JPWO2005085922A1 - 光導波路チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
厳しい使用条件下でも剥離やクラック等を生じず、良好な伝送特性を長期的に安定して維持できる光導波路と、光ファイバの形状及び寸法に合致しかつクラック等が生じない堅固な光ファイバ用ガイド部とを備えている光導波路用チップの製造方法を提供する。光導波路チップ1は、基板5と、コア部7及びクラッド層6、8からなる光導波路3と、光導波路3に接続される光ファイバを位置決めするための光ファイバ用ガイド部4と、カバー部材(ガラス板)5を含む。光導波路3は感光性ポリシロキサン組成物からなる。光ファイバ用ガイド部4は、光導波路3と同一または異なる感光性組成物からなる。光導波路3と光ファイバ用ガイド部4は、別の工程で形成される。
Description
本発明は、光通信に用いられる光合分波器等の光学部品の構成部分として有用な光導波路チップの製造方法に関し、特にシングルモード用光ファイバとの接続に主に用いられる光導波路チップの製造方法に関する。
光導波路に光ファイバを接続するに際し、光導波路の光軸と光ファイバの光軸を高い精度で合わせること(調芯)は、接続箇所における光伝送損失を低減させるために必要不可欠である。
この調芯の一般的方法として、光ファイバの位置を種々に変化させながら、ファイバアレイ及びパワーメータを用いて、光強度が最も大きくなる地点を見出す方法が知られている。しかし、一対のポートを調芯するのに10分間以上の作業時間を要すること、および、高価な調芯手段(ファイバアレイ等)が必要であること等の問題がある。
そのため、高価な調芯手段を用いずにかつ簡便な操作によって、光導波路の光軸と光ファイバの光軸を高い精度で合わせることのできる技術が望まれている。
このような技術として、例えば、支持体上の感光性樹脂にフォトリソグラフ法を施すことにより、光軸合わせ用ガイド及び光導波路を同時に形成させた光デバイスが、提案されている(特開平1−316710号公報参照)。この文献には、光デバイスに用いる感光性樹脂の例として、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどの高分子、多官能性(メタ)アクリレートモノマー及び光開始剤を構成成分とする感光性樹脂組成物が記載されている。
この調芯の一般的方法として、光ファイバの位置を種々に変化させながら、ファイバアレイ及びパワーメータを用いて、光強度が最も大きくなる地点を見出す方法が知られている。しかし、一対のポートを調芯するのに10分間以上の作業時間を要すること、および、高価な調芯手段(ファイバアレイ等)が必要であること等の問題がある。
そのため、高価な調芯手段を用いずにかつ簡便な操作によって、光導波路の光軸と光ファイバの光軸を高い精度で合わせることのできる技術が望まれている。
このような技術として、例えば、支持体上の感光性樹脂にフォトリソグラフ法を施すことにより、光軸合わせ用ガイド及び光導波路を同時に形成させた光デバイスが、提案されている(特開平1−316710号公報参照)。この文献には、光デバイスに用いる感光性樹脂の例として、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどの高分子、多官能性(メタ)アクリレートモノマー及び光開始剤を構成成分とする感光性樹脂組成物が記載されている。
ポリマー系光導波路は、各種の形状のものを容易かつ効率的に製造することができる点で優れているが、厳しい温度条件下においても、剥離やクラック等を生じさせることなく、良好な伝送特性(低い伝送損失)を長期的に安定して維持することが困難であるという問題がある。そのため、これらの特性を全て備えた材料が望まれている。
一方、光ファイバ用ガイド部は、光ファイバを所定の位置に固定するための手段であるため、寸法精度が優れ、クラックや剥離が生じ難いなどの特性を満たすものであればよく、光導波路で必要とされる良好な伝送特性を要求されるものではない。
この点、上述の特開平1−316710号公報に記載された技術では、光導波路と光軸合わせ用ガイド(光ファイバ用ガイド部)は、同じ材料によって形成されている。つまり、光導波路と光軸合わせ用ガイドの各々に要求される特性に応じて材料を使い分けているものではない。
また、特許文献1の技術では、光軸合わせ用ガイド及び光導波路を同時に形成させているため、光軸合わせ用ガイドの高さは、光導波路の高さと同じになっている。そのため、光軸合わせ用ガイドの形状及び寸法の設計の自由度が狭められている。
そこで、本発明は、厳しい使用条件下においても、剥離やクラック等を生じさせることなく、良好な伝送特性(低い伝送損失)を長期的に安定して維持することができる光導波路を備えるとともに、光ファイバの形状及び寸法に合致しかつクラック等が生じることがない堅固な光ファイバ用ガイド部を備えている光導波路用チップを、低コストで容易かつ効率的に製造することのできる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、光導波路及び光ファイバ用ガイド部を含む光導波路チップの製造方法において、光導波路の材料として特定の感光性組成物を用いるとともに、光導波路と光ファイバ用ガイド部とを別の工程で形成させれば、上記課題を解決することができることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の光導波路チップの製造方法は、光導波路と、該光導波路に接続される光ファイバを位置決めするための光ファイバ用ガイド部とを含む光導波路チップの製造方法であって、(A)感光性ポリシロキサン組成物を用いて、前記光導波路を形成する工程と、(B)前記光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物を用いて、前記光ファイバ用ガイド部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の光導波路チップの製造方法は、(C)前記工程(A)で形成された光導波路の上面にカバー部材を固着させる工程、を含むことができる。
本発明の光導波路チップの製造方法における感光性ポリシロキサン組成物の好適な一例として、下記成分(a)及び(b):
(a)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]及び
(b)光酸発生剤
を含有し、かつ、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物が挙げられる。
本発明の方法で得られる光導波路用チップの構成部分である光導波路は、感光性ポリシロキサン組成物の硬化物からなるため、厳しい使用条件下においても、剥離やクラック等が生じることがなく、良好な伝送特性(低い伝送損失)を長期的に安定して維持することができる。
なお、感光性ポリシロキサン組成物を用いて、光導波路と光ファイバ用ガイド部とを同時に一体的に作製し、水平方向の断面が略Y字状等の成形体を形成した場合には、光導波路と光ファイバ用ガイド部の境目付近にクラックが生じ易くなる。この点、本発明では、光導波路の形成と光ファイバ用ガイド部の形成を別工程で行っているので、このようなクラックの発生を効果的に防止することができる。
また、光ファイバ用ガイド部は、光導波路とは別の工程で形成されるため、材料、形状、寸法等の選択の自由度が高く、例えば、低コストの材料を用いて光導波路チップの製造コストの削減を図ったり、あるいは、厚さ(基材からの高さ)を光導波路よりも小さくして製造効率の向上及び材料の量の節減を図ることができる。
さらに、光導波路及び光ファイバ用ガイド部が共に、フォトリソグラフ法を適用可能な感光性組成物を用いて形成されるものであるため、低コストで容易かつ効率的に光導波路用チップを作製することができる。
一方、光ファイバ用ガイド部は、光ファイバを所定の位置に固定するための手段であるため、寸法精度が優れ、クラックや剥離が生じ難いなどの特性を満たすものであればよく、光導波路で必要とされる良好な伝送特性を要求されるものではない。
この点、上述の特開平1−316710号公報に記載された技術では、光導波路と光軸合わせ用ガイド(光ファイバ用ガイド部)は、同じ材料によって形成されている。つまり、光導波路と光軸合わせ用ガイドの各々に要求される特性に応じて材料を使い分けているものではない。
また、特許文献1の技術では、光軸合わせ用ガイド及び光導波路を同時に形成させているため、光軸合わせ用ガイドの高さは、光導波路の高さと同じになっている。そのため、光軸合わせ用ガイドの形状及び寸法の設計の自由度が狭められている。
そこで、本発明は、厳しい使用条件下においても、剥離やクラック等を生じさせることなく、良好な伝送特性(低い伝送損失)を長期的に安定して維持することができる光導波路を備えるとともに、光ファイバの形状及び寸法に合致しかつクラック等が生じることがない堅固な光ファイバ用ガイド部を備えている光導波路用チップを、低コストで容易かつ効率的に製造することのできる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、光導波路及び光ファイバ用ガイド部を含む光導波路チップの製造方法において、光導波路の材料として特定の感光性組成物を用いるとともに、光導波路と光ファイバ用ガイド部とを別の工程で形成させれば、上記課題を解決することができることに想到し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の光導波路チップの製造方法は、光導波路と、該光導波路に接続される光ファイバを位置決めするための光ファイバ用ガイド部とを含む光導波路チップの製造方法であって、(A)感光性ポリシロキサン組成物を用いて、前記光導波路を形成する工程と、(B)前記光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物を用いて、前記光ファイバ用ガイド部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の光導波路チップの製造方法は、(C)前記工程(A)で形成された光導波路の上面にカバー部材を固着させる工程、を含むことができる。
本発明の光導波路チップの製造方法における感光性ポリシロキサン組成物の好適な一例として、下記成分(a)及び(b):
(a)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]及び
(b)光酸発生剤
を含有し、かつ、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物が挙げられる。
本発明の方法で得られる光導波路用チップの構成部分である光導波路は、感光性ポリシロキサン組成物の硬化物からなるため、厳しい使用条件下においても、剥離やクラック等が生じることがなく、良好な伝送特性(低い伝送損失)を長期的に安定して維持することができる。
なお、感光性ポリシロキサン組成物を用いて、光導波路と光ファイバ用ガイド部とを同時に一体的に作製し、水平方向の断面が略Y字状等の成形体を形成した場合には、光導波路と光ファイバ用ガイド部の境目付近にクラックが生じ易くなる。この点、本発明では、光導波路の形成と光ファイバ用ガイド部の形成を別工程で行っているので、このようなクラックの発生を効果的に防止することができる。
また、光ファイバ用ガイド部は、光導波路とは別の工程で形成されるため、材料、形状、寸法等の選択の自由度が高く、例えば、低コストの材料を用いて光導波路チップの製造コストの削減を図ったり、あるいは、厚さ(基材からの高さ)を光導波路よりも小さくして製造効率の向上及び材料の量の節減を図ることができる。
さらに、光導波路及び光ファイバ用ガイド部が共に、フォトリソグラフ法を適用可能な感光性組成物を用いて形成されるものであるため、低コストで容易かつ効率的に光導波路用チップを作製することができる。
第1図は、本発明の光導波路チップの一例を示す斜視図であり、第2図は、第1図に示す光導波路チップの製造方法の一例を示すフロー図である。
本発明の光導波路チップの製造方法は、光導波路と、該光導波路に接続される光ファイバを位置決めするための光ファイバ用ガイド部とを含む光導波路チップの製造方法であって、(A)感光性ポリシロキサン組成物を用いて、前記光導波路を形成する工程と、(B)前記光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物を用いて、前記光ファイバ用ガイド部を形成する工程とを含むものである。
なお、工程(A)と工程(B)は、いずれか一方を前工程とし、他方を後工程として定められる。
本発明の方法で得られる光導波路チップの典型的な例は、(A)基材と、(B)基材の上に形成される光導波路と、(C)光導波路に接続される光ファイバを位置決めするために基材の上に形成される光ファイバ用ガイド部と、(D)必要に応じて光導波路の上面に固着して配設されるカバー部材とを含むものである。
以下、各構成部分(A)〜(D)を詳しく説明する。
[A.基材]
基材の例としては、シリコンウエハ等の基板が挙げられる。
[B.光導波路]
光導波路は、コア部と、コア部の周囲に形成されかつコア部よりも屈折率が小さいクラッド層を含むものである。
光導波路の典型的な例としては、基材の上に形成された下部クラッド層と、下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部と、コア部を被覆するように下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とからなるものが挙げられる。
本発明において、光導波路の材料としては、感光性ポリシロキサン組成物が用いられる。感光性ポリシロキサン組成物は、他の光導波路形成材料と比べて、耐候性、耐擦傷性等に優れている。
感光性ポリシロキサン組成物の好ましい例としては、下記成分(a)〜(c):
(a)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]、
(b)光酸発生剤、及び
(c)必要に応じて配合される有機溶媒、酸拡散制御剤等の他の成分を含有し、かつ、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物が挙げられる。
ここで、「シラノール基」とは、「Si−OH」のようにケイ素に直接結合した水酸基を表すものである。
上記成分(a)〜(c)(ただし、成分(c)は任意成分であり、配合しなくてもよい。)を含む感光性ポリシロキサン組成物を用いて光導波路を形成すれば、放射線照射の際に優れたパターニング性等が得られる他、可視域から近赤外域に亘る広範囲の波長を有する光について低い導波路損失を長期的に安定して確保することができ、かつ、優れた耐クラック性、耐熱性、透明性等を得ることができる。
以下、成分(a)〜(c)の各々について詳しく説明する。
[成分(a)]
成分(a)は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上である。
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
加水分解性シラン化合物の加水分解物とは、例えば加水分解反応によりアルコキシ基がシラノール基に変化した生成物を意味するばかりでなく、一部のシラノール基同士、あるいはシラノール基とアルコキシ基が縮合した部分縮合物をも意味するものである。
成分(a)中のシラノール基の含量は、好ましくは、1〜10mmol/gである。
成分(a)は、一般に、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、またはこれと一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を加熱することにより得ることができる。加熱によって加水分解性シラン化合物が加水分解されて加水分解物となり、あるいは該加水分解物が縮合反応を起こして、成分(a)が生成する。
[一般式(1)中の有機基R1]
