ)の場合が、雨水排除処理場へ流入した雨天時下水の流入水質を示す。
実施例4
図59に示す消毒装置を用いて雨天時下水道越流水の消毒を行った。装置の仕様を表6に示す。表7に消毒対象水の水質を示す。消毒剤として、粉末状の1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン(BCDMH:荏原製作所製、商品名エバサニー4400)を用いた。消毒剤添加量と添加後の被処理水の大腸菌群数に対する殺菌効果を測定した結果を表8に示す。
この実験結果から、消毒剤を粉末のままで被処理水に直接添加することは、残存大腸菌群数を放流規制値である3.0×103CFU/mL以下にまで迅速に低減することに有効であることが分かった。
Figure 2006054373
Figure 2006054373
Figure 2006054373
実施例5
図39〜図43を作成した下水処理施設における雨天時越流水について、本発明方法による消毒処理を実施した。消毒装置は、図44に示す構成の装置を用いた。消毒剤としては、BCDMHを用いた。消毒剤導入手段604からの消毒剤の投入による消毒処理を行いながら、10分に1回の頻度でサンプリングライン612から被処理液のサンプルを採取してモニタリング槽613に導入し、所定濃度の消毒剤614を加えた。ここで加える消毒剤614の濃度は、その時点において消毒剤導入手段604から被処理液中に投入されている消毒剤濃度とした。なお、消毒処理開始時の消毒剤濃度は5mg/Lとした。モニタリング槽内の被処理液サンプルにBCDMHを添加した20秒後の時点での被処理液サンプル中の残留ハロゲン濃度を測定器615によって測定し、測定値が0.2 mg/L as Cl2よりも高い場合には消毒剤導入手段604から加える消毒剤の濃度を減少させ、測定値が0.2mg/L as Cl2よりも低い場合には消毒剤導入手段604から加える消毒剤の濃度を増加させた。このように10分毎に消毒剤投入濃度の調整を行いながら消毒処理を継続し、15分ごとに排出液中の大腸菌群数を計測した。結果を図60に示す。この結果から、消毒剤添加量が時間と共に変化し、一方、被処理後の排水中の大腸菌群数は消毒目標値(3000CFU/mL)以下で維持できていたことが分かる。

Claims (35)

