JP2002203317A - 光記録方法、光記録装置および光記録媒体 - Google Patents

光記録方法、光記録装置および光記録媒体

Info

Publication number
JP2002203317A
JP2002203317A JP2000402928A JP2000402928A JP2002203317A JP 2002203317 A JP2002203317 A JP 2002203317A JP 2000402928 A JP2000402928 A JP 2000402928A JP 2000402928 A JP2000402928 A JP 2000402928A JP 2002203317 A JP2002203317 A JP 2002203317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
linear velocity
pulse
optical recording
intensity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000402928A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Shibahara
正典 柴原
Isamu Kuribayashi
勇 栗林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2000402928A priority Critical patent/JP2002203317A/ja
Publication of JP2002203317A publication Critical patent/JP2002203317A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)
  • Optical Head (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度記録可能な相変化型光記録媒体、特に
追記型の相変化型媒体において、複数の線速度で記録し
たときの再生信号のジッタを低減する。 【解決手段】 複数の線速度または連続的に変化する線
速度で記録を行う方法であって、記録光を変調する記録
波形は、直流部と記録パルス部とを有するものであり、
直流部の強度をPbi、上向きパルスの幅をTmp、その強
度をPwとし、線速度VLで記録を行う際のPw、Pbi
およびTmpをそれぞれPwL、PbiLおよびTmpLと
し、VLよりも速く、かつ、1.1≦VH/VLを満足す
る線速度VHで記録を行う際のPw、PbiおよびTmpを
それぞれPwH、PbiHおよびTmpHとしたとき、1<
PbiH/PbiL、(PbiH/PwH)/(PbiL/Pw
L)<1、1≦TmpH/TmpLを満足する条件で記録を
行う光記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型光記録媒
体等の光記録媒体と、これに記録する方法と、これに記
録する装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高密度記録が可能で、しかも記録
情報を消去して書き換えることが可能な光記録媒体が注
目されている。書き換え可能型の光記録媒体のうち相変
化型のものは、レーザービームを照射することにより記
録層の結晶状態を変化させて記録を行い、このような状
態変化に伴なう記録層の反射率変化を検出することによ
り再生を行うものである。相変化型の光記録媒体は単一
のレーザービームの強度を変調することによりオーバー
ライトが可能であり、また、駆動装置の光学系が光磁気
記録媒体のそれに比べて単純であるため、注目されてい
る。
【0003】オーバーライトによる書き換えが可能な相
変化型媒体では、結晶質記録層に記録パワーレベルのレ
ーザー光を照射して溶融させ、溶融状態から急冷するこ
とにより非晶質記録マークを形成する。消去に際して
は、消去パワーレベルのレーザー光を照射して記録層の
結晶化温度以上融点未満の温度まで昇温し、次いで徐冷
することにより、非晶質記録マークを結晶化する。
【0004】ところで、光記録媒体には、1回だけ記録
が可能で書き換えが不可能な追記型媒体もある。
【0005】追記型媒体は記録情報の書き換えが不可能
であるため、情報の改竄が問題となる公文書等の記録に
適している。追記型媒体としては、CD−RやDVD−
Rなど、有機色素を記録材料とするものが広く用いられ
ている。しかし、有機色素を記録材料とすると、媒体の
線速度を速くして高速記録を行う場合に記録感度が不十
分となりやすいので、高転送レートの実現が困難であ
る。また、有機色素は、分光吸収特性や分光反射特性が
比較的急峻であるため、記録・再生波長に対応した有機
色素を使う必要がある。したがって、例えば、より短い
波長の記録・再生光を使う上位フォーマットが存在する
場合、上位フォーマット用の記録・再生光では下位フォ
ーマットの媒体の記録・再生ができなくなるという問題
がある。また、短波長の記録・再生光に対応する有機色
素の設計および入手が難しいという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】オーバーライト可能な
相変化媒体のうち実用化されているものとしては、例え
ばCD−RW、DVD−RW、DVD−RAMが挙げら
れる。CD−RWは、CD−DA(コンパクトディス
ク)と同等の640MBの記録容量をもつ。CD−RWで
は、CD−DAの4〜10倍の線速度範囲での記録が実
用化されている。一方、DVD−ROMと同じ4.7GB
の記録容量をもつDVD−RWおよびDVD−RAMで
は、1倍速(オリジナル線速度)を基準として、その2
倍を超える線速度での記録は実用化されていない。これ
は、DVD−RWやDVD−RAMの記録密度がCD−
RWに比べ著しく高いために、広い線速度範囲でジッタ
を小さくできるようにオーバーライトすることが技術的
に困難だからである。
【0007】有機色素を用いる追記型媒体では、記録に
際して有機色素の分解が伴う。そのため、一般に、記録
時の線速度を2倍にすると記録用レーザー光のパワーを
1/ 2倍にする必要があるといわれている。これに対し
相変化型媒体を追記型媒体として用いる場合、記録用レ
ーザー光を照射した部分が融点に達すればよい。記録層
はレーザー光を瞬時に吸収して融点に達するため、記録
用レーザー光のパワーは記録時の線速度に大きくは依存
しない。したがって、記録時の線速度を2倍にしても、
記録用レーザー光のパワーはわずかな上昇で済むという
利点がある。
【0008】しかし、本発明者らの研究によれば、相変
化型媒体を追記型媒体として用いる場合も、広い線速度
範囲においてジッタを小さくすることが困難であること
がわかった。
【0009】本発明は、高密度記録可能な相変化型光記
録媒体、特に追記型の相変化型媒体において、複数の線
速度で記録したときの再生信号のジッタを低減すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(22)の本発明により達成される。 (1) 相変化材料を含む記録層を有する光記録媒体に
対し、記録波形により強度変調された記録光を用い、複
数の線速度または連続的に変化する線速度で記録を行う
方法であって、前記記録波形は、直流部と、記録マーク
を形成するための記録パルス部とを有するものであり、
直流部の強度をPbiで表し、上向きパルスを少なくとも
3つ有する記録パルス部において、先頭の上向きパルス
と最後尾の上向きパルスとに挟まれた上向きパルスの幅
をTmp、その強度をPwで表し、前記複数の線速度また
は前記連続的に変化する線速度の1つをVLとし、線速
度VLで記録を行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞ
れPwL、PbiLおよびTmpLとし、前記複数の線速度
または前記連続的に変化する線速度のうちVLよりも速
く、かつ、 1.1≦VH/VL を満足する線速度の1つをVHとし、線速度VHで記録を
行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、Pbi
HおよびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足する条件で記録を行う光記録方法。 (2) 相変化材料を含む記録層を有する光記録媒体に
対し、記録波形により強度変調された記録光を用い、複
数の線速度から選択される1つの線速度で記録を行う方
法であって、前記記録波形は、直流部と、記録マークを
形成するための記録パルス部とを有するものであり、直
流部の強度をPbiで表し、上向きパルスを少なくとも3
つ有する記録パルス部において、先頭の上向きパルスと
最後尾の上向きパルスとに挟まれた上向きパルスの幅を
Tmp、その強度をPwで表し、前記複数の線速度の1つ
をVLとし、線速度VLで記録を行う際のPw、Pbiおよ
びTmpをそれぞれPwL、PbiLおよびTmpLとし、前
記複数の線速度のうちVLよりも速く、かつ、 1.1≦VH/VL を満足する線速度の1つをVHとし、線速度VHで記録を
行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、Pbi
HおよびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足する条件で記録を行う光記録方法。 (3) 記録パルス部のうち上向きパルスを少なくとも
3つ有するものにおいて、先頭の上向きパルスの幅をT
topで表し、線速度VLで記録を行う際のTtopをTtopL
とし、線速度VHで記録を行う際のTtopをTtopHとし
たとき、 1<TtopH/TtopL として記録を行う上記(1)または(2)の光記録方
法。 (4) 記録パルス部のうち上向きパルスを少なくとも
3つ有するものにおいて、最後尾の上向きパルスの幅を
Tlpで表し、線速度VLで記録を行う際のTlpをTlpL
とし、線速度VHで記録を行う際のTlpをTlpHとした
とき、 1<TlpH/TlpL として記録を行う上記(1)〜(3)のいずれかの光記
録方法。 (5) 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて
使用するパルス強度およびパルス幅が、光記録媒体への
試し書きによって決定される上記(1)〜(4)のいず
れかの光記録方法。 (6) 追記型の光記録媒体に適用される上記(1)〜
(5)のいずれかの光記録方法。 (7) 書き換え可能型の光記録媒体に適用され、記録
に用いるレーザー光の波長をλ、照射光学系の対物レン
ズの開口数をNA、検出窓幅をTw、最短記録マークに
対応する信号長をn・Twとしたとき、記録に用いる最
も速い線速度において n・Tw>20ns である上記(1)〜(5)のいずれかの光記録方法。 (8) 相変化材料を含む記録層を有する光記録媒体に
対し、記録波形により強度変調された記録光を用いて記
録を行う方法であって、前記記録波形は、直流部と、記
録マークを形成するための記録パルス部とを有するもの
であり、直流部の強度をPbiで表し、上向きパルスを少
なくとも3つ有する記録パルス部において、先頭の上向
きパルスと最後尾の上向きパルスとに挟まれた上向きパ
ルスの幅をTmp、その強度をPwで表し、基準となる線
速度と、この線速度におけるPw、PbiおよびTmpの推
奨値が与えられており、この基準となる線速度とは異な
る線速度で試し書きを行うことにより、この試し書きの
際の線速度またはこの線速度を含む線速度域において実
際に情報を記録する際に実際に使用するPw、Pbiおよ
びTmpを決定するに際し、線速度VLおよび 1.1≦VH/VL を満足する線速度VHの一方を前記基準となる線速と
し、他方を前記試し書きの際の線速度とし、線速度VL
で記録を行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPw
L、PbiLおよびTmpLとし、線速度VHで記録を行う
際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、PbiHお
よびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足するように、試し書きの際のPw、PbiおよびT
mpを設定する光記録方法。 (9) 記録パルス部のうち上向きパルスを少なくとも
3つ有するものにおいて、先頭の上向きパルスの幅をT
topで表したとき、前記基準となる線速度におけるTtop
の推奨値が与えられており、線速度VLで記録を行う際
のTtopをTtopLとし、線速度VHで記録を行う際のTt
opをTtopHとしたとき、 1<TtopH/TtopL を満足するように試し書きの際のTtopを設定すること
により、この試し書きの際の線速度またはこの線速度を
含む線速度域において実際に情報を記録する際に使用す