一般式(1)中のR1は、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基である。ここで、非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。このような非加水分解性の有機基として、フッ素化アルキル基やフッ素化アリール基等を挙げることができる。フッ素化アルキル基の例としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。また、フッ素化アリール基の例としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
中でも、CnF2n+1(CH2)m−[mは0〜5の整数、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12である。]で表されるフッ素化アルキル基が好ましく、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等のようなフッ素含有量が大きく、かつ長鎖のものが特に好ましい。この場合、フォトリソグラフ法によって光導波路を製造する際のパターニング性や、光導波路の耐クラック性及び光学特性(低い伝送損失)等をより一層向上させることができる。
一般式(1)中のpは、好ましくは1である。
[一般式(1)中の有機基R2]
一般式(1)中のR2は、炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)である。R2としては、非重合性の有機基及び重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。
ここで、非重合性の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はこれらを重水素化若しくはハロゲン化したもの等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、重水素化アリール基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
なお、非重合性の有機基として、ヘテロ原子を含む構造単位を有する基を用いてもよい。該構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
重合性の有機基は、分子中にラジカル重合性の官能基及びカチオン重合性の官能基の両方あるいはいずれか一方を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を生じさせて、組成物をより効果的に硬化させることができる。
なお、カチオン重合性の官能基は、ラジカル重合性の官能基よりも好ましい。成分(b)(光酸発生剤)は、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応も同時に生じさせるからである。
一般式(1)中のqは、好ましくは0である。
[一般式(1)中の加水分解性基X]
一般式(1)中のXは、加水分解性基である。ここで、加水分解性基とは、通常、1気圧でかつ触媒及び過剰の水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基である。
ここで触媒としては、酸触媒、又はアルカリ触媒が挙げられる。
酸触媒の例としては、1価もしくは多価の有機酸や無機酸、ルイス酸等が挙げられる。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、金属化合物、Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等が挙げられる。
アルカリ触媒の例としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物や、アミン類、酸性塩、塩基性塩等が挙げられる。
加水分解に必要な触媒の添加量は、全シラン化合物に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.002〜1質量%である。
加水分解性基Xの例としては、例えば、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜12のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基などの他、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基や、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基や、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
[一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の例]
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の例としては、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
中でも、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランや3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン等が好ましい。
[他の加水分解性シラン化合物の例]
任意成分として、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を用いてもよい。
このような加水分解性シラン化合物の例として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
[成分(a)の調製方法]
成分(a)の調製方法は、シラノール基の含量を特定の数値範囲(全Si上の結合基中で10〜50%)を外れたものとしない限り、特に限定されないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程からなる方法を挙げることができる。なお、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解物には、一部未加水分解の加水分解性基が残っていてもよい。この場合、成分(a)は、加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
1)一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物と酸触媒とを、攪拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、得られた溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中において、有機溶媒及び加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で攪拌しながら、水を滴下した後、0〜150℃で、1〜24時間の間加熱攪拌する。なお、加熱攪拌中、必要に応じて、蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは有機溶媒を置換することも好ましい。
前記1)〜3)の工程からなる方法において、最終硬化物の屈折率や、組成物の硬化性、粘度等を調整するために、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を混合させて、シロキサンオリゴマーを調製することもできる。この場合、上記1)の工程において、一般式(1)の加水分解性シラン化合物及び他の加水分解性シラン化合物を添加して混合した後、加熱して反応させればよい。
[成分(a)の好ましい態様]
成分(a)は、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
[式中、R3はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R4はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、R3と同じでもよい。]
成分(a)が上記構造を有していると、耐クラック性等をより一層向上させることができる。
成分(a)はさらに、下記一般式(4)及び(5)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
[式中、R5はフェニル基、あるいはフッ素化フェニル基、R6はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であってR5と同じでもよい。]
一般式(4)または一般式(5)の構造を有する化合物の例としては、上述の一般式(1)、または一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物の例のうち、フェニル基またはフッ素化フェニル基を有する化合物等が挙げられる。中でも、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。
成分(a)が上記構造を有していると、光導波路の耐熱性、パターニング性等をより一層向上させることができる。
[感光性ポリシロキサン組成物中のシラノール基含量]
感光性ポリシロキサン組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール基の含有率は、好ましくは10〜50%、より好ましくは20〜40%である。該値をこの数値範囲内に定めれば、パターニング性及び伝送特性(低い導波路損失)をより一層向上させることができる。
[成分(b)]
成分(b)は光酸発生剤である。成分(b)は、放射線の照射によって分解し、成分(a)を光硬化させる酸性活性物質を放出する。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等が挙げられる。中でも、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
成分(b)の例としては、下記一般式(6)で表される構造を有するオニウム塩や、下記一般式(7)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体等が挙げられる。
[R7 aR8 bR9 cR10 dW]+m[MZm+n]−m (6)
[式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、Q、I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R7、R8、R9及びR10は同一または異なる有機基であり、a、b、c及びdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
Qs−〔S(=O)2−R11〕t (7)
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R11は炭素数1〜12の1価の有機基、sは0又は1、tは1又は2である。]
[一般式(6)のオニウム塩]
一般式(6)中のアニオン[MZm+n]の例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 −)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
一般式(6)中のアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH−]で表されるアニオンを使用することもできる。また、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO4 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO4 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
一般式(6)で表されるオニウム塩の好ましい例としては、芳香族オニウム塩が挙げられる。芳香族オニウム塩の好ましい例としては、トリアリールスルホニウム塩、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩あるいはトリアリールヨードニウム塩等が挙げられる。
[式中、R12及びR13は、各々独立して水素又はアルキル基、R14は水酸基または−OR15(但し、R15は1価の有機基である。)を示し、aは4〜7の整数、bは1〜7の整数である。ナフタレン環への各置換基の結合位置は特に限定されない。]
[R16−Ph1−I+−Ph2−R17][Y−] (9)
[式中、R16及びR17は、各々1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R16及びR17の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ph1及びPh2は各々芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y−は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 −、CF3SO3 −から選ばれる陰イオンである。]
一般式(8)で表される化合物の例としては、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジヒドロキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩の例としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等が挙げられる。
[一般式(7)のスルフォン酸誘導体]
一般式(7)で表されるスルフォン酸誘導体の例としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等が挙げられる。中でも、イミドスルホネート類が好ましく、トリフルオロメチルスルホネート誘導体が特に好ましい。
成分(b)(光酸発生剤)の添加量は、特に限定されるものではないが、成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。該添加量が0.1質量部未満では、光硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向がある。該添加量が15質量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する傾向がある。
[成分(c)]
感光性ポリシロキサン組成物には、成分(a)、成分(b)の他に、有機溶媒、酸拡散制御剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合することができる。
このうち、有機溶媒及び酸拡散制御剤について以下に詳しく説明する。
(1)有機溶媒
感光性ポリシロキサン組成物の成分として有機溶媒を用いることによって、当該組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
有機溶媒としては、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒等が挙げられる。通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、各成分を均一に溶解させることのできる有機溶媒を用いることが、好ましい。
このような有機溶媒の例としては、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、モノアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒、含硫黄系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、一種単独であるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
