JPWO2005003588A1 - 輸送機械用骨格構造部材 - Google Patents
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Abstract
断面閉空間(16,33,43,63,73,83,93)を有する骨格部材(11)と、該骨格部材の内部に充填された複数の粉粒体(17)とからなる骨格構造部材が提供される。骨格部材の内部圧が増大したとき、上記複数の粉粒体の移動を許容するための粉粒体流動許容部(14,42,61,71,81,92)が該骨格部材の内部に設けられ、該内部圧力が過渡に上昇するのを抑制する。この粉粒体流動許容部は上記複数の粉粒体に近接して設けられる。
Description
本発明は、鉄道車両、産業車両、船舶、航空機、自動車、自動二輪車等の輸送機械用骨格構造部材に関する。
骨格部材に粉粒体を充填した骨格構造部材は、例えば、特開2002−193649公報、米国特許第4610836号明細書、及び米国特許第4695343号明細書において知られている。さらに、骨格部材にゲルを充填した骨格構造部材は、例えば、特開平9−136681号公報において知られている。
図13は、特開2002−193649公報に開示された骨格構造部材を構成する固形化粉粒体を示している。
図13を参照するに、固形化粉粒体200は、複数の粉粒体201と、これらの粉粒体201を固形にするために複数の粉粒体201のそれぞれの間に満たした樹脂、又は接着剤からなるバインダ202とで構成され、複数の粉粒体201を結合して固めたものである。粉粒体201を密にした状態で型に投入した後、バインダ202を流し込んで固形化粉粒体200を形成する。この固形化粉粒体200は、車体等の骨格部材内に挿入することで骨格構造部材が形成され、車体の強度、剛性の向上を図っている。
図14は、米国特許第4610836号明細書、及び米国特許第4695343号明細書に記載された骨格構造部材を構成する固形化粉粒体を示している。
骨格部材内に挿入するために複数の粉粒体を結合して固めた上記固形化粉粒体210は、接着剤211をコーティングした粉粒体としてのガラス製の複数の小球体212からなる。これらの小球体212をガラス繊維製のクロスで包み、骨格部材内に満たすことで骨格構造部材が形成される。
図15は、特開平9−136681号公報に開示された骨格構造部材を示している。この骨格構造部材220は、2つのロアーパネル221,222間にゲル223を充填した構造をしている。参照番号224はロアーパネル222に開けたオリフィスであり、225は該オリフィス224を塞ぐキャップである。
例えば、車両衝突等でゲル223に過大な圧力が発生したとき、その圧力でキャップ225が外れ、ゲル223を外部に噴出させることで衝撃エネルギーを吸収する。
以下に、骨格構造部材に荷重を加えて強制的に崩壊させる圧潰試験の方法及びこの方法で図13〜図15に示した従来の骨格構造部材の圧潰試験を行った結果を示す。
図16及び図17は、従来の骨格構造部材の圧潰試験の内容を示し、図16は圧潰状態を示し、図17は圧潰試験の結果を示したグラフである。
図16の(a)において、中空の四角形断面とした骨格部材231に粉粒体を充填した骨格構造部材232に矢印で示すように長手方向に圧縮荷重、即ち荷重Fを加えて強制的に変形させる。
図16の(b)において、骨格構造部材232の変位量、詳しくは、荷重を加えるために骨格構造部材232の端部の変位量をλとすると、変位量λが大きくなるにつれて、骨格構造部材232は蛇腹状に座屈変形するか、図に示したようなZ字状、又はドッグレッグ状に屈曲変形する。
図17は、図16の(b)のように変形させたときの骨格構造部材の荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフであり、縦軸は荷重F、横軸は変位量λを表す。試料としては、内部に充填材を充填せずに骨格部材のみにした比較例1(未充填)、図13に示した粉粒体をバインダで結合した比較例2(粉粒体バインダ結合)、図14に示した小球体を接着剤で結合した比較例3(小球体接着剤結合)、これらの比較例2及び比較例3よりも低強度の粉粒体を充填した比較例4(低強度粉粒体)の4種である。
比較例1では、荷重Fは小さいが、骨格部材が蛇腹状に潰れるために変位量λは大きい。このときの変位量d1は、骨格部材が潰れ切ったときの変位量であり、外部から加えたエネルギーを有効に吸収できる有効ストローク(即ち、ゼロからd1までの変位量λ)である。この有効ストローク後は荷重Fが急激に増加する。
比較例2〜比較例4については有効ストロークまでを示している。
比較例1の線と横軸とで挟まれる部分の有効ストローク範囲における面積は、比較例1の骨格構造部材の吸収エネルギー量を表し、この吸収エネルギー量を有効ストロークで割った値が図中の荷重f1となる。即ち、この荷重f1は比較例1の平均荷重である。
このことから、骨格構造部材の吸収エネルギー量をより増加させるには、高い平均荷重と長い有効ストロークが必要である。
比較例2(図13で説明した粉粒体バインダ結合)では、平均荷重は非常に大きくなるが変位量λはそれほど大きくならない。これは、粉粒体の結合が極めて強固であるために、変形の初期に、骨格構造の内部圧力が過度に上昇してZ字状又はドッグレッグ状に屈曲し、その後は荷重が急激に減少したことによる。従って、吸収エネルギー量は比較例1に対してそれほど増加しない。
比較例3(図14で説明した小球体接着剤結合)では、比較例2と同様の理由で、平均荷重は大きくなるが変位量λはそれほど大きくならず、吸収エネルギー量は比較例1に対してあまり増加しない。
比較例4(低強度粉粒体)では、粉粒体自体が潰れやすいために、骨格構造部材の内部圧力の上昇はそれほど急激ではなく、前述したZ字状又はドッグレッグ状に屈曲することがないため、変位量λは比較例2及び比較例3よりも大きくなるが、粉粒体が骨格構造部材内に止まるために比較例1よりも変形量λは小さくなる。また、平均荷重は小さく、結果として、吸収エネルギー量は小さくなる。
以上の結果より、骨格構造部材の平均荷重を高め、これと同時に有効ストロークを伸ばすことは難しい。
図15に示した骨格構造部材220では、内部にゲル223を充填するため、骨格構造部材220に荷重が作用した場合に、ゲル223が円滑に流動してオリフィスから噴出するため、骨格構造部材220の変形中は内部圧力はほぼ一定に保たれる。従って、局部的な変形は発生しないので、比較的大きな荷重を大きな変位量まで維持することが可能になる。
しかし、骨格構造部材内に粉粒体を充填した場合は、粉粒体同士の摩擦力のために粉粒体の流動は上記ゲル223の流動に比べてスムーズに行われないから、内部圧力を一定に保つことは難しい。
この内容を以下の図18〜図20で詳細に説明する。
図18は、図15に示した骨格構造部材220と同様にドレイン穴を1つ設けて粉粒体を排出する構造にした骨格構造部材の変形状態を示している。
図18の(a)に示すように骨格構造部材240は、骨格部材241と、この骨格部材241内に充填した複数の粉粒体242と、これら粉粒体242を排出するために骨格部材241に形成したドレイン穴243を塞ぐキャップ244とからなる。
図18の(b)に示すように、骨格構造部材240に矢印で示すように軸長手方向の圧縮荷重、即ち荷重Fを加える。これにより、骨格部材241の内部圧力が急激に増加し、前記粉粒体242は(a)に示したキャップ244を押し退け、ドレイン穴243から外部に噴出する。
図18の(c)に示すように、前記粉粒体242が噴出した部分の近傍の粉粒体242の内部圧力が低下して、骨格構造部材240のドレイン穴243に近い部分の強度が小さくなり、この部分を起点にして全体が屈曲する。これにより、骨格構造部材240で支えられる荷重は非常に小さくなる。従って、骨格構造部材240の吸収エネルギー量は少ない。
図19は、図18と同様なドレイン穴を複数個設けた骨格構造部材の変形状態を示している。
図19の(a)に示した骨格構造部材250は、骨格部材251と、この骨格部材251内に充填した複数の粉粒体242と、骨格部材251に形成され、粉粒体242が流出する複数のドレイン穴252,253をそれぞれ塞ぐキャップ254,256とからなる。
