JPS6320362Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は乗用自動車特に２ドアセダン型車におけ
る前部シートのリクライニング装置に関するもの
である。

２ドアセダン型車の後席へは、前部シートのシ
ートバツクを前に倒して乗り降りしている。その
ため、２ドアセダン型車の前部シートは、シート
バツクのリクライニング角度調節機構とシートバ
ツクの前倒機構とを設けている。その前倒機構
は、予め設定されたシートバツクの傾斜角度を変
えることなくシートバツクを前倒させ、又元の設
定位置にシートバツクを復帰させることができる
機構を付設するのが望ましく、種々の機構が提案
されている。

ところが上記の各機構を具えたリクライニング
シートは、リクライニング角度調節機構を操作し
てシートバツクを第１図実線示Ａのように最後傾
位置（フルリクライニング）付近に倒し、その状
態で前倒機構を操作すると、シートバツクは、前
倒機構内のばねの作用で同図鎖線示Ｂのように略
通常の使用位置まで自動的に起立する。この起立
位置でシートバツクは固定されていないから、こ
の状態で着席して自動車を発進させると、シート
バツクに掛かる体重によつて不意にシートバツク
が最後傾位置まで倒れるおそれがある。

本案は上記発進時におけるシートバツクの問題
点を解決することを目的とするもので、シートバ
ツクの傾斜角度が通常の使用範囲内にあるときの
み、シートバツクの前倒機構の操作を可能にする
規制手段を、その前倒機構とシートクツシヨンの
間に設けることにより上記の目的を達成しようと
するものである。

以下本案装置の構造を図面について説明する。
軸１によつて互いに回動可能に結合された一対の
ブラケツト２・３の一方のブラケツト２をシート
クツシヨン４の側面に、他方のブラケツト３をシ
ートバツク５の側面にそれぞれ固着している。

円周上に歯部６Ａと凹部６Ｂを有するセクタギ
ヤ６が、ブラケツト２・３間において軸１上に回
動可能に支持されている。ブラケツト２・３の外
側に、上記軸１を揺動支点とするリクライニング
角度調節用レバー７が取付けられていて、セクタ
ギヤ６に係脱するロツク爪８を、カムプレート
９、カム１０を介して操作するように構成されて
いる。

上記レバー７とカムプレート９は側面どうしで
重なり、長孔１１とピン１２で係合している。カ
ムプレート９とカム１０は一体で、軸１３に回動
可能に支持されている。ロツク爪８は、その一端
を軸１４で揺動可能に支持されていて、ロツク爪
８とカムプレート９はピン１５と長孔１６で係合
している。カム１０は、常時はロツク爪８の背に
当接して、セクタギヤ６に対するロツク爪８の噛
合を保持している。

シートバツク側のブラケツト３とレバー７の間
にサブブラケツト１７があり、前記軸１３・１４
の両端は、ブラケツト２・１７に固着されてい
る。又軸１はブラケツト２・１７を表裏に貫いて
いて、シートクツシヨン側ブラケツト２に固着さ
れている。即ちリクライニング角度調節機構を構
成するロツク爪８・カムプレート９・カム１０等
はブラケツト２・１７間に挾持されている。サブ
ブラケツト１７に、レバー７とロツク爪８の係合
ピン１２の動きを許容する逃がし孔１８があいて
いる。

シートバツク側ブラケツト３に前倒機構操作用
レバー１９が軸２０で取付けられていて、同じブ
ラケツト３に軸２１で支持された係止レバー２２
と、リンク部材２３・２４・２５を介して連結さ
れている。

上記係止レバー２２の一端はセクタギヤ６の凹
部６Ｂの前側の壁６Ｂ１に当接し、該レバー２２
の他端とブラケツト３との間に設けた引つ張りコ
イルば２６によつて上記レバー２２のセクタギヤ
６に対する係止作用を保つている。

又シートバツク側ブラケツト３に植設したピン
２７がセクタギヤ６の凹部６Ｂの後側の壁６Ｂ２
に当接し、前側の壁６Ｂ１に対する係止レバー２
２の当接と相まつてシートバツク側ブラケツト３
とセクタギヤ６の相対位置を固定している。

前記サブブラケツト１７に軸１を中心とする円
弧状長孔２８を設け、係止レバー２２の先端のピ
ン２９をその長孔２８に遊嵌させている。

長孔２８の長さは、シートバツク５の前倒から
最後傾位置までの動きを許容できる範囲とし、幅
は、シートバツク５の通常使用傾斜角度から前倒
の範囲αでは、前倒機構操作用レバー１９の操作
即ち係止レバー２２の揺動を許す広幅に、又シー
トバツク５の通常使用傾斜角度から最後傾までの
範囲βでは、上記係止レバー２２の揺動を不可能
にするせまい幅に形成されている。

