JPS627367B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エンジンにその排気ガスで駆動され
る過給機すなわち排気ターボ過給機を取付ける構
造に関するものである。

一般にエンジンに排気ターボ過給機を取付ける
場合の第１の問題点は、エンジンの排気ポートか
らの排気ガスを如何にして高温のまゝ温度を下げ
ないでターボ過給機の排気タービンに導くかであ
り、第２の問題点は、ターボ過給機のブロワー圧
縮機からの過給空気を如何にして圧力損失なくエ
ンジンの吸気ポートに導くかである。そこで、従
来は例えば特許第106391号明細書等に記載されて
いるように、エンジンにおいてそのクランク軸と
平行な両長手側面のうち一方の長手側面に、吸気
マニホールドと排気マニホールドとを接合すると
共に、当該一方の長手側面に、排気ターボ過給機
を当該排気ターボ過給機の軸線を鉛直状にして配
設することによつて、過給空気の通路及び排気ガ
スの通路を短くするようにしている。

そして、このものは、エンジンにおける一方の
長手側面からの排気ターボ過給機の突出距離を縮
小するために、前記吸気マニホールド及び排気マ
ニホールドを左右２つに分割して、その間の部位
に排気ターボ過給機を設置した構成にしているか
ら、吸気マニホールド及び排気マニホールドを
各々２つに分割にしなければならず、しかも、排
気ターボ過給機におけるブロワー圧縮機及び排気
タービンに各々もに２つの接続口を設けなければ
らず構造が著しく複雑になるのであり、その上、
このようにエンジンにおける一方の長手側面に配
設した排気ターボ過給機の軸線を鉛直状にするこ
とは、当該排気ターボ過給機において、ブロワー
圧縮機と排気タービンとを連結する軸に対する潤
滑油が、下方に位置するブロワー圧縮機又は排気
タービン側にかたよることになるから、オイル漏
れを生じ易くて潤滑油の消費量が増大するばかり
か、潤滑油の燃焼によつて白煙が発生することに
なり、しかも、きわめて高速の軸の軸受にオイル
切れが発生する等の問題がある。

本発明は、この問題を解消すると共に、排気タ
ーボ過給機の冷却性の向上を図ることを目的とす
るものである。

このため本発明は、自動車の前部におけるエン
ジンルーム内にエンジンを、そのクランク軸が自
動車の走行方向と略直角になるように横向きに搭
載してなる自動車用エンジンにおいて、該エンジ
ンにおいてそのクランク軸と平行な両長手側面の
うち自動車の前側に面する前長手側面に、吸気マ
ニホールドと排気マニホールドとを取付け、該吸
気マニホールド及び排気マニホールドの下部に形
成される空間部に、吸気マニホールドに接続され
るブロワー圧縮機と排気マニホールドに接続され
る排気タービンとを軸を介して直結して成る排気
ターボ過給機を、当該排気ターボ過給機における
軸が略水平になるようにして配設した構成にした
ものである。

以下本発明の実施例を図面について説明する
と、図において１は、自動車の車体前部にフロン
トグリル２及び開閉自在なボンネツト３にて形成
されたエンジンルーム４内に、クランク軸線が自
動車の走行方向と略直角になるように横向きに配
設した多気筒エンジン本体を示し、該エンジン本
体１の各気筒における吸気ポート５及び排気ポー
ト６はエンジン本体１におけるクランク軸と平行
な左右両長手側面のうち自動車の前側に面する前
長手側面７に開口するように設けられ、エンジン
本体１において吸気及び排気ポート５，６が開口
する前記前長手側面７には、エンジンへの吸入空
気を各吸気ポート５に分配するための吸気マニホ
ールド８、及び各排気ポート６からの排気ガスを
合流するための排気マニホールド９を取付けて、
これら両マニホールド８，９の下部に空間部１０
を形成し、この空間部１０に、排気タービン１２
とブロワー圧縮機１３とを軸１４にて直結して成
る排気ターボ過給機１１を、その軸１４がエンジ
ン本体１のクランク軸（図示せず）と略平行で且
つ略水平になるように配設し、該ターボ過給機１
１のブロワー圧縮機１３における出口側を過給通
路１５を介して又は介さずに前記吸気マニホール
ド８の集合部にフランジ接続し、ブロワー圧縮機
１３の吸入側に上向きに折曲した吸入管１６を接
続して、該吸入管１６の上端に気化器１７とエア
クリーナ１８とを取付ける一方、ターボ過給機１
１の排気タービン１２における入口側を前記排気
マニホールド９の合流部にフランジ接続し、排気
タービン１２の出口側に自動車の車体の後方に延
びる排気管１９を接続して成るものである。な
お、図中符号２０は過給管１５と吸入管１６とを
ブロワー圧縮機１３を迂回して接続した吸気迂回
管で、該管２０中には、気化器１７のスロツトル
弁を急閉しての減速時に開くブローオフ弁２１が
設けられ、符号２２は排気マニホールド９と排気
管１９とを排気タービン１２を迂回して接続した
排気迂回管で、該管２２中には過給がエンジンの
危険回転を越えて過過給になつたとき開くウエス
トゲート弁２３が設けられており、また、符号２
４は気化器１７の下面に略水平に設けた遮熱板で
ある。