図19の(b)に示すように、骨格構造部材250に矢印で示すように軸長手方向の圧縮荷重、即ち荷重Fを加える。これにより、骨格部材251の上部の内部圧力が急激に増加し、粉粒体242が(a)で示した上方のキャップ254を押し退け、ドレイン穴252から外部に噴出する。
図19の(c)に示すように、前記粉粒体242が噴出した部分の近傍の粉粒体242の内部圧力が低下し、骨格構造部材250のドレイン穴252に近い部分の強度が小さくなって、この部分を起点にして全体が屈曲する。
更に荷重Fが加わると、骨格部材251の下部の内部圧力が増加して、粉粒体242が(b)に示した下方のキャップ256を押し退け、ドレイン穴253から外部に噴出するため、(d)に示すように、ドレイン穴253に近い部分を起点にして屈曲する。
このように、ドレイン穴253に近い部分で屈曲が発生し、全体が折れ曲がるため、荷重が著しく変動し、結果的に吸収エネルギー量は増加しない。
図20は、図18及び図19に示した骨格構造部材240,250の圧潰試験を示したグラフである。
ドレイン穴を1ヶ所設けた比較例5(骨格構造部材240)では、荷重Fは小さく、変位量λの最大値も小さいため、吸収エネルギー量は少ない。
ドレイン穴を複数ヶ所設けた比較例6(骨格構造部材250)では、荷重Fが大きく変動しながら比較的大きな変位量d2まで変位する。
グラフ中のf2は比較例2の平均荷重であり、それほど大きくないために、結果として吸収エネルギー量はさほど多くならない。
そこで、輸送機械用骨格構造部材の吸収エネルギー量をより増大する技術が望まれる。
図13は、特開2002−193649公報に開示された骨格構造部材を構成する固形化粉粒体を示している。
図13を参照するに、固形化粉粒体200は、複数の粉粒体201と、これらの粉粒体201を固形にするために複数の粉粒体201のそれぞれの間に満たした樹脂、又は接着剤からなるバインダ202とで構成され、複数の粉粒体201を結合して固めたものである。粉粒体201を密にした状態で型に投入した後、バインダ202を流し込んで固形化粉粒体200を形成する。この固形化粉粒体200は、車体等の骨格部材内に挿入することで骨格構造部材が形成され、車体の強度、剛性の向上を図っている。
図14は、米国特許第4610836号明細書、及び米国特許第4695343号明細書に記載された骨格構造部材を構成する固形化粉粒体を示している。
骨格部材内に挿入するために複数の粉粒体を結合して固めた上記固形化粉粒体210は、接着剤211をコーティングした粉粒体としてのガラス製の複数の小球体212からなる。これらの小球体212をガラス繊維製のクロスで包み、骨格部材内に満たすことで骨格構造部材が形成される。
図15は、特開平9−136681号公報に開示された骨格構造部材を示している。この骨格構造部材220は、2つのロアーパネル221,222間にゲル223を充填した構造をしている。参照番号224はロアーパネル222に開けたオリフィスであり、225は該オリフィス224を塞ぐキャップである。
例えば、車両衝突等でゲル223に過大な圧力が発生したとき、その圧力でキャップ225が外れ、ゲル223を外部に噴出させることで衝撃エネルギーを吸収する。
以下に、骨格構造部材に荷重を加えて強制的に崩壊させる圧潰試験の方法及びこの方法で図13〜図15に示した従来の骨格構造部材の圧潰試験を行った結果を示す。
図16及び図17は、従来の骨格構造部材の圧潰試験の内容を示し、図16は圧潰状態を示し、図17は圧潰試験の結果を示したグラフである。
図16の(a)において、中空の四角形断面とした骨格部材231に粉粒体を充填した骨格構造部材232に矢印で示すように長手方向に圧縮荷重、即ち荷重Fを加えて強制的に変形させる。
図16の(b)において、骨格構造部材232の変位量、詳しくは、荷重を加えるために骨格構造部材232の端部の変位量をλとすると、変位量λが大きくなるにつれて、骨格構造部材232は蛇腹状に座屈変形するか、図に示したようなZ字状、又はドッグレッグ状に屈曲変形する。
図17は、図16の(b)のように変形させたときの骨格構造部材の荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフであり、縦軸は荷重F、横軸は変位量λを表す。試料としては、内部に充填材を充填せずに骨格部材のみにした比較例1(未充填)、図13に示した粉粒体をバインダで結合した比較例2(粉粒体バインダ結合)、図14に示した小球体を接着剤で結合した比較例3(小球体接着剤結合)、これらの比較例2及び比較例3よりも低強度の粉粒体を充填した比較例4(低強度粉粒体)の4種である。
比較例1では、荷重Fは小さいが、骨格部材が蛇腹状に潰れるために変位量λは大きい。このときの変位量d1は、骨格部材が潰れ切ったときの変位量であり、外部から加えたエネルギーを有効に吸収できる有効ストローク(即ち、ゼロからd1までの変位量λ)である。この有効ストローク後は荷重Fが急激に増加する。
比較例2〜比較例4については有効ストロークまでを示している。
比較例1の線と横軸とで挟まれる部分の有効ストローク範囲における面積は、比較例1の骨格構造部材の吸収エネルギー量を表し、この吸収エネルギー量を有効ストロークで割った値が図中の荷重f1となる。即ち、この荷重f1は比較例1の平均荷重である。
このことから、骨格構造部材の吸収エネルギー量をより増加させるには、高い平均荷重と長い有効ストロークが必要である。
比較例2(図13で説明した粉粒体バインダ結合)では、平均荷重は非常に大きくなるが変位量λはそれほど大きくならない。これは、粉粒体の結合が極めて強固であるために、変形の初期に、骨格構造の内部圧力が過度に上昇してZ字状又はドッグレッグ状に屈曲し、その後は荷重が急激に減少したことによる。従って、吸収エネルギー量は比較例1に対してそれほど増加しない。
比較例3(図14で説明した小球体接着剤結合)では、比較例2と同様の理由で、平均荷重は大きくなるが変位量λはそれほど大きくならず、吸収エネルギー量は比較例1に対してあまり増加しない。
比較例4(低強度粉粒体)では、粉粒体自体が潰れやすいために、骨格構造部材の内部圧力の上昇はそれほど急激ではなく、前述したZ字状又はドッグレッグ状に屈曲することがないため、変位量λは比較例2及び比較例3よりも大きくなるが、粉粒体が骨格構造部材内に止まるために比較例1よりも変形量λは小さくなる。また、平均荷重は小さく、結果として、吸収エネルギー量は小さくなる。
以上の結果より、骨格構造部材の平均荷重を高め、これと同時に有効ストロークを伸ばすことは難しい。
図15に示した骨格構造部材220では、内部にゲル223を充填するため、骨格構造部材220に荷重が作用した場合に、ゲル223が円滑に流動してオリフィスから噴出するため、骨格構造部材220の変形中は内部圧力はほぼ一定に保たれる。従って、局部的な変形は発生しないので、比較的大きな荷重を大きな変位量まで維持することが可能になる。
しかし、骨格構造部材内に粉粒体を充填した場合は、粉粒体同士の摩擦力のために粉粒体の流動は上記ゲル223の流動に比べてスムーズに行われないから、内部圧力を一定に保つことは難しい。
この内容を以下の図18〜図20で詳細に説明する。
図18は、図15に示した骨格構造部材220と同様にドレイン穴を1つ設けて粉粒体を排出する構造にした骨格構造部材の変形状態を示している。
図18の(a)に示すように骨格構造部材240は、骨格部材241と、この骨格部材241内に充填した複数の粉粒体242と、これら粉粒体242を排出するために骨格部材241に形成したドレイン穴243を塞ぐキャップ244とからなる。
図18の(b)に示すように、骨格構造部材240に矢印で示すように軸長手方向の圧縮荷重、即ち荷重Fを加える。これにより、骨格部材241の内部圧力が急激に増加し、前記粉粒体242は(a)に示したキャップ244を押し退け、ドレイン穴243から外部に噴出する。
図18の(c)に示すように、前記粉粒体242が噴出した部分の近傍の粉粒体242の内部圧力が低下して、骨格構造部材240のドレイン穴243に近い部分の強度が小さくなり、この部分を起点にして全体が屈曲する。これにより、骨格構造部材240で支えられる荷重は非常に小さくなる。従って、骨格構造部材240の吸収エネルギー量は少ない。
図19は、図18と同様なドレイン穴を複数個設けた骨格構造部材の変形状態を示している。
図19の(a)に示した骨格構造部材250は、骨格部材251と、この骨格部材251内に充填した複数の粉粒体242と、骨格部材251に形成され、粉粒体242が流出する複数のドレイン穴252,253をそれぞれ塞ぐキャップ254,256とからなる。