有機溶媒の好ましい例としては、組成物の保存安定性の向上の観点から、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。より好ましい例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、メタノール等が挙げられる。
有機溶媒の種類は、組成物の塗布方法等を考慮して選択される。例えば、均一な厚さを有する薄膜を容易に得るためにスピンコート法を用いた場合には、有機溶媒として、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類等が好ましく用いられる。中でも、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンが特に好ましく用いられる。
有機溶媒の配合量は、成分(a)100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは2〜200質量部である。該配合量をこの数値内に定めれば、組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
有機溶媒の添加方法は、特に制限されるものではなく、例えば、成分(a)を製造する際に添加してもよいし、あるいは、成分(a)及び成分(b)を混合する際に添加してもよい。
(2)酸拡散制御剤
酸拡散制御剤は、光照射によって光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制する作用を有する化合物である。ただし、酸拡散制御剤は、光酸発生剤と定義上区別するため、酸発生機能を有しない化合物として定義される。
酸拡散制御剤を添加することにより、組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上させることができる。
酸拡散制御剤の種類としては、露光や加熱処理によって塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物の一例としては、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
NR18R19R20 (10)
[式中、R18、R19及びR20は各々独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。]
含窒素有機化合物の他の例としては、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物や、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体や、アミド基含有化合物や、ウレア化合物や、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
含窒素有機化合物の具体例としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
なお、酸拡散制御剤は、一種を単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することもできる。
酸拡散制御剤の添加量は、成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。該添加量が0.001質量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下することがある。該添加量が15質量部を超えると、成分(a)の光硬化性が低下することがある。
[光導波路の材料としての使用]
感光性ポリシロキサン組成物は、光導波路を構成する下部クラッド層、コア部及び上部クラッド層を形成するために、各々、下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物として用いることができる。
このような下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物としては、最終的に得られる各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足することとなるように、互いに異なる組成を有する組成物を用いることができる。ただし、光導波路の作製の容易化及び効率化の観点から、下層用組成物と上層用組成物とが同一の組成物であることが好ましい。
例えば、屈折率の差が適当な大きさとなるような2種の組成物を選択した後、高い屈折率が得られる組成物をコア用組成物として用い、低い屈折率が得られる組成物を下層用組成物及び上層用組成物として用いることが好ましい。
感光性ポリシロキサン組成物の粘度は、25℃において、好ましくは5〜5,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sである。該粘度が5,000mPa・sを超えると、均一な塗膜を形成することが困難となるおそれがある。該粘度は、有機溶媒等の配合量を加減することによって、適宜調整することができる。
[C.光ファイバ用ガイド部]
光ファイバ用ガイド部の材料としては、光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物が用いられる。
ここで、光導波路の材料と異なる感光性組成物の例としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を含む感光性組成物や、光導波路の材料とは異なる種類の感光性ポリシロキサン組成物等が挙げられる。
このうち、エチレン性不飽和基を有する化合物を含む感光性組成物の一例としては、(A)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物と、他のラジカル重合性化合物を共重合して得られる共重合体、(B)分子中に2個以上の重合性反応基を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含む感光性組成物が挙げられる。
[共重合体(A)]
共重合体(A)は、カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物と、他のラジカル重合性化合物を溶媒中でラジカル共重合することにより得られる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;2−サクシノロイルエチルメタクリレート、2−マレイノロイルエチルメタクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレート等のカルボキシル基およびエステル結合を有するメタクリル酸誘導体等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレートが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
共重合体(A)中に占めるカルボニル基を有するラジカル重合性化合物の割合は、3〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。該割合がこの数値範囲外では、感光性組成物の硬化物の寸法精度が低下する傾向がある。
他のラジカル重合性化合物は、機械的特性、ガラス転移温度、屈折率等を制御するために用いられる。該化合物の好ましい例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アリールエステル類、ジカルボン酸ジエステル類、芳香族ビニル類、共役ジオレフィン類、ニトリル基含有重合性化合物、塩素含有重合性化合物、アミド結合含有重合性化合物、脂肪酸ビニル類等が挙げられる。該化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物;酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
共重合体(A)中に占める他のラジカル重合性化合物の割合は、50〜97質量%であり、好ましくは60〜95質量%である。
共重合体(A)を合成する際に用いられる重合溶媒の例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類等が挙げられる。中でも、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類が好ましく用いられる。
重合触媒の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素等が挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤に使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。
共重合体(A)のガラス転移温度は、好ましくは20〜150℃である。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて定義される。該温度が20℃未満であると、基材に積層させる際にべとつきによって不都合を生ずることがある。該温度が150℃を超えると、感光性組成物の硬化物が過度に硬くなったり、脆さが生じるなどの不都合を生ずることがある。
[化合物(B)]
化合物(B)は、分子中に2個以上の重合性反応基を含む化合物である。重合性反応基の例としては、エチレン性不飽和基、環状エーテルが挙げられる。
化合物(B)の例としては、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物、分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物等が挙げられる。中でも、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物は、好ましく用いられる。
(1)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物
分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物としては、(メタ)アクリロイル基、またはビニル基を分子中に2個以上含む化合物が挙げられる。
分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を含む化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAのジアクリレート等が挙げられる。
分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物の例としては、3個以上の水酸基を有する多価アルコールに3モル以上の(メタ)アクリル酸がエステル結合した化合物、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、主鎖にポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン骨格を有するポリエーテルアクリルオリゴマー、ポリエステルアクリルオリゴマー、ポリウレタンアクリルオリゴマー、あるいはポリエポキシアクリルオリゴマーも使用することができる
(2)分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物
分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物の例としては、オキシラン化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物等の化合物であって、分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物が挙げられる。
オキシラン化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシ化テトラベンジルアルコール、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ラクトン変性エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール、シクロヘキセンオキサイド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
オキセタン化合物の例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
(3)他の化合物
前記(1)、(2)以外の化合物としては、エチレン性不飽和基及び環状エーテルの各々の反応基を分子中に1個以上含む化合物が挙げられる。このような化合物の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
化合物(B)の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは50〜130質量部である。該配合量が30質量部未満では、組成物の硬化物の寸法精度が低下することがある。該配合量が150質量部を超えると、共重合体(A)との相溶性が悪くなり、組成物の硬化物の表面に荒れを生じることがある。
[光重合開始剤(C)]
光重合開始剤は、光照射により分解してラジカルを発生するもの(光ラジカル重合開始剤)、及び光照射によりカチオンを発生するもの(光カチオン重合開始剤)を含む。
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、上述の光導波路の成分(b)(光酸発生剤)と同様の光酸発生剤を用いることができる。
感光性組成物中の光重合開始剤の含有割合は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。該割合が0.1質量%未満では、組成物の硬化が遅くなり、製造効率が低下することがある。該割合が10質量%を超えると、組成物の機械的特性等が低下することがある。
[他の成分]
光ファイバ用ガイド部を形成するための感光性組成物中には、必要に応じて、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、無機粒子、老化防止剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤等を配合することができる。
[D.カバー部材]
カバー部材は、光導波路の上面に接着剤を介して固着される板状等の部材である。
カバー部材の材質は、透湿性の低い材料であれば特に限定されないが、低線膨張率、強度等の観点から、ガラス、石英等が好ましい。
カバー部材の厚さは、特に限定されないが、通常、50〜1,000μmである。
接着剤としては、光導波路の製造効率及び室温硬化性の観点から、光硬化型接着剤が好ましく用いられる。光硬化型接着剤の例としては、紫外線硬化型アクリル系接着剤、紫外線硬化型エポキシ系接着剤、紫外線硬化型シリコン系接着剤等が挙げられる。光硬化型接着剤の市販品としては、NOA60、NOA65、NOA81(以上、NORLAND社製)、OG114−4、OG146(以上、EPO−TEK社製)、スリーボンド3160、スリーボンド3170B(以上、スリーボンド社製)、AT6001、GA700L、AT3925M、AT9575M(以上、NTTアドバンステクノロジ社製)、ELC2710、ELC2500clear(エレクトロライト社製)等が挙げられる。
次に、本発明の光導波路チップの製造方法の一例を説明する。第1図は、本発明の方法で得られる光導波路チップの一例を示す斜視図、第2図は、第1図に示す光導波路チップの製造方法の一例を示すフロー図である。なお、第2図は、第1図中の矢印Aの方向で光導波路チップを見た状態を示す。
第1図中、光導波路チップ1は、シリコンウエハの如き基板2と、基材2の上に形成された光導波路3と、光導波路3と離間して基材2の上に形成された光ファイバ用ガイド部4,4と、光導波路3の上面に固着されたカバー部材(ガラス板)とから構成されている。