  1. 下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒施設(facility)と;
    下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置(device)と;
    入口と出口1及び出口2を有し、入口への流入下水を出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、入口への流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を出口1に流し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を出口1に流し、流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を出口2に流す分岐装置(device)と;
    から構成され、
    上記分岐装置の出口1が上記消毒施設(facility)の下水導入部に接続され、上記分岐装置(device)の出口2が上記臭素下水処理装置(device)の下水導入部に接続されている下水処理装置(apparatus)。
  2. 消毒施設によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
  3. 消毒施設によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
  4. 分岐装置の入口は合流式下水道に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
  5. 臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
  6. 臭素下水処理装置によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項1に記載の下水処理装置。
  7. 消毒施設及び/又は臭素下水処理装置によって消毒された下水を公共水域に流す請求項1に記載の下水処理装置。
  8. 消毒施設(facility)は、最初沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
  9. 消毒施設(facility)は、最初沈殿池、ばっき槽及び最終沈殿池を更に有し、消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
  10. 消毒施設(facility)は、更に、
    最初沈殿池と、
    入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、
    下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置とを有し、
    消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1が消毒槽の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
  11. 消毒施設は、更に、
    最初沈殿池と、
    ばっき槽と、
    最終沈殿池と、
    入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置と、
    下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置(device)とを有し、
    消毒施設の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒槽の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されている請求項1に記載の下水処理装置。
  12. 下水処理場における下水処理装置(apparatus)であって、
    最初沈殿池と;
    下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備(equipment)と;
    下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置(device)と;
    入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、分岐装置への流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置(device);とからなり、
    分岐装置の出口1が消毒設備の下水導入部に接続され、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置(apparatus)。
  13. 下水処理場における下水処理装置(apparatus)であって、
    最初沈殿池と;
    ばっき槽と;
    最終沈殿池と;
    下水を塩素又はUVで消毒する消毒槽を有する消毒設備(equipment)と;
    下水を臭素系消毒剤によって消毒する臭素下水処理装置(device)と;
    入口と出口1及び出口2を有し、最初沈殿池からの流出水を入口に受容して出口1及び出口2に分ける分岐装置であって、流入水量が所定値以下の場合には流入水量の全量を出口1に流し、流入水量が所定値以上の場合には、所定値の水量を出口1に流し、流入水量から所定値の水量を除いた水量を出口2に流す分岐装置(device)と;からなり、
    下水処理装置の導入部に最初沈殿池の下水導入部が接続され、最初沈殿池の出口が分岐装置の入口に接続され、分岐装置の出口1がばっき槽の下水導入部に接続され、ばっき槽の出口が最終沈殿池の下水導入部に接続され、最終沈殿池の出口が消毒設備の下水導入部に接続されて、分岐装置の出口2が臭素下水処理装置の下水導入部に接続されていることを特徴とする下水処理装置。
  14. 臭素下水処理装置が、固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置と、該固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置から供給される固体臭素系消毒剤を、被処理水に添加・混合する消毒剤添加・混合装置とを具備することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の下水処理装置。
  15. 固体臭素系消毒剤の貯留・供給装置が、固体臭素系消毒剤の貯槽と、貯槽内の固体臭素系消毒剤を所定の量計量して排出する定量供給機とを備え、該貯槽及び定量供給機は、圧縮空気をその内部に噴射する複数個の噴射口で構成された固体臭素系消毒剤の撹拌手段を備えている請求項14に記載の下水処理装置。
  16. 定量供給機が、計量手段を有する回転テーブルを備えた請求項15に記載の下水処理装置。
  17. 消毒剤添加・混合装置が、被処理水の一部を受容して固体臭素系消毒剤を混合・溶解する消毒水調製装置と、消毒水を被処理水に投入する手段とを備えた請求項14に記載の下水処理装置。
  18. 消毒剤添加・混合装置が、被処理水が流れる流路内に設置されている請求項17に記載の消毒装置。
  19. 固体臭素系消毒剤の貯留・混合装置及び添加・混合装置が、固体臭素系消毒剤を貯留する貯留槽、貯留槽に接続されており、消毒剤を固体のままで注入点まで移送するための消毒剤移送配管、消毒剤移送配管に接続されており、配管内を移送されてきた固体臭素系消毒剤を消毒対象の被処理水に加える消毒剤注入装置、から構成される請求項14に記載の消毒装置。
  20. 消毒剤が、添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解する請求項14に記載の消毒装置。
  21. 更に、被処理水のサンプルを採取するための分取ラインと、サンプリングされた被処理水サンプルに消毒剤を添加するための消毒剤供給手段と、消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、を備え、有効ハロゲン濃度測定装置によって測定された消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて消毒剤添加・混合装置によって被処理水中に加えられる消毒剤の添加量を制御する消毒剤添加量制御手段を備えた請求項14に記載の下水処理装置。
  22. 更に、消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加する還元剤供給装置と、消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定する有効ハロゲン濃度測定装置と、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて還元剤の添加量を制御する還元剤添加量制御装置を備えた請求項14に記載の下水処理装置。
  23. 下水を消毒処理する方法であって、
    流入下水を、流入下水量が所定値以下の場合には流入下水量の全量を塩素又はUVによって消毒し、流入下水量が所定値以上の場合には、所定値の下水量を塩素又はUVによって消毒し、同時に流入下水量から所定値の下水量を除いた下水量を臭素系消毒剤によって消毒することを特徴とする下水処理方法。
  24. 塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項23に記載の方法。
  25. 塩素又はUVによる消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項23に記載の方法。
  26. 処理対象の下水が合流式下水道の下水である請求項23に記載の方法。
  27. 臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌群数を下水1ccあたり3000個以下にする請求項23に記載の方法。
  28. 臭素系消毒剤による消毒によって下水中の大腸菌数を下水100ccあたり200個以下にする請求項23に記載の方法。
  29. 塩素又はUVによって消毒された下水及び/又は臭素系消毒剤によって消毒された下水を公共水域に流す請求項23に記載の方法。
  30. 臭素系消毒剤による消毒処理の時間が3分以内である請求項23に記載の方法。
  31. 臭素系消毒剤として固体の臭素系消毒剤を被処理水に添加・混合して消毒を行う請求項23に記載の方法。
  32. 臭素系消毒剤として、固体の臭素系系消毒剤を被処理水の一部に混合・溶解して消毒水を調製し、調製された消毒水を被処理水に投入することによって消毒を行う請求項23に記載の方法。
  33. 消毒剤が、添加位置から被処理水の放流箇所へ流れ着くまでの間に完全に溶解する請求項23に記載の方法。
  34. 被処理水の一部をサンプリングして臭素系消毒剤を添加し、臭素系消毒剤が添加された被処理水サンプルの有効ハロゲン濃度を測定して、測定された臭素系消毒剤添加後の被処理水サンプル中の有効ハロゲン濃度の減少程度に応じて被処理水に加える臭素系消毒剤の添加量を制御することを更に含む請求項23に記載の方法。
  35. 臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中の有効ハロゲン濃度を測定し、測定された消毒剤添加後の被処理水中の有効ハロゲン濃度に応じて、臭素系消毒剤を添加した後の被処理水中に還元剤を添加する請求項23に記載の方法。

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