JP4029719B2 - 排水の消毒方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合流雨水処理水、分流雨水処理の越流水などの排水を公共用水域に放流する前に排水を消毒する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
雨天時における合流式下水道の分水人孔或いはポンプ場から消毒されないで放流される越流水は、公共用水域の汚染の原因となり重大な衛生的な問題を引き起こす。また、下水処理場においては、雨天時は簡易処理(通常は最初沈殿池における沈殿のみ)された水が消毒後に放流されており、この場合、十分な接触時間を確保できてないために不十分な消毒状態のまま放流されている。
【0003】
現在、下水(排水)処理の消毒用に一般的に用いられているのは、次亜塩素酸ナトリウム又は塩素などの塩素系消毒剤である。例えば、特許文献1には、次亜塩素酸ナトリウムと酸性水溶液とを混合して殺菌水とすることが記載されている。特に次亜塩素酸ナトリウムは安価で取扱が容易である。しかし、被処理水中にアンモニア性窒素が含まれている場合は遊離塩素とアンモニア性窒素が速やかに反応して結合塩素(クロラミン)になり、結合塩素(クロラミン)は遊離塩素と比べて大幅に消毒速度が小さいため、十分な接触時間を確保できない場合は消毒が不十分となるだけでなく、未反応の大量の結合塩素が公共用水域に放流されるという問題点がある。
【0004】
また、下水処理場の塩素混和池においては、処理されてSSやBODが低減された水を消毒対象とし、通常は接触時間を15分確保できているので、消毒効果が損なわれることは少ない。しかし、合流式下水道の簡易処理水の場合は、対象となる排水のSSやBODが通常の処理水より高く、また接触時間は短くなる場合が多いため、十分な消毒効果が得られない場合が多い。また、合流式下水道のポンプ場においては、沈砂池の前段で薬剤を注入しても数分程度(短い場合は2〜3分)の接触時間しか確保できなく、かつ排水中のSS、BODやアンモニア性窒素が高いため十分な消毒効果が得られない。
【0005】
他に、下水(排水)処理の消毒用に用いられているものとして、オゾンによる消毒がある。オゾンによる消毒は、アンモニア性窒素との反応がなく安定して消毒効果を発揮することができる。しかし、装置が高価であるとともに、未反応のオゾンが公共用水域に放流されたときに気化したオゾンによる人の健康面への悪影響がある。
【0006】
その他に、最近では、臭素系消毒剤が次亜塩素酸ナトリウムの代替として下水(排水)処理の消毒用に用いられている。これは主に固体のBCDMH(ブロモクロロジメチルヒダントイン)を溶解して用いるものであり、水中で次亜臭素酸が生成することにより消毒されるものである。臭素系消毒剤は塩素系消毒剤と比較してアンモニア性窒素と反応して結合塩素(クロラミン)になりにくいため、消毒効果が低減することはなく、合流式下水道の消毒剤として適している。しかし、臭素系消毒剤は高価でありランニングコストが大きくなるとともに、固体を溶解させるための煩雑な設備を必要とする。
【0007】
二酸化塩素は、水道の消毒剤としては海外で一般的に用いられている。二酸化塩素は、アンモニア性窒素と反応することがなく、安定して消毒効果を発揮することができる。しかし、原料の亜塩素酸ナトリウムが高価なため、二酸化塩素の使用は高価であり、ランニングコストが高い。
【0008】
薬剤を用いない下水(排水)処理の消毒方法としては、紫外線(UV)殺菌が一部用いられている。しかし、SSなどが存在すると大腸菌に紫外線が当たらないため殺菌効果が大幅に低下する問題点がある。合流式下水道の越流水はSS濃度が高いため、紫外線殺菌の適用は効果的でない。
【0009】
【特許文献1】
登録実用新案3085356号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、いずれの技術をとっても、消毒が不充分であったり、結合塩素が公共用水域に放流され、生態系へ悪影響を及ぼしたり、ランニングコストがかかったり、煩雑な設備を必要とする等の問題点がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を鑑み、接触時間が短く、SS、BODやアンモニア性窒素が高い条件でも充分な消毒が行え、生態系へ悪影響を及ぼさず、かつシンプルで安価な排水の消毒方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。
【0013】
まず、接触時間が短く、SS、BODやアンモニア性窒素が高い条件でも充分な消毒を行うためには、排水の汚濁状況(被処理水の水質の変化)又はさらに排水中の残留塩素濃度に迅速に対応することが重要である。具体的には、排水中の汚濁物質濃度(例えば濁度、SS濃度、BOD濃度、アンモニア性窒素濃度)に応じて、水溶液(消毒剤)を選択し、切り替えを行い、又はさらに排水中の残留塩素濃度に応じて、水溶液(消毒剤)の注入量を変更する。
【0014】
そして、「汚濁物質の濃度が高く排水の負荷が高い時には二酸化塩素を注入、汚濁物質濃度が低く排水の負荷が低いときには次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入」「残留塩素濃度が高い時には、水溶液(消毒剤)注入量を下げる」を基本的な考えとして、さまざまなケ−スに複数の注入パタ−ン(消毒剤(水溶液)組み合わせ)を準備し、注入パタ−ン、注入量を選択し、切り替えて消毒を行う。