図19の(b)に示すように、骨格構造部材250に矢印で示すように軸長手方向の圧縮荷重、即ち荷重Fを加える。これにより、骨格部材251の上部の内部圧力が急激に増加し、粉粒体242が(a)で示した上方のキャップ254を押し退け、ドレイン穴252から外部に噴出する。
図19の(c)に示すように、前記粉粒体242が噴出した部分の近傍の粉粒体242の内部圧力が低下し、骨格構造部材250のドレイン穴252に近い部分の強度が小さくなって、この部分を起点にして全体が屈曲する。
更に荷重Fが加わると、骨格部材251の下部の内部圧力が増加して、粉粒体242が(b)に示した下方のキャップ256を押し退け、ドレイン穴253から外部に噴出するため、(d)に示すように、ドレイン穴253に近い部分を起点にして屈曲する。
このように、ドレイン穴253に近い部分で屈曲が発生し、全体が折れ曲がるため、荷重が著しく変動し、結果的に吸収エネルギー量は増加しない。
図20は、図18及び図19に示した骨格構造部材240,250の圧潰試験を示したグラフである。
ドレイン穴を1ヶ所設けた比較例5(骨格構造部材240)では、荷重Fは小さく、変位量λの最大値も小さいため、吸収エネルギー量は少ない。
ドレイン穴を複数ヶ所設けた比較例6(骨格構造部材250)では、荷重Fが大きく変動しながら比較的大きな変位量d2まで変位する。
グラフ中のf2は比較例2の平均荷重であり、それほど大きくないために、結果として吸収エネルギー量はさほど多くならない。
そこで、輸送機械用骨格構造部材の吸収エネルギー量をより増大する技術が望まれる。
本発明においては、輸送機械の骨格部材内の空間及び/又は骨格部材とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体が充填された骨格構造部材であって、前記空間の内部圧力が増大したとき、該内部圧力が過渡に上昇するの抑制するため、前記複数の粉粒体が移動可能な粉粒体流動許容部が該粉粒体に近接して設けられたことを特徴とする輸送機械用骨格構造部材が提供される。
このように、骨格部材の内部圧力が増加したとき、粉粒体が移動可能な粉粒体流動許容部を粉粒体に近接して設け、骨格部材の内部圧力が過度に上昇するのを抑えるようにしたので、骨格構造部材に外部から荷重が働き、粉粒体を充填した空間の内部圧力が増大しても、その圧力の増大に伴って粉粒体は粉粒体流動許容部へ移動する。このため、空間の内部圧力が過度に上昇せず、骨格構造部材が折れ曲がるなどの局部的な変形が発生するのを防止することができ、大きな変位量まで大きな荷重を支えることができる。その結果、本発明の骨格構造部材の吸収エネルギー量はより増大する。
本発明における前記粉粒体流動許容部は、好適には、前記骨格部材の内部に設けられ、中空部を有する中空部形成部材で形成される。該中空部形成部材は、例えば実施の例によると、断面閉空間を有する。前記中空部形成部材は、蛇腹形状をした部材であってもよい。さらに、前記中空部形成部材は、前記骨格構造部材に荷重が掛かる端部から他端部に向けて拡開する壁部を有する部材であってもよい。
さらに、本発明の粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられた発泡材から構成するようにしてもよく、また、前記複数の粉粒体よりも強度の弱い粉粒体から構成するようにしもよい。
さらにまた、上記粉粒体流動許容部としては、前記骨格部材の内部に設けられた長さが異なる複数の許容部から構成するようにしてもよい。
このように、骨格部材の内部圧力が増加したとき、粉粒体が移動可能な粉粒体流動許容部を粉粒体に近接して設け、骨格部材の内部圧力が過度に上昇するのを抑えるようにしたので、骨格構造部材に外部から荷重が働き、粉粒体を充填した空間の内部圧力が増大しても、その圧力の増大に伴って粉粒体は粉粒体流動許容部へ移動する。このため、空間の内部圧力が過度に上昇せず、骨格構造部材が折れ曲がるなどの局部的な変形が発生するのを防止することができ、大きな変位量まで大きな荷重を支えることができる。その結果、本発明の骨格構造部材の吸収エネルギー量はより増大する。
本発明における前記粉粒体流動許容部は、好適には、前記骨格部材の内部に設けられ、中空部を有する中空部形成部材で形成される。該中空部形成部材は、例えば実施の例によると、断面閉空間を有する。前記中空部形成部材は、蛇腹形状をした部材であってもよい。さらに、前記中空部形成部材は、前記骨格構造部材に荷重が掛かる端部から他端部に向けて拡開する壁部を有する部材であってもよい。
さらに、本発明の粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられた発泡材から構成するようにしてもよく、また、前記複数の粉粒体よりも強度の弱い粉粒体から構成するようにしもよい。
さらにまた、上記粉粒体流動許容部としては、前記骨格部材の内部に設けられた長さが異なる複数の許容部から構成するようにしてもよい。
図1は、本発明の第1実施例に係る骨格構造部材の斜視図である。
図2は、図1の2−2線に沿った断面図である。
図3は、図1の3−3線に沿った断面図である。
図4A、図4B及び図4Cは、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験時の変形を示した図である。
図5A図5Bは、第1実施例の骨格構造部材の変形の原理を説明するため、比較例と、実施例とを比較した図である。
図6は、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験を行ったときの荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図7A〜図7Dは、本発明の第2実施例に係る骨格構造部材の構成図、圧潰試験の状態図、及び変形時の荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図8A及び図8Bは、本発明の第3実施例に係る骨格構造部材と、その変形例を示した断面図である。
図9A及び図9Bは、本発明の第4実施例に係る骨格構造部材の断面図である。
図10及び図10Bは、本発明の第5実施例に係る骨格構造部材とその変形例を示した断面図である。
図11は、本発明の第6実施例に係る骨格構造部材の断面図である。
図12A及び図12Bは、本発明の第7実施例に係る骨格構造部材とその変形例を示した断面図である。
図13は、第1の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図14は、第2の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図15は、第3の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図16は、従来の骨格構造部材の変形状態を示した図である。
図17は、図16で示した骨格構造部材が変形した際の荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図18は、粉粒体が流通するためのドレインを骨格構造部材に1つ形成したときの変形状態を示した図である。
図19は、粉粒体が流通するためのドレイン穴を骨格構造部材に複数形成したときの変形状態を示した図である。
図20は、図18及び図19で示した骨格構造部材の圧潰するときの荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図2は、図1の2−2線に沿った断面図である。
図3は、図1の3−3線に沿った断面図である。
図4A、図4B及び図4Cは、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験時の変形を示した図である。
図5A図5Bは、第1実施例の骨格構造部材の変形の原理を説明するため、比較例と、実施例とを比較した図である。
図6は、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験を行ったときの荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図7A〜図7Dは、本発明の第2実施例に係る骨格構造部材の構成図、圧潰試験の状態図、及び変形時の荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図8A及び図8Bは、本発明の第3実施例に係る骨格構造部材と、その変形例を示した断面図である。