ここで、光導波路3は、下部クラッド層6と、下部クラッド層6上の領域の一部に形成されたコア部7と、コア部7を被覆するように下部クラッド層6上に形成された上部クラッド層8とを含む。なお、下部クラッド層6と上部クラッド層は、通常、同一の材料からなり、光導波路3の完成後にはコア部7の周囲に一体的に形成されたクラッド層となる。
本発明の光導波路チップの製造方法の一例は、次のとおりである。
[下部クラッド層の形成]
第2図中、まず、シリコンウエハ等の基板2の上面に、下部クラッド層用の感光性ポリシロキサン組成物を塗布した後、乾燥またはプリベーク(前処理としての加熱処理)して、下部クラッド層用の薄膜を形成させる。
ここで、感光性ポリシロキサン組成物を塗布する方法としては、好ましくは、均一な厚みを有する薄膜が得られることから、スピンコート法が用いられる。
次に、下部クラッド層用の薄膜に、所定の形状を有するフォトマスクを介して、光照射することによって、薄膜を構成する材料を部分的に硬化させる。
ここで、照射に用いられる光は、特に限定されないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは、波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。光は、波長200〜450nmでの照度が1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2となるように、所定のパターンで被照射体(感光性ポリシロキサン組成物)に照射される。
光の照射後、現像液によって非照射部分(未露光部分)を現像することによって、未硬化の不要な部分を除去し、基板2上に、パターニングされた硬化膜からなる下部クラッド層6を形成させる(第2図中の(a))。
現像に用いる現像液としては、塩基性物質を溶媒で希釈してなる溶液を用いることができる。
ここで、塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナン等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
現像液中の塩基性物質の濃度は、通常、0.05〜25質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である。
現像時間は、通常、30〜600秒間である。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法等を採用することができる。
現像液の溶媒として有機溶媒を用いた場合には、そのまま風乾して、有機溶媒を蒸散させ、パターン状の薄膜を形成させる。
現像液の溶媒として水(または水溶液)を用いた場合には、例えば、流水による洗浄を30〜90秒間行なった後、圧縮空気や圧縮窒素等を用いて風乾して水分を除去し、パターン状の薄膜を形成させる。
なお、露光後には、露光部分の硬化を促進させるために、加熱処理を行なうことが好ましい。その加熱条件は、感光性ポリシロキサン組成物の成分組成や添加剤の種類等によっても異なるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
露光後の加熱処理に加えて、さらに、薄膜の全面が十分に硬化するように、ポストベーク(後処理の加熱処理)を行なうことが好ましい。その加熱条件は、感光性ポリシロキサン組成物の成分組成や添加剤の種類等によっても異なるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃である。加熱時間は、特に限定されないが、例えば、5分間〜72時間である。
下部クラッド層を形成する際の感光性ポリシロキサン組成物の塗布方法や、露光時の光(エネルギー線)の照射量及び照射方法等は、後述するコア部、上部クラッド層、光ファイバ用ガイド部を形成する際にも適用することができる。
[コア部の形成]
下部クラッド層6の上面に、コア形成用組成物(クラッド層よりも高い屈折率を有する感光性ポリシロキサン組成物)10を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、コア部用の薄膜を形成させる(第2図中の(b))。
その後、コア部用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう(第2図中の(c))。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなるコア部7を形成させる(第2図中の(d))。
次いで、下部クラッド層6と同様に、ホットプレートやオーブン等の加熱手段を用いて、例えば30〜400℃の温度で5〜600分間ポストベークを行なって、良好な硬化状態のコア部7を得る。
[上部クラッド層の形成]
コア部7と下部クラッド層6とからなる硬化体の上方から、上部クラッド層形成用の感光性ポリシロキサン組成物を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、上部クラッド層用の薄膜を形成させる。
次いで、上部クラッド層用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなる上部クラッド層8を形成させる(第2図中の(e))。
上部クラッド層8は、さらに、必要に応じて、下部クラッド層の形成の際と同様の加熱処理(ポストベーク)を施すことが好ましい。加熱処理(ポストベーク)を行なうことによって、硬度及び耐熱性に優れた上部クラッド層8を得ることができる。
[光ファイバ用ガイド部の形成]
光導波路3が形成された基板2上に、感光性組成物(例えば、屈折率を調整していない感光性ポリシロキサン組成物や、感光性(メタ)アクリレート系組成物等)を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、光ファイバ用ガイド部形成用の薄膜を形成させる。
次いで、光ファイバ用ガイド部形成用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなる光ファイバ用ガイド部4,4を形成させる(第2図中の(f))。次いで、ホットプレート等の加熱手段を用いて所定の温度(例えば、30〜400℃)で所定の時間(例えば、5〜600分間)ポストベークを行なうことによって、良好な硬化状態の光ファイバ用ガイド部4,4を得ることができる。
光ファイバ用ガイド部4,4は、光導波路3に対して適宜の距離を隔てて離間するように基板2上の所定の位置に形成される2つの成形体であり、これら2つの成形体の間に光ファイバ13(第2図中の(h)を参照)を嵌装することによって、光ファイバ13の光軸とコア部7の光軸(図3中の符号G)を一致させるものである。この際、光ファイバ13と光ファイバ用ガイド部4,4を光硬化性接着剤(例えば、UV接着剤)で接着すれば、光ファイバ13を固定することができる。このように、本発明においては光ファイバ13を低コストで短時間に固定することができる。
なお、光ファイバ用ガイド部4,4は、光導波路3と一体的に形成させてもよい。
光ファイバ用ガイド部4,4間の距離、及びコア部7の高さは、光導波路3に接続される光ファイバの直径の大きさに応じて定められる。
本発明の方法で得られる光導波路チップは、特に、シングルモード用光ファイバの接続用として好適である。シングルモード用光ファイバは、コア部の直径が約10μmと小径であり、マルチモード用光ファイバのコア部と比べて直径で約1/5と小さいため、本発明の方法で得られる光導波路チップを用いることによって、光軸同士を高い精度で合わせることができる。
[カバー部材の固着]
光ファイバ用ガイド部4,4を形成した後、光導波路3の上面に接着剤を介してガラス板等のカバー部材5を固着させれば、光導波路チップ1が完成する(第2図中の(g))。光導波路チップ1は、光ファイバ用ガイド部4,4の間に光ファイバ13を嵌装させて用いられる(第2図中の(h))。
なお、光導波路チップ1の作製に際し、各部の形成の順序は、上述の順序に限定されるものではない。例えば、基板2上に光ファイバ用ガイド部4,4を形成させた後、光導波路3を形成させ、さらにカバー部材5を固着させてもよい。
なお、工程(A)と工程(B)は、いずれか一方を前工程とし、他方を後工程として定められる。
本発明の方法で得られる光導波路チップの典型的な例は、(A)基材と、(B)基材の上に形成される光導波路と、(C)光導波路に接続される光ファイバを位置決めするために基材の上に形成される光ファイバ用ガイド部と、(D)必要に応じて光導波路の上面に固着して配設されるカバー部材とを含むものである。
以下、各構成部分(A)〜(D)を詳しく説明する。
[A.基材]
基材の例としては、シリコンウエハ等の基板が挙げられる。
[B.光導波路]
光導波路は、コア部と、コア部の周囲に形成されかつコア部よりも屈折率が小さいクラッド層を含むものである。
光導波路の典型的な例としては、基材の上に形成された下部クラッド層と、下部クラッド層上の領域の一部に形成されたコア部と、コア部を被覆するように下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とからなるものが挙げられる。
本発明において、光導波路の材料としては、感光性ポリシロキサン組成物が用いられる。感光性ポリシロキサン組成物は、他の光導波路形成材料と比べて、耐候性、耐擦傷性等に優れている。
感光性ポリシロキサン組成物の好ましい例としては、下記成分(a)〜(c):
(a)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]、
(b)光酸発生剤、及び
(c)必要に応じて配合される有機溶媒、酸拡散制御剤等の他の成分を含有し、かつ、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物が挙げられる。
ここで、「シラノール基」とは、「Si−OH」のようにケイ素に直接結合した水酸基を表すものである。
上記成分(a)〜(c)(ただし、成分(c)は任意成分であり、配合しなくてもよい。)を含む感光性ポリシロキサン組成物を用いて光導波路を形成すれば、放射線照射の際に優れたパターニング性等が得られる他、可視域から近赤外域に亘る広範囲の波長を有する光について低い導波路損失を長期的に安定して確保することができ、かつ、優れた耐クラック性、耐熱性、透明性等を得ることができる。
以下、成分(a)〜(c)の各々について詳しく説明する。
[成分(a)]
成分(a)は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上である。
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]
加水分解性シラン化合物の加水分解物とは、例えば加水分解反応によりアルコキシ基がシラノール基に変化した生成物を意味するばかりでなく、一部のシラノール基同士、あるいはシラノール基とアルコキシ基が縮合した部分縮合物をも意味するものである。
成分(a)中のシラノール基の含量は、好ましくは、1〜10mmol/gである。
成分(a)は、一般に、前記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物、またはこれと一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物との混合物を加熱することにより得ることができる。加熱によって加水分解性シラン化合物が加水分解されて加水分解物となり、あるいは該加水分解物が縮合反応を起こして、成分(a)が生成する。
[一般式(1)中の有機基R1]
一般式(1)中のR1は、フッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基である。ここで、非加水分解性とは、加水分解性基Xが加水分解される条件において、そのまま安定に存在する性質であることを意味する。このような非加水分解性の有機基として、フッ素化アルキル基やフッ素化アリール基等を挙げることができる。フッ素化アルキル基の例としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。また、フッ素化アリール基の例としては、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
中でも、CnF2n+1(CH2)m−[mは0〜5の整数、nは1〜12の整数であり、m+nは1〜12である。]で表されるフッ素化アルキル基が好ましく、ヘプタデカフルオロデシル基、トリデカフルオロオクチル基、ノナフルオロヘキシル基等のようなフッ素含有量が大きく、かつ長鎖のものが特に好ましい。この場合、フォトリソグラフ法によって光導波路を製造する際のパターニング性や、光導波路の耐クラック性及び光学特性(低い伝送損失)等をより一層向上させることができる。
一般式(1)中のpは、好ましくは1である。
[一般式(1)中の有機基R2]
一般式(1)中のR2は、炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)である。R2としては、非重合性の有機基及び重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。
ここで、非重合性の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又はこれらを重水素化若しくはハロゲン化したもの等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。
アリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、重水素化アリール基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
なお、非重合性の有機基として、ヘテロ原子を含む構造単位を有する基を用いてもよい。該構造単位としては、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合等を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
重合性の有機基は、分子中にラジカル重合性の官能基及びカチオン重合性の官能基の両方あるいはいずれか一方を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、ラジカル重合やカチオン重合を生じさせて、組成物をより効果的に硬化させることができる。
なお、カチオン重合性の官能基は、ラジカル重合性の官能基よりも好ましい。成分(b)(光酸発生剤)は、シラノール基における硬化反応のみならず、カチオン重合性の官能基における硬化反応も同時に生じさせるからである。
一般式(1)中のqは、好ましくは0である。
[一般式(1)中の加水分解性基X]
一般式(1)中のXは、加水分解性基である。ここで、加水分解性基とは、通常、1気圧でかつ触媒及び過剰の水の存在下において、0〜150℃の温度範囲内で1〜10時間加熱することにより、加水分解されてシラノール基を生成することができる基、もしくはシロキサン縮合物を形成することができる基である。
ここで触媒としては、酸触媒、又はアルカリ触媒が挙げられる。
酸触媒の例としては、1価もしくは多価の有機酸や無機酸、ルイス酸等が挙げられる。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸等が挙げられる。ルイス酸の具体例としては、金属化合物、Ti、Zr、Al、B等の無機塩、アルコキシド、カルボキシレート等が挙げられる。
アルカリ触媒の例としては、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物や、アミン類、酸性塩、塩基性塩等が挙げられる。
加水分解に必要な触媒の添加量は、全シラン化合物に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.002〜1質量%である。