【0015】
さらに、注入パタ−ンの選択は一つのパタ−ンの選択だけではなく、複数のパタ−ンを同時に選択することも可能とする。
【0016】
本発明は上記のような知見に基づいてなされたものであり、以下のような構成を有する。
【0017】
[1]SS濃度およびBOD濃度が500mg/l以下の排水、または、SS濃度およびBOD濃度が500mg/lを超える排水の消毒方法であって、前記排水中のアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度に応じて下記の3パターンから水溶液を選択し排水に注入することを特徴とする排水の消毒方法。
(1)排水中のアンモニア性窒素濃度が 5mg/l以下、SS濃度が500mg/l以下、BOD濃度が500mg/l以下の場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(2)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l超え、BOD濃度が500mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液の組み合わせ
(3)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより生成される二酸化塩素水溶液
【0021】
[2]次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段と、酸水溶液供給手段と、亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段と、前記各供給手段から供給される水溶液を混合する混合手段と、前記混合手段により混合された混合溶液をSS濃度およびBOD濃度が500mg/l以下の排水、または、SS濃度およびBOD濃度が500mg/lを超える排水に注入する混合溶液注入手段を備えた排水消毒装置において、前記排水中のアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度を直接又は間接的に求める汚濁物質濃度測定手段と、該汚濁物質濃度測定手段により得られたアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度に応じて下記の3パターンから前記混合手段に供給される水溶液を選択し、変更する水溶液選択手段とを設けたことを特徴とする排水消毒装置。
1)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l以下、BOD濃度が500mg/l以下の場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液
(2)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l超え、BOD濃度が500mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液の組み合わせ
(3)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより生成される二酸化塩素水溶液
[3]前記[2]に記載の排水消毒装置において、さらに、前記排水へ、直接、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する手段を備えたことを特徴とする排水消毒装置。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の排水消毒装置の一実施形態を示すものである。図1において、1は次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段、2は酸水溶液供給手段、3は亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段、4は前記各供給手段1〜3から供給される次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合する混合手段、5は混合手段4で混合された混合溶液を排水に注入する混合溶液注入手段、6は排水中の汚濁物質の濃度を求める汚濁物質濃度測定手段、7は汚濁物質濃度測定手段6により得られた測定値に応じて前記混合手段4に供給される水溶液を選択し、変更する水溶液選択手段7である。さらに、混合溶液注入手段5より排水に水溶液が注入されたあとには、無機物及び粗い浮遊物を除去して土砂の堆積を防止しポンプなどの磨耗や閉塞を防ぐための沈砂池8、排水用ポンプを設置するポンプ井9が設けられている。
【0026】
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段1、前記酸水溶液供給手段2、前記亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段3は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合する混合手段4に導かれている。そして、各供給手段1、2、3は、それぞれの被供給物の供給量を任意に調整し、且つ供給を停止することができる。
