JPS633313Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシートバツクが前倒可能に設けられた
車輌用ベンチシートに関する。

一般にツードアタイプの車輌においては、リヤ
シート（後部座席）への乗降性を考慮してフロン
トシート（前部座席）のシートバツク（背もた
れ）が前方へ倒れる構造となつている。例えばフ
ロントシートがベンチタイプの座席の場合には、
シートクツシヨン（座）とシートバツクとが一体
になつて前倒しするものや、シートバツクだけが
別個になつたセパレートバツクタイプではリクラ
イニングして前倒しするものがある。

このようなベンチタイプの座席においては、
個々に分割されているシートバツクを別個に前倒
しすることができることから手軽に操作できるセ
パレートバツクタイプのものが広く実用化されて
いる。しかしながら、セパレートバツクタイプの
ものにあつては、個々のシートバツクに対応した
位置に着座しないとこれらシートバツク間の不連
続部（分割部）が乗員の背に当つて乗り心地が悪
いため、横に連続していることから着座人員数に
よつて自由な着座位置をとることができるベンチ
タイプのシートクツシヨンを備えているにも係ら
ず、シートバツクによる規制から着座人員数が少
なくても自由な着座位置及び姿勢がとれず、ベン
チタイプシートの利点を活用することができなか
つた。

また、シートバツクを単に横に連続させてベン
チタイプとした場合にあつては、乗降のために前
倒しにしてシートクツシヨン上に折り重ねたシー
トバツクを元の位置に立て直す際、シートバツク
が幅広くて大型で比較的重いため、手軽に操作を
することができなかつた。この事情は特に、シー
トバツクの背が高いハイバツクシートでかつ上記
のように幅の広いベンチタイプとしたときには大
きな不具合となつていた。

そこで本考案は上記欠点に鑑み、シートバツク
が手軽に操作可能であると共に快適な着座を実現
する車輌用ベンチシートを提供することを目的と
する。

以下に本考案の一実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

本実施例のハイバツクベンチシート１の斜視図
を第１図に、通常状態の側面図を第２図に、前倒
状態の側面図を第３図に示す。これらの図に示す
ようにベンチシート１のシートバツク２とシート
クツシヨン３とはシートバツク２の下部（乗員の
腰のあたり）で分離されている。このシートバツ
ク２はシートクツシヨン３の両側の脇部４と一体
に形成されており、このシートバツク２と脇部４
がシートクツシヨン３を残してセンタヒンジ５を
枢軸にして前倒可能にシートクツシヨン３に取付
けられている。他方、シートクツシヨン３は脚部
６およびシートアジヤスタ７により前後動可能に
床面に固設されている。さらにシートバツク２の
下部両側には起こした状態を保持するロツク装置
８が設置され、このロツク装置８を両側のどちら
か一方からでもシートバツク２を倒せるようにロ
ツク装置８の係合状態を解除するレバー９がシー
トバツク２の上部両側に設けれている。尚、図中
２ａはヘツドレストを示す。

これらロツク機構を更に詳述すると、片側の分
解斜視図を第４図に示すように、両側のレバー９
はロツド１０により連結され、このロツド１０は
シートバツク２のパイプに固定される支持部材１
１により支持されている。また、このロツド１０
にはレバー板１２を介してロツド１３が連結さ
れ、レバー９を矢印方向に引くとロツド１３が上
方に移動する。さらに、ロツド１３の下端はケー
ス２１に設けられた長孔２１ａを通してストツパ
１４の一方の端部に連結されている。ストツパ１
４は凸部１４ａを具え、他端部が軸ピン１５によ
り回動自在に支持され、バネ１６によつて常時反
時計方向に付勢されている。

また、ストツパ１４の下方にはキヤツチヤー１
７が軸ピン１８により回動自在に支持され、バネ
１９によつて時計方向に常時付勢されている。こ
のキヤツチヤー１７の上部にはシートクツシヨン
３に固定されるフツク２０と係合する凹部１７ａ
が設けられている。上記軸ピン１５および１８は
ケース２１とカバー２２により支持されている。
このケース２１には切欠き部２１ｂが設けられて
おり、フツク２０はこの切欠き部２１ｂを通して
キヤツチヤー１７と係合、離脱する。

このようなベンチシートにおいては、シートバ
ツク２のレバー９のどちらか一方を前方へ操作す
ると、ストツパー１４が引き上げられ、キヤツチ
ヤー１７が時計方向に回転してフツク２０とのロ
ツクは解除される。したがつて、シートバツク２
は脇部４とともにセンタヒンジ５を中心に脇部４
が床面に当接するまで前傾でき、リヤシートの乗
降を達成する。そして、前傾したシートバツク２
は床面に当接することにより支持部となつた両脇
部４により一定の前傾角で支持されるため、シー
トクツシヨン３上に折り重なつてしまわないこと
から大型で重量のあるシートバツク２にあつても
比較的小さな操作力で容易に通常の位置に戻すこ
とができる。また、シートバツク２を通常の位置
に戻すにはシートバツク２の上部を後方に押す
と、フツク２０がキヤツチヤー１７の端縁に当接
し押下げて凹部１７ａに係合し、ロツク状態が保
持される。

以上説明したように本考案によれば、床面に当
接することにより支持部となり得るシートクツシ
ヨンの脇部と一体になつたベンチタイプのシート
バツクが前倒可能に設けられているため、乗員の
着座位置及び姿勢にゆとりを実現するベンチタイ
プの座席にあつても、リヤシートへの乗降のため
の操作を手軽に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例に係り、第
１図はベンチシートの斜視図、第２図および第３
図は通常状態および前倒状態のベンチシートの側
面図、第４図はロツク機構の分解斜視図である。 図面中、１はベンチシート、２はシートバツ
ク、３はシートクツシヨン、４は脇部、５はセン
タヒンジ、８はロツク装置、９はレバー、１３は
ロツドである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベンチシートのシートクツシヨン部分とこのシ
   ートクツシヨン部分の両脇部分を分離すると共に
   ベンチシートのシートバツクを前記シートクツシ
   ヨン部分と分離して前記両脇部分と一体に形成す
   る一方、前記シートバツクが床面に当接して支持
   部となり得る前記両脇部分とともに前記シートク
   ツシヨン部分を残して前倒可能に前記シートクツ
   シヨン部分に当該シートバツクを取付け、さらに
   このシートバツクに当該シートバツクを前記シー
   トクツシヨン部分に係止させるロツク装置とこの
   ロツク装置の係止状態を解除するレバーとを設け
   たことを特徴とする車輌用ベンチシート。