図9A及び図9Bは、本発明の第4実施例に係る骨格構造部材の断面図である。
図10及び図10Bは、本発明の第5実施例に係る骨格構造部材とその変形例を示した断面図である。
図11は、本発明の第6実施例に係る骨格構造部材の断面図である。
図12A及び図12Bは、本発明の第7実施例に係る骨格構造部材とその変形例を示した断面図である。
図13は、第1の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図14は、第2の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図15は、第3の従来の骨格構造部材を示した断面図である。
図16は、従来の骨格構造部材の変形状態を示した図である。
図17は、図16で示した骨格構造部材が変形した際の荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図18は、粉粒体が流通するためのドレインを骨格構造部材に1つ形成したときの変形状態を示した図である。
図19は、粉粒体が流通するためのドレイン穴を骨格構造部材に複数形成したときの変形状態を示した図である。
図20は、図18及び図19で示した骨格構造部材の圧潰するときの荷重と変位量との関係を示したグラフである。
図1、図2及び図3は、本発明の第1実施例に係る骨格構造部材を示している。図1に示すように、第1実施例の輸送機械用骨格構造部材12(以下、単に「骨格構造部材12」と記す。)は、中空状の骨格部材11内に複数の粉粒体を充填した構造をしている。参照番号13,13は骨格部材11の両端を塞ぐ端部閉塞部材である。
前記骨格構造部材12は、図2に示すように、空間16に複数の粉粒体17が充填された骨格部材11と、該骨格部材11の内部に配置された粉粒体流動許容部14とからなる。
この粉粒体流動許容部14は、第1実施例においては中空部形成部材15からなる。該中空形成部材15は中空部18を有する。
図3に示すように、骨格部材11は、断面U字状の2つの骨格半体21,21と、その周縁に一体に形成されたフランジ21a,21aとからなる。2つの骨格半体21,21は、断面閉空間となるよう互いに合わせて、フランジ21a,21aで中空部形成部材15と共に接合される。
中空部形成部材15は、断面U字状の2つの形成部材半体22,22と、その周縁に一体に形成されたフランジ22a,22aとからなる。2つの形成部材半体22,22は、断面閉空間を形成するよう互いに会わされてフランジ22a,22aで骨格部材21のフランジ21a,21aに接合される。
形成部材半体22は、骨格半体21よりも強度を小さくした、例えば、板厚を小さくすることで変形し易くした部材である。
図4A〜図4Cは、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験時の変形状態を示している。
図4Aに示すように、骨格構造部材12の軸長手方向に圧縮荷重としての荷重Fを加える。このときに荷重を加えるための押圧部材(図示せず)のストローク、即ち押圧部材の下方への変位量をλとする。
図4Bに示すように、骨格構造部材12に荷重Fが作用すると、粉粒体17が充填されている骨格構造部材12の上部空間16に内部圧力が発生する。これは、空間16内に粉粒体17が詰められているためである。
図4Cに示すように、骨格構造部材12が変位量λ1だけ変位すると、荷重を加えた方向に直交する方向の荷重が大きくなり、矢印で示すように複数の粉粒体17が中空部形成部材15を押圧して該形成部材15の上部内側、つまり中空部18側に変形させ、複数の粉粒体17は中空部18側に移動する。中空部形成部材15ほどではないが、骨格部材11も外方に変形する。
従って、空間16の内部圧力は過度に上昇せず、ほぼ所定の内部圧力を維持するから、中空部形成部材15及び骨格部材11は局部的に変形せず、屈曲することはない。
この後、内部圧力の大きくなる部分は次第に骨格構造部材12の下方に徐々に移り、骨格部材11及び中空部形成部材15は上述と同様に変形を続け、エネルギーを吸収する。
外部から作用する荷重が大きくて、空間16の内部圧力が更に大きくなれば、中空部形成部材15は破損、例えば該形成部材15に亀裂が発生し、その裂け目から前記粉粒体17が中空部18内に流れ込み、空間16の内部圧力の過度の上昇を防止する。
図5A及び図5Bは、第1実施例の骨格構造部材の変形原理を説明するため、比較例と対比して示している。
図5Aは比較例であり、粉粒体261を空間262に充填した骨格構造部材263と、粉粒体圧力P(即ち、骨格構造部材263に軸圧縮荷重Fを加えたときに、軸圧縮荷重Fの向きに直交する方向の粉粒体261同士に作用する圧力であり、空間262の内部圧力である。)と距離L(空間262の上端位置から下端位置側への距離)との関係を表したグラフとを示している。
比較例の骨格構造部材263に軸圧縮荷重Fを加えると、空間262の内部圧力が増加する。即ち、骨格構造部材263の荷重Fを加えた点を加重点264とすると、この加重点264に近い粉粒体261の圧力Pは非常に大きく、距離Lが増すにつれて、粉粒体圧力Pは小さくなる。これは、気体あるいは液体と違って、粉粒体261では、隣り合う粉粒体261同士の間、及び粉粒体261と骨格構造部材263の壁面との間に大きな摩擦力が発生するためであり、粉粒体圧力Pは骨格構造部材263内で一様にならず、加重点264から離れると急激に低下する。
これに対して、本実施例では、図5Bに示すように、骨格構造部材12に軸圧縮荷重Fを加えると、中空部形成部材15が矢印で示すように中空部18側に変形するために粉粒体圧力Pは過度に上昇せず、加重点24に近い空間16の端部に発生する最大の粉粒体圧力p2は、比較例の最大の粉粒体圧力p1よりもΔpだけ低下する。即ち、粉粒体圧力Pは距離Lが大きくなるにつれて減少するものの、比較例よりも一定になろうとする。
このように、骨格構造部材12に、中空部形成部材15のような低剛性部あるいは脆弱部と、該中空部形成部材15の変形を許容する中空部18、即ち、中空部形成部材15の壁面及び粉粒体17が移動できる中空部18(中空部形成部材15が破損したときは粉粒体17が流入する中空部18)を設けておけば、粉粒体圧力Pが上昇しようとするときに空間16内の過度の圧力上昇を防止することができる。
図6は、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験を行ったときの荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフである。
粉粒体が移動可能な中空部(移動可能空間)を設けた実施例1では、その平均荷重をf3とすると、この平均荷重f3は、比較例6(ドレイン穴複数ヶ所)の平均荷重f2よりも大きく、しかも、実施例1の変位量λの最大が大きい、即ち有効ストロークが長いため、各比較例に比べて吸収エネルギー量をより増大させることができる。
なお、本実施例では、図3に示したように、骨格部材11として断面U字状の2つの半体を合わせて断面閉空間を形成する四角形状の部材を示しているが、本発明においてはこれに限らず、例えば断面U字状の開放部分を有する骨格部材と、開放部分を閉鎖する骨格部材周辺のパネル部材とで閉空間を形成するようにしてもよい。すなわち、本発明においては、骨格部材内の空間及び/又は骨格部材とその周辺のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体を充填する。
図5A及び図5Bで説明したように、本発明は、輸送機械の骨格部材11内の空間及び/又は骨格部材11とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体17を充填した骨格構造部材12であって、前記空間16の内部圧力が増加したときに、前記粉粒体17が流動可能な粉粒体流動許容部14を前記空間16内の前記粉粒体17に近接して設けることで、前記空間16の内部圧力が過度に上昇するのを抑えたことを特徴とする。