【0027】
前記混合手段4は、前記各供給手段1、2、3から供給された次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を撹拌し、二酸化塩素水溶液を生成することができる。
【0028】
前記混合溶液注入手段5は、水溶液の流量を制御しながら排水に注入できる構造となっている。また、前記混合溶液注入手段5は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより混合手段4で生成された二酸化塩素水溶液、あるいは二酸化塩素水溶液を使用しない場合は次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液の1種または2種を排水に注入するといったように、条件に合わせ適宜使い分けられる。
【0029】
前記汚濁物質濃度測定手段6は、排水中の汚濁物質濃度を直接又は間接的に求めるものであり、排水中の汚濁物質濃度を排水から直接測定する機能と、水量、水位、降水量等の汚濁物質濃度と関連する値から、予め求めておいたそれらの値と汚濁物質濃度との関係を用いて汚濁物質濃度を推測する機能の両方を有している。
【0030】
図1によれば、流入してきた排水は、まず、汚濁物質濃度測定手段6によって、排水の汚濁状況(被処理水の水質変化)が求められ、汚濁物質濃度測定手段6によって得られた情報(汚濁物質濃度)が水溶液選択手段7に送られる。水溶液選択手段7では、汚濁物質濃度測定手段6によって得られた情報(汚濁物質濃度)に応じて、水溶液の注入パタ−ンを選択し切り替えを行う。次いで、次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段1、酸水溶液供給手段2、亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段3の供給切り替えにより、選択した注入パタ−ンに基づき、水溶液の注入パタ−ンの切り替えが行われ、選択した注入パタ−ンの混合溶液が混合溶液注入手段5より排水に注入される。すなわち、二酸化塩素水溶液が水溶液として注入される場合は、まず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段1、酸水溶液供給手段2、亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段3の供給手段から次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液が混合手段4に供給され混合手段4により二酸化塩素水溶液が生成され混合溶液注入手段5により排水に注入される。また、二酸化塩素水溶液以外の水溶液が注入される場合では、注入パタ−ンに従って次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液の1種または2種が混合溶液注入手段5により排水に注入される。次いで、混合溶液注入手段5より注入された混合溶液により消毒された排水は、沈砂池8、ポンプ井9を通過し、放流される。
【0031】
図2は、本発明の排水の消毒装置の他の実施形態を示すものである。図2において、10は次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段、11は注入量決定手段である。なお、その他の構造は図1と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
図2によれば、流入してきた排水は、まず、汚濁物質濃度測定手段6によって、排水の汚濁状況(被処理水の水質変化)が測定され、汚濁物質濃度測定手段6によって得られた情報(汚濁物質濃度)が注入量決定手段11に送られる。注入量決定手段11では、汚濁物質濃度測定手段6によって得られた情報(汚濁物質濃度)をもとに、混合溶液注入手段5と次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段10の注入量の決定を行う。次いで、混合溶液注入手段5と次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段10の注入量の調整により、決定した各注入量に基づき、混合溶液注入手段5と次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段10より二酸化塩素水溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液が排水に注入される。次いで、消毒された排水は、沈砂池8、ポンプ井9を通過し、放流される。
【0033】
以上のように、排水中の汚濁物質濃度(例えば濁度、SS濃度、BOD濃度、アンモニア性窒素濃度)またはさらに排水中の残留塩素濃度に応じて、水溶液(消毒剤)の注入パタ−ン、注入量を選択し、切り替えを行うことが本発明の特徴である。
【0034】
注入パタ−ンの選択は、「汚濁物質の濃度が高く排水の負荷が高い時には二酸化塩素水溶液を注入、汚濁物質濃度が低く排水の負荷が低いときには次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入」を基本的な考えとして排水中の汚濁物質濃度に応じて複数の注入パタ−ンを準備し、注入パタ−ンを選択し、切り替えて消毒を行う。