るTtopを求める上記(8)の光記録方法。 (10) 記録パルス部のうち上向きパルスを少なくと
も3つ有するものにおいて、最後尾の上向きパルスの幅
をTlpで表し、前記基準となる線速度におけるTlpの推
奨値が与えられており、線速度VLで記録を行う際のTl
pをTlpLとし、線速度VHで記録を行う際のTlpをTlp
Hとしたとき、 1<TlpH/TlpL を満足するように試し書きの際のTlpHを設定すること
により、この試し書きの際の線速度またはこの線速度を
含む線速度域において実際に情報を記録する際に使用す
るTlpを求める上記(8)または(9)の光記録方法。 (11) 追記型の光記録媒体に適用される上記(8)
〜(10)のいずれかの光記録方法。 (12) 書き換え可能型の光記録媒体に適用され、記
録に用いるレーザー光の波長をλ、照射光学系の対物レ
ンズの開口数をNA、検出窓幅をTw、最短記録マーク
に対応する信号長をn・Twとしたとき、記録に用いる
最も速い線速度において n・Tw>20ns である上記(8)〜(10)のいずれかの光記録方法。 (13) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
を使用することが可能な光記録装置であって、線速度V
Lおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強
度およびパルス幅を保持する光記録装置。 (14) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
を使用することが可能な光記録装置であって、線速度V
Lおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強
度およびパルス幅が、各線速度について複数保持されて
おり、これら複数のパルス強度およびパルス幅から、実
際に使用するパルス強度およびパルス幅を選択するに際
し、光記録媒体への試し書きを利用する光記録装置。 (15) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
を使用することが可能な光記録装置であって、線速度V
Lおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強
度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数として定
義されており、この関数を保持する光記録装置。 (16) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
を使用することが可能な光記録装置であって、線速度V
Lおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強
度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数として定
義され、この関数が各線速度について複数保持されてお
り、これら複数の関数から、実際に使用する関数を選択
するに際し、光記録媒体への試し書きを利用する光記録
装置。 (17) 上記(8)〜(12)のいずれかの光記録方
法を使用することが可能な光記録装置であって、前記基
準となる線速度におけるパルス強度およびパルス幅の推
奨値を保持する光記録装置。 (18) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
が適用可能な光記録媒体であって、線速度VLおよび線
速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強度および
パルス幅が記録されている光記録媒体。 (19) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
が適用可能な光記録媒体であって、線速度VLおよび線
速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強度および
パルス幅が、各線速度について複数記録されており、こ
れら複数のパルス強度およびパルス幅から、実際に使用
するパルス強度およびパルス幅を選択するに際し、光記
録媒体への試し書きが利用される光記録媒体。 (20) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
が適用可能な光記録媒体であって、線速度VLおよび線
速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強度および
パルス幅が、それぞれの線速度の関数として定義されて
おり、この関数が記録されている光記録媒体。 (21) 上記(1)〜(7)のいずれかの光記録方法
が適用可能な光記録媒体であって、線速度VLおよび線
速度VHのそれぞれにおいて使用するパルス強度および
パルス幅が、それぞれの線速度の関数として定義され、
この関数が各線速度について複数記録されており、これ
ら複数の関数から、実際に使用する関数を選択するに際
し、光記録媒体への試し書きが利用される光記録媒体。 (22) 上記(8)〜(12)のいずれかの光記録方
法が適用可能な光記録媒体であって、前記基準となる線
速度におけるパルス強度およびパルス幅の推奨値が記録
されている光記録媒体。
【0011】
【発明の実施の形態】一般に、相変化型光記録媒体に記
録する際には、記録マークの長さに対応して記録光を直
流的に照射するのではなく、例えば特開平10−106
008号公報、特開平11−232652号公報、特開
2000−155945号公報に記載されているよう
に、マルチパルス記録を行うのが一般的である。
【0012】マルチパルス記録における記録波形の例
を、図1に示す。なお、本明細書において記録波形と
は、記録光を強度変調するための駆動信号パターンを意
味する。図1には、NRZI信号の5T信号と、この5
T信号に対応する記録波形とを示してある。
【0013】図1において、Pwは記録パワー、Pbiは
バイアスパワー、Pboはボトムパワーである。Pbiは、
オーバーライト可能な記録システムでは、通常、消去パ
ワーと呼ばれる。この記録波形は、記録マークを形成す
るための記録パルス部と、記録マークを消去するための
直流部とを有する。記録パルス部は、上向きパルス(強
度Pw)とこれに続く下向きパルス(強度Pbo)との組
み合わせが繰り返される構造であり、全体としてはPbi
から立ち上がり、Pbiに戻るものとなっている。すなわ
ち、隣り合う記録パルス部は、直流部によって連結され
ている。
【0014】図1において、Ttopは先頭の上向きパル
スの幅であり、Tmpは先頭の上向きパルスと最後尾の上
向きパルスとに挟まれた上向きパルス(マルチパルスと
もいう)の幅であり、Tlpは最後尾の上向きパルスの幅
であり、Tclは最後尾の上向きパルスの後ろに付加され
た下向きパルス(クーリングパルスともいう)の幅であ
る。これらのパルス幅は、基準クロック幅(1T)で規
格化した値で表される。図示する記録波形では、クーリ
ングパルスを含むすべての下向きパルスのパワー(ボト
ムパワーPbo)がバイアスパワーPbiよりも低く設定さ
れている。
【0015】図2に、4T信号の記録波形を示す。この
記録波形における記録パルス部は、2つの上向きパルス
と、それぞれの上向きパルスに続く下向きパルスとから
構成される。この記録パルス部において、先頭の上向き
パルスの幅はTtopで表され、先頭から2番目の上向き
パルスの幅はTlpで表される。
【0016】また、図3に、EFMプラス(8−16)
変調における最短信号である3T信号の記録波形を示
す。この記録波形における記録パルス部は、1つの上向
きパルスと1つの下向きパルスとだけから構成される。
この記録パルス部において、上向きパルスの幅はTtop
で表される。
【0017】本明細書におけるパルス幅は、基準クロッ
ク幅で規格化した規格化パルス幅である。線速度を変更
しても変調方式を変更しない場合には、基準クロック幅
を線速度に反比例して変更するため、同一信号の記録マ
ークであれば、媒体上のマーク長は線速度によらず一定
となる。すなわち、線記録密度(ビット密度)が一定と
なる。例えば、線速度を1/2としたときには基準クロ
ック幅を2倍とする。
【0018】本発明では、相変化型媒体に対し、複数の
線速度または連続的に変化する線速度で記録を行う。そ
して、これら複数の線速度または連続的に変化する線速
度が存在する線速度域のすべてにおいてジッタを小さく
するために、記録時の線速度に応じて、記録波形におけ
るパルス強度(パワーレベル)およびパルス幅を制御す
る。具体的には、以下のとおりである。
【0019】まず、前記複数の線速度または前記連続的
に変化する線速度の1つを線速度V Lとし、前記複数の
線速度または前記連続的に変化する線速度のうちVL
りも速く、かつ、 1.1≦VH/VL を満足する線速度の1つをVHとする。また、記録パル
ス部のうち上向きパルスを少なくとも3つ有するものに
おいて、線速度VLで記録を行う際のPw、Pbiおよび
TmpをそれぞれPwL、PbiLおよびTmpLとし、線速
度VHで記録を行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞ
れPwH、PbiHおよびTmpHとする。このとき、本発
明では、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足する条件で記録を行う。これにより、VLに対す
るVHの比が大きい場合において、どちらの線速度で記
録してもジッタを小さくすることができる。書き換え型
媒体として用いる場合において線速度を速くした場合、
結晶化のためにより大きなエネルギーが必要とされるた
め、線速度が速いほどPbiを大きくする。一方、追記型
媒体として用いる場合において線速度を速くした場合、
記録層の加熱の立ち上がりを補助するために、やはりP
biを大きくする。そして、書き換え型および追記型のい
ずれにおいても、線速度が速いほどPbi/Pwを小さく
しないと、ジッタが大きくなってしまう。
【0020】上記した (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1 は、 PbiL/PwL>PbiH/PwH と同義であり、したがって、 PwH/PwL>PbiH/PbiL と同義である。すなわち本発明では、線速度が速くなる
にしたがってPbiを増大させると共にPwも増大させ、
かつ、Pwの増大率をPbiの増大率よりも高くする。こ
れにより、広い線速度範囲においてジッタを許容範囲内
に収めることが容易にできる。
【0021】なお、Pbi/Pwの制御によるジッタ低減
は、追記型媒体において特に有効である。有機色素を記
録材料とする媒体を用いる従来の追記型システムでは、
マルチパルス記録を行うことは一般的である。しかし、
従来の追記型システムにおいて、隣り合う記録パルス部
間に直流部を設け、かつ、そのパワーレベルを線速度に
応じて制御することは提案されていない。
【0022】前記線速度VLで記録を行う際のTtopをT
topLとし、前記線速度VHで記録を行う際のTtopをTt
opHとしたとき、本発明では、好ましくは 1≦TtopH/TtopL として、より好ましくは 1<TtopH/TtopL として記録を行う。これにより、線速度変化に伴うジッ
タ増大をさらに抑制することが可能となる。
【0023】また、前記線速度VLで記録を行う際のTl
pをTlpLとし、前記線速度VHで記録を行う際のTlpを
TlpHとしたとき、本発明では、好ましくは 1≦TlpH/TlpL として、より好ましくは 1<TlpH/TlpL として記録を行う。これにより、線速度変化に伴うジッ
タ増大をさらに抑制することが可能となる。
【0024】前記VLおよび前記VHのそれぞれにおいて
使用するパルス強度およびパルス幅は、PbiH/Pbi
L、(PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)、TmpH
/TmpL、TtopH/TtopL、TlpH/TlpLが本発明
で限定する範囲内となるように決定される。このように
して決定される各線速度におけるパルス強度およびパル
ス幅は、光記録装置が保持していてもよく、媒体に記録
されていてもよい。すなわち、これらの値をテーブル化
し、これを光記録装置内の記憶手段に格納しておいても
よく、媒体にあらかじめ記録しておいてもよい。また、
テーブル化する替わりに、例えばそれぞれの線速度にお
いて使用するパルス強度およびパルス幅を、その線速度
の関数として定義しておき、この関数を前記記憶手段に
格納または媒体に記録しておいてもよい。
【0025】本発明は、CLV(Constant Linear Velo
city)フォーマットにおいて複数の記録線速度に対応す
る必要があり、かつ、前記複数の線速度の違いが大きい
場合に特に有効である。この場合の複数の線速度とは、
通常、オリジナル線速度(例えばDVD−RWでは3.