空間16の内部圧力が増加したときに粉粒体17が移動可能な中空部18を前記空間16に近傍して設けることにより、例えば、骨格構造部材12に外部から軸圧縮荷重が作用したとき、粉粒体17を充填した空間16の内部圧力が増加しても、その圧力の増加に伴って粉粒体17は中空部18側へ移動するため、空間16の内部圧力が過度に上昇せず、骨格構造部材12が折れ曲がるなどの局部的な変形が発生するのを防止することができ、大きな変位量まで大きな荷重を支えることができて、従来に比較して、骨格構造部材12の吸収エネルギー量をより増加させることができる。
従って、例えば、車両衝突時の衝撃エネルギーを骨格構造部材12で効果的に吸収することができる。
図7A〜図7Dは、本発明の第2実施例に係る骨格構造部材、及び圧潰試験の状態を示している。
図7Aは、骨格部材31の内部に粉粒体流動許容部14である中空部形成部材32を取付け、これらの骨格部材31と中空部形成部材32との間の空間33に複数の粉粒体17を充填し、中空部形成部材32に中空部34を設けた骨格構造部材35を示す。
図7Bにおいて、骨格部材31単体に軸圧縮荷重Fを加えて骨格部材31を強制的に変形させる。λは変位量である。
図7Cにおいて、中空部形成部材32単体に軸圧縮荷重Fを加えて中空部形成部材32を強制的に変形させる。
図7Dは、図7B及び図7Cで変形させたときの荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフである。
グラフ中の実線が骨格部材、破線が中空部形成部材の結果である。例えば、骨格部材への荷重Fの2番目のピーク(即ち、極大値)が発生する変位量λをd5とし、骨格部材の波長をWとしたときに、中空部形成部材への荷重Fの2番目のピーク(即ち、極大値)が発生する変位量λを、骨格部材の変位量d5からW/2だけ大きな変位量であるd6となるように位相がずれるように設定にすれば、骨格部材への荷重と中空部形成部材への荷重とを加えたときに、一点鎖線に示した荷重Fと変位量λとの関係が得られる。即ち、この線が図7Aに示した第2実施例の骨格構造部材35の特性であり、荷重変動は小さくなる。
上記のような位相差を持たせる手段としては、(1)中空部形成部材の断面寸法を骨格部材の1/2にする方法、(2)中空部形成部材にビード(bead:溶着金属の層)やノッチ(notch:V字状の切込み)を設ける方法、(3)骨格部材と中空部形成部材とのそれぞれの先端(即ち、荷重が作用する端部)をずらして組み立てる方法がある。
図8A及び図8Bは、本発明の第3実施例に係る骨格構造部材を示している。
図8Aに示した第3実施例の骨格構造部材40は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けた粉粒体流動許容部42とからなる。骨格部材11と粉粒体流動許容部42との間の空間43、つまり骨格部材11の空間43には複数の粉粒体17が充填される。前記粉粒体流動許容部42は発泡部材45からなる。
発泡部材45としては、ポリウレタン、発泡アルミニウム等からなる。該発泡部材45は、例えばフィルム状の収納部材に収納される。
骨格構造部材40に軸圧縮荷重を加えると、空間43の内部圧力が増加し、粉粒体17は発泡部材45の壁面を押圧し、該発泡部材45による反力に抗して該発泡部材45の壁面を内側へ変形させる。その結果、空間43の内部圧力はほぼ一定になる。
このとき骨格構造部材40に作用する軸圧縮荷重が大きければ、空間43の内部圧力が更に大きくなり、発泡部材45の壁面に亀裂が発生して、その裂け目から粉粒体17が発泡部材45中に流れ込み、前記空間43内の過度の圧力上昇を防止する。
図8Bに示した骨格構造部材50は、図8Aに示した骨格構造部材40の変形例であり、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けた粉粒体流動許容部42とからなる。骨格部材11と粉粒体流動許容部42間には粉粒体17が充填される。粉粒体流動許容部42は中空粉粒体51からなる。
中空粉粒体51は、例えば、低沸点の炭化水素からなる芯物質(液体又は固体)を微粒化し、この芯物質を熱可塑性樹脂製の被膜で被覆した(即ち、殻で包み込んだ)、いわゆる「マイクロカプセル」を加熱することにより、芯物質を気化させ被膜(即ち、殻)を軟化させ膨張させて造る。上記中空粉粒体51は、例えばフィルム状の収納部材に充填される。
骨格構造部材50に軸圧縮荷重を加えると、空間43の内部圧力が増加し、粉粒体17は粉粒体流動許容部42の壁面を押圧し、中空粉粒体51による反力に抗して粉粒体流動許容部42の壁面を内側へ変形させる。
このとき、粉粒体流動許容部42内に初めに充填する膨張前のマイクロカプセルの量を調整すれば、加熱してマイクロカプセルが膨張した後の粉粒体流動許容部42の内部圧力を調整することができる。従って、粉粒体17による押圧力に抗する中空粉粒体51の反力は変更可能となり、空間43の内部圧力を調整することができる。
このように、上記粉粒体流動許容部42に、粉粒体17よりも圧縮されやすい粉粒体を充填しておけば、空間43の内部圧力が上昇したとき、粉粒体流動許容部42の壁面は、圧縮されやすい前記粉粒体側に変形される。
図9A及び図9Bは、本発明の第4実施例に係る骨格構造部材を示している。
図9Aにおいて、第4実施例の骨格構造部材60は、空間63に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部設けられた粉粒体流動許容部61とからなる。この実施例の粉粒体流動許容部61は、縦断面が蛇腹状の中空部形成部材62からなる。この中空部形成部材62は中空部64を有する。
蛇腹状中空部形成部材62は、軸圧縮荷重を加えたときの変形の周波(即ち、周期的に繰り返される同じ波形)の形状に予め形成された部材である。
骨格構造部材60に軸圧縮荷重Fを加えると、空間63の内部圧力が増加し、図9Bに示したように、変位量がλ2になると、粉粒体17は中空部形成部材62の壁面を押圧する。蛇腹状中空部形成部材62は変形の周波に形成してあるから、該中空部形成部材62の壁面はスムーズに周波の振幅が大きくなるよう中空部64側へ変形する。
これに伴って、骨格部材11も蛇腹状中空部形成部材62とほぼ同様の形状に変形する。この結果、骨格構造部材60の変形中は粉粒体17の圧力がほぼ一定に保たれ、且つ荷重の変動も小さく、大きな荷重を大きな変位量まで維持し、骨格構造部材60の吸収エネルギー量が増す。
図10A及び図10Bは、本発明の第5実施例に係る骨格構造部材を示している。
図10Aに示す第5実施例の骨格構造部材70は、空間73に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部71とからなる。粉粒体流動許容部71は、中空部74を有する中空部形成部材72からなる。該中空部形成部材72は、縦断面がテーパ状となっている。
ここで、図2で示した骨格部材11の端部閉塞部材13,13を、荷重を作用させる側の端部閉塞部材13a及び他方の端部閉塞部材13bとすると、テーパ状中空部形成部材72は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13bに至る方向へ拡開したテーパ壁76,76を有する。
図5Bで説明したように、粉粒体圧力Pは加重点24から遠ざかるにつれて低下するから、図10Aにおいて、例えば、端部閉塞部材13aに軸圧縮荷重を加えたとき、空間73の内部圧力は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ次第に小さくなる。このため、複数の粉粒体17が充填された空間73の横断面の面積を端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向かうに従って徐々に小さくすれば、空間73の内部圧力、即ち上記した粉粒体17同士に作用する圧力(即ち、粉粒体圧力)を一定にすることができる。
図10Bに示した骨格構造部材80は、図10Aに示した第5実施例に係る骨格構造部材70の変形例を示している。この変形例の骨格構造部材80は、縦断面をテーパ状とした骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部81とからなる。骨格構造部材80の空間83には複数の粉粒体17が充填されている。粉粒体流動許容部81は、内部に中空部84を有する中空部形成部材82からなる。