【0035】
また、注入パタ−ンの選択は一つのパタ−ンの選択だけではなく、複数のパタ−ンを同時に選択することも可能である。
【0036】
例えば、注入パタ−ンの切り替えは、消毒前の排水のアンモニア性窒素濃度、SS濃度及びBOD濃度が共に低い時は次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみ、アンモニア性窒素濃度は低いが、SS濃度、BOD濃度が高い時は次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液との組み合わせ、アンモニア性窒素濃度が高い時は二酸化塩素水溶液を水溶液(消毒剤)として選択し排水に注入する。この場合、▲1▼次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみ、▲2▼次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液、▲3▼次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液から生成される二酸化塩素水溶液の3種類の注入パタ−ンを準備し、排水の汚濁物質濃度に応じて上記3種類の注入パタ−ンを選択し、パタ−ンの切り替えを行うことにより、排水の消毒を行う。
【0037】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみを消毒剤として排水に注入する場合は、アンモニア性窒素濃度、SS濃度及びBOD濃度が共に低い場合(例えば、アンモニア性窒素濃度: 5mg/l以下、SS濃度: 500mg/l以下、BOD濃度:500mg/l以下)である。アンモニア性窒素濃度が低いので、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアが共存するために生成する結合塩素(クロラミン)がほとんど発生せず、かつ排水は充分に消毒される。さらに、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみの使用のため、安価であり、必要最低限のランニングコストで消毒が完了する。
【0038】
次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液の組み合わせで排水に注入する場合は、アンモニア性窒素濃度は低い(例えば5mg/l以下)が、SS濃度、BOD濃度が高い場合(例えば、SS濃度: 500mg/l超え、BOD濃度: 500mg/l超え)である。この場合、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみでも排水を消毒することは可能であるが、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみで消毒を行った場合、消毒を完了するまでに時間がかかり、かつ確実に消毒が行えない場合もある。このように、消毒条件が厳しい場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液を組み合わせて行うことにより、短時間で、確実に排水の消毒が可能となる。また、硫酸などの酸水溶液を注入することにより、局所的にpHが低下する。そして、pHの低下に伴い、結合塩素(クロラミン)の生成速度が低くなり、消毒効果が大きい遊離塩素で存在する可能性が高くなり、結果として、次亜塩素酸の割合が高くなり、消毒効果が大きくなる。このように、全体としてpHが下がるほど酸水溶液を注入しないでも、混合進行段階(薬剤と水との完全混合ができてない段階)での局所的なpH低下による消毒効果が期待できる。
【0039】
二酸化塩素水溶液のみ排水に注入する場合は、アンモニア性窒素濃度が高く(例えば5mg/l超え)、排水を消毒するにあたり、負荷がかかる場合である。二酸化塩素水溶液を使うことにより、短時間で効率よく排水を消毒できる。
【0040】
また、図2に示すように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段を別に新たに設けた場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と二酸化塩素水溶液の両方を、注入箇所を分けて排水に注入することが可能となる。例えば、アンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度が共に高い場合(例えば、アンモニア性窒素濃度: 5mg/l超え、SS濃度: 500mg/l超え、BOD濃度: 500mg/l超え)に、二酸化塩素水溶液のみの注入パタ−ンではなく、次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入パタ−ンと二酸化塩素水溶液注入パタ−ンを順次または同時に組み合わせて排水の消毒を行うことにより、還元性物質が次亜塩素酸ナトリウムと反応して、二酸化塩素と還元性物質との反応は減り、消毒以外のための二酸化塩素水溶液消費量を減らすことができる。結果として、二酸化塩素水溶液消費量が減少し、ランニングコストが低減する。