リクライニング角度調節用レバー７とサブブラ
ケツト１７の間に、そのレバー７を含むリクライ
ニング角度調節機構を不作動状態に保つための引
つ張りコイルばね３０を設けている。

そして内端を軸１に、外端をシートバツク側ブ
ラケツト３の突起３１にそれぞれ係止した渦巻ば
３２を設けて、シートバツク５を常に前倒方向に
付勢している。

又上記前倒付勢ばね３２と反対側の面におい
て、内端を軸１に外端を、セクタギヤ６に植設し
たピン３３にそれぞれ係止した渦巻ばね３４を設
けて、セクタギヤ６を図で反時計方向に付勢して
いる。

次に作用について説明すると、第２図・第３図
はリクライニング角度調節機構７〜１６及び前倒
機構１９〜２７が作動していない状態で、ロツク
爪８がセクタギヤ６の歯部６Ａと噛合つてシート
クツシヨン側ブラケツト２とセクタギヤ６との相
対位置が固定されている。又セクタギヤ６の凹部
６Ｂの前後壁６Ｂ１・６Ｂ２に係止レバー２２と
ピン２７がそれぞれ当つてシートバツク側ブラケ
ツト３とセクタギヤ６との相対位置が固定されて
いる。即ちセクタギヤ６を介してシートバツク５
の傾斜角度が固定されている。

この状態で着席してばね３０に抗してリクライ
ニング角度調節用レバー７を図で時計方向に操作
すると、そのレバー７の長孔１１に係合している
ピン１２を介してカムプレート９及びカム１０が
軸１３を中心に反時計方向に回る。そうすると、
カム１０とロツク爪８との当接が解除されると共
に、カムプレート９の長孔１６によつてロツク爪
８のピン１５が誘導されて、ロツク爪８が軸１４
を中心に反時計方向に振れ、セクタギヤ６の噛合
が解除される。

上記のようにセクタギヤ６が解放されると、セ
クタギヤ６とシートバツク５はブラケツト３を介
して一体であり、ブラケツト３は渦巻ばね３２に
よつて前倒傾向にあるから、シートバツク５を背
中で押し、或は背中を浮かしてシートバツク５の
傾斜角度を所望の角度に選び、その状態でレバー
７の操作を解除すると、ばね３０の作用でレバー
７は元の位置に戻る。するとカムプレート９・カ
ム１０を介してロツク爪８が時計方向に振れてセ
クタギヤ６と噛合し、シートバツク５の傾斜角度
が固定される。

以上のようにしてシートバツク５が通常の使用
傾斜角度αの範囲内に調節されている状態で前倒
機構操作用レバー１９を反時計方向に操作する
と、リンク部材２３〜２５を介して係止レバー２
２がばね２６に抗して軸２１を中心に時計方向に
回され、セクタギヤ６の凹部６Ｂの側壁６Ｂ１か
ら外れる。

そうするとシートバツク側ブラケツト３とセク
タギヤ６との相対位置の固定が解除され、渦巻ば
ね３２によつてブラケツト３即ちシートバツク５
が前に倒れる。その前倒角度は、ブラケツト３と
一体のピン２７がセクタギヤ６の凹部６Ｂの中を
移動して第３図鎖線示２７′のように前側の壁６
Ｂ１に当ることによつて規制される。

上記前倒機構操作用レバー１９の操作を止める
と、第３図鎖線示２２′のように係止レバーの先
端がセクタギヤ６の外周に乗り、前倒機構は作動
状態に保たれる。

前倒しているシートバツク５を渦巻ばね３２に
抗して手を起すと、ピン２７が凹部６Ｂの後側の
壁６Ｂ２に当り、同時に係止レバー２２が凹部６
Ｂに落込んで前側の壁６Ｂ１に係止され、シート
バツク側ブラケツト３とセクタギヤ６との相対位
置が再び固定される。即ちシートバツク５は、前
倒する前の傾斜角度に復帰する。

リクライニング角度調節用レバー７を操作して
シートバツク５を通常の使用傾斜角度αより後方
に傾斜させると、係止レバー２２のピン２９が第
２図鎖線示２９′のように、円弧状長孔２８のせ
まい幅の部分に移動する。従つてこの状態で前倒
機構操作用レバー１９を操作しようとしても、上
記のようにピン２９が長孔２８に阻まれて係止レ
バー２２は揺動できない。