骨格部材11は、両端部を塞ぐ端部閉塞部材86,87を有し、荷重を加える側の一方の端部閉塞部材86側から他方の端部閉塞部材87に至る方向に向けて狭くなるよう形成されたテーパ壁88,88を有する。この骨格構造部材80の内部に働く圧力は、図10Aに示した骨格構造部材70と同じである。
図11は、本発明の第6実施例に係る骨格構造部材を示している。
骨格構造部材90は、空間93内に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部92とかなる。
粉粒体流動許容部92は、骨格部材11の長手方向において長さが異なる中央の第1許容部95と、第1許容部95の両側に配置された第2許容部96,96と、第2許容部96,96の外側に配置された第3許容部97,97からなる。
これら第1許容部95、第2許容部96,96、及び第3許容部97,97は、例えば膜部材或いはフィルムで形成された空間である。
骨格部材11の端部閉塞部材13,13(図2参照)を、荷重を作用させる側の端部閉塞部材13aとし、他方の端部閉塞部材13bとすると、第1許容部95、第2許容部96,96、及び第3許容部97,97は、それぞれ端部閉塞部材13b側で端部の位置が揃っている。
これらの第1許容部95、第2許容部96,96、第3許容部97,97のそれぞれの長さをL1,L2,L3とすると、L1>L2>L3であり、それぞれの横断面積は同一である。
例えば、端部閉塞部材13Aに軸圧縮荷重を加えたときに、空間93の内部圧力は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向けて次第に小さくなるため、粉粒体17を充填した空間93の横断面の面積を、前記複数の許容部95,96,96,97,97を配置することで端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向けて段階的に小さくすることで、空間93の内部圧力、即ち上記した粉粒体17同士に作用する圧力はほぼ一定になる。
図12A及び図12Bは、本発明の第7実施例に係る骨格構造部材を示している。
図12Aに示した第7実施例の骨格構造部材110は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体充填部材112とからなる。粉粒体充填部材112は断面矩形状の壁部112aで囲繞された閉空間113を有し、該空間113内に複数の粉粒体17が充填されている。
骨格部材11と粉粒体充填部材112との間には、空間からなる粉粒体流動許容部114が形成される。
骨格構造部材110の端部に軸圧縮荷重が加わると、粉粒体充填部材112の閉空間113に複数の粉粒体17が詰まっているため、粉粒体充填部材112の内部圧力が高くなる。そして、粉粒体17が粉粒体充填部材112の壁部112aを押圧して該壁部112aを外側、即ち空間からなる粉粒体流動許容部114側に変形させて破壊し、粉粒体17は粉粒体流動許容部114に流動する。結果として骨格構造部材110全体の内部圧力は一定に保たれ、吸収エネルギーは増大する。
図12Bに示す骨格構造部材120は、図12Aに示した第7実施例の骨格構造部材110の変形例を示している。
この変形例の骨格構造部材120は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体充填部材122とからなる。この粉粒体充填部材122は、四隅部分が切り欠かれた断面クロス状の壁部122aで囲繞された閉空間123を有し、該空間123内に複数の粉粒体17が充填されている。
骨格部材11と粉粒体充填部材122との間、つまり該粉粒体充填部材122が切り欠かれた四隅部分には、空間からなる粉粒体流動許容部124が形成される。
上記変形例の骨格構造部材120の作用は、図12Aに示した骨格構造部材110と同様である。
本実施例では、(1)骨格部材と粉粒体流動許容部とで囲まれる空間、あるいは粉粒体充填部材内の空間に粉粒体を充填した例を示したが、本発明は、これに限らず、(2)骨格部材とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に粉粒体を充填するようにしてもよく、上記の(1),(2)の両方の空間に粉粒体を充填するようにしてもよい。
前記骨格構造部材12は、図2に示すように、空間16に複数の粉粒体17が充填された骨格部材11と、該骨格部材11の内部に配置された粉粒体流動許容部14とからなる。
この粉粒体流動許容部14は、第1実施例においては中空部形成部材15からなる。該中空形成部材15は中空部18を有する。
図3に示すように、骨格部材11は、断面U字状の2つの骨格半体21,21と、その周縁に一体に形成されたフランジ21a,21aとからなる。2つの骨格半体21,21は、断面閉空間となるよう互いに合わせて、フランジ21a,21aで中空部形成部材15と共に接合される。
中空部形成部材15は、断面U字状の2つの形成部材半体22,22と、その周縁に一体に形成されたフランジ22a,22aとからなる。2つの形成部材半体22,22は、断面閉空間を形成するよう互いに会わされてフランジ22a,22aで骨格部材21のフランジ21a,21aに接合される。
形成部材半体22は、骨格半体21よりも強度を小さくした、例えば、板厚を小さくすることで変形し易くした部材である。
図4A〜図4Cは、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験時の変形状態を示している。
図4Aに示すように、骨格構造部材12の軸長手方向に圧縮荷重としての荷重Fを加える。このときに荷重を加えるための押圧部材(図示せず)のストローク、即ち押圧部材の下方への変位量をλとする。
図4Bに示すように、骨格構造部材12に荷重Fが作用すると、粉粒体17が充填されている骨格構造部材12の上部空間16に内部圧力が発生する。これは、空間16内に粉粒体17が詰められているためである。
図4Cに示すように、骨格構造部材12が変位量λ1だけ変位すると、荷重を加えた方向に直交する方向の荷重が大きくなり、矢印で示すように複数の粉粒体17が中空部形成部材15を押圧して該形成部材15の上部内側、つまり中空部18側に変形させ、複数の粉粒体17は中空部18側に移動する。中空部形成部材15ほどではないが、骨格部材11も外方に変形する。
従って、空間16の内部圧力は過度に上昇せず、ほぼ所定の内部圧力を維持するから、中空部形成部材15及び骨格部材11は局部的に変形せず、屈曲することはない。
この後、内部圧力の大きくなる部分は次第に骨格構造部材12の下方に徐々に移り、骨格部材11及び中空部形成部材15は上述と同様に変形を続け、エネルギーを吸収する。
外部から作用する荷重が大きくて、空間16の内部圧力が更に大きくなれば、中空部形成部材15は破損、例えば該形成部材15に亀裂が発生し、その裂け目から前記粉粒体17が中空部18内に流れ込み、空間16の内部圧力の過度の上昇を防止する。
図5A及び図5Bは、第1実施例の骨格構造部材の変形原理を説明するため、比較例と対比して示している。
図5Aは比較例であり、粉粒体261を空間262に充填した骨格構造部材263と、粉粒体圧力P(即ち、骨格構造部材263に軸圧縮荷重Fを加えたときに、軸圧縮荷重Fの向きに直交する方向の粉粒体261同士に作用する圧力であり、空間262の内部圧力である。)と距離L(空間262の上端位置から下端位置側への距離)との関係を表したグラフとを示している。
比較例の骨格構造部材263に軸圧縮荷重Fを加えると、空間262の内部圧力が増加する。即ち、骨格構造部材263の荷重Fを加えた点を加重点264とすると、この加重点264に近い粉粒体261の圧力Pは非常に大きく、距離Lが増すにつれて、粉粒体圧力Pは小さくなる。これは、気体あるいは液体と違って、粉粒体261では、隣り合う粉粒体261同士の間、及び粉粒体261と骨格構造部材263の壁面との間に大きな摩擦力が発生するためであり、粉粒体圧力Pは骨格構造部材263内で一様にならず、加重点264から離れると急激に低下する。