【0041】
なお、本発明において、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を基とする水溶液(消毒剤)の注入パタ−ンは上記に例示された組み合わせに限定されず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液の組み合わせとして、考えられるパタ−ンも本発明の範囲に含むものとする。
【0042】
また、本発明においては、残留塩素濃度に応じて水溶液の注入量を変更することができる。排水中の残留塩素濃度に基づく注入量の変更は、「残留塩素の濃度が高い時には水溶液の注入量を下げる」を基本的な考えとして、例えば、汚濁物質濃度に応じて注入する水溶液を選択後、残留塩素濃度に応じて水溶液の注入量を変更する、例えば、汚濁物質の濃度に応じて決定された注入量に基づき排水に水溶液を注入した後、さらに、前記排水中の残留塩素濃度に応じて水溶液注入量を変更する。また、残留塩素濃度は、公共用水域に放流するところにできるだけ近い箇所で測定することが好ましい。
【0043】
具体的な例としては、排水中の汚濁物質濃度から、まず次亜塩素酸ナトリウムのみを水溶液として選択し、次亜塩素酸ナトリウムのみを排水に注入した後、遊離塩素濃度を測定し、遊離塩素濃度に基づき、二酸化塩素水溶液の排水への注入量を増減させる。この場合遊離塩素が検出した時には二酸化塩素水溶液を排水に注入せず、遊離塩素が検出されない時のみ二酸化塩素水溶液の注入を開始することも可能である。次亜塩素酸ナトリウムが完全に消費されるまたは完全に結合塩素になっていない、すなわち遊離塩素がある程度排水中に存在すると、遊離塩素との反応により二酸化塩素が分解され二酸化塩素水溶液による消毒効果が減少する。しかし、遊離塩素が検出されない場合は、二酸化塩素水溶液を排水に注入しても遊離塩素との反応により二酸化塩素が分解される可能性がない。このように、まず、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を排水に注入し、二酸化塩素を分解し二酸化塩素水溶液の消毒効果を減少させる遊離塩素が消費された後で、二酸化塩素水溶液を排水に注入することにより、二酸化塩素水溶液の消毒効果を充分に発揮させ、そして、消毒不充分な点を補うことが可能となる。
【0044】
以上より、設備上の制約がない限りにおいて、例えば図2の次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段のように、注入手段をあらたにもう一つ設けることが好ましい。注入手段を2つ設けることにより、水溶液(消毒剤)の注入パタ−ンの組み合わせの幅が拡がり、排水(処理水)の水質に適した水溶液(消毒剤)を必要最低限の量でより効率的に消毒を行うことができる。
【0045】
さらに、水溶液(消毒剤)注入箇所としては、上記に示した以外にポンプ井等があり、排水を公共用水域に放流する前に消毒できる所であればよく、特に限定はしない。
【0046】
また、本発明において、汚濁物質とは、排水中に含まれ、環境に悪影響を及ぼすものであり、例えば、濁度、SS、BOD、アンモニア性窒素等である。設備条件により異なるが、消毒前の排水中に含まれる各汚濁物質の濃度は、一般的に濁度は500度以下、SS濃度は500mg/l以下、BOD濃度は500mg/l以下、アンモニア性窒素濃度は5mg/l以下が好ましい。ゆえに、汚濁物質の各濃度は上記濃度を超えた場合は、注入パタ−ンの切り替えて消毒を行うことが好ましい。
【0047】
二酸化塩素水溶液は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより生成される。なお、二酸化塩素水溶液の生成方法は、一般に次亜塩素酸ナトリウム水溶液、硫酸などの酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液の3液をオンサイトで混合して生成するものである。
【0048】
また、本発明において、排水中の汚濁物質濃度は、直接排水から汚濁物質濃度を測定しても、水量、水位、降水量等の汚濁物質濃度と関連する値から、予め求めておいたそれらの値と汚濁物質濃度との関係を用いて汚濁物質濃度を推測してもどちらでもよい。
【0049】
【実施例】
図1を用いて、▲1▼次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみ、次いで▲2▼二酸化塩素水溶液のみ、さらに▲3▼次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみを順次用いて排水の消毒を行った。ここで、ポンプ井の前に残留塩素濃度計(遊離塩素測定)を設置(図示せず)し、遊離塩素の濃度を測定し、測定値をもとに、▲1▼から▲2▼、▲2▼から▲3▼と排水への消毒剤の注入パタ−ンの切り替えを行った。と、同時に消毒の効果を測定するために、排水の大腸菌群数も測定した。遊離塩素濃度が0.1mg/l未満に減少した時に、注入パタ−ンを▲1▼から▲2▼に、遊離塩素濃度が0.1mg/l以上に増加した時に、注入パタ−ンを▲2▼から▲3▼に切り替えを行い、結果として、大腸菌群数は3000個/ml以下となり、充分に消毒が行われていた。