加水分解性基Xの例としては、例えば、水素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アシルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜12のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アクリロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブトキシ基などの他、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基や、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基や、オキサシクロヘキシロキシ等の6員環エーテル基を有するアルコキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
[一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の例]
一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の例としては、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルメチルジクロロシラン、3−ヘプタフルオロイソプロポキシプロピルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
中でも、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランや3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン等が好ましい。
[他の加水分解性シラン化合物の例]
任意成分として、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を用いてもよい。
このような加水分解性シラン化合物の例として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等の4個の加水分解性基を有するシラン化合物;メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、重水素化メチルトリメトキシシラン等の3個の加水分解性基を有するシラン化合物;ジメチルジクロロシラン、ジメチルジアミノシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等の2個の加水分解性基を有するシラン化合物等が挙げられる。
[成分(a)の調製方法]
成分(a)の調製方法は、シラノール基の含量を特定の数値範囲(全Si上の結合基中で10〜50%)を外れたものとしない限り、特に限定されないが、一例として、以下に示す1)〜3)の工程からなる方法を挙げることができる。なお、一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解物には、一部未加水分解の加水分解性基が残っていてもよい。この場合、成分(a)は、加水分解性シラン化合物と加水分解物との混合物となる。
1)一般式(1)に示す加水分解性シラン化合物と酸触媒とを、攪拌機付の容器内に収容する。
2)次いで、得られた溶液の粘度を調節しながら、有機溶媒を容器内にさらに収容し、混合溶液とする。
3)得られた混合溶液を、空気雰囲気中において、有機溶媒及び加水分解性シラン化合物の沸点以下の温度で攪拌しながら、水を滴下した後、0〜150℃で、1〜24時間の間加熱攪拌する。なお、加熱攪拌中、必要に応じて、蒸留によって混合溶液を濃縮したり、あるいは有機溶媒を置換することも好ましい。
前記1)〜3)の工程からなる方法において、最終硬化物の屈折率や、組成物の硬化性、粘度等を調整するために、一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を混合させて、シロキサンオリゴマーを調製することもできる。この場合、上記1)の工程において、一般式(1)の加水分解性シラン化合物及び他の加水分解性シラン化合物を添加して混合した後、加熱して反応させればよい。
[成分(a)の好ましい態様]
成分(a)は、下記一般式(2)及び(3)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
[式中、R3はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R4はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であって、R3と同じでもよい。]
成分(a)が上記構造を有していると、耐クラック性等をより一層向上させることができる。
成分(a)はさらに、下記一般式(4)及び(5)からなる群のうち少なくとも一種以上の構造を有することが好ましい。
[式中、R5はフェニル基、あるいはフッ素化フェニル基、R6はフッ素原子を含んでいてもよい炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基であってR5と同じでもよい。]
一般式(4)または一般式(5)の構造を有する化合物の例としては、上述の一般式(1)、または一般式(1)以外の加水分解性シラン化合物の例のうち、フェニル基またはフッ素化フェニル基を有する化合物等が挙げられる。中でも、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。
成分(a)が上記構造を有していると、光導波路の耐熱性、パターニング性等をより一層向上させることができる。
[感光性ポリシロキサン組成物中のシラノール基含量]
感光性ポリシロキサン組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール基の含有率は、好ましくは10〜50%、より好ましくは20〜40%である。該値をこの数値範囲内に定めれば、パターニング性及び伝送特性(低い導波路損失)をより一層向上させることができる。
[成分(b)]
成分(b)は光酸発生剤である。成分(b)は、放射線の照射によって分解し、成分(a)を光硬化させる酸性活性物質を放出する。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等が挙げられる。中でも、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
成分(b)の例としては、下記一般式(6)で表される構造を有するオニウム塩や、下記一般式(7)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体等が挙げられる。
[R7 aR8 bR9 cR10 dW]+m[MZm+n]−m (6)
[式中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、Q、I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R7、R8、R9及びR10は同一または異なる有機基であり、a、b、c及びdはそれぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
Qs−〔S(=O)2−R11〕t (7)
[一般式(7)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R11は炭素数1〜12の1価の有機基、sは0又は1、tは1又は2である。]
[一般式(6)のオニウム塩]
一般式(6)中のアニオン[MZm+n]の例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 −)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
一般式(6)中のアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH−]で表されるアニオンを使用することもできる。また、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO4 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO4 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
一般式(6)で表されるオニウム塩の好ましい例としては、芳香族オニウム塩が挙げられる。芳香族オニウム塩の好ましい例としては、トリアリールスルホニウム塩、下記一般式(8)で表される化合物、下記一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩あるいはトリアリールヨードニウム塩等が挙げられる。
[式中、R12及びR13は、各々独立して水素又はアルキル基、R14は水酸基または−OR15(但し、R15は1価の有機基である。)を示し、aは4〜7の整数、bは1〜7の整数である。ナフタレン環への各置換基の結合位置は特に限定されない。]
[R16−Ph1−I+−Ph2−R17][Y−] (9)
[式中、R16及びR17は、各々1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R16及びR17の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ph1及びPh2は各々芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y−は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 −、CF3SO3 −から選ばれる陰イオンである。]
一般式(8)で表される化合物の例としては、4−ヒドロキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジヒドロキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等が挙げられる。
一般式(9)で表されるジアリールヨードニウム塩の例としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等が挙げられる。
[一般式(7)のスルフォン酸誘導体]
一般式(7)で表されるスルフォン酸誘導体の例としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等が挙げられる。中でも、イミドスルホネート類が好ましく、トリフルオロメチルスルホネート誘導体が特に好ましい。
成分(b)(光酸発生剤)の添加量は、特に限定されるものではないが、成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部である。該添加量が0.1質量部未満では、光硬化性が低下し、十分な硬化速度が得られない傾向がある。該添加量が15質量部を超えると、得られる硬化物の耐候性や耐熱性が低下する傾向がある。
[成分(c)]
感光性ポリシロキサン組成物には、成分(a)、成分(b)の他に、有機溶媒、酸拡散制御剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合することができる。
このうち、有機溶媒及び酸拡散制御剤について以下に詳しく説明する。
(1)有機溶媒
感光性ポリシロキサン組成物の成分として有機溶媒を用いることによって、当該組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
有機溶媒としては、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒等が挙げられる。通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有し、各成分を均一に溶解させることのできる有機溶媒を用いることが、好ましい。
このような有機溶媒の例としては、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、モノアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、含窒素系溶媒、含硫黄系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、一種単独であるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
有機溶媒の好ましい例としては、組成物の保存安定性の向上の観点から、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。より好ましい例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、トルエン、キシレン、メタノール等が挙げられる。
有機溶媒の種類は、組成物の塗布方法等を考慮して選択される。例えば、均一な厚さを有する薄膜を容易に得るためにスピンコート法を用いた場合には、有機溶媒として、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のジエチレングリコール類;メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類等が好ましく用いられる。中でも、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンが特に好ましく用いられる。
有機溶媒の配合量は、成分(a)100質量部に対して、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは2〜200質量部である。該配合量をこの数値内に定めれば、組成物の保存安定性を向上させ、かつ適当な粘度を付与することができ、均一な厚さを有する光導波路を形成することができる。
有機溶媒の添加方法は、特に制限されるものではなく、例えば、成分(a)を製造する際に添加してもよいし、あるいは、成分(a)及び成分(b)を混合する際に添加してもよい。
(2)酸拡散制御剤
酸拡散制御剤は、光照射によって光酸発生剤から生じた酸性活性物質の被膜中における拡散を制御し、非照射領域での硬化反応を抑制する作用を有する化合物である。ただし、酸拡散制御剤は、光酸発生剤と定義上区別するため、酸発生機能を有しない化合物として定義される。
酸拡散制御剤を添加することにより、組成物を効果的に硬化して、パターン精度を向上させることができる。
酸拡散制御剤の種類としては、露光や加熱処理によって塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物の一例としては、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
NR18R19R20 (10)
[式中、R18、R19及びR20は各々独立して、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、または置換もしくは非置換のアラルキル基を表す。]
含窒素有機化合物の他の例としては、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物や、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体や、アミド基含有化合物や、ウレア化合物や、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
含窒素有機化合物の具体例としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
なお、酸拡散制御剤は、一種を単独で使用することもできるし、あるいは二種以上を混合して使用することもできる。
酸拡散制御剤の添加量は、成分(a)100質量部に対して、好ましくは0.001〜15質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。該添加量が0.001質量部未満では、プロセス条件によっては、光導波路のパターン形状や寸法再現性が低下することがある。該添加量が15質量部を超えると、成分(a)の光硬化性が低下することがある。