これに対して、本実施例では、図5Bに示すように、骨格構造部材12に軸圧縮荷重Fを加えると、中空部形成部材15が矢印で示すように中空部18側に変形するために粉粒体圧力Pは過度に上昇せず、加重点24に近い空間16の端部に発生する最大の粉粒体圧力p2は、比較例の最大の粉粒体圧力p1よりもΔpだけ低下する。即ち、粉粒体圧力Pは距離Lが大きくなるにつれて減少するものの、比較例よりも一定になろうとする。
このように、骨格構造部材12に、中空部形成部材15のような低剛性部あるいは脆弱部と、該中空部形成部材15の変形を許容する中空部18、即ち、中空部形成部材15の壁面及び粉粒体17が移動できる中空部18(中空部形成部材15が破損したときは粉粒体17が流入する中空部18)を設けておけば、粉粒体圧力Pが上昇しようとするときに空間16内の過度の圧力上昇を防止することができる。
図6は、第1実施例の骨格構造部材の圧潰試験を行ったときの荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフである。
粉粒体が移動可能な中空部(移動可能空間)を設けた実施例1では、その平均荷重をf3とすると、この平均荷重f3は、比較例6(ドレイン穴複数ヶ所)の平均荷重f2よりも大きく、しかも、実施例1の変位量λの最大が大きい、即ち有効ストロークが長いため、各比較例に比べて吸収エネルギー量をより増大させることができる。
なお、本実施例では、図3に示したように、骨格部材11として断面U字状の2つの半体を合わせて断面閉空間を形成する四角形状の部材を示しているが、本発明においてはこれに限らず、例えば断面U字状の開放部分を有する骨格部材と、開放部分を閉鎖する骨格部材周辺のパネル部材とで閉空間を形成するようにしてもよい。すなわち、本発明においては、骨格部材内の空間及び/又は骨格部材とその周辺のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体を充填する。
図5A及び図5Bで説明したように、本発明は、輸送機械の骨格部材11内の空間及び/又は骨格部材11とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体17を充填した骨格構造部材12であって、前記空間16の内部圧力が増加したときに、前記粉粒体17が流動可能な粉粒体流動許容部14を前記空間16内の前記粉粒体17に近接して設けることで、前記空間16の内部圧力が過度に上昇するのを抑えたことを特徴とする。
空間16の内部圧力が増加したときに粉粒体17が移動可能な中空部18を前記空間16に近傍して設けることにより、例えば、骨格構造部材12に外部から軸圧縮荷重が作用したとき、粉粒体17を充填した空間16の内部圧力が増加しても、その圧力の増加に伴って粉粒体17は中空部18側へ移動するため、空間16の内部圧力が過度に上昇せず、骨格構造部材12が折れ曲がるなどの局部的な変形が発生するのを防止することができ、大きな変位量まで大きな荷重を支えることができて、従来に比較して、骨格構造部材12の吸収エネルギー量をより増加させることができる。
従って、例えば、車両衝突時の衝撃エネルギーを骨格構造部材12で効果的に吸収することができる。
図7A〜図7Dは、本発明の第2実施例に係る骨格構造部材、及び圧潰試験の状態を示している。
図7Aは、骨格部材31の内部に粉粒体流動許容部14である中空部形成部材32を取付け、これらの骨格部材31と中空部形成部材32との間の空間33に複数の粉粒体17を充填し、中空部形成部材32に中空部34を設けた骨格構造部材35を示す。
図7Bにおいて、骨格部材31単体に軸圧縮荷重Fを加えて骨格部材31を強制的に変形させる。λは変位量である。
図7Cにおいて、中空部形成部材32単体に軸圧縮荷重Fを加えて中空部形成部材32を強制的に変形させる。
図7Dは、図7B及び図7Cで変形させたときの荷重Fと変位量λとの関係を示したグラフである。
グラフ中の実線が骨格部材、破線が中空部形成部材の結果である。例えば、骨格部材への荷重Fの2番目のピーク(即ち、極大値)が発生する変位量λをd5とし、骨格部材の波長をWとしたときに、中空部形成部材への荷重Fの2番目のピーク(即ち、極大値)が発生する変位量λを、骨格部材の変位量d5からW/2だけ大きな変位量であるd6となるように位相がずれるように設定にすれば、骨格部材への荷重と中空部形成部材への荷重とを加えたときに、一点鎖線に示した荷重Fと変位量λとの関係が得られる。即ち、この線が図7Aに示した第2実施例の骨格構造部材35の特性であり、荷重変動は小さくなる。
上記のような位相差を持たせる手段としては、(1)中空部形成部材の断面寸法を骨格部材の1/2にする方法、(2)中空部形成部材にビード(bead:溶着金属の層)やノッチ(notch:V字状の切込み)を設ける方法、(3)骨格部材と中空部形成部材とのそれぞれの先端(即ち、荷重が作用する端部)をずらして組み立てる方法がある。
図8A及び図8Bは、本発明の第3実施例に係る骨格構造部材を示している。
図8Aに示した第3実施例の骨格構造部材40は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けた粉粒体流動許容部42とからなる。骨格部材11と粉粒体流動許容部42との間の空間43、つまり骨格部材11の空間43には複数の粉粒体17が充填される。前記粉粒体流動許容部42は発泡部材45からなる。
発泡部材45としては、ポリウレタン、発泡アルミニウム等からなる。該発泡部材45は、例えばフィルム状の収納部材に収納される。
骨格構造部材40に軸圧縮荷重を加えると、空間43の内部圧力が増加し、粉粒体17は発泡部材45の壁面を押圧し、該発泡部材45による反力に抗して該発泡部材45の壁面を内側へ変形させる。その結果、空間43の内部圧力はほぼ一定になる。
このとき骨格構造部材40に作用する軸圧縮荷重が大きければ、空間43の内部圧力が更に大きくなり、発泡部材45の壁面に亀裂が発生して、その裂け目から粉粒体17が発泡部材45中に流れ込み、前記空間43内の過度の圧力上昇を防止する。
図8Bに示した骨格構造部材50は、図8Aに示した骨格構造部材40の変形例であり、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けた粉粒体流動許容部42とからなる。骨格部材11と粉粒体流動許容部42間には粉粒体17が充填される。粉粒体流動許容部42は中空粉粒体51からなる。
中空粉粒体51は、例えば、低沸点の炭化水素からなる芯物質(液体又は固体)を微粒化し、この芯物質を熱可塑性樹脂製の被膜で被覆した(即ち、殻で包み込んだ)、いわゆる「マイクロカプセル」を加熱することにより、芯物質を気化させ被膜(即ち、殻)を軟化させ膨張させて造る。上記中空粉粒体51は、例えばフィルム状の収納部材に充填される。
骨格構造部材50に軸圧縮荷重を加えると、空間43の内部圧力が増加し、粉粒体17は粉粒体流動許容部42の壁面を押圧し、中空粉粒体51による反力に抗して粉粒体流動許容部42の壁面を内側へ変形させる。
このとき、粉粒体流動許容部42内に初めに充填する膨張前のマイクロカプセルの量を調整すれば、加熱してマイクロカプセルが膨張した後の粉粒体流動許容部42の内部圧力を調整することができる。従って、粉粒体17による押圧力に抗する中空粉粒体51の反力は変更可能となり、空間43の内部圧力を調整することができる。
このように、上記粉粒体流動許容部42に、粉粒体17よりも圧縮されやすい粉粒体を充填しておけば、空間43の内部圧力が上昇したとき、粉粒体流動許容部42の壁面は、圧縮されやすい前記粉粒体側に変形される。
図9A及び図9Bは、本発明の第4実施例に係る骨格構造部材を示している。
図9Aにおいて、第4実施例の骨格構造部材60は、空間63に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部設けられた粉粒体流動許容部61とからなる。この実施例の粉粒体流動許容部61は、縦断面が蛇腹状の中空部形成部材62からなる。この中空部形成部材62は中空部64を有する。
蛇腹状中空部形成部材62は、軸圧縮荷重を加えたときの変形の周波(即ち、周期的に繰り返される同じ波形)の形状に予め形成された部材である。
骨格構造部材60に軸圧縮荷重Fを加えると、空間63の内部圧力が増加し、図9Bに示したように、変位量がλ2になると、粉粒体17は中空部形成部材62の壁面を押圧する。蛇腹状中空部形成部材62は変形の周波に形成してあるから、該中空部形成部材62の壁面はスムーズに周波の振幅が大きくなるよう中空部64側へ変形する。
