JPWO2002043058A1 - 光記録媒体の検査方法及び光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体の検査方法及び光記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、光記録媒体が有効に追記型媒体として用いることができるか否かを検査する方法を提供することを目的とする。相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し最短信号のCNRが45dB以上となるように最短信号を記録し、この最短信号の記録領域に、記録層を溶融させないパワーレベルの直流レーザー光を前記最短信号記録時と同じ線速度で照射した後、前記最短信号のキャリアの低下が20dB以下である光記録媒体を追記型光ディスクと判定する。または、相変化形の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録した領域の最も高い反射レベルをRiniとし、この領域にランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射し、この領域を再生して最も高い反射レベルをRtopとし、最も低いレベルをRbottomとしたとき、(Rtop+Rbottom)/2Rini<0.95を満足する光記録媒体を追記型光ディスクと判定する。

Description

技術分野
本発明は、相変化型の記録層を有し、追記型媒体として用いられる光記録媒体の検査方法及び製造方法に関する。
従来の技術
近年、高密度記録が可能な光記録媒体が注目されている。光記録媒体には、1回だけ記録が可能で書き換えが不可能な追記型媒体と、繰り返し記録が可能な書き換え型媒体とがある。
追記型媒体は記録情報の書き換えが不可能であるため、情報の改竄が問題となる公文書等の記録に適している。追記型媒体としては、有機色素を記録材料とするものが広く用いられている。しかし、有機色素を記録材料とすると、媒体の線速度を速くして高速記録を行う場合に記録感度が不十分となりやすいので、高転送レートの実現が困難である。また、有機色素は、分光吸収特性や分光反射特性が比較的急峻であるため、記録・再生波長に対応した有機色素を使う必要がある。したがって、例えば、より短い波長の記録・再生光を使う上位フォーマットが存在する場合、上位フォーマット用の記録・再生光では下位フォーマットの媒体の記録・再生ができなくなるという問題がある。また、短波長の記録・再生光に対応する有機色素の設計および入手が難しいという問題もある。
一方、書き換え可能型の光記録媒体のうち相変化型のものは、レーザー光を照射することにより記録層の結晶状態を変化させて記録を行い、このような状態変化に伴なう記録層の反射率変化を検出することにより再生を行うものである。オーバーライトによる書き換えが可能な相変化型媒体では、結晶質記録層に記録パワーレベルのレーザー光を照射して溶融させ、溶融状態から急冷することにより非晶質記録マークを形成する。消去に際しては、消去パワーレベルのレーザー光を照射して記録層の結晶化温度以上融点未満の温度まで昇温し、次いで徐冷することにより、非晶質記録マークを結晶化する。したがって、単一のレーザー光を強度変調しながら照射することにより、オーバーライトが可能である。
相変化型の記録層を有する媒体は、上記した書き換え型のほか、追記型媒体として用いることも可能である。追記型媒体として用いる場合には、いったん形成した非晶質記録マークを消去または書き換えできないことが必要である。
有機色素を用いる追記型媒体では、記録に際して有機色素の分解が伴う。そのため、一般に、記録時の線速度を2倍にすると記録用レーザー光のパワーを21/2倍にする必要があるといわれている。これに対し相変化型媒体を追記型媒体として用いる場合、記録用レーザー光を照射した部分が融点に達すればよい。記録層はレーザー光を瞬時に吸収して融点に達するため、記録用レーザー光のパワーは記録時の線速度に大きくは依存しない。したがって、記録時の線速度を2倍にしても、記録用レーザー光のパワーはわずかな増加で済むという利点がある。
しかし、相変化型媒体を追記型媒体として利用するための有効な提案はなされていない。
本発明は、光記録媒体が有効に追記型媒体として用いることができるか否かを検査する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、相変化型の記録層を有し、追記型媒体として用いられる光記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本来書き換え型媒体である相変化型媒体を追記型媒体として利用するためには、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きすることが実質的に不可能であるという特性が求められることを意味する。一般に、相変化型媒体では、未記録領域に新規にデータを書き込む場合の条件よりも、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きする場合の条件のほうが厳しい。したがって、相変化型媒体を追記型媒体として利用するためには、所定の記録条件において、未記録領域に新規にデータを書き込むことは可能である一方、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きすることは不可能である必要がある。
本発明は、検査対象となる光記録媒体が有効に追記型媒体として用いることができるか否かを判定する方法を提供するものであり、上記目的は、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し最短信号のCNRが45dB以上となるように最短信号を記録し、この最短信号の記録領域に、記録層を溶融させないパワーレベルの直流レーザー光を前記最短信号記録時と同じ線速度で照射した後、前記最短信号のキャリアの低下を測定し、このキャリアの低下が20dB以下である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、このランダム信号の記録領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRiniとし、前記ランダム信号の記録領域に、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射した後、その照射領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRtop、最も低い反射レベルをRbottomとしたとき、前記直流レーザー光のパワーレベルが前記記録層を溶融させないものであっても溶融させるものであっても
(Rtop+Rbottom)/2Rini<1
を満足する光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、前記ランダム信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し、ランダム信号を記録し、前記ランダム信号の記録領域に前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射し、その照射領域に再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法によって達成される。
以上のような各光記録媒体の検査方法によれば、検査対象である光記録媒体が、所定の記録条件において未記録領域に新規にデータを書き込むことは可能であり、且つ、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きすることは不可能であるか否かを有効に判断することが可能となる。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、最短信号のCNRが45dB以上となるように最短信号を記録するステップと、前記最短信号が記録された領域に対し、記録層を溶融させないパワーレベルの直流レーザー光を前記最短信号記録時と同じ線速度で照射するステップと、前記最短信号のキャリアの低下を測定するステップと、前記キャリアの低下が20dB以下である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対し、再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルRiniを測定するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対し、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射するステップと、前記直流レーザー光が照射された領城に対して再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルRtop及び最も低い反射レベルRbottomを測定するステップと、前記反射レベルRini、Rtop及びRbottomが、
(Rtop+Rbottom)/2Rini<1
を満足する光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で再びランダム信号を記録するステップと、前記重ねて記録したランダム信号に対して再生動作を行った場合、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法によって達成される。
本発明の前記目的はまた、相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対して前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射するステップと、前記直流レーザー光を照射した領域に再びランダム信号を記録するステップと、前記再び記録したランダム信号に対して再生動作を行った場合、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法によって達成される。
以上のような各光記録媒体の製造方法によれば、所定の記録条件において未記録領域に新規にデータを書き込むことは可能であり、且つ、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きすることは不可能である光記録媒体を製造することが可能となる。
発明の実施の形態
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
相変化型媒体は、書き換え型であっても追記型であっても記録密度の向上が要求される。しかし、高密度記録を行うために記録マーク長を短くする場合、再生出力低下およびジッタ増大が生じやすい。これに対し特開2000−231725号公報では、最短記録マークの形状を制御することにより、高密度記録に伴う再生出力低下およびジッタ増大を改善する提案がなされている。同公報には、後端の少なくとも一部が前端に向かって凸状である形状、具体的には蝙蝠状の最短記録マークを形成する光記録方法が記載されている。このような蝙蝠状の最短記録マークは、記録条件を制御することにより形成できる。記録用のレーザービームにより溶融した記録層は、レーザービームが遠ざかると急冷されて非晶質記録マークが形成される。このとき、レーザービームの強度変調パターンを制御することにより溶融領域後端付近における冷却速度を制御すれば、溶融領域後半部を再結晶化することができる。その結果、溶融領域前半部だけが非晶質化し、蝙蝠状の非晶質記録マークが形成される。
同公報記載の方法では、記録マーク長に対して相対的に記録マーク幅を大きくでき、それにより記録マーク長の短縮による再生出力低下を抑制できる。そのため同公報では、記録光の波長をλとし、記録光学系の対物レンズの開口数をNAとしたとき、最短記録マークの長さを0.4λ/NA以下と短くしても十分な記録マーク幅が確保でき、その結果、十分な再生出力が得られている。また、同公報では、最短記録マークをこの形状とすることにより、ジッタを低減している。
一方、相変化型媒体では、未記録領域に新規にデータを書き込む場合の条件よりも、一旦記録されたデータ上に新しいデータを上書きする場合の条件のほうが厳しい。したがって、高い記録線速度でのデータの上書きを可能とするためには、結晶化速度の速い記録層を用いることが有効である。このことは、相変化型媒体を追記型媒体として利用するためには、結晶化速度の比較的遅い記録層を用いると共に線速度を比較的速く設定することにより、新規データの書き込みを可能としつつ、データの上書きを不可能とすればよいことを意味する。
本発明者らは、結晶化速度の比較的遅い記録層を設けると共に使用線速度を比較的速くすることにより追記型とした相変化型媒体に対し、上記特開2000−231725号公報の実施例に記載された書き換え型媒体と同様に、最短記録マークの長さが0.4λ/NA以下となり、かつ、溶融領域後部が再結晶化する条件で記録する実験を行った。しかし、この場合には、上記特開2000−231725号公報記載の書き換え型媒体と異なり、ジッタが大きくなってしまった。
追記型媒体に高密度記録を行う場合にジッタが大きくなった原因は、以下のように考えられる。相変化型媒体を追記型媒体として使用するため、上記実験では、結晶化速度の比較的遅い記録層を設けると共に使用線速度を比較的速くした。しかし、このような条件であって、かつ、溶融領域後部が再結晶化する条件で長さ0.4λ/NA以下の最短記録マークを形成すると、この媒体では記録層の結晶化速度が比較的遅いことから溶融した記録層が再結晶化しにくいため、記録マーク後端縁の位置がばらつきやすく、また、記録マーク形状がばらつきやすい。その結果、全体のジッタに最も悪影響を及ぼす最短記録マークにおいて、ジッタが大きくなると考えられる。
このような実験結果に基づき、本発明者らは記録マーク形状のばらつきを防ぐために、記録層の溶融領域後部の再結晶化を抑制する条件で記録を行い、記録マーク形状のばらつきを防ぐこととした。具体的には、記録感度が十分に確保でき、かつ、最短記録マークの形状が円形または長円形となるように、記録線速度に応じて、記録層の結晶化速度および媒体の熱設計を制御すると共に、最適な記録条件を設定した。しかし、単に最短記録マークを円形または長円形にすると、上記特開2000−231725号公報記載の比較例のように再生出力が低くなってしまう。そのため本発明では、結晶化速度が比較的遅く、かつ、結晶−非晶質間での反射率変化が大きくなるように記録層の組成を選択した。これにより本発明では、追記型媒体として使用可能な結晶化速度を有する記録層を備え、しかも、高密度記録を行ったときにジッタが小さく、かつ再生出力が十分に高くなる相変化型媒体を実現した。
本発明において、高密度記録を行ったときに十分な再生出力が得られるとは、最短記録マークの長さが0.4λ/NA以下である場合に、最短信号のCNR(carrier to noise ratio)が45dB以上、好ましくは48dB以上となることを意味する。
また、本発明において、追記型として使用される相変化型媒体が満足すべき条件としては、下記の第1〜第4の条件が挙げられる。相変化型媒体を追記型媒体として用いるためには、下記4条件のうちの少なくとも1つを満足する必要がある。
第1の条件は、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し、最短信号のCNRが45dB以上、好ましくは48dB以上となるように記録を行い、かつ、最短信号記録後、記録時と同じ線速度でその上から記録層を溶融させないパワーレベルのレーザー光を照射する消去動作を行った後において、最短信号のキャリアの低下が20dB以下、好ましくは18dB以下であることを意味する。キャリアの低下がこの範囲であれば、消去動作後に再び記録した信号の読み取りが不可能となる。従来、相変化型媒体を追記型として利用できることは知られている。しかし、追記型として使用するために満足すべき条件は明確になっていなかった。書き換え可能な相変化型媒体では、消去率が25dB以上であれば、消去後に再記録可能であること、すなわち書き換えが可能であることが知られている。したがって、消去率が25dB未満であれば、書き換えが不可能、すなわち記録データを改竄できない、と推定される。しかし、本発明者らの研究によれば、消去率が25dB未満であっても最短信号のキャリアの低下が20dB以下でないと、消去動作後に再記録した信号が読み取れてしまうことがわかった。
本発明では、結晶質記録層に非晶質記録マークを形成する必要があり、一方、スパッタ法等の気相成長法により形成する場合、通常、相変化型記録層は非晶質層として形成される。そのため、記録前に、あらかじめ記録層の少なくとも記録対象領域を結晶化しておく必要がある。この結晶化は、一般に初期化と呼ばれる。しかし、形成直後の記録層は極めて結晶化しにくい。そのため、本発明において最短信号のキャリアの低下が著しく小さくなる設計とすると、すなわち、記録層の再結晶化が著しく困難となる設計とすると、初期化を極めて遅い線速度で行う必要が生じ、生産性が著しく低くなってしまう。この点を考慮すると、第1の条件において、消去動作による最短信号のキャリアの低下は5dB以上であることが好ましく、記録線速度が比較的遅い場合には前記キャリアの低下が10dB以上であることが好ましい。
図1は、上述した第1の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
第1の条件を満たすか否かを判断するための検査においては、まず、検査対象となる光記録媒体を検査装置(図示せず)にセットする(ステップS1)。検査装置としては、少なくとも、光記録媒体に任意の記録信号(記録マーク)を任意の記録条件(レーザー光のパワー、記録線速度等)で記録可能であり、且つ、光記録媒体に記録されている記録マークのキャリアレベルの測定及び反射率の測定が可能である必要がある。但し、このことは、本検査を単一の検査装置によって行う必要があることを意味するものではなく、複数の装置によってこれを行っても構わない。
次に、検査装置に対し、光記録媒体に記録すべき記録信号として「最短信号」に設定し(ステップS2)、さらに、記録条件として所定のパワー及び所定の記録線速度に設定する(ステップS3)。
このような設定が完了すると、検査対象となる光記録媒体に対して、実際に最短信号からなる信号列を記録し(ステップS4)、そのCNRを測定する(ステップS5)。ここで、ステップS5において得られたCNRをCNR1と定義する。
次に、このようにして測定されたCNRが所定値以上であるか否かを判断し(ステップS6)、これが所定値未満である場合には、ステップS3に戻って記録条件の再設定を行う。ここで、上記所定値としては、45dB以上に設定する必要があり、48dB以上に設定することが好ましい。
ステップS6においてCNRが所定値以上であると判断された場合、当該光記録媒体に対して再生動作を行い、その反射レベルの検出を行う(ステップS7)。ステップS7において得られた最も高い反射レベルをRtop1と定義する。
次に、検査装置に対し、記録信号として「直流レーザービーム」に設定し(ステップS8)、さらに、記録条件としてステップS3において設定した記録線速度と同じ記録線速度に設定するとともに、直流レーザービームのパワーが段階的に変化するよう設定する(ステップS9)。かかる段階的な変化は、クロック周期に対して十分に長い間隔で行う必要があり、例えば、光記録媒体が1周するごとに直流レーザービームのパワーが1段階変化するように設定すればよい。このような設定が完了すると、ステップS4において記録された最短信号列上に、パワーが段階的に変化する直流レーザビームの照射を行う(ステップS10)。
次に、検査対象となる光記録媒体に対して再び再生動作を行い、それぞれ異なるパワーの直流レーザが照射された各領域における反射レベルの検出を行う(ステップS11)。ステップS11において得られた最も高い反射レベルをRtop2と定義する。
次に、ステップS7において得られた反射レベルRtop1とステップS11において得られた反射レベルRtop2とを比較し、Rtop2がRtop1よりも実質的に低下しているか否かを判断する(ステップS12)。その結果、Rtop2がRtop1よりも実質的に低下している場合には、ステップS8において照射した直流レーザービームによって記録層が溶融したものと判断し、ステップS4に戻って新たな領域に再び最短信号からなる信号列を記録する。
一方、ステップS12において、Rtop2がRtop1と比べて実質的に低下していない場合には、ステップS8において照射した直流レーザービームでは記録層は溶融しなかったものと判断し、再びそのCNRを測定する(ステップS13)。ここで、ステップS13において得られたCNRをCNR2と定義する。
次に、ステップS5において得られたCNR1とステップS13において得られたCNR2との差(CNR2−CNR1)が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS14)。ここで、上記所定値としては、20dB以下に設定する必要があり、18dB以下に設定することが好ましい。
そして、CNR1とCNR2との差(CNR2−CNR1)が所定値以下である場合には、当該光記録媒体を追記型媒体であると判定し(ステップS15)、逆に、所定値を越えている場合には、当該光記録媒体を書き換え型媒体であると判定する(ステップS16)。
尚、光記録媒体の生産性を考慮すれば、ステップS16において追記型媒体であると判定された光記録媒体については、CNR1とCNR2との差(CNR2−CNR1)が5dB以上であるか否か、好ましくは10dB以上であるか否かをさらに判断し、これが5dBまたは10dB未満である場合には、当該光記録媒体が書き換え型媒体及び追記型媒体のいずれにも適していないと判定することが好ましい。
以上説明した方法により、第1の条件を満たすか否かを判断するための検査を行うことができる。
第2の条件は、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、このランダム信号の記録領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRiniとし、前記ランダム信号の記録領域に、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射して消去動作を行った後、その照射領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRtop、最も低い反射レベルをRbottomとしたとき、
(Rtop+Rbottom)/2Rini<1
を満足することであり、好ましくは
(Rtop+Rbottom)/2Rini≦0.95
を満足することである。なお、上記反射レベルとは、光学ヘッドへの戻り光量である。また、上記Riniは、記録マーク間に存在する結晶質領域の反射レベルである。
第2の条件は、上記直流レーザー光のパワーレベルによらず満足される必要がある。すなわち、上記直流レーザー光が記録層を溶融させないものであっても溶融させるものであっても、(Rtop+Rbottom)/2Riniが上記範囲内に存在している必要がある。直流レーザー光が記録層を溶融させない場合において第2の条件が満足される場合、直流レーザー光照射により記録層の固相での結晶化が不可能であることを意味する。一方、溶融させる場合において第2の条件が満足される場合、溶融状態から冷却したときに記録層が非晶質化することを意味する。これに対し書き換え可能な相変化型媒体に、パワーレベルを徐々に増大させながら直流レーザー光を照射すると、記録層が固相で結晶化ないし液相から結晶化するため、(Rtop+Rbottom)/2Rini≧1となるパワーレベルが存在することになる。
なお、上記ランダム信号は、最適記録条件で記録することが好ましい。この場合の最適記録条件とは、初期化直後の記録層に記録したときにジッタが最小となる記録条件であるか、媒体メーカ推薦の最適記録条件であるか、その媒体が属する規格において定められた最適記録条件である。
図2は、上述した第2の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
第2の条件を満たすか否かを判断するための検査においては、まず、検査対象となる光記録媒体を検査装置(図示せず)にセットする(ステップS21)。検査装置としては、少なくとも、光記録媒体に任意の記録信号(記録マーク)を任意の記録条件(レーザー光のパワー、記録線速度等)で記録可能であり、且つ、光記録媒体に記録されている記録マークのジッターの測定及び反射率の測定が可能である必要がある。但し、このことは、本検査を単一の検査装置によって行う必要があることを意味するものではなく、複数の装置によってこれを行っても構わない。
次に、検査装置に対し、光記録媒体に記録すべき記録信号として「ランダム信号」に設定し(ステップS22)、さらに、記録条件として所定のパワー及び所定の記録線速度に設定する(ステップS23)。
このような設定が完了すると、検査対象となる光記録媒体に対して、実際にランダム信号列を記録し(ステップS24)、そのジッターを測定する(ステップS25)。
次に、このようにして測定されたジッターが所定値以下であるか否かを判断し(ステップS26)、これが所定値を越えている場合には、ステップS23に戻って記録条件の再設定を行う。ここで、上記所定値としては、9%以下に設定することが好ましく、8%以下に設定することがより好ましい。
ステップS26においてジッターが所定値以下であると判断された場合、当該光記録媒体に対して再生動作を行い、その反射レベルの検出を行う(ステップS27)。ステップS27において得られた最も高い反射レベルをRiniと定義する。
次に、検査装置に対し、記録信号として「直流レーザービーム」に設定し(ステップS28)、さらに、記録条件としてステップS23において設定した記録線速度と同じ記録線速度に設定するとともに、直流レーザービームのパワーが段階的に変化するよう設定する(ステップS29)。かかる段階的な変化は、クロック周期に対して十分に長い間隔で行う必要があり、例えば、光記録媒体が1周するごとに直流レーザービームのパワーが1段階変化するように設定すればよい。
このような設定が完了すると、ステップS24において記録されたランダム信号列上に、パワーが段階的に変化する直流レーザビームの照射を行う(ステップS30)。
次に、検査対象となる光記録媒体に対して再び再生動作を行い、それぞれ異なるパワーの直流レーザが照射された各領域における反射レベルの検出を行う(ステップS31)。ステップS31において得られた最も高い反射レベルをRtop、最も低い反射レベルをRbottomと定義する。
次に、ステップS27において得られた反射レベルをRiniと、ステップS31において得られた反射レベルRtop及びRbottomとを用い、これらが所定の条件を満たしているか否かを判断する(ステップS32)。ここで、上記所定の条件としては、
(Rtop+Rbottom)/2Rini<1
であり、好ましくは
(Rtop+Rbottom)/2Rini≦0.95
である。
そして、ステップS32において上記所定の条件を満たしている場合には、当該光記録媒体を追記型媒体であると判定し(ステップS33)、逆に、上記所定の条件を満たしていない場合には、当該光記録媒体を書き換え型媒体であると判定する(ステップS34)。
以上説明した方法により、第2の条件を満たすか否かを判断するための検査を行うことができる。
第3の条件は、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、前記ランダム信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能であることである。なお、上記ランダム信号は、最適記録条件で記録することが好ましい。この場合の最適記録条件とは、初期化直後の記録層に記録したときにジッタが最小となる記録条件であるか、媒体メーカ推薦の最適記録条件であるか、その媒体が属する規格において定められた最適記録条件である。
なお、本明細書において信号再生が不可能であるとは、再生信号に誤り訂正ができない程度のエラーが含まれる状態をいい、クロックジッタが好ましくは13%超、より好ましくは15%超となることである。
図3は、上述した第3の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
第3の条件を満たすか否かを判断するための検査においては、まず、検査対象となる光記録媒体を検査装置(図示せず)にセットする(ステップS41)。検査装置としては、少なくとも、光記録媒体に任意の記録信号(記録マーク)を任意の記録条件(レーザー光のパワー、記録線速度等)で記録可能であり、且つ、光記録媒体に記録されている記録マークのジッターの測定が可能である必要がある。但し、このことは、本検査を単一の検査装置によって行う必要があることを意味するものではなく、複数の装置によってこれを行っても構わない。
次に、検査装置に対し、光記録媒体に記録すべき記録信号として「ランダム信号」に設定し(ステップS42)、さらに、記録条件として所定のパワー及び所定の記録線速度に設定する(ステップS43)。
このような設定が完了すると、検査対象となる光記録媒体に対して、実際にランダム信号列を記録し(ステップS44)、そのジッターを測定する(ステップS45)。
次に、このようにして測定されたジッターが所定値以下であるか否かを判断し(ステップS46)、これが所定値を越えている場合には、ステップS43に戻って記録条件の再設定を行う。ここで、上記所定値としては、9%以下に設定することが好ましく、8%以下に設定することがより好ましい。
ステップS46においてジッターが所定値以下であると判断された場合、ステップS44において記録したランダム信号列上に、同じ条件にて再びランダム信号列を記録し(ステップS47)、そのジッターを測定する(ステップS48)。
そして、ステップS48において測定されたジッターが、再生信号に誤り訂正ができない程度のエラーが含まれることを示すレベルを越えているか否か、具体的には13%超、好ましくは15超であるか否かを判断し(ステップS49)、これが13%超または15%超である場合には、当該光記録媒体を追記型媒体であると判定し(ステップS50)、逆に、13%以下または15%以下である場合には、当該光記録媒体を書き換え型媒体であると判定する(ステップS51)。
以上説明した方法により、第3の条件を満たすか否かを判断するための検査を行うことができる。
第4の条件は、相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し、ランダム信号を記録し、前記ランダム信号の記録領域に前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射して消去動作を行い、その照射領域に再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能であることである。なお、上記ランダム信号は、上記した最適記録条件で記録することが好ましい。
第4の条件は、上記直流レーザー光のパワーによらず満足される必要がある。すなわち、上記直流レーザー光が記録層を溶融させないものであっても溶融させるものであっても、上記直流レーザー光照射後に記録したランダム信号の再生が不可能である必要がある。直流レーザー光が記録層を溶融させない場合において第4の条件が満足される場合、直流レーザー光照射により記録層の固相での結晶化が不可能であることを意味する。一方、溶融させる場合において第4の条件が満足される場合、溶融状態から冷却したときに記録層が非晶質化することを意味する。これに対し書き換え可能な相変化型媒体では、直流レーザー光照射により記録層が固相で結晶化ないし液相から結晶化するため、どちらの場合でも直流レーザー光照射領域に対し再記録が可能である。
図4は、上述した第4の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
第4の条件を満たすか否かを判断するための検査においては、まず、検査対象となる光記録媒体を検査装置(図示せず)にセットする(ステップS61)。検査装置としては、少なくとも、光記録媒体に任意の記録信号(記録マーク)を任意の記録条件(レーザー光のパワー、記録線速度等)で記録可能であり、且つ、光記録媒体に記録されている記録マークのジッターの測定が可能である必要がある。但し、このことは、本検査を単一の検査装置によって行う必要があることを意味するものではなく、複数の装置によってこれを行っても構わない。
次に、検査装置に対し、光記録媒体に記録すべき記録信号として「ランダム信号」に設定し(ステップS62)、さらに、記録条件として所定のパワー及び所定の記録線速度に設定する(ステップS63)。
このような設定が完了すると、検査対象となる光記録媒体に対して、実際にランダム信号列を記録し(ステップS64)、そのジッターを測定する(ステップS65)。
次に、このようにして測定されたジッターが所定値以下であるか否かを判断し(ステップS66)、これが所定値を越えている場合には、ステップS63に戻って記録条件の再設定を行う。ここで、上記所定値としては、9%以下に設定することが好ましく、8%以下に設定することがより好ましい。
ステップS66においてジッターが所定値以下であると判断された場合、検査装置に対し、記録信号として「直流レーザービーム」に設定し(ステップS67)、さらに、記録条件としてステップS63において設定した記録線速度と同じ記録線速度に設定するとともに、直流レーザービームのパワーが段階的に変化するよう設定する(ステップS68)。かかる段階的な変化は、クロック周期に対して十分に長い間隔で行う必要があり、例えば、光記録媒体が1周するごとに直流レーザービームのパワーが1段階変化するように設定すればよい。このような設定が完了すると、ステップS64において記録されたランダム信号列上に、パワーが段階的に変化する直流レーザビームの照射を行う(ステップS69)。
次に、検査装置に対し、光記録媒体に記録すべき記録信号として再び「ランダム信号」に設定し(ステップS70)、さらに、記録条件としてステップS63において設定した条件と同じ条件に設定する(ステップS71)。このような設定が完了すると、ステップS64において記録したランダム信号列上に、再びランダム信号列を記録し(ステップS72)、それぞれ異なるパワーの直流レーザが照射された各領域におけるジッターを測定する(ステップS73)。
そして、ステップS73において測定されたジッターが、再生信号に誤り訂正ができない程度のエラーが含まれることを示すレベルを越えているか否か、具体的には13%超、好ましくは15超であるか否かを判断し(ステップS74)、これが13%超または15%超である場合には、当該光記録媒体を追記型媒体であると判定し(ステップS75)、逆に、13%以下または15%以下である場合には、当該光記録媒体を書き換え型媒体であると判定する(ステップS76)。
以上説明した方法により、第4の条件を満たすか否かを判断するための検査を行うことができる。
上述した第1乃至第4の条件を満たすか否かを判断するための検査は、出荷される全ての光記録媒体に対して行う必要はなく、成膜工程及び初期化工程が完了したロットの中から少なくとも1つの光記録媒体をピックアップし、ピックアップされた光記録媒体について上記検査工程を行うことにより、当該ロットを構成する光記録媒体が追記型媒体であるのか、書き換え型媒体であるのかを判断することができる。したがって、上述した検査工程は、光記録媒体の製造工程の一部とすることができ、この場合、光記録媒体の製造工程は成膜工程、初期化工程及び検査工程の順で行われることになる。
光記録媒体の駆動装置において、記録・再生・消去用のレーザー光を強度変調する駆動信号には、記録周波数に比べ桁違いに高い高周波、例えば数百メガヘルツ程度の高周波が重畳されることが一般的である。本明細書における直流レーザー光は、このような高周波が重畳された直流信号によって駆動されるレーザー光を包含する。
以下、本発明による検査方法の対象となる光記録媒体の構成の一例について説明する。
本発明では、比較的速い線速度での初期化を可能とし、しかも、比較的遅い線速度でも記録マークが消去されないようにするために、媒体の熱設計および記録層の組成を最適化することが好ましい。具体的には、非晶質記録マークの再結晶化が困難となるように、記録層が比較的速く冷却される構造、すなわち、急冷構造とすることが好ましい。大径のレーザービームを照射するバルクイレーザーによって初期化を行う場合、小径のレーザービームを用いる記録時と異なり、媒体が急冷構造であっても記録層の冷却速度はそれほど速くならないため、初期化に要する線速度はそれほど低下しない。したがって、媒体を急冷構造とすれば、比較的速い線速度での初期化が可能で、かつ、比較的遅い線速度での記録が可能となる。なお、急冷構造とするためには、記録層上に、誘電体層を挟んで放熱層としての金属反射層を設ける構造とし、記録層の熱が反射層に速やかに伝導するように誘電体層を薄くしたり、誘電体層の熱伝導率および/または反射層の熱伝導率を高くしたりすればよい。
本発明において記録線速度は特に限定されない。ただし、一般に初期化線速度は記録線速度よりも遅くする必要があるため、遅い記録線速度に最適化された記録層では、初期化線速度を著しく遅くする必要があり、媒体の生産性が低くなってしまう。また、著しく遅い線速度に最適化された記録層は、初期化が不可能となることもある。一方、記録線速度が速すぎると、機械精度の極めて良好な媒体でないと面振れを許容範囲内に収めることが難しくなったり、媒体を駆動するためのモータの振動が大きくなったりするため、安定して記録を行うことが困難となる。そのため、記録線速度は、通常、2〜20m/s、特に3〜15m/sの範囲から選択することが好ましい。
また、本発明では、結晶化が比較的容易な記録層を設け、かつ、初期化の際に、記録層に隣接する誘電体層から記録層の結晶化を阻害する元素を拡散させることが好ましい。これにより、比較的速い線速度での初期化が可能で、かつ、記録マークの再結晶化が困難な媒体が実現できる。すなわち、追記型であって、かつ、初期化が容易な相変化型媒体が実現できる。そのためには、少なくともSbおよびTeを含有する記録層を設けると共に、この記録層に接して、少なくともS(硫黄)を含有する誘電体層を設ければよい。
次に、本発明の媒体の構成例を説明する。
図5に示す構造
本発明の光記録媒体の構成例を、図5に示す。この光記録媒体は、透光性基体2上に、第1誘電体層31、記録層4、第2誘電体層32、反射層5および保護層6をこの順で有し、記録または再生のためのレーザー光は、透光性基体2を通して入射する。
透光性基体2
透光性基体2は、記録または再生のためのレーザー光に対し透光性を有する。透光性基体2の厚さは、通常、0.2〜1.2mm、好ましくは0.4〜1.2mmとすればよい。透光性基体2は樹脂から構成すればよいが、ガラスから構成してもよい。光記録媒体において通常設けられるグルーブ(案内溝)21は、レーザー光入射側から見て手前側に存在する領域であり、隣り合うグルーブ間に存在する凸条がランド22である。
本発明では、ランドおよび/またはグルーブを記録トラックとして利用することができる。
第1誘電体層31および第2誘電体層32
これらの誘電体層は、記録層の酸化、変質を防ぎ、また、記録時に記録層から伝わる熱を遮断ないし面内方向に逃がすことにより、支持基体20や透光性基体2を保護する。また、これらの誘電体層を設けることにより、変調度を向上させることができる。各誘電体層は、組成の相異なる2層以上の誘電体層を積層した構成としてもよい。
これらの誘電体層に用いる誘電体としては、例えば、Si、Ge、Zn、Al、希土類元素等から選択される少なくとも1種の金属成分を含む各種化合物が好ましい。化合物としては、酸化物、窒化物または硫化物が好ましく、これらの化合物の2種以上を含有する混合物を用いることもできる。
前述したように本発明では、記録層に隣接する誘電体層が、記録層の結晶化を阻害する元素を含有し、初期化の際にこの元素が記録層中に拡散するように初期化条件を設定することが好ましい。記録層の結晶化を阻害する元素としてはSが好ましい。したがって、本発明では、第1誘電体層31および第2誘電体層32の少なくとも一方、特に第1誘電体層が、硫化物を含有することが好ましい。硫化物としては、高屈折率が得られることから硫化亜鉛(ZnS)が好ましい。ただし、ZnS単体で誘電体層を構成すると誘電体層の応力が強くなりすぎるため、ZnSとSiOとの混合物(ZnS−SiO)を用いることが好ましい。
また、前述したように本発明では、媒体を急冷構造とすることが好ましく、そのためには、誘電体層、特に第2誘電体層32を、熱伝導率の高い誘電体から構成することが好ましい。熱伝導率の高い誘電体としては、例えば硫化亜鉛と酸化ケイ素との混合物(ZnS−SiO)、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化タンタルなどが好ましく、特に、Alの酸化物および/または窒化物、Siの酸化物および/または窒化物が好ましい。ZnS−SiOとしては、SiOを30〜60モル%含有するものが好ましい。SiO含有量が少なすぎると、熱伝導率が低くなりすぎる。一方、SiO含有量が多すぎると、他の層との密着性が不十分となるため、長期間保存する際に層間の剥離が生じやすい。
第2誘電体層の熱伝導率は、好ましくは1W/mK以上、より好ましくは1.5W/mK以上である。第2誘電体層の熱伝導率の上限は特にないが、誘電体層として使用可能な材料は、通常、熱伝導率が20W/mK程度以下である。本明細書における第2誘電体層の熱伝導率は、薄膜状態での測定値ではなく、バルク材料での値である。
第1誘電体層および第2誘電体層の厚さは、保護効果や変調度向上効果が十分に得られるように適宜決定すればよいが、通常、第1誘電体層31の厚さは好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜250nmであり、第2誘電体層32の厚さは好ましくは10〜50nmであるが、急冷構造とするためには、第2誘電体層の厚さを好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下とする。
各誘電体層は、スパッタ法により形成することが好ましい。
記録層4
記録層の組成は特に限定されず、各種相変化材料から適宜選択すればよいが、少なくともSbおよびTeを含有するものが好ましい。SbおよびTeだけからなる記録層は、結晶化温度が130℃程度と低く、保存信頼性が不十分なので、結晶化温度を向上させるために他の元素を添加することが好ましい。この場合の添加元素としては、In、Ag、Au、Bi、Se、Al、P、Ge、H、Si、C、V、W、Ta、Zn、Ti、Sn、Pb、Pdおよび希土類元素(Sc、Yおよびランタノイド)から選択される少なくとも1種が好ましい。これらのうちでは、保存信頼性向上効果が特に高いことから、希土類元素、Ag、InおよびGeから選択される少なくとも1種が好ましい。
SbおよびTeを含有する組成としては、以下のものが好ましい。SbとTeとを除く元素をMで表し、記録層構成元素の原子比を
式I (SbTe1−x1−y
で表したとき、
0.2≦x≦0.9、
0≦y≦0.4
であり、好ましくは
0.5≦x≦0.7、
0.01≦y≦0.2
である。Sbの含有量を表すxが小さすぎると、結晶化速度が遅くなりすぎるため、記録層の初期化が困難となる。また、記録層の結晶質領城での反射率が低くなるため、再生出力が低くなる。また、xが著しく小さいと、記録も困難となる。一方、xが大きすぎると、結晶化速度が速くなりすぎるため、追記型媒体の記録層としては不適当となる。また、xが大きすぎると、結晶状態と非晶質状態との間での反射率差が小さくなるため、再生出力が低くなってしまう。したがって、xを上記範囲内とすることにより、追記型媒体の記録層として適切な結晶化速度が得られ、かつ、再生出力を十分に高くすることができる。なお、xの具体的な値は、記録線速度に応じて決定すればよい。
元素Mは特に限定されないが、保存信頼性向上効果を示す上記元素のなかから少なくとも1種を選択することが好ましい。元素Mの含有量を表すyが大きすぎると、結晶化速度が速くなりすぎたり、再生出力が低くなったりする。
記録層の厚さは、好ましくは4nm超50nm以下、より好ましくは5〜30nmである。記録層が薄すぎると結晶相の成長が困難となり、結晶化が困難となる。一方、記録層が厚すぎると、記録層の熱容量が大きくなるため記録が困難となるほか、再生出力の低下も生じる。
記録層の形成は、スパッタ法により行うことが好ましい。
なお、本発明において記録層の構造は特に限定されない。例えば、特開平8−221814号公報や特開平10−226173号公報に記載された多層構造の記録層を有する媒体にも本発明は適用可能である。
反射層5
本発明において反射層構成材料は特に限定されず、通常、Al、Au、Ag、Pt、Cu、Ni、Cr、Ti、Si等の金属または半金属の単体あるいはこれらの1種以上を含む合金などから構成すればよい。前述したように本発明では媒体を急冷構造とすることが好ましいため、熱伝導率の高い材料から反射層を構成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、AgまたはAlが好ましい。しかし、AgまたはAlの単体では十分な耐食性が得られないため、耐食性向上のための元素を添加することが好ましい。
ただし、他の元素を添加すると熱伝導率が低下するため、その場合には熱伝導率のより高いAgを主成分元素として用いることが好ましい。Agに添加することが好ましい副成分元素としては、例えば、Mg、Pd、Ce、Cu、Ge、La、S、Sb、Si、TeおよびZrから選択される少なくとも1種が挙げられる。これら副成分元素は、少なくとも1種、好ましくは2種以上用いることが望ましい。反射層中における副成分元素の含有量は、各金属について好ましくは0.05〜2.0原子%、より好ましくは0.2〜1.0原子%であり、副成分全体として好ましくは0.2〜5原子%、より好ましくは0.5〜3原子%である。副成分元素の含有量が少なすぎると、これらを含有することによる効果が不十分となる。一方、副成分元素の含有量が多すぎると、熱伝導率が小さくなってしまう。
反射層の熱伝導率は、好ましくは100W/mK以上、より好ましくは150W/mK以上である。熱伝導率は、例えば、4探針法を用いて求めた反射層の電気抵抗値から、Widemann−Franzの法則により算出することができる。反射層の熱伝導率の上限は特にない。すなわち、反射層構成材料として使用可能なもののうち最も高い熱伝導率を有する純銀(熱伝導率250W/mK)も使用可能である。
反射層の厚さは、通常、10〜300nmとすることが好ましい。厚さが前記範囲未満であると十分な反射率を得にくくなる。また、前記範囲を超えても反射率の向上は小さく、コスト的に不利になる。反射層は、スパッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成することが好ましい。
保護層6
保護層6は、耐擦傷性や耐食性の向上のために設けられる。この保護層は種々の有機系の物質から構成されることが好ましいが、特に、放射線硬化型化合物やその組成物を、電子線、紫外線等の放射線により硬化させた物質から構成されることが好ましい。保護層の厚さは、通常、0.1〜100μm程度であり、スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等、通常の方法により形成すればよい。
図6に示す構造
本発明の光記録媒体の他の構成例を、図6に示す。この光記録媒体は、支持基体20上に、金属または半金属から構成される反射層5、第2誘電体層32、記録層4、第1誘電体層31および透光性基体2を、この順で積層して形成したものである。記録または再生のためのレーザー光は、透光性基体2を通して入射する。なお、支持基体20と反射層5との間に、誘電体材料からなる中間層を設けてもよい。
この構成例における透光性基体2には、図5における透光性基体2と同程度の厚さの樹脂板やガラス板を用いてもよい。ただし、記録再生光学系の高NA化によって高記録密度を達成するためには、透光性基体2を薄型化することが好ましい。その場合の透光性基体の厚さは、30〜300μmの範囲から選択することが好ましい。透光性基体が薄すぎると、透光性基体表面に付着した塵埃による光学的な影響が大きくなる。一方、透光性基体が厚すぎると、高NA化による高記録密度達成が難しくなる。
透光性基体2を薄型化するに際しては、例えば、透光性樹脂からなる光透過性シートを各種接着剤や粘着剤により第1誘電体層31に貼り付けて透光性基体としたり、塗布法を利用して透光性樹脂層を第1誘電体層31上に直接形成して透光性基体としたりすればよい。
支持基体20は、媒体の剛性を維持するために設けられる。支持基体20の厚さおよび構成材料は、図5に示す構成例における透光性基体2と同様とすればよく、透明であっても不透明であってもよい。グルーブ21は、図示するように、支持基体20に設けた溝を、その上に形成される各層に転写することにより、形成できる。
図6に示す構造の媒体では、反射層5形成時の結晶成長により、レーザー光入射側における反射層の表面粗さが大きくなりやすい。この表面粗さが大きくなると、再生ノイズが増大する。そのため、反射層の結晶粒径を小さくしたり、反射層を非晶質層として形成したりすることが好ましい。そのためには、AgまたはAlを主成分とし、かつ、前記した添加元素を含有する反射層が好ましい。
なお、反射層の熱伝導率は、結晶粒径が小さいほど低くなるため、反射層が非晶質であると、記録時に十分な冷却速度が得られにくい。そのため、反射層をまず非晶質層として形成した後、熱処理を施して結晶化させることが好ましい。いったん非晶質層として形成した後に結晶化すると、非晶質のときの表面粗さをほぼ維持でき、しかも、結晶化による熱伝導率向上は実現する。
このほかの各層は、図5に示す構成例と同様である。
実施例
実施例1
射出成形によりグルーブ(幅0.2μm、深さ20nm、ピッチ0.74μm)を同時形成した直径120mm、厚さ0.6mmのディスク状ポリカーボネート板を透光性基体2として用い、その表面に、第1誘電体層31、記録層4、第2誘電体層32、反射層5および保護層6を以下に示す手順で形成し、図5に示す構成を有する光記録ディスクサンプルNo.1とした。
第1誘電体層31は、ターゲットとしてZnS(80モル%)−SiO(20モル%)を用い、Ar雰囲気中においてスパッタ法により形成した。第1誘電体層31の厚さは90nmとした。
記録層4は、Ar雰囲気中においてスパッタ法により形成した。記録層4の組成(原子比)は
(Sb0.67Te0.330.9In0.04Ag0.06
とした。記録層4の厚さは20nmとした。
第2誘電体層32は、ターゲットとしてZnS(50モル%)−SiO(50モル%)を用い、Ar雰囲気中においてスパッタ法により形成した。第2誘電体層32の厚さは20nmとした。ターゲットに用いたZnS(50モル%)−SiO(50モル%)の熱伝導率は1.0W/mKであった。
反射層5は、ターゲットとしてA1−1.7モル%Cr合金を用い、Ar雰囲気中においてスパッタ法により形成した。反射層5の厚さは100nmとした。この反射層の熱伝導率は40W/mKであった。
保護層6は、紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布後、紫外線照射により硬化して形成した。硬化後の保護層厚さは5μmであった。
このようにして作製したサンプルNo.1を初期化した。初期化は、バルクイレーザーを用いて線速度2m/sで行った。
このサンプルNo.1について、光記録媒体評価装置(パルステック社製DDU−1000)を用い、
レーザー波長λ:635nm、
開口数NA:0.6、
記録信号:EFMプラス(8−16)変調の単一信号(最短信号である3T信号)およびランダム信号、
線速度:3.5m/s(最短信号長:0.38λ/NA)、
の条件で、最短信号およびランダム信号をそれぞれ1回記録した後、再生パワー0.9mWで記録情報を再生した。
ここで、記録時のレーザー光の強度変調パターンについて説明する。一般に、相変化型光記録媒体に記録する際には、記録マークの長さに対応して記録光を直流的に照射するのではなく、例えば特開2000−155945号公報に記載されているように、マルチパルス記録を行うのが一般的である。マルチパルス記録における記録波形の例を、図7に示す。なお、本明細書において記録波形とは、記録光を強度変調するための駆動信号パターンを意味する。図7には、NRZI信号の5T信号と、この5T信号に対応する記録波形とを示してある。図7において、Pwは記録パワー、Pbはバイアスパワーである。Pbは、オーバーライト可能な記録システムでは、通常、消去パワーと呼ばれる。この記録波形は、記録マークを形成するための記録パルス部と、記録パルス部同士を連結する直流部とを有する。記録パルス部は、上向きパルス(強度Pw)とこれに続く下向きパルス(強度Pb)との組み合わせが繰り返される構造であり、全体としてはPbから立ち上がり、Pbに戻るものとなっている。図7において、Ttopは先頭の上向きパルスの幅であり、Tmpは他の上向きパルス(マルチパルスともいう)の幅である。これらのパルス幅は、基準クロック幅(1T)で規格化した値で表される。
本実施例では、このような記録波形を用い、
記録パワーPw:9mW、
バイアスパワーPb:0.5mW、
Ttop:0.6T、
Tmp:0.35T
の条件で記録を行った。なお、最短信号(3T信号)において、記録パルス部の上向きパルスは1つとし、その幅は上記Ttopとした。この記録条件は、クロックジッタが最小となる最適記録条件である。
記録後、最短信号についてスペクトラムアナライザ(アドバンテスト社製)によりCNRを測定したところ、49.1dBであった。また、ランダム信号についてクロックジッタおよび再生出力を測定したところ、それぞれ8.5%および1.04Vであった。クロックジッタが9%以下であれば、実用上問題のない信号再生が可能であるが、クロックジッタが13%を超えると、特に15%を超えるとエラーが多発するため、再生信号としては使用できなくなる。なお、クロックジッタは、再生信号をタイムインターバルアナライザ(横河電機株式会社製)により測定して「信号の揺らぎ(σ)」を求め、
σ/Tw (%)
により求めた。Twは検出窓幅である。また、再生出力は、アナログオシロスコープにより測定した。
次に、信号を記録したトラックに、線速度3.5m/sで出力2〜7mWの直流レーザー光を照射して、記録マークの消去を試みた。照射後にCNRを測定したところ、最短信号では最大16.5dBの信号減衰が観測された。一方、ランダム信号を記録したトラックでは、直流レーザー光照射前の再生出力に対する照射後の再生出力の比が0.29であった。
次に、上記直流レーザー光を照射したトラックに対し、線速度3.5m/sでランダム信号を記録してそのクロックジッタを測定したところ、最小でも16.8%であり、再生信号としての使用が不可能であることがわかった。
このサンプルでは、消去光に相当する直流レーザー光の照射による消去率が低いため、照射後にランダム信号を記録したときのクロックジッタが極端に大きくなっている。したがって、このサンプルでは情報の書き換えが不可能である。
なお、直流レーザー光のパワーを7mWより高くしていくと、記録層が溶融してしまい、レーザー光照射後に非晶質となった。すなわち、レーザーパワーを高くしても、記録層の再結晶化は不可能であった。
また、初期化後、上記条件でランダム信号を記録した領域に、同じ条件でランダム信号を重ね書きした後、クロックジッタを測定したところ、クロックジッタは測定不可能(20%超)であり、信号再生が不可能であった。
上記条件で記録を行った後、サンプルNo.1の記録層を透過型電子顕微鏡により観察したところ、図8に示されるように最短記録マークはほぼ円形であった。
比較例1
第1誘電体層の厚さを120nmとし、第2誘電体層32の厚さを50nmとしたほかは実施例1と同様にして、サンプルNo.2を作製した。
サンプルNo.2に対し、記録パワーPwを8mWとしたほかは実施例1と同様にして最短信号およびランダム信号を記録し、CNR、再生出力およびジッタを測定した。その結果、最短信号のCNRは49dBであり、ランダム信号の再生出力は0.98V、ジッタは10%であった。すなわち、実施例1と比べ、CNRは同等であったがジッタが大きくなった。
なお、サンプルNo.2について、実施例1と同様に直流レーザー光の照射を行ったところ、最短信号のキャリアの減衰量は18dB以下であった。また、直流レーザー光照射後に再記録を行ったところ、再記録信号のクロックジッタは15%を超えていた。
サンプルNo.2の記録層を透過型電子顕微鏡により観察したところ、最短記録マークは円形ではなく、後端縁がえぐれた形状となっており、後端縁近傍は再結晶化していた。この再結晶化は、このサンプルにおいて第2誘電体層を実施例1よりも厚くすることにより徐冷構造としたために生じたものである。ジッタの悪化は、この再結晶化の程度が記録マークごとに大きくばらついたために生じたと考えられる。
追記型媒体と書き換え型媒体との比較
記録層の組成を
(Sb0.7Te0.30.9In0.04Ag0.06
としたほかは実施例1のサンプルNo.1と同様にして、サンプルNo.3を作製した。このサンプルNo.3は、サンプルNo.1に比べ結晶化速度のより速い記録層を有するため、線速度3.5m/sでの書き換えが可能である。
サンプルNo.1およびサンプルNo.3に対し、実施例1と同様にしてランダム信号を記録した後、前記Riniを測定した。次いで、記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射する消去動作を行った。照射した直流レーザー光のパワー(DC消去パワー)と、照射時の線速度Vとを図9に示す。次いで、直流レーザー光照射領域においてRtopおよびRbottomを測定し、(Rtop+Rbottom)/2Riniを求めた。結果を図9に示す。なお、反射レベルの測定は、光記録煤体評価装置(パルステック社製DDU−1000)により行った。
図9において、サンプルNo.3では、線速度3.5m/s、直流レーザー光のパワー3mW以上のとき
(Rtop+Rbottom)/2Rini≧1
となっているが、サンプルNo.1では3.5m/s以上のすべての線速度において、直流レーザー光のパワーによらず
(Rtop+Rbottom)/2Rini<1
となっている。これら各場合について、直流レーザー光照射後に、最初の記録と同条件で再びランダム信号を記録し、クロックジッタを測定したところ、サンプルNo.3では、直流レーザー光のパワーが3mW以上のとき8〜9%であり、サンプルNo.1では16.8〜20%であった。すなわち、サンプルNo.3は線速度3.5m/sにおいて書き換えが可能であり、サンプルNo.1は線速度3.5〜14m/sの範囲において書き換えが不可能である。
本発明によれば、追記型の相変化型媒体であって、高密度記録を行ったときにジッタが小さく、かつ再生出力が十分に高い媒体が実現する。
また、本発明によれば、追記型として使用できる相変化型媒体を正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、追記型として使用される相変化型媒体が満足すべき第1の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
図2は、追記型として使用される相変化型媒体が満足すべき第2の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
図3は、追記型として使用される相変化型媒体が満足すべき第3の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
図4は、追記型として使用される相変化型媒体が満足すべき第4の条件を満たすか否かを判断するための検査方法を示すフローチャートである。
図5は、本発明の光記録媒体の構成例を示す部分断面図である。
図6は、本発明の光記録媒体の他の構成例を示す部分断面図である。
図7は、5T信号およびその記録波形を示すグラフである。
図8は、結晶構造を示す図面代用写真であって、記録層の透過型電子顕微鏡写真である。
図9は、DC消去パワーと(Rtop+Rbottom)/2Riniとの関係を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し最短信号のCNRが45dB以上となるように最短信号を記録し、この最短信号の記録領域に、記録層を溶融させないパワーレベルの直流レーザー光を前記最短信号記録時と同じ線速度で照射した後、前記最短信号のキャリアの低下を測定し、このキャリアの低下が20dB以下である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法。
  2. CNRが48dB以上となるように前記最短信号を記録することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体の検査方法。
  3. 前記キャリアの低下が18dB以下である光記録媒体を追記型媒体と判定することを特徴とする請求項1または2に記載の光記録媒体の検査方法。
  4. 前記キャリアの低下が5dB以上である光記録媒体を追記型媒体と判定することを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体の検査方法。
  5. 前記キャリアの低下が10dB以上である光記録媒体を追記型媒体と判定することを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体の検査方法。
  6. 相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、このランダム信号の記録領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRiniとし、前記ランダム信号の記録領域に、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射した後、その照射領域において再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルをRtop、最も低い反射レベルをRbottomとしたとき、前記直流レーザー光のパワーレベルが前記記録層を溶融させないものであっても溶融させるものであっても
    (Rtop+Rbottom)/2Rini<1
    を満足する光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法。
  7. (Rtop+Rbottom)/2Rini<0.95
    を満足する光記録媒体を追記型媒体と判定することを特徴とする請求項6に記載の光記録媒体の検査方法。
  8. 相変化型の記録層を有する光記録媒体に対しランダム信号を記録し、前記ランダム信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法。
  9. 信号再生が不可能であるとは、再生信号に誤り訂正ができない程度のエラーが含まれる状態をいうことを特徴とする請求項8に記載の光記録媒体の検査方法。
  10. 信号再生が不可能であるとは、クロックジッタが13%を越えている状態をいうことを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体の検査方法。
  11. 信号再生が不可能であるとは、クロックジッタが15%を越えている状態をいうことを特徴とする請求項10に記載の光記録媒体の検査方法。
  12. 相変化型の記録層を有する光記録媒体に対し、ランダム信号を記録し、前記ランダム信号の記録領域に前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射し、その照射領域に再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったときに、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定する光記録媒体の検査方法。
  13. 信号再生が不可能であるとは、再生信号に誤り訂正ができない程度のエラーが含まれる状態をいうことを特徴とする請求項12に記載の光記録媒体の検査方法。
  14. 信号再生が不可能であるとは、クロックジッタが13%を越えている状態をいうことを特徴とする請求項13に記載の光記録媒体の検査方法。
  15. 信号再生が不可能であるとは、クロックジッタが15%を越えている状態をいうことを特徴とする請求項14に記載の光記録媒体の検査方法。
  16. 相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、最短信号のCNRが45dB以上となるように最短信号を記録するステップと、前記最短信号が記録された領域に対し、記録層を溶融させないパワーレベルの直流レーザー光を前記最短信号記録時と同じ線速度で照射するステップと、前記最短信号のキャリアの低下を測定するステップと、前記キャリアの低下が20dB以下である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  17. 相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対し、再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルRiniを測定するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対し、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射するステップと、前記直流レーザー光が照射された領域に対して再生動作を行ったときに得られる最も高い反射レベルRtop及び最も低い反射レベルRbottomを測定するステップと、前記反射レベルRini、Rtop及びRbottomが、
    (Rtop+Rbottom)/2Rini<1
    を満足する光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  18. 相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で再びランダム信号を記録するステップと、前記重ねて記録したランダム信号に対して再生動作を行った場合、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  19. 相変化型の記録層を少なくとも形成する成膜工程と、前記記録層のうち少なくとも記録対象領域を結晶化する初期化工程と、前記初期化工程が完了した光記録媒体が追記型媒体であるのか書き換え型媒体であるのかを判断する検査工程とを備える光記録媒体の製造方法であって、前記検査工程が、前記記録層にランダム信号を記録するステップと、前記ランダム信号が記録された領域に対して前記ランダム信号記録時と同じ線速度で直流レーザー光を照射するステップと、前記直流レーザー光を照射した領域に再びランダム信号を記録するステップと、前記再び記録したランダム信号に対して再生動作を行った場合、信号再生が不可能である光記録媒体を追記型媒体と判定するステップとを備えることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
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