【0050】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、接触時間が短い場合、または、SS、BOD、アンモニア性窒素等の濃度が高い条件の場合でも、確実に消毒を行うことができ、結果として、排水中に含まれる大腸菌の数を大幅に減らすことができる。具体的には放流水の大腸菌群数を次亜塩素酸ナトリウム水溶液(または塩素)のみを消毒に用いた場合には達成できない3000個/ml以下を安定して達成することができる。また、煩雑な設備を必要としない安価な消毒装置を提供することができる。
【0051】
さらに、排水の汚濁状況(被処理水の水質の変化)等に合わせて注入パタ−ン、注入量を切り替えるため、状況に最も適した水溶液(消毒剤)を選択でき、必要最低限の使用量で排水の消毒が充分に行え、ランニングコストを低減することができる。次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入量が次亜塩素酸ナトリウム水溶液のみの使用の時と比べてかなり減少し、過剰な次亜塩素酸ナトリウム水溶液の注入が行われないので、公共用水域の生態系への悪影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水の消毒装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明の排水の消毒装置の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段
2 酸水溶液供給手段
3 亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段
4 混合手段
5 混合溶液注入手段
6 汚濁物質濃度測定装置
7 水溶液選択手段
8 沈砂池
9 ポンプ井
10 次亜塩素酸ナトリウム水溶液注入手段
11 注入量決定手段

Claims (3)

  1. SS濃度およびBOD濃度が500mg/l以下の排水、または、SS濃度およびBOD濃度が500mg/lを超える排水の消毒方法であって、前記排水中のアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度に応じて下記の3パターンから水溶液を選択し排水に注入することを特徴とする排水の消毒方法。
    (1)排水中のアンモニア性窒素濃度が 5mg/l以下、SS濃度が500mg/l以下、BOD濃度が500mg/l以下の場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液
    (2)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l超え、BOD濃度が500mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液の組み合わせ
    (3)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより生成される二酸化塩素水溶液
  2. 次亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段と、酸水溶液供給手段と、亜塩素酸ナトリウム水溶液供給手段と、前記各供給手段から供給される水溶液を混合する混合手段と、前記混合手段により混合された混合溶液をSS濃度およびBOD濃度が500mg/l以下の排水、または、SS濃度およびBOD濃度が500mg/lを超える排水に注入する混合溶液注入手段を備えた排水消毒装置において、前記排水中のアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度を直接又は間接的に求める汚濁物質濃度測定手段と、該汚濁物質濃度測定手段により得られたアンモニア性窒素濃度、SS濃度、BOD濃度に応じて下記の3パターンから前記混合手段に供給される水溶液を選択し、変更する水溶液選択手段とを設けたことを特徴とする排水消毒装置。
    1)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l以下、BOD濃度が500mg/l以下の場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液
    (2)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l以下、SS濃度が500mg/l超え、BOD濃度が500mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液と酸水溶液の組み合わせ
    (3)排水中のアンモニア性窒素濃度が5mg/l超えの場合は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、酸水溶液、亜塩素酸ナトリウム水溶液を混合することにより生成される二酸化塩素水溶液
  3. 請求項2に記載の排水消毒装置において、さらに、前記排水へ、直接、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を注入する手段を備えたことを特徴とする排水消毒装置。
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