これに伴って、骨格部材11も蛇腹状中空部形成部材62とほぼ同様の形状に変形する。この結果、骨格構造部材60の変形中は粉粒体17の圧力がほぼ一定に保たれ、且つ荷重の変動も小さく、大きな荷重を大きな変位量まで維持し、骨格構造部材60の吸収エネルギー量が増す。
図10A及び図10Bは、本発明の第5実施例に係る骨格構造部材を示している。
図10Aに示す第5実施例の骨格構造部材70は、空間73に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部71とからなる。粉粒体流動許容部71は、中空部74を有する中空部形成部材72からなる。該中空部形成部材72は、縦断面がテーパ状となっている。
ここで、図2で示した骨格部材11の端部閉塞部材13,13を、荷重を作用させる側の端部閉塞部材13a及び他方の端部閉塞部材13bとすると、テーパ状中空部形成部材72は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13bに至る方向へ拡開したテーパ壁76,76を有する。
図5Bで説明したように、粉粒体圧力Pは加重点24から遠ざかるにつれて低下するから、図10Aにおいて、例えば、端部閉塞部材13aに軸圧縮荷重を加えたとき、空間73の内部圧力は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ次第に小さくなる。このため、複数の粉粒体17が充填された空間73の横断面の面積を端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向かうに従って徐々に小さくすれば、空間73の内部圧力、即ち上記した粉粒体17同士に作用する圧力(即ち、粉粒体圧力)を一定にすることができる。
図10Bに示した骨格構造部材80は、図10Aに示した第5実施例に係る骨格構造部材70の変形例を示している。この変形例の骨格構造部材80は、縦断面をテーパ状とした骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部81とからなる。骨格構造部材80の空間83には複数の粉粒体17が充填されている。粉粒体流動許容部81は、内部に中空部84を有する中空部形成部材82からなる。
骨格部材11は、両端部を塞ぐ端部閉塞部材86,87を有し、荷重を加える側の一方の端部閉塞部材86側から他方の端部閉塞部材87に至る方向に向けて狭くなるよう形成されたテーパ壁88,88を有する。この骨格構造部材80の内部に働く圧力は、図10Aに示した骨格構造部材70と同じである。
図11は、本発明の第6実施例に係る骨格構造部材を示している。
骨格構造部材90は、空間93内に充填された複数の粉粒体17を有する骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体流動許容部92とかなる。
粉粒体流動許容部92は、骨格部材11の長手方向において長さが異なる中央の第1許容部95と、第1許容部95の両側に配置された第2許容部96,96と、第2許容部96,96の外側に配置された第3許容部97,97からなる。
これら第1許容部95、第2許容部96,96、及び第3許容部97,97は、例えば膜部材或いはフィルムで形成された空間である。
骨格部材11の端部閉塞部材13,13(図2参照)を、荷重を作用させる側の端部閉塞部材13aとし、他方の端部閉塞部材13bとすると、第1許容部95、第2許容部96,96、及び第3許容部97,97は、それぞれ端部閉塞部材13b側で端部の位置が揃っている。
これらの第1許容部95、第2許容部96,96、第3許容部97,97のそれぞれの長さをL1,L2,L3とすると、L1>L2>L3であり、それぞれの横断面積は同一である。
例えば、端部閉塞部材13Aに軸圧縮荷重を加えたときに、空間93の内部圧力は、端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向けて次第に小さくなるため、粉粒体17を充填した空間93の横断面の面積を、前記複数の許容部95,96,96,97,97を配置することで端部閉塞部材13a側から端部閉塞部材13b側へ向けて段階的に小さくすることで、空間93の内部圧力、即ち上記した粉粒体17同士に作用する圧力はほぼ一定になる。
図12A及び図12Bは、本発明の第7実施例に係る骨格構造部材を示している。
図12Aに示した第7実施例の骨格構造部材110は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体充填部材112とからなる。粉粒体充填部材112は断面矩形状の壁部112aで囲繞された閉空間113を有し、該空間113内に複数の粉粒体17が充填されている。
骨格部材11と粉粒体充填部材112との間には、空間からなる粉粒体流動許容部114が形成される。
骨格構造部材110の端部に軸圧縮荷重が加わると、粉粒体充填部材112の閉空間113に複数の粉粒体17が詰まっているため、粉粒体充填部材112の内部圧力が高くなる。そして、粉粒体17が粉粒体充填部材112の壁部112aを押圧して該壁部112aを外側、即ち空間からなる粉粒体流動許容部114側に変形させて破壊し、粉粒体17は粉粒体流動許容部114に流動する。結果として骨格構造部材110全体の内部圧力は一定に保たれ、吸収エネルギーは増大する。
図12Bに示す骨格構造部材120は、図12Aに示した第7実施例の骨格構造部材110の変形例を示している。
この変形例の骨格構造部材120は、骨格部材11と、この骨格部材11の内部に設けられた粉粒体充填部材122とからなる。この粉粒体充填部材122は、四隅部分が切り欠かれた断面クロス状の壁部122aで囲繞された閉空間123を有し、該空間123内に複数の粉粒体17が充填されている。
骨格部材11と粉粒体充填部材122との間、つまり該粉粒体充填部材122が切り欠かれた四隅部分には、空間からなる粉粒体流動許容部124が形成される。
上記変形例の骨格構造部材120の作用は、図12Aに示した骨格構造部材110と同様である。
本実施例では、(1)骨格部材と粉粒体流動許容部とで囲まれる空間、あるいは粉粒体充填部材内の空間に粉粒体を充填した例を示したが、本発明は、これに限らず、(2)骨格部材とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に粉粒体を充填するようにしてもよく、上記の(1),(2)の両方の空間に粉粒体を充填するようにしてもよい。
本発明の骨格構造部材は、骨格構造部材の吸収エネルギー量が増大するため、鉄道車両、産業車両、船舶、航空機、自動車、自動二輪車などの輸送機械に用いられる骨格構造部材に適している。
Claims (7)
- 輸送機械の骨格部材内の空間及び/又は骨格部材とその周囲のパネル部材とで囲まれる空間に複数の粉粒体が充填された骨格構造部材であって、
前記空間の内部圧力が増加したとき、該内部圧力が過渡に上昇するのを抑制するため、前記複数の粉粒体が移動可能な粉粒体流動許容部が該粉粒体に近接して設けられたことを特徴とする輸送機械用骨格構造部材。 - 前記粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられ、中空部を有する中空部形成部材からなることを特徴とする請求項1に記載の骨格構造部材。
- 前記中空部形成部材は、蛇腹形状をしていることを特徴する請求項2に記載の骨格構造部材。
- 前記中空部形成部材は、前記骨格構造部材に荷重が掛かる端部から他端部に向けて拡開する壁部を有することを特徴とする請求項2に記載の骨格構造部材。
- 前記粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられた発泡材からなることを特徴とする請求項1に記載の骨格構造部材。
- 前記粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられ、前記複数の粉粒体よりも強度の弱い粉粒体からなることを特徴とする請求項1に記載の骨格構造部材。
- 前記粉粒体流動許容部は、前記骨格部材の内部に設けられた長さが異なる複数の許容部からなることを特徴とする請求項1に記載の骨格構造部材。
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