49m/s)およびその整数倍の線速度であるが、必ずし
も整数倍である必要はない。また、前記複数の線速度に
オリジナル線速度が含まれる必要はなく、例えばオリジ
ナル線速度の2倍以上、あるいは4倍以上の線速度だけ
に対応する高速記録システムに本発明を適用してもよ
い。
【0026】なお、本発明は、CLVフォーマットであ
って、かつ、複数の線速度に対応する記録システムにお
いて、それぞれの線速度での記録条件同士の関係を定め
たことに特徴をもつ。したがって、そのような記録シス
テムに属する1つの媒体に対し、上記複数の線速度から
選択された1つの線速度だけを用いて記録を行うこと
も、本発明に包含される。
【0027】また、本発明は、CAV(Constant Angul
ar Velocity)フォーマットにも適用できる。CAVフ
ォーマットでは、ディスク状媒体に対し回転数一定で記
録を行うので、連続的に変化する線速度で記録を行うこ
とになり、媒体の内周部よりも外周部において線速度が
速くなる。なお、本明細書において、上記CLVフォー
マットはMCLV(Modified CLV)フォーマットを
包含するものとし、また、上記CAVフォーマットはM
CAV(Modified CAV)フォーマットを包含するも
のとする。MCLVフォーマットおよびMCAVフォー
マットについては、例えば1989年2月10日にラジ
オ技術社から刊行された「光ディスク技術」の第223
ページに記載されている。
【0028】本発明では、線速度の増大または減少が連
続的であっても、パルス強度およびパルス幅を連続的に
制御する必要はない。例えばCAVフォーマットでの記
録に際しては、線速度が連続的に変化するが、それに伴
ってパルス強度およびパルス幅を連続的に変更する必要
はなく、使用するパルス強度とパルス幅との組み合わせ
は数種程度であってよい。すなわち、CAVフォーマッ
トにおける最低線速度と最高線速度との間を複数の線速
度域に分割し、分割された各線速度域において、パルス
強度とパルス幅との組み合わせを1つ設定すればよい。
【0029】直径12cm程度のディスク状媒体をCAV
方式で使用する場合、最内周における線速度と最外周に
おける線速度との比は一般に2〜3の範囲であり、通常
は2.5程度である。この場合、設定される前記組み合
わせの数は、好ましくは2以上より好ましくは3以上で
ある。使用する組み合わせの数が少なすぎると、本発明
の効果が不十分となる。一方、使用する組み合わせの数
を多くしても、ジッタ低減効果は著しくは増大しないの
で、組み合わせの数が40を超える必要はない。ただ
し、線速度変化に対応してパルス強度およびパルス幅を
連続的に変化させてもよい。
【0030】一方、CLVフォーマットでの記録に際し
ては、通常、線速度は2倍速、4倍速、6倍速、8倍速
等の整数倍で変更され、VH/VLが比較的大きくなるの
で、各線速度においてパルス強度およびパルス幅を変化
させることが好ましい。
【0031】前記VHは、好ましくは 1.1≦VH/VL、より好ましくは 1.2≦VH/VL が成立するように選択された線速度である。VH/VL
小さい場合には、両線速度においてパルス強度およびパ
ルス幅を異なる値とする必要はない。一方、VH/VL
大きすぎる場合、本発明を適用しても十分な効果が得ら
れにくくなるため、好ましくは VH/VL≦8 とし、より好ましくは VH/VL≦4 とする。
【0032】本発明では、CLVフォーマットにおいて
特定の線速度で実際に記録する前に、その線速度で試し
書きを行うことにより、実際の記録に使用するパルス強
度およびパルス幅を決定する記録方法に適用できる。ま
た、CAVフォーマットにおいて実際に記録する前に、
少なくとも1つの線速度で試し書きを行うことにより、
実際の記録に使用するパルス強度およびパルス幅を決定
する記録方法に適用できる。
【0033】試し書きに際しては、パルス強度に関する
各パラメータおよびパルス幅に関する各パラメータから
少なくとも1つのパラメータを選択してその値を変更
し、媒体に対し試し書きを行う。次いで、試し書きした
信号を再生してエラーおよび/またはジッタを測定する
ことにより、再生信号の品質を判定する。そして、品質
が低ければ、そのパラメータを再び変更して、および/
または、他のパラメータを変更して、再び試し書きを行
う。この手順の繰り返しにより、実際に使用する記録条
件の最適値を求める。ディスク状媒体では、通常、内周
側から記録されるので、試し書きは少なくとも内周部に
おいて行い、好ましくは内周部および外周部において行
う。特に、CAVフォーマットでは、内周部と外周部と
で線速度がかなり異なるので、内周部および外周部の両
方で試し書きを行うことが好ましい。なお、試し書き
は、通常、データ記録領域とは別に設けた試し書き領域
において行う。
【0034】以下、試し書きによって最適記録条件を決
定する記録方法に本発明を適用する場合について説明す
る。
【0035】試し書きを利用する第1の方法では、線速
度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用するパル
ス強度およびパルス幅が、各線速度について複数与えら
れている。そして、特定の線速度で記録する際に、その
線速度での記録のために用意された複数のパルス強度お
よびパルス幅の組み合わせから、実際に使用するパルス
強度およびパルス幅を選択するために、試し書きが利用
される。また、第1の方法では、それぞれの線速度にお
いて使用するパルス強度およびパルス幅を、その線速度
の関数として定義しておき、この関数が、各線速度につ
いて複数用意されていてもよい。この場合、各線速度で
実際に利用する関数を、試し書きによって決定すること
になる。なお、各線速度のそれぞれについて用意された
複数のパルス強度およびパルス幅の組み合わせまたは関
数は、光記録装置が保持していてもよく、媒体に記録さ
れていてもよい。
【0036】次に、試し書きを利用する第2の方法につ
いて説明する。第2の方法では、基準となる線速度が与
えられ、かつ、その線速度におけるパルス強度およびパ
ルス幅の推奨値が与えられている必要がある。まず、基
準となる線速度をVLとし、試し書きに使用する線速度
をVHとする。線速度VHは、CLVフォーマットでは実
際の記録に用いる線速度である。一方、CAVフォーマ
ットでは、前記したように最低線速度と最高線速度との
間を複数の線速度域に分割し、各線速度域の中央付近の
線速度を試し書き線速度VHとする。試し書き線速度VH
は、前記したV LとVHとの関係と同様に、 1.1≦VH/VL を満足するものである。線速度VLにおけるPw、Pbi
およびTmpの推奨値を、それぞれPwL、PbiLおよび
TmpLとし、線速度VHで試し書きを行うときのPw、
PbiおよびTmpを、それぞれPwH、PbiHおよびTmp
Hとすると、1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足するようにPwH、PbiHおよびTmpHを設定し
て試し書きを行えばよい。これにより、基準線速度VL
より速い線速度VHおよびその近傍における最適記録条
件に、短い手順で到達することが可能となる。
【0037】なお、TtopおよびTlpに関しても、同様
に考えることができる。すなわち、基準となる線速度V
LにおけるTtopの推奨値としてTtopLが与えられてお
り、線速度VHで試し書きを行う際のTtopをTtopHと
したとき、 1<TtopH/TtopL を満足するようにTtopHを設定して試し書きを行うこ
とにより、線速度VHおよびその近傍におけるTtopの最
適値を短い手順で求めることが可能となる。また、基準
となる線速度VLにおけるTlpの推奨値としてTlpLが
与えられており、線速度VHで試し書きを行う際のTlp
をTlpHとしたとき、 1<TlpH/TlpL を満足するようにTlpHを設定して試し書きを行うこと
により、線速度VHおよびその近傍におけるTlpの最適
値を短い手順で求めることが可能となる。
【0038】また、基準となる線速度よりも遅い線速度
で記録する場合の試し書きに際しても、同様に本発明を
適用することができる。この場合、まず、基準となる線
速度をVHとし、試し書きに使用する線速度をVLとす
る。試し書き線速度VLは、前記したVLとVHとの関係
と同様に、好ましくは 1.1≦VH/VL を満足するものである。また、線速度VHにおけるP
w、PbiおよびTmpの推奨値を、それぞれPwH、Pbi
HおよびTmpHとし、線速度VLで試し書きを行うとき
のPw、PbiおよびTmpを、それぞれPwL、PbiLお
よびTmpLとすると、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足するようにPwL、PbiLおよびTmpLを設定し
て試し書きを行えばよい。これにより、基準線速度VH
より遅い線速度VLおよびその近傍における最適記録条
件に、短い手順で到達することが可能となる。また、T
topおよびTlpに関しても、上記と同様に考えることが
できる。
【0039】なお、基準となる線速度およびその線速度
におけるパルス強度およびパルス幅の推奨値は、試し書
きに際して光記録装置が読み出せる状態にあればよく、
例えば、光記録装置が保持していてもよく、媒体に記録
されていてもよい。なお、本明細書において、パルス強
度およびパルス幅の推奨値とは、媒体メーカーが推奨す
る値、または、その記録システムの規格において規定さ
れた最適値ないし推奨値を意味する。
【0040】上記方法で使用する基準となる線速度は、
本発明が適用される記録システムにおけるオリジナル線
速度である必要はなく、任意の値であってよい。例え
ば、オリジナル線速度が3.5m/sの場合、基準となる
線速度が2倍速の7m/sであってもよい。また、この記
録方法を適用する場合、記録線速度は複数である必要は
なく、基準となる線速度の例えば4倍の線速度だけで記
録を行ってよい。
【0041】本発明が特に効果を発揮する線速度域は、
H/VLが上記範囲内であって、かつ、前記複数の線速