[光導波路の材料としての使用]
感光性ポリシロキサン組成物は、光導波路を構成する下部クラッド層、コア部及び上部クラッド層を形成するために、各々、下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物として用いることができる。
このような下層用組成物、コア用組成物及び上層用組成物としては、最終的に得られる各部の屈折率の関係が、光導波路に要求される条件を満足することとなるように、互いに異なる組成を有する組成物を用いることができる。ただし、光導波路の作製の容易化及び効率化の観点から、下層用組成物と上層用組成物とが同一の組成物であることが好ましい。
例えば、屈折率の差が適当な大きさとなるような2種の組成物を選択した後、高い屈折率が得られる組成物をコア用組成物として用い、低い屈折率が得られる組成物を下層用組成物及び上層用組成物として用いることが好ましい。
感光性ポリシロキサン組成物の粘度は、25℃において、好ましくは5〜5,000mPa・s、より好ましくは10〜1,000mPa・sである。該粘度が5,000mPa・sを超えると、均一な塗膜を形成することが困難となるおそれがある。該粘度は、有機溶媒等の配合量を加減することによって、適宜調整することができる。
[C.光ファイバ用ガイド部]
光ファイバ用ガイド部の材料としては、光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物が用いられる。
ここで、光導波路の材料と異なる感光性組成物の例としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を含む感光性組成物や、光導波路の材料とは異なる種類の感光性ポリシロキサン組成物等が挙げられる。
このうち、エチレン性不飽和基を有する化合物を含む感光性組成物の一例としては、(A)カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物と、他のラジカル重合性化合物を共重合して得られる共重合体、(B)分子中に2個以上の重合性反応基を有する化合物、及び(C)光重合開始剤を含む感光性組成物が挙げられる。
[共重合体(A)]
共重合体(A)は、カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物と、他のラジカル重合性化合物を溶媒中でラジカル共重合することにより得られる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;2−サクシノロイルエチルメタクリレート、2−マレイノロイルエチルメタクリレート、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレート等のカルボキシル基およびエステル結合を有するメタクリル酸誘導体等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレートが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
共重合体(A)中に占めるカルボニル基を有するラジカル重合性化合物の割合は、3〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%である。該割合がこの数値範囲外では、感光性組成物の硬化物の寸法精度が低下する傾向がある。
他のラジカル重合性化合物は、機械的特性、ガラス転移温度、屈折率等を制御するために用いられる。該化合物の好ましい例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アリールエステル類、ジカルボン酸ジエステル類、芳香族ビニル類、共役ジオレフィン類、ニトリル基含有重合性化合物、塩素含有重合性化合物、アミド結合含有重合性化合物、脂肪酸ビニル類等が挙げられる。該化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物;酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
共重合体(A)中に占める他のラジカル重合性化合物の割合は、50〜97質量%であり、好ましくは60〜95質量%である。
共重合体(A)を合成する際に用いられる重合溶媒の例としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類等が挙げられる。中でも、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類が好ましく用いられる。
重合触媒の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素等が挙げられる。過酸化物をラジカル重合開始剤に使用する場合、還元剤を組み合わせてレドックス型の開始剤としてもよい。
共重合体(A)のガラス転移温度は、好ましくは20〜150℃である。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて定義される。該温度が20℃未満であると、基材に積層させる際にべとつきによって不都合を生ずることがある。該温度が150℃を超えると、感光性組成物の硬化物が過度に硬くなったり、脆さが生じるなどの不都合を生ずることがある。
[化合物(B)]
化合物(B)は、分子中に2個以上の重合性反応基を含む化合物である。重合性反応基の例としては、エチレン性不飽和基、環状エーテルが挙げられる。
化合物(B)の例としては、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物、分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物等が挙げられる。中でも、分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物は、好ましく用いられる。
(1)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物
分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を含む化合物としては、(メタ)アクリロイル基、またはビニル基を分子中に2個以上含む化合物が挙げられる。
分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を含む化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAのジアクリレート等が挙げられる。
分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物の例としては、3個以上の水酸基を有する多価アルコールに3モル以上の(メタ)アクリル酸がエステル結合した化合物、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、主鎖にポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン骨格を有するポリエーテルアクリルオリゴマー、ポリエステルアクリルオリゴマー、ポリウレタンアクリルオリゴマー、あるいはポリエポキシアクリルオリゴマーも使用することができる
(2)分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物
分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物の例としては、オキシラン化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物等の化合物であって、分子中に2個以上の環状エーテルを含む化合物が挙げられる。
オキシラン化合物の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシ化テトラベンジルアルコール、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ラクトン変性エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール、シクロヘキセンオキサイド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
オキセタン化合物の例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
(3)他の化合物
前記(1)、(2)以外の化合物としては、エチレン性不飽和基及び環状エーテルの各々の反応基を分子中に1個以上含む化合物が挙げられる。このような化合物の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
化合物(B)の配合量は、共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは50〜130質量部である。該配合量が30質量部未満では、組成物の硬化物の寸法精度が低下することがある。該配合量が150質量部を超えると、共重合体(A)との相溶性が悪くなり、組成物の硬化物の表面に荒れを生じることがある。
[光重合開始剤(C)]
光重合開始剤は、光照射により分解してラジカルを発生するもの(光ラジカル重合開始剤)、及び光照射によりカチオンを発生するもの(光カチオン重合開始剤)を含む。
光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、上述の光導波路の成分(b)(光酸発生剤)と同様の光酸発生剤を用いることができる。
感光性組成物中の光重合開始剤の含有割合は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。該割合が0.1質量%未満では、組成物の硬化が遅くなり、製造効率が低下することがある。該割合が10質量%を超えると、組成物の機械的特性等が低下することがある。
[他の成分]
光ファイバ用ガイド部を形成するための感光性組成物中には、必要に応じて、光増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、無機粒子、老化防止剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤等を配合することができる。
[D.カバー部材]
カバー部材は、光導波路の上面に接着剤を介して固着される板状等の部材である。
カバー部材の材質は、透湿性の低い材料であれば特に限定されないが、低線膨張率、強度等の観点から、ガラス、石英等が好ましい。
カバー部材の厚さは、特に限定されないが、通常、50〜1,000μmである。
接着剤としては、光導波路の製造効率及び室温硬化性の観点から、光硬化型接着剤が好ましく用いられる。光硬化型接着剤の例としては、紫外線硬化型アクリル系接着剤、紫外線硬化型エポキシ系接着剤、紫外線硬化型シリコン系接着剤等が挙げられる。光硬化型接着剤の市販品としては、NOA60、NOA65、NOA81(以上、NORLAND社製)、OG114−4、OG146(以上、EPO−TEK社製)、スリーボンド3160、スリーボンド3170B(以上、スリーボンド社製)、AT6001、GA700L、AT3925M、AT9575M(以上、NTTアドバンステクノロジ社製)、ELC2710、ELC2500clear(エレクトロライト社製)等が挙げられる。
次に、本発明の光導波路チップの製造方法の一例を説明する。第1図は、本発明の方法で得られる光導波路チップの一例を示す斜視図、第2図は、第1図に示す光導波路チップの製造方法の一例を示すフロー図である。なお、第2図は、第1図中の矢印Aの方向で光導波路チップを見た状態を示す。
第1図中、光導波路チップ1は、シリコンウエハの如き基板2と、基材2の上に形成された光導波路3と、光導波路3と離間して基材2の上に形成された光ファイバ用ガイド部4,4と、光導波路3の上面に固着されたカバー部材(ガラス板)とから構成されている。
ここで、光導波路3は、下部クラッド層6と、下部クラッド層6上の領域の一部に形成されたコア部7と、コア部7を被覆するように下部クラッド層6上に形成された上部クラッド層8とを含む。なお、下部クラッド層6と上部クラッド層は、通常、同一の材料からなり、光導波路3の完成後にはコア部7の周囲に一体的に形成されたクラッド層となる。
本発明の光導波路チップの製造方法の一例は、次のとおりである。
[下部クラッド層の形成]
第2図中、まず、シリコンウエハ等の基板2の上面に、下部クラッド層用の感光性ポリシロキサン組成物を塗布した後、乾燥またはプリベーク(前処理としての加熱処理)して、下部クラッド層用の薄膜を形成させる。
ここで、感光性ポリシロキサン組成物を塗布する方法としては、好ましくは、均一な厚みを有する薄膜が得られることから、スピンコート法が用いられる。
次に、下部クラッド層用の薄膜に、所定の形状を有するフォトマスクを介して、光照射することによって、薄膜を構成する材料を部分的に硬化させる。
ここで、照射に用いられる光は、特に限定されないが、通常、200〜450nmの紫外〜可視領域の光、好ましくは、波長365nmの紫外線を含む光が用いられる。光は、波長200〜450nmでの照度が1〜1000mW/cm2、照射量が0.01〜5000mJ/cm2、好ましくは0.1〜1000mJ/cm2となるように、所定のパターンで被照射体(感光性ポリシロキサン組成物)に照射される。
光の照射後、現像液によって非照射部分(未露光部分)を現像することによって、未硬化の不要な部分を除去し、基板2上に、パターニングされた硬化膜からなる下部クラッド層6を形成させる(第2図中の(a))。
現像に用いる現像液としては、塩基性物質を溶媒で希釈してなる溶液を用いることができる。
ここで、塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナン等が挙げられる。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、オクタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、N−メチルピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
現像液中の塩基性物質の濃度は、通常、0.05〜25質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である。
現像時間は、通常、30〜600秒間である。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、シャワー現像法等を採用することができる。
現像液の溶媒として有機溶媒を用いた場合には、そのまま風乾して、有機溶媒を蒸散させ、パターン状の薄膜を形成させる。
現像液の溶媒として水(または水溶液)を用いた場合には、例えば、流水による洗浄を30〜90秒間行なった後、圧縮空気や圧縮窒素等を用いて風乾して水分を除去し、パターン状の薄膜を形成させる。
なお、露光後には、露光部分の硬化を促進させるために、加熱処理を行なうことが好ましい。その加熱条件は、感光性ポリシロキサン組成物の成分組成や添加剤の種類等によっても異なるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
露光後の加熱処理に加えて、さらに、薄膜の全面が十分に硬化するように、ポストベーク(後処理の加熱処理)を行なうことが好ましい。その加熱条件は、感光性ポリシロキサン組成物の成分組成や添加剤の種類等によっても異なるが、通常、30〜400℃、好ましくは50〜300℃である。加熱時間は、特に限定されないが、例えば、5分間〜72時間である。
下部クラッド層を形成する際の感光性ポリシロキサン組成物の塗布方法や、露光時の光(エネルギー線)の照射量及び照射方法等は、後述するコア部、上部クラッド層、光ファイバ用ガイド部を形成する際にも適用することができる。
[コア部の形成]