このように、エンジンルーム４内に横向きに設
置したエンジン本体１の前長手側面７に吸気マニ
ホールド８及び排気マニホールド９を取付け、こ
れら両マニホールド８，９の下部に形成される空
間部１０にターボ過給機１１を配設し、該ターボ
過給機におけるブロワー圧縮機１３を吸気マニホ
ールド８に、排気タービン１２を排気マニホール
ド９に各々接続したもので、エンジン本体１の排
気ポート６から排気タービン１２に至る排気通路
及びブロワー圧縮機１３からエンジン本体１の吸
気ポート５に至る吸気通路が共に短かくなるか
ら、排気ポート６からの排気ガスは短かい排気通
路を通り殆んど放熱されることなく高温のまゝ排
気タービン１２に導入でき、排気タービン１２を
高温の状態で駆動したのち排気管９より外部に放
出される一方、ブロワー圧縮機１３からの過給空
気は短かい吸気通路を通り流れ抵抗が少なく従つ
て圧力損失を殆んど伴うことなく吸気ポート５か
らエンジンの燃焼室に導かれる。

また、排気ターボ過給機１１を、エンジン本体
１における前長手側面７に取付く吸気マニホール
ド８及び排気マニホールド９の下部に形成される
空間部１０に配設したことにより、吸気マニホー
ルド８及び排気マニホールド９の下部に形成され
る従来死空間であつた空間部１０を、排気ターボ
過給機１１の配設に有効に利用できると共に、吸
気マニホールド８及び排気マニホールド９を、前
記従来例のように左右２つに分割することなく、
排気ターボ過給機１１をエンジン本体１に近付け
ることができるのであり、その上、排気ターボ過
給機１１には、自動車の走行によつて発生する走
行風が直接的に吹き当たることになるから、当該
排気ターボ過給機１１の冷却性を向上できるので
ある。

なお、排気ターボ過給機１１の上方に気化器１
７を配設すると共に、該気化器１７の下面に遮熱
板２４を設けるようにすれば、気化器１７に対し
て排気ターボ過給機１１の熱害が及ぶことを確実
に防止できる。

以上の通り本発明によると、自動車の前部にお
けるエンジンルーム内に横向きに搭載したエンジ
ンの前長手側面に、吸気マニホールド及び排気マ
ニホールドを取付け、その下部に形成される空間
部に、排気ターボ過給機を配設したことにより、
排気ターボ過給機を、前記吸気マニホールド及び
排気マニホールドを左右の２つに分割することな
くエンジンに近付けることができるから、排気タ
ーボ過給機をエンジンに近付けるために吸気マニ
ホールド及び排気マニホールドを左右２つに分割
することによる構造の複雑化を回避できると共
に、排気ターボ過給機の冷却性を向上できるので
あり、しかも、前記排気ターボ過給機をその軸線
か略水平になるように配設したことにより、排気
ターボ過給機における軸受けに対する潤滑油が一
方にかたよることがないから、軸受にオイル切れ
が発生することがないと共に、オイル漏れが少な
く、潤滑油の消費量及び白煙を低減できる効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は正面
図、第２図は第１図の左側面図である。 １……エンジン本体、５……吸気ポート、６…
…排気ポート、７……一側面、８……吸気マニホ
ールド、９……排気マニホールド、１０……空間
部、１１……排気ターボ過給機、１３……ブロワ
ー圧縮機、１２……排気タービン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 自動車の前部におけるエンジンルーム内にエ
   ンジンを、そのクランク軸が自動車の走行方向と
   略直角になるように横向きに搭載してなる自動車
   用エンジンにおいて、該エンジンにおいてそのク
   ランク軸と平行な両長手側面のうち自動車の前側
   に面する前長手側面に、吸気マニホールドと排気
   マニホールドとを取付け、該吸気マニホールド及
   び排気マニホールドの下部に形成される空間部
   に、吸気マニホールドに接続されるブロワー圧縮
   機と排気マニホールドに接続される排気タービン
   とを軸を介して直結して成る排気ターボ過給機
   を、当該排気ターボ過給機における軸が略水平に
   なるようにして配設したことを特徴とする排気タ
   ーボ過給式自動車用エンジン。