JPS597173Y2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車の車体前部構造、特に、フロントサス
ペンションのロアアームの取付部の構造に関するもので
ある。

従来、自動車のフロントサスペンションのロアアームは
、一般的にはエンジンルーム下方に車体左右方向に配設
されたクロスメンバに取付けられていた。

しかしながら、上記ロアアームは、両端がそれぞれ一点
支承されるＩ形状のものと、一端が二叉状となって二点
支承されるＡ形状のものなどがあるが、上記のようにク
ロスメンバに取付ける場合に、Ａ形のロアアームのよう
に車体側で二点支承するものは、クロスメンバの他に取
付メンバが必要であって、その取付けが難かしく、また
、クロスメンバは車体重量の増加、コストアップ、スペ
ース上不利であるなどの問題があり、その設置を廃止す
る傾向にある。

また、ロアアームをエンジンルームの側方に車体前後方
向に延びるフロントサイドフレームに支承するようにし
たものもあるが、フロントサイドフレームの設置位置と
ロアアームの取付位置との関係で、これらのレイアウト
上の問題により良好な取付位置が得られない場合がある
。

そのため、エンジンルーム内にサスマウント部材を別途
設け、ロアアームの二点支承の一点を該サスマウント部
材に支承し、他点を車体（フロア）に支承したものがあ
るが、ロアアームを別部品に支承するため取付精度上問
題があり、しかも、これらのロアアームを支承する部分
は高い剛性を有する必要上、堅固なものが要求される。

本考案はかかる点に鑑み、車体フロア下面に前後方向に
延びるフロアサイドフレームを前方へ延長してフロント
ロアサイドフレームを形或し、このフロントロアサイド
フレームにサスペンションのロアアームを支承するとと
もに、フロントロアサイドフレームとフロントサイドフ
レームとを連結部材で結合し、、ロアアームの取付精度
を向上するとともに、車体の剛性を増大せしめた自動車
の車体前部構造を提供し、前記従来の欠点を解消せんと
するものである。

以下、本考案の実施例を図面に沿って説明する。

〈実施例 １〉 第１図および第２図に示す自動車の車体前部構造におい
て、１は車体前部に形威されたエンジンルームであって
、該エンジンルーム１は両側壁を構威するホイールエプ
ロン２と後壁を構成するトウボード３とによって囲繞さ
れてなる。

４は上記ホイールエプロン２下方に車体前後方向に延び
るフロントサイドフレームであって、外側方が開口した
断面コ字状でホイールエプロン２との接合によってエン
ジンルーム１の側方下部に前後方向の閉断面を構戒する
よう設けられている。

一方、５は車体フロア６下部に車体前後方向に延びるフ
ロアサイドフレームであって、上方が開口した断面コ字
状で車体フロア６との接合によって車体フロア６の側方
下部に前後方向の閉断面を構或するよう設けられている
。

上記フロアサイドフレーム５の先端はさらに前方へ延長
されてフロントロアサイドフレーム７が構威され、この
フロントロアサイドフレーム７はその先端がエンジンル
ーム１内の側方下部に前記フロントサイドフレーム４と
ほぼ平行に且つフロントサイドフレーム４より下方内側
に位置して突出している。

上記フロントロアサイドフレーム７には、サスペンショ
ン８のロアアーム９の内方端が揺動自在に二点支承され
ている。

すなわち、フロントロアサイドフレーム７の前端部の第
１支承部１０にロアアーム９の前側基端９ａが支承され
るとともに、フロントロアサイドフレーム７の後部下面
に設けられた第２支承部１１にロアアーム９の後側基端
９ｂが支承されている。

次に、１２はフロントロアサイドフレーム７の前部とフ
ロントサイドフレーム４の後部とを連結結合する連結部
材であって、該連結部材１２の上端はフロントサイドフ
レーム４の側面に固着され、下端はフロントロアサイド
フレーム７の上面に固着され、該フロントロアサイドフ
レーム７に閉断面を構或している。

上記連結部材１２は中央部に車体左右方向に貫通するタ
イロツド貫通孔１２ａを有し、このタイロツド貫通孔１
２ａの周囲には全て閉断面が形戒されるように構威され
ている。

尚、１３は上記連結部材１２のタイロッド貫通孔１２ａ
を貫通するタイロツド、１４はハーフシャフト、又、１
５はサスペンション８の上端を支持するサスペンション
タワー、１６はタイヤハウスである。

上記実施例によれば、フロントロアサイドフレーム７の
一部品にロアアーム９を二点支承したことによりその取
付精度が向上し、組付性を改善するとともに、連結部材
１２とフロントロアサイドフレーム７とを介してフロン
トサイドフレーム４とフロアサイドフレーム５とを結合
し、車体剛性を向上し、衝突時のエネルギ吸収特性（つ
ぶれ特性）をも向上させたものである。

〈実施例 ２〉 第３図ないし第６図に示す車体前部構造は基本的には前
例と同一であって、特に、各部材を全てスポット溶接に
より結合して閉断面を構或するようにしたものである。

フロアサイドフレーム５の前方に延設されたフロントロ
アサイドフレーム１７の上方には、連結部材１８の下部
に連設されたフレーム部材１８ ｂが結合され、この下
方に開いたフレーム部材１８ ｂと上方に開いたフロン
トロアサイドフレーム１７とにより閉断面を形或し、ロ
アアーム９を二点支承するものである。

又、上記フロントロアサイドフレーム１７の外側（サス
ペンション８側）には上方に拡張した膨出部１７ ａが
設けられ、前端部の第１支承部１０と上記膨出部１７
ａ底面の第２支承部１１とが略同一高さとなるように構
威され、上記膨出部１７Ｈの上面には連結部材１８のフ
レーム部材１８ｂが接合され閉断面を形或している。

一方、フロントロアサイドフレーム１７の前部とフロン
トサイドフレーム４の後部とを連結結合する上記連結部
材１８は、車体左右方向に配設されたタイロツド１３が
貫通する中央部のタイロツド貫通孔１８Ｈの周囲にそれ
ぞれ閉断面を形或するべく、折曲加工された板金部材が
溶接用のフランジ部１８Ｃにてスポット溶接により相互
に接合されている。

特に、タイロッド貫通孔１８ａの周縁に形或されるフラ
ンジ部１８Ｃは車体左右方向すなわちタイロツド１３の
貫通方向と同方向に突出するように形或されており、こ
のフランジ部１８ Ｃによってタイロツド貫通孔１８ａ
を縮小してタイロッド１３の動きを妨げることがないよ
うにし、周囲に形威される閉断面を大きくして剛性を向
上させ、全体の大きさを小さくし、又、板材の薄板化を
図っている。

その他は前例と同じであり、同一構造には同一符号を付
してその説明を省略している。

尚、上記両実施例においては、フロントロアサイドフレ
ーム７，１７はフロアサイドフレーム５と別体に形或し
て連結して連結するように設けているが、両者は一枚板
により一体或形するようにしてもよい。

従って、以上のような本考案によれば、フロアサイドフ
レームを前方へ延長して先端がエンジンルール内に突出
するフロントロアサイドフレームを形或し、該フロント
ロアサイドフレームにサスペンションのロアアームを揺
動自在に支承するようにしたことにより、このロアアー
ムの取付精度を向上し、組立性を向上させることができ
る。

又、フロントロアサイドフレームとフロントサイドフレ
ームとを連結部材で結合したことにより、車体の剛性を
向上させ、衝突時のエネルギ吸収特性の向上を簡易な構
造により低コストで実施できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の第１実施例を示し、第１
図は全体斜視図、第２図は要部斜視図、第３図ないし第
６図は第２実施例を示し、第３図は全体斜視図、第４図
は同背面図、第５図はフロントロアサイドフレームの斜
視図、第６図は第４図のＡ−Ａ線に沿う断面図である。 １・・・・・・エンジンルーム、２・・・・・・ホイー
ルエプロン、３・・・・・・トウボード、４・・・・・
・フロントサイドフレーム、５・・・・・・フロアサイ
ドフレーム、６・・・・・・車体フロア、７，１７・・
・・・・フロントロアサイドフレーム、８・・・・・・
サスペンション、９・・・・・・ロアアーム、９ａ・・
・・・・前側基端、９ｂ・・・・・・後側基端、１０・
・・・・・第１支承部、１１・・・・・・第２支承部、
１２， １８・・・・・・連結部材、１２ａ，１８ａ・
・・・・・タイロッド貫通孔、１３・・・・・・タイロ
ツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンルーム側壁を構或するホイールエプロン下方に
   車体前後方向に延びるフロントサイドフレームを配設し
   、かつ車体フロア下面に車体前後方向に延びるフロアサ
   イドフレームを配設するとともに、エンジンルーム側方
   下部にサスペンションロアアームを揺動自在に支承して
   なる自動車の車体前部構造において、フロアサイドフレ
   ームを前方へ延長し、その先端がエンジンルーム内に突
   出するフロントロアサイドフレームを形或し、該フロン
   トロアサイドフレームにサスペンションのロアアームを
   揺動自在に支承するとともに、該フロントロアサイドフ
   レームの前部と上記フロントサイドフレームの後部とを
   連結部材で連結結合してなる自動車の車体前部構造。