即ちシートバツク５を第１図実線示Ａのように
後方に傾斜ささせた状態においては前倒機構を働
かせることができない。

なおシートバツク５を前倒させた状態でリクラ
イニング角度調節レバー７を操作すると、セクタ
ギヤ６が解放され、セクタギヤ６は渦巻ばね３４
の作用で反時計方向に、その凹部６Ｂの後側の壁
６Ｂ２が鎖線示の位置にあるピン２７′に当るま
で回る。するとセクタギヤ６の外周に乗上がつて
いた係止レバー２２の先端が凹部６Ｂに入つてそ
の前側の壁６Ｂ１に係止され、セクタギヤ６とブ
ラケツト３即ちシートバツク５との相対位置が固
定される。

従つてシートバツクの元の傾斜位置の記憶作用
は失われるけれども、シートバツク５を所望の傾
斜角度まで起してレバー７を放せばセクタギヤ６
が固定されるので、不意にシートバツク５が後方
に倒れるおそれがない。

本案リクライニング装置は上述のように、シー
トバツク５の傾斜角度が通常の使用範囲α内にあ
るときのみシートバツク５の前倒機構１９〜２６
の操作を可能にする規制手段としてシートクツシ
ヨン側ブラケツト２と一体のサブブラケツト１７
に、シートバツク傾動中心軸１を中心とする円弧
状長孔２８を設け、シートバツク側に設けた前倒
機構操作用レバー１９によつて揺動させられてセ
クタギヤ６の凹部６Ｂに係脱する係止レバー２２
上のピン２９を上記円弧状長孔２８に遊嵌させ、
その長孔２８の長さを、シートバツク５の前倒か
ら最後傾位置までの動きを許容できる範囲とする
と共に、その長孔２８の幅を、シートバツク５の
通常使用傾斜角度から前倒の範囲αでは、上記係
止レバー２２の揺動を許す幅広に、又シートバツ
ク５の通常使用傾斜角度から最後傾位置までの範
囲βでは、上記係止レバー２２の揺動を不可能に
する狭い幅に形成したものであるから、リクライ
ニング角度調節機構７〜１６の操作でシートバツ
ク５を通常の使用範囲αよりも後方に傾けた状態
では、規制手段を構成するサブブラケツト１７上
の円弧状長孔２８と、前倒機構操作用レバー１９
に連動する係止レバー２２上のピン２９との係合
で前倒機構１９〜２６の操作が不可能となり、シ
ートバツク５が固定されない状態で自動車を発進
させてシートバツク５が不意に後方に大きく倒れ
る不具合がない。

又上記規制手段は、サブブラケツト１７に前記
のような形状・幅の長孔２８を加工し、前倒機構
の一構成部材である係止レバー２２に取付けたピ
ン２９を長孔２８にはめることによつて構成する
ことができるので構造・細立てが簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図はリクライニング装置付自動車用シート
の作動を説明する側面図、第２図は本案リクライ
ニング装置の表カバーを外した状態の正面図、第
３図はリクライニング角度調節レバー・渦巻ばね
及びサブブラケツトを除去した状態の正面図、第
４図は第２図−線に沿う横断平面図。 １は軸、２・３はブラケツト、４はシートクツ
シヨン、５はシートバツク、６はセクタギヤ、６
Ａは歯部、６Ｂは凹部、７〜１６はリクライニン
グ角度調節機構、１７はサブブラケツト、１９〜
２６は前倒機構、２７はピン、２８・２９は規制
手段、３２・３４は渦巻ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンに対しシートバツクを軸で傾
   斜角度調節可能に取付け、外周に歯部と凹部を有
   するセクタギヤを上記軸に回動可能に支持させ、
   セクタギヤの歯部に係脱させるシートバツクのリ
   クライニング角度調節機構をシートクツシヨン側
   に、セクタギヤの凹部に係脱させるシートバツク
   の前倒機構をシートバツク側に具えたリクライニ
   ング装置において、シートクツシヨン側ブラケツ
   トと一体のサブブラケツトに、シートバツク傾動
   中心軸を中心とする円弧状長孔を設け、シートバ
   ツク側に設けた前倒機構操作用レバーによつて揺
   動させられてセクタギヤの凹部に係脱する係止レ
   バー上のピンを上記円弧状長孔に遊嵌させ、その
   長孔の長さを、シートバツクの前倒から最後傾位
   置までの動きを許容できる範囲とすると共に、そ
   の長孔の幅を、シートバツクの通常使用傾斜角度
   から前倒の範囲では、上記係止レバーの揺動を許
   す幅広に、又シートバツクの通常使用傾斜角度か
   ら最後傾位置までの範囲では、上記係止レバーの
   揺動を不可能にする狭い幅に形成した自動車用シ
   ートのリクライニング装置。