度または前記連続的に変化する線速度の最低値が好まし
くは2m/s以上、より好ましくは2.5m/s以上、さらに
好ましくは3m/s以上である領域である。
【0042】VH/VLが上記範囲内であるときには、 1<PbiH/PbiL≦3、 0.5≦(PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<
1、 1≦TmpH/TmpL≦3 1≦TtopH/TtopL≦3、 1≦TlpH/TlpL≦3 とすることが好ましく、 1.01≦PbiH/PbiL≦3、 0.5≦(PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)≦
0.99、 1.01≦TmpH/TmpL≦2 1.01≦TtopH/TtopL≦2.5、 1.01≦TlpH/TlpL≦3 とすることがより好ましい。PbiH/PbiLが大きすぎ
たり、(PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)が小さ
すぎたり、TmpH/TmpLが大きすぎたり、TtopH/
TtopLが大きすぎたり、TlpH/TlpLが大きすぎた
りすると、VH/VLが上記範囲である線速度域におい
て、ジッタを小さくすることが困難となる。
【0043】本発明では、図2に示すように、記録パル
ス部に上向きパルスが2つ存在する記録波形において
も、また、図3に示すように、記録パルス部に上向きパ
ルスが1つだけ存在する記録波形においても、PbiH/
PbiL、(PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)およ
びTtopH/TtopLが上記した限定範囲内にあることが
好ましく、図2に示すような記録波形では、TlpH/T
lpLも上記した限定範囲内にあることが好ましい。
【0044】先頭の上向きパルスはバイアスパワーPbi
から立ち上がるパルスなので、先頭の上向きパルスの幅
Ttopを他の上向きパルスの幅Tmpと同じにすると、記
録層の温度上昇が不十分になって、所定長さの記録マー
クが得られにくいことがある。そのため、好ましくは Ttop/Tmp>1 とする。ただし、Ttop/Tmpが大きすぎると、マルチ
パルス記録の効果が損なわれるので、好ましくは Ttop/Tmp≦3 とする。また、最後尾の上向きパルスの幅Tlpを制御す
ることにより、記録マークの長さの調整が可能である。
ただし、Tlp/Tmpが小さすぎても大きすぎてもマルチ
パルス記録の効果が損なわれるので、通常、 0.5≦Tlp/Tmp≦2 となるようにTlpを設定することが好ましい。
【0045】本発明では、記録パルス部において上向き
パルスに続く下向きパルスの強度をPboで表したとき、 Pbo≦Pbi として記録を行うことが好ましい。これは、下向きパル
スを設けることによる効果を損なわないためである。た
だし、下向きパルスのパワーレベルは、トラッキングサ
ーボをかけるために0より大きいことが必要である。P
bo=Pbiとすれば、光記録装置が有する制御手段の負担
を小さくできる。なお、すべての下向きパルスにおいて
Pboを同じとし、かつPbo=Pbiとしたとき、クーリン
グパルスは存在しなくなる。ただし、クーリングパルス
を他の下向きパルスと独立して制御してもよい。
【0046】なお、先頭の上向きパルスの強度および最
後尾の上向きパルスの強度は、これらに挟まれた上向き
パルスの強度(Pw)と異なっていてもよい。先頭の上
向きパルスの強度をPtopで表し、最後尾の上向きパル
スの強度をPlpで表したとき、TtopをTmpより大きく
する替わりにPtopをPwより大きくしたり、TlpをTm
pより大きくまたは小さくする替わりにPlpをPwより
大きくまたは小さくしてもよい。また、TtopおよびPt
opを共に制御したり、TlpおよびPlpを共に制御したり
してもよい。ただし、光記録装置が有する制御手段の負
担を小さくするためには、Ptop=Pwとし、また、Pl
p=Pwとすることが好ましい。
【0047】本発明を書き換え型システムに適用する場
合、バイアスパワーPbiは消去パワーとなるため、Pbi
の下限は記録マークの結晶化が可能なように記録層の組
成やオーバーライト線速度などに応じて決定すればよ
い。一方、Pbiの上限は、記録層が非晶質化しないよう
に、また、繰り返し照射により記録層にダメージを与え
ないように決定すればよい。
【0048】本発明を追記型システムに適用する場合、
バイアスパワーPbiは記録パワーPwの好ましくは3〜
60%であって、かつ、1mW以上であることが好まし
い。Pbiが低すぎると、記録層の加熱の立ち上がりを補
助する効果が不十分となるため、ジッタが大きくなって
しまう。一方、バイアスパワーPbiが高すぎると、バイ
アスパワーレベルのレーザー光を照射した領域が非晶質
化または微結晶化してしまうことがあり、好ましくな
い。
【0049】なお、本発明では、信号長が同じであるす
べての記録マークにおいて、TtopおよびTlpをそれぞ
れ同一とする必要はなく、例えば、直前の記録マークの
長さに応じて記録マークごとにTtopを適宜制御した
り、直後の記録マークの長さに応じて記録マークごとに
Tlpを適宜制御したりする適応型制御を行ってもよい。
【0050】ところで、前記した特開平10−1060
08号公報、特開平11−232652号公報および特
開2000−155945号公報には、マルチパルス記
録において、線速度に応じてパルス幅およびパルス高さ
を制御することが記載されている。しかし、特開平10
−106008号公報および特開平11−232652
号公報には、Pbi、およびPbiとPwとの比を線速度に
応じて制御することは記載されていない。また、特開2
000−155945号公報には、本発明とは逆に PbiL/PwL<PbiH/PwH とすることが記載されている。
【0051】この特開2000−155945号公報に
記載された発明は、記録トラックピッチがDVDに比べ
広いCD−RWへの適用を考えてなされたものであり、
同公報ではCD−RWについて実験を行っている。これ
に対し本発明は、記録トラックピッチ0.74μmのD
VD−RWと同等の記録トラックピッチまたはそれより
小さい記録トラックピッチをもつ媒体を対象とするた
め、PbiL/PwLとPbiH/PwHとの関係が、特開
2000−155945号公報とは全く逆となったと考
えられる。なお、本発明は、記録トラックピッチ0.8
μm以下の媒体に対し特に有効である。ただし、記録ト
ラックピッチが狭すぎる媒体については、本発明を適用
しても十分な効果が得られにくいため、本発明は記録ト
ラックピッチ0.1μm以上の媒体に適用することが好
ましい。
【0052】また、本発明は、特に追記型の相変化型媒
体に有効であるため、上記特開2000−155945
号公報に記載された書き換え型媒体とは異なる結果とな
ったとも考えられる。前述したように本発明では、線速
度が速くなるにしたがってPbiを増大させると共にPw
も増大させ、かつ、Pwの増大率をPbiの増大率よりも
高くする。そして、本発明を追記型媒体に適用する場
合、記録層の加熱の立ち上がりを補助するためにPbiを
利用する。相変化型の追記型媒体では、結晶化しにくい
記録層を用いる点が書き換え型媒体と異なり、この点に
おいて、Pwと同等の増大率で線速度に応じてPbiを増
大させると、ジッタに悪影響を与える記録マークの形状
ばらつきなどが生じると考えられる。
【0053】本発明を書き換え可能型の相変化型媒体に
適用する場合、記録に用いるレーザー光の波長をλ、照
射光学系の対物レンズの開口数をNA、検出窓幅をT
w、最短記録マークに対応する信号長をn・Twとした
とき、記録に用いる最も速い線速度において n・Tw>20ns となるように記録を行うことが好ましい。すなわち、書
き換え型媒体に記録する際に、最短記録マークに対応す
る信号長(以下、単に最短信号長ということがある)n
・Twが一定値以上である場合に、本発明は特に有効で
ある。
【0054】最短信号長n・Twはデータ転送レートに
関係する。n・Twを短くするためには、記録および再
生に用いるレーザービームのスポット径を小さくして高
密度記録を行ったり、記録線速度を速くしたりする必要
がある。記録時のレーザー出力を一定に保った場合、記
録線速度が速いほど記録層に熱が溜まりにくい。一方、
ビームスポット径を小さくするためには、レーザー波長
を短くしたり、レーザービーム照射光学系の対物レンズ
の開口数を大きくするが、その場合、レーザービームス
ポットの単位面積当たりのエネルギーが高くなるので、
記録時に記録層に熱が溜まりやすくなる。したがって、
記録層に熱が溜まりやすいかどうかは、ビームスポット
径と記録線速度とに依存する。記録層に熱が溜まりやす
いと、記録時に、記録層の面内方向への熱伝導により、
形成した記録マークの一部が再結晶化してしまうセルフ
イレーズが発生しやすくなる。セルフイレーズが発生す
ると、ジッタが大きくなる。本発明者らの実験によれ
ば、最短信号長n・Twが20nsを超える条件下では、
記録線速度の影響が相対的に大きくなるため、上記セル
フイレーズが発生しにくく、n・Twが20ns以下とな
る条件下では、レーザービームスポット径を小さくした
影響が相対的に大きくなるため、上記セルフイレーズが
発生しやすいことがわかった。そのため、n・Twが2
0ns以下である場合に、本発明にしたがって 1<PbiH/PbiL とすると、すなわち、線速度が速くなるほどPbiを大き
くすると、セルフイレーズの影響が大きくなって、本発
明によるジッタ低減効果が実現しにくくなる。なお、追
記型の相変化型媒体ではセルフイレーズが生じにくいた
め、n・Twを実質的に考慮する必要はない。
【0055】最短信号長n・Twは、例えば1−7変調
では2T信号に対応し、その場合にはn=2である。ま
た、8−16変調では3T信号に対応し、その場合には
n=3である。
【0056】記録波形において、上向きパルスとこれに
続く下向きパルスとの組において上向きパルスの占める
幅の比率、すなわちデューティー比は、好ましくは0.
