JPS6031887Y2 - 工作機械の自動工具交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は工作機械の自動工具交換装置の改良に関する
ものである。

従来、工作機械の自動工具交換装置としてマガジンに納
められた工具と工作機械のスピンドルに把持されている
工具とを自動交換する方式には、マガジンとスピンドル
との間に別個の工具搬送用キャリヤを設け、このキャリ
ヤによって工具の交換を行うものと、マガジンが装着さ
れたマガジンベースを直線的に進退させて、マガジンベ
ースで直接工具の交換を行うものとがあった。

しかし、前者の方式のものは、工具搬送用キャリヤが必
要となり、機構が複雑となって必然的に構造部品数が多
くなり、高価となる欠点があった。

また、後者の方式のものは、マガジンベースに設けられ
たマガジンに装着されている工具とスピンドルに把持さ
れている工具あるいは被加工物との衝突を避けるために
、スピンドルの上昇量や被加工物の高さを制限しなけれ
ばならないという問題があると共に、マガジンベースに
装着するマガジンの数も工作機械本体とのバランスによ
り制限されるという問題があった。

この考案は、前述した問題を解決した、マガジンベース
を進退させてこのマガジンベースに装着したマガジンと
工作機械のスピンドルとの間で工具の交換を行う自動工
具交換装置を提供することを目的とするものである。

以下、この考案の一実施例につき図面を参照して説明す
る。

第１図乃至第３図において、１はＡＴＣベースである基
台であり、この基台１の一側面には前後方向摺動ガイド
２，２と摺動用シリンダ機構３とがそれぞれ水平に固定
されている。

前記摺動ガイド２，２に前後方向に摺動可能に摺動部材
４が支持され、この摺動部材４は摺動用シリンダ機構３
のピストン３ａに固定されている。

前記摺動部材４上にはマガジンベース５が枢軸６で上下
方向に揺動可能に支持され、摺動部材４の一側面には揺
動用シリンダ機構７のシリンダ７ｂが回動可能に支持さ
れ、そのピストン７ａの先端部にはジヨイント８および
ピン９を介してリンク機構１０のかぎ形リンクレバー１
１の一端部が連結され、このレバー１１の中央屈曲部が
摺動部材４に枢着され、リンクレバー１１の他端部には
連結レバー１２の下端部がピン１３で枢着され、連結レ
バー１２の上端部はピン１４でマガジンベース５の枢軸
６より前側部分に枢着されている。

前記マガジンベース５下部の枢軸６とピン１４との間に
はカムフォロアであるローラ１５が回転可能に設けられ
、このローラ１５が当接する板カム１６の中間部が基台
１に回動可能に設けられ、板カム１６は上端が前方に位
置するように傾斜し、板カム１６の上端部が当接するス
トッパ１７が板カム１６の前側に配置されて基台１に設
けられ、板カム１６の平端部後側を支持するショックダ
ンパ１８が基台１に装着されている。

さらに前記マガジンベース５は、第４図にも示すように
、下面にスプロケット２０．２０が軸支され、これらに
掛けられた無端チェーン１９に爪２１ａを有する多数の
マガジン２１が所定間隔で装着され、前記スプロケツ）
２０，２０の一方は電動機２２ａと減速機２２ｂとを有
する駆動手段２２から駆動力が伝達されるように構成さ
れ、スプロケット２０の駆動によル無端チェーン１９の
移行により、マガジン２１の割出が行われるようになっ
ている。

なお、第２図中、２３は工作機械の縦軸スピンドル、２
４は工具である。

次に、前述のように構成された自動工具交換装置の動作
について説明する。

工具交換指令が与えられるまでは、第１図に示すマガジ
ンベース５が後退端に位置する状態で待機している。

工具交換指令が与えられると、摺動用シリンダ機構３が
圧縮空気または圧油のような圧力媒体によって動作し、
そのピストン３ａを第１図左側のスピンドル２３（第２
図参照）に向って前進させる。

このピストン３ａの前進により、摺動部材４およびマガ
ジンベース５がこれらに装着された部材と共に一体に前
進し、ストローク端の直前でマガジンベース５に設けた
ローラ１５が基台１に装着されている板カム１６に当接
し、この板カム１６を介してショックダンパ１８に支持
され、前進速度が徐々に低下し、板カム１６がストッパ
１７に支持されてマガジンベース５の前進が阻止され、
停止する。

この時、第２図に示すように、工作機械のスピンドル２
３に装着されている工具２４のグリップ部に、マガジン
ベース５の下面にスプロケット２０および無端チェーン
１９を介して装着されているマガジン２１の爪部２１ａ
が入り、前記工具２４がスピンドル２３およびマガジン
２１の両者で把持されている状態となる。

次に、揺動用シリンダ機構７が圧縮空気または圧油のよ
うな圧力媒体によって動作し、ピストン７ａが第２図の
位置から右側に移動し、リンク機構１０のリンクレバー
１１および連結レバー１２を介してマガジンベース５が
枢軸６を支点として、前端側か下方に向って回動し、ス
ピンドル２３から工具２４が引抜かれる。

この際にマガジン２１は枢軸６を中心として円弧運動を
行うために、工具２４のシャンク部とスピンドル２３の
工具装着穴とが干渉して工具の取外しが不可能による恐
れがあるが、これに対してマガジンベース５が下方へ回
動する際に、マガジンベース５に設けられたローラ１５
が板カム１６に接触して、マガジンベース５は摺動部材
４と共に板カム１６の接触面の形状に沿って基台１に対
して後退運動を行う。

なお、この場合に揺動用シリンダ機構７と摺動用シリン
ダ機構３との力の相互関係は、前述の動作を考慮して設
定しである。

そして、板カム１６の接触面の形状は、マガジン２１が
近似直線運動を行って下降するように形成されている。

マガジン２１が近似直線下降した後に、電動機２２ａの
駆動により減速機２２ｂを介してスプロケット２０が回
転し、無端チェーン１９が移行し、スピンドル２３に装
着されるように指令された工具を把持しているマガジン
２１がスピンドル２３の中心線と同一線に位置するよう
に移動する。

その後、マガジン２１は揺動用シリンダ機構７によるマ
ガジンベース５の揺動と板カム１６およびローラ１５と
の当接によって近似直線上昇し、工具２４をスピンドル
２３に挿入する。

さらにその後、摺動用シリンダ機構３の動作によって摺
動部材４と共にマガジンベース５が後退端に至るまで後
退する。

なお、前述の実施例では、マガジンベースの前後方向揺
動運動に伴うマガジンの揺動運動を近似直線運動に変換
する運動規制機構としてマガジンベースにローラからな
るカムフォロアを、基台に板カムを設けたが、この考案
は、マガジンベースにカムを、基台にカムフォロアを設
けてもよい。

また、前記実施例では縦軸のスピンドルの工作機械の場
合について述べたが、この考案は、全体を９０°回動さ
せることにより、横軸のスピンドルをもつ工作機械にも
適用できる。

以上説明したように、この考案による工作機械の自動工
具交換装置は、マガジンが装着されているマガジンベー
スが摺動部材と共に前進、後退し、工具搬送用キャリヤ
の機能を兼ねているので、このキャリヤを別個に設ける
ものに比べて、構成部品の数が少なく、安価に提供でき
る。

また、この考案の自動工具交換装置は、マガジンベース
が摺動部材に揺動可能に支持されかつこの摺動部材と共
に前後方向に摺動運動を行うので、工作機械本体とのバ
ランスをある程度無視することができ、したがってマガ
ジンの大きさおよびマガジンベースに装着されるマガジ
ンの数も、従来のものに比べて制限が少なくなり、１個
のマガジンベースに多くのマガジンが装着できると共に
、被加工物やスピンドルに把持されている工具との干渉
の恐れも少ない。

さらに、従来のものは、マガジンベースを直線的に前進
、後退させるために駆動部と直線運動用ガイド部が必要
で、構成部品の数が比較的多く、部品自体の加工精度も
高いものが要求されていたが、この考案では、摺動部材
にマガジンベースを枢着し、摺動部材に設けた揺動シリ
ンダ機構でマガジンベースを揺動させ、この揺動運動を
板カムとローラなどによる規制機構でマガジンの近似直
線運動に変換させるようにしたので、簡単な構成によっ
て、工具のシャンク部とスピンドル内の工具装着用穴と
の干渉、衝突を避けることができる。

したがって、この考案によれば、構成部品が少ない簡単
な構成で、安価であると共に、故障率の低い自動工具交
換装置を提供できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示腰第１図はマガジンベー
ス後退時の正面図、第２図はマガジンベース前進時の正
面図、第３図は側面図、第４図はマガジンベースの下面
図である。 １・・・・・・基台、３・・・・・・摺動用シリンダ機
構、４・・・・・・摺動部材、５・・・・・・マガジン
ペニス、６・・・・・・枢軸、７・・・・・・揺動用シ
リンダ機構、１０・・・・・・リンク機構、１５・・・
・・・ローラ（カムフォロア）、１６・・・・・・板カ
ム、１９・・・・・・無端チェーン、２０・・・・・・
スプロケット、２１・・・・・・マガジン、２２・・・
・・・駆動手段、２３・・・・・・スピンドル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台に工作機械のスピンドル方向に前進、後退可能に工
   具搬送用の摺動部材を支持し、この摺動部材に前記基台
   に設けた摺動用シリンダ機構を連結し、前記摺動部材に
   マガジンベースを前後方向に揺動可能に枢着し、マガジ
   ンベースに多数のマガジンを装着した無端チェーンを駆
   動手段による前記マガジンの割出可能に支持させ、摺動
   部材に設けた揺動用シリンダ機構に前記マガジンベース
   を連結すると共に、前記マガジンベースによるマガジン
   の前後方向揺動運動を近似直線運動に変換するカムとカ
   ムフォロアの一方を前記マガジンベースと基台の一方に
   、カムとカムフォロアの他方をマガジンベースと基台の
   他方に設け、前記スピンドルとマガジンとの間での工具
   の受渡を近似直線運動によって行うようにしたことを特
   徴とする工作機械の自動工具交換装置。