下部クラッド層6の上面に、コア形成用組成物(クラッド層よりも高い屈折率を有する感光性ポリシロキサン組成物)10を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、コア部用の薄膜を形成させる(第2図中の(b))。
その後、コア部用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう(第2図中の(c))。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなるコア部7を形成させる(第2図中の(d))。
次いで、下部クラッド層6と同様に、ホットプレートやオーブン等の加熱手段を用いて、例えば30〜400℃の温度で5〜600分間ポストベークを行なって、良好な硬化状態のコア部7を得る。
[上部クラッド層の形成]
コア部7と下部クラッド層6とからなる硬化体の上方から、上部クラッド層形成用の感光性ポリシロキサン組成物を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、上部クラッド層用の薄膜を形成させる。
次いで、上部クラッド層用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなる上部クラッド層8を形成させる(第2図中の(e))。
上部クラッド層8は、さらに、必要に応じて、下部クラッド層の形成の際と同様の加熱処理(ポストベーク)を施すことが好ましい。加熱処理(ポストベーク)を行なうことによって、硬度及び耐熱性に優れた上部クラッド層8を得ることができる。
[光ファイバ用ガイド部の形成]
光導波路3が形成された基板2上に、感光性組成物(例えば、屈折率を調整していない感光性ポリシロキサン組成物や、感光性(メタ)アクリレート系組成物等)を塗布し、乾燥させ、必要に応じてプリベークして、光ファイバ用ガイド部形成用の薄膜を形成させる。
次いで、光ファイバ用ガイド部形成用の薄膜の上面に対して、所定のラインパターンを有するフォトマスクを介して光の照射を行なう。照射後、現像液によって現像して、未硬化の不要な部分を除去し、露光部分(硬化部分)のみからなる光ファイバ用ガイド部4,4を形成させる(第2図中の(f))。次いで、ホットプレート等の加熱手段を用いて所定の温度(例えば、30〜400℃)で所定の時間(例えば、5〜600分間)ポストベークを行なうことによって、良好な硬化状態の光ファイバ用ガイド部4,4を得ることができる。
光ファイバ用ガイド部4,4は、光導波路3に対して適宜の距離を隔てて離間するように基板2上の所定の位置に形成される2つの成形体であり、これら2つの成形体の間に光ファイバ13(第2図中の(h)を参照)を嵌装することによって、光ファイバ13の光軸とコア部7の光軸(図3中の符号G)を一致させるものである。この際、光ファイバ13と光ファイバ用ガイド部4,4を光硬化性接着剤(例えば、UV接着剤)で接着すれば、光ファイバ13を固定することができる。このように、本発明においては光ファイバ13を低コストで短時間に固定することができる。
なお、光ファイバ用ガイド部4,4は、光導波路3と一体的に形成させてもよい。
光ファイバ用ガイド部4,4間の距離、及びコア部7の高さは、光導波路3に接続される光ファイバの直径の大きさに応じて定められる。
本発明の方法で得られる光導波路チップは、特に、シングルモード用光ファイバの接続用として好適である。シングルモード用光ファイバは、コア部の直径が約10μmと小径であり、マルチモード用光ファイバのコア部と比べて直径で約1/5と小さいため、本発明の方法で得られる光導波路チップを用いることによって、光軸同士を高い精度で合わせることができる。
[カバー部材の固着]
光ファイバ用ガイド部4,4を形成した後、光導波路3の上面に接着剤を介してガラス板等のカバー部材5を固着させれば、光導波路チップ1が完成する(第2図中の(g))。光導波路チップ1は、光ファイバ用ガイド部4,4の間に光ファイバ13を嵌装させて用いられる(第2図中の(h))。
なお、光導波路チップ1の作製に際し、各部の形成の順序は、上述の順序に限定されるものではない。例えば、基板2上に光ファイバ用ガイド部4,4を形成させた後、光導波路3を形成させ、さらにカバー部材5を固着させてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
[1.光導波路形成用の感光性ポリシロキサン組成物の調製]
(1)クラッド層用組成物の調製
[組成物No.1]
撹拌機及び還流管付のフラスコに、メチルトリメトキシシラン(2.97g)、フェニルトリメトキシシラン(29.01g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(25.64g)、1−メトキシ−2−プロパノール(31.00g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.35g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70質量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液1」とする。
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)(92.8g)に対し、光酸発生剤としてSP172(旭電化社製)(0.06g)、有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノール(35.0g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.1」を得た。
「組成物No.1」中のシラノール含量は、次の方法によって30%と算出された。
(シラノール含量の測定方法)
NMR測定溶媒である重水素化クロロホルムを用いて組成物No.1を希釈し、Si−NMRにてシラノール含量を測定した。具体的には、−120ppm〜−60ppmにかけて現れる置換基、結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてピーク分離し、ピークの面積比から各成分のモル%を算出した。得られた各成分中のシラノール基数を掛け合わせ、全Si上の結合基に占める割合(%)を算出した。
計算例を以下に示すと、
モル% シラノール基数
ピーク1:R−Si(OH)3 a 3
ピーク2:R−Si(OH)2(OSi) b 2
ピーク3:R−Si(OH)(OSi)2 c 1
ピーク4:R−Si(OSi)3 d 0
全Si上の結合基に占めるシラノールの含有率(%)
=(3a+2b+c)×100/[4×(a+b+c+d)]
[組成物No.2]
撹拌機付き容器内に、メチルメタクリレート(450g)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(600g)、2,2’−アゾビス−(2.4−ジメチルバレロニトリル)(35g)を収容した後、系内を窒素置換した。その後、容器内の温度を70℃に設定して6時間撹拌し、最終的に、固形分濃度が45質量%でアクリルポリマーを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「アクリルポリマー溶液1」とする。
撹拌機付き容器内に、アクリルポリマー溶液1(133.33g)、メチルトリメトキシシラン(231.36g)、フェニルトリメトキシシラン(193.48g)、蒸留水(108.48g)、シュウ酸(0.30g)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、アクリルポリマー溶液1、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランの加水分解を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に、固形分が45重量%でポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これに光酸発生剤としてSP172(0.2g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.2」を得た。
(2)コア形成用組成物の調製
[組成物No.3]
撹拌機及び還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30,79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に、固形分を65質量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液3」とする。
シロキサンオリゴマー溶液3(固形分及び有機溶媒)92.6gに対し、光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート)0.32g、有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノール39.5gを添加し、均一に混合することにより、「組成物No.3」を得た。
「組成物No.3」中のシラノール含量は、上述の「組成物No.1」の方法と同様にして、29%と算出された。
[組成物No.4]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(76.9g)、メチルトリメトキシシラン(101.7g)、蒸留水(45.9g)、シュウ酸(0.1g)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランの加水分解を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これに光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート(0.32g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.4」を得た。
[2.光ファイバ用ガイド部の組成物の調製]
[組成物No.5]
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1.3g)、有機溶剤として乳酸エチル(53.8g)を添加し、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。次いで、メタクリル酸(6.7g)、ジシクロペンタニルメタクリレート(15.7g)、スチレン(9.0g)、n−ブチルアクリレート(13.5g)を添加した後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で4時間重合を行った。その後、反応生成物を多量のヘキサンに滴下して反応生成物を凝固させた。さらに、この凝固物を同じ質量のテトラヒドロフランに再溶解した後、この溶液を多量のヘキサンに滴下して再凝固させた。この再溶解−再凝固の操作を計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、共重合体(ガラス転移温度:58℃)を得た。
この共重合体32.0質量部に対し、多官能性アクリレート(商品名:M8100、東亞合成社製)10.0質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート6.5質量部、光ラジカル重合開始剤であるIrgacure 369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を3.0質量部、乳酸エチルを48.5質量部添加して均一に混合することにより、「組成物No.5」を得た。
[3.光導波路チップの作製]
[実施例1]
シリコンウエハの上に、上述の調製方法で得られた組成物No.1をスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機(ズース・マイクロテック社製フォトアライナー)にて1分間照射した。さらに、200℃にて1時間加熱することにより、厚み58μmの下部クラッド層を形成した。この下部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
次いで、組成物No.3を下部クラッド層の上にスピンコータで塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、幅9μmの光導波路パターンを刻んだフォトマスクを用いて、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機にて10秒間照射することにより、露光を行った。その後、この基板を100℃にて1分間加熱した後、5%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液中に浸漬して未露光部を溶解し、水洗浄した。その後、紫外線を2分間照射した後、200℃にて1時間加熱することにより、厚さ9μmのコア部分を形成した。得られたコア部における波長1550nmの光の屈折率は、1.445であった。
さらに、コア部及び下部クラッド層の上面に、組成物No.1をスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を10分間照射した。さらに、300℃にて1時間加熱することにより、厚み15μmの上部クラッド層を形成した。上部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
次に、シリコンウエハの上に、組成物No.5をスピンコータで塗布し、100℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を2分間照射した。さらに、150℃にて1時間加熱することにより、光ファイバ用ガイド部(厚さ:70μm)を形成した。
その後、直径125μmの光ファイバを光ファイバ用ガイド部に沿って接合させ、UV接着剤(商品名:GA700L、NTT−AT社製)を用いて固定した。さらに、光導波路の上面にUV接着剤を介してガラス板(厚さ:100μm)を固着し、直線状の光導波路チップ(導波路長:15mm)を完成した。
[実施例2]
光導波路の上面にガラス板を配設しなかった以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。
[比較例1]
光導波路用の組成物のみを用いて、水平断面が略Y字状となるように光導波路及び光ファイバ用ガイド部を同時に一体的に形成させた以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。なお、光ファイバ用ガイド部の材料は、光導波路のクラッド層の材料(組成物No.1)と同一である。
[実施例3]
組成物No.1の代わりに組成物No.2を用い、かつ、組成物No.3の代わりに組成物No.4を用いた以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。
[実施例4]
光導波路の上面にガラス板を配設しなかった以外は実施例3と同様にして、光導波路チップを作製した。
[比較例2]
光導波路用の組成物のみを用いて、水平断面が略Y字状となるように光導波路及び光ファイバ用ガイド部を同時に一体的に形成させた以外は実施例3と同様にして、光導波路チップを作製した。なお、光ファイバ用ガイド部の材料は、光導波路のクラッド層の材料(組成物No.2)と同一である。
[4.光導波路チップの評価]
(1)評価方法
以下の方法により光導波路チップの物性を評価した。
(a)作製時の歩留まり
4インチのシリコンウエハ上に作製した100個の光導波路チップのうち、クラック等の破損が生じていないものの個数(X個)をカウントし、歩留まり(X/100)とした。
(b)冷熱衝撃試験前の挿入損失
1.55μmの光を光導波路の一端から入射させたときに他端から出射する光量を、光量計(製品名:MT9810A、アンリツ社製)のパワーメータにより測定し、挿入損失[dB]を得た。
(c)冷熱衝撃試験後の挿入損失
−40℃で30分放置後に85℃で30分放置するヒートサイクルを500サイクル繰り返した後に、前記「冷熱衝撃試験前の挿入損失」と同様の方法で挿入損失[dB]を得た。
(2)結果
結果を表1、表2に示す。
表1及び表2から、本発明の方法で得られた光導波路チップ(実施例1〜4)は、光導波路および光ファイバ用ガイド部を同時かつ一体的に作製したもの(比較例1、2)よりも冷熱衝撃試験後の挿入損失が小さく、厳しい使用条件下でも優れた光学特性を長期に亘って安定して発揮することがわかる。
また、光導波路の上にカバー部材を設けた光導波路チップ(実施例1、3)は、カバー部材を設けない場合(実施例2、4)よりも作製時の歩留まりが高く、好ましいことがわかる。
さらに、光導波路の材料である感光性ポリシロキサン組成物として、感光性ポリシロキサン組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物を用いた場合(実施例1、2)には、当該条件を満たさない場合(実施例3、4)よりも、冷熱衝撃試験の前後における挿入損失が小さく、光学特性がより優れていることがわかる。
[1.光導波路形成用の感光性ポリシロキサン組成物の調製]
(1)クラッド層用組成物の調製
[組成物No.1]
撹拌機及び還流管付のフラスコに、メチルトリメトキシシラン(2.97g)、フェニルトリメトキシシラン(29.01g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(25.64g)、1−メトキシ−2−プロパノール(31.00g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.35g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に固形分を70質量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液1」とする。
シロキサンオリゴマー溶液1(固形分及び有機溶媒)(92.8g)に対し、光酸発生剤としてSP172(旭電化社製)(0.06g)、有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノール(35.0g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.1」を得た。
「組成物No.1」中のシラノール含量は、次の方法によって30%と算出された。
(シラノール含量の測定方法)
NMR測定溶媒である重水素化クロロホルムを用いて組成物No.1を希釈し、Si−NMRにてシラノール含量を測定した。具体的には、−120ppm〜−60ppmにかけて現れる置換基、結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにてピーク分離し、ピークの面積比から各成分のモル%を算出した。得られた各成分中のシラノール基数を掛け合わせ、全Si上の結合基に占める割合(%)を算出した。
計算例を以下に示すと、
モル% シラノール基数
ピーク1:R−Si(OH)3 a 3
ピーク2:R−Si(OH)2(OSi) b 2
ピーク3:R−Si(OH)(OSi)2 c 1
ピーク4:R−Si(OSi)3 d 0
全Si上の結合基に占めるシラノールの含有率(%)
=(3a+2b+c)×100/[4×(a+b+c+d)]
[組成物No.2]
撹拌機付き容器内に、メチルメタクリレート(450g)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(50g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(600g)、2,2’−アゾビス−(2.4−ジメチルバレロニトリル)(35g)を収容した後、系内を窒素置換した。その後、容器内の温度を70℃に設定して6時間撹拌し、最終的に、固形分濃度が45質量%でアクリルポリマーを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これを「アクリルポリマー溶液1」とする。
撹拌機付き容器内に、アクリルポリマー溶液1(133.33g)、メチルトリメトキシシラン(231.36g)、フェニルトリメトキシシラン(193.48g)、蒸留水(108.48g)、シュウ酸(0.30g)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、アクリルポリマー溶液1、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランの加水分解を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて、加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に、固形分が45重量%でポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これに光酸発生剤としてSP172(0.2g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.2」を得た。
(2)コア形成用組成物の調製
[組成物No.3]
撹拌機及び還流管付のフラスコに、フェニルトリメトキシシラン(30,79g)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン(22.64g)、テトラエトキシシラン(4.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(29.93g)、およびシュウ酸(0.04g)を添加、攪拌した後、溶液の温度を60℃に加熱した。次いで、蒸留水(11.98g)を滴下し、滴下終了後、溶液を120℃にて6時間攪拌した。そして、最終的に、固形分を65質量%に調整した1−メトキシ−2−プロパノール溶液を得た。これを「シロキサンオリゴマー溶液3」とする。
シロキサンオリゴマー溶液3(固形分及び有機溶媒)92.6gに対し、光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート)0.32g、有機溶媒として1−メトキシ−2−プロパノール39.5gを添加し、均一に混合することにより、「組成物No.3」を得た。
「組成物No.3」中のシラノール含量は、上述の「組成物No.1」の方法と同様にして、29%と算出された。
[組成物No.4]
撹拌機付の容器内に、フェニルトリメトキシシラン(76.9g)、メチルトリメトキシシラン(101.7g)、蒸留水(45.9g)、シュウ酸(0.1g)を収容した後、60℃、6時間の条件で加熱撹拌することにより、フェニルトリメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランの加水分解を行った。
次いで、容器内にプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えた後、エバポレーターを用いて加水分解により副生したメタノールを除去した。そして、最終的に固形分を55重量%に調整したポリシロキサンを含有するプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を得た。これに光酸発生剤として1−(4,7−ジ−t−ブトキシ)−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート(0.32g)を添加し、均一に混合することにより、「組成物No.4」を得た。
[2.光ファイバ用ガイド部の組成物の調製]
[組成物No.5]
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(1.3g)、有機溶剤として乳酸エチル(53.8g)を添加し、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。次いで、メタクリル酸(6.7g)、ジシクロペンタニルメタクリレート(15.7g)、スチレン(9.0g)、n−ブチルアクリレート(13.5g)を添加した後、緩やかに攪拌を始めた。その後、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で4時間重合を行った。その後、反応生成物を多量のヘキサンに滴下して反応生成物を凝固させた。さらに、この凝固物を同じ質量のテトラヒドロフランに再溶解した後、この溶液を多量のヘキサンに滴下して再凝固させた。この再溶解−再凝固の操作を計3回行った後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、共重合体(ガラス転移温度:58℃)を得た。
この共重合体32.0質量部に対し、多官能性アクリレート(商品名:M8100、東亞合成社製)10.0質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート6.5質量部、光ラジカル重合開始剤であるIrgacure 369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を3.0質量部、乳酸エチルを48.5質量部添加して均一に混合することにより、「組成物No.5」を得た。
[3.光導波路チップの作製]
[実施例1]
シリコンウエハの上に、上述の調製方法で得られた組成物No.1をスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機(ズース・マイクロテック社製フォトアライナー)にて1分間照射した。さらに、200℃にて1時間加熱することにより、厚み58μmの下部クラッド層を形成した。この下部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
次いで、組成物No.3を下部クラッド層の上にスピンコータで塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、幅9μmの光導波路パターンを刻んだフォトマスクを用いて、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を露光機にて10秒間照射することにより、露光を行った。その後、この基板を100℃にて1分間加熱した後、5%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液中に浸漬して未露光部を溶解し、水洗浄した。その後、紫外線を2分間照射した後、200℃にて1時間加熱することにより、厚さ9μmのコア部分を形成した。得られたコア部における波長1550nmの光の屈折率は、1.445であった。
さらに、コア部及び下部クラッド層の上面に、組成物No.1をスピンコータで塗布し、120℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を10分間照射した。さらに、300℃にて1時間加熱することにより、厚み15μmの上部クラッド層を形成した。上部クラッド層における波長1550nmの光の屈折率は1.439であった。
次に、シリコンウエハの上に、組成物No.5をスピンコータで塗布し、100℃で10分間乾燥させた後、波長365nm、照度20mW/cm2の紫外線を2分間照射した。さらに、150℃にて1時間加熱することにより、光ファイバ用ガイド部(厚さ:70μm)を形成した。
その後、直径125μmの光ファイバを光ファイバ用ガイド部に沿って接合させ、UV接着剤(商品名:GA700L、NTT−AT社製)を用いて固定した。さらに、光導波路の上面にUV接着剤を介してガラス板(厚さ:100μm)を固着し、直線状の光導波路チップ(導波路長:15mm)を完成した。
[実施例2]
光導波路の上面にガラス板を配設しなかった以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。
[比較例1]
光導波路用の組成物のみを用いて、水平断面が略Y字状となるように光導波路及び光ファイバ用ガイド部を同時に一体的に形成させた以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。なお、光ファイバ用ガイド部の材料は、光導波路のクラッド層の材料(組成物No.1)と同一である。
[実施例3]
組成物No.1の代わりに組成物No.2を用い、かつ、組成物No.3の代わりに組成物No.4を用いた以外は実施例1と同様にして、光導波路チップを作製した。
[実施例4]
光導波路の上面にガラス板を配設しなかった以外は実施例3と同様にして、光導波路チップを作製した。
[比較例2]
光導波路用の組成物のみを用いて、水平断面が略Y字状となるように光導波路及び光ファイバ用ガイド部を同時に一体的に形成させた以外は実施例3と同様にして、光導波路チップを作製した。なお、光ファイバ用ガイド部の材料は、光導波路のクラッド層の材料(組成物No.2)と同一である。
[4.光導波路チップの評価]
(1)評価方法
以下の方法により光導波路チップの物性を評価した。
(a)作製時の歩留まり
4インチのシリコンウエハ上に作製した100個の光導波路チップのうち、クラック等の破損が生じていないものの個数(X個)をカウントし、歩留まり(X/100)とした。
(b)冷熱衝撃試験前の挿入損失
1.55μmの光を光導波路の一端から入射させたときに他端から出射する光量を、光量計(製品名:MT9810A、アンリツ社製)のパワーメータにより測定し、挿入損失[dB]を得た。
(c)冷熱衝撃試験後の挿入損失
−40℃で30分放置後に85℃で30分放置するヒートサイクルを500サイクル繰り返した後に、前記「冷熱衝撃試験前の挿入損失」と同様の方法で挿入損失[dB]を得た。
(2)結果
結果を表1、表2に示す。
表1及び表2から、本発明の方法で得られた光導波路チップ(実施例1〜4)は、光導波路および光ファイバ用ガイド部を同時かつ一体的に作製したもの(比較例1、2)よりも冷熱衝撃試験後の挿入損失が小さく、厳しい使用条件下でも優れた光学特性を長期に亘って安定して発揮することがわかる。
また、光導波路の上にカバー部材を設けた光導波路チップ(実施例1、3)は、カバー部材を設けない場合(実施例2、4)よりも作製時の歩留まりが高く、好ましいことがわかる。
さらに、光導波路の材料である感光性ポリシロキサン組成物として、感光性ポリシロキサン組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物を用いた場合(実施例1、2)には、当該条件を満たさない場合(実施例3、4)よりも、冷熱衝撃試験の前後における挿入損失が小さく、光学特性がより優れていることがわかる。
Claims (3)
- 光導波路と、該光導波路に接続される光ファイバを位置決めするための光ファイバ用ガイド部とを含む光導波路チップの製造方法であって、
(A)感光性ポリシロキサン組成物を用いて、前記光導波路を形成する工程と、
(B)前記光導波路の材料と同一または異なる感光性組成物を用いて、前記光ファイバ用ガイド部を形成する工程と
を含むことを特徴とする光導波路チップの製造方法。 - (C)前記工程(A)で形成された光導波路の上面にカバー部材を固着させる工程を含む請求の範囲第1項に記載の光導波路チップの製造方法。
- 前記感光性ポリシロキサン組成物が、下記成分(a)及び(b):
(a)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物及び該加水分解物の縮合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上、
(R1)p(R2)qSi(X)4−p−q (1)
[式中、R1はフッ素原子を含有する炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基、R2は炭素数が1〜12である非加水分解性の有機基(ただし、フッ素原子を含有するものを除く。)、Xは加水分解性基、pは1又は2の整数、qは0又は1の整数である。]及び
(b)光酸発生剤
を含有し、かつ、該組成物中の全Si上の結合基に占めるシラノール(Si−OH)基の含有率が10〜50%である組成物である、請求の範囲第1項又は第2項に記載の光導波路チップの製造方法。
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