3〜0.9である。このデューティー比が小さすぎる
と、高パワーのレーザー光が必要となるため、好ましく
ない。一方、このデューティー比が大きすぎると、記録
マークの幅、長さ、形状に乱れが生じやすく、その結
果、ジッタが大きくなりやすい。
【0057】なお、例えば前記特開2000−1559
45号公報に記載されているように、先頭の上向きパル
スの直前に、消去パワーよりも低いパワーレベルの下向
きパルス(余熱調節パルス)を設けてもよく、また、先
頭の上向きパルスの直前に、これよりも強度の低い上向
きパルスを設けることにより、記録層の温度上昇を補助
する構成としてもよい。
【0058】本発明において、信号長kT(kは1以上
の整数、Tは基準クロック幅)の記録マークを形成する
ための記録パルス部の幅は、kTである必要はない。レ
ーザー照射時間をkTとした場合、記録トラック長さ方
向への熱伝導により記録マーク長が長くなりすぎること
があるため、一般には、記録パルス部の幅を実際の信号
長よりも短くする。図1〜図3では、kT信号記録用の
記録パルス部における上向きパルスの数をk−2として
いるが、これに限定されず、例えばk−1であってもよ
い。また、本発明において、変調方式は限定されない。
【0059】本発明はマークエッジ記録方式に適用され
る場合に、特に有効である。
【0060】なお、本発明において、追記型として使用
される相変化型媒体が満足すべき条件としては、下記の
第1〜第4の条件が挙げられる。相変化型媒体を追記型
媒体として用いるためには、下記4条件のうちの少なく
とも1つを満足する必要がある。
【0061】第1の条件は、相変化型の記録層を有する
光記録媒体に対し、最短信号のCNRが45dB以上、好
ましくは48dB以上となるように記録を行い、かつ、最
短信号記録後、記録時と同じ線速度でその上から記録層
を溶融させないパワーレベルのレーザー光を照射する消
去動作を行った後において、最短信号のキャリアの低下
が20dB以下、好ましくは18dB以下であることを意味
する。キャリアの低下がこの範囲であれば、消去動作後
に再び記録した信号の読み取りが不可能となる。従来、
相変化型媒体を追記型として利用できることは知られて
いる。しかし、追記型として使用するために満足すべき
条件は明確になっていなかった。書き換え可能な相変化
型媒体では、消去率が25dB以上であれば、消去後に再
記録可能であること、すなわち書き換えが可能であるこ
とが知られている。したがって、消去率が25dB未満で
あれば、書き換えが不可能、すなわち記録データを改竄
できない、と推定される。しかし、本発明者らの研究に
よれば、消去率が25dB未満であっても最短信号のキャ
リアの低下が20dB以下でないと、消去動作後に再記録
した信号が読み取れてしまうことがわかった。
【0062】本発明では、結晶質記録層に非晶質記録マ
ークを形成する必要があり、一方、スパッタ法等の気相
成長法により形成する場合、通常、相変化型記録層は非
晶質層として形成される。そのため、記録前に、あらか
じめ記録層の少なくとも記録対象領域を結晶化しておく
必要がある。この結晶化は、一般に初期化と呼ばれる。
しかし、形成直後の記録層は極めて結晶化しにくい。そ
のため、本発明において最短信号のキャリアの低下が著
しく小さくなる設計とすると、すなわち、記録層の再結
晶化が著しく困難となる設計とすると、初期化を極めて
遅い線速度で行う必要が生じ、生産性が著しく低くなっ
てしまう。この点を考慮すると、第1の条件において、
消去動作による最短信号のキャリアの低下は5dB以上で
あることが好ましく、記録線速度が比較的遅い場合には
前記キャリアの低下が10dB以上であることが好まし
い。
【0063】第2の条件は、相変化型の記録層を有する
光記録媒体に対しランダム信号を記録し、このランダム
信号の記録領域において再生動作を行ったときに得られ
る最も高い反射レベルをRiniとし、前記ランダム信号
の記録領域に、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で
直流レーザー光を照射して消去動作を行った後、その照
射領域において再生動作を行ったときに得られる最も高
い反射レベルをRtop、最も低い反射レベルをRbottom
としたとき、 (Rtop+Rbottom)/2Rini<1 を満足することであり、好ましくは (Rtop+Rbottom)/2Rini≦0.95 を満足することである。なお、上記反射レベルとは、光
学ヘッドへの戻り光量である。また、上記Riniは、記
録マーク間に存在する結晶質領域の反射レベルである。
【0064】第2の条件は、上記直流レーザー光のパワ
ーレベルによらず満足される必要がある。すなわち、上
記直流レーザー光が記録層を溶融させないものであって
も溶融させるものであっても、(Rtop+Rbottom)/
2Riniが上記範囲内に存在している必要がある。直流
レーザー光が記録層を溶融させない場合において第2の
条件が満足される場合、直流レーザー光照射により記録
層の固相での結晶化が不可能であることを意味する。一
方、溶融させる場合において第2の条件が満足される場
合、溶融状態から冷却したときに記録層が非晶質化する
ことを意味する。これに対し書き換え可能な相変化型媒
体に、パワーレベルを徐々に増大させながら直流レーザ
ー光を照射すると、記録層が固相で結晶化ないし液相か
ら結晶化するため、(Rtop+Rbottom)/2Rini≧1
となるパワーレベルが存在することになる。
【0065】第3の条件は、相変化型の記録層を有する
光記録媒体に対しランダム信号を記録し、前記ランダム
信号に重ねて、前記ランダム信号記録時と同じ線速度で
再びランダム信号を記録した後、再生動作を行ったとき
に、信号再生が不可能であることである。なお、上記ラ
ンダム信号は、最適記録条件で記録することが好まし
い。この場合の最適記録条件とは、初期化直後の記録層
に記録したときにジッタが最小となる記録条件である
か、媒体メーカ推薦の最適記録条件であるか、その媒体
が属する規格において定められた最適記録条件である。
【0066】第4の条件は、相変化型の記録層を有する
光記録媒体に対し、ランダム信号を記録し、前記ランダ
ム信号の記録領域に前記ランダム信号記録時と同じ線速
度で直流レーザー光を照射して消去動作を行い、その照
射領域に再びランダム信号を記録した後、再生動作を行
ったときに、信号再生が不可能であることである。な
お、上記ランダム信号は、上記した最適記録条件で記録
することが好ましい。
【0067】第4の条件は、上記直流レーザー光のパワ
ーによらず満足される必要がある。すなわち、上記直流
レーザー光が記録層を溶融させないものであっても溶融
させるものであっても、上記直流レーザー光照射後に記
録したランダム信号の再生が不可能である必要がある。
直流レーザー光が記録層を溶融させない場合において第
4の条件が満足される場合、直流レーザー光照射により
記録層の固相での結晶化が不可能であることを意味す
る。一方、溶融させる場合において第4の条件が満足さ
れる場合、溶融状態から冷却したときに記録層が非晶質
化することを意味する。これに対し書き換え可能な相変
化型媒体では、直流レーザー光照射により記録層が固相
で結晶化ないし液相から結晶化するため、どちらの場合
でも直流レーザー光照射領域に対し再記録が可能であ
る。
【0068】なお、本明細書において信号再生が不可能
であるとは、クロックジッタが好ましくは13%超、よ
り好ましくは15%超となることである。
【0069】光記録媒体の駆動装置において、記録・再
生・消去用のレーザー光を強度変調する駆動信号には、
記録周波数に比べ桁違いに高い高周波、例えば数百メガ
ヘルツ程度の高周波が重畳されることが一般的である。
本明細書における直流レーザー光は、このような高周波
が重畳された直流信号によって駆動されるレーザー光を
包含する。
【0070】相変化型媒体を追記型媒体として使用する
ためには、記録線速度に応じて、記録層の結晶化速度お
よび媒体の熱設計を制御すればよい。具体的には、非晶
質記録マークの再結晶化が困難となるように、記録層を
結晶化速度の遅い組成としたり、記録層が比較的速く冷
却される構造、すなわち、急冷構造としたりすることが
好ましい。大径のレーザービームを照射するバルクイレ
ーザーによって初期化を行う場合、小径のレーザービー
ムを用いる記録時と異なり、媒体が急冷構造であっても
記録層の冷却速度はそれほど速くならないため、初期化
に要する線速度はそれほど低下しない。したがって、媒
体を急冷構造とすれば、比較的速い線速度での初期化が
可能で、かつ、比較的遅い線速度での記録が可能とな
る。なお、急冷構造とするためには、記録層上に、誘電
体層を挟んで放熱層としての金属反射層を設ける構造と
し、記録層の熱が反射層に速やかに伝導するように誘電
体層を薄くしたり、誘電体層の熱伝導率および/または
反射層の熱伝導率を高くしたりすればよい。
【0071】次に、本発明が適用される光記録媒体の構
成例について説明する。
【0072】図4に示す構造 本発明の光記録媒体の構成例を、図4に示す。この光記
録媒体は、透光性基体2上に、第1誘電体層31、記録
層4、第2誘電体層32、反射層5および保護層6をこ
の順で有し、記録または再生のためのレーザー光は、透
光性基体2を通して入射する。
【0073】透光性基体2 透光性基体2は、記録または再生のためのレーザー光に
対し透光性を有する。透光性基体2の厚さは、通常、
0.2〜1.2mm、好ましくは0.4〜1.2mmとすれ
ばよい。透光性基体2は樹脂から構成すればよいが、ガ
ラスから構成してもよい。光記録媒体において通常設け
られるグルーブ(案内溝)2Gは、レーザー光入射側か
ら見て手前側に存在する領域であり、隣り合うグルーブ
間に存在する凸条がランド2Lである。
【0074】本発明では、ランドおよび/またはグルー
ブを記録トラックとして利用することができる。
【0075】第1誘電体層31および第2誘電体層32 これらの誘電体層は、記録層の酸化、変質を防ぎ、ま
た、記録時に記録層から伝わる熱を遮断ないし面内方向
に逃がすことにより、支持基体20や透光性基体2を保
護する。また、これらの誘電体層を設けることにより、
変調度を向上させることができる。各誘電体層は、組成
の相異なる2層以上の誘電体層を積層した構成としても
よい。
【0076】これらの誘電体層に用いる誘電体として
は、例えば、Si、Ge、Zn、Al、希土類元素等か
ら選択される少なくとも1種の金属成分を含む各種化合
物が好ましい。化合物としては、酸化物、窒化物または
硫化物が好ましく、これらの化合物の2種以上を含有す
る混合物を用いることもできる。
【0077】媒体を急冷構造としたい場合、誘電体層、
特に第2誘電体層32を、熱伝導率の高い誘電体から構
成することが好ましい。熱伝導率の高い誘電体として
は、例えば硫化亜鉛と酸化ケイ素との混合物(ZnS−
SiO2)、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒
化ケイ素、酸化タンタルなどが好ましく、特に、Alの
酸化物および/または窒化物、Siの酸化物および/ま
たは窒化物が好ましい。ZnS−SiO2としては、S
iO2を30〜60モル%含有するものが好ましい。S
iO2含有量が少なすぎると、熱伝導率が低くなりすぎ
る。一方、SiO2含有量が多すぎると、他の層との密
着性が不十分となるため、長期間保存する際に層間の剥
離が生じやすい。
【0078】急冷構造とする場合、第2誘電体層の熱伝
導率は、好ましくは1W/mK以上、より好ましくは1.5
W/mK以上である。第2誘電体層の熱伝導率の上限は特に
ないが、誘電体層として使用可能な材料は、通常、熱伝
導率が20W/mK程度以下である。本明細書における第2
誘電体層の熱伝導率は、薄膜状態での測定値ではなく、
バルク材料での値である。
【0079】第1誘電体層および第2誘電体層の厚さ
は、保護効果や変調度向上効果が十分に得られるように
適宜決定すればよいが、通常、第1誘電体層31の厚さ
は好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜2
50nmであり、第2誘電体層32の厚さは好ましくは1
0〜50nmである。ただし、追記型媒体では、非晶質記
録マークが結晶化しにくいように急冷構造とすることが
好ましく、そのためには、第2誘電体層の厚さを好まし
くは30nm以下、より好ましくは25nm以下とする。
【0080】各誘電体層は、スパッタ法により形成する
ことが好ましい。
【0081】記録層4 記録層の組成は特に限定されず、各種相変化材料から適
宜選択すればよいが、少なくともSbおよびTeを含有
するものが好ましい。SbおよびTeだけからなる記録
層は、結晶化温度が130℃程度と低く、保存信頼性が
不十分なので、結晶化温度を向上させるために他の元素
を添加することが好ましい。この場合の添加元素として
は、In、Ag、Au、Bi、Se、Al、P、Ge、
H、Si、C、V、W、Ta、Zn、Ti、Sn、P
b、Pdおよび希土類元素(Sc、Yおよびランタノイ
ド)から選択される少なくとも1種が好ましい。これら
のうちでは、保存信頼性向上効果が特に高いことから、
希土類元素、Ag、InおよびGeから選択される少な
くとも1種が好ましい。
【0082】SbおよびTeを含有する組成としては、
以下のものが好ましい。SbおよびTeをそれぞれ除く
元素をMで表し、記録層構成元素の原子比を 式I (SbxTe1-x1-yy で表したとき、好ましくは 0.2≦x≦0.9、 0≦y≦0.4 であり、より好ましくは 0.5≦x≦0.85、 0.01≦y≦0.2 である。具体的には、媒体を書き換え型として用いるか
追記型として用いるかに応じ、かつ、記録線速度や媒体
の熱設計に応じ、xを適宜決定すればよい。
【0083】書き換え型である場合、上記式Iにおいて
Sbの含有量を表すxが小さすぎると、結晶化速度が遅
くなるため、比較的速い線速度での記録マークの消去が
困難となる。また、記録層の結晶質領域での反射率が低
くなるため、再生信号出力が低くなる。また、xが著し
く小さいと、記録も困難となる。一方、xが大きすぎる
と、結晶状態と非晶質状態との間での反射率差が小さく
なるため、再生信号出力が低くなってしまう。
【0084】追記型である場合、xが小さすぎると、結
晶化速度が遅くなりすぎるため、記録層の初期化が困難
となる。また、記録層の結晶質領域での反射率が低くな
るため、再生出力が低くなる。また、xが著しく小さい
と、記録も困難となる。一方、xが大きすぎると、結晶
化速度が速くなりすぎるため、追記型媒体の記録層とし
ては不適当となる。また、xが大きすぎると、結晶状態
と非晶質状態との間での反射率差が小さくなるため、再
生出力が低くなってしまう。
【0085】元素Mは特に限定されないが、保存信頼性
向上効果を示す上記元素のなかから少なくとも1種を選
択することが好ましい。元素Mの含有量を表すyが大き
すぎると、結晶化速度が速くなりすぎたり、再生出力が
低くなったりする。
【0086】記録層の厚さは、好ましくは4nm超50nm
以下、より好ましくは5〜30nmである。記録層が薄す
ぎると結晶相の成長が困難となり、結晶化が困難とな
る。一方、記録層が厚すぎると、記録層の熱容量が大き
くなるため記録が困難となるほか、再生信号出力の低下
も生じる。
【0087】記録層の形成は、スパッタ法により行うこ
とが好ましい。
【0088】なお、本発明において記録層の構造は特に
限定されない。例えば、特開平8−221814号公報
や特開平10−226173号公報に記載された多層構
造の記録層を有する媒体にも本発明は適用可能である。
【0089】ところで、本発明は、以下に説明する追記
型媒体にも適用できる。この追記型媒体は、相変化層と
機能層とが含まれる記録層を有する。相変化層は相変化
材料を含有する。機能層は、相変化層に接して存在し、
相変化層の結晶化温度付近の温度では相変化層と反応せ
ず、相変化層の融点以上の温度で相変化層と反応して反
応生成物を生成するものである。この追記型媒体に記録
を行うに際しては、形成直後の状態、すなわち非晶質状
態の相変化層の全面を、結晶化(初期化)する。次い
で、単一のレーザー光を強度変調しながら照射すること
により、相変化層と機能層とを反応させて反応生成物を
形成する。これにより、結晶質相変化層と機能層とから
なる積層体中に、前記反応生成物からなる記録マークが
存在することになる。
【0090】この追記型媒体では、相変化層の溶融と同
時に相変化層と機能層とが反応して反応生成物が形成さ
れる。この反応生成物は、相変化層の結晶化温度まで昇
温しても反射率が変化しない。すなわち、相変化層の非
晶質領域に比べ、熱的に安定である。このように、反応
生成物からなる記録マークは熱的に安定であるため、記
録マークの保存信頼性および再生耐久性は良好である。
通常の相変化型媒体では、記録時に、記録層の面内方向
への熱伝導により、形成した記録マークの一部が再結晶
化してしまうセルフイレーズ現象が生じたり、隣接トラ
ックに存在する記録マークが消去されてしまうクロスイ
レーズが生じたりする。これに対し、反応生成物からな
る記録マークを形成する上記追記型媒体では、セルフイ
レーズが実質的に生じないので、ジッタが極めて小さく
なる。また、クロスイレーズも実質的に生じないので、
記録トラックピッチを詰めることができ、高密度記録が
可能となる。
【0091】この追記型媒体において、相変化層の組成
は特に限定されず、上記した相変化材料からなる記録層
と同じであってよい。相変化層の厚さも、上記した相変
化材料からなる記録層と同じであってよい。
【0092】次に、機能層について説明する。
【0093】機能層は、相変化層をその融点以上の温度
まで昇温したときに相変化層と反応して、反応生成物を
生成するものである。したがって、機能層構成材料は、
相変化層の構成材料に応じて適宜選択すればよい。例え
ば上記したSbおよびTeを主成分とする相変化材料を
用いる場合、機能層構成材料は、その融点が好ましくは
400〜1500℃、より好ましくは500〜1200
℃であることが望ましい。このような材料としては、例
えばAl、Cu、AgおよびGeの少なくとも1種を含
有する金属(単体または合金)が挙げられる。機能層構
成材料の融点が低すぎると、相変化層を結晶化すべき領
域、すなわち相変化層と機能層とを反応させてはならな
い領域において反応が生じやすくなってしまうため、好
ましくない。一方、機能層構成材料の融点が高すぎる
と、相変化層と機能層との反応が生じにくくなる。ただ
し、融点が上記した好ましい範囲内にあっても、15
(Vb)族および16(VIb)族の金属元素、特に相変化
層に含まれる元素および相変化層構成元素と反応しやす
い元素(Sb、BiおよびTe)は、相変化層と比較的
低温で反応しやすい。そのため、これらの元素が含有さ
れていると、低パワーレベルのレーザー光照射領域にお
いて反応を生じさせずに相変化層の結晶化だけを生じさ
せることが困難となる。すなわち、結晶化させたい領域
において、相変化層の組成が変わってしまう。そのた
め、これらの元素は機能層の主成分元素としては用いな
いことが好ましく、これらの元素が機能層に含まれない
ことがより好ましい。
【0094】機能層は前記したように反射率が高いこと
が好ましく、具体的には、記録・再生波長における消衰
係数が好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以
上である。本発明において消衰係数の上限は特にない
が、機能層を構成する金属の消衰係数は、通常、10以
下である。
【0095】上記追記型媒体における反応生成物は、相
変化層構成材料と機能層構成材料とが混合および/また
は化合したものである。透過型電子顕微鏡では、通常、
この反応生成物は結晶質ではなく、非晶質状態、微結晶
状態、または、微結晶を含む非晶質状態として観察され
る。反応生成物が結晶質でなければ、反応生成物が生成
した領域における媒体の光反射率を、相変化層の結晶化
領域よりも低くすることが容易であり、相変化層の非晶
質領域より低くすることも容易である。
【0096】反応生成物は、相変化層の結晶化温度まで
加熱しても状態に変化は生じず、反射率は変わらない。
すなわち、この反応生成物からなる記録マークは、結晶
質である相変化層の非晶質化によって形成される記録マ
ーク、および、形成直後で非晶質である相変化層に比
べ、熱的に安定である。反応生成物は、さらに高温まで
加熱しても変化せず、最終的には溶融する場合が多い
が、融点より低い温度において固相で結晶化する場合も
ある。溶融や結晶化によって反応生成物に光学的変化が
生じる温度は、相変化層の結晶化温度(Tcry)より高
ければよいが、好ましくはTcry+50℃以上である。
【0097】相変化層と機能層とを反応させて反応生成
物を形成する際に、相変化層および機能層は、厚さ方向
の全域において反応しなくてもよい。すなわち、反応
後、相変化層および/または機能層が、厚さ方向におい
て一部残存していてもよい。
【0098】なお、図示例では、相変化層と機能層との
積層順は特に限定されない。
【0099】上記追記型媒体における記録層は、1層の
相変化層と1層の機能層とから構成されていてもよい
が、少なくとも一方を2層以上設ける多層構造としても
よい。記録層中に相変化層と機能層とが合計で3層以上
存在する場合、記録層は、相変化層と機能層とが交互に
同数積層された偶数層構成であってもよく、記録層の厚
さ方向両端が同種の層となるように交互に積層された奇
数層構成であってもよい。両層の積層数が多すぎると記
録層が厚くなりすぎるので、記録層中における両層の間
の界面の数は、10以下とすることが好ましい。
【0100】記録層を多層構造とする場合において相変
化層を2層以上設ける場合、隣り合う2層の相変化層
を、機能層によって熱的に遮断することが可能である。
したがって、例えば機能層を挟んで相変化層を2層設け
る場合には、記録光のパワーを制御することにより、記
録光入射側に存在する一方の相変化層を結晶化し、他方
の相変化層を非晶質のまま維持することが可能である。
この領域を第1の記録マークとし、より高パワーの記録
光を用いることにより両方の記録層を結晶化してそこを
第2の記録マークとし、さらに高パワーの記録光を用い
ることにより反応生成物を生成してそこを第3の記録マ
ークとすれば、4値記録を行うことができる。相変化層
の数を増やせば、さらなる多値記録が可能である。
【0101】反射層5 反射層構成材料は特に限定されず、通常、Al、Au、
Ag、Pt、Cu、Ni、Cr、Ti、Si等の金属ま
たは半金属の単体あるいはこれらの1種以上を含む合金
などから構成すればよい。
【0102】媒体を急冷構造としたい場合、熱伝導率の
高い材料から反射層を構成することが好ましい。熱伝導
率の高い材料としては、AgまたはAlが好ましい。し
かし、AgまたはAlの単体では十分な耐食性が得られ
ないため、耐食性向上のための元素を添加することが好
ましい。
【0103】ただし、他の元素を添加すると熱伝導率が
低下するため、その場合には熱伝導率のより高いAgを
主成分元素として用いることが好ましい。Agに添加す
ることが好ましい副成分元素としては、例えば、Mg、
Pd、Ce、Cu、Ge、La、S、Sb、Si、Te
およびZrから選択される少なくとも1種が挙げられ
る。これら副成分元素は、少なくとも1種、好ましくは
2種以上用いることが望ましい。反射層中における副成
分元素の含有量は、各金属について好ましくは0.05
〜2.0原子%、より好ましくは0.2〜1.0原子%
であり、副成分全体として好ましくは0.2〜5原子
%、より好ましくは0.5〜3原子%である。副成分元
素の含有量が少なすぎると、これらを含有することによ
る効果が不十分となる。一方、副成分元素の含有量が多
すぎると、熱伝導率が小さくなってしまう。
【0104】急冷構造とする場合、反射層の熱伝導率
は、好ましくは100W/mK以上、より好ましくは150
W/mK以上である。熱伝導率は、例えば、4探針法を用い
て求めた反射層の電気抵抗値から、Widemann-Franzの法
則により算出することができる。反射層の熱伝導率の上
限は特にない。すなわち、反射層構成材料として使用可
能なもののうち最も高い熱伝導率を有する純銀(熱伝導
率250W/mK)も使用可能である。
【0105】反射層の厚さは、通常、10〜300nmと
することが好ましい。厚さが前記範囲未満であると十分
な反射率を得にくくなる。また、前記範囲を超えても反
射率の向上は小さく、コスト的に不利になる。反射層
は、スパッタ法や蒸着法等の気相成長法により形成する
ことが好ましい。
【0106】保護層6 保護層6は、耐擦傷性や耐食性の向上のために設けられ
る。この保護層は種々の有機系の物質から構成されるこ
とが好ましいが、特に、放射線硬化型化合物やその組成
物を、電子線、紫外線等の放射線により硬化させた物質
から構成されることが好ましい。保護層の厚さは、通
常、0.1〜100μm程度であり、スピンコート、グ
ラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等、通常の
方法により形成すればよい。
【0107】図5に示す構造 本発明の光記録媒体の構成例を、図5に示す。この光記
録媒体は、支持基体20上に、金属または半金属から構
成される反射層5、第2誘電体層32、記録層4、第1
誘電体層31および透光性基体2を、この順で積層して
形成したものである。記録または再生のためのレーザー
光は、透光性基体2を通して入射する。なお、支持基体
20と反射層5との間に、誘電体材料からなる中間層を
設けてもよい。
【0108】この構成例における透光性基体2には、図
4における透光性基体2と同程度の厚さの樹脂板やガラ
ス板を用いてもよい。ただし、記録再生光学系の高NA
化によって高記録密度を達成するためには、透光性基体
2を薄型化することが好ましい。その場合の透光性基体
の厚さは、30〜300μmの範囲から選択することが
好ましい。透光性基体が薄すぎると、透光性基体表面に
付着した塵埃による光学的な影響が大きくなる。一方、
透光性基体が厚すぎると、高NA化による高記録密度達
成が難しくなる。
【0109】透光性基体2を薄型化するに際しては、例
えば、透光性樹脂からなる光透過性シートを各種接着剤
や粘着剤により第1誘電体層31に貼り付けて透光性基
体としたり、塗布法を利用して透光性樹脂層を第1誘電
体層31上に直接形成して透光性基体としたりすればよ
い。
【0110】支持基体20は、媒体の剛性を維持するた
めに設けられる。支持基体20の厚さおよび構成材料
は、図4に示す構成例における透光性基体2と同様とす
ればよく、透明であっても不透明であってもよい。グル
ーブ2Gは、図示するように、支持基体20に設けた溝
を、その上に形成される各層に転写することにより、形
成できる。
【0111】図5に示す構造の媒体では、反射層5形成
時の結晶成長により、レーザー光入射側における反射層
の表面粗さが大きくなりやすい。この表面粗さが大きく
なると、再生ノイズが増大する。そのため、反射層の結
晶粒径を小さくしたり、反射層を非晶質層として形成し
たりすることが好ましい。そのためには、AgまたはA
lを主成分とし、かつ、前記した添加元素を含有する反
射層が好ましい。
【0112】なお、反射層の熱伝導率は、結晶粒径が小
さいほど低くなるため、反射層が非晶質であると、記録
時に十分な冷却速度が得られにくい。そのため、反射層
をまず非晶質層として形成した後、熱処理を施して結晶
化させることが好ましい。いったん非晶質層として形成
した後に結晶化すると、非晶質のときの表面粗さをほぼ
維持でき、しかも、結晶化による熱伝導率向上は実現す
る。
【0113】このほかの各層は、図4に示す構成例と同
様である。
【0114】
【実施例】実施例1 図4に示す構造をもつ光記録ディスクサンプルを、以下
の手順で作製した。
【0115】透光性基体2には、射出成形によりグルー
ブ(幅0.2μm、深さ20nm、配列ピッチ0.74μ
m)を同時形成した直径120mm、厚さ0.6mmのディ
スク状ポリカーボネートを用いた。
【0116】第1誘電体層31は、ZnS(85モル
%)−SiO2(15モル%)ターゲットを用いてAr
雰囲気中でスパッタ法により形成した。第1誘電体層の
厚さは90nmとした。
【0117】記録層4は、合金ターゲットを用い、Ar
雰囲気中でスパッタ法により形成した。記録層の組成
(原子比)は、 (Sb0.67Te0.330.9Ag0.06In0.04 とした。記録層の厚さは20nmとした。
【0118】第2誘電体層32は、第1誘電体層31と
同様にして形成した。第2誘電体層の厚さは20nmとし
た。
【0119】反射層5は、Ar雰囲気中においてスパッ
タ法により形成した。ターゲットにはAl−1.7原子
%Cr合金を用いた。反射層の厚さは100nmとした。
【0120】保護層6は、紫外線硬化型樹脂をスピンコ
ート法により塗布後、紫外線照射により硬化して形成し
た。保護層の厚さは5μmであった。
【0121】このようにして作製したサンプルをバルク
イレーザーにより初期化(結晶化)した後、光記録媒体
評価装置(パルステック社製DDU−1000)を用
い、 レーザー波長:635nm、 開口数:0.60、 記録信号:EFMプラス(8−16)変調のランダム信
号、 の条件で、グルーブに信号を記録し、次いで、記録信号
の再生を行った。記録時の線速度V、Pw、Pbi、Pbi
/Pw、Pbo、Tmp、TtopおよびTlpと、再生信号の
ジッタとを表1に示す。なお、マルチパルスにおいて、
上向きパルスの幅と下向きパルスの幅との合計は1Tと
した。したがって、デューティー比はTmpと等しい。ま
た、図2および図3にそれぞれ示される記録波形では、
Tmp以外のパラメータを図1に示される記録波形と同じ
とした。また、この記録の際の最短信号長n・Twは、
線速度Vが14m/sのときに28.7nsである。
【0122】表1に示すジッタは、再生信号をタイムイ
ンターバルアナライザ(横河電機株式会社製)により測
定し、ウインドウ幅をTwとして σ/Tw (%) により算出したクロックジッタである。このクロックジ
ッタは、基準クロック幅(1T)に対応する周波数に対
する再生信号の時間的揺らぎである。チルトマージンを
考慮しても、すなわちディスクのチルトによるジッタ増
大を見込んでも、無チルト時のクロックジッタが9%以
下であれば信号品質に問題はないといえる。
【0123】
【表1】
【0124】表1に示すNは、線速度3.5m/sを基準
とした倍速表示であり、N=V/3.5である。表1で
は、各線速度におけるPw、Pbi、Tmp、Ttopおよび
Tlpと、他の全ての線速度におけるそれらとの間に、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL、 1<TtopH/TtopL、 1<TlpH/TlpL が成立している。そのため、1〜4倍速のすべてにおい
て、ジッタが小さくなっている。
【0125】信号を記録したトラックに、線速度3.5
m/sで出力2〜7mWの直流レーザー光を照射して、記録
マークの消去を試みた。照射後にCNRを測定したとこ
ろ、最短信号の信号減衰量は最大で16.5dBであっ
た。また、上記直流レーザー光を照射したトラックに対
し、線速度3.5m/sでランダム信号を記録してそのク
ロックジッタを測定したところ、最小でも約16%であ
り、再生信号としての使用が不可能であることがわかっ
た。したがって、このサンプルでは情報の書き換えが不
可能である。
【0126】直流レーザー光のパワーを7mWより高くし
ていくと、記録層が溶融してしまい、レーザー光照射後
に非晶質となった。すなわち、レーザーパワーを高くし
ても、記録層の再結晶化は不可能であった。
【0127】比較例1 実施例1で作製したサンプルについて、記録条件を表2
に示すものとしたほかは実施例1と同様な測定を行っ
た。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】表2においてジッタが許容範囲内に収まっ
ているケースNo.201(1倍速)を基準ケースとして
考えると、基準ケースとケースNo.202(2倍速)と
の関係では、 1<PbiH/PbiL が成立していない。また、基準ケースとケースNo.20
3(2倍速)との関係では、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1 が成立していない。また、基準ケースとNo.204(3
倍速)との関係では、 1≦TmpH/TmpL が成立していない。また、基準ケースとNo.205(4
倍速)との関係では、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1 が成立していない。その結果、ケースNo.202〜20
5のすべてにおいてジッタが許容範囲を超えている。
【0130】
【発明の効果】本発明では、マルチパルス記録におい
て、線速度に応じて記録波形を制御するため、広い線速
度範囲においてジッタを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】5T信号およびその記録波形を示すグラフであ
る。
【図2】4T信号の記録波形を示すグラフである。
【図3】3T信号の記録波形を示すグラフである。
【図4】光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【図5】光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】 2 透光性基体 20 支持基体 2G グルーブ 2L ランド 31 第1誘電体層 32 第2誘電体層 4 記録層 5 反射層 6 保護層

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相変化材料を含む記録層を有する光記録
    媒体に対し、記録波形により強度変調された記録光を用
    い、複数の線速度または連続的に変化する線速度で記録
    を行う方法であって、 前記記録波形は、直流部と、記録マークを形成するため
    の記録パルス部とを有するものであり、直流部の強度を
    Pbiで表し、上向きパルスを少なくとも3つ有する記録
    パルス部において、先頭の上向きパルスと最後尾の上向
    きパルスとに挟まれた上向きパルスの幅をTmp、その強
    度をPwで表し、 前記複数の線速度または前記連続的に変化する線速度の
    1つをVLとし、線速度VLで記録を行う際のPw、Pbi
    およびTmpをそれぞれPwL、PbiLおよびTmpLと
    し、 前記複数の線速度または前記連続的に変化する線速度の
    うちVLよりも速く、かつ、 1.1≦VH/VL を満足する線速度の1つをVHとし、線速度VHで記録を
    行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、Pbi
    HおよびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足する条件で記録を行う光記録方法。
  2. 【請求項2】 相変化材料を含む記録層を有する光記録
    媒体に対し、記録波形により強度変調された記録光を用
    い、複数の線速度から選択される1つの線速度で記録を
    行う方法であって、 前記記録波形は、直流部と、記録マークを形成するため
    の記録パルス部とを有するものであり、直流部の強度を
    Pbiで表し、上向きパルスを少なくとも3つ有する記録
    パルス部において、先頭の上向きパルスと最後尾の上向
    きパルスとに挟まれた上向きパルスの幅をTmp、その強
    度をPwで表し、 前記複数の線速度の1つをVLとし、線速度VLで記録を
    行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwL、Pbi
    LおよびTmpLとし、 前記複数の線速度のうちVLよりも速く、かつ、 1.1≦VH/VL を満足する線速度の1つをVHとし、線速度VHで記録を
    行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、Pbi
    HおよびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足する条件で記録を行う光記録方法。
  3. 【請求項3】 記録パルス部のうち上向きパルスを少な
    くとも3つ有するものにおいて、先頭の上向きパルスの
    幅をTtopで表し、 線速度VLで記録を行う際のTtopをTtopLとし、線速
    度VHで記録を行う際のTtopをTtopHとしたとき、 1<TtopH/TtopL として記録を行う請求項1または2の光記録方法。
  4. 【請求項4】 記録パルス部のうち上向きパルスを少な
    くとも3つ有するものにおいて、最後尾の上向きパルス
    の幅をTlpで表し、 線速度VLで記録を行う際のTlpをTlpLとし、線速度
    Hで記録を行う際のTlpをTlpHとしたとき、 1<TlpH/TlpL として記録を行う請求項1〜3のいずれかの光記録方
    法。
  5. 【請求項5】 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれに
    おいて使用するパルス強度およびパルス幅が、光記録媒
    体への試し書きによって決定される請求項1〜4のいず
    れかの光記録方法。
  6. 【請求項6】 追記型の光記録媒体に適用される請求項
    1〜5のいずれかの光記録方法。
  7. 【請求項7】 書き換え可能型の光記録媒体に適用さ
    れ、記録に用いるレーザー光の波長をλ、照射光学系の
    対物レンズの開口数をNA、検出窓幅をTw、最短記録
    マークに対応する信号長をn・Twとしたとき、記録に
    用いる最も速い線速度において n・Tw>20ns である請求項1〜5のいずれかの光記録方法。
  8. 【請求項8】 相変化材料を含む記録層を有する光記録
    媒体に対し、記録波形により強度変調された記録光を用
    いて記録を行う方法であって、 前記記録波形は、直流部と、記録マークを形成するため
    の記録パルス部とを有するものであり、直流部の強度を
    Pbiで表し、上向きパルスを少なくとも3つ有する記録
    パルス部において、先頭の上向きパルスと最後尾の上向
    きパルスとに挟まれた上向きパルスの幅をTmp、その強
    度をPwで表し、 基準となる線速度と、この線速度におけるPw、Pbiお
    よびTmpの推奨値が与えられており、この基準となる線
    速度とは異なる線速度で試し書きを行うことにより、こ
    の試し書きの際の線速度またはこの線速度を含む線速度
    域において実際に情報を記録する際に実際に使用するP
    w、PbiおよびTmpを決定するに際し、線速度VLおよ
    び 1.1≦VH/VL を満足する線速度VHの一方を前記基準となる線速と
    し、他方を前記試し書きの際の線速度とし、線速度VL
    で記録を行う際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPw
    L、PbiLおよびTmpLとし、線速度VHで記録を行う
    際のPw、PbiおよびTmpをそれぞれPwH、PbiHお
    よびTmpHとしたとき、 1<PbiH/PbiL、 (PbiH/PwH)/(PbiL/PwL)<1、 1≦TmpH/TmpL を満足するように、試し書きの際のPw、PbiおよびT
    mpを設定する光記録方法。
  9. 【請求項9】 記録パルス部のうち上向きパルスを少な
    くとも3つ有するものにおいて、先頭の上向きパルスの
    幅をTtopで表したとき、 前記基準となる線速度におけるTtopの推奨値が与えら
    れており、線速度VLで記録を行う際のTtopをTtopL
    とし、線速度VHで記録を行う際のTtopをTtopHとし
    たとき、 1<TtopH/TtopL を満足するように試し書きの際のTtopを設定すること
    により、この試し書きの際の線速度またはこの線速度を
    含む線速度域において実際に情報を記録する際に使用す
    るTtopを求める請求項8の光記録方法。
  10. 【請求項10】 記録パルス部のうち上向きパルスを少
    なくとも3つ有するものにおいて、最後尾の上向きパル
    スの幅をTlpで表し、 前記基準となる線速度におけるTlpの推奨値が与えられ
    ており、線速度VLで記録を行う際のTlpをTlpLと
    し、線速度VHで記録を行う際のTlpをTlpHとしたと
    き、 1<TlpH/TlpL を満足するように試し書きの際のTlpHを設定すること
    により、この試し書きの際の線速度またはこの線速度を
    含む線速度域において実際に情報を記録する際に使用す
    るTlpを求める請求項8または9の光記録方法。
  11. 【請求項11】 追記型の光記録媒体に適用される請求
    項8〜10のいずれかの光記録方法。
  12. 【請求項12】 書き換え可能型の光記録媒体に適用さ
    れ、記録に用いるレーザー光の波長をλ、照射光学系の
    対物レンズの開口数をNA、検出窓幅をTw、最短記録
    マークに対応する信号長をn・Twとしたとき、記録に
    用いる最も速い線速度において n・Tw>20ns である請求項8〜10のいずれかの光記録方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    を使用することが可能な光記録装置であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅を保持する光記録装置。
  14. 【請求項14】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    を使用することが可能な光記録装置であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、各線速度について複数保
    持されており、これら複数のパルス強度およびパルス幅
    から、実際に使用するパルス強度およびパルス幅を選択
    するに際し、光記録媒体への試し書きを利用する光記録
    装置。
  15. 【請求項15】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    を使用することが可能な光記録装置であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数
    として定義されており、この関数を保持する光記録装
    置。
  16. 【請求項16】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    を使用することが可能な光記録装置であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数
    として定義され、この関数が各線速度について複数保持
    されており、これら複数の関数から、実際に使用する関
    数を選択するに際し、光記録媒体への試し書きを利用す
    る光記録装置。
  17. 【請求項17】 請求項8〜12のいずれかの光記録方
    法を使用することが可能な光記録装置であって、 前記基準となる線速度におけるパルス強度およびパルス
    幅の推奨値を保持する光記録装置。
  18. 【請求項18】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    が適用可能な光記録媒体であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が記録されている光記録媒
    体。
  19. 【請求項19】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    が適用可能な光記録媒体であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、各線速度について複数記
    録されており、これら複数のパルス強度およびパルス幅
    から、実際に使用するパルス強度およびパルス幅を選択
    するに際し、光記録媒体への試し書きが利用される光記
    録媒体。
  20. 【請求項20】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    が適用可能な光記録媒体であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数
    として定義されており、この関数が記録されている光記
    録媒体。
  21. 【請求項21】 請求項1〜7のいずれかの光記録方法
    が適用可能な光記録媒体であって、 線速度VLおよび線速度VHのそれぞれにおいて使用する
    パルス強度およびパルス幅が、それぞれの線速度の関数
    として定義され、この関数が各線速度について複数記録
    されており、これら複数の関数から、実際に使用する関
    数を選択するに際し、光記録媒体への試し書きが利用さ
    れる光記録媒体。
  22. 【請求項22】 請求項8〜12のいずれかの光記録方
    法が適用可能な光記録媒体であって、 前記基準となる線速度におけるパルス強度およびパルス
    幅の推奨値が記録されている光記録媒体。
JP2000402928A 2000-12-28 2000-12-28 光記録方法、光記録装置および光記録媒体 Pending JP2002203317A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000402928A JP2002203317A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 光記録方法、光記録装置および光記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000402928A JP2002203317A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 光記録方法、光記録装置および光記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002203317A true JP2002203317A (ja) 2002-07-19

Family

ID=18867133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000402928A Pending JP2002203317A (ja) 2000-12-28 2000-12-28 光記録方法、光記録装置および光記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002203317A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006033188A1 (ja) * 2004-09-24 2006-03-30 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体
JP2010140635A (ja) * 2002-10-28 2010-06-24 Panasonic Corp 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010140635A (ja) * 2002-10-28 2010-06-24 Panasonic Corp 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体
WO2006033188A1 (ja) * 2004-09-24 2006-03-30 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体
EP1739664A1 (en) * 2004-09-24 2007-01-03 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Optical information recording method, optical information recording apparatus, and optical information recording medium
JPWO2006033188A1 (ja) * 2004-09-24 2008-05-15 松下電器産業株式会社 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体
EP1739664A4 (en) * 2004-09-24 2008-08-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd OPTICAL INFORMATION RECORDING METHOD, OPTICAL INFORMATION RECORDING DEVICE, AND OPTICAL INFORMATION RECORDING MEDIUM
JP4531054B2 (ja) * 2004-09-24 2010-08-25 パナソニック株式会社 光学的情報記録方法、光学的情報記録装置および光学的情報記録媒体
US7978574B2 (en) 2004-09-24 2011-07-12 Panasonic Corporation Optical information recording method, optical information recording apparatus, and optical information recording medium
KR101115099B1 (ko) 2004-09-24 2012-03-13 파나소닉 주식회사 광학적 정보 기록 방법, 광학적 정보 기록 장치 및 광학적정보 기록 매체

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100551917B1 (ko) 광기록 방법, 광기록장치 및 광기록매체
JP2002157737A (ja) 光記録方法および光記録媒体
JP4063978B2 (ja) 情報記録方法
JP4012934B1 (ja) 光記録媒体及び多層型光記録媒体を用いた光記録方法及び光記録装置
JP2004319033A (ja) 光記録媒体
JP2006209935A (ja) 光記録方法、光記録装置及び光記録媒体
JP4078237B2 (ja) 光記録媒体、光記録方法及び光記録装置
JP3790673B2 (ja) 光記録方法、光記録装置および光記録媒体
JP2003054135A (ja) 光記録媒体および光記録方法
JP2004220699A (ja) 光記録媒体
JP2002190112A (ja) 光記録方法および光記録媒体
JPWO2002043058A1 (ja) 光記録媒体の検査方法及び光記録媒体の製造方法
JP2004322556A (ja) 光記録媒体、光記録方法及び光記録装置
JP2002203317A (ja) 光記録方法、光記録装置および光記録媒体
JP2006221712A (ja) 相変化型光記録媒体とその記録方法及び転移線速の評価方法
JP4303575B2 (ja) 光記録方法及び記録再生装置
US20060280111A1 (en) Optical storage medium and optical recording method
JP4322927B2 (ja) 光記録方法、光記録媒体、及び多層型光記録媒体の光記録装置
JP4407573B2 (ja) 光記録媒体への情報記録方法及び光記録装置
JP2005332579A (ja) 光記録媒体への情報記録方法、情報記録装置及び光記録媒体
JP4231434B2 (ja) 情報記録媒体
US20040142277A1 (en) Optical information recording medium
JP2002222541A (ja) 光記録媒体
JP2000043414A (ja) 相変化型光記録媒体
JP2002288828A (ja) 光記録方法および光